複合材料の改良

申请号 JP2015516642 申请日 2013-06-14 公开(公告)号 JP6306575B2 公开(公告)日 2018-04-04
申请人 ヘクセル コンポジッツ、リミテッド; 发明人 シモンズ、マーティン; ブレア、ダナ; ティルブルック、デイヴィッド;
摘要
权利要求

繊維強化硬化性樹脂を含むプリプレグであって、この繊維が炭素繊維であり、プリプレグが樹脂に対して2から4重量%までの範囲の導電性粒子を含有し、導電性粒子がポテト形状の黒鉛からなる、上記プリプレグ。強化剤を含有する、請求項1に記載のプリプレグ。強化剤が熱可塑性粒子である、請求項2に記載のプリプレグ。樹脂に対して5から20重量%までの熱可塑性粒子を含有する、請求項3に記載のプリプレグ。強化剤がポリアミドである、請求項2から4までのいずれか一項に記載のプリプレグ。ポリアミドが140℃と240℃の間の融点を有する、請求項5に記載のプリプレグ。強化剤粒子が100ミクロン未満の粒径を有する、請求項2から6までのいずれか一項に記載のプリプレグ。粒径が5から60ミクロンまでの範囲である、請求項7に記載のプリプレグ。45容量%から75容量%までの繊維を含有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプリプレグ。繊維が破壊されている、請求項1から9までのいずれか一項に記載のプリプレグ。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1から10までのいずれか一項に記載のプリプレグ。テープを含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載のプリプレグ。2から4重量%までのポテト形状の黒鉛を含有している繊維強化硬化性樹脂を含み、この繊維が炭素繊維であるプリプレグ。粒子状強化剤を含有する、請求項13に記載のプリプレグ。航空機部品を製造するための、請求項1から14までのいずれか一項に記載のプリプレグの使用。繊維強化樹脂を含む複合体であって、この繊維が炭素繊維であり、複合体が樹脂に対して2から4重量%までの範囲の導電性粒子を含有しており、導電性粒子がポテト形状の黒鉛からなる、上記複合体。強化剤を含有する、請求項16に記載の複合体。強化剤が熱可塑性粒子である、請求項17に記載の複合体。樹脂に対して5から20重量%までの熱可塑性粒子を含有する、請求項18に記載の複合体。強化剤がポリアミドである、請求項17から19までのいずれか一項に記載の複合体。ポリアミドが140℃と240℃の間の融点を有する、請求項20に記載の複合体。粒子が100ミクロン未満の粒径を有する、請求項17から21までのいずれか一項に記載の複合体。粒径が5から60ミクロンまでの範囲である、請求項22に記載の複合体。45容量%から75容量%までの繊維を含有する、請求項16から23までのいずれか一項に記載の複合体。繊維が破壊されている、請求項16から24までのいずれか一項に記載の複合体。樹脂が硬化エポキシ樹脂である、請求項16から25までのいずれか一項に記載の複合体。航空機部品としての、請求項16から26までのいずれか一項に記載の複合体の使用。部品が胴体の少なくとも一部である、請求項27に記載の使用。炭素繊維を含むプリプレグにおける使用のための硬化性樹脂であって、強化剤と、樹脂に対して2から4重量%までの範囲のポテト形状の黒鉛とを含有する硬化性樹脂。強化剤がポリアミドである、請求項29に記載の硬化性樹脂。樹脂がエポキシ樹脂である、請求項29又は請求項30に記載の硬化性樹脂。エポキシ樹脂と、樹脂に対して5から15重量%の強化剤とを含む、請求項29から31までのいずれか一項に記載の硬化性樹脂。エポキシ樹脂用の硬化剤を含有する、請求項31又は請求項32に記載の硬化性樹脂。

说明书全文

本発明はプリプレグ及び複合材料に関し、特に、繊維強化複合材料の導電率の向上に関する。本発明は、プリプレグの生産に有用な樹脂配合物をさらに提供する。

複合材料は、従来の構造材よりも秀でている十分に立証された長所を有し、特に極めて低い物質密度において優れた機械的特性を提供する。その結果、こうした材料の使用はますます拡大されてきており、その応用分野は、「産業」分野から航空機胴体をはじめとする高性能航空宇宙用部品の分野にまで及んでいる。

エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた繊維配置を含むプリプレグは、こうした複合材料の生産に幅広く使用されている。通常、このようなプリプレグの多数の層は、所望に応じて「レイアップされ」(“laid−up”)、得られた積層体は、通常、高められた温度に暴露することによって硬化され、硬化複合積層体が得られる。プリプレグという用語は、未硬化又は部分的硬化状態であって、いつでも硬化されるようになっている樹脂を含浸させた、繊維及び織物の説明に使用される。繊維は、トウ(tows)又は織物の形態であってもよく、通常、トウは複数の細い繊維を含み、繊維材料は炭素繊維、ガラス又はアラミドであってもよく、本発明は、特に炭素繊維に関する。プリプレグで使用される樹脂の化学組成は、硬化繊維強化材料に必要とされる特性、及び硬化材料が配置予定の用途によって決まる。プリプレグは、通常、繊維材料の移動層上に液状樹脂組成物を積層させ、液状樹脂を繊維材料に圧縮しながら、同時に、繊維材料の表面に樹脂層を形成させることによって製造される。樹脂組成物は、繊維材料の層の一方の面又は両面に塗布することができる。「中間層」(“interlayer”)という用語は、本明細書では、2つの繊維層間の樹脂層を説明するために使用する。

複合材料とは、硬化されたプリプレグ、すなわち、樹脂が硬化され、複合体が、多くの場合、互いの層の上にレイアップされた多数のプリプレグ層の積層体からできているものを説明するために使用する用語である。これによって、樹脂インターリーフ又は樹脂中間層により分離されている繊維配置の積層体構造となる。中間層は、通常、電流導体としては不十分な硬化エポキシ樹脂を含む。繊維、特に炭素繊維はある程度の導電率を有するが、インターリーフ中間層の存在は、積層体の面にのみ導電性が示されることを意味する。積層体の表面に対して直の方向、いわゆる「Z」方向の導電率は低い。

この「Z」方向の導電率の欠如が、落雷被害などの電磁的危険に対する複合積層体の脆弱性の一因になっている。落雷被害は、非常に広範囲にわたって複合材料に損傷をもたらす可能性があり、飛行中に航空機構造に発生した場合、大惨事となり得る。したがって、このことは、こうした複合材料から製造される航空宇宙構造体、特に航空機構造体にとって特に問題である。

さらに、航空宇宙用途で使用するための複合体は、機械的特性についての厳格な基準も満たさなければならない。したがって、導電率におけるいかなる改良も、要求される機械的特性に対して悪影響を及ぼしてはならない。

このような複合材料を落雷被害から保護するために多種多様な技術及び方法が提案されてきた。多くの提案は、複合材料の重量を増加させるという犠牲を払って、導電性成分を付加することに関するものである。

炭素粒子などの導電性粒子を使用して、繊維強化複合体の導電率を高める多くの提案がなされている。例えば、国際公開第2011/027160号;国際公開第2011/114140号及び国際公開第WO2010/150022号はすべて、炭素繊維強化複合体、例えば、炭素繊維強化エポキシ樹脂などの導電率の向上に関するものである。これらは、特に「Z」方向における導電率の向上に関しており、導電性粒子、例えば炭素粒子を熱硬化性樹脂に含有させて導電率を向上させることができるということが、開示されている。さらに、硬化プリプレグを含む複合体の耐衝撃性を改善するために、樹脂は、熱硬化性樹脂、例えばポリアミドなどに不溶性である熱可塑性材料の粒子を含むことができるということが示唆されている。またこれらの参考文献は、処理中の樹脂の流動性を改善するため、熱硬化性樹脂に可溶性である熱可塑性樹脂も包含している。使用され得る可溶性の熱可塑性樹脂の例としては、ポリエーテルスルホン及びポリアミドイミドが挙げられる。

ロシア特許第2263581号に記載されているように、導電性粒子をインターリーフ樹脂層に含有することができることが提案されており、露出されている航空機部品を落雷から保護するためにインターリーフ層に硬質フラライト(fullerite)炭素粒子を使用する。また国際公開第2008/056123号及び国際公開第2011/027160号は、インターリーフ層に導電性粒子を提供し、「Z」方向の導電性を改善している。国際公開第2008/056123号は金属粒子を使用しており、国際公開第2011/027160号は、プリプレグの全樹脂に対して0.3から2.0重量%の濃度の硬質ガラス状炭素粒子を使用している。

米国特許第7931958(B2)号は、プリプレグ系複合体のインターリーフ層に導電性粒子と熱可塑性樹脂粒子の両方を使用する。導電性粒子は「Z」方向の導電性の向上に使用され、熱可塑性樹脂粒子は硬化複合体を強化するという周知の機能を果たす。これらの公知の導電性粒子は高価であり、しかも非常に特殊な材料である。これらは、炭素粒子などの導電性物質又は導電性粒子、例えば、フェノール樹脂から誘導されるベルパール(Bellpearl)C−600、C−800、C−2000、又は炭化し樹脂表面被覆を加えることによって製造される硬質炭素粒子であるニカビーズ(Nicabeads)ICB、PC及びMC(日本カーボン株式会社製)などで被覆された熱可塑性核を有する粒子又は繊維であってもよい。また一般に、金属又は金属被覆導電性粒子も、この目的のために使用されている。しかし、プリプレグへ金属を導入する場合、腐食の影響、爆発の危険性及び材料の熱膨張係数における差の可能性があるため、望ましくないことが確認されている。

米国特許第7931958(B2)号によれば、熱可塑性材料と導電性粒子の全量をプリプレグに対して20重量%以下とし、熱可塑性粒子と導電性粒子との重量の比を1から1000までであるようにしなければならない。粒子は、好ましくは、せいぜい150μmの粒径であり、好ましくは5から30μmまでである。炭素粒子を使用する例の場合、0.4部のベルパールC−2000を、100部の熱硬化性エポキシ樹脂系で19.6部のエポキシ変性ナイロン粒子と一緒に使用すると、比は49.0であり、28×103Ωcmの「Z」方向体積抵抗率が得られる。

「Z」方向への硬化プリプレグ系複合体の導電性を向上させるための別法はPCT公報国際公開第2010/150022号及び国際公開第2011/114140号に開示されているが、この場合、プリプレグ製造工程中に炭素繊維の表面を破壊させる。例えば、樹脂により含浸する前に、繊維トウは研磨面を備えたローラーの上を通過させることができる。これによって、樹脂が繊維に塗布されるときに、繊維トウの表面で隆起又は破壊された小繊維が形成され、インターリーフ中間層へ広がり、次の繊維層上に形成される隆起と接触させることができる。これは、中間層を横切る導電性経路を提供し、それによって「Z」方向の導電率を改善する。

依然として、複合体の機械的特性を保持又は強化しつつ、プリプレグから誘導される複合体の「Z」方向の導電率をさらに向上させる必要性が存在する。本発明によれば、添付の特許請求の範囲のいずれかに定義されたプリプレグ、成形材料、複合体、使用、及びプリプレグの製造に有用な樹脂組成物が提供される。

本発明者らは、ポテト形状の黒鉛(potato shaped graphite:PSG)が繊維強化複合体、特に、炭素繊維強化複合体の導電率の向上に特に有用であることを見出した。

「ポテト形状の黒鉛」という用語は、本明細書では、黒鉛の気孔率又は球形度を高めるように処理された黒鉛を説明するために使用する。その方法は、天然黒鉛(例えば鉱脈黒鉛)又は人工黒鉛(例えば高結晶性合成黒鉛)で実施することができる。黒鉛は、処理の前、一般に、鱗片状(例えば平板状)であるか、比較的結晶化度が高い片状黒鉛である。黒鉛は、ミル加工、圧延加工、粉砕、圧縮、変形加工などにより処理され、その黒鉛を曲げ、折り重ね、形状化し、成型するなどして片状物をほぼ球状にする。この方法は、黒鉛の異方性片状物形態よりも黒鉛の等方性特性を高めることができる。このポテト形状の黒鉛粒子は被覆されていてもよいし、被覆されていなくてもよい。ポテト形状の黒鉛粒子は、通常、炭素の高導電性層を積層する、蒸着によって被覆することができる。PSG粒子は平面の結晶構造を示し得るが、CVD炭素層を非晶質炭素被覆としてこの上に積層させる。炭素被覆は、PSGの特定の電気抵抗率を低下させることができる。またPSG粒子は、当該分野で公知の別のコーティング工程、例えばメタライゼーション又はスパッタリングによって被覆されていてもよい。これら粒子は、いずれかの形態の炭素によって被覆されていてもよく、又は金属若しくはポリマーで被覆されていてもよい。「ポテト形状の黒鉛」という用語は、以下の例で確認することができるように、当該分野で一般的である:「高性能の高純度黒鉛粉末(High−Purity Graphite Powders for High Performance)」、Giovanni Juri, Henri−Albert Wilhelm and Jean L’Heureux, Timcal Ltd. Switzerland, 2007、及び「黒鉛:先端技術提供による研磨仕上げ(Graphite: High−tech Supply Sharpens Up)、Penny Crossley, industrial Minerals, 2000。

「ポテト形状の黒鉛」という用語は、本明細書では、通常、(このような方法により生産されるものであろうと、別の方法(単数又は複数)により生産されるものであろうと、天然で産生されるものであろうとなかろうと)上述の方法によって生産される形状を有する黒鉛を説明するためにも使用される。「ポテト形状の黒鉛」は、一般に、ポテトの形状からほぼ球形までの形状に及ぶ。「ポテト形状の黒鉛」は、通常、細長く、楕円形などであり、楕円形状、卵形状、矩形形状、偏球形状などを有する黒鉛を挙げることができる。「ポテト形状の黒鉛」全体と「ポテト形状の黒鉛」の個々の粒子は両方とも、必ずしも一定の形状を有しておらず、必ずしも対称的形状を有してはいない。本明細書では、「ポテト形状の黒鉛」という用語は、上述の方法によって生産される黒鉛、及びこのパラグラフで説明したような形状を有する黒鉛を包含するものとする。

一般的に、PSGは、次の2つの特性の少なくとも1つを有する:1つは、Logan Instrument Corp. Model Tap−2の名称で販売されている装置に関する方法に従って測定した場合、0.3と1.5g/ccの間、好ましくは0.5と1.4g/ccの間、最も好ましくは1と1.3g/ccの間のタップ密度である。また、Microtac Model X100 Particle Analyzerの名称で販売されている粒子アナライザーに関する方法に従って粒度分析分散(granulometric dispersion)を測定した結果、D90/D10分布比が2と5の間で変動し、粒径が1μmと50μmの間であり、好ましくは、D90/D10分布比が2.2と4.2の間で変動し、粒径が2μmと30μmの間であり、且つ/又は前述の範囲の組み合わせである。

本発明者らは、平均粒径が10から20ミクロン、好ましくは15ミクロンである、日本の日本パワーグラファイト株式会社提供の被覆PSG粒子が、プリプレグの導電率の向上に特に適していることを見出した。通常、被覆PSGは、未被覆PSGよりも硬質の表面と低い比電気抵抗率を有しており、その電気抵抗率は未被覆PSGよりも少なくとも50%低くなり得る。さらに、ドイツのNGS Naturgraphit社から提供されているPSG粒子も本発明で使用するに適している。さらに、上述のものと同様の特性を有する他の供給元の回転楕円状又はそれに近い球状の黒鉛も、本発明で使用するに適している。

したがって、本発明は、繊維強化硬化性樹脂を含むプリプレグであって、プリプレグがポテト形状の黒鉛を含有する、上記プリプレグを提供する。

さらなる実施形態において、本発明は、繊維強化樹脂を含む複合体であって、複合体がポテト形状の黒鉛を含有する、上記複合体を提供する。

さらなる実施形態において、本発明は、ポテト形状の黒鉛を含有する硬化性樹脂を含むこのようなプリプレグ又は複合体の生産に有用な樹脂組成物を提供する。

本発明は、中間層によって分離されている樹脂含浸繊維層を含む組成物に特に有用である。したがって、本発明は、炭素繊維強化エポキシ樹脂の少なくとも2つの層と、それらの間のインターリーフ樹脂層とを含む複合材料であって、前記インターリーフ樹脂層又は中間層が導電性粒子を含む、上記複合材料を提供する。導電性粒子は、ポテト形状の黒鉛を含んでいてもよい。好ましくは、複合材料は、前記導電性粒子を樹脂に対して0.5から10重量%まで、好ましくは1から8重量%まで、さらに好ましくは0.5から5重量%まで、特に1.5から5重量%まで、最も好ましくは2から4重量%まで含有する。

通常、複合材料において、樹脂マトリックスは、繊維材料又は繊維強化材の周囲にそれが存在することにより繊維材料を強化する。本発明の構成において、複合材料の構造の結果、繊維強化材が存在する樹脂の独立層は、繊維強化樹脂層として区別することができ、このような積層構造によって、これらの層は、その間に中間層又はインターリーブを形成する。

本発明の別の実施形態において、導電性粒子の存在は任意選択である。この実施形態において、炭素繊維強化材の少なくとも1つの層は、10から200g/m2まで、好ましくは15から150g/m2までの範囲の重量を有する。有利には、炭素繊維強化材は、国際公開第98/46817号に開示されている織物など、延展織物又は平面状繊維性トウ織物の形態であってもよい。

好ましい実施形態において、樹脂又は樹脂組成物及び/又は中間層は、通常、熱可塑性材料である強化剤(toughener)をさらに含有する。熱可塑性材料は、粒子の形態をしていてもよい。熱可塑性粒子は、樹脂に対して5から20重量%まで、好ましくは樹脂に対して9から15重量%まで、さらに好ましくは、樹脂に対して9から14重量%までの範囲で存在し得る。さらなる好ましい実施形態において、熱可塑性材料はポリアミドである。熱可塑性粒子の適切な例としては、一例として、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタンが挙げられる。ポリアミドは、好ましいタイプの熱可塑性粒子である。ポリアミド粒子は、ポリアミド6(カプロラクタム−PA6)、ポリアミド12(ラウロラクタム−PA12)、ポリアミド11、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリメチルメタクリレート、高密度化ポリエチレンスルホン、又はその任意の組み合わせを挙げることができる。好ましい熱可塑性粒子は、約140℃と240℃の間の融点を有するポリアミド粒子である。粒子は、100ミクロン未満の粒径を有するのが望ましい。粒径は、5から60ミクロンまで、さらに好ましくは10から30ミクロンまでの範囲であるのが好ましい。平均粒径は約20ミクロンであるのが好ましい。

使用することができる適切なポリアミド粒子は次のとおりである:Orgasol 1002 D NAT1(PA6)、Rilsan PA11 P C20HT(PA11)、Ultramid 4350(PA6T)。

本発明において使用される樹脂又は樹脂配合物は、好ましくは、硬化性エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含む。硬化促進剤は、通常、熱活性化され得るが、しかも、通常、硬化サイクル期間を短縮するように樹脂に含まれている。一般的に、配合物は、特定の時間、特定の温度まで加熱することにより硬化される。配合物は、目的の用途に関する所望の硬化温度及び硬化時間を有するように開発されている。配合物の反応性は、特定の温度で保持した場合に特定の硬化度を得るのに必要な時間として測定される。またこの樹脂系は、樹脂の靭性を改善するためのエポキシ樹脂、例えばポリエーテルスルホンに可溶性の熱可塑性材料を含有していてもよい。

複合体を含む完成品の生産において、プリプレグは硬化され、積層体におけるように互いに積層され得るか、或いは、別の材料に積層されてもよい。通常、硬化は、プリプレグを鋳型、オートクレーブ、圧縮又は真空バッグ内で加熱し、エポキシ樹脂を硬化することにより行われる。プリプレグ及びプリプレグ積層体の硬化に使用される硬化サイクルは、温度と時間の均衡であり、樹脂の反応性、及び使用される樹脂と繊維の量を考慮に入れる。経済的な視点から、多くの用途において、サイクル時間はできるだけ短くし、硬化剤と促進剤は、通常、これを達成するよう選択されるのが望ましい。

樹脂の硬化開始に熱が必要であるだけでなく、硬化反応それ自体が非常に発熱性であり得る。樹脂硬化反応の熱放出により積層体内に高温が生じ得る、工業用途用の積層体を生産するケースが増加するにつれて、特にプリプレグの大きく厚い積層体の硬化に関する時間/温度の硬化サイクルを考慮に入れる必要がある。過度の高温は、金型を損傷し、又は樹脂の一部分解の原因となり得るので、回避すべきである。また過度の高温は、樹脂の硬化に対する制御を不能とし、硬化が暴走する可能性がある。

これらの問題に加えて、高温での暴露に対するそれらの抵抗性、及び/又はTgの望ましくない低下の原因となり得る長期間の高湿度を改善することにより、硬化樹脂が高いガラス転移温度(Tg)を有するプレプレグから積層体構造を生産し、構造の有用性を拡大することが望まれている。好ましくは、Tgは150℃から200℃まで、さらに好ましくは160℃から200℃までである。

ポテト形状の黒鉛(PSG)粒子は、米国特許出願公報第2010/0092808号に記載されており、次の特性の少なくとも1つを有する:0.3から1.5g/ccの間のタップ密度、ポテトの形状、D90/D10比が2と5の間で変動するような粒度分析分散、及びMicrotac Model X100粒子アナライザーを使用して測定した場合に1と50μmの間のサイズを有する粒子。破壊繊維が樹脂中間層にもある実施形態においては、繊維と粒子の両方が導電性の向上に寄与するので、炭素粒子のサイズ及び形状はそれほど重要ではない。

さらに、本発明者らは、破壊繊維(disrupted fibers)を使用することにより、所定の導電率の達成に必要とされる導電性粒子がより少量であることを見出した。ポテト形状の黒鉛は、比較的軟質の材料であり、樹脂含浸中に材料を部分的に崩壊させるとともに、さらにその形状と軟性によって、ポテト形状の黒鉛粒子を使用した場合には、樹脂組成物がプリプレグ製造で使用されているローラー表面に損傷を与えるという傾向を低減する。球状又は球状に近い形状であるPSG粒子は、樹脂に対して最低濃度であるPSGで導電性を向上させることができることから好ましい。プリプレグは、0.05から4.5重量%まで、さらに好ましくは0.1から3.0重量%まで、最も好ましくは0.25重量%から1.5重量%までのポテト形状の黒鉛を含有するのが好ましい。

適切なある1つのポテト形状の黒鉛(PSG)は、10から30ミクロンまでの平均粒径を有するSG25/99.95 SCと呼ばれる、ドイツのNGS Naturgraphit社提供の製品である。或いは、10から30ミクロンまでの平均粒径を有するGHDR−15−4と呼ばれる、日本の日本パワーグラファイト株式会社提供のPSGを好ましくは使用することができる。GHDR−15−4は、その外表面上への炭素蒸着によって積層された炭素被覆を含んでいる。さらには、Timrexなどの別の提供元から入手することができる球状又は回転楕円状黒鉛もまた適切である。

一実施形態において、本発明の複合体は、樹脂を含浸させた繊維強化材の2つ以上の個別の層を、それらの間に存在する層であるポテト形状の黒鉛粒子を含む樹脂のインターリーフ層と共に硬化することにより形成させることができる。これらの層は、好ましくは一方向性トウを含み、各層のトウは実質的に平行である。2つの層は、一方向性トウが同一平面にあるように、圧縮により連結されていてもよい。一又は複数のさらなる繊維層もまた、連結層と組み合わせることができる。

本発明のプリプレグは、国際公開第2010/150022号に記載及び例示されている方法によって製造することができる。この方法は、定義した幅を有する一方向性導電性繊維層を供給し、繊維の第1の面とポテト形状の黒鉛を含有する熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1の層を接触させ、一又は複数の含浸ローラーを通過させることにより樹脂と繊維を一緒に圧縮させることを含む。導電性繊維及び樹脂上にかける圧は、好ましくは、導電性繊維の幅1センチメートル当たり40kgを超えない。樹脂は、好ましくは、樹脂が繊維の隙間に入り、かつ、一方向性導電性繊維を実質的に含まない樹脂の第1の外層をそのままにしておくのに十分な量で提供される。この外層は中間層になる。特に一方向性導電性繊維のトウを連続供給し、繊維の面と熱硬化性樹脂を含む樹脂の第1の層を接触させ、少なくとも1つのS−ラップ段階を通過させて樹脂と繊維を一緒に圧縮しながら、繊維の隙間に入りかつ樹脂の第1の外層をそのままにしておくのに十分な樹脂を提供する。

この方法によって生産されるプリプレグは、破壊繊維層を有するように処理することができ、その結果、多数のこのようなプリプレグが一緒に積層される場合、破壊された導電性繊維を含みかつ導電性粒子を含む樹脂のインターリーフ層によって分離されている多数の構造層を含むプリプレグ積層体が生じ、次いで硬化して硬化複合積層体が形成され、優れた強靭特性を維持しつつ、「Z」方向に極めて大きな導電性が得られる。

或いは、インターリーフ・プリプレグは、2段階法で生産することができる。第1段階は、繊維の表面を破壊して破壊繊維を形成させ、隙間に入る樹脂を繊維と接触させ、その後、導電性粒子を含み、任意選択で強化剤粒子を含む別の樹脂と接触させる。この第2段階は、それらの粒状材料を含む樹脂を横たえ、そうすることで、多数のこのようなプリプレグが一緒に積層される場合に、インターリーフ層になる導電性繊維を含まない樹脂の均一な厚みの層を生成することのみを目的とする。

したがって、本発明のプリプレグを製造する好ましい方法は、ローラーによって通常ガイドされる、一連の段階を通して何千もの繊維を通過させることを含む連続法である。通常シート形態の本発明の樹脂又は樹脂組成物に繊維が接触する時点は、含浸の開始段階である。繊維が樹脂と接触し、含浸領域に達する前に、繊維は、通常、多数のトウに配置され、各トウは何千ものフィラメント、例えば12,000本のフィラメントを含む。これらのトウはボビンに装着され、まず梳毛装置に供給され、繊維が均一に確実に離れるようにする。ボビン供給位置直後の繊維張力を通常よりも低くすることにより、最終プリプレグの繊維の破壊にさらなる改良を加えられることがわかった。したがって、この位置でのフィラメント当たりの張力は、好ましくは0.0007から0.025gまでであり、好ましくは0.01から0.015gまでである。

破壊性繊維(disruptive fibers)又は破壊繊維(disrupted fibers)が必要とされる場合には、繊維を研磨ローラーなどの粗面上に通し、インターリーフ層の一部になる破壊性繊維又は破壊繊維を生産することもできる。繊維処理速度及び張力は、所望する破壊の程度が得られるように制御することができる。

本方法において、熱硬化性樹脂を含む樹脂の第2の層は、通常、繊維の別の面と、第1層と同時に接触させ、樹脂が繊維の隙間に入るように、樹脂の第1の層と第2の層を圧縮することができる。こうした方法は、一段階法であると考えられる。その理由は、繊維のそれぞれの面を1つの樹脂層と接触させるものの、最終プリプレグ内の樹脂はすべて一段階で含浸させるからである。

樹脂の含浸は、通常、樹脂及び繊維をローラーに通すことを含むが、ローラーは様々な方法で配置することができる。主要な2つの配置は、単純「ニップ」配置と「S−ラップ」配置である。

S−ラップ段階は、ともにシート形態である樹脂と繊維を、S−ラップローラーとして知られている、「S」字形状の2つの独立した回転ローラーの周りを通過させる。代替のローラー配置は広く使用されている「ニップ」を含み、この場合、繊維と樹脂は、2つの隣接する又は向かい合う回転ローラーの間のピンチポイントをそれらが通過する際に、一緒に締め付けられるか、挟まれる。樹脂及び繊維に誘導される圧力は、所望する繊維の破壊程度が得られるように制御することができる。パラメーター、例えば、ローラー間の離隔距離、速度、ローラーと樹脂及び繊維の間の相対速度、並びにローラーの接触面積などは、所望する(繊維)破壊及び樹脂含浸の程度が達成されるよう変えることができる。

S−ラップは、信頼性があり再現可能な繊維隙間への樹脂の含浸に対して理想的な状態を提供し、一方、十分な破壊も提供すると考えられる。

しかし、例えば、隣接するローラー間のギャップを制御することによって圧力を低く保つことができれば、ニップ段階も可能である。

S−ラップローラー又はニップローラーの複合装置は、各装置で樹脂に加えられる圧力を徐々に高めることによって使用することができる。代表的な方法は、同一生産ラインにおいてS−ラップローラーとニップローラーの装置を組み合わせることもできる。

導電性繊維と樹脂に加えられる圧力は、好ましくは、導電性繊維層の幅1センチメートル当たり35kgを超えず、さらに好ましくは1センチメートル当たり30kgを超えない。

直径が200から400mmまでのローラー、さらに好ましくは220から350mm、最も好ましくは240から300mmまでのローラーが、所望する破壊繊維構造を得るための適切な状態を提供するということがわかった。

例えば、S−ラップ配置における場合、2つのローラーは、それらの中心間のギャップが250から600mmまで、好ましくは280から360mmまで、最も好ましくは300から340mmまで、例えば320mmとなるように間隔をあけるのが好ましい。

隣接する2対のS−ラップローラーは、それぞれのローラーの中心の間が200から1200mmまで、好ましくは300から900mmまで、最も好ましくは700から900mmまで、例えば800mmとなるように離れているのが好ましい。

含浸ローラーは様々な方法で回転させることができる。含浸ローラーは自由回転していてもよいし、又は駆動されていてもよい。駆動の場合、回転速度と、ローラー上を樹脂及び繊維が通過する速度との間に差がないように、含浸ローラーは従来通りに駆動する。時には、含浸又は繊維導電性を促進するために、樹脂及び繊維の通過に対して40%まで、好ましくは30%まで、さらに好ましくは20%まで、よりさらに好ましくは30%まで、最も好ましくは5%までの速度の増加又は低下を適用することが望ましい場合もある。こうした差は、当技術分野では「トリム(trim)」と呼ばれている。

繊維内へ樹脂を含浸させた後、多くの場合、冷却段階と、さらなる処理段階、例えば、積層、切断(slitting)、分離が存在する。

さらなる実施形態において、本発明は、こうした成形材料又は構造体の積層体を提供する。

本発明のプリプレグは、その樹脂含量、並びに/或いはその繊維容量及び樹脂容量、並びに/或いは分吸収試験により測定したその含浸の程度によって特性決定することができる。

未硬化のプリプレグ又は複合体の樹脂及び繊維の含量は、一方向性炭素を含まない繊維材料を含有する成形材料又は構造体について、ISO 11667(方法A)に従って決定される。一方向性炭素繊維材料を含有する未硬化のプリプレグ又は複合体の樹脂及び繊維の含量は、DIN EN 2559A(コードA)に従って決定される。炭素繊維材料を含有する硬化複合体の樹脂及び繊維の含量は、DIN EN 2564Aに従って決定される。

プリプレグ又は複合体の繊維及び樹脂の容量%は、繊維と樹脂の重量%から、樹脂及び炭素繊維のそれぞれの密度でその重量%を割ることによって決定することができる。

樹脂を含浸させたトウ又は繊維材料の含浸率(%)は、水分吸収試験によって測定される。

水分吸収試験は、以下のようにして行われる。プリプレグの6つの細片を100(+/−2)mm×100(+/−2)mmのサイズにカットする。すべての裏材シート材料を除く。試料をほぼ0.001gに秤量する(W1)。15mmのプリプレグ細片がPTFE裏当てプレートアセンブリの一端から突き出て、それによりプリプレグの繊維配向がその突出部分に沿って伸びるように、細片をPTFE裏当てアルミニウムプレートの間に配置する。クランプを反対の末端に置き、5mmの突出部分を、相対湿度50%+/−35%、及び周囲温度23℃で、温度23℃の水に浸漬する。5分間浸漬した後、試料を水から取り出し、外側のすべての水を吸い取り紙で除去する。次いで、試料を再び秤量する(W2)。次いで、水分吸収率WPU(%)を、次式のように6つの試料について測定した重量を平均することによって計算する:WPU(%)=[(

)/

)×100。WPU(%)は、樹脂の含浸の程度(DRI)を示す。

通常、本発明の未硬化プリプレグに関する樹脂の重量含量の値は、プリプレグの15から70重量%まで、プリプレグの18から68重量%まで、プリプレグの20から65重量%まで、プリプレグの25から60重量%まで、プリプレグの25から55重量%まで、プリプレグの25から50重量%まで、プリプレグの25から45重量%まで、プリプレグの25から40重量%まで、プリプレグの25から35重量%まで、プリプレグの25から30重量%まで、プリプレグの30から55重量%まで、プリプレグの32から35重量%まで、プリプレグの35から50重量%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組み合わせである。

通常、本発明の未硬化プリプレグに関する樹脂の容量含量の値は、プリプレグの15から70容量%まで、プリプレグの18から68容量%まで、プリプレグの20から65容量%まで、プリプレグの25から60容量%まで、プリプレグの25から55容量%まで、プリプレグの25から50容量%まで、プリプレグの25から45容量%まで、プリプレグの25から40容量%まで、プリプレグの25から35容量%まで、プリプレグの25から30容量%まで、プリプレグの30から55容量%まで、プリプレグの35から50容量%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組み合わせである。

本発明の未硬化プリプレグ成形材料及びトウに関する水分吸収値は、1から90%まで、5から85%まで、10から80%まで、15から75%まで、15か70%まで、15から60%まで、15から50%まで、15から40%まで、15から35%まで、15から30%まで、20から30%まで、25から30%までの範囲、及び/又は前述の範囲の組み合わせであってもよい。さらなる実施形態において、本発明は、未含浸トウ間の空間に樹脂が浸透するが、少なくとも部分的未含浸のトウ内のフィラメント間の空間はそのままであるように、液状樹脂を完全に含浸させた一方向性繊維トウの層が、乾燥未含浸の一方向性繊維トウの層上及び硬化された構造体上に積層される方法を提供する。支持織布又は支持スクリムは、好ましくは硬化前に、構造の一側面又は両面上に供給することができる。

好ましい実施形態において、トウの内部は、少なくとも部分的に樹脂を含まず、空気を排出する経路又は構造を提供し、その結果、最初からトウ中に存在し得る空気又は液状樹脂による含浸中に導入され得る空気は、樹脂により構造内部に閉じ込められず、プリプレグの製造及び硬化中に排出することができる。樹脂による含浸で、繊維層の第2の側面の一部又は全部の表面に樹脂が担持されていないような場合、空気は、トウの長さに沿って、また繊維層の第2の側面から排出することができる。特には、プリプレグの一面が樹脂で完全に被覆されていない場合に、積層体の形成中にプリプレグの間に閉じ込められた空気が、トウのフィラメント間に空間を提供することによって排出されうる。

本発明のプリプレグは、通常、利用可能なエポキシ樹脂から生産することができ、これは、硬化剤(hardener又はcuring agent)を含有し、任意選択で促進剤を含有していていてもよい。好ましい実施形態において、エポキシ樹脂は、従来の硬化剤、例えば、ジシアンジアミドなどは含まず、また特に、本発明者らは、望ましいプリプレグが、無水物、特にポリカルボン酸無水物;アミン、特に芳香族アミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、特にスルホン及びメチレンビスアニリン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)(M−MIPA)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)(M−CDEA)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチレンアニリン)(M−DEA)、及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、並びに/或いは前述の硬化剤の組み合わせなどの硬化剤の使用によって得ることができることを見出した。好ましい硬化剤は、メチレンビスアニリン及びアミノスルホン、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。使用されるべき硬化剤及びエポキシ樹脂の相対量は、樹脂の反応性、所望する保存期間、所望する処理特性、並びにプリプレグ中の繊維強化材の性質及び量に依存する。

実質的に一定な機械的特性を有する複合体を生産ためには、構造繊維及びエポキシ樹脂を混合し、実質的に均質なプリプレグを提供することが重要である。本発明の好ましいプリプレグは、トウの間に低レベルの空隙を含有する。したがって、プリプレグ及びプリプレグ積層体はそれぞれ、6%未満又は2%未満、さらに好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の水分吸収値を有するのが好ましい。水分吸収試験は、本発明のプリプレグの一方向性トウ間の防水処理又は含浸の程度を決定する。この試験において、プリプレグ材の試験片は、まず秤量され、幅5mmの細片が突出するような方法で2つのプレート間に留める。この配置物を、5分間室温(21℃)で、ウォーターバス中、繊維方向につるす。次いで、試験片をプレートから取り除き、再び秤量し、その重量差が試験片内の含浸の程度に関する値となる。水分吸収量が小さくなるほど、防水処理又は含浸の程度は高くなる。

本発明のプリプレグは、別の複合材料(例えば、本発明によるものであってもよい別のプリプレグ、又はそれ以外のプリプレグであってもよい)とレイアップし、硬化性積層体又はプリプレグ積層体を生産することを意図している。プリプレグは、通常、プリプレグのロールとして生産され、こうした材料のべとつきの性質を考慮して、裏材シートが一般に供給され、ロールが使用場所で広げられるようにする。したがって、好ましくは、本発明によるプリプレグは、外部面上に裏材シートを含み、材料の取り扱い及び/又は材料の巻き上げを容易にすることができる。裏材シートは、ポリオレフィン系材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はそのコポリマーなどを含むことができる。裏材シートはエンボス加工を含んでいてもよい。この加工は、空気排出表面構造を有するプリプレグを提供するという利点がある。空気排出表面構造は、処理中に空気を排出させるエンボス加工された通路(channels)を含んでいる。これは、内部層の空気閉じ込めを予防し、空気排出表面通路を介して内部層の空気が効果的に除去されるため、特に有用である。

本発明のプリプレグの好ましい使用は、テープとしての使用である;このプリプレグは、特に自動テープレイアップ装置について調製された材料のロールとして製造することができる。このプリプレグは、金型中でレイアップされる際に除去される裏材シートを備える。したがって、通常、裏材シートを備えるプリプレグは、直径が20cm未満、好ましくは10cm未満のロールを形成することができるように十分可撓性であるのが好ましい。公知の自動レイアップ装置には、ロールが特定の寸法を満たすことが要求される。例えば、ロールは、±0.5mmの許容範囲内で254mm又は295mmの内径コアに巻かれる。このように、複合材料は、巻き取りが容易でないほどに厚くはないのが好ましい。したがって、通常、複合材料の厚みは0.5から5.0mmまで、好ましくは0.5から4.0mmまで、最も好ましくは1.0から3.0mmまでである。ロールは、標準のプリプレグのテープのサイズにカットすることができるが、そのサイズは、600mm(24インチ)、300mm(12インチ)、150mm(6インチ)、75mm(3インチ)、50mm(2インチ)、25mm(1インチ)、6.34mm(1/4インチ)及び3.18mm(1/8インチ)の幅が挙げられ、±0.050mmの許容範囲内でカットし、次いで、複数の層のテープとしてレイアップされ、硬化される。テープは、航空機部品の生産において、このようにして頻繁に使用される。

本発明のプリプレグは、前述の本発明のエポキシ樹脂成分を繊維材料に含浸させることにより生産される。含浸に使用される樹脂組成物の粘性と条件は、所望する含浸の程度が得られるように選択される。含浸中、導電性粒子を含有し、任意選択で熱可塑性強化粒子を含有する樹脂は、0.1Pa.sから100Pa.sまで、好ましくは6から100Pa.sまで、さらに好ましくは18から80Pa.sまで、さらにより好ましくは20から50Pa.sまでの粘度を有するのが好ましい。含浸率を高めるために、本方法は、樹脂の粘性が低下するような高温で実施することができる。しかし、樹脂の早期硬化が生じるほど十分な長さの時間にわたって、過度に加熱してはならない。したがって、含浸プロセスは、40℃から110℃まで、さらに好ましくは60℃から80℃までの範囲の温度で行うのが好ましい。プリプレグの樹脂含量は、硬化後に構造体が30から40重量%まで、好ましくは31から37重量%まで、さらに好ましくは32から35重量%までの樹脂を含有しているようであるのが好ましい。樹脂及びマルチフィラメント・トウの相対量、含浸のライン速度、樹脂の粘性及びマルチフィラメント・トウの密度は、トウ間の所望する含浸の程度を達成し、繊維を本質的に含まない樹脂のインターリーフ層を提供して強化が得られるように相関させなければならない。

本発明の樹脂組成物及び/又はプリプレグの調製で使用されるエポキシ樹脂は、好ましくは10から1500までの範囲のエポキシ当量重量(EEW)を有し、さらに好ましくは50から500までの範囲のEEWを有する。好ましくは、樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び促進剤又は硬化剤を含む。適切なエポキシ樹脂は、単官能性、二官能性、三官能性及び/又は四官能性のエポキシ樹脂から選択される、2種以上のエポキシ樹脂の混合物を含むことができる。

適切な二官能性エポキシ樹脂としては、例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(任意選択により臭素化されたもの)のジグリシジルエーテル、フェノール及びクレゾールのエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及び複素環グリシジルアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル、又はそれらの任意の組み合わせをベースとしたものが挙げられる。

二官能性エポキシ樹脂は、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はそれらの任意の組み合わせから選択することができる。

適切な三官能性エポキシ樹脂は、例として、フェノール及びクレゾールのエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、ジ脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及び複素環グリシジルアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はそれらの任意の組み合わせをベースとしたものが挙げられる。適切な三官能性エポキシ樹脂は、商品名MY0500及びMY0510(トリグリシジルパラ−アミノフェノール)として、またMY0600及びMY0610(トリグリシジルメタ−アミノフェノール)として、Huntsman Advanced Materials社(モンテー、スイス)から入手することができる。さらに、トリグリシジルメタ−アミノフェノールは、商品名ELM−120として、住友化学株式会社(大阪、日本)から入手することができる。

適切な四官能性エポキシ樹脂としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名Tetrad−Xとして三菱ガス化学株式会社から、またErisys GA−240としてCVC Chemicals社から入手することができる)、及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えば、Huntsman Advanced Materials社のMY0720及びMY0721)が挙げられる。他の適切な多官能性エポキシ樹脂としては、DEN438(Dow Chemicals社、ミッドランド、ミシガン州)、DEN439(Dow Chemicals社)、Araldite ECN1273(Huntsman Advanced Materials社)、MY722(Huntsman Advanced Materials社)及びAraldite ECN1299(Huntsman Advanced Materials社)が挙げられる。

前述の硬化剤は、樹脂が、樹脂に対して10から25重量%まで、好ましくは10から20重量%まで、さらに好ましくは樹脂に対して15から20重量%までの範囲で硬化剤を含有するように、樹脂系に対して存在し得る。

好ましい実施形態において、樹脂は、一又は複数の下記の成分の組み合わせを含むことができる:樹脂の8から34重量%までの範囲のトリグリシジルアミノフェノール形態のベース樹脂成分、樹脂の20から28重量%までの範囲のビスフェノールエポキシ形態のさらなるベース樹脂成分、樹脂の25から35重量%までの範囲のテトラグリシジルアミン形態のさらなるベース樹脂成分、樹脂の10から25重量%までの範囲のポリエーテルスルホン形態の強化剤、樹脂の2から28重量%の範囲のメチル無水物(NMA)又はジアミノジフェニルスルホン形態の硬化剤。樹脂は、樹脂の10から15重量%までの範囲で本明細書に記載のポリアミドをさらに含むことができる。

破壊性繊維又は破壊繊維が本発明で使用される場合、これらの繊維は強化繊維、特に炭素フィラメント・トウから誘導することができ、またこれらの繊維は、炭素繊維層の表面に配置されている導電性フィラメントを提供する。これらのフィラメントは樹脂中間層へ広がり、高温下で硬化した場合に、充填された導電性繊維の硬化構造層と硬化樹脂の中間層とを含む硬化複合材料が生産され、硬化樹脂の中間層は、その中に分散される破壊性繊維を電気導電性粒子と共に含む。

破壊性繊維は、それら自体の間に導電性粒子との電気接点を形成し、それにより、中間層を横断して導電性を提供し、硬化複合材料の「Z」方向の導電性を向上させると考えられる。こうした2つのプリプレグが一緒に積層される場合、1つのプリプレグの樹脂の第1の外層が、別のプリプレグの樹脂の外層が存在するとき、導電性繊維の二層間の樹脂インターリーフ層を形成する。

導電性破壊フィラメントは、導電性繊維の構造層の外層を処理し、一部の強化繊維を破壊して繊維を生成することにより製造することができる。

したがって、第2の態様において、本発明は、導電性繊維のシートを繊維破壊手段へ通すことを含む、プリプレグを生産する方法に関する。これによって、シートの外部面上の一部の繊維又は小繊維が破壊フィラメントとなる。続いて、繊維は本発明の熱硬化性樹脂により含浸され、それによって、構造繊維を含みかつ破壊フィラメントをも含む、シートの外部面に接する樹脂の外層が形成され、この場合、熱硬化性樹脂は導電性粒子をさらに含有する。

導電性粒子は、好ましくは、樹脂中に存在する少なくとも50%の粒子が、20μm以内または10μm以内または5μm以内の樹脂インターリーフ層の厚みのサイズを有するような粒径である。言いかえれば、樹脂インターリーフ層の厚みと導電性粒子のサイズの差は10μm未満である。好ましくは、導電性粒子は、樹脂中に存在する少なくとも50%の粒子が、5μm以内の樹脂層の厚みのサイズを有するような粒径である。樹脂インターリーフ層は鏡検法解析(microscopy analysis)によって測定することができ、当技術分野では周知である。

したがって、少なくとも50%の導電性粒子のサイズは、それらの粒子がインターリーフの厚みを横切って橋渡すような状態であり、粒子は、樹脂層の周りに配置されている上部の繊維強化材層と下部の繊維強化材層に接している。

破壊手段は、外部面で繊維を処理しフィラメントにするが、これは遊離フィラメントであってもよいし、ベースの炭素繊維に付着したままのものであってもよい。「遊離フィラメント」(“free filaments”)という用語は、物理的又は化学的に別の実体に結合されておらず、本質的に可動性のフィラメントを意味する。こうして形成された遊離フィラメントは、別の繊維にも接着されておらず、自由に動くことができる。

例えば、通常、遊離繊維は、平均の長さが2.0cm未満、好ましくは1.0cm未満、さらに好ましくは0.5cm未満の長さの分布を有する。

破壊手段は、構造繊維がどのように配置されているかに応じて、多様な方法で、例えば、構造繊維間の付着点を破壊し、より短い長さまで構造繊維を破壊することによって、或いはループ形成、又はフィラメントの遊離末端を中間層へ移動させることができる個別の破壊によって、破壊フィラメントを形成することができる。

したがって、本発明は、毛羽立ち繊維または破壊繊維を積極的に生成することを含み得る。参照によって援用される国際公開第2011/114140号に開示されているように、好ましい実施形態において、導電性繊維は一方向性繊維であり、破壊手段は繊維を摩耗面に通し、それにより、摩耗面に接して通過する外部面上の一部の繊維には破壊を発生させながら、摩耗面に接していない繊維は未破壊のままにする。

少なくとも一つの位置にある繊維の0.5から5.0重量%までを破壊すると、良好な結果が得られることがわかった。

上述のように、一方向性繊維シートは、通常、多数の繊維のトウから形成され、これは樹脂による含浸の前に、広げられ相互に一体化される。これを達成する通常の方法は、複数の連続する延展機バー又はローラーに繊維を通過させるものである。

したがって、摩耗面を既存の延展機バー配置に組み込むと都合がよい。このため、好ましい実施形態において、摩耗面は延展機バーの表面である。

さらに、摩耗面延展機バーが延展機バーの並びの後方に配置される場合、導電性がさらに改良され得ることがわかった。したがって、好ましくは、摩耗面延展機バーは、延展機バーの並びの最後の3つに、好ましくは最後の2つに存在し、最も好ましくは、最後の延展機バーである。

摩耗面は、任意の適切な材料、例えば、金属又はセラミックなどから製造することができるが、好ましくは炭化タングステンである。

好ましい実施形態において、本方法は、導電性繊維のシートを第2の繊維破壊手段へ通させ、シートの別の外部面上の繊維の一部を遊離繊維とすることを含む。

したがって、少なくとも2つの延展機バーは摩耗面を含んでいてもよく、それぞれが導電性繊維のシートのそれぞれの外部面と接触する。

しかし、摩耗面の粗度は重要なパラメーターであり、したがって、摩耗面が少なくとも1.5マイクロメートル、さらに好ましくは少なくとも2.5マイクロメートルのRa粗度を有するのが好ましいことが分かった。

別の重要な要因は、表面上の繊維の相対移動速度である。好ましくは、相対移動速度は2から20m/分までである。

外部面の一面又は両面上に遊離繊維を含む導電性繊維のシートが作製されたら、次の段階は、前述のような樹脂含浸である。

良好な機械的特性は、一般に、構造繊維を含まず、且つ樹脂に不溶性である熱可塑性粒子などの強化材料を含有する中間層の存在によるものである。しかし、これらの従来の中間層は「Z」方向導電率が低いという一因となっている。その理由は、従来の中間層が導電性繊維の隣接層の間に空間を生じるからである。本発明は、破壊性繊維を提供し、且つ樹脂に導電性粒子を供給することによって、中間層により得られる良好な機械的性能に影響を及ぼすことなく、この問題を解消する。したがって、本発明は、含浸工程が一段階法又は二段階法であるならば、同様に適用可能である。

追加の粒状強化材料が本発明の樹脂組成物に含まれる好ましい実施形態において、その追加の強化材料は様々な材料であってよい。

追加の強化材料がポリマーである場合、その材料は、マトリックス樹脂、通常、室温で、及び樹脂を硬化させる高温でのエポキシ樹脂に不溶性であることが望ましい。熱可塑性ポリマーの融点に応じて、それは高温における樹脂の硬化中に様々な程度に溶解又は軟化され、硬化積層体が冷却されるにつれて、再度固化してよい。適切な熱可塑性物質は樹脂に溶解しないことが望ましく、ポリアミド(PAS)及びポリエーテルイミド(PEI)などの熱可塑性物質が挙げられる。ナイロン6(PA6)及びナイロン12(PA12)及びナイロン11(PA11)などのポリアミド並びに/或いはその混合物が好ましい。

強化繊維は、合成若しくは天然の繊維、又は本発明の樹脂組成物と組み合わせて複合製品を形成する、いずれか別の形態の材料若しくは材料の組み合わせであってもよい。強化織物は、解かれた繊維のスプールによってか、又は織物のロールから提供することができる。具体的な繊維は、ガラス、炭素、黒鉛、ホウ素、セラミック及びアラミドが挙げられる。好ましい繊維は炭素及びガラス繊維であり、特に炭素繊維である。ハイブリッド又は混合繊維系も考えられる。亀裂の入った(すなわち、延伸破壊された)繊維若しくは選択的に非連続の繊維を利用すると、本発明による製品の積層が促進され、その成形能力を改善するのに有利であり得る。一方向性繊維配列が好ましいが、別の形態を使用することもできる。典型的な織物形態としては、単純な織物、ニット生地、ツイル生地及びサテン織が挙げられる。また、不織布の繊維層又は非捲縮繊維層を使用することも考えられる。繊維強化材内の繊維フィラメントの表面質量は、一般に80から4000g/m2、好ましくは100から2500g/m2、特に好ましくは150から2000g/m2である。フィラメントはトウに配置される。トウ当たりの炭素フィラメントの数は、3000から320,000本まで、さらに好ましくは6,000から160,000本まで、最も好ましくは12,000から48,000本までで変わり得る。繊維ガラス強化材については、600から2400テックスの繊維が特に適している。プリプレグ及び複合体が航空宇宙の部品で使用される場合、炭素繊維が好ましい。

トウは、延展して、通常、10から200g/m2(gsm)まで、好ましくは15から150g/m2まで、さらに好ましくは20から100g/m2まで、若しくは30から80g/m2までの範囲、及び/又は前記の範囲の組み合わせの重量を有する軽量強化材を形成させることができる。一又は複数の樹脂層は、この軽量織物を含有することにより強化され得る。軽量強化材は、炭素強化材を含んでいてもよい。別の樹脂層は、上記のようなより重い面積重量の炭素強化材を含有していてもよい。

有利には、炭素繊維強化材は、国際公開第98/46817号に開示されている織物などのスプレッドファブリック又はフラットファイバートウ織物の形態をしていてもよい。こうしたスプレッド織物の例としては、東レ株式会社(Toray)によって提供されているT700炭素繊維から得られる268gsm、194gsm、134gsm及び75gsmがある。或いは、市販の織物、例えば、Chomarat社によって提供されている同じT700繊維から得られる、多軸型非捲縮織物(NCF) C−Ply 268gsm(2×134gsm、0+/−45)、C−Ply 150(2×75)0/20/0/25;又は、Oxeon SE社によって提供されている同じT700繊維から得られる、Textreme 160(2×80gsm plies 0/90)、若しくはTextreme 160(2×80gsm plies 0/90)である。

スプレッドトウファブリック及びテープは、HS(高強度)、IM(中間弾性率)及びHM(高弾性率)の炭素繊維、並びに別のタイプの高性能繊維を使用して生産することもできる。スプレッドトウ炭素一方向性材料は、次の繊維のタイプ及び重量で利用することができる:中間弾性率炭素>21gsm、高強度炭素>40gsm、高弾性率炭素>65gsm、重質トウ(heavy tow)(>48kフィラメント)>100gsm。

スプレッドトウ炭素繊維は、次の繊維のタイプ及び重量で利用することができる。高強度炭素繊維に関しては:(12kフィラメントから)80gsm、160gsm及び240gsm、(15kフィラメントから)100gsm、(24kフィラメントから)160gsm及び320gsm並びに重質トウに関しては、200gsm以上。中間弾性率炭素繊維に関しては:(12kフィラメントから)43gsm、(18kフィラメントから)76及び152gsm、(24kフィラメントから)82gsm及び164gsm。高弾性率炭素繊維に関しては:12kから130gsm。繊維角度は単方向から0/90及び45/45ファブリックの範囲であってもよい。代替角度は、+45/−45、+30/−60、+50/−25などを使用することができる。

炭素強化材が軽量である炭素強化樹脂層を組み合わせて形成することができるインターリーブ又は中間層は、より重い炭素繊維強化材を含有する樹脂層のインターリーブとは異なり得る。

インターリーブは10から45μmまで、好ましくは15から35μmまでの範囲の厚さを有してよい。

インターリーブ中に存在し得る粒子は、15から30μmまで、好ましくは15から25μmまでの範囲の粒径であってもよい。粒子は、強化剤、導電性粒子及び/又は前記の粒子の組み合わせを含むことができる。

一方向性繊維トウの具体的な層は、Hexcel社から入手できるHexTow(登録商標)炭素繊維から製造される。一方向性繊維トウの製造での使用に適切なHexTow(登録商標)炭素繊維は次のものが挙げられる:IM7炭素繊維、これは6,000本又は12,000本のフィラメントを含有し、それぞれ0.223g/m及び0.446g/mの重量を有するトウとして利用できる;IM8−IM10炭素繊維、これは12,000本のフィラメントと、0.446g/mから0.324g/mまでの重量を有するトウとして利用できる;及びAS7炭素繊維、これは12,000本のフィラメントと、0.800g/mの重量を有するトウとして利用でき、80,000本又は50,000本(50K)以下のフィラメントを含有するトウは、東レ株式会社から入手できる約25,000本のフィラメントを含有するものや、Zoltek社から入手できる約50,000本のフィラメントを含有するものなどを使用することができる。トウの幅は、通常3から7mmまでであり、含浸にあたって、トウを保持し、トウを平行且つ一方向性に保つために、コームを採用した設備に供給される。

作製されたら、プリプレグは、一定期間保存できるように巻き上げられる。その後、プリプレグは広げられ、所望によりカットされ、任意選択で、別のプリプレグとレイアップして、金型又は真空バッグ中でプリプレグ積層体を形成することができ、これは次いで成形及び硬化される。

作製されたら、プリプレグ又はプリプレグ積層体は高温に暴露し、任意選択で高い圧力に暴露することによって硬化され、硬化複合積層体が得られる。上述のように、本発明のプリプレグは、オートクレーブ法に伴う高圧を必要とすることなく、優れた機械的特性を提供することができる。

したがって、さらなる態様において、本発明は、熱硬化性樹脂組成物の硬化を誘導するのに十分な温度にプリプレグ又はプリプレグ積層体を暴露し、好ましくは10絶対バール未満または7絶対バール未満または3.0絶対バール未満の圧力で実施することを含む、本明細書に記載のプリプレグ又はプリプレグの積層体内の熱硬化性樹脂を硬化する方法に関する。

硬化方法は、10絶対バール未満または7絶対バール未満または3.0絶対バール未満または2.0絶対バール未満、好ましくは1絶対バール未満の圧力で行うことができる。特に好ましい実施形態において、圧力は大気圧未満である。硬化方法は、所望する程度へ熱硬化性樹脂組成物を硬化するのに十分な時間、150から260℃まで、好ましくは180から220℃まで、さらに好ましくは160から210℃までの範囲において、一又は複数の温度で実施することができる。

大気圧付近の圧力での硬化は、いわゆる減圧バッグ技術によって行うことができる。これは、気密バッグにプリプレグ又はプリプレグ積層体を入れ、バッグ内部を真空にすることを含む。これは、使用される真空の程度に応じて、プリプレグ積層体が大気圧以下の圧密圧力を受ける効果がある。また減圧バッグ技術は、オートクレーブ内で使用することができる。

硬化されると、プリプレグ又はプリプレグ積層体は、構造体用途、例えば、航空宇宙構造体での使用に好適な複合積層体になる。

こうした複合積層体は、45容量%から75容量%(繊維体積分率)まで、好ましくは55容量%から70容量%まで、さらに好ましくは60容量%から68容量%までの構造繊維を含むことができる(DIN EN 2564A)。

本発明のプリプレグから生産される積層体は、積層体の硬化試料の断面(5cm間隔)の30×40mmについて、一定間隔で配置された20個の断面の顕微鏡分析により測定した場合に、積層体の全容積に対して1容量%未満の空隙、又は0.7容量%未満の空隙、通常0.1容量%未満、特に0.05容量%未満の空隙を含有しているのが好ましい。

本発明で使用される軽量層特有の特性により、脱オートクレーブ法(out−of−autoclave process)でこうした層を使用して、積層体を硬化させることが可能になる。比較的低圧且つ低コストのこの硬化方法を使用することができる。その理由は、硬化積層体の損傷許容性(例えば、衝撃後圧縮−CAI)は、実質的に、高圧力及び高コストのオートクレーブを使用した場合に生じる損傷許容性よりも小さくないからである。反対に、不溶性熱可塑性粒子で強化されたインターリーフゾーンを有する積層体の脱オートクレーブ法の硬化は、損傷許容性が有意に低減した硬化積層体をもたらす。

本出願の範囲内では、「Z」方向の複合積層体の導電率は、下記の方法によって測定される。

後続層の繊維配向が0/90であるように、パネルを複数の一方向プレプレグ層から作製する。このパネルを、0.7MPaの圧力下で2時間、180℃の温度でオートクレーブ硬化により硬化し、サイズが300mm×300mm×3mmの硬化パネルを形成させる。その後、サイズが40mm×40mm×3mmとなるように、試験用の試料(4個)をパネルからカットする。試料の正方形面は、リニッシャー(Linisher)装置で研磨され、炭素繊維を露出させる。過剰の研磨は、第1の層を超えて第1の積層体内層(intralaminar layer)へ入り込むので避ける。次いで、正方形面を金属、例えば金ではサーマルスパッタリング装置によって約30nm厚まで、スズ亜鉛ではアーク噴霧装置により少なくとも10マイクロメートル厚まで被覆する。試料の側面の金属はすべて、試験前に研磨して除去する。

試料の各側面は銅ブレード又は銅線と接触させ、金属めっき面を対角線上に横切って延びている電極を形成する。電圧及び電流の両方を変化させることができる電源(TTz EL302Pプログラム可能30V/2A電源ユニット、Thurlby Thandar Instruments社、ケンブリッジ、英国)を使用し、抵抗を判定する。1サンプル当たり2個又は4個の電極を使用することが可能であるが、再現可能なことから後者が好ましい。電源を電極と接触させ、クランプを使用して適所に保持する。クランプには非電導性の被覆材又は層を施してあり、1つのブレードから別のブレードへの電気的な経路を遮断する。1アンペアの電流を使用し、電圧を記録する。次いで、オームの法則を使用し、抵抗を計算することができる(R=V/I)。試験は、カットしたそれぞれの試料で実施し、値の範囲を得る。試験に対する信頼性を確実にするため、各試料についてそれぞれ2回試験する。測定を確認するため、電気抵抗率もFlux Multimeterを使用し、一方の電極を一めっき面に配置し、別の電極を反対のめっき面に配置することによって測定する。

計算された抵抗[Ohm]から、導電性[Siemens]は、導電性(σ)=試料の厚み(t)/抵抗(R)×試料の面積(A)として計算される。クロスプライ導電性(cross ply conductivity)は、導電性値を積層体の厚み(3mm)で割ることにより、したがって、厚み導電性=σ/厚みによって計算される。

図1は、本発明のプリプレグの製造に使用され得る方法の概略図である。

図2は、本発明のプリプレグの製造に使用され得る別の方法の概略図である。

図1を参照すると、本方法は、右から左へと進み、370スプールの炭素繊維トウを支えることができるクリールユニット8から始まり、各トウは12,000本の個別の炭素フィラメントを有する。クリール上の繊維ボビンはそれぞれ、ストラップとスプリングの配置によって伸ばされ、均一なトウに、機械に対するトウ繊維の張力が得られる。繊維のトウは、クリールからコームまで通過する。トウ繊維がコームに入る前に、それぞれのトウの張力の測定値が図1の位置10で得られる。それぞれの12k炭素繊維トウの張力は、携帯型の繊維張力計を用いてここで測定される。ストラップとスプリング・アセンブリからのクリール上での繊維破壊の負荷は制御され、このポイントで約160g/トウの繊維の張力を提供する。

ランダム選択したこの方法のそれぞれの織物からの10のトウを品質管理のために測定し、名目上の繊維トウの張力が、好ましくは160g/トウのそれぞれのトウ張力であることを確認する。その後、繊維トウはコーム12を通過する。繊維コームは炭素繊維トウが分かれるように作用し、繊維延展バー区画へそれらを配列させ、繊維全体の織物幅を制御し、プリプレグ繊維の面積重量が所望する許容範囲内にあるようにする。次いで、繊維トウは、炭素繊維に対する包括的な全般的張力を測定する荷重測定装置ローラー14を通過させる。その後、繊維は延展機バー16を通過する。これらのバーは繊維の張力と延展を制御し、それらがピンチポイント22で樹脂被覆フィルムと接触する前に、繊維の最終的な張力と配列を制御する。

ピンチポイント22を形成している2本のバーはロックされているため、これらのバーは回転せず、この前の別のバーは回転する。第1の延展機バー16は、延展機バー系に入って来る全般的な包括的繊維張力をモニターする荷重測定装置ローラーである。繊維トウは、本発明の樹脂組成物による含浸に向けて、赤外線ヒーター(図示せず)によってこの延展機バー区分内で加熱される。赤外線ヒーターは、良好な繊維含浸を促進するためにサイジングした繊維を柔らかくする。繊維サイジングは、繊維の取り扱いを容易にするために製造のあるポイントで炭素繊維に塗布されるエポキシ溶液であるが、ある場合には、サイジングは繊維の延展及び含浸を限定することができる。

2本の事前被膜樹脂フィルムロールが、1つがプリプレグ織物の上方18に、1つがプリプレグ織物の下方20にある、プリプレグ機械巻き出しに装填される。これらのフィルムロールは、上方フィルム巻き出し18と下方フィルム巻き出し20により供給される樹脂を提供する。樹脂と繊維は、ピンチポイント22で出会う。このポイントでは含浸はほとんど生じない。

事前被膜樹脂フィルムは、この268繊維の面積重量製品について名目的に69gsmであり、34重量%の樹脂含量が最終製品で得られるようにする。樹脂は、スーパーカレンダー処理した両面差分値(differential value)シリコーン剥離紙の右面上に被覆される。巻き出し18及び20でのフィルムロール破壊張力は制御され、高温S−ラップ含浸区域24及び28を通して、しわのないプリプレグ織物が得られるように最終的な繊維織物張力と一致させる。

次いで、樹脂及び繊維は、第1のS−ラップ圧縮機24を通過させ、その後、さらに加熱するための別の赤外線加熱段階26を通過させる。プリプレグは120から130℃までIRヒーター下で加熱され、樹脂を12k炭素繊維トウの構造繊維層へ含浸するために、図1に示したとおり、織物が第2、第3及び第4の加熱S−ラップロール装置に入る前に、樹脂粘度を低下させる。本方法のこの段階では、IRヒーター26の後に、樹脂は、繊維へ含浸させるのに十分な低い粘度を有する。

樹脂と繊維は、さらに3つのS−ラップ圧縮機28を通過する。ここでは、含浸が生じ、信頼性があり十分な含浸を得た破壊繊維層が製造される。これらのS−ラップ装置は、135から140℃に加熱され、直径が270mmであり、分かれてそれらの間に350から450mmのギャップを形成する。

これらのローラーの回転速度は制御され、織物のラップ力を高めるようにし、これらの力がプリプレグ織物に作用して構造繊維層を破壊し、樹脂の炭素繊維への流入を高めて良好な含浸が得られるようにする。低い抵抗値のためには、S−ラップのラップ力による構造繊維層の破壊が必要とされ、また、顧客のプロセスでの自動化されたプリプレグテープの敷設作業における成功のためには、含浸が必要とされることが分かった。

次いで、繊維と樹脂は冷却プレート30を通る。プリプレグ織物をこの冷却プレート上で冷却してプリプレグを20から22℃に冷やし、それによって、ここには示さないが、当業者には公知である、冷却プレートに続くさらなる従来のプリプレグプロセス段階を行う前に、プロセスペーパーを取り除くことができる。本発明者らは、下記の実施例に関して、図2の方法(方法2)を論じる。

以下の例において、プリプレグは、それぞれ、方法1及び方法2に対応する図1及び図2に示した2つの異なる方法を使用して作製した。繊維トウを保持する多数のスプールを含有するクリール100(又は図1の8)から繊維トウが供給されるのは両方法に共通である。各繊維トウは、それぞれ直径が約5ミクロンである多数の炭素繊維フィラメント(12000本のフィラメント)を含有する。トウは、延展機バー上にトウを送ることにより延展される。延展機バーは、表面が平滑な(表面粗度が0.1ミクロン未満)円筒状のバーである。繊維の張力と、バーを超える繊維トウの経路によって、繊維トウは平坦になり、延展される。延展機バーは、繊維トウを平坦にして延展するために幅広く使用されている。

延展機バーに続き、繊維は、本発明の樹脂薄膜104(又は図1の18及び22)を両面に含浸させた。樹脂フィルムは熱可塑性粒子(PA6又はPA11)を含有し、本発明の実施例の樹脂も導電性粒子を含有していた。含浸の第1の段階は両方法に共通であり、それにより、繊維と樹脂はS−形状圧縮機(S−ラップ)106(又は図1の24)を超えて、さらに赤外線加熱チャンバー107(又は図1の26)を通って通過した。樹脂の加熱によって、樹脂が繊維に流れ込むのを容易にした。含浸の残りのステップは、図1又は図2に示した方法のいずれかによって実施した。

図2は、本明細書では方法2と呼ばれるが、樹脂と繊維は、3つのニップローラー(3N)110を通過し、これによってコンパクト化され、さらに、樹脂が繊維内へと圧縮された。図1は、本明細書では方法1と呼ばれるが、樹脂と繊維は3のさらなるS−ラップ(28)を通過し、これによってコンパクト化され、さらに、樹脂が繊維内へと圧縮された。その後、含浸させた繊維は、冷却プレート112(又は図1の30)によって冷却された。

このステップの後、裏材ペーパーが巻き出され(114)、プリプレグはポリエチレン裏材116で裏当てされる(図1には示さず)。

本発明の製品は、熱可塑性粒子と共に導電性粒子を含有する。製品は、未硬化の熱硬化性樹脂と、及び面積重量が268g/m2の炭素繊維を含有しているプリプレグである。熱硬化性樹脂は、三官能性エポキシ樹脂(Huntsman社製)、ビスフェノール−Fエポキシ、及び4,4’DDS硬化剤の混合物を含有する。樹脂は、熱硬化性樹脂に溶解される、ポリエーテルスルホン(PES)の形態の熱可塑性添加剤を含有する。さらに、製品は、PA6(ナイロン6)又はPA11(ナイロン11)などのポリアミドの形態の熱可塑性粒子を、樹脂に対して9.5から13.5重量%までの濃度で含有する。熱可塑性粒子の体積平均直径は、Coulter測定(レーザー回析分析)によって判定した場合に20ミクロンである。

実施例では、繊維が平滑であるか破壊されている系での「Z」方向導電性及び機械的性能を比較し、また、樹脂層の一方の側面の繊維床の「破壊」を顕微鏡写真から把握することができる。プリプレグ層が一緒に積層される場合、中間層が形成される。導電性繊維成分は、破壊された繊維フィラメント、及び/又は樹脂による繊維トウの含浸中に加えられた力によって置き換えられた繊維フィラメントを含むと思われる。

プリプレグの積層は、0/90配置である。諸例における抵抗性及び導電性は以下のようにして測定した。

複合積層体の導電性試験方法 導電性は、試料を金属で被覆し、試料に電極を連結することにより測定される。本発明者らは、得られる値が使用する金属、及び金属被覆厚に応じて変化するため、測定は、同一金属を用いた試料で行い、実質的に同じ厚みの金属層を設けなければならないことを理解している。

パネルは、サイズが300mm×300mm×3mmのオートクレーブ硬化により作製する。パネルの積層は0/90である。次いで、40mm×40mmの試験用試料(通常4個)をパネルからカットする。試料の正方形の面は、研磨して(例えば、リニッシャー(Linisher)装置で)、炭素繊維を露出させるものとする。硬化時に剥離層を用いる場合には、これは必要ない。過度の研磨は、これが第1の層を越えて侵入するので、回避するものとする。次いで、正方形の面は、導電性金属で、スパッターによる金の薄い層(約30nm)(技術1)又はアーク噴霧により塗布されるスズ−亜鉛(70:30)の120ミクロンの厚い層(技術2)で被覆される。試料の側面の金又はスズ亜鉛はすべて、試験前に研磨することにより除去するものとする。金属被覆は、接触抵抗を確実に低くするために必要である。スズ亜鉛アーク噴霧技術が好ましい。その理由は、本発明者らは、金のスパッタリングによって被覆され、本明細書に記載のように導電性について試験した試料とは対照的に、結果に大幅な変動があるという知見を得たからである。

電圧と電流の両方を変化させることができる電源(TTi EL302Pプログラマブル30V/2A電源ユニット、Thurlby Thandar Instruments社、ケンブリッジ、英国)を用いて抵抗を測定する。試料を電源の電極(スズめっき銅ブレード)と接触させ、クランプを用いて所定の位置に保持する(誤った結果を示すため、電極が互いに接触したり、他の金属表面に接触したりしないことを確認する)。試料当たり2個又は4個の電極を使用したが、より再現可能なことから後者が好ましかった。クランプが非導電性コーティング又は層を有することを確認し、1つのブレードから他のブレードへの電気経路を遮断する。1アンペアの電流を使用し、電圧を記録する。次いで、オームの法則を使用し、抵抗を計算することができる(V/I)。カットしたそれぞれの試料について試験を実施し、値の範囲を得る。各試料を2回試験する。測定を確認するため、さらに、電気抵抗率もFlux Multimeterを使用し、一方の電極を一めっき面に配置し、別の電極を反対のめっき面に配置することによって測定する。抵抗(R)から、導電性値は本明細書で前述したように計算することができる。

(例1) 本発明の未硬化熱硬化性樹脂組成物と面積重量268g/m2の炭素IM7繊維を含有するプリプレグは、実験パイロットプリプレグラインで調製した。熱硬化性樹脂は、三官能性エポキシ樹脂(Huntsman社製)、ビスフェノール−Fエポキシ及び44DDS硬化剤の混合物を含有していた。樹脂は、熱硬化性樹脂に溶解させた、ポリエーテルスルホン(PES)の形態の熱可塑性添加剤を含有していた。さらに、製品は、調製された熱硬化性樹脂(これはまた添加剤粒子も含有している)の全重量に対して13.5重量%の濃度で、ポリアミドPA6(ナイロン6)の形態の熱可塑性粒子を含有していた。熱可塑性粒子の体積平均直径は、Coulter測定(レーザー回析分析)によって判定した場合に20ミクロンであった。プリプレグは、上述した方法1に従って生産した。本発明者らは、この材料のZ方向導電率が1〜6S/mの範囲にあることを観察した。

(例1a) この製品は、実施例1と組成が同一のプリプレグである。しかし、この製品は、2本の粗面延展機バー(RSB)と、さらなる平滑繊維延展バー(NFS)により繊維トウを折り重ねるステップを含む方法によって生産される。粗面延展機バーは、粗度が約0.1ミクロンである平滑延展機バーに対して、表面の粗度が4ミクロンである。繊維を含浸ラインに供給する前に、繊維トウは、繊維層内に波状の表面を形成する延展機バーの周囲のNFSパターンにおいて、粗面延展機バーを含む延展機バー配置を通過させる。繊維延展の後に、一方向性繊維トウは、ニップローラー間にそれが供給された場合に、繊維の一方の側面で2つの樹脂フィルムによって含浸される。この材料の「Z」方向導電率は、4〜15S/mの範囲にあり、硬化された疑似等方性積層物の顕微鏡写真から観察されるように、繊維は破壊されている。

(例1b) プリプレグは、例1、1aの方法と同様の方法で生産した。ただし、今回は、導電性粒子も例1、1aのプリプレグに加えた。

得られた製品は、熱硬化性樹脂に対して13.5重量%の濃度でポリアミド6(PA6)の形態の熱可塑性粒子を含有していた。この樹脂はさらに、Beckman Coulterを使用するCoulter測定によって判定した場合に、体積平均直径が15又は30ミクロンのガラス状炭素粒子(CMS)を含有していた。粒子の濃度は1重量%から3重量%まで変化した。

炭素ミクロスフィア(CMS)は、ドイツのHTW Hochtemperatur−Werkstoffe社から提供された。これらは、Beckman Coulterで判定した場合に平均粒径が15ミクロンであるSigradur G(10−20)と呼ばれ、また平均粒径が30ミクロンであるSigradur G(20−50)と呼ばれている。

得られた導電率は、樹脂に対して0.5〜3.0重量%の添加範囲で5.0〜12.1S/mの間であった。結果を以下の表1に示す。

CMSは導電性粒子を含まない標準プリプレグよりも導電性を向上させたが、その使用により被覆ローラーに傷をつけることがわかった。

(例2) 実施例1bで使用したCMSを、ドイツのNGS Naturgraphit社から入手した平均粒径20μmのポテト形状の黒鉛(PSG)、SG25/99.95SCと置き換え、以下の結果を得た。

実施例2のプリプレグはすべて、実施例1、1aの方法と同様の方法で調製した。

追加例 異なる量の導電性粒子を含むプリプレグ(20m×0.3m)は、実施例1、1a、1bで使用したパイロットプリプレグラインで、一方向性炭素繊維の連続層を供給し、導電性粒子と熱可塑性強化剤粒子(Arkema製のRilsan PA11又はOrgasol PA6)を含有する硬化性樹脂の2つの層と接触させることにより、いわゆるツーフィルム方法で製造した。

ポテト形状の黒鉛(PSG)はドイツのNGS Naturgraphit社から提供された。これらは、SG25/99.95SCと呼ばれ、平均粒径が20ミクロンである。別のPSGは、日本の日本パワーグラファイト株式会社から提供されており、GHDR−15−4と呼ばれている。

平面状黒鉛はスイスのTimcal Ltd社から提供されており、Timrex SFG44及びTimrex KS44と呼ばれている。これらの粒子は、平均粒径が22ミクロンである。別の平面状黒鉛はドイツのGraphit Kropfmuhl社から提供されており、SGA20Mと呼ばれ、平均粒径が20ミクロンである。

プリプレグは、268gsmの面積重量でIMA炭素繊維を使用して作製した。抵抗パネルについては、12層積層体を0/90レイアップを使用して製造し、圧力3バールのオートクレーブで2時間180℃にて硬化した。

プリプレグは、方法1又は方法2によって作製した。方法1で作製したプリプレグは、導電性粒子を含有して調製され、ここで、炭素繊維と樹脂にかけられた圧力は、炭素繊維層の幅のセンチメートル当たり40kgを超えなかった。この場合、図2の2フィルムニップ法(方法2)によって調製されたプリプレグと比較した場合、繊維の破壊はそれほど激しいものではなかった。さらに、比較のため、導電性粒子を含有しないが、炭素トウに粗面延展機バー(RSB)を使用し、方法2を使用することにより、プリプレグを作製した。さらに、比較のため、方法2によって作製されるプリプレグを「平面状」導電性粒子を含有させて調製した。

(例3) この製品は、未硬化熱硬化性樹脂及び炭素繊維IMAを含有するパイロットプリプレグライン上で生産されたプリプレグである。繊維の面積重量は268g/m2であった。さらに、製品は、熱硬化性樹脂に対して13.5重量%の濃度でPA11の形態の熱可塑性粒子を含有していた。

製品は方法2により生産した。

含浸繊維を加熱し、樹脂フィルムの繊維への流れを改善した。次に、含浸繊維を1セットの「Sラップローラー」に通し、一方向性繊維を配列させ、プリプレグ材の均質性と含浸をさらに促進する。次に、繊維をIRテーブルにより加熱して樹脂の流れを改善した後、材料を図2に示す3セットのニップローラーに通した。最後に、ペーパー裏材層を除去し、ポリエチレン裏材シート(ポリエチレン敷布)を施し、最終プリプレグ製品を形成させる。これは、方法2を使用するすべての例に共通である。

(例4) この製品は、未硬化熱硬化性樹脂及び炭素繊維IMAを含有するプリプレグであった。繊維の面積重量は268g/m2である。さらに、製品は、熱硬化性樹脂に対して13.5重量%の濃度でPA6の形態の熱可塑性粒子を含有していた。またプリプレグは、熱硬化性樹脂に対して1重量%の濃度でPSG SG25/99.95SCを含有していた。この製品は、(Sラップ)2フィルム法を使用して生産した。

(例5〜9) これらのプリプレグは、繊維の面積重量が268g/m2であった。これらの製品は、熱硬化性樹脂に対して9.5重量%の濃度でPA11の形態の熱可塑性粒子を含有していた。またプリプレグは、熱硬化性樹脂に対して1から4重量%の間の種々の濃度のPSG SG25/99.95SCを含有していた。この製品は、図1に示す(S−ラップ)2フィルム法を使用して生産した。

PSGの含量を増加させると、複合体の導電性が高まることが表5から明らかである。最大導電性29S/mは、PSGの3重量%の添加で得られる。3重量%を超えてPSG添加を増やしても、導電性値がさらに改善することはない。

(例10から12) これらのプリプレグは、実施例3のように、面積重量が268g/m2の繊維層を使用して調製した。これらのプリプレグは、調製した熱硬化性樹脂重量に対して9.5から13.5重量%までの濃度でPA11の形態の熱可塑性粒子を含有していた。プリプレグは、調製した熱硬化性樹脂重量に対して3重量%の間の濃度でPSG SG25/99.95SCを含有している。この製品は2フィルムニップ法を使用して生産した。

表6はPSG粒子を組み合わせる方法2を使用することにより示し、100S/mを超える大きな導電性値を得ることができる。また、熱可塑性粒子含量を低下させることによって、導電性を高めることができる。

(例13) このプリプレグは、例3に関して、面積重量が268g/m2の繊維層を使用して調製した。この製品は、調製した熱硬化性樹脂重量に対して10.5重量%の濃度でPA6の形態の熱可塑性粒子を含有していた。プリプレグは、調製した熱硬化性樹脂重量に対して3重量%の濃度のPSG SG25/99.95SCを含有していた。この製品は、2フィルムニップ法を使用して生産した。

表7は、PSG粒子と方法2を組み合わせることで、導電性値が90S/mを超えるプリプレグを生産することができることを示す。これによって、異なる熱可塑性粒子の使用は、導電性値に有意な影響を及ぼさないことが確認される。

(例14) このプリプレグは、例3に関して、面積重量が268g/m2の繊維を使用して調製した。製品は、熱硬化性樹脂に対して10.5重量%の濃度でPA11の形態の熱可塑性粒子を含有している。プリプレグは、製造した熱硬化性樹脂重量に対して3重量%の濃度でPSG GHDR−15−4を含有する。この製品は、2フィルムニップ法を使用して生産した。

表8から、プリプレグへの方法2とPSG GHDR−15−4粒子との組み合わせは、100S/mを超える大きな導電性値を得ることができることが明らかである。

(例15から18) これらのプリプレグは、例3に関して、面積重量が268g/m2の繊維層を使用して調製した。製品は、製造した熱硬化性樹脂に対して10.5重量%の濃度でPA11の形態の熱可塑性粒子を含有する。プリプレグは、ポテト形状ではなく平面形状の黒鉛粒子を含有しており、これは、製造した熱硬化性樹脂重量に対して3重量%の濃度で使用した。これらの製品は、2フィルムニップ法を使用して生産した。

表9から、プリプレグへの方法2と平面状導電性粒子の添加の組み合わせでは、導電性値が36S/mにしか達しないことが明らかである。これは、粒子の形状が重要であり、球形又は回転楕円面状の粒子によってより高い導電性の複合体を得ることができることを証明している。

機械的性能 例3、12及び15から、さらに100メートルのプリプレグを生産した。機械的特性は、いかなる導電性粒子も含まないで形成された同一積層体と比較した。0.25mmの硬化層の厚みは、繊維面積重量が268gsmの繊維についてであると想定された。

導電性炭素粒子の存在は、機械的性能に対する影響がほとんどないか、全くないが、実施例15の平面状粒子を使用すると、衝撃強度が低下することが確認できた。

(例19から24) プリプレグは、半商業的なプリプレグラインで面積重量が268g/m2の織物の層を使用して調製した。製品は、10.5重量%のPA11、3重量%のポテト形状の黒鉛HDR−15−4及びSG 25/99.95SCを含有した。方法1及び方法2を使用し、4点導電性は技術2によってのみ測定した。

結果は以下のとおりであった。

例19、20、22及び23の機械的特性は、導電性粒子及び繊維破壊を含んでおらず、方法1又は方法2のいずれかを使用して作製された複合体の特性と比較した。結果は以下のとおりであった。

表12は、ポテト形状の黒鉛粒子が使用される場合、機械的特性は維持され、ある場合には改善されることを証明している。 本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおりである。 [態様1] 繊維強化硬化性樹脂を含むプリプレグであって、プリプレグが樹脂に対して0.5から10重量%までの範囲の導電性粒子を含有し、導電性粒子がポテト形状の黒鉛を含む、上記プリプレグ。 [態様2] 1から8重量%のポテト形状の黒鉛を含有する、上記態様1に記載のプリプレグ。 [態様3] 強化剤を含有する、上記態様1又は上記態様2に記載のプリプレグ。 [態様4] 強化剤が熱可塑性粒子である、上記態様3に記載のプリプレグ。 [態様5] 樹脂に対して5から20重量%までの熱可塑性粒子を含有する、上記態様4に記載のプリプレグ。 [態様6] 強化剤がポリアミドである、上記態様3から5までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様7] ポリアミドが140℃と240℃の間の融点を有する、上記態様6に記載のプリプレグ。 [態様8] 強化剤粒子が100ミクロン未満の粒径を有する、上記態様3から7までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様9] 粒径が5から60ミクロンまでの範囲である、上記態様8に記載のプリプレグ。 [態様10] 45容量%から75容量%までの繊維を含有する、上記態様1から9までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様11] 繊維が炭素繊維、ガラス繊維又はアラミドから選択される、上記態様1から10までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様12] 繊維が破壊されている、上記態様1から11までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様13] 硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、上記態様1から12までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様14] テープを含む、上記態様1から13までのいずれかに記載のプリプレグ。 [態様15] 0.5から4.5重量%までのポテト形状の黒鉛を含有している繊維強化硬化性樹脂を含むプリプレグ。 [態様16] 粒子状強化剤を含有する、上記態様15に記載のプリプレグ。 [態様17] 航空機部品を製造するための、上記態様1から16までのいずれかに記載のプリプレグの使用。 [態様18] 繊維強化樹脂を含む複合体であって、複合体が樹脂に対して0.5から10重量%までの範囲の導電性粒子を含有しており、導電性粒子がポテト形状の黒鉛を含む上記複合体。 [態様19] 1から8重量%までのポテト形状の黒鉛を含有する、上記態様18に記載の複合体。 [態様20] 強化剤を含有する、上記態様18又は上記態様19に記載の複合体。 [態様21] 強化剤が熱可塑性粒子である、上記態様20に記載の複合体。 [態様22] 樹脂に対して5から20重量%までの熱可塑性粒子を含有する、上記態様21に記載の複合体。 [態様23] 強化剤がポリアミドである、上記態様20から22までのいずれかに記載の複合体。 [態様24] ポリアミドが140℃と240℃の間の融点を有する、上記態様22に記載の複合体。 [態様25] 粒子が100ミクロン未満の粒径を有する、上記態様18から24までのいずれかに記載の複合体。 [態様26] 粒径が5から60ミクロンまでの範囲である、上記態様25に記載の複合体。 [態様27] 45容量%から75容量%までの繊維を含有する、上記態様18から26までのいずれかに記載の複合体。 [態様28] 繊維が炭素繊維、ガラス繊維又はアラミドから選択される、上記態様18から27までのいずれかに記載の複合体。 [態様29] 繊維が破壊されている、上記態様18から28までのいずれかに記載の複合体。 [態様30] 樹脂が硬化エポキシ樹脂である、上記態様18から29までのいずれかに記載の複合体。 [態様31] 航空機部品としての、上記態様18から30までのいずれかに記載の複合体の使用。 [態様32] 部品が胴体の少なくとも一部である、上記態様31に記載の使用。 [態様33] 強化剤及びポテト形状の黒鉛を含有する硬化性樹脂。 [態様34] 強化剤がポリアミドである、上記態様33に記載の硬化性樹脂。 [態様35] 樹脂がエポキシ樹脂である、上記態様33又は上記態様34に記載の硬化性樹脂。 [態様36] エポキシ樹脂と、樹脂に対して0.5から10重量%のポテト形状の黒鉛と、樹脂に対して5から15重量%の強化剤とを含む、上記態様33から35までのいずれかに記載の硬化性樹脂。 [態様37] エポキシ樹脂用の硬化剤を含有する、上記態様35又は上記態様36に記載の硬化性樹脂。

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