樹脂シートの製造方法、樹脂シート、構造体の製造方法、構造体及び航空機機体

申请号 JP2017052809 申请日 2017-03-17 公开(公告)号 JP2018154021A 公开(公告)日 2018-10-04
申请人 三菱重工業株式会社; 国立大学法人秋田大学; 发明人 神原 信幸; 阿部 俊夫; 石川 直元; 高柳 俊幸; 村岡 幹夫;
摘要 【課題】十分に熱を伝達することができる樹脂シートの製造方法及び樹脂シートと、その樹脂シートを用いた構造体の製造方法、構造体及び航空機機体を提供すること。 【解決手段】樹脂シート10の製造方法は、塗布ステップと、加熱ステップと、加圧ステップと、を含む。塗布ステップでは、熱可塑性を有する樹脂フィルム12の表面に、線状金属ナノ材料14を塗布する。加熱ステップでは、表面に線状金属ナノ材料14が塗布された樹脂フィルム12を加熱して軟化させる。加圧ステップでは、表面に線状金属ナノ材料14が塗布された樹脂フィルム12を、線状金属ナノ材料14が塗布された面に直交する方向に沿って、線状金属ナノ材料14を押し付けるように加圧する。これにより、塗布された線状金属ナノ材料14を、樹脂フィルム12に潜り込ませて、線状金属ナノ材料14を含む樹脂シート10を得る。 【選択図】図2
权利要求

熱可塑性を有する樹脂フィルムの表面に線状金属ナノ材料を塗布する塗布ステップと、 前記線状金属ナノ材料が塗布された前記樹脂フィルムを加熱して軟化させる加熱ステップと、 前記線状金属ナノ材料が塗布された前記樹脂フィルムを、前記線状金属ナノ材料が塗布された面に直交する方向に沿って加圧する加圧ステップと、 を含み、 塗布された前記線状金属ナノ材料を、前記樹脂フィルムに潜り込ませて、前記線状金属ナノ材料を含む樹脂シートとすることを特徴とする樹脂シートの製造方法。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。前記線状金属ナノ材料は、網状に形成され、 前記塗布ステップでは、網状に形成した前記線状金属ナノ材料を前記樹脂フィルムの表面に転写することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。前記加熱ステップでは、前記樹脂フィルムを、前記樹脂フィルムの融点の95%以上となる温度に加熱することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。前記加圧ステップでは、前記樹脂フィルムを、2000Pa以上で加圧することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。前記加熱ステップは、前記樹脂フィルムが加圧された状態で行われ、または、前記加圧ステップは、前記樹脂フィルムが加熱された状態で行われることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。前記加熱ステップは、前記樹脂フィルムが加圧された状態で10分以上行われ、または、前記加圧ステップは、前記樹脂フィルムが加熱された状態で10分以上行われることを特徴とする請求項7に記載の樹脂シートの製造方法。前記樹脂フィルムは、 前記樹脂フィルムを強化する強化繊維を有し、 前記強化繊維がない樹脂層と、 前記強化繊維を含む複合層と、を含み、 塗布された前記線状金属ナノ材料を、前記樹脂層に潜り込ませることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。熱可塑性を有する樹脂フィルムと、 前記樹脂フィルムに潜り込んで配された線状金属ナノ材料と、 を含むことを特徴とする樹脂シート。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることを特徴とする請求項10に記載の樹脂シート。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることを特徴とする請求項10に記載の樹脂シート。前記線状金属ナノ材料は、網状に形成されていることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の樹脂シート。前記樹脂フィルムは、 前記樹脂フィルムを強化する強化繊維を有し、 前記強化繊維がない樹脂層と、 前記強化繊維を含む複合層と、を含み、 前記線状金属ナノ材料は、前記樹脂層に潜り込んで配されていることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の樹脂シート。複合材料を含む構造体の製造方法であって、 前記複合材料の表面に、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の樹脂シートを配置するシート配置ステップと、 前記樹脂シートに電場を印加して、前記線状金属ナノ材料を発熱させ、前記複合材料と前記樹脂シートとを同時硬化させる同時硬化ステップと、 を含むことを特徴とする構造体の製造方法。前記線状金属ナノ材料は、電磁波を吸収することを特徴とする請求項15に記載の構造体の製造方法。前記線状金属ナノ材料は、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷を溶解することを特徴とする請求項15または請求項16に記載の構造体の製造方法。複合材料を含む構造体であって、 表面に配され樹脂を含む表面層と、 前記表面層の一方に配され、樹脂及び前記樹脂に潜り込んで配された線状金属ナノ材料を含む線状金属ナノ材料層と、 前記線状金属ナノ材料層に対して前記表面層の反対側に配され、樹脂及び前記樹脂を強化する強化繊維を含む複合層と、 を含むことを特徴とする構造体。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることを特徴とする請求項18に記載の構造体。前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることを特徴とする請求項18に記載の構造体。前記線状金属ナノ材料は、網状に形成されていることを特徴とする請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の構造体。前記線状金属ナノ材料は、電磁波を吸収することを特徴とする請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の構造体。前記線状金属ナノ材料は、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷を溶解することを特徴とする請求項18から請求項22のいずれか1項に記載の構造体。請求項18から請求項23のいずれか1項に記載の構造体が用いられた表面部材と、 を含むことを特徴とする航空機機体。

说明书全文

本発明は、樹脂シートの製造方法、樹脂シート、構造体の製造方法、構造体及び航空機機体に関する。

軽量性及び高い強度を有する材料には、強化繊維に樹脂を含浸させた複合材料が知られている。複合材料は、様々な温度及び圧等の条件下で成形または接着されて、航空機、自動車及び船舶等に用いられている。複合材料の加熱方法としては、ヒータを用いた加熱の方法が知られており、マイクロ波を吸収する物質を用いた加熱の方法が検討されている。マイクロ波を吸収する物質を用いた加熱の方法については、樹脂を含む接着剤を加熱する方法が知られている(特許文献1参照)。

特開2008−156510号公報

特許文献1に記載の方法と同様に、マイクロ波を吸収する物質を用いて、複合材料を加熱する方法が検討されている。マイクロ波を吸収する物質は、線状金属ナノ材料が例示される。この検討されている従来の加熱方法を、図19及び図20を用いて説明する。図19は、従来の樹脂シート100の概略平面図である。図20は、従来の樹脂シート100の概略断面図である。従来の樹脂シート100は、この検討されている従来の加熱方法に用いられる。従来の樹脂シート100は、図19及び図20に示すように、従来の樹脂フィルム102と、従来の線状金属ナノ材料104とを含む。従来の線状金属ナノ材料104は、従来の樹脂フィルム102の一方の面上に設けられている。この従来の加熱方法は、従来の樹脂シート100を加熱したい複合材料の一方の面に接触させて、従来の樹脂シート100に含まれる従来の線状金属ナノ材料104にマイクロ波を照射することにより発熱させることで、複合材料を加熱するものである。

従来の樹脂フィルム102と従来の線状金属ナノ材料104とは、ほぼ点接触の状態となっており、接触面積が小さい。そのため、従来の線状金属ナノ材料104で発生した熱は、従来の樹脂フィルム102に十分に伝達しない可能性がある。これにより、従来の樹脂シート100の全体に万遍なく熱が伝達しない可能性がある。その結果、従来の樹脂シート100と接触している複合材料に十分に熱が伝達せず、複合材料を十分に加熱できない可能性がある。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、十分に熱を伝達することができる樹脂シートの製造方法及び樹脂シートと、その樹脂シートを用いた構造体の製造方法、構造体及び航空機機体を提供することを目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、樹脂シートの製造方法は、熱可塑性を有する樹脂フィルムの表面に線状金属ナノ材料を塗布する塗布ステップと、前記線状金属ナノ材料が塗布された前記樹脂フィルムを加熱して軟化させる加熱ステップと、前記線状金属ナノ材料が塗布された前記樹脂フィルムを、前記線状金属ナノ材料が塗布された面に直交する方向に沿って加圧する加圧ステップと、を含み、塗布された前記線状金属ナノ材料を、前記樹脂フィルムに潜り込ませて、前記線状金属ナノ材料を含む樹脂シートとすることを特徴とする。

この構成によれば、線状金属ナノ材料を樹脂フィルムに潜り込ませるので、線状金属ナノ材料と樹脂フィルムとの接触面積が大きいため、接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる樹脂シートを製造することができる。

この構成において、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることが好ましい。あるいは、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。これらの構成によれば、線状金属ナノ材料が好適にマイクロ波を吸収して熱に変換することができるので、接触して設けられた材料を効率よく加熱することができる樹脂シートを製造することができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、網状に形成され、前記塗布ステップでは、網状に形成した前記線状金属ナノ材料を前記樹脂フィルムの表面に転写することが好ましい。この構成によれば、線状金属ナノ材料を全体に万遍なく分布させることができるので、接触して設けられた材料を全体に万遍なく加熱することができる樹脂シートを製造することができる。

これらの構成において、前記加熱ステップでは、前記樹脂フィルムを、前記樹脂フィルムの融点の95%以上となる温度に加熱することが好ましい。この構成によれば、樹脂フィルムを十分に柔らかくすることができるので、線状金属ナノ材料をより確実に樹脂フィルムに潜り込ませることができる。

これらの構成において、前記加圧ステップでは、前記樹脂フィルムを、2000Pa以上で加圧することが好ましい。この構成によれば、線状金属ナノ材料を樹脂フィルムに十分に押し付けることができるので、線状金属ナノ材料をより確実に樹脂フィルムに潜り込ませることができる。

これらの構成において、前記加熱ステップは、前記樹脂フィルムが加圧された状態で行われ、または、前記加圧ステップは、前記樹脂フィルムが加熱された状態で行われることが好ましい。この構成によれば、樹脂フィルムが柔らかい状態の時に線状金属ナノ材料を押し付けることができるので、線状金属ナノ材料をより確実に樹脂フィルムに潜り込ませることができる。

さらに樹脂フィルムが加圧された状態で加熱ステップが行われ、または、樹脂フィルムが加熱された状態で加圧ステップが行われる構成において、前記加熱ステップは、前記樹脂フィルムが加圧された状態で10分以上行われ、または、前記加圧ステップは、前記樹脂フィルムが加熱された状態で10分以上行われることが好ましい。この構成によれば、十分な時間に渡って、樹脂フィルムが柔らかい状態の時に線状金属ナノ材料を押し付けることができるので、線状金属ナノ材料をさらに確実に樹脂フィルムに潜り込ませることができる。

これらの構成において、前記樹脂フィルムは、前記樹脂フィルムを強化する強化繊維を有し、前記強化繊維がない樹脂層と、前記強化繊維を含む複合層と、を含み、塗布された前記線状金属ナノ材料を、前記樹脂層に潜り込ませることが好ましい。この構成によれば、複合層を含む樹脂フィルムを用いることができるので、強度及び安定性を向上させた樹脂シートを製造することができる。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、樹脂シートは、熱可塑性を有する樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムに潜り込んで配された線状金属ナノ材料と、を含むことを特徴とする。

この構成によれば、線状金属ナノ材料が樹脂フィルムに潜り込んでいるので、線状金属ナノ材料と樹脂フィルムとの接触面積が大きいため、接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる。

この構成において、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることが好ましい。あるいは、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。これらの構成によれば、線状金属ナノ材料が好適にマイクロ波を吸収して熱に変換することができるので、接触して設けられた材料を効率よく加熱することができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、網状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、線状金属ナノ材料が全体に万遍なく分布されるので、接触して設けられた材料を全体に万遍なく加熱することができる。

これらの構成において、前記樹脂フィルムは、前記樹脂フィルムを強化する強化繊維を有し、前記強化繊維がない樹脂層と、前記強化繊維を含む複合層と、を含み、前記線状金属ナノ材料は、前記樹脂層に潜り込んで配されていることが好ましい。この構成によれば、強化繊維を含む複合層が含まれる樹脂フィルムが用いられるので、強度及び安定性が向上される。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、構造体の製造方法は、複合材料を含む構造体の製造方法であって、前記複合材料の表面に、上記のいずれか1つの樹脂シートを配置するシート配置ステップと、前記樹脂シートに電場を印加して、前記線状金属ナノ材料を発熱させ、前記複合材料と前記樹脂シートとを同時硬化させる同時硬化ステップと、を含むことを特徴とする。

この構成によれば、線状金属ナノ材料が樹脂フィルムに潜り込んでいる樹脂シートを用いるので、線状金属ナノ材料と樹脂との接触面積が大きいため、十分に熱を伝達させて複合材料と樹脂シートとを同時硬化することができる。

この構成において、前記線状金属ナノ材料は、電磁波を吸収することが好ましい。この構成によれば、樹脂により保護された線状金属ナノ材料により、電磁波探知に対するステルス機能を安定して付加させることができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷を溶解することが好ましい。この構成によれば、樹脂により保護された線状金属ナノ材料により、表面に付着した氷を溶解する表面氷溶解機能を安定して付加させることができる。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、構造体は、複合材料を含む構造体であって、表面に配され樹脂を含む表面層と、前記表面層の一方に配され、樹脂及び前記樹脂に潜り込んで配された線状金属ナノ材料を含む線状金属ナノ材料層と、前記線状金属ナノ材料層に対して前記表面層の反対側に配され、樹脂及び前記樹脂を強化する強化繊維を含む複合層と、を含むことを特徴とする。

この構成によれば、線状金属ナノ材料が樹脂に潜り込んでいる線状金属ナノ材料層を含むので、電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能を備えることができる。

この構成において、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであることが好ましい。あるいは、前記線状金属ナノ材料は、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。これらの構成によれば、線状金属ナノ材料が好適に電磁波を吸収することができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、網状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、線状金属ナノ材料が全体に万遍なく分布されるので、全体に万遍なく電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能を備えることができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、電磁波を吸収することが好ましい。この構成によれば、樹脂により保護された線状金属ナノ材料により、電磁波探知に対するステルス機能を安定して備えることができる。

これらの構成において、前記線状金属ナノ材料は、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷を溶解することが好ましい。この構成によれば、樹脂により保護された線状金属ナノ材料により、表面に付着した氷を溶解する表面氷溶解機能を安定して備えることができる。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、航空機機体は、上記のいずれか1つの構造体が用いられた表面部材と、を含むことを特徴とする。

この構成によれば、上記の構造体に備えられた電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能、例えば、ステルス機能または表面氷溶解機能などを、備えることができる。

本発明によれば、十分に熱を伝達することができる樹脂シートの製造方法及び樹脂シートと、その樹脂シートを用いた構造体の製造方法、構造体及び航空機機体を提供することができる。

図1は、第1の実施形態に係る樹脂シートの概略平面図である。

図2は、第1の実施形態に係る樹脂シートの概略断面図である。

図3は、線状金属ナノ材料の一例であるナノファイバーを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の一例である。

図4は、線状金属ナノ材料の一例であるナノファイバーを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の別の一例である。

図5は、線状金属ナノ材料の一例であるナノコイルを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の一例である。

図6は、線状金属ナノ材料の一例であるナノコイルを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の別の一例である。

図7は、第1の実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示すフローチャートである。

図8は、第1の実施形態に係る樹脂シートの製造方法における一状態を示す概略断面図である。

図9は、第1の実施形態に係る樹脂シートの製造方法における別の一状態を示す概略断面図である。

図10は、樹脂フィルムに潜り込んだナノコイルを示す光学顕微鏡による画像の一例である。

図11は、樹脂フィルムに潜り込んだナノコイルを示す光学顕微鏡による画像の別の一例である。

図12は、第2の実施形態に係る樹脂シートの概略断面図である。

図13は、第2の実施形態に係る樹脂シートの製造方法における一状態を示す概略断面図である。

図14は、第3の実施形態に係る構造体の概略断面図である。

図15は、第3の実施形態に係る構造体の電磁波吸収特性のグラフである。

図16は、第3の実施形態に係る構造体の表面氷溶解機能の説明図である。

図17は、第3の実施形態に係る構造体の製造方法を示すフローチャートである。

図18は、第3の実施形態に係る構造体の製造方法における一状態を示す概略断面図である。

図19は、従来の樹脂シートの概略平面図である。

図20は、従来の樹脂シートの概略断面図である。

以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。

[第1の実施形態] 図1は、第1の実施形態に係る樹脂シート10の概略平面図である。図2は、第1の実施形態に係る樹脂シート10の概略断面図である。樹脂シート10は、図1及び図2に示すように、樹脂フィルム12と、線状金属ナノ材料14と、を含む。樹脂シート10は、照射されるマイクロ波を吸収して発熱することで、樹脂シート10の少なくとも一方の面に接触して設けられた材料、例えば複合材料を加熱するものである。ここで、複合材料は、航空機、自動車及び船舶等に用いられる材料が例示される。

樹脂フィルム12は、熱可塑性を有する熱可塑性樹脂で形成されたフィルムである。樹脂フィルム12におけるフィルムの面方向の形状及び大きさは、特に制限されない。樹脂フィルム12におけるフィルムの面方向に直交する方向に沿った厚さは、0.1mm以下であることが好ましい。樹脂フィルム12を形成する熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリフェニレンサルファイド(PPS)等が例示される。

線状金属ナノ材料14は、樹脂フィルム12に潜り込んで配されている。すなわち、線状金属ナノ材料14は、全面が樹脂フィルム12に覆われており、樹脂フィルム12になじませられており、樹脂フィルム12によって保護されている。線状金属ナノ材料14は、線状、すなわち1次元方向に延びて形成されている。線状金属ナノ材料14は、線状に延びる方向に直交する断面における直径が、nmオーダーの大きさ(1〜数百nm程度)である。線状金属ナノ材料14は、網状に形成されていることが好ましい。線状金属ナノ材料14は、金属薄膜が被覆されたナノファイバー、あるいは、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルが、好ましい例として挙げられる。

図3は、線状金属ナノ材料14の一例であるナノファイバーを示す走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)による二次電子像(SEI、Secondary Electron Image)の一例である。図4は、線状金属ナノ材料14の一例であるナノファイバーを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の別の一例である。図5は、線状金属ナノ材料14の一例であるナノコイルを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の一例である。図6は、線状金属ナノ材料14の一例であるナノコイルを示す走査型電子顕微鏡による二次電子像の別の一例である。図3から図6を用いて、線状金属ナノ材料14に例示されるナノファイバー及びナノコイルの詳細を説明する。

ナノファイバーは、図3及び図4に示すように、網状に形成されている。そのため、ナノファイバーは、形成されている面の全体に万遍なく分布されている。ナノファイバーは、コア部と、コア部を被覆する金属薄膜と、を含む。

ナノファイバーのコア部は、線状、すなわち1次元方向に延びて形成されている。ナノファイバーのコア部は、線状に延びる方向に直交する断面における直径が30nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましい。ナノファイバーのコア部は、例えば、高分子により形成される。ナノファイバーのコア部を形成する高分子は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ナイロン6等が好適に用いられるものとして例示される。

ナノファイバーのコア部は、例えば、エレクトロスピニング法、メルトブロー法、延伸法等によって形成される。ナノファイバーのコア部は、エレクトロスピニング法で形成される場合、具体的には、ノズルと基板との間に所定の電圧を印加した状態で、シリンジに充填された高分子溶液をノズルより基板に向けて噴霧し、高分子溶液に含まれる溶媒を揮発させることで、網状に形成される。この高分子溶液に含有される高分子は、上記のナノファイバーのコア部を形成する高分子と同様の高分子が例示される。なお、ナノファイバーのコア部は、高分子に限定されず、金属を含んでいる材料または金属で形成されていても良い。

ナノファイバーの金属薄膜は、膜厚が5nm以上50nm以下の範囲内であることが好ましい。ナノファイバーの金属薄膜は、例えば、白金(Pt)、金(Au)等の貴金属、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属が好適に用いられるものとして例示される。ナノファイバーの金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等によって形成される。

ナノコイルは、図5及び図6に示すように、網状に形成されている。そのため、ナノコイルは、形成されている面の全体に万遍なく分布されている。ナノコイルは、金属薄膜が線状に延び、コイル状に形成されたものである。ナノコイルは、線状に延びる方向に直交する断面の最大長さが40nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましい。ナノコイルは、コイル状の螺旋径が100nm以上2000nm以下の範囲内であることが好ましい。ナノコイルは、コイル状のピッチが、100nm以上10000nm以下の範囲内であることが好ましい。

ナノコイルは、例えば、ナノファイバーのコア部が高分子で形成されている上記のナノファイバーにおいて、ナノファイバーに付加されている張力を緩和した状態で、ナノファイバーのコア部を形成する高分子の沸点または熱分解温度以上、かつ、ナノファイバーの金属薄膜の融点以下の温度に加熱することで、得られる。

ナノファイバーは、上記温度に加熱されることで、ナノファイバーのコア部の高分子が気化あるいは分解し、ナノファイバーの金属薄膜の隙間などから外部へ排出される。これにより、ナノファイバーの金属薄膜だけが残る。ナノファイバーの金属薄膜は、上記温度に加熱されることで、上記の範囲内の断面の最大長さ、螺旋系及びピッチを有するコイル状に収縮する。このように、ナノコイルは、ナノファイバーを上記温度に加熱することで、得られる。

線状金属ナノ材料14に例示されるナノファイバー及びナノコイルは、それぞれ以上のような構成を有するので、マイクロ波を吸収することができる。また、これらのナノファイバー及びナノコイルは、電磁波を吸収することができ、電場が印加されることで発熱することができる。

樹脂シート10は、以上のような構成を有するので、線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム12に潜り込んでいるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム12との接触面積が大きいため、樹脂シート10に接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる。

また、樹脂シート10は、線状金属ナノ材料14が、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであるか、あるいは、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。この場合、樹脂シート10は、線状金属ナノ材料14が好適にマイクロ波を吸収して熱に変換し、発熱することができるので、樹脂シート10に接触して設けられた材料を効率よく加熱することができる。

また、樹脂シート10は、線状金属ナノ材料14が網状に形成されていることが好ましい。この場合、樹脂シート10は、線状金属ナノ材料14が全体に万遍なく分布されるので、接触して設けられた材料を全体に万遍なく加熱することができる。

図7は、第1の実施形態に係る樹脂シート10の製造方法を示すフローチャートである。図8は、第1の実施形態に係る樹脂シート10の製造方法における一状態を示す概略断面図である。図9は、第1の実施形態に係る樹脂シート10の製造方法における別の一状態を示す概略断面図である。図10は、樹脂フィルム12に潜り込んだナノコイルを示す光学顕微鏡による画像の一例である。図11は、樹脂フィルム12に潜り込んだナノコイルを示す光学顕微鏡による画像の別の一例である。図7から図11を用いて、第1の実施形態に係る樹脂シート10の製造方法を説明する。樹脂シート10の製造方法は、図7に示すように、塗布ステップ(ステップS12)と、加熱ステップ(ステップS14)と、加圧ステップ(ステップS16)と、を含む。

まず、熱可塑性を有する樹脂フィルム12の表面に、線状金属ナノ材料14を塗布する(ステップS12)。ステップS12により、線状金属ナノ材料14の表面のファンデルワールス力により、樹脂フィルム12に固着される。ステップS12により、図8に示すように、樹脂フィルム12の表面に線状金属ナノ材料14が塗布された状態となる。

線状金属ナノ材料14は、上記のように、網状に形成されていることが好ましい。この場合、ステップS12では、網状に形成された線状金属ナノ材料14を樹脂フィルム12の表面に転写される。また、線状金属ナノ材料14は、上記のように、金属薄膜が被覆されたナノファイバー、あるいは、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルが、好ましい例として挙げられる。

次に、ステップS12の後、ステップS12により表面に線状金属ナノ材料14が塗布された樹脂フィルム12を加熱して軟化させる(ステップS14)。ステップS14では、樹脂フィルム12を加熱せず線状金属ナノ材料14を発熱させるための電場を用いるより、ヒータや赤外線加熱等の樹脂フィルム12を加熱させる加熱機器を用いることが好ましい。これにより、樹脂フィルム12を好適に加熱して軟化させることができる。

ステップS14では、樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の95%以上となる温度に加熱することが好ましい。この場合、ステップS14では、樹脂フィルム12を十分に柔らかくすることができるので、この後に施される加圧ステップ(ステップS16)で、線状金属ナノ材料14をより確実に樹脂フィルム12に潜り込ませることができる。

ステップS14では、樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の110%以上120%以下の範囲内となる温度に加熱することが好ましい。この場合、ステップS14では、樹脂フィルム12をより十分に柔らかくすることができるので、この後に施される加圧ステップ(ステップS16)で、線状金属ナノ材料14をさらに確実に樹脂フィルム12に潜り込ませることができる。

図10は、ステップS14で樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の102%となる温度に加熱して、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルを樹脂フィルム12に潜り込ませて製造した樹脂シート10である。この図10に示す樹脂シート10は、図10の破線の右側に示されているように、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルが十分に樹脂フィルム12に潜り込ませられている。一方、この図10に示す樹脂シート10は、図10の破線の左側に示されているように、表面が鋭利なピンセットの先端でこすられると、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルが樹脂フィルム12から剥離してしまう。このことから、ステップS14で、樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の95%以上となる温度に加熱すると、樹脂シート10として十分に好適に使用することができるレベルに、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルを十分に樹脂フィルム12に潜り込ませることができることがわかる。

図11は、ステップS14で樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の116%となる温度に加熱して、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルを樹脂フィルム12に潜り込ませて製造した樹脂シート10である。この図11に示す樹脂シート10は、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルが十分に樹脂フィルム12に潜り込ませられており、かつ、表面が鋭利なピンセットの先端でこすられても、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルが樹脂フィルム12から剥離しない程度に十分に潜り込ませられている。このことから、ステップS14で、樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の110%以上120%以下の範囲内となる温度に加熱すると、樹脂シート10として十分に好適に使用することができるレベルに、線状金属ナノ材料14としてのナノコイルを十分に樹脂フィルム12に潜り込ませることができることがわかる。加えて、この場合には、表面が鋭利なもので傷をつけられても線状金属ナノ材料14としてのナノコイルが樹脂フィルム12から剥離しない程度に十分に潜り込ませることができることがわかる。

なお、ステップS14で樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の120%を超える温度に加熱すると、樹脂フィルム12の形状が大幅に崩れたり、完全に溶解してしまったりする可能性がある。このことから、ステップS14では、樹脂フィルム12を、樹脂フィルム12の融点の120%を超えない温度に加熱することが好ましい。

次に、ステップS14の後、ステップS12により表面に線状金属ナノ材料14が塗布され、かつ、ステップS14により加熱されて軟化された樹脂フィルム12を、線状金属ナノ材料14が塗布された面に直交する方向に沿って、線状金属ナノ材料14を押し付けるように加圧する(ステップS16)。ステップS16では、図9に示すように、樹脂フィルム12の上面に塗布された線状金属ナノ材料14のさらに上側を、樹脂フィルム12を加圧するための加圧用シート16で覆い、加圧用シート16の上におもり18を乗せた状態で、樹脂フィルム12が線状金属ナノ材料14を押し付けられるように加圧される。ステップS16では、これに限定されず、おもり18に代えて加圧器で、樹脂フィルム12が線状金属ナノ材料14を押し付けられるように加圧されてもよい。

ステップS14及びステップS16により、軟化した樹脂フィルム12に線状金属ナノ材料14が押し付けられるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム12との間に働くファンデルワールス力により、線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム12の内部に潜り込ませられる。これにより、線状金属ナノ材料14を含む樹脂シート10が得られる。

ステップS16では、樹脂フィルム12を、線状金属ナノ材料14を押し付けるように、2000Pa以上で加圧することが好ましく、2690Pa以上で加圧することがさらに好ましい。この場合、ステップS16では、線状金属ナノ材料14を樹脂フィルム12に十分に押し付けることができるので、線状金属ナノ材料14をより確実に樹脂フィルム12に潜り込ませることができる。

なお、樹脂シート10の製造方法は、ステップS14とステップS16とが、この順で施されることに限定されない。例えば、樹脂シート10の製造方法は、ステップS16が施された後にステップS14が施されてもよく、ステップS14とステップS16とが同時に施されてもよい。樹脂シート10の製造方法は、少なくとも、樹脂フィルム12が軟化している状態と、樹脂フィルム12が加圧されている状態との時間が重なっていればよい。

樹脂シート10の製造方法は、ステップS14が、樹脂フィルム12が加圧された状態で行われ、または、ステップS16が、樹脂フィルム12が加熱された状態で行われることが好ましい。この場合、樹脂シート10の製造方法は、樹脂フィルム12が柔らかい状態の時に線状金属ナノ材料14を押し付けることができるので、線状金属ナノ材料14をより確実に樹脂フィルム12に潜り込ませることができる。

樹脂シート10の製造方法は、さらに、ステップS14が、樹脂フィルム12が加圧された状態で10分以上行われ、または、ステップS16が、樹脂フィルム12が加熱された状態で10分以上行われることがより好ましい。この場合、樹脂シート10の製造方法は、十分な時間に渡って、樹脂フィルム12が柔らかい状態の時に線状金属ナノ材料14を押し付けることができるので、線状金属ナノ材料14をさらに確実に樹脂フィルム12に潜り込ませることができる。

樹脂シート10の製造方法は、以上のような構成を有するので、線状金属ナノ材料14を樹脂フィルム12に潜り込ませるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム12との接触面積が大きいため、接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる樹脂シート10を製造することができる。

樹脂シート10の製造方法は、樹脂シート10に用いられる線状金属ナノ材料14が、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであるか、あるいは、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。この場合、樹脂シート10の製造方法は、線状金属ナノ材料14が好適にマイクロ波を吸収して熱に変換し、発熱することができるので、樹脂シート10に接触して設けられた材料を効率よく加熱することができる樹脂シート10を製造することができる。

樹脂シート10の製造方法は、樹脂シート10に用いられる線状金属ナノ材料14が網状に形成されていることが好ましい。この場合、樹脂シート10の製造方法は、線状金属ナノ材料14が全体に万遍なく分布されるので、接触して設けられた材料を全体に万遍なく加熱することができる樹脂シート10を製造することができる。

[第2の実施形態] 図12は、第2の実施形態に係る樹脂シート20の概略断面図である。なお、図12では、実施形態の説明のために強化繊維34aが極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。樹脂シート20は、樹脂シート10において、樹脂フィルム12を樹脂フィルム30に変更したものである。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。

樹脂シート20は、図12に示すように、樹脂フィルム30と、線状金属ナノ材料14と、を含む。樹脂シート20は、樹脂シート10と同様に、照射されるマイクロ波を吸収して発熱することで、樹脂シート20の少なくとも一方の面に接触して設けられた材料、例えば複合材料を加熱するものである。

樹脂フィルム30は、樹脂フィルム12と同様の材料で形成されたフィルムである。樹脂フィルム30は、さらに、樹脂フィルム30を強化し、樹脂フィルム30が含浸された強化繊維34aを含む。樹脂フィルム30は、強化繊維34aがない樹脂層32と、強化繊維34aを含む複合層34とを含む。樹脂層32と、複合層34とは、樹脂が共通している場合、樹脂層32と複合層34との樹脂が一体化しているため、明確な境界はない。

強化繊維34aは、5μm以上7μm以下の範囲内の基本繊維を数100本から数1000本程度束ねたものが例示される。強化繊維34aを構成する基本繊維は、炭素繊維が例示される。強化繊維34aを構成する基本繊維は、これに限定されず、その他のプラスチック繊維、ガラス繊維または金属繊維でもよい。

線状金属ナノ材料14は、樹脂フィルム30に潜り込んで配されている。すなわち、線状金属ナノ材料14は、全面が樹脂フィルム30に覆われており、樹脂フィルム30になじませられており、樹脂フィルム30によって保護されている。線状金属ナノ材料14は、第1の実施形態と同様である。

線状金属ナノ材料14は、樹脂フィルム30における樹脂層32に潜り込んで配されている。樹脂層32は、表面層32aと、線状金属ナノ材料層32bと、を含む。表面層32aは、線状金属ナノ材料14が潜り込んで配されている層よりも表面に配されており、樹脂を含む層である。線状金属ナノ材料層32bは、表面層32aの一方の面に配され、樹脂及び樹脂に潜り込んで配された線状金属ナノ材料14を含む層である。表面層32aと、線状金属ナノ材料層32bとは、樹脂が共通しているので、明確な境界はない。

樹脂シート20は、以上のような構成を有するので、樹脂シート10と同様に、線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム30に潜り込んでいるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム30との接触面積が大きいため、樹脂シート20に接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる。また、樹脂シート20は、その他の樹脂シート10と同様の作用効果をもたらす。

また、樹脂シート20は、強化繊維34aを含む複合層34が含まれる樹脂フィルム30が用いられているので、強度及び安定性が向上される。

図13は、第2の実施形態に係る樹脂シート20の製造方法における一状態を示す概略断面図である。なお、図13では、図12と同様に、実施形態の説明のために強化繊維34aが極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。図13を用いて、第2の実施形態に係る樹脂シート20の製造方法を説明する。樹脂シート20の製造方法は、樹脂シート10の製造方法と同様に、塗布ステップ(ステップS12)と、加熱ステップ(ステップS14)と、加圧ステップ(ステップS16)と、を含む。

樹脂シート20の製造方法におけるステップS12は、樹脂シート10の製造方法におけるステップS12に対し、線状金属ナノ材料14を塗布する対象を、樹脂フィルム12から樹脂フィルム30に変更したものである。樹脂シート20の製造方法におけるステップS12では、線状金属ナノ材料14を、樹脂フィルム30における樹脂層32の側の表面に塗布する。これにより、図13に示すように、樹脂層32の側の表面に線状金属ナノ材料14が塗布された樹脂フィルム30が得られる。

樹脂シート20の製造方法におけるステップS14及びステップS16は、樹脂シート10の製造方法におけるステップS14及びステップS16に対し、加熱及び加圧される対象を、樹脂フィルム12から樹脂フィルム30に変更したものである。樹脂シート20の製造方法におけるステップS14及びステップS16により、軟化した樹脂フィルム30の樹脂層32に線状金属ナノ材料14が押し付けられるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム30の樹脂層32との間に働くファンデルワールス力により、線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム30の樹脂層32の内部に潜り込ませられる。これにより、線状金属ナノ材料14を含む樹脂シート20が得られる。

なお、線状金属ナノ材料14は、強化繊維34aを通過することができないため、複合層34の内部に潜り込まない。そのため、線状金属ナノ材料14は、樹脂フィルム30の複合層34の内部まで到達することなく、樹脂フィルム30の樹脂層32の内部に留まる。

樹脂シート20の製造方法は、以上のような構成を有するので、樹脂シート10の製造方法と同様に、線状金属ナノ材料14を樹脂フィルム30の樹脂層32に潜り込ませるので、線状金属ナノ材料14と樹脂フィルム30の樹脂層32との接触面積が大きいため、接触して設けられた材料に十分に熱を伝達させることができる樹脂シート20を製造することができる。また、樹脂シート20の製造方法は、その他の樹脂シート10の製造方法と同様の作用効果をもたらす。

また、樹脂シート20の製造方法は、強化繊維34aを含む複合層34が含まれる樹脂フィルム30を用いるので、強度及び安定性が向上される樹脂シート20を製造することができる。

[第3の実施形態] 図14は、第3の実施形態に係る構造体40の概略断面図である。図15は、第3の実施形態に係る構造体40の電磁波吸収特性のグラフである。図16は、第3の実施形態に係る構造体40の表面氷溶解機能の説明図である。なお、図14及び図16では、線状金属ナノ材料層44に含まれる線状金属ナノ材料14が省略されている。また、図14及び図16では、実施形態の説明のために強化繊維46aが極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成に第1の実施形態または第2の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。

構造体40は、複合材料を含む。構造体40は、図14に示すように、表面層42と、線状金属ナノ材料層44と、複合層46と、を含む。表面層42は、表面に配され、樹脂を含む層である。線状金属ナノ材料層44は、表面層42の一方に配され、樹脂及び樹脂に潜り込んで配された線状金属ナノ材料14を含む層である。すなわち、線状金属ナノ材料14は、全面が樹脂に覆われており、樹脂になじませられており、樹脂によって保護されている。また、線状金属ナノ材料層44は、表面層42によって保護されている。線状金属ナノ材料層44に含まれる線状金属ナノ材料14は、第1の実施形態と同様であり、金属薄膜が被覆されたナノファイバー及び金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルが好適に例示され、網状に形成されていることが好ましい。複合層46は、線状金属ナノ材料層44に対して表面層42の反対側に配され、樹脂及び樹脂を強化する強化繊維46aを含む層であり、強化繊維46aに樹脂が含浸された複合材料となっている。複合層46に含まれる強化繊維46aは、第2の実施形態における強化繊維34aと同様である。

構造体40及び構造体40に含まれる複合材料は、航空機、自動車及び船舶等に用いられる材料が例示される。構造体40における表面層42、線状金属ナノ材料層44及び複合層46に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂を含み、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂が例示される。構造体40における各層に含まれる熱可塑性樹脂は、樹脂フィルム12を形成する熱可塑性樹脂と同様である。

熱硬化性樹脂は、軟化状態と、硬化状態と、半硬化状態となることができる。軟化状態は、熱硬化性樹脂を熱硬化させる前の状態である。軟化状態は、自己支持性を有さない状態であり、支持体に支持されていない場合に形状を保持できない状態である。軟化状態は、加熱されて、熱硬化性樹脂が熱硬化反応をすることができる状態である。硬化状態は、熱硬化性樹脂を熱硬化させた後の状態である。硬化状態は、自己支持性を有する状態であり、支持体に支持されていない場合でも形状を保持できる状態である。硬化状態は、加熱されても、熱硬化樹脂が熱硬化反応をすることができない状態である。半硬化状態は、軟化状態と硬化状態との間の状態である。半硬化状態は、硬化状態よりも弱い程度の熱硬化を熱硬化性樹脂にさせた状態である。半硬化状態は、自己支持性を有する状態であり、支持体に支持されていない場合でも形状を保持できる状態である。半硬化状態は、加熱されて、熱硬化性樹脂が熱硬化反応をすることができる状態である。構造体40は、複合層46において強化繊維46aが熱硬化性樹脂に含浸されている場合、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるプリプレグであるか、または熱硬化性樹脂が硬化状態であることが好ましい。

構造体40は、電磁波を吸収する線状金属ナノ材料14を含む線状金属ナノ材料層44を含む。そのため、構造体40は、線状金属ナノ材料層44に含まれる線状金属ナノ材料14の特性に応じて、照射された電磁波48を吸収し、電磁波探知に対するステルス機能を有する。

構造体40に含まれる線状金属ナノ材料14は、図15に示すように、電磁波の周波数に応じた吸収特性を有する。図15は、横軸が電磁波の周波数(単位;THz(テラヘルツ))となっており、縦軸が吸収率(単位;%(パーセント、百分率))となっているグラフである。図15は、1層の網状のナノコイル層である場合の吸収特性(Pt NC網(1層)、実線)と、3層の網状のナノコイル層である場合の吸収特性(Pt NC網(3層)、破線)と、6層の網状のナノコイル層である場合の吸収特性(Pt NC網(6層)、点線)と、6層の網状のナノファイバー層である場合の吸収特性(Pt NF網(6層)、一点鎖線)と、を示している。ここで、Ptは、白金を指し、ナノコイルまたはナノファイバーに用いられている金属薄膜の材料が白金であることを示している。NCは、Nano Coil(ナノコイル)であることを指しており、NFは、Nano Fiber(ナノファイバー)であることを指している。線状金属ナノ材料14は、上記の4つのいずれの場合においても、図15に示すように、少なくとも4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波を吸収する。また、線状金属ナノ材料14は、上記の4つのいずれの場合においても、図15に示すように、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数については、周波数が低いほど吸収率が高く、周波数が高いほど吸収率が低いという傾向を有する。

線状金属ナノ材料14は、1層の網状のナノコイル層である場合、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波を、4%以上10%以下の範囲内の吸収率で吸収する。線状金属ナノ材料14は、3層の網状のナノコイル層である場合、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波を、25%以上55%以下の範囲内の吸収率で吸収する。線状金属ナノ材料14は、6層の網状のナノコイル層である場合、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波を、40%以上80%以下の範囲内の吸収率で吸収する。線状金属ナノ材料14は、6層の網状のナノファイバー層である場合、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波を、30%以上70%以下の範囲内の吸収率で吸収する。これにより、線状金属ナノ材料14は、1層以上6層以下の範囲内において、網状のナノコイル層の層数が多ければ多いほど好ましく、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波の吸収率が向上することがわかる。また、線状金属ナノ材料14は、網状の層の層数が6層の場合において、ナノファイバー層よりもナノコイル層が用いられる方が好ましく、4THz以上20THz以下の範囲内の周波数を有する電磁波の吸収率が向上することがわかる。

構造体40は、電場が印加されることで発熱する線状金属ナノ材料14を含む線状金属ナノ材料層44を含む。そのため、構造体40は、線状金属ナノ材料層44に含まれる線状金属ナノ材料14の特性に応じて、電場が印加されることで発熱し、構造体40の表面に付着した氷52を溶解する表面氷溶解機能を有する。

具体的には、構造体40は、図16に示すように、すなわち表面層42の側の表面に氷52が付着した場合、電場印加用電極54を構造体40の表面層42の側から非接触の状態で近づけて、線状金属ナノ材料14を含む線状金属ナノ材料層44に電場を印加することで、線状金属ナノ材料14を発熱させて、氷52を溶解させ、表面層42から除去することができる。

構造体40は、以上のような構成を有するので、線状金属ナノ材料14が樹脂に潜り込んでいる線状金属ナノ材料層44を含むので、電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能を備えることができる。

構造体40は、線状金属ナノ材料14が、金属薄膜が被覆されたナノファイバーであるか、あるいは、金属薄膜がコイル状に形成されたナノコイルであることが好ましい。この場合、構造体40は、線状金属ナノ材料層44に含まれる線状金属ナノ材料14が好適に電磁波を吸収することができる。

構造体40は、線状金属ナノ材料14が、網状に形成されていることが好ましい。この場合、構造体40は、線状金属ナノ材料14が全体に万遍なく分布されるので、全体に万遍なく電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能を備えることができる。

構造体40は、線状金属ナノ材料14が、電磁波を吸収し、電磁波探知に対するステルス機能を有することが好ましい。この場合、構造体40は、樹脂により保護された線状金属ナノ材料14により、電磁波探知に対するステルス機能を安定して備えることができる。

構造体40は、線状金属ナノ材料14が、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷52を溶解する表面氷溶解機能を有することが好ましい。この場合、構造体40は、樹脂により保護された線状金属ナノ材料14により、表面に付着した氷52を溶解する表面氷溶解機能を安定して備えることができる。

図17は、第3の実施形態に係る構造体40の製造方法を示すフローチャートである。図18は、第3の実施形態に係る構造体40の製造方法における一状態を示す概略断面図である。なお、図18では、樹脂シート10に含まれる線状金属ナノ材料14が簡略化した形で示されている。また、図18では、実施形態の説明のために強化繊維60aが極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。図17及び図18を用いて、第3の実施形態に係る構造体40の製造方法を説明する。構造体40の製造方法は、図17に示すように、シート配置ステップ(ステップS22)と、同時硬化ステップ(ステップS24)と、を含む。

構造体40の製造方法では、図18に示すように、第1の実施形態に係る樹脂シート10と、複合材料60とが用いられている。なお、構造体40の製造方法では、第1の実施形態に係る樹脂シート10に代えて、第2の実施形態に係る樹脂シート20を用いてもよい。複合材料60は、熱硬化性樹脂を含む樹脂が強化繊維60aに含浸された複合材料である。

構造体40の製造方法では、複合材料60に含まれる樹脂と親和性の高い樹脂が含まれている樹脂シート10を用いることが好ましい。例えば、構造体40の製造方法では、複合材料60に含まれる樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、同じ熱可塑性樹脂が含まれている樹脂シート10を用いることが好ましい。また、構造体40の製造方法では、複合材料60に含まれる樹脂が熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂である場合には、エポキシ樹脂と親和性の高い熱可塑性樹脂であるポリエーテルイミド(PEI)が含まれている樹脂シート10を用いることが好ましい。

まず、複合材料60の一方の表面に、第1の実施形態に係る樹脂シート10を配置する(ステップS22)。ステップS22の後、図18に示すように、樹脂シート10に電場62を印加する。電場62の印加は、例えば、電場印加用電極54を樹脂シート10の側から非接触の状態で近づけることで、行われる。樹脂シート10に電場62が印加されることで、樹脂シート10に含まれる線状金属ナノ材料14が電場62を吸収し、発熱する。線状金属ナノ材料14が発熱することで、樹脂シート10に含まれる熱可塑性樹脂と、複合材料60に含まれる熱硬化性樹脂を含む樹脂とが混合し、同時硬化(コキュア、co-cure)する(ステップS24)。これにより、構造体40が得られる。

ステップS24により、樹脂シート10のうち線状金属ナノ材料14を含まない領域は、表面層42となる。ステップS24により、樹脂シート10のうち線状金属ナノ材料14を含む領域は、線状金属ナノ材料層44となる。ステップS24により、強化繊維60aは、強化繊維46aとなり、複合材料60の領域は、複合層46となる。

構造体40の製造方法において、第1の実施形態に係る樹脂シート10に代えて、第2の実施形態に係る樹脂シート20が用いられている場合、ステップS24により、樹脂シート20のうち表面層32aに相当する領域は、表面層42となる。ステップS24により、樹脂シート20のうち線状金属ナノ材料層32bに相当する領域は、線状金属ナノ材料層44となる。ステップS24により、樹脂シート20における強化繊維34a及び複合材料60における強化繊維60aは、合わせて強化繊維46aとなる。ステップS24により、樹脂シート20における複合層34及び複合材料60は、合わせて複合層46となる。

構造体40の製造方法は、以上のような構成を有するので、線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム12に潜り込んでいる樹脂シート10または線状金属ナノ材料14が樹脂フィルム30に潜り込んでいる樹脂シート20を用いるので、線状金属ナノ材料14と樹脂との接触面積が大きいため、十分に熱を伝達させて複合材料60と樹脂シート10または樹脂シート20とを同時硬化することができる。

構造体40の製造方法は、線状金属ナノ材料14が、電磁波を吸収し、電磁波探知に対するステルス機能を有することが好ましい。この場合、樹脂により保護された線状金属ナノ材料14により、電磁波探知に対するステルス機能を安定して付加させることができる。

構造体40の製造方法は、線状金属ナノ材料14が、電場が印加されることで発熱し、表面に付着した氷52を溶解する表面氷溶解機能を有することが好ましい。この構成によれば、樹脂により保護された線状金属ナノ材料14により、表面に付着した氷52を溶解する表面氷溶解機能を安定して付加させることができる。

[第4の実施形態] 第4の実施形態に係る航空機機体は、第3の実施形態に係る構造体40が用いられている。第4の実施形態の説明では、第1の実施形態から第3の実施形態と同様の構成に第1の実施形態から第3の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。

第4の実施形態に係る航空機機体は、第3の実施形態に係る構造体40が用いられているので、構造体40に備えられた電磁波を吸収する機能に基づく様々な機能、例えば、ステルス機能または表面氷溶解機能などを、備えることができる。それらの詳細を以下に説明する。

従来の航空機機体は、レーダー反射断面積(RCS、Rader Cross Section)を低減してステルス機能を備えるために、表面に電磁波吸収材塗料が塗布されていた。この従来の航空機機体は、飛行するごとに表面の電磁波吸収材塗料が剥がれてしまうため、ステルス機能を維持するためには、飛行する毎に表面に電磁波吸収材塗料が塗布される必要があった。そのため、従来の航空機機体は、ステルス機能を維持するためのメンテナンスコストがかかっていた。

第4の実施形態に係る航空機機体は、構造体40が用いられているため、電磁波を吸収する線状金属ナノ材料14を線状金属ナノ材料層44に含んでいる。線状金属ナノ材料14は、4THz以上20THz以下の範囲内といったレーダー探知機が発する電磁波の周波数を含む周波数を有する電磁波を吸収することができる。そのため、第4の実施形態に係る航空機機体は、線状金属ナノ材料14により、RCSが低く、ステルス機能を備える。

第4の実施形態に係る航空機機体に含まれる線状金属ナノ材料14は、樹脂を含む表面層42及び線状金属ナノ材料層44に含まれる樹脂により保護されているため、飛行するごとに剥がれることがない。そのため、保護された線状金属ナノ材料14を含む第4の実施形態に係る航空機機体は、特段のメンテナンスをすることなくステルス性能を維持することができるので、従来の航空機機体と比較して、ステルス機能を維持するためのメンテナンスコストを低減することができる。

航空機機体は、特に冬季において、大気中の航空機の主翼の部分が低温になるため、この主翼の部分の先端領域に着氷が生じる可能性がある。主翼の部分の先端領域の着氷が空力特性を悪化させるため、離陸時に、この着氷を除去する必要がある。

従来の航空機機体は、航空機機体が金属製の場合、融剤が着氷に塗布されたり、温が着氷に掛けられたりすることで、着氷が溶解して除去されていた。従来の航空機機体は、航空機機体が複合材料の場合、複合材料に含まれる樹脂と融雪剤とが化学的に反応するため、温水が着氷に掛けられることで、着氷が溶解して除去されていた。温水を着氷に掛けることで着氷を溶解して除去する方法は、時間がかかる。そのため、特に複合材料で形成された従来の航空機機体は、着氷の除去に時間がかかるので、運用のコストがかかっていた。

第4の実施形態に係る航空機機体は、構造体40が用いられているため、電磁波を吸収する線状金属ナノ材料14を線状金属ナノ材料層44に含んでいる。線状金属ナノ材料14は、電場が印加されることで発熱することができる。そのため、第4の実施形態に係る航空機機体は、線状金属ナノ材料14が電場印加用電極54等で印加された電場を吸収して発熱することで、着氷を熱で溶解して除去する表面氷溶解機能を備える。

第4の実施形態に係る航空機機体に含まれる線状金属ナノ材料14は、樹脂を含む表面層42及び線状金属ナノ材料層44に含まれる樹脂により保護されているため、飛行するごとに剥がれることがない。そのため、保護された線状金属ナノ材料14を含む第4の実施形態に係る航空機機体は、電場を印加する電場印加用電極54等を近づけるだけで、容易に、安定して、かつ短い時間で、航空機機体を傷めることなく、着氷を熱で溶解して除去することができる。そのため、第4の実施形態に係る航空機機体は、特に複合材料で形成された従来の航空機機体と比較して、着氷の除去にかかる時間が低減することができるので、運用のコストが低減することができる。

なお、第3の実施形態に係る構造体40が用いられる対象は、第4の実施形態のような航空機機体に限定されず、自動車及び船舶等にも用いられてもよい。

10,20 樹脂シート 12,30 樹脂フィルム 14 線状金属ナノ材料 16 加圧用シート 18 おもり 32 樹脂層 32a,42 表面層 32b,44 線状金属ナノ材料層 34,46 複合層 34a,46a,60a 強化繊維 40 構造体 48 電磁波 52 氷 54 電場印加用電極 60 複合材料 62 電場 100 従来の樹脂シート 102 従来の樹脂フィルム 104 従来の線状金属ナノ材料

QQ群二维码
意见反馈