複合材料

申请号 JP2017233117 申请日 2017-12-05 公开(公告)号 JP2018039273A 公开(公告)日 2018-03-15
申请人 サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン; 发明人 レストウツチオ,カルメロ・ルカ; フルローニ,エミリアノ; レンツイ,フイオレンツオ;
摘要 【課題】 厚さ方向における高い導電率ならびに改善された積層剥離および耐衝撃特性をもたらすことができる繊維強化複合材料が要望されている。 【解決手段】 硬化性複合材料であって、硬化性樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維の少なくとも1つの構造層と、前記構造層に隣接した不織ベールであって、不規則に配列された導電性ポリマー繊維であり、当該導電性ポリマー繊維のそれぞれが導電性成分およびポリマー成分を含む、導電性ポリマー繊維を含む、不織ベールと、を含み、各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、前記硬化性樹脂マトリックスの硬化の前に前記硬化性樹脂マトリックスにおいて実質的に不溶性であるが、前記樹脂マトリックスの硬化に際して液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含む、硬化性複合材料によって解決される。 【選択図】図1
权利要求

硬化性複合材料であって、 硬化性樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維の少なくとも1つの構造層と、 前記構造層に隣接した不織ベールであって、不規則に配列された導電性ポリマー繊維であり、当該導電性ポリマー繊維のそれぞれが導電性成分およびポリマー成分を含む、導電性ポリマー繊維を含む、不織ベールと、を含み、 各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、前記硬化性樹脂マトリックスの硬化の前に前記硬化性樹脂マトリックスにおいて実質的に不溶性であるが、前記樹脂マトリックスの硬化に際して液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含む、硬化性複合材料。樹脂注入に適合した構造プリフォームであって、 樹脂の無い強化繊維の1つ以上の層と、 不規則に配列された導電性ポリマー繊維から成る少なくとも1つの不織ベールであって、前記導電性ポリマー繊維のそれぞれは、導電性成分およびポリマー成分を含む、不織ベールと、を含み、 各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、樹脂注入によって前記プリフォームの中に導入されることになる硬化性樹脂組成物において実質的に不溶性であるが、前記樹脂を注入したプリフォームの硬化周期の間に液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含む、前記構造プリフォーム。複合構造を製作する方法であって、 (a)レイアップを形成するために、硬化性樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維の2つ以上の構造層を積み重ねた配列でレイアップすることと、 (b)少なくとも1つの不織ベールを2つの隣接した構造層間に置くことであって、 前記ベールは、不規則に配列された導電性ポリマー繊維を含み、前記導電性ポリマー繊維のそれぞれは、導電性成分およびポリマー成分を含む、当該置くことと、 (c)前記レイアップを硬化することと、を含み、 各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、前記レイアップの硬化前に前記硬化性樹脂マトリックスにおいて実質的に不溶性であり、次いで、硬化の間に、前記ポリマー材料は、前記樹脂マトリックスにおける溶解によって液相への少なくとも部分的な相転移を経る、1つ以上のポリマーを含む、前記方法。複合構造を製作する方法であって、 (a)(i)乾燥繊維の複数層と、(ii)2つの隣接した繊維層間に置かれた少なくとも1つの不織ベールであって、当該ベールは導電性ポリマー繊維を含み、前記導電性ポリマー繊維のそれぞれは、導電性成分およびポリマー成分を含む、不織ベールと、からなる乾燥繊維プリフォームを形成することと、 (b)硬化性の液体の樹脂組成物を前記乾燥繊維プリフォームに注入することと、 (c)前記樹脂を注入した繊維プリフォームを硬化することと、を含み、 各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、注入の間におよび前記樹脂を注入した繊維プリフォームの硬化の前に前記硬化性の樹脂組成物において実質的に不溶性であり、次いで、硬化の間に前記ポリマー成分は、前記樹脂組成物における溶解によって液相への少なくとも部分的な相転移を経る、1つ以上のポリマーを含む、前記方法。樹脂注入に適合した構造繊維プリフォームであって、当該構造繊維プリフォームは、導電性ポリマー繊維と物理的に結合した強化繊維を含み、 前記導電性ポリマー繊維のそれぞれは、導電性成分およびポリマー成分を備え、各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、樹脂注入の間に前記プリフォームに導入されることになる硬化性樹脂組成物において実質的に不溶性であるが、前記樹脂を注入したプリフォームの硬化周期の間に液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含む、前記構造繊維プリフォーム。前記繊維の前記物理的結合は、混合させること、繊維の同じ層において整列させること、繊維の異なる層であるが隣接した層に位置決めすることから選択される、請求項5に記載の構造プリフォーム。樹脂注入に適合した構造プリフォームであって、当該構造プリフォームは、複数の織物プライを含み、その複数の織物プライの少なくとも1つは、強化繊維および導電性ポリマー繊維から成り、 前記導電性ポリマー繊維のそれぞれは、導電性成分およびポリマー成分を含み、各導電性ポリマー繊維の前記ポリマー成分は、最初に固相であるとともに、樹脂注入の間に当該プリフォームに導入されることになる硬化性樹脂組成物において実質的に不溶性であるが、前記樹脂を注入したプリフォームの硬化周期の間に液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含む、前記構造プリフォーム。

说明书全文

航空宇宙産業では、航空機の骨組みにおける多数の一次および二次構造が複合材料でできているので、複合材の使用は、これまで以上に重要になっている。航空機設計における複合材の利点は、重量に対する強度の高い比率、優れた疲労耐久性、耐食性や柔軟性を含み、構成部分ならびに締結具および接合部の必要性において大幅な削減を可能にする。しかしながら、現代の航空機の一次および二次構造へのこれらの材料の適用は、樹脂マトリックスの誘電体性質に起因する特別な課題を生じさせる。複合材料における強化繊維としての炭素繊維の使用は、それらの黒鉛性質に起因してそれらの長手方向に沿ってある程度の導電率を届けることができるが、複合材料におけるマトリックス樹脂の誘電体特性は、複合材料および構造の全体の導電率を低減させる。電気導電率を増やされた複合材が、落雷保護、潜在的な放電、電気的接地および電磁遮蔽のための厳しい要求を満たすように航空機の一次構造に要求される。

樹脂および複合材の導電率は、異なる導電性粒子またはポリマーを樹脂マトリックスにあるいは複合構造の積層間領域に組み込むことによって改善され得る。そのような最先端の材料の解決策が、複合材の機械的性能ではなくて複合材のz方向の導電率を改善させるために使用され得る。「z方向」は、平面であって、その平面上で強化繊維が複合構造に配列される当該平面に直交する方向のこと、または複合構造の厚さを通る軸のことを言う。

本開示は、厚さ方向における高い導電率ならびに改善された積層剥離および耐衝撃特性をもたらすことができる繊維強化複合材料に関するものである。本開示の一実施形態によれば、繊維強化複合材料は、 i)硬化性樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維の少なくとも1つの構造層と、 ii)強化繊維に隣接したまたは近接した少なくとも1つの導電性の複合粒子と、を含む。

導電性の複合粒子は、ポリマー材料に分散された少なくとも1つの導電性の材料から成るマイクロンサイズの粒子である。そのように、各導電性複合粒子は導電性成分およびポリマー成分を有する。導電性の複合粒子のポリマー成分は、最初に固相にあるとともに、樹脂マトリックスの硬化の前に硬化性樹脂マトリックスにおいて実質的に不溶性であるが、樹脂マトリックスの硬化周期の間に液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる。構造層の硬化性樹脂マトリックスは、硬化性組成物であり得、その硬化性組成物において、導電性複合粒子のポリマー成分は、樹脂マトリックスの硬化周期の間に少なくとも部分的に可溶性である。

また、積層間領域において導電性複合粒子を有する多層複合構造を製作するための方法が、開示される。

本開示の別の態様は、導電性複合粒子に類似した特性を有する導電性ポリマー繊維および不織構造に関する。

本開示の一実施形態に係る導電性の複合粒子を概略的に描写する。

導電性の複合粒子を生成するための例示的な方法を例示する。

硬化の前に積層間領域において導電性の粒子を含有する複合構造を概略的に例示する。

硬化後の図2Aに描写された複合構造を概略的に例示する。

本開示の一例に従って製造されたマイクロサイズの導電性複合粒子を示す走査電子顕微鏡(SEM)画像である。

積層間領域における銅/ポリアミド複合粒子の組み込みに基づいて硬化された複合構造の断面図を示す2つの顕微鏡写真である。

同上。

積層間領域における導電性銅/PES粒子の組み込みに基づいて硬化された複合構造の断面を示す顕微鏡写真である。

最近、「第3世代強靭性複合材料」が、航空宇宙用途における一次構造のために開発されている。そのような材料の耐衝撃性は、繊維強化プライ(plie)間にポリマーのインターリーフを交互にすることによって改善される。積層内ポリマー粒子、繊維または膜の存在は、材料の誘電体性質に起因する繊維強化複合材料の「z方向」における導電率を大幅に削減し得る。従って、複合構成の潜在的な突発故障あるいは落雷事象に続く燃料蒸気発火およびそれに続く燃料タンク爆発と関連付けられた事故を避けるために、潜在的な放電や電気的接地の許容可能なレベルを確保するために「第3世代材料」における複合材のz方向の導電率を改善させることが必要である。

樹脂をベースとした複合材の導電率は、異なる導電性粒子またはポリマーを樹脂マトリックスの中にあるいは多層複合材料および構造の積層間領域に組み込むことによって改善され得る。金属充填材は、樹脂抵抗率を減らすために(通常、50重量%よりも大きい)高い荷重で使用され得るが、このアプローチは、普通、著しい重量増加および実質的な機械的特性の低下を結果としてもたらす。共役導電性ポリマーは、比較的低い荷重で樹脂系導電率を改善させることができるが、それらは、航空宇宙用途のための構造樹脂系およびプリプレグの熱機械性能を危険にさらす。また、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバなどの炭素をベースとした添加物が、樹脂系の組成物を変性させるために使用され得るが、それらは、加工性および分散の難しさをもたらし、それによって、進歩した複合構造におけるそれらの使用を制限する。

最近、導電性被膜を有する一連の積層間粒子が、2つの隣接した層間に電気的ブリッジを生成するための解決策として提案されている。しかしながら、そのような導電性粒子は、通常、高い導電率または耐衝撃特性だけをもたらすことができるが、それらの両方をもたらすことができない。

本開示は、強靭化機能を備える硬化性樹脂マトリックスおよび導電性の複合粒子を含浸させた強化繊維の1つ以上の構造層を有する複合材料を含む多機能の解決策をもたらす。その上、そのような導電性複合粒子が多層複合構造の積層間領域において使用されるとき、それらは、多層複合構造における構造繊維層間に電気的ブリッジを生成することができる。本開示の解決策は、複合構造のz方向の導電率における改善のみならず、積層内破壊靭性および耐衝撃性などの機械的特性における改善ももたらす。用語「導電性複合粒子」は、ここから先で「導電性の複合粒子」を示すために使用されることになる。導電性複合粒子は、少なくとも1つのポリマー材料内に分散された少なくとも1つの導電性の材料から成るマイクロンサイズの粒子である。そのように、導電性の複合粒子のそれぞれは、導電性の成分およびポリマー成分を有する。

複数の複合材料が多層構成(すなわち、レイアップ)に積み重ねられ硬化されると、導電性複合粒子のポリマー成分は構造層の樹脂マトリックスに溶解し、それによって、導電性成分を解放させ、その導電性成分は、次いで、制御された積層間領域および繊維層間の 導電性ブリッジを生成する。この材料の解決策は、多層複合構造の耐衝撃性および積層剥離強度を同時に改善させ得る一方、電流、例えば落雷によって生じたものなどを、複合構造の広域範囲にわたって、拡散させるか放散させ、それによって、局所部分に対する突発的な損害の可能性を減らす。その上、導電性複合粒子は、潜在的に、落雷の直接的な影響、また、特に、第3世代複合構造におけるエッジグロー(edge glow)現象を軽減するか排除するための効率的な解決策であり得る。最終的に、導電性の複合粒子は、複合材の電磁性能の面で更なる利益をもたらすことができる。高導電性および/または磁性充填材に基づく複合粒子は、複合構造の電磁干渉(EMI)遮蔽効率、誘電率および透磁率特性に適応させるための柔軟なツールとして使用され得る。

導電性複合粒子 図1は、本開示の一実施形態に係る導電性複合粒子を概略的に描写する。図1は、球形状粒子を示すが、本開示の導電性の複合粒子は、限定するものではないが、球状、回転楕円、楕円、立方体、多面体、棒状、円盤形状、および同様のものを含む任意の適切な形状のものであり得る、別個の、3次元構造であることが理解されるべきである。その上、粒子は、明確に定義された幾何形状を有してもよいし、あるいは、不規則な形状であってもよい。

導電性複合粒子の平均粒子サイズ(d50)は、150μmよりも少なく、好適には10〜90μmの範囲内にあり、より好適には10〜60μmの範囲内にある。d50は、粒子サイズ分布の中間を表し、または、代わりに、粒子の50%がこの値以下の粒子サイズを有するような分布上の値である。

導電性複合粒子の導電性成分は、1×103S/mよりも大きい導電率を有する、金属 材料、非金属の導電性材料、およびそれらの組み合わせを含み得る。適切な金属材料は、限定されるものではないが、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、鉛、錫、アルミニウム、チタン、それらの合金および混合物を含む任意の既知の金属を含む。好適には、金属材料は、1×107S/mよりも大きく、より好適には3×107S/mよりも大きい導電率を有する。適切な非金属の導電性材料は、限定されるものではないが、炭素またはグラファイトをベースとした材料を含む。

導電性材料が金属であると、導電性成分は、導電性複合粒子の総重量に基づいて1重量%から90重量%までの範囲内に、好適には30重量%から85重量%までの範囲内に、より好適には50%〜80%の範囲に存在する。導電性材料が非金属であるか炭素をベースとしたものであると、導電性成分は、導電性複合粒子の総重量に基づいて1重量%から75重量%までの範囲に、好適には1重量%から25重量%までの範囲に存在する。

導電性複合粒子のポリマー成分は、最初に固相であるとともに、室温(すなわち、20℃〜25℃)でまたは樹脂マトリックスの全硬化に十分ではない条件で硬化性樹脂マトリックス(すなわち、ホスト樹脂マトリックス)において実質的に不溶性であるが、ホスト樹脂マトリックスの硬化周期の間に液相への少なくとも部分的な相転移を経ることができる、1つ以上のポリマーを含み得る。硬化周期の間に、ポリマー成分は、樹脂マトリックスと接触すると樹脂マトリックスの中に溶解する。換言すれば、ポリマー成分は、室温でまたは樹脂マトリックスの全硬化に十分ではない条件で(例えば、プリプレグ製造の間に)硬化性樹脂マトリックスにおいて可溶性を有さない(または無視できる可溶性を有する)材料である一方、それの可溶性は、樹脂マトリックスの硬化周期の間にかなりのものである(すなわち、50%を超えて溶解する)または全体的である(すなわち、完全に溶解する)。

本明細書に使用される際、用語「硬化」または「硬化すること」は、化学添加物、紫外 線照射、マイクロ波照射、電子ビーム、ガンマ線照射または他の適切な熱もしくは非熱照射によってもたらされる、ポリマー鎖の架橋によって樹脂マトリックスを硬くすることを言う。

ホスト硬化性樹脂マトリックスにおけるポリマー成分についてのポリマーの可溶性特性は、この文脈において記述されるように、光学顕微鏡法、分光法および同様のものを含むいくつかの既知の方法論によって決定され得る。

1つの材料が別の材料において可溶性である場合、それらの溶解度パラメータ(Δδ)の差は、できるだけ小さくするべきである。ポリマーについての溶解度パラメータは、Van Krevelen(D.W.Van Krevelen、Properties of Polymers、3rd Revised Edition、Elsevier Scientific Publishing、Amsterdam、1990、Chapter7、pp189〜224を参照)によって説明されたグループ寄与法に基づく計算によって決定され得る。

ポリマーの溶解度パラメータはまた、1つの材料が溶液を形成するように別のものに溶解することになるかどうかを予測する手段としてハンセン溶解度パラメータ(HSP)を使用して決定され得る。ハンセンパラメータは、1つの分子が、それが類似の手法でそれ自体に結合する場合に別のものに「似ている」として定義される「似たものは似たものを溶解する」という考えに基づく。

導電性複合粒子のポリマー成分に適切なポリマーは、単独であるいは熱硬化性樹脂と組み合わせて、機能性または非機能性の熱可塑性樹脂のホモポリマーまたはコーポリマーから選択され得る。適切な熱可塑性材料は、例として、以下の、ポリウレタン、ポリケトン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、アクリル、ポリメタクリレート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリスルホン、ポリエステル、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシドのいずれかを単独であるいは組み合わせて含み得る。適切なポリマーはまた、エラストマー(区分化されたエラストマーを含む)または熱可塑性ポリマーとエラストマーポリマーの組み合わせを含み得る。

好適には、ポリマー成分は、適切な熱硬化性マトリックスと混和できる機能性の熱可塑性ポリマーであって、高い弾性およびガラス転移温度(Tg)を有し、また、強靭である 、熱可塑性ポリマーから選択される。一般に、少なくとも150℃のTg、好適には20 0℃を超えるTgを有する、熱可塑性ポリマーが適切である。

熱可塑性ポリマーの数平均分子量は、2000から60,000までの範囲にあり得る。好適には、それは、9000を超え、例えば、11,000から25,000までである。ホスト熱硬化性樹脂におけるこれらの熱可塑性ポリマーの存在は、架橋熱硬化性ゾーン間に強靭な熱可塑性のゾーンを提供することによって、硬化された熱硬化性樹脂の靭性を増大させる。機能性の熱可塑性ポリマーは、好適には、共有結合、イオン結合または素結合を形成するように熱硬化性樹脂組成物において官能基と化学的に反応することになる側基または連鎖終端官能基を含有する。そのような官能基は、分離の前にまたは分離に続いて、モノマーの反応によって、あるいはそれに続く生成物ポリマーの転化によって、得られ得る。好適には、熱可塑性ポリマーの官能基は、以下の式のものである。 −A−Y ここで、Aは、二価の炭化水素基、好適には芳香族であり、Yは、活性水素をもたらす基、特に、OH、NH2、NHR’またはSHであり、ここで、R’は、8までの炭素原 子を含有する炭化水素基であるか、あるいは他の架橋反応性をもたらすもの、特に、エポキシ、(メタ)クリレート、シアネート、イソシアネート、アセチレン、エチレンビニル、アリル、ベンゾキサジン、無水物、オキサゾリン、マレイミドおよび飽和状態を含有するモノマーである。

導電性複合粒子のポリマー成分は、完全なまたは部分的な相転移を経るように適合され、例えば、完全に溶解し得るか、部分的に溶解し得る。「部分的に溶解する」は、ポリマー成分の一部分がマトリックスの中に溶解されるが、別の部分は、それの要素的なまたは元の形態を保持することを意味する。部分的な溶解は、前硬化時間や温度が完全な溶解のために不十分であることを確保することによって、あるいは、例えば、不規則なもしくはブロックのコーポリマーの形態で、1つ以上の不溶性ポリマーを有する混合物またはコーポリマーとして、あるいは、有機もしくは無機化合物との混合物または有機もしくは無機化合物の誘導体として、ポリマー成分を提供することによって、実現され得る。

別の実施形態では、ポリマー成分は、熱可塑性および1つ以上の熱硬化性樹脂の混合物と、任意選択的に熱硬化性樹脂のための1つ以上の硬化剤および/または触媒と、を含み得る。適切な熱硬化性材料は、限定されるものではないが、エポキシ樹脂、添加重合樹脂、特に、ビスマレイミド樹脂、アクリル、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアン酸塩変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾキサジン樹脂、(例えば、尿素、メラミンまたはフェノールを伴う)ホルムアルデヒド縮合物樹脂、ポリエステル、アクリル、反応生成物およびそれらの組み合わせを含み得る。

導電性複合粒子を作る方法 本開示の導電性複合粒子は、単一または多数ステップ工程に従って製造され得る。一実施形態では、粒子は、2つのステップ工程によって製造され、そのステップ工程は、ポリマー材料の中に導電性成分を分散させるための最初の高せん断配合ステップを含み、粒子サイズ削減ステップが後に続く。導電性複合粒子を製造するための例示的な方法は、図2に例示される。導電性材料31およびポリマー材料32は、ペレットを形成するために押出機33において配合される。「導電性材料」は1つ以上の導電性材料を含み得、「ポリマー材料」は1つ以上のポリマーを含み得ることが理解されるべきである。そのような実施形態では、ポリマー材料および導電性材料は、好適には、導電性材料およびポリマーの同種の物理的混合物を形成するために、同時にまたは連続的に、押出機の中に供給され得る。押出機の中に導入される出発ポリマー材料32は、非晶相にあり得、または融けた形態にあり得る。

粒子を作るための出発導電性材料は、限定されるものではないが、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅、鉛、錫、アルミニウム、チタン、それらの合金および混合物を含む既知の金属から選択され得る。その上、出発導電性材料は、単独でまたは組み合わせで、マイクロメートルもしくはナノメートルの大きさを有する、例えば薄片、粉末、繊維、球体、樹枝状晶、円盤あるいは任意の他の三次元形状などの任意の適切な形状や形態のものであり得る。好適には、出発導電性材料は、高い比表面積および低い見掛け密度を有する。導電性成分は、好適には、2.0g/cm3よりも少ない見掛け密度(AD)を有し 、比表面積(SSA)は、好適には、0.1m2/gよりも高い。適切な金属材料の例は 、低密度の525ニッケル薄片(AD=0.65g/cm3、米国、Novamet S pecialty Products Corp.から利用可能)、CAP9銀粉末(SSA=3.0m2/g、英国、Johnson Mattheyから利用可能)、FS3 4銀薄片(SSA=1.2m2/g、英国、Johnson Mattheyから利用可 能)およびCH‐L7粒状銅(AD=0.6〜0.7g/cm3、SSA=0.23m2/g、ドイツ、GGP Metalpowder AGから利用可能)である。

粒子を作るための出発導電性材料はまた、炭素またはグラファイトをベースとした材料、例えば、細断された、短いカーボンファイバ、グラファイト薄片、グラファイトナノ小板、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、二層カーボンナノチューブ(DWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、カーボンナノファイバ、カーボンナノ球体、カーボンナノロッド、フラーレン、カーボンナノロープ、カーボンナノリボン、カーボンナノフィブリル、カーボンナノニードル、カーボンナノシート、グラフェン、カーボンナノコーン、カーボンナノスクロール(巻き物形状)、ならびに導電性被膜を有するか導電性被膜を有さない、それらの対応する窒化ホウ素生成物などから選択され得る。これらの「ナノ」構造は、1マイクロンよりも小さい直径または最小寸法を有する構造のことを言う。

出発導電性材料はまた、被膜生成物から選択され得る。被膜生成物は、導電性か非導電性であり得る有機または無機コアと、1つ以上の導電性シェルと、を有するコアシェル構造を含む。適切な金属被膜生成物は、限定されるものではないが、金属被膜グラファイト薄片、金属被膜ポリマー、金属被膜繊維、金属被膜セラミックス、金属被膜ガラス、金属被膜中空ガラス球体、炭素被膜ガラス、炭素被膜ポリマー、炭素被膜繊維、炭素被膜セラミックスを含む。

非金属の導電性材料の例は、NC7000多層カーボンナノチューブ(ベルギー、Nanocylから利用可能)、マイクロメートルの3775グラファイト薄片(SSA=23.7m2/g、米国、Asbury Graphite Mills,Inc.から利 用可能)、マイクロメートルの4012合成グラファイト薄片(SSA=1.5m2/g 、米国、Asbury Graphite Mills,Inc.から利用可能)である。被膜生成物の例は、米国、Novamet Specialty Products Corp.からのニッケル被膜グラファイト薄片(AD=1.7g/cm3〜1.9g/ cm3)である。

押出機内の温度は、添加される導電性材料の種類や量について、押出機内の組成物の最適な流動性のために制御されるべきである。好適な実施形態では、温度プロファイルは約90℃から約350℃までにわたる。可変の温度プロファイルが、押出機の長さに沿って使用され得る。任意選択的に、添加物、希釈剤、分散剤、顔料または安定剤が、ポリマー材料における導電性材料の安定性、加工性および分散性を改善させるためにポリマー/導電材の混合物に添加され得る。

押出機は、充填材の種類や含有量に応じて、また、ポリマーの流動学的挙動に応じて、従来の低または高せん断/混合プロファイルあるいはそれらの組み合わせを有するスクリューを含み得る。一実施形態では、一連の低せん断の従来の混合スクリュー部分が、満足な分散レベルを実現するために使用され得る。好適な実施形態では、押出機は、分散レベルを最適化するために胴部においてせん断と圧による力との間の最適なバランスを作り出すためにカオス的混合部と関連付けられた従来の混合区分を有する高せん断スクリュープロファイルを備えており、そのような工程条件は、40対1のLD比率を有する24mmの共回転ツインスクリューシステムを備えているプリズム(Prism)TS24HC押出機の使用によって実現され得る。異なる材料(導電性材料またはポリマーペレット)に適した異なる供給スクリューを有する2つの異なる供給システムが、使用され得る。約200〜300RPMのスクリュー速度および複数加熱ゾーンにおける特定温度プロファイルが、所与の混合物について60%〜95%の最大トルクを実現するために利用され得 る。他の方法が、当業者に既知の従来の技法、例えば、機械的混合、音波処理、高せん断混合、ロータ・ステータ混合およびゾルゲル技法などを使用して、ポリマー材料の中に導電性材料を分散させるために使用され得ることが理解されるべきである。

複合粒子を生成するための工程はまた、粒子サイズ縮小/微粒子化ステップを含み得る。微粒子化は、当分野に既知の従来の技法、例えば、ロータリー衝撃ミリング、Rotoplexミリング(すなわち、Hosokawa Micron Co.,Ltd.によって製造されたRotoplexグラインダーにおける細砕)、回転式分級機ミリング、ボールミリング、逆回転式ピン・ミルにおける超微細ミリング(例えば、Hosokawa Micron Ltdから利用可能なAlpine Contraplex)、流動層対向(fluidised bed opposed)ジェットミリング、スパイラルフロージェットミリング、極低温ミリングに従って行われ得る。好適な実施形態では、押出機33(図2)からのペレットは、次いで、150μmよりも小さい、またはいくつかの実施形態では60μmよりも小さい平均粒子サイズ(d50)を有するマイクロサイズの粒子の粉末を生成するために異なる回転細砕媒体を備えているAlpine極低温ミリングシステム34において細砕にさらされる。

極低温の細砕は、サイズ削減工程であり、その工程においてポリマーは、砕け易くされ、その後、液体の寒剤(通常、液体の窒素または液体のアルゴン)においてまたは極低温度で粉砕される。極低温の細砕方法は、細かいおよび制御された粒子サイズ分布を有する粉末を生成するための費用効率の良いならびにエネルギー効率の良い方法である一方、構成要素の揮発または過熱によって引き起こされた熱による損害のリスクを低減することが証明されている。スタッド、ビーター、スイングビーターおよびプレートビーター円盤を使用する特定の一連のステップは、典型的には、所望の平均粒子サイズ分布(d50)を呈する微粉化粒子を実現するために開発されている。

複合材料および構造 本開示の導電性複合粒子は、繊維強化ポリマー層、例えば、プリプレグプライ間の積層間粒子として使用され得る。そのように、この文脈におけるホスト樹脂系は、繊維強化ポリマー層またはプリプレグプライの樹脂マトリックスである。

ホスト樹脂マトリックスは、硬化性/熱硬化性組成物であり得、その組成物において、導電性複合粒子のポリマー成分は、硬化周期の間に少なくとも部分的に可溶性であり、液相への相転移は、樹脂マトリックスにおけるポリマー成分の溶解によって起こる。最初に、導電性複合粒子が、混合の間にまたはプリプレグ製造工程の間にホスト樹脂マトリックスと接触しているかホスト樹脂マトリックス内に分散されるとき、複合粒子は、固相にあるとともに、ホスト樹脂マトリックスにおいて不溶性である。複合材料/樹脂マトリックスの硬化周期の間に、各複合粒子のポリマー成分は、ホスト樹脂マトリックス内に実質的にまたは完全に溶解し、それによって、複合積層間領域における別個の、易流動性構造として導電性成分を解放する。場合によっては、ポリマー成分は、硬化後に完全に溶解し得ず(しかしながら、実質的には溶解し得)、それ故、導電性成分は、溶解されないポリマー材料のわずかな残りに付着され得ることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、ポリマー成分とホスト樹脂マトリックスとの間の相分離は、ホスト樹脂マトリックスの硬化周期の間に起こる。

ホスト樹脂マトリックス(または樹脂系)であって、それにおいて複合粒子のポリマー成分が硬化の間に可溶性である、ホスト樹脂マトリックス(または樹脂系)は、1つ以上の硬化されていない熱硬化性樹脂を含有し得、それは、限定されるものではないが、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアン酸塩変性エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾキサジン、(尿素、メラミンまたはフェノ ールなどを伴う)ホルムアルデヒド縮合物樹脂、ポリエステル、アクリル、およびそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、ホスト樹脂マトリックスは、熱硬化性組成物であり、その組成物において、導電性複合粒子のポリマー成分の少なくとも50%は、樹脂マトリックスの硬化の間に可溶性である。

適切なエポキシ樹脂は、芳香族ジアミン、芳香族モノ第1級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸のポリグリシジル誘導体を含む。適切なエポキシ樹脂の例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびビスフェノールKなどのビスフェノールのポリグリシジルエーテル、ならびにクレゾールおよびフェノールをベースとしたノボラックのポリグリシジルエーテルを含む。

特定の例は、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのテトラグリシジル誘導体(TGDDM)、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、ブロモビスフェノールFジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタンのテトラグリシジル誘導体、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、フェノール‐ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、オルト‐クレゾールノボラックのポリグリシジルエーテルまたはテトラフェニルエタンのテトラグリシジルエーテルである。

ホスト樹脂マトリックスにおける使用に適切であり商業的に利用可能なエポキシ樹脂は、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えば、HuntsmanからのMY9663、MY720、およびMY721)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソ−プロピルベンゼン(例えば、MomentiveからのEPON1071)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、(例えば、MomentiveからのEPON1072)、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(例えば、HunstmanからのMY0510)、m−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(例えば、HunstmanからのMY0610)、2,2−ビス(4、4’−ジヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAをベースとした材料のジグリシジルエーテル(例えば、DowからのDER661またはMomentiveからのEPON828、および好適には25℃で粘度8〜20Pa・sのノボラック樹脂)、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル(例えば、DowからのDEN431またはDEN438)、ジ−シクロペンタジエンをベースとしたフェノールノボラック(例えば、HuntsmanからのTactix556)、ジグリシジル1,2−フタレート(例えば、GLY CEL A−100)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)のジグリシジル誘導体(例えば、HuntsmanからのPY306)を含む。他のエポキシ樹脂は、3’,4’−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、HuntsmanからのCY179)などの脂環式を含む。

一般に、ホスト樹脂マトリックスは、硬化剤、硬化触媒、コーモノマー、流動性制御剤、粘着性付与剤、無機もしくは有機充填材、エラストマー強靭化剤、強靭化コアシェル粒子、安定剤、抑制剤、顔料、染料、難燃剤、反応性希釈剤、可溶性もしくは粒子熱可塑性物質などの他の添加物、および硬化前か硬化後に樹脂マトリックスの特性を変性させるための当業者に周知の他の添加物と組み合わせて1つ以上の熱硬化性樹脂を含有する。

ホスト樹脂マトリックスにおける(複数の)硬化剤および/または(複数の)触媒の添加は任意選択的であるが、所望に応じて、そのような使用は、硬化速度を増加させ得、および/または硬化温度を低下させ得る。硬化剤は、既知の硬化剤、例えば、芳香族または脂肪族アミン、あるいはグアニジン誘導体から適切に選択される。芳香族アミン硬化剤が 好適であり、好適には、分子毎に少なくとも2つのアミノ基を有する芳香族アミンであり、また、特に好適には、ジアミノジフェニルスルホンであり、例えば、ここで、アミノ基は、スルホン基に関してメタの位置またはパラの位置にある。特定の例は、3,3’−および4−,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、メチレンジアニリン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4’メチレンビス−(2,6−ジエチル)−アニリン(LonzaからのMDEA)、4,4’メチレンビス−(3−クロロ、2,6−ジエチル)−アニリン(LonzaからのMCDEA)、4,4’メチレンビス−(2,6−ジイソプロピル)−アニリン(LonzaからのM‐DIPA)、3,5−ジエチルトルエン−2,4/2,6−ジアミン(LonzaからのD‐ETDA80)、4,4’メチレンビス−(2‐イソプロピル−6−メチル)−アニリン(LonzaからのM‐MIPA)、4−クロロフェニル−N,N−ジメチル−尿素(例えば、Monuron)、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル−尿素(例えば、DiuronTM)およびジシアノジアミド(例えば、Pacific Anchor ChemicalからのAmicure TM CG1200)である。

ビスフェノール鎖増量剤、例えばビスフェノール−Sまたはチオジフェノールなどがまた、エポキシ樹脂のための硬化剤として有用である。例は3,3’−および4−,4’−DDSである。

適切な硬化剤はまた、無水物、特にポリカルボン酸無水物、例えばナド酸無水物、メチルナド酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、およびトリメリト酸無水物を含む。

図3Aおよび図3Bは、導電性複合粒子が複合構造に組み込まれる実施形態を例示する。図3Aを参照にすると、複数の導電性複合粒子20は、硬化性の複合層23、24、25間に形成された積層間領域21、22に分散される。複合粒子20のそれぞれは、金属材料とポリマー材料の混合物を含有する。複合層23、24、25のそれぞれは、硬化性(すなわち、硬化されていないか、十分に硬化されていない)樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維から成る。結果として生じる積層材料は、次いで、硬化にさらされる。複合層の積み重ねの硬化後、導電性複合粒子20のポリマー成分は、液相への部分的なまたは完全な相転移を経て、複合層23、24、25の樹脂マトリックス内に完全に溶解するか実質的に溶解し、それによって、図3Bに描写されるように金属材料を積層間領域の中に解放する。複合層23、24、25が炭素繊維などの導電性強化繊維を含有すると、解放された金属材料は、z方向における強化繊維の層間に導電性のブリッジを形成する。

「積層間領域」は、多層複合構造における強化繊維の隣接した層間の領域のことを言う。各繊維層は、1つ以上のポリマー材料を含浸されている。そのような層は、「繊維強化ポリマー層」として呼ばれ得る。繊維強化ポリマー層は、プリプレグの形態を取り得る。本明細書において使用される際、用語「プリプレグ」は、それらの体積の少なくとも一部内に樹脂マトリックスを含浸させた繊維のシートまたは層を含む。航空宇宙構造を製造するために使用されるプリプレグは、通常、一方向に整列された強化繊維の樹脂を含浸させたシートであり、「テープ」または「一方向テープ」として呼ばれることが多い。樹脂マトリックスは、部分的に硬化されたか硬化されない状態で存在し得る。プリプレグは、十分に含浸させたプリプレグまたは部分的に含浸させたプリプレグであり得る。典型的には、プリプレグは、最終複合部分に成形し硬化する準備ができた形態にあり、航空機の翼、胴体、隔壁および制御表面などの耐荷構造部分を製造する際に普通に使用される。硬化されたプリプレグの重要な特性は、重量減少を伴う高い強度および剛性である。

複数のプリプレグプライは、「プリプレグレイアップ」を形成するために積み重ねて連続的にレイアップされ得る。レイアップ内のプリプレグプライは、互いに対して選択された方位、例えば、0°、±45°、90°等に位置付けられ得る。プリプレグレイアップは、限定されるものではないが、ハンドレイアップ、自動式テープレイアップ(ATL)、先進型繊維配置(AFP:advanced fibre placement)、およびフィラメント巻き付けを含み得る技法によって製造され得る。

適切には、複合構造またはプリプレグレイアップの硬化は、一般に、200℃までの高い温度で、好適には170℃〜190℃の範囲で、また、漏洩ガスの変形効果を抑えるために、または空隙の形成を抑えるために高い圧力の使用を用いて、適切には10バール(1MPa)までの圧力で、好適には3バール(0.3MPa)から7バール(0.7MPa)までの範囲で、実行される。好適には、硬化温度は、5℃/分まで、例えば2℃/分から3℃/分までで加熱することによって達成され、9時間まで、好適には6時間まで、例えば2時間から4時間までの要求された期間について維持される。樹脂マトリックスにおける触媒の使用は、より低い硬化温度さえも許容し得る。圧力は、全体を通して解放され、温度は、5℃/分まで、例えば3℃/分までで冷却することによって下げられる。190℃から350℃までの範囲の温度および大気圧で次の硬化が行われ得、樹脂マトリックスのガラス転移温度を改善させるために適切な加熱速度を用いる。

高性能複合材料およびプリプレグを製作するために、適切な強化繊維は、100,000psiよりも大きい引っ張り強度および二百万psiよりも大きい引っ張り係数を有するような一般項目として特徴付けられ得る。これらの目的のために有用な繊維は、炭素またはグラファイト繊維、ガラス繊維および炭化ケイ素、アルミナ、チタニア、ホウ素および同様のもので形成された繊維、ならびに例えばポリオレフィン、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリアリレート、ポリ(ベンゾオキサゾール)、芳香族ポリアミド、ポリアリールエーテルおよび同様のものなどの有機ポリマーから形成された繊維を含み、また、2つ以上のそのような繊維を有する混合物を含み得る。好適には、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維、例えば商標名KEVLARの下でDuPont Companyによって販売された繊維などから選択される。繊維は、連続的な一方向または多方向テープのような、あるいは織られた、非けん縮、不織の織物のような、複数フィラメントで構成された裂けた、選択的に不連続的および連続的なトウの形態で使用され得る。織られた形態は、平織り、繻子織り、または綾織り様式から選択され得る。非けん縮および多軸性の形態は、多数のプライおよび繊維方位を有し得る。

導電性複合粒子は、複合構造における総樹脂含有量に基づいて0.1体積%から25体積%までの、好適には5%〜15%までの範囲における含有量で存在する。一定の実施形態では、導電性複合粒子は、非導電性の積層間強靭化粒子と組み合わせて使用され得る。そのような実施形態では、導電性と非導電性粒子の組み合わせは、複合材料の総樹脂含有量に基づいて25体積%までの含有量で存在し得る。非導電性の積層間強靭化粒子は、機能性、非機能性もしくは架橋エラストマーまたは熱可塑性粒子を含み得る。非導電性粒子に適切な材料は、ポリイミド材料(例えば、P84)、乳化ポリ(フェニレンオキシド)材料(例えば、EPPO16)、ポリ(フェニレンオキシド)材料(PPO)、カルボキシ終端ブタジエンニトリル(CTBN)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)からなる群から選択され得る。非導電性の熱可塑性粒子は、架橋熱可塑性粒子、例えば、架橋ポリエーテルスルホン(PES)、架橋ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、架橋ポリエーテルイミド(PEI)、架橋ポリフェニレンオキシド(PPO)から成る粒子、またはそれらの架橋コーポリマーであり得る。

複合材料および構造を作る方法 本開示の複合材料は、異なる工程を使用して製造され得る。一般に、導電性複合粒子を複合材料の製造に組み込むための方法は、 (a)複合混合物を形成するためにポリマー材料内に少なくとも1つの導電性材料を分散させることと、 (b)任意選択的に複合混合物を熱処理することと、 (c)複合混合物からマイクロンサイズの導電性複合粒子を形成することと、 (d)任意選択的にマイクロンサイズの導電性複合粒子を熱処理することと、 (e)強化繊維の隣接した層間の少なくとも1つの積層間領域に導電性複合粒子を組み込む複合材料の積み重ねを形成することであって、各複合材料は、少なくとも1つの繊維強化ポリマー層を含み、繊維強化ポリマー層は、硬化性樹脂マトリックスを含浸させた強化繊維から成る、当該形成することと、を含み得る。

一実施形態では、導電性複合粒子は、硬化の準備ができた積層された積み重ねを形成するために共に複数プリプレグプライを積層する前に、プリプレグプライの表面の上に堆積される。複合粒子は、散布、静電堆積、散乱被膜、噴霧分布などの任意の従来の技法および当業者によって既知の任意の他の技法によって堆積され得る。分布された複合粒子は、樹脂の粘性に起因してプリプレグの表面に付着する。プリプレグプライが積層パネルを形成するために共に積み重ねられると、粒子は積層パネルの積層間領域に残る。

別の実施形態では、特定量の導電性複合粒子は、プリプレグ製造の前に硬化性/硬化されていない樹脂マトリックスと混合される。そのような実施形態では、樹脂膜は、まず、剥離紙の上に粒子を含有する樹脂混合物を被膜することによって製造される。次いで、結果として生じる樹脂膜は、繊維を含浸させるために熱および圧力の助けの下で繊維の層の上に積層され、それによって、特定の繊維面積重量および樹脂含有量を有するプリプレグプライを形成する。積層工程の間に、導電性複合粒子は、濾過され、粒子のサイズが繊維間の間隔よりも大きいという事実に起因して繊維層の外部に残る。その後、導電性複合粒子を含有するプリプレグの2つの層の一方が、他方の頂部上に積層されると、導電性複合粒子は、2つの隣接したプリプレグプライ間の積層間領域に位置付けられる。導電性複合粒子のポリマー成分は、通常のプリプレッギング条件の下で無視できる可溶性を有するか可溶性を有さない。

代替の実施形態では、導電性複合粒子の無い硬化性樹脂組成物が、樹脂膜を形成するために剥離紙の上に被膜され、それは、次いで、繊維層の対向表面の一方または両方と接触させられる。樹脂は、繊維に含浸し、繊維層の外部表面上に少しの樹脂を残すか全く樹脂を残さない。その後、導電性複合粒子を含有する硬化性樹脂の第2の膜は、樹脂を含浸させた繊維層の外部表面と接触させられる。導電性複合粒子を含有する硬化性樹脂の追加膜は、サンドイッチ構造を形成するように樹脂を含浸させた繊維層の反対の外部表面と接触させられ得る。結果として、導電性粒子に富む樹脂層は、含浸させた繊維層の外側に残り、繊維に更に含浸しない。複数のそのような構造は、積層間領域において導電性複合粒子と複合構造を形成するために共に積層される。

別の実施形態では、導電性複合粒子の無い硬化性樹脂組成物の2つの膜が、繊維層の2つの対向表面と接触させられる。樹脂は、繊維に含浸し、繊維層の外部表面上に少しの樹脂を残すか樹脂を残さない。その後、導電性複合粒子を含有する硬化性樹脂の2つの膜は、予め含浸させた繊維層の対向表面と接触させられる。複数のそのような構造は、積層間領域において導電性複合粒子と複合構造を形成するように共に積層される。そのようなアプローチは、それが、繊維の配置を乱さない粒子から結果として生じた良く整列された積層物を提供する傾向があるので好適である。

上記方法によって形成された複合材料、構造またはプリプレグは、連続的なもしくは細 断された長さを有するテープ、トウプレグ、またはウェブの形態にあり得る。

代替の実施形態 本開示の別の態様によれば、上述したような、導電性複合粒子を形成するために使用されるポリマー材料と導電性材料の導電性混合物は、導電性ポリマー繊維、織られていない材料および構造(例えば、スクリム、マット、ウェブ、ベール、フリース、織物、繊維プリフォーム、および同様のもの)を製造するために使用され得る。

導電性ポリマー繊維は、合成繊維を製造するための当分野に既知の技法によって生成され得る。好適には、導電性ポリマー繊維は、リールの上へのポリマー/導電材の混合物の連続的な押出しによって得られ、加熱を伴う機械的引き伸ばしが後に続く。より好適には、溶けた形態にあるポリマー/導電材の混合物は、基本的な形状に引き出され、冷却され、次いで、加熱や機械的引き伸ばしの支配にさらされ、それは、ポリマー鎖を方位付け得、複合導電性要素を弾性にさせ、溶解させ易くし得る。引き伸ばしは、所望の距離、例えば50から500mmだけ、空気中に押し出される要素の引っ張りを含み得る。一実施形態では、ポリマー/導電材の混合物は、ペレットの形態または他の押し出し可能な形態で、ダイヘッド(または同様のもの)を有する押出機に供給され、そのダイヘッドは、所望の数の開口または溝が備わっている。

繊維は、20までのフィラメントの多数のフィラメントとして準備され得、それらは、溶けたポリマー/導電材の混合物から引き出され、冷却され、所望に応じて任意選択的に撚られ、次いで、加熱や引き伸ばしにさらされる。

導電性ポリマー繊維は、スパンストランドのモノフィラメント、押し出されたストランド、キャスト(cast)ストランド、連続的なストランド、連続的な繊維、2もしくは多数成分繊維、不規則な繊維、短繊維、不連続な繊維、細断された繊維、ウィスカー、中空繊維およびフィラメント、ならびにそれらの組み合わせを有する編み糸の形態にあり得る。繊維は、複数のモノフィラメントまたは単一および複数のモノフィラメントで構成された編み糸の両方であり得る。その上、繊維は、シース/コア、サイド/サイド(side/side)、パイ(pie)区分構成を有する断面、または海における島(islands‐in‐a‐sea)構成などの、より複雑な構造を有し得、また、それらは、異なるポリマーまたはそれらの混合物で作られ得る。導電性ポリマー繊維は、追加的な有機もしくは無機充填材または変性剤を含有し得る。好適には、繊維または編み糸は、約100μmを超えない直径をそれぞれ有する繊維フィラメントを含む。

導電性ポリマー繊維から形成された導電性不織材料は、不織マット、ウェブ、フリースおよびベールの形態を取り得、それらは、湿式積層、カーディング、空気積層、スパン結合、メルトブロー、フラッシュ紡糸、静電紡糸、ウォータージェットパンチングおよびニードルパンチング技法などの従来の製造技法を使用して生成され得る。

スパン結合では、導体/ポリマーの混合物のペレットは押出機に供給され、溶けた生成物は、連続的なフィラメントを形成するように複数の紡糸口金を通して押し出される。フィラメントは、ブローイング範囲における空気の流れによって冷却され、空気力によって引っ張られ、次いで、下流の排出路に運ばれる。フィラメントは、不規則な繊維の不織ウェブとして金網ベルトコンベアの上に堆積される。このウェブは、接合カレンダー(bonding calender)に移され、ここで、熱および圧力が、最終生成物を固めるために加えられる。冷却後、ウェブは巻かれ得る。

メルトブローン工程では、溶けた形態にある導体/ポリマーの混合物が、数百の小さな孔を含有するダイを通して押し出される。ダイの左側と右側から出る熱気の流れは、極め て細かいフィラメントを形成するために押し出されたポリマーの流れを急速に弱める。フィラメントは、次いで、高速度の空気によって収集スクリーンの上に吹き飛ばされ、それ故、自己結合された不織ウェブを形成する。あるいは、押し出された、連続的なフィラメントは、断片に細断され得、次いで、不織ウェブを形成するために加熱されたマンドレルの上に散乱させられ、冷却が後に続く。

複合材料における使用のための不織ベールは、編み物を織る技法を必要とすること無く、上述した不織製造工程によって生成され得る。このベールは、不規則に配列された連続的なまたは細断された繊維から成るマットあるいはウェブの形態を取り得る。繊維の組成物は、上述した導電性複合粒子の場合のようにポリマー成分と導電性成分の両方を含む。そのように、導電性ポリマー繊維は、導電性複合粒子のものに類似した特性を有する。不織ベールは、液体の樹脂注入に適合した乾燥繊維プリフォームにおける乾燥構造強化繊維(炭素繊維など)の隣接したプライ間に、また、その隣接したプライに対して接触して、あるいはプリプレグレイアップの間に2つの隣接したプリプレグプライ間のインターリーフとして、差し挟むのに特に適している。

樹脂注入において、乾燥繊維プリフォーム(樹脂無し)は、硬化性の、液体の樹脂組成物を注入される。導電性ポリマー繊維から成る不織ベールが、そのような乾燥繊維プリフォームに組み込まれると、ベールにおける導電性ポリマー繊維のポリマー成分は、樹脂注入の間にそれの固相を維持する。次いで、樹脂を注入した繊維プリフォームの硬化の間に、ポリマー成分は、樹脂に溶解することによって液相への相転移を経る。

導電性ポリマー繊維から成る不織ベールがプリプレッギングにおいて使用されると、ベールにおける導電性ポリマー繊維のポリマー成分は、プリプレグレイアップの間にそれの固相を維持し、次いで、硬化の間に、積層間導電性複合粒子を参照にして上述したように、プリプレグプライの樹脂マトリックスに溶解することによって液相への相転移を経る。

別の実施形態では、導電性ポリマー繊維は、樹脂注入に適合した構造繊維プリフォームの一部分であり、構造プリフォームは、導電性ポリマー繊維と組み合わされた強化繊維から成る。その上、構造プリフォームは、製作されることになる最終複合構造の形状に従って三次元構成に形作られ得る。繊維は、それらの物理的結合をもたらすような方式で組み合わされる。物理的結合をもたらすために組み合わせることは、編み物の分野において既知のような方法、例えば、縫うこと、編むこと、けん縮させること、パンチングすること、織ること、組物をすること、巻き過ぎること、網目状にすること、混合すること、整列させること、撚ること、巻き取ること、結び目をつけること、糸通しすること、繊維の異なる層であるが隣接した層に位置付けられる、繊維の同じ層において位置決めすること、および同様のことによるものであり得る。導電性ポリマー繊維は、整列されてもしくは整列されないで、または縫われた様式で、あるいは複数の導電性複合繊維および強化繊維から成るマルチフィラメント糸として、強化繊維の間に配列され得る。この文脈における強化繊維は、炭素、ガラス、無機オキシド、アラミド、カーバイド、ホウ素、セラミックス、金属、金属被膜繊維またはそれらの組み合わせでできた繊維である。構造繊維プリフォームは、次いで、硬化性の、液体の樹脂組成物を注入され、導電性特性を有する複合構造を形成するための硬化が後に続く。導電性ポリマー繊維のポリマー成分は、導電性複合粒子を参照にして上述したように、硬化の間に同じ液体の相転移を経る。

また、本明細書において意図されるものは、強化繊維と導電性ポリマー繊維の組み合わせから成る非けん縮織物である。「非けん縮」は、繊維が、実質的なけん縮無しに、真っすぐなままであるように、繊維の複数層が、縫うことによってあるいはバインダの適用によって互いの上に置かれ織物に変形される織物のことを言う。導電性ポリマー繊維は、非けん縮織物の1つ以上の層に存在し得る。その上、導電性ポリマー繊維は、z方向の導電 率および強靭化などの特性を局所的に与えるように強化繊維に対して不均一に存在し得る。そのような非けん縮織物は、樹脂注入に適合した構造繊維プリフォームの中に組み込まれ得る。

用途 本発明の複合材料は、任意の分野における有用性であって、その分野において、それが複合材料/構造に改善された導電率を与えることを要求される、有用性を見い出している。本開示の一実施形態によれば、本開示の複合材料のz方向の導電率は、従来の第三世代の炭素繊維強化材料について測定された値よりも少なくとも1桁大きい。

本開示の複合材料は、輸送用途(例えば、航空宇宙、航空学、航海学および陸上の乗物)のための構成要素の製造に適用でき、例えば、一次および二次航空機構造(胴体、翼、隔壁等)、空間や軌道学構造を含む。本開示の複合材料はまた、建物/建築物用途にも有用性を見い出している。その上、本開示の複合材料、特にプリプレグおよびプリプレグレイアップは、耐荷重または衝撃耐久構造の製作に特に適している。

続く例は、本開示のいくつかの好適な実施形態およびそれらのテスト結果を例示する役割りを果たすが、それらは、決して本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

測定方法 以下の例では、以下の測定方法を使用した。

Z方向の直流導電率 硬化された複合材料の導電率は、ブリッジ法において印加した電圧と電流との間の比率として抵抗値を記録するBurster‐Resistomat2316ミリオームメータによって測定した。Kelvinテストプローブは、2つのサンプル表面間に接触をもたらすために使用した。全ての測定は、標準の湿度条件において室温(RT)で4線式測定方法に従って実行した。

測定は、EN2565方法Bに従って準備した欠陥のないパネルから抽出した切り取り片上で行った。約2mmの厚さの擬似等方性の正方形サンプル(側辺の長さ=40mm±0.1mm)が特徴付けられた。

複合試料表面は、電極との直接接触の確保の下に炭素繊維を露出するように頂部の樹脂に富む層を除去することによって準備した。次いで、商業用銀ペーストは、切り取り片の両面上に2つの電極を生成するために使用した。材料およびレイアップにつき少なくとも5つのサンプルをテストした。

直流導電率は、以下の式に従って[S/m]で計算した。

ここで、Rは測定した抵抗[オーム]であり、 lはサンプルの厚さ[m]であり、 Sはサンプルの表面積[m2]である。

粒子サイズ分布 粒子サイズ分布は、0.02μmから2000μmまでの範囲で動作するMalvern Mastersizer2000を使用して測定した。

ニッケルをベースとした導電性複合粒子の準備 70重量%の最終濃度を達成するために十分な量のフィラメント状ニッケル(Ni)薄片(Novametから利用可能な525ニッケル粉末)は、ツインスクリュー押出機(SumitomoからのSumikaexel5003P)における溶融混合工程によって機能性ポリエーテルスルホン(PES)ポリマー内に分散した。同じPESポリマーの純サンプルは、対照標準として使用した。分散レベルを最適化するための高せん断スクリュープロファイルを使用した。プロファイルは、押出機の胴部においてせん断と圧力による力との間の最適なバランスを作り出すためにカオス的混合部と結合された従来の混合区分を含む。使用した温度プロファイルおよび工程条件は表1に報告される。

結果として生じるNi/PES混合物は、異なる回転、細砕媒体を備えたAlpineの極低温のミリングシステムを使用して60μmよりも小さい平均粒子サイズを有するマイクロサイズの粒子(すなわち、「微粒子」)を生成するように極低温の細砕にさらした。詳細には、スタッドビーター、スイングビーターおよびプレートビーターを使用する複数パスが、ターゲット粒子サイズ分布を達成するために必要とした。図4は、極低温の細砕の結果として生成されたマイクロンサイズの複合Ni/PES粒子のSEM画像を示す。

複合構造の電気的性能上のニッケルをベースとした導電性微粒子の効果 実施例1の複合ニッケル/PES微粒子は、英国、Cytec Engineered Materials Ltdによって供給されたCYCOM(登録商標)977−2−34%−194‐IMS24K一方向テープ(エポキシをベースとしたマトリックスを含浸させた一方向炭素繊維)の表面上への散布工程によって分散させた。粒子荷重は、テープにおける総樹脂体積に基づいて10体積%であった。複数のそのようなテープは、微粒子を隣接したテープ間に位置付けて、一方を別の頂部上にレイアップし、1.5mmの厚さの擬似等方性テストパネルを形成した。パネルは、次いで、オートクレーブにおいて180℃で2時間の硬化周期に従って硬化した。このテストパネルは、「2A」としてラベル付けた。

硬化工程の間に、粒子は、積層間領域を画定する隣接した炭素繊維層間の樹脂に富む範囲に位置付けた。複合微粒子の熱可塑性成分は、硬化周期の間にテープのエポキシをベー スとしたマトリックスに溶解され、多層パネルの積層間領域に(導電性粒子として)金属成分を解放する。そのような手法で、局所的な導電性棚部またはブリッジは、隣接した炭素繊維層間に生成した。

比較目的のために、「参照1」としてラベル付けた、類似のテストパネルは、同じ方法によって製造したが、複合PES/ニッケル微粒子は、非導電性の架橋熱可塑性(TP)粒子と交換した。2つのテストパネルについてのz方向の導電率値は、表2に示される。

パネル2Aの積層間領域における複合Ni/PES微粒子の制御された導入は、参照1のパネルと比較してz方向の導電率において2桁以上の改善を生み出すように決定した。複合体積抵抗率における低減は、複合Ni/PES微粒子の制御された溶解メカニズムを通して生成した電気的ブリッジの数の増加の結果であると信じられている。

複合構造の機械的性能上の導電性積層間粒子荷重の効果 実施例2において使用した同じ複合Ni/PES微粒子の2つの異なる荷重(10体積%および20体積%)は、英国、Cytec Engineered MaterialsからのCYCOM(登録商標)977−2−34%−194−IMS24K一方向テープの表面上に別個に分散した。異なる粒子荷重を有する2つのテストパネルは、微粒子がその上に分散されたテープをレイアップすることによって形成した。結果として生じるテストパネルは、熱機械特性上の複合微粒子の効果を決定するために評価した。10%微粒子を含有するテストパネルは「3B」としてラベル付け、20%微粒子を含有するテストパネルは「3C」としてラベル付けた。比較目的のために、複合Ni/PES微粒子を含有しなかった類似のテストパネルを製造し、「参照2」としてラベル付けた。 テストパネルの機械的性能は、表3に示される。

パネル3Bおよび3Cにおける複合Ni/PES粒子の10体積%および20体積%の 導入は、それぞれ、参照2のパネルと比較してモードIにおける積層剥離成長抵抗において、それぞれ、60%および73%の改善を生み出すように決定した。また、モードII値における積層剥離成長抵抗の同時の10%〜15%の増加を観測した。加えて、複合Ni/PES微粒子の10%の導入は、30J衝撃後の圧縮強度における25%の増加を結果としてもたらした一方、損害範囲を大幅に削減した。

複合構造の電気的性能上の銀をベースとした導電性微粒子の効果 (英国、Johnson Mattheyからの)十分な量の銀(Ag)粉末CAP9は、複合混合物(ポリマー成分+導電性成分)の70重量%の最終Ag濃度を達成するためにツインスクリュー押出機(SumitomoからのSUMIKAEXEL5003P)における溶融混合工程によって、商業的に利用可能な機能性ポリエーテルスルホンポリマー内に分散した。高せん断スクリュープロファイルを使用した。使用した温度プロファイルおよび工程条件は、表1に示される。

押出機から生成したペレットは、その後、60μmよりも小さい平均粒子サイズを有する複合Ag/PES微粒子を生成するために極低温の細砕デバイスにおいて粉砕した。

複合微粒子は、例2に記載したようなCYCOM(登録商標)977−2−34%−194−IMS5131−24K一方向テープ表面の上に散布させ、複数の結果として生じるテープは、擬似等方性パネルを形成するようにレイアップした。次いで、パネルは、オートクレーブにおいて3時間180℃で硬化した。パネルにおける総樹脂含有量に基づいて10体積%の粒子荷重は、この例のために選択した。結果として生じるパネルは「4A」としてラベル付けた。

4Aパネルのz方向の導電率は、上記した方法に従って測定した。表4は、4Aパネルと例2に記載した参照1のパネルとの間のz方向の導電率における比較を示す。

複合Ag/PES微粒子の導入は、参照1のパネルと比較してz方向の導電率において半桁を超える改善を生み出すことが分かった。

複合構造の電気的性能上の導電性複合微粒子のポリマー成分の効果 代替の導電性複合混合物「5A」は、実施例1に記載したようなツインスクリュー押出機(英国、SumitomoからのSUMIKAEXEL5003P)において、商業的に利用可能な機能性ポリエーテルスルホン(PES)ポリマーの中に商業的に利用可能な粒状銅(Cu)(GGP Metalpowder AGからのCH‐L7)を分散させることによって生成した。複合混合物の全体の重量に基づいて65重量%の銅濃度を得た。

比較目的のために、導電性複合混合物「5B」は、例1に記載したツインスクリュー押出機を使用して、商業的に利用可能なポリアミド(英国、Evonikから利用可能なVESTOSINT2159)に同じ銅材料の同一の含有量(65重量%)を配合することによって生成した。工程条件は、表5に示される。

いずれの場合においても、押出機から生成されたペレットは、50μmよりも小さい平均サイズ(d50)を有する導電性複合微粒子を生成するために極低温の細砕デバイスにおいて粉砕した。微粒子は、次いで、レイアップする前に、テープにおける総樹脂含有量に基づいて10体積%の粒子荷重で977−2−34%−194−IMS24K一方向テープの表面の上に分散した。複数のそのようなテープは、例2に記載したようなパネルを形成するように介在させた積み重ねの連続でレイアップした。パネルは、次いで、オートクレーブにおいて3時間180℃で硬化した。

Z方向の導電率値は、前に記載したように記録し、結果は表6に示される。実施例2において開示したような「参照1」パネルは、比較のために本明細書において使用される。

図5Aは、積層間領域においてCu/ポリアミド複合粒子を含有する硬化したパネル(5B)の断面を示し、図5Bは、積層間領域の一部分の(暗視野における)分解図である。ポリアミドをベースとした粒子が、硬化周期の間にエポキシマトリックスの中に効率的に溶解しなかったことは、図5Aおよび図5Bから見ることができ、それ故、炭素繊維の層間の電気的ブリッジの形成を制限する。従って、積層したパネルの積層間領域における複合粒子の導入は、標準の非導電性の熱可塑性物質介在パネル(参照1)にわたってz方向の導電率において何の著しい改善も結果としてもたらさなかった。

対照的に、パネル5AにおけるPESをベースとした粒子は、硬化周期の間にエポキシマトリックスの中に実質的に溶解され、銅粒子を複合パネルの積層間領域の中に解放した。そのような手法で、導電性棚部またはブリッジは、隣接した炭素繊維層間に生成した。図6は、Cu/PES複合粒子の10体積%を含有する硬化したパネル5Aの断面図を示す。制御された溶解メカニズムの結果として、Cu/PES複合粒子は、非導電性の熱可塑性粒子と比較してz方向の導電率において約1桁の改善をもたらすことが分かった。

上記結果は、導電性複合粒子のための適切なポリマー成分の選択が、上記溶解メカニズムを達成する際に重大であり、それは、次いで、複合構造のためのz方向の導電率における改善をもたらすことを更に実証する。

複合材の電気的性能上の導電性粒子:非導電性粒子の比率の効果 4つの異なるパネル(7A〜7D)は、例5に記載した導電性複合Cu/PES粒子と表7に示される異なる導電性粒子:非導電性粒子の比率における非導電性の熱可塑性(TP)粒子を使用して例2に記載したように製作し硬化した。硬化したパネルのz方向の導電率を測定し、結果を表7に示す。実施例2に開示したような「参照1」パネルは、本明細書において比較のために使用する。

表7に示されるように、Cu/PES複合粒子の荷重増加に伴ってz方向の導電率における明確な改善傾向がある。

本明細書に開示された範囲は、包括的であり、独立して組み合わせることができる(例えば、「約25体積%まで、または、より詳細には、約5体積%から約20体積%まで」の範囲は、範囲の終点および全ての中間値を包括する)。

種々の実施形態が本明細書に記載されたが、要素の種々の組み合わせ、それらにおける変形または改善は、当業者によってなされ得、本開示の範囲内にあることは、明細書の記載から理解されることになる。加えて、多くの修正が、特定の状況に適合させるためになされ得、あるいは、それらの本質的な範囲から逸脱することなく本開示の教示に重要であり得る。従って、発明は、この発明を実行するために考えられた最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されないこと、しかしながら、発明は、添付の特許請求の範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることが、意図される。

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