構造体製造装置、構造体製造方法、および構造体

申请号 JP2015073319 申请日 2015-03-31 公开(公告)号 JP2016190627A 公开(公告)日 2016-11-10
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 神原 信幸; 阿部 俊夫;
摘要 【課題】構造体の重量増加や品質管理の労 力 を増大させることなく落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造する構造体製造装置および構造体製造方法を提供する。 【解決手段】それぞれ導電性を有する複合材料31およびボルト32の間に存在するとともに複合材料31およびボルト32よりも電気抵抗値の高い間隙に所定電流値の電流を印加して間隙の電気抵抗値を低下させる定電流源10を備える構造体製造装置100を提供する。 【選択図】図1
权利要求

それぞれ導電性を有する第1導電部および第2導電部を備える構造体を製造する構造体製造装置であって、 前記第1導電部および前記第2導電部の間に存在するとともに該第1導電部および該第2導電部よりも電気抵抗値の高いギャップ部に所定電流値の電流を印加して該ギャップ部の電気抵抗値を低下させる電流印加部を備える構造体製造装置。前記第1導電部は、樹脂材料を炭素繊維により強化した複合材料または金属材料であり、 前記電流印加部は、前記樹脂材料の一部を炭化させ、または前記金属材料の一部を溶融させて前記ギャップ部の電気抵抗値を低下させる請求項1に記載の構造体製造装置。前記第2導電部は、前記第1導電部に形成される締結穴に挿入されて該第1導電部と他の部材とを連結する締結部材であり、 前記ギャップ部は、前記締結穴と前記締結部材との間に形成される間隙である請求項1又は2に記載の構造体製造装置。前記電流印加部は、前記所定電流値の最大値が0.1kA以上かつ50kA以下となるように電流を印加する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造体製造装置。前記電流印加部は、前記所定電流値の最大値が1kA以上かつ5kA以下となるように電流を印加する請求項4に記載の構造体製造装置。前記電流印加部は、電流の印加を開始してから終了するまでの電流印加時間を300μ秒以上かつ1秒以下となるように電流を印加する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造体製造装置。それぞれ導電性を有する第1導電部および第2導電部を備える構造体を製造する構造体製造方法であって、 前記第1導電部および前記第2導電部の間に存在するとともに該第1導電部および該第2導電部よりも電気抵抗値の高いギャップ部に所定電流値の電流を印加して該ギャップ部の電気抵抗値を低下させる電流印加工程を備える構造体製造方法。前記第1導電部は、樹脂材料を炭素繊維により強化した複合材料または金属材料であり、 前記電流印加工程は、前記樹脂材料の一部を炭化させ、または前記金属材料の一部を溶融させて前記ギャップ部の電気抵抗値を低下させる請求項7に記載の構造体製造方法。前記第2導電部は、前記第1導電部に形成される締結穴に挿入されて該第1導電部と他の部材とを連結する締結部材であり、 前記ギャップ部は、前記締結穴と前記締結部材との間に形成される間隙である請求項7又は8に記載の構造体製造方法。前記電流印加部は、前記所定電流値の最大値が0.1kA以上かつ50kA以下となるように電流を印加する請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の構造体製造方法。前記電流印加工程は、前記所定電流値の最大値が1kA以上かつ5kA以下となるように電流を印加する請求項10に記載の構造体製造方法。前記電流印加工程は、電流の印加を開始してから終了するまでの電流印加時間を300μ秒以上かつ1秒以下となるように電流を印加する請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の構造体製造方法。請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の構造体製造方法により製造された構造体。

说明书全文

本発明は、それぞれ導電性を有する第1導電部および第2導電部を備える構造体を製造する構造体製造装置、構造体製造方法、および構造体に関するものである。

航空機の主翼やインテグラルタンク等に用いられる機体材料には、軽量で強度が高く耐久性を備えた材料が求められている。機体材料として、例えば、アルミニウム合金等の軽量の金属材料が用いられる。また、近年これらの要求が強まるにつれて、機体材料として樹脂を炭素繊維で強化した複合材料が用いられるようになっている。

主翼等の機体材料を構造部材に接合して補強するために、金属製(例えば、チタン合金)のファスナが用いられる。金属製のファスナと機体材料との接触抵抗値が高い場合、落雷によりファスナに流れる被雷電流が機体材料に十分に導かれずにファスナを通過し、機体の内部に導かれて火花(スパーク)を発生させる恐れがある。

特許文献1には、ファスナの構造部材を突き抜ける部分を覆うように導電性のキャップを取り付けてファスナの部に電界が集中しないようにし、落雷による電流がファスナを通って流れた場合の火花(スパーク)の発生を抑制することが開示されている。

特開2011−195114号公報

しかしながら、特許文献1においては、ファスナの構造部材を突き抜ける部分を覆うように導電性のキャップを取り付けるため、キャップを新たに取り付けることによる重量増加が避けられない。 また、火花(スパーク)の発生を確実に抑制するためのキャップの厚さ等の品質管理に多大な労を要する。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構造体の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造する構造体製造装置および構造体製造方法を提供することを目的とする。また、この構造体製造方法により製造された構造体を提供することを目的とする。

上記した課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。 本発明の一態様にかかる構造体製造装置は、それぞれ導電性を有する第1導電部および第2導電部を備える構造体を製造する構造体製造装置であって、前記第1導電部および前記第2導電部の間に存在するとともに該第1導電部および該第2導電部よりも電気抵抗値の高いギャップ部に所定電流値の電流を印加して該ギャップ部の電気抵抗値を低下させる電流印加部を備える。

本発明の一態様にかかる構造体製造装置によれば、構造体の第1導電部および第2導電部の間に存在するギャップ部に所定電流値の電流を印加することによりギャップ部の電気抵抗値が低下し、落雷により第2導電部に流れる被雷電流が第2導電部から第1導電部に導かれ易い構造体が製造される。 そのため、構造体の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造することができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造装置において、前記第1導電部は、樹脂材料を炭素繊維により強化した複合材料または金属材料であり、前記電流印加部は、前記樹脂材料の一部を炭化させ、または前記金属材料の一部を溶融させて前記ギャップ部の電気抵抗値を低下させる構成であってもよい。 本構成によれば、第1導電部である複合材料に含まれる樹脂材料の一部を炭化させてギャップ部の電気抵抗値を低下させ、あるいは第1導電部である金属材料の一部を溶融させ、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造することができる。

上記構成の構造体製造装置において、前記第2導電部は、前記第1導電部に形成される締結穴に挿入されて該第1導電部と他の部材とを連結する締結部材であり、前記ギャップ部は、前記締結穴と前記締結部材との間に形成される間隙であってもよい。 このようにすることで、第1導電部に形成される締結穴の一部を溶融または炭化させて締結穴と締結部材との間に形成される間隙の電気抵抗値を低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造装置において、前記電流印加部は、前記所定電流値の最大値が0.1kA以上かつ50kA以下となるように電流を印加する構成であってもよい。 このようにすることで、ギャップ部に印加される電流により第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を低下させることができる。

上記構成の構造体製造装置において、前記電流印加部は、前記所定電流値の最大値が1kA以上かつ5kA以下となるように電流を印加するようにしてもよい。 このようにすることで、ギャップ部に印加される電流により第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを更に抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を適切に低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造装置において、前記電流印加部は、電流の印加を開始してから終了するまでの電流印加時間を300μ秒以上かつ1秒以下となるように電流を印加するようにしてもよい。 このようにすることで、電流印加時間が長くなって第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造方法は、それぞれ導電性を有する第1導電部および第2導電部を備える構造体を製造する構造体製造方法であって、前記第1導電部および前記第2導電部の間に存在するとともに該第1導電部および該第2導電部よりも電気抵抗値の高いギャップ部に所定電流値の電流を印加して該ギャップ部の電気抵抗値を低下させる電流印加工程を備える。

本発明の一態様にかかる構造体製造方法によれば、構造体の第1導電部および第2導電部の間に存在するギャップ部に所定電流値の電流を印加することによりギャップ部の電気抵抗値が低下し、落雷により第2導電部に流れる被雷電流が第2導電部から第1導電部に導かれ易い構造体が製造される。 そのため、構造体の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造することができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造方法において、前記第1導電部は、樹脂材料を炭素繊維により強化した複合材料または金属材料であり、前記電流印加部は、前記樹脂材料の一部を炭化させ、または前記金属材料の一部を溶融させて前記ギャップ部の電気抵抗値を低下させる構成であってもよい。 本構成によれば、第1導電部である複合材料に含まれる樹脂材料の一部を炭化させ、あるいは第1導電部である金属材料の一部を溶融させてギャップ部の電気抵抗値を低下させ、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造することができる。

上記構成の構造体製造方法において、前記第2導電部は、前記第1導電部に形成される締結穴に挿入されて該第1導電部と他の部材とを連結する締結部材であり、前記ギャップ部は、前記締結穴と前記締結部材との間に形成される間隙であってもよい。 このようにすることで、第1導電部に形成される締結穴の一部を溶融または炭化させて締結穴と締結部材との間に形成される間隙の電気抵抗値を低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造方法において、前記電流印加工程は、前記所定電流値の最大値が0.1kA以上かつ50kA以下となるように電流を印加する構成であってもよい。 このようにすることで、ギャップ部に印加される電流により第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を低下させることができる。

上記構成の構造体製造方法において、前記電流印加工程は、前記所定電流値の最大値が1kA以上かつ5kA以下となるように電流を印加するようにしてもよい。 このようにすることで、ギャップ部に印加される電流により第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを更に抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を適切に低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体製造方法において、前記電流印加部は、電流の印加を開始してから終了するまでの電流印加時間を300μ秒以上かつ1秒以下となるように電流を印加するようにしてもよい。 このようにすることで、電流印加時間が長くなって第1導電部および第2導電部が損傷を受けることを抑制しつつギャップ部の電気抵抗値を低下させることができる。

本発明の一態様にかかる構造体は、上記いずれかに記載の構造体製造方法により製造される。 このようにすることで、構造体の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を提供することができる。

本発明によれば、構造体の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体を製造する構造体製造装置および構造体製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前述した構造体製造方法により製造された構造体を提供することができる。

構造体製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。

図1の構造体を示す図であり、(a)が平面図を示し、(b)が(a)のA−A矢視断面図を示す。

図2(b)の要部拡大図である。

図1に示す定電流源が構造体に印加する電流値と印加時間の関係を示す図である。

複合材の端面を示す図である。

変形例の構造体が取り付けられた構造体製造装置を示す概略構成図である。

図6の構造体を示す図であり、(a)が平面図を示し、(b)が(a)のB−B矢視断面図を示す。

以下に、本発明の一実施形態にかかる構造体製造装置100について、図面を参照して説明する。 図1に示すように、構造体製造装置100は、樹脂材料を炭素繊維により強化した2枚の板状の複合材料31(第1導電部)および複合材料33(他の部材)をボルト32(第2導電部;締結部材)およびナット34で連結した構造体30に電流を印加して構造体30を製造する装置である。

図1に示すように、構造体製造装置100は、設定された任意の電流値の電流を印加する定電流源10と、定電流源10と構造体30とを電気的に接続する定電流経路20とを備える。 定電流経路20は、定電流源10の一端と構造体30の一端とを電気的に接続する第1定電流経路21と、定電流源10の他端と構造体30の他端とを電気的に接続する第2定電流経路22とを備える。 定電流源10は、定電流経路20を介して、後述する図4に示す波形の電流を構造体30に印加するよう制御することが可能な装置である。

構造体30が備える複合材料31,33は、樹脂材料を炭素繊維により強化した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)である。樹脂材料として、例えば、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。 複合材料31,33は、補強材として炭素繊維が用いられるため金属に比して十分に低いものの導電性を有している。また、樹脂材料に導電性の粒子又は繊維を含ませて構造体を形成し、複合材料31,33の導電性を高めるようにしてもよい。

図2(a)の平面図に示すように、構造体30は、それぞれ板状に形成される複合材料31および複合材料33と、それらを連結するボルト32を備える。 図2(a)のA−A矢視断面図である図2(b)に示すように、構造体30は、複合材料31の締結穴31aと複合材料33の締結穴33aにボルト32を挿入してナット34と締結させることにより、複合材料31と複合材料33とが連結された構造体である。

ボルト32およびナット34は、金属材料により形成される導電性を有する部材である。ボルト32およびナット34は金属材料により形成されるため、導電性が複合材料31,33に比べて高くなっている。 ボルト32の先端部の外周面には雄ねじが形成され、ナット34の内周面には雌ねじが形成される。ボルト32の先端部の雄ねじをナット34の内周面の雌ねじに締結することにより、ボルト32がナット34に締結される。

図3は、図2(b)に示す構造体30の要部拡大図であり、構造体製造装置100の定電流源10による電流の印加が行われる前の状態を示すものである。 図3に示すように、複合材料31に形成される締結穴31aの内周面とボルト32の外周面32bとの間には、間隙35(ギャップ部)が形成されている。同様に、複合材料33に形成される締結穴33aの内周面とボルト32の外周面32bとの間には、間隙36(ギャップ部)が形成されている。 間隙35は、複合材料31およびボルト32よりも電気抵抗値の高い箇所となっている。同様に、間隙36は、複合材料33およびボルト32よりも電気抵抗値の高い箇所となっている。

構造体30は、例えば、航空機の主翼と一体化し翼構造を液体燃料が漏れない液密構造とした燃料タンクであるインテグラルタンクとして用いられる。この場合、ボルト32の頭部32aが主翼の外皮(スキン)の一部を形成するよう露出しているため、複合材料31にくらべて導電性の高いボルト32の頭部32aに着雷が発生し易い。

ボルト32の頭部32aへの着雷が発生した場合、ボルト32の内部に雷撃電流が流れる。この場合、雷撃電流が複合材料31,33に流れれば火花(スパーク)が発生しない。しかしながら、間隙35および間隙36の電気抵抗値が高く雷撃電流が複合材料31,33に流れない場合、ボルト32の先端部32cやナット34の角部で火花(スパーク)が発生してしまう。

そこで、本実施形態の構造体製造装置100は、間隙35および間隙36に所定電流値の電流を印加して間隙35および間隙36の電気抵抗値を低下させ、雷撃電流が複合材料31,33に流れ易くし、火花(スパーク)の発生を抑制するようにしている。 ここで、所定電流値とは、間隙35を形成する複合材料31の樹脂材料の一部および間隙36を形成する複合材料33の樹脂材料の一部を炭化させ、間隙35および間隙36の電気抵抗値を低下させるのに十分な電流値をいう。また、この所定電流値は、複合材料31および複合材料33を電流の印加により破壊しないように、着雷による雷撃電流として想定される電流値よりも十分に低い電流値をいう。

図4は、図1に示す定電流源10が構造体30に印加する電流値と印加時間の関係を示す図である。 図4において、横軸は定電流源10が定電流経路20を介して構造体30の両端部に電流の印加を開始してから経過する印加時間を示しており、縦軸は各印加時間において定電流源10により印加される電流の電流値を示している。

図4に示す電流値の波形は、電流値の最大値がImaxであり、電流の印加を開始してから50μ秒後に電流値が0.9・Imaxとなる波形となっている。 ここで、定電流源10により設定されるImaxの値は、以下の式(1)を満たすものである。 0.1kA≦Imax≦50kA (1) また、定電流源10により設定されるImaxの値は、以下の式(2)を満たすようにするのが更に好ましい。 1kA≦Imax≦5kA (2)

また、図4に示す電流値の波形において、定電流源10による電流の印加を開始してから電流の印加を終了するまでの印加時間Tは、以下の式(3)を満たすようにするのが好ましい。ここで、sは秒を示している。 300μs≦T≦1s (3) また、印加時間Tは、約500μsに設定するのが更に好ましい。

本実施形態の構造体製造装置100による構造体30の製造方法は、以下の工程により行われる。 第1に、複合材料31および複合材料33を、ボルト32およびナット34により連結し、構造体30とする。 第2に、構造体30の一端部である複合材料31の端部を第1定電流経路21に接続し、構造体30の他端部である複合材料33の端部を第2定電流経路22に接続する。

第3に、定電流源10から図4に示す波形の電流の印加を行い、間隙35および間隙36に所定電流値の電流を印加する(電流印加工程)。間隙35および間隙36に所定電流値の電流を印加することにより、間隙35を形成する複合材料31の樹脂材料の一部および間隙36を形成する複合材料33の樹脂材料の一部を炭化させ、間隙35および間隙36の電気抵抗値を低下させる。 以上の工程により、間隙35および間隙36の電気抵抗値が低下した構造体30が製造される。

図5に示すように、樹脂材料を炭素繊維31bで強化した複合材料31は、切削加工によって形成された切削面である端面において、炭素繊維31bが露出している。このように端面に露出した複数の炭素繊維31bは、互いに接触せずに離間している。そのため、複合材料31に雷撃電流が流れると、隣接する炭素繊維31bの間に形成される間隙(ギャップ部)での放電現象により火花(スパーク)が発生する現象(エッジグロー現象)が起こる可能性がある。

前述した構造体製造装置100による構造体30の製造方法によれば、定電流源10から構造体30に図4に示す波形の電流の印加が行われる。そのため、複合材料31の端面に露出した隣接する炭素繊維31bの間の樹脂層31cの一部が炭化し、炭化した樹脂層31cによって隣接する炭素繊維31b同士の導電性が高くなり隣接する炭素繊維31bの間隙の電気抵抗値が低くなる。そのため、着雷した場合に構造体30の端面において、放電現象により火花(スパーク)が発生する現象(エッジグロー現象)が抑制される。

以上の説明において、構造体製造装置100の定電流源10により電流が印加される構造体は、複合材料31と複合材料33とをボルト32で連結したものであったが、他の態様であってもよい。 例えば、図6および図7(a)に示す変形例のように複合材料41aの両端部に複合材料43aおよび複合材料43bをそれぞれ連結し、複合材料43bの端部に複合材料41bを連結した構造体40であってもよい。

図7(b)に示すように、変形例の構造体40は、複合材料41aの一端部に形成される締結穴にボルト42aを挿入してナット44aに締結し、複合材料41aおよび複合材料43aを連結したものである。また、変形例の構造体40は、複合材料41aの他端部に形成される締結穴にボルト42bを挿入してナット44bに締結し、複合材料41aおよび複合材料43bを連結したものである。また、変形例の構造体40は、複合材料41bの一端部に形成される締結穴にボルト42cを挿入してナット44cに締結し、複合材料41bおよび複合材料43bを連結したものである。

図6に示すように、構造体製造装置100の第1定電流経路21が構造体40の端部である複合材料43aの端部に接続され、構造体製造装置100の第2定電流経路22が構造体40の端部である複合材料41bの端部に接続される。 構造体製造装置100は、定電流源10から定電流経路20を介して構造体40に所定電流値の電流を印加することにより、複合材料41aのボルト42aが挿入される連結部分、複合材料41aのボルト42bが挿入される連結部分、および複合材料41bのボルト42cが挿入される連結部分のそれぞれの電気抵抗値を低下させることができる。

この場合、複合材料41aのボルト42aが挿入される連結部分、複合材料41aのボルト42bが挿入される連結部分、および複合材料41bのボルト42cが挿入される連結部分のそれぞれに別個に定電流経路を形成する必要がない。そのため、複数箇所の連結部分を備える構造体40の各連結位置の電気抵抗値を、比較的簡易な定電流経路20を用いて容易に低下させることができる。

以上説明した本実施形態の構造体製造装置100が奏する作用および効果について説明する。 本実施形態の構造体製造装置100によれば、構造体30の複合材料31(第1導電部)およびボルト32(第2導電部)の間に存在する間隙35(ギャップ部)に所定電流値の電流を印加することにより間隙35の電気抵抗値が低下する。同様に、構造体30の複合材料33およびボルト32の間に存在する間隙35(ギャップ部)に所定電流値の電流を印加することにより間隙35の電気抵抗値が低下する。これにより、落雷によりボルト32に流れる被雷電流がボルト32から複合材料31および複合材料33に導かれ易い構造体30が製造される。 そのため、構造体30の重量増加や品質管理の労力を増大させることなく、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体30を製造することができる。

本実施形態の構造体製造装置100において、複合材料31および複合材料33は、樹脂材料を炭素繊維により強化した材料である。また、定電流源10は、複合材料31,33を形成する樹脂材料の一部を炭化させて間隙35,36の電気抵抗値を低下させるものである。 このようにすることで、複合材料31,33に含まれる樹脂材料の一部を炭化させて間隙35,36の電気抵抗値を低下させ、落雷による火花(スパーク)の発生を抑制した構造体30を製造することができる。

また、本実施形態の構造体製造装置100において、ボルト32は、複合材料31に形成される締結穴31aに挿入されて複合材料31と複合材料33(他の部材)とを連結する締結部材である。また、間隙35は、締結穴31aとボルト32との間に形成されるものである。 このようにすることで、複合材料31に形成される締結穴31aの一部を炭化させて締結穴31aとボルト32との間に形成される間隙35の電気抵抗値を低下させることができる。

本実施形態の構造体製造装置100において、定電流源10は、最大値が0.1kA以上かつ50kA以下となるように電流を印加するものである。さらに好ましくは、最大値が1kA以上かつ5kA以下となるように電流を印加するものである。 このようにすることで、間隙35に印加される電流により複合材料31およびボルト32が損傷を受けることを抑制しつつ間隙35の電気抵抗値を低下させることができる。

本実施形態の構造体製造装置100において、定電流源10は、電流の印加を開始してから終了するまでの電流印加時間Tを300μ秒以上かつ1秒以下となるように電流を印加するものである。 このようにすることで、電流印加時間Tが長くなって複合材料31およびボルト32が損傷を受けることを抑制しつつ間隙35の電気抵抗値を低下させることができる。

〔他の実施形態〕 以上の説明において、金属製のボルト32が挿入される複合材料31および複合材料33は、それぞれ樹脂材料を炭素繊維により強化した炭素繊維強化プラスチックであったが、他の態様であってもよい。例えば、炭素繊維強化プラスチックの代わりにアルミ合金等の金属材料(図示略)により形成されるものとしてもよい。 金属材料の場合、炭素繊維強化プラスチックよりも導電性が高いが、その表面が酸化されている場合は、ボルト32よりも導電性が十分に低い場合がある。この場合、前述した複合材料31および複合材料33と同様に、ボルト32の頭部32aに着雷が発生し易い。

ボルト32の頭部32aへの着雷が発生した場合、ボルト32の内部に雷撃電流が流れる。この場合、雷撃電流が金属材料に流れれば火花(スパーク)が発生しない。しかしながら、間隙35および間隙36の電気抵抗値が高く雷撃電流が金属材料に流れない場合、ボルト32の先端部32cやナット34の角部で火花(スパーク)が発生してしまう。

そこで、他の実施形態の構造体製造装置は、間隙35および間隙36に所定電流値の電流を印加して間隙35および間隙36の電気抵抗値を低下させ、雷撃電流が金属材料に流れ易くし、火花(スパーク)の発生を抑制する。 ここで、所定電流値とは、間隙35を形成する金属材料の一部および間隙36を形成する金属材料の一部を溶融させ、間隙35および間隙36の電気抵抗値を低下させるのに十分な電流値をいう。また、この所定電流値は、金属材料を電流の印加により破壊しないように、着雷による雷撃電流として想定される電流値よりも十分に低い電流値をいう。

なお、他の実施形態の構造体製造装置の定電流源が金属材料が連結された構造体に印加する電流の電流値は、前述した構造体製造装置100の定電流源10が複合材料31,33が連結された構造体30に印加する電流の電流値よりも大きいものとすることができる。これは、金属材料が連結された構造体の方が、ボルトから雷撃電流が伝達され易く、電流値が高くても破壊に至りにくいからである。

10 定電流源(電流印加部) 20 定電流経路 21 第1定電流経路 22 第2定電流経路 30 構造体 31 複合材料(第1導電部) 31a 締結穴 31b 炭素繊維 31c 樹脂層 32 ボルト(第2導電部;締結部材) 32a 頭部 32b 外周面 32c 先端部 33 複合材料(他の部材) 33a 締結穴 34 ナット 35,36 間隙(ギャップ部) 40 構造体 41a,41b 複合材料(第1導電部) 42a,42b,42c ボルト 43a,43b 複合材料 100 構造体製造装置

QQ群二维码
意见反馈