複合構造体及び複合構造体の成形方法

申请号 JP2014253460 申请日 2014-12-15 公开(公告)号 JP2016112787A 公开(公告)日 2016-06-23
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 阿部 俊夫; ▲高▼木 清嘉; 小山 貴之; 岸本 和昭; 齋藤 浩一; 石田 隆司;
摘要 【課題】コーナーフィレット部への損傷を抑制しつつ、コーナーフィレット部を安価に成形することができる複合構造体等を提供する。 【解決手段】第1複合材11と、第1複合材11との間に設けられるフィルム接着剤21によって、第1複合材11に接合される第2複合材12と、第1複合材11と第2複合材12とにより形成されるコーナー部15に設けられるコーナーフィレット部13と、を備え、コーナーフィレット部13の形状は、予め設計される設計形状Pとなっており、コーナーフィレット部13は、設計形状Pに収まるように、フィルム接着剤21がコーナー部15に配置された後、フィルム接着剤21が硬化処理されることで形成される。 【選択図】図2
权利要求

第1複合材と、 前記第1複合材との間に設けられるフィルム接着剤によって、前記第1複合材に接合される第2複合材と、 前記第1複合材と前記第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部と、を備え、 前記コーナーフィレット部の形状は、予め設計される設計形状となっており、 前記コーナーフィレット部は、前記設計形状に収まるように、前記フィルム接着剤が前記コーナー部に配置された後、前記フィルム接着剤が硬化処理されることで形成されることを特徴とする複合構造体。前記フィルム接着剤は、前記第1複合材と前記第2複合材との間から前記コーナー部に向かって連続しており、 前記コーナーフィレット部は、前記第1複合材と前記第2複合材との間から露出した前記フィルム接着剤の余剰部により形成されることを特徴とする請求項1に記載の複合構造体。前記フィルム接着剤は、 前記第1複合材と前記第2複合材との間に配置される第1フィルム接着剤と、 前記第1フィルム接着剤と別体に設けられ、前記コーナーフィレット部を形成する第2フィルム接着剤と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合構造体。前記フィルム接着剤の硬化処理時において、前記コーナー部には、バギングフィルムが配置され、 前記バギングフィルムは、前記コーナーフィレット部の形状が、前記設計形状となるように配置され、 前記コーナーフィレット部は、前記フィルム接着剤が、前記バギングフィルムの形状に倣って硬化処理されることで、前記設計形状に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複合構造体。前記コーナーフィレット部を形成する前記フィルム接着剤の大きさは、前記設計形状に対して、充填率が50%〜200%の間となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複合構造体。前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、渦巻き状に巻かれることで、塊状に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体。前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、じゃばら状に折り曲げられることで、塊状に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体。前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、重ね折りされることで、塊状に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体。第1複合材と第2複合材とを接合するために用いられるフィルム接着剤を塊状に形成するフィルム形成工程と、 塊状に形成された前記フィルム接着剤を、第1複合材と第2複合材とにより形成されるコーナー部に配置する配置工程と、 前記フィルム接着剤を硬化処理して、前記コーナー部にコーナーフィレット部を形成する硬化工程と、を備えることを特徴とする複合構造体の成形方法。

说明书全文

本発明は、コーナー部を有する複合構造体及び複合構造体の成形方法に関するものである。

従来、コーナー部を有する複合構造体として、複合材製ハット型補強材が知られている(例えば、特許文献1参照)。複合材製ハット型補強材は、複合材製ハットセクションと、複合材製ハットセクションに接合される複数の複合材製補強プライと、ヌードル状コーナーフィラーとを備える。ヌードル状コーナーフィラーは、複数の複合材製補強プライによって形成される略三形のヌードル状コーナーフィラー領域に配置される。

特開2014−12403号公報

ここで、ヌードル状コーナーフィラーは、一般的に、炭素繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを束ねることで形成される。ここで、プリプレグは、炭素繊維が一方向に連続して揃ったものであり、プリプレグを束ねる場合、プリプレグには炭素繊維が含まれていることから、ヌードル状コーナーフィラーは、硬くて成形し難いものとなる。このため、特許文献1では、ヌードル状コーナーフィラーをヌードル状コーナーフィラー領域に収まる形となるように成形する場合、治具または金型を用いて成形している。しかしながら、治具または金型を用いる場合、治具または金型に費用が掛かることから、コーナーフィラーを成形する費用を低減することが困難となる。

また、特許文献1では、コーナーフィラーを含む複合材製ハット型補強材を成形(プリフォーム)し、この後、プリフォームした複合材製ハット型補強材の硬化処理を行っている。このため、プリフォーム後(硬化後)の複合材製ハット型補強材の取り扱い時において、複合材製ハット型補強材に衝撃が与えられた場合、コーナーフィラー及びコーナーフィラー周りに損傷が発生する可能性がある。

そこで、本発明は、取り扱いが容易であり、コーナーフィレット部を安価に成形することができる複合構造体及び複合構造体の成形方法を提供することを課題とする。

本発明の複合構造体は、第1複合材と、前記第1複合材との間に設けられるフィルム接着剤によって、前記第1複合材に接合される第2複合材と、前記第1複合材と前記第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部と、を備え、前記コーナーフィレット部の形状は、予め設計される設計形状となっており、前記コーナーフィレット部は、前記設計形状に収まるように、前記フィルム接着剤が前記コーナー部に配置された後、前記フィルム接着剤が硬化処理されることで形成されることを特徴とする。

この構成によれば、フィルム接着剤をコーナー部に配置して、フィルム接着剤を硬化処理することで、コーナーフィレット部を設計形状に形成することができる。このとき、フィルム接着剤をコーナー部に配置するだけでよいため、治具または金型を用いることなく、コーナーフィレット部を安価に形成することが可能となる。また、フィルム接着剤による第1複合材と第2複合材との接合と同時に、コーナーフィレット部を形成することができるため、第1複合材、第2複合材及びコーナーフィレット部が一体となる硬化後の複合構造体を容易に取り扱うことが可能となる。なお、フィルム接着剤は、樹脂を含むものであり、例えば、エポキシ系樹脂を用いて構成されている。

また、前記フィルム接着剤は、前記第1複合材と前記第2複合材との間から前記コーナー部に向かって連続しており、前記コーナーフィレット部は、前記第1複合材と前記第2複合材との間から露出した前記フィルム接着剤の余剰部により形成されることが好ましい。

この構成によれば、第1複合材と第2複合材との接合に用いられるフィルム接着剤の余剰部によりコーナーフィレット部を形成することができる。

また、前記フィルム接着剤は、前記第1複合材と前記第2複合材との間に配置される第1フィルム接着剤と、前記第1フィルム接着剤と別体に設けられ、前記コーナーフィレット部を形成する第2フィルム接着剤と、を含むことが好ましい。

この構成によれば、第1複合材と第2複合材との接合に用いられる第1フィルム接着剤と、コーナーフィレット部を形成する第2フィルム接着剤とを別体にすることができる。このため、コーナー部に配置する第2フィルム接着剤の形状または種類等を適宜変更することができる。例えば、コーナー部に応じて、第2フィルム接着剤の形状または種類等を変更することで、コーナーフィレット部の剛性を変更することが可能となる。

また、前記フィルム接着剤の硬化処理時において、前記コーナー部には、バギングフィルムが配置され、前記バギングフィルムは、前記コーナーフィレット部の形状が、前記設計形状となるように配置され、前記コーナーフィレット部は、前記フィルム接着剤が、前記バギングフィルムの形状に倣って硬化処理されることで、前記設計形状に形成されることが好ましい。

この構成によれば、バギングフィルムによって、コーナーフィレット部の形状を設計形状に形成することができる。このため、例えば、コーナー部に対して、大きな径となるバギングフィルムを配置することで、曲率の大きいコーナーフィレット部を形成できる。一方で、コーナー部に対して、小さな径となるバギングフィルムを配置することで、曲率の小さいコーナーフィレット部を形成することができる。

また、前記コーナーフィレット部を形成する前記フィルム接着剤の大きさは、前記設計形状に対して、充填率が50%〜200%の間となっていることが好ましい。

この構成によれば、コーナーフィレット部の設計形状に対して、フィルム接着剤を好適に充填することができる。つまり、フィルム接着剤の硬化処理時において、フィルム接着剤が軟化することから、軟化したフィルム接着剤はコーナー部に沿って流動する。具体的に、軟化したフィルム接着剤は、コーナー部から流出したり、他のコーナー部へ流入したりする。このため、コーナー部におけるフィルム接着剤の充填率を上記の範囲とすることで、フィルム接着剤の流動に応じてフィルム接着剤を充填することができ、これにより、硬化処理後に形成されるコーナーフィレット部を、設計形状に形成することができる。

また、前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、渦巻き状に巻かれることで、塊状に形成されることが好ましい。

この構成によれば、フィルム接着剤を渦巻き状に巻くことで、フィルム接着剤が広がり難くなることから、塊状に形成されたフィルム接着剤の形状を維持し易いものにできる。

また、前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、じゃばら状に折り曲げられることで、塊状に形成されることが好ましい。

この構成によれば、フィルム接着剤をじゃばら状に折り曲げることで、フィルム接着剤を簡単に塊状に形成することができる。

また、前記コーナー部に配置される前記フィルム接着剤は、重ね折りされることで、塊状に形成されることが好ましい。

この構成によれば、フィルム接着剤を重ね折りすることで、フィルム接着剤を簡単に塊状に形成することができる。

本発明の複合構造体の成形方法は、第1複合材と第2複合材とを接合するために用いられるフィルム接着剤を塊状に形成するフィルム形成工程と、塊状に形成された前記フィルム接着剤を、第1複合材と第2複合材とにより形成されるコーナー部に配置する配置工程と、前記フィルム接着剤を硬化処理して、前記コーナー部にコーナーフィレット部を形成する硬化工程と、を備えることを特徴とする。

この構成によれば、フィルム接着剤を塊状に変形させ、塊状となったフィルム接着剤をコーナー部に配置して、フィルム接着剤を硬化処理することで、コーナーフィレット部を形成することができる。このとき、フィルム接着剤を容易に塊状に形成することができるため、治具または金型を用いることなく、コーナーフィレット部を安価に形成することが可能となる。また、フィルム接着剤による第1複合材と第2複合材との接合と同時に、コーナーフィレット部を形成することができるため、コーナーフィレット部をプリフォームする必要がない。このため、プリフォームしたコーナーフィレット部を取り扱う必要がないことから、コーナーフィレット部及びコーナーフィレット部周りの損傷の発生を抑制できる。

図1は、実施例1に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図2は、実施例1に係る硬化前の複合構造体の断面図である。

図3は、実施例1に係る複合構造体の成形方法に関する説明図である。

図4は、変形例1に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図5は、変形例2に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図6は、変形例3に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図7は、変形例4に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図8は、実施例2に係る硬化前の複合構造体の断面図である。

図9は、実施例3に係る硬化前の複合構造体の断面図である。

図10は、実施例4に係る硬化前の複合構造体の断面図である。

以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせることも可能である。

図1は、実施例1に係る硬化後の複合構造体の断面図である。図2は、実施例1に係る硬化前の複合構造体の断面図である。図3は、実施例1に係る複合構造体の成形方法に関する説明図である。

図1に示す複合構造体1は、製品として使用可能な硬化後の構造体である。複合構造体1は、例えば、航空機の機体を構成する構造体となっており、主翼、尾翼または胴体等に適用される。図1に示す硬化後の複合構造体1は、第1複合材11と、第2複合材12と、コーナーフィレット部13と、を備えている。

第1複合材11及び第2複合材12は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を用いて構成されている。なお、実施例1では、第1複合材11及び第2複合材12を、CFRPを用いて構成したが、樹脂及び繊維を用いた複合材であれば、特に限定されない。第1複合材11は、平板状に形成されており、その板面が対向するように一対設けられている。第1複合材11は、例えば、航空機に設けられるスキン(外板)に適用される。

第2複合材12は、一対の第1複合材11の間に設けられている。第2複合材12は、例えば、航空機に設けられるストリンガー(縦通材)に適用される。第2複合材12は、一方の第1複合材11に当接する当接部12aと、他方の第1複合材11に当接する当接部12bと、一対の第1複合材11の間に亘って設けられる縦通部12cと、当接部12aと縦通部12cとの間の屈曲部12dと、当接部12bと縦通部12cとの間の屈曲部12eとを有している。この第2複合材12は、図1の前後方向を奥行き方向として、奥行き方向に延在して形成されている。

当接部12aは、一方の第1複合材11の板面に沿って設けられる。当接部12bは、他方の第1複合材11の板面に沿って設けられる。ここで、一対の第1複合材11が対向する方向を厚さ方向(図1の上下方向)とし、奥行き方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向(図1の左右方向)とする。このとき、当接部12aと当接部12bとは、幅方向において、交互に配置されている。縦通部12cは、厚さ方向に延びて配置されている。屈曲部12dは、当接部12aと縦通部12cとを連結し、奥行き方向に直交する断面において、所定の曲率半径となるように形成されている。屈曲部12eは、当接部12bと縦通部12cとを連結し、奥行き方向に直交する断面において、所定の曲率半径となるように形成されている。そして、第2複合材12は、当接部12a、当接部12b、縦通部12c、屈曲部12d及び屈曲部12eが連なって一体に形成されることで、ハット形状に形成される。

各第1複合材11と第2複合材12との間には、接着剤層17が設けられている。接着剤層17は、各第1複合材11と第2複合材12の当接部12a,12bとを接合している。接着剤層17は、後述するフィルム接着剤21を熱硬化処理することで形成される。

接着剤層17を介して接合される第1複合材11及び第2複合材12は、屈曲部12d,12eの径方向外側において、コーナー部(角部)15を形成している。コーナー部15は、奥行き方向に延在して形成されている。このコーナー部15には、第1複合材11と第2複合材12との引き剥がし強度を向上させるためにコーナーフィレット部13が設けられている。なお、第1複合材11及び第2複合材12は、図1に示す形状に限定されず、コーナー部15を形成する形状であれば、いずれの形状であってもよい。また、コーナー部15は、図1に示す形状に限定されず、いずれの形状であってもよい。

コーナーフィレット部13は、第1複合材11と第2複合材12との間のコーナー部15に設けられている。コーナーフィレット部13は、コーナー部15における第1複合材11と第2複合材12との引き剥がし応を緩和している。コーナーフィレット部13は、後述するフィルム接着剤21を熱硬化処理することで形成される。このコーナーフィレット部13は、予め設計された設計形状Pとなるように、設計形状Pに応じた所定の充填率でフィルム接着剤21が充填される。ここで、屈曲部12d,12eの径方向外側は、所定の曲率半径Rとなっており、コーナーフィレット部13は、屈曲部12d,12eに倣って形成される。

具体的に、コーナーフィレット部13の設計形状Pは、奥行き方向に直交する断面において、第2複合材12(の屈曲部12d,12e)に接する面が、所定の曲率半径Rとなっており、また、外部に接する面(後述するバギングフィルム25に接触する面)も、所定の曲率半径Rとなっている。つまり、実施例1におけるコーナーフィレット部13の設計形状Pの断面積Sは、「S=L×h−πR2/2」で表される。なお、Lは、コーナーフィレット部13の第1複合材11に接する底辺の長さであり、hは、厚さ方向における第1複合材11からの長さ(高さ)である。なお、コーナーフィレット部13の設計形状Pは、上記の形状に限定されず、コーナー部15における引き剥がし応力を緩和可能な形状であれば、いずれの形状であってもよい。

このとき、コーナーフィレット部13と接着剤層17とは、同じフィルム接着剤21を用いて形成されることから、同じ材料によって形成されることとなる。換言すれば、硬化前の複合構造体1において、第1複合材11と第2複合材12との間に設けられるフィルム接着剤21は、熱硬化処理されることでコーナーフィレット部13を形成する。次に、図2を参照して、硬化前の複合構造体1について説明する。

図2に示すように、硬化前の複合構造体1は、第1複合材11と、第2複合材12と、フィルム接着剤21と、を備えている。また、硬化前の複合構造体1は、コーナーフィレット部13の形状が設計形状Pとなるように形状を付与するバギングフィルム25が設置される。なお、第1複合材11及び第2複合材12の形状については、図1と同様であるため説明を省略する。また、硬化後の第1複合材11及び第2複合材12は、硬化したCFRPとなるが、硬化前の第1複合材11及び第2複合材12は、硬化前のCFRPであるプリプレグとなっている。

フィルム接着剤21は、熱硬化性樹脂材を用いて構成され、例えば、エポキシ系樹脂を用いた、0.1mm〜0.2mm程度の膜厚となるフィルム状のものである。フィルム接着剤21は、各第1複合材11の板面を覆う単体のフィルムとなっている。フィルム接着剤21は、各第1複合材11と第2複合材12との間からコーナー部15に向かって連続して設けられている。具体的に、フィルム接着剤21は、各第1複合材11と第2複合材12の当接部12a,12bとの間に亘って設けられると共に、第1複合材11と第2複合材12との間からコーナー部15に露出して設けられている。つまり、コーナー部15に露出するフィルム接着剤21は、余剰部21aとなっている。

フィルム接着剤21の余剰部21aは、第1複合材11と第2複合材12との間に向かって、渦巻き状に巻かれることで、塊状に形成される。そして、塊状となったフィルム接着剤21の余剰部21aは、コーナー部15に配置される。コーナー部15に配置されるフィルム接着剤21の余剰部21aは、コーナーフィレット部13の設計形状Pに対する充填率が、50%〜200%の間となるように、その大きさが調整される。

そして、フィルム接着剤21は、熱硬化処理が行われることで軟化し、軟化したフィルム接着剤21が硬化することで、コーナーフィレット部13及び接着剤層17が形成される。なお、熱硬化処理としては、例えば、オートクレーブ処理であり、詳細は後述する。

バギングフィルム25は、フィルム接着剤21を含む複合構造体1の熱硬化処理時において、複合構造体1を所定の形状に成形するために、その内部に硬化前の複合構造体1を収容して、複合構造体1を覆うフィルムとなっている。バギングフィルム25は、フィルム接着剤21の熱硬化処理時において、真空引き等により、その内部が外部に比して低圧となることで、硬化前の複合構造体1に密着する。また、フィルム接着剤21の熱硬化処理時において、バギングフィルム25の外側は、高温高圧の状態となる。このため、バギングフィルム25は、コーナー部15に配置されるフィルム接着剤21に接触し、この状態で、フィルム接着剤21が軟化する。すると、軟化したフィルム接着剤21は、バギングフィルム25に倣った形状となり、フィルム接着剤21が硬化することで、コーナーフィレット部13が設計形状Pに形成される。

ここで、コーナーフィレット部13の設計形状Pは、バギングフィルム25の形状を調整することで変更可能なっている。例えば、コーナーフィレット部13の外部に接する面における曲率半径Rを変更する場合について説明する。バギングフィルム25は、第1複合材11及び第2複合材12によって囲まれた空間に配置される。このとき、バギングフィルム25は、その断面が閉じたループ形状となっている。コーナーフィレット部13の曲率半径Rを小さくする場合、バギングフィルム25のループ長さを長くすることで、コーナー部15に対して、小さな径となるバギングフィルム25が配置される。一方で、コーナーフィレット部13の曲率半径Rを大きくする場合、バギングフィルム25のループ長さを短くすることで、コーナー部15に対して、大きな径となるバギングフィルム25が配置される。

次に、図3を参照して、上記の複合構造体1を成形する成形方法について説明する。先ず、一対の第1複合材11に対して、フィルム接着剤21をそれぞれ配置する。この後、配置したフィルム接着剤21の余剰部21aを渦巻き状に巻いて、塊状に形成する(ステップS1:フィルム形成工程)。続いて、一対の第1複合材11の間に、第2複合材12を設置する。これにより、第1複合材11と第2複合材12とにより形成されるコーナー部15に、塊状のフィルム接着剤21が配置される(ステップS2:配置工程)。これにより、図2に示す硬化前の複合構造体1が形成される。

次に、バギングフィルム25で複合構造体1を覆うことで、バギングフィルム25の内部に複合構造体1を収容する(ステップS3)。バギングフィルム25の内部に収容された複合構造体1は、オートクレーブ装置により熱硬化処理が行われる。すなわち、バギングフィルム25の内部に収容された複合構造体1は、オートクレーブ装置の容器内に収容される。この後、容器内が高温高圧の状態となり、バギングフィルム25の内部が真空引きされることで、バギングフィルム25が複合構造体1に密着する(ステップS4:硬化工程)。そして、硬化前の複合構造体1は、フィルム接着剤21が軟化した後に硬化することで、接着剤層17が形成される。これにより、硬化後の複合構造体1において、第1複合材11と第2複合材12とは、接着剤層17により接合される。また、硬化前の複合構造体1は、フィルム接着剤21の余剰部21aが軟化した後に硬化することで、コーナーフィレット部13が形成される(ステップS5)。このように、複合構造体1の硬化と同時に、つまり、第1複合材11と第2複合材12との接合と同時に、コーナーフィレット部13を形成することができる。

ここで、ステップS4において熱硬化処理を行うと、第1複合材11及び第2複合材12に含まれる樹脂と、フィルム接着剤(樹脂)21とが軟化することで、軟化した樹脂がバギングフィルム25内において流動する。このとき、フィルム接着剤21の余剰部21aは、設計形状Pに対する充填率を50%〜200%の間としており、フィルム接着剤21の流動に応じた充填率としていることから、コーナー部15から樹脂が流入したり、流出したりする場合であっても、コーナーフィレット部13を、設計形状Pに形成することができる。

以上のように、実施例1によれば、フィルム接着剤21の余剰部21aを塊状に変形させ、塊状となったフィルム接着剤21の余剰部21aをコーナー部15に配置して、フィルム接着剤21を熱硬化処理することで、コーナーフィレット部13を形成することができる。このとき、フィルム接着剤21を容易に塊状に形成することができるため、治具または金型を用いることなく、コーナーフィレット部13を安価に形成することが可能となる。また、フィルム接着剤21による第1複合材11と第2複合材12との接合と同時に、コーナーフィレット部13を形成することができるため、コーナーフィレット部13をプリフォームする必要がない。このため、プリフォームしたコーナーフィレット部13を取り扱う必要がないことから、コーナーフィレット部13及びコーナーフィレット部13周りの損傷の発生を抑制できる。

また、実施例1によれば、バギングフィルム25によって、コーナーフィレット部13の形状を設計形状Pに形成することができる。このため、例えば、コーナー部15に対して、大きな径となるバギングフィルム25を配置することで、曲率半径Rの大きいコーナーフィレット部13を形成できる。一方で、コーナー部15に対して、小さな径となるバギングフィルム25を配置することで、曲率半径Rの小さいコーナーフィレット部13を形成することができる。

また、実施例1によれば、コーナーフィレット部13の設計形状Pに対する充填率を、50%〜200%の間とすることができる。このため、フィルム接着剤21の硬化処理時において、フィルム接着剤21が軟化し、バギングフィル25内を流動する場合であっても、フィルム接着剤21の流動に応じてフィルム接着剤21を好適に充填することができる。これにより、硬化処理後に形成されるコーナーフィレット部13を、設計形状Pに精度良く形成することができる。

また、実施例1によれば、フィルム接着剤21を渦巻き状に巻くことで、フィルム接着剤21が広がり難くなることから、塊状に形成されたフィルム接着剤21の形状を維持し易いものにできる。

なお、コーナーフィレット部13を形成するフィルム接着剤21には、他の材料を混在させてもよく、例えば、炭素繊維またはカーボンナノチューブ等の炭素系材料の他、剛性を向上させることが可能な剛性材料を混在させてもよい。

また、実施例1では、第2複合材12の奥行き方向に直交する面で切った断面において、コーナーフィレット部13を形成したが、第2複合材12の奥行き方向の端部に形成されるコーナー部15にコーナーフィレット部13を形成してもよい。

また、実施例1では、コーナーフィレット部13の設計形状Pを図1に示す形状としたが、図4から図7に示す形状としてもよい。図4は、変形例1に係る硬化後の複合構造体の断面図である。図4に示すコーナーフィレット部13の設計形状Pは、第1複合材11からの高さhが、図1に比して低く形成されており、また、コーナーフィレット部13の外部に接する面の曲率半径Rが、図1に比して大きな径に形成されている。

図5は、変形例2に係る硬化後の複合構造体の断面図である。図5に示すコーナーフィレット部13の設計形状Pは、コーナーフィレット部13の外部に接する面が、縦通部12cの板面に沿った面に形成され、第1複合材11の板面と直交する面となるように形成されている。

図6は、変形例3に係る硬化後の複合構造体の断面図である。変形例3の複合構造体1は、第1複合材11と第2複合材12とが平板に形成され、第1複合材11と第2複合材12とが重ね合わされることで、第1複合材11と第2複合材12とによりコーナー部31が形成されている。つまり、コーナー部31は、第1複合材11の端面と、第2複合材12の板面とが直交することで形成される。このコーナー部31に形成されるコーナーフィレット部13の設計形状Pは、第1複合材11の端面及び第2複合材12の板面に接する略三角形状となっており、外部に接する面が、所定の曲率半径となる曲面に形成されている。

図7は、変形例4に係る硬化後の複合構造体の断面図である。変形例4の複合構造体1は、変形例3と同様のコーナー部31となっている。このコーナー部31に形成されるコーナーフィレット部13の設計形状Pは、第1複合材11の端面及び第2複合材12の板面に接する三角形状となっており、外部に接する面が、平面となるように形成されている。

次に、図8を参照して、実施例2に係る複合構造体51について説明する。図8は、実施例2に係る硬化前の複合構造体の断面図である。なお、実施例1と重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分についてのみ説明し、実施例1と同様のものについては、同じ符号を付して説明する。実施例1では、フィルム接着剤21の余剰部21aを、渦巻き状に巻いて、塊状に形成したが、実施例2では、フィルム接着剤21の余剰部21aを、じゃばら折りして、塊状に形成している。

図8に示すように、フィルム接着剤21の余剰部21aは、第1複合材11と第2複合材12との間から外部へ向かって、山折りと谷折りとが交互に行われることで、じゃばら状に形成される。このとき、じゃばら状に形成される余剰部21aの折り幅は、第1複合材11と第2複合材12との間から外部へ向かって広幅となるように形成される。

以上のように、実施例2によれば、フィルム接着剤21の余剰部21aをじゃばら状に折り曲げることで、フィルム接着剤21の余剰部21aを簡単に塊状に形成することができる。また、コーナー部15の形状に応じて折り幅を適宜調整することで、形成するコーナーフィレット部13の設計形状Pに適した形状とすることができる。

なお、実施例2では、余剰部21aの折り幅を、第1複合材11と第2複合材12との間から外部へ向かって広幅となるように形成したが、例えば、等幅であってもよく、この構成に特に限定されない。

次に、図9を参照して、実施例3に係る複合構造体61について説明する。図9は、実施例3に係る硬化前の複合構造体の断面図である。なお、実施例1及び2と重複した記載を避けるべく、実施例1及び2と異なる部分についてのみ説明し、実施例1及び2と同様のものについては、同じ符号を付して説明する。実施例1では、フィルム接着剤21の余剰部21aを、渦巻き状に巻いて、塊状に形成したが、実施例3では、フィルム接着剤21の余剰部21aを、重ね折りして、塊状に形成している。

図9に示すように、フィルム接着剤21の余剰部21aは、重ね折りとして、例えば、巻四つ折りされることで、塊状に形成される。具体的に、フィルム接着剤21の余剰部21aは、二つ折りされた後、さらに二つ折りされることで、巻四つ折りとなる。なお、実施例3では、重ね折りとして、巻四つ折りを例示したが、この折り方に特に限定されず、巻八つ折りであってもよい。

以上のように、実施例3によれば、フィルム接着剤21の余剰部21aを重ね折りすることで、フィルム接着剤21の余剰部21aを簡単に塊状に形成することができる。

次に、図10を参照して、実施例4に係る複合構造体71について説明する。図10は、実施例4に係る硬化前の複合構造体の断面図である。なお、実施例1から3と重複した記載を避けるべく、実施例1から3と異なる部分についてのみ説明し、実施例1から3と同様のものについては、同じ符号を付して説明する。実施例1では、第1複合材11と第2複合材12とのフィルム接着剤21と、コーナー部15に配置されるフィルム接着剤21(の余剰部21a)とが一体となっていたが、実施例4では、別体となっている。

図10に示すように、フィルム接着剤72は、第1複合材11と第2複合材12との間に配置される第1フィルム接着剤72aと、第1フィルム接着剤72aと別体に設けられ、コーナーフィレット部13を形成する第2フィルム接着剤72bと、を含んで構成されている。

第1フィルム接着剤72aは、第1複合材11と第2複合材12との間から露出せずに、第1複合材11と第2複合材12との間に配置されている。つまり、第1フィルム接着剤72aは、第1複合材11と第2複合材12の当接部12a,12bとが接触する部位に配置されている。第2フィルム接着剤72bは、実施例1のフィルム接着剤21の余剰部21aと同様に、渦巻き状に巻かれることで、塊状に形成される。そして、塊状に形成された第2フィルム接着剤72bは、コーナー部15に配置される。

ここで、第2フィルム接着剤72bは、第1フィルム接着剤72aと別体となっていることから、コーナー部15に応じて、第2フィルム接着剤72bの形状または種類等を変更することが可能となっている。例えば、コーナー部15は、奥行き方向に延在して形成されるが、奥行き方向において、コーナーフィレット部13の剛性を変更するために、第2フィルム接着剤72bの形状を変更することができる。

以上のように、実施例4によれば、フィルム接着剤72を、第1フィルム接着剤72aと、第2フィルム接着剤72bとで別体にできるため、第2フィルム接着剤72bの形状または種類等を変更することで、コーナー部15に応じたコーナーフィレット部13を形成することができる。

1 複合構造体 11 第1複合材 12 第2複合材 13 コーナーフィレット部 15 コーナー部 17 接着剤層 21 フィルム接着剤 21a 余剰部 25 バギングフィルム 31 コーナー部(変形例3及び4) 51 複合構造体(実施例2) 61 複合構造体(実施例3) 71 複合構造体(実施例4) 72 フィルム接着剤(実施例4) 72a 第1フィルム接着剤 72b 第2フィルム接着剤 P 設計形状 S 設計形状の断面積 L 設計形状の底辺 h 設計形状の高さ

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