複合構造体、航空機及びコーナーフィレット部の設計方法

申请号 JP2014253459 申请日 2014-12-15 公开(公告)号 JP2016112786A 公开(公告)日 2016-06-23
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 阿部 俊夫; ▲高▼木 清嘉; 小山 貴之;
摘要 【課題】コーナー部に与えられる引き剥がし応 力 に応じて、コーナーフィレット部の剛性を好適に調整することができる複合構造体等を提供する。 【解決手段】第1複合材11と、第1複合材11に接合される第2複合材12と、第1複合材11と第2複合材12とにより形成されるコーナー部15に設けられるコーナーフィレット部13と、を備え、コーナーフィレット部13の剛性は、調整可能となっており、コーナーフィレット部13の剛性が調整されることで、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力が調整される。 【選択図】図3
权利要求

第1複合材と、 前記第1複合材に接合される第2複合材と、 前記第1複合材と前記第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部と、を備え、 前記コーナーフィレット部の剛性は、調整可能となっており、前記コーナーフィレット部の剛性が調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応が調整されることを特徴とする複合構造体。前記コーナーフィレット部の剛性は、小さくなるように調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応力が小さくなるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の複合構造体。前記コーナーフィレット部は、樹脂材と剛性材料とのうち、少なくとも樹脂材を含み、 前記剛性は、前記樹脂材及び前記剛性材料に対する前記剛性材料の含有率によって調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の複合構造体。前記コーナーフィレット部は、樹脂材と剛性材料とのうち、少なくとも樹脂材を含み、 前記剛性は、前記樹脂材及び前記剛性材料として用いる材料の種別によって調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の複合構造体。前記コーナーフィレット部は、形状または大きさによって前記剛性が調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の複合構造体。請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体を翼体に用いた航空機であって、 前記コーナーフィレット部は、前記翼体の翼根部から翼端部に向かうにつれて、前記剛性が小さくなることを特徴とする航空機。請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体を用いた航空機であって、 前記複合構造体には、開口部が設けられ、 前記コーナーフィレット部は、前記開口部に近づくにつれて、前記剛性が小さくなることを特徴とする航空機。請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体をタンクに用いた航空機であって、 前記タンクは、長さ方向、幅方向及び高さ方向のそれぞれに直交する壁面を有する長方体の箱状に形成され、 前記コーナーフィレット部は、前記各壁面が交差する交差部において、前記剛性が大きくなり、前記タンクの長さ方向の中央部において、前記剛性が前記交差部に比して小さくなることを特徴とする航空機。第1複合材と第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部を設計するコーナーフィレット部の設計方法であって、 前記コーナーフィレット部の剛性は、調整可能となっており、前記コーナーフィレット部の剛性が調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応力が調整されることを特徴とするコーナーフィレット部の設計方法。

说明书全文

本発明は、コーナー部を有する複合構造体、航空機及びコーナーフィレット部の設計方法に関するものである。

従来、コーナー部を有する複合構造体として、複合材製ハット型補強材が知られている(例えば、特許文献1参照)。複合材製ハット型補強材は、複合材製ハットセクションと、複合材製ハットセクションに接合される複数の複合材製補強プライと、ヌードル状コーナーフィラーとを備える。ヌードル状コーナーフィラーは、複数の複合材製補強プライによって形成される略三形のヌードル状コーナーフィラー領域に配置される。これにより、ヌードル状コーナーフィラーは、引き剥がし荷重(引き剥がし応)による剥離を抑制している。

特開2014−12403号公報

ここで、ヌードル状コーナーフィラーは、一般的に、炭素繊維に樹脂を含浸させたプリプレグを束ねることで形成される。ここで、プリプレグは、炭素繊維が一方向に連続して揃ったものであり、麺状のプリプレグを束ねることで形成される。このため、ヌードル状コーナーフィラーは、設置される方向に沿って、ほぼ一定の剛性となる。ところで、ヌードル状コーナーフィラーが設置される部位に与えられる引き剥がし荷重は、設置される方向において、一様ではない。例えば、ヌードル状コーナーフィラーが設置される部位は、大きく変位する(撓む)場合があり、この場合、部位における引き剥がし荷重が大きくなる。このとき、ヌードル状コーナーフィラーは、ほぼ一定の剛性となることから、設置される部位に応じた剛性に調整することが困難である。このため、ヌードル状コーナーフィラーの剛性が高い場合、ヌードル状コーナーフィラーを、部位の変形に追従させてしまうと、応力が高くなってしまう。

そこで、本発明は、コーナーフィレット部の剛性を好適に調整することができる複合構造体、航空機及びコーナーフィレット部の設計方法を提供することを課題とする。

本発明の複合構造体は、第1複合材と、前記第1複合材に接合される第2複合材と、前記第1複合材と前記第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部と、を備え、前記コーナーフィレット部の剛性は、調整可能となっており、前記コーナーフィレット部の剛性が調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応力が調整されることを特徴とする。

この構成によれば、コーナー部が大きく変位することで、コーナー部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることで、応力が高くなることを抑制でき、コーナー部の変位に好適に追従させることができる。一方で、コーナー部に与えられる引き剥がし応力が小さい場合、コーナーフィレット部の剛性を大きくすることで、コーナーフィレット部を、強度部材として機能させることができる。

また、前記コーナーフィレット部の剛性は、小さくなるように調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応力が小さくなるように調整されることが好ましい。

この構成によれば、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることで、コーナー部に与えられる引き剥がし応力が高くなることを抑制できる。

また、前記コーナーフィレット部は、樹脂材と剛性材料とのうち、少なくとも樹脂材を含み、前記剛性は、前記樹脂材及び前記剛性材料に対する前記剛性材料の含有率によって調整されることが好ましい。

この構成によれば、コーナーフィレット部における剛性材料の含有率を小さくすることで、剛性を低く調整することができる一方で、コーナーフィレット部における剛性材料の含有率を大きくすることで、剛性を高く調整することができる。なお、樹脂材としては、例えば、熱硬化性、熱可塑性等の機能を有するものである。また、剛性材料としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維等である。なお、樹脂材及び剛性材料は、上記のものに限定されない。

また、前記コーナーフィレット部は、樹脂材と剛性材料とのうち、少なくとも樹脂材を含み、前記剛性は、前記樹脂材及び前記剛性材料として用いる材料の種別によって調整されることが好ましい。

この構成によれば、コーナーフィレット部における樹脂材及び剛性材料の種別を変更することで、剛性を調整することができる。

また、前記コーナーフィレット部は、形状または大きさによって前記剛性が調整されることが好ましい。

この構成によれば、コーナーフィレット部の形状または大きさを変更することで、剛性を調整することができる。

本発明の航空機は、上記の複合構造体を翼体に用いた航空機であって、前記コーナーフィレット部は、前記翼体の翼根部から翼端部に向かうにつれて、前記剛性が小さくなることを特徴とする。

この構成によれば、翼体の翼端部は変位が大きいことから、翼端部のコーナー部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることができる。このため、コーナーフィレット部に与えられる応力が高くなることを抑制でき、翼端部の変位に好適に追従させることができる。一方で、翼体の翼根部は変位が小さく、また、強度部材としての機能が重視される。このため、コーナーフィレット部の剛性を大きくすることで、コーナーフィレット部を強度部材として機能させることができる。

本発明の他の航空機は、上記の複合構造体を用いた航空機であって、前記複合構造体には、開口部が設けられ、前記コーナーフィレット部は、前記開口部に近づくにつれて、前記剛性が小さくなることを特徴とする。

この構成によれば、開口部周りは変位が大きいことから、開口部周りのコーナー部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることができる。このため、コーナーフィレット部に与えられる応力が高くなることを抑制でき、開口部周りの変位に好適に追従させることができる。

本発明の他の航空機は、上記の複合構造体をタンクに用いた航空機であって、前記タンクは、長さ方向、幅方向及び高さ方向のそれぞれに直交する壁面を有する長方体の箱状に形成され、前記コーナーフィレット部は、前記各壁面が交差する交差部において、前記剛性が大きくなり、前記タンクの長さ方向の中央部において、前記剛性が前記交差部に比して小さくなることを特徴とする。

この構成によれば、タンクの長さ方向における中央部は変位が大きいことから、タンクの中央部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることができる。このため、コーナーフィレット部に与えられる応力が高くなることを抑制でき、タンクの中央部における変位に好適に追従させることができる。一方で、タンクの交差部は、強度部材としての機能が重視される。このため、コーナーフィレット部の剛性を大きくすることで、コーナーフィレット部を強度部材として機能させることができる。

本発明のコーナーフィレット部の設計方法は、第1複合材と第2複合材とにより形成されるコーナー部に設けられるコーナーフィレット部を設計するコーナーフィレット部の設計方法であって、前記コーナーフィレット部の剛性は、調整可能となっており、前記コーナーフィレット部の剛性が調整されることで、前記コーナー部に与えられる引き剥がし応力が調整されることを特徴とする。

この構成によれば、コーナー部が大きく変位することで、コーナー部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部の剛性を小さくすることで、コーナーフィレット部に与えられる応力が高くなることを抑制できる。一方で、コーナー部に与えられる引き剥がし応力が小さい場合、コーナーフィレット部の剛性を大きくすることで、コーナーフィレット部を強度部材として機能させることができる。

図1は、本実施例に係る複合構造体を適用した航空機の斜視図である。

図2は、本実施例に係る硬化後の複合構造体の断面図である。

図3は、翼体における剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。

図4は、開口部周りにおける剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。

図5は、タンクにおける剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。

図6は、実施例1に係る複合構造体の成形方法に関する説明図である。

以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせることも可能である。

図1は、本実施例に係る複合構造体を適用した航空機の斜視図である。図2は、本実施例に係る硬化後の複合構造体の断面図である。図3は、翼体における剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。図4は、開口部周りにおける剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。図5は、タンクにおける剛性及び引き剥がし応力に関する説明図である。図6は、実施例1に係る複合構造体の成形方法に関する説明図である。

図1に示す航空機1は、複合構造体10を用いて構成され、例えば、主翼21、尾翼23、垂直尾翼24または胴体22等に適用される。航空機1は、部位に応じて、与えられる応力が異なっている。詳細は後述するが、例えば、複合構造体10を用いて構成される主翼21、水平尾翼23及び垂直尾翼24等の翼体は、翼根部に比して翼端部に与えられる応力が大きくなっている。また、複合構造体10を用いて構成される胴体22は、窓及び扉等の開口部25が形成され、開口部25周りに与えられる応力が大きくなっている。先ず、図2を参照して、複合構造体10について説明する。

図2に示すように、複合構造体10は、第1複合材11と、第2複合材12と、コーナーフィレット部13と、を備えている。

第1複合材11及び第2複合材12は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を用いて構成されている。なお、本実施例では、第1複合材11及び第2複合材12を、CFRPを用いて構成したが、樹脂及び繊維を用いた複合材であれば、特に限定されない。第1複合材11は、平板状に形成されており、その板面が対向するように一対設けられている。第1複合材11は、例えば、航空機1の翼体及び胴体22に設けられるスキン(外板)に適用される。

第2複合材12は、一対の第1複合材11の間に設けられている。第2複合材12は、例えば、航空機の翼体及び胴体22に設けられるストリンガー(縦通材)に適用される。第2複合材12は、一方の第1複合材11に当接する当接部12aと、他方の第1複合材11に当接する当接部12bと、一対の第1複合材11の間に亘って設けられる縦通部12cと、当接部12aと縦通部12cとの間の屈曲部12dと、当接部12bと縦通部12cとの間の屈曲部12eと、を有している。この第2複合材12は、図2の前後方向を奥行き方向として、奥行き方向に延在して形成されている。

当接部12aは、一方の第1複合材11の板面に沿って設けられる。当接部12bは、他方の第1複合材11の板面に沿って設けられる。ここで、一対の第1複合材11が対向する方向を厚さ方向(図2の上下方向)とし、奥行き方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向(図2の左右方向)とする。このとき、当接部12aと当接部12bとは、幅方向において、交互に配置されている。縦通部12cは、厚さ方向に延びて配置されている。屈曲部12dは、当接部12aと縦通部12cとを連結し、奥行き方向に直交する断面において、所定の曲率半径となるように形成されている。屈曲部12eは、当接部12bと縦通部12cとを連結し、奥行き方向に直交する断面において、所定の曲率半径となるように形成されている。そして、第2複合材12は、当接部12a、当接部12b、縦通部12c、屈曲部12d及び屈曲部12eが連なって一体に形成されることで、ハット形状に形成される。

各第1複合材11と第2複合材12との間には、接着剤層17が設けられている。接着剤層17は、各第1複合材11と第2複合材12の当接部12a,12bとを接合している。接着剤層17は、硬化前の第1複合材11と第2複合材12との間に配置されるフィルム接着剤を熱硬化処理することで形成される。

接着剤層17を介して接合される第1複合材11及び第2複合材12は、屈曲部12d,12eの径方向外側において、コーナー部(角部)15を形成している。コーナー部15は、奥行き方向に延在して形成されている。このコーナー部15には、第1複合材11と第2複合材12との引き剥がし強度を向上させるためにコーナーフィレット部13が設けられている。なお、第1複合材11及び第2複合材12は、図2に示す形状に限定されず、コーナー部15を形成する形状であれば、いずれの形状であってもよい。また、コーナー部15は、図2に示す形状に限定されず、いずれの形状であってもよい。

コーナーフィレット部13は、第1複合材11と第2複合材12との間のコーナー部15に設けられている。コーナーフィレット部13は、コーナー部15における第1複合材11と第2複合材12との引き剥がし応力を緩和している。コーナーフィレット部13は、複合構造体10の硬化前に配置されるフィルム接着剤を熱硬化処理することで形成される。このコーナーフィレット部13は、予め設計された設計形状Pとなるように、設計形状Pに対して、フィルム接着剤が充填される。ここで、屈曲部12d,12eの径方向外側は、所定の曲率半径Rとなっており、コーナーフィレット部13は、屈曲部12d,12eに倣って形成される。

具体的に、コーナーフィレット部13の設計形状Pは、奥行き方向に直交する断面において、第2複合材12(の屈曲部12d,12e)に接する面が、所定の曲率半径Rとなっており、また、外部に接する面も、所定の曲率半径Rとなっている。つまり、本実施例におけるコーナーフィレット部13の設計形状Pの断面積Sは、「S=L×h−πR2/2」で表される。なお、Lは、コーナーフィレット部13の第1複合材11に接する底辺の長さであり、hは、厚さ方向における第1複合材11からの長さ(高さ)である。なお、コーナーフィレット部13の設計形状Pは、上記の形状に限定されず、コーナー部15における引き剥がし応力を緩和可能な形状であれば、いずれの形状であってもよい。

このとき、コーナーフィレット部13と接着剤層17とは、フィルム接着剤を用いて形成されることから、同じ材料を含んで形成されることとなる。ここで、フィルム接着剤は、熱硬化性樹脂材を用いて構成され、例えば、エポキシ系樹脂を用いた、0.1mm〜0.2mm程度の膜厚となるフィルム状のものである。そして、コーナーフィレット部13は、樹脂材と剛性材料とを含んで構成されている。なお、本実施例では、樹脂材として、フィルム接着剤を用いたが、例えば、熱可塑性等の機能を有する樹脂材であってもよく、特に限定されない。また、剛性材料としては、例えば、炭素繊維またはカーボンナノチューブ等の炭素系材料であってもよいし、ガラス繊維等であってもよい。また、炭素繊維またはガラス繊維を用いる場合には、裁断したものであってもよい。なお、以下では、樹脂材として、熱硬化性樹脂材に適用し、剛性材料として、炭素系材料に適用して説明する。

ここで、コーナーフィレット部13は、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力に基づいて、熱硬化性樹脂材と炭素系材料との割合が調整されている。具体的に、コーナーフィレット部13は、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力が大きくなるにつれて、炭素系材料の含有率が小さくなる一方で、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力が小さくなるにつれて、炭素系材料の含有率が大きくなる。このため、コーナーフィレット部13は、例えば、強度部材として機能させたい場合、炭素系材料の含有率が大きくなる。一方で、コーナーフィレット部13は、コーナー部15における部材の変位に対する追従性を向上させたい場合、炭素系材料の含有率が小さくなる。なお、炭素系材料の含有率が小さい場合としては、0%も含み、この場合、コーナーフィレット部13は、熱硬化性樹脂材のみで構成される。

次に、図3を参照して、複合構造体10が翼体に適用されたときの、コーナーフィレット部13の剛性と、引き剥がし応力Pとについて説明する。なお、図3では、翼体として、主翼21に適用した場合について説明する。主翼21は、その翼根部が胴体22に接続され、その翼端部が自由端となっている。主翼21は、その翼根部における変位が小さく、翼端部へ向かうにつれて変位が大きくなる。

図3に示すように、主翼21に与えられる引き剥がし応力は、翼根部側において小さく、翼端部へ向かうにつれて大きくなる。このような引き剥がし応力に対し、コーナーフィレット部13の剛性は、翼根部において高く、翼端部へ向かうにつれて低くなるように調整される。このため、主翼21に設けられるコーナーフィレット部13は、翼根部において炭素系材料の含有率が大きく、翼端部へ向かうにつれて炭素系材料の含有率が小さくなる。これは、変位が大きい主翼21の翼端部において、翼端部の変位に対するコーナーフィレット部13の追従性を向上させるためである。また、変位が小さい主翼21の翼根部において、コーナーフィレット部13を強度部材として機能させるためである。

次に、図4を参照して、複合構造体10が胴体22に適用されたときの、コーナーフィレット部13の剛性と、引き剥がし応力とについて説明する。胴体22には、窓及び扉等の開口部25が形成されている。胴体22は、開口部25に沿う開口縁部における変位が大きく、開口部25から離れるにつれて変位が小さくなる。

図4に示すように、胴体22に与えられる引き剥がし応力は、開口部25側において大きく、開口部25から離れるにつれて小さくなる。このような引き剥がし応力に対し、コーナーフィレット部13の剛性は、開口部25側(開口縁部)において低く、開口部25から離れるにつれて高くなるように調整される。このため、胴体22に設けられるコーナーフィレット部13は、開口部25側において炭素系材料の含有率が小さく、開口部25から離れるにつれて炭素系材料の含有率が大きくなる。これは、変位が大きい胴体22の開口部25側において、開口縁部の変位に対するコーナーフィレット部13の追従性を向上させるためである。また、開口部25から離れた変位が小さい胴体22において、コーナーフィレット部13を強度部材として機能させるためである。

次に、図5を参照して、複合構造体10が燃料等を溜めるタンク27に適用されたときの、コーナーフィレット部13の剛性と、引き剥がし応力とについて説明する。タンク27は、長方体の箱状に形成されている。ここで、三次元の直交座標系におけるそれぞれの方向を、長さ方向、幅方向及び高さ方向とする。タンク27は、長さ方向に直交する2つの壁面29と、幅方向に直交する2つの壁面29と、高さ方向に直交する2つの壁面29とを有し、6つの壁面29が交差して接合されることで形成されている。

タンク27は、各壁面29が交差する交差部30を、強度部材として機能させるために、高い剛性が要求される。また、タンク27は、内圧によって、長さ方向の中央部における変位が大きくなる。このため、コーナーフィレット部13の剛性は、タンク27の長さ方向の中央部において低く、タンク27の交差部30において高くなるように調整される。よって、タンク27に設けられるコーナーフィレット部13は、タンク27の長さ方向の中央部において炭素系材料の含有率が小さく、タンク27の交差部30において炭素系材料の含有率が大きくなる。

次に、図6を参照して、上記のコーナーフィレット部13を設計する設計方法について説明する。先ず、航空機1において、主翼21を含む翼体及び胴体22等の構造体に与えられる引き剥がし応力が導出される(ステップS1:応力導出工程)。次に、導出された引き剥がし応力が適切な応力となるようにコーナーフィレット部13の剛性が設定され、設定された剛性に応じて、コーナーフィレット部13に含まれる炭素系材料の含有率を設定する(ステップS2:含有率設定工程)。そして、コーナーフィレット部13は、含有率設定工程において設定された炭素系材料の含有率に応じた、熱硬化性樹脂材と炭素系材料との割合とし、この割合で熱硬化処理が行われることで形成される。

以上のように、本実施例によれば、コーナー部15が大きく変位することで、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を小さくすることで、剛性を低く調整することができる。このため、コーナーフィレット部13は、応力が高くなることを抑制でき、コーナー部15の変位に好適に追従させることができる。一方で、コーナー部15に与えられる引き剥がし応力が小さい場合、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を大きくすることで、剛性が高くなるように調整することができる。このため、コーナーフィレット部13を、強度部材として機能させることができる。

また、本実施例によれば、主翼21等の翼体の翼端部は変位が大きいことから、翼端部のコーナー部15に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を小さくすることで、剛性を低く調整することができる。このため、コーナーフィレット部13は、応力が高くなることを抑制でき、翼端部の変位に好適に追従させることができる。一方で、翼体の翼根部は変位が小さく、また、強度部材としての機能が重視される。このため、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を大きくすることで、剛性を高く調整することができる。

また、本実施例によれば、胴体22の開口部25周りは変位が大きいことから、開口部25周りのコーナー部15に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を小さくすることで、剛性を低く調整することができる。このため、コーナーフィレット部13は、応力が高くなることを抑制でき、開口部25周りの変位に好適に追従させることができる。

また、本実施例によれば、タンク27の長さ方向における中央部は変位が大きいことから、タンク27の中央部に与えられる引き剥がし応力が大きくなる場合であっても、コーナーフィレット部13における炭素系材料の含有率を小さくすることで、剛性を低く調整することができる。このため、コーナーフィレット部13は、応力が高くなることを抑制でき、タンク27の中央部における変位に好適に追従させることができる。一方で、タンク27の交差部30は、コーナーフィレット部における炭素系材料の含有率を大きくすることで、剛性を高く調整できることから、強度部材として機能させることができる。

なお、本実施例では、コーナーフィレット部13を形成する熱硬化性樹脂材として、フィルム接着剤を用いたが、特に限定されない。

また、本実施例では、コーナーフィレット部13に含まれる熱硬化性樹脂材及び炭素系材料に対する、炭素系材料の含有率を調整することで、コーナーフィレット部13の剛性を調整したが、この構成に限定されない。例えば、樹脂材及び剛性材料として用いる材料の種別を変更することで、コーナーフィレット部13の剛性を調整してもよいし、コーナーフィレット部の形状または大きさを変更することで、剛性を調整してもよい。

1 航空機 10 複合構造体 11 第1複合材 12 第2複合材 13 コーナーフィレット部 15 コーナー部 17 接着剤層 21 主翼 22 胴体 25 開口部 27 タンク 29 壁面 30 交差部 P 設計形状 S 設計形状の面積 L 設計形状の底辺 h 設計形状の高さ

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