船外機

申请号 JP2016239785 申请日 2016-12-09 公开(公告)号 JP2018095003A 公开(公告)日 2018-06-21
申请人 ヤマハ発動機株式会社; 发明人 岡部 吉彦;
摘要 【課題】プロペラ軸とプロペラ軸に対して相対回転可能な伝達歯車とに関する軸受の耐用期間の向上を図れる船外機を提供する。 【解決手段】船外機1は、駆動回転される駆動歯車40と、駆動歯車40の下方で前後方向に延びたプロペラ軸19とを含む。船外機1は、プロペラ軸19を取り囲んだ状態で駆動歯車40に噛み合った第1伝達歯車41と、プロペラ軸19を回転自在に支持するプロペラ軸用軸受68と、第1伝達歯車41を回転自在に支持する第1伝達歯車用軸受69と、支持部材66とを含む。支持部材66は、第1伝達歯車41とプロペラ軸19との間に介在した介在部66Aを有する。支持部材66は、介在部66Aとプロペラ軸19との間でプロペラ軸用軸受68を支持し、プロペラ軸19を中心とする径方向Rにおいて介在部66Aよりも外方の 位置 において第1伝達歯車用軸受69を支持する。 【選択図】図4
权利要求

エンジンと、 前記エンジンから下方に延び、前記エンジンによって駆動回転される駆動軸と、 前記駆動軸の下端部に取り付けられ、前記駆動軸と一体回転する駆動歯車と、 前記駆動歯車の下方で前後方向に延び、後端部にプロペラが取り付けられたプロペラ軸と、 前記プロペラ軸において前記駆動歯車よりも前方の部分を取り囲んだ状態で前記駆動歯車に噛み合い、前記駆動歯車の回転に伴って前記プロペラ軸まわりに回転する第1伝達歯車と、 前記プロペラ軸において前記駆動歯車よりも後方の部分を取り囲んだ状態で前記駆動歯車に噛み合い、前記駆動歯車の回転に伴って前記第1伝達歯車とは逆方向に前記プロペラ軸まわりに回転する第2伝達歯車と、 前記プロペラ軸に対して一体回転可能かつ前後方向に相対移動可能であり、前記第1伝達歯車および前記第2伝達歯車に選択的に連結されることによって前記第1伝達歯車または前記第2伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達するクラッチ体と、 前記駆動歯車、前記プロペラ軸、前記第1伝達歯車、前記第2伝達歯車および前記クラッチ体を収容したロアケースと、 前記プロペラ軸を回転自在に支持するプロペラ軸用軸受と、 前記第1伝達歯車を回転自在に支持する第1伝達歯車用軸受と、 前記第1伝達歯車と前記プロペラ軸との間に介在した介在部を有し、前記ロアケース内に固定され、前記介在部と前記プロペラ軸との間で前記プロペラ軸用軸受を支持し、前記プロペラ軸を中心とする径方向において前記介在部よりも外方の位置において前記第1伝達歯車用軸受を支持した支持部材と、 を含む、船外機。前記支持部材は、前記介在部よりも前記径方向における外方に位置した外方部と、前記介在部および前記外方部の前端部間に架設された架設部とを有し、 前記第1伝達歯車は、前記介在部と前記外方部との間に後方から入り込んだ入り込み部を有する、請求項1に記載の船外機。前記架設部は、前記介在部および前記外方部の少なくともいずれかよりも肉厚に形成されている、請求項2に記載の船外機。前記第1伝達歯車用軸受は、前記入り込み部と前記介在部との間に配置されている、請求項2または3に記載の船外機。前記第1伝達歯車用軸受は、前記入り込み部と前記外方部との間に配置されている、請求項2または3に記載の船外機。前記プロペラ軸用軸受と前記第1伝達歯車用軸受とは、前記径方向から見て重なる位置に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の船外機。前記プロペラ軸用軸受および前記第1伝達歯車用軸受は、ニードルベアリングであり、 前記プロペラ軸用軸受における各ニードルの軸線と、前記第1伝達歯車用軸受における各ニードルの軸線とが平行に延びている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の船外機。前記ロアケース内には、潤滑油が収容され、 前記支持部材には、潤滑油の通路が貫通して形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船外機。前記クラッチ体が前記第1伝達歯車に連結されて前記第1伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達することによって、前記プロペラが後向きの推進を発生し、前記クラッチ体が前記第2伝達歯車に連結されて前記第2伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達することによって、前記プロペラが前向きの推進力を発生する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の船外機。

说明书全文

本発明は、船外機に関する。

正転仕様の船外機と逆転仕様の船外機とが知られている。正転仕様の船外機には、正転方向に回転することにより前進方向の推進を発生する正転仕様のプロペラが取り付けられる。逆転仕様の船外機には、正転方向とは反対の逆転方向に回転することにより前進方向の推進力を発生する逆転仕様のプロペラが取り付けられる。 特許文献1に記載の逆転仕様の船外機は、ケーシングと、ケーシング内の上部に配置されたエンジンと、ケーシング内の下部において前後方向に延びるプロペラ軸と、プロペラ軸の後部に取り付けられたプロペラとを含む。プロペラ軸は、歯車機構を介してエンジンの駆動軸に連結されている。歯車機構は、プロペラ軸を取り囲んだ前進用歯車および後進用歯車を含む。前進用歯車は、駆動軸の下端部におけるピニオンの後方に配置されてピニオンに噛み合っている。後進用歯車は、ピニオンの前方に配置されてピニオンに噛み合っている。エンジンの駆動に応じて駆動軸が回転すると、前進用歯車および後進用歯車は、互いに逆方向に回転する。

プロペラ軸の外面には、クラッチ体がスプライン結合されている。クラッチ体は、プロペラ軸の軸方向に移動することによって前進用歯車および後進用歯車に選択的に噛み合うことができる。クラッチ体が前進用歯車に噛み合うと、前進用歯車の回転がクラッチ体を介してプロペラ軸に伝達されることによってプロペラが回転し、前進方向の推進力が発生する。クラッチ体が後進用歯車に噛み合うと、後進用歯車の回転がクラッチ体を介してプロペラ軸に伝達されることによってプロペラが逆回転し、後進方向の推進力が発生する。

特開平11−263294号公報

特許文献1に記載の船外機において、プロペラ軸と後進用歯車との間には、軸受が介在し、プロペラ軸および後進用歯車の両方を互いに相対回転できるように支持している。船の前進中では、プロペラ軸が前進用歯車と一体回転するのに対し、プロペラ軸と後進用歯車とは互いに逆方向に回転する。これにより、プロペラ軸と後進用歯車との間の軸受は、プロペラ軸と後進用歯車との回転速度差に応じて高速で作動しなければならない。具体的には、この軸受の転動体が、プロペラ軸の回転数と後進用歯車の回転数との和に相当する高い速度で転動しなければならない。そのため、軸受が受ける負担が大きいので、高耐久性の軸受を要する。

一方、特許文献1に記載の船外機とは異なる正転仕様の船外機では、前進用歯車が後進用歯車よりも前方に位置して前進用歯車とプロペラ軸との間に軸受が介在する構成が想定される。この軸受は、船の後進中において、互いに逆方向に回転するプロペラ軸と前進用歯車との回転速度差に応じて高速で作動しなければならないので、正転仕様の船外機でも軸受の耐久性について配慮する必要がある。

そこで、本発明の一実施形態は、プロペラ軸とプロペラ軸に対して相対回転可能な伝達歯車とに関する軸受の耐用期間の向上を図れる船外機を提供する。

本発明の一実施形態は、エンジンと、駆動軸と、駆動歯車と、プロペラ軸と、第1伝達歯車と、第2伝達歯車と、クラッチ体と、ロアケースと、プロペラ軸用軸受と、第1伝達歯車用軸受と、支持部材とを含む、船外機を提供する。前記駆動軸は、前記エンジンから下方に延び、前記エンジンによって駆動回転される。前記駆動歯車は、前記駆動軸の下端部に取り付けられ、前記駆動軸と一体回転する。前記プロペラ軸は、前記駆動歯車の下方で前後方向に延び、後端部にプロペラが取り付けられる。前記第1伝達歯車は、前記プロペラ軸において前記駆動歯車よりも前方の部分を取り囲んだ状態で前記駆動歯車に噛み合い、前記駆動歯車の回転に伴って前記プロペラ軸まわりに回転する。前記第2伝達歯車は、前記プロペラ軸において前記駆動歯車よりも後方の部分を取り囲んだ状態で前記駆動歯車に噛み合い、前記駆動歯車の回転に伴って前記第1伝達歯車とは逆方向に前記プロペラ軸まわりに回転する。前記クラッチ体は、前記プロペラ軸に対して一体回転可能かつ前後方向に相対移動可能であり、前記第1伝達歯車および前記第2伝達歯車に選択的に連結されることによって前記第1伝達歯車または前記第2伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達する。前記ロアケースは、前記駆動歯車、前記プロペラ軸、前記第1伝達歯車、前記第2伝達歯車および前記クラッチ体を収容する。前記プロペラ軸用軸受は、前記プロペラ軸を回転自在に支持する。前記第1伝達歯車用軸受は、前記第1伝達歯車を回転自在に支持する。前記支持部材は、前記第1伝達歯車と前記プロペラ軸との間に介在した介在部を有し、前記ロアケース内に固定される。前記支持部材は、前記介在部と前記プロペラ軸との間で前記プロペラ軸用軸受を支持し、前記プロペラ軸を中心とする径方向において前記介在部よりも外方の位置において前記第1伝達歯車用軸受を支持する。

この構成によれば、プロペラ軸用軸受が、プロペラ軸を回転自在に支持し、第1伝達歯車用軸受が、第1伝達歯車を回転自在に支持している。プロペラ軸用軸受は、ロアケース内に固定された支持部材の介在部とプロペラ軸との間で支持部材によって支持され、第1伝達歯車用軸受は、径方向において介在部よりも外方の位置において支持部材によって支持されている。つまり、プロペラ軸と、プロペラ軸に対して相対回転可能な第1伝達歯車とは、ロアケース内において、共通の軸受によって支持されるのではなく、支持部材によって支持されたプロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受という別々の軸受によって支持されている。これにより、プロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受は、プロペラ軸および第1伝達歯車のそれぞれの回転速度に応じて作動する。したがって、これらの軸受は、プロペラ軸と第1伝達歯車とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じた高速作動に対応可能な高耐久仕様である必要がない。換言すれば、プロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受のそれぞれが受ける負担を軽減できるので、これらの軸受の耐用期間の向上を図れる。

本発明の一実施形態において、前記支持部材は、前記介在部よりも前記径方向における外方に位置した外方部と、前記介在部および前記外方部の前端部間に架設された架設部とを有してもよい。この場合、前記第1伝達歯車は、前記介在部と前記外方部との間に後方から入り込んだ入り込み部を有してもよい。 この構成によれば、支持部材では、介在部および外方部の前端部の周囲が架設部によって補強されるので、支持部材は、安定した状態でプロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受を支持できる。これにより、プロペラ軸用軸受は、安定した状態でプロペラ軸を回転自在に支持でき、第1伝達歯車用軸受は、安定した状態で第1伝達歯車を回転自在に支持できる。そのため、これらの軸受の耐久性の向上を図れる。また、第1伝達歯車の入り込み部が介在部と外方部との間に後方から入り込むことによって、ロアケース内において前後方向における第1伝達歯車および支持部材の配置領域を小さく抑えることができるので、ロアケースの小型化を図れる。

本発明の一実施形態において、前記架設部は、前記介在部および前記外方部の少なくともいずれかよりも肉厚に形成されていてもよい。 この構成によれば、プロペラ軸が回転してプロペラが推進力を発生しているときに、支持部材における架設部に曲げ荷重が集中し得るが、肉厚に形成された架設部は、この曲げ荷重に耐えることができる。これにより、架設部における強度が向上した支持部材は、安定した状態でプロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受を支持できる。そのため、プロペラ軸用軸受は、安定した状態でプロペラ軸を回転自在に支持でき、第1伝達歯車用軸受は、安定した状態で第1伝達歯車を回転自在に支持できる。従って、これらの軸受の耐久性の向上を図れる。

本発明の一実施形態において、前記第1伝達歯車用軸受は、前記入り込み部と前記介在部との間に配置されていてもよい。 この構成によれば、第1伝達歯車用軸受は、入り込み部と介在部とによって挟まれることによって径方向において位置決めされるので、位置が安定した状態で第1伝達歯車を回転自在に支持できる。これにより、第1伝達歯車用軸受の耐久性の向上を図れる。

本発明の一実施形態において、前記第1伝達歯車用軸受は、前記入り込み部と前記外方部との間に配置されていてもよい。 この構成によれば、第1伝達歯車用軸受は、入り込み部と外方部とによって挟まれることによって径方向において位置決めされるので、位置が安定した状態で第1伝達歯車を回転自在に支持できる。これにより、第1伝達歯車用軸受の耐久性の向上を図れる。

本発明の一実施形態において、前記プロペラ軸用軸受と前記第1伝達歯車用軸受とは、前記径方向から見て重なる位置に配置されていてもよい。 この構成によれば、ロアケース内において前後方向におけるプロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受の配置領域を小さく抑えることができるので、ロアケースの小型化を図れる。

本発明の一実施形態において、前記プロペラ軸用軸受および前記第1伝達歯車用軸受は、ニードルベアリングであってもよい。この場合、前記プロペラ軸用軸受における各ニードルの軸線と、前記第1伝達歯車用軸受における各ニードルの軸線とが平行に延びていてもよい。 この構成によれば、プロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受のそれぞれにおける各ニードルは、プロペラ軸と第1伝達歯車とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じて高速で転動しなくてもよいので、これらの軸受の耐用期間の向上を図れる。また、これらの軸受における各ニードルの軸線が平行に延びているので、ロアケース内において、これらの軸受を径方向に嵩張らないように配置できる。これにより、径方向におけるロアケースの小型化を図れる。

本発明の一実施形態において、前記ロアケース内には、潤滑油が収容され、前記支持部材には、潤滑油の通路が貫通して形成されていてもよい。 この構成によれば、支持部材がロアケース内に配置されても、支持部材に形成された通路によってロアケース内における潤滑油の円滑な流動が確保されるので、ロアケース内における各部材の摩擦面を潤滑油によって安定して潤滑できる。

本発明の一実施形態において、前記クラッチ体が前記第1伝達歯車に連結されて前記第1伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達することによって、前記プロペラが後向きの推進力を発生してもよい。この場合、前記クラッチ体が前記第2伝達歯車に連結されて前記第2伝達歯車の回転を前記プロペラ軸に伝達することによって、前記プロペラが前向きの推進力を発生する。

この構成によれば、逆転仕様の船外機において、プロペラが前向きの推進力を発生している間は、プロペラ軸が第2伝達歯車と一体回転するのに対し、プロペラ軸と第1伝達歯車とは互いに逆方向に回転する。しかし、プロペラ軸および第1伝達歯車についての共通の軸受ではないプロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受のそれぞれは、プロペラ軸と第1伝達歯車とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じて高速で作動しなくてもよい。そのため、プロペラ軸用軸受および第1伝達歯車用軸受のそれぞれが受ける負担を軽減できるので、これらの軸受の耐用期間の向上を図れる。

本発明の一実施形態に係る船外機を備えた船舶の構成を説明するための模式的な平面図である。

船外機の模式的な側面図である。

第1実施例に係る船外機の下部の縦断面図である。

図3において1点鎖線によって囲まれた部分の拡大図である。

第2実施例に係る船外機において図4に相当する部分を示す図である。

第3実施例に係る船外機において図4に相当する部分を示す図である。

以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る船外機1を備えた船舶2の構成を説明するための模式的な平面図である。船舶2は、船体3も含む。2つの船外機1が、左右に並んだ状態で船体3の後部に取り付けられている。各船外機1は、プロペラ4の回転によって船体3を推進させる推進力を発生する。2基の船外機1のうち、例えば右方の船外機1は、正転仕様の船外機1Aであって、左方の船外機1は、逆転仕様の船外機1Bである。正転仕様と逆転仕様とでは、プロペラ4の翼のねじれ方向が逆になっている。前進中の船舶2を後方から見て、正転仕様の船外機1Aではプロペラ4が時計回りに正回転し、逆転仕様の船外機1Bでは、プロペラ4が反時計回りに逆回転する。

各船外機1は、プロペラ4を回転させるエンジン5と、船外機1を制御するECU(電子制御ユニット)6とを含む。船外機1に関連して、各船外機1を左右方向に転させるためのステアリング装置7が備えられている。船体3は、ステアリングホイール8と、リモートコントローラ9とを含む。 ステアリングホイール8は、ハーネス10を介して、各船外機1のECU6に接続されている。操船者によってステアリングホイール8が操作されると、ECU6がステアリング装置7を制御する。これにより、ステアリング装置7が各船外機1を左右方向に転舵するので、船体3に与えられる推進力の方向が左右方向に変化することによって、船舶2が操舵される。

リモートコントローラ9は、操作ケーブル11によって、各船外機1に機械的に結合されている。操船者が、リモートコントローラ9に備えられた操作レバー9Aを操作すると、その操作力が操作ケーブル11によって各船外機1に伝えられる。これにより、各船外機1のシフト位置が変化する。すなわち、操作レバー9Aの操作によって、各船外機1の推進力の方向を前進方向と後進方向とに切り替えることができ、さらにエンジン5の動力がプロペラ4に伝達されないニュートラル状態とすることができる。また、操作レバー9Aの操作力は、各船外機1のエンジン5のスロットルバルブ(図示せず)に伝達される。これにより、操作レバー9Aの操作によってスロットルバルブのスロットル開度が変化し、各船外機1におけるエンジン5の出力が変動する。

図2は、船外機1の模式的な左側面図である。図2における左方が、船外機1の前方であり、図2における右方が、船外機1の後方である。図2の紙面に直交する方向における手前が、船外機1の左方であり、図2の紙面に直交する方向における奥が、船外機1の右方である。 各船外機1は、船外機本体12と、取付機構13とを含む。取付機構13は、スイベルブラケット14と、クランプブラケット15と、ステアリング軸16と、チルト軸17とを含む。ステアリング軸16は、上下方向に延びるように配置されている。チルト軸17は、左右方向に延びるように平に配置されている。スイベルブラケット14は、ステアリング軸16を介して船外機本体12に連結されている。クランプブラケット15は、チルト軸17を介してスイベルブラケット14に連結されている。クランプブラケット15は、船体3の後部に固定されている。これにより、船外機本体12は、概ね垂直な姿勢で、取付機構13によって船体3の後部に取り付けられている。

船外機本体12およびスイベルブラケット14は、クランプブラケット15に対して、チルト軸17まわりに上下方向に回動可能である。船外機本体12がチルト軸17まわりに回動されることにより、船外機本体12が、船体3およびクランプブラケット15に対して傾けられる。船外機本体12は、スイベルブラケット14およびクランプブラケット15に対して、ステアリング軸16とともに左右方向に回動可能である。操船者がステアリングホイール8を操作すると、ECU6に操舵信号が伝達される。その操舵信号に基づいて、ECU6は、ステアリング装置7を制御する。ステアリング装置7の駆動力がレバー16Aを介してステアリング軸16に伝達される。これにより、ステアリング軸16とともに船外機本体12が左右方向に回動するので、船舶2が操舵される。

船外機本体12は、駆動軸18と、プロペラ軸19と、前後進切替機構20とを含む。船外機本体12は、ボックス状のエンジンカバー21と、エンジンカバー21から下方に延びる中空のケーシング22とを含む。エンジンカバー21およびケーシング22は、例えばアルミ製である。ケーシング22の下端部は、ロアケース22Aである。エンジン5は、エンジンカバー21内に収容されている。駆動軸18は、エンジンカバー21およびケーシング22内に配置され、エンジン5から下方に延びている。プロペラ軸19は、ロアケース22A内で前後方向に延びている。駆動軸18の下端部は、前後進切替機構20によってプロペラ軸19の前端部に連結されている。プロペラ軸19の後端部は、ロアケース22Aから後方に突出している。プロペラ4が、プロペラ軸19の後端部に取り付けられている。プロペラ4は、プロペラ軸19とともに回転する。

エンジン5は、例えばガソリン等の燃料を燃焼させて動力を発生する内燃機関であり、燃焼室29と、クランクシャフト30と、ピストン31とを内蔵している。クランクシャフト30は、上下方向に延びるクランク軸線30Aを有する。クランクシャフト30の下端部は、駆動軸18の上端部に連結されている。燃焼室29内での混合気の燃焼によって、ピストン31が、クランク軸線30Aと直交する前後方向に往復直線移動する。これにより、クランクシャフト30が、駆動軸18を伴って、クランク軸線30Aまわりに駆動回転される。クランクシャフト30および駆動軸18の回転方向は、例えば、上方から見て時計回りの方向である。

前後進切替機構20は、駆動歯車40と、第1伝達歯車41と、第2伝達歯車42と、クラッチ体43と、シフト機構44とを含み、プロペラ軸19とともに、ロアケース22A内に収容されている。駆動歯車40、第1伝達歯車41および第2伝達歯車42は、例えば筒状の傘歯車である。第1伝達歯車41は、環状の傘部41Aと、傘部41Aの内周部から前方に突出した円筒状の入り込み部41Bとを一体的に有する。傘部41Aの後面において、テーパー状の外周部には歯部41Cが形成され、内周部には爪部41Dが形成されている(後述する図3参照)。第2伝達歯車42は、環状の傘部42Aと、傘部42Aの内周部から後方に突出した円筒状の突出部42Bとを一体的に有する。傘部42Aの前面において、テーパー状の外周部には歯部42Cが形成され、内周部には爪部42Dが形成されている(図3参照)。

駆動歯車40は、駆動軸18の下端部に取り付けられている。プロペラ軸19は、駆動歯車40の下方に配置されている。第1伝達歯車41は、プロペラ軸19の前端部において駆動歯車40よりも前方の部分を取り囲み、第2伝達歯車42は、プロペラ軸19の前端部において駆動歯車40よりも後方の部分を取り囲んでいる。第1伝達歯車41および第2伝達歯車42は、互いの歯部41Cおよび42Cが前後方向に間隔を空けて向かい合うように配置され、駆動歯車40に噛み合っている。エンジン5の駆動に伴って駆動歯車40が駆動軸18と一体回転すると、駆動歯車40の回転が第1伝達歯車41および第2伝達歯車42に伝達される。これにより、第1伝達歯車41および第2伝達歯車42は、プロペラ軸19まわりに、互いに反対方向に回転する。

クラッチ体43は、第1伝達歯車41および第2伝達歯車42の間に配置されている。クラッチ体43は、例えば筒状のドッグクラッチであって、プロペラ軸19の前端部を取り囲んでいる。クラッチ体43の前端面には、第1爪部43Aが形成され、クラッチ体43の後端面には、第2爪部43Bが形成されている(図3参照)。クラッチ体43は、例えばスプラインによって、プロペラ軸19の前端部に連結されている。したがって、クラッチ体43は、プロペラ軸19の前端部とともに回転する。さらに、クラッチ体43は、プロペラ軸19の前端部に対して前後方向に移動可能である。このようにプロペラ軸19に対して一体回転可能かつ前後方向に相対移動可能なクラッチ体43は、シフト機構44によってプロペラ軸19の軸方向に沿って前後方向に移動される。

シフト機構44は、例えば、上下方向に延びるシフトロッド45と、ニュートラルスイッチ46とを含む。シフトロッド45は、操作ケーブル11に結合されており、操作ケーブル11から入力される操作力によって、シフトロッド45の軸線まわりに回動する。クラッチ体43は、シフトロッド45が回動されることにより、前後方向に移動される。クラッチ体43は、ニュートラル位置、前進位置および後進位置のいずれかの位置に配置される。ニュートラルスイッチ46は、クラッチ体43の位置がニュートラル位置か否かを検出する。ニュートラルスイッチ46の検出値は、ECU6に入力される。

ニュートラル位置は、クラッチ体43が第1伝達歯車41および第2伝達歯車42のいずれにも噛み合わない位置であって前進位置と後進位置との間の位置である。クラッチ体43がニュートラル位置に配置されている状態では、駆動軸18の回転がプロペラ軸19に伝達されないので、船外機1のシフト位置は「ニュートラル」である。 正転仕様の船外機1Aでは、前進位置は、クラッチ体43の第1爪部43Aが第1伝達歯車41の爪部41Dに噛み合う位置であり、後進位置は、クラッチ体43の第2爪部43Bが第2伝達歯車42の爪部42Dに噛み合う位置である(図3参照)。クラッチ体43が前進位置に配置されて第1伝達歯車41に連結された状態では、第1伝達歯車41の回転がプロペラ軸19に伝達されるので、船外機1のシフト位置は「前進」である。第1伝達歯車41の回転がプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が前進回転方向(後方から見て時計回り)に回転する。これにより、前向き(前進方向)の推進力が発生する。クラッチ体43が後進位置に配置されて第2伝達歯車42に連結された状態では、第2伝達歯車42の回転がプロペラ軸19に伝達されるので、船外機1のシフト位置は「後進」である。第2伝達歯車42の回転がプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が、前進回転方向とは反対の後進回転方向に回転する。これにより、後向き(後進方向)の推進力が発生する。このように、正転仕様の船外機1Aでは、第1伝達歯車41が前進用歯車であり、第2伝達歯車42が後進用歯車である。

逆転仕様の船外機1Bでは、前進位置は、クラッチ体43の第2爪部43Bが第2伝達歯車42の爪部42Dに噛み合う位置であり、後進位置は、クラッチ体43の第1爪部43Aが第1伝達歯車41の爪部41Dに噛み合う位置である(図3参照)。クラッチ体43が前進位置に配置されて第2伝達歯車42に連結された状態では、第2伝達歯車42の回転がプロペラ軸19に伝達されるので、船外機1のシフト位置は「前進」である。第2伝達歯車42の回転がプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が前進回転方向(後方から見て反時計回り)に回転する。これにより、前向きの推進力が発生する。クラッチ体43が後進位置に配置されて第1伝達歯車41に連結された状態では、第1伝達歯車41の回転がプロペラ軸19に伝達されるので、船外機1のシフト位置は「後進」である。第1伝達歯車41の回転がプロペラ軸19に伝達されると、プロペラ4が、前進回転方向とは反対の後進回転方向に回転する。これにより、後向きの推進力が発生する。このように、逆転仕様の船外機1Bでは、第1伝達歯車41が後進用歯車であり、第2伝達歯車42が前進用歯車である。

以上のように、各船外機1では、クラッチ体43は、その位置の切り替えに伴って第1伝達歯車41および第2伝達歯車42に選択的に連結されることによって、第1伝達歯車41または第2伝達歯車42の回転をプロペラ軸19に伝達する。これにより、プロペラ4の回転方向が切り替えられる。プロペラ4の回転方向は、リモートコントローラ9の操作レバー9A(図1参照)が操作されることにより切り替わる。

船外機本体12は、船外機本体12の内部に設けられた排気通路47を含む。排気通路47は、エンジン5に接続された入口47Aと、プロペラ4に接続された出口47Bとを含む。船舶2が水に浮かべられている状態では、出口47Bは、水中に位置している。したがって、船舶2が水に浮かべられている状態では、出口47Bを通過した水が、排気通路47の下流部に進入している。例えばエンジン5が高速回転しているときには、排気通路47内の水が、エンジン5からの排気の圧力によって押されて、排気と共に出口47Bから排出される。これにより、エンジン5で生成された排気が水中に排出される。

次に、ロアケース22Aの内部構造について、詳しく説明する。ロアケース22Aの内部構造の違いに応じて、船外機1には、例えば第1〜第3実施例が挙げられる。以下では、第1実施例について詳しく説明し、第2および第3実施例については、第1実施例と異なる部分について説明する。図3は、第1実施例に係る船外機1の下部の縦断面図である。ロアケース22A内には、駆動歯車40と第1伝達歯車41と第2伝達歯車42とクラッチ体43とプロペラ軸19の前端部とシフトロッド45の下端部とが配置された配置空間22Bが形成されている。ロアケース22A内には、駆動軸18が配置された配置空間22Cと、シフトロッド45において下端部よりも上方の部分が配置された配置空間22Dとが形成されている。配置空間22Cおよび配置空間22Dのそれぞれの下端部は、配置空間22Bに対して上方から接続されている。配置空間22B、配置空間22Cおよび配置空間22Dは、排気通路47から遮断されている。配置空間22B、配置空間22Cおよび配置空間22Dには、潤滑油が収容されている。

ロアケース22A内には、排気通路47の出口47Bに配置されて前後方向に延びる筒部48が、ロアケース22Aの一部として設けられている。筒部48の内部空間は、配置空間22Bに対して後方から接続されている。そのため、配置空間22B内の潤滑油は、筒部48の内部空間にも行き渡っている。筒部48は、プロペラ軸19において前端部と後端部との間の途中部を取り囲んでいる。筒部48とプロペラ軸19の途中部との間には、ニードルベアリング等の軸受49が配置されていて、プロペラ軸19の途中部は、軸受49によって回転自在に支持されている。筒部48の後端部とプロペラ軸19との間には、オイルシール等のシール部材50が配置されていて、筒部48の内部空間は、シール部材50によって後方から塞がれている。これにより、筒部48の内部空間は、排気通路47から遮断されているので、筒部48内の潤滑油が排気通路47に漏れることが防止されている。

図4は、図3において1点鎖線によって囲まれた部分の拡大図である。 プロペラ軸19の前端部においてクラッチ体43によって取り囲まれた部分には、プロペラ軸19を中心とする径方向Rに延びる貫通穴19Aが形成されている。プロペラ軸19には、その前端面からプロペラ軸19の中心を通って貫通穴19Aまで後方に延びる挿通穴19Bが形成されている。挿通穴19Bには、前後方向に延びる管状のシフトスリーブ55が挿入されている。シフトスリーブ55は、貫通穴19Aにおいてシフトスリーブ55の後端部を径方向Rに貫通した連結ピン56によって、クラッチ体43に連結されている。シフトスリーブ55において後端部よりも前方の外周面には、ボール57が1つずつ嵌め込まれた複数の貫通穴55Aが、周方向に並んで形成されている。各ボール57は、シフトスリーブ55内において互いに接近するように付勢部材58によって付勢された前後一対の挟み込み部59に挟み込まれることによって、径方向Rの外方へ付勢されている。プロペラ軸19において挿通穴19Bにおける内周面には、周方向に延びる凹部19Cが形成されており、クラッチ体43がニュートラル位置にあるときに、各ボール57が凹部19Cに嵌っている。これにより、クラッチ体43がニュートラル位置から不意にずれないように保持される。

シフトスリーブ55の前端部には、カムフォロア60が前方から連結されている。カムフォロア60には、上下方向に延びる係合溝60Aが形成されている。シフトロッド45の下端部には、シフトロッド45の回動軸線から外れた位置で上下方向に延びる駆動ピン61が固定されていて、駆動ピン61は、係合溝60Aに挿入されている。シフトロッド45が回動すると、駆動ピン61は、シフトロッド45と一体回動しながら、カムフォロア60を伴って前後方向に移動する。これにより、シフトスリーブ55が前後方向に移動し、連結ピン56が、プロペラ軸19の貫通穴19A内で前後方向に移動する。すると、連結ピン56につながったクラッチ体43が、ニュートラル位置から前進位置や後進位置に移動する。

各船外機1は、第2伝達歯車軸受65と、支持部材66と、スラスト軸受67と、プロペラ軸用軸受68と、第1伝達歯車用軸受69とを含む。第2伝達歯車軸受65は、第2伝達歯車42においてプロペラ軸19を取り囲んだ突出部42Bと、筒部48の前端部との間に配置されている。第2伝達歯車軸受65は、例えば円錐ころ軸受であり、第2伝達歯車42を回転自在に支持し、第2伝達歯車42のラジアル荷重およびアキシャル荷重を受け止める。プロペラ軸19は、その外周面から張り出して第2伝達歯車軸受65の内輪に後方から接触するフランジ部74が設けられている。各船外機1は、フランジ部74に後方から接触してフランジ部74と筒部48との間に挟まれたスラスト軸受75も含む。前向きの推進力は、プロペラ軸19、フランジ部74および第2伝達歯車軸受65を介してロアケース22Aに伝達される。後向きの推進力は、プロペラ軸19、フランジ部74およびスラスト軸受75を介してロアケース22Aに伝達される。

支持部材66は、略円環状に形成されたハウジングであって、ロアケース22A内の配置空間22Bにおいて、第1伝達歯車41に前方から隣接し、プロペラ軸19と同軸状に配置されている。支持部材66は、ロアケース22Aにおけるいずれかの部分に固定されている。支持部材66は、介在部66Aと、外方部66Bと、架設部66Cとを一体的に有する。介在部66Aは、径方向Rに一致した厚さ方向を有する円筒状に形成され、第1伝達歯車41の入り込み部41Bとプロペラ軸19との間に介在している。外方部66Bは、径方向Rに一致した厚さ方向を有し、介在部66Aよりも大径の円筒状に形成され、介在部66Aよりも径方向Rにおける外方に位置している。

架設部66Cは、前後方向に一致した厚さ方向を有する円環板状に形成され、介在部66Aおよび外方部66Bの前端部間に架設されている。架設部66Cは、介在部66Aおよび外方部66Bの少なくともいずれかよりも肉厚に形成されている。例えば、架設部66Cは、図4に示す第1実施例および図5に示す第2実施例では介在部66Aよりも肉厚であり、図6に示す第3実施例では外方部66Bよりも肉厚である。

支持部材66には、潤滑油の通路66Dが貫通して形成されている。通路66Dは、例えば、架設部66Cを前後方向に貫通している。通路66Dは、複数存在してもよい。支持部材66がロアケース22A内に配置されても、通路66Dによってロアケース22A内における潤滑油の円滑な流動が確保されるので、ロアケース22A内における第1伝達歯車41等の各部材の摩擦面を潤滑油によって安定して潤滑できる。

第1伝達歯車41の入り込み部41Bは、介在部66Aと外方部66Bとの間に後方から入り込んでいる。これにより、ロアケース22A内において前後方向における第1伝達歯車41および支持部材66の配置領域を小さく抑えることができるので、ロアケース22Aの小型化を図れる。外方部66Bは、第1伝達歯車41の傘部41Aに前方から対向している。

スラスト軸受67は、前後方向における外方部66Bと傘部41Aとの隙間に配置されて、第1伝達歯車41を回転自在に支持している。スラスト軸受67は、第1伝達歯車41が駆動歯車40から受ける噛み合い反力の前方向成分を、アキシャル荷重として受け止める。 プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69は、ニードルベアリングである。プロペラ軸用軸受68は、環状の外筒68Aと、外筒68Aの周方向に並んだ状態で外筒68Aによって保持された複数のニードル68Bとを有する。第1伝達歯車用軸受69は、環状の外筒69Aと、外筒69Aの周方向に並んだ状態で外筒69Aによって保持された複数のニードル69Bを有する。プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69は、径方向Rから見て重なる位置に配置されている。これにより、ロアケース22A内において前後方向におけるプロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69の配置領域を小さく抑えることができるので、ロアケース22Aの小型化を図れる。

プロペラ軸用軸受68は、介在部66Aとプロペラ軸19との間に配置され、外筒68Aが介在部66Aの内周面に圧入され、各ニードル68Bが外筒68Aからはみ出してプロペラ軸19の外周面に接触している。これにより、プロペラ軸用軸受68は、支持部材66によって支持されていて、プロペラ軸19を回転自在に支持して、プロペラ軸19のラジアル荷重を受け止める。第1伝達歯車用軸受69は、径方向Rにおいて介在部66Aよりも外方の位置に配置され、支持部材66によって支持されていて、第1伝達歯車41を回転自在に支持して、第1伝達歯車41のラジアル荷重を受け止める。

つまり、プロペラ軸19と、プロペラ軸19に対して相対回転可能な第1伝達歯車41とは、共通の軸受によって支持されるのではなく、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69という別々の軸受によって支持されている。これにより、正転仕様の船外機1Aでは、後進中においてプロペラ軸19と第1伝達歯車41とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じて、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69が高速で作動しなくてもよい。プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69のそれぞれが高速で作動するということは、プロペラ軸用軸受68における各ニードル68Bおよび第1伝達歯車用軸受69における各ニードル69Bが高速で転動するということである。プロペラ軸19および第1伝達歯車41を共通の軸受によって支持する場合と比べて、各ニードル68Bおよび69Bの転動速度を例えば半分に抑えることができる。逆転仕様の船外機1Bでは、前進中においてプロペラ軸19と第1伝達歯車41とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じて、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69が高速で作動しなくてもよい。

このように、船外機1Aおよび船外機1Bにおいて、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69は、プロペラ軸19と第1伝達歯車41とが互いに逆方向に回転しているときの回転速度差に応じた高速作動に対応可能な高耐久仕様である必要がない。そのため、これらの軸受は、プロペラ軸19および第1伝達歯車41のそれぞれの回転速度に応じて作動できればよい。従って、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69のそれぞれが受ける負担を軽減できるので、これらの軸受の耐用期間の向上を図れる。これにより、船外機1の品質向上を図れる。

支持部材66では、介在部66Aおよび外方部66Bの前端部の周囲が架設部66Cによって補強されるので、支持部材66は、安定した状態でプロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69を支持できる。これにより、プロペラ軸用軸受68は、安定した状態でプロペラ軸19を回転自在に支持でき、第1伝達歯車用軸受69は、安定した状態で第1伝達歯車41を回転自在に支持できる。そのため、これらの軸受の耐久性の向上を図れる。

プロペラ軸19が回転してプロペラ4が推進力を発生しているときに、支持部材66における架設部66Cには曲げ荷重が集中し得るが、肉厚に形成された架設部66Cは、この曲げ荷重に耐えることができる。これにより、架設部66Cにおける強度が向上した支持部材66は、安定した状態でプロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69を支持できる。そのため、プロペラ軸用軸受68は、安定した状態でプロペラ軸19を回転自在に支持でき、第1伝達歯車用軸受69は、安定した状態で第1伝達歯車41を回転自在に支持できる。従って、これらの軸受の耐久性の向上を図れる。

図4に示す第1実施例および図6に示す第3実施例では、第1伝達歯車用軸受69は、第1伝達歯車41の入り込み部41Bと介在部66Aとの間に配置されている。第1伝達歯車用軸受69では、外筒69Aが入り込み部41Bの内周面に圧入され、各ニードル69Bが外筒69Aからはみ出して介在部66Aの外周面に接触している。この場合には、第1伝達歯車用軸受69は、入り込み部41Bと介在部66Aとによって挟まれることによって径方向Rにおいて位置決めされるので、位置が安定した状態で第1伝達歯車41を回転自在に支持できる。これにより、第1伝達歯車用軸受69の耐久性の向上を図れる。なお、第1実施例では、第1伝達歯車41の傘部41Aにおいて入り込み部41Bよりも径方向Rの内側に突出した突出部41Eが外筒69Aに後方から接触することによって、第1伝達歯車用軸受69は、前後方向にも位置決めされている。

図5に示す第2実施例のように、第1伝達歯車用軸受69は、入り込み部41Bと外方部66Bとの間に配置されてもよい。第1伝達歯車用軸受69では、外筒69Aが外方部66Bの内周面に圧入され、各ニードル69Bが外筒69Aからはみ出して入り込み部41Bの外周面に接触している。この場合には、第1伝達歯車用軸受69は、入り込み部41Bと外方部66Bとによって挟まれることによって径方向Rにおいて位置決めされるので、位置が安定した状態で第1伝達歯車41を回転自在に支持できる。これにより、第1伝達歯車用軸受69の耐久性の向上を図れる。

プロペラ軸用軸受68における各ニードル68Bの軸線Jと、第1伝達歯車用軸受69における各ニードル69Bの軸線Kとは平行に延びている。そのため、ロアケース22A内において、これらの軸受を径方向Rに嵩張らないように配置できる。これにより、径方向Rにおけるロアケース22Aの小型化を図れる。 以上のように、支持部材66は、スラスト軸受67、プロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69のそれぞれを別々に支持している。この場合には、プロペラ軸19のラジアル荷重と、第1伝達歯車41のラジアル荷重およびアキシャル荷重を支持部材66によって別々に支えることができる。これにより、これらの荷重が、互いに影響し合ったりシフト機構44の動作に影響を与えたりすることを抑制できる。そして、前述したように耐用期間および耐久性の向上が図れたプロペラ軸用軸受68および第1伝達歯車用軸受69では、小型化を図れるので、これらの軸受をロアケース22A内においてコンパクトに配置できる。これにより、ロアケース22Aの小型化を図れる。

本発明の実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能である。 例えば、図6に示す第3実施例のように、スラスト軸受67は、前後方向における介在部66Aと第1伝達歯車41の傘部41Aの内周部との隙間に配置されてもよい。 この実施形態における船舶2は、船外機1を2つ含むが(図1参照)、船外機1の数は任意に変更でき、正転仕様または逆転仕様の船外機1を1つだけ含んでもよい。

正転仕様の船外機1Aと逆転仕様の船外機1Bとにおいて、細部の構造に違いがあってもよい。 正転仕様の船外機1Aでは、第1伝達歯車41とプロペラ軸19とが互いに逆方向に回転する頻度が逆転仕様の船外機1Bよりも少ないので、支持部材66を省略して、共通の軸受によって第1伝達歯車41およびプロペラ軸19を回転自在に支持してもよい。

その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。

1 :船外機 4 :プロペラ 5 :エンジン 18 :駆動軸 19 :プロペラ軸 22A :ロアケース 40 :駆動歯車 41 :第1伝達歯車 41B :入り込み部 42 :第2伝達歯車 43 :クラッチ体 66 :支持部材 66A :介在部 66B :外方部 66C :架設部 66D :通路 68 :プロペラ軸用軸受 68B :ニードル 69 :第1伝達歯車用軸受 69B :ニードル J :軸線 K :軸線 R :径方向

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