耐圧容器およびこれを備える探査機

申请号 JP2014548468 申请日 2013-05-20 公开(公告)号 JPWO2014080650A1 公开(公告)日 2017-01-05
申请人 京セラ株式会社; 国立研究開発法人海洋研究開発機構; 发明人 吉田 政生; 政生 吉田; 直幸 大久保; 直幸 大久保; 浅川 賢一; 賢一 浅川; 洋作 前田; 洋作 前田;
摘要 水 深1000m以上の深海においても、第1外殻部材と第2外殻部材との接続部において応 力 集中による破損が生じにくい耐圧容器およびこれを備える探査機が提供される。筒状の第1外殻部材(2)と、第1外殻部材(2)の両端(2a,2b)に接続される半球状の第2外殻部材(3)とを備え、第2外殻部材(3)を構成する 母材 のヤング率E2を、第1外殻部材(2)を構成する母材のヤング率E1よりも小さい材料を選択し、耐圧容器(1)を構築する。
权利要求

円筒状部材からなる第1外殻部材と、 該第1外殻部材と軸線を共通にして、当該第1外殻部材から離反する方向に凸となるように配置された状態で、前記第1外殻部材の両端にそれぞれ接続される略半球状の第2外殻部材とを備え、 該第2外殻部材を構成する母材のヤング率E2は、前記第1外殻部材を構成する母材のヤング率E1よりも小さい(E2前記第2外殻部材の厚みが、前記第1外殻部材の厚みより厚いことを特徴とする請求項1に記載の耐圧容器。前記第2外殻部材は、前記第1外殻部材の端部の内周に嵌合する凸部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐圧容器。前記第2外殻部材は、前記第1外殻部材の端部に接続される部分から半径方向内方に突出する環状のフランジ部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の耐圧容器。前記第2外殻部材は、内周面の前記フランジ部に連なる部分が、該フランジ部と軸線を共通にする円筒状の平滑面を有することを特徴とする請求項4に記載の耐圧容器。前記第1外殻部材がセラミックスからなり、前記第2外殻部材が金属からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の耐圧容器。前記第1外殻部材が、軸線方向に連結された複数の円筒状部材からなることを特徴とする請求項6に記載の耐圧容器。請求項1〜7のいずれか1つに記載の耐圧容器と、該耐圧容器内に収容されている探査モジュールとを備えることを特徴とする探査機。

円筒状部材からなる第1外殻部材と、 該第1外殻部材と軸線を共通にして、当該第1外殻部材から離反する方向に凸となるように配置された状態で、前記第1外殻部材の両端にそれぞれ接続される略半球状の第2外殻部材とを備え、 該第2外殻部材を構成する母材のヤング率E2は、前記第1外殻部材を構成する母材のヤング率E1よりも小さく(E2 前記第2外殻部材の厚みは、前記第1外殻部材の厚みより厚いことを特徴とする耐圧容器。

说明书全文

本発明は、海底探査用の磁計などの計測機器が収容され、深海の高圧下で高い耐圧性能を実現することができる耐圧容器およびこれを備える探査機に関する。

深海探査活動で使用する探査機器の中には、探査機器を耐圧容器の容器内に収めて、たとえば深1000m以上の深海中で用いられるものがある。探査機器を収めるための耐圧容器としては、特許文献1に、両端部の外周側にフランジ部を有する筒状の第1外殻部材である胴部と、胴部の両端に配置され、開口部の外周側にフランジ部を有する半球状の第2外殻部材である鏡板部とを備え、胴部と鏡板部とのフランジ部を当接させて、それぞれのフランジ部をボルトおよびナットによって結合したチタン合金などの金属から成る耐圧容器が提案されている。また、耐圧容器において、金属の代わりにセラミックスが用いられることもある。

特開昭64−26065号公報

しかしながら、特許文献1に記載の金属から成る耐圧容器は、第1外殻部材としての胴部と、第2外殻部材としての鏡面部の形状が異なるにも拘らず、各部材が同一の材料から成るので、たとえば水深1000m以上の深海において、胴部と鏡板部とに加わる水圧の違いによって、各部材の変形にばらつきが生じるため、胴部と鏡板部との接続部において応力集中による破損が生じやすいという問題がある。

本発明の目的は、たとえば水深1000m以上の深海においても、応力集中による破損が生じにくい耐圧容器およびこれを備える探査機を提供することである。

本発明は、円筒状の第1外殻部材と、 第1外殻部材と軸線を共通にして、該第1外殻部材から離反する方向に凸となるように配置された状態で、当該第1外殻部材の両端にそれぞれ接続される略半球状の第2外殻部材とを備え、 該第2外殻部材を構成する母材のヤング率E2は、前記第1外殻部材を構成する母材のヤング率E1よりも小さい(E2

さらに本発明は、上記の耐圧容器と、該耐圧容器内に収容されている探査モジュールとを備えることを特徴とする探査機である。

本発明によれば、円筒状の第1外殻部材と、第1外殻部材の両端に接続される半球状の第2外殻部材とを備え、第2外殻部材のヤング率E2が第1外殻部材のヤング率E1よりも小さいので、たとえば水深1000m以上の深海において、耐圧容器に水圧が作用した場合に、形状的に第1外殻部材より変形しにくい第2外殻部材を構成する母材のヤング率E2を、第1外殻部材を構成する母材のヤング率E1よりも小さくする(E2

また、本発明の探査機によれば、応力集中による破損が生じにくい本発明の耐圧容器内に探査モジュールが収容されていることから、信頼性が高い探査機とすることができる。

本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。

本発明の一実施形態の耐圧容器を示す断面図である。

本発明の他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器の一部を示す断面図である。

本発明の実施形態の耐圧容器を備える探査機の外観を示す図である。

本発明の他の実施形態の耐圧容器を備える探査機の外観を示す図である。

図1は、本発明の一実施形態の耐圧容器1を示す断面図である。本実施形態の耐圧容器1は、筒状、具体的には円筒状の第1外殻部材2と、第1外殻部材2の各端部2a,2bに接続される半球状の第2外殻部材3とを備える。

第2外殻部材3は、第1外殻部材2と軸線Lを共通にして、第1外殻部材2から離反する方向に凸となるように配置された状態で、第1外殻部材2の端部2a,2bにそれぞれ接続される。第2外殻部材3を構成する母材のヤング率E2は、第1外殻部材2を構成する母材のヤング率E1よりも小さい(E2

ここに、「ヤング率」とは、弾性体が弾性変形した際に生じる応力σと、それによって生じる体積ひずみεとの比である体積弾性係数E(E=σ/ε)をいう。なお、以下の各実施形態において、耐圧容器は、説明の便宜上、等方等質の線形弾性体であると仮定して説明する。

深海における高圧下で、円筒状の第1外殻部材2および半球状の第2外殻部材3がともにヤング率が同じか、または第2外殻部材のヤング率が第1外殻部材のヤング率よりも大きい場合には、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差がより大きくなりやすいため、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損が生じやすい。

一方、本実施形態の耐圧容器1の構成によれば、たとえば水深1000m以上の深海において、耐圧容器1に水圧が作用した場合に、形状的に第1外殻部材2より変形しにくい第2外殻部材3の変形量が大きくなるため、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差が小さくなり、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損が生じにくい。

なお、前記接続部Aとは、第1外殻部材2の端部2a,2bと各第2外殻部材3の開口端3a,3bとが対向する部分およびその近傍の部分をいう。また第1外殻部材2の端部2a,2bおよび各開口端3a,3bの各端面は、軸線Lに垂直な平面上で円環状である。

特に、本実施形態の耐圧容器1は、第2外殻部材3のヤング率E2を、第1外殻部材2のヤング率E1の1/6以上とするのが好適である。本件発明者らは、水圧による耐圧容器1の変形シミュレーションを行なったところ、第2外殻部材3のヤング率が第1外殻部材2のヤング率E1の1/6以上で、第1外殻部材2のヤング率E1未満(E1>E2≧(1/6)×E1)である場合に、第1外殻部材2の端部2a,2bと、第2外殻部材3の開口端3a,3bの変形との差が小さくなり、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの応力発生を抑制し、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損をより抑制する傾向があることを見出した。

さらに、第2外殻部材3のヤング率E2が、第1外殻部材2のヤング率E1の1/6以上、1/2以下(E1×1/2≧E2≧E1×1/6)であるときには、特に第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの応力発生を抑制し、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損をより抑制する傾向があることを見出した。

さらに、本発明の耐圧容器1は、深海における高圧下で、低ヤング率の第2外殻部材3が、高ヤング率の第1外殻部材2の表面に押し付けられる状態となり、高ヤング率の第1外殻部材2の端部表面に沿った形で変形しやすくなるため、微小な隙間などが形成されにくく密着しやすくなる。すなわち耐圧容器1の信頼性が高くなる。

また、第1外殻部材2および第2外殻部材3との接合部Aでの密着性を接触面積の観点からみたとき、上述のとおり、第2外殻部材3が変形しやすくなることによって、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接触面の単位面積当たりの微小な隙間が少なくなるため、第1外殻部材2と第2外殻部材3とがより密着する。したがって、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aの密着性を高められる。

それゆえ、本実施形態の耐圧容器1は、前記従来技術のように、第1外殻部材2および第2外殻部材3の外周側にリブを設けて、ボルトなどの結合部材を用いる必要がない。つまり、耐圧容器1は、たとえば水深1000m以上の深海において、耐圧容器1に水圧が作用することで、上述したように、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aの密着性を高められるため、前記結合部材を用いなくても、高い信頼性を確保することができる。

また、第1外殻部材2および第2外殻部材3の外周側にリブが設けられていない耐圧容器1、言い換えると、第1外殻部材2の外周面と第2外殻部材3の外周面とが面一で繋がっている耐圧容器1は、水中において流体抵抗が小さくなるため水中で移動させやすく、水中で用いる場合に好適である。さらに、このような耐圧容器1は外周にリブ等の結合構造やボルト等の結合部材を用いないため製造コストの観点からも好適で、また外周側にリブを設ける製造工程や、ボルトなどの結合部材で第1外殻部材2と第2外殻部材3とを結合する製造工程を省けるため生産性の観点からも好適である。

なお、接合部Aにおいて、第1外殻部材2の端部2a,2bと各第2外殻部材3の開口端3a,3bとをより強固に結合するため、ボルトや自己融着ゴムなどの結合部材を、必要に応じて用いることもできる。

ここで、図1に示す耐圧容器1は、耐圧容器1の外周面に、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aを覆うようにして、市販の自己融着ゴム21を貼り付けた例を示している。以下の図面においても同様である。それにより、第1外殻部材2と第2外殻部材3との結合を強固にすることができる。なお、上記の例以外にも、たとえば第2外殻部材3に、外周から筒内に貫通する貫通孔を設け、該貫通孔に真空ポンプを接続して、耐圧容器1の内部を減圧して気密性を高めることができる。また、耐圧容器1の内部に電子機器をいれて用いる場合には、該貫通孔から配線することで耐圧容器の内部の電子機器と外部の電子機器とを接続することができる。このような耐圧容器1は、たとえば水深1000m以上の深海であっても、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損が抑制されることから高い使用上の利便性がある。

また図1に示す耐圧容器1においては、第2外殻部材3と第1外殻部材2との接合部Aにおいて、第2外殻部材3の厚みが、第1外殻部材2の厚みよりも厚くなっており、第2外殻部材3が、第1外殻部材2と比較して、耐圧容器1の内部に突出するようにして配置されている例を示している。

深海において耐圧容器1を移動させる場合に、水抵抗を低減させるため軸線L方向に耐圧容器1を牽引することが好適であるが、このように耐圧容器1を牽引した場合、海底の岩等に第2外殻部材2が接触し易くなる。それゆえ、第2外殻部材3の厚みを、第1外殻部材2の厚みよりも厚くすることにより、耐久性を高めることができる。なお、第1外殻部材2の厚みおよび第2外殻部材3の厚みの比としては、第1外殻部材2の厚みをT1、第2外殻部材3の厚みをT2としたとき、T2/T1を1.2以上2.5以下とすることが好適である。T2/T1が1.2以上2.5以下であれば、耐圧容器1の質量を増加させすぎることなく、耐久性を高めることができる。

さらに、耐圧容器1を深海等の高圧下で用いると、第2外殻部材3が水圧による応力を受けることに伴い過剰に変形するおそれがある。ここで、第2外殻部材3が過剰に変形した場合に、第1外殻部材2との接合部Aにおいてずれが生じ、気密性が低下してしまうおそれがあるほか、例えば第2外殻部材3が外側に突出するように変形した場合には、水中において流体抵抗が大きくなり、水中での移動が難しくなるおそれがある。

それゆえ、図1に示す耐圧容器1においては、第2外殻部材3の厚みを第1外殻部材2の厚みよりも厚くし、第2外殻部材3が耐圧容器1内に突出する、言い換えれば第2外殻部材3と第1外殻部材2との外周面が面一で繋がるように配置されている。それにより、第2外殻部材3の過剰な変形を抑制でき、気密性を保持できるとともに、水中における流体抵抗が大きくなることを抑制できる。

ここで、本実施形態の耐圧容器1は、機械的強度の観点から、第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなることが好適である。

また、このように第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなる耐圧容器1は、第1外殻部材2および第2外殻部材3が両方ともにセラミックスからなる従来の耐圧容器(以下、オールセラミックスの耐圧容器という。)に比べて、深海における高圧下で第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差がより小さくなるため好適である。

具体的には、セラミックスは一般的に圧縮強度が高く、引張り強度が小さいため、オールセラミックスの耐圧容器は、深海における高圧下で第2外殻部材3が軸線L方向に押圧されると、その構造上、第2外殻部材3の開口端3a,3b付近に引張り応力が生じやすく、第1外殻部材2の端部2a,2bに比べて大きな引張り応力が生じる。そのため深海における高圧下で第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差がより生じやすい。

しかしながら、第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなる耐圧容器1では、第2外殻部材3に、一般的に引張り強度がセラミックスより大きい金属を用いているため、オールセラミックスの耐圧容器に比べて、深海における高圧下で第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差がより小さくなり、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aにおいて応力集中による破損がより抑制される。

また、第1外殻部材2および第2外殻部材3が両方ともに金属からなる従来の耐圧容器(以下、オール金属の耐圧容器という。)に対して、第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなる耐圧容器1は、第1外殻部材2に、一般的に金属に比べて比重が小さいセラミックスを用いているため、オール金属の耐圧容器より浮力が高くなる。つまり、第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなる耐圧容器1を後述する無人探査機に搭載すれば、無人探査機に搭載する浮力材の量を少なくすることができ、無人探査機の小型化や製造コストの削減を容易に可能とすることもできる。

つまり、第1外殻部材2がセラミックスからなり、第2外殻部材3が金属からなる耐圧容器1は、深海における高圧下で第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差が小さくなるため、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aに応力集中による破損が生じにくいものであるとともに、高い機械的強度および高い浮力を兼ね揃えたものである。

具体的には、第1外殻部材2としては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素、および炭化珪素などのセラミックスを用いることができ、第2外殻部材3としては、たとえば、ステンレス鋼、チタン合金およびアルミニウム合金などの金属を用いることができる。

さらに、第2外殻部材3としてアルミニウム合金を選択する場合、5056系,5051系またはA6061系のジュラルミンは高い強度と、海水に対する高い耐食性を備えているため、これらのジュラルミンを用いることがより好適である。また、第1外殻部材2および第2外殻部材3をともにセラミックスにて構成することも可能であるが、この場合には、例えば第1外殻部材2をヤング率の高いアルミナや炭化珪素とし、第2外殻部材3をアルミナや炭化珪素よりもヤング率の小さい窒化珪素やジルコニアより構成すれば良い。

<製造方法> 次に、耐圧容器1の製造方法について説明する。図1に示す耐圧容器1のうち、まず円筒状の第1外殻部材2については、たとえば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素および炭化珪素などの各種セラミックスを用いて製造することができる。以下にアルミナ、ジルコニア、窒化珪素および炭化珪素を用いた第1外殻部材2の製造方法について述べる。

(1)アルミナを用いた第1外殻部材2の製造方法 平均粒径が1μm程度のアルミナ原料と、CaO、SiO2、MgOなどの焼結助剤とを1次原料とし、この1次原料100質量%に対し、ポリビニルアルコール(PVA)などのバインダを1〜1.5質量%、水などの溶媒を100質量%、各種界面活性剤などの分散剤を0.5質量%にそれぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して、混合・撹拌し、スラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法によって造粒し、2次原料とする。

そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法にて円筒状に成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて大気雰囲気中1550〜1700℃の焼結温度で焼成する。焼成後、研削加工などの最終仕上げ加工を行い、アルミナ質焼結体から成る円筒状の第1外殻部材2を得ることができる。

(2)ジルコニアを用いた第1外殻部材2の製造方法 Y2O3添加量を3mol%とし、共沈法によって作成された平均粒径が0.1μmのジルコニアを1次原料とし、この1次原料を100質量%として、ポリビニルアルコール(PVA)などのバインダを3質量%、水などの溶媒を100質量%、各種界面活性剤などの分散剤を0.5質量%にそれぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して混合・撹拌して、スラリーとした後、これを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。

そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法にて円筒状に成形し、必要に応じて切削加工を施した後、これを焼成炉にて大気雰囲気中1300〜1500℃の焼成温度で焼成する。焼成後、研削加工などの最終仕上げ加工を行い、ジルコニア質焼結体から成る円筒状の第1外殻部材2を得ることができる。

(3)窒化珪素を用いた第1外殻部材2の製造方法 純度が99〜99.8%、平均粒径が1μmの窒化珪素原料と、Y2O3、Al2O3などの焼結助剤とを1次原料とし、この1次原料100質量%に対し、ポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレングリコール(PEG)などのバインダを1質量%、水などの溶媒を100質量%、各種界面活性剤などの分散剤を0.5質量%以下(0質量%を除く)にそれぞれ計量し、これらを撹拌機の容器内に投入して、混合・撹拌し、スラリーとした後、噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して、2次原料とする。

そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法にて円筒状に成形し、必要に応じて切削加工を行った後、これを焼成炉にて窒素雰囲気中1900℃を最高温度として焼成する。焼成後、研削加工などの最終仕上げ加工を行うことによって、窒化珪素質焼結体から成る円筒状の第1外殻部材2を得ることができる。

(4)炭化珪素を用いた第1外殻部材2の製造方法 純度が99〜99.8%、平均粒径が0.5〜10μmの炭化珪素原料と、C(グラファイト)、B2O3、Al2O3、Y2O3などの焼結助剤とを、ボールミルなどの粉砕機によって、平均粒径が1μm以下となるように粉砕する。さらに、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)などのバインダを適量添加して、スラリーとした後、このスラリーを噴霧造粒(スプレードライ)法にて造粒して2次原料とする。

そして、この2次原料を静水圧プレス成形(ラバープレス)法にて円筒状に成形し、必要に応じて切削加工を行った後、これを焼成炉にて非酸化雰囲気中1800〜2200℃の温度で焼成する。焼成後、研削加工などの最終仕上げ処理を行うことによって、炭化珪素質焼結体から成る円筒状の第1外殻部材2を得ることができる。

このように、第1外殻部材2の材質として、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素または炭化珪素などのセラミックス材料を適用することが可能であり、基礎的特性の試験結果や製造技術の観点からも、耐圧容器1の部材を構成することが可能である。耐圧容器1の用途、利用方法、水圧など、求められる特性に応じて最適な材料を選択すればよく、製造コストや海底の岩石と接触した場合の耐摩耗性などの観点からは、アルミナが優れており、軽量化や信頼性の観点からは、窒化珪素製の耐圧容器が優れている。

また、図1に示す耐圧容器1のうち、第2外殻部材3については、ステンレス鋼、チタン合金およびアルミニウム合金などの金属材料を用いて製造することができる。前記金属材料を鍛造などの方法を用いて、第2外殻部材3を削り出し可能な形状に成形し、前記金属材料から成る成形体を得た後、前記成形体を切削加工によって第2外殻部材3の形状に加工することによって、第2外殻部材3を得ることが可能である。

図2は、本発明の他の実施形態の耐圧容器11の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。前述の実施形態の耐圧容器1は、耐久性の観点から、第2外殻部材3の全体を半球とすればよいのに対し、本実施形態の耐圧容器11は、図2に示すように、半球体の凸部に代わる一部を軸線Lに垂直な平面部5としても構わない。このように平面部5を設けた耐圧容器11は、該平面部5を利用して、水中コネクタ、小型カメラ、計測機器およびセンサなどの各種装置を耐圧容器11に装備しやすくすることができる。

図3は、本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器12の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の耐圧容器12は、第2外殻部材3が、第1外殻部材2との接触部Aの内周側に、第1外殻部材2の端部2a,2bがそれぞれ嵌合する環状の凸部6を備えている。

このような構成によれば、耐圧容器12の外表面の形状を変えることなく、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接触面積を増加させることが可能となり、よりシール性能を向上させることが可能となる。換言すると、耐圧容器12の外周表面の水に対する流れ抵抗を変えることなく、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでのシール性を向上させることができる。

図4は、本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器13の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の耐圧容器13は、第2外殻部材3が、第1外殻部材2との接続部A側端部31に、内周側、すなわち半径方向内方に突出する環状のフランジ部7を備える。

このような構成によれば、耐圧容器13の外表面に水圧を受けた場合に、応力が集中しやすく、変形しやすい第2外殻部材3の接続部A側端部31の変形を、フランジ部7によって抑制することができるため、深海における高圧下で第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aでの変形量の差が小さくなるため、第1外殻部材2と第2外殻部材3との接続部Aの応力集中による破損をより抑制することができる。

また、フランジ部7と第2外殻部材3とは、別の金属から構成されてもよく、第2外殻部材3の金属よりもヤング率の低い金属、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、チタンおよびチタン合金などの金属から適宜選択した材料をフランジ部7に用いれば、フランジ部7と第2外殻部材3とを一体的に同一種類の金属で形成した場合に比べて、より小さな体積のフランジ部7で耐圧容器13のシール性能を向上させることができ、耐圧容器13内の容積をより大きく維持することができる。

図5は、本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器14の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の耐圧容器14は、第2外殻部材3の内周面8側に、フランジ部7と軸線Lを共通にする円筒状の平滑面9を有する。

このような構成によって、深海において耐圧容器14に水圧が作用した際、第2外殻部材3が第1外殻部材2に、均等な状態で軸線Lの方向により強く押付けられやすくなるため、第1外殻部材2と第2外殻部材3との密着性をより向上させることができる。

図6は、本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器15の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の耐圧容器15は、第2外殻部材3が、第1部材32と第2部材33とから成る複合構造とされる。なお、第1部材32および第2部材33のヤング率E3,E4は、第1外殻部材2のヤング率E1よりも小さい(E3

具体的には、第2外殻部材3は、接続部A側に配置される第1部材32が第2部材33の内径に等しいかやや小さい外径を有する突出部34を備える。また、第2部材33は、第1部材32の突出部34に嵌合され、第2部材33の開口周縁部と突出部34の間にはOリング4が介在された状態で嵌合し、1000m以下の水深においても高い水密性で固定されている。つまり、1000m以下の水深では、耐圧容器15に加わる水圧が低圧であるため、水圧による耐圧容器15のシール性能が弱まるが、Oリング4を介在させることによって、1000m以下の水深での耐圧容器15のシール性能を補強することができる。

このような構成によれば、過度の使用によって第1外殻部材2との接触面が摩耗しても、第1部材32のみを交換すればよく、経済性に優れている。

なお、深海において圧力が作用した際に、より変形しやすい部位に対応する第1部材32を構成する母材は、第2部材33を構成する母材よりもヤング率が高いことが好適である。

図7は、本発明のさらに他の実施形態の耐圧容器16の一部を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の耐圧容器16は、第1外殻部材2が、軸線L方向に連結された複数の円筒状部材2cからなるものである。なお、各円筒状部材2cの端部には2a’,2b’の参照符を付した。

ここで、単一の円筒状部材からなる第1の外殻部材2は、構造上、水圧に対する変形量が、軸線L方向の中央部付近に比べて端部2a,2bが大きくなる。すなわち、深海中において、単一の円筒状部材からなる第1の外殻部材2は、端部2a,2bと、両端部の間の中央部の変形量の差から中央部に応力集中が生じる傾向がある。

これに対して、図7に示す耐圧容器16は、第1外殻部材2が複数の円筒状部材2cからなるため、応力集中が複数の円筒状部材2cのそれぞれの端部2a’,2b’の間の中央部に生じる、言い換えると、応力集中が生じる部位が分散することから、単一の円筒状部材2cからなる第1の外殻部材2と比べて局所的に大きな応力集中が生じにくい。すなわち、耐圧容器16の耐久性が高まる。

<ヤング率の測定方法> 本発明に係る耐圧容器1,11,12,13,14,15,16の第1外殻部材2および第2外殻部材3のヤング率は、第1外殻部材2および第2外殻部材3のそれぞれから試験片を切り出し、部材の材質が金属である場合は、JIS Z 2280:1993に準じて、常温での静的ヤング率を測定すればよい。また、部材の材質がセラミックスである場合は、JIS R 1602:1995に準じて、常温での静的ヤング率を測定すればよい。

<無人探査機> 次に、前述の耐圧容器1の用途例について説明する。なお、前述の各実施形態で述べた耐圧容器1,11〜16のいずれも、次に述べる探査機51,60に搭載可能であるため、一例として図1に示す耐圧容器1を備える場合について説明する。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。

図8は、本発明の実施形態の探査機51の外観を示す図である。本実施形態の探査機51は、無人遠隔操作型の探査機であって、前述の耐圧容器1と、耐圧容器1内に収容されている探査モジュールである各種機器、観測機器とを備えた探査機本体53と、探査機本体53とテザーケーブル54によって接続された推進体52とを備える。

探査機本体53は、前述の耐圧容器1と、耐圧容器1を保護するバンパーやフレームなどの外装部材と、浮力材などを含んで構成されている。

推進体52は、海上の船舶50から張架されるテザーケーブル55と接続されており、テザーケーブル54,55を介して、船舶50から探査機本体53および推進体52への電力供給が行われ、船舶50に装備された通信機器と、探査機本体53の各種機器,観測機器,推進体52との双方向通信が可能なように構成されている。つまり、探査機51は、船舶50上から推進体52が遠隔操作されることによって移動し、探査機本体53に備えられた観測機器が得たデータを船舶50上で観測することができるように構成されている。

本発明の他の実施形態では、探査機本体53に、耐圧容器1に代えて、前述の耐圧容器11,12,13,14,15,16のいずれか1つを選択的に具備するようにしてもよい。

図9は、本発明の他の実施形態の探査機60の外観を示す断面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。本実施形態の探査機60は、曳航式の無人探査機であって、海上の船舶50から張架されるテザーケーブル61に重錘62が取付けられる。重錘62には、磁気ノイズの削減のため、ナイロン製のロープ63によって、電池、観測機器およびセンサなどの探査モジュールが収容されている耐圧容器1が接続されている。なお、耐圧容器1には、浮力材64を取り付けてもかまわない。

船舶50が探査機60を牽引することによって、耐圧容器1内に収容されている観測機器またはセンサによって、海中で観測したデータを収集することができる。

本発明の他の実施形態では、耐圧容器1に代えて、前述の耐圧容器11,12,13,14,15,16のいずれか1つを選択的に具備するようにしてもよい。

探査機51,60によれば、応力集中による破損が生じにくい本発明の耐圧容器1内に探査モジュールが収容されていることから、信頼性が高い探査機とすることができる。

本発明の耐圧容器の用途は、前記の探査機以外にも、有人潜水調査船、海底設置型観測機器またはアルゴフロートなど、深海中で用いるものに利用することができる。

本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。

1,11,12,13,14,15,16 耐圧容器 2 第1外殻部材 3 第2外殻部材 5 平面部 4 Oリング 6 凸部 7 フランジ部 8 内周面 9 平滑面 21 自己融着ゴム 31 接続部A側端部 32 第1部材 33 第2部材 34 突出部 50 船舶 51 探査機 52 推進体 53 探査機本体 54,55,61 テザーケーブル 60 探査機 62 重錘 63 ロープ 64 浮力材 A 接続部

QQ群二维码
意见反馈