【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はスキップバックカメラ、踏み切り監視装置等として好適な画像記憶処理装置に関する。 【0002】 【従来の技術】いつ生じるかわからない出来事に対して、その出来事又はそれの生じる以前の画像情報を得る手段として従来はビデオテープレコーダを用いる方法がある。 例えば、踏み切りへの違法進入車両を監視するための従来の踏み切り監視装置はビデオテープレコーダによる連続録画方式をとっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし上述した従来の方法では、(a)その出来事の生じた画像をテープから検索しなければならず、検索に時間と手間がかかる、 (b)テープが終了した場合にはテープを換える必要があり、これに気付かないと、必要な画像情報を得られないことがある、(c)使用されるテープ全体のデータ量に占める必要なデータ量の割合が低く高率が悪い、などの欠点がある。 特に、前記従来の踏み切り監視装置では、(i)違法車両進入時の画像をテープより検索するのに時間と手間がかかる、(ii)録画終了時に定期的にテープを交換する必要がある、(iii)連続録画のため全データに対する有効データの割合が小さい、等の欠点が問題となっている。 【0004】本発明の目的は、記憶画像情報の検索を短時間で容易に可能とする画像記憶処理装置を提供することにある。 本発明の他の目的は踏み切りへの違法進入車両のようないつ生じるか分からない出来事の画像情報を効率的に記憶でき、しかもその記憶容量を大幅に向上させた画像記憶処理装置を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の画像記憶処理装置は、撮像装置からの映像信号をデイジタル映像信号に変換するA −D変換手段と、上記デイジタル映像信号を画像圧縮して画像圧縮データを出力する画像圧縮手段と、上記画像圧縮データを記憶する記憶手段と、上記記憶手段から記憶されている画像圧縮データを選択し画像伸長して画像伸長データを出力する画像伸長手段と、上記画像伸長データをアナログ映像信号に変換するD−A変換手段と、 を備え、上記記憶手段は、予め設定された記憶可能画像の枚数に応じて分割された記憶領域から成る複数のグループの記憶領域を有し、トリガー信号の入力のない時には同一グループの各記憶領域を所定時間間隔で更新しながら圧縮画像データを記憶させ、上記トリガー信号の入力に応答して他のグループの記憶領域に移行させて記憶する制御手段を設けたことを要旨とする。 【0006】上記本発明の装置なおいて、前記制御手段は、上記画像圧縮手段による画像圧縮のデータ量をモニターし、上記データ量が画像1枚分の記憶容量を超えた場合に、前記画像圧縮手段の圧縮率を上げるように制御するようにしてもよい。 【0007】また、前記撮像装置は踏み切り内で車両を撮影可能な場所に2台設置され、踏み切り内への車両の進入を検出するセンサを設け、上記踏み切りに設けられた遮断器の開閉制御信号と上記センサの検出信号とで、 前記トリガー信号を生成すると共に上記センサの検出信号で撮像装置を切換える切換え手段を備えてもよい。 【0008】更に本発明の踏み切り監視装置は、踏み切り内で車両を撮影可能な場所に設置された2台の撮像装置と、踏み切り内への車両の進入を検出するセンサと、 上記センサの検出信号で上記撮像装置を切換える切換え手段と、上記切換え手段によって切換えられた撮像装置からの映像信号をデイジタル映像信号に変換するA−D 変換手段と、上記デイジタル映像信号を画像圧縮して画像圧縮データを出力する画像圧縮手段と、上記画像圧縮データを記憶する記憶手段と、上記記憶手段から記憶されている画像圧縮データを画像伸長して画像伸長データを出力する画像伸長手段と、上記画像伸長データをアナログ映像信号に変換するD−A変換手段と、前記踏み切りに設けられた遮断器の開閉制御信号と上記センサの検出信号とでトリガー信号を生成し、該トリガー信号に応答して前記画像圧縮データの記憶手段への記憶を行わせる制御手段と、を備えたことを要旨とする。 【0009】 【発明の実施の形態】図1は本発明による画像記憶処理装置の一実施形態を示す。 同図において、1は外部の撮像装置6(テレビカメラ)からのアナログ映像信号を、 (輝度信号Y及び色差信号C)のデイジタル映像信号に変換するA/D変換部、2は該デイジタル映像信号を画像圧縮して画像圧縮データを出力するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式の画像データ圧縮部、3は画像圧縮データを記憶する記憶部、4は記憶部3から記憶されている画像圧縮データを選択し画像伸長して画像伸長データを出力する画像データ伸長部、5は上記画像伸長データ(デイジタル映像信号)をアナログ映像信号に変換するD/A変換部、7は上記画像圧縮部2及び伸長部4、記憶部を制御する制御部(マイクロコンピュータ)、8はトリガー信号入力部、9はテレビモニタである。 【0010】上記構成の画像記憶処理装置において、撮像装置6から入力されるアナログ映像信号はA/D変換部1でデイジタル映像信号に変換され、該デイジタル映像信号は画像データ圧縮部2で圧縮され、得られた画像圧縮データは記憶部3に記憶される。 記憶された画像圧縮データは画像データ伸長部4に転送し選択され画像伸長し、得られた画像伸長データはD/A変換部5でアナログ映像信号に変換され、テレビモニタ9に送られて表示される。 【0011】ここで、トリガー信号入力部8は、前記出来事の発生に応答して生成されるトリガー信号を入力し、制御部7はこのトリガー信号により必要とする画像のみを圧縮し、記憶するように制御し、これにより必要な画像を任意に選択しテレビモニタ9に表示できる。 このように必要な画像のみを記憶し、しかもこの画像を圧縮データとすることにより記憶効率が良い。 【0012】また画像圧縮によって生成される圧縮画像データの量は可変長である。 即ち、入力画像が複雑であればある程、その圧縮画像データ量は増加する。 従って、特定容量の記憶部に記憶可能な画像の枚数は通常は入力画像に応じて異なってしまうため、記憶部の制御管理は複雑となる。 【0013】そこで、本発明では、記憶可能な画像の枚数を予め設定し、その設定枚数で記憶部3の記憶領域を等分する。 例えば、図2に示すように、記憶部3は(M ×N)個の記憶領域に等分されており、水平方向のN個の記憶領域を1グループとし第1〜第Mグループ迄とする。 制御部7は、トリガー信号入力のない時(又は第1 トリガー信号の入力時)には、第1グループの各記憶領域を、一定時間間隔で、1−1→1−2→1−3・・・ →1−N→1−1と更新しながら画像圧縮データを記憶させ、トリガー信号入力があった時点(又は第2トリガー信号の入力時)で、画像圧縮データの記憶領域は第1 グループから次の第2グループ以下のグループへ移行するように制御し、このように制御することにより、前のグループの記憶領域にはそのトリガー信号の入力以前のN枚の画像圧縮データが記憶されることになる。 このようにしてトリガー信号入力のない時には同一グループの記憶領域内で各記憶領域を更新しながら画像圧縮データを記憶させ、トリガー信号入力のある度に記憶領域のグループを次のグループへと移行するように制御することで、M個のトリガー信号入力に対応できる。 【0014】以上のように画像データの記憶処理を行うことにより、外部からのトリガー信号入力を録画のタイミングとすることで必要とする画像データのみを効率的に記憶することができる。 また画像の表示はその画像圧縮データの記憶領域の番号を選択することにより任意に可能である。 【0015】更に、制御部7が、画像圧縮部2による画像圧縮よって得られるデータ量を常にモニターし、生成される画像圧縮データが画像1枚分の記憶領域の記憶容量を超えた場合は画像圧縮部2の圧縮率を上げるように制御するようにすれば、常に前記のように設定された記憶画像枚数を確保することができる。 この場合、上記圧縮率の制御には量子化テーブル又はスケールリングファクタを変更することで対応するようにする。 また上述のように圧縮率の制御方式をとることにより、上記設定記憶画像枚数のモードとして数モード用意することで以下のような事例をとることも可能である。 【0016】例えば、画像圧縮の圧縮率を高くすることで、圧縮データ量を2分の1とし、現在(M×N)個の記憶領域に設定してあったものを(M×N×2)個の記憶領域に分割して設定することが可能である。 圧縮率が高くなると、多少の画質の劣化が見られるものの、高画質が要求されない用途では十分と考えられるので、この高圧縮率のモードをエコノミーモードとし、(N×N) 個の記憶領域分割の場合と対比させて下記の3モードを設定できる。 (i)高画質モード(記憶領域をM(グループ)×N (ページ)に分割) (ii)エコノミーモードI(記憶領域をM(グループ) ×N×2(ページ)に分割) (iii)エコノミーモードII(記憶領域をM×2(グループ)×N(ページ)に分割) 【0017】 【実施例】以下、上述した本発明の画像記憶処理装置を、踏み切り監視装置に適用した一実施例を説明する。 図3及び図4は本発明の一実施例としての踏み切り監視装置である。 図3において、21はA/D変換部、22 は画像データ圧縮部、23は記憶部、24は画像データ伸長部、25はD/A変換部、26はテレビカメラ切換部、27は制御部、28はトリガー信号インターフェース部、29は制御インターフェース部、30,31はテレビカメラA,Bからのアナログ映像信号の入力端子、 32はテレビモニタへの出力端子である。 【0018】また図4において、41,42は線路43 の踏み切り44,45の遮断器、46,47は車両進入検出センサで、テレビカメラA,Bは踏み切り内で車両S 1 ,S 2を正面より撮影可能な場所に配置する。 更にセンサ46,47は踏み切り内に車両が進入したことが検出可能な場所に配置され、例えば、超音波やレーザー光によるセンサを用い得る。 【0019】図3の回路構成は、図1とほぼ同様であり、その画像データの記憶処理動作もほぼ同様である。 従って、例えば、記憶部23は、図5(a)に示すように、テレビカメラA,Bの夫々の撮像画像のため2n枚の画像圧縮データの記憶領域A−1〜A−(2n),B −1〜B−(2n)を設け、図5(b)に示すように、 制御部27によってテレビカメラ切換部26を制御して一定時間間隔でテレビカメラA,Bを切り換えて上記記憶領域を更新しながら画像圧縮データの記憶を進める。 このようにして任意のタイミングでセンサ46,47が車両を検出した後にn枚の画像圧縮データを記録し終了することで、車両の踏み切りへの進入前後の2n個の画像を保存できる。 【0020】さて、車両の踏み切りへの違法進入は遮断器41,42の開閉制御信号とセンサ46,47の検出信号とから検知できる。 即ち、図6から明らかなように、図(A)の上記開閉制御信号aより、遮断器の下降開始から列車通過までの時間tを検出できる。 この時間t内にセンサ46,47が踏み切りへの車両の進入を検出した場合は、このタイミングで違法進入を検出したことになる。 従って、上記開閉制御信号aと図(B), (C)の検出信号b,cから上記タイミングでトリガー信号sを生成し、トリガー信号インターフェース部28 に与えると共に上記センサ46,47の検出信号b,c をテレビカメラ切換部26に与えてテレビカメラA,B の出力映像信号を切り換えると、前記タイミングで違法進入車両の画像を記録保存できる。 【0021】なお、単に違法車両進入時にその車両の1 枚分の画像のみを記録保存するためだけなら、記憶部2 3での前記した記憶領域の分割は不要である。 また上述した踏み切り監視装置と、列車の集中管理センターとを専用の電話回線で結ぶようにすれば、違法進入車両の有無を速やかに通知することができ、更には必要な画像の転送も可能になる。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、いつ生じるか分からない出来事及びその前後の状態を画像で記録保存する場合、必要な画像のみを効率良く、しかも記録画像の検索も容易なように記憶することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。 【図2】上記実施形態における記憶部の制御方法の説明図である。 【図3】本発明の踏み切り監視装置の一実施例を示すブロック図である。 【図4】上記実施例におけるテレビカメラと車両進入検出センサの配置図である。 【図5】上記実施例における記憶部の制御方法の説明図である。 (a)は各記憶領域の更新の順序を示し、 (b)は素の順序のタイミングを示す。 【図6】トリガー信号生成のタイミング説明図である。 (A)は遮断器開閉制御信号a、(B)はセンサ46の検出信号b、(C)はセンサ47の検出信号cを示す。 【符号の説明】 1 A/D変換部 2 画像データ圧縮部 3 記憶部 4 画像データ伸長部 5 D/A変換部 6 テレビカメラ 7 制御部 8 トリガー信号入力部 9 テレビモニタ |