鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法

申请号 JP2015530906 申请日 2014-08-05 公开(公告)号 JPWO2015020062A1 公开(公告)日 2017-03-02
申请人 ナブテスコ株式会社; 发明人 貴裕 津坂;
摘要 よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる、鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法を提供する。鉄道車両用ブレーキシステム1は、編成104を構成する複数の車両101,102,103に個別に設けられる複数のブレーキ制御装置11,12,13を備える。各ブレーキ制御装置10(11,12,13)は、自車両101,102,103の情報を伝送装置20を介して他のブレーキ制御装置10へ出 力 可能であり、かつ、他のブレーキ制御装置10から伝送装置20へ出力された情報を用いて、複数の車両101,102,103全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAを算出可能である。
权利要求

編成を構成する複数の車両に個別に設けられる複数のブレーキ制御装置を備え、 各前記ブレーキ制御装置は、当該ブレーキ制御装置が設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他の前記ブレーキ制御装置へ出可能であり、かつ、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、前記編成を構成する複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出可能である、 ことを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 各前記ブレーキ制御装置は、減速指令信号を受信した場合、前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、当該必要ブレーキ力値を前記情報として前記伝送装置へ出力することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項2に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 各前記ブレーキ制御装置は、他の前記ブレーキ制御装置で算出された前記必要ブレーキ力値と、前記自車両の制動に必要な前記必要ブレーキ力値とを加算することで、前記必要全体ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項3に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値を基に、前記モータで発生させる目標回生ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項4に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 各前記車両は、車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置を有し、 各前記ブレーキ制御装置は、前記モータ車で実際に発生した回生ブレーキ力値を前記必要全体ブレーキ力値から減算した値に基づいて、前記自車両の前記機械ブレーキ装置に発生させる目標機械ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、前記車両としてのトレーラ車に設けられるトレーラ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項6に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要なブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項8に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車は、前記モータ車の車輪に連結される前記モータと、前記車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置とを有し、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記モータに回生ブレーキ動作を行わせることなく、前記機械ブレーキ装置を動作させることを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項8または請求項9に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記モータ車用ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ前記情報を伝達不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記モータ車以外の複数の前記車両全体の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、前記車両としてのトレーラ車に設けられるトレーラ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項11に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記受信不能となる時点での減速指令信号に基づいて、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項11または請求項12に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記トレーラ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置から前記情報を受信不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、複数の前記所定のブレーキ制御装置についての前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、かつ、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定することで、複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項13に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記受信不能となる前において前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が算出した、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を基に、複数の前記所定のブレーキ制御装置が、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項13または請求項14に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記トレーラ車で減速動作が行われている最中に、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置からの前記情報を受信不能となった場合、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値から、前記トレーラ車の減速動作で発生しているブレーキ力値を減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値として算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項16に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記受信不能となる時点での減速指令信号に基づいて、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項16または請求項17に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車は、前記モータ車の車輪に連結される前記モータと、前記車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置とを有し、 前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記モータに回生ブレーキ動作を行わせることなく、前記機械ブレーキ装置を動作させることを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項16ないし請求項18のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記モータ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置から前記情報を受信不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、複数の前記所定のブレーキ制御装置についての前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、かつ、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定することで、複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項19に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記受信不能となる前において前記モータ車用ブレーキ制御装置が算出した、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を基に、複数の前記所定のブレーキ制御装置が、前記モータ車の制動に必要なブレーキ力値を推定することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項19または請求項20に記載の鉄道車両用ブレーキシステムであって、 前記モータ車で減速動作が行われている最中に、前記モータ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置からの前記情報を受信不能となった場合、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値から、前記モータ車の前記減速動作で発生しているブレーキ力値を減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値として算出することを特徴とする、鉄道車両用ブレーキシステム。請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載の鉄道車両用ブレーキシステムに用いられるブレーキ制御装置であって、 前記ブレーキ制御装置は、当該ブレーキ制御装置が設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他のブレーキ制御装置へ出力可能であり、かつ、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、複数の前記車両の全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出可能であることを特徴とする、鉄道車両用ブレーキ制御装置。編成を構成する複数の車両に個別に設けられる複数のブレーキ制御装置が、それぞれ、当該ブレーキ制御装置の設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他の前記ブレーキ制御装置へ出力する、情報出力ステップと、 各前記ブレーキ制御装置が、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、前記編成を構成する複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出する、算出ステップと、 を含んでいることを特徴とする、鉄道車両用ブレーキ制御方法。

说明书全文

本発明は、鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法に関する。

鉄道車両用のブレーキ制御装置は、通常、編成を構成する複数の車両のブレーキ装置を一括して制御するように構成されている(たとえば、特許文献1参照)。

特許第4638959号明細書

通常、鉄道車両のブレーキ制御装置は、安全面を考慮して、二重化されている。より具体的には、ブレーキ制御装置が故障すると、ブレーキ装置を作動させることができなくなるため、予備のブレーキ制御装置などが鉄道車両に設けられる。しかしながら、ブレーキ制御装置を二重化しても、双方のブレーキ制御装置が故障する可能性もゼロではい。よって、ブレーキ制御装置の故障の可能性を減らすためには、三重化、四重化という、さらなる多重化を施す必要が生じる。しかしながら、このような多重化は、多数のブレーキ制御装置をバックアップのために設ける必要があり、鉄道車両のブレーキシステムの複雑化を招いてしまう。

本発明は、上記実情に鑑みることにより、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる、鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法を提供することを、目的とする。

(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる鉄道車両用ブレーキシステムは、編成を構成する複数の車両に個別に設けられる複数のブレーキ制御装置を備え、各前記ブレーキ制御装置は、当該ブレーキ制御装置が設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他の前記ブレーキ制御装置へ出可能であり、かつ、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、前記編成を構成する複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出可能である。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムの通常時、各ブレーキ制御装置は、他のブレーキ制御装置からの情報を用いて、編成を構成する複数の車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力を算出できる。よって、鉄道車両用ブレーキシステムは、複数の車両の制動処理を滑らかに行うことができる。また、編成を構成する各車両にブレーキ制御装置が備えられる。よって、たとえば伝送装置に異常が生じた場合でも、各ブレーキ制御装置による制御によって、編成の車両にブレーキ動作を行わせることができる。よって、ブレーキ制御装置の多重化を実現できる。しかも、車両毎にブレーキ制御装置を設けるというシンプルな構成でよい。したがって、本発明によると、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる。

(2)好ましくは、各前記ブレーキ制御装置は、減速指令信号を受信した場合、前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、当該必要ブレーキ力値を前記情報として前記伝送装置へ出力する。

この構成によると、各ブレーキ制御装置が自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出するというシンプルな構成で、必要全体ブレーキ力値の算出に必要な情報を生成できる。

(3)より好ましくは、各前記ブレーキ制御装置は、他の前記ブレーキ制御装置で算出された前記必要ブレーキ力値と、前記自車両の制動に必要な前記必要ブレーキ力値とを加算することで、前記必要全体ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムは、シンプルな構成で、必要全体ブレーキ力値を算出できる。

(4)より好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値を基に、前記モータで発生させる目標回生ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムは、より適切な目標回生ブレーキ力値を算出することができる。

(5)より好ましくは、各前記車両は、車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置を有し、各前記ブレーキ制御装置は、前記モータ車で実際に発生した回生ブレーキ力値を前記必要全体ブレーキ力値から減算した値に基づいて、前記自車両の前記機械ブレーキ装置に発生させる目標機械ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムは、実際の回生ブレーキ力値を考慮して、より適切な目標機械ブレーキ力値を算出できる。

(6)好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、前記車両としてのトレーラ車に設けられるトレーラ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、トレーラ車用ブレーキ制御装置は、当該トレーラ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出できる。よって、トレーラ車用ブレーキ制御装置は、トレーラ車を制動する制御を行うことができ、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(7)より好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要なブレーキ力値を算出する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、トレーラ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出できる。よって、モータ車用ブレーキ制御装置は、モータ車を制動する制御を行うことができ、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(8)好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置へ前記情報を伝達不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、当該モータ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出できる。よって、モータ車用ブレーキ制御装置は、モータ車を制動する制御を行うことができ、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(9)より好ましくは、前記モータ車は、前記モータ車の車輪に連結される前記モータと、前記車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置とを有し、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記モータに回生ブレーキ動作を行わせることなく、前記機械ブレーキ装置を動作させる。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、伝送装置へ情報を伝達不能である場合でも、機械ブレーキ装置によるブレーキ動作を行わせることができる。

(10)より好ましくは、前記モータ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記モータ車用ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ前記情報を伝達不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記モータ車以外の複数の前記車両全体の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、通信異常を生じたモータ車用ブレーキ制御装置以外のブレーキ制御装置が、協働して、通信異常を生じたモータ車以外の車両のブレーキ制御を行うことができる。その結果、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(11)好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、前記車両としてのトレーラ車に設けられるトレーラ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、トレーラ車用ブレーキ制御装置は、当該トレーラ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出できる。よって、トレーラ車用ブレーキ制御装置は、トレーラ車を制動する制御を行うことができ、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(12)より好ましくは、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記受信不能となる時点での減速指令信号に基づいて、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、トレーラ車用ブレーキ制御装置は、通信異常を生じた場合でも、トレーラ車を制動する処理を継続することができる。

(13)より好ましくは、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置から前記情報を受信不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、複数の前記所定のブレーキ制御装置についての前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、かつ、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定することで、複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、通信異常を生じているトレーラ車を考慮することで、他のブレーキ制御装置が、自車両で発生させる必要のあるブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

(14)より好ましくは、前記受信不能となる前において前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が算出した、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を基に、複数の前記所定のブレーキ制御装置が、前記トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定する。

この構成によると、トレーラ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、トレーラ車用ブレーキ制御装置以外のブレーキ制御装置は、トレーラ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を、より正確に算出できる。

(15)より好ましくは、前記トレーラ車で減速動作が行われている最中に、前記トレーラ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置からの前記情報を受信不能となった場合、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値から、前記トレーラ車の減速動作で発生しているブレーキ力値を減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値として算出する。

この構成によると、通信異常を生じているトレーラ車用ブレーキ制御装置が行っている制動動作を考慮することで、他のブレーキ制御装置が、自車両で発生させる必要のあるブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

(16)好ましくは、一の前記ブレーキ制御装置は、モータを備える前記車両としてのモータ車に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されており、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いることなく、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、当該モータ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出できる。よって、モータ車用ブレーキ制御装置は、モータ車を制動する制御を行うことができ、編成全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

(17)より好ましくは、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記受信不能となる時点での減速指令信号に基づいて、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、通信異常を生じた場合でも、モータ車を制動する処理を継続することができる。

(18)より好ましくは、前記モータ車は、前記モータ車の車輪に連結される前記モータと、前記車輪に摩擦抵抗を付与するための機械ブレーキ装置とを有し、前記モータ車用ブレーキ制御装置は、前記伝送装置から前記情報を受信不能である場合に、前記モータに回生ブレーキ動作を行わせることなく、前記機械ブレーキ装置を動作させる。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置は、たとえば、モータの回生ブレーキ力を測定できない場合であっても、より適切なブレーキ力をモータ車に与える制御を行うことができる。

(19)より好ましくは、前記モータ車用ブレーキ制御装置以外の複数の前記ブレーキ制御装置を所定のブレーキ制御装置とした場合、前記モータ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置から前記情報を受信不能であるときにおいて、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、複数の前記所定のブレーキ制御装置についての前記自車両の制動に必要な必要ブレーキ力値を算出し、かつ、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を推定することで、複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出する。

この構成によると、通信異常を生じているモータ車を考慮することで、他のブレーキ制御装置が、自車両で発生させる必要のあるブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

(20)より好ましくは、前記受信不能となる前において前記モータ車用ブレーキ制御装置が算出した、前記モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を基に、複数の前記所定のブレーキ制御装置が、前記モータ車の制動に必要なブレーキ力値を推定する。

この構成によると、モータ車用ブレーキ制御装置に通信異常が生じた場合でも、モータ車用ブレーキ制御装置以外のブレーキ制御装置は、モータ車の制動に必要な必要ブレーキ力値を、より正確に算出できる。

(21)より好ましくは、前記モータ車で減速動作が行われている最中に、前記モータ車用ブレーキ制御装置が前記伝送装置からの前記情報を受信不能となった場合、複数の前記所定のブレーキ制御装置は、前記必要全体ブレーキ力値から、前記モータ車の前記減速動作で発生しているブレーキ力値を減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値として算出する。

この構成によると、通信異常を生じているモータ車用ブレーキ制御装置が行っている制動動作を考慮することで、他のブレーキ制御装置が、自車両で発生させる必要のあるブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

(22)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるブレーキ制御装置は、前記の鉄道車両用ブレーキシステムに用いられるブレーキ制御装置である。前記ブレーキ制御装置は、当該ブレーキ制御装置が設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他のブレーキ制御装置へ出力可能であり、かつ、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、複数の前記車両の制動に全体に必要な必要全体ブレーキ力値を算出可能である。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムの通常時、各ブレーキ制御装置は、他のブレーキ制御装置からの情報を用いて、編成を構成する複数の車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力を算出できる。よって、鉄道車両用ブレーキシステムは、複数の車両の制動処理を滑らかに行うことができる。また、編成を構成する各車両にブレーキ制御装置が備えられる。よって、たとえば伝送装置に異常が生じた場合でも、各ブレーキ制御装置による制御によって、編成の車両にブレーキ動作を行わせることができる。よって、ブレーキ制御装置の多重化を実現できる。しかも、車両毎にブレーキ制御装置を設けるというシンプルな構成でよい。したがって、本発明によると、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる。

(23)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる鉄道車両用ブレーキ制御方法は、編成を構成する複数の車両に個別に設けられる複数のブレーキ制御装置が、それぞれ、当該ブレーキ制御装置の設置される前記車両としての自車両の情報を伝送装置を介して他の前記ブレーキ制御装置へ出力する、情報出力ステップと、各前記ブレーキ制御装置が、他の前記ブレーキ制御装置から前記伝送装置へ出力された前記情報を用いて、前記編成を構成する複数の前記車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値を算出する、算出ステップと、 を含んでいる。

この構成によると、鉄道車両用ブレーキシステムの通常時、各ブレーキ制御装置は、他のブレーキ制御装置からの情報を用いて、編成を構成する複数の車両全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力を算出できる。よって、本方法によると、複数の車両の制動処理を滑らかに行うことができる。また、編成を構成する各車両にブレーキ制御装置が備えられる。よって、たとえば1つの伝送装置に異常が生じた場合でも、各ブレーキ制御装置による制御によって、編成の車両にブレーキ動作を行わせることができる。よって、ブレーキ制御装置の多重化を実現できる。しかも、車両毎にブレーキ制御装置を設けるというシンプルな構成でよい。したがって、本発明によると、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる。

本発明によると、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる。

本発明の実施形態に係る鉄道車両用ブレーキシステムを備える鉄道車両ユニットのブロック図である。

鉄道車両の1つの編成について説明するためのブロック図である。

ブレーキ制御装置および機械ブレーキ装置のブロック図である。

ブレーキシステムの通常時の動作(1/4)〜(2/4)を説明するためのフローチャートである。

ブレーキシステムの通常時の動作(3/4)〜(4/4)を説明するためのフローチャートである。

ブレーキシステムの通常時の動作(1/4)を説明するためのブロック図である。

ブレーキシステムの通常時の動作(2/4)を説明するためのブロック図である。

ブレーキシステムの通常時の動作(3/4)を説明するためのブロック図である。

ブレーキシステムの正常時の動作(4/4)を説明するためのブロック図である。

(a)トレーラ車のブレーキ制御装置から伝送装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すブロック図である。

(a)トレーラ車のブレーキ制御装置から伝送装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すフローチャートである。

(a−1)トレーラ車が単独でブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

(a−2)モータ車が単独でブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

(b)モータ車のブレーキ制御装置から伝送装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すブロック図である。

(b)モータ車のブレーキ制御装置から伝送装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すフローチャートである。

伝送装置からトレーラ車のブレーキ制御装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すブロック図である。

(c)伝送装置からトレーラ車のブレーキ制御装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すフローチャートである。

(c−1)モータ車が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

(c−1)モータ車が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

(d)伝送装置からモータ車のブレーキ制御装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すブロック図である。

(d)伝送装置からモータ車のブレーキ制御装置への送信不良が生じた場合のブレーキシステムの動作の一例を示すフローチャートである。

(d−1)正常なモータ車およびトレーラ車が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

(d−1)正常なモータ車およびトレーラ車が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、以下の実施形態で例示した形態に限らず、鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法として広く適用することができる。

[鉄道車両ユニットの概略構成] 図1は、本発明の実施形態に係る鉄道車両用ブレーキシステムを備える鉄道車両ユニット100のブロック図である。図2は、鉄道車両ユニット100の1つの編成104について説明するためのブロック図である。

図1および図2を参照して、鉄道車両ユニット100は、トレーラ車101と、モータ車102,103と、を有している。鉄道車両ユニット100は、順次連結されたトレーラ車101、およびモータ車102,103を1つの編成104として、複数の編成104で構成されている。鉄道車両ユニット100は、先端車両(本実施形態では、トレーラ車101)と後端車両(本実施形態では、モータ車103)のそれぞれに操作装置105を有している。操作装置105は、運転士によって操作されることで、この操作に応じた減速指令信号S1および加速指令信号などを出力する。なお、以下では、各編成104の構成は同様であるので、1つの編成104について説明する。

編成104を構成するトレーラ車101、および、モータ車102,103には、個別にブレーキ制御装置10(11,12,13)が設けられている。なお、ブレーキ制御装置11,12,13を総称していう場合は、ブレーキ制御装置10という。ブレーキシステム1は、これら複数のブレーキ制御装置11,12,13を備えている。

ブレーキ制御装置11は、トレーラ車101に設けられるトレーラ車用ブレーキ制御装置として構成されている。ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、モータ車102,103に設けられるモータ車用ブレーキ制御装置として構成されている。

本実施形態では、ブレーキ制御装置11,12,13は、それぞれ、当該ブレーキ制御装置11,12,13が設置される車両としての自車両101,102,103のブレーキ動作に関する情報を、伝送装置20(21,22,23)を介して他のブレーキ制御装置10へ出力可能である。また、各ブレーキ制御装置10は、他のブレーキ制御装置10から伝送装置20へ出力された、ブレーキ動作に関する情報を用いて、編成104(複数の車両101,102,103)全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAを算出可能である。

伝送装置21,22,23は、それぞれ、車両101,102,103に取り付けられている。伝送装置21,22,23は、それぞれ、通信機として設けられており、互いに情報信号を伝達可能に構成されている。本実施形態では、伝送装置21,22,23を総称していう場合、単に伝送装置20という。

トレーラ車101は、当該トレーラ車101に加速力を付与する原動機としてのモータを備えておらず、モータ車102,103の動力を受けて走行する。モータ車102,103は、それぞれ、これらのモータ車102,103に加速力付与する原動機としてのモータ102b,103bを有している。これらのモータ102b,103bは、架線106からの電力を受けて駆動する。

トレーラ車101と、モータ車102と、モータ車103とは、伝送装置20を介して通信可能に構成されている。また、トレーラ車101、モータ車102、および、モータ車103は、それぞれ、伝送装置20を介して、操作装置105からの指令信号を受信可能に構成されている。

トレーラ車101は、伝送装置21と、ブレーキ制御装置11と、機械ブレーキ装置31と、圧力センサ41とを有している。

伝送装置21は、電気信号の入力および出力を行うように構成されている。伝送装置21は、隣接するモータ車102の伝送装置22と、ブレーキ制御装置11とに電気的に接続されている。

ブレーキ制御装置11は、トレーラ車101の機械ブレーキ装置31を制御するように構成されている。図3は、ブレーキ制御装置11および機械ブレーキ装置31のブロック図である。

図1〜図3を参照して、本実施形態では、ブレーキ制御装置11は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などを有しており、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んでいる。

ブレーキ制御装置11は、通信部51と、演算部52と、ブレーキ制御弁53と、中継弁54と、を有している。

通信部51は、伝送装置21と通信するために設けられている。通信部51は、入力ライン551bと出力ライン551aとを有している。入力ライン551bは、伝送装置21からの電気信号を受け入れるように構成されている。出力ライン551aは、伝送装置21へ電気信号を出力するように構成されている。ブレーキ制御装置11の通信部51と伝送装置21とが通信する場合、ブレーキ制御装置11および伝送装置21の何れか一方が信号を送信すると、他方が応答信号を返信するように構成されている。このため、上記一方が信号を送信した後、所定時間が経過しても他方からの返信が無い場合、上記一方は、通信障害が生じたと判定することができる。この場合、上記一方は、通信障害が生じたことを示す通信異常信号S3を生成する。

この通信異常信号S3は、伝送装置20を介して、ブレーキ制御装置12,13へ出力される。なお、通信部51,演算部52とブレーキ制御弁53とは、物理的に分離されている。ブレーキ制御弁53が仮に故障した場合、演算部52は、ブレーキ制御弁故障発生信号を、通信部51を介して伝送装置20へ出力する。通信部51、および、演算部52は、ブレーキ制御弁53と異なり、可動部が無いため、故障する可能性が低い。また、通信部51は、コンパクトな構成とすることができる。よって、ブレーキ制御装置11のうち通信部51を二重化することは容易である。通信部51は、演算部52に接続されている。

演算部52は、操作装置105から伝送装置21を介して与えられた減速指令信号S1の減速指令量と、圧力センサ41からの圧力検出信号P1とに基づいて、トレーラ車101の減速に必要なブレーキ力としての必要ブレーキ力値BR1を算出するように構成されている。本実施形態では、必要ブレーキ力値BR1は、目標機械ブレーキ力値BM1と同じ値である。なお、圧力センサ41は、トレーラ車101の空気ばね(図示せず)に接続されており、トレーラ車101の車両重量に応じた圧力値を圧力検出信号P1として出力する。

演算部52は、演算した目標機械ブレーキ力値BM1に基づく弁動作信号を、ブレーキ制御弁53に出力する。ブレーキ制御弁53は、弁動作信号に応じた量だけ開く。これにより、ブレーキ制御弁53に接続されているブレーキ管56内の圧力が変化する。なお、ブレーキ管56は、図示しない空気圧縮機からの圧力空気を供給されている。ブレーキ管56内の圧力変化は、中継弁54を介して、機械ブレーキ装置31のブレーキシリンダ57に伝わる。これにより、ブレーキシリンダ57が動作し、ブレーキシリンダ57に連結されている図示しないブレーキキャリパを動作させる。その結果、ブレーキキャリパに固定されたブレーキパッドが、トレーラ車101の車輪101aに接触し、車輪101aに摩擦抵抗が付与される。これにより、トレーラ車101が制動される。

モータ車102は、伝送装置22と、ブレーキ制御装置12と、機械ブレーキ装置32と、圧力センサ42と、モータ制御装置62と、モータ車102の車輪102aに連結されるモータ102bとを有している。

伝送装置22は、伝送装置21と同様の構成を有しており、隣接する車両101,103の伝送装置21,23と、ブレーキ制御装置12と、モータ制御装置62のそれぞれと電気的に接続されている。

ブレーキ制御装置12は、モータ車102の機械ブレーキ装置32およびモータ102bを制御するように構成されている。

ブレーキ制御装置12および機械ブレーキ装置32は、それぞれ、ブレーキ制御装置11および機械ブレーキ装置31と同様の構成を有している。ブレーキ制御装置12は、減速指令信号S1の減速指令と、圧力センサ42からの圧力検出信号P2とに基づいて、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2を算出するように構成されている。なお、圧力センサ42は、モータ車102の空気ばね(図示せず)に接続されており、モータ車102の車両重量に応じた圧力検出信号P2を出力する。機械ブレーキ装置32のブレーキシリンダ(図示せず)は、後述する目標機械ブレーキ力値BM2を発生するように動作する。これにより、モータ車102の車輪102aに摩擦抵抗が付与され、その結果、モータ車102が制動される。

なお、ブレーキ制御装置12の通信部は、伝送装置22と通信するために設けられている。この通信部は、入力ライン552bと出力ライン552aとを有している。入力ライン552bは、伝送装置22からの電気信号を受け入れるように構成されている。出力ライン552aは、伝送装置22へ電気信号を出力するように構成されている。ブレーキ制御装置12と伝送装置22とが通信する場合、ブレーキ制御装置12および伝送装置22の何れか一方が信号を送信すると、他方が応答信号を返信するように構成されている。このため、上記一方が信号を送信した後、所定時間が経過しても他方からの返信が無い場合、上記一方は、通信障害が生じたと判定することができる。この場合、上記一方は、通信障害が生じたことを示す通信異常信号S3を生成する。この通信異常信号S3は、伝送装置20を介して、ブレーキ制御装置11,13へ出力される。

モータ制御装置62は、操作装置105から伝送装置22を介して与えられた信号に基づいて、モータ102bを動作させる。モータ102bは、操作装置105から加速指令信号が出力されている場合、車輪102aに動力を与える。一方、モータ102bは、操作装置105から減速指令信号S1が出力されている場合、車輪102aに駆動されることで、回生電力を発生する。この回生電力は、たとえば、架線106を介して、他の鉄道車両ユニットへ供給される。上記他の鉄道車両ユニットの数などに応じて、回生電力の上限値が決まる。より具体的には、架線106に接続されている他の鉄道車両ユニットの数が多いほど、モータ車102から架線106へ出力することのできる回生電力の上限値は大きくなる。

モータ車103は、モータ車102と同様の構成を有している、具体的には、モータ車103は、伝送装置23と、ブレーキ制御装置13と、機械ブレーキ装置33と、圧力センサ43と、モータ制御装置63と、モータ車103の車輪103aに連結されるモータ103bとを有している。

伝送装置23は、伝送装置22と同様の構成を有しており、隣接する車両102の伝送装置22と、ブレーキ制御装置13と、モータ制御装置63のそれぞれと電気的に接続されている。

ブレーキ制御装置13は、モータ車103の機械ブレーキ装置33およびモータ103bを制御するように構成されている。

ブレーキ制御装置13および機械ブレーキ装置33は、それぞれ、ブレーキ制御装置12および機械ブレーキ装置32と同様の構成を有している。ブレーキ制御装置13は、減速指令信号S1の減速指令量と、圧力センサ43からの圧力検出信号P3とに基づいて、モータ車103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR3を算出するように構成されている。なお、圧力センサ43は、モータ車103の空気ばね(図示せず)に接続されており、モータ車103の車両重量に応じた圧力検出信号P3を出力する。機械ブレーキ装置33のブレーキシリンダ(図示せず)は、後述する目標機械ブレーキ力値BR3を発生するように動作する。これにより、モータ車103の車輪103aに摩擦抵抗が付与され、その結果、モータ車103が制動される。

なお、ブレーキ制御装置13の通信部は、伝送装置23と通信するために設けられている。この通信部は、入力ライン553bと出力ライン553aとを有している。入力ライン553bは、伝送装置23からの電気信号を受け入れるように構成されている。出力ライン553aは、伝送装置23へ電気信号を出力するように構成されている。ブレーキ制御装置13と伝送装置23とが通信する場合、ブレーキ制御装置13および伝送装置23の何れか一方が信号を送信すると、他方が応答信号を返信するように構成されている。このため、上記一方が信号を送信した後、所定時間が経過しても他方からの返信が無い場合、上記一方は、通信障害が生じたと判定することができる。この場合、上記一方は、通信障害が生じたことを示す通信異常信号S3を生成する。この通信異常信号S3は、伝送装置20を介して、ブレーキ制御装置11,12へ出力される。

モータ制御装置63は、操作装置105から伝送装置23を介して与えられた指令信号に基づいて、モータ103bを動作させる。モータ103bは、操作装置105から加速指令信号が出力されている場合、車輪103aに動力を与える。一方、モータ102bは、操作装置105から減速指令信号S1が出力されている場合、車輪103aに駆動されることで、回生電力を発生する。この回生電力は、モータ102bからの回生電力と同様に、架線106を介して、他の鉄道車両ユニットへ供給される。

以上が、鉄道車両ユニット100の概略構成である。

[ブレーキシステム1の動作] 次に、ブレーキシステム1の動作を説明する。具体的には、ブレーキシステム1の通常時の動作と、異常発生時の動作と、を説明する。

[ブレーキシステム1の通常時の動作] ブレーキシステム1は、通常時、下記に詳述する(1/4)〜(4/4)の処理を行う。図4は、ブレーキシステム1の通常時の動作(1/4)〜(2/4)を説明するためのフローチャートである。図5は、ブレーキシステム1の通常時の動作(3/4)〜(4/4)を説明するためのフローチャートである。図6は、ブレーキシステム1の通常時の動作(1/4)を説明するためのブロック図である。

図4および図6を参照して、本実施形態では、ブレーキ制御装置11,12,13は、それぞれ、減速指令信号S1を受信した場合、自車両101,102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を算出する。また、ブレーキ制御装置11,12,13は、それぞれ、算出した必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を伝送装置20へ出力する。

より具体的には、運転手が操作装置105を操作することで、減速指令信号S1が生成された場合、この減速指令信号S1は、伝送装置20を介して各ブレーキ制御装置11,12,13へ出力される。これにより、各ブレーキ制御装置11,12,13は、減速指令信号S1を受信する(ステップS11)。

この減速指令信号S1を受けた各ブレーキ制御装置11,12,13は、当該ブレーキ制御装置11,12,13が設置されている自車両(トレーラ車101、モータ車102,103)の圧力検出信号P1〜P3を、対応する圧力センサ41,42,43から取得する(ステップS12)。

次に、各ブレーキ制御装置11,12,13は、圧力検出信号P1〜P3で特定される圧力値を基に、当該ブレーキ制御装置11,12,13が設置されている車両101,102,103の車両重量W101,W102,W103を算出する(ステップS13)。各ブレーキ制御装置11,12,13は、車両重量W101,W102,W103と、減速指令信号S1で特定される減速度とに基づいて、対応する自車両101,102,103に必要な必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を算出する(ステップS14)。

次に、各ブレーキ制御装置11,12,13は、算出した必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を伝送装置20へ送信する(ステップS15)。以上が、ブレーキシステム1の通常時の動作(1)である。

図7は、ブレーキシステム1の通常時の動作(2/4)を説明するためのブロック図である。図4および図7を参照して、ブレーキシステム1の通常時の動作(2/4)では、各ブレーキ制御装置11,12,13は、他のブレーキ制御装置10で算出された必要ブレーキ力値(BR1,BR2,BR3のいずれか2つ)と、自車両101,102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値(BR1,BR2,BR3のいずれか1つ)とを加算することで、必要全体ブレーキ力値BRA(=BR1+BR2+BR3)を算出する。より具体的には、各ブレーキ力値BR1,BR2,BR3は、伝送装置20を介して、各ブレーキ制御装置11,12,13で受信される。これにより、各ブレーキ制御装置11,12,13は、対応する自車両101,102,103以外の他の車両の必要ブレーキ力値(BR1,BR2,BR3のいずれか2つ)を受信する(ステップS16)。

次に、各ブレーキ制御装置11,12,13は、編成104における各車両101,102,103の必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を合算し、編成104全体としての必要全体ブレーキ力値BRAを算出する(ステップS17)。

また、ブレーキ制御装置12,13は、必要全体ブレーキ力値BRAを基に、対応する自車両102,103のモータ102b,103bで発生させる目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30を算出する(ステップS18)。なお、目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30の比率として、予め定められた比率(たとえば、等分)を設定することが考えられる。また、前述の比率としてモータ車102,103の重量比、必要ブレーキ力値BR20,BR30の比など、動的に変更される比率が適用されてもよい。

そして、ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、算出した目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30を、伝送装置20へ送信する(ステップS19)。

図8は、ブレーキシステム1の通常時の動作(3/4)を説明するためのブロック図である。図5および図8を参照して、次に、モータ制御装置62,63は、それぞれ、目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30を受信する(ステップS20)。モータ制御装置62,63は、対応するモータ102b,103bを制御することで、これらのモータ102b,103bに、対応する目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30が生じるように回生ブレーキ動作を行わせる(ステップS21)。

ブレーキ制御装置12,13は、モータ102b,103bで生じた電流および電圧から、実際に発生した回生ブレーキ力の値(回生ブレーキ力値BRE21,BRE31)を算出する(ステップS22)。そして、ブレーキ制御装置12,13は、算出した回生ブレーキ力値BRE21,BRE31を、伝送装置20へ出力する(ステップS23)。以上が、ブレーキシステム1の正常時の動作(3/4)の説明である。

図9は、ブレーキシステム1の正常時の動作(4/4)を説明するためのブロック図である。図5および図9を参照して、ブレーキシステム1の正常時の動作(4/4)では、各ブレーキ制御装置11,12,13は、モータ車102,103で実際に発生した回生ブレーキ力値BRE21,BRE31を必要全体ブレーキ力値BRAから減算した値に基づいて、自車両101,102,103の機械ブレーキ装置31,32,33に発生させる目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3を算出する。

より具体的には、各ブレーキ制御装置11,12,13は、モータ車102,103の回生ブレーキ力値BRE21,BRE31を受信する(ステップS24)。次に、各ブレーキ制御装置11,12,13は、自車両101,102,103での機械ブレーキ装置31,32,33で発生させるべき目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3を算出する。具体的には、各ブレーキ制御装置11,12,13は、編成104の全体必要ブレーキ力値BRAから、編成104の全体の回生ブレーキ力値(BRE21+BRE31)を減算する。

これにより、編成104における目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3の合計値が求まる。そして、各ブレーキ制御装置11,12,13は、目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3の合計値を基に、対応する目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3を算出する(ステップS25)。なお、この場合、各ブレーキ制御装置11が設定する目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3は、均等でもよいし、各車両101,102,103の車両重量に応じて設定されてもよい。

各ブレーキ制御装置11,12,13は、それぞれ対応する目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3が発生するように、対応する機械ブレーキ装置31,32,33を動作させる(ステップS26)。

以上が、ブレーキシステム1の通常時の動作である。

[ブレーキシステム1の異常時の動作] 次に、ブレーキシステム1の異常時の動作を説明する。具体的には、(a)トレーラ車101のブレーキ制御装置11から伝送装置21への送信不良が生じた場合と、(b)モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置22への送信不良が生じた場合と、(c)伝送装置21からトレーラ車101のブレーキ制御装置11への送信不良が生じた場合と、(d)伝送装置22からモータ車102のブレーキ制御装置12への送信不良が生じた場合と、を説明する。

[(a)トレーラ車101のブレーキ制御装置11から伝送装置21への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作] 図10は、(a)トレーラ車101のブレーキ制御装置11から伝送装置21への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すブロック図である。図11は、(a)トレーラ車101のブレーキ制御装置11から伝送装置21への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。

図10および図11を参照して、(a)トレーラ車101のブレーキ制御装置11から伝送装置21への送信不良(情報伝達不能)が生じた場合、トレーラ車101に設けられたブレーキ制御装置11は、他のブレーキ制御装置12,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1aを算出する。

この場合、モータ車102に設けられたブレーキ制御装置12は、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2aを算出する。同様に、モータ車103に設けられたブレーキ制御装置13は、他のブレーキ制御装置11,12から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR3aを算出する。以下、より具体的に説明する。

伝送装置21は、トレーラ車101のブレーキ制御装置11から一定時間信号を受信していない場合(ステップS101でYES)、トレーラ車101において通信異常が生じていることを示す通信異常信号S3aを、他の伝送装置22,23およびブレーキ制御装置11へ出力する(ステップS102)。この場合、編成104の各車両101,102,103は、単独でブレーキ動作を行う(ステップS103)。

図12は、(a−1)トレーラ車101が単独でブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図10および図12を参照して、ステップS103の処理において、トレーラ車101のブレーキ制御装置11は、操作装置105からの減速指令信号S1を受信する(ステップS111)。また、ブレーキ制御装置11は、圧力センサ41から圧力検出信号P1を取得する(ステップS112)。そして、ブレーキ制御装置11は、圧力検出信号P1から特定されるトレーラ車101の車両重量W101を算出し(ステップS113)、次いで、トレーラ車101の必要ブレーキ力値BR1aを算出する(ステップS114)。そして、ブレーキ制御装置11は、この必要ブレーキ力値BR1a(すなわち、目標機械ブレーキ力値BM1a)が発生するように、機械ブレーキ装置31を動作させる(ステップS115)。

図13は、(a−2)モータ車102が単独でブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図10および図13を参照して、ステップS103の処理において、モータ車102のブレーキ制御装置12は、操作装置105からの減速指令信号S1を受信し(ステップS121)、また、圧力センサ42から圧力検出信号P2を取得する(ステップS122)。そして、ブレーキ制御装置12は、圧力検出信号P2から特定されるモータ車102の車両重量W102を算出する(ステップS123)。次いで、ブレーキ制御装置12は、モータ車102の必要ブレーキ力値BR2aを算出する(ステップS124)。

次に、ブレーキ制御装置12は、必要ブレーキ力値BR2aに基づいて、目標回生ブレーキ力値BRE20aを算出する(ステップS125)。次いで、ブレーキ制御装置12は、当該目標回生ブレーキ力値BRE20aを発生するための指令信号をモータ制御装置62に出力する。モータ制御装置62は、目標回生ブレーキ力値BRE20aを発生するように、モータ102bを制御する(ステップS126)。

次に、ブレーキ制御装置12は、当該モータ車102の必要ブレーキ力BR2aから、モータ102bで発生した実際の回生ブレーキ力値BRE20aを減じることで、目標機械ブレーキ力値BM2aを算出する(ステップS127)。そして、ブレーキ制御装置12は、この目標機械ブレーキ力値BM2aに相当する機械ブレーキ力が発生するように、機械ブレーキ装置32を動作させる(ステップS128)。なお、モータ車103では、モータ車102と同様の動作が行われるので、説明を省略する。

[(b)モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置22への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作] 図14は、(b)モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置22への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すブロック図である。図15は、(b)モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置22への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。

(b)モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置22への送信不良(情報伝達不能)が生じた場合、ブレーキ制御装置12は、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2bを算出する。以下、より具体的に説明する。

図14および図15を参照して、伝送装置22は、モータ車102のブレーキ制御装置12から一定時間信号を受信していない場合(ステップS201でYES)、モータ車102において通信異常が生じていることを示す通信異常信号S3bを、他の伝送装置21,23およびブレーキ制御装置12へ出力する(ステップS202)。この場合、異常を生じているモータ車102は、単独で機械ブレーキ装置32を用いて機械ブレーキ動作を行う(ステップS203)。

具体的には、図12の(a−1)に示すトレーラ車101の単独のブレーキ動作(ステップS111〜S115)と同様の動作が行われる。この場合、ブレーキ制御装置12は、減速指令信号S1と圧力センサ42からの圧力検出信号P2とに基づいて、モータ車102の必要ブレーキ力値BR2b算出する。そして、ブレーキ制御装置12は、必要ブレーキ力値BR2と同じ目標機械ブレーキ力値BM2bが発生するように、機械ブレーキ装置32を動作させる。

また、異常を生じていないモータ車103とトレーラ車101とは、協働してブレーキ動作を行う(ステップS204)。具体的には、図4および図5に示す通常時のブレーキシステム1の動作(ステップS11〜S26)において、モータ車102が存在しないとした場合の動作と同様の動作が行われる。この場合、ブレーキ制御装置11,13は、編成104におけるモータ車102以外の車両21,23全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAbを算出する。

なお、モータ車103のブレーキ制御装置13から伝送装置23への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作は、上記(b)の場合と同様であるので、説明を省略する。

[(c)伝送装置21からトレーラ車101のブレーキ制御装置11への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作] 図16は、伝送装置21からトレーラ車101のブレーキ制御装置11への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すブロック図である。図17は、(c)伝送装置21からトレーラ車101のブレーキ制御装置11への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。

図16および図17を参照して、(c)伝送装置21からトレーラ車101のブレーキ制御装置11への送信不良(情報受信不能)が生じた場合、ブレーキ制御装置11は、他のブレーキ制御装置12,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを算出する。以下、より具体的に説明する。

ブレーキ制御装置11は、トレーラ車101の伝送装置21から一定時間信号を受信していない場合(ステップS301でYES)、トレーラ車101において通信異常が生じていることを示す通信異常信号S3cを、伝送装置21,22,23へ出力する(ステップS302)。この場合、トレーラ車101のブレーキ制御装置11は、情報受信不能となる時点の減速指令信号S1に基づいて、単独でブレーキ動作を行う(ステップS303)。この場合、図12の(a−1)のステップS112〜S115の動作と同様の動作が、トレーラ車101において行われることで、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力BR1c、すなわち、目標機械ブレーキ力値BM1cが算出される。なお、ブレーキ制御装置11は、情報受信不能となった時点で減速指令信号S1を与えられていない場合、減速度をゼロに設定する。すなわち、この場合、ブレーキ制御装置11は、減速動作を行わない。また、各モータ車102,103は、協働してブレーキ動作を行う(ステップS304)。

図18および図19は、(c−1)モータ車102,103が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図16、図18および図19を参照して、この場合、異常を生じたトレーラ車101以外のモータ車102,103のブレーキ制御装置12,13は、当該ブレーキ制御装置12,13が設けられているモータ車102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2c+BR3cを算出する。また、ブレーキ制御装置12,13は、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを推定することで、編成104の車両101,102,103全体に必要な必要全体ブレーキ力値BRAc(=BR1c+BR2c+BR3c)を算出する。

具体的には、ブレーキ制御装置12,13は、操作装置105から減速指令信号S1を受信した場合(ステップS311)、まず、トレーラ車101の車両重量を算出(推定)する(ステップS312)。この場合、ブレーキ制御装置12,13は、トレーラ車101で通信不良が発生する前の最新時点においてブレーキ制御装置11で算出されたトレーラ車101の必要ブレーキ力BR1c’と、そのときの減速指令信号S1とに基づいて、トレーラ車101の車両重量W101を算出する(ステップS312)。

次に、ブレーキ制御装置12,13は、トレーラ車101の車両重量W101と、最新の減速指令信号S1で特定される減速度に基づいて、トレーラ車101の必要ブレーキ力値BR1cを算出(推定)する(ステップS313)。次に、モータ車102,103のブレーキ制御装置12,13は、それぞれ自車両102,103の圧力検出信号P2,P3を、対応する圧力センサ42,43から取得する(ステップS314)。

次に、各ブレーキ制御装置12,13は、圧力検出信号P2,P3を基に、モータ車102,103の車両重量W102,W103を算出する(ステップS315)。各ブレーキ制御装置12,13は、車両重量W102,W103と減速指令信号S1で特定される減速度に基づいて、自車両102,103に必要なブレーキ力の値(必要ブレーキ力値BR2c,BR3c)を算出する(ステップS316)。

次に、各ブレーキ制御装置12,13は、各モータ車102,103の必要ブレーキ力値BR2c,BR3cと、トレーラ車101の推測した必要ブレーキ力値BR1cとを合算することで、編成104全体としての必要全体ブレーキ力値BRAcを算出する(ステップS317)。次に、ブレーキ制御装置12,13は、トレーラ車101で発生している目標機械ブレーキ力値BM1c(必要ブレーキ力値BR1c)を、必要全体ブレーキ力値BRAcから減じることで、補正後全体必要ブレーキ力値BRAc’を算出する(ステップS318)。

次に、ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、自車両102,103で負担する目標回生ブレーキ力値BRE20c,BRE30cを算出する(ステップS319)。なお、目標回生ブレーキ力値BRE20c,BRE30cの比率として、予め定められた比率(たとえば、等分)を設定することが考えられる。また、前述の比率としてモータ車102,103の重量比、必要ブレーキ力値BR2c,BR3cの比など、動的に変更される比率が適用されてもよい。

そして、ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、対応する自車両102,103における目標回生ブレーキ力値BRE20c,BRE30cを、伝送装置20へ送信する(ステップS320)。

次に、モータ制御装置62,63は、それぞれ、ブレーキ制御装置12,13で算出された目標回生ブレーキ力値BRE20c,BRE30cを受信する(ステップS321)。モータ制御装置62,63は、対応するモータ102b,103bを制御することで、これらのモータ102b,103bに、対応する目標回生ブレーキ力値BRE20c,BRE30cが生じるように回生ブレーキ動作を行わせる(ステップS322)。ブレーキ制御装置12,13は、モータ102b,103bで生じた電流および電圧から、実際に発生した回生ブレーキ力の値(回生ブレーキ力値BRE21c,BRE31c)を算出する(ステップS323)。そして、ブレーキ制御装置12,13は、算出した回生ブレーキ力値BRE21c,BRE31cを、伝送装置20へ出力する(ステップS324)。

次に、各ブレーキ制御装置12,13は、モータ車102,103の回生ブレーキ力値BRE21c,BRE31cを受信する(ステップS325)。次に、ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、自車両102,103での機械ブレーキ装置32,33で発生させるべき目標機械ブレーキ力BM2c,BM3cを算出する(ステップS326)。具体的には、各ブレーキ制御装置12,13は、編成104の補正後全体必要ブレーキ力値BRAc’から、編成104の全体の回生ブレーキ力値(BRE21c+BRE31c)を減算することで、目標機械ブレーキ力値BM2c,BM3cの合計値を算出する。この場合、目標機械ブレーキ力値BM2c,BM3cは、均等でもよいし、各車両102,103の重量に応じて設定されてもよい。

各ブレーキ制御装置12,13は、目標機械ブレーキ力値BM2c,BM3cが発生するように、対応する機械ブレーキ装置32,33を動作させる(ステップS327)。

なお、上記(c)の伝送不良が生じている場合に、操作装置105からの減速指令信号S1が変更され、要求される減速度が小さくなった場合、ブレーキ制御装置11には、当該減速指令信号S1の変更は、伝達されない。この場合、機械ブレーキ装置31は、必要以上に大きな機械ブレーキ力を発生していることとなる。この場合、ブレーキ制御装置12,13は、通常時に設定する必要ブレーキ力値よりも小さな必要ブレーキ力値を設定する。これにより、ブレーキ制御装置11,12,13は、編成104の全体として過不足ないブレーキ力を発生させることができる。

なお、図17のステップS304の処理において、上記図18および図19で説明した処理に代えて、各モータ車102,103が、単独でブレーキ動作を行ってもよい。この場合、各モータ車102,103では、図13のステップS121〜S128と同様の動作が行われる。

[(d)伝送装置22からモータ車102のブレーキ制御装置12への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作] 図20は、(d)伝送装置22からモータ車102のブレーキ制御装置12への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すブロック図である。図21は、(d)伝送装置22からモータ車102のブレーキ制御装置12への送信不良が生じた場合のブレーキシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。

(d)伝送装置22からモータ車102のブレーキ制御装置12への送信不良(情報伝達不能)が生じた場合、ブレーキ制御装置12は、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを算出する。以下、より具体的に説明する。

図20および図21を参照して、モータ車102において、ブレーキ制御装置12が、一定時間、伝送装置22から信号を受信していない場合(ステップS401でYES)、ブレーキ制御装置12は、モータ車102において通信異常が生じていることを示す通信異常信号S3dを、伝送装置21,22,23へ出力する(ステップS402)。

この場合、異常を生じているモータ車102は、回生ブレーキ動作は行わず、単独で機械ブレーキ装置32を用いてブレーキ動作を行う(ステップS403)。具体的には、図12の(a−1)のステップS111〜S115の動作と同様の動作が、モータ車102において行われる。より具体的には、ブレーキ制御装置12は、伝送装置20からの情報受信不能となる時点の減速指令信号S1と、モータ車102の車両重量W102とに基づいて、モータ車102の必要ブレーキ力値BR2dを算出する。

そして、ブレーキ制御装置22は、この必要ブレーキ力値BR2dに相当する目標機械ブレーキ力値BM2dが発生するように、機械ブレーキ装置32を動作させる。なお、ブレーキ制御装置12は、情報伝達不能となった時点で減速指令信号S1を与えられていない場合、減速度をゼロに設定する。すなわち、この場合、ブレーキ制御装置12は減速動作を行わない。また、異常を生じていないモータ車103とトレーラ車101とが協働してブレーキ動作を行う(ステップS404)。

図22および図23は、(d−1)異常を生じていないモータ車103およびトレーラ車101が協働してブレーキ動作を行う場合の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図20、図22および図23を参照して、異常を生じていないモータ車103およびトレーラ車101が協働してブレーキ動作を行う場合、異常を生じていないモータ車103およびトレーラ車101は、異常を生じたモータ車102の必要ブレーキ力値BR2dを推定した上で、通常時のブレーキシステム1の動作と同様の処理を行う。

具体的には、ブレーキ制御装置11,13は、操作装置105から減速指令信号S1を受信した場合(ステップS411)、まず、異常を生じているモータ車102の車両重量W102を算出(推定)する(ステップS412)。この場合、ブレーキ制御装置11,13は、異常を生じたモータ車102で通信不良が発生する前の最新時点においてブレーキ制御装置12で算出されたモータ車102の必要ブレーキ力値BR2d’と、そのときの減速指令信号S1とに基づいて、異常を生じたモータ車102の車両重量W102を算出する。

次に、ブレーキ制御装置11,13は、異常を生じたモータ車102の車両重量W102と、最新の減速指令信号S1で特定される減速度に基づいて、当該モータ車102の必要ブレーキ力値BR2dを算出(推定)する(ステップS413)。次に、正常なモータ車102およびトレーラ車101のブレーキ制御装置11,13は、それぞれ、自車両101,103の圧力検出信号P1,P3を、対応する圧力センサ41,43から取得する(ステップS414)。

次に、各ブレーキ制御装置11,13は、圧力検出信号P1,P3を基に、正常なモータ車103およびトレーラ車101の車両重量W103,W101を算出する(ステップS415)。ブレーキ制御装置11,13は、それぞれ、車両重量W101,W103と減速指令信号S1で特定される減速度に基づいて、自車両101,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1d,BR3dを算出する(ステップS416)。

次に、各ブレーキ制御装置11,13は、異常を生じていないモータ車103およびトレーラ車101の必要ブレーキ力値BR1d,BR3dに加え、推定した必要ブレーキ力値BR2dを合算することで、編成104全体としての必要全体ブレーキ力値BRAdを算出する(ステップS417)。次に、ブレーキ制御装置11,13は、モータ車102で生じている目標機械ブレーキ力値BM1dを、必要全体ブレーキ力値BRAdから減じることで、補正後全体必要ブレーキ力値BRAd’を算出する(ステップS418)。

次に、ブレーキ制御装置13は、自車両103で負担する目標回生ブレーキ力値BRE30dを算出する(ステップS419)。この場合、ブレーキ制御装置13は、目標回生ブレーキ力値BRE30dを、可能な限り、補正後必要全体ブレーキ力値BRAd’に近い値に設定する。

そして、ブレーキ制御装置13は、自車両103における目標回生ブレーキ力値BRE30dを、伝送装置20へ送信する(ステップS420)。

次に、モータ制御装置63はブレーキ制御装置13で算出された目標回生ブレーキ力値BRE30dを受信する(ステップS421)。モータ制御装置63は、対応するモータ103bを制御することで、このモータ103bに、目標回生ブレーキ力値BRE30dが生じるように回生ブレーキ動作を行わせる(ステップS422)。ブレーキ制御装置13は、モータ103bで生じた電流および電圧から、実際に発生した回生ブレーキ力の値(回生ブレーキ力値BRE31d)を算出する(ステップS423)。そして、ブレーキ制御装置13は、算出した回生ブレーキ力値BRE31dを、伝送装置20へ出力する(ステップS424)。

次に、各ブレーキ制御装置11,13は、モータ車103の回生ブレーキ力値BRE31dを受信する(ステップS425)。次に、ブレーキ制御装置11,13は、それぞれ、自車両101,103での機械ブレーキ装置31,33で発生させるべき目標機械ブレーキ力値BM1d,BM3dを算出する(ステップS426)。具体的には、各ブレーキ制御装置11,13は、補正後必要全体ブレーキ力値BRAd‘から、編成104の全体の回生ブレーキ力値BRE31dを減算することで、目標機械ブレーキ力値BM1d,BM3dの合計値を算出する(ステップS426)。目標機械ブレーキ力値BM1d,BM3dは、均等でもよいし、各車両101,103の重量に応じて設定されてもよい。

各ブレーキ制御装置11,13は、対応する目標機械ブレーキ力値BM1d,BM3dが発生するように、対応する機械ブレーキ装置31,33を動作させる(ステップS427)。

なお、上記(d)の伝送不良が生じている場合に、操作装置105からの減速指令信号S1が変更され、要求される減速度が小さくなった場合、ブレーキ制御装置12には、当該減速指令信号S1の変更は、伝達されない。この場合、機械ブレーキ装置32およびモータ102bは、必要以上に大きなブレーキ力を発生していることとなる。この場合、ブレーキ制御装置11,13は、通常時に設定する必要ブレーキ力値よりも小さな必要ブレーキ力値を設定する。これにより、ブレーキ制御装置11〜13は、編成104の全体として過不足ないブレーキ力を発生させることができる。

なお、図21のステップS404の処理において、上記図22および図23で説明した処理に代えて、正常なモータ車103およびトレーラ車101が、単独でブレーキ動作を行ってもよい。この場合、モータ車103では、図13のステップS121〜S128の処理と同様の処理が行われる。また、トレーラ車101では、図12のステップS111〜S115の処理と同様の処理が行われる。また、ブレーキ制御装置11,13は、モータ車102以外の車両101,103の合計の必要ブレーキ力値に相当するブレーキ力値を発生させるように動作してもよい。

以上説明したように、本実施形態にかかるブレーキシステム1によると、ブレーキシステム1の通常時、各ブレーキ制御装置10は、他のブレーキ制御装置10からの情報を用いて、編成104を構成する複数の車両101,102,103全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAを算出できる。よって、ブレーキシステム1は、複数の車両101,102,103の制動処理を滑らかに行うことができる。また、編成104を構成する各車両101,102,103にブレーキ制御装置11,12,13が備えられる。よって、伝送装置20に異常が生じた場合でも、各ブレーキ制御装置10による制御によって、編成104の車両101,102,103にブレーキ動作を行わせることができる。よって、ブレーキ制御装置10の多重化を実現できる。しかも、車両101,102,103毎にブレーキ制御装置10を設けるというシンプルな構成でよい。したがって、よりシンプルな構成で制御の多重化を実現できる。

また、ブレーキシステム1によると、各ブレーキ制御装置10は、減速指令信号S1を受信した場合、対応する自車両101,102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を算出し、当該必要ブレーキ力値BR1,BR2,BR3を伝送装置20へ出力する。この構成によると、各ブレーキ制御装置10が対応する自車両101,102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1,BE2,BR3を算出するというシンプルな構成で、必要全体ブレーキ力値BRAの算出に必要な情報を生成できる。

また、ブレーキシステム1によると各ブレーキ制御装置10は、他のブレーキ制御装置10で算出された必要ブレーキ力値(BR1,BR2,BR3の何れか2つ)と、自車両101,102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値(BR1,BR2,BR3の何れか1つ)とを加算することで、必要全体ブレーキ力値BRAを算出する。この構成によると、ブレーキシステム1は、シンプルな構成で、必要全体ブレーキ力値BRAを算出できる。

また、ブレーキシステム1によると、ブレーキ制御装置12,13は、それぞれ、必要全体ブレーキ力値BRAを基に、モータ102b,103bで発生させる目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30を算出する。この構成によると、ブレーキシステム1は、より適切な目標回生ブレーキ力値BRE20,BRE30を算出することができる。

また、ブレーキシステム1によると、各ブレーキ制御装置10は、モータ車102,103で実際に発生した回生ブレーキ力値BRE21,BRE31を必要全体ブレーキ力値BRAから減算した値に基づいて、自車両101,102,103の機械ブレーキ装置31,32,33に発生させる目標機械ブレーキ力値BM1,BM2,BM3を算出する。この構成によると、ブレーキシステム1は、実際の回生ブレーキ力値を考慮して、より適切な目標機械ブレーキ力値BR1,BE2,BR3を算出できる。

また、ブレーキシステム1によると、(a)の場合、すなわち、ブレーキ制御装置11は、伝送装置20へ情報を伝達不能である場合に、他のブレーキ制御装置12,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1aを算出する。この構成によると、ブレーキ制御装置11は、当該ブレーキ制御装置11に通信異常が生じた場合でも、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1aを算出できる。よって、ブレーキ制御装置11は、トレーラ車101を制動する制御を行うことができ、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(a)の場合、すなわち、ブレーキ制御装置12は、当該ブレーキ制御装置12から伝送装置20へ情報を伝達不能である場合に、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要なブレーキ力値BR2aを算出する。この構成によると、ブレーキ制御装置12は、ブレーキ制御装置12に通信異常が生じた場合でも、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2aを算出できる。よって、ブレーキ制御装置12は、モータ車102を制動する制御を行うことができ、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(b)の場合、すなわち、モータ車102用のブレーキ制御装置12は、伝送装置20へ情報を伝達不能である場合に、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2bを算出する。この構成によると、ブレーキ制御装置12は、当該ブレーキ制御装置12に通信異常が生じた場合でも、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2bを算出できる。よって、ブレーキ制御装置12は、モータ車102を制動する制御を行うことができ、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(b)の場合、すなわち、モータ車102のブレーキ制御装置12は、伝送装置20へ情報を伝達不能である場合に、モータ102bに回生ブレーキ動作を行わせることなく、機械ブレーキ装置32を動作させる。この構成によると、ブレーキ制御装置12は、伝送装置20へ情報を伝達不能である場合でも、機械ブレーキ装置32によるブレーキ動作を行わせることができる。

また、ブレーキシステム1によると、(b)の場合、すなわち、モータ車102のブレーキ制御装置12から伝送装置20へ情報を伝達不能であるときにおいて、他のブレーキ制御装置11,13は、モータ車102以外の複数の車両21,23全体の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1b+BR3bを算出する。この構成によると、モータ車102のブレーキ制御装置12に通信異常が生じた場合でも、通信異常を生じたブレーキ制御装置12以外のブレーキ制御装置11,13が、協働して、通信異常を生じたモータ車102以外の車両21,23のブレーキ制御を行うことができる。その結果、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(c)の場合、すなわち、トレーラ車101のブレーキ制御装置11は、伝送装置20から情報を受信不能である場合に、他のブレーキ制御装置12,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを算出する。この構成によると、トレーラ車101のブレーキ制御装置11は、当該ブレーキ制御装置11に通信異常が生じた場合でも、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを算出できる。よって、ブレーキ制御装置11は、トレーラ車101を制動する制御を行うことができ、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(c)の場合、すなわち、トレーラ車101のブレーキ制御装置11は、伝送装置20から情報を受信不能である場合に、受信不能となる時点での減速指令信号S1に基づいて、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを算出する。この構成によると、ブレーキ制御装置11は、通信異常を生じた場合でも、トレーラ車101を制動する処理を継続することができる。

また、ブレーキシステム1によると、(c)の場合、すなわち、トレーラ車101のブレーキ制御装置11が伝送装置20からの情報を受信不能であるときにおいて、他のブレーキ制御装置12,13は、自車両102,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2c,BR3cを算出し、かつ、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを推定することで、車両101,102,103全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAcを算出する。この構成によると、通信異常を生じているトレーラ車101を考慮することで、他のブレーキ制御装置12,13が、自車両102,103で発生させる必要のある必要ブレーキ力値BR2c,BR3cを、より正確に算出することができる。

また、ブレーキシステム1によると、(c)の場合において、受信不能となる前においてトレーラ車101のブレーキ制御装置11が算出した、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを基に、他のブレーキ制御装置12,13が、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを推定する。この構成によると、ブレーキ制御装置11に通信異常が生じた場合でも、ブレーキ制御装置11以外のブレーキ制御装置12,13は、トレーラ車101の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1cを、より正確に算出できる。

また、ブレーキシステム1によると、(c)の場合において、トレーラ車101で減速動作が行われている最中に、トレーラ車101のブレーキ制御装置11が伝送装置21からの情報を受信不能となったとき、他のブレーキ制御装置12,13は、必要全体ブレーキ力値BRAcから、トレーラ車101の減速動作で発生しているブレーキ力値BR1cを減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値BRAc’として算出する。この構成によると、通信異常を生じているブレーキ制御装置11が行っている制動動作を考慮することで、他のブレーキ制御装置12,13が、自車両102,103で発生させる必要のある必要ブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

また、ブレーキシステム1によると、(d)の場合、すなわち、モータ車102のブレーキ制御装置12は、伝送装置20から情報を受信不能である場合に、他のブレーキ制御装置11,13から伝送装置20へ出力された情報を用いることなく、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを算出する。この構成によると、モータ車102のブレーキ制御装置12は、当該ブレーキ制御装置12に通信異常が生じた場合でも、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを算出できる。よって、ブレーキ制御装置12は、モータ車102を制動する制御を行うことができ、編成104全体としてのブレーキ力が不足することを抑制できる。

また、ブレーキシステム1によると、(d)の場合、すなわち、モータ車102のブレーキ制御装置12は、伝送装置20から情報を受信不能である場合に、受信不能となる時点での減速指令信号S1に基づいて、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを算出する。この構成によると、ブレーキ制御装置12は、通信異常を生じた場合でも、モータ車102を制動する処理を継続することができる。

また、ブレーキシステム1によると、(d)の場合、すなわち、モータ車102のブレーキ制御装置12は、伝送装置20から情報を受信不能である場合に、モータ102bに回生ブレーキ動作を行わせることなく、機械ブレーキ装置32を動作させる。この構成によると、ブレーキ制御装置12は、たとえば、モータ102bの回生ブレーキ力を測定できない場合であっても、より適切なブレーキ力をモータ車102に与える制御を行うことができる。

また、ブレーキシステム1によると、モータ車102のブレーキ制御装置12が伝送装置20から情報を受信不能であるときにおいて、他のブレーキ制御装置11,13は、自車両101,103の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1d,BR3dを算出し、かつ、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR1dを推定することで、車両101,102,103全体の制動に必要な必要全体ブレーキ力値BRAdを算出する。この構成によると、通信異常を生じているモータ車102を考慮することで、他のブレーキ制御装置11,13が、自車両101,103で発生させる必要のある必要ブレーキ力値BR1d,BR3dを、より正確に算出することができる。

また、ブレーキシステム1によると、(d)の場合において、受信不能となる前においてモータ車102のブレーキ制御装置12が算出した、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2d’を基に、他のブレーキ制御装置11,13が、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを推定する。この構成によると、モータ車102のブレーキ制御装置12に通信異常が生じた場合でも、他のブレーキ制御装置11,13は、モータ車102の制動に必要な必要ブレーキ力値BR2dを、より正確に算出できる。

また、ブレーキシステム1によると、(d)の場合、すなわち、モータ車102で減速動作が行われている最中に、モータ車102のブレーキ制御装置12が伝送装置20からの情報を受信不能となったとき、他のブレーキ制御装置11,13は、必要全体ブレーキ力値BRAdから、モータ車102の減速動作で発生しているブレーキ力値(目標機械ブレーキ力値BM1d)を減算した値を、補正後必要全体ブレーキ力値BRAd’として算出する。この構成によると、通信異常を生じているブレーキ制御装置12が行っている制動動作を考慮することで、他のブレーキ制御装置11,13が、自車両101,103で発生させる必要のあるブレーキ力値を、より正確に算出することができる。

以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は、上述した実施形態に限られず、請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。

本発明は、鉄道車両用ブレーキシステム、鉄道車両用ブレーキ制御装置、および、鉄道車両用ブレーキ制御方法として、広く適用できる。

1 鉄道車両用ブレーキシステム 10〜13 ブレーキ制御装置 20〜23 伝送装置 101 トレーラ車(車両) 102 モータ車 103 モータ車 104 編成 BRA 必要全体ブレーキ力値

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