ブレーキシリンダ装置及びディスクブレーキ装置

申请号 JP2011547466 申请日 2010-12-10 公开(公告)号 JPWO2011081005A1 公开(公告)日 2013-05-09
申请人 ナブテスコ株式会社; 发明人 智也 大野; 智也 大野; 洋一郎 小澤; 洋一郎 小澤; 丈一 中村; 丈一 中村;
摘要 隙間調整機構を有し、 温度 や湿度などの周囲環境の影響を受けにくくすることが安価にでき、更に、シリンダ本体の径方向寸法を小型化することができるブレーキシリンダ装置を提供する。ブレーキ出 力 部21に連結されるネジ軸24が、ピストン22に取り付けられたガイドチューブ25の内部に収納される。プッシャーバネ26がネジ軸24をブレーキ方向に付勢する。クラッチナット27がネジ軸24の先端側に螺合し、クラッチナット27に対して、前方側に前方クラッチ28が、後方側に後方クラッチ29が、当接可能に配置される。ストッパ30は、クラッチナット27及びガイドチューブ25に対してネジ軸24の軸方向に沿って相対移動可能に配置され、シリンダ本体20に対して移動可能範囲が規制される。調整バネ31は、一端側がストッパ30に当接し、クラッチナット27を反ブレーキ方向に向かって付勢可能に設けられる。
权利要求
  • 内部が中空に形成されたシリンダ本体と、
    前記シリンダ本体内において圧力室を区画するとともにピストンバネによる付勢力が伝達され、前記圧力室に圧力流体が供給されることにより前記ピストンバネの付勢力に抗して前記シリンダ本体に対して相対移動するピストンと、
    前記ピストンとともに移動可能に設けられ、又は前記ピストンの移動に伴って当該ピストンに発生する力を増力させる増力機構を介して移動可能に設けられ、前記シリンダ本体から突出するブレーキ方向と当該シリンダ本体に接近する反ブレーキ方向とに移動可能なブレーキ出力部と、
    前記ブレーキ出力部に連結されるとともに外周にネジが形成されたネジ軸と、
    前記ピストンに又は前記増力機構に取り付けられ、前記ネジ軸を内部に収納するガイドチューブと、
    前記ガイドチューブ又は前記ピストンに対して前記ネジ軸を前記ブレーキ方向に向かって付勢可能に配置されたプッシャーバネと、
    前記シリンダ本体に対して前記ブレーキ出力部側に配置された前記ネジ軸の先端側に螺合するクラッチナットと、
    前記クラッチナットに対して前記ブレーキ出力部側である前方側において当該クラッチナットに当接可能に配置された前方クラッチと、
    前記クラッチナットに対して前記ブレーキ出力部側と反対側である後方側において前記前方クラッチと所定の間隔を介して当該クラッチナットに当接可能に配置された後方クラッチと、
    前記クラッチナット及び前記ガイドチューブに対して前記ネジ軸の軸方向に沿って相対移動可能に配置され、前記シリンダ本体に対して移動可能範囲が規制されるストッパと、
    一端側が前記ストッパに当接又は連結するとともに、前記クラッチナットを前記反ブレーキ方向に向かって付勢可能な調整バネと、
    が備えられていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記ネジ軸は、前記ブレーキ出力部と反対側に向かって開口するように内部が中空に形成され、
    前記プッシャーバネは、前記ネジ軸を内側から付勢することで当該ネジ軸に螺合した前記クラッチナットを前記前方クラッチに向かって付勢することを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項2に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記ガイドチューブとともに移動可能に設けられた軸状の部分として形成され、コイル状のバネとして設けられた前記プッシャーバネの内側に挿入されて当該プッシャーバネの座屈方向の変形を規制するプッシャーバネガイドを更に備え、
    前記プッシャーバネガイドは、先端部が前記ネジ軸の内側に対して摺動自在に配置されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記前方クラッチ及び前記後方クラッチは、それぞれ一体に形成された別部材として設けられ、前記ガイドチューブに対してそれぞれ固定されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項4に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記前方クラッチ及び前記後方クラッチのうちの少なくともいずれかは、前記ガイドチューブの内周に対してネジ結合により固定されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記ネジ軸の周囲に配置されるとともに可撓性を有する筒状の部材として設けられ、一端側が前記ストッパに当接又は連結する前記調整バネの他端側によって前記反ブレーキ方向に向かって付勢される調整スリーブを更に備え、
    前記調整スリーブに形成された係合部と前記クラッチナットに形成された被係合部とが係合することにより、前記クラッチナットと前記調整スリーブとが一体に構成されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項6に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記調整スリーブの前記係合部は、前記クラッチナットの内周側に形成された前記被係合部に対して内側から係合し、
    前記調整スリーブの内周と前記ネジ軸におけるネジ山の頂部との間に形成される隙間の前記調整スリーブの径方向における寸法が、前記係合部と前記被係合部とにおいて互いに嵌まり合う凹凸部分の前記調整スリーブの径方向における寸法よりも小さいことを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項7に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記調整バネは、その他端側が、前記調整スリーブに取り付けられたバネ受けを付勢するように配置され、
    前記バネ受けは、当該バネ受けの外周と前記ガイドチューブの内周との間に形成される隙間の当該ガイドチューブの径方向における寸法がほぼゼロとなるように配置され、又は、当該バネ受けの外周と前記ガイドチューブの内周とが摺接するように配置されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項8に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記バネ受けには、ベアリングが含まれていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    一端側が前記ストッパに当接又は連結する前記調整バネの他端側が一端側に対して相対的に変位して当該調整バネが弾性変形する変位量を所定量以下に規制するバネストッパが更に備えられていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記前方クラッチにおける前記クラッチナットに対向する面と、前記クラッチナットにおける前記前方クラッチに対向する面とのうちの少なくともいずれかに、前記前方クラッチと前記クラッチナットとを係合可能な歯が形成されていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置であって、
    前記ネジ軸は、先端部に、操作用の工具に対して係合可能な操作用係合部が設けられるとともに、当該先端部が、前記ブレーキ出力部を貫通して外側に向かって対向するように配置され、
    前記ネジ軸の先端部の外周と螺合するとともに当該ネジ軸と前記ブレーキ出力部とを係合させるナット部材が更に設けられていることを特徴とする、ブレーキシリンダ装置。
  • 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のブレーキシリンダ装置と、当該ブレーキシリンダ装置が装備されて車両に対して車軸方向に相対変位可能となるように取り付けられたキャリパボディと、を備え、
    前記ブレーキシリンダ装置が作動することで、前記キャリパボディに取り付けられた一対のブレーキパッドにより車軸側のディスクを挟み込んで制動力を発生させることを特徴とする、ディスクブレーキ装置。
  • 说明书全文

    本発明は、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置、及びそのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置に関する。

    ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置(制動が発生可能な位置)までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。 特許文献1に開示されたブレーキシリンダ装置には、外面に凹凸面が形成された押棒と、この押棒とともに移動可能なガイド部材とが設けられている。 そして、ガイド部材と押棒との間の空間において凹凸面に係合するOリングが配置され、ガイド部材に所定以上の力が作用したときにOリングが凹凸面の凸部を乗り越えることで、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間が自動的に調整されるように構成されている。 このように、隙間調整機構が凹凸面とこれに係合するOリングとによって構成されるため、簡素な構成で摺動抵抗の調整や管理が容易な隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置を実現することができる。

    一方、上記とは異なり、Oリングを用いない隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置として、特許文献2に開示されたものが知られている。 特許文献2に開示されたブレーキシリンダ装置における隙間調整機構には、ピストンに対してベアリングを介して回転自在に支持されるとともに外周に直線キー溝及び螺旋キー溝が形成された円筒状のサヤ棒と、サヤ棒の内周に螺合する押棒受に取り付けられた押棒とが設けられている。 また、爪と係合することで回転方向が規制されたラチェット機構の歯車の歯が、サヤ棒の各キー溝に嵌り込むように構成されている。 そして、ブレーキ動作時に、ピストンのストロークが所定のストローク以上の場合には、爪とラチェット歯車との係合位置がずれることになる。 これにより、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間が自動的に調整されるように構成されている。

    特開2007−131203号公報

    実開昭61−59158号公報

    特許文献1に開示されたブレーキシリンダ装置における上述の隙間調整機構は、Oリングの弾性変形を利用するものであるため、隙間調整機構の作動に際して、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けてしまい易い。 そのため、温度や湿度などの周囲環境の影響を受け難い特殊な材質で形成されたOリングを用いて隙間調整機構を構築する必要があり、コストの上昇を招く。 一方、特許文献2に開示されたブレーキシリンダ装置における隙間調整機構は、Oリングが用いられていないため、温度や湿度などの周囲環境の影響を抑制するためのコストはほとんど不要である。 しかしながら、特許文献2に開示の隙間調整機構の場合、押棒の先端側である前方側に配置されるブレーキ出力部とは反対側でピストン側である後方側において、サヤ棒を回転自在に支持するベアリングが必要となる。 このため、ピストンが内部に配置されるシリンダ本体における後方側の径寸法の小型化を図る際の制約要因となってしまう。

    本発明は、上記実情に鑑みることにより、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくく、更に、シリンダ本体の径方向寸法を小型化することができるブレーキシリンダ装置を安価に提供することを目的とする。 また、そのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。

    上記目的を達成するための第1発明に係るブレーキシリンダ装置は、内部が中空に形成されたシリンダ本体と、前記シリンダ本体内において圧力室を区画するとともにピストンバネによる付勢力が伝達され、前記圧力室に圧力流体が供給されることにより前記ピストンバネの付勢力に抗して前記シリンダ本体に対して相対移動するピストンと、前記ピストンとともに移動可能に設けられ、又は前記ピストンの移動に伴って当該ピストンに発生する力を増力させる増力機構を介して移動可能に設けられ、前記シリンダ本体から突出するブレーキ方向と当該シリンダ本体に接近する反ブレーキ方向とに移動可能なブレーキ出力部と、前記ブレーキ出力部に連結されるとともに外周にネジが形成されたネジ軸と、前記ピストンに又は前記増力機構に� ��り付けられ、前記ネジ軸を内部に収納するガイドチューブと、前記ガイドチューブ又は前記ピストンに対して前記ネジ軸を前記ブレーキ方向に向かって付勢可能に配置されたプッシャーバネと、前記シリンダ本体に対して前記ブレーキ出力部側に配置された前記ネジ軸の先端側に螺合するクラッチナットと、前記クラッチナットに対して前記ブレーキ出力部側である前方側において当該クラッチナットに当接可能に配置された前方クラッチと、前記クラッチナットに対して前記ブレーキ出力部側と反対側である後方側において前記前方クラッチと所定の間隔を介して当該クラッチナットに当接可能に配置された後方クラッチと、前記クラッチナット及び前記ガイドチューブに対して前記ネジ軸の軸方向に沿って相対移動可能に配置され、前� �シリンダ本体に対して移動可能範囲が規制されるストッパと、一端側が前記ストッパに当接又は連結するとともに、前記クラッチナットを前記反ブレーキ方向に向かって付勢可能な調整バネと、が備えられていることを特徴とする。

    この発明によると、ブレーキ動作時は、圧力室に圧力流体が供給されることで、ピストンがピストンバネの付勢力に抗して移動し、ガイドチューブ、後方クラッチ、クラッチナット及びネジ軸を介して、ブレーキ出力部がブレーキ方向に移動して制動力が出力される。 尚、増力機構が設けられる場合は、ピストンからの力は増力機構を介して伝達される。 一方、圧力室の圧力流体が排出されることで、ピストンがピストンバネの付勢力によって反対方向に移動し、ガイドチューブ、前方クラッチ、クラッチナット及びネジ軸を介してブレーキ出力部が反ブレーキ方向に移動し、ブレーキが解除される。 そして、ブレーキパッドの摩耗等によって、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間が大きくなった場合、クラッチナット、前方及び後方クラッチ、ネジ軸、ガイドチューブ、プッシャーバネ、ストッパ、調整バネを備えて構成される隙間調整機構によって、上記の隙間が自動的に調整されることになる。

    隙間調整が行われる場合、まず、ブレーキ動作時には、ストッパの移動範囲が規制されることで、調整バネにおいて、反ブレーキ方向にクラッチナットを付勢可能な力が調整バネの蓄力として蓄積される。 そして、ブレーキ解除動作時に、ガイドチューブが反ブレーキ方向に移動を開始すると、プッシャーバネによってネジ軸がブレーキ方向に付勢されているため、ネジ軸及びブレーキ出力部が反ブレーキ方向に移動せずに、調整バネの蓄力によってクラッチナットが反ブレーキ方向に付勢される状態が生じる。 このとき、クラッチナットにおいて、後方クラッチとの当接が解除されるとともに前方クラッチにも当接していない状態が生じることになり、クラッチナットがネジ軸に対して回転可能な状態となる。 そして、調整バネの蓄力によってクラッチナットが反ブレーキ方向に移動するようにネジ軸に対して回転することになる。 その後、クラッチナットと前方クラッチとが当接し、クラッチナットが回転不能な状態となり、ガイドチューブの反ブレーキ方向への移動に伴い、前方クラッチ、クラッチナット及びネジ軸とともにブレーキ出力部が反ブレーキ方向に移動し、ブレーキが解除されることになる。 このように、ブレーキ解除動作の途中でクラッチナットがネジ軸に対して反ブレーキ方向に相対移動するため、ネジ軸の位置がブレーキ解除動作前の状態よりもブレーキ方向に移動した状態で、ブレーキ解除動作が終了することになる。 即ち、ブレーキ動作前の状態に比してネジ軸及びブレーキ出力部がシリンダ本体に対して突出した位置に移動した状態に移行することになる。 これにより、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間が自動的に調整されることになる。

    上記のように、本発明によると、隙間調整機構が、クラッチナット、前方及び後方クラッチ、ネジ軸、ガイドチューブ、プッシャーバネ、ストッパ、調整バネを備えて構成される。 このため、ゴムなどの弾性変形によって隙間調整が行われるものではなく、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくい構成を安価に実現することができる。 そして、ピストン又は増力機構に対してガイドチューブを取り付ける構造においてベアリングを設ける必要がないため、シリンダ本体における後方側の径寸法の小型化を図ることができる。

    従って、本発明によると、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくく、更に、シリンダ本体の径方向寸法を小型化することができるブレーキシリンダ装置を安価に提供することができる。

    第2発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明のブレーキシリンダ装置において、前記ネジ軸は、前記ブレーキ出力部と反対側に向かって開口するように内部が中空に形成され、前記プッシャーバネは、前記ネジ軸を内側から付勢することで当該ネジ軸に螺合した前記クラッチナットを前記前方クラッチに向かって付勢することを特徴とする。

    この発明によると、ネジ軸を付勢するプッシャーバネが、中空構造に形成されたネジ軸の内側に配置され、ネジ軸に螺合したクラッチナットを前方クラッチに向かって付勢するように構成される。 このため、ブレーキシリンダ装置におけるスペースを効率よく活用してプッシャーバネを配置することができる。 これにより、ブレーキシリンダ装置において、スペース効率を向上させることができ、更に小型化を図ることができる。

    第3発明に係るブレーキシリンダ装置は、第2発明のブレーキシリンダ装置において、前記ガイドチューブとともに移動可能に設けられた軸状の部分として形成され、コイル状のバネとして設けられた前記プッシャーバネの内側に挿入されて当該プッシャーバネの座屈方向の変形を規制するプッシャーバネガイドを更に備え、前記プッシャーバネガイドは、先端部が前記ネジ軸の内側に対して摺動自在に配置されていることを特徴とする。

    この発明によると、コイル状のプッシャーバネの内側で延びてプッシャーバネの座屈方向の変形を規制するプッシャーバネガイドが設けられる。 このため、隙間調整機構として調整する隙間の寸法が大きくなり、長尺のプッシャーバネが必要となる場合であっても、このプッシャーバネの座屈を効率よく防止することができる。 また、ガイドチューブとともに移動可能に設けられるプッシャーバネガイドは、先端部がネジ軸の内側に摺動自在に配置される。 このため、軸状のプッシャーバネガイドを設けるという簡素な構成によって、ネジ軸とピストンとの位置関係を同軸上で変位する関係に維持する構造を容易に実現することができる。

    第4発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、前記前方クラッチ及び前記後方クラッチは、それぞれ一体に形成された別部材として設けられ、前記ガイドチューブに対してそれぞれ固定されていることを特徴とする。

    この発明によると、前方クラッチ及び後方クラッチが、それぞれ一体の別部材として設けられてガイドチューブに個別に固定される。 このため、クラッチナットの前後に配置される前方及び後方クラッチを分割構造として別途の結合手段によって結合する必要がない。 同様に、前方及び後方クラッチが前後に配置されるクラッチナットを分割構造として別途の結合手段によって結合する必要もない。 これにより、前方及び後方クラッチとクラッチナットとに関する構成を簡素化することができ、その結果、ブレーキシリンダ装置全体として、小型軽量化を図ることができる。 また、前方及び後方クラッチがそれぞれ一体の別部材でガイドチューブに固定される構成のため、前方及び後方クラッチの内周をネジ軸の外周に対してより接近させた寸法構成に設定することが可能となり、ブレーキシリンダ装置の更なる小型化を図ることができる。

    第5発明に係るブレーキシリンダ装置は、第4発明のブレーキシリンダ装置において、前記前方クラッチ及び前記後方クラッチのうちの少なくともいずれかは、前記ガイドチューブの内周に対してネジ結合により固定されていることを特徴とする。

    この発明によると、それぞれ一体の別部材として形成された前方クラッチ及び後方クラッチの少なくともいずれかがガイドチューブの内周にネジ結合により固定される。 このため、ガイドチューブにネジ結合により固定された前方クラッチ及び後方クラッチについては、保守時における交換が容易となり、保守性の向上を図ることができる。

    第6発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、前記ネジ軸の周囲に配置されるとともに可撓性を有する筒状の部材として設けられ、一端側が前記ストッパに当接又は連結する前記調整バネの他端側によって前記反ブレーキ方向に向かって付勢される調整スリーブを更に備え、前記調整スリーブに形成された係合部と前記クラッチナットに形成された被係合部とが係合することにより、前記クラッチナットと前記調整スリーブとが一体に構成されていることを特徴とする。

    この発明によると、調整バネは、ネジ軸の周囲に配置された筒状の調整スリーブとストッパとの間に配置され、ストッパに対する調整スリーブの相対移動に伴って、隙間調整動作時にクラッチナットをネジ軸に対して反ブレーキ方向に移動させる力を蓄積することになる。 そして、調整スリーブは可撓性を有する部材として設けられ、調整スリーブ側の係合部とクラッチナット側の被係合部とが係合することで、調整スリーブとクラッチナットとが一体化される。 このため、可撓性を有する調整スリーブを一旦弾性変形させることで係合部を被係合部に係合させることができ、別途の締結部材を用いずに、調整スリーブとクラッチナットとを一体化することができる。 このように、調整スリーブとクラッチナットとを一体化させる構造において、別途の締結部材が不要となるため、ブレーキシリンダ装置の更なる小型化を図ることができる。

    第7発明に係るブレーキシリンダ装置は、第6発明のブレーキシリンダ装置において、前記調整スリーブの前記係合部は、前記クラッチナットの内周側に形成された前記被係合部に対して内側から係合し、前記調整スリーブの内周と前記ネジ軸におけるネジ山の頂部との間に形成される隙間の前記調整スリーブの径方向における寸法が、前記係合部と前記被係合部とにおいて互いに嵌まり合う凹凸部分の前記調整スリーブの径方向における寸法よりも小さいことを特徴とする。

    この発明によると、調整スリーブがクラッチナットの内側から係合するよう構成され、調整スリーブの内周とネジ軸のネジ山頂部との間の隙間寸法が、係合部と被係合部とにおける互いに嵌まり合う凹凸部分の径方向寸法(調整スリーブの径方向における凹凸部分の重なり代)よりも小さく設定される。 このため、金属材料によって形成されたクラッチナットとネジ軸との間に可撓性を有する調整スリーブの係合部が配置されることになり、更に、調整スリーブの係合部がネジ軸側に変形して被係合部から外れてしまうことが防止される寸法関係に設定されることになる。 これにより、簡易な係合構成であるにも関わらず、調整スリーブとクラッチナットとを強固に一体化することができる。

    第8発明に係るブレーキシリンダ装置は、第7発明のブレーキシリンダ装置において、前記調整バネは、その他端側が、前記調整スリーブに取り付けられたバネ受けを付勢するように配置され、前記バネ受けは、当該バネ受けの外周と前記ガイドチューブの内周との間に形成される隙間の当該ガイドチューブの径方向における寸法がほぼゼロとなるように配置され、又は、当該バネ受けの外周と前記ガイドチューブの内周とが摺接するように配置されていることを特徴とする。

    この発明によると、バネ受けは、ガイドチューブとの隙間がほぼゼロ又はガイドチューブに摺接するように配置されるため、バネ受けを介してガイドチューブに対してネジ軸を支持可能となり、ネジ軸がガイドチューブに対して傾いてしまうことを防止できる。

    第9発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第8発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、バネ受けには、ベアリングが含まれていることを特徴とする。

    この発明によると、調整バネの他端側がバネ受けにおけるベアリングを介して調整スリーブを付勢するため、調整バネの蓄力によって調整スリーブが付勢された際には、調整スリーブとともにクラッチナットが滑らかに回転してブレーキ方向に移動することになる。

    第10発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第9発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、一端側が前記ストッパに当接又は連結する前記調整バネの他端側が一端側に対して相対的に変位して当該調整バネが弾性変形する変位量を所定量以下に規制するバネストッパが更に備えられていることを特徴とする。

    この発明によると、隙間調整動作のための蓄力が行われるように調整バネが弾性変形する際の変位量を所定量以下に規制するバネストッパが設けられている。 このため、制動力が発生しないような作動(ブレーキシリンダ装置がディスクブレーキに適用された場合であればブレーキパッドがディスクに当接することがないような作動。尚、隙間調整はブレーキパッドがディスクに当接することにより発生する力により行われるため、当接しないと隙間調整が行えないことになる。)において、即ち、いわゆる空振りの状態での作動において、強制的に隙間調整動作を行った場合であっても、バネストッパによって調整バネのストロークが規制される。 このため、調整バネが過度に圧縮又は伸長されることがなく、空振りの状態であっても強制的に隙間調整動作を行うことができる。 尚、ブレーキパッドの交換作業を容易に行うため、隙間を隙間調整可能範囲以上に広げるので、従来であれば、ブレーキパッドの交換作業が行われた場合、手動で1台ずつ隙間調整を行う必要があった。 しかし、本発明によると、上記のように、調整バネが過度に圧縮又は伸長されることがなく、空振りの状態であっても強制的に隙間調整動作を行うことができる。 このため、車両又は編成全体で一挙にブレーキ動作及びブレーキ解除動作に相当する動作を複数回繰り返すことで、自動的に全体のブレーキシリンダ装置における隙間が調整されることになる。 これにより、ブレーキパッドの交換が行われた際に、手動でブレーキシリンダ装置の1台ずつに対して隙間調整を行う必要もなく、車両又は編成における全てのブレーキシリンダ装置について、一括して自動的に隙間調整を行うことができ、ブレーキパッド交換に伴う作業において、工数や手間を大幅に削減し、相当な効率化を図ることができる。

    第11発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第10発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、前記前方クラッチにおける前記クラッチナットに対向する面と、前記クラッチナットにおける前記前方クラッチに対向する面とのうちの少なくともいずれかに、前記前方クラッチと前記クラッチナットとを係合可能な歯が形成されていることを特徴とする。

    この発明によると、前方クラッチとクラッチナットとが当接してブレーキが作用していない状態において、前方クラッチとクラッチナットとが互いの対向面に形成された歯を介して係合するため、振動等によってクラッチナットが回転してしまうことを防止できる。 そして、隙間調整動作が繰り返し行われて隙間の調整量が増加し、プッシャーバネの付勢力が低下した状態(プッシャーバネが圧縮バネのときはバネが延びた状態)になった場合であっても、ブレーキが作用していないときに、振動等によってクラッチナットが回転してしまうことを防止できる。

    第12発明に係るブレーキシリンダ装置は、第1発明乃至第11発明のいずれかのブレーキシリンダ装置において、前記ネジ軸は、先端部に、操作用の工具に対して係合可能な操作用係合部が設けられるとともに、当該先端部が、前記ブレーキ出力部を貫通して外側に向かって対向するように配置され、前記ネジ軸の先端部の外周と螺合するとともに当該ネジ軸と前記ブレーキ出力部とを係合させるナット部材が更に設けられていることを特徴とする。

    この発明によると、ブレーキ出力部を貫通して外側に対向するよう配置されるとともに操作用係合部が設けられたネジ軸の先端部にナット部材が螺合することで、ネジ軸とブレーキ出力部とが係合する。 このため、ナット部材を緩めてネジ軸とブレーキ出力部との係合を解除し、更に、操作用の工具でネジ軸を回転操作することで、ネジ軸を手動で回転させることができ、ネジ軸とクラッチナットとの位置関係を隙間調整が行われる前の状態である初期状態に容易に戻すことができる。

    また、他の観点の発明として、上述したいずれかのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置の発明を構成することもできる。 即ち、第13発明に係るディスクブレーキ装置は、第1発明乃至第12発明のいずれかのブレーキシリンダ装置と、当該ブレーキシリンダ装置が装備されて車両に対して車軸方向に相対変位可能となるように取り付けられたキャリパボディと、を備え、前記ブレーキシリンダ装置が作動することで、前記キャリパボディに取り付けられた一対のブレーキパッドにより車軸側のディスクを挟み込んで制動力を発生させることを特徴とする。

    この発明によると、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構が設けられたブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくく、更に、シリンダ本体の径方向寸法を小型化することができるディスクブレーキ装置を安価に提供することができる。

    本発明によると、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくく、更に、シリンダ本体の径方向寸法を小型化することができるブレーキシリンダ装置を安価に提供することができる。 また、そのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置を安価に提供することができる。

    本発明の実施形態に係るディスクブレーキ装置の側面図である。

    図1に示すディスクブレーキ装置の平面図である。

    本発明の第1実施形態に係るブレーキシリンダ装置の断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置におけるブレーキ出力部、ナット部材及びネジ軸の先端部について、矢印C方向から見た状態を示す図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の一部を拡大して示す拡大断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われずに作動する場合について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われずに作動する場合について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われずに作動する場合について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、空振りの状態で隙間調整動作が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、空振りの状態で隙間調整動作が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、空振りの状態で隙間調整動作が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    図3に示すブレーキシリンダ装置の断面図であって、空振りの状態で隙間調整動作が行われる場合の作動について説明するための断面図である。

    本発明の第2実施形態に係るブレーキシリンダ装置の断面図である。

    以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。 尚、本発明のブレーキシリンダ装置及びそのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置については、鉄道車両用として用いられる場合を例にとって説明する。 また図面は、設計図相当の精度で作成されている。

    (第1実施形態)
    図1は、本発明の実施形態に係るディスクブレーキ装置1を車軸方向から見た側面図である。 また、図2は、図1に示すディスクブレーキ装置1を上方から見た平面図である。 図1及び図2に示すディスクブレーキ装置1は、ブレーキシリンダ装置2、このブレーキシリンダ装置2が装備されて車輌本体100に対して車軸方向に相対変位可能となるように取り付けられたキャリパボディ11、制輪子である一対のブレーキパッド(13、13)をそれぞれ保持する制輪子保持部である一対のバックプレート(12、12)、等を備えて構成されている。

    一対のブレーキパッド(13、13)は、キャリパボディ11に対してバックプレート12を介して取り付けられている。 そして、ディスクブレーキ装置1は、ブレーキシリンダ装置2が作動することで、一対のブレーキパッド(13、13)により、鉄道車両の車輪(図示せず)の回転に連動して回転する車軸側のディスクである円板状のブレーキディスク101を挟み込んで制動力を発生させるように構成されている。 尚、ブレーキディスク101は回転軸と直交するように形成される表裏の制動面(101a、101a)を有する円板状に形成されている。 そして、ブレーキシリンダ装置2が作動することで、ブレーキパッド(13、13)が、制動面(101a、101a)に対して、ブレーキディスク101の回転軸方向と略平行な方向からブレーキディスク101を両側から挟みこむように押し当てられる。

    キャリパボディ11は、結合部材14と、一対のブレーキテコ(15、15)とを備えている。 結合部材14は、車両本体100の底面に固定されたブラケット100aに対して、車両の進行方向と平行な軸周りに揺動可能なように揺動ピン14aを介して取り付けられている。 そして、この結合部材14に対して、略対称に、一対のブレーキテコ(15、15)が、一対の支点ピン15aを介して揺動可能に設置されている。 この支点ピン15aは、ディスクブレーキ101の回転軸方向から見た場合に、揺動ピン14aの軸方向に対して垂直な方向に延びるように設置されている。

    一対のブレーキテコ(15、15)は、その一端側にブレーキシリンダ装置2がシリンダ支持ピン15bを介して取り付けられており、このブレーキシリンダ装置2により一端側が駆動されるように構成されている。 そして、一対のブレーキテコ(15、15)は、ブレーキシリンダ装置2が取り付けられた一端側に対して支点ピン15aを介した他端側にブレーキパッド13を保持する一対のバックプレート(12、12)がそれぞれ取り付けられている。 バックプレート12は、ブレーキテコ15に対して支点ピン15aと平行に延びる支持ピン12aを介して揺動自在に取り付けられている。

    上述したディスクブレーキ装置1においては、後述するように、一方のブレーキテコ15にブレーキシリンダ装置2のシリンダ本体20が取り付けられて他方のブレーキテコ15にブレーキ出力部21が取り付けられ、ブレーキシリンダ装置2の作動によりブレーキ出力部21がシリンダ本体20に対して突出又は接近する動作が行われる。 これにより、一対のブレーキテコ(15、15)におけるシリンダ支持ピン15b近傍が、互いに離隔したり、近接したりするように駆動される。

    上記のように駆動されることにより、ディスクブレーキ装置1は、一対のブレーキテコ(15、15)が支点ピン15aを支軸として動作し、ブレーキパッド13でブレーキディスク101を挟むように動作することになる。 そして、このとき、一対のブレーキテコ(15、15)において、一方のブレーキテコ15に設けられた一方のブレーキパッド13が先にブレーキディスク101の制動面101aに接触することになる。 更に、他方のブレーキテコ15は、制動面101aに接触した一方のブレーキパッド13から受ける反力を利用して他方のブレーキパッド13をブレーキディスク101の制動面101aに押し当てる。 これにより、ブレーキディスク101を一対のブレーキパッド(13、13)で挟み込んで、ブレーキパッド(13、13)と制動面(101a、101a)との間に発生する摩擦力によってブレーキディスク101の回転が制動され、ブレーキディスク101と同軸に設けられている鉄道車両の車輪の回転が制動される。

    次に、本発明の第1実施形態に係るブレーキシリンダ装置2について詳しく説明する。 図3は、ブレーキシリンダ装置2の断面図である。 尚、図3に示すブレーキシリンダ装置2は、図1及び図2に示すブレーキシリンダ装置2と同様に構成されるが、外形の一部について変更して図示している。 ブレーキシリンダ装置2は、そのブレーキ作動方向における両端部がそれぞれシリンダ支持ピン15bに連結されている。 そして、このブレーキシリンダ装置2は、シリンダ本体20、ブレーキ出力部21、ピストン22、ピストンバネ23、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ストッパ30、調整バネ31、プッシャーバネガイド32、調整スリーブ33、バネストッパ34、ナット部材38、ベアリング40、等を備えて構成されている。 上述した構成要素のうち、調整スリーブ33以外については、例えば、鉄系材料等の金属材料により形成され、調整スリーブについては、例えば、樹脂材料により形成されている。 尚、図3においては、ネジ軸24の一部、ストッパ30の一部、ナット部材38、等については、断面ではなく外形を図示している。

    シリンダ本体20は、第1ケーシング部35と第2ケーシング部36とで構成され、内部が中空に形成されている。 シリンダ本体20の内部には、ピストン22、ピストンバネ23、ネジ軸24の一部、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ストッパ30、調整バネ31、プッシャーバネガイド32、調整スリーブ33、バネストッパ34、等が収納されている。 また、第1ケーシング部35は、底部を有する略カップ形状に形成されており、この第1ケーシング部35の開放側を閉鎖するように第2ケーシング部36がボルトによって固定されている。 尚、第1ケーシング部35の端部は、シリンダ支持ピン15bにより一方のブレーキテコ15に連結される。 また、第2ケーシング部36には、第1ケーシング部35を閉鎖するようにフランジ状に形成された平板状部分36aと、この平板状部分36aに対して垂直に突出する筒状に形成された筒状部分36bとが設けられている。

    ピストン22は、シリンダ本体20の内部を仕切るように配置され、第1ケーシング部35の内周面に気密的に摺接するとともに第1ケーシング部35に対して軸方向に摺動可能に設けられている。 このピストン22と第1ケーシング部35とで区画された空間によって、シリンダ本体20内に圧力室37が形成されている。 この圧力室37には、図示しない連通路を介して、圧力流体としての圧縮空気が供給及び排出されるように構成されている。

    ピストンバネ23は、シリンダ本体20内において圧力室37に対してピストン22を介して反対側に配置されたコイル状のバネとして設けられており、ピストン22と第2ケーシング部36の平板状部分36aとの間に配置されている。 また、ピストンバネ23は、シリンダ本体20内において圧力室37側に向かってピストン22を付勢するように配置されている。 そして、圧力室37に圧縮空気が供給されることにより、ピストン22がピストンバネ23の付勢力に抗してシリンダ本体20に対して相対移動してブレーキ方向(図3において矢印Aで示す方向)に移動するように構成されている。 一方、圧力室37から圧縮空気が排出されることにより、ピストン22がピストンバネ23の付勢力によってブレーキ方向とは反対方向の反ブレーキ方向(図3において矢印Bで示す方向)に移動するように構成されている。

    ブレーキ出力部21は、後述するネジ軸24、ガイドチューブ25等を介してピストン22に連結され、ピストン22とともに移動可能に設けられている。 これにより、ブレーキ出力部21は、シリンダ本体20から突出するブレーキ方向(矢印A方向)とシリンダ本体20に接近する反ブレーキ方向(矢印B方向)とに移動可能に設けられている。 また、ブレーキ出力部21は、シリンダ支持ピン15bにより他方のブレーキテコ15に連結される。 尚、ブレーキ出力部21とシリンダ本体20との間には、第2ケーシング部36の筒状部分36bの周囲を覆うように配置されたジャバラ構造が保護カバーとして設けられている。

    ネジ軸24は、ブレーキ出力部21に連結されるとともに外周にネジ24aが形成された軸状の部材として設けられている。 そして、ネジ軸24は、ブレーキ出力部21と反対側(本実施形態では、ピストン22側)に向かって開口するように内部が中空に形成されている。 即ち、ネジ軸24の内部の中空領域は、軸方向に沿って延びる軸方向穴24bとして設けられており、ブレーキ出力部21と反対側にのみ開口している。

    図4は、ブレーキ出力部21、ナット部材38及びネジ軸24の先端部について、図3の矢印C方向から見た状態を示す図である。 この図4に示すように、ネジ軸24は、先端部に、操作用の工具(例えば、六レンチ)に対して係合可能な操作用係合部である六角穴24cが設けられている。 そして、ブレーキ出力部21の中心部分には貫通孔が形成されており、ネジ軸24の先端部は、ブレーキ出力部21の貫通孔を貫通して外側に向かって対向するように配置されている。 また、ナット部材38は、ネジ軸24の先端部の外周に形成された雄ネジ部分と螺合する部材として設けられている。 尚、ネジ軸24の先端部及びナット部材38は、ブレーキ出力部21の端面に開口するように形成された凹部21aに配置されている。

    また、ブレーキ出力部21の貫通孔におけるシリンダ本体20側の開口の縁部分には係合歯21bが設けられている。 一方、ネジ軸24においてブレーキ出力部21に対向して拡径するように段状に設けられた段部には、係合歯24dが設けられている。 ブレーキ出力部21側の係合歯21bとネジ軸24側の係合歯24dとは、対向して配置され、互いに係合するように構成されている。 そして、ブレーキ出力部21の貫通孔を貫通するように配置されたネジ軸24の先端部の外周にナット部材38が螺合することで、係合歯24dと係合歯21bとが係合し、ネジ軸24とブレーキ出力部21とが係合するように構成されている。 尚、ネジ軸24において係合歯24dが設けられる段部は、例えば、ネジ軸24の本体部分に対してブレーキ方向における端部側から挿入されて螺合するナット状の部材として設けられている。

    ガイドチューブ25は、円筒状の部材として形成され、一方の端部がピストン22に固定されて取り付けられるとともに、シリンダ本体20の第2ケーシング部36における筒状部分36bを貫通するように配置されている。 このガイドチューブ25においては、ピストン22に固定される端部には底板25aが取り付けられており、ブレーキ出力部21に対向する端部は開口するように設けられている。 そして、ガイドチューブ25は、内部の空間領域にネジ軸24が収納されている。

    また、ガイドチューブ25の周壁には、円筒軸方向における中途位置において、スリット状に貫通形成された一対のスリット孔(25b、25b)が設けられている。 これらの一対のスリット孔(25b、25b)は、円筒状のガイドチューブ25の直径方向に沿った位置に配置されるように設けられており、後述するストッパ30が内側から外側に向かって貫通するように配置される開口として形成されている。

    プッシャーバネ26は、コイル状のバネとして設けられ、ネジ軸24における軸方向穴24bに配置されている。 尚、軸方向穴24bには、奥側に向かって段状に縮径する段部が設けられている。 そして、プッシャーバネ26は、圧縮バネとして設けられており、一方の端部が軸方向穴24bにおける段部に当接し、他方の端部がガイドチューブ25の底板25aに当接するように配置されている。 これにより、プッシャーバネ26は、ガイドチューブ25に対してネジ軸24をブレーキ方向に向かって内側から付勢可能に配置されている。

    プッシャーバネガイド32は、ガイドチューブ25の底板25aに固定されてガイドチューブ25とともに移動可能に設けられた軸状の部分として形成されている。 そして、プッシャーバネガイド32は、ネジ軸24の軸方向穴24bに向かって突出するように配置され、プッシャーバネ26の内側に挿入されている。 これにより、プッシャーバネガイド32は、プッシャーバネ26の座屈方向の変形を規制するように構成されている。 また、プッシャーバネガイド32は、その先端部が、ネジ軸24の軸方向穴24bにおける奥側で縮径した穴の部分に摺接する状態で挿入されている。 これにより、プッシャーバネガイド32は、先端部がネジ軸24の内側に対して摺動自在に配置されている。

    図5は、図3に示すブレーキシリンダ装置2の一部を拡大して示す拡大断面図である。 図3及び図5に示すように、クラッチナット27は、内周に雌ネジ部分が形成された筒状の部材として設けられ、シリンダ本体20に対してブレーキ出力部21側に配置されたネジ軸24の先端側に螺合するように構成されている。 また、クラッチナット27の軸方向の中途位置における外周には、周方向に亘って延びるとともに径方向の外側に向かって突出するように形成されて、後述の前方クラッチ28及び後方クラッチ29に対して当接可能な凸部27aが設けられている。 尚、上記のようにクラッチナット27が設けられることで、プッシャーバネ26は、ネジ軸24を内側から付勢することでネジ軸24に螺合したクラッチナット27を前方クラッチ28に向かって付勢するように構成されている。

    前方クラッチ28は、外周に雄ネジ部分が形成されて軸方向長さが短い円筒状の部材として設けられ、一体の部材として形成されている。 そして、前方クラッチ28は、その雄ネジ部分において、ガイドチューブ25におけるブレーキ出力部21に対向する先端部の内周に形成された雌ネジ部分に対して螺合している。 即ち、前方クラッチ28は、ガイドチューブ25の内周に対してネジ結合により固定されている。 尚、ガイドチューブ25の先端部の内周には、前方クラッチ28に対してブレーキ出力部21側において、周方向に延びる溝が形成されている。 そして、この溝に、前方クラッチ28におけるブレーキ出力部21側の端部と係合するスナップリング41が嵌め込まれることで、前方クラッチ28の抜け止めが図られている。

    また、前方クラッチ28は、クラッチナット27のブレーキ出力部21側の端部とネジ軸24とに対して外側で同心状に(径方向の中心位置が一致するように)配置されている。 そして、前方クラッチ28は、クラッチナット27に対してブレーキ出力部21側である前方側において凸部27aと当接可能に配置されている。 また、前方クラッチ28におけるクラッチナット27に対向する面には、周方向に亘って歯28aが形成されている。 一方、クラッチナット27の凸部27aにおける前方クラッチ28に対向する面には、周方向に亘って歯27bが形成されている。 そして、前方クラッチ28側の歯28aとクラッチナット27側の歯27aとは、前方クラッチ28とクラッチナット27とを係合可能な歯として形成されている。

    後方クラッチ29は、軸方向長さが短い円筒状の部材として設けられ、前方クラッチ28とは別部材である一体の部材として形成されている。 そして、後方クラッチ29は、ガイドチューブ25に対してその内側に圧入されて固定されている。 尚、後方クラッチ29の端部は、ガイドチューブ25の内周において段状に形成された部分に対して当接して位置決めされている。

    また、後方クラッチ29は、クラッチナット27のピストン22側の端部とネジ軸24とに対して外側で同心状に(径方向の中心位置が一致するように)配置されている。 そして、後方クラッチ29は、クラッチナット27に対してブレーキ出力部21側と反対側である後方側において前方クラッチ28と所定の間隔を介して凸部27aに当接可能に配置されている。

    また、後方クラッチ29におけるクラッチナット27に対向する面は、ネジ軸24の軸方向を中心線とした円錐曲面の一部を成すように軸方向に対して斜めに形成されたテーパ状の面として設けられている。 また、クラッチナット27の凸部27aにおける後方クラッチ29に対向する面についても、ネジ軸24の軸方向を中心線とした円錐曲面の一部を成すように軸方向に対して斜めに形成されたテーパ状の面として設けられている。 そして、後方クラッチ29及びクラッチナット27における互いに対向する上記の面は、ネジ軸24の軸方向に対して略同一の角度で傾斜する面として形成され、互いに当接し合う面として設けられている。

    ストッパ30は、リング状に形成されたリング部30aと、リング部30aに固定されるとともにリング部30aの径方向の外側に向かって突出するブロック状に設けられた一対の突出部(30b、30b)と、を備えて構成されている。 リング部30aは、ネジ軸24及び後述の調整スリーブ33の周囲であってガイドチューブ25の内側に配置されている。 そして、リング部30aは、ブレーキ方向における端部において調整スリーブ33に当接し、反ブレーキ方向における端部において後述の調整バネ31に当接している。

    また、ストッパ30における一対の突出部(30b、30b)は、リング部30aの直径方向に沿った位置に配置されるように設けられており、ガイドチューブ25における一対のスリット部(25b、25b)を貫通するように突出して配置されている。 尚、シリンダ本体20の第2ケーシング部36における筒状部分36bには、ネジ軸24の軸方向と平行に延びるスリット状に貫通形成された孔として設けられた一対のストッパストローク規制部(39、39)が、筒状部分36bの直径方向に沿った位置に設けられている。 そして、各突出部30bにおける突出した端部は、ストッパストローク規制部39に沿って移動可能に配置されるとともに、ストッパストローク規制部39におけるブレーキ方向における端部と反ブレーキ方向における端部とのそれぞれに対して当接可能に配置されている。

    ストッパ30は、上記のように設けられることで、クラッチナット27及びガイドチューブ25に対してネジ軸24の軸方向に沿って相対移動可能に配置され、シリンダ本体20に対して移動可能範囲が規制されるように構成されている。

    調整スリーブ33は、樹脂により形成されることで可撓性を有する筒状の部材として設けられ、ネジ軸24の周囲に配置されている。 そして、調整スリーブ33には、ブレーキ方向における端部の外周において、凹凸部分として形成された係合部33aが設けられている。 そして、クラッチナット27には、反ブレーキ方向における端部の内周において、係合部33aの凹凸部分と嵌まり合う凹凸部分として形成された被係合部27cが設けられている。 調整スリーブ33とクラッチナット27とは、調整スリーブ33側の係合部33aとクラッチナット27側の被係合部27cとが係合することにより、一体に構成されている。

    尚、調整スリーブ33の係合部33aは、クラッチナット27の内周側に形成された被係合部27cに対して内側から係合するように設けられている。 そして、調整スリーブ33の内周とネジ軸24におけるネジ24aのネジ山の頂部との間に形成される隙間の調整スリーブ33の径方向における寸法が、係合部33aと被係合部27cとにおいて互いに嵌まり合う凹凸部分の調整スリーブ33の径方向における寸法(調整スリーブ33の径方向における凹凸部分の重なり代)よりも小さくなるように構成されている。

    調整バネ31は、調整スリーブ33の周囲に配置されたコイル状のバネとして設けられている。 そして、調整バネ31は、一端側が、ストッパ30のリング部30bにおける反ブレーキ方向の端部に当接(又は連結)するとともに、他端側が、調整スリーブ33における反ブレーキ方向の端部に配置されたバネ受けとして機能する、バネストッパ34及びベアリング40を付勢するように配置されている。 これにより、調整スリーブ33は、一端側がストッパ30に当接する調整バネ31の他端側によって反ブレーキ方向に付勢されるように構成されている。 そして、調整バネ31は、調整スリーブ33に係合して一体化されたクラッチナット27を反ブレーキ方向に付勢可能に構成されている。

    また、上述したベアリング40は、調整スリーブ33の外周とガイドチューブ35の内周との間に配置され、調整スリーブ33における反ブレーキ方向の端部の外周に周方向に亘って形成されたフランジ状の突起に係合することでこの調整スリーブ33に取り付けられている。 そして、ベアリング40は、このベアリング40の外周とガイドチューブ25の内周との間に形成される隙間のガイドチューブ25の径方向における寸法がほぼゼロになるように配置されている。 尚、ベアリング40は、このベアリング40の外周とガイドチューブ25の内周とが摺接するように配置されていてもよい。

    バネストッパ34は、調整スリーブ33の反ブレーキ方向における端部の周囲に配置された筒状の部材として設けられている。 そして、バネストッパ34は、その反ブレーキ方向における端部にフランジ状の部分が形成され、このフランジ状の部分における反ブレーキ方向の端面にてベアリング40に当接している。 また、上記のフランジ状の部分におけるブレーキ方向の端面にて調整バネ31の他端側(反ブレーキ方向の端部側)に当接している。 尚、バネストッパ34と調整スリーブ33との間にベアリング40が配置されているため、バネストッパ34に対して調整スリーブ33が回転可能に構成されている。

    また、バネストッパ34における筒状の部分のブレーキ方向の端部は、ストッパ30のリング部30aにおける反ブレーキ方向の端部に対して空隙を介して対向している。 そして、バネストッパ34における筒状の部分のブレーキ方向の端部は、調整バネ31が大きく圧縮されて縮んだ際に、リング部30aにおける反ブレーキ方向の端部に当接するように配置されている。 これにより、バネストッパ34は、一端側がストッパ30に当接する調整バネ31の他端側が一端側に対して相対的に変位して調整バネ31が弾性変形する変位量を所定量以下に規制するように構成されている。

    なお、調整バネ31が蓄圧され、その付勢力が強くなっても、前記バネ受けの構成要素にベアリング40が含まれるので、ベアリングを用いずに単に円盤状の部材にグリースを塗布しただけの場合に比べ、この付勢力により発生する摩擦力が、調整スリーブ33に係合して一体化されたクラッチナット27の回転を阻害することがない。 すなわち、ベアリング40により、この付勢力はベアリング40の回転方向にはほとんど影響を与えないため、確実に隙間調整を行うことができる。 なお、ベアリング40としては、調整バネ31と調整スリーブ33との間の摺動抵抗を下げることができれば、ころがり軸受であっても、すべり軸受であってもよく、またラジアル軸受又はスラスト軸受のいずれであっても構わない。

    次に、ブレーキシリンダ装置2の断面図である図6乃至図20を参照しつつ、ブレーキシリンダ装置2の作動について説明する。 尚、図6乃至図20においては、ブレーキ出力部21とシリンダ本体20との間に配置されたジャバラ構造の図示を省略している。 そして、図6乃至図20においては、シリンダ本体20の位置を基準として図示し、シリンダ本体20以外の各構成要素についてはシリンダ本体20に対する相対位置を図示している。

    また、図6乃至図16においては、シリンダ本体20に対してブレーキ出力部21が相対移動してブレーキ動作が可能となるブレーキ出力部21のブレーキ方向における端部21cの位置を二点鎖線P(以下、二点鎖線Pで示す位置を「ブレーキ動作位置P」という)で示している。 即ち、ブレーキ出力部21の端部21cのシリンダ本体20に対する位置がブレーキ動作位置P(制動力が発生可能な位置)に達した状態では、ディスクブレーキ装置1における一対のブレーキパッド(13、13)がブレーキディスク101に当接することになる。

    図6乃至図8は、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われずにブレーキシリンダ装置2が作動する場合について説明するためのブレーキシリンダ装置2の断面図である。 図6の断面図は、ブレーキ動作が行われる前の状態、即ちブレーキが解除された状態を示している。 この状態におけるブレーキ出力部21の端部21cとブレーキ動作位置Pとの間の距離D1を図中において矢印で示している。

    ブレーキ動作時は、圧力室37に圧縮空気が供給されることで、まず、図6の断面図に示す状態から図7の断面図に示す状態に移行することになる。 即ち、圧力室37への圧縮空気の供給に伴い、ピストン22がピストンバネ23の付勢力に抗してガイドチューブ25とともにブレーキ方向に移動する。 そして、ガイドチューブ25及びプッシャーバネ26とともにネジ軸24がブレーキ方向に移動し、ブレーキ出力部21の端部21cがブレーキ動作位置Pに達することになる。 尚、図7に示す状態は、ブレーキ出力部21の端部21cがブレーキ動作位置Pに達し、一対のブレーキパッド(13、13)がブレーキディスク101に接触した瞬間の状態であり、まだ、制動力は発生していない状態である。

    図7に示す状態では、ネジ軸24とこれに螺合するクラッチナット27のブレーキ方向における移動が拘束されている。 そして、図7に示す状態から更に圧力室37への圧縮空気の供給が継続されることで、図8の断面図に示すように、ピストン22とともにガイドチューブ25がブレーキ方向に移動し、ガイドチューブ25とともに前方クラッチ28及び後方クラッチ29が前方に(ブレーキ方向に)移動することになる。 これにより、クラッチナット27に当接していた前方クラッチ28がクラッチナット27から離間し、クラッチナット27から離間していた後方クラッチ29がクラッチナット27に当接することになる。 この図8に示す状態に達することで、一対のブレーキパッド(13、13)がブレーキディスク101を押圧し、制動力が出力されることになる。

    一方、圧力室37の圧縮空気が排出されると、ピストン22がピストンバネ23の付勢力によってガイドチューブ25とともに反ブレーキ方向に移動する。 そして、ガイドチューブ25とともに前方クラッチ28及び後方クラッチ29が後方に(反ブレーキ方向に)移動することになる。 これにより、図7に示す状態と瞬間的に同じ状態となる。 即ち、クラッチナット27に当接していた後方クラッチ29がクラッチナット27から離間し、クラッチナット27から離間していた前方クラッチ28がクラッチナット27に当接することになる。

    図7に示す状態から更に圧力室37の圧縮空気の排出が継続されることで、ピストン22、ガイドチューブ25及び前方クラッチ28が反ブレーキ方向に更に移動する。 そして、前方クラッチ28に当接するクラッチナット27及びこのクラッチナット27に螺合するネジ軸24も反ブレーキ方向に移動することになる。 これにより、図6に示すように、ブレーキが解除された状態となる。 上述したブレーキ動作及びブレーキ解除動作においては、クラッチナット27はネジ軸24に対して回転しないため、隙間調整機構による自動的な隙間調整は行われないことになる。 即ち、上記のブレーキ動作及びブレーキ解除動作が行われた前後のタイミングにおいて、ブレーキ出力部21の端部21cとブレーキ動作位置Pとの間の距離D1は変化しないことになる。

    次に、隙間調整機構による自動的な隙間調整が行われる場合のブレーキシリンダ装置2の作動について、図9乃至図16を参照しつつ説明する。 図9の断面図は、ブレーキ動作が行われる前の状態、即ちブレーキが解除された状態を示している。 この状態におけるブレーキ出力部21の端部21cとブレーキ動作位置Pとの間の距離D2を図中において矢印で示している。 図9に示す状態では、ブレーキパッド13の摩耗等によって、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ出力部21の端部21cからブレーキ動作位置Pまでの隙間である距離D2が大きくなっている。 即ち、距離D2は距離D1よりも大きい状態(D2>D1)となっている。 この場合、以下に説明するように、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ストッパ30、調整バネ31等によって構成される隙間調整機構によって、上記の隙間が自動的に調整されることになる。

    ブレーキ動作時は、圧力室37に圧縮空気が供給されることで、まず、図9の断面図に示す状態から図10の断面図に示す状態に移行することになる。 即ち、圧力室37への圧縮空気の供給に伴い、ピストン22がピストンバネ23の付勢力に抗してガイドチューブ25とともにブレーキ方向に移動する。 更に、ガイドチューブ25及びプッシャーバネ26とともにネジ軸24がブレーキ方向に移動し、ネジ軸24に螺合するクラッチナット27に係合する調整スリーブ33とともに、ストッパ30及び調整バネ31もブレーキ方向に移動する。 そして、図10の断面図に示すように、ストッパ30の突出部30bがストッパストローク規制部39のブレーキ方向における端部に当接する。 これにより、ストッパ30が前進限に達し、シリンダ本体20に対する前方(ブレーキ方向)への移動が規制されることになる。

    図10に示す状態では、シリンダ本体20に対し、ストッパ30の移動は規制されるが、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ネジ軸24、クラッチナット27、調整スリーブ33、バネストッパ34、ベアリング40は、ピストン22とともに移動可能な状態となっている。 そして、図10に示す状態から更に圧力室37への圧縮空気の供給が継続されることで、ブレーキ出力部21の端部21cがブレーキ動作位置Pに達し、図11の断面図に示す状態に移行することになる。 このとき、上記の構成要素(24〜27、33、34、40)の移動とともに、ストッパ30と、調整スリーブ33の反ブレーキ方向の端部側に配置されたバネストッパ34との間で、調整バネ31が圧縮されることになる。

    図10に示す状態から図11に示す状態に移行する際には、ストッパ30の移動範囲が規制されることで、調整バネ31において、バネストッパ34、ベアリング40及び調整スリーブ33を介して、反ブレーキ方向にクラッチナット27を付勢可能な力が調整バネ31の蓄力として蓄積されることになる。 そして、移動範囲がシリンダ本体20によって規制されたストッパ30に対して、調整スリーブ33が、図11において矢印で示すように、距離F1だけ相対移動することになる。 この距離F1と同じ寸法(寸法F1)だけ調整バネ31が圧縮されて、調整バネ31の蓄力が蓄えられることになる。

    図11に示す状態は、ブレーキ出力部21の端部21cがブレーキ動作位置Pに達し、一対のブレーキパッド(13、13)がブレーキディスク101に接触した瞬間の状態であり、まだ、制動力は発生していない状態である。 この状態では、ネジ軸24とこれに螺合するクラッチナット27のブレーキ方向における移動が拘束されている。 そして、図11に示す状態から更に圧力室37への圧縮空気の供給が継続されることで、図12の断面図に示すように、ピストン22とともにガイドチューブ25がブレーキ方向に移動し、ガイドチューブ25とともに前方クラッチ28及び後方クラッチ29が前方に(ブレーキ方向に)移動することになる。 これにより、クラッチナット27に当接していた前方クラッチ28がクラッチナット27から離間し、クラッチナット27から離間していた後方クラッチ29がクラッチナット27に当接することになる。 この図12に示す状態に達することで、一対のブレーキパッド(13、13)がブレーキディスク101を押圧し、制動力が出力されることになる。 尚、この状態では、図11に示す寸法F1の圧縮寸法に対応する調整バネ31の蓄力はそのまま維持されている。

    一方、圧力室37の圧縮空気が排出されると、ピストン22がピストンバネ23の付勢力によってガイドチューブ25とともに反ブレーキ方向に移動を開始する。 そして、ガイドチューブ25とともに前方クラッチ28及び後方クラッチ29も後方に(反ブレーキ方向に)移動を開始することになる。 このとき、クラッチナット27は、後方クラッチ29から離間して前方クラッチ28に当接する状態に移行することになるが、ネジ軸24は、プッシャーバネ26によってブレーキ方向に付勢されている。 このため、図13の断面図に示すように、ネジ軸24及びブレーキ出力部21が反ブレーキ方向に移動せずに、調整バネ31の寸法F1に対応する蓄力によってクラッチナット27が反ブレーキ方向に付勢される状態が生じることになる。 このとき、クラッチナット27において、後方クラッチ29との当接が解除されるとともに前方クラッチ28にも当接していない状態が生じることになり、クラッチナット27がネジ軸24に対して回転可能な状態となる。

    上記のように、クラッチナット27が、前方クラッチ28及び後方クラッチ29のいずれにも当接せず、ネジ軸24に対して回転可能な状態となると、調整バネ31の寸法F1に対応する蓄力によってクラッチナット27が反ブレーキ方向に移動するようにネジ軸24に対して回転することになる。 このようにクラッチナット27がネジ軸24に対して回転することで、図13に示す寸法F1は減少していくことになる。 そして、クラッチナット27が前方クラッチ28及び後方クラッチ29のいずれにも当接せずにネジ軸24に対して回転する状態は、図14に示すように、寸法F1がゼロになるまで継続されることになる。 尚、寸法F1がゼロになるまで行われるクラッチナット27の回転は、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作が1回行われる間に完了する場合に限らず、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作が複数回行われる間に完了することもある。

    図14に示す状態から更に圧力室37の圧縮空気の排出が継続されることで、ピストン22、ガイドチューブ25及び前方クラッチ28が反ブレーキ方向に更に移動する。 そして、図15の断面図に示すように、前方クラッチ28がクラッチナット27に当接し、クラッチナット27が回転不能な状態となる。 更に、ガイドチューブ25が反ブレーキ方向へ移動することに伴い、前方クラッチ28に当接するクラッチナット27及びこのクラッチナット27に螺合するネジ軸24も反ブレーキ方向に移動する。 これにより、図16に示すように、ブレーキが解除された状態となる。

    そして、図16に示すブレーキ解除状態においては、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作が行われる前の状態に比して、ブレーキ出力部21の端部21cとブレーキ動作位置Pとの間の距離が、距離D2よりも小さい距離である距離D3(D3<D2)に変化することになる。 即ち、ブレーキ解除動作の途中でクラッチナット27がネジ軸24に対して反ブレーキ方向に相対移動するため、ネジ軸24の位置がブレーキ解除動作前の状態よりもブレーキ方向に移動した状態で、ブレーキ解除動作が終了することになる。 そして、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作の前の状態に比してネジ軸24及びブレーキ出力部21がシリンダ本体20に対して突出した位置に移動した状態に移行することになる。 これにより、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置Pまでの隙間が自動的に調整されることになる。

    次に、ブレーキパッド13がブレーキディスク101に当接することがなく制動力が発生しないような状態、いわゆる空振りの状態(尚、隙間調整はブレーキパッド13がブレーキディスク101に当接することにより発生する力により行われるため、当接しないと隙間調整が行えないことになる。)において、強制的に隙間調整動作を行った場合のブレーキシリンダ装置2の作動について、図17乃至図20を参照しつつ説明する。 図17の断面図は、上記の空振りとなる状態において圧縮室37に圧縮空気が供給される前の状態(即ち、前述のブレーキ解除状態に相当する状態)を示している。 例えば、ディスクブレーキ装置1におけるブレーキパッド13の交換作業を行った後であって、隙間調整動作が行われようとしている状態を示している。

    上記の場合、圧力室27に圧縮空気が供給されることで、まず、図17の断面図に示す状態から図18の断面図に示す状態に移行することになる。 即ち、圧力室37への圧縮空気の供給に伴い、ピストン22がピストンバネ23の付勢力に抗してガイドチューブ25とともにブレーキ方向に移動する。 更に、ガイドチューブ25及びプッシャーバネ26とともにネジ軸24がブレーキ方向に移動し、ネジ軸24に螺合するクラッチナット27に係合する調整スリーブ33とともに、ストッパ30及び調整バネ31もブレーキ方向に移動する。 そして、図18の断面図に示すように、ストッパ30の突出部30bがストローク規制部39のブレーキ方向における端部に当接する。 これにより、ストッパ30が前進限に達し、シリンダ本体20に対する前方(ブレーキ方向)への移動が規制されることになる。

    図18に示す状態では、シリンダ本体20に対し、ストッパ30の移動は規制されるが、ネジ軸24等の所定の構成要素(24〜27、33、34、40)は、ピストン22とともに移動可能な状態となっている。 図18に示す状態から更に圧力室37への圧縮空気の供給が継続されることで、上記の構成要素(24〜27、33、34、40)の移動とともに、ストッパ30と、調整スリーブ33の反ブレーキ方向の端部側に配置されたバネストッパ34との間で、調整バネ31が圧縮されることになる。 そして、ストッパ30のリング部30aにおける反ブレーキ方向の端部にバネストッパ34におけるブレーキ方向の端部が当接し、図19の断面図に示す状態に移行することになる。

    また、図19に示す状態では、調整バネ31において、バネストッパ34、ベアリング40及び調整スリーブ33を介して、反ブレーキ方向にクラッチナット27を付勢可能な力が調整バネ31の蓄力として蓄積されている。 このとき、移動範囲がシリンダ本体20によって規制されたストッパ30に対して、調整スリーブ33が、図19において矢印で示すように、距離F2だけ相対移動している。 この距離F2と同じ寸法(寸法F2)だけ調整バネ31が圧縮されて、調整バネ31の蓄力が蓄えられていることになる。

    図19に示すように、ストッパ30の移動が規制されるとともに、ストッパ30とバネストッパ34とが当接した状態になると、バネストッパ34に当接するベアリング40に対して反ブレーキ方向の端部側が係合した調整スリーブ33が、前方(ブレーキ方向)へ移動できなくなる。 このため、調整スリーブ33に係合するクラッチナット27もブレーキ方向へ移動できなくなり、クラッチナット27は、ピストン22、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26及びネジ軸24とともにブレーキ方向へ移動できなくなる。

    そして、図19に示す状態から更に圧力室37への圧縮空気の供給が継続されることで、図20の断面図に示すように、クラッチナット27は、前方クラッチ28から離間するとともに、後方クラッチ29に対しても離間したまま当接していない状態が発生する。 このため、クラッチナット27がネジ軸24に対して回転可能な状態となる。 そして、調整バネ31の寸法F2に対応する蓄力によってクラッチナット27が反ブレーキ方向に付勢される状態が生じることになる。

    上記のように、クラッチナット27が、前方クラッチ28及び後方クラッチ29のいずれにも当接せず、ネジ軸24に対して回転可能な状態となると、調整バネ31の寸法F2に対応する蓄力によってクラッチナット27が反ブレーキ方向に移動するようにネジ軸24に対して回転することになる。 このようにクラッチナット27がネジ軸24に対して回転することで、図20に示す寸法F2は減少していくことになる。 そして、クラッチナット27が前方クラッチ28及び後方クラッチ29のいずれにも当接せずにネジ軸24に対して回転する状態は、寸法F2がゼロになるまで継続されることになる。 尚、寸法F2がゼロになるまで行われるクラッチナット27の回転は、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作に相当する動作が1回行われる間に完了する場合に限らず、ブレーキ動作及びブレーキ解除動作に相当する動作が複数回行われる間に完了することもある。

    このように、空振りの状態においても、ブレーキ動作に相当する動作の途中でクラッチナット27がネジ軸24に対して反ブレーキ方向に相対移動するため、ネジ軸24の位置がブレーキ動作に相当する動作の前の状態よりもブレーキ方向に移動した状態で、ブレーキ動作に相当する動作が終了することになる。 そして、ブレーキ動作に相当する動作の前の状態に比してネジ軸24及びブレーキ出力部21がシリンダ本体20に対して突出した位置に移動した状態に移行することになる。 これにより、ブレーキパッド13の交換作業等の保守作業が終了して、空振りの状態からブレーキが作動可能な状態になった際に、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置Pまでの隙間が自動的に調整されていることになる。

    以上説明したように、ブレーキシリンダ装置2によると、隙間調整機構が、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ストッパ30、調整バネ31等によって構成される。 このため、ゴムなどの弾性変形によって隙間調整が行われるものではなく、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくい構成を実現することができる。 そして、ピストン22に対してガイドチューブ25を取り付ける構造においてベアリング40を設ける必要がないため、シリンダ本体20における後方側(反ブレーキ方向の端部側)の径寸法の小型化を図ることができる。

    従って、本実施形態によると、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置Pまでの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置2において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくくすることが安価にでき、更に、シリンダ本体20の径方向寸法を小型化することができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、ネジ軸24を付勢するプッシャーバネ26が、中空構造に形成されたネジ軸24の内側に配置され、ネジ軸24に螺合したクラッチナット27を前方クラッチ28に向かって付勢するように構成される。 このため、ブレーキシリンダ装置2におけるスペースを効率よく活用してプッシャーバネ26を配置することができる。 これにより、ブレーキシリンダ装置2において、スペース効率を向上させることができ、更に小型化を図ることができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、コイル状のプッシャーバネ26の内側で延びてプッシャーバネ26の座屈方向の変形を規制するプッシャーバネガイド32が設けられる。 このため、隙間調整機構として調整する隙間の寸法が大きくなり、長尺のプッシャーバネ26が必要となる場合であっても、このプッシャーバネ26の座屈を効率よく防止することができる。 また、ガイドチューブ25とともに移動可能に設けられるプッシャーバネガイド32は、先端部がネジ軸24の内側に摺動自在に配置される。 このため、軸状のプッシャーバネガイド32を設けるという簡素な構成によって、ネジ軸24とピストン22との位置関係を同軸上で変位する関係に維持する構造を容易に実現することができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、前方クラッチ28及び後方クラッチ29が、それぞれ一体の別部材として設けられてガイドチューブ25に個別に固定される。 このため、クラッチナット27の前後に配置される前方及び後方クラッチ(28、29)を分割構造として別途の結合手段によって結合する必要がない。 同様に、前方及び後方クラッチ(28、29)が前後に配置されるクラッチナット27を分割構造として別途の結合手段によって結合する必要もない。 これにより、前方及び後方クラッチ(28、29)とクラッチナット27とに関する構成を簡素化することができ、その結果、ブレーキシリンダ装置2全体として、小型軽量化を図ることができる。 また、前方及び後方クラッチ(28、29)がそれぞれ一体の別部材でガイドチューブ25に固定される構成のため、前方及び後方クラッチ(28、29)の内周をネジ軸24の外周に対してより接近させた寸法構成に設定することが可能となり、ブレーキシリンダ装置2の更なる小型化を図ることができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、一体の部材として形成された前方クラッチ28がガイドチューブ25の内周にネジ結合により固定される。 このため、前方クラッチ28については、保守時における交換が容易となり、保守性の向上を図ることができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、調整バネ31は、ネジ軸24の周囲に配置された筒状の調整スリーブ33とストッパ30との間に配置され、ストッパ30に対する調整スリーブ33の相対移動に伴って、隙間調整動作時にクラッチナット27をネジ軸24に対して反ブレーキ方向に移動させる力を蓄積することになる。 そして、調整スリーブ33は可撓性を有する部材として設けられ、調整スリーブ33側の係合部33aとクラッチナット27側の被係合部27cとが係合することで、調整スリーブ33とクラッチナット27とが一体化される。 このため、可撓性を有する調整スリーブ33を一旦弾性変形させることで係合部33aを被係合部27cに係合させることができ、別途の締結部材を用いずに、調整スリーブ33とクラッチナット27とを一体化することができる。 このように、調整スリーブ33とクラッチナット27とを一体化させる構造において、別途の締結部材が不要となるため、ブレーキシリンダ装置2の更なる小型化を図ることができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、調整スリーブ33がクラッチナット27の内側から係合するように構成され、調整スリーブ33の内周とネジ軸24のネジ24aのネジ山の頂部との間の隙間寸法が、係合部33aと被係合部27cとにおける互いに嵌まり合う凹凸部分の径方向寸法(調整スリーブ33の径方向における凹凸部分の重なり代)よりも小さく設定される。 このため、金属材料によって形成されたクラッチナット27とネジ軸24との間に可撓性を有する調整スリーブ33の係合部33aが配置されることになり、更に、調整スリーブ33の係合部33aがネジ軸24側に変形して被係合部27cから外れてしまうことが防止される寸法関係に設定されることになる。 これにより、簡易な係合構成であるにも関わらず、調整スリーブ33とクラッチナット27とを強固に一体化することができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、調整バネ31の他端側がベアリング40を介して調整スリーブ33を付勢するため、調整バネ31の蓄力によって調整スリーブ33が付勢された際には、調整スリーブ33とともにクラッチナット27が滑らかに回転してブレーキ方向に移動することになる。 そして、バネ受けにおけるベアリング40は、ガイドチューブ25との隙間がほぼゼロ又はガイドチューブ25に摺接するように配置されるため、このバネ受けのベアリング40を介してガイドチューブ25に対してネジ軸24を支持可能となり、ネジ軸24がガイドチューブ25に対して傾いてしまうことを防止できる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、隙間調整動作のための蓄力が行われるように調整バネ31が弾性変形する際の変位量を所定量以下に規制するバネストッパ34が設けられている。 このため、制動力が発生しないような空振りの状態での作動において、強制的に隙間調整動作を行った場合であっても、バネストッパ34によって調整バネ31のストロークが規制される。 このため、調整バネ31が過度に圧縮又は伸長されることがなく、空振りの状態であっても強制的に隙間調整動作を行うことができる。

    そして、ブレーキシリンダ装置2によると、上記のように、空振りの状態であっても強制的に隙間調整動作を行うことができるため、車両又は編成全体で一挙にブレーキ動作及びブレーキ解除動作に相当する動作を複数回繰り返すことで、自動的に全体のブレーキシリンダ装置2における隙間が調整されることになる。 これにより、ブレーキパッド13の交換が行われた際に、手動でブレーキシリンダ装置2の1台ずつに対して隙間調整を行う必要もなく、車両又は編成における全てのブレーキシリンダ装置2について、一括して自動的に隙間調整を行うことができ、ブレーキパッド13の交換に伴う作業において、工数や手間を大幅に削減し、相当な効率化を図ることができる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、前方クラッチ28とクラッチナット27とが当接してブレーキが作用していない状態において、前方クラッチ28とクラッチナット27とが互いの対向面に形成された歯(27b、28a)を介して係合するため、振動等によってクラッチナット27が回転してしまうことを防止できる。 そして、隙間調整動作が繰り返し行われて隙間の調整量が増加し、プッシャーバネ26の付勢力が低下した状態(プッシャーバネ26が延びた状態)になった場合であっても、ブレーキが作用していないときに、振動等によってクラッチナット27が回転してしまうことを防止できる。

    また、ブレーキシリンダ装置2によると、ブレーキ出力部21を貫通して外側に対向するよう配置されるとともに操作用係合部である六角穴24cが設けられたネジ軸24の先端部にナット部材38が螺合することで、ネジ軸24とブレーキ出力部21とが係合する。 このため、ナット部材38を緩めてネジ軸24とブレーキ出力部21との係合を解除し、更に、操作用の工具でネジ軸24を回転操作することで、ネジ軸24を手動で回転させることができ、ネジ軸24とクラッチナット27との位置関係を隙間調整が行われる前の状態である初期状態に容易に戻すことができる。

    また、本実施形態によると、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置Pまでの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構が設けられたブレーキシリンダ装置2を備えるディスクブレーキ装置1において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくくすることが安価にでき、更に、シリンダ本体20の径方向寸法を小型化することができる。

    (第2実施形態)
    次に、本発明の第2実施形態に係るブレーキシリンダ装置3について説明する。 図21は、第2実施形態に係るブレーキシリンダ装置3の断面図である。 図21に示すブレーキシリンダ装置3は、第1実施形態のブレーキシリンダ装置2と同様にディスクブレーキ装置1に対して装備されるブレーキシリンダ装置として設けられている。 尚、図21においては、ブレーキシリンダ装置3における一部の構成要素については、断面ではなく外径を図示している。

    ブレーキシリンダ装置3は、第1実施形態のブレーキシリンダ装置2と同様に、シリンダ本体20、ブレーキ出力部21、ピストン50、ピストンバネ23、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ストッパ30、調整バネ31、プッシャーバネガイド32、調整スリーブ33、バネストッパ34、ナット部材38、ベアリング40、等を備えて構成されている。 上述した構成要素のうち、調整スリーブ33以外については、例えば、鉄系材料等の金属材料により形成され、調整スリーブ33については、例えば、樹脂材料により形成されている。

    上記のように、ブレーキシリンダ装置3は、第1実施形態のブレーキシリンダ装置2と同様に構成される。 しかし、ブレーキシリンダ装置3は、増力機構51が更に設けられるとともに、ピストン50の移動方向が第1実施形態のピストン22の移動方向と逆方向に移動するように構成されている点において、第1実施形態のブレーキシリンダ装置2とは異なっている。 尚、以下のブレーキシリンダ装置3の説明においては、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と同様の機能を備えるように構成される要素については、図面において同一の符号を付して説明を省略する。

    ピストン50は、円盤状部52と、円盤状部52からネジ軸24及びガイドチューブ25と平行に反ブレーキ方向(図21において矢印Bで示す方向)に向かって突出する一対の板状部53(図21では一方の板状部53のみを図示)とを備えている。 尚、シリンダ20の第2ケーシング部36には、内側で第1ケーシング部35側(即ち、反ブレーキ方向)に向かって延びる円筒部54が形成されている。 そして、円盤状部52には中心に貫通孔52aが形成されており、この貫通孔52aをシリンダ本体20における円筒部54が貫通している。 これにより、ピストン50は、円筒部54の外周面と第2ケーシング36の内周面との間に配置されている。 即ち、ピストン50は、円筒部54の外周面と第2ケーシング部36の内周面との間の空間を2つに区画するように配置され、シリンダ本体20に対して軸方向に沿って相対移動可能に構成されている。 そして、ピストン50と第2ケーシング部36との間で圧力室37が区画されている。

    尚、シリンダ本体30には、ネジ軸24及びガイドチューブ25の軸方向と並行に延びる一対のガイド軸55(図21では一方のガイド軸55のみを図示)が設けられている。 そして、ピストン50の円盤状部52には、各ガイド軸55がそれぞれ貫通するガイド孔52bが設けられている。 また、各ガイド軸55の周囲には、ピストン50をブレーキ出力部21側に向かって(即ち、図21において矢印Aで示す方向であるブレーキ方向に向かって)ピストン50を付勢するピストンバネ31が配置されている。

    また、ピストン50における各板状部53には、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸の方向とこの中心軸を中心とする周方向とに対して螺旋状に傾斜する傾斜面53aが設けられている。 尚、後述する回動部材56に対して回転自在に取り付けられた各ローラ61が、各板状部53の傾斜面53aに対してそれぞれ当接するように配置されている。

    増力機構51は、ピストン50が反ブレーキ方向に移動すると、ピストン50の移動方向と反対のブレーキ方向(図21において矢印Aで示す方向)にガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ネジ軸24等を移動させるように、ピストン50に発生する力を増力してガイドチューブ25に作用させる機構として設けられている。 即ち、圧力室37に圧縮空気が供給されてピストン50がシリンダ本体20内で反ブレーキ方向に移動すると、増力機構51によって増力された力が、この増力機構51に取り付けられたガイドチューブ25に作用し、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ネジ軸24等がブレーキ方向に移動することになる。 このため、ネジ軸24に連結されたブレーキ出力部21は、ピストン50の反ブレーキ方向の移動に伴ってピストン50に発生する力を増力させる増力機構51を介してブレーキ方向に移動することになる。

    増力機構51は、ピストン50に設けられた前述の傾斜面53a、回動部材56、第1受け部材57、第2受け部材58、第1転動部材59、第2転動部材60、等を備えて構成されている。

    回動部材56は、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心として所定の回転方向に回動する円盤状の部材として設けられ、中心に貫通孔が形成されている。 そして、回動部材56は、ピストン50が反ブレーキ方向に移動したときに、ピストン50の傾斜面53aで付勢されて、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心に上記の所定の回転方向に回動するように構成されている。 尚、ネジ軸24及びガイドチューブ25は、シリンダ本体20に対して、中心軸を中心に回動しないように設けられており、回動部材56の上記の所定の回転方向への回動に伴って、ブレーキ方向に移動するように構成されている。 また、回動部材56には、円盤状の部分の外周面から径方向の外側に向かって突出する一対の軸部が設けられており、この各軸部に対して、ピストン50の傾斜面53aに対して外周面において当接するローラ61が回転自在に取り付けられている。

    第1受け部材57は、中心に貫通孔が形成された円盤状の部材として設けられ、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心として配置されるとともに、ガイドチューブ25の外周に対して固定されている。 そして、第1受け部材57は、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸方向と平行な方向におけるブレーキ方向側において、回動部材56に対向するように配置されている。

    また、回動部材56の第1受け部材57に対向する面には、回動部材56の回動方向に対して深さが傾斜して変化するように形成された第1傾斜溝(図示を省略)が設けられている。 そして、第1傾斜溝には、この第1傾斜溝の内面に沿って転動可能な第1転動部材59(図21では破線で図示)が配置されている。 この第1転動部材59は、球体の部材として設けられ、第1受け部材57と回動部材56とに挟み込まれた状態で支持されている。 上記の第1傾斜溝及び第1転動部材59は、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心とした1つの円の円周に沿って位置するように、複数設けられている。 尚、第1受け部材57におけるブレーキ方向における端部の内周側に形成された段部と第2ケーシング部36の円筒部54の内壁に形成された段部との間に、バネ62が配置されている。 このバネ62は、第1受け部材57を反ブレーキ方向に付勢している。 また、ブレーキシリンダ装置3のシリンダ本体20においては、円筒部54においてバネ62と当接する段部を構成する部分が、ストッパストローク規制部39の機能も兼ねるように構成されている。

    第2受け部材58は、中心に貫通孔が形成された円盤状の部材として設けられ、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心として配置されるとともに、シリンダ本体20の第1ケーシング部35に対して固定されている。 そして、第2受け部材58は、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸方向と平行な方向における反ブレーキ方向側において回動部材56に対向するように、即ち、回動部材56における第1受け部材57に対向する面とは反対側の面に対向するように、配置されている。

    また、回動部材56の第2受け部材58に対向する面には、回動部材56の回動方向に対して深さが傾斜して変化するように形成された第2傾斜溝(図示を省略)が設けられている。 そして、第2傾斜溝には、この第2傾斜溝の内面に沿って転動可能な第2転動部材60(図21では破線で図示)が配置されている。 この第2転動部材60は、球体の部材として設けられ、回動部材56と第2受け部材58とに挟み込まれた状態で支持されている。 尚、上記の第2傾斜溝及び第2転動部材60は、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心とした1つの円の円周に沿って位置するように、複数設けられている。

    ブレーキシリンダ装置3においては、ブレーキ動作の際には、圧力室37に圧縮空気が供給され、ピストン50がピストンバネ23の付勢力に抗して反ブレーキ方向に移動し、ピストン50の傾斜面53aに当接するローラ61が回転する。 そして、ローラ61が回動部材56の軸部に対して回転するとともに、回動部材56が、ネジ軸24及びガイドチューブ25の中心軸を中心として所定の回転方向に回動することになる。 回動部材56の回動に伴って、第1転動部材59が第1傾斜溝を転動し、第2転動部材60が第2傾斜溝を転動し、これにより、回動部材56及び第1受け部材57がシリンダ本体20に対してブレーキ方向に移動することになる。 そして、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ネジ軸24等がブレーキ方向に移動し、ブレーキ出力部21がブレーキ方向に移動することになる。

    一方、ブレーキシリンダ装置3においてブレーキ解除動作が行われる際には、圧力室37から圧縮空気が排出され、ピストンバネ23の付勢力によってピストン50がブレーキ方向に移動する。 そして、回動部材56、第1受け部材57、第1転動部材59、第2転動部材60が、上記のブレーキ動作の場合とは逆方向に移動する。 これにより、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ネジ軸24等が反ブレーキ方向に移動し、ブレーキ出力部21が反ブレーキ方向に移動することになる。 また、ブレーキ解除動作の際においても、バネ62によって第1受け部材57が反ブレーキ方向に付勢されているため、第1転動部材59が第1傾斜溝を転動し、第2転動部材60が第2傾斜溝を転動することになる。

    尚、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、ストッパ30、調整バネ31等によって構成される隙間調整機構は、第1実施形態の場合と同様に作動する。 このため、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置3において、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けにくくすることが安価にでき、更に、シリンダ本体20の径方向寸法を小型化することができる。

    (変形例)
    以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。 例えば、次のような変形例を実施することができる。

    (1)第1実施形態において、プッシャーバネがガイドチューブに対してネジ軸をブレーキ方向に向かって付勢可能に配置されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。 プッシャーバネがピストンに対してネジ軸をブレーキ方向に向かって付勢可能に配置されている形態であってもよい。

    (2)調整バネ、ストッパ、調整スリーブ、バネストッパの形状や配置については、実施形態において例示したものに限らず、変更して実施してもよい。 また、クラッチナット、前方クラッチ、後方クラッチの形状についても、変更して実施してもよい。

    (3)上記の実施形態においては、前方クラッチのみがガイドチューブの内周に対してネジ結合により固定されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、後方クラッチについてもガイドチューブの内周に対してネジ結合により固定されていてもよい。 また、前方クラッチが、ガイドチューブの内周に対して圧入により固定されていてもよい。

    (4)上記の実施形態においては、前方クラッチにおけるクラッチナットに対向する面と、クラッチナットにおける前方クラッチに対向する面との両方に、前方クラッチとクラッチナットとを係合可能な歯が形成されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、互いに対向する面のいずれか一方に歯が形成されている形態であってもよい。

    (5)上記の実施形態においては、ブレーキシリンダ装置を作動させるための圧力流体として圧縮空気が用いられる場合を例にとって説明したが、これに限られず、他の圧力流体(例えば、圧油)により作動するものであってもよい。

    (6)ブレーキシリンダ装置において増力機構が設けられる場合については、第2実施形態で例示した形態に限らず、増力機構の形態を種々変更して実施してもよい。 例えば、増力機構が、ガイドチューブに固定された受け部材を備え、回動部材が受け部材の外周面に形成されたネジ山にねじ込まれるように設けられ、回動部材が所定の回転方向に回動することにより、受け部材がブレーキ方向に移動するように構成されている形態であってもよい。

    本発明は、ブレーキが解除された状態におけるブレーキ動作位置までの隙間を自動的に調整するための隙間調整機構を有するブレーキシリンダ装置、及びそのブレーキシリンダ装置を備えるディスクブレーキ装置に対して広く適用することができる。

    2 ブレーキシリンダ装置20 シリンダ本体21 ブレーキ出力部22 ピストン23 ピストンバネ24 ネジ軸25 ガイドチューブ26 プッシャーバネ27 クラッチナット28 前方クラッチ29 後方クラッチ30 ストッパ31 調整バネ

    キャリパボディ11は、結合部材14と、一対のブレーキテコ(15、15)とを備えている。 結合部材14は、車両本体100の底面に固定されたブラケット100aに対して、車両の進行方向と平行な軸周りに揺動可能なように揺動ピン14aを介して取り付けられている。 そして、この結合部材14に対して、略対称に、一対のブレーキテコ(15、15)が、一対の支点ピン15aを介して揺動可能に設置されている。 この支点ピン15aは、 ブレーキディスク 101の回転軸方向から見た場合に、揺動ピン14aの軸方向に対して垂直な方向に延びるように設置されている。

    次に、本発明の第1実施形態に係るブレーキシリンダ装置2について詳しく説明する。 図3は、ブレーキシリンダ装置2の断面図である。 尚、図3に示すブレーキシリンダ装置2は、図1及び図2に示すブレーキシリンダ装置2と同様に構成されるが、外形の一部について変更して図示している。 ブレーキシリンダ装置2は、そのブレーキ作動方向における両端部がそれぞれシリンダ支持ピン15bに連結されている。 そして、このブレーキシリンダ装置2は、シリンダ本体20、ブレーキ出力部21、ピストン22、ピストンバネ23、ネジ軸24、ガイドチューブ25、プッシャーバネ26、クラッチナット27、前方クラッチ28、後方クラッチ29、ストッパ30、調整バネ31、プッシャーバネガイド32、調整スリーブ33、バネストッパ34、ナット部材38、ベアリング40、等を備えて構成されている。 上述した構成要素のうち、調整スリーブ33以外については、例えば、鉄系材料等の金属材料により形成され、調整スリーブ33については、例えば、樹脂材料により形成されている。 尚、図3においては、ネジ軸24の一部、ストッパ30の一部、ナット部材38、等については、断面ではなく外形を図示している。

    また、ストッパ30における一対の突出部(30b、30b)は、リング部30aの直径方向に沿った位置に配置されるように設けられており、ガイドチューブ25における一対のスリット (25b、25b)を貫通するように突出して配置されている。 尚、シリンダ本体20の第2ケーシング部36における筒状部分36bには、ネジ軸24の軸方向と平行に延びるスリット状に貫通形成された孔として設けられた一対のストッパストローク規制部(39、39)が、筒状部分36bの直径方向に沿った位置に設けられている。 そして、各突出部30bにおける突出した端部は、ストッパストローク規制部39に沿って移動可能に配置されるとともに、ストッパストローク規制部39におけるブレーキ方向における端部と反ブレーキ方向における端部とのそれぞれに対して当接可能に配置されている。

    調整バネ31は、調整スリーブ33の周囲に配置されたコイル状のバネとして設けられている。 そして、調整バネ31は、一端側が、ストッパ30のリング部30aにおける反ブレーキ方向の端部に当接(又は連結)するとともに、他端側が、調整スリーブ33における反ブレーキ方向の端部に配置されたバネ受けとして機能する、バネストッパ34及びベアリング40を付勢するように配置されている。 これにより、調整スリーブ33は、一端側がストッパ30に当接する調整バネ31の他端側によって反ブレーキ方向に付勢されるように構成されている。 そして、調整バネ31は、調整スリーブ33に係合して一体化されたクラッチナット27を反ブレーキ方向に付勢可能に構成されている。

    また、上述したベアリング40は、調整スリーブ33の外周とガイドチューブ25の内周との間に配置され、調整スリーブ33における反ブレーキ方向の端部の外周に周方向に亘って形成されたフランジ状の突起に係合することでこの調整スリーブ33に取り付けられている。 そして、ベアリング40は、このベアリング40の外周とガイドチューブ25の内周との間に形成される隙間のガイドチューブ25の径方向における寸法がほぼゼロになるように配置されている。 尚、ベアリング40は、このベアリング40の外周とガイドチューブ25の内周とが摺接するように配置されていてもよい。

    次に、ブレーキパッド13がブレーキディスク101に当接することがなく制動力が発生しないような状態、いわゆる空振りの状態(尚、隙間調整はブレーキパッド13がブレーキディスク101に当接することにより発生する力により行われるため、当接しないと隙間調整が行えないことになる。)において、強制的に隙間調整動作を行った場合のブレーキシリンダ装置2の作動について、図17乃至図20を参照しつつ説明する。 図17の断面図は、上記の空振りとなる状態において圧力室 37に圧縮空気が供給される前の状態(即ち、前述のブレーキ解除状態に相当する状態)を示している。 例えば、ディスクブレーキ装置1におけるブレーキパッド13の交換作業を行った後であって、隙間調整動作が行われようとしている状態を示している。

    上記の場合、圧力室37に圧縮空気が供給されることで、まず、図17の断面図に示す状態から図18の断面図に示す状態に移行することになる。 即ち、圧力室37への圧縮空気の供給に伴い、ピストン22がピストンバネ23の付勢力に抗してガイドチューブ25とともにブレーキ方向に移動する。 更に、ガイドチューブ25及びプッシャーバネ26とともにネジ軸24がブレーキ方向に移動し、ネジ軸24に螺合するクラッチナット27に係合する調整スリーブ33とともに、ストッパ30及び調整バネ31もブレーキ方向に移動する。 そして、図18の断面図に示すように、ストッパ30の突出部30bがストッパストローク規制部39のブレーキ方向における端部に当接する。 これにより、ストッパ30が前進限に達し、シリンダ本体20に対する前方(ブレーキ方向)への移動が規制されることになる。

    ピストン50は、円盤状部52と、円盤状部52からネジ軸24及びガイドチューブ25と平行に反ブレーキ方向(図21において矢印Bで示す方向)に向かって突出する一対の板状部53(図21では一方の板状部53のみを図示)とを備えている。 尚、シリンダ20の第2ケーシング部36には、内側で第1ケーシング部35側(即ち、反ブレーキ方向)に向かって延びる円筒部54が形成されている。 そして、円盤状部52には中心に貫通孔52aが形成されており、この貫通孔52aをシリンダ本体20における円筒部54が貫通している。 これにより、ピストン50は、円筒部54の外周面と第2ケーシング 36の内周面との間に配置されている。 即ち、ピストン50は、円筒部54の外周面と第2ケーシング部36の内周面との間の空間を2つに区画するように配置され、シリンダ本体20に対して軸方向に沿って相対移動可能に構成されている。 そして、ピストン50と第2ケーシング部36との間で圧力室37が区画されている。

    尚、シリンダ本体30には、ネジ軸24及びガイドチューブ25の軸方向と並行に延びる一対のガイド軸55(図21では一方のガイド軸55のみを図示)が設けられている。 そして、ピストン50の円盤状部52には、各ガイド軸55がそれぞれ貫通するガイド孔52bが設けられている。 また、各ガイド軸55の周囲には、ピストン50をブレーキ出力部21側に向かって(即ち、図21において矢印Aで示す方向であるブレーキ方向に向かって)ピストン50を付勢するピストンバネ23が配置されている。

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