キャリパブレーキ装置

申请号 JP2012022693 申请日 2012-02-06 公开(公告)号 JP5622757B2 公开(公告)日 2014-11-12
申请人 カヤバ工業株式会社; 发明人 鈴木 努; 努 鈴木; 大河原 義之; 義之 大河原;
摘要
权利要求
  • 車輪とともに回転するディスクを挟んで摩擦力を付与するキャリパブレーキ装置であって、
    車体に支持されるキャリパ本体と、
    前記キャリパ本体に対して進退し、前記ディスクに摺接して摩擦力を付与可能な制輪子と、
    前記制輪子を支持するガイドプレートと、
    前記ガイドプレートを前記キャリパ本体に進退自在に支持するアンカピンと、
    前記キャリパ本体に対して進退し、前記ガイドプレートを介して前記制輪子を押圧可能なピストンと、
    前記ピストンの背面に当接するとともに前記キャリパ本体内に圧力室を画成し、当該圧力室内の作動流体の圧力によって弾性変形して前記ピストンを移動させる弾性膜と、
    前記ピストンを前記アンカピンに摺動自在に支持するピストンプレートと、を備え、
    前記ピストンは、前記ガイドプレートに向かって先端部が突出するように設けられる複数の小ピストンを有することを特徴とするキャリパブレーキ装置。
  • 前記ピストンは、前記ピストンプレートに支持されるピストン本体を有し、
    前記小ピストンは、前記ピストン本体に基端部が埋め込まれて固定されることを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記小ピストンは、前記制輪子から前記弾性膜への伝熱を抑制する断熱部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記ピストンプレートは、前記アンカピンが挿入される摺動孔を有し、当該アンカピンの軸方向に摺動して、前記ガイドプレートに対して平行移動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記アンカピンは、前記制輪子の両端を支持するように一対設けられ、
    前記摺動孔は、前記ピストンプレートの両端に一対設けられ、各々に前記アンカピンが挿入されることを特徴とする請求項4に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記ピストンプレートは、前記ピストンと一体に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記ピストンが前記制輪子を押圧する制動状態にて、前記ガイドプレートと前記ピストンプレートとの間には隙間が形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記隙間には、制動解除時に前記ガイドプレートから前記ピストンプレートを離間させるように付勢する付勢部材が設けられることを特徴とする請求項7に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 制動解除時に前記ガイドプレートを介して前記制輪子を押し戻し、前記制輪子を前記ディスクから離間させる戻しばねを更に備え、
    前記付勢部材の付勢力は、前記戻しばねの付勢力と比較して小さく設定されることを特徴とする請求項8に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 前記付勢部材は、前記アンカピンの外周形状に対応して環状に形成され当該アンカピンの外周に嵌められる皿ばねであることを特徴とする請求項8又は9に記載のキャリパブレーキ装置。
  • 说明书全文

    本発明は、車輪とともに回転するディスクに摩擦を付与して車輪の回転を制動するキャリパブレーキ装置に関するものである。

    従来から、鉄道車両等の車両には、油圧や空気圧などの流体圧を利用して制動を行う流体圧ブレーキ装置が用いられている。 特許文献1には、流体圧力の変化に伴う押圧弾性膜の変形によって進退するピストンが制輪子をディスクに押圧するキャリパブレーキ装置が開示されている。

    特開2011−236958号公報

    しかしながら、特許文献1に記載のキャリパブレーキ装置では、ピストンは、制輪子が取り付けられるガイドプレートに複数のボルトによって締結されている。 そのため、制輪子とディスクとの当接による摩擦熱が、ガイドプレートからピストンを介して押圧弾性膜に伝達されるおそれがあった。

    本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、制輪子とディスクとの当接による摩擦熱の断熱性を向上することを目的とする。

    本発明は、車輪とともに回転するディスクを挟んで摩擦力を付与するキャリパブレーキ装置であって、車体に支持されるキャリパ本体と、前記キャリパ本体に対して進退し、前記ディスクに摺接して摩擦力を付与可能な制輪子と、前記制輪子を支持するガイドプレートと、前記ガイドプレートを前記キャリパ本体に進退自在に支持するアンカピンと、前記キャリパ本体に対して進退し、前記ガイドプレートを介して前記制輪子を押圧可能なピストンと、前記ピストンの背面に当接するとともに前記キャリパ本体内に圧力室を画成し、当該圧力室内の作動流体の圧力によって弾性変形して前記ピストンを移動させる弾性膜と、前記ピストンを前記アンカピンに摺動自在に支持するピストンプレートと、を備え、前記ピストンは、前記ガイドプレートに向かって先端部が突出するように設けられる複数の小ピストンを有することを特徴とする。

    本発明では、制輪子を支持するガイドプレートとピストンを支持するピストンプレートとが別体に形成される。 ガイドプレートは、アンカピンに支持されて進退し、ピストンプレートは、アンカピンに摺動自在に支持される。 よって、制動状態から非制動状態となったときに、ガイドプレートとピストンとの間に空隙を形成することができる。 したがって、制輪子とディスクとの当接による摩擦熱の断熱性を向上することができる。

    本発明の実施の形態に係るキャリパブレーキ装置の平面図である。

    図1における正面図である。

    図2におけるA−A断面図である。

    (a)は、ピストン及びピストンプレートの正面図であり、(b)は、図4(a)におけるB−B断面図である。

    (a)は、ピストン及びピストンプレートの変形例に係る正面図であり、(b)は、図5(a)におけるC−C断面図である。

    本発明の実施の形態の他の変形例に係るキャリパブレーキ装置の側面の断面図である。

    以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るキャリパブレーキ装置100について説明する。

    まず、図1及び図2を参照して、キャリパブレーキ装置100の全体構成について説明する。

    キャリパブレーキ装置100は、作動流体として圧縮空気が用いられる鉄道車両用の空気圧ブレーキである。 キャリパブレーキ装置100は、支持枠20を介して図示しない台車(車体)に支持されるキャリパ本体10と、キャリパ本体10に対して進退しディスク6に摺接して摩擦力を付与可能な一対の制輪子7と、制輪子7を支持するガイドプレート8と、ガイドプレート8をキャリパ本体10に進退自在に支持する一対のアンカピン43と、制輪子7を圧縮空気の圧力によってディスク6に押圧する押圧機構50とを備える。

    キャリパブレーキ装置100は、車輪5とともに回転するディスク6を挟んで摩擦力を付与するものである。 具体的には、キャリパブレーキ装置100は、ディスク6をその両面から一対の制輪子7で挟持し、ディスク6と制輪子7との間の摩擦力によって車輪5の回転を制動する。

    ディスク6は、車輪5の表裏両面に形成されて車輪5と一体に回転する。 ディスク6を車輪5と一体に形成する構成に代えて、車輪5とともに回転する別体のディスク6を設けてもよい。

    キャリパ本体10は、図1に示すように、ディスク6に跨るようにして延びる第一キャリパアーム12及び第二キャリパアーム14と、第一キャリパアーム12と第二キャリパアーム14とを結ぶヨーク部13と、キャリパ本体10を台車上に支持するための一対のブラケット部15とを備える。

    キャリパ本体10は、図2に示すように、上スライドピン30と下スライドピン32とによって支持枠20に対して摺動可能にフローティング支持される。 これにより、キャリパ本体10は、台車に対する車輪5の軸方向への相対移動に追従し、制輪子7が車輪5のディスク6に対して平行に対峙することとなる。

    上スライドピン30と下スライドピン32とは、支持枠20を貫通して設けられる。 上スライドピン30と下スライドピン32との両端部は、キャリパ本体10のブラケット部15に各々連結される。 キャリパ本体10は、上スライドピン30と下スライドピン32との軸方向への相対移動が可能なように支持枠20に支持される。 上スライドピン30と下スライドピン32との露出部は、図1に示すように、ゴム製のブーツ34によって覆われ、ダスト等から保護されている。

    制輪子7は、押圧機構50による押圧力を受け、ディスク6に平行に当接して押圧される。 制輪子7は、車輪5とともに回転するディスク6に当接するライニング9を有する。 制輪子7のライニング9が設けられる面と反対側の背面は、ガイドプレート8に固定される。 制輪子7は、ライニング9とディスク6との当接によって発生する摩擦力によって、車輪5の回転を制動する。

    ガイドプレート8は、長手方向に沿って形成され制輪子7の背面が係合するアリ溝8aを有する。 ガイドプレート8は、長手方向の両端部が、一対のアンカピン43によってキャリパ本体10に支持される。 このアンカピン43を有するアジャスタ40については、あとで図3を参照しながら詳細に説明する。

    次に、図3及び図4を参照して、キャリパ本体10の内部構造について説明する。

    図3に示すように、キャリパ本体10には、長手方向の両端部に配置される一対のアジャスタ40と、一対のアジャスタ40の間に配置される押圧機構50とが設けられる。

    アジャスタ40は、ディスク6に対する制輪子7の初期位置を調節するものである。 アジャスタ40は、アンカボルト42によってキャリパ本体10の上下端部にそれぞれ締結される。

    アジャスタ40は、アンカボルト42によってキャリパ本体10に固定される制輪子受41と、制輪子受41に対して進退可能に設けられて制輪子7をキャリパ本体10に支持するアンカピン43と、制輪子7をディスク6から離間する方向に付勢する戻しばね44と、制動解除時に制輪子7とディスク6との隙間を一定に調整する隙間調整機構45とを備える。

    アンカピン43は、略有底円筒状に形成される。 アンカピン43は、制輪子7の両端を支持するように一対設けられる。 アンカピン43は、ガイドプレート8に係合する鍔部43bを有する。 アンカピン43は、その底部43aが制輪子受41から突出して設けられ、鍔部43bがガイドプレート8の両端部に嵌まることによって、制輪子7を支持する。

    アンカピン43は、制輪子7がディスク6に近接する際に、制輪子7とともに変位するガイドプレート8によって制輪子受41から引き出されて軸方向に変位する。 アンカピン43は、制輪子7がディスク6に摺接する制動時に、摩擦力によってディスク6が制輪子7を周方向に移動させようとするのに抗して、制輪子7を保持する。

    アンカピン43の内周には、戻しばね44と隙間調整機構45とが収装される。 アンカピン43において摺動時に外部に露出する摺動部は、ゴム製のブーツ47によって覆われ、ダスト等から保護されている。

    戻しばね44は、アンカピン43の内周に圧縮して介装されるコイルばねである。 戻しばね44は、制動状態から非制動状態になったときに、その付勢力によってアンカピン43の鍔部43bがガイドプレート8を介して制輪子7を押し戻し、制輪子7をディスク6から所定の距離だけ離間させるものである。 これにより、制動解除時における制輪子7とディスク6との距離を調整して、ディスク6の放熱性を良好にすることができる。

    隙間調整機構45は、制動解除時における戻しばね44の付勢力による制輪子7の戻し量が常に一定となるように調整する。 つまり、隙間調整機構45は、制動解除時における制輪子7とディスク6の間隔を常に一定に保つものである。

    押圧機構50は、キャリパ本体10に形成されるシリンダ51と、シリンダ51に対して進退してガイドプレート8を介して制輪子7を押圧可能なピストン52と、ピストン52の背面52cに当接するとともにキャリパ本体10内に圧力室55を画成し、圧力室55内の圧縮空気の圧力によって弾性変形してピストン52を移動させる弾性膜としてのダイヤフラム53と、ピストン52をアンカピン43に摺動自在に支持するピストンプレート58とを備える。

    押圧機構50は、圧力室55における空気圧を調整することでダイヤフラム53を変形させ、ダイヤフラム53の変形によってピストン52をシリンダ51に対して進退させるものである。 押圧機構50は、ピストン52をシリンダ51から退出させることによって、ガイドプレート8を介して制輪子7をディスク6に押圧するものである。

    シリンダ51は、内周をピストン52が進退するシリンダ本体51aと、シリンダ本体51aとの間にダイヤフラム53を挟み込んで固定し、シリンダ本体51aの背面を閉塞して圧力室55を画成するキャリパカバー54とを備える。

    シリンダ本体51aは、ピストン52の周囲を環状に囲むような楕円形の筒状に形成される。 シリンダ本体51aの内周には、ピストン52の外周面に摺接してダスト等から保護するダストシール51bが設けられる。

    キャリパカバー54は、シリンダ本体51aに対応する楕円形に形成される板材である。 キャリパカバー54は、複数のボルト54aによってシリンダ本体51aの端面に固定される。

    ダイヤフラム53は、圧力室55内の圧力によって弾性変形してピストン52を移動させるものである。 ダイヤフラム53は、最外周を形成する周縁部53aと、最内周に形成される押圧部53cと、周縁部53aと押圧部53cとの間に連続して形成されるベローズ部53bとを有する。

    周縁部53aは、シリンダ本体51aとキャリパカバー54との間に挟まれて固定される。 このとき、周縁部53aがパッキンの役割を果たすため、圧力室55の気密性が確保される。

    ベローズ部53bは、シリンダ本体51aの内周面とピストン52の外周面との間に位置する。 ベローズ部53bは、圧力室55の圧力が上昇すると折りたたまれた状態(図3の状態)から伸長し、圧力室55の圧力が下降すると折りたたまれた状態に戻る。 つまり、ベローズ部53bは、圧力室55に供給される空気圧によって、折りたたまれた状態と伸長した状態とに変形可能である。

    押圧部53cは、ピストン52と当接しており、折りたたまれていたベローズ部53bが伸長することによってピストン52の退出方向に変位する。 押圧部53cが変位することによって、ピストン52は押圧されてシリンダ51内を移動する。

    圧力室55は、シリンダ51の内部に、ダイヤフラム53とキャリパカバー54とによって画成される。 圧力室55は、その容積の拡縮に伴って、ピストン52を進退させる。 圧力室55には、通孔56(図2参照)が設けられる。 制動時にダイヤフラム53を変形させるための圧縮空気は、外部の空気圧源から通孔56を通じて供給される。

    ピストン52は、ガイドプレート8の背面に当接する。 ピストン52は、ダイヤフラム53によってシリンダ51内に保持される。

    ピストン52は、図4に示すように、惰円柱状に形成されるピストン本体52aと、前面52bからガイドプレート8に向かって先端部が突出するように設けられる複数の小ピストンとしての断熱部材59とを有する。

    ピストン本体52aは、ガイドプレート8に臨む前面52bと、前面52bの反対側に形成されダイヤフラム53と当接する背面52cとを有する。 ピストン本体52aは、ピストンプレート58と一体に形成されて支持される。

    ピストン52は、ピストン本体52aの背面52cに当接するダイヤフラム53の変形によってシリンダ51内を進退する。 このように、ダイヤフラム53は、楕円形に形成される背面52cの全面を押圧するため、断熱部材59を直接押圧する場合と比較して押圧効率を向上できる。

    断熱部材59は、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱が、ピストン本体52aを通じてダイヤフラム53に伝達されるのを抑制するものである。 本実施の形態では、21個の断熱部材59が設けられる。

    断熱部材59は、円柱状に形成され、基端部がピストン本体52aに埋め込まれて固定される。 断熱部材59をピストン本体52aに埋め込むのではなく、ピストン本体52aの前面52bに貼り付けるなどして固定してもよい。 断熱部材59がピストン本体52aに固定されることで、押圧されたときに断熱部材59が傾動することがないため、押圧効率を向上できる。

    断熱部材59は、ピストン本体52aと比較して熱伝導性の低い材質で形成される。 断熱部材59が設けられることで、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱のピストン52への伝達を抑制することができる。

    また、複数の断熱部材59がガイドプレート8と当接することで、ダイヤフラム53の変形による押圧力を伝達可能な面積が増加するとともに、摩擦熱などに起因するディスク6の変形への制輪子7の追従性を向上できる。

    なお、図5に示すように、大径の断熱部材59を二つ設けてもよい。 このように、断熱部材59の個数は複数であればいくつであってもよい。

    ピストンプレート58は、図3に示すように、ガイドプレート8と平行に設けられる板材である。 ピストンプレート58は、その端面がピストン本体52aの前面52bと面一となるように設けられる。

    ピストンプレート58は、ピストン52とともに変位して、ガイドプレート8に対して平行移動する。 ピストンプレート58は、制動時にはガイドプレート8に近接し、制動解除時にはガイドプレート8から離間する。 ピストンプレート58はピストン52と一体に形成されるが、ピストンプレート58をピストン52と別体に形成し、ピストン52をピストンプレート58に固定して用いてもよい。

    ピストンプレート58は、長手方向の両端に、アンカピン43が挿入される一対の摺動孔58aを有する。 ピストンプレート58は、各々の摺動孔58aに挿入されるアンカピン43に係合し、アンカピン43の軸方向に摺動自在に設けられる。 ピストンプレート58は、両端の摺動孔58aがアンカピン43に係合することで、シリンダ51内におけるピストン52の位置を規定する。

    一対の摺動孔58aのうち上側の一方は円形の孔状に形成され、下側の他方は切欠状に形成される。 これにより、一方の摺動孔58aにアンカピン43を挿入した後、他方の摺動孔58aの下方からアンカピン43を嵌めることで、ピストンプレート58をキャリパ本体10に取り付けることができる。 よって、ピストンプレート58のキャリパ本体10への取り付け性を良好にできる。

    ピストン52が制輪子7を押圧する制動状態にて、ガイドプレート8とピストンプレート58との間には隙間57が形成される。 この隙間57が形成されることによって、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱がガイドプレート8からピストンプレート58に直接伝達されることが防止される。

    次に、主に図3を参照して、キャリパブレーキ装置100の作用について説明する。

    鉄道車両の走行時には、車輪5は高速で回転している。 ここで、運転士の操作等によってキャリパブレーキ装置100が制動状態に切り換えられると、空気圧源から供給される圧縮空気が、通孔56を介して圧力室55内に送られ、ダイヤフラム53を変形させる。 すると、ダイヤフラム53のベローズ部53bが伸長して、押圧部53cがピストン52をディスク6方向へ摺動させる。

    ダイヤフラム53の押圧部53cは、車輪5方向へ変位し、ピストン52を介して制輪子7を車輪5に設けられたディスク6に押圧する。 ダイヤフラム53によって押圧された制輪子7とディスク6とが当接して摩擦力が発生すると、車輪5の回転は制動される。 これにより、鉄道車両は、速度が低下してやがて停止することとなる。

    このとき、ピストン52は、前面52bから先端部が突出する断熱部材59がガイドプレート8と当接している。 そのため、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱のピストン52への伝達、即ちダイヤフラム53への伝達が抑制される。

    また、キャリパブレーキ装置100が制動状態に切り換えられると、ディスク6は制輪子7との間の摩擦熱によって熱変形を生じるが、ピストン52は複数の断熱部材59を有するため、ディスク6の熱変形に追従して均等な押圧力で制輪子7を押圧することができる。 よって、安定した制動を行うことが可能である。

    運転士の操作等によってキャリパブレーキ装置100による車輪5の制動が解除されると、アジャスタ40内部に設けられた戻しばね44の復元力によって、制輪子7はディスク6に当接した状態から離間する。 また、圧力室55内の圧縮空気は通孔56から排出されて、ダイヤフラム53のベローズ部53bは制動前の折りたたまれた形状に戻り、押圧部53cは制動前の位置に戻る。 すると、ピストン52も制動前の位置に戻る。

    これにより、ディスク6と制輪子7とは隙間調整機構45によって再び一定の間隔をもって対峙することとなる。 よって、車輪5は、キャリパブレーキ装置100の影響を受けることなく回転することが可能となる。

    このとき、戻しばね44の復元力によってガイドプレート8がディスク6から引き離されるのに伴い、ピストン52は、その慣性力によってディスク6から更に引き離されることとなる。 よって、キャリパブレーキ装置100が制動状態から非制動状態となったときに、ガイドプレート8と断熱部材59との間、即ち、ガイドプレート8とピストン52との間に空隙を形成することができる。 したがって、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱の断熱性を向上することができ、ダイヤフラム53を高熱から保護することができる。

    なお、図6に示す変形例のように、ガイドプレート8とピストンプレート58との間の隙間57に、制動解除時にガイドプレート8からピストンプレート58を離間させるように付勢する付勢部材としての皿ばね60を設けてもよい。

    皿ばね60は、アンカピン43の外周形状に対応して環状に形成される。 皿ばね60は、アンカピン43の外周に嵌めて用いられる。 皿ばね60に代えて、コイルばね等を付勢部材として用いてもよい。

    この場合、キャリパブレーキ装置100の制動解除時には、皿ばね60が、その付勢力によってピストンプレート58をガイドプレート8から強制的に離間させる。 よって、ガイドプレート8とピストン52との間に形成される空隙を大きくすることができる。 したがって、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱の断熱性を更に向上することができる。

    皿ばね60の付勢力は、戻しばね44の付勢力と比較して小さく設定される。 そのため、キャリパブレーキ装置100の制動開始時には、まず、皿ばね60が圧縮されてピストン52の断熱部材59がガイドプレート8に当接し、その後、ピストン52が更にストロークすると、戻しばね44が圧縮されて制輪子7がディスク6に当接することとなる。

    一方、キャリパブレーキ装置100の制動解除時には、まず、戻しばね44が制動開始時の長さに戻って制輪子7がディスク6から離間し、その後、皿ばね60が制動開始時の長さに戻ってガイドプレート8からピストンプレート58を離間させることとなる。

    以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。

    制輪子7を支持するガイドプレート8とピストン52を支持するピストンプレート58とは、別体に形成される。 そして、ガイドプレート8は、アンカピン43に支持されて進退し、ピストンプレート58は、アンカピン43に摺動自在に支持される。 よって、制動状態から非制動状態となったときに、ガイドプレート8とピストン52との間に空隙を形成することができる。 したがって、制輪子7とディスク6との当接による摩擦熱の断熱性を向上することができ、ダイヤフラム53を高熱から保護することができる。

    また、キャリパブレーキ装置100が制動状態に切り換えられると、ディスク6は制輪子7との間の摩擦熱によって熱変形を生じるが、ピストン52は複数の断熱部材59を有するため、ディスク6の熱変形に追従して均等な押圧力で制輪子7を押圧することができる。 よって、安定した制動を行うことが可能である。

    本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。

    100 キャリパブレーキ装置5 車輪6 ディスク7 制輪子8 ガイドプレート10 キャリパ本体40 アジャスタ41 制輪子受43 アンカピン44 戻しばね50 押圧機構51 シリンダ52 ピストン53 ダイヤフラム(弾性膜)
    54 キャリパカバー55 圧力室57 隙間58 ピストンプレート58a 摺動孔59 断熱部材(小ピストン)
    60 皿ばね(付勢部材)

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