【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、利用者のための出入りのできる車室内に設けられている便器と洗面器およびごみ処理シュートが連なっている副次装置(鏡、タオルかけ、せっけん供給器等)のような他の衛生装置および適当な利用者通路とを備えた様式の、特に鉄道車両用便所システムに関する。 【0002】 【従来の技術】日本国実開昭平1−119748号により、規格化された寸法の車室を備えており、かつ一つで或いは互いに結合された多数の便所を公衆便所として使用するために構成された便所システムが知られている。 この車室内には異種の衛生装置が異なった場所に内蔵されている。 しかし、車室自体の大きさ、様式および立体的な分室のためのバリエーションの可能性は極めて限られており、従って常に一定の車室のタイプみが形成可能であるに過ぎない。 鉄道車両或いは他の車両への内蔵には、および体の不自由な乗客用便所としての使用にはこのシステムによる便所は適していない。 【0003】日本国特開平4第135965号から、鉄道車両用の車椅子に乗った乗客のために使用される便所が開示されている。 この構造では、車椅子に乗った乗客は、車内に出入りする際、衛生装置を利用する際およびこの便所を去る際に、狭い空間で複雑な旋回運動をおこなわなければならない。 便器に接近するには、利用者が便器方向に向かって座った位置になるように、車椅子を旋回しなければならない。 しかし、この位置からの利用は概して困難である。 更に、この便所の車室はある定まった鉄道車両に適合されるように正確に長方形に構成されている。 便所の室空域の個々の構造部分は、この個々の使用の場合のために寸法が設定されている。 便所を他の目的のための使用、或いは他の立体的な配設(例えば90°の回転或いは鏡像対称的な配設での構成)での使用、或いは健康な乗客のために小型化する必要がある場合、この公知の構造の衛生装置および他の小さな内部構造部分のみが構造的に再び使用可能であるに過ぎない。 比較的大きな構造部分(例えば壁モジュール)は新しく造らなければならず、その際元の構造部分の製造のための既存の装置(例えば壁部分、床、装飾内張りのための深絞り型)の使用はできず、新しく造らなければならない。 【0004】異なった機能装備を備えた多数の部分セクションから成る長距離列車用の衛生設備の構成は知られている。 この構成にあっては、個々のセクションが本質的にガラス繊維で強化された不飽和ポリエステル/GP から造られている(このことに関しては雑誌“Schienen fahrzeuge",2/1985,69〜71頁所載の論文“Moderne Sani taereinrichtungen fuer Reisewagen"を参照されたい。)この長距離列車に使用される衛生設備にあっては、衛生空域自体の立体的な構成が種々雑多な衛生設備用品の配設に適した構造になっていないという欠点がある。 【0005】モジュール構造様式をないしていると言う理由から、事故が発生した際個々の部品を迅速に交換することが可能ではあるが、鉄道車両自体内で便所システムの形態と配設を自在に変形することは不可能である。 更に、衛生帯域は健康な乗客用として構成されているのが普通である(車椅子に載った乗客のための不十分な場所しかとれず、左側および右側に障害を持っている乗客の運動が限られていることに対する配慮が成されておらず、また洗面設備にも腰をかがめなければならない等の不利な点がある)。 【0006】更に、上記の雑誌の"Toilettenanlagen fu er Schinenfahrzeuge des Hochgeschwindigkeitsverkeh rs" 、ドイツ連邦共和国国有鉄道発行−3/1988 年、241〜247頁に所載の論文から或る衛生設備が公知になっているが、この衛生設備は高速交通のあらゆる要件に迎合しており(一体化されたシステム)、それらに場所上の制約があるにもかかわらず良好な易清掃性と消毒可能性とを備えているが、しかしこの衛生設備にあっても形態の変更自体は不可能である(ユニット型衛生設備と称される)。 この衛生設備は鉄道車両の一定タイプにはよく、このタイプにのみ使用可能である。 障害者のための形態と装備はこのタイプの衛生設備においても不可能である。 【0007】雑誌"Neue Doppelstockwagen aus dem Wag gonbau Goerlitz",ZEV+Det Glasers Annalen 117(199 3),Nr.5,140〜148 、特に第5図から、洗面設備を備えた体の不自由な乗客のための衛生設備が公知であり、この衛生設備は体の不自由な乗客の限られた運動可能性が著しく考慮されている(室空域内での大きな運動自由性、車椅子での洗面設備への接近が可能であり、支え棒が設けられている)。 【0008】しかし、この公知の構成にあっは、左側の障害と右側の障害との形態の相違は認識されていない。 洗面設備は、上記した他の全ての構成におけると同様に、角偶に押しやられている。 基本一モジュール構造は或るタイプの衛生設備のためのものである(重度体の不自由な乗客用便所)。 構造自体の変形も、また鉄道車両における異なった変形での配設も不可能である。 【0009】 【発明が解決使用とする課題】特許請求の範囲の請求項1に記載の発明の根底をなす課題は、利用者のための出入りのできる車室内に設けられている便器と洗面器およびごみ処理シュートが連なっている副次装置(鏡、タオルかけ、せっけん供給器等)のような他の衛生設備および適当な利用者通路とを備えた様式の、モジュール構造をベースとして異なる利用者圏(男性の、および女性の体の不自由な乗客も車椅子利用者も、健康な乗客も)考慮されており、かつ色々な領域で自在に変形して使用可能であり、その際使用領域として鉄道車両、船、路面鉄道車両および都市区域内での便所システムが挙げられるが、特に鉄道車両用便所を提供することである。 【0010】 【発明を解決するための手段】上記の課題は本発明により、−便所が中央横線に対して対称的に形成されていること、−便所の停止領域が一方において便所の利用者が出入りする側の壁によって、そして他方にあっては円弧周面によって区画されていること、−上記の円弧周面の回転中央が便所の中央横線とこの中央横線に対して対角線状にかつ便所の利用者が出入りする側の壁の近傍を走る中央縦線との間の交点と一致し、かつこの交点が便器の位置を決定するように構成されていること、−便所の利用者出入りする側の壁が円弧周面内に形成されており、終端側で円弧軌跡上に設けられている二つの入口扉を有していること、−利用者が出入りする側と反対側の壁内に窓壁が設けられていること、−副次装置が所属している洗面設備が停止領域、利用者が出入りする側と反対側の壁と二つの他方の壁間に存在している便所の角偶領域内に設けられていること、−便所の上記の特徴が示す基礎構造を基として、中央横線に沿った或いはその傍らを走る分割継ぎ目線に沿った分割により、分割便所がそれぞれ一つの入口扉並びに副次装置が所属している洗面設備とを備えたより小さな構造単位として構成可能であり、単独で或いは組合せで構築可能であり、隔壁或いは移動間仕切りによって区画可能に構成されていること、により解決される。 【0011】本発明による他の構成は請求項2から5に記載した。 便所システムから成る基本構造は、請求項2 による体の不自由な乗客のための便所として、二倍の出入り可能なことから、左側並びに右側が不自由な乗客のために同じように出入り可能である。 体の不自由な乗客用便所としての二つの分割便所を使用する場合、特許請求の範囲の請求項3による便器の配設のための基点は同様に中央縦線と中央横線から形成された交点であり、この際通路側に相応して左側か或いは右側が不自由な乗客のための利用が保証される。 【0012】健康な乗客の便所として分割便所を使用する際は、特許請求の範囲の請求項4に記載の構成から、 二つの分割便所が形状一体的に互いに結合されており、 これらの分割便所は仕切り壁によりそれぞれ閉じられてそれぞれ室空域が形成されている。 特許請求の範囲の請求項4により、便所は健康な乗客のための便所として分割便所を使用する際、この分割便所が一体的に結合されており、これらの分割便所は仕切り壁により立体的に互いに閉鎖されている。 各々の分割便所は相応する衛生装置を有しており、従って車室を同じく延長した場合、例えば長距離用車両内で男性の乗客も、女性の乗客も同じような広さの空域で別々に利用することが可能である。 【0013】特許請求の範囲の請求項5により、分割便所の使用は、健康な乗客のための便所として右側或いは左側に自在に変形可能である。 便所システムの基本構造の中央横線での分割による同じ空域形態および設備形態を変形せずに、かつこれらの領域のための移動間仕切りを使用して、極めて狭い空域での便所の使用を自在に造ることが可能である。 【0014】本発明により達せられる利点は特に、便所システムのモジュール構造による構成によって達せられる。 便所システムの基本構造の分割により、例えば二つの鏡像対称的に等しい積み木状の空域半部分から形成される便所を形成することが可能である。 便所の形状で特異な点は、室空域を形成するモジュール(例えば洗面装置を有する角偶内の壁モジュール、固定壁を備えた壁モジュール、扉領域内の壁モジュール、円弧形の入口扉、 配管シュートを備えた壁モジュール、天井モジュールおよび停止領域I内と停止部分領域II内の床モジュール)が熱可塑性(リサイクル可能な)材料を使用して深絞り方法でも造ることが可能であることである。 【0015】障害者のための基本変形(便器の左側および右側へと握り棒の場所を変えることが可能である)を基として、最適な利用状態が左側に障害を有している乗客或いは右側に障害を有している乗客も使用し得るように分割便所を構成することが可能である。 この鏡像対称的なシステムは健康な乗客のための便所として使用することも可能である。 中央仕切り壁を備えた二重便所を使用することにより、この便所は両性にとって別個に利用することが可能とである。 鉄道車両、例えば長距離列車において、適当な中央分割により左側の配設も、右側の配設も可能となる。 【0016】このモジュール構造要素の便所システムは鉄道車両に使用可能であるばかりでなく、一般的な交通手段の車両にも、また都市の公共施設における便所システムとしても使用することが可能である。 以下に添付した図面に示した実施例につき本発明を詳細に説明する。 【0017】 【実施例】図1と図3は、平面図で示したモジュラール構造要素としての便所システムの一例を示したもので、 これらの例示した構造は更に変形可能である(図2、図3、図5および図6参照)。 図1は変形のための基本となる構造を示したものであり、この変形のための基本となる構造から一定な構造上の条件を守って色々な様式の変形が可能であり、この基本となる構造の使用度合いは種々の利用者の形態に適合可能である。 図1に示すように、便所1は分割便所1′と1″とから形成されている。その際、停止領域2は、中心縦線MLにより異なった大きさの停止領域2aと停止領域2bに分割され,その際中心縦線MLの対称軸線と中心横線MQとの交点は便器5の位置を示している。その際、基本構造は中心横線MQ上に存在している分割線目T 1により、他方ではそれぞれこの分割線の左側および右側に存在している他方の分割線(T 2とT 3 )により自在に異なる大きさの分割便所1或いは1′から分割便所1′或いは1″(図1と図2および図3;および図5および図6参照)に形成することが可能である。 握り棒8は体の不自由な乗客による利用を容易にする。 分割線T 1 ,T 2 ,T 3は、 位置記号1,1′1″によって示されている選択された所望の便所システムの領域内に存在している。 【0018】その際、便所システムのどれも移動間仕切り10或いは仕切り壁9を設けることにより構造がより確実になる。 その際、便器5に所属している副次装置を備えた洗面設備7の位置は、窓壁3にまで到達している大きな停止部分領域2aの円弧2a′と便所の境を接している壁との間の角偶によって定まる。 【0019】小さな停止部分領域2bの円弧周面2b′ により定まって、中央の分割線T 1により或いはその右側および左側でその傍らに存在している存在している分割線T 2とT 3により形成された各々の分割便所1′と1″は円弧上に設けられている入口扉4を備えている。 図1による変形のための基本となる構造は、空間的にも、また大きさの点でも、右側におよび左側に障害を持つ車椅子利用者が(左側および右側から入口扉4を通って)便所システムに接近可能であるように構成されている。 配管シュート6は便所への給水およびごみ処理を可能にする。 【0020】図2と図3は右側におよび左側に障害を持つ人の利用のための分割便所1′と1″の形成を示している。握り棒8は分割継ぎ目T 2とT 3に達するまでの側方での移動可能性を有しており、分割継ぎ目T 2とT 3の領域は同時に、分割便所として使用した際の移動間仕切り10の位置である。 右側におよび左側に障害を持つ人の利用のための便器5の配設のための基点は中央縦線MLと中央横線MQとの交点Mによって定まる。 入口4はその際固定されたタイプの便所として右側もしくは左側に設けられている。 【0021】図4に示した変形された便所1は障害のない乗客が使用するための便所である。 両分割便所1′と1″は一体的にに互いに結合されており、仕切り壁9によりそれぞれ閉じられて一つの空域が形成されている。 各々の分割便所1′と1″は便器5と洗面設備7とを備えており、これらの位置は中央横線MQの両側に存在している分割継ぎ目T 2とT 3の中央縦線MLとの交点M 1の位置によって定まる。 各々の分割便所1′と1″は共通の配管兼ごみ処理シュート6に接続されている。従って、この分割されたタイプの便所は男性および女性の個別の利用を可能にする。図5と図6はそれぞれ、同じ大きさの空域形態とと設備形態をそのままとした障害のない乗客の右側および左側使用のための変形した構造を示しており、その際分割便所を造るための基本構造の分割は直接中央横線MQに沿って行われている。各々の分割便所1′と1″は移動間仕切り10の使用により形成される。 【0022】図7から11は、本発明により異なった様式で構成された便所1の鉄道車両11への配設と位置とを示している。 のものである。 この構造にあっては入口扉は鉄道車両の中央通路を指向している。 図8は左側に障害を持つ人の利用のための分割便所1′の配設である。 この際入口扉は同様に鉄道車両の中央通路を指向している。 【0023】図9は図3による男性および女性の障害のない乗客が別個に使用するための便所1の配設である。 左側および右側での入口扉の配設は同様に鉄道車両の中央通路を指向している。 図10は、図5による分割便所1′の左側での配設を示している。 その際、入口扉の配設は同様に鉄道車両の中央通路を指向している。 【0024】図11は図6に相当する分割便所1″の配設を示しているが、この分割便所は90°だけ右側に旋回されており、従って便所への入口扉は車室への階段内に存在している。 【0025】 【発明の効果】上記のような本発明による便所システムにより、両性が同時に使用可能な分割便所が、また体の不自由な乗客にとっても使用容易な便所が場所をとることなくあらゆる交通手段の車両内におよび都市における衛生設備帯域に構築することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】モジュール構造要素の便所システムの原理を体の不自由な乗客のための便所システムに適用した例の平面図である。 【図2】図1による右側におよび左側に障害を持つ人の利用のための分割便所を示した図である。 【図3】図1による右側におよび左側に障害を持つ人の利用のための分割便所を示した図である。 【図4】モジュール構造要素の便所システムの原理を男性および女性の利用者が別個に利用するための、共通の配管シュートを備えた便所システムに適用した例の図である。 【図5】図3による障害のない乗客の使用のための右側および左側での配設のモジュール構造要素の便所システムを示す図である。 【図6】図3による障害のない乗客の使用のための右側および左側での配設のモジュール構造要素の便所システムを示す図である。 【図7】図1によるモジュール構造要素の便所システムの中央通路に指向した入口扉を備えた鉄道車両に配設した図である。 【図8】図2によるモジュール構造様式の分割便所の左側に障害を持つ人のための、中央通路に指向した入口扉を備えた鉄道車両に配設した図である。 【図9】図3による便所の鉄道車両に配設した図である。 【図10】図4による分割便所の中央通路に対して左側に設けられている入口扉を備えた鉄道車両に配設した図である。 【図11】図4による分割便所の図8の実施例に対して右側に90°だけ旋回させて鉄道車両に配設した図である。 【符号の説明】 1 便所 1′ 分割便所 1″ 分割便所 2 停止領域 2a 停止部分領域 2b 停止部分領域 2a′ 大きな基本構造体の円弧周域 2b″ 小さな基本構造体の円弧周面 3 固定壁 4 入口扉 5 便器 6 配管シュータ 7 洗面設備 8 側方握り棒 9 仕切り壁 10 移動間仕切り 11 鉄道車両 T 1分割線 T 2分割線 T 3分割線 ML 中央縦線 MQ 中央横線 M MLとMQとの交点 M 1 MLとT 3もしくはT 2との交点 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−135965(JP,A) 実開 平1−119748(JP,U) |