変換装置及びこれを搭載した鉄道車両

申请号 JP2013144102 申请日 2013-07-10 公开(公告)号 JP6097648B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 株式会社日立製作所; 发明人 安田 陽介; 舟越 砂穂; 田中 健; 寺門 秀一;
摘要
权利要求

変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、 前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合され、 前記半導体素子は、冷却風流れ方向に3箇所設置された電力変換装置において、 前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に風上領域、中流領域、風下領域と定義した際に、風上領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.33〜0.42倍、中流領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.42〜0.63倍の範囲にあり、 通風路を構成する天板と前記冷却器との隙間の空間に、冷却風の流れと直交する向きに配置される風漏れ防止板を備え、 当該風漏れ防止板と最上段の放熱フィンとの隙間が、前記複数のヒートパイプの放熱部の先端と前記最上段の放熱フィンとの隙間より小さくなるように、前記風漏れ防止板が構成されていることを特徴とする電力変換装置。電力変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、 前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合され、 前記半導体素子は、冷却風流れ方向に2箇所設置された電力変換装置において、 前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に風上領域、風下領域と定義した際に、風上領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.54〜0.73倍の範囲にあり、 通風路を構成する天板と前記冷却器との隙間の空間に、冷却風の流れと直交する向きに配置される風漏れ防止板を備え、 当該風漏れ防止板と最上段の放熱フィンとの隙間が、前記複数のヒートパイプの放熱部の先端と前記最上段の放熱フィンとの隙間より小さくなるように、前記風漏れ防止板が構成されていることを特徴とする電力変換装置。電力変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、 前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合され、 前記半導体素子は、冷却風流れ方向に4箇所設置された電力変換装置において、 前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に最風上領域、風上領域、風下領域、最風下領域と定義した際に、最風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.21〜0.42倍、風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.25〜0.63倍、風下領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.42〜0.73倍の範囲にあり、 通風路を構成する天板と前記冷却器との隙間の空間に、冷却風の流れと直交する向きに配置される風漏れ防止板を備え、 当該風漏れ防止板と最上段の放熱フィンとの隙間が、前記複数のヒートパイプの放熱部の先端と前記最上段の放熱フィンとの隙間より小さくなるように、前記風漏れ防止板が構成されていることを特徴とする電力変換装置。請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置を客室の床下に搭載したことを特徴とする鉄道車両。

说明书全文

本発明は、電変換装置に関し、特に電気鉄道車両向けの電力変換装置に関するものである。

電気鉄道車両には、車両を駆動する電動機を制御するために、コンバータやインバータ等の電力変換装置が搭載される。これらの電力変換装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やGTO(Gate Turn Off Thyristor)等の半導体素子により高周波でスイッチングを行うことで電力変換を行う。

半導体素子においては、通電時およびスイッチング時に熱が発生し、この熱により半導体素子が高温になると、変換効率の低下や素子破壊が懸念されるため、半導体素子を所定の温度範囲になるように冷却する必要がある。電力変換装置は主に搭載スペースの限られた車両床下等に搭載されるため、小型軽量な装置構成で複数個の半導体素子を効率良く冷却するために、冷却器が設置される。

この冷却器に冷却風を供給する際に、冷却風は風上側に設置された半導体素子からの熱を受け取ることで風下側に向かうに従って温度が上昇する。それに伴って、風下側の半導体素子の温度が高くなる傾向がある。そのため、半導体素子を効率良く冷却するためには、半導体素子の温度が均一となるように冷却器を構成する必要がある。

冷却器の構成部品として、ヒートパイプがよく用いられる。ヒートパイプは内部に純等の冷媒を封入しており、受熱部で冷媒を沸騰させて放熱部へ熱を輸送し、放熱部で冷媒を凝縮させて受熱部に還流させるサイクルにより、熱を効率良く輸送するデバイスである。このヒートパイプと放熱フィンの組み合わせにより、温度の均一化をはかった冷却器として、特許文献1に示すようなものが知られている。冷却器は、ほぼ垂直方向に設置され大気への自然空冷により放熱する複数枚の放熱フィンと、複数個の半導体素子が取り付けられた1個の受熱ブロックと、放熱フィンと受熱ブロックを接続する複数本のヒートパイプで構成される。複数本のヒートパイプは、その沸騰部側が凝縮部よりも下方となるように水平より傾けて設置され、複数枚の放熱フィンは、下側の放熱フィンよりも上側の放熱フィンの間隔が小さくなるように設置され、また、下側の放熱フィンよりも上側の放熱フィンの方が枚数を多く設置される。

一方、特許文献2に示すような冷却器も知られている。冷却器は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、受熱ブロックの表面に立設された複数のヒートパイプと、ヒートパイプへ取り付けられたフィンを複数有する放熱フィン群で構成され、受熱ブロックと平行な方向に冷却風が流れる。放熱フィン群は、冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、複数の放熱フィン群のうち、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きく、複数の放熱フィン群の群間隙の位置は、放熱フィン群を風上から風下まで複数の一枚板のフィンで形成した1つの放熱フィン群とした場合に、当該1つの放熱フィン群のフィン表面の風上と風下の温度差を、複数の放熱フィン群の数で等分に分割する、当該1つの放熱フィン群の放熱フィンの表面温度の位置としている。

特開2000−161880

特許第4948625号

特許文献1に記載の冷却器では、上側、すなわち風下側のフィンピッチを小さくし、枚数を多くしているが、この構成では、風上側、風下側の各々の放熱フィン面積が最適ではないため、各々の半導体素子の温度が均一にはならず、冷却効率が悪いという課題がある。

また、特許文献2に記載の冷却器では、例えば放熱フィン群を3つに分割した場合には、風上側フィンと中流フィンの分割点、および中流フィンと風下フィンの分割点は、フィンを冷却風流れ方向に3等分する位置よりも風上側になる、すなわち放熱フィンのピッチが小さく枚数の多い風下側フィンの占める領域が広くなるため、冷却器が重くなるという課題がある。さらに、特許文献2に記載の構成は、特定のフィンピッチにおいて効果を得られるものであり、フィンピッチを変更した場合には温度を均一にすることができないという課題もある。さらに、風上、中流、風下のフィンは同一形状ではないため、製造コストが高くなるという課題もある。

本発明は、半導体素子の構成に適した放熱フィン構成を組み合わせることで、半導体素子の温度を均一化し、軽量な装置構成で半導体素子を効率良く冷却することができる電力変換装置を提供することを目的とする。

前記の課題を解決する第1の発明における電力変換装置は、電力変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合される冷却器において、前記半導体素子は、冷却風流れ方向に3箇所設置された電力変換装置において、前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に風上領域、中流領域、風下領域と定義した際に、風上領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.33〜0.42倍、中流領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.42〜0.63倍の範囲にあることを特徴とする。

第2の発明における電力変換装置は、電力変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合され、前記半導体素子は、冷却風流れ方向に2箇所設置された電力変換装置において、前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に風上領域、風下領域と定義した際に、風上領域の放熱フィン表面積が風下領域の放熱フィン表面積の0.54〜0.73倍の範囲にあることを特徴とする。

第3の発明における電力変換装置は、電力変換回路を構成する複数の半導体素子と、当該複数の半導体素子からの熱を外気に放熱する冷却器を備え、前記冷却器は、受熱ブロック、複数のヒートパイプ、複数の放熱フィンで構成され、前記受熱ブロックの一方側面には前記複数の半導体素子が並設され、前記受熱ブロックの他方側面には前記複数のヒートパイプの受熱部が埋設され、前記複数のヒートパイプの放熱部は受熱ブロックから突き出して立設され、前記放熱部には複数の放熱フィンが接合され、前記半導体素子は、冷却風流れ方向に4箇所設置された電力変換装置において、前記複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に等間隔に最風上領域、風上領域、風下領域、最風下領域と定義した際に、最風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.21〜0.42倍、風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.25〜0.63倍、風下領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.42〜0.73倍の範囲にあることを特徴とする。

第1の発明によれば、冷却風の温度が上昇する風下領域よりも、冷却風の温度の低い風上領域、中流領域において放熱フィン面積を小さくする、すなわち風下領域よりも放熱フィンの枚数を少なくし、各々の半導体素子の温度が均一になるように各領域での放熱フィン面積を設定することで、軽量な装置構成で半導体素子を効率良く冷却することができる。また、第2、第3の発明においても、第1の発明と同様の原理により同様の効果を得ることができる。このように、半導体素子の構成に合わせて放熱フィン構成を最適に組み合わせることで半導体素子の温度を均一化し、軽量な装置構成で半導体素子を効率良く冷却することができる。

本発明の第1実施形態の電力変換装置の全体構成を表す斜視図。

図1の上面図。

図2のA−A断面図。

本発明の第1実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の下面図。

本発明の第1実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の上面図。

図5のB−B断面図。

図5のC−C断面図。

図7のD拡大図。

図3のE拡大図。

本発明の第1実施形態の電力変換装置を、鉄道車両の客室の床下に搭載した状態を表す、車両走行方向から見た断面図。

特許文献2の冷却器の側面断面図。

本発明の第1実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の温度分布計算結果を表す図。

本発明の第1実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の最大温度計算結果を表す図。

本発明の第2実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

本発明の第2実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の最大温度計算結果と冷却器重量を表す図。

本発明の第3実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

本発明の第3実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の温度分布計算結果を表す図。

本発明の第3実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の最大温度計算結果と冷却器重量の関係を表す図。

本発明の第4実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

本発明の第5実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

特許文献1の冷却器の側面断面図。

特許文献1の冷却器の側面断面図。

本発明の第4実施形態および第5実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の温度分布計算結果を表す図。

本発明の第4実施形態および第5実施形態の電力変換装置に搭載される半導体素子群の最大温度計算結果と冷却器重量の関係を表す図。

本発明の第6実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

本発明の第7実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

本発明の第8実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図。

以下、本発明の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明の第1実施形態の電力変換装置の全体構成を表す斜視図を、図2に図1の上面図を、図3に図2のA−A断面図を示す。

電力変換装置1000は、側板1110、天板1120、底板1130により構成される。また電力変換装置1000の上面には、枕木方向梁1161、1162と、進行方向梁1163、1164が設置され、電力変換装置1000の強度が保たれている。天板1120、底板1130の間には通風路底板1140が設置される。側板1110、天板1120、通風路底板1140により囲まれた空間は通風路1150であり、通風路1150の中を冷却風1210が流れる。また、側板1110、底板1130、通風路底板1140により囲まれた空間は回路部品搭載空間1600であり、中には電力変換装置1000の主回路を構成する半導体泰素子群1500、フィルタコンデンサ1610や、半導体素子群1500のスイッチングを制御するためのゲートドライバ1620が設置される。

回路部品搭載空間1600の中の半導体素子群1500は、冷却器1700の下面に設置される。冷却器1700の受熱ブロック1710は、通風路底板1140の下面側に気密性を持って接続されており、回路部品搭載空間1600の中に冷却風1210が流れ込まないようにしている。

一方、冷却器1700の上面側は通風路1150の中に設置される。冷却器1700と側板1110および天板1120は密着しておらず隙間が開いており、この隙間を通過する冷却風1210の量を少なくするために、冷却器1700の周辺の空間には風漏れ防止板1191、1192、1193、1194が冷却風の流れ方向に複数設置される。それぞれの風漏れ防止板1191、1192、1193、1194が設置される向きは、冷却風1210の流れと直交する方向である。また、風漏れ防止板1194は進行方向梁1163から下側に突き出すように設置される。

送風機1200は、吹き出し口の中心が冷却器1700のおよそ中心線上にくるように設置される。冷却風1210はフィルター1300を介して電力変換装置1000内に吸い込まれ、送風機1200の吹き出し口から冷却器1700に向かって供給される。ここで、送風機1200の吹き出し口の幅は冷却器1700の幅と比べて狭いため、通風路拡大板1171、1172により通風路1150は冷却器1700と同程度の幅に拡大され、通風路拡大板1171、1172は最も風上側に設置される風漏れ防止板1191に接続される。また、冷却風1210を冷却器1700に均一に供給するために、送風機1200の吹き出し口と冷却器1700の間には2枚の整風板1181、1182が設置される。この2枚の整風板1181、1182は、送風機1200の吹き出し口の中心に対してそれぞれ対称になるように設置され、風上側よりも風下側の隙間が広くなるように設置される。整風板1181、1182および冷却器1700を通過した冷却風1210はグリル1400から外部に排気される。

図4に冷却器および半導体素子群の下面図を示す。冷却器1700の構成部品の一つである受熱ブロック1710は、2枚のアルミ製厚板で構成されており、各々が連結用ボルト1712によって連結される。また、受熱ブロック1710の端部には複数の冷却器固定用ネジ穴1711が開けられており、図3に記載の通風路底板1140に接続される。受熱ブロック1710の下面には、半導体素子群1500が並設される。第1実施形態の電力変換装置においては、半導体素子を、冷却風流れ方向に3台、冷却風流れと直行する方向に4台設置し、複数の半導体素子で半導体素子群1500を構成しており、この半導体素子は風上側から1520、1530、1540と表記する。また、各々の半導体素子の熱損失は、ほぼ均一である。

図5に冷却器の上面図を、図6に図5のB−B断面図を、図7に図5のC−C断面図を示す。図5の中心線よりも上側に図示している点線はヒートパイプの受熱部を、中心線よりも下側に図示している点線は、受熱ブロック1710の下面に設置される半導体素子群1500の投影図を示している。受熱ブロック1710の上面側には、冷却風1210の流れ方向に沿って溝が複数形成されており、その溝に複数のU字型ヒートパイプ1720の受熱部1721と、複数のL字型ヒートパイプ1730の受熱部1731が、冷却風1210の流れ方向に沿って設置され、はんだ等のろう材1740を溝に流し込んで固めることで、受熱ブロック1710とU字型ヒートパイプ1720およびL字型ヒートパイプ1730は接合される。またU字型ヒートパイプ1720の放熱部1722およびL字型ヒートパイプ1730の放熱部1732は鉛直方向に立設され、各々の放熱部1722、1732には、放熱部の位置に合わせた貫通穴を有する複数の放熱フィン1750が圧入される。

一方、受熱ブロック1710の上面の、ヒートパイプが設置される領域と冷却器固定用ネジ穴1711との間には、シール材1760が全周にわたって設置される。これにより、通風路底板1140と冷却器1700は気密を保って接続される。

ヒートパイプの配置について説明する。図6に示すB−B断面では、各々のヒートパイプは冷却風1210の流れ方向に沿って、L字型ヒートパイプ1730、5本のU字型ヒートパイプ1720、L字型ヒートパイプ1730の順に設置される。図7に示すC−C断面では、U字型ヒートパイプ1720が6本設置される。図5に示すように、B−B断面でのヒートパイプの配置とC−C断面でのヒートパイプの配置を交互に設置することで、ヒートパイプ受熱部1721、1731およびヒートパイプ放熱部1722、1732は千鳥状に配置される。

図8に図7のD拡大図を示す。受熱ブロック1710内において、ヒートパイプ放熱部1722の真下の領域はヒートパイプ受熱部の無い領域1770であり、ヒートパイプ受熱部内部と比較して熱抵抗が大きく局所的に温度が高くなることが懸念される。前述の通り、ヒートパイプ受熱部1721、1731を千鳥状に配置することにより、例えばC−C断面における受熱部の無い領域1770の近傍には、B−B断面における受熱部1721が配置されるため、熱移動が促進されて局所的な温度上昇が抑制される。

放熱フィンの構成について説明する。本発明の第1実施形態では、放熱フィン1750を風上領域1752、中流領域1753、風下領域1754に分割し、放熱フィン1750の枚数を、風上領域1752では16枚、中流領域1753では20枚、風下領域1754では48枚設置している。すなわち、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は風下領域1754の0.33倍、中流領域1753の放熱フィン1750の表面積は風下領域1754の0.42倍である。一方、製作性を考慮し、フィン1750を冷却風1210の流れと直交する方向に4分割している。

冷却器と風漏れ防止板の位置関係について説明する。図9は図3のE拡大図であり、ヒートパイプ放熱部1722の先端と、風漏れ防止板1194の位置関係を示している。ヒートパイプ放熱部1722の先端は、先端以外と比較して直径が小さくなっており放熱フィン1750を圧入することができないため、ヒートパイプ放熱部1722の先端は最上段のフィンから20〜30mm程度突出している。一方、風漏れ防止板1194は各々のヒートパイプ放熱部1722の間の位置に設置される。風漏れ防止板1194と最上段のフィンとの隙間は5mm程度であり、ヒートパイプ放熱部1722の先端と最上段のフィンとの隙間よりも小さくしている。

電力変換装置を鉄道車両客室の床下に搭載した状態を説明する。図10に車両走行方向から見た断面図を示す。紙面手前方向は車両走行方向を、左右方向は枕木方向を、上下方向は鉛直方向を示す。電力変換装置1000は客室2000の床下につり部材3000により接続される。冷却風1210は電力変換装置1000の内部を枕木方向に通風する。

次に、本発明の第1実施形態の効果について説明する。複数の放熱フィン1750を冷却風1210の流れ方向に対して分割し、冷却風の温度が上昇する風下領域1754よりも、冷却風1210の温度の低い風上領域1752、中流領域1753において放熱フィンの表面積を小さくする、すなわち風下領域よりも放熱フィンの枚数を少なくし、各々の半導体素子群1500の温度が均一になるように各領域での放熱フィンの表面積を設定することで、軽量な装置構成で半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

また、U字型ヒートパイプ1720の受熱部1721が冷却風1210の流れと沿う方向に設置されることにより、冷却風1210に対して風下側から風上側へ受熱部1721を介して熱移動を促進させることができるため、冷却風の温度上昇による影響を平準化し、風下側の半導体素子の温度上昇を抑制することができる。また、U字型ヒートパイプ1720の放熱部1722が垂直方向に立ち上がるように立設され、放熱部1722に複数の放熱フィン1750が接合されて通風路1150内に設置されることにより、受熱ブロック1710から放熱フィン1750への熱移動を促進させることができるため、フィン効率が向上する。

また、U字型ヒートパイプ1720の放熱部1722を千鳥状に設置することにより、放熱フィン1750とヒートパイプの接合部が均等に配置され、放熱フィン1750に均等に熱が輸送されるため、フィン効率が向上する。さらに、ヒートパイプの放熱部が正方状に配置された場合と比較して放熱フィン間ならびにヒートパイプ間の流路の断面積が広くなるため、放熱フィン間の通風抵抗が小さくなり、送風機1200を用いて冷却する際に冷却風1210を多く供給することができるため、半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

また、最も風上側の位置、あるいは最も風下側の位置、あるいは風上側、風下側の双方にL字型ヒートパイプ1730を設置することにより、放熱フィン1750の投影面の外側にL字型ヒートパイプ1730の受熱部1731を設置することができるようになる。これにより、半導体素子群1500をフィン1750の投影面の外側に設置しても、L字型ヒートパイプ1730により放熱フィン1750に熱を効率良く輸送することができるため、放熱フィン1750を小型化、軽量化することができる。

また、通風路1150において、フィン1750の風上側に複数の整風板1181、1182を設置することにより、送風機1200から放熱フィン1750に供給される冷却風1210の風速を、冷却風1210の流れと直交する方向において均一にすることができるため、放熱フィン1750の幅が送風機1200の吹き出し口の幅に対して大きい場合においても半導体素子群1500を効率良く冷却できる。

また、通風路1150において、ヒートパイプ放熱部1722の最も先端側に接合される放熱フィンと、通風路1150を構成する天板1130との間に、冷却風1210の流れと直交する方向に複数の風漏れ防止板1191、1192、1193、1194を設置することにより、冷却風1210が放熱フィン間から漏れるのを防ぐことができるため、半導体素子群1500を効率良く冷却できる。さらに、複数の風漏れ防止板1191、1192、1193、1194とヒートパイプ放熱部1722の先端側に接合される放熱フィン1750との距離を、先端側に接合される放熱フィン1750とヒートパイプ放熱部1722の先端との距離よりも短くすることで、放熱フィン間から漏れる冷却風1210の量をさらに少なくすることができる。

また、風漏れ防止板1194は、通風路1140内の強度を保つための梁1160を兼ねている。これにより、部品点数を少なくすることができるため、コストの低減や組立性の向上をはかることができる。

これらの構成により、半導体素子群1500を効率良く冷却でき、の温度を均一化して効率良く冷却し、軽量な冷却器を備えた電力変換装置1000を鉄道車両に搭載することができる。

次に、本発明の第1実施形態との比較として、従来技術について説明する。図11に特許文献2に記載の冷却器を示す。前記のように、特許文献2に記載の冷却器は、複数の放熱フィン群のうち、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きく、複数の放熱フィン群の群間隙の位置は、放熱フィン群を風上から風下まで複数の一枚板のフィンで形成した1つの放熱フィン群とした場合に、当該1つの放熱フィン群のフィン表面の風上と風下の温度差を、複数の放熱フィン群の数で等分に分割する、当該1つの放熱フィン群の放熱フィンの表面温度の位置としている。

ここで、放熱フィン1750の表面の温度分布と放熱フィン先端からの距離との関係は直線状ではなく、風上側に近いほど急激に上昇し、風下側に向かうにつれて放熱フィン1750の表面最高温度に漸近するように上昇する。そのため、放熱フィン1750の群間隙の位置は、放熱フィン1750を設置する領域を3等分した位置よりも風上側になる。

なお、図11に記載の冷却器では、放熱フィン1750の枚数は風上側で12枚、中流で24枚、風下側で48枚であり、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は風下領域1754の0.34倍、中流領域1753の放熱フィン1750の表面積は風下領域1754の0.69倍である。

次に、本発明の第1実施形態の効果を検証するために、汎用熱流対解析ソフトを用いて、各半導体素子の温度を計算した。計算では、風下領域1754の放熱フィン表面積を一定とし、風上領域1752、中流領域1753の放熱フィン面積を変化させて比較した。また、半導体素子群1500の各々の半導体素子の熱損失を一定とし、放熱フィン1750の枚数の変化による圧力損失および冷却風量の変化を考慮した。

図12に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、風上領域1752、中流領域1753の放熱フィンの表面積を変化させた際の、風上側半導体素子1520、中流半導体素子1530、風下半導体素子1540の温度上昇の変化を示す。グラフの縦軸の温度上昇比とは、中流/風下フィン表面積比および風上/風下フィン表面積比が1.00における風下領域半導体素子1540の温度上昇を1.00とした場合の相対値である。これによると、中流/風下フィン表面積比および風上/風下フィン表面積比が1.00においては、風下領域半導体素子1540に対し、中流領域半導体素子1530の温度上昇比は0.89、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は0.77であり、23%の温度バラつきがある。これに対し、中流/風下フィン表面積比0.50あるいは0.42、風上/風下フィン表面積比0.33の場合に各半導体素子の温度が均一になる。

図13に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、風上領域1752、中流領域1753の放熱フィン表面積を変化させた際の、半導体素子群1500の最大温度上昇比と、冷却器重量比を示す。最大温度上昇比および冷却器重量比とは、中流/風下フィン表面積比および風上/風下フィン表面積比が1.00における半導体素子群1500の温度上昇および冷却器重量を1.00とした場合の相対値であり、色の濃淡で値の大きさを示している。これによると、中流/風下フィン表面積比および風上/風下フィン表面積比が1.00の場合と比較して、風上/風下フィン表面積比が0.33以上、中流/風下フィン表面積比が0.42以上の領域において最大温度上昇比が同等以下となることが示された。特に、本発明の第1実施形態では、風上/風下フィン表面積比0.33、中流/風下フィン表面積比0.42で、冷却器重量は0.74であり、本発明により同等冷却性能で26%軽量化できることが示された。また、図13中の点線で囲まれた領域は、風上/風下フィン表面積比が0.33〜0.42、中流/風下フィン表面積比が0.42〜0.63の領域であり、本発明の請求範囲を示している。これによると、本発明の請求範囲では特許文献2と同等の冷却性能でより軽量であることが示された。

図14に本発明の第2実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。第1実施形態では、冷却風流れ方向の放熱フィンの分割点位置を固定し、放熱フィンの枚数を変化させることで風上領域1752、中流領域1753、風下領域1754の放熱フィン表面積を変化させたが、冷却風流れ方向の放熱フィンの分割点位置を変化させることで放熱フィン表面積を変化させても良い。第2実施形態では、放熱フィン1750の枚数を風上側から12枚、24枚、48枚、フィンピッチの比を4:2:1とし、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積が風下領域1754の0.35倍、中流領域1753の放熱フィン1750の表面積が風下領域1754の0.53倍となるように、放熱フィン枚数が12枚である領域と24枚である領域の境目を、放熱フィンが設置される領域を3等分した位置よりも風上側とし、さらに放熱フィン枚数が24枚である領域と48枚である領域の境目を、放熱フィンが設置される領域を3等分した位置よりも風下側とした。ここで、特許文献2では、前述の通り放熱フィン1750の群間隙の位置が、放熱フィン1750を設置する領域を3等分した位置よりも風上側になるため、本発明の第2実施形態と特許文献2では、冷却器構成が明らかに異なっている。

本発明の第2実施形態では、各領域の放熱フィンピッチが整数比であることから、各放熱フィン間の通風抵抗が均一であるために流れる冷却風量を均一にできる他、通風抵抗を低減できるために送風機からの冷却風量が増大し、効率良く冷却することができる。

本発明の第2実施形態の効果を検証するために、汎用熱流対解析ソフトを用いて、半導体素子群の最大温度上昇を計算した。図15に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、風上領域1752、中流領域1753の放熱フィン表面積を変化させた際の、半導体素子群1500の最大温度上昇比と、冷却器重量比を示す。これによると、本発明の第2実施形態は、中流/風下フィン表面積比および風上/風下フィン表面積比が1.00の場合と比較して、最大温度上昇比はほぼ同等で、冷却器重量は0.75であり、本発明により同等冷却性能で25%軽量化できることが示された。また、特許文献2と比較しても同等の冷却性能でより軽量であることが示された。

図16に本発明の第3実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。第3実施形態では、半導体素子群1500を、冷却風流れ方向に2台設置する構成であり、複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に風上領域1752、風下領域1754に2分割し、放熱フィン1750の枚数を、風上領域1752では26枚、風下領域1754では48枚設置している。すなわち、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は風下領域1754の0.54倍である。

本発明の第3実施形態のように半導体素子群1500を冷却風流れ方向に2台設置する構成において、複数の放熱フィン1750を冷却風1210の流れ方向に対して2分割し、冷却風の温度が上昇する風下領域1754よりも、冷却風1210の温度の低い風上領域1752において放熱フィン面積を小さくする、すなわち風下領域よりも放熱フィンの枚数を少なくし、各々の半導体素子群1500の温度が均一になるように各領域での放熱フィン面積を設定することで、軽量な装置構成で半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

本発明の第3実施形態の効果を検証するために、汎用熱流対解析ソフトを用いて、各半導体素子の温度を計算した。図17に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、風上領域1752の放熱フィン表面積を変化させた際の、風上領域半導体素子1520、風下領域半導体素子1540の温度上昇の変化を示す。これによると、風上/風下フィン表面積比が1.00においては、風下領域半導体素子1540の温度上昇比1.00に対し、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は0.90であり、10%の温度バラつきがある。これに対し、風上/風下フィン表面積比0.54の場合に各半導体素子の温度が均一になる。一方、風上/風下フィン表面積比0.50以下の場合には、風下領域半導体素子1540よりも風上領域半導体素子1520の温度が高くなる。

図18に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、風上領域1752の放熱フィン面積を変化させた際の、半導体素子群1500の最大温度上昇比と、冷却器重量比を示す。本発明の請求範囲は、風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.54〜0.73倍であり、その範囲内にあるものは、風上/風下フィン表面積比が1.00の場合と比較して最大温度上昇比が同等以下となることが示された。特に、本発明の第3実施形態では、風上/風下フィン面積比は0.54、冷却器重量比は0.88であり、本発明により同等冷却性能で12%軽量化できることが示された。

図19に本発明の第4実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。第4実施形態では、半導体素子群1500を、冷却風流れ方向に4台設置する構成であり、複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に最風上領域1751、風上領域1752、風下領域1754、最風下領域1755に4分割し、放熱フィン1750の枚数を、最風上領域1751では24枚、風上領域1752では30枚、風下領域1754では35枚、最風下領域1755では48枚設置している。すなわち、最風上領域1751の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.42倍、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.63倍、風下領域1754の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.73倍である。なお、第4実施形態の効果に関しては、後述の第5実施形態の効果と一緒に説明する。

図20に本発明の第5実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。第5実施形態では、第4実施形態と同じく、半導体素子群1500を、冷却風流れ方向に4台設置する構成であり、複数の放熱フィンが設置される領域を冷却風流れ方向に最風上領域1751、風上領域1752、風下領域1754、最風下領域1755に4分割している。第5実施形態では、放熱フィン1750の枚数を、最風上領域1751では10枚、風上領域1752では12枚、風下領域1754では20枚、最風下領域1755では48枚設置している。すなわち、最風上領域1751の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.21倍、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.25倍、風下領域1754の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.42倍である。

本発明の第4実施形態および第5実施形態のように半導体素子群1500を冷却風流れ方向に4台設置する構成において、複数の放熱フィン1750を冷却風1210の流れ方向に対して4分割し、冷却風の温度が上昇する最風下領域1755よりも、冷却風1210の温度の低い最風上領域1751、風上領域1752、風下領域1754において放熱フィン表面積を小さくする、すなわち最風下領域よりも放熱フィンの枚数を少なくし、各々の半導体素子群1500の温度が均一になるように各領域での放熱フィン表面積を設定することで、軽量な装置構成で半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

次に、本発明の第4実施形態および第5実施形態との比較として、従来技術について説明する。図21および図22に特許文献1に記載の冷却器を示す。特許文献1に記載の冷却器では、半導体素子群1500を冷却風流れ方向に4台設置する構成であり、図21では最風上領域1751の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.50倍、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.50倍、風下領域1754の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の1.00倍である。また、図22では最風上領域1751の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.13倍、風上領域1752の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.25倍、風下領域1754の放熱フィン1750の表面積は最風下領域1755の0.50倍である。

本発明の第4実施形態および第5実施形態の効果を検証するために、汎用熱流対解析ソフトを用いて、各半導体素子の温度を計算した。図23に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、最風上領域1751、風上領域1752、風下領域1754の放熱フィン面積を変化させた際の、最風上領域半導体素子1510、風上領域半導体素子1520、風下領域半導体素子1540、最風下領域半導体素子1550の温度上昇の変化を示す。これによると、各領域のフィン表面積比が全て1.00の場合においては、最風下領域半導体素子1550の温度上昇比1.00に対し、最風上領域半導体素子1510の温度上昇比は0.63、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は0.75、風下領域半導体素子1540の温度上昇比は0.88であり、37%の温度バラつきがある。また、図21に示す特許文献1に記載の冷却器に関しては、最風上領域半導体素子1510の温度上昇比は0.75、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は0.81、風下領域半導体素子1540の温度上昇比は0.88、最風下領域半導体素子1550の温度上昇比は0.98であり、25%の温度バラつきがあるため、まだ軽量化できる余地があると言える。また、図22に示す特許文献1に記載の冷却器に関しては、最風上領域半導体素子1510の温度上昇比は1.13、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は1.04、風下領域半導体素子1540の温度上昇比は0.98、最風下領域半導体素子1550の温度上昇比は0.99であり、最風下領域半導体1550よりも最風上領域半導体素子1510の温度が高くなっており、冷却効率が悪い。

これに対し、本発明の第4実施形態に関しては、最風上領域半導体素子1510の温度上昇比は0.69、風上領域半導体素子1520の温度上昇比は0.73、風下領域半導体素子1540の温度上昇比は0.83、最風下領域半導体素子1550の温度上昇比は0.91であり、22%の温度バラつきがあるものの、各領域のフィン面積比が全て1.00の場合と比較して最風上領域半導体素子1550の温度上昇比が9%低下している。これは、最風上領域1751、風上領域1752、風下領域1754の放熱フィン1750の枚数を少なくしたことにより圧力損失が低下し、送風機から供給される冷却風量が増大したことにより、全体的に温度が低下したためである。

また、本発明の第5実施形態に関しては、最風上領域半導体素子1510の温度上昇比は0.95、風上領域半導体素子1520、風下領域半導体素子1540、最風下領域半導体素子1550の温度上昇比は0.97であり、各半導体素子の温度が均一になる。

図24に、汎用熱流体解析ソフトにより計算した、最風下領域1755以外の放熱フィン面積を0.13〜1.00で変化させた際の、半導体素子群1500の最大温度上昇比と、冷却器重量比を示す。本発明の請求範囲は、最風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.21〜0.42倍、風上領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.25〜0.63倍、風下領域の放熱フィン表面積が最風下領域の放熱フィン表面積の0.42〜0.73倍であり、その範囲内にあるものはグラフの左下、すなわち冷却器重量比と熱抵抗比がともに小さい領域にあり、軽量な冷却器構成で半導体素子群を効率良く冷却できることが示された。

なお、本発明の第5実施形態の冷却器は、第4実施形態の冷却器よりも温度上昇比は6%大きいが、冷却器重量比は15%小さい。そのため、温度上昇を優先して小さくしたい場合には第4実施形態に示す形状、冷却器重量を優先して小さくしたい場合には第5実施形態に示す形状とすれば良く、要求性能に応じて適宜選択するのが良い。

図25に本発明の第6実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。本発明の第5実施形態では、放熱フィン1750を風上領域1752、中流領域1753、風下領域1754に分割し、放熱フィン1750の枚数を、風上領域1752では16枚、中流領域1753では20枚、風下領域1754では48枚設置し、風上領域1752の最上段の放熱フィンを中流領域1753の最上段の放熱フィンよりも低い位置になるように、かつ中流領域1753の最上段の放熱フィンを風下領域1754の最上段の放熱フィンよりも低い位置になるように設置している。

このような構成とすることで、冷却風1210の一部が風上領域1752および中流領域1753で熱を受け取らずに風下領域1754に供給されるため、風下領域半導体素子1540の温度上昇を抑制し、効率良く冷却することができる。

図26に本発明の第7実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。本発明の第6実施形態では、U字型ヒートパイプ1720やL字型ヒートパイプ1730よりも放熱部の長さの短い短尺ヒートパイプ1780が部分的に設置される。図23では、L字型ヒートパイプ1730、短尺ヒートパイプ1780、U字型ヒートパイプ1720、短尺ヒートパイプ1780、U字型ヒートパイプ1720、短尺ヒートパイプ1780、L字型ヒートパイプ1730の順に設置される。

短尺ヒートパイプの放熱部1782は、放熱部の長いU字型ヒートパイプ1720よりも接合される放熱フィン1750の枚数が少ないために冷却風1210との熱抵抗が大きくなり、冷却風1210との温度差が大きくなる。そのため、このような構成とすることで、冷却風1210の温度がヒートパイプ内部の冷媒の凝固点以下であっても、冷媒が凍結することなく半導体素子群1500を効率良く冷却できる。

また、短尺ヒートパイプ1780のみで冷却器を構成した場合には、U字型ヒートパイプよりも接合される放熱フィン1750の枚数が少なくなるため、冷却風1210の温度が冷媒の凝固点以上の場合には冷却性能が低下することが懸念されるが、短尺ヒートパイプ1780とU字型ヒートパイプ1720、L字型ヒートパイプ1730を混在させることで、冷却風1210の温度が冷媒の凝固点以下の場合と、凝固点以上の場合での冷却性能を両立することができる。

また、冷媒凍結によりヒートパイプ内に液体及び気体の冷媒が減少するドライアウトが発生した際には半導体素子群1500の温度上昇に伴ってヒートパイプ放熱部の根元の温度も上昇していくが、U字型ヒートパイプ1720、L字型ヒートパイプ1730よりも放熱部の短い短尺ヒートパイプ1780は放熱部1782の根元と先端の温度差を小さくできる、すなわち先端の温度を高くすることができるため、ドライアウトが発生しても凍結した冷媒を融解することで起動し、半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

図27に本発明の第8実施形態の電力変換装置に搭載される冷却器の側面断面図を示す。インバータ回路用半導体素子とコンバータ回路用半導体素子を同一の冷却器に設置して冷却する場合や、3レベル回路を冷却する場合では、各々の半導体素子1510、1520、1540、1550の熱損失量に偏りがある場合がある。本発明の第8実施形態のように、直管型ヒートパイプ1790を、各々の半導体素子1510、1520、1540、1550の投影面上に重なるように受熱ブロック1710の中に埋設することにより、熱損失量の偏りによる温度上昇の偏りを平準化し、半導体素子群1500を効率良く冷却することができる。

なお、本発明の第1〜第8実施形態では、最風下領域の放熱フィンの枚数を48枚として記載したが、本発明はこれに限定されず、適宜変更しても良い。また、半導体素子群1500を冷却風と直行する方向に4台設置する構成として記載したが、本発明はこれに限定されず、回路構成により適宜変更可能である。

1000 電力変換装置 1110 側板 1120 天板 1130 底板 1140 通風路底板 1150 通風路 1161、1162 枕木方向梁 1163、1164 進行方向梁 1171、1172 通風路拡大板 1181、1182 整風板 1191〜1195 風漏れ防止板 1200 送風機 1210 冷却風 1300 フィルター 1400 グリル 1500 半導体素子群 1510 最風上半導体素子 1520 風上半導体素子 1530 中流半導体素子 1540 風下半導体素子 1550 最風下半導体素子 1600 回路部品搭載空間 1610 フィルタコンデンサ 1620 ゲートドライバ 1700 冷却器 1710 受熱ブロック 1711 冷却器固定用ネジ穴 1712 連結用ボルト 1720 U字型ヒートパイプ 1721 U字型ヒートパイプ受熱部 1722 U字型ヒートパイプ放熱部 1730 L字型ヒートパイプ 1731 L字型ヒートパイプ受熱部 1732 L字型ヒートパイプ放熱部 1740 ろう材 1750 放熱フィン 1751 最風上領域 1752 風上領域 1753 中流領域 1754 風下領域 1755 最風下領域 1760 シール材 1770 受熱部の無い領域 1780 短尺ヒートパイプ 1781 短尺ヒートパイプ受熱部 1782 短尺ヒートパイプ放熱部 1790 直管型ヒートパイプ 2000 客室 3000 つり部材

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