車両の床構造および車両の床構造の製造方法 |
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申请号 | JP2016178666 | 申请日 | 2016-09-13 | 公开(公告)号 | JP2018043586A | 公开(公告)日 | 2018-03-22 |
申请人 | 株式会社日立製作所; | 发明人 | 松嶋 直樹; 勝村 宣仁; 鵜原 治; | ||||
摘要 | 【課題】低コストで車両床のクッション性を確保しながら、床材の剥離などを低減させる。 【解決手段】鉄道車両における床部分の基材11の上方には、床層部12が形成されている。この床層部12は、下地材層14、該下地材層14の上方に形成される床材17、および床材17から浸 水 した水分が下地材層14に浸水することを防止する浸水バリア層15を有する。浸水バリア層15は、下地材層14と床材17との間に形成される。 【選択図】図1 | ||||||
权利要求 | 下地材層と、 前記下地材層の上方に形成される床材と、 前記下地材層と前記床材との間に形成され、前記床材から浸水した水分が前記下地材層に浸水することを防止する浸水バリア層と、 を有する、車両の床構造。請求項1記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、前記下地材層の全面を覆うように形成される、車両の床構造。請求項1記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、帯状からなり、前記床材の突き合わせ部の下方に形成される、車両の床構造。請求項3記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層の断面形状は、半楕円形状である、車両の床構造。請求項3記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、少なくとも2つの層が積層される多層膜からなる、車両の床構造。請求項3記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、前記床材に近い面が粗化されている、車両の床構造。請求項1記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、エポキシ系樹脂を有する樹脂素材である、車両の床構造。請求項3記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、前記浸水バリア層の一方の長辺から前記床材の突き合わせ部までの距離が12mm〜20mmとなるように形成される、車両の床構造。請求項3記載の車両の床構造において、 前記浸水バリア層は、10μm〜100μmの厚さを有する、車両の床構造。請求項1記載の車両の床構造において、 前記下地材層は、ウレタン系樹脂を有する、車両の床構造。下地材層を形成するステップと、 前記下地材層の上方に浸水バリア層を形成するステップと、 前記浸水バリア層の上方に床材を形成するステップと、 を有し、 前記床材を形成するステップは、前記浸水バリア層に貼り付けた床材に荷重をかけて圧着する、車両の床構造の製造方法。請求項11記載の車両の床構造の製造方法において、 前記浸水バリア層は、前記下地材層の全面を覆うように形成する、車両の床構造の製造方法。請求項11記載の車両の床構造の製造方法において、 前記浸水バリア層は、前記床材の突き合わせ部の下方に帯状に形成する、車両の床構造の製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、車両の床構造および車両の床構造の製造方法に関し、特に、車両の室内に形成される床構造に有効な技術に関する。 鉄道車両の客室などに用いられる床は、一般に基材の上に粘着剤または接着剤を用いてゴム製などの床材が貼り付けられた構造となっている。床材が貼り付けられる基材としては、鉄道車両の構体であるアルミ合金などの金属のほか、乗り心地や静粛性を考慮して主にウレタン樹脂製の床下地材を設け、その上に床材を貼付する構造が採用される場合が多い。 鉄道車両の床は、特に雨天時に乗客の靴や持ち物に付着した雨水によって水に濡れることが多い。床に滴下した水は、床材の継ぎ目や端部、あるいは床材を浸透して基材と床材の界面に達し、接着力を低下させることがある。 特に、ウレタン樹脂系の床下地材を用いている場合、ウレタン樹脂が水分に対し相対的に耐性が低いことから、床の剥がれや膨れを起こすケースがある。このような基材と床材の接着界面の信頼性の劣化を防ぐ技術としては、例えば床材の端部に面取りまたは切り欠きを形成し、端部同士を突き合わせてそこに樹脂を形成するものがある(例えば特許文献1参照)。 特開2008−307964号公報
しかしながら、特許文献1に示される技術は、上述したように床材の端部に面取りまたは切り欠きを形成し、端部同士を突き合わせてそこに樹脂を形成するという、非常に煩雑な工程を行う必要がある。 従って、この技術を採用することで床材の貼り付けコストが嵩んでしまうという問題がある。また、樹脂の厚み分、例えば数mm程度の浸水バリア性しか有さないため、水分のバリア層としては不充分となる恐れがある。 本発明の目的は、低コストで車両床のクッション性を確保しながら、床材の剥離などを低減させることのできる技術を提供することにある。 本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。 本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。 すなわち、代表的な車両の床構造は、下地材層と、前記下地材層の上方に形成される床材と、前記下地材層と前記床材との間に形成され、前記床材から浸水した水分が前記下地材層に浸水することを防止する浸水バリア層と、を有する。 特に、浸水バリア層は、下地材層の全面を覆うように形成される。あるいは、浸水バリア層は、帯状からなり、前記床材の突き合わせ部の下方に形成される。帯状からなる浸水バリア層の断面形状は、半楕円形状である。 本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。 (1)床部のクッション性を確保しながら、該床部における防水性を向上させることができる。 (2)上記(1)により、床部の信頼性を向上させることができる。 実施の形態1による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 実施の形態2による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 図2に示す床構造と図8に示す床構造とにおける下地材層の界面への水の進入速度の一例をそれぞれ示した説明図である。 実施の形態3による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 実施の形態4による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 実施の形態5による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 実施の形態6による床構造における製造の一例を示す説明図である。 発明者の検討による床構造の課題を示す説明図である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。 また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。 さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。 同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。 また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。 以下、実施の形態を詳細に説明する。 (実施の形態1) 〈概要〉 本実施の形態1の床構造は、下地材層14の上層に浸水バリア層15を設け、該浸水バリア層15の上方に粘着材または接着材などからなる粘着材層16が形成されているものである。 〈床層部の構成例〉 図1は、本実施の形態1による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。図1(a)は、鉄道車両構体の一部の断面を示す説明図であり、図1(b)は、図1(a)の丸印にて示す床部分の拡大図である。 なお、以下では、車両の代表として鉄道車両を例にとって説明するが、後述する床層部12の床構造については、これに限定されるものではなく、例えばバス、モノレール、あるいはロープウェイなどの様々な車両にも適用可能である。これは、以下に示す全ての実施の形態についても同様である。 鉄道車両10は、構体として、図1(a)に示すように、例えば基材11および基材11aを有する。図1(a)に示す基材11は、鉄道車両10の床部分の構体、言い換えれば外板であり、基材11aは、鉄道車両10の側壁部分の構体である。 これら基材11,11aは、例えばアルミニウムを主成分とする合金からなる。なお、図1(a)においては、鉄道車両10の床部分および側壁部分における基材のみを示しているが、図示しない鉄道車両の天井部分、前方面部分、および後方面部分の構体についても、基材11,11aと同様にアルミニウムを主成分とする合金からなる。 以下、鉄道車両10における床部分の基材11に形成される床層部12における床構造について説明する。 床部分の基材11において、その上層には、床層部12が形成されている。なお、床層部12は、図1(b)に示すように、プライマ層13、下地材層14、浸水バリア層15、粘着材層16、および床材17から構成されているが、図1(a)では、簡単化のため、床層部12は、下地材層14、浸水バリア層15、および床材17のみを示しており、プライマ層13、および粘着材層16については省略している。 この床層部12の構成について、図1(b)を用いて詳しく説明する。 床層部12において、プライマ層13は、基材11の上方に形成されており、該プライマ層13を挟んで下地材層14が形成されている。プライマ層13は、基材11と下地材層14との密着性を確保する。プライマ層13は、例えば、エポキシ樹脂を主成分とするプライマからなり、その厚みは、例えば40μm程度である。 下地材層14は、鉄道車両10の振動や揺れを緩和して乗り心地をよくするためのクッション性を有する部材からなり、例えばウレタン系樹脂を主成分とするものである。ウレタン系樹脂を有することにより、クッション性を向上させることができる。 この下地材層14の主面側には、防水層として機能する浸水バリア層15が該下地材層14の一方の面の全面に形成されている。ここで、該下地材層14の他方の面は、基材11側の面であり、下地材層14の一方の面は、該他方の面に対向する面である。 浸水バリア層15は、例えばプライマ層13と同じエポキシ系の樹脂部材からなる。浸水バリア層15の上方には、粘着材層16を挟んで、例えばゴム製の床材17が形成されている。粘着材層16は、浸水バリア層15に床材17を貼り付けて密着性を確保する。 床材17は、例えば床材17の裏面に粘着材層16となる粘着材が予め形成されており、該該粘着材によって浸水バリア層15に貼り付けられる。 床層部12において、床材17には、突き合わせ部20,21が形成される。突き合わせ部20は、床材17と床材17との境目、言い換えれば継ぎ目であり、突き合わせ部21は、鉄道車両10の側壁部分の基材11aに突き合わされる部分であり、基材11aと床材17の周辺部分との境目である。 浸水バリア層15に貼り付けられる前の床材17は、例えばテープ状からなる。このテープ状からなる床材17の幅は、鉄道車両10の床部分の基材11より幅が短く、床の全面に床材17を貼り付けることができない。よって、床材17は、複数の床材17がパッチ状に貼られた状態からなり、隣り合う床材17の継ぎ目部分が突き合わせ部20となる。 〈課題を示す床構造の検討例〉 ここで、図1(b)に示す浸水バリア層15を有しない床構造における問題点およびそれに対する対策を施した際の床構造の問題点について、図8を用いて検討する。 図8は、本発明者の検討による床構造による課題を示す説明図である。 図8(a)は、本発明者の検討による浸水バリア層を有しない床構造の一例を示す説明図である。また、図8(b)〜図8(d)は、図8(a)の床構造に対する防水対策例を本発明者が検討した例をそれぞれ示している。 図8(a)に示す床構造は、プライマ層50、下地材層51、粘着材層52、および床材53からなる。プライマ層50は、床部分の基材60の上層に形成されており、該プライマ層50の上層には、下地材層51が形成されている。下地材層51の上層には、粘着材層52を挟んで床材53が形成されている。 これらプライマ層50、下地材層51、粘着材層52、および床材53については、図1(b)に示すプライマ層13、下地材層14、粘着材層16、および床材17と同様の部材からなる。また、床材53には、図1(b)の床材17と同様に突き合わせ部61を有している。 鉄道の運行時において、降雨時や降雪時などの際には、乗客が濡れた靴の状態にて鉄道車両を乗降する。従って、鉄道車両の床部分は、頻繁に濡れた状態となる。 床面に滴下した水分は、床そのものを浸透してその内部に進入することもあるが、圧倒的に床下への進入速度が速いのは、床材53の突き合わせ部61および床材53の図示しない周辺の突き合わせ部である。ここで、床材53の周辺の突き合わせ部とは、図示しない鉄道車両の側面部分を構成する外板を構成する基材に突き合わされる部分である。 例えば突き合わせ部61から床材53の下部まで到達した水分は、粘着材層52を通って下地材層51の界面に達する。下地材層51に用いられるウレタン樹脂は、水分に弱く、加水分解を起こして劣化し界面の強度が低下する場合がある。 このような状態になると水分が粘着材層52と下地材層51の界面に進入し続けて、最終的には、下地材層51に剥離や水分の蒸発などに起因する膨れが発生するなどの不具合が生じてしまう。 この不具合の対策案の1つとして、例えば図8(b)に示すように、床材53の突き合わせ部61を塞ぐように該突き合わせ部61の上方にシリコン樹脂などからなるシール材54を形成することが考えられる。 このように、シール材54を床材53の上方に形成した場合には、シール材54が凸状になって客室から見えるため意匠性が悪いという問題がある。加えて、シール材54が床材53から突出した状態となるために、乗客によって踏まれて該シール材54が剥がれてしまうポテンシャルがあり、図8(b)に示す対策は不十分である。 また、他の対策案として、例えば図8(c)に示すように、床材53の突き合わせ部61の隙間部分にシール材54を充填することが考えられる。しかしながら、図8(c)の対策においても、床材53が乗客に踏まれているうちに該床材53が動いてしまい、再び隙間が生じてしまう恐れがあり、加えて、浸水については、床材53の厚み、例えば数mm程度のバリア性しか有することにならず、効果的な対策とは言えない。 さらに他の対策としては、例えば図8(d)に示すように、粘着材層52と床材53との間にシール材54を形成することが考えられる。しかしながら、シール材54の部材であるシリコン樹脂は、水分がしみこみやすく、該シール材54から浸水した水分が粘着材層52と下地材層51の界面に進入し続けることになる。その結果、上述したように膨れが発生してしまう恐れがあり、この場合においても充分な対策とは言えない。 〈床層部の作用〉 続いて、図1(b)に示す床構造を有する床層部12について説明する。図1(b)に示す床層部12は、簡便に床の耐水性を確保することが可能となる。 以下、その原理を説明する。 図1(b)に示す床層部12は、粘着材層16と下地材層14との間にエポキシ樹脂を主成分とする浸水バリア層15が存在する。エポキシ樹脂を主成分とする浸水バリア層15は、防水性が高いために水分に対して劣化することはなく、床材17の突き合わせ部20や突き合わせ部21から進入した水分が下地材層14に到達することを大幅に少なくすることができる。 これにより、床層部12のクッション性を確保しながら剥離や水分の蒸発などに起因する下地材層51の膨れなどの発生を低減することができる。また、下地材層14の上層に浸水バリア層15を形成するだけでよいので、床層部12の形成を簡単に低コストにて実現することができる。 なお、図1(b)に示す床層部12においては、プライマ層13と浸水バリア層15にそれぞれ同じ部材を用いたが、これらは別の部材であってもよい。浸水バリア層15に求められる条件としては、エポキシ樹脂などの粘着材層16との密着性が確保できることと、10μm程度〜100μm程度の厚みの膜が形成できることである。 また、床材17に関しても、予め粘着材層16が形成されているものに限定されない。例えば浸水バリア層15を形成した後に、粘着材層16となる接着材を塗布して、その上から床材17を加圧して接着するという形態のものを用いても同様の効果を得ることができる。 (実施の形態2) 〈概要〉 本実施の形態2の床構造は、床材17の突き合わせ部20,21の下方に浸水バリア層15を形成したものである。 〈床層部の構成例〉 図2は、本実施の形態2による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 図2(a)は、前記実施の形態1の図1(a)と同様に、鉄道車両構体の一部の断面を示す説明図である。また、図2(b)は、図2(a)の丸印にて示す床部分の拡大図である。 図2(a)に示す鉄道車両構体の構成については、図1(a)と同様であるので、説明は省略する。また、図2(a)についても、図1(a)と同様に下地材層14、浸水バリア層15、および床材17のみを示しており、プライマ層13、および粘着材層16については、省略している。 図2(b)において、床層部12は、基材11の上面に形成されている。基材11は、前記実施の形態1と同様に、アルミニウムを主成分とする合金などからなる。 床層部12は、図2(b)に示すように、プライマ層13、下地材層14、浸水バリア層15、粘着材層16、および床材17により構成されるが、図2(b)に示す床層部12が、図1(b)の床層部12と異なる点は、浸水バリア層15の形成である。 前記実施の形態1では、図1(b)に示すように、浸水バリア層15が下地材層14の上方全面に形成される構成であったが、図2(b)の床層部12では、浸水バリア層15が床材17の突き合わせ部20の下方および図2(a)に示す床材17の突き合わせ部21の下方にそれぞれ位置するように浸水バリア層15を形成している。ここで、浸水バリア層15は、図1(b)と同様に、エポキシ樹脂を主成分とする部材からなり、図2(b)に示すように、帯状に形成される。 床層部12において、その他のプライマ層13、下地材層14、粘着材層16、および床材17の構成については、前記実施の形態1の図1の床層部12と同様であるので、説明は省略する。 この場合においても、浸水バリア層15は、エポキシ樹脂を主成分とし、水分に対して劣化することはなく、水の進入をブロックする。また、床材17は、形成時に図7にて後述するローラー40などを用いて上面から加圧して粘着させる。 その際、床材17の突き合わせ部20および突き合わせ部21の下方にそれぞれ形成される帯状の浸水バリア層15が微小な凸部形状となっているので、該突き合わせ部20および突き合わせ部21には、より高い圧力がかかる。これにより、浸水バリア層15の接着強度をより向上させることができる。 図2(b)において、粘着材層16の厚みは、おおよそ100μm〜200μmである。床材17の突き合わせ部20近傍に確実に圧力がかかり、かつ床材17の表面が凸状にならない、言い換えれば粘着材が確実に流動するように浸水バリア層15の膜厚を設定すると、より確実に接着されかつ意匠性を損なうことがなく望ましい。 具体的には、浸水バリア層15の膜厚が10μm程度〜100μm程度の範囲であるとよい。 また、突き合わせ部20の下方や突き合わせ部21近傍以外の部分は、浸水バリア層15が存在しないので、柔らかいウレタン系樹脂からなる下地材層14と床材17のみの構成となり、クッション性をより向上させることができる。 〈浸水バリア層の幅について〉 ここで、帯状の浸水バリア層15の幅は、床材17の突き合わせ部20からの距離が12mm程度〜50mmの範囲であることが望ましい。 図3は、図2に示す床構造と図8に示す床構造とにおける下地材層の界面への水の進入速度の一例をそれぞれ示した説明図である。 図3に示す曲線91は、図8(a)に示す床構造における水の進入速度を示したものであり、図3に示す曲線92は、図2(b)に示す床構造における水の進入速度を示したものである。 65℃の温水に浸漬した場合、水の進入速度は、図3に示すように、図8(a)の床構造を示す曲線91では約2mm/dayとなり、図2(b)に示す床構造を示す曲線92では、約0.1mm/dayとなる。 この進入速度が、反応速度が10℃上昇すると2倍になるという、いわゆる10℃2倍則に従うと仮定した場合、室温にて10年相当経過したとすると、図8(b)の床構造は、240mmであり、図2(b)の床構造は、12mm水がそれぞれ進入することになる。 よって、予測精度や安全係数を換算して、浸水バリア層15の幅方向の長さは、突き合わせ部20から50mm程度の距離をとれば10年の信頼性を確実に保証できると言える。 なお、浸水バリア層15の材料に求められる条件は、前記実施の形態1と同様である。また、床材17に関しても、前記実施の形態1と同様、粘着材付きのものに限定されるものではない。 以上により、床層部12のクッション性をより向上させながら、剥離や水分の蒸発などに起因する下地材層14の膨れなどの発生を低減することができることに加えて、より簡単に浸水バリア層15を形成することができる。その結果、床層部12を形成する際の作業工数やコストをより低減することができる。 (実施の形態3) 〈概要〉 本実施の形態3における床構造は、前記実施の形態2に示した帯状の浸水バリア層15の断面形状が半楕円形状からなる。 〈床層部の構成例〉 図4は、本実施の形態3による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 この図4は、図示しない鉄道車両の床部分の基材11に形成される床層部12の一部を拡大した断面を示したものである。 図4の床層部12が、前記実施の形態2の図2(b)に示す床層部12と異なるところは、浸水バリア層15の形状である。図4の床層部12におけるその他の構成は、前記実施の形態2の図2(b)と同様であるので、説明は省略する。 図4の浸水バリア層15は、図2(b)の浸水バリア層15と同様に、帯状に形成される。図2(b)の浸水バリア層15は、その厚さが略均一であったが、図4に示す浸水バリア層15の場合は、該浸水バリア層15の中央部が最も厚く、浸水バリア層15の長手方向の辺に近づくに従って厚さが減少している。すなわち、浸水バリア層15の幅方向の断面形状は、半楕円状あるいはそれに近い形状となる。 浸水バリア層15を図4に示すような形状とすることにより、床材17を図7にて後述するローラー40などによって加圧接着する際に、より確実に床材17の周辺端部に加圧力がかかることとなり、強固な密着性を確保できる。浸水バリア層15のディメンジョンに関して望ましい値は、前記実施の形態2と同様である。 これにより、床材17と浸水バリア層15との密着性をより向上させることができる。また、床層部12のクッション性をより向上させながら、剥離や水分の蒸発などに起因する下地材層14の膨れなどの発生を低減することができるとともに、床層部12を形成する際の作業工数やコストをより低減することができる。 (実施の形態4) 〈概要〉 本実施の形態4による床構造は、帯状の浸水バリア層15が複数の層から形成されるものである。 〈床層部の構成例〉 図5は、本実施の形態4による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。この図5は、図示しない鉄道車両の床部分の基材11に形成される床層部12の一部を拡大した断面を示したものである。 ここで、図5において、床層部12は、浸水バリア層15の構成を除いて前記実施の形態3の図4の床層部12と同様の構成であるので、説明は省略する。浸水バリア層15は、図4の浸水バリア層15と同様に帯状に形成されるが、図5の該浸水バリア層15は、下部浸水バリア層15aおよび上部浸水バリア層15bを有する構成からなり、具体的には、下部浸水バリア層15aに上部浸水バリア層15bが積層された2層構造である。 また、下部浸水バリア層15aと上部浸水バリア層15bとの幅は、それぞれ異なっており、下部浸水バリア層15aの幅は、上部浸水バリア層15bの幅よりも大きくなっている。 この構成により、床材17を後述する図7のローラー40などによって加圧接着する際に、より確実に床材17の周辺端部が加圧力されることになり、強固な密着性を確保することができる。 また、突き合わせ部20の下方や突き合わせ部21近傍以外は、浸水バリア層15が存在せず柔らかいウレタン系樹脂からなる下地材層14と床材17のみの構成となり、良好なクッション性を確保することができる。 なお、浸水バリア層15のディメンジョンに関して望ましい値は、前記実施の形態2と同様である。また、下部浸水バリア層15aおよび上部浸水バリア層15bの厚みは、例えば約20μmであり、この場合、浸水バリア層15の総膜厚は、約40μmとなる。 図5に示す浸水バリア層15の構造は、例えば下部浸水バリア層15aを塗布して該下部浸水バリア層15aを形成した後、上部浸水バリア層15bを塗り幅を変えて重ね塗りすることで容易に実現することができる。浸水バリア層15のディメンジョンに関して望ましい値は、前記実施の形態2に記載のものと同様である。 以上により、床層部12の高いクッション性を確保しながら剥離や水分の蒸発などに起因する下地材層14の膨れなどの発生を低減することができる。加えて、より簡単に浸水バリア層15を形成することができ、床層部12の作業工数やコストをより低減することができる。 なお、図4では、浸水バリア層15の積層数が2層の場合を示しているが、該浸水バリア層15の積層数については特に制限はなく、3層以上の積層数であってもよい。また、図4では、下部浸水バリア層15aの幅が上部浸水バリア層15bの幅よりも大きくなっている例を示したが、浸水バリア層15の中央部の厚みが幅方向の辺部よりも厚くなる形成であればよい。よって、下部浸水バリア層15aの幅が上部浸水バリア層15bの幅よりも小さくなる構成であってもよい。 (実施の形態5) 〈概要〉 本実施の形態5による床構造は、帯状の浸水バリア層15の表面が粗化された形状とからなる。 〈床層部の構成例〉 図6は、本実施の形態5による鉄道車両における床構造の一例を示す説明図である。 この図6は、図示しない鉄道車両の床部分の基材11に形成される床層部12の一部を拡大した断面を示したものである。 図6に示す床層部12が前記実施の形態2と異なるところは、浸水バリア層15の構造である。図6の浸水バリア層15の場合、図2と同様に帯状に形成されているが、該浸水バリア層15の表面15cが粗化されている。浸水バリア層15の表面15cとは、粘着材層16に接着する面であり、より床材17に近い面である、表面15cの粗化は、例えばサンドペーパなどにより研磨することで該表面15cを荒らしている。 このように、浸水バリア層15の表面15cを粗化することにより、浸水バリア層15の表面積を大きくすることができるので、水分などが突き合わせ部20から進入した際に、浸水バリア層15から下地材層14に到達するまでの実質的な距離を長くすることができる。その結果、水分が下地材層14に到達するまでの時間をより長くすることができる。すなわち、図2の浸水バリア層15に比べて防水性をより高めることができる。これにより、より床層部12における信頼性を向上させることができる。 なお、浸水バリア層15のディメンジョンに関して望ましい値については、前記実施の形態2に記載のものと同様である。また、浸水バリア層15の表面15cの粗化技術に関しては、特に制限はなく、例えばサンドブラストなどの他の技術を用いても粗化するようにしてもよい。 (実施の形態6) 〈床層部の製造例〉 図7は、本実施の形態6による床層部における製造の一例を示す説明図である。 この図7は、前記実施の形態2の図2における床層部12の製造番号を示したものである。 まず、アルミニウム合金などからなる基材11を用意する。基材11の部材については、特に制限はなく、鋼やステンレスなどであってもよい。続いて、図7(a)に示すように、基材11にプライマ層13を塗布する。 プライマ層13の塗布には、例えばスプレーを用いて、材料としてはエポキシ系樹脂を用いるものとする。この部材に関しても、基材11とその上方の下地材層14との密着性を良好にするものであれば、これ以外のものであってもよい。 そして、プライマ層13の上方に、図7(b)に示すように下地材層14を形成する。下地材層14の材料は、例えばウレタン系樹脂を主成分とする部材とする。続いて、図7(c)に示すように、下地材層14の上方に浸水バリア層15を形成する。 浸水バリア層15の材料は、エポキシ系樹脂などである。浸水バリア層15は、例えばスプレーなどを用いて下地材層14の上方面に塗布される。 浸水バリア層15の塗布箇所は、図2(a)に示す下地材層14の上方に形成される床材17の突き合わせ部20の下方および突き合わせ部21の周辺部であり、帯状に塗布される。浸水バリア層15の塗布厚さは、例えば40μm程度である。 続いて、浸水バリア層15が塗布されると、図7(d)に示すように、床材17を配置する。床材17は、該床材17の裏面側に予め粘着材層16となる粘着材が形成されている。 床材17を配置した後、図7(e)に示すように、床材17の上面、すなわち床材17の露出面をローラー40などを用いて加圧する。このとき、浸水バリア層15を形成したことによるわずかな凸部により、床材17の突き合わせ部20の下方あるいは図2(a)の突き合わせ部21近傍は、より高い圧力にて圧着されることなる。 これにより、剥離を起こしやすい突き合わせ部20あるいは突き合わせ部21の密着力が確保される。また、突き合わせ部20の下方や突き合わせ部21近傍以外の部分は、浸水バリア層15が存在しないので、下地材層14および床材17による柔らかい材料で床が構造されることなり、クッション性をより向上させることができる。 以上、図7にて示す製造方法によって製造された床層部12は、簡便な製造技術によってクッション性を確保しながら水の進入による下地材層14の剥がれや膨れを低減することができる。その結果、信頼性の高い床層部12を提供することができる。 以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。 なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。 また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。 10 鉄道車両 11 基材 11a 基材 12 床層部 13 プライマ層 14 下地材層 15 浸水バリア層 15a 下部浸水バリア層 15b 上部浸水バリア層 15c 表面 16 粘着材層 17 床材 20 突き合わせ部 21 突き合わせ部 40 ローラー |