列車制御装置

申请号 JP2014065279 申请日 2014-03-27 公开(公告)号 JP2015188293A 公开(公告)日 2015-10-29
申请人 公益財団法人鉄道総合技術研究所; 发明人 祗園 昭宏; 佐溝 昌彦; 佐藤 和敏;
摘要 【課題】 地震 発生時の新たな列車制御を実現するための技術の提供。 【解決手段】車上装置10は、自列車の列車 位置 或いは当該列車位置を含む地域に地震が到達する地震到達タイミングの情報を含む地震発生 信号 を地上装置20から受信した場合に列車速度を制御する。具体的には、地震発生信号の受信に応じて徐行速度以下または停止状態となる所定の速度規制状態となるように列車速度を制御する。在線回避推奨区間テーブル220には、自列車の走行線区のうちの在線回避推奨区間が設定される。速度制御部130は、所定ブレーキを継続動作させて速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測し、当該予測タイミングから地震到達タイミングまでの間に余裕時間がある場合に、予測位置と在線回避推奨区間との位置関係に基づいて列車速度を制御する。 【選択図】図1
权利要求

自列車の列車位置或いは当該列車位置を含む地域に地震が到達する地震到達タイミングの情報を含む地震発生信号を地上から受信した場合に列車速度を制御する列車制御装置であって、 前記自列車の走行線区のうちの在線回避推奨区間を記憶する記憶手段と、 前記地震発生信号の受信に応じて徐行速度以下または停止状態となる所定の速度規制状態となるように列車速度を制御する速度制御手段であって、所定ブレーキを継続動作させて前記速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測し、当該予測タイミングから前記地震到達タイミングまでの間に余裕時間がある場合に、前記予測位置と前記在線回避推奨区間との位置関係に基づいて列車速度を制御する速度制御手段と、 を備えた列車制御装置。前記速度制御手段は、前記予測位置が前記在線回避推奨区間内である場合に、前記地震到達タイミングにおいて前記在線回避推奨区間の終端より内方に前記速度規制状態で在線するための速度制御パターンを算出し、当該速度制御パターンで列車速度を制御する区間通過制御手段を有する、 請求項1に記載の列車制御装置。前記区間通過制御手段は、前記予測位置から前記在線回避推奨区間の終端までの距離と、前記余裕時間と、現在の走行状況と、前記自列車の列車走行性能諸元とを用いて、加速及び/又は惰行を含めて前記速度制御パターンを算出する、 請求項2に記載の列車制御装置。前記地震発生信号には、到達地震の揺れの大きさを示す指標値である到達地震指標値の情報が含まれ、 前記記憶手段は、前記在線回避推奨区間それぞれについて、前記到達地震指標値に応じた在線回避の推奨レベルを対応付けて更に記憶し、 前記区間通過制御手段は、受信した前記地震発生信号に含まれる前記到達地震指標値に対応する推奨レベルに基づいて在線回避推奨区間を選択し、当該選択した在線回避推奨区間を対象に、前記速度制御パターンを算出する、 請求項2又は3に記載の列車制御装置。前記速度制御手段は、前記予測位置が前記在線回避推奨区間の始端より外方の場合に、前記地震到達タイミングにおける列車位置が当該始端の外方となる範囲において、前記所定ブレーキより減速度が小さいブレーキで制動する制御を行う減速度低減制動手段を有する、 請求項1〜4の何れか一項に記載の列車制御装置。すれ違い列車の走行位置を含むすれ違い列車走行状況情報を取得するすれ違い列車走行状況情報取得手段を更に備え、 前記速度制御手段は、 前記すれ違い列車走行状況情報に基づいて、前記予測タイミングにおける前記すれ違い列車の走行位置を予測するすれ違い列車位置予測手段と、 前記すれ違い列車位置予測手段により予測された前記すれ違い列車の走行位置を含む所定範囲を前記在線回避推奨区間として前記列車速度の制御を行うすれ違い列車基準速度制御手段と、 を有する、 請求項1〜5の何れか一項に記載の列車制御装置。

说明书全文

本発明は、地震発生信号を地上から受信した場合に列車速度を制御する列車制御装置に関する。

鉄道システムは、地震が発生した場合には、いち早く列車を停止させることを原則として設計されている。例えば、地震発生を検知した場合にき電を停止して列車を停止させたり、地上から送信される地震情報を受信した列車がブレーキを動作させて停止させるといった方法が知られている(特許文献1参照)。

特開2012−183853号公報

列車を停止させる場合、従来の地震発生時のブレーキは、いち早く停止させるために非常ブレーキを動作させるのが一般的であった。そのため、地震時の在線をできれば回避したい位置に停止する可能性があった。例えば、地上高の高い橋梁上や、線路脇が山の斜面にほど近い区間、長い隧道の最深部等である。 また、地震が発生した場合に、停止ではなく、徐行速度まで減速させる運転方法も知られているが、徐行速度までの減速方法は、非常ブレーキ或いは常用最大ブレーキを動作させるのが一般的であったため、上述と同じ問題が生じ得た。 本発明は、上述した課題に鑑みて考案されたものであり、地震発生時の新たな列車制御を実現するための技術の提供を目的とする。

以上の課題を解決するための第1の発明は、 自列車の列車位置或いは当該列車位置を含む地域に地震が到達する地震到達タイミングの情報を含む地震発生信号を地上から受信した場合に列車速度を制御する列車制御装置(例えば、図1の車上装置10)であって、 前記自列車の走行線区のうちの在線回避推奨区間を記憶する記憶手段(例えば、図1の記憶部200)と、 前記地震発生信号の受信に応じて徐行速度以下または停止状態となる所定の速度規制状態となるように列車速度を制御する速度制御手段であって、所定ブレーキを継続動作させて前記速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測し、当該予測タイミングから前記地震到達タイミングまでの間に余裕時間がある場合に、前記予測位置と前記在線回避推奨区間との位置関係に基づいて列車速度を制御する速度制御手段(例えば、図1の速度制御部130)と、 を備えた列車制御装置である。

この第1の発明によれば、例えば地上高の高い橋梁上や長い隧道の最深部といった自列車の走行線区のうちの在線回避推奨区間を記憶し、地震到達タイミングの情報を含む地震発生信号を地上から受信した場合に、所定の速度規制状態となるように列車速度を制御する。ただし、例えば非常ブレーキや常用最大ブレーキ等の所定ブレーキを継続動作させて速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測する。そして、予測タイミングから地震到達タイミングまでの間に余裕時間がある場合には、予測位置と在線回避推奨区間との位置関係に基づいて列車速度を制御する。

したがって、列車を速度規制状態とするまでに余裕時間があれば、地震到達タイミングにおいて在線回避推奨区間以外の位置で、速度規制状態となるような列車制御を可能とする新たな列車制御技術を実現できる。

また、第2の発明は、第1の発明において、 前記速度制御手段が、前記予測位置が前記在線回避推奨区間内である場合に、前記地震到達タイミングにおいて前記在線回避推奨区間の終端より内方に前記速度規制状態で在線するための速度制御パターン(例えば、図4の速度制御パターンRP1)を算出し、当該速度制御パターンで列車速度を制御する区間通過制御手段(例えば、図1の速度制御部130、図10のステップS40〜S42)を有する、 列車制御装置である。

この第2の発明によれば、所定ブレーキを継続動作させて速度規制状態となる予測位置が在線回避推奨区間内である場合に、地震到達タイミングにおいて当該在線回避推奨区間を通過して速度規制状態となるように列車速度を制御することが可能となる。

より具体的には、例えば第3の発明のように、 前記区間通過制御手段が、前記予測位置から前記在線回避推奨区間の終端までの距離と、前記余裕時間と、現在の走行状況と、前記自列車の列車走行性能諸元とを用いて、加速及び/又は惰行を含めて前記速度制御パターンを算出する、 列車制御装置を構成することとしてもよい。

また、第4の発明は、第2又は第3の発明において、 前記地震発生信号には、到達地震の揺れの大きさを示す指標値である到達地震指標値の情報が含まれ、 前記記憶手段が、前記在線回避推奨区間それぞれについて、前記到達地震指標値に応じた在線回避の推奨レベルを対応付けて更に記憶し(例えば、図2の在線回避推奨区間テーブル210)、 前記区間通過制御手段が、受信した前記地震発生信号に含まれる前記到達地震指標値に対応する推奨レベルに基づいて在線回避推奨区間を選択し(例えば、図10のステップS16)、当該選択した在線回避推奨区間を対象に、前記速度制御パターンを算出する、 列車制御装置である。

この第4の発明によれば、在線回避推奨区間それぞれについて到達地震指標値に応じた在線回避の推奨レベルが対応付けて記憶される。そして、受信した地震発生信号に含まれる到達地震指標値に対応する推奨レベルに基づいて在線回避推奨区間が選択される。よって、到達地震の揺れの大きさに応じて、在線を回避すべき在線回避推奨区間を適切に選択することが可能となる。

また、第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明において、 前記速度制御手段が、前記予測位置が前記在線回避推奨区間の始端より外方の場合に、前記地震到達タイミングにおける列車位置が当該始端の外方となる範囲において、前記所定ブレーキより減速度が小さいブレーキで制動する制御を行う減速度低減制動手段(例えば、図5の速度制御パターンRP2)を有する、 列車制御装置である。

この第5の発明によれば、予測位置が在線回避推奨区間の始端より外方の場合には、地震到達タイミングにおける列車位置が当該始端の外方となる範囲において減速度を小さくしたブレーキで制動することが可能となる。これにより、地震到達タイミングで在線回避推奨区間内に在線することを回避しつつ、地震発生時の急ブレーキを緩和して、乗客にかかる慣性を低減することができる。

また、第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明において、 すれ違い列車の走行位置を含むすれ違い列車走行状況情報を取得するすれ違い列車走行状況情報取得手段(例えば、図1のすれ違い列車情報取得部120)を更に備え、 前記速度制御手段は、 前記すれ違い列車走行状況情報に基づいて、前記予測タイミングにおける前記すれ違い列車の走行位置を予測するすれ違い列車位置予測手段(例えば、図10のステップS10)と、 前記すれ違い列車位置予測手段により予測された前記すれ違い列車の走行位置を含む所定範囲を前記在線回避推奨区間として前記列車速度の制御を行うすれ違い列車基準速度制御手段(例えば、図10のステップS10)と、 を有する、 列車制御装置である。

この第6の発明によれば、地震到達時に、すれ違い列車の走行位置を含む所定範囲に在線することがないように列車速度を制御することが可能となる。

車上装置の機能構成を示すブロック図。

在線回避推奨区間テーブルの例を示す図。

キロ程判定テーブルの例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の一例を示す図。

本実施形態の列車制御の流れを示すフローチャート。

本発明を適用した列車制御装置である車上装置10の実施形態について説明する。車上装置10は列車に搭載されて(以下、車上装置10が搭載された列車を適宜「自列車」という)、地上装置20から地震発生信号を受信した場合に当該自列車の速度を制御する装置である。なお、自列車は、電気車や機関車、浮上式鉄道車両などの何れでもよい。

まず、車上装置10の構成について説明する。 図1は、車上装置10の機能構成を示すブロック図である。車上装置10は、制御部100と、記憶部200と、操作部310と、表示部320と、音出力部330と、列車駆動制御装置400と、ブレーキ制御装置500と、通信部600とを備え、レールを介して、或いは線路沿いに設置された漏洩同軸ケーブルを介して、或いは無線通信により地上装置20と通信可能に構成されている。

制御部100は、車上装置10を統括して制御する機能部であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーや各種電子回路等を有して構成され、走行状況情報240の随時更新や、すれ違い列車走行状況情報250の取得、列車制御用のプログラムに従った地震発生時列車制御処理(図10参照)の実行、等を行う。制御部100は、主な機能部として、走行位置算出部110と、すれ違い列車情報取得部120と、速度制御部130とを有する。

走行位置算出部110は、車軸に取り付けられた速度発電機やGPS測位装置等からの出力に基づいて、キロ程で表される線路上の自列車の位置を特定する。例えば、速度発電機から出力されるPG信号は速度に比例した周波数の電圧信号であるため、当該信号が示す速度に自列車の車輪径および単位時間を乗算することで、単位時間当たりの移動距離を求め、これを累積していくことで自列車の走行位置(例えばキロ程)を算出することができる。また、GPS測位装置からの出力は地球座標系の位置情報(緯度経度)であるため、この緯度経度を、各地点のキロ程が記録された線路地図情報と照合することで自列車の走行位置を算出することができる。位置情報に高度を含めた3次元としてもよいことは勿論である。

制御部100は、走行位置算出部110が算出する走行位置の他、運転台から得られる走行速度およびノッチ操作情報等の走行状態、走行方向(上り/下り)の情報、等を含む走行状況情報240を随時更新する。また、制御部100は、通信部600を介して最新の走行状況情報240を地上装置20に随時送信する。

すれ違い列車情報取得部120は、地上装置20から、自列車の周囲を走行し、且つ逆向きの走行(対向)或いは併走(追い抜き/追い越され)等してすれ違う列車の走行状況であるすれ違い列車走行状況情報250を随時受信する。すれ違い列車走行状況情報250には、当該すれ違い列車の走行位置の他、走行線区や走行区間、走行方向、走行速度、緊急停止する場合に想定される想定停止位置や想定停止区間、等の情報が含まれている。地上装置20は、当該線区を走行中の全ての列車から走行状況情報を受信・収集しており、各列車には、当該列車の周囲を走行するすれ違い列車の走行状況情報を随時送信している。

速度制御部130は、地震発生信号の受信に応じて徐行速度以下または停止状態となる所定の速度規制状態となるように自列車の列車速度を制御する。本実施形態では地震発生信号は地上装置20から受信することとする。地上装置20は、緊急地震速報や早期地震警報システム等の公知の地震警報システムから警報(緊急地震速報)を受信した場合に、当該線区の各列車について、当該列車の走行位置又は走行位置を含む地域に地震動が到達する地震到達タイミング(猶予時間)と到達震度とを判定し、これらの判定情報を含む地震発生信号を生成して、当該列車の車上装置10へ送信する。すなわち、自列車にとっては、地震発生信号は、地震発生後、自列車に地震が到達する前に送信される信号であり、地震到達タイミングと到達震度とを含んだ信号である。なお、到達震度は、到達地震の揺れの大きさを示す指標値(到達地震指標値)の一例である。各地点に到達した地震の揺れの大きさを示す指標値であれば、例えば、ガル等の別の値を用いてもよい。

なお、公衆無線通信網や公衆電話網などを介して公知の地震警報システムから車上装置10が直接警報(緊急地震速報)を受信し、車上装置10において自列車に地震動が到達する地震到達タイミングおよび到達震度を算出することとしてもよい。

また、地震発生信号には、複数の到達地域に関する地震到達タイミングおよび到達震度を含めることとしてもよい。その場合、到達地域別の地震到達タイミングおよび到達震度の情報が地震発生信号に含まれる。車上装置10としては、図3に示すようなキロ程判定テーブル220を記憶部200に記憶しておき、地震発生信号に含まれる到達地域の情報からキロ程を換算することで、線路上の各位置における地震到達タイミングおよび到達震度を把握することができる。

速度制御部130は、地震発生信号を受信すると、現在の走行状況から即時に非常ブレーキや常用最大ブレーキ等の所定ブレーキを継続動作させた場合に速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測する。そして、予測タイミングから、地震発生信号に含まれる地震到達タイミングまでの間に余裕時間があるかを判定し、余裕時間がある場合に、予測位置と在線回避推奨区間との位置関係に基づいて列車速度を制御する。

在線回避推奨区間とは、例えば、地上高の高い橋梁上や、線路脇が山の斜面にほど近い区間、長い隧道の最深部等、地震動の到来時に在線を回避することが推奨される区間のことであり、在線回避推奨区間テーブル210に予め設定される。図2は、在線回避推奨区間テーブル210の構成例を示す図である。在線回避推奨区間テーブル210は、当該区間の識別情報である区間名と、当該区間を定義するための両端の位置(キロ程)と、上り/下りの方向種別と、推奨レベルとを対応付けて格納する。推奨レベルは、在線を回避すべき推奨度合いが強いほど大きい値が設定され、本実施形態では、震度毎(到達地震指標値毎)に設定される。なお、区間を定義するための位置は、キロ程ではなく、緯度経度や緯度経度高度などの地球座標系上の座標で定義することとしてもよい。その場合、座標からキロ程、及び、キロ程から座標を求める機能部を別途有することとすると好適である。

具体的に図4〜図9を参照して本実施形態の列車制御を説明する。図4〜図9は、何れも余裕時間があり、列車の図示位置で地震発生信号を受信した場合の速度制御の例を示している。また、列車は横軸方向に移動することとし、曲線は当該列車の速度制御パターンを示し、太実線は在線回避推奨区間を示し、在線回避推奨区間の両端を黒三で示している。

図4は、余裕時間の間に、在線回避推奨区間Z1を通過できる場合の列車制御の例を示している。自列車T1が現在の走行状況から即時に所定ブレーキを継続動作させた場合の速度制御パターンが速度制御パターンSP1である。速度制御パターンSP1は、いわゆるブレーキ曲線となる。速度制御パターンSP1によれば、自列車T1が速度規制状態となる予測位置は位置EP1であり、在線回避推奨区間Z1内である。車上装置10は、在線回避推奨区間Z1の終端と予測位置EP1間の距離を求める。そして、当該距離と、余裕時間と、現在の走行状況と、自列車の走行性能諸元230とを用いて、加速及び/又は惰行を含めて、地震到達タイミングにおいて在線回避推奨区間Z1の終端より内方に移動できるかを判定し、移動できる場合に、その速度制御パターンRP1を算出する。すなわち、在線回避推奨区間Z1を通過させる速度制御パターンRP1である。そして、速度制御パターンRP1に従った自列車T1の速度制御を実行する。この結果、地震到達タイミングにおいて、在線回避推奨区間Z1の終端の内方である位置TP1に、自列車T1を速度規制状態で在線させることができる。

図4の例では、速度制御パターンRP1として、現状の走行速度を一時的に維持した後に、所定ブレーキを継続動作させる速度制御パターンを示しているが、一時的に加速したり、惰行したり、減速度を低減させたりした速度制御パターンを算出することとしてもよい。

図5は、自列車T2が即時に所定ブレーキを継続動作させたとしても在線回避推奨区間Z2内に位置しないため、減速度を低減させた速度制御パターンで列車制御する例を示している。即時に所定ブレーキを継続動作させた場合の速度制御パターンSP2によれば、自列車T2の予測位置は位置EP2であり、在線回避推奨区間Z2の始端よりも外方(手前方)である。そのため、所定ブレーキによって乗客にかかる慣性力を緩和するため、地震到達タイミングにおいて速度規制状態となる列車位置が在線回避推奨区間Z2の始端よりも外方となる範囲において減速度を低減する。図5の例では、元の速度制御パターンSP2よりも曲線が緩やかになった速度制御パターンRP2が算出され、この速度制御パターンRP2に従って自列車T2の速度制御が実行される。地震到達タイミングにおいて速度規制状態となる自列車T2の位置TP2は、在線回避推奨区間Z2の外方(手前方)である。

図6は、すれ違い列車T4を考慮して自列車T3の速度制御を行う場合の例を示す図である。すれ違い列車T4を対向列車として表している。すれ違い列車T4が即時に所定ブレーキを継続動作させた場合の速度制御パターンSP4によれば、すれ違い列車T4の予測位置は位置EP4である。自列車T3の車上装置10は、地震到達タイミング及びその後所定時間(例えば30秒間や1分間など)の間におけるすれ違い列車とのすれ違いを回避する目的で、このすれ違い列車T4の予測位置EP4に基づいて、すれ違い列車用の在線回避推奨区間Z3を設定する。例えば、上り/下りの方向を変更するだけで予測位置EP4のキロ程をそのまま用いることとし、当該キロ程の前後所定範囲(例えば1km)を、すれ違い列車用の在線回避推奨区間Z3として設定することができる。なお、予測位置EP4の代わりに、すれ違い列車T4が停止し得る位置や区間の情報(例えば、すれ違い列車走行状況情報250に含まれる想定停止位置や想定停止区間の情報)、すれ違い列車の進行方向前方に予め設定されている当該すれ違い列車の回避区間の情報、などを用いてすれ違い列車用の在線回避推奨区間Z3を設定してもよい。

また、自列車T3が即時に所定ブレーキを継続動作させた場合の速度制御パターンSP3によれば、自列車T3の予測位置は位置EP3である。予測位置EP3は、在線回避推奨区間Z3内である。そこで、図4を参照して説明した手法と同様にして速度制御パターンRP3を算出し、速度制御パターンRP3に従った自列車T3の速度制御を実行する。この結果、地震到達タイミングにおいて自列車T3を速度規制状態とし、且つ、すれ違い列車T4とすれ違いが生じない位置に在線させることができる。 なお、すれ違い列車T4側も自列車T3と同様の処理を実行する。

図7は、複数の在線回避推奨区間が存在する場合の列車制御の例を示す図である。在線回避推奨区間Z5は隧道内の深部に設定され、在線回避推奨区間Z6は隧道の出口より先の、線路近くに崖がある区間に設定されている。在線回避推奨区間Z5と在線回避推奨区間Z6とは重複しておらず、互いの間には在線回避推奨区間が設定されていない。 車上装置10は、基本的に、図4を参照して説明した通り、地震到達タイミングまでに在線回避推奨区間を通過できる場合には通過する列車制御を行うが、通過した先で、地震到達タイミングにおいて他の在線回避推奨区間内に在線することとならないように、速度制御パターンRP5が算出される。図7の例では、速度制御パターンRP5は、在線回避推奨区間Z5と在線回避推奨区間Z6との間の位置TP5で速度規制状態となるように算出されている。

図8は、予測位置が在線回避推奨区間内であり、地震到達タイミングまでに当該在線回避推奨区間を通過できない場合の列車制御の例を示す図である。自列車T7が即時に所定ブレーキを継続動作させた場合の速度制御パターンSP7によれば、自列車T7の予測位置は位置EP7であるが、位置EP7は在線回避推奨区間Z7内である。また、余裕時間を考慮して、地震到達タイミングにおいて速度規制状態となる地点をぎりぎりまで内方に移動させる速度制御パターンRP7を算出しても、その位置TP7は依然として在線回避推奨区間Z7内である。その場合、車上装置10は、予測位置EP7から、在線回避推奨区間SP7の両端のうちの直近の端点までの距離SDと、位置TP7から、在線回避推奨区間SP7の両端のうちの直近の端点までの距離RDとを算出する。そして、距離SDと距離RDとのうち、短い方の距離に対応する位置EP7,TP7、すなわち、短い方の距離に相当する速度制御パターンを選択する。図8の例では、距離SD>距離RDであるため、速度制御パターンRP7が選択される。そして、選択した速度制御パターンRP7に従って、自列車T7の速度制御を実行する。

図8によれば、自列車T7は、地震到達タイミングにおいて在線回避推奨区間の外に位置することができないが、在線回避推奨区間の両端のうちの近い方に位置することができる。その結果、例えば、緊急停止した後の旅客の救援や旅客の避難誘導に要する時間を短縮し得る。

図9は、複数の在線回避推奨区間の一部又は全部が重複する場合の列車制御の例を示す図である。図9によれば、在線回避推奨区間Z8と在線回避推奨区間Z9とが一部重複している。 この場合、2つの方法がある。1つは、区間の一部が重複している在線回避推奨区間Z8,Z9を連続した1つの区間とみなす方法である。もう1つは、優先順位をつけて在線回避推奨区間Z8,Z9の何れかを選択する方法である。前者の方法を採用する場合には、連続した1つの在線回避推奨区間とみなした区間に対して、図4,5,8を参照して説明した列車制御を適用することができる。後者の方法を採用する場合には、優先順位をつけて選択した在線回避推奨区間に対して、図4,5,8を参照して説明した列車制御を適用することができる。

本実施形態では後者の方法を採用し、在線回避推奨区間テーブル210に設定されている推奨レベルに基づいて在線回避推奨区間を選択することとする。具体的には、自列車の予測位置が含まれる在線回避推奨区間が複数ある場合に、当該複数の在線回避推奨区間それぞれについて到達震度に対応する推奨レベルを判定し、推奨レベルが高い方の在線回避推奨区間を選択する。例えば、図9の例では、自列車T8の予測位置T8が含まれる在線回避推奨区間Z8,Z9のうち、到達震度に対応する推奨レベルが高い方を選択する。そして、選択した在線回避推奨区間について、図4,5,8を参照して説明した列車制御を適用する。

図1に戻り、速度制御部130は、上述した列車制御を実現するための機能部として、予測部131と、すれ違い列車用回避区間設定部132と、回避区間選択部133と、速度制御パターン算出部137と、実行制御部139とを有する。

予測部131は、走行状況情報240を参照して、現在の走行状況から即時に非常ブレーキや常用最大ブレーキ等の所定ブレーキを継続動作させた場合に速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測する。なお、所定ブレーキの減速度は走行性能諸元230に予め定められている。

すれ違い列車用回避区間設定部132は、地上装置20から受信するすれ違い列車走行状況情報250に基づき、すれ違い列車が所定ブレーキを継続動作させた場合の速度規制状態となる位置を予測し、当該位置を含む所定範囲を、当該すれ違い列車とのすれ違いを回避することを目的とした在線回避推奨区間として設定する。

回避区間選択部133は、すれ違い列車用回避区間設定部132で設定された在線回避推奨区間を含め、在線回避推奨区間テーブル210に設定されている在線回避推奨区間のうちから、予測部131で予測された予測位置を含む在線回避推奨区間と、当該予測位置の内方に直近するN個(例えばNは1でもよいし、2でもよい)の在線回避推奨区間とを選択する。

速度制御パターン算出部137は、回避区間選択部133で選択された区間(在線回避推奨区間)を用いて、速度制御パターンを可変に算出する。算出する方法は、図4〜図9を参照して説明した通りである。

実行制御部139は、速度制御パターン算出部137で算出された速度制御パターンに従った速度制御を実行すべく、列車駆動制御装置400やブレーキ制御装置500に制御信号を出力して、予測タイミングに速度規制状態とさせる速度制御を実行する。

記憶部200は、ハードディスクやSSD、メモリ等によって構成され、在線回避推奨区間テーブル210(図2参照)と、キロ程判定テーブル220(図3参照)と、走行性能諸元230と、走行状況情報240と、すれ違い列車走行状況情報250とを記憶する。また、図10に示す地震発生時の列車制御を実現するためのプログラムを記憶する。

走行性能諸元230は、自列車の列車速度と減速度との関係を定めたブレーキパターンや、ブレーキノッチに対応する減速度、非常ブレーキの減速度、最高速度、最高加速度などの加減速に係る諸元や、車両重量などの車両仕様に係る諸元のデータを格納する。

操作部310は、例えば操作ボタンやスイッチ、タッチパネル等により構成され、各種データの設定や指示操作の入力に利用される。表示部320は、液晶ディスプレイや表示ランプ等により構成され、車上装置10の実行状態や実行結果等が表示される。音出力部330は、スピーカで構成され、例えば地震発生信号を受信した旨を報知したり、列車制御の内容などを音声で出力する。

列車駆動制御装置400は、自列車の走行に係る駆動源を制御する装置であり、自列車が電気車であれば電動機制御装置に相当する。ブレーキ制御装置500は、自列車を制動させる機械式ブレーキ或いは電気式ブレーキを制御する装置である。

次に、車上装置10の動作を図10を参照して説明する。 図10は、車上装置10が実行する地震発生時の列車制御の流れを示すフローチャートである。列車制御に当たって、走行状況情報240の随時更新および地上装置20への随時送信と、地上装置20からのすれ違い列車走行状況情報250の随時受信が行われているものとする。

まず、車上装置10は、地震発生信号を受信したかを監視しており(ステップS2)、地震発生信号を受信した場合には(ステップS2:YES)、予測部131が、走行状況情報240を用いて、自列車が即時に所定ブレーキを継続動作させた場合に速度規制状態となる予測位置と、その予測タイミングとを予測する(ステップS4)。そして、予測タイミングから、地震発生信号に含まれる地震到達タイミングまでの間に時間的な余裕があるか否かを判断する(ステップS6)。余裕時間がない場合には(ステップS6:NO)、所定ブレーキの継続動作を即時に開始する速度制御を行う(ステップS8)。

一方、余裕時間がある場合には(ステップS6:YES)、すれ違い列車用回避区間設定部132が、すれ違い列車走行状況情報250を用いて、予測タイミングにおけるすれ違い列車の位置を予測し、当該位置を含む所定範囲をすれ違い列車とのすれ違いを回避するための在線回避推奨区間に設定する(ステップS10)。

次いで、回避区間選択部133が、在線回避推奨区間テーブル210に設定された在線回避推奨区間、および、ステップS10で設定した在線回避推奨区間のうちから、予測位置を含む在線回避推奨区間と、予測位置の内方直近N個の在線回避推奨区間とを選択する(ステップS12)。もしも、選択した在線回避推奨区間のうち、一部又は全部が重複する区間がある場合には(ステップS14:YES)、重複する在線回避推奨区間の推奨レベルが高い方の区間を選択し、低い方の区間を選択から除外して絞り込む(ステップS16)。

次いで、速度制御パターン算出部137は、予測位置が、選択された在線回避推奨区間の何れかの区間内か否かを判定する(ステップS18)。何れの区間内でもない場合には(ステップS18:NO)、予測位置の内方直近の在線回避推奨区間の始端までを進行限界位置として(ステップS20)、この進行上限位置より手前で速度規制状態とするように減速度を低減させた速度制御パターンを算出する(ステップS22)。ステップS20〜S22は、図5を参照して説明した速度制御に該当する。

ステップS18において、予測位置が、何れかの在線回避推奨区間内の場合には(ステップS18:YES)、余裕時間や走行状況情報250、走行性能諸元230等に基づいて、予測タイミングまでに当該在線回避推奨区間を通過して速度規制状態とすることができるかを判定する(ステップS26)。通過可能の場合には(ステップS26:YES)、当該在線回避推奨区間の終端より内方において、予測タイミングで速度規制状態とするように速度制御パターンを算出する(ステップS40)。ステップS40は、図4を参照して説明した速度制御に該当する。

ステップS26において、予測タイミングまでに当該在線回避推奨区間を通過できないと判定された場合には(ステップS26:NO)、余裕時間に基づいて、自列車を最大限進行させることができる位置を算出する(ステップS30)。そして、予測位置と、ステップS30で算出した算出位置とのうち、当該在線回避推奨区間の端部に近い方を選択する(ステップS32)。そして、選択した位置に対応する速度制御パターンを算出する(ステップS34)。ステップS30〜S34は、図8を参照して説明した速度制御に該当する。

ステップS22,S34,S40の何れかの処理の後は、算出した速度制御パターンに従って、実行制御部139が速度制御を実行する(ステップS50)。こうして、在線回避推奨区間を可能な限り回避した位置に、予測タイミングまでに、速度規制状態で在線させることができる。

以上、本実施形態によれば、例えば地上高の高い橋梁上や長い隧道の最深部といった自列車の走行線区のうちの在線回避推奨区間を設定しておき、地震到達タイミングの情報を含む地震発生信号を地上から受信した場合に、所定の速度規制状態となるように列車速度を制御することができる。速度制御は、例えば非常ブレーキや常用最大ブレーキ等の所定ブレーキを継続動作させて速度規制状態となる予測位置および予測タイミングを予測する。そして、予測タイミングから地震到達タイミングまでの間に余裕時間がある場合に、予測位置と在線回避推奨区間との位置関係に基づいて速度制御が行われる。

これにより、列車を速度規制状態とするまでに余裕時間があれば、地震到達タイミングにおいて在線回避推奨区間以外の位置で、速度規制状態となるような列車制御を可能とする新たな列車制御技術を実現できる。

以上、本発明を適用した実施形態を説明したが、本発明が適用可能な形態は、上述した実施形態に限られるものではない。 例えば、上述の実施形態では、推奨レベルに基づく在線回避推奨区間の選択を、在線回避推奨区間同士が一部又は全部において重複した場合に行うこととした(図10のステップS14のYES〜S16)。この推奨レベルに基づく在線回避推奨区間の抽出を、より前段のステップで行うこととしてもよい。例えば、受信した地震発生信号に含まれる到達震度に対応する推奨レベルが、所定レベル以上の在線回避推奨区間のみを一次選択しておき、図10のステップS12では、この一次選択で選択された在線回避推奨区間の中から選択することとしてもよい。こうすることで、ステップS12で選択され得る在線回避推奨区間の数を減らすことができる。

また、どのような在線回避推奨区間を在線回避推奨区間210に設定するかの基準は任意に定められる。例えば、道床種別(バラスト/スラブ)や、脱線防止ガードの有無、曲率などを、在線回避推奨区間の設定基準に組み込むこととしてもよい。

また、上述の実施形態では、車上装置10が速度制御を行うこととして説明したが、地上装置20が各列車の速度制御を行う鉄道システムにおいては、地上装置20が、上述した車上装置10の速度制御を代替実行することとしてよい。

10…車上装置 100…制御部 120…すれ違い列車情報取得部 130…速度制御部 131…予測部 132…すれ違い列車用回避区間設定部 133…回避区間選択部 137…速度制御パターン算出部 139…実行制御部 200…記憶部 210…在線回避推奨区間テーブル 230…走行性能諸元 240…走行状況情報 250…すれ違い列車走行状況情報 20…地上装置

QQ群二维码
意见反馈