車両、及び、軌道系交通システム

申请号 JP2014559379 申请日 2013-01-29 公开(公告)号 JP6274115B2 公开(公告)日 2018-02-07
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 前山 寛之; 鈴木 崇裕; 片平 耕介;
摘要
权利要求

軌道の走行路面上を走行する走行輪と、 幅方向に間隔をあけて一対が設けられ、前記走行路面の延在方向に沿って前記軌道に設けられた測定対象との距離を検出して信号を出する位置検出部と、 前記位置検出部からの前記信号に応じて、前記走行輪の操量を制御する制御部と、 前記制御部によって該走行輪を操舵する操舵機構と、 を備え、 前記位置検出部の各々は、前記信号として、前記測定対象から離間するに従って出力が増加し、かつ該測定対象との距離が所定値以上となる範囲で出力変化率が小さくなる特性を有する信号を出力するとともに、一方の前記位置検出部と前記測定対象との距離が小さくなると、他方の該位置検出部と前記測定対象との距離が大きくなるように設けられており、 前記制御部は、一方の前記位置検出部の信号の出力を正とし、他方の前記位置検出部の信号の出力を負とした際のこれら信号の合成出力により、前記操舵量を制御し、 前記位置検出部は、前記走行輪の回転軸線の延長線上にそれぞれ設けられている車両。一対の前記位置検出部は、前記信号の合成出力が、前記走行路面において前記幅方向の中央位置から外れた位置を走行する際に出力の変化率が大きくなり、かつ、該中央位置を走行する際に出力の変化率が小さくなるように、前記信号を出力する請求項1に記載の車両。請求項1又は2に記載の車両と、 前記車両が走行する走行路面を有する軌道と、 前記車両に対して電力供給の制御を行って、運行計画に応じて走行させる運行制御部と、 前記走行路面の延在方向に沿って前記軌道に設けられた測定対象と、 を備える軌道系交通システム。前記位置検出部の各々は、前記測定対象から離間するに従って前記信号の出力が増加し、かつ該測定対象との距離が所定値以上となる範囲で前記信号の出力の変化率が小さくなる特性のセンサを有し、 前記測定対象は、前記走行路面と交差するように該走行路面の延在方向に延設された案内レールの案内面である請求項3に記載の軌道系交通システム。前記センサは、渦電流センサである請求項4に記載の軌道系交通システム。

说明书全文

本発明は、自動操可能な車両と、この車両が走行する軌道を備える軌道系交通システムに関する。

バスや鉄道以外の新たな交通手段として、車両がゴムタイヤからなる走行輪で軌道上を走行するとともに、車両の案内輪が案内レールで案内される軌道系交通システムが知られている。このような軌道系交通システムは、一般に新交通システムやAPM(Automated People Mover)と呼ばれている。

また、この種の新交通システムにおいては操舵方式として、サイドガイド方式とセンターガイド方式とがある。これらの操舵方式は、いずれも案内輪が案内レールに沿うことによって車両が誘導案内されるいわゆるパッシブ操舵方式である。このうちサイドガイド方式は、軌道の両側の案内レールに車両の両側の案内輪を沿わせて車両を誘導案内するものであり、案内レールと案内輪との間には隙間が設けられており、車両の両側にある案内輪はどちらかが常に案内レールに接触している。

このようにパッシブ操舵方式では、案内輪のいずれかが案内レールに常に接触しているため、案内レールが撓んでいたり、連続する案内レールの接続部に段差が発生したりすることによって車両の走行中に振動が発生し、乗り心地が悪化するという問題がある。そこで、案内輪が案内レールに非接触となるように自動操舵機能によって車両を走行させることで、乗り心地向上を図ることが考えられる。

ここで、特許文献1には、コース上に敷設された磁気マーカからの磁界を車両のセンサで受け、コースに沿って車両を走行させるように車両の操舵制御を行う操舵制御装置が開示されている。

特開2001−273033号公報

しかしながら、特許文献1では、所定間隔で敷設された磁気マーカからは点の情報しか得ることができない。このため、車両は車輪速センサ等を用いて走行コースを推定しながら操舵されて走行することになる。従って制御が非常に複雑になるため高速走行時には制御遅れが発生し、軌道上で車両を所望の走行コースからある範囲以上外れないように安定して走行させることは難しい。

本発明は、簡易な制御によって、より確実に所望のコースを車両に走行させることが可能な軌道系交通システムを提供する。

本発明の第一の態様に係る車両は、軌道の走行路面上を走行する走行輪と、幅方向に間隔をあけて一対が設けられ、前記走行路面の延在方向に沿って前記軌道に設けられた測定対象との距離を検出して信号を出する位置検出部と、前記位置検出部からの前記信号に応じて、前記走行輪の操舵量を制御する制御部と、前記制御部によって該走行輪を操舵する操舵機構と、を備え、前記位置検出部の各々は、前記信号として、前記測定対象から離間するに従って出力が増加し、かつ該測定対象との距離が所定値以上となる範囲で出力変化率が小さくなる特性を有する信号を出力するとともに、一方の前記位置検出部と前記測定対象との距離が小さくなると、他方の該位置検出部と前記測定対象との距離が大きくなるように設けられており、前記制御部は、一方の前記位置検出部の信号の出力を正とし、他方の前記位置検出部の信号の出力を負とした際のこれら信号の合成出力により、前記操舵量を制御し、前記位置検出部は、前記走行輪の回転軸線の延長線上にそれぞれ設けられている

このような軌道系交通システムによると、位置検出部によって測定対象との距離を検出した後、位置検出部各々からの信号の出力を制御部で合成する。ここで、一方の位置検出部が測定対象に近接し、かつ他方の位置検出部が測定対象から離間する領域(以下、第一領域とする)では、一方の位置検出部からの出力は測定対象に近接するにつれて大きな変化率で変化するとともに、他方の位置検出部では出力が大きな状態で、かつ出力変化率が小さくなっている(出力信号がフラットな状態である)。従って、上記第一領域において、一方の位置検出部の出力を正の数値とし、他方の位置検出部の出力を負の数値としてこれら二つの位置検出部の出力を合成すると、合成出力の出力信号は大きな変化率で変化する。 また逆に、一方の位置検出部が測定対象から離間し、かつ他方の位置検出部が測定対象に近接する領域(以下、第二領域とする)では、一方の位置検出部では出力が大きな状態で、かつ出力変化率が小さくなっているとともに他方の位置検出部の出力は測定対象に近接するにつれて大きな変化率で変化する。従って、上記第二領域において、一方の位置検出部の出力を正の数値とし、他方の位置検出部の出力を負の数値としてこれら二つの位置検出部の出力を合成すると、合成出力の出力信号は大きな変化率で変化する。 さらに、両方の位置検出部と測定対象との距離がほぼ同じ状態である領域、即ち、上記第一領域と上記第二領域との間の中間領域では、各々の位置検出部の出力が大きく変化する状態と出力変化率が小さくなっている状態との間の遷移状態となる。従って、この中間領域において、一方の位置検出部の出力を正の数値とし、他方の位置検出部の出力を負の数値としてこれら二つの位置検出部の出力を合成しても、第一領域及び第二領域と比較して出力信号は緩やかに変化する遷移状態を示すことになる。 このようにして、測定対象と一方の位置検出部との距離が近接している場合から離間している場合へと車両の位置が変化するにつれて、二つの位置検出部の合成出力は、第一領域、中間領域、第二領域へと変化することになるため、合成出力の出力信号は大きな変化率で変化した後に、緩やかに変化する遷移状態を示し、再び大きな変化率で変化する。よって、走行させたい幅方向の所定位置に車両がある場合に、合成出力の出力信号が中間領域に位置するように、またこの所定位置から車両が外れた場合には、合成出力の出力信号が第一領域、第二領域に位置するように、位置検出部からの信号の出力特性と設定する。これにより、所定位置から外れた際には、変化率の大きな合成出力信号によって迅速にこの所定位置に戻すように車両を制御でき、またこの所定位置に近づくと、変化率の小さな遷移状態の合成出力信号によって緩やかに操舵制御を行うことが可能となる。このため、所定位置に車両に戻すように操舵制御する際に、車両がこの所定位置をオーバーし、このような動きを繰り返すことで蛇行走行してしまうことを抑制できる。よって、車両を走行路面の幅方向の所望のコースで確実に走行させることができる。

また、本発明の第二の態様に係る車両では、上記第一の態様における一対の前記位置検出部は、前記信号の合成出力が、前記走行路面において前記幅方向の中央位置から外れた位置を走行する際に出力の変化率が大きくなり、かつ、該中央位置を走行する際に出力の変化率が小さくなるように、前記信号を出力してもよい。

このように、位置検出部からの信号の出力特性を選択することで、幅方向の中央位置から外れて走行する際には、迅速に中央位置に戻すように車両を制御でき、またこの中央位置に近づくと、緩やかに操舵制御を行うことが可能となる。このため、中央位置を挟んで蛇行走行してしまうことを抑制でき、車両を走行路の幅方向の中央位置で確実に走行させることができる。

また、本発明の第三の態様に係る軌道系交通システムでは、上記第一又は第二の態様における車両と、前記車両が走行する走行路面を有する軌道と、前記車両に対して電力供給の制御を行って、運行計画に応じて走行させる運行制御部と、前記走行路面の延在方向に沿って前記軌道に設けられた測定対象と、を備える。

このような軌道系交通システムによると、運行制御部によって車両を走行させるとともに、測定対象との距離を検出する一対の位置検出部からの合成出力を用いて制御部で操舵量を制御する。これにより、軌道の走行路面上で、幅方向の所定位置から外れて車両が走行する際には、迅速に所定位置に戻すように車両を制御できる。また、この所定位置に車両が近づくと、緩やかに操舵制御を行うことが可能となる。このため、所定位置を挟んで蛇行走行してしまうことを抑制でき、車両を走行路面上の幅方向の所定位置で確実に走行させることができる。

さらに、本発明の第四の態様に係る軌道系交通システムでは、上記第三の態様における前記位置検出部の各々は、前記測定対象から離間するに従って前記信号の出力が増加し、かつ該測定対象との距離が所定値以上となる範囲で前記信号の出力の変化率が小さくなる特性のセンサを有し、前記測定対象は、前記走行路面と交差するように該走行路面の延在方向に延設された案内レールの案内面であってもよい。

軌道系交通システムでは、案内レールが軌道に敷設されて、この案内レールの案内面によってガイドされながら車両が走行する。従って、あらたに測定対象を設置することがないため、コストを抑制しながらセンサの合成出力を用いた簡易な操舵制御によって、確実に所望のコース上で車両を走行させることができる。

さらに、本発明の第五の態様に係る軌道系交通システムでは、上記第四の態様における前記センサは、渦電流センサであってもよい。

このような渦電流センサを適用することで、測定対象から離間するに従って出力の変化率が小さくなっていき、即ち、出力が飽和状態となる。よって、センサの合成出力を用いた簡易な操舵制御によって、確実に所望のコース上で車両を走行させることができる。

本発明の車両、及び軌道系交通システムによれば、一対の位置検出部からの出力を合成した合成出力で操舵制御を行うことで、簡易な制御によって、より確実に所望のコースを車両に走行させることが可能となる。

本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システムの正面図である。

本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システムの走行装置を示す平面図である。

本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システムの走行装置の要部を示す平面図である。

本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システムの走行装置の要部を示す図であって、図3のA−A断面を示す。

本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システムに関し、センサの出力特性を示す図である。

本発明の第一実施形態の第一変形例に係る軌道系交通システムの走行装置の要部を示す図であって、図3のA−A断面と同じ位置の断面を示す。

本発明の第一実施形態の第二変形例に係る軌道系交通システムの走行装置の要部を示す図であって、図3のA−A断面と同じ位置の断面を示す。

本発明の第二実施形態に係る軌道系交通システムの走行装置の要部を示す図であって、図3のA−A断面と同じ位置の断面を示す。

〔第一実施形態〕 以下、本発明の第一実施形態に係る軌道系交通システム(以下、単に交通システムとする)1について説明する。 図1及び図2に示すように、交通システム1は、車両3と、車両3が走行する軌道2と、車両3に対して電力供給の制御を行って、運行計画に応じて車両3を走行させる運行制御部15と、車両3を軌道2の幅方向の左右両側で案内する鋼材を材料とする案内レール7とを備えており、車両3が幅方向の左右両側で案内されながら走行するいわゆるサイドガイド方式のシステムとなっている。 ここで、車両3の走行方向前方を単に前方として前後方向を規定し、前方に向かって右を右側、左を左側として左右方向を規定する。

図1から図4に示すように、車両3は、車体10と、車体10を車両3の前後方向における前方及び後方で下方から支持する二つの走行装置11と、車両3の幅方向の左右両側に配された集電装置14とを有している。 また、車両3は、車両3の走行位置を検出する位置検出部8と、位置検出部8からの信号によって車両3を操舵する制御部9とを有している。

車体10は、直方体形状をなして走行装置11の上部に設けられ、内部に乗客を収容する。

各々の走行装置11は、左右一対の走行輪12と、この一対の走行輪12を連結する車軸17と、車軸17及び一対の走行輪12を支える懸架装置18と、案内レール7に対向して設けられた案内輪19と、走行輪12を操舵する操舵機構13とを有している。

ここで、二つの走行装置11は、車体10の下方に前後対称となるように設けられており、以下では、前方の走行装置11について代表して説明を行う。

走行輪12は、各々の走行装置11の左右に間隔をあけて一対が設けられており、走行輪12の転動によって軌道2上を車両が走行可能となっている。

車軸17は、幅方向左右に延在する軸線を中心とした棒状をなし、この軸線回りに走行輪12とともに回転する。

懸架装置18は、車軸17、走行輪12を支持するとともに、軌道2からの衝撃を吸収する。

案内輪19は、走行装置11に設けられて車両3の左右両側に配され、上下方向に平行な軸線を中心として前述の案内レール7に接した際に転動する。また、案内レールとの接触部分、即ち案内輪19の外周部分が、例えばウレタンゴム等の弾性体によって形成されている。本実施形態ではこの案内輪19は、走行輪12の前後において、かつ左右両側に設けられており、即ち、一つの走行装置11当たりで合計四つが設けられている。

なお、この案内輪19の下方には分岐案内輪22が設けられており、軌道2における分岐部で軌道2に設けられた不図示の分岐案内レールに接して転動し、車両3を分岐方向へと案内する。

操舵機構13は、幅方向左右の両端で案内輪19を転動可能に支持する支持枠24と、車体10の床面に対して垂直な旋回軸回りに支持枠24を旋回可能に支持する旋回軸受25と、支持枠24の旋回に応じて走行輪12を操舵する操舵リンク26と、支持枠24に旋回力を付与するアクチュエータ39とを有している。

支持枠24は、幅方向左右に延びて、車軸17を中心として前後に配置されている前後一対の第一横梁31と、前後方向に延び、前後一対の第一横梁31同士を連結する左右一対の縦梁32と、一対の縦梁32を接続するように幅方向左右に延びる第二横梁33を有している。第二横梁33は、前側の第一横梁31よりも後方で、この第一横梁31沿うように配置されている。

旋回軸受25は、旋回軸受25の外輪と内輪とのうち、一方が支持枠24に固定され、他方が懸架装置18に固定されている。

操舵リンク26は、走行輪12のキングピン(不図示)を基準として走行輪12と一体的に揺動するステアリングアーム27と、このステアリングアーム27と第二横梁33とを連結するステアリングロッド28と、を有している。ステアリングロッド28の一方の端部は、ステアリングアーム27の端部とピン結合され、他方の端部は第二横梁33の中央部にピンで連結されている。

アクチュエータ39は、可動ロッド36を有する例えば油圧シリンダ等であり、アクチュエータ39のシリンダ部は、走行装置11の所定のフレーム11aに可動ロッド36の伸縮方向が左右方向に沿うように取り付けられている。可動ロッド36の端部は、支持枠24の第二横梁33の中央部と連結ピン37で連結されている。

集電装置14は、軌道2に設けられた電車線6に接触することで不図示の電動機に対して電力を供給し、走行輪12を回転させる。

軌道2は、走行輪12が転動して車両3が走行する走行路面4と、走行路面4の幅方向左右両側で、車両3を囲うように上方に向かって立設された側壁5とを有している。

運行制御部15は、車両3の外部に設けられ、例えば、停車位置や走行速度等の運行計画に基づいて、電車線6から車両3へ供給される電力等の制御を行う。

案内レール7は、軌道2の側壁5の内面に沿って前後方向に延設されている。即ち、走行路面4に交差するように設けられている。そして、この案内レール7の左右方向の車両3側を向く面が案内面7a(測定対象)となっており、この案内面7aに案内輪19の外周部分が接触した際に、案内輪19を転動させて車両3を案内する。 ここで、本実施形態では、車両3が軌道2において左右方向の中央位置に位置している状態で、案内面7aと案内輪19との距離がLとなるように設定されている。

次に、車両3が有する位置検出部8、制御部9について説明する。 位置検出部8は、車軸17の回転軸線の延長線上であって走行輪12と軌道2の側壁5との間に配されるように、不図示のブラケット等によって走行装置11の支持枠24か、または車体10に左右一対が取り付けられて設けられている。

各々の位置検出部8は、案内レール7の案内面7aとの距離を検出するセンサ40を有しており、本実施形態では、このセンサ40は幅方向左右で案内面7aに対向するように、略同一の上下方向位置に配されている。また本実施形態では、車両3が軌道2において左右方向の中央位置に位置している状態で、案内面7aとセンサ40との距離が案内面7aと案内輪19との距離Lよりも大きな「L+δ」(以下、Dとする)となるように設定されている。

そして、このセンサ40としては、案内面7aから離間するに従って出力が大きく増加し、かつ案内面7aとの距離が所定値以上となる範囲で出力変化率が小さくなる特性のセンサ40を用いることができる。そして、本実施形態ではこのようなセンサ40の一例として、測定距離が0.5D(Dの半分)程度の短距離用の渦電流式変位センサ(渦電流センサ)を用いており、案内面7aとの距離がこの0.5Dを超えてくると出力変化率が小さくなり、即ち出力が飽和する。

制御部9は、一対のセンサ40の出力を合成してこの合成出力から走行輪12の操舵量を決定する操舵量演算部54と、操舵量演算部54で決定された操舵量を出力して走行輪12を操舵させる操舵駆動部55とを有している。

ここで、本実施形態では制御部9は車両3に搭載されているが、車両3の外部に設けられていても構わない。なお図2では、制御部9は、車両3の外部に設けられているような記載となっているが、実際には車両3に搭載されている。

操舵駆動部55は、操舵量演算部54で決定された走行輪12の操舵量に基づきモータ等を駆動させ、アクチュエータ39を動作させる。即ち、アクチュエータ39の可動ロッド36を伸縮させることによって、連結ピン37を介して第二横梁33を構成する支持枠24を旋回軸回りに旋回させる。このようにして支持枠24の旋回によりステアリングロッド28を介して、左右の走行輪12が操舵されるアクティブ操舵制御を行う。

操舵量演算部54では、以下のように、一対のセンサ40の合成出力が生成される。ここで、前方の台車における右側の位置検出部8におけるセンサ40をセンサ40Aとし、左側の位置検出部8におけるセンサ40をセンサ40Bとする。なお、センサ40Aとセンサ40Bとは同じセンサを使用する。

図5に示すように、センサ40A及びセンサ40Bの出力は、上述したように案内面7aから離間するに従って出力が大きく増加し、かつ案内面7aとの距離が所定値以上となる範囲で出力変化率が小さくなる特性を有している。

そして、車両3が幅方向の中央位置から右側に寄って走行しようとすると、センサ40Aが案内面7aに近接し、一方でセンサ40Bは案内面7aから離間する。

従って、センサ40Aの案内面7aとの距離が0から0.5D程度となり、かつセンサ40Bと案内面7aとの距離が2D(Dの二倍)から1.5D(Dの1.5倍)程度となる第一領域F1では、センサ40Aの出力は大きな変化率で変化(減少)していくとともに、センサ40Bでは出力が大きい状態で出力変化率が小さくなる(出力信号がフラットな状態となる)。 ここで、本実施形態では渦電流式変位センサであるセンサ40での出力は電圧値である。

そして、この第一領域F1において、センサ40Aの出力を正の値として、またセンサ40Bの出力を負の値として合成することで、この合成出力が負の値から大きな変化率で増加しながら0に近づいていく。

また逆に、車両3が左右方向の中央位置から左側に寄って走行しようとすると、センサ40Aが案内面7aから離間し、一方でセンサ40Bは案内面7aに近接する。

従って、センサ40Aの案内面7aとの距離が2Dから1.5D程度となり、かつセンサ40Bと案内面7aとの距離が0から1.5D程度となる第二領域F2では、センサ40Aでは出力が大きな状態で、かつ出力変化率が小さくなる(出力信号がフラットな状態となる)とともに、センサ40Bの出力は大きな変化率で変化(増加)する。

そして、この第二領域F2において、センサ40Aの出力を正の値として、またセンサ40Bの出力を負の値として合成することで、この合成出力が正の値で、大きな変化率で変化(増加)していく。

さらに、車両3が走行路面4の幅方向の中央位置で走行しようとすると、センサ40Aと案内面7aとの距離、センサ40Bと案内面7aとの距離が略等しくなる。

従って、これらの距離が、約0.5Dから約1.5Dとなる上記第一領域F1と上記第二領域F2との間の中間領域F3では、センサ40の出力が大きく変化(増加、減少)する状態と、出力変化率が小さくなっている状態との間の遷移状態を示す。

そして、この中間領域F3において、センサ40Aの出力を正の値として、またセンサ40Bの出力を負の値として合成することで、この合成出力は、出力が0となる状態を挟んで、負の値から正の値へと緩やかに変化(増加)する遷移状態となる。

これら第一領域F1、中間領域F3、第二領域F2を通じてセンサ40A、センサ40Bの合成出力を見ると、第一領域F1、中間領域F3、第二領域F2の順に、合成出力はまず大きく増大し、その後に変化率が小さい状態となって緩やかに増大し、再び大きく増大する出力特性を有している。

このような交通システム1においては、車両3の走行位置が軌道2の走行路面4の幅方向の中央位置近傍である場合に、即ち、本実施形態では、案内輪19と案内面7aとの距離がL前後となり、かつ二つのセンサ40(40A、40B)と案内面7aとの距離がD前後となる。この場合、センサ40(40A、40B)の合成出力は中間領域F3に位置することになる。よって、車両3がちょうど中央位置にある場合にセンサ40(40A、40B)の合成出力は0となる。

一方で、車両3の走行位置が走行路面4の幅方向左右に中央位置から外れている場合、センサ40(40A、40B)の合成出力は、第一領域F1及び第二領域F2に位置するため、出力変化率は大きくなっている。

これにより、車両3が走行路面4の幅方向の中央位置から外れた際には変化率の大きな合成出力信号によって、迅速に中央位置に戻すように制御部9によって走行輪12を操舵制御できる。また中央位置に近づくと、変化率の小さな合成出力信号によって緩やかに操舵制御を行うことが可能となる。換言すると、軌道2の幅方向の中央位置から車両3が外れて走行しているときは操舵の反応速度が早いが、中央位置に近づくと操舵の反応速度が鈍くなる。

従って、振動や外乱等によって、車両3が片側によって走行しようとした場合であっても、車両3を中央位置に戻す際に中央位置をオーバーし、このような動きを繰り返すことで蛇行走行してしまうことがなくなるため、確実に車両3を走行路面4の幅方向の中央位置を走行させることができる。

さらに、制御部9では、二つのセンサ40(40A、40B)の出力を合成し、この合成出力によってアクチュエータ39を動作させて走行輪12を操舵するといった、非常に簡易な制御を用いている。このため制御遅れが発生しにくいため、車両3が高速で走行したとしても確実に操舵制御を行い、中央位置での走行が可能となる。

また、位置検出部8のセンサ40(40A、40B)には、測定距離の短いセンサ40(40A、40B)を用いることができるため、センサ40(40A、40B)の小型化や、軽量化が可能となり、コストダウンにもつながる。

さらに、位置検出部8のセンサ40(40A、40B)は、案内レール7の案内面7aとの距離を測定し、これに基づき制御部9で出力信号を生成しているため、案内レール7と別途に距離の測定対象を設ける必要がなく、このような測定対象の設置の手間を省き、コストの抑制が可能である。

本実施形態の交通システム1によると、一対の位置検出部8でのセンサ40(40A、40B)の出力を合成することによって操舵制御が可能となるため、簡易な制御を用いて、より確実に所望のコースを車両に走行させることが可能となる。

ここで、位置検出部8におけるセンサ40(40A、40B)は、渦電流式変位センサに限定されず、例えば静電容量型の変位センサでもよく、少なくとも出力がある所定の値に飽和する飽和型のセンサであればよい。なお、センサ40(40A、40B)の出力特性は、車両3の走行速度、案内面7aと案内輪19との距離等、様々なパラメータを考慮して選択する必要がある。

また、センサ40(40A、40B)の配置位置は、車軸17の回転軸線の延長線上であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されず、前後方向にずれて配されていてもよいし、案内面7aとの間の距離測定が可能であれば、上下方向の位置も上述の実施形態に限定されない。ただし、案内面7aと一方のセンサ40との距離が小さくなると、案内面7aと他方のセンサ40との距離が大きくなるように設けられている必要がある。

なお、本実施形態では、センサ40Aと40Bとは同じセンサを使用しており、さらに車両3の走行位置が走行路面4の中央位置であるため、車両3が中央位置にある状態で案内面7aと各々のセンサ40の左右方向の離間距離が等しくなっている必要がある。

ここで、図6に示すように、走行装置における左右二つの走行輪12の間にセンサ40A、センサ40Bを配置してこれらによって左右から挟まれるように、走行路面4上の幅方向の中央位置で上方に突出するように測定対象67を設け、このような構成によって、車両3の操舵制御を行ってもよい。即ち測定対象67を別途設けることとなるため、仮に、案内レール7が設けられていない軌道においても、本実施形態の操舵制御を適用可能となる。また図示はしないが、このような測定対象67を軌道2の側壁5に沿って設けてもよい。

さらに、図7に示すように、軌道2中央位置での走行路面4上に案内レール77が設けられたセンターガイド方式の交通システム1にも、本実施形態の操舵制御を適用可能である。この場合、案内レール77における軌道2の側壁5の内面を向く面77a(測定対象)との距離をセンサ40が測定する。

また、上述した案内面7aと案内輪19との距離L、案内面7aとセンサ40との距離D、センサ40の測定距離0.5D等は一例であり、これらの距離は必ずしもこのような関係とならなくてもよい。即ち、センサ40の種類や特性によってもこれら距離同士の関係は異なるため、センサ40に応じて、適宜設定する必要がある。

〔第二実施形態〕 次に本発明の第二実施形態に係る交通システム1Aについて説明する。 第一実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。 本実施形態の交通システム1Aは、案内レールの案内面7aに代えて構造物82を備えているとともに、位置検出部80が第一実施形態とは異なっている。

図8に示すように、位置検出部80は、車軸17の回転軸線と平行な線分上であって、左右二つの走行輪12の間に配されるように、不図示のブラケット等によって走行装置11の支持枠24か、または車体10に左右一対が取り付けられて設けられている。

この位置検出部80には、構造物82との距離を検出するセンサ81を有しており、本実施形態では、このセンサ81は構造物82の斜め上方で対向するように配されている。また本実施形態では第一実施形態と同様に、車両3が走行路面4において幅方向の中央位置に位置している状態で、構造物82とセンサ81との距離がDとなるように設定されている。

そして、このセンサ81としては、構造物82との間の距離が小さくなるに従って出力が増加する特性のセンサ81を用いることができる。そして、本実施形態ではこのようなセンサ81の一例として、レーザーセンサを用いている。 ここで、前方の台車における右側の位置検出部80におけるセンサ81をセンサ81Aとし、左側の位置検出部80におけるセンサ81をセンサ81Bとする。

構造物82は、走行装置11における左右二つの走行輪12の間で、走行路面4上の幅方向の中央位置で上方に突出するように設けられており、この構造物82における上方を向く面がセンサ81(81A、81B)に対向する検知面83(測定対象)となっている。

検知面83は、センサ81Aとの距離が小さくなると、センサ81Bとの距離が大きくなるように設けられ、即ち、構造物82はセンサ81Aとセンサ81Bとによって挟まれるように、走行路面4の中央位置に設けられている。

さらに、検知面83は各々のセンサ81(81A、81B)が幅方向左右から近接するに従って、センサ81(81A、81B)との距離が小さくなり、かつ各々のセンサ81(81A、81B)との距離が所定値以下となる範囲で距離の変化率が小さくなる形状をなしている。即ち、走行路面4の中央位置を基準として左右対称となるように設けられ、中央位置に向かうに従って上方への突出高さが増加していく形状となっている。そして詳細形状としては、センサ81A側の形状が、第一実施形態で説明した図5におけるセンサ40Aの出力特性の線形と同等形状をなしている。また、検知面83のセンサ81B側の形状は、センサ81A側の形状を、走行路面4の幅方向中央位置を境に反転させた対称形状をなしている。

このような交通システム1Aによると、各位置検出部80のセンサ81(81A、81B)は検知面83に近接するに従って出力が増加する出力特性を有するレーザーセンサである。さらに、検知面83は、センサ81(81A、81B)が幅方向に近接するに従ってセンサ81(81A、81B)との距離が小さくなり、センサ81(81A、81B)との距離が所定値以下となる範囲で距離の変化率が小さくなる形状をなしている。

従って、レーザーセンサのような直線的な出力信号を出力するようなセンサ81(81A、81B)を用いたとしても、検知面83の形状を上記のようにすることで、第一実施形態で説明した渦電流式変位センサと同様な出力信号を得ることができる。

このため、一対の位置検出部80でのセンサ81(81A、81B)の出力を合成することによって操舵制御が可能となり、簡易な制御を用いて、より確実に所望のコースを車両に走行させることが可能となる。

ここで、位置検出部80におけるセンサ81(81A、81B)は、レーザーセンサに限定されず、例えば超音波センサであってもよく、少なくとも直線的に単調変化する出力信号を得ることができるセンサであればよい。センサ81(81A、81B)の出力特性、検知面83の形状は、車両3の走行速度、案内面7aと案内輪19との距離等、様々なパラメータを考慮して選択する必要がある。

なお、検知面83を有する構造物82を車両3の幅方向左右に設けて、操舵制御を行ってもよい。

以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。

本発明は、自動操舵可能な車両と、この車両が走行する走行路を有する軌道とを備える軌道系交通システムに関する。本発明の軌道系交通システムによれば、一対の位置検出部でのセンサの出力を合成することで操舵制御が可能となるため、簡易な制御によって、より確実に所望のコースを車両に走行させることが可能となる。

1…(軌道系)交通システム 2…軌道 3…車両 4…走行路面 5…側壁 6…電車線 7…案内レール 7a…案内面(測定対象) 8…位置検出部 9…制御部 10…車体 11…走行装置 11a…フレーム 12…走行輪 13…操舵機構 14…集電装置 15…運行制御部 17…車軸 18…懸架装置 19…案内輪 22…分岐案内輪 24…支持枠 25…旋回軸受 26…操舵リンク 27…ステアリングアーム 28…ステアリングロッド 31…第一横梁 32…縦梁 33…第二横梁 36…可動ロッド 37…連結ピン 39…アクチュエータ 40(40A、40B)…センサ 54…操舵量演算部 55…操舵駆動部 F1…第一領域 F2…第二領域 F3…中間領域 67…測定対象 77…案内レール 77a…面 1A…交通システム 80…位置検出部 81(81A、81B)…センサ 82…構造物 83…検知面(測定対象)

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