案内輪、走行台車、及び車両

申请号 JP2013257453 申请日 2013-12-12 公开(公告)号 JP5730381B1 公开(公告)日 2015-06-10
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 片平 耕介; 田村 宗; 星 光明;
摘要 【課題】摩耗状況を容易に判断でき、メンテナンス性を向上させることができる案内輪、走行台車、及び車両を提供する。 【解決手段】軌道に沿って延在する案内レールに接する環状のトレッド部61と、軸方向に沿うトレッド部61の両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部62と、を備え、車両を軌道に沿って案内する案内輪33であって、サイドウォール部62には、周方向の全周に亘って突条部63a,63bが設けられていることを特徴とする。 【選択図】図7
权利要求

軌道に沿って延在する案内レールに接する環状のトレッド部と、 前記トレッド部の軸方向における両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部と、を備え、 車両を前記軌道に沿って案内するとともに、前記車両の上下方向に延びる輪軸の軸心に対して偏心して連結されて、偏心位置を該輪軸の軸心に対して前記車両の前後方向で離間した初期位置と、該輪軸の軸心に対して前記車両の左右方向の外側に位置する最終位置と、これら初期位置と最終位置との間に位置する中間位置と、の3段階で調整可能な案内輪であって、 前記サイドウォール部には、周方向の全周に亘って摩耗表示部が設けられ、 前記摩耗表示部は、径方向に間隔をあけて複数設けられて軸方向に沿って凹状または凸状を呈し、 前記摩耗表示部は、前記トレッド部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1突条部と、該第1突条部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2突条部とを有し、又は、前記摩耗表示部は、前記トレッド部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1溝部と、該第1溝部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2溝部とを有し、 前記第1突条部及び前記第1溝部は、摩耗が前記第1突条部及び前記第1溝部まで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記初期位置から前記中間位置に調整するように形成され、 前記第2突条部及び前記第2溝部は、摩耗が前記第2突条部及び前記第2溝部まで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記中間位置から前記最終位置に調整するように形成され、 ていることを特徴とする案内輪。軌道に沿って延在する案内レールに接する環状のトレッド部と、 前記トレッド部の軸方向における両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部と、を備え、 車両を前記軌道に沿って案内するとともに、前記車両の上下方向に延びる輪軸の軸心に対して偏心して連結されて、偏心位置を該輪軸の軸心に対して前記車両の前後方向で離間した初期位置と、該輪軸の軸心に対して前記車両の左右方向の外側に位置する最終位置と、これら初期位置と最終位置との間に位置する中間位置と、の3段階で調整可能な案内輪であって、 前記トレッド部には、径方向の内側に向けて窪むとともに、径方向から見た前記トレッド部の側面視形状が摩耗に伴って変化する摩耗表示部が設けられ、 前記摩耗表示部は、径方向に沿う深さが異なる複数の穴部を備え、 前記穴部は、第1穴部と、該第1穴部に比べて径方向に沿う深さが浅い第2穴部と、を備え、 前記第2穴部は、摩耗が前記第2穴部が消滅するまで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記初期位置から前記中間位置に調整するように形成され、 前記第1穴部は、摩耗が前記第1穴部が消滅するまで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記中間位置から前記最終位置に調整するように形成され、 ていることを特徴とする案内輪。請求項2に記載の案内輪において、 前記摩耗表示部は、径方向の内側に向かうに従い内径が縮小する穴部を備えていることを特徴とする案内輪。請求項1から請求項3の何れか1項に記載の案内輪において、 光透過性を有する材料により構成されていることを特徴とする案内輪。車軸に連結された走行輪と、 前記案内レールに案内される案内装置と、を備え、 前記案内装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の案内輪を有していることを特徴とする走行台車。車体と、 前記車体の下部に設けられた請求項5に記載の走行台車と、を備えていることを特徴とする車両。

说明书全文

本発明は、案内輪、走行台車、及び車両に関する。

バスや鉄道以外の新たな交通手段として、ゴムタイヤ等からなる走行輪によって軌道上を走行する軌道系交通システムが知られている。このような軌道系交通システムは、一般に新交通システムやAPM(Automated People Mover)と呼ばれている。

この種の軌道系交通システムの車両は、車軸に連結された走行輪と、軌道に沿って設けられた案内レールに接触して転動する案内輪を有する案内装置と、を備え、案内装置の案内輪が案内レールに案内されることで、各走行輪が操されて軌道上を走行するようになっている。 案内装置は、車幅方向に沿って延在する案内枠を備え、案内枠の両端部に配設された輪軸の軸心に対して偏心した状態で上述した案内輪が回転可能に設けられている。

上述した軌道系交通システムの車両では、案内装置の案内幅(車幅方向の両端部に位置する案内輪のうち、最外部間の距離)を所望の範囲内に調整する必要がある。仮に案内幅が所望の幅よりも狭い場合には、案内輪と案内レールとの隙間が大きくなり、走行輪のスムーズな操舵が行われないおそれがある。また、案内幅が所望の幅よりも広い場合には、案内輪の損傷や、案内枠または案内レールの損傷に繋がるおそれがある。 そこで、案内装置では、案内輪の摩耗が大きくなるに従い、案内輪を輪軸の軸心周りに沿う車幅方向の外側に移動させ、案内幅を一定に保つようにメンテナンスが行われている。

実公昭53−19901号公報

ところで、自動車等の車両に用いられるタイヤでは、トレッド部の摩耗状況を示すものとして、トレッド部の溝内において、周方向の一部に摩耗表示部が設けられた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。

しかしながら、上述した軌道系交通システムに用いられる案内輪にあっては、案内輪に摩耗表示部を形成することについて考慮されていなかった。この場合、案内輪の摩耗限度は目視では判断し難い程小さいため(例えば3mm程度)、スケールや治具等を用いて摩耗状況を計測する必要があり、メンテナンス作業が煩雑であるという課題がある。 また、案内輪の摩耗速度は、各位置でばらつきがあり、各案内輪ごとに摩耗の程度を計測し、各案内輪ごとに偏心位置を調整する必要がある。これによっても、メンテナンス作業が煩雑となる。

そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、摩耗状況を容易に判断でき、メンテナンス性を向上させることができる案内輪、走行台車、及び車両の提供を目的とするものである。

上記課題を解決するために、本発明に係る案内輪では、軌道に沿って延在する案内レールに接する環状のトレッド部と、前記トレッド部の軸方向における両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部と、を備え、車両を前記軌道に沿って案内するとともに、前記車両の上下方向に延びる輪軸の軸心に対して偏心して連結されて、偏心位置を該輪軸の軸心に対して前記車両の前後方向で離間した初期位置と、該輪軸の軸心に対して前記車両の左右方向の外側に位置する最終位置と、これら初期位置と最終位置との間に位置する中間位置と、の3段階で調整可能な案内輪であって、前記サイドウォール部には、周方向の全周に亘って摩耗表示部が設けられ、前記摩耗表示部は、径方向に間隔をあけて複数設けられて軸方向に沿って凹状または凸状を呈し前記摩耗表示部は、前記トレッド部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1突条部と、該第1突条部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2突条部とを有し、又は、前記摩耗表示部は、前記トレッド部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1溝部と、該第1溝部に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2溝部とを有し、前記第1突条部及び前記第1溝部は、摩耗が前記第1突条部及び前記第1溝部まで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記初期位置から前記中間位置に調整するように形成され、前記第2突条部及び前記第2溝部は、摩耗が前記第2突条部及び前記第2溝部まで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記中間位置から前記最終位置に調整するように形成され、ていることを特徴とする。

そして、このような構成の案内輪によれば、案内輪のサイドウォール部に摩耗表示部を形成することで、案内輪の摩耗状況を目視により確認することができる。これにより、従来のようにスケールや治具等を用いて摩耗状況を確認する場合に比べて、メンテナンス作業が容易になり、メンテナンス性の向上を図ることができる。 また、径方向に沿うトレッド部と摩耗表示部との距離に基づき、摩耗の限度を判断できるので、各案内輪ごとの交換時期や偏心位置の調整時期等の管理が行い易くなる。 しかも、サイドウォール部に摩耗表示部を設けることで、軸方向が上下方向に一致するように設けられた案内輪に対して、案内輪を軸方向から見た平面視で摩耗状況を確認することができる。したがって、例えば案内輪のトレッド部に摩耗表示部を設け、案内輪の径方向から見た側面視で摩耗状況を確認する場合に比べてメンテナンス性の更なる向上を図ることができる。

ところで、軌道系交通システムの車両に用いられる案内輪は、車両の走行時において常に回転しているのではなく、案内レールに接触した時点で回転を始めることから、トレッド部の摩耗状況が周方向でばらつく、いわゆる異常摩耗が発生するおそれがある。異常摩耗としては、トレッド部が軸方向から見た平面視で多形状に摩耗する多角形摩耗や、トレッド部のうち一部が局所的に平面状に摩耗するフラット摩耗等がある。 これに対して、サイドウォール部の全周に亘って摩耗表示部を形成することで、仮に異常摩耗が発生した場合には、径方向に沿う異常摩耗の発生部分と摩耗表示部との距離が、異常摩耗の発生以外の部分と摩耗表示部との距離に比べて異なることにより、異常摩耗の発生を容易に判断することができる。

また、前記摩耗表示部は、径方向に間隔をあけて複数設けられているため、トレッド部の摩耗状況を段階的に判断することも可能になる。これにより、案内輪の偏心位置の調整時期や交換時期等を適切に判断することができる。

また、前記摩耗表示部は、軸方向に沿って凹状または凸状を呈しているため、摩耗状況を視覚により判断し易くなる。

また、軌道に沿って延在する案内レールに接する環状のトレッド部と、前記トレッド部の軸方向における両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部と、を備え、車両を前記軌道に沿って案内するとともに、前記車両の上下方向に延びる輪軸の軸心に対して偏心して連結されて、偏心位置を該輪軸の軸心に対して前記車両の前後方向で離間した初期位置と、該輪軸の軸心に対して前記車両の左右方向の外側に位置する最終位置と、これら初期位置と最終位置との間に位置する中間位置と、の3段階で調整可能な案内輪であって、前記トレッド部には、径方向の内側に向けて窪むとともに、径方向から見た前記トレッド部の側面視形状が摩耗に伴って変化する摩耗表示部が設けられ、前記摩耗表示部は、径方向に沿う深さが異なる複数の穴部を備え、前記穴部は、第1穴部と、該第1穴部に比べて径方向に沿う深さが浅い第2穴部と、を備え、前記第2穴部は、摩耗が前記第2穴部が消滅するまで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記初期位置から前記中間位置に調整するように形成され、前記第1穴部は、摩耗が前記第1穴部が消滅するまで進行したことを確認した時点で、前記偏心位置を前記中間位置から前記最終位置に調整するように形成され、ていることを特徴とする。 この構成によれば、トレッド部の摩耗状況に伴って径方向から見たトレッド部の側面視形状が変化する摩耗表示部を設けることで、案内輪の摩耗状況を目視により確認することができる。これにより、従来のようにスケールや治具等を用いて摩耗状況を確認する場合に比べて、メンテナンス作業が容易になり、メンテナンス性の向上を図ることができる。 また、径方向から見たトレッド部の側面視形状に基づき、摩耗の限度を判断できるので、各案内輪ごとの交換時期や偏心位置の調整時期等の管理が行い易くなる。

また、前記摩耗表示部は、径方向に沿う深さが異なる複数の穴部を備えていることで、複数の穴部が外部に露出した状態を初期状態とすると、トレッド部の摩耗が進行することで、深さの浅い穴部から徐々に消滅することになる。これにより、トレッド部の摩耗状況を目視により確認することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。

また、前記摩耗表示部は、径方向の内側に向かうに従い内径が縮小する穴部を備えていることを特徴とする。 この構成によれば、摩耗の進行に伴い外部に露出する穴部の内径が変化することになる。これにより、トレッド部の摩耗状況に伴って径方向から見たトレッド部の側面視形状が変化することになり、トレッド部の摩耗状況を目視により確認することができる。

また、光透過性を有する材料により構成されていることを特徴とする。 この構成によれば、案内輪が光透過性を有する材料により形成されているため、案内輪の内部が目視可能になる。この場合、例えば軸方向が上下方向に一致するように設けられた案内輪に対して、トレッド部に形成された穴部の摩耗状況を、案内輪を上方から見た平面視で確認することができる。これにより、メンテナンス性の向上を図ることができる。

また、本発明に係る走行台車では、車軸に連結された走行輪と、前記案内レールに案内される案内装置と、を備え、前記案内装置は、上記本発明の案内輪を有していることを特徴とする。 この構成によれば、上記本発明の案内輪を備えているため、メンテナンス性に優れ、安定した走行が可能な走行台車を提供できる。

また、車体と、前記車体の下部に設けられた上記本発明の走行台車と、を備えていることを特徴とする。 この構成によれば、上記本発明の案内輪を備えているため、メンテナンス性に優れ、安定した走行が可能な車両を提供できる。

本発明の案内輪、走行台車、及び車両では、摩耗状況を容易に判断でき、メンテナンス性を向上させることができる。

車両の平面図である。

図1のA矢視図である。

図1のB部における拡大平面図である。

図3のC−C線に沿う部分断面図である。

案内輪が中間位置にある場合の図3に相当する平面図である。

案内輪が最終位置にある場合の図3に相当する平面図である。

(a)は第1実施形態における主案内輪の平面図であり、(b)は(a)のE−E線に沿う断面図である。

第1実施形態の変形例における図7(b)に相当する断面図である。

(a)は第2実施形態における主案内輪の平面図であり、(b)は(a)のF−F線に沿う断面図である。

第2実施形態の変形例における図9(b)に相当する断面図である。

次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。 [第1実施形態] 図1、図2に示すように、車両1は、軌道5(図2参照)に設けられた案内レール6によって案内されながら軌道5上を走行する軌道系交通システムの車両である。本実施形態において、車両1は、軌道5の幅方向両側に、軌道5の延在方向に沿って延びる案内レール6が設けられた側方案内軌条式(サイドガイド方式)の交通システムの車両となっている。

また、案内レール6は、軌道5の両側に配置された主案内レール6aと、軌道5が分岐する分岐部に設けられるとともに、主案内レール6aの下方に位置する分岐案内レール6bと、を備えている。なお、分岐案内レール6bは、軌道5の分岐部のみに配置されているが、図示の例では便宜上分岐案内レール6bを鎖線で示している。

<車両> 車両1は、軌道5上を走行する走行台車2と、走行台車2に支持された車体3と、を備えている。 なお、以下の説明における前後上下左右等の向きは、特に記載が無ければ車両1の向きと同一とする。また、以下では、車両1の前後方向に沿う矢印D方向を前方、矢印D方向と逆方向を後方とする。

車体3は、前後方向に長い直方体形状を呈し、その内部に乗客を収容可能な空間が形成されている。そして、車体3下部の前後に、上述した走行台車2が一対で設けられている。なお、前側の走行台車2と後側の走行台車2とは、前後の向きが逆になっていること以外は同一構成であるため、以下では代表して一方(前側)の走行台車2について説明する。

<走行台車> 走行台車2は、車軸11の両端部に連結されたタイヤ(走行輪)12と、車軸11を回転可能に支持する懸架装置13と、案内レール6に案内される案内装置14と、案内装置14の変位に応じてタイヤ12を操舵する操舵機構15(図1参照)と、を備えている。

車軸11の両端部には、キングピン(不図示)を介してタイヤ取付軸16が各別に設けられている。キングピンは、タイヤ12の操舵軸として機能するものであり、上下方向に沿って延在するとともに、車軸11に対してタイヤ取付軸16をキングピン周りに揺動可能に支持している。そして、各タイヤ取付軸16に、上述したタイヤ12が各別に取り付けられている。タイヤ12は、ゴム等の弾性を有する材料からなり、各タイヤ取付軸16に一つずつ取り付けられたシングルタイヤとなっている。なお、タイヤ12としては、例えば内部に中子が収納された中子式のタイヤ12を用いてもよく、また一般のトラックやバス等に用いられる中子なしのタイヤ12を用いても構わない。

図1に示すように、懸架装置13は、車軸11を回転可能に支持する車軸支持体21と、車軸支持体21と車体3との間に配置された左右一対の空気ばね(不図示)と、車体3に対して車軸支持体21を上下方向に変位可能に支持するリンク機構(不図示)と、を有している。

図1、図2に示すように、案内装置14は、懸架装置13の下方に配設された案内枠31と、案内枠31に回転可能に支持された案内輪33(主案内輪33a及び分岐案内輪33b)と、を備えている。 案内枠31は、上下方向から見た平面視で井桁状に組み込まれたものであって、前後方向に沿って延びる左右一対の縦梁34と、これら縦梁34の前後方向に沿う両端部に連結されるとともに、左右方向に沿って延びる一対の横梁35と、を備えている。

縦梁34は、前後方向に沿う両端部がタイヤ12よりも外側に位置しており、ここに横梁35がそれぞれ連結されている。 各横梁35は、左右方向の両端部が各タイヤ12よりも外側に位置しており、タイヤ12を前後方向の両側から挟むように配置されている。各横梁35において、左右方向の両端部には、案内輪支持アーム36を介して案内輪33がそれぞれ取り付けられている。

図3、図4に示すように、案内輪支持アーム36は、基端部が上下方向に沿って延びるアーム軸O1周りに横梁35に対して揺動可能に支持されている。案内輪支持アーム36の先端部には、案内輪支持アーム36を上下方向に貫通する輪軸37が設けられている。図4に示すように、輪軸37のうち、上端部には主案内輪33aを回転可能に支持する主案内輪軸41が連結され、下端部には分岐案内輪33bを回転可能に支持する分岐案内輪軸42が連結されている。

主案内輪軸41は、軸心O2が輪軸37の軸心O3に対して偏心して輪軸37に連結されている。また、主案内輪軸41は、図示しない調整機構を介して輪軸37に連結されており、その偏心位置を輪軸37の軸心O3周りに調整できるようになっている。本実施形態では、主案内輪軸41の軸心O2が、輪軸37の軸心O3に対して前後方向で離間した初期位置(図3参照)と、輪軸37の軸心O3に対して左右方向の外側に位置する最終位置(図6参照)と、これら初期位置と最終位置との間に位置する中間位置(図5参照)と、の3段階で調整可能となっている。

図7に示すように、主案内輪33aは、筒状の芯金部51と、芯金部51の外周面に一体的に接合された車輪本体52と、を備えている。なお、以下の説明では、主案内輪軸41の軸心O2方向を単に軸方向、軸心O2に直交する方向を径方向、軸心O2周りに周回する方向を周方向とする。この場合、軸方向は、車両1の上下方向に一致している。

芯金部51は、上述した主案内輪軸41の軸心O2と同軸に沿って延在するとともに、その軸方向に沿う中央部には径方向の内側に向けて内フランジ部53が突設されている。そして、芯金部51内のうち、内フランジ部53よりも下方に位置する部分には図示しない軸受が配設され、この軸受を介して主案内輪33aが上述した主案内輪軸41に回転可能に支持されている。なお、芯金部51には、芯金部51を上方から覆うように蓋部55(図7(b)参照)が固定され、芯金部51内(軸受等)への塵埃や等の進入を防いでいる。

車輪本体52は、透明または半透明等、光透過性を有する材料(例えばウレタンゴムやナイロン等の弾性体)からなる中実の筒状を呈し、外部から内部を視認可能とされている。また、車輪本体52は、その内周面が芯金部51の外周面に加硫接着等により一体的に接合されている。具体的に、車輪本体52は、主案内レール6aに接する環状のトレッド部61と、軸方向に沿うトレッド部61の両端縁に連設され、径方向の内側に向けて延びる一対のサイドウォール部62と、を備えている。

トレッド部61は、軸方向に沿って延びる平坦面とされている。 各サイドウォール部62は、径方向の外側に向かうに従い軸方向の内側に向けて傾斜している。したがって、車輪本体52は、径方向の外側に向かうに従い軸方向に沿うタイヤ幅が漸次狭くなっている。

ここで、各サイドウォール部62には、軸方向の外側に向けて突出する複数の突条部63a,63bが車輪本体52に一体的に形成されている。各突条部63a,63bは、車輪本体52の摩耗状況を判断するための摩耗表示部であって、各サイドウォール部62の周方向の全周に亘って環状に形成されるとともに、径方向から見た側面視において軸方向の外側に向かうに従い径方向の幅が漸次先細る三角形状とされている。

各突条部63a,63bは、トレッド部61に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1突条部63aと、第1突条部63aに対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2突条部63bと、を有している。各突条部63a,63bは、同軸状に形成されるとともに、トレッド部61及び第1突条部63a間の間隔と、各突条部63a,63b間と、径方向に沿う間隔はそれぞれ同等(例えば、3mm程度)となっている。

図4に示すように、分岐案内輪軸42は、輪軸37に同軸状に連結され、図示しない軸受を介して分岐案内輪33bを回転可能に支持している。なお、分岐案内輪33bは、上述した主案内輪33aよりも小径に形成されている以外は、上述した主案内輪33aと同様の構成を採用することができるため、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、輪軸37、主案内輪軸41、及び分岐案内輪軸42をそれぞれ別体で形成した場合について説明したが、これに限らず、輪軸37、主案内輪軸41、及び分岐案内輪軸42が一体で形成されるとともに、そのうち主案内輪軸41が輪軸37の軸心O3に対して偏心したクランク軸を採用しても構わない。

図1に示すように、上述した案内枠31は、旋回軸受71を介して懸架装置13(車軸支持体21)に旋回可能に支持されている。旋回軸受71は、外輪及び内輪のうち、何れか一方が車軸支持体21に固定され、他方が案内枠31に固定されている。これにより、案内枠31は、車軸支持体21に対して上下方向に沿って延びる旋回軸O4周り旋回可能とされている。なお、図示の例において、旋回軸O4は、案内枠31の前後及び左右の中央部に位置している。

操舵機構15は、旋回軸O4周りの案内枠31の旋回に連動して、タイヤ12の操舵角を変えるものであって、上述した各キングピンを基準にしてタイヤ12(タイヤ取付軸16)と一体的に揺動するステアリングアーム72と、各ステアリングアーム72と案内枠31とを各別に連結するステアリングロッド73と、を有している。

ステアリングロッド73は、左右方向に沿って延在するとともに、その外側端部はステアリングアーム72の前端部にピン結合され、内側端部は案内枠31にピン結合されている。 すなわち、案内枠31が旋回軸O4を中心として旋回すると、旋回に伴ってステアリングロッド73が変位し、ステアリングアーム72を介してタイヤ取付軸16をキングピン周りに回転させる。これにより、タイヤ12が操舵されるようになっている。

このように構成された車両1において、走行時に主案内輪33aが主案内レール6aに接触すると、主案内輪33aが転動するとともに、主案内レール6aから主案内輪33aに向けて反が作用する。主案内輪33aが反力を受けると、主案内輪33aが上述した案内枠31の横梁35を左右方向の内側に向けて押圧することで、案内枠31が旋回軸O4周りに旋回することになる。

例えば、車両1が軌道5の曲線部を走行する場合は、各主案内輪33aのうち前方かつ外軌側に位置する主案内輪33aが、曲線部の外軌側に配置される主案内レール6aから左右方向の内側に向けて反力を受ける。そして、前方かつ外軌側に位置する主案内輪33aが受ける反力は、案内枠31における前側の横梁35に伝達されることで、案内枠31が旋回軸O4回りに回動する。なお、案内枠31の旋回量は、主案内レール6aの曲率半径の大きさに応じて変化する。 そして、案内枠31が旋回軸O4周りに旋回すると、この旋回に伴ってステアリングロッド73が変位し、ステアリングアーム72を介してタイヤ取付軸16をキングピン周りに回転させる。これにより、曲線部の曲率半径に応じてタイヤ12が操舵されることで、車両1を曲線部に沿って円滑に走行させることができる。

ここで、図3に示すように、本実施形態において、案内装置14のメンテナンス時に主案内輪33aの摩耗状況を確認する場合は、主案内輪33aを上方から目視により確認する。そして、図5に示すように、摩耗が主案内輪33aの第1突条部63aまで進行したことを確認した時点で、主案内輪33aの偏心位置の調整を行う。具体的には、図示しない調整機構を介して主案内輪軸41(図4参照)を輪軸37の軸心O3周りに回転させることで、初期位置から中間位置に偏心位置を調整する。これにより、主案内輪軸41が初期位置に対して左右方向の外側に移動することになり、案内幅を所望の幅に維持することが可能となる。

また、図6に示すように、主案内輪33aの摩耗が第2突条部63bまで進行したことを確認すると、主案内輪33aの偏心位置を中間位置から最終位置に調整する。なお、中間位置から最終位置への偏心位置の調整は、上述した方法と同様の手順により行うことができる。これにより、主案内輪軸41が中間位置よりも左右方向の外側に移動することで、所望の案内幅を維持できる。また、その後さらに摩耗が進行したことを確認すると、主案内輪33aの交換作業を行う。

このように、本実施形態によれば、主案内輪33aのサイドウォール部62に突条部63a,63bを形成することで、主案内輪33aの摩耗状況を目視により確認することができる。これにより、従来のようにスケールや治具等を用いて摩耗状況を確認する場合に比べて、メンテナンス作業が容易になり、メンテナンス性の向上を図ることができる。 また、径方向に沿うトレッド部61と突条部63a,63bとの距離に基づき、摩耗の限度を判断できるので、各主案内輪33aごとの交換時期や偏心位置の調整時期等の管理が行い易くなる。

しかも、本実施形態では、サイドウォール部62に突条部63a,63bを形成することで、軸方向が上下方向に一致するように設けられた主案内輪33aに対して、主案内輪33aを軸方向から見た平面視で摩耗状況を確認することができる。したがって、例えば主案内輪33aのトレッド部61に摩耗表示部を形成し、主案内輪33aの径方向から見た側面視で摩耗状況を確認する場合に比べてメンテナンス性の更なる向上を図ることができる。

ところで、案内装置14の主案内輪33aは、車両1の走行時において常に回転しているのではなく、主案内レール6aに接触した時点で回転を始めることから、トレッド部61の摩耗状況が周方向でばらつく、いわゆる異常摩耗が発生するおそれがある。異常摩耗としては、トレッド部61が軸方向から見た平面視で多角形状に摩耗する多角形摩耗や、トレッド部61のうち一部が局所的に平面状に摩耗するフラット摩耗等がある。 これに対して、本実施形態では、サイドウォール部62の全周に亘って突条部63a,63bを形成することで、仮に異常摩耗が発生した場合には、径方向に沿う異常摩耗の発生部分と突条部63a,63bとの距離が、異常摩耗の発生以外の部分と突条部63a,63bとの距離に比べて異なることにより、異常摩耗の発生を容易に判断することができる。

また、突条部63a,63bが径方向に間隔をあけて複数設けられているため、トレッド部61の摩耗状況を段階的に判断することも可能になる。これにより、主案内輪33aの偏心位置の調整時期や交換時期等を適切に判断することができる。 さらに、摩耗表示部を突条部63a,63bとすることで、摩耗状況を視覚により判断し易くなる。

そして、本実施形態の車両1及び走行台車2によれば、上述した案内輪を備えているため、メンテナンス性に優れ、安定した走行が可能な車両1及び走行台車2を提供できる。

[変形例] なお、上述した実施形態では、軸方向の外側に向けて突出する突条部63a,63bをサイドウォール部62に形成する場合について説明したが、これに限られない。 例えば、図8に示すように、サイドウォール部62に、軸方向の内側に向けて窪む凹状の溝部101a,101bを全周に亘って形成しても構わない。溝部101a,101bは、径方向から見た側面視において、軸方向の内側に向かうに従い径方向に沿う幅が漸次先細る三角形状とされている。また、溝部101a,101bは、トレッド部61に対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第1溝部101aと、第1溝部101aに対して径方向の内側に間隔をあけて配置された第2溝部101bと、を有している。 この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。

[第2実施形態] 次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、トレッド部61に摩耗表示部が形成されている点で上述した第1実施形態と相違している。なお、以下の説明では上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。 図9に示すように、本実施形態の摩耗表示部200は、主案内輪33aのトレッド部61において、径方向の内側に向けて窪む複数の穴部201a,201bを備えている。これら穴部201a,201bは、第1穴部201aと、第1穴部201aに比べて径方向に沿う深さが浅い第2穴部201bと、を備えている。これら第1穴部201a及び第2穴部201bは、軸方向及び周方向にそれぞれ間隔をあけるとともに、互い違いに配列されている。すなわち、第1穴部201a及び第2穴部201bのうち、一方の穴部(例えば、第1穴部201a)に対して軸方向及び周方向に隣接する穴部が、他方の穴部(例えば、第2穴部201b)になるように配列されている。

この構成によれば、トレッド部61の摩耗状況に伴って径方向から見たトレッド部61の側面視形状が変化することになる。具体的には、第1穴部201a及び第2穴部201bが外部に露出した状態を初期状態とすると、トレッド部61の摩耗が進行することで、第2穴部201bが消滅して、第1穴部201aのみが残存する。その後、さらに摩耗が進行することで、第1穴部201aも消滅することになる。これにより、トレッド部61の摩耗状況を目視により確認することができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。

また、主案内輪33aが光透過性を有する材料により形成されているため、主案内輪33aの内部が目視可能になる。この場合、トレッド部61に形成された穴部201a,201bの摩耗状況を、主案内輪33aを上方から見た平面視で確認することができる。これにより、メンテナンス性の向上を図ることができる。

[変形例] なお、上述した第2実施形態では、摩耗表示部200が径方向に沿う深さの異なる複数の穴部201a,201bを備える構成について説明したが、これに限られない。例えば、図10に示すように、径方向の内側に向かうに従い内径が異なる穴部202を摩耗表示部203として構成しても構わない。 具体的に、図10に示す穴部202は、径方向の内側に向かうに従い段々と内径が縮小する段付き穴になっており、大径部202aと、大径部202aにおける径方向の内側に連設された小径部202bと、を有している。そして、この穴部202がトレッド部61において周方向及び軸方向に間隔をあけて形成されている。なお、図示の例において、穴部202が周方向に間隔をあけて12箇所配列されてなる穴列が、軸方向に間隔をあけて3列形成されている。

この構成によれば、大径部202aが外部に露出している状態と、大径部202aが摩耗により削られて小径部202bが外部に露出している状態と、で外部に露出している穴部202の内径が変化することになる。これにより、トレッド部61の摩耗状況に伴って径方向から見たトレッド部61の側面視形状が変化することになり、トレッド部61の摩耗状況を目視により確認することができる。

なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。 例えば、上述した実施形態では、軌道系交通システムの車両に本発明の走行台車を採用する構成について説明したが、これに限らず、種々の車両に採用することが可能である。 また、上述した実施形態では、案内装置14の変位に応じてタイヤ12を操舵する操舵機構15を設ける構成について説明したが、例えばボギー台車等、操舵機構15を設けない構成としても構わない。

また、上述した実施形態では、摩耗状況が2段階で判断できるように摩耗表示部(突条部63a,63bや溝部101a,101b、各穴部201a,201b,202)を形成した場合について説明したが、これに限らず、1段階や3段階以上の複数段階の摩耗状況を判断できるように形成しても構わない。 また、突条部63a,63bや溝部101a,101b、穴部201a,201b,202の形状は、適宜設計変更が可能である。 さらに、上述した第1実施形態では、摩耗表示部としてサイドウォール部62に突条部63a,63bや溝部101a,101bを形成した場合について説明したが、これに限られない。例えば、マーク等であっても構わない。

また、上述した第2実施形態では、摩耗表示部200,203としてトレッド部61の周方向及び軸方向に間隔をあけて穴部を形成した場合について説明したが、これに限らず、例えば周方向の全周に亘って延びる溝部を備えていても構わない。そして、この溝部を、径方向の内側に向かうに従い幅が縮小するように形成することで、摩耗の進行に伴い外部に露出する溝部の幅が変化することになる。これにより、トレッド部61の摩耗状況に伴って径方向から見たトレッド部61の側面視形状が変化することになり、トレッド部61の摩耗状況を目視により確認することができる。

さらに、上述した実施形態では、主案内輪33aが光透過性を有する材料により形成された構成について説明したが、これに限らず、種々の材料により形成することが可能である。 また、車輪本体52は、弾性体に限らず金属製(鉄、銅、アルミ等)であっても良い。この場合、芯金部51に対する車輪本体52の固定は、加硫接着ではなく、円筒形状やセレーション形状による圧入やビス止め、またはストッパー等を採用することが好ましい。

また、上述した実施形態では、主案内輪33aに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、分岐案内輪33bにも本発明を適用することが可能である。 さらに、上述した実施形態では、主案内輪33aが中実である構成について説明したが、これに限らず、中空であっても構わない。 また、上述した実施形態では、主案内輪33aを輪軸37に対して偏心して取り付ける構成について説明したが、これに限らず、輪軸37と同軸状に取り付けても構わない。

1…車両 2…走行台車 3…車体 5…軌道 6…案内レール 6a…主案内レール(案内レール) 6b…分岐案内レール(案内レール) 11…車軸 12…タイヤ(走行輪) 14…案内装置 33…案内輪 33a…主案内輪(案内輪) 33b…分岐案内輪(案内輪) 61…トレッド部 62…サイドウォール部 63a…第1突条部(摩耗表示部) 63b…第2突条部(摩耗表示部) 101a…第1溝部(摩耗表示部) 101b…第2溝部(摩耗表示部) 200,203…摩耗表示部 201a…第1穴部(穴部) 201b…第2穴部(穴部) 202…穴部

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