搬送用自走車及びその停止制御方法

申请号 JP2009539131 申请日 2008-10-31 公开(公告)号 JPWO2009057761A1 公开(公告)日 2011-03-10
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 博義 馬場; 博義 馬場;
摘要 走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させることのできる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供する。搬送用自走車の停止制御方法は、搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する第2検知ステップ(S30)と、該第2検知ステップ(S30)における障害物の検知に基いて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への 位置 ズレがある場合は、左右一対の駆動輪へのブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御して、搬送用自走車を停止させる停止ステップ(S40)とを備えているので、搬送用自走車が走行中に障害物を検知した際、搬送自走車は所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
权利要求
  • 台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車の停止制御方法であって、
    該停止制御方法は、前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、
    該検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、左右一対の駆動輪へのブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、
    を備えたことを特徴とする搬送用自走車の停止制御方法。
  • 前記停止ステップにおいて、前記搬送用自走車の車速が基準値よりも大きく、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合、前記ブレーキ手段を断続的に作動させて、前記搬送用自走車を停止させることを特徴とする請求項1に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
  • 前記停止ステップにおける、前記搬送用自走車の位置ズレの補正制御は、前記ブレーキ手段を解除した状態で、各駆動輪への指示回転数を互いに相違させることで補正制御することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
  • 前記検知ステップにおける前記設定距離よりも遠い設定距離にて障害物を検知する遠距離側検知ステップと、該遠距離側検知ステップと前記検知ステップとの間に、前記搬送用自走車を減速させて、該搬送用自走車を低速走行させる低速走行ステップとを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
  • 台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車であって、
    該搬送用自走車は、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、
    前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、
    互いに独立回転する左右一対の駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、
    前記障害物検知センサーにより障害物を検知した際、前記位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記各駆動輪への前記ブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、
    を備えたことを特徴とする搬送用自走車。
  • 前記位置ズレ検知センサーは、前記各駆動輪を一体的に構成した駆動輪ユニットの進行方向前部または後部に備えられ、前記案内手段の延びる方向と略直交する方向に、前記案内手段を検知する複数の検知素子を直列に並べて構成されることを特徴とする請求項5に記載の搬送用自走車。
  • 说明书全文

    本発明は、台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車及びその停止制御方法に関するものである。

    従来から、搬送用自走車には、ワークや荷物等が載置された台車と着脱可能に連結され台車を牽引して、床面に敷設された磁気情報などの案内手段により所定経路に沿って自走する牽引型自走車や、ワークや荷物等が載置された台車と一体的に連結され、前記案内手段により所定経路に沿って自走する積載型自走車等が知られている。

    近年、上述したような搬送用自走車の活用がさらに増加する傾向にあり、高能率化のために高速化(80m/min程度)が求められ、同時に高速化による安全確保も求められており、搬送用自走車が高速で走行している際、所定経路上の障害物等を検知した場合には、速やかに搬送用自走車を所定経路上に停止させることが必要不可欠となっている。

    そこで、従来の搬送用自走車の停止制御方法について説明する。
    従来の搬送用自走車は、障害物を非接触で検知可能な障害物検知センサーと、該障害物センサーの検知に基いて、互いに独立回転する左右一対の駆動輪を減速停止させる停止制御装置と、障害物が接触した際に、搬送用自走車への動の伝達を遮断する安全バンパとを備えている。

    そして、従来の停止制御方法は、まず、搬送用自走車が走行中、所定距離離れた位置の障害物を障害物検知センサーにより検知する。
    その後、障害物検知センサーの検知に基いて、停止制御装置により左右一対の駆動輪への指示回転数が停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定されることで、搬送用自走車が徐々に減速されて停止される。
    しかしながら、搬送用自走車が高速で走行している場合には、停止制御装置により各駆動輪への指示回転数が停止モードに設定されても、障害物の検知後の停止制動距離が長いために、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    すなわち、従来の停止制御方法では、各駆動輪への停止モードによる停止制御、すなわち、各駆動輪への指示回転数を停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定し、搬送用自走車の各駆動輪及び台車の各従動輪と、床面との摩擦等によって、搬送用自走車を自然に減速させて停止させているために、特に、搬送用自走車が高速で走行している場合、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長くなり、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    そのため、従来の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行している場合、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることで、該搬送用自走車が完全に停止される。

    このように、上述した従来の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車を高速で走行させた場合、障害物検知センサーが障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長く、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、該搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることにより完全に停止するために、特に、搬送用自走車上の台車に重量物が載置された場合等、障害物を検知してから障害物に接触して完全に停止されるまでの長い区間非常に危険な状況が続くことになる。 そのために、従来では、搬送用自走車の最高速度を制限することで安全性を確保していた。

    そこで、上述した問題を解決する従来技術として、特許文献1には、無人搬送車の非常停止制御として、電磁ブレーキ(機械式ブレーキ)と電気ブレーキとを併用することにより、無人搬送車の停止制動距離を短くすることが開示されている。

    特開平1−26210号公報

    しかしながら、特許文献1の発明のように、機械式ブレーキと電気ブレーキとを併用して搬送用自走車の停止制動距離を短縮しようとすると、ブレーキ作動の際、搬送用自走車の各駆動輪がロック状態となりスリップしてしまい、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止する可能性があり、しかも、特に、牽引型自走車の場合には、搬送用自走車がスリップし所定経路から逸脱して停止した際、連結されている台車がその残加速度により搬送用自走車から離脱して走行する虞があり非常に危険な状態になる。
    さらに、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止してしまうと、搬送用自走車は無人走行車のため所定経路に戻す復旧作業が大変困難になる。

    本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させることのできる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車の停止制御方法は、前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、該検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、左右一対の駆動輪へのブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備えたことを特徴としている。
    また、上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車は、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、互いに独立回転する左右一対の駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、前記障害物検知センサーにより障害物を検知した際、前記位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記各駆動輪への前記ブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、を備えたことを特徴としている。
    これにより、搬送用自送車が走行中に所定距離離れた障害物を検知した際、搬送用自送車は所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    なお、本発明の搬送用自走車及びその停止制御方法の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。

    (発明の態様)
    以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。 なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。 これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。 つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。 なお、以下の(1)項〜(9)項において、(1)項乃至(4)項の各々が、請求項1乃至4の各々に相当し、(7)項及び(8)項が請求項5及び6に相当する。

    (1)台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車の停止制御方法であって、該停止制御方法は、前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、該検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、左右一対の駆動輪へのブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備えたことを特徴とする搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が走行中、検知ステップにて、設定距離離れた位置の障害物を検知すると、停止ステップにて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪へのブレーキ手段を解除した上で搬送用自走車の位置ズレを補正制御し、その後再びブレーキ手段を開始して、搬送用自走車を停止させるので、搬送自走車が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    しかも、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにて、各駆動輪へのブレーキ手段を解除した上で、搬送用自走車の位置ズレを補正制御するので、該位置ズレを容易に補正することができる。

    (2)前記停止ステップにおいて、前記搬送用自走車の車速が基準値よりも大きく、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合、前記ブレーキ手段を断続的に作動させて、前記搬送用自走車を停止させることを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(2)項の搬送用自走車の停止制御方法では、特に、搬送用自走車の車速が基準値よりも大きく、搬送用自走車の位置ズレが発生していない場合には、各駆動輪へのブレーキ手段を断続的に作動させるので、各駆動輪がロック状態となりスリップして搬送用自走車の姿勢制御が不能となることなく、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離を従来よりも短縮させることができる。

    (3)前記停止ステップにおける、前記搬送用自走車の位置ズレの補正制御は、前記ブレーキ手段を解除した状態で、各駆動輪への指示回転数を互いに相違させることで補正制御することを特徴とする(1)項または(2)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(3)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車は、ブレーキ手段を一時的に解除した上で、各駆動輪への指示回転数を互いに相違させることで、その位置ズレが補正制御され、その後再びブレーキ手段が作動される。
    具体的には、搬送用自走車の停止制御が開始された際、例えば、搬送用自走車が進行方向に向かって右方に位置ズレしている場合には、ブレーキ手段を一時的に解除すると共に、左右一対の駆動輪の内、右側の駆動輪の回転数を左側の駆動輪の回転数より大きく設定することにより位置ズレを補正制御している。

    (4)前記検知ステップにおける前記設定距離よりも遠い設定距離にて障害物を検知する遠距離側検知ステップと、該遠距離側検知ステップと前記検知ステップとの間に、前記搬送用自走車を減速させて、該搬送用自走車を低速走行させる低速走行ステップとを備えたことを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(4)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行される場合に特に有効で、停止ステップの前段階で搬送用自走車が十分に減速されて低速走行される。

    (5)前記検知ステップの前記設定距離は、前記停止ステップにおける搬送用自走車の停止制動距離より長く設定されること特徴とする(1)項〜(4)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(5)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにおいて、搬送用自走車は障害物に接触することなく障害物の手前で停止される。

    (6)前記停止ステップの後、該停止ステップにて搬送用自走車が障害物の手前で停止しない場合でも、前記停止ステップにより十分減速された速度にて前記搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車を停止させる非常停止ステップを備えたことを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(6)項の搬送用自走車の停止制御方法では、非常停止ステップはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止ステップにおいて、搬送用自走車が障害物に接触する前に停止しない場合には、非常停止ステップにおいて、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断され、搬送用自走車が停止される。

    (7)台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車であって、該搬送用自走車は、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、互いに独立回転する左右一対の駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、前記障害物検知センサーにより障害物を検知した際、前記位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記各駆動輪への前記ブレーキ手段を解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、を備えたことを特徴とする搬送用自走車。
    従って、(7)項の搬送用自走車では、障害物検知センサーにより障害物を検知した際には、停止制御装置により、位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪へのブレーキ手段を解除した状態で位置ズレが補正制御され、その後再びブレーキ手段を開始して搬送用自走車が停止される。
    しかも、(7)項の搬送用自走車では、停止制御装置により、特に、搬送用自走車の車速が基準値よりも大きく、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合には、各駆動輪へブレーキ手段を断続的に作動させているので、各駆動輪がロック状態となりスリップして搬送用自走車の姿勢制御が不能となることなく、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離を従来の停止制動距離よりも短縮させることができる。
    なお、ブレーキ手段は、機械式ブレーキと電気ブレーキとを併用して使用しても良いが、いずれか一方を使用しても良い。

    (8)前記位置ズレ検知センサーは、前記各駆動輪を一体的に構成した駆動輪ユニットの進行方向前部または後部に備えられ、前記案内手段の延びる方向と略直交する方向に、前記案内手段を検知する複数の検知素子を直列に並べて構成されることを特徴とする(7)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(8)項の搬送用自走車では、位置ズレ検知センサーは、複数の検知素子が案内手段の延びる方向と直交する方向に直列に並んで構成されているので、搬送用自走車が案内手段上を正常に走行していると、各検知素子の内、真中の検知素子だけがON状態となり、例えば、搬送用自走車が所定経路から右方に位置ズレして走行していると、各検知素子内、左側に位置する検知素子だけがON状態となる。

    (9)前記障害物が接触すると、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断する安全バンパを備えたことを特徴とする(7)項または(8)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(9)項の搬送用自走車では、安全バンパはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止制御装置が作動しても、何らかの原因で、搬送用自走車が障害物の手前で停止しない場合には、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車が停止される。

    本発明によれば、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することができる。

    図1は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車が障害物と対向した様子を示す図である。

    図2は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の模式図である。

    図3は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を示すフロー図である。

    図4は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法の停止ステップにおけるフロー図である。

    図5は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する様子を示す模式図である。

    図6は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を採用した際の速度と距離の関係及び各種ブレーキの作動形態を示した図である。

    1 搬送用自走車,2 走行磁気テープ(案内手段),3 障害物,4 障害物検知センサー,5 位置ズレ検知センサー,5a〜5c 検知素子,6 駆動輪(左側),7 駆動輪(右側),8 ディスクブレーキ(ブレーキ手段),10 停止制御装置,12 駆動モータ,14 回転数計測センサー,20 駆動輪ユニット

    以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図6に基いて詳細に説明する。
    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1は、図1及び図2に示すように、ワークや荷物等が載置された台車(図示略)と着脱可能または一体的に連結され、床面の所定経路に敷設された走行磁気テープ(案内手段)2に沿って自走するものであり、所定距離離れた障害物3を検知する障害物検知センサー4と、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサー5と、互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7に連結されその回転を制動するディスクブレーキ(ブレーキ手段)8、8と、障害物検知センサー4により障害物3を検知した際、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪6、7へのディスクブレーキ8、� �及び電気ブレーキ(ブレーキ手段)を解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させる停止制御装置10と、進行方向前部に備えられ、障害物3が接触した際、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断する安全バンパ11とを備えている。
    また、本搬送用自走車1は、左右一対の駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に配設される各減速ギヤ13、13と、該各減速ギヤ13、13の各歯と対向するように配設され、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14とを備えている。

    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1を詳細に説明する。
    本搬送用自走車1には、図2に示すように、駆動輪ユニット20が1ユニット備えられおり、この駆動輪ユニット20に互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7が備えられている。
    駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7に連結される駆動モータ12、12がモータドライバとセットでそれぞれ備えられている。 各駆動モータ12、12は、停止制御装置10と接続され、停止制御時には停止制御装置10からの指示回転数に従って駆動され、左右一対の駆動輪6、7は互い独立回転する。
    各駆動輪6、7にはディスクブレーキ8、8がそれぞれ連結されており、該ディスクブレーキ8、8は、各駆動輪6、7と同回転するディスクを両側から挟み込むことで、各駆動輪6、7の回転を制動するものである。 各ディスクブレーキ8、8は停止制御装置10と接続されており、停止制御時には停止制御装置10から作動または解除信号が伝送される。

    また、駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に、各駆動モータ12、12の回転数を適正な回転数に変換し、各駆動輪6、7に伝達する減速ギヤ13、13が備えられている。 各減速ギヤ13、13の各歯と対向する位置に、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14が備えられている。 各回転数計測センサー14、14は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時にはその計測内容が常時停止制御装置10へ伝送される。
    また、搬送用自走車1は、通常走行中、後で詳述する位置ズレ検知センサー5の検知内容に基いて、駆動輪ユニット20の各駆動輪6、7の回転数を互いに相違させることでその向きを微調整しながら走行している。

    障害物検知センサー4は、図2に示すように、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられ、障害物3を非接触で検知するもので、具体的にはレーザ光、LED光または超音波等を照射して、その反射波を受信することで所定距離離れた障害物3を検知するものである。
    そして、本搬送用自走車1に備えられた障害物検知センサー4は、停止制御装置10と接続されており、搬送用自走車1が走行中、図1に示す第1設定距離L1離れた障害物3を検知した時点と、その後引き続き搬送用自走車1が走行して、障害物3との距離が第2設定距離L2(<第1設定距離L1)に接近した時点とにおいて、その検知信号が停止制御装置10へ伝送されるように構成されている。 第2設定距離L2は、後述する停止制御方法の停止ステップS40における搬送用自走車1の停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されている。

    位置ズレ検知センサー5は、図2及び図5に示すように、駆動輪ユニット20の進行方向前部に備えられており、走行磁気テープ2を検知する複数の検知素子5a〜5c(本実施の形態では3個)が走行磁気テープ2の延びる方向と直交する方向に直列に並べて構成されている。 なお、位置ズレ検知センサー5は、駆動輪ユニット20の進行方向後部に備えてもよい。
    この位置ズレ検知センサー5は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時、搬送用自走車1の位置ズレを検知した際、その検知内容が停止制御装置10に伝送されて、停止制御装置10にて、その検知内容に基き各駆動輪6、7への指示回転数を互いに相違させ駆動させることで、搬送用自走車1の位置ズレが補正されるようになっている。 この補正制御は、停止制御方法を説明する際に詳述する。

    停止制御装置10は、図2に示すように、障害物検知センサー4、位置ズレ検知センサー5、各回転数計測センサー14、14、各駆動モータ8、8、ディスクブレーキ14、14及び電気ブレーキのそれぞれに接続されており、障害物検知センサー4により障害物3を検知した際、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪6、7へのディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させるものである。 この停止制御装置10の動作は、停止制御方法を説明する際に詳述する。 なお、電気ブレーキは、停止制御装置10により、各駆動輪6、7側の回転を各駆動モータ8、8へ逆入力することで、各駆動モータ8、8に回転抵抗を生じさせてその制動力を得るものである。

    安全バンパ11は、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられており、該安全バンパ11には、接触検知回路が内蔵され、安全バンパ11に障害物3が接触して、接触検知回路に短絡が発生すると、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで安全バンパ11の異常を検知するようになっている。
    そして、安全バンパ11内の接触検知回路は搬送用自走車1の動力を伝達する動力源と接続されており、安全バンパ11内の接触検知回路の抵抗値が変化すると、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される構成となっている。 なお、この接触検知回路には、自己診断用の短絡接点が組み込まれており、この短絡接点をON状態にすることで、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される動作を自己診断できるようになっている。

    次に、以上から構成される本搬送用自走車1が高速(80m/min)で走行される際の停止制御方法を図3〜図6に基いて図1も参照しながら説明する。
    まず、第1検知ステップ(遠距離側検知ステップ)S10では、搬送用自走車1が高速で走行中、第1設定距離L1離れた障害物3を障害物検知センサー4により検知し、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の低速走行ステップS20へ進む。
    次に、低速走行ステップS20では、障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が搬送用自走車1の現走行速度に対応した回転数から減速モード、例えば走行速度10m/minに対応した回転数に切換り、搬送用自走車1が減速後低速走行されて、次の第2検知ステップS30へ進む。

    次に、第2検知ステップ(検知ステップ)S30では、搬送用自走車1が低速走行中、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で障害物検知センサー4により再び検知され、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の停止ステップS40へ進む。
    なお、低速走行ステップS20において、搬送用自走車1が、突然障害物が走行コース上に飛び込んでくるなど、何らかの原因で減速モードにおける指示速度(例えば10m/min)まで減速することができない状態で障害物3との間の距離が第2設定距離L2に接近した場合でも、障害物検知センサー4による障害物3の検知により、次の停止ステップS40に進む。

    次に、停止ステップS40では、次のような動作フローが実行される。 (特に図4を参照)
    すなわち、停止ステップS40では、第2検知ステップS30において障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、まず、第1ステップS1において、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)へ切換り、これと同時に、停止制御装置10から電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8に作動信号が伝送され、電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8が作動される。 その後、ステップS11において時間の計測がスタートし、ステップS12において所定の時間経過が確認された後、第2ステップS2に進む。 なお、停止制御装置10には、各回転数計測センサー14、14により計測された各駆動輪6、7の実測回転数が常時伝送される。
    次に、第2ステップS2において、停止制御装置10にて、各駆動輪6、7の各実測回転数(各駆動輪6、7の各実測回転数は略同じ値を示す)と、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数(停止モード:左右駆動輪6、7共に0rpm)との差が算出され、この差が予め設定されてある基準値よりも大きければ第5ステップS5に進み、この差が前記基準値より小さければ第3ステップS3に進む。 この基準値は、台車に載置されるワーク等の重量等に基いて適宜設定される。

    次に、第3ステップS3では、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1は位置ズレしていないと判定された場合には、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が引き続き作動されて、第2ステップS2に進む。
    一方、第3ステップS3における判定結果が、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第4ステップS4に進む。
    すなわち、搬送用自走車1が減速停止する途中において、ブレーキ作動によるスリップ等により例えば、図5に示すように、所定経路から右方に位置ズレしている場合には、位置ズレ検知センサー5の検知素子5a〜5cの検知状態が、正常走行状態である真中の検知素子5bのON状態から左側の検知素子5aがON状態に変換し、この検知状態により搬送用自走車1が右方に位置ズレしていると判定される。

    次に、第4ステップS4では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送されて、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1の位置ズレを補正するために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:0rpm,右側駆動輪7:実測回転数に切換る。 その後、再び第3ステップS3に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第4ステップS4(位置ズレ補正)または第1ステップS1(ブレーキの再作動)に進む。

    また、第5ステップS5では、第3ステップS3と同様に、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1が位置ズレしていないと判定された場合には、第7ステップS7に進む。
    一方、第5ステップS5において、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第6ステップS6に進む。

    第6ステップS6では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させながら位置ズレを補正するために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:例えば実測回転数の30%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の70%に切換る。 その後、再び第5ステップS5に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第6ステップS6(位置ズレ補正)または第7ステップS7(減速中断続ブレーキ制御)に進む。

    第7ステップS7では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させるために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:例えば実測回転数の50%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の50%に切換る。 その後減速中に、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が断続的(例えば0.1秒間隔で全3回)に作動される。 その後、再び第1ステップS1に戻り、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)へ切換り、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に作動信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が再び作動され、所定の時間経過が確認された後、次の第2ステップS2に進む。

    そして、最終的に第2ステップS2において、各駆動輪6、7の各実測回転数が共に0rpmになった場合には、第8ステップS8に進み停止完了となる。 搬送用自走車1が停止完了した後は、図6に示すように、電気ブレーキは引き続き作動させる方が好ましく、各ディスクブレーキ8、8はディスクを挟持した状態でも良いし、開放した状態でも良い。
    このように、停止ステップS40では、搬送用自走車1の位置ズレが発生した場合には、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキのブレーキ作動を一時的に解除して位置ズレを補正し、その後、再び各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを作動させるフローを繰り返すことで、所定経路から左右方向に位置ズレしないように搬送用自走車1を停止させている。 また、搬送用自走車1の車速(実測回転数)が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを断続的に作動(図6の電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8の作動形態を示す太線の立ち上がり部分)させているので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることがない。

    なお、本停止制御方法では、図3に示すように、上述した停止ステップS40において、何らかの原因によって、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、非常停止ステップS50に進む。
    非常停止ステップS50では、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止できず、その安全バンパ11が障害物3に接触すると、該安全バンパ11内の接触検知回路に短絡が発生して、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで搬送用自走車1への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車1が完全に停止するが、停止ステップS40処理中のため減速が進み、従来より短い制動距離にて停止する。 なお、搬送用自走車1が障害物3に接触して停止した後は、搬送用自走車1への動力が全て停止されるために、電気ブレーキは解除されると共に、各ディスクブレーキ8、8は、停止ステップS40の第1〜第7ステップS1〜S7のいずれかのステップを実行中に動力が遮断されるので、ディスクを挟持した状態または開放状態のいずれかの状態で停止されることになる。

    以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、特に、本停止制御方法の停止ステップS40において、各駆動輪6、7への電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8(ブレーキ手段)を一時的に解除した状態で、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが補正制御されるので、搬送用自走車1が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    また、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の停止ステップS40において、特に、搬送用自走車1の車速が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、各駆動輪6、7へ電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が断続的に作動されるので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることなく、障害物3を検知してからの搬送用自走車1の停止制動距離L3(図6参照)を従来の停止制御方法における停止制動距離よりも短縮させることができる。

    さらに、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20を備えているので、搬送用自走車1が高速で走行される際に特に有効で、停止ステップS40の前段階で高速走行中の搬送用自走車1を十分に減速させて、停止ステップS40におけるブレーキ作動の際の各駆動輪6、7のスリップ作用を極力防止することができる。 しかも、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で検知する第2検知ステップS30を備え、第2設定距離L2(図1参照)が停止ステップS40における停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されているので、搬送用自走車1を障害物3に接触することなく障害物3の手前で停止させることができる。

    さらにまた、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法は、停止制御に係るフェイルセーフ機能として、停止ステップS40の後、該停止ステップS40にて搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合、該搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車1を停止させる非常停止ステップS50を備えているので、何らかの原因で搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で搬送用自走車1を停止させることができ、さらに安全性を向上させることができる。

    なお、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、停止ステップS40を実行する目安として第2検知ステップS30を備えておりこの形態が最も好ましいが、その他、低速走行ステップS20を継続させる時間を予め設定しておき、その時間が経過した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良いし、低速走行ステップS20での搬送用自走車1への指示速度と実速度とが一致した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良い。

    また、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20及び第2検知ステップS30を備えており、高速走行中の搬送用自走車1を停止ステップS40の前段階で十分に減速させることができるが、搬送用自走車1が必ずしも高速で走行しない場合には、低速走行ステップS20を省き、第1検知ステップS10または第2検知ステップS30の後に停止ステップS40を備えるようにしても良い。

    さらに、本発明の実施の形態では、各駆動輪6、7へのブレーキ手段として機械式ブレーキであるディスクブレーキ8、8と電気ブレーキとを併用して採用しているが、いずれか一方を採用しても良い。

    本発明は、台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車及びその停止制御方法に関するものである。

    従来から、搬送用自走車には、ワークや荷物等が載置された台車と着脱可能に連結され台車を牽引して、床面に敷設された磁気情報などの案内手段により所定経路に沿って自走する牽引型自走車や、ワークや荷物等が載置された台車と一体的に連結され、前記案内手段により所定経路に沿って自走する積載型自走車等が知られている。

    近年、上述したような搬送用自走車の活用がさらに増加する傾向にあり、高能率化のために高速化(80m/min程度)が求められ、同時に高速化による安全確保も求められており、搬送用自走車が高速で走行している際、所定経路上の障害物等を検知した場合には、速やかに搬送用自走車を所定経路上に停止させることが必要不可欠となっている。

    そこで、従来の搬送用自走車の停止制御方法について説明する。
    従来の搬送用自走車は、障害物を非接触で検知可能な障害物検知センサーと、該障害物センサーの検知に基いて、互いに独立回転する左右一対の駆動輪を減速停止させる停止制御装置と、障害物が接触した際に、搬送用自走車への動力の伝達を遮断する安全バンパとを備えている。

    そして、従来の停止制御方法は、まず、搬送用自走車が走行中、所定距離離れた位置の障害物を障害物検知センサーにより検知する。
    その後、障害物検知センサーの検知に基いて、停止制御装置により左右一対の駆動輪への指示回転数が停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定されることで、搬送用自走車が徐々に減速されて停止される。
    しかしながら、搬送用自走車が高速で走行している場合には、停止制御装置により各駆動輪への指示回転数が停止モードに設定されても、障害物の検知後の停止制動距離が長いために、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    すなわち、従来の停止制御方法では、各駆動輪への停止モードによる停止制御、すなわち、各駆動輪への指示回転数を停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定することで各駆動輪に電気的な制動(電気ブレーキ)を付加して、搬送用自走車を減速させて停止させているために、特に、搬送用自走車が高速で走行している場合、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長くなり、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    そのため、従来の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行している場合、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることで、該搬送用自走車が完全に停止される。

    このように、上述した従来の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車を高速で走行させた場合、障害物検知センサーが障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長く、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、該搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることにより完全に停止するために、特に、搬送用自走車上の台車に重量物が載置された場合等、障害物を検知してから障害物に接触して完全に停止されるまでの長い区間非常に危険な状況が続くことになる。 そのために、従来では、搬送用自走車の最高速度を制限することで安全性を確保していた。

    そこで、上述した問題を解決する従来技術として、特許文献1には、無人搬送車の非常停止制御として、電磁ブレーキ(機械式ブレーキ)と電気ブレーキとを併用することにより、無人搬送車の停止制動距離を短くすることが開示されている。

    特開平1−26210号公報

    しかしながら、特許文献1の発明のように、機械式ブレーキと電気ブレーキとを併用して搬送用自走車の停止制動距離を短縮しようとすると、ブレーキ作動の際、搬送用自走車の各駆動輪がロック状態となりスリップしてしまい、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止する可能性があり、しかも、特に、牽引型自走車の場合には、搬送用自走車がスリップし所定経路から逸脱して停止した際、連結されている台車がその残加速度により搬送用自走車から離脱して走行する虞があり非常に危険な状態になる。
    さらに、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止してしまうと、搬送用自走車は無人走行車のため所定経路に戻す復旧作業が大変困難になる。

    本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させることのできる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車の停止制御方法は、前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、該検知ステップにおける障害物の検知に基いて、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて、各駆動輪の指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備えたことを特徴としている。
    また、上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車は、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、互いに独立回転する左右一対の駆動輪の回転を制動する機械式ブレーキ及び電気ブレーキと、前記障害物検知センサーにより障害物を検知し、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、前記位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて、各駆動輪の指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させ� ��停止制御装置と、を備えたことを特徴としている。
    これにより、搬送用自送車が走行中に所定距離離れた障害物を検知した際、搬送用自送車は所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    なお、本発明の搬送用自走車及びその停止制御方法の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。

    (発明の態様)
    以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。 なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。 これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。 つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。 なお、以下の(1)項〜(10)項において、(1)項乃至(5)項の各々が、請求項1、2、4、5、6の各々に相当し、(7)項乃至(9)項が請求項7乃至9の各々に相当する。

    (1)台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車の停止制御方法であって、該停止制御方法は、前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、該検知ステップにおける障害物の検知に基いて、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて、各駆動輪の指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備えたことを特徴とする搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が走行中、検知ステップにて、設定距離離れた位置の障害物を検知すると、停止ステップにて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキ(停止モード)を解除した上で搬送用自走車の位置ズレを補正制御し、その後再び機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を開始して、搬送用自走車を停止させるので、搬送自走車が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。 搬送用自走車は、機械式ブレーキ及び電気ブレーキ(停止モード)を一時的に解除した上で、各駆動輪への指示回転数を互いに相違させることで、その位置ズレが補正制御して、搬送用自走車を停止させる。 具体的には、搬送用自走車の停止制御が開始された際、例えば、搬送用自走車が進行方向に向かって右方に位置ズレしている場合には、機械式ブレーキ及び電気ブレーキを一時的に解除すると共に、左右一対の駆動輪の内、右側の駆動輪の回転数を左側の駆動輪の回転数より大きく設定することにより位置ズレを補正制御している。
    しかも、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにて、各駆動輪への機械式ブレーキ及び電気ブレーキを解除した上で、搬送用自走車の位置ズレを補正制御するので、該位置ズレを容易に補正することができる。

    (2)前記停止ステップにおいて、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、各駆動輪の実測回転数が基準値よりも大きく、且つ、前記搬送用自走車が前記所定経路から左右方向へ位置ズレしていない場合には、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて前記指示回転数を実測回転数よりも低い値に設定すると共に前記機械式ブレーキを断続的に作動させて、前記搬送用自走車を停止させることを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(2)項の搬送用自走車の停止制御方法では、特に、左右一対の駆動輪へ機械式ブレーキ及び電気ブレーキ(停止モード)を作動させた後、各駆動輪の実測回転数が基準値よりも大きく、且つ、搬送用自走車の位置ズレが発生していない場合には、機械式ブレーキを断続的に作動させるので、各駆動輪がロック状態となりスリップして搬送用自走車の姿勢制御が不能となることなく、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離を従来よりも短縮させることができる。

    (3)前記停止ステップにおいて、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、各駆動輪の実測回転数が基準値よりも大きく、且つ、前記搬送用自走車が前記所定経路から左右方向へ位置ズレしている場合には、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて前記指示回転数を実測回転数よりも低い値に設定し、且つ前記指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させることを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    (4)前記停止ステップにおいて、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、各駆動輪の実測回転数が基準値よりも小さく、且つ、前記搬送用自走車が前記所定経路から左右方向へ位置ズレしている場合には、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて一方の駆動輪の指示回転数を実測回転数と同一に設定し、他方の駆動輪の指示回転数を実測回転数よりも低い値に設定して前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させることを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。

    (5)前記検知ステップにおける前記設定距離よりも遠い設定距離にて障害物を検知する遠距離側検知ステップと、該遠距離側検知ステップと前記検知ステップとの間に、前記搬送用自走車を減速させて、該搬送用自走車を低速走行させる低速走行ステップとを備えたことを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(5)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行される場合に特に有効で、停止ステップの前段階で搬送用自走車が十分に減速されて低速走行される。

    (6)前記検知ステップの前記設定距離は、前記停止ステップにおける搬送用自走車の停止制動距離より長く設定されること特徴とする(1)項〜(5)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(6)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにおいて、搬送用自走車は障害物に接触することなく障害物の手前で停止される。

    (7)前記停止ステップの後に、該停止ステップにより搬送用自走車が障害物の手前で停止せず、障害物に接触した際、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車を停止させる非常停止ステップを備えたことを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(7)項の搬送用自走車の停止制御方法では、非常停止ステップはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止ステップにおいて、搬送用自走車が障害物に接触する前に停止しない場合には、非常停止ステップにおいて、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断され、搬送用自走車が停止される。

    (8)台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車であって、該搬送用自走車は、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、互いに独立回転する左右一対の駆動輪の回転を制動する機械式ブレーキ及び電気ブレーキと、前記障害物検知センサーにより障害物を検知し、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキを作動させた後、前記位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、前記機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を解除した後、前記電気ブレーキを作動させて、各駆動輪の指示回転� ��を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御して、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、を備えたことを特徴とする搬送用自走車。
    従って、(8)項の搬送用自走車では、障害物検知センサーにより障害物を検知した際には、停止制御装置により、位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキ(停止モード)を解除した後位置ズレが補正制御され、その後再び機械式ブレーキ及び電気ブレーキの作動を開始して搬送用自走車が停止される。
    しかも、(8)項の搬送用自走車では、停止制御装置により、特に、左右一対の駆動輪の機械式ブレーキ及び電気ブレーキ(停止モード)を作動させた後、各駆動輪の実測回転数が基準値よりも大きく、且つ、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合には、機械式ブレーキを断続的に作動させているので、各駆動輪がロック状態となりスリップして搬送用自走車の姿勢制御が不能となることなく、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離を従来の停止制動距離よりも短縮させることができる。

    (9)前記位置ズレ検知センサーは、前記各駆動輪を一体的に構成した駆動輪ユニットの進行方向前部または後部に備えられ、前記案内手段の延びる方向と略直交する方向に、前記案内手段を検知する複数の検知素子を直列に並べて構成されることを特徴とする(8)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(9)項の搬送用自走車では、位置ズレ検知センサーは、複数の検知素子が案内手段の延びる方向と直交する方向に直列に並んで構成されているので、搬送用自走車が案内手段上を正常に走行していると、各検知素子の内、真中の検知素子だけがON状態となり、例えば、搬送用自走車が所定経路から右方に位置ズレして走行していると、各検知素子内、左側に位置する検知素子だけがON状態となる。

    (10)前記障害物が接触すると、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断する安全バンパを備えたことを特徴とする(8)項または(9)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(10)項の搬送用自走車では、安全バンパはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止制御装置が作動しても、何らかの原因で、搬送用自走車が障害物の手前で停止しない場合には、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車が停止される。

    本発明によれば、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することができる。

    図1は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車が障害物と対向した様子を示す図である。

    図2は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の模式図である。

    図3は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を示すフロー図である。

    図4は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法の停止ステップにおけるフロー図である。

    図5は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する様子を示す模式図である。

    図6は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を採用した際の速度と距離の関係及び各種ブレーキの作動形態を示した図である。

    符号の説明

    1 搬送用自走車,2 走行磁気テープ(案内手段),3 障害物,4 障害物検知センサー,5 位置ズレ検知センサー,5a〜5c 検知素子,6 駆動輪(左側),7 駆動輪(右側),8 ディスクブレーキ(機械式ブレーキ),10 停止制御装置,12 駆動モータ,14 回転数計測センサー,20 駆動輪ユニット

    以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図6に基いて詳細に説明する。
    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1は、図1及び図2に示すように、ワークや荷物等が載置された台車(図示略)と着脱可能または一体的に連結され、床面の所定経路に敷設された走行磁気テープ(案内手段)2に沿って自走するものであり、所定距離離れた障害物3を検知する障害物検知センサー4と、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサー5と、互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7の回転を制動するディスクブレーキ(機械式ブレーキ)8、8及び電気ブレーキと、障害物検知センサー4により障害物3を検知し、ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードを作動させた後、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左� ��方向への位置ズレがある場合は、ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードを解除した後、電気ブレーキを作動させて各駆動輪6、7の指示回転数のいずれか一方または両方を実測回転数よりも低く設定し、且つ各駆動輪6、7の指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させる停止制御装置10と、進行方向前部に備えられ、障害物3が接触した際、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断する安全バンパ11とを備えている。
    また、本搬送用自走車1は、左右一対の駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に配設される各減速ギヤ13、13と、該各減速ギヤ13、13の各歯と対向するように配設され、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14とを備えている。

    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1を詳細に説明する。
    本搬送用自走車1には、図2に示すように、駆動輪ユニット20が1ユニット備えられおり、この駆動輪ユニット20に互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7が備えられている。
    駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7に連結される駆動モータ12、12がモータドライバとセットでそれぞれ備えられている。 各駆動モータ12、12は、停止制御装置10と接続され、停止制御時には停止制御装置10からの指示回転数に従って駆動され、左右一対の駆動輪6、7は互い独立回転する。
    各駆動輪6、7にはディスクブレーキ8、8がそれぞれ連結されており、該ディスクブレーキ8、8は、各駆動輪6、7と同回転するディスクを両側から挟み込むことで、各駆動輪6、7の回転を制動するものである。 各ディスクブレーキ8、8は停止制御装置10と接続されており、停止制御時には停止制御装置10から作動または解除信号が伝送される。

    また、駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に、各駆動モータ12、12の回転数を適正な回転数に変換し、各駆動輪6、7に伝達する減速ギヤ13、13が備えられている。 各減速ギヤ13、13の各歯と対向する位置に、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14が備えられている。 各回転数計測センサー14、14は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時にはその計測内容が常時停止制御装置10へ伝送される。
    また、搬送用自走車1は、通常走行中、後で詳述する位置ズレ検知センサー5の検知内容に基いて、駆動輪ユニット20の各駆動輪6、7の回転数を互いに相違させることでその向きを微調整しながら走行している。

    障害物検知センサー4は、図2に示すように、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられ、障害物3を非接触で検知するもので、具体的にはレーザ光、LED光または超音波等を照射して、その反射波を受信することで所定距離離れた障害物3を検知するものである。
    そして、本搬送用自走車1に備えられた障害物検知センサー4は、停止制御装置10と接続されており、搬送用自走車1が走行中、図1に示す第1設定距離L1離れた障害物3を検知した時点と、その後引き続き搬送用自走車1が走行して、障害物3との距離が第2設定距離L2(<第1設定距離L1)に接近した時点とにおいて、その検知信号が停止制御装置10へ伝送されるように構成されている。 第2設定距離L2は、後述する停止制御方法の停止ステップS40における搬送用自走車1の停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されている。

    位置ズレ検知センサー5は、図2及び図5に示すように、駆動輪ユニット20の進行方向前部に備えられており、走行磁気テープ2を検知する複数の検知素子5a〜5c(本実施の形態では3個)が走行磁気テープ2の延びる方向と直交する方向に直列に並べて構成されている。 なお、位置ズレ検知センサー5は、駆動輪ユニット20の進行方向後部に備えてもよい。
    この位置ズレ検知センサー5は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時、搬送用自走車1の位置ズレを検知した際、その検知内容が停止制御装置10に伝送されて、停止制御装置10にて、その検知内容に基き各駆動輪6、7への指示回転数を互いに相違させ駆動させることで、搬送用自走車1の位置ズレが補正されるようになっている。 この補正制御は、停止制御方法を説明する際に詳述する。

    停止制御装置10は、図2に示すように、障害物検知センサー4、位置ズレ検知センサー5、各回転数計測センサー14、14、各駆動モータ12、12、ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキのそれぞれに接続されており、障害物検知センサー4により障害物3を検知した際、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪6、7のディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードを解除した後前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させるものである。 この停止制御装置10の動作は、停止制御方法を説明する際に詳述する。 なお、電気ブレーキは、停止制御装置10により、各駆動輪6、7側の回転を各駆動モータ12、12へ逆入力することで、各駆動モータ12、12に回転抵抗を生じさせてその制動力を得るものである。

    安全バンパ11は、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられており、該安全バンパ11には、接触検知回路が内蔵され、安全バンパ11に障害物3が接触して、接触検知回路に短絡が発生すると、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで安全バンパ11の異常を検知するようになっている。
    そして、安全バンパ11内の接触検知回路は搬送用自走車1の動力を伝達する動力源と接続されており、安全バンパ11内の接触検知回路の抵抗値が変化すると、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される構成となっている。 なお、この接触検知回路には、自己診断用の短絡接点が組み込まれており、この短絡接点をON状態にすることで、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される動作を自己診断できるようになっている。

    次に、以上から構成される本搬送用自走車1が高速(80m/min)で走行される際の停止制御方法を図3〜図6に基いて図1も参照しながら説明する。
    まず、第1検知ステップ(遠距離側検知ステップ)S10では、搬送用自走車1が高速で走行中、第1設定距離L1離れた障害物3を障害物検知センサー4により検知し、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の低速走行ステップS20へ進む。
    次に、低速走行ステップS20では、障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、停止制御装置10からの信号により電気ブレーキとして、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が搬送用自走車1の現走行速度に対応した回転数から減速モード、例えば走行速度10m/minに対応した回転数に切換り、搬送用自走車1が減速後低速走行されて、次の第2検知ステップS30へ進む。

    次に、第2検知ステップ(検知ステップ)S30では、搬送用自走車1が低速走行中、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で障害物検知センサー4により再び検知され、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の停止ステップS40へ進む。
    なお、低速走行ステップS20において、搬送用自走車1が、突然障害物が走行コース上に飛び込んでくるなど、何らかの原因で、電気ブレーキの減速モードにおける指示速度(例えば10m/min)まで減速することができない状態で障害物3との間の距離が第2設定距離L2に接近した場合でも、障害物検知センサー4による障害物3の検知により、次の停止ステップS40に進む。

    次に、停止ステップS40では、次のような動作フローが実行される。 (特に図4を参照)
    すなわち、停止ステップS40では、第2検知ステップS30において障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、まず、第1ステップS1において、停止制御装置10から各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキに停止モード作動信号が伝送され、電気ブレーキとして各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)へ切換ると共に、各ディスクブレーキ8、8が作動される。 その後、ステップS11において時間の計測がスタートし、ステップS12において所定の時間経過が確認された後、第2ステップS2に進む。 なお、停止制御装置10には、各回転数計測センサー14、14により計測された各駆動輪6、7の実測回転数が常時伝送される。
    次に、第2ステップS2において、停止制御装置10にて、各駆動輪6、7の各実測回転数(各駆動輪6、7の各実測回転数は略同じ値を示す)と、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数(停止モード:左右駆動輪6、7共に0rpm)との差が算出され、この差が予め設定されてある基準値よりも大きければ第5ステップS5に進み、この差が前記基準値より小さければ第3ステップS3に進む。 この基準値は、台車に載置されるワーク等の重量等に基いて適宜設定される。

    次に、第3ステップS3では、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1は位置ズレしていないと判定された場合には、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードが引き続き作動されて、第2ステップS2に進む。
    一方、第3ステップS3における判定結果が、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第4ステップS4に進む。
    すなわち、搬送用自走車1が減速停止する途中において、ブレーキ作動によるスリップ等により例えば、図5に示すように、所定経路から右方に位置ズレしている場合には、位置ズレ検知センサー5の検知素子5a〜5cの検知状態が、正常走行状態である真中の検知素子5bのON状態から左側の検知素子5aがON状態に変換し、この検知状態により搬送用自走車1が右方に位置ズレしていると判定される。

    次に、第4ステップS4では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送されて、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードが解除される。 これと同時に、搬送用自走車1の位置ズレを補正するために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:0rpm,右側駆動輪7:実測回転数に切換り、電気ブレーキにより左側駆動輪6だけに電気的な制動力が付加されると共に、位置ズレが補正される。 その後、再び第3ステップS3に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第4ステップS4(位置ズレ補正)または第1ステップS1(ブレーキの再作動)に進む。

    また、第5ステップS5では、第3ステップS3と同様に、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1が位置ズレしていないと判定された場合には、第7ステップS7に進む。
    一方、第5ステップS5において、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第6ステップS6に進む。

    第6ステップS6では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードが解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させながら位置ズレを補正するために、停止制御装置10により電気ブレーキが停止モードから減速モード(各駆動輪6、7への指示回転数が互いに相違)に切換えられ、すなわち、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から減速モード(左側駆動輪6:例えば実測回転数の30%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の70%)に切換えられる。 その後、再び第5ステップS5に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第6ステップS6(位置ズレ補正)または第7ステップS7(減速中断続ブレーキ制御)に進む。

    第7ステップS7では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードが解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させるために、停止制御装置10により電気ブレーキが停止モードから減速モード(各駆動輪6、7への指示回転数が共に同じ)に切換えられ、すなわち、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から減速モード(左側駆動輪6:例えば実測回転数の50%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の50%)に切換えられる。 その後、各ディスクブレーキ8、8が断続的(例えば0.1秒間隔で全3回)に作動される。 その後、再び第1ステップS1に戻り、ステップS11及びS12を経て、第2ステップS2に進む。

    そして、最終的に第2ステップS2において、各駆動輪6、7の各実測回転数が共に0rpmになった場合には、第8ステップS8に進み停止完了となる。 搬送用自走車1が停止完了した後は、図6に示すように、電気ブレーキは引き続き停止モードで作動させる方が好ましく、各ディスクブレーキ8、8はディスクを挟持した状態でも良いし、開放した状態でも良い。
    このように、停止ステップS40では、搬送用自走車1の位置ズレが発生した場合には、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モード作動を一時的に解除して位置ズレを補正し、その後、再び各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードを作動させるフローを繰り返すことで、所定経路から左右方向に位置ズレしないように搬送用自走車1を停止させている。 また、搬送用自走車1の車速(実測回転数)が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、ディスクブレーキ8、8を断続的に作動 させているので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることがない。

    なお、本停止制御方法では、図3に示すように、上述した停止ステップS40において、何らかの原因によって、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、非常停止ステップS50に進む。
    非常停止ステップS50では、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止できず、その安全バンパ11が障害物3に接触すると、該安全バンパ11内の接触検知回路に短絡が発生して、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで搬送用自走車1への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車1が完全に停止するが、停止ステップS40処理中のため減速が進み、従来より短い制動距離にて停止する。 なお、搬送用自走車1が障害物3に接触して停止した後は、搬送用自走車1への動力が全て停止されるために、電気ブレーキは解除されると共に、各ディスクブレーキ8、8は、停止ステップS40の第1〜第7ステップS1〜S7のいずれかのステップを実行中に動力が遮断されるので、ディスクを挟持した状態または開放状態のいずれかの状態で停止されることになる。

    以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、特に、本停止制御方法の停止ステップS40において、各駆動輪6、7の各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モードを一時的に解除した状態で、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが補正制御されるので、搬送用自走車1が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    また、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の停止ステップS40において、特に、搬送用自走車1の車速が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、各駆動輪6、7へ各ディスクブレーキ8、8が断続的に作動されるので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることなく、障害物3を検知してからの搬送用自走車1の停止制動距離L3(図6参照)を従来の停止制御方法における停止制動距離よりも短縮させることができる。

    さらに、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20を備えているので、搬送用自走車1が高速で走行される際に特に有効で、停止ステップS40の前段階で高速走行中の搬送用自走車1を十分に減速させて、停止ステップS40における各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキの停止モード作動の際の各駆動輪6、7のスリップ作用を極力防止することができる。 しかも、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で検知する第2検知ステップS30を備え、第2設定距離L2(図1参照)が停止ステップS40における停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されているので、搬送用自走車1を障害物3に接触することなく障害物3の手前で停止させることができる。

    さらにまた、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法は、停止制御に係るフェイルセーフ機能として、停止ステップS40の後、該停止ステップS40にて搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合、該搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車1を停止させる非常停止ステップS50を備えているので、何らかの原因で搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で搬送用自走車1を停止させることができ、さらに安全性を向上させることができる。

    なお、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、停止ステップS40を実行する目安として第2検知ステップS30を備えておりこの形態が最も好ましいが、その他、低速走行ステップS20を継続させる時間を予め設定しておき、その時間が経過した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良いし、低速走行ステップS20での搬送用自走車1への指示速度と実速度とが一致した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良い。

    また、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20及び第2検知ステップS30を備えており、高速走行中の搬送用自走車1を停止ステップS40の前段階で十分に減速させることができるが、搬送用自走車1が必ずしも高速で走行しない場合には、低速走行ステップS20及び第2検知ステップS30を省き、第1検知ステップS10の後に停止ステップS40を備えるようにしても良い。

    さらに、本発明の実施の形態では、機械式ブレーキであるディスクブレーキ8、8と電気ブレーキとを併用して採用しているが、いずれか一方を採用しても良い。

    本発明は、台車と着脱可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車及びその停止制御方法に関するものである。

    従来から、搬送用自走車には、ワークや荷物等が載置された台車と着脱可能に連結され台車を牽引して、床面に敷設された磁気情報などの案内手段により所定経路に沿って自走する牽引型自走車や、ワークや荷物等が載置された台車と一体的に連結され、前記案内手段により所定経路に沿って自走する積載型自走車等が知られている。

    近年、上述したような搬送用自走車の活用がさらに増加する傾向にあり、高能率化のために高速化(80m/min程度)が求められ、同時に高速化による安全確保も求められており、搬送用自走車が高速で走行している際、所定経路上の障害物等を検知した場合には、速やかに搬送用自走車を所定経路上に停止させることが必要不可欠となっている。

    そこで、従来の搬送用自走車の停止制御方法について説明する。
    従来の搬送用自走車は、障害物を非接触で検知可能な障害物検知センサーと、該障害物センサーの検知に基いて、互いに独立回転する左右一対の駆動輪を減速停止させる停止制御装置と、障害物が接触した際に、搬送用自走車への動力の伝達を遮断する安全バンパとを備えている。

    そして、従来の停止制御方法は、まず、搬送用自走車が走行中、所定距離離れた位置の障害物を障害物検知センサーにより検知する。
    その後、障害物検知センサーの検知に基いて、停止制御装置により左右一対の駆動輪への指示回転数が停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定されることで、搬送用自走車が徐々に減速されて停止される。
    しかしながら、搬送用自走車が高速で走行している場合には、停止制御装置により各駆動輪への指示回転数が停止モードに設定されても、障害物の検知後の停止制動距離が長いために、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    すなわち、従来の停止制御方法では、各駆動輪への停止モードによる停止制御、すなわち、各駆動輪への指示回転数を停止モード(左右駆動輪共に0rpm)に設定し、搬送用自走車の各駆動輪及び台車の各従動輪と、床面との摩擦等によって、搬送用自走車を自然に減速させて停止させているために、特に、搬送用自走車が高速で走行している場合、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長くなり、搬送用自走車を障害物の手前で停止させることができない。
    そのため、従来の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行している場合、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることで、該搬送用自走車が完全に停止される。

    このように、上述した従来の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車を高速で走行させた場合、障害物検知センサーが障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離が長く、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、該搬送用自走車への動力の伝達が遮断されることにより完全に停止するために、特に、搬送用自走車上の台車に重量物が載置された場合等、障害物を検知してから障害物に接触して完全に停止されるまでの長い区間非常に危険な状況が続くことになる。 そのために、従来では、搬送用自走車の最高速度を制限することで安全性を確保していた。

    そこで、上述した問題を解決する従来技術として、特許文献1には、無人搬送車の非常停止制御として、電磁ブレーキ(機械式ブレーキ)と電気ブレーキとを併用することにより、無人搬送車の停止制動距離を短くすることが開示されている。

    特開平1−26210号公報

    しかしながら、特許文献1の発明のように、機械式ブレーキと電気ブレーキとを併用して搬送用自走車の停止制動距離を短縮しようとすると、ブレーキ作動の際、搬送用自走車の各駆動輪がロック状態となりスリップしてしまい、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止する可能性があり、しかも、特に、牽引型自走車の場合には、搬送用自走車がスリップし所定経路から逸脱して停止した際、連結されている台車がその残加速度により搬送用自走車から離脱して走行する虞があり非常に危険な状態になる。
    さらに、搬送用自走車が所定経路から逸脱して停止してしまうと、搬送用自走車は無人走行車のため所定経路に戻す復旧作業が大変困難になる。

    本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させることのできる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車の停止制御方法は、左右一対の駆動輪と、各駆動輪に連結される駆動モータと、各駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、を備えると共に、台車と脱着可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車の停止制御方法であって、 前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備え、該停止ステップは、前記検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキを作動させるステップと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知するステップと、前記位置ズレが検知された場合には 、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除し、各駆動モータの指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正するステップと、を含むことを特徴としている。
    また、上記課題を解決するために、本発明の搬送用自走車は、台車と脱着可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車であって、該搬送用自走車は、互いに独立回転する左右一対の駆動輪と、各駆動輪に連結される駆動モータと、各駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、前記障害物検知センサーによる障害物の検知に基いて、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキを作動させるとともに、前記位置ズレ検知センサーにより前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレが検知された場合は、前記ブ� ��ーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除し、各駆動モータの指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正して、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、を備えたことを特徴としている。
    これにより、搬送用自送車が走行中に所定距離離れた障害物を検知した際、搬送用自送車は所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    なお、本発明の搬送用自走車及びその停止制御方法の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。

    (発明の態様)
    以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。 なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。 これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。 つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。 なお、以下の(1)項〜(9)項において、(1)項乃至(5)項の各々が、請求項1乃至5の各々に相当し、(7)項乃至(9)項が請求項6乃至8に相当する。

    (1)左右一対の駆動輪と、各駆動輪に連結される駆動モータと、各駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、を備えると共に、台車と脱着可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車の停止制御方法であって、 前記搬送用自走車が走行中、設定距離離れた障害物を検知する検知ステップと、前記搬送用自走車を停止させる停止ステップと、を備え、該停止ステップは、前記検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキを作動させるステップと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知するステップと、前記位置ズレが検知された場合には、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作 動を一時的に解除し、各駆動モータの指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正するステップと、を含むことを特徴とする搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が走行中、検知ステップにて、設定距離離れた位置の障害物を検知すると、停止ステップにて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪へのブレーキ手段及び駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除した上で搬送用自走車の位置ズレを補正制御し、その後再び各駆動輪へのブレーキ手段及び駆動モータによる電気ブレーキの作動を開始して、搬送用自走車を停止させるので、搬送自走車が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    しかも、(1)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにて、各駆動輪へのブレーキ手段及び駆動モータによる電気ブレーキの作動を解除した上で、搬送用自走車の位置ズレを補正制御するので、該位置ズレを容易に補正することができる。

    (2)前記停止ステップでは、さらに、各駆動輪の実測回転数と各駆動モータの指示回転数との差が基準値よりも大きく、且つ、前記位置ズレが検知されない場合には、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除した後、前記搬送用自走車を減速させた状態で前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を断続的に作動させるステップを含むことを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(2)項の搬送用自走車の停止制御方法では、特に、各駆動輪の実測回転数と各駆動モータの指示回転数との差が基準値よりも大きく、搬送用自走車の位置ズレが発生していない場合には、ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除した後、搬送用自走車を減速させた状態でブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を断続的に作動させるので、各駆動輪がロック状態となりスリップして搬送用自走車の姿勢制御が不能となることなく、障害物を検知してからの搬送用自走車の停止制動距離を従来よりも短縮させることができる。

    (3)前記位置ズレを補正するステップは、各駆動輪の実測回転数と各駆動モータの指示回転数との差が基準値よりも大きい場合には、各駆動モータの指示回転数を実測回転数よりも低い値に設定すると共に、各駆動モータの指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正することを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    (4)前記位置ズレを補正するステップは、各駆動輪の実測回転数と各駆動モータの指示回転数との差が基準値よりも小さい場合には、一方の駆動モータの指示回転数を零とし、他方の駆動モータの指示回転数を実測回転数よりも低い値に設定して前記位置ズレを補正することを特徴とする(1)項に記載の搬送用自走車の停止制御方法。

    (5)さらに、該検知ステップにおける前記設定距離よりも遠い設定距離にて障害物を検知する遠距離側検知ステップと、該遠距離側検知ステップにおける障害物の検知に基いて、前記搬送用自走車を減速させて該搬送用自走車を低速走行させる低速走行ステップとを備えたことを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(5)項の搬送用自走車の停止制御方法では、搬送用自走車が高速で走行される場合に特に有効で、停止ステップの前段階で搬送用自走車が十分に減速されて低速走行される。

    (6)前記検知ステップの前記設定距離は、前記停止ステップにおける搬送用自走車の停止制動距離より長く設定されること特徴とする(1)項〜(5)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(6)項の搬送用自走車の停止制御方法では、停止ステップにおいて、搬送用自走車は障害物に接触することなく障害物の手前で停止される。

    (7)さらに、該停止ステップにより搬送用自走車が障害物の手前で停止せず、障害物に接触した際、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車を停止させる非常停止ステップを備えたことを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれかに記載の搬送用自走車の停止制御方法。
    従って、(7)項の搬送用自走車の停止制御方法では、非常停止ステップはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止ステップにおいて、搬送用自走車が障害物に接触する前に停止しない場合には、非常停止ステップにおいて、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断され、搬送用自走車が停止される。

    (8)台車と脱着可能にまたは一体的に連結され、所定経路に配設された案内手段に沿って自走する搬送用自走車であって、該搬送用自走車は、互いに独立回転する左右一対の駆動輪と、各駆動輪に連結される駆動モータと、各駆動輪の回転を制動するブレーキ手段と、所定距離離れた障害物を検知する障害物検知センサーと、前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサーと、前記障害物検知センサーによる障害物の検知に基いて、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキを作動させるとともに、前記位置ズレ検知センサーにより前記搬送用自走車の前記所定経路から左右方向への位置ズレが検知された場合は、前記ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作� ��を一時的に解除し、各駆動モータの指示回転数を互いに相違させて前記位置ズレを補正して、前記搬送用自走車を停止させる停止制御装置と、を備えたことを特徴とする搬送用自走車。
    従って、(8)項の搬送用自走車では、障害物検知センサーにより障害物を検知した際には、停止制御装置により、位置ズレ検知センサーからの検知内容に基いて、搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、ブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を一時的に解除した状態で位置ズレが補正され、その後再びブレーキ手段及び前記駆動モータによる電気ブレーキの作動を開始して搬送用自走車が停止される。

    (9)前記位置ズレ検知センサーは、前記各駆動輪を一体的に構成した駆動輪ユニットの進行方向前部または後部に備えられ、前記案内手段の延びる方向と略直交する方向に、前記案内手段を検知する複数の検知素子を直列に並べて構成されることを特徴とする(8)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(9)項の搬送用自走車では、位置ズレ検知センサーは、複数の検知素子が案内手段の延びる方向と直交する方向に直列に並んで構成されているので、搬送用自走車が案内手段上を正常に走行していると、各検知素子の内、真中の検知素子だけがON状態となり、例えば、搬送用自走車が所定経路から右方に位置ズレして走行していると、各検知素子内、左側に位置する検知素子だけがON状態となる。

    (10)前記障害物が接触すると、前記搬送用自走車への動力の伝達を遮断する安全バンパを備えたことを特徴とする(8)項または(9)項に記載の搬送用自走車。
    従って、(10)項の搬送用自走車では、安全バンパはフェイルセーフ機能として備えられたもので、停止制御装置が作動しても、何らかの原因で、搬送用自走車が障害物の手前で停止しない場合には、搬送用自走車の安全バンパが障害物に接触した時点で、搬送用自走車への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車が停止される。

    本発明によれば、走行中に障害物を検知した際、所定経路から逸脱することなく安全に停止させる搬送用自走車及びその停止制御方法を提供することができる。

    図1は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車が障害物と対向した様子を示す図である。

    図2は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の模式図である。

    図3は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を示すフロー図である。

    図4は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法の停止ステップにおけるフロー図である。

    図5は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する様子を示す模式図である。

    図6は、本発明の実施の形態に係る搬送用自走車の停止制御方法を採用した際の速度と距離の関係及び各種ブレーキの作動形態を示した図である。

    以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図6に基いて詳細に説明する。
    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1は、図1及び図2に示すように、ワークや荷物等が載置された台車(図示略)と着脱可能または一体的に連結され、床面の所定経路に敷設された走行磁気テープ(案内手段)2に沿って自走するものであり、所定距離離れた障害物3を検知する障害物検知センサー4と、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレを検知する位置ズレ検知センサー5と、互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7に連結されその回転を制動するディスクブレーキ(ブレーキ手段)8、8と、障害物検知センサー4により障害物3を検知した際、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪6、7へのディスクブレーキ8、� �及び電気ブレーキを解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させる停止制御装置10と、進行方向前部に備えられ、障害物3が接触した際、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断する安全バンパ11とを備えている。
    また、本搬送用自走車1は、左右一対の駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に配設される各減速ギヤ13、13と、該各減速ギヤ13、13の各歯と対向するように配設され、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14とを備えている。

    本発明の実施の形態に係る搬送用自走車1を詳細に説明する。
    本搬送用自走車1には、図2に示すように、駆動輪ユニット20が1ユニット備えられおり、この駆動輪ユニット20に互いに独立回転する左右一対の駆動輪6、7が備えられている。
    駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7に連結される駆動モータ12、12がモータドライバとセットでそれぞれ備えられている。 各駆動モータ12、12は、停止制御装置10と接続され、停止制御時には停止制御装置10からの指示回転数に従って駆動され、左右一対の駆動輪6、7は互い独立回転する。
    各駆動輪6、7にはディスクブレーキ8、8がそれぞれ連結されており、該ディスクブレーキ8、8は、各駆動輪6、7と同回転するディスクを両側から挟み込むことで、各駆動輪6、7の回転を制動するものである。 各ディスクブレーキ8、8は停止制御装置10と接続されており、停止制御時には停止制御装置10から作動または解除信号が伝送される。

    また、駆動輪ユニット20には、各駆動輪6、7と各駆動モータ12、12との間に、各駆動モータ12、12の回転数を適正な回転数に変換し、各駆動輪6、7に伝達する減速ギヤ13、13が備えられている。 各減速ギヤ13、13の各歯と対向する位置に、各駆動輪6、7の回転数を計測する回転数計測センサー14、14が備えられている。 各回転数計測センサー14、14は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時にはその計測内容が常時停止制御装置10へ伝送される。
    また、搬送用自走車1は、通常走行中、後で詳述する位置ズレ検知センサー5の検知内容に基いて、駆動輪ユニット20の各駆動輪6、7の回転数を互いに相違させることでその向きを微調整しながら走行している。

    障害物検知センサー4は、図2に示すように、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられ、障害物3を非接触で検知するもので、具体的にはレーザ光、LED光または超音波等を照射して、その反射波を受信することで所定距離離れた障害物3を検知するものである。
    そして、本搬送用自走車1に備えられた障害物検知センサー4は、停止制御装置10と接続されており、搬送用自走車1が走行中、図1に示す第1設定距離L1離れた障害物3を検知した時点と、その後引き続き搬送用自走車1が走行して、障害物3との距離が第2設定距離L2(<第1設定距離L1)に接近した時点とにおいて、その検知信号が停止制御装置10へ伝送されるように構成されている。 第2設定距離L2は、後述する停止制御方法の停止ステップS40における搬送用自走車1の停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されている。

    位置ズレ検知センサー5は、図2及び図5に示すように、駆動輪ユニット20の進行方向前部に備えられており、走行磁気テープ2を検知する複数の検知素子5a〜5c(本実施の形態では3個)が走行磁気テープ2の延びる方向と直交する方向に直列に並べて構成されている。 なお、位置ズレ検知センサー5は、駆動輪ユニット20の進行方向後部に備えてもよい。
    この位置ズレ検知センサー5は、停止制御装置10と接続されており、停止制御時、搬送用自走車1の位置ズレを検知した際、その検知内容が停止制御装置10に伝送されて、停止制御装置10にて、その検知内容に基き各駆動輪6、7への指示回転数を互いに相違させ駆動させることで、搬送用自走車1の位置ズレが補正されるようになっている。 この補正制御は、停止制御方法を説明する際に詳述する。

    停止制御装置10は、図2に示すように、障害物検知センサー4、位置ズレ検知センサー5、各回転数計測センサー14、14、各駆動モータ8、8、ディスクブレーキ14、14及び電気ブレーキのそれぞれに接続されており、障害物検知センサー4により障害物3を検知した際、位置ズレ検知センサー5からの検知内容に基いて、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレがある場合は、各駆動輪6、7へのディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを解除した状態で前記位置ズレを補正制御し、搬送用自走車1を停止させるものである。 この停止制御装置10の動作は、停止制御方法を説明する際に詳述する。 なお、電気ブレーキは、停止制御装置10により、各駆動輪6、7側の回転を各駆動モータ8、8へ逆入力することで、各駆動モータ8、8に回転抵抗を生じさせてその制動力を得るものである。

    安全バンパ11は、搬送用自走車1の進行方向前部に備えられており、該安全バンパ11には、接触検知回路が内蔵され、安全バンパ11に障害物3が接触して、接触検知回路に短絡が発生すると、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで安全バンパ11の異常を検知するようになっている。
    そして、安全バンパ11内の接触検知回路は搬送用自走車1の動力を伝達する動力源と接続されており、安全バンパ11内の接触検知回路の抵抗値が変化すると、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される構成となっている。 なお、この接触検知回路には、自己診断用の短絡接点が組み込まれており、この短絡接点をON状態にすることで、搬送用自走車1への動力の伝達が遮断される動作を自己診断できるようになっている。

    次に、以上から構成される本搬送用自走車1が高速(80m/min)で走行される際の停止制御方法を図3〜図6に基いて図1も参照しながら説明する。
    まず、第1検知ステップ(遠距離側検知ステップ)S10では、搬送用自走車1が高速で走行中、第1設定距離L1離れた障害物3を障害物検知センサー4により検知し、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の低速走行ステップS20へ進む。
    次に、低速走行ステップS20では、障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が搬送用自走車1の現走行速度に対応した回転数から減速モード、例えば走行速度10m/minに対応した回転数に切換り、搬送用自走車1が減速後低速走行されて、次の第2検知ステップS30へ進む。

    次に、第2検知ステップ(検知ステップ)S30では、搬送用自走車1が低速走行中、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で障害物検知センサー4により再び検知され、該障害物検知センサー4からその検知信号が停止制御装置10へ伝送されて、次の停止ステップS40へ進む。
    なお、低速走行ステップS20において、搬送用自走車1が、突然障害物が走行コース上に飛び込んでくるなど、何らかの原因で減速モードにおける指示速度(例えば10m/min)まで減速することができない状態で障害物3との間の距離が第2設定距離L2に接近した場合でも、障害物検知センサー4による障害物3の検知により、次の停止ステップS40に進む。

    次に、停止ステップS40では、次のような動作フローが実行される。 (特に図4を参照)
    すなわち、停止ステップS40では、第2検知ステップS30において障害物検知センサー4から検知信号が停止制御装置10へ伝送された時点で、まず、第1ステップS1において、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)へ切換り、これと同時に、停止制御装置10から電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8に作動信号が伝送され、電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8が作動される。 その後、ステップS11において時間の計測がスタートし、ステップS12において所定の時間経過が確認された後、第2ステップS2に進む。 なお、停止制御装置10には、各回転数計測センサー14、14により計測された各駆動輪6、7の実測回転数が常時伝送される。
    次に、第2ステップS2において、停止制御装置10にて、各駆動輪6、7の各実測回転数(各駆動輪6、7の各実測回転数は略同じ値を示す)と、各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数(停止モード:左右駆動輪6、7共に0rpm)との差が算出され、この差が予め設定されてある基準値よりも大きければ第5ステップS5に進み、この差が前記基準値より小さければ第3ステップS3に進む。 この基準値は、台車に載置されるワーク等の重量等に基いて適宜設定される。

    次に、第3ステップS3では、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1は位置ズレしていないと判定された場合には、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が引き続き作動されて、第2ステップS2に進む。
    一方、第3ステップS3における判定結果が、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第4ステップS4に進む。
    すなわち、搬送用自走車1が減速停止する途中において、ブレーキ作動によるスリップ等により例えば、図5に示すように、所定経路から右方に位置ズレしている場合には、位置ズレ検知センサー5の検知素子5a〜5cの検知状態が、正常走行状態である真中の検知素子5bのON状態から左側の検知素子5aがON状態に変換し、この検知状態により搬送用自走車1が右方に位置ズレしていると判定される。

    次に、第4ステップS4では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送されて、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1の位置ズレを補正するために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:0rpm,右側駆動輪7:実測回転数に切換る。 その後、再び第3ステップS3に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第4ステップS4(位置ズレ補正)または第1ステップS1(ブレーキの再作動)に進む。

    また、第5ステップS5では、第3ステップS3と同様に、停止制御装置10にて、位置ズレ検知センサー5から伝送される検知内容に基き、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定される。 この判定結果が搬送用自走車1が位置ズレしていないと判定された場合には、第7ステップS7に進む。
    一方、第5ステップS5において、搬送用自走車1が所定経路から例えば右方に位置ズレしていると判定された場合には、第6ステップS6に進む。

    第6ステップS6では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させながら位置ズレを補正するために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:例えば実測回転数の30%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の70%に切換る。 その後、再び第5ステップS5に戻り、搬送用自走車1が所定経路から位置ズレしているか否かが判定され、その判定結果に基き、次の第6ステップS6(位置ズレ補正)または第7ステップS7(減速中断続ブレーキ制御)に進む。

    第7ステップS7では、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に解除信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が解除される。 これと同時に、搬送用自走車1を緩やかに減速させるために、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が、停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)から左側駆動輪6:例えば実測回転数の50%,右側駆動輪7:例えば実測回転数の50%に切換る。 その後減速中に、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が断続的(例えば0.1秒間隔で全3回)に作動される。 その後、再び第1ステップS1に戻り、停止制御装置10から各駆動モータ12、12(各駆動輪6、7)への指示回転数が停止モード(左右駆動輪6、7共に0rpm)へ切換り、停止制御装置10から電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8に作動信号が伝送され、電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が再び作動され、所定の時間経過が確認された後、次の第2ステップS2に進む。

    そして、最終的に第2ステップS2において、各駆動輪6、7の各実測回転数が共に0rpmになった場合には、第8ステップS8に進み停止完了となる。 搬送用自走車1が停止完了した後は、図6に示すように、電気ブレーキは引き続き作動させる方が好ましく、各ディスクブレーキ8、8はディスクを挟持した状態でも良いし、開放した状態でも良い。
    このように、停止ステップS40では、搬送用自走車1の位置ズレが発生した場合には、各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキのブレーキ作動を一時的に解除して位置ズレを補正し、その後、再び各ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを作動させるフローを繰り返すことで、所定経路から左右方向に位置ズレしないように搬送用自走車1を停止させている。 また、搬送用自走車1の車速(実測回転数)が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、ディスクブレーキ8、8及び電気ブレーキを断続的に作動(図6の電気ブレーキ及びディスクブレーキ8、8の作動形態を示す太線の立ち上がり部分)させているので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることがない。

    なお、本停止制御方法では、図3に示すように、上述した停止ステップS40において、何らかの原因によって、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、非常停止ステップS50に進む。
    非常停止ステップS50では、搬送用自走車1が障害物3の手前で停止できず、その安全バンパ11が障害物3に接触すると、該安全バンパ11内の接触検知回路に短絡が発生して、接触検知回路内の抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検知することで搬送用自走車1への動力の伝達が遮断されて、搬送用自走車1が完全に停止するが、停止ステップS40処理中のため減速が進み、従来より短い制動距離にて停止する。 なお、搬送用自走車1が障害物3に接触して停止した後は、搬送用自走車1への動力が全て停止されるために、電気ブレーキは解除されると共に、各ディスクブレーキ8、8は、停止ステップS40の第1〜第7ステップS1〜S7のいずれかのステップを実行中に動力が遮断されるので、ディスクを挟持した状態または開放状態のいずれかの状態で停止されることになる。

    以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、特に、本停止制御方法の停止ステップS40において、各駆動輪6、7への電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8(ブレーキ手段)を一時的に解除した状態で、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが補正制御されるので、搬送用自走車1が所定経路から逸脱することなく安全に停止される。
    また、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の停止ステップS40において、特に、搬送用自走車1の車速が基準値よりも大きく、搬送用自走車1の所定経路から左右方向への位置ズレが発生していない場合(図4の第7ステップS7に到達した場合)には、減速後、各駆動輪6、7へ電気ブレーキ及び各ディスクブレーキ8、8が断続的に作動されるので、各駆動輪6、7がロック状態となりスリップして搬送用自走車1の姿勢制御が不能となることなく、障害物3を検知してからの搬送用自走車1の停止制動距離L3(図6参照)を従来の停止制御方法における停止制動距離よりも短縮させることができる。

    さらに、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法の第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20を備えているので、搬送用自走車1が高速で走行される際に特に有効で、停止ステップS40の前段階で高速走行中の搬送用自走車1を十分に減速させて、停止ステップS40におけるブレーキ作動の際の各駆動輪6、7のスリップ作用を極力防止することができる。 しかも、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、障害物3との距離が第2設定距離L2に接近した時点で検知する第2検知ステップS30を備え、第2設定距離L2(図1参照)が停止ステップS40における停止制動距離L4(図6参照)よりも若干長く設定されているので、搬送用自走車1を障害物3に接触することなく障害物3の手前で停止させることができる。

    さらにまた、本発明の実施の形態によれば、本停止制御方法は、停止制御に係るフェイルセーフ機能として、停止ステップS40の後、該停止ステップS40にて搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合、該搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で、搬送用自走車1への動力の伝達を遮断して、該搬送用自走車1を停止させる非常停止ステップS50を備えているので、何らかの原因で搬送用自走車1が障害物3の手前で停止しない場合には、搬送用自走車1の安全バンパ11が障害物3に接触した時点で搬送用自走車1を停止させることができ、さらに安全性を向上させることができる。

    なお、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、低速走行ステップS20と停止ステップS40との間に、停止ステップS40を実行する目安として第2検知ステップS30を備えておりこの形態が最も好ましいが、その他、低速走行ステップS20を継続させる時間を予め設定しておき、その時間が経過した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良いし、低速走行ステップS20での搬送用自走車1への指示速度と実速度とが一致した時点で停止ステップS40を実行するようにしても良い。

    また、本発明の実施の形態に係る停止制御方法では、第1検知ステップS10と停止ステップS40との間に低速走行ステップS20及び第2検知ステップS30を備えており、高速走行中の搬送用自走車1を停止ステップS40の前段階で十分に減速させることができるが、搬送用自走車1が必ずしも高速で走行しない場合には、低速走行ステップS20を省き、第1検知ステップS10または第2検知ステップS30の後に停止ステップS40を備えるようにしても良い。

    さらに、本発明の実施の形態では、各駆動輪6、7へのブレーキ手段として機械式ブレーキであるディスクブレーキ8、8と電気ブレーキとを併用して採用しているが、いずれか一方を採用しても良い。

    1 搬送用自走車,2 走行磁気テープ(案内手段),3 障害物,4 障害物検知センサー,5 位置ズレ検知センサー,5a〜5c 検知素子,6 駆動輪(左側),7 駆動輪(右側),8 ディスクブレーキ(ブレーキ手段),10 停止制御装置,12 駆動モータ,14 回転数計測センサー,20 駆動輪ユニット

    QQ群二维码
    意见反馈