車両の制御装置

申请号 JP2013165583 申请日 2013-08-08 公开(公告)号 JP5924315B2 公开(公告)日 2016-05-25
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 井上 雄二; 出塩 幸彦;
摘要
权利要求

エンジンと、該エンジンと駆動輪との間の動伝達経路に設けられた電動機と、該動力伝達経路の一部を構成する変速機と、該エンジンを該電動機と断接するクラッチと、該クラッチと該駆動輪との間の回転部材に連結され且つ該回転部材の回転に伴って駆動されることで該クラッチ及び該変速機へ作動油を供給する機械式のオイルポンプと、ソレノイドバルブを介して前記変速機に関わる作動を制御する油圧制御回路とを備えた車両の、制御装置であって、 前記クラッチを解放した状態で前記電動機のみを駆動力源として走行するモータ走行中に該電動機が故障した場合には、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすように該変速機に関わる作動を制御するものであり、 前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を最小とするように前記ソレノイドバルブを制御することを特徴とする車両の制御装置。前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすと共に前記クラッチへ供給する作動油の油量を増やすように、該変速機に関わる作動を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。前記車両は、前記クラッチと前記駆動輪との間の回転部材の回転とは独立した、前記電動機とは別のオイルポンプ用電動機の回転に伴って駆動されることで該クラッチ及び前記変速機へ作動油を供給する電動式オイルポンプを更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。前記電動機が故障した場合には、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすように該変速機に関わる作動を制御すると共に、前記電動式オイルポンプによって前記クラッチへ供給する作動油の油量を増やすことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。

说明书全文

本発明は、エンジン、電動機、変速機、エンジンを電動機と断接するクラッチ、及びクラッチと駆動輪との間の回転部材の回転に伴って駆動される機械式のオイルポンプを備えた車両の制御装置に関するものである。

エンジンと、そのエンジンと駆動輪との間の動伝達経路に設けられた電動機と、その動力伝達経路の一部を構成する変速機と、そのエンジンをその電動機と断接するクラッチと、そのクラッチとその駆動輪との間の回転部材に連結され且つその回転部材の回転に伴って駆動されることでそのクラッチ及びその変速機へ作動油を供給する機械式のオイルポンプとを備えた車両が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両がそれである。この特許文献1に記載された車両では、電動機のロータと一体回転するトルクコンバータのポンプ翼車に機械式のオイルポンプが連結されている。このオイルポンプは、エンジン及び/又は電動機によって回転駆動されることにより、自動変速機の変速制御やクラッチの係合解放制御などを実行する為の作動油圧を発生する。

特開2012−179955号公報

ところで、クラッチを解放した状態で電動機のみを駆動力源として走行するモータ走行中にその電動機が故障すると、電動機によって回転駆動されるオイルポンプの吐出量が減少させられる。その為、クラッチの係合に必要な吐出量に対してオイルポンプの実際の吐出量が足りなくなり、クラッチを係合できなくなる。尚、上述したような課題は未公知であり、クラッチの解放時に電動機が故障したことでオイルポンプの吐出量が減少させられたとしても、そのクラッチの制御を適切に行えるようにすることについて未だ提案されていない。

本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、クラッチの解放時に電動機が故障した場合に、クラッチへ供給する作動油の油量を確保することができる車両の制御装置を提供することにある。

前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、そのエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた電動機と、その動力伝達経路の一部を構成する変速機と、そのエンジンをその電動機と断接するクラッチと、そのクラッチとその駆動輪との間の回転部材に連結され且つその回転部材の回転に伴って駆動されることでそのクラッチ及びその変速機へ作動油を供給する機械式のオイルポンプと、ソレノイドバルブを介して前記変速機に関わる作動を制御する油圧制御回路とを備えた車両の、制御装置であって、(b) 前記クラッチを解放した状態で前記電動機のみを駆動力源として走行するモータ走行中にその電動機が故障した場合には、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすようにその変速機に関わる作動を制御するものであり、(c) 前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を最小とするように前記ソレノイドバルブを制御することにある。

このようにすれば、クラッチを解放した状態でのモータ走行中に電動機が故障すると機械式のオイルポンプの吐出量が減少させられることに対して、クラッチの解放時のモータ走行中に電動機が故障した場合に、変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を低減することで、クラッチへ供給する作動油の油量を確保することができる。よって、クラッチを係合させることができ、エンジンの動力によって機械式のオイルポンプを駆動することが可能になる。これにより、モータ走行中の電動機の故障時に、エンジンによる退避走行が可能になる。加えて、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を最小とするように前記ソレノイドバルブを制御するので、クラッチの解放時のモータ走行中に電動機が故障した場合に、変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量が最小となり、クラッチへ供給する作動油の油量が一層確実に確保される。

また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすと共に前記クラッチへ供給する作動油の油量を増やすように、その変速機に関わる作動を制御することにある。このようにすれば、クラッチの解放時のモータ走行中に電動機が故障した場合に、単に、変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量が低減させられるだけでなく、クラッチへ供給する作動油の油量が適切に確保される。

また、第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載の車両の制御装置において、前記車両は、前記クラッチと前記駆動輪との間の回転部材の回転とは独立した、前記電動機とは別のオイルポンプ用電動機の回転に伴って駆動されることでそのクラッチ及び前記変速機へ作動油を供給する電動式オイルポンプを更に備えていることにある。このようにすれば、クラッチを解放した状態での車両停車中或いは低速でのモータ走行中に電動機が故障すると、変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を低減したとしても、元々機械式のオイルポンプの吐出量がないか或いは少ない為に、クラッチへ供給する作動油の油量を確保することができないか或いは確保することができない可能性があることに対して、クラッチの解放時に電動機が故障した場合に、電動式オイルポンプを駆動することによってクラッチへ供給する作動油の油量を確保することができる。よって、クラッチを係合させることができ、エンジンの動力によって機械式のオイルポンプを駆動することが可能になる。

また、第4の発明は、前記第3の発明に記載の車両の制御装置において、前記電動機が故障した場合には、前記変速機に関わる作動によって漏れる作動油の油量を減らすようにその変速機に関わる作動を制御すると共に、前記電動式オイルポンプによって前記クラッチへ供給する作動油の油量を増やすことにある。このようにすれば、クラッチの解放時に電動機が故障した場合に、クラッチへ供給する作動油の油量が適切に確保される。

本発明が適用される車両に備えられた動力伝達装置の概略構成を説明する図であると共に、車両における制御系統の要部を説明する図である。

変速機に関わる作動を制御する油圧システムの概略構成を説明する図である。

電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。

電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジン断接用クラッチの解放時に電動機が故障した場合にエンジン断接用クラッチへ供給する作動油の油量を確保する為の制御作動を説明するフローチャートである。

図4のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例である。

図4のフローチャートに示す制御作動を実行しなかった比較例のタイムチャートの一例である。

車両に備えられた電動式オイルポンプの一例を説明する為の図である。

電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジン断接用クラッチの解放時に電動機が故障した場合にエンジン断接用クラッチへ供給する作動油の油量を確保する為の制御作動を説明するフローチャートであり、図4に対応する別の実施例である。

本発明において、好適には、前記変速機は、種々の公知の自動変速機(遊星歯車式自動変速機、同期噛合型平行2軸式自動変速機、DCT、CVT等)である。この自動変速機は、自動変速機単体、流体式伝動装置を有する自動変速機、或いは副変速機を有する自動変速機などにより構成される。又、前記クラッチは、前記エンジンを前記駆動輪から切り離すことができる係合装置であり、油圧アクチュエータによって作動させられる、湿式或いは乾式の係合装置である。前記クラッチの油圧アクチュエータへ供給される作動油の油圧源は、変速機へ供給される作動油の油圧源と共通のものである。又、前記エンジンは、例えば燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジン等の内燃機関である。

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。

図1は、本発明が適用される車両10に備えられた動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用駆動力源として機能するエンジン14及び電動機MGを備えたハイブリッド車両である。動力伝達装置12は、非回転部材としてのトランスミッションケース16内において、エンジン14側から順番に、エンジン断接用クラッチK0(以下、クラッチK0という)、トルクコンバータ18、及び自動変速機20等を備えている。又、動力伝達装置12は、自動変速機20の出力回転部材である変速機出力軸22に連結されたプロペラシャフト24、そのプロペラシャフト24に連結されたディファレンシャルギヤ26、そのディファレンシャルギヤ26に連結された1対の車軸28等を備えている。トルクコンバータ18のポンプ翼車18aは、クラッチK0を介してエンジン連結軸30と連結されていると共に、直接的に電動機MGと連結されている。トルクコンバータ18のタービン翼車18bは、自動変速機20の入力回転部材である変速機入力軸32と直接的に連結されている。このように構成された動力伝達装置12は、例えばFR型の車両10に好適に用いられる。動力伝達装置12において、エンジン14の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、クラッチK0が係合された場合に、エンジン14とクラッチK0とを連結するエンジン連結軸30から、クラッチK0、トルクコンバータ18、自動変速機20、プロペラシャフト24、ディファレンシャルギヤ26、及び1対の車軸28等を順次介して1対の駆動輪34へ伝達される。このように、動力伝達装置12は、エンジン14から駆動輪34までの動力伝達経路を構成する。

又、車両10には、例えばポンプ翼車18aに連結された機械式のオイルポンプ36、自動変速機20の変速作動、クラッチK0の係合解放作動、トルクコンバータ18に設けられた公知のロックアップクラッチLU(以下、クラッチLUという)の係合解放作動などを制御する油圧制御回路40、電動機MGの作動を制御するインバータ42、インバータ42を介して電動機MGとの間で電力を授受する蓄電装置44、エンジン始動時にエンジン14を回転駆動するスタータ46が備えられている。

自動変速機20は、トルクコンバータ18と駆動輪34との間の動力伝達経路に介在させられて、エンジン14と駆動輪34との間の動力伝達経路の一部を構成し、走行用駆動力源(エンジン14及び電動機MG)からの動力を駆動輪34側へ伝達する変速機である。自動変速機20は、例えば変速比γ(=変速機入力軸回転速度Nin/変速機出力軸回転速度Nout)が異なる複数の変速段が選択的に成立させられる公知の遊星歯車式多段変速機、或いは変速比γが無段階に連続的に変化させられる公知の無段変速機などである。自動変速機20では、例えば油圧アクチュエータが油圧制御回路40によって制御されることにより、アクセル開度θaccや車速V等に応じて所定の変速比γが成立させられる。尚、トルクコンバータ18を上記変速機の一部と見ることもできる。つまり、トルクコンバータ18を備えた自動変速機20は、上記動力伝達経路の一部を構成する上記変速機と見ることもできる。

電動機MGは、電気エネルギから機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的なエネルギーから電気エネルギを発生させる発電機としての機能を有する所謂モータジェネレータである。電動機MGは、エンジン14に替えて或いはエンジン14に加えて、インバータ42を介して蓄電装置44から供給される電力(特に区別しない場合には電気エネルギも同意)により走行用の動力を発生する。電動機MGは、エンジン14の動力や駆動輪34側から入力される被駆動力を回生により電力に変換し、その電力をインバータ42を介して蓄電装置44に蓄積する。電動機MGは、エンジン14と駆動輪34との間の動力伝達経路に設けられて、クラッチK0とトルクコンバータ18との間の動力伝達経路に連結されており、電動機MGとポンプ翼車18aとの間では、相互に動力が伝達される。このように、電動機MGは、クラッチK0を介することなく自動変速機20の変速機入力軸32と動力伝達可能に連結されている。

クラッチK0は、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置であり、オイルポンプ36が発生する油圧を元圧とし油圧制御回路40によって係合解放制御される。その係合解放制御においては、例えば油圧制御回路40内のソレノイドバルブ等の調圧により、クラッチK0のトルク容量(以下、K0トルクという)が変化させられる。クラッチK0の係合状態では、エンジン連結軸30を介してポンプ翼車18aとエンジン14とが一体的に回転させられる。一方で、クラッチK0の解放状態では、エンジン14とポンプ翼車18aとの間の動力伝達が遮断される。すなわち、クラッチK0を解放することでエンジン14と駆動輪34とが切り離される。電動機MGはポンプ翼車18aに連結されているので、クラッチK0は、エンジン14と電動機MGとの間の動力伝達経路に設けられて、その動力伝達経路を断接するクラッチ、すなわちエンジン14を電動機MGと断接するクラッチとしても機能する。

図2は、車両10に備えられた、変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)やクラッチK0に関わる作動を制御する油圧システム50の概略構成を説明する図である。図2において、油圧システム50は、前述した、オイルポンプ36及び油圧制御回路40に加えて、トランスミッションケース16の下部に設けられたオイルパン52、冷間時には作動油を暖めると共に暖機完了後には作動油を冷却するオイルクーラ54等を備えている。オイルポンプ36は、エンジン14及び/又は電動機MGによって回転駆動されることにより、油圧制御回路40へ供給される作動油の元圧(すなわち、自動変速機20の変速制御、クラッチLUの係合解放制御、クラッチK0の係合解放制御などを実行する為の作動油圧)を発生する。このように、オイルポンプ36は、エンジン14及び/又は電動機MGによって回転させられる、クラッチK0と駆動輪34との間の回転部材の一つであるポンプ翼車18aの回転に伴って駆動されることで、クラッチK0及び変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)へ作動油を供給する。オイルポンプ36は、オイルパン52に還流した作動油を吸い込み口(ストレーナ)56から吸い上げて吐出油路58へ吐出する。吐出油路58は、油圧制御回路40内の油路(例えばライン圧PLが流通するライン圧油路60)に連結されている。

油圧制御回路40は、オイルポンプ36から出力(発生)される作動油圧を元圧としてライン圧PLを調圧するプライマリレギュレータバルブ62、ライン圧PLを元圧として自動変速機20の変速作動及びクラッチLUの係合解放作動を制御するAT/LU油圧制御系64、ライン圧PLを元圧としてクラッチK0の係合解放作動を制御するK0油圧制御系66を備えている。

AT/LU油圧制御系64は、自動変速機20内の油圧アクチュエータへ供給する作動油を調圧したり、クラッチLUへ供給する作動油を制御したり、作動油が流通する油路を切り替えたり、その油路を解放したり、その油路を遮断したりする複数個のソレノイドバルブ68を備えている。上記油路は、例えば自動変速機20内の油圧アクチュエータに連結されている油路70、クラッチLUに連結されている油路72、自動変速機20を含む動力伝達経路の各部に連結されている潤滑油路74、オイルクーラ54に連結されているクーラ油路76などである。このように構成されたAT/LU油圧制御系64は、ソレノイドバルブ68を介して変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動の為の作動油の供給や排出を制御することでその変速機に関わる作動を制御する。この変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動は、例えば自動変速機20の変速比γの維持、自動変速機20の変速作動、潤滑油路74を介した作動油による各部の潤滑、オイルクーラ54を介した作動油の暖機や冷却、クラッチLUの係合解放作動などである。K0油圧制御系66は、クラッチK0へ供給する作動油を調圧するソレノイドバルブ78を備えている。このように構成されたK0油圧制御系66は、ソレノイドバルブ78を介してクラッチK0に関わる作動の為の作動油の供給や排出を制御することでそのクラッチK0に関わる作動を制御する。このクラッチK0に関わる作動は、例えばクラッチK0の係合解放作動などである。ソレノイドバルブ68,78の作動に伴って排出される作動油、潤滑油路74を介して自動変速機20を含む動力伝達経路の各部に供給された作動油、オイルクーラ54から排出される作動油等は、各ドレン油路80,82,84を介してオイルパン52へ還流させられる。

図1に戻り、車両10には、例えばクラッチK0の係合解放制御やエンジン14の始動制御などに関連する車両10の制御装置を含む電子制御装置100が備えられている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置100は、エンジン14の出力制御、電動機MGの回生制御を含む電動機MGの駆動制御、自動変速機20の変速制御、K0トルク制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や電動機制御用や油圧制御用等に分けて構成される。電子制御装置100には、各種センサ(例えばクランクポジションセンサ90、タービン回転速度センサ92、出力軸回転速度センサ94、電動機回転速度センサ96、アクセル開度センサ98、バッテリセンサ99など)による検出値に基づく各種信号(例えばエンジン回転速度Ne、タービン回転速度Ntすなわち変速機入力軸回転速度Nin、車速Vに対応する変速機出力軸回転速度Nout、ポンプ回転速度Npすなわち電動機回転速度(MG回転速度)Nm、運転者による車両10に対する駆動要求量に対応するアクセル開度θacc、蓄電装置44の充電状態(充電容量)SOCなど)が、それぞれ供給される。電子制御装置100からは、例えばエンジン14の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、電動機MGの作動を制御する為の電動機制御指令信号Sm、クラッチK0や自動変速機20の油圧アクチュエータやクラッチLUなどを制御する為に油圧制御回路40に含まれるソレノイドバルブ68,78等を作動させる為の油圧指令信号Sp、エンジン始動時にエンジン14を回転駆動するスタータ46の駆動制御の為のスタータ指令信号Ssなどが、燃料噴射装置、点火装置、スロットルアクチュエータ等のエンジン制御装置、インバータ42、油圧制御回路40、スタータ46などへそれぞれ出力される。

図3は、電子制御装置100による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図3において、電子制御装置100は、変速制御手段すなわち変速制御部102、及びハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部104を備えている。

変速制御部102は、例えば車速Vと駆動要求量(例えばアクセル開度θacc等)とを変数として予め実験的或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)公知の関係(変速線図、変速マップ;不図示)から車両状態(例えば実際の車速V及びアクセル開度θacc等)に基づいて、成立させるべき自動変速機22の変速比γを判断し、その判断した変速比γが得られる為の変速指令値を油圧制御回路40へ出力して、自動変速機22の自動変速制御を実行する。この変速指令値は、油圧制御指令信号Spの1つである。

ハイブリッド制御部104は、エンジン14の駆動を制御するエンジン駆動制御部としての機能と、インバータ42を介して電動機MGによる駆動力源又は発電機としての作動を制御する電動機作動制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。例えば、ハイブリッド制御部104は、アクセル開度θaccや車速Vに基づいて運転者による車両10に対する駆動要求量としての要求駆動力Fdtgtを算出する。そして、ハイブリッド制御部104は、伝達損失、補機負荷、自動変速機20の変速比γ、蓄電装置44の充電容量SOC等を考慮して、その要求駆動力Fdtgtが得られる走行用駆動力源(エンジン14及び電動機MG)の出力となるようにその走行用駆動力源を制御する指令信号(エンジン出力制御指令信号Se及び電動機制御指令信号Sm)を出力する。前記駆動要求量としては、駆動輪34における要求駆動力Fdtgt[N]の他に、駆動輪34における要求駆動トルク[Nm]、駆動輪34における要求駆動パワー[W]、変速機出力軸22における要求変速機出力トルク等を用いることもできる。又、駆動要求量として、単にアクセル開度θacc[%]やスロットル弁開度[%]や吸入空気量[g/sec]等を用いることもできる。

具体的には、ハイブリッド制御部104は、例えば要求駆動力Fdtgtが電動機MGの出力のみで賄える範囲の場合には、走行モードをモータ走行モード(EV走行モード)とし、クラッチK0を解放させた状態で、電動機MGのみを走行用駆動力源として走行するモータ走行(EV走行)を行う。一方で、ハイブリッド制御部104は、例えば要求駆動力Fdtgtが少なくともエンジン14の出力を用いないと賄えない範囲の場合には、走行モードをエンジン走行モードすなわちハイブリッド走行モード(HV走行モード)とし、クラッチK0を係合させた状態で、少なくともエンジン14を走行用駆動力源として走行するエンジン走行すなわちハイブリッド走行(HV走行)を行う。他方で、ハイブリッド制御部104は、例えば要求駆動力Fdtgtが電動機MGの出力のみで賄える範囲の場合であっても、エンジン14やエンジン14に関連する機器の暖機が必要な場合等には、HV走行を行う。このように、ハイブリッド制御部104は、要求駆動力Fdtgt等に基づいて、エンジン走行中にエンジン14を自動停止したり、そのエンジン停止後にエンジン14を再始動したりして、EV走行とHV走行とを切り替える。

ハイブリッド制御部104は、例えばEV走行中に要求駆動トルクTdtgtが増大したり、暖機が必要であったりなどに因ってエンジン始動要求があると判断した場合には、エンジン14の始動に関連する一連の作動を実行する。具体的には、ハイブリッド制御部104は、例えばエンジン始動要求があると判断した場合には、クラッチK0を解放させた状態のままで、スタータ46によりエンジン14を回転駆動(クランキング)してエンジン14の始動を開始する為のスタータ指令信号Ssをスタータ46へ出力する。加えて、ハイブリッド制御部104は、スタータ46によるエンジン14のクランキングに連動して、電子スロットル弁の開閉制御や燃料供給制御や点火時期制御を実行してエンジン14を始動する為のエンジン始動指令を、燃料噴射装置、点火装置、スロットルアクチュエータ等のエンジン制御装置へ出力する。このエンジン始動指令は、エンジン出力制御指令信号Seの1つである。又、ハイブリッド制御部104は、例えばエンジン14が完爆した(すなわちエンジン14が自律運転できる状態となった)と判断できる為の予め定められた所定回転速度以上にエンジン回転速度Neが上昇したか否かに基づいて、エンジン14の始動が完了したか否かを判断する。そして、ハイブリッド制御部104は、エンジン14の始動が完了したと判断した場合には、クラッチK0を制御する指示として、クラッチK0を係合するクラッチK0係合指令を出力して、解放されているクラッチK0を係合に向けて制御する。

ここで、クラッチK0を解放した状態でのEV走行中に電動機MGが故障すると、電動機MGによるオイルポンプ36の駆動ができなくなる。電動機MGが故障した場合には、クラッチK0を係合してエンジン14によってオイルポンプ36を駆動することが望ましい。その為、電子制御装置100は、MGフェール判定手段すなわちMGフェール判定部106を備えている。MGフェール判定部106は、例えば電動機制御指令信号Smに対するMG回転速度NmやMGトルクTmの不一致、電動機MGの駆動に関連する機器の故障等が発生したか否かに基づいて、電動機MGが故障したか否かを判定する。ハイブリッド制御部104は、EV走行中に、MGフェール判定部106により電動機MGが故障したと判定された場合には、エンジン始動要求があると判断して、前述した、エンジン14の始動に関連する一連の作動を実行する。

ところで、クラッチK0を解放した状態でのEV走行中に電動機MGが故障した場合、MG回転速度Nm(すなわちポンプ回転速度Np)の低下と共にオイルポンプ36の吐出量が減少させられる。そうすると、変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動及びクラッチK0に関わる作動の両方に必要な作動油の油量が得られなくなる。つまり、上記両方に必要な作動油の油量を供給する為に必要とされるオイルポンプ36の吐出量(必要吐出量)に対して、オイルポンプ36の実際の吐出量(実吐出量)が不足してしまう。その為、電動機MGが故障した際のエンジン14の始動に関連する一連の作動にてクラッチK0係合指令を出力したときに、クラッチK0を係合する為の油圧が不足して、クラッチK0を係合することができない。従って、エンジン14の始動に関連する一連の作動が完了せず、エンジン14が自律運転できる状態となっても、エンジン14によってオイルポンプ36を駆動することができない。

このような課題に対して、オイルポンプ36の必要吐出量を実吐出量よりも少なくすれば、クラッチK0を係合する為の作動油の油量が確保されると考えられる。本実施例では、変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動に必要な作動油の油量を低減することで、オイルポンプ36の必要吐出量を低減する。

そこで、電子制御装置100は、クラッチK0を解放した状態でEV走行中に電動機MGが故障した場合には、変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動によって漏れる作動油の油量(以下、変速機漏れ量という)を減らすように、その変速機に関わる作動を制御する。これによって、オイルポンプ36の必要吐出量が低減される。オイルポンプ36の必要吐出量を低減するということには、単に、前記変速機漏れ量を減らすということだけではなく、クラッチK0を係合する為の作動油の油量を適切に確保するということも含まれている。つまり、電子制御装置100は、前記変速機漏れ量を減らすと共にクラッチK0へ供給する作動油の油量を増やすように、変速機に関わる作動を制御する。

前記変速機漏れ量は、例えば上記変速機に関わる作動によって(すなわちAT/LU油圧制御系64の作動によって)消費される作動油の油量に相当するものであって、より具体的には、AT/LU油圧制御系64の作動によって各ドレン油路80,82,84を介してオイルパン52へ還流させられる作動油の油量に相当するものである。又、変速機に関わる作動を制御するとは、例えばソレノイドバルブ68の作動に伴って排出される作動油の油量、潤滑油路74やクーラ油路76を介して流通する作動油の油量を制御することである。前記変速機漏れ量を低減する態様について、以下に説明する。

潤滑油路74やクーラ油路76を介して流通する作動油の油量を減らして潤滑油量やクーラ油量を減少させれば、前記変速機漏れ量を低減できると考えられる。例えば、潤滑油路74やクーラ油路76へ供給する作動油の油量を減らしたり、ドレン油路82,84から排出される作動油の油量を減らしたりすることで、前記変速機漏れ量を低減できると考えられる。又、自動変速機20において変速比γを維持しているときの方が変速過渡中よりも前記変速機漏れ量を低減できると考えられる。又、自動変速機20において維持する変速比γの違いによって前記変速機漏れ量が異なる場合が考えられる。このような場合には、自動変速機20の変速比γを維持するよりも、変速してでも前記変速機漏れ量が少ない変速比γへ切り替えた方が前記変速機漏れ量を低減できるかもしれない。又、クラッチLUの状態の違い(ロックアップオン、スリップ、ロックアップオフ)によって前記変速機漏れ量が異なる場合が考えられる。従って、ソレノイドバルブ68が作動している状態が異なれば、前記変速機漏れ量が異なるので、ソレノイドバルブ68の作動を切り替えることで、前記変速機漏れ量を低減できると考えられる。

具体的には、変速制御部102は、EV走行中に、MGフェール判定部106により電動機MGが故障したと判定された場合には、ハイブリッド制御部104によるエンジン14の始動に関連する一連の作動に並行して、前記変速機漏れ量を減らすようにソレノイドバルブ68を制御する。好適には、変速制御部102は、前記変速機漏れ量を最小とするようにソレノイドバルブ68を制御する為の変速機漏れ量低減指令を油圧制御回路40へ出力する。この変速機漏れ量低減指令は、油圧制御指令信号Spの1つであり、例えば現在の車両状態において前記変速機漏れ量が最小となるソレノイドバルブ68の作動として予め定められた作動パターンである。

図4は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちクラッチK0の解放時に電動機MGが故障した場合にクラッチK0へ供給する作動油の油量を確保する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。図5は、図4のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例である。図6は、図4のフローチャートに示す制御作動を実行しなかった比較例のタイムチャートの一例である。

図4において、先ず、MGフェール判定部106に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えばEV走行中に電動機MGが故障したか否かが判定される(図5のt1時点以前)。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合(図5のt1時点)はハイブリッド制御部104に対応するS20において、例えばスタータ46によりエンジン14がクランキングされ、そのクランキングに連動して電子スロットル弁の開閉制御や燃料供給制御や点火時期制御が実行されて、エンジン14の始動制御が実行される(図5のt2時点乃至t4時点)。次いで、変速制御部102に対応するS30において、例えば前記変速機漏れ量を減らすようにソレノイドバルブ68が制御される。例えば、予め定められた作動パターンとして、複数個のソレノイドバルブ68のうちの1つのソレノイドバルブへの作動指令がONからOFFへ切り替えられる(図5のt3時点)。次いで、ハイブリッド制御部104に対応するS40において、例えばエンジン14の始動(すなわちエンジン14の始動に関連する一連の作動)が完了したか否かが判断される(図5のt2時点乃至t4時点)。このS40の判断が否定される場合はこのS40が繰り返し実行されるが、肯定される場合はハイブリッド制御部104に対応するS50において、例えばクラッチK0を係合するクラッチK0係合指令が出力されて、解放されているクラッチK0が係合に向けて制御される(図5のt4時点以降)。

図5において、t1時点にてEV走行中に電動機MGが故障すると、t2時点にてエンジン14がスタータ46により始動される。エンジン14の始動制御に並行して、t3時点にてソレノイドバルブ68がOFFへ切り替えられて、前記変速機漏れ量が低減される。従って、ポンプ吐出量における破線で示したように、必要吐出量が低減される。そして、エンジン14の始動に関連する一連の作動が完了したt4時点にてクラッチK0係合指令が出力されると、クラッチK0を係合する為の油圧が不足することなく、クラッチK0が適切に係合される。これによって、エンジン14の動力でオイルポンプ36を駆動し続けることができる。

一方で、図6において、t1時点にてEV走行中に電動機MGが故障すると、t2時点にてエンジン14がスタータ46により始動される。そして、エンジン14の始動に関連する一連の作動が完了したt3時点にてクラッチK0係合指令が出力されるが、クラッチK0を係合する為の油圧が不足する為、クラッチK0が係合されない。その為、エンジン14は運転しているものの、エンジン14の動力でオイルポンプ36が駆動されず、ポンプ回転速度Npが低下させられ続ける。

上述のように、本実施例によれば、クラッチK0の解放時のEV走行中に電動機MGが故障した場合に、前記変速機漏れ量を低減することで、クラッチK0へ供給する作動油の油量を確保することができる。よって、クラッチK0を係合させることができ、エンジン14の動力によってオイルポンプ36を駆動することが可能になる。これにより、EV走行中の電動機MGの故障時に、エンジン14による退避走行が可能になる。

また、本実施例によれば、前記変速機漏れ量を最小とするようにソレノイドバルブ68が制御されるので、クラッチK0の解放時のEV走行中に電動機MGが故障した場合に、前記変速機漏れ量が最小となり、クラッチK0へ供給する作動油の油量が一層確実に確保される。

また、本実施例によれば、前記変速機漏れ量を減らすと共にクラッチK0へ供給する作動油の油量を増やすように、変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動が制御されるので、クラッチK0の解放時のEV走行中に電動機MGが故障した場合に、単に、前記変速機漏れ量が低減させられるだけでなく、クラッチK0へ供給する作動油の油量が適切に確保される。

次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。

前述の実施例1では、クラッチK0の解放時のEV走行中に電動機MGが故障した場合に、前記変速機漏れ量を低減することで、クラッチK0へ供給する作動油の油量を確保した。ところで、クラッチK0を解放した状態での車両停車中或いは低速でのEV走行中に電動機MGが故障すると、前記変速機漏れ量を低減したとしても、元々オイルポンプ36の吐出量がないか或いは少ない為に、クラッチK0へ供給する作動油の油量を確保することができないか或いは確保することができない可能性がある。

そこで、本実施例では、EV走行中であるか否かに拘わらず電動機MGが故障した場合にクラッチK0へ供給する作動油の油量を確保する為に、車両10は、図7に示すように、クラッチK0と駆動輪34との間の回転部材の回転とは独立した、電動機MGとは別のオイルポンプ用電動機MPの回転に伴って駆動されることでクラッチK0及び変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)へ作動油を供給する電動式オイルポンプ110を更に備える。

本実施例の車両10には、前述の実施例1における油圧システム50に替えて、油圧システム120が備えられている。図7において、油圧システム120は、油圧システム50とは、電動式オイルポンプ110を更に備えることが主に相違する。電動式オイルポンプ110は、オイルポンプ36とは並列に配置されて、オイルポンプ用電動機MPによって回転駆動されることにより、エンジン14や電動機MGの回転状態に拘わらず(例えばエンジン14や電動機MGの回転停止時に)油圧制御回路40へ供給される作動油の元圧を発生することができる。電動式オイルポンプ110は、オイルポンプ36と同様に、オイルパン52に還流した作動油を吸い込み口(ストレーナ)56から吸い上げて吐出油路58へ吐出する。

具体的には、ハイブリッド制御部104は、MGフェール判定部106により電動機MGが故障したと判定された場合には、前述の実施例1と同様に、エンジン始動要求があると判断して、前述した、エンジン14の始動に関連する一連の作動を実行する。加えて、ハイブリッド制御部104は、電動機MGが故障した場合には、電動式オイルポンプ110によってクラッチK0へ供給する作動油の油量を増やす。具体的には、ハイブリッド制御部104は、MGフェール判定部106により電動機MGが故障したと判定された場合には、電動式オイルポンプ110を回転駆動して油圧を出力する為の電動式オイルポンプ出力制御指令信号をオイルポンプ用電動機MPへ出力し、油圧制御回路40へ油圧を供給する。

変速制御部102は、MGフェール判定部106により電動機MGが故障したと判定された場合には、前述の実施例1と同様に、ハイブリッド制御部104によるエンジン14の始動に関連する一連の作動に並行して、前記変速機漏れ量を減らすようにソレノイドバルブ68を制御する。

図8は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちクラッチK0の解放時に電動機MGが故障した場合にクラッチK0へ供給する作動油の油量を確保する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図8は、前述の実施例1における図4のフローチャートに示す制御作動に対応する別の実施例である。以下に、図8において図4と相違する部分を主に説明する。

図8において、先ず、MGフェール判定部106に対応するS10’において、例えば電動機MGが故障したか否かが判定される。このS10’の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合はS20が実行される。次いで、ハイブリッド制御部104に対応するS25において、例えば電動式オイルポンプ110を回転駆動して油圧を出力する為の電動式オイルポンプ出力制御指令信号Sopがオイルポンプ用電動機MPへ出力される。次いで、S30−S50が実行される。

上述のように、本実施例によれば、前述の実施例1と同様の効果が得られることに加え、車両10には電動式オイルポンプ110が更に備えられているので、クラッチK0の解放時の車両停車中或いは低速でのEV走行中に電動機MGが故障した場合に、電動式オイルポンプ110を駆動することによってクラッチK0へ供給する作動油の油量を確保することができる。よって、クラッチK0を係合させることができ、エンジン14の動力によってオイルポンプ36を駆動することが可能になる。

また、本実施例によれば、電動機MGが故障した場合には、前記変速機漏れ量を減らすように変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)に関わる作動が制御されると共に、電動式オイルポンプ110によってクラッチK0へ供給する作動油の油量が増やされるので、クラッチK0の解放時の車両停車中或いは低速でのEV走行中に電動機MGが故障した場合に、クラッチK0へ供給する作動油の油量が適切に確保される。

本実施例では、前記変速機漏れ量を減少させた状態で、電動式オイルポンプ110によってクラッチK0へ供給する作動油の油量を確保するという態様であるので、前記変速機漏れ量を減少させない場合と比較して、電動式オイルポンプ110ではクラッチK0を係合する為の容量が少なくされる。従って、例えば車両10が交差点等で一時停止した際に(又は低車速にて減速走行している際に)、エンジン14の自動停止再始動制御(エコラン制御、アイドリングストップ制御)を実行する場合に設けられる、エコラン制御時に変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)用の油圧を発生する小型の電動式オイルポンプを、電動機MGのフェール時にクラッチK0用の油圧を発生する電動式オイルポンプとして採用することができる。

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

例えば、前述の実施例において、各実施例が独立して実施されているが、上記各実施例は必ずしも独立して実施する必要はなく、適宜組み合わせて実施しても構わない。

また、前述の実施例では、ソレノイドバルブ68を制御して前記変速機漏れ量を減らしたが、これに限らない。例えば、油圧の変動に伴って機械的にスプール弁子が移動するバルブを備え、そのバルブの切替作動によって前記変速機漏れ量を減らすような態様であっても良い。

また、前述の実施例では、電動機MGとは別に設けられたスタータ46によってエンジン14を始動するものであったが、これに限らない。例えば、着火始動によってエンジン14を始動するものであっても良い。この着火始動によるエンジン始動方法では、例えば回転停止中のエンジン14の膨張行程にある気筒内に燃料を噴射し且つ点火することでその気筒を燃焼させ、発生した爆発トルクによってピストンを押し下げてクランク軸を回転させることでエンジン14を始動する。この着火始動のみでエンジン14を始動できるのであれば、車両10はスタータ46を備える必要はない。又、着火始動にてアシストしつつ、スタータ46によってエンジン14を始動するものであっても良い。又、電動機MGが故障していないときには、例えば解放されているクラッチK0を係合に向けて制御することで電動機MGによってエンジン14をクランキングしつつ、燃料供給やエンジン点火などを開始してエンジン14を始動するという態様を採用することができる。

また、前述の実施例では、オイルポンプ36はポンプ翼車18aに連結されていたが、これに限らない。オイルポンプ36は、エンジン14及び/又は電動機MGによって回転させられる、クラッチK0と駆動輪34との間の回転部材の何れかに連結されて、その回転部材の回転に伴って駆動されることでクラッチK0及び変速機(自動変速機20、クラッチLU付トルクコンバータ18)へ作動油を供給する機械式のオイルポンプであれば良い。

また、前述の実施例における図4のフローチャートにおいて、ステップS30がS20の前に実行されても良かったり、ステップS30が少なくともS50の前に実行されていれば良いなど、各ステップの実行順等は差し支えのない範囲で適宜変更することができる。また、前述の実施例における図8のフローチャートにおいて、ステップS25がS20の前に実行されても良かったり、ステップS30がS25の前に実行されても良かったり、ステップS25やステップS30が少なくともS50の前に実行されていれば良いなど、各ステップの実行順等は差し支えのない範囲で適宜変更することができる。

また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ18が用いられていたが、トルク増幅作用のない流体継手などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。又、トルクコンバータ18は必ずしも設けられなくても良い。

尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

10:車両 14:エンジン 18:トルクコンバータ(変速機) 18a:ポンプ翼車(回転部材) 20:自動変速機(変速機) 34:駆動輪 36:オイルポンプ 40:油圧制御回路 68:ソレノイドバルブ 100:電子制御装置(制御装置) 110:電動式オイルポンプ K0:エンジン断接用クラッチ(クラッチ) MG:電動機 MP:オイルポンプ用電動機

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