車両制御システムおよび車両制御方法

申请号 JP2015215981 申请日 2015-11-02 公开(公告)号 JP2016020215A 公开(公告)日 2016-02-04
申请人 ジャガー ランド ローバー リミテッド; Jaguar Land Rover Limited; 发明人 サム・アンカー; ダン・デネヒー; エリオット・ヘメス; ジェイムズ・ケリー; アンドリュー・フェアグリーブ;
摘要 【課題】本発明は、少なくとも1つの車両サブシステムのための車両制御システムに関する。 【解決手段】本発明の一態様によれば、車両の少なくとも1つの車両サブシステムのための車両制御システムが提供され、このシステムは、1つまたはそれ以上の異なる地形タイプに対応する複数のサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、車両サブシステムの制御を開始するためのサブシステム制御部と、車両走行中の地形を表す複数の地形指標 信号 を受信し、評価して、各サブシステム制御モードが車両走行中の地形に適当である程度を決定するとともに、最も適したサブシステム制御モードを示す出 力 を提供するように構成された評価手段とを備え、複数の地形指標信号は、少なくとも車輪速度および正のドライブトルクを含み、車輪スリップが生じた場合、評価手段は、車輪スリップが生じた時のトルクを決定することを特徴とする。 【選択図】図1
权利要求

車両の少なくとも1つの車両サブシステムのための車両制御システムであって、 車両の1つまたはそれ以上の異なる地形タイプに対応する複数のサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムの制御を開始するためのサブシステム制御部と、 車両走行中の地形を表す複数の地形指標信号を受信し、評価して、各サブシステム制御モードが車両走行中の地形に適当である程度を決定するとともに、最も適したサブシステム制御モードを示す出を提供するように構成された評価手段とを備え、 複数の地形指標信号は、少なくとも車輪速度および正のドライブトルクを含み、 車輪スリップが生じた場合、評価手段は、車輪スリップが生じた時のトルクを決定することを特徴とする車両制御システム。前記出力に応じて複数のサブシステム制御モードのうちの最も適したものを選択するように自動応答モードで作動可能な自動制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。評価手段は、各サブシステム制御モードが適当である確度を決定するように構成され、 評価手段が提供する前記出力は、最も高い確度を有するサブシステム制御モードであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御システム。サブシステム制御部は、複数のサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムを制御するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の車両制御システム。運転状態指標を評価して、前記確度を決定する評価手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の車両制御システム。評価手段は、1つまたはそれ以上の運転状態指標に対応する1つまたはそれ以上の入力信号を受信し、当該入力信号または各入力信号に基づいて、さらなる運転状態指標を推定するように構成された推定手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の車両制御システム。評価手段は、各サブシステム制御モードに対し、複数の運転状態指標のうち対応する1つの運転状態指標から得られた個々の確度値に基づいて複合確度値を計算する手段を有し、 評価手段からの制御出力信号は、最も高い複合確度値を有するサブシステム制御モードを示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の車両制御システム。各サブシステム制御モードに対する複合確度値(Pb)は、個々の運転状態指標から得られた個々の確度値をa,b,c,d,・・・nとするとき、次式で計算されることを特徴とする請求項7に記載の車両制御システム。各サブシステム制御モードに対して、現在のサブシステム制御モードと別の各サブシステム制御モードの間の確度差分値を計算する手段と、 確度の差分値を時間で積分して、他の各サブシステム制御モードに対して積分した確度差分値を計算する手段と、 積分した確度差分値のそれぞれを変更閾値と比較する比較手段と、 複数のサブシステム制御モードのうちの1つのサブシステム制御モードの積分した確度差分値が変更閾値を超えたとき、選択されたサブシステム制御モードにおいて変更を開始する手段とをさらに有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の車両制御システム。比較手段は、積分した確度差分値のそれぞれを複数の変更閾値と比較し、 選択されたサブシステム制御モードにおいて変更を開始する手段は、最初の変更閾値に達したとき、変更を開始するように作動可能であり、 各変更閾値は、異なる運転状態指標に応じて可変的であることを特徴とする請求項9に記載の車両制御システム。1つまたはそれ以上の変更閾値は、車両走行中の地形の表面凹凸に依存するか、または車両走行中の地形の転がり抵抗に依存することを特徴とする請求項10に記載の車両制御システム。1つまたはそれ以上の運転状態指標は、車両に搭載されたセンサからのセンサ出力信号から得られることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の車両制御システム。自動制御手段が出力に応じて車両サブシステムを自動的に制御する自動応答モードと、車両サブシステムがドライバの手動により選択された手動応答モードとの間を切り換えることを可能にするスイッチ手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の車両制御システム。少なくとも1つの車両サブシステムは、エンジン制御システム、操コントローラ、ブレーキコントローラ、およびサスペンションコントローラのうちの1つまたはそれ以上を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1に記載の車両制御システム。車両の少なくとも1つの車両サブシステムを制御する方法であって、 車両の1つまたはそれ以上の異なる地形タイプに対応する複数の異なるサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムの制御を開始するステップと、 各サブシステム制御モードが車両走行中の地形に適当である程度を決定するために、車両走行中の地形を表す複数の地形指標を評価するステップと、 最も適したサブシステム制御モードを示す出力を提供するステップとを有し、 複数の地形指標は、少なくとも車輪速度および正のドライブトルクを含み、 地形指標を評価する前記ステップは、車輪スリップが生じた場合、車輪スリップが生じた時のトルクを決定するステップを含むことを特徴とする方法。前記出力に応じて複数のサブシステム制御モードのうちの最も適したものを自動的に選択するステップをさらに有することを特徴とする請求項15に記載の方法。評価ステップは、各サブシステム制御モードが適当である確度を決定するステップと、最も高い確度を有するサブシステム制御モードを表す出力を提供するステップとを有することを特徴とする請求項15または16に記載の方法。請求項1〜14のいずれか1に記載の車両制御システムを有する車両。

说明书全文

本発明は、1つまたはそれ以上の車両サブシステムのための車両制御システムに関する。車両制御システムは、車両の動作パラメータを評価し、1つまたはそれぞれの車両サブシステムのための車両走行中の運転状態に適した動作モードを実行させるものである。また本発明は、1つまたはそれ以上の車両サブシステムを制御する方法に関する。

さまざまな運転状態に適合するように異なる態様で作動し得る数多くの異なるサブシステムを車両に設けることが知られている。具体例として、自動変速装置をさまざまなモード(スポーツ、マニュアル、ウィンタ、またはエコノミモード等)で制御して、ギア比の変更およびサブシステム制御パラメータを、地形状態またはドライバの特別な好みに適合するように修正することができる。エアサスペンションをオンロードモードおよびオフロードモードにすることも知られている。少ない操作で安定制御システムを作動させて、ドライバに対し、より直接的な制御を提供し、さまざまなモードでパワーステアリングシステムを作動させて、運転状態により異なる支援レベルを提供することができる。

高い基準の選択肢をドライバに提供しようとすると、効率的で、安全で、楽しめるドライブ体感を得る上で複雑で煩雑な状況を強いることになることを、本願出願人は従前より認識していた。本願出願人の米国特許第7,349,776号は、広範な運転状況、特にオフロードで運転する場合に直面し得る数多くの異なる地形において改善された運転制御をドライバにより実行可能な車両制御システムを開示している。

車両制御システムは、地形に関するドライバ入コマンドに呼応して、数多くの異なる運転モードのうちの1つのモードで作動するように選択される。各運転モードにおいて、さまざまな車両サブシステムを地形に対応して適当に作動させる。

現在の車両制御システムに対する更なる改善点は、広範な運転スタイルおよびドライバの運転技量において、より効率的で楽しめるドライブ体感を提供することと認識されている。したがって、本発明の目的は、上述のようなタイプのシステム全般に対して改良を加えた車両制御システムを提供することにある。

米国特許第7,349,776号明細書

本発明の第1の態様によれば、車両の少なくとも1つの車両サブシステムのための車両制御システムが提供され、この車両制御システムは、車両の1つまたはそれ以上の異なる運転状態に対応する複数のサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムの制御を開始するためのサブシステム制御部を有する。この車両制御システムは、各サブシステム制御モードが適当である程度を決定するために、1つまたはそれ以上の運転状態指標を評価するとともに、最も適したサブシステム制御モードを示す出力を提供するための評価手段をさらに有する。

好適には、前記出力はサブシステム制御部に供給され、好適な実施形態において、車両制御システムは、前記出力に応じて複数のサブシステム制御モードのうちの最も適したものを選択するように自動応答モードで作動可能な自動制御手段をさらに有する。

評価手段は、各サブシステム制御モードが適当である確度を決定するものであり、適当である確度が最も高いサブシステム制御モードを示す出力を提供することが好ましい。

評価手段は、好適にも、車両制御システムの車両制御ユニット内に配設されたプロセッサの形態を有する、ソフトウェアで実現される評価手段の形態を採用することができる。

サブシステム制御部は、最も適したものを選択することにより、複数のサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで制御を開始するとともに、選択したサブシステム制御モードで当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムを制御するように構成された中央制御部であってもよい。択一的には、サブシステム制御部は、選択された1つのサブシステム制御モードで車両サブシステムを制御する中間的なコントローラを介して、サブシステム制御モードで車両サブシステムの制御を開始してもよい。さまざまな中間コントローラを各車両サブシステムに付随して設けてもよい。当該中間コントローラまたは各中間コントローラは、サブシステム制御部と一体に構成されていてもよい。

複数の車両サブシステムのうちのただ1つの車両サブシステムだけが、運転状態に応じて最も適したサブシステム制御モードで、サブシステム制御部(または中間コントローラ)により制御されるようにしてもよい。

必須ではないが、好適には、複数(すなわち2またはそれ以上)の運転状態指標が評価手段に提供される

理解されるように、ただ2つだけのサブシステム制御モード(オンロードに適したものとオフロードに適したもの)が存在する場合もある。

1つの実施形態において、当該運転状態指標または各運転状態指標は、車両走行中の地形を表す信号から得られる。したがって、異なるサブシステム制御モードが関連する異なる運転状態のそれぞれは、少なくとも1つの地形タイプを表し、これに適するものであってもよい。たとえば、草、砂利、またはが1つのサブシステム制御モードに関連し、泥またはわだちが別のサブシステム制御モードに関連するものであってもよい。

本発明は、1つまたはそれ以上の車両サブシステムの最も適当な制御モードを決定するために、ドライバに依拠するのではなく、たとえば車両走行中の地形を表す信号等の車両の操作信号を評価する評価手段を採用する。本発明に係る好適な実施形態によれば、地形状態やドライバの運転スタイルに適した車両サブシステム制御モードを、ドライバに最も適した制御モードを特定または選択することを要求することなく、自動的に実行することができる。適当な制御モードを選択する際、ドライバのインプットに依拠しないので、エンジンに対する負荷を低減しつつ、より落ち着いた快適なドライブを体感することができる。

択一的には、または追加的には、当該運転状態指標または各運転状態指標は、車両のドライバの運転スタイルの特性を表す信号から得ることができる。したがって、異なるサブシステム制御モード関連する複数のさまざまな運転状態のそれぞれは、運転スタイルの特性を表し、これに関連するものであってもよい。運転スタイルの特性は、たとえばダイナミックスタイル、スポーティスタイル、およびエコノミックスタイル等の経済性重視の運転スタイルからパフォーマンス重視の運転スタイルまで及ぶものであってもよい。

一例として、評価手段は、ドライバの現在の運転スタイルを特定するため、次の指標のうちの1つまたはそれ以上を受信するものであってもよい。 (a)エンジンの回転数、 (b)電動モータ手段の回転数、 (c)車両の速度、 (d)車両の縦方向加速度、 (e)車両の横方向加速度、 (f)加速ペダル位置、 (g)加速ペダルキックダウン検出器の状態、 (h)ブレーキペダル位置 (i)ドライバが要求したブレーキトルクにおける回生ブレーキトルクの大きさの割合、 (j)車両のドライブラインの少なくとも一部の速度、 (k)正のドライブトルクの大きさ、 (l)正のドライブトルクリクエストの変化率、 (m)操車輪度、および (n)操舵車輪角度の変化率。

好適な実施形態において、評価手段は、1つまたはそれ以上の運転状態指標に対応する1つまたはそれ以上の入力信号を受信し、当該入力信号に基づいて、さらなる運転状態指標を推定する推定手段を有する。

評価手段は、サブシステム制御モードに対し、複数の運転状態指標のうち対応する1つの運転状態指標から得られた個々の確度値に基づいて複合確度値を計算する手段を有し、評価手段からの制御出力信号は、最も高い複合確度値を有するサブシステム制御モードを示す。

1つの実施形態において、各サブシステム制御モードに対する複合確度値(Pb)は、個々の運転状態指標から得られた個々の確度値をa,b,c,d,・・・nとするとき、次式で計算される(すなわち個々の確度値は、複数の運転状態指標に基づいて、サブシステム制御モードが適したものであることを示すものである。)。

所定の地形指標は、組み合わされたとき、単一の地形指標のみに基づいて選択されたものと比較して、サブシステム制御モードを多少なりとも確からしくすることができる。したがって、単一の運転状態指標の確度値にのみ依拠する場合に比して、自動応答が複数の異なる運転状態指標に依存する複合確度値に基づくことは有利である。

車両制御システムは、各サブシステム制御モードに対して、現在のサブシステム制御モードと別の各サブシステム制御モードの間の確度差分値を計算する手段を有する。

さらに確度の差分値を時間で積分して、他の各サブシステム制御モードに対して積分した確度差分値を計算する手段が設けられる。

好適な実施形態では、積分した確度差分値のそれぞれを変更閾値と比較する比較手段が設けられる。

複数のサブシステム制御モードのうちの1つのサブシステム制御モードの積分した確度差分値が変更閾値を超えたとき、選択されたサブシステム制御モードにおいて変更を開始する手段が設けられる。

好適には、比較手段は、積分した確度差分値のそれぞれを、単一の閾値ではなく、複数の変更閾値と比較する。選択されたサブシステム制御モードにおいて変更を開始する手段は、最初の変更閾値に達したとき、変更を開始するように作動可能である。

たとえば各変更閾値は、車両走行中の路面地形の表面凹凸や車両走行中の転がり抵抗等の異なる運転状態指標に応じて変動可能である。

異なる運転状態指標に応じて可変的な変更閾値を設け、サブシステム制御モードが選択される応答速度を、車両走行中の地形の性状に応じて変動させ得ることは有益である。これにより、所定の運転状態(オンロード地形等)にある場合、別の運転状態(オフロード地形等)にある場合に比して、サブシステム制御モードの変更をより数少なくすることができる。

当該運転状態指標または各運転状態指標は、好適には、車両に搭載されたセンサからのセンサ出力信号により得られる。センサ出力信号には、車両のフロントガラスワイパのオン・オフ状態を示す指標を提供するフロントガラスワイパセンサからの信号、および/またはフロントガラスワイパがオン状態であった時間を示す指標を提供する信号を含むものであってもよい。

フロントガラスワイパから得られた信号を車両制御のために運転状態指標として用いることは、これまで提案されていない。本発明のこの特徴は、フロントガラスワイパセンサは車両の何処かに配置され、実現に際して追加的なハードウェアを必要としない。

センサ出力信号は、同様にまたは択一的に、操舵システムに加わる力を示す信号であって、車両の操舵システムから得られる車両の操舵方向を制御するための信号を含むものであってもよい。

センサ出力信号は、同様にまたは択一的に、車両のブレーキペダルおよび加速ペダルの一方または両方から得られるものであってもよい。たとえば車両制御システムは、ブレーキペダルおよび加速ペダルからのセンサ出力信号が合致するときに比較するとともに、比較に基づいて評価手段に別の運転状態指標を提供する手段を有するものであってもよい。このように、車両走行中の地形を表すブレーキペダルおよび加速ペダルの両方に基づいて、車両サブシステムの適当なサブシステム制御モードを自動的に選択することができる。

車両制御システムは、自動制御手段が出力に応じて1つまたは複数の車両サブシステムを自動的に制御する自動応答モードと、車両サブシステムがドライバの手動により選択された手動応答モードとの間をドライバが切り換えることを可能にするスイッチ手段をさらに有していてもよい。追加的にまたは択一的に、車両制御システムは、たとえば1つまたはそれ以上の運転状態指標に応じて、手動応答モードから自動応答モードへ自動的に切り換える手段をさらに有していてもよい。

少なくとも1つの車両サブシステムは、これに限定するものではないが、エンジン制御システム、操舵コントローラ、ブレーキコントローラ、およびサスペンションコントローラのうちの1つまたはそれ以上を含む。

本発明に係る第2の態様によれば、車両の少なくとも1つの車両サブシステムを制御する方法が提供され、この方法は、車両の1つまたはそれ以上の異なる運転状態に対応する複数の異なるサブシステム制御モードのうちから選択された1つのサブシステム制御モードで、当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムの制御を開始するステップと、各サブシステム制御モードが適当である程度を決定するために、1つまたはそれ以上の運転状態指標を評価するステップと、最も適したサブシステム制御モードを示す出力を提供するステップとを有する。好適には、この方法は、前記出力に応じて複数のサブシステム制御モードのうちの最も適したものを自動的に選択するステップをさらに有する。

好適な実施形態において、評価ステップは、1つまたはそれ以上の運転状態指標を評価して、各サブシステム制御モードが適当である確度を決定するステップを有し、この方法は、最も高い確度を有するサブシステム制御モードを表す出力を提供するステップをさらに有する。

本発明に係る第3の態様によれば、本発明に係る第1の態様による車両制御システムを有する車両が提供される。

本発明に係るさらに別の態様によれば、車両の少なくとも1つの車両サブシステムのための車両制御システムが提供され、この車両制御システムは、車両の1つまたはそれ以上の異なる運転状態に対応する複数のサブシステム制御モードにおいて当該車両サブシステムまたは各車両サブシステムを制御するサブシステム制御部を有する。この車両制御システムは、各サブシステム制御モードが適当である確度を決定するために、1つまたはそれ以上の運転状態指標を評価するとともに、適当である確度が最も高いサブシステム制御モードを表す出力を提供するための評価手段と、前記出力に応じて複数のサブシステム制御モードのうちの最も適したものを選択するように自動応答モードで作動可能な自動制御手段とを有する。

本発明に係る第1の態様の好適な特徴および/または任意的な特徴は、単独で、または適当に組み合わせて、本発明に係る第2、第3、および別の態様に含めることができる。

本発明をより容易に理解するために、例示することのみを目的として、以下の図面を参照して以下説明する。

本発明に係る実施形態による車両制御システムであって、これにより制御されるさまざまな車両サブシステムを含む車両制御システムを示すブロック図である。

図1の車両制御システムの一部分を構成するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)モジュールを示すブロック図である。

ドライバ操作評価インデックスの値を決定するように構成された車両制御システムに関連する性能パラメータを示す概略的なブロック図である。

図1および図2は、整然とした舗装道路面以外の地形上で用いられるオフロード仕様に適するように設計された車両のための車両制御ユニット(VCU)10を示す。VCU10は、数多くの車両サブシステム12を制御するものであり、車両サブシステムには、これに限定するものではないが、エンジン制御システム12a、トランスミッションシステム(変速システム)12b、ステアリングシステム12c、ブレーキシステム12d、およびサスペンションシステム12eが含まれる。5つのサブシステムがVCU10により制御されるものとして図示されているが、実際には、より数多くの車両サブシステムが車両に搭載され、VCU10により制御され得る。VCU10は、サブシステム制御モジュール14を有し、サブシステム制御モジュールは、車両が走行している地形等の運転状態(地形状態ともいう)に適したサブシステムの制御を起動するように、ライン13を介して、制御信号を各車両サブシステムに供給するものである。車両サブシステム12は、同様にライン13を介してサブシステム制御モジュール14と通信し、サブシステムの状況に関するフィードバック情報を提供する。

VCU10は、符号16,17で示す数多くの信号を受信し、これらの信号は、数多くの車両センサから受信したもので、車両の動作および状況に関するさまざまな異なるパラメータを表すものである。より詳細に以下説明するように、信号16,17は、複数の運転状態指標(地形指標ともいう)を提供し、または運転状態指標を計算するために用いられるものであり、運転状態指標とは、車両走行している状態の性質を表すものである。本発明の1つの有利な特徴は、VCU10が地形指標に基づいて種々のサブシステムのために最も適当な制御モードを決定し、それに応じてサブシステムを自動的に制御する点にある。

車両に搭載されたセンサ(図示せず)は、連続的なセンサ出力信号16をVCU10に供給するセンサを含み、これに限定するものではないが、車輪速度センサ、周辺温度センサ、大気圧センサ、タイヤ圧センサ、車両の旋回・ロール・ピッチを検出するヨーレートセンサ、車速センサ、縦(長手)方向加速度センサ、エンジントルクセンサ(エンジントルク推定装置)、ステアリング角度センサ、ステアリングホイール速度センサ、勾配センサ(勾配推定装置)、安定制御システム(SCS)の横方向加速度センサ、ブレーキペダル位置センサ、加速ペダル位置センサ、および縦・横・垂直運動センサを含む。

他の実施形態において、上記センサの中から選択したもののみを用いてもよい。VCU10は、車両の電動アシストステアリングユニット(ePASユニット)から信号を受信して、車輪に加わる操舵力(ドライバが加える操舵力とePASユニットが加える操舵力の合力)を示す。

車両は、離散的なセンサ出力信号17をVCU10に供給する複数のセンサが搭載され、こうしたセンサには、クルーズ制御状況信号(ON/OFF)、動力分配状況信号(ギア比がHIレンジまたはLOレンジに設定)、ヒルディセント制御(HDC)状況信号(ON/OFF)、トレーラ連結状況信号(ON/OFF)、安定制御システム(SCS)が起動していることを示す信号(ON/OFF)、フロントガラスワイパ信号(ON/OFF)、エアサスペンション状況信号(HI/LO)、および動的安定化制御(DSC)信号(ON/OFF)が含まれる。

VCU10は、推定モジュールまたは推定プロセッサ18の形態を有する評価手段と、選択モジュールまたは選択プロセッサ20の形態を有する計算・選択手段とを有する。まず、連続的なセンサ出力信号16がセンサから推定モジュール18に供給され、離散的なセンサ出力信号17が選択モジュール20に供給される。

推定モジュール18の第1段階において、複数のセンサ出力信号16のうちの種々いくつかのセンサ出力信号を用いて、数多くの地形指標を求める。推定モジュール18の第1段階では、車両速度を車輪速度センサから求め、車両加速度を車輪速度センサから求め、車輪にかかる縦方向の力を縦方向加速度センサから求め、そしてスリップが生じたときのトルクを旋回・ロール・ピッチを検出する運動センサから求める。推定モジュール18の第1段階において行われる他の計算には、車輪慣性トルク(回転する車輪の加速または減速に伴うトルク)、「進捗の連続性」(車輪の回転開始または回転停止に対する評価、たとえば車両が岩石の多い地形上を走行しているような場合における車輪の回転開始または回転停止に対する評価)、空気力学的抵抗、横揺れ、および横方向の車両加速度が含まれる。

推定モジュール18は、第2段階において、次の地形指標を計算する。すなわち、推定モジュール18は、車輪慣性トルク、車両にかかる縦方向の力、空気力学的抵抗、および車輪にかかる縦方向の力に基づいて路面転がり抵抗を求め、横方向加速度および操舵車輪センサからの出力信号に基づいて操舵車輪に加わる操舵力を求め、車輪にかかる縦方向の力、車輪加速度、SCS動作、および車輪スリップが生じたか否かを示す信号に基づいて車両縦方向スリップを求め、測定した横方向加速度、横揺れと予定した横方向加速度の比、および横揺れに基づいて横方向摩擦力を求め、振動(高振動数の車輪高さ方向の振動であって、洗濯板状の凹凸表面を示すもの)を検出する。

SCS動作信号は、安定制御システム(SCS)の電子制御ユニット(ECU)(図示せず)から出力されるいくつかの信号により得られる。SCSのECUは、DSC機能(動的安定制御機能)、およびTC機能(トラクション制御機能)、ならびにDSC動作、TC動作、ABS動作、を表すABSアルゴリズムおよびHDCアルゴリズム(ヒルディセント制御アルゴリズム)、個々の車輪に対するブレーキ操作、およびSCSのECUからエンジンへのエンジントルク低減リクエストを有する。これらのすべては、スリップが生じたことを示すものであり、SCSのECUはスリップを制御するように作動する。推定モジュール18は、同様に車輪速度センサから出力された信号を用いて、車輪速度変化および凹凸検出信号を特定する。

フロントガラスワイパ信号(ON/OFF)に基づいて、推定モジュール18は、フロントガラスワイパがON状態にある時間(すなわち雨降り期間信号)を算出する。

VCU10は、エアサスペンションセンサ(最低地上高センサ)および車輪加速度センサに基づいて、地形の凹凸を計算する路面凹凸モジュール24を有する。地形指標信号が凹凸出力信号26として路面凹凸モジュール24から出力される。

推定モジュール18において、妥当性チェックとして、車輪縦方向スリップの推定値と横方向摩擦力の推定値が互いに比較される。

車輪速度変化および凹凸出力、路面転がり抵抗の推定値、車輪縦方向のスリップおよび凹凸検出のための計算値が、摩擦力の妥当性チェックとともに、推定モジュール18から出力され、VCU10内でさらに処理するために、車両が走行している地形の性質を示す複数の地形指標出力信号22として供給される。

推定モジュール18からの地形指標信号22は、選択モジュール20に提供され、選択モジュールは、車両が走行している地形のタイプを示す指標に基づいて、複数の車両サブシステムの制御モードのうち最も適当なものを決定する。種々の各制御モードが推定モジュール18および路面凹凸モジュール24からの地形指標信号22,26に基づいて適当であることの確度を分析することにより、最も適当な制御モードが決定される。

ドライバが入力する必要なく、選択モジュール20からの制御出力信号30に呼応して、車両サブシステム12を自動的に制御してもよい(「自動モード」という)。択一的には、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)モジュール(図1では図示せず)を用いて、ドライバの手動による入力により(「マニュアルモード」という)入力車両サブシステム12を作動させてもよい。サブシステム制御モジュール14が信号ライン13を通じて直接的に車両サブシステム12a〜12eを制御してもよいし、または択一的には、車両サブシステム12a〜12eが自らを制御するための中間的な制御モジュール(図1では図示せず)を各車両サブシステムに付随させてもよい。後者の場合、サブシステム制御モジュール14は、車両サブシステム12a〜12eの実際の制御ステップを実行するのではなく、車両サブシステムの選択すべき適当なサブシステム制御モードのみを制御してもよい。中間的な制御モジュールは、実際には、主たるサブシステム制御モジュール14の一体不可分な構成部品を構成するものであってもよい。

自動モードで作動させる場合、最も適当なサブシステム制御モードが3段階のプロセスにより選択される。 (1)各タイプの制御モードに対して、その制御モードが車両走行中の地形に対して適当であるという確度(確からしさ)を地形指標に基づいて計算する。 (2)現在の制御モードと他の制御モードの確度の「正の差」を積分する。 (3)積分確度値が所定の閾値を超えた場合、または現在の地形制御モードの確度がゼロである場合、サブシステム制御モジュール14に対するリクエストをプログラムする。

特別の3段階のステップ(1)、(2)、および(3)について、より詳細に以下説明する。

第1段階(1)において、凹凸出力信号26としての連続的な地形指標信号、および推定モジュール18から出力信号が選択モジュール20に供給される。また選択モジュール20は、動力分配状況信号(ギア比がHIレンジまたはLOレンジに設定)、動的安定化制御(DSC)信号、クルーズ制御状況信号(車両クルーズ制御システムが動作中であるか否か)、およびトレーラ連結状況信号(トレーラが車両に連結されているか否か)を含む、離散的な地形指標信号17を車両に搭載された種々のセンサから直接的に受信する。周辺温度や大気圧を示す地形指標信号も同様に選択モジュール20に供給される。

選択モジュール20は、センサから直接的に受信した離散的な地形指標信号17と、推定モジュール18および路面凹凸モジュール24により計算された連続的な地形指標信号22,26とに基づいて、車両のサブシステムにとって最も適当な制御モードを決定するための確度アルゴリズム20aを有する。

制御モードは、典型的には、車両が草、砂利、または雪の地形上を走行するときに適した草/砂利/雪・制御モード(GGSモード)、車両が泥またはわだちの地形上を走行するときに適した泥/わだち・制御モード(MRモード)、岩または巨礫の地形上を走行するときに適した岩/巨礫・制御モード(RBモード)、砂(または深く柔らかな雪)の地形上を走行するときに適した砂・制御モード、およびすべての地形条件、とりわけ高速道路および整然とした車道上を走行するときに好適な折衷モードすなわち一般モードである特別プログラムオフモード(SPオフモード)を有する。その他の数多くの制御モードを想到できる。

さまざまな地形タイプを地形の摩擦力および地形の凹凸に基づいて分類することができる。たとえば、草、砂利、および雪はすべて摩擦力が小さく、滑らかな表面を有する地形として分類し、岩および巨礫は摩擦力が大きく、きわめて凹凸の大きい表面を有する地形として分類することが適当である。

選択モジュール20内の確度アルゴリズム20aは、種々のサブシステム制御モードに対する確度を地形指標に基づいて計算し、種々のサブシステム制御モードのそれぞれが適当である確度を判断する。選択モジュール20は、連続的な地形指標信号22,26(車速、路面凹凸、および操舵角等)を、特定のサブシステム制御モードが適当である確度に関連付ける調整可能なデータマップを有する。各確度値は、通常、0から1までの値を取る。たとえば、車速が比較的に小さい場合には、岩/巨礫・制御モード(RBモード)の確度が0.7となり、車速が比較的に大きい場合には、RBモードの確度は相当により小さく(たとえば0.2)なることがある。これは、車速が大きいとき、車両が岩や巨礫の地形上を走行していることを示唆するとは到底あり得ないためである。

さらに、種々のサブシステム制御モードにおいて、GGSモード、RBモード、MRモード、またはSPオフモードに対して、複数の離散的な地形指標17(トレーラ連結状況ON/OFF信号、クルーズ制御状況ON/OFF信号等)のそれぞれを用いて、各サブシステム制御モードに関連する確度を計算する。たとえば、車両のドライバがクルーズ制御をオン状態に切り換えた場合、SPオフモードが適当である確度は相当に高く、他方、MRモードが適当である確度はより低くなる。

種々のサブシステム制御モードのそれぞれにおいて、上述のように連続的および離散的な各地形指標信号17,22,26から得られた各サブシステム制御モードの個々の確度に基づいて、複合確度値Pbを計算する。各サブシステム制御モードにおいて、各地形指標信号で得られた個々の確度を次式においてa,b,c,d,・・・nで表す。各サブシステム制御モードにおける複合確度値Pbは次式で表される。

任意の数の個々の確度が確度アルゴリズム20aに入力され、確度アルゴリズムに入力された確度のうちの任意の値を複合確度関数の出力とすることができる。

各サブシステム制御モードの複合確度値を計算した後、最も高い確度を有する制御モードに対応するサブシステム制御プログラムが選択モジュール20内で選択され、これを示唆する出力信号30がサブシステム制御モジュール14に出力される。複数の地形指標に基づく複合確度関数を用いる利点は、単一の地形指標による選択に基づいた場合と比較して、地形指標を組み合わせた場合には、特定の複数の指標が制御モード(GGSモードまたはMRモード等)を形成し得る点にある。

選択モジュール20から出力された別の制御信号が制御モジュール34に供給される。

第2段階(2)において、積分処理が選択モジュール20内で継続的に実行され、現在の制御モードから別の制御モードに変更すべきか否か判断する。

積分処理の第1のステップは、現在の制御モードの複合確度と択一的な制御モードのそれぞれの複合確度との間の正の差を積分することである。

たとえば、現在の制御モードがGGSモードで、その複合確度値が0.5であったとする。砂制御モードの複合確度値が0.7である場合、これら2つの複合確度値の正の差を計算する(すなわち正の差分値は0.2である。)。正の差分値を時間で積分する。この差が正であり、積分値が所定の変更閾値(変更閾値ともいう)または複数の所定の変更閾値のうちの1つに達した場合、選択モジュール20は、現在の地形制御モード(GGSモード)を新規で、択一的な制御モード(この具体例の場合、砂制御モード)に更新する必要があると判断する。制御出力信号30は、選択モジュール20からサブシステム制御モジュール14へ出力され、車両サブシステムのために砂制御モードを起動する。

第3段階(3)において、確度差をモニタし、積分処理中の任意の時点において、確度差が正の値から負の値になった場合、積分処理を中止し、積分値をゼロにリセットする。同様に、他の(砂制御モード以外の)複数の択一的な制御モードのうちの1つの積分値が、砂制御モードの確度より先に所定の変更閾値に達した場合、砂制御モードのための積分処理を中止し、ゼロにリセットし、より大きな確度差を有する他の択一的な制御モードを選択する。

高い応答性が要求されるとき、頻繁に何度も制御モードが変更されるという結果となる場合がある。いくつかの状況では、何度も制御モードを変更することは適切ではなく、度を超すことがある。制御モードの変更頻度は、校正処理の2つの要素、すなわち各制御モードの複合確度値および変更のための正の差の積分値(変更閾値)に依存する。頻繁に制御モードを変更すると、2つの状況で問題となる。変更閾値が比較的に大きい場合、1つの制御モードから別の制御モードに切り換える上で、より多くの時間を要する。この手法は、すべての制御モードの選択に影響を与える。異なる制御モードに対するデータマップ上の確度値の差を小さく設定すると、たとえばすべての確度値が0.5付近に設定すると、差を大きく設定した場合と比較して、実行される制御モードを変更するまでの時間は長くなる。必要ならば、この手法を用いて、選択した地形指標および制御モードに対してのみ、応答速度を調整することができる。

現在の制御モードと他すべての制御モードとの間の確度差を継続的にモニタして、各制御モードに対する積分値を継続的に所定の変更閾値と比較する。所定の変更閾値は、車両走行前にオフラインで校正し、選択モジュール20内のメモリに記憶される。

表面凹凸に関する地形指標に伴い、所定の変更閾値を可変的なものとすることが有益である。このように車両走行中の凹凸地形の状況に応じて、サブシステム制御モードを変更する頻度を調整することができる。たとえば、車両が路上(たとえば整然とした滑らかな路面上)を走行しているとき、表面凹凸は小さいので、変更閾値を高くして、積分した確度差が閾値に達するまでの時間を長くし、制御モードをあまり頻繁に変更しないようにする。こうして、たとえば車両が整然とした路面上を直線的に走行していて、短い時間だけ歩道の縁石に乗り上げたときに、制御モードが変更されることを防止することができる。逆に、車両がオフロード上(表面凹凸が大きい道)を走行しているとき、変更閾値を小さくすることにより、実際の地形変化に応じてより頻繁に制御モードを変更し、制御モードを正確に調整することができる。

好適な実施形態において、1つまたはそれ以上の追加的な変更閾値を採用して、異なる複数の地形指標のうちの1つの地形指標に基づいた積分した確度差と比較してもよい。たとえば、車両の転がり抵抗に依存する別の変更閾値を設定してもよい。この場合、積分した確度差を両方の閾値(表面凹凸および転がり抵抗に関する閾値)と比較し、いずれか一方が先に閾値を超えた場合に、制御モードを変更する。

現在の制御モードの複合確度がゼロであると判断された場合、制御信号30が選択モジュール20から制御モジュールに出力され、別の複数の制御モードのうち最も高い複合確度を有する制御モードを実行する。主として、現在の制御モードをもはや維持することが許容されないことを示す離散的な地形指標を取り扱う場合に、このようなモード変更を行う。たとえば、ドライバがクルーズ制御モードを選択した場合、サブシステム制御モジュールは、MRモードおよび砂モードに関する確度を自動的にゼロに設定する。これは、車両がクルーズ制御モードに設定されている場合には、GGSモードおよびSPオフモードのみが車両サブシステムの適当なモードであるためである。RBモードを選択している際に、ドライバがクルーズ制御モードを選択すると、RBモードの確度が直ちにゼロに設定され、サブシステム制御モジュールは、その他の制御モードのうち最も高い確度を有する制御モードを直ちに選択する。

選択に際して「利用可能な」数多くの制御モードを制約するために用いられる他の指標には、動的安定化制御(DSC)のオン/オフ状態が含まれ(たとえばDSCをオフ状態に切り換えた場合、動作の自動モードを利用することはできない。)、さらにトレーラ連結状況および動力分配状況(HIレンジ/LOレンジ)が含まれる。

積分処理が中断され、現在の積分値がゼロにリセットされるのではなく、メモリに記憶される場合(状況)が数多くある。すなわち、(a)車両がバック走行する場合、(b)車両がバック走行した後に、所定距離だけフロント走行する場合、(c)車両が駐車モードにある場合、(d)車両が所定速度以下で走行している場合、(e)車両のギアが変更された場合、(f)車両のブレーキ操作がゼロスロットルで掛けられている場合、および(g)動的なブレーキ操作が行われている場合である。たとえば、上記(b)の場合、選択モジュール20は、RBモードが最も高い複合確度を有すると判断された場合、バック走行後、所定距離だけフロント走行するのを待つのではなく、フロント走行し始めた直後から積分処理を開始する。

サブシステム制御モジュール14について、より詳細に以下説明する。サブシステム制御モジュール14は、妥当性確認・不具合制御・チェック機能14a、自動モード/手動モード操作の切り換え機能(以下詳述する)、および(ヒューマン・マシン・インターフェース、HMI)モジュールによる操作の自動応答モードを支援するインターフェイスアルゴリズム機能を有する。図2において、HMIモジュール32をより詳細に示す。

サブシステム制御モジュール14は、3つの信号をHMIモジュール32に出力する。第1の出力信号は、自動モードまたは手動モードが起動していることをHMIモジュール32に通知するものである。自動モードが起動している場合、第2の出力信号36は、システムが「最適化」し、制御モードの変更が実施されている状態であることをドライバに通知するものである。第3の出力信号37は、その他の目的で、同様にHMIモジュール32に出力してもよい。

図2を参照すると、HMIモジュール32は、選択モジュール20と車両のドライバの間のインターフェースを行うものであり、選択スイッチ32a、メッセージモジュール32b、および高レベル表示機能(HLDF)モジュール32cを有する。HMIモジュール32は、車両のドライバが自動モードに優先し、必要ならば、選択スイッチ32aを介して、手動モードを選択可能にするものである。HLDFモジュール32cは、システムが(第2の出力信号36により)自動応答モードで作動しているときに、選択されたサブシステム制御モードが変更されたことをドライバに示すための複数のグラフィックインジケータ(図示せず)を有する。通常、HLDFモジュール32cは、たとえば「制御モード更新中」の指標をドライバに文字表示することができる。

車両を始動する際、制御システムは自動モードにあり、選択モジュール20は上述の確度分析を継続的に行い、種々の制御モードのうち最適なものを推定する。選択モジュール20が制御モードを自動的に調整するので、最適な制御モードを用いて、車両のサブシステムを制御することができる。ドライバは、HMIモジュール32の選択スイッチ32aを用いて、システムを手動モードに切り換えることにより、いつでも意図的に自動モードを解除することができる。

制御モジュール34からサブシステム制御モジュール14への出力信号には、動力分配設定信号54、エアサスペンション設定信号52、および別の信号がある。サブシステム制御モジュール14において、妥当性確認チェックまたは不具合検出プロセス14aを実行する。妥当性確認・不具合検出プロセス14aは、たとえば不具合があるため、サブシステムが選択された制御モードを支援することができない場合に、(たとえば警告を発する等して)適正な処置を取ることを確認するように作動する。

本発明が特に有益な点は、ブレーキペダルセンサおよびアクセルペダルセンサからの入力信号が、推定モジュールに出力され、最適制御モードを決定するために、確度計算において地形指標として用いられる点にある。これらのペダルセンサからの指標は、ブレーキペダルおよびスロットルペダルに用いられると同時に、車両が走行している地形の性状に関する指標を与えるものである。

本発明の更なる利点は、電動アシストステアリングユニット(ePASユニット)から車輪に加わる操舵力(ドライバが加える操舵力とePASユニットが加える操舵力の合力)を示す操舵力信号を、推定モジュール18に入力することにより、最も適した制御モードを決定することができる。

本発明のさらに別の新規な態様は、フロントガラス用またはヘッドライト用ワイパの状況およびこれら動作している期間を地形指標として用い、その信号を推定モジュール18および/または選択モジュール20に入力する。

選択モジュール20による複合確度計算に基づく最適制御モードの決定に貢献するために、ワイパ状況信号は、車輪操舵力信号、およびペダル位置信号のすべてをVCU10に入力する。

上記実施形態において、VCU10は、車両が走行している路面形状の性状に関係する運転状況指標に基づいて、車両サブシステム12a〜12eを制御することができ、別の実施形態では、ドライバの運転特性または運転スタイルを示す運転状態指標に基づいて車両サブシステムを制御するように構成される。この技術を実施できる具体例として、ハイブリッド車(HEV)がある。こうした車両は、牽引力を与える内燃エンジンを付加した電気モータとして作動可能な電気マシンを採用するものである。HEVは、通常、電気マシンに給電する電力を蓄電するバッテリを備える。内燃エンジンは、クラッチ機構を介してクランクシャフト一体型モータ/発電機(CIMG)に解放自在に連結される。そしてCIMGは自動変速装置に連結される。車両は、エンジンのみ、CIMGのみ、およびエンジンとCIMGの両方を用いて、トルクを変速装置に与えるように作動可能である。変速装置は、通常、車両の一対の前輪を駆動するように構成された車両の動力伝達装置(ドライブライン)に連結される。

車両がハイブリッド車両(HEV)モード、HEV禁止モード、および選択可能な電気車両専用(EV専用)モードのうちの1つのモード作動するように構成される。VCU10は、ドライバの操作パターンに基づいて修正されたエネルギ制御手法に応じて、HEVモード設定時エンジンをオン/オフに切り換えて、車両を制御するように構成される。これを実現するために、VCU10は、ドライバの操作パターンをモニタし、これを表すドライバ操作評価インデックスの値を決定する。

図3は、VCU10がドライバの操作パターンを表すドライバ評価インデックス100の値を決定するプロセスを示すフローチャートである。ここで機能ブロック等のブロックを参照するということには、1つまたはそれ以上の入力信号に応じて所定の信号を出力するための機能または動作を実行するためのソフトウェアコードを参照するということを含むものと理解すべきである。ソフトウェアコードは、メインコンピュータプログラムにより呼び出されるソフトウェアルーチンやソフトウェア機能の態様を有するものであってもよいし、別のソフトウェアルーチンやソフトウェア機能ではなく、ソフトウェアコードのフローの一部を構成するソフトウェアコードであってもよい。制御モジュールの動作手順を簡単に説明するために、機能ブロックを参照する。

ブレーキ操作パターン評価ブロック102は、回生ブレーキトルク・リクエスト信号104、および車両の4つの車輪のそれぞれのブレーキ動作を制御するように構成されたブレーキコントローラ(図示せず)からの全体ブレーキトルク・リクエスト信号106を受信するものである。ブレーキコントローラは、通常、アンチロックプレーキシステム(ABS)コントローラである。

全体ブレーキトルク・リクエスト信号106は、ドライバによる車両のブレーキペダルの踏み込み量を表す信号であり、ドライバが要求するブレーキトルクの全体的な大きさを示すものである。いくつかの実施形態では、全体ブレーキトルク・リクエスト信号106は、ブレーキペダルの踏み込みに起因するドライバ由来のブレーキ圧の増加分に呼応する信号である。また、ドライバが要求するブレーキトルクの全体的な大きさを測定する手段が有用である。

回生ブレーキトルク・リクエスト信号104は、車両が与える回生ブレーキとしてのブレーキトルクの全体的な大きさを示す信号である。回生ブレーキとは、CIMGが発電機として作用するときにCIMGが動力伝達装置(ドライブライン)に付加する負のトルクとしてのブレーキトルクを意味する。車両を減速させることにより有用なエネルギを生成する他の手段が同様に想定される。

ブレーキ操作パターン評価ブロック102は、回生ブレーキトルク・リクエスト信号104および全体ブレーキトルク・リクエスト信号106に基づいて、ブレーキ評価利得信号(図示せず)の値を計算し、その値を縦方向加速度評価ブロック108に出力するように構成される。ブレーキ操作パターン評価ブロック102は、全体ブレーキトルクにおける回生ブレーキトルクの割合が小さいほど、より強くブレーキ操作が行われたものと判断するように構成されると理解される。したがって、全体ブレーキトルクにおける回生ブレーキトルクの割合が低減するほど、ブレーキ評価利得信号の値は増大するように構成される。

縦方向加速度評価ブロック108は、ブレーキ操作パターン評価ブロック102からブレーキ評価利得信号を受信し、ブレーキコントローラから全体ブレーキトルク・リクエスト信号106を受信する。さらに縦方向加速度評価ブロック108は、車両の縦方向の加速度の値に呼応する縦方向加速度信号110、車両の動力伝達装置(ドライブライン)の一部の速度に呼応するドライブライン速度信号112、および加速ペダルの位置に呼応する加速ペダル位置信号114を受信する。縦方向加速度評価ブロック108は、縦方向加速度カウンタ・インクリメント(縦方向加速度計算増加値)をドライバ評価カウンタ機能ブロック118に出力するように構成され、カウンタ・インクリメントは、ブレーキ評価利得信号、全体ブレーキトルク・リクエスト信号106、縦方向加速度信号110、ドライブライン速度信号112、および加速ペダル位置信号114に呼応するものである。

車両のドライブラインの一部の速度を参照することには、トランスミッションの入力側シャフトの速度、トランスミッションの出力側シャフトの速度、補助ドライブシャフト等のドライブシャフトの速度、前側または後側のドライブシャフトの速度、1つまたはそれ以上の車輪の速度、またはドライブラインの他の任意の適当な部分の速度のうち、1つまたはそれ以上の速度を参照することが含まれるものと理解されたい。

同様に、横方向加速度評価ブロック120が設けられ、これは横方向加速度カウンタ・インクリメント(横方向加速度計算増加値)を計算するように構成されている。横方向加速度評価ブロック120は、ドライブライン速度信号112、および車両が受ける横方向の加速度の値に呼応する横方向加速度信号122を受信するように構成されている。横方向加速度評価ブロック120は、ドライブライン速度信号112および横方向加速度信号122に呼応する横方向加速度カウンタ・インクリメント(横方向加速度計算増加値)を計算するように構成されている。

キックダウンスイッチ評価ブロック124は、キックダウンスイッチ起動信号126に呼応するキックダウン・インクリメントまたはキックダウン操作インデックスを計算するように構成されている。キックダウンスイッチ起動信号126は、ドライバがキックダウンスイッチを起動するのに十分な量、加速ペダルを踏み込んだか否かに呼応する値である。キックダウンスイッチは、加速ペダルを一杯まで(100%)踏み込んだときに起動させるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、キックダウンスイッチは、加速ペダルを、たとえば踏み込み量の全体の95%以上のより少ない量だけ踏み込んだときに起動させる。他の実施形態も同様に有用である。

車両の速度に呼応する値を示す車両速度信号128、車両が選択したギア位置に呼応する値を示すギア位置選択信号130、および加速ペダル位置信号114は同様に、ドライバ評価カウンタ機能ブロック118に出力される。ドライバ評価カウンタ機能ブロック118は、これらの信号およびインデックス入力に呼応するドライバ評価インデックス値100の値を計算するように構成される。

ドライバ評価インデックス値100は、図1のVCU10のエネルギ制御部(図示せず)に出力される。VCU10は、ドライバ評価インデックス値100に基づき、車両のサブシステム12a〜12eのそれぞれにおいてドライバ評価インデックス値100に対して最も適した制御モードを選択するように、上述のようにサブシステム制御モジュール14を介して車両のサブシステムの操作を制御するように作動することができる。

したがって本発明に係るこの実施形態において、ドライバがその操作パターンに由来した運転スタイルで操作しているとき、制御手段は、VCU10のエネルギ制御システム内に蓄電される電力量を増加させて、バッテリの蓄電状態を維持するように構成される。

追加的に、または択一的に、ドライバの性格に適したドライブ体感を提供できるように、たとえば(車高を調整するための)エアサスペンションシステム等の車両の他のサブシステムをドライバ評価インデックス値に基づいて制御してもよい。

さらに追加的に、または択一的に、ドライバ評価インデックス値を決定するために独立して、または組み合わせて用いられた他の複数の入力信号には、エンジンの回転数、電動モータの回転数、加速ペダル位置、加速ペダルキックダウン検出器の状態、正のドライブトルク量、正のドライブトルクリクエストの変化率、操舵角、および操舵角の変化率が含まれる。

ドライバ評価インデックス値を用いて、ダイナミックモード、スポーティモード、またはエコ(経済性重視)モード等の適当な運転スタイル関連モードを決定してもよい。動的安定化制御(DSC)、トラクション制御、またはABS制御の起動の有無、路面凹凸、転がり抵抗、周辺温度、既知の速度制限、または車両の現在位置(たとえば車両がオフロード上にあると認識されるか否か)等の他の運転状態指標により適当なモードがさらに修正できることを当業者ならば理解するだろう。たとえば、時速30マイル(時速約48.28キロメートル)の速度制限を検出した場合、または凍結状態の可能性を示す周辺温度を検出した場合、ダイナミックモードを禁止するようにしてもよい。HEVタイプ以外のエンジンタイプの車両において、運転スタイルすなわちドライバの性格に応じた制御システムを実現できることが理解されよう。

上記説明した実施形態は、単に例示的なものであり、添付クレームに記載された発明の範囲を制限しようとするものではない。たとえば、上記した特定の実施形態において、種々のサブシステム制御モードのうちの最適なものを決定するために確度計算を用いたが、その他の数学的技術を採用して、各サブシステム制御モードが関連する運転条件に対して適当であることの確からしさ(尤度)を示す指標を提供してもよい。また、上記説明した実施形態を単独でまたは組み合わせて用いてもよい。

10…車両制御ユニット、12…車両サブシステム、12a…エンジン制御システム、12b…トランスミッションシステム(変速システム)、12c…ステアリングシステム、12d…ブレーキシステム、12e…サスペンションシステム、13…ライン、14…サブシステム制御モジュール、14a…妥当性確認・不具合制御・チェック機能、16…連続的なセンサ出力信号、17…離散的なセンサ出力信号、18…推定モジュール、20…選択モジュール(選択プロセッサ)、20a…確度アルゴリズム、22…地形指標出力信号、24…路面凹凸モジュール、26…凹凸出力信号、30…制御出力信号、 32…HMIモジュール、32a…選択スイッチ、32b…メッセージモジュール、32c…高レベル表示機能(HLDF)モジュール、34…制御モジュール、52…エアサスペンション設定信号、54…動力分配設定信号、 100…ドライバ評価インデックス、102…ブレーキ操作パターン評価ブロック、104…回生ブレーキトルク・リクエスト信号、106…全体ブレーキトルク・リクエスト信号、110…縦方向加速度信号、112…ドライブライン速度信号、114…加速ペダル位置信号、108…縦方向加速度評価ブロック、118…ドライバ評価カウンタ機能ブロック、112…ドライブライン速度信号、114…加速ペダル位置信号、120…横方向加速度評価ブロック、122…横方向加速度信号、124…キックダウンスイッチ評価ブロック、126…キックダウンスイッチ起動信号、128…車両速度信号、130…ギア位置選択信号。

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