ドライバ状態検知装置、ドライバ状態検知方法

申请号 JP2016102221 申请日 2016-05-23 公开(公告)号 JP2017210013A 公开(公告)日 2017-11-30
申请人 株式会社デンソー; 发明人 山高 大乗;
摘要 【課題】ドライバが運転不能な状態であるか否かを判断する基準を統一する。 【解決手段】ドライバの運転状態の検知に資するドライバの身体情報を取得し、ドライバが車両を運転可能である場合における身体情報を標準範囲として設定する。また、身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を蓄積しておき、取得した身体情報から標準範囲に戻るまでの復帰時間を、対応関係に基づいて推定する。そして、推定した復帰時間が所定の許容時間を超えていれば、ドライバが車両を運転不能な状態であると判断する。このようにドライバの身体情報から推定した復帰時間を用いれば、所定の許容時間に照らしてドライバが運転不能な状態であるか否かを一律に判断できるので、判断の基準である許容時間は個別に設定する必要がなく、基準を統一することが可能となる。 【選択図】図2
权利要求

車両(1)のドライバの運転状態を検知するドライバ状態検知装置(100)であって、 前記ドライバの運転状態の検知に資する該ドライバの身体情報を取得する身体情報取得部(101)と、 前記ドライバが前記車両を運転可能である場合における前記身体情報を標準範囲として設定する標準設定部(105)と、 前記身体情報が前記標準範囲から逸れた差分と、該標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を蓄積する対応関係蓄積部(106)と、 前記身体情報取得部によって取得された前記身体情報から前記標準範囲に戻るまでに要する復帰時間を、前記対応関係に基づいて推定する復帰時間推定部(107)と、 前記復帰時間が所定の許容時間を超えていると、前記ドライバが前記車両を運転不能な状態であると判断する判断部(108)と、 を備えるドライバ状態検知装置。請求項1に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記身体情報取得部は、前記身体情報として前記ドライバの姿勢を取得する姿勢取得部(102)を有し、 前記復帰時間推定部は、前記姿勢取得部によって取得された前記ドライバの姿勢から、前記標準範囲として設定された姿勢に戻るまでの時間を含む前記復帰時間を推定する ドライバ状態検知装置。請求項1または請求項2に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記身体情報取得部は、前記身体情報として前記ドライバの視線を取得する視線取得部(S103)を有し、 前記復帰時間推定部は、前記視線取得部によって取得された前記ドライバの視線から、前記標準範囲として設定された視線に戻るまでの時間を含む前記復帰時間を推定する ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記身体情報取得部は、前記身体情報として前記ドライバの意識レベルを取得する意識レベル取得部(S104)を有し、 前記復帰時間推定部は、前記意識レベル取得部によって取得された前記ドライバの意識レベルから、前記標準範囲として設定された意識レベルに戻るまでの時間を含む前記復帰時間を推定する ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記身体情報取得部によって取得された前記身体情報が前記標準範囲から逸れている場合に前記ドライバに対して警報を出することが可能な警報出力部(109)を備え、 前記対応関係蓄積部は、前記警報が出力された際に前記身体情報取得部によって取得された前記身体情報から前記標準範囲までの差分と、該標準範囲に戻るまでに要した時間との前記対応関係を蓄積する ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記ドライバの属性毎の平均的な前記対応関係である平均対応関係を予め記憶している平均対応関係記憶部(110)を備え、 前記対応関係蓄積部による前記対応関係の蓄積量が所定量に達していない場合には、前記復帰時間推定部は、前記ドライバの属性に応じた前記平均対応関係に基づいて前記復帰時間を推定する ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記車両は、前記ドライバが運転操作を実行する手動運転モードと、該車両が前記運転操作の少なくとも一部を代行する自動運転モードとを切り替え可能に構成されており、 前記自動運転モードでの前記許容時間を、前記手動運転モードでの前記許容時間よりも長い時間に変更する許容時間変更部(111)を備える ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記車両は、前記ドライバが運転操作を実行する手動運転モードと、該車両が運転操作の少なくとも一部を代行する自動運転モードとを切り替え可能に構成されており、 前記対応関係蓄積部は、前記自動運転モードから前記手動運転モードへの切り替えが予告された際に前記身体情報取得部によって取得された前記身体情報から前記標準範囲までの差分と、該標準範囲に戻るまでに要した時間との前記対応関係を蓄積する ドライバ状態検知装置。請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載のドライバ状態検知装置であって、 前記車両を運転することがある複数の前記ドライバを識別するドライバ識別部(112)を備え、 前記標準設定部は、前記ドライバ毎に前記標準範囲を設定し、 前記対応関係蓄積部は、前記ドライバ毎に前記対応関係を蓄積し、 前記復帰時間推定部は、前記ドライバ識別部によって識別された運転中の前記ドライバの前記対応関係に基づいて前記復帰時間を推定する ドライバ状態検知装置。車両のドライバの運転状態を検知するドライバ状態検知方法であって、 前記ドライバの運転状態の検知に資する該ドライバの身体情報を取得する身体情報取得工程(S104)と、 前記ドライバが前記車両を運転可能である場合における前記身体情報を標準範囲として設定する標準設定工程(S103)と、 前記身体情報が前記標準範囲から逸れた差分と、該標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を蓄積する対応関係蓄積工程(S111)と、 前記身体情取得工程で取得された前記身体情報から前記標準範囲に戻るまでに要する復帰時間を、前記対応関係に基づいて推定する復帰時間推定工程(S105)と、 前記復帰時間が所定の許容時間を超えていると、前記ドライバが前記車両を運転不能な状態であると判断する判断工程(S110)と、 を備えるドライバ状態検知方法。

说明书全文

本発明は、車両のドライバの運転状態を検知するドライバ状態検知装置およびドライバ状態検知方法に関する。

車両の運転中にドライバが急病を発症するなどして運転を継続できない状態(以下、運転不能状態)に陥ることがあり、運転不能状態によって起こる交通事故が従来から問題となっている。このような交通事故を未然に防ぐために、ドライバの運転状態(すなわち、運転不能状態であるか否か)を検知する技術が開発されている。 例えば、特許文献1には、ドライバの運転状態を検知するために、車両に搭載されたドライバカメラで撮影した画像からドライバの顔の向きや上体の姿勢などを認識して、ドライバの顔の向きや上体の姿勢が基準の範囲から逸脱すると、運転不能状態と判断する技術が提案されている。

特開2016−9256号公報

しかし、ドライバは車両の周囲を確認したりするためにも顔の向きや上体の姿勢を変えることがあり、また、運転不能状態におけるドライバの顔の向きや上体の姿勢には個人差があるので、ドライバの顔の向きや上体の姿勢などから運転不能状態であるか否かを一律に判断する基準の統一が困難であり、個別に基準を設定する必要があるという問題があった。

この発明は、従来技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、ドライバが運転不能状態であるか否かを判断する基準を統一する技術の提供を目的とする。

上述した課題を解決するために本発明のドライバ状態検知装置およびドライバ状態検知方法は、ドライバの運転状態の検知に資するドライバの身体情報を取得し、ドライバが車両を運転可能である場合における身体情報を標準範囲として設定する。また、身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を蓄積し、取得した身体情報から標準範囲に戻るまでの復帰時間を、対応関係に基づいて推定する。そして、推定した復帰時間が所定の許容時間を超えていると、ドライバが車両を運転不能な状態であると判断する。 尚、本発明における「標準範囲」には、所定の限度幅(例えば上限値および下限値)を持ったものだけでなく、上限値と下限値とを一致させることによって特定の値、すなわち標準値も含まれるものとする。

このようにドライバの身体情報から推定した復帰時間を用いることにより、所定の許容時間に照らしてドライバが運転不能な状態であるか否かを一律に判断することができるので、判断の基準である許容時間は個別に設定する必要がなく、基準を統一することが可能となる。

本実施例のドライバ状態検知装置100を搭載した車両1の大まかな構成を示す説明図である。

本実施例のドライバ状態検知装置100の構成を示すブロック図である。

本実施例のドライバ状態検知装置100で実行されるドライバ状態検知処理を示すフローチャートである。

本実施例の復帰時間推定処理を示すフローチャートである。

ドライバの上体の姿勢が標準範囲から逸れている例を示した説明図である。

ドライバの視線が標準範囲から逸れている例を示した説明図である。

本実施例の対応関係蓄積処理を示すフローチャートである。

以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。 A.装置構成 : 図1には、本実施例のドライバ状態検知装置100を搭載した車両1の大まかな構成が示されている。図示されるように車両1は、ドライバ状態検知装置100に加えて、ドライバカメラ5や、ハンドル反センサ6や、シート感圧センサ7や、拍動センサ8や、スピーカ10や、車両制御装置200などを備えている。

ドライバカメラ5は、車両1のダッシュボード2に設置されており、ドライバの少なくとも顔を含む上体の画像を撮影することが可能となっている。 尚、ドライバカメラ5の設置位置は、ドライバの画像を撮影可能であれば、ダッシュボード2に限られず、バックミラーや、フロントガラスの左右両側にある窓柱(いわゆるAピラー)などに設置してもよい。また、ドライバカメラ5は、1つに限られず、複数設置してもよい。

ハンドル反力センサ6は、ドライバがハンドル3を握っている場合にハンドル3の軸にかかる力を検知する。 シート感圧センサ7は、ドライバが座るシート4の座面および背もたれにかかる圧力の分布を検知する。 拍動センサ8は、ドライバの手首に装着する腕時計タイプのセンサであり、ドライバの脈拍(すなわち、心臓の拍動)を検知する。尚、拍動センサ8は、ドライバの心臓の拍動を検知できれば、手首に装着するものに限られない。例えば、シートベルトでドライバの胸に接する部分にセンサを設置して、心臓の拍動を検知してもよい。 スピーカ10は、ドライバに向けて警報を発することが可能となっており、楽曲を再生する楽曲再生装置などに接続されたものと共用であってもよい。

車両制御装置200は、車両1の運転に伴う各種制御を実行する。本実施例の車両1は、ドライバがハンドル3の操作や、ブレーキの操作や、アクセルの操作などの運転操作を実行する手動運転モードと、ドライバに代わって車両1が自律的に運転操作を実行する自動運転モードとを切り替え可能に構成されており、自動運転モードは車両制御装置200によって制御される。 尚、車両1は、必ずしも自動運転モードを備えていなくてもよく、また、車両1が運転操作の一部を代行する半自律型の自動運転モードを備えていてもよい。 ドライバ状態検知装置100は、上述したドライバカメラ5、ハンドル反力センサ6、シート感圧センサ7、および拍動センサ8から取得したドライバの姿勢や視線や意識レベルなどの身体情報に基づいて、ドライバの運転状態を検知する。そして、ドライバが車両1を運転不能な状態であると判断した場合には、その旨を車両制御装置200に向けて出力する。すると、車両制御装置200によって車両1を停止させるといった安全措置が講じられる。

図2には、本実施例のドライバ状態検知装置100の構成がブロック図で示されている。図示されるように、ドライバ状態検知装置100は、身体情報取得部101と、標準設定部105と、対応関係蓄積部106と、復帰時間推定部107と、判断部108と、警報出力部109と、平均対応関係記憶部110と、許容時間変更部111と、ドライバ識別部112とを備えている。 尚、これらの「部」101〜112は、ドライバ状態検知装置100を機能に着目して概念的に分類したものであり、それぞれが必ずしも物理的に独立して存在している必要はない。これらの「部」101〜112は、各種の機器や、電子部品、集積回路、コンピューター、コンピュータープログラム、あるいはそれらの組合せなどによって構成することができる。

身体情報取得部101は、ドライバカメラ5、ハンドル反力センサ6、シート感圧センサ7、および拍動センサ8と接続されており、ドライバの身体情報を取得する。 本実施例の身体情報取得部101は、ドライバの操作に関する身体情報として姿勢を取得する姿勢取得部102と、ドライバの認知に関する身体情報として視線を取得する視線取得部103と、ドライバの判断に関する身体情報として意識レベルを取得する意識レベル取得部104とを有している。

姿勢取得部102は、ドライバカメラ5、ハンドル反力センサ6、およびシート感圧センサ7と接続されており、ドライバカメラ5で撮影された画像からドライバの顔を含む上体の姿勢についての情報を取得したり、ハンドル反力センサ6の検知に基づいてドライバがハンドル3を握っているか否かの情報を取得したり、シート感圧センサ7の検知に基づいてシート4に対するドライバの重心の偏り(例えば、座面の左右の偏りや、背もたれにもたれかかる程度など)の情報を取得する。 視線取得部103は、ドライバカメラ5と接続されており、ドライバカメラ5で撮影された画像からドライバの目を検出し、目の特徴点の位置関係に基づいてドライバの視線の情報を取得する。ここで、目の特徴点とは、虹彩(いわゆる黒目)、瞳孔、目尻、目頭、瞼などの画像から位置を特定できる目やその周辺の器官のことを指す。 意識レベル取得部104は、ドライバカメラ5および拍動センサ8と接続されており、ドライバカメラ5で撮影された画像から検出されるドライバの瞼の開度や、拍動センサ8で検知されるドライバの脈拍に基づいて、体調不良や眠気などによって低下するドライバの意識レベルを取得する。

標準設定部105は、ドライバが車両1を運転可能である場合における身体情報を標準範囲として設定する。本実施例では、ドライバが最初に車両1を運転する際にドライバ情報を登録するようになっており、このドライバ情報の登録時にドライバが車両1の運転に適していると思う状態で身体情報取得部101によって取得された身体情報(すなわち、姿勢、視線、意識レベル)を、標準設定部105が標準範囲として設定する。 尚、標準範囲は、所定の限度幅(例えば上限値および下限値)を持ったものに限られず、上限値と下限値とを一致させた特定の値、すなわち標準値であってもよい。 また、身体情報の標準範囲の設定は、ドライバ情報の登録時に限られず、例えば、ドライバが車両1の運転中に身体情報取得部101によって取得された複数回の身体情報の平均を標準範囲として設定してもよい。

対応関係蓄積部106は、身体情報取得部101によって取得された身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を蓄積する(すなわち、対応関係を学習する)。 復帰時間推定部107は、車両1の走行中に身体情報取得部101によって取得された身体情報から標準範囲に戻るまでに要する時間(以下、復帰時間)を、対応関係蓄積部106に蓄積された対応関係に基づいて推定する。 判断部108は、復帰時間推定部107によって推定された復帰時間が所定の許容時間(例えば、2秒)以内であれば、ドライバが車両1を運転可能な状態と判断する。一方、復帰時間が許容時間を超えていれば、ドライバが車両1を運転不能な状態と判断して、その旨を車両制御装置200に向けて出力する。

警報出力部109は、身体情報取得部101によって取得された身体情報と標準範囲との差分が所定値以上である場合に、警報のデータ信号をスピーカ10に送信することによって、スピーカ10から警報を出力させることが可能となっている。 また、対応関係蓄積部106は、警報が出力された際に身体情報取得部101によって取得された身体情報について標準範囲に対する差分と、標準範囲に戻るまでに要した時間との対応関係を蓄積する。

平均対応関係記憶部110は、ドライバの属性毎の平均的な対応関係(以下、平均対応関係)を予め記憶している。 ドライバの属性としては、ドライバの年齢や性別や運転経歴や運転頻度などを例示することができる。平均対応関係は、身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を多数のドライバから収集し、各属性に分けて平均したものである。 そして、復帰時間推定部107は、対応関係蓄積部106による対応関係の蓄積量が所定量に達していなければ、ドライバの属性に応じた平均対応関係に基づいて、復帰時間を推定する。

許容時間変更部111は、車両1が手動運転モードおよび自動運転モードの何れに設定されているかに応じて、判断部108による判断の基準である許容時間を変更する。自動運転モード中は、手動運転モード中に比べてドライバがリラックスすることによって身体情報が標準範囲から逸れる差分が大きくなる傾向にあるため、自動運転モードでの許容時間を、手動運転モードでの許容時間(例えば、2秒)よりも長い時間(例えば、10秒)に変更する。 尚、許容時間変更部111は、車両制御装置200と接続されており、車両1が手動運転モード中であるか自動運転モード中であるかを把握することが可能である。 また、本実施例の車両制御装置200は、自動運転モードから手動運転モードへと切り替える前にドライバに切り替えを予告するようになっており、対応関係蓄積部106は、予告された際に身体情報取得部101によって取得された身体情報について標準範囲に対する差分と、標準範囲に戻るまでに要した時間との対応関係を蓄積する。

ドライバ識別部112は、車両1を運転することがある複数のドライバを識別する。本実施例では、ドライバが最初に車両1を運転する際にドライバ情報を登録するようになっており、ドライバ情報にはドライバの顔画像が含まれている。ドライバ識別部112は、ドライバカメラ5で撮影されたドライバの顔画像を、登録されているドライバ情報と対照することにより、車両1を運転するドライバを識別する。 尚、ドライバの識別は、顔画像を対照する方法に限られない。例えば、車両1を運転するドライバ自身の入力操作によって、登録されている複数のドライバの中から自己を選択させることとして、ドライバ識別部112が入力操作に基づいてドライバを識別してもよい。 また、標準設定部105は、ドライバ毎に身体情報の標準範囲を設定し、対応関係蓄積部106は、ドライバ毎に対応関係を蓄積する。 そして、復帰時間推定部107は、ドライバ識別部112によって識別された運転中のドライバ用の対応関係に基づいて復帰時間を推定する。

B.ドライバ状態検知処理 : 図3には、本実施例のドライバ状態検知装置100で実行されるドライバ状態検知処理のフローチャートが示されている。 このドライバ状態検知処理(S100)は、ドライバがドライバ状態検知装置100を起動すると開始される。尚、車両1のエンジン始動と同期して開始されるようにしてもよい。ドライバ状態検知処理(S100)を開始すると、まず、ドライバカメラ5で撮影されたドライバの顔画像を、登録されているドライバ情報と対照することで、車両1を運転するドライバを識別する(S101)。

続いて、識別したドライバの身体情報の標準範囲が設定されているか否かを判断する(S102)。前述したように本実施例では、予めドライバが車両1の運転に適していると思う状態で取得された身体情報を標準範囲として設定しておくようになっており、識別したドライバに対して未だ身体情報の標準範囲が設定されていない場合は(S102:no)、身体情報の標準範囲を設定する(S103)。

一方、識別したドライバに対して既に身体情報の標準範囲が設定されている場合は(S102:yes)、S103の処理を省略して、ドライバの身体情報を取得する(S104)。 前述したように本実施例では、ドライバの操作に関する身体情報として姿勢を取得したり、ドライバの認知に関する身体情報として視線を取得したり、ドライバの判断に関する身体情報として意識レベルを取得する。 そして、ドライバの身体情報を取得すると、取得した身体情報から標準範囲に戻るまでに要する復帰時間を推定する処理(以下、復帰時間推定処理)を開始する(S105)。

図4には、復帰時間推定処理のフローチャートが示されている。図示されるように復帰時間推定処理(S105)では、まず、取得した身体情報と標準範囲との差分を算出する(S121)。 例えば、ドライバの姿勢については、図5に例示されるように、ドライバカメラ5で撮影された画像から取得したドライバの顔を含む上体の姿勢(すなわち、図中に実線で示した取得姿勢)が、標準範囲として設定されている上体の姿勢(すなわち、図中に破線で示した標準姿勢)に対して移動していれば、その移動量Δを差分として算出する。

また、ドライバの視線については、図6(a)に示されるように、ドライバカメラ5で撮影された画像内の顔や目の特徴点(すなわち、虹彩、瞳孔、目尻、目頭、上下瞼など)の位置関係から眼球の回転中心を推定し、その回転中心と瞳孔(あるいは虹彩の中心)とを結ぶ線を視線として推定する。そして、車両1を運転中のドライバは視線を動かしながら安全を確認しているものの、図6(b)に示されるように、推定したドライバの視線(すなわち、図6(b)に実線の矢印で示した取得視線)が、標準範囲として設定されている視線の範囲(すなわち、図6(b)中に破線で示した標準視線範囲)に対して移動して偏っていれば、その移動量Δ(例えば、移動度)を差分として算出する。 さらに、ドライバの意識レベルは、体調不良や眠気などによって低下する場合があり、意識レベルの低下の程度は、ドライバカメラ5で撮影された画像から検出されるドライバの瞼の開度や、拍動センサ8で検知されるドライバの脈拍に表れる。そのため、取得した瞼の開度や脈拍が、標準範囲として設定されている瞼の開度や脈拍に対して変化していれば、その変化量を意識レベルの差分として算出する。

続いて、後述する対応関係蓄積処理(S111)において蓄積される、身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係の蓄積量が所定量(例えば、蓄積回数が100回)に達しているか否かを判断する(S122)。 そして、対応関係の蓄積量が所定量に達している場合は(S122:yes)、蓄積した対応関係に基づいて、復帰時間を推定する(S123)。

例えば、図5に示したように、ドライバの上体の取得姿勢が標準姿勢に対して傾いている場合は、蓄積した対応関係の中に同様の状況があれば、その状況で標準姿勢に戻るまでに要した時間を参照し、復帰時間として加算する。また、対応関係として、ドライバの上体の動きの速さ(すなわち、単位時間当たりの上体の移動量)を蓄積していれば、取得姿勢から標準姿勢までの移動量Δを上体の動きの速さで除して求めた時間を、復帰時間として加えてもよい。

また、ドライバカメラ5で撮影された画像からドライバの腕の曲がり具合を検知できる場合には、ドライバの肘が伸び切っているとハンドル3の操作が困難であることから、標準範囲として設定されている肘を少し曲げた姿勢に戻るまでの時間、すなわち姿勢を戻すまでにかかる時間を、復帰時間に加える。 また、ハンドル反力センサ6の検知に基づいてドライバがハンドル3を握っているか否かの情報を取得し、ドライバがハンドル3を握っていなければ、ハンドル3を握るまでの時間を、復帰時間に加える。 また、シート感圧センサ7の検知に基づいてシート4に対するドライバの重心の偏りの情報を取得し、ドライバが座面の左右何れかに偏って座っていたり、背もたれにもたれかかり過ぎていたりすると、標準範囲として設定されているドライバの重心の位置に戻るまでの時間を、復帰時間に加える。

また、図6に示したように、ドライバの取得視線が標準視線範囲に対して移動して偏っている場合は、蓄積した対応関係の中に同様の状況があれば、その状況で標準視線範囲に戻るまでに要した時間を参照し、復帰時間として加算する。また、対応関係として、ドライバの視線の動きの速さ(すなわち、単位時間当たりの視線の移動量)を蓄積していれば、取得視線から標準視線範囲までの移動量Δを視線の動きの速さで除して求めた時間を、復帰時間として加えてもよい。

さらに、ドライバカメラ5で撮影された画像から検出されるドライバの瞼の開度や、拍動センサ8で検知されるドライバの脈拍に基づいてドライバの意識レベルを取得し、意識レベルが低下している場合は、蓄積した対応関係の中に同様の状況があれば、その状況で標準範囲の瞼の開度や脈拍に戻るまでに要した時間を参照し、復帰時間として加算する。 ここまで、説明が煩雑になるのを避けるために、姿勢・視線・意識レベルのそれぞれの復帰にかかる時間は加算するものとして説明してきたが、意識レベルが低下していると、ドライバの動作が緩慢になる傾向があるため、取得した姿勢や視線から標準範囲に戻るまでの時間にも影響する。そこで、意識レベルの低下の程度に応じた補正係数を乗じて復帰時間に上乗せするようにしてもよく、意識レベルが低いほど、補正係数として大きい値を設定すればよい。 このように復帰時間は、複数の推定根拠の複合で推定してもよい。

このようにして復帰時間を、蓄積した対応関係に基づいて、ドライバの身体情報として姿勢、視線、意識レベルの各要素を総合して推定したら、図4の復帰時間推定処理を終了して、図3のドライバ状態検知処理に復帰する。

一方、図4のS122の判断において、対応関係の蓄積量が所定量に達していない場合は(S122:no)、ドライバの属性に応じた平均対応関係に基づいて、復帰時間を推定する。 前述したように本実施例では、ドライバの属性として年齢や性別や運転経歴や運転頻度などに分けて平均対応関係を予め記憶しており、この平均対応関係は、身体情報が標準範囲から逸れた差分と、標準範囲に戻るまでの時間との対応関係を属性毎に多数のドライバから収集し、平均したものである。尚、平均対応関係には、所定の安全係数を乗じておいてもよい。 また、ドライバが最初に車両1を運転する際に登録するドライバ情報には、ドライバの年齢や性別や運転経歴や運転頻度などの属性が含まれており、図3のS101で識別したドライバの属性に応じた平均対応関係を読み出すようになっている。

そして、平均対応関係に基づいて復帰時間を推定する場合にも、上述の蓄積した対応関係に基づいて復帰時間を推定する場合(S123)と同様に、ドライバの身体情報として姿勢(例えば、上体の傾き、腕の曲げ具合、ハンドル3の握りの有無、重心の偏り)、視線、意識レベル(すなわち、瞼の開度や脈拍)の各要素を総合して復帰時間を推定する。 例えば、平均対応関係として、ドライバの身体情報(すなわち、姿勢、視線、意識レベル)の変化の速さ(すなわち、単位時間当たりの身体情報の変化量)を記憶していれば、取得した身体情報と標準範囲との差分を、身体情報の変化の速さで除して求めた時間を、復帰時間として加算することができる。 また、意識レベルが低下していると、取得した姿勢や視線から標準範囲に戻るまでの時間が長くなる傾向にあることから、意識レベルの低下の程度に応じた補正係数を乗じて復帰時間に上乗せするようにしてもよい。 こうして平均対応関係に基づいて復帰時間を推定すると、図4の復帰時間推定処理を終了して、図3のドライバ状態検知処理に復帰する。

ドライバ状態検知処理では、復帰時間推定処理(S105)から復帰すると、車両1が自動運転モード中であるか否かを判断する(S106)。そして、自動運転モード中ではない場合、すなわち、手動運転モード中である場合は(S106:no)、手動運転モード用の許容時間(例えば、2秒)を選択する(S107)。 これに対して、自動運転モード中である場合は(S106:yes)、自動運転モード用の許容時間(例えば、10秒)を選択する(S108)。

このように車両1が自動運転モード中であるか手動運転モード中であるかに応じて許容時間を選択すると、続いて、S105で推定した復帰時間が許容時間を超えているか否かを判断する(S109)。そして、推定した復帰時間が許容時間を超えている場合は(S109:yes)、ドライバが車両1を運転不能な状態と判断して、その旨を車両制御装置200に向けて出力する(S110)。 これを受けて、車両制御装置200は安全措置を講じ、例えば、ドライバの安否を確認する音声を出力したり、車両1を強制的に停止させたり、自動運転モード中であれば、予期せぬ手動運転モードへの切り替えがあることを警告する音声を出力したり、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えを中止したりする。 一方、推定した復帰時間が許容時間以内である場合は(S109:no)、対応関係蓄積処理を開始する(S111)。

図7には、対応関係蓄積処理のフローチャートが示されている。図示されるように対応関係蓄積処理(S111)では、まず、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えがドライバに予告されたか否かを判断する(S131)。自動運転モード中は、手動運転モード中に比べてドライバがリラックスすることによって身体情報が標準範囲から逸れる可能性がある。そして、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが予告された場合は(S131:yes)、運転権限が車両1からドライバに移譲されるのに備えて、ドライバはリラックスした状態を改め、車両1の運転に適した状態(すなわち、身体情報の標準範囲)に戻ろうとする。 そこで、取得した身体情報から標準範囲に戻るまでにかかる時間(以下、戻り時間)を計測し(S132)、取得した身体情報から標準範囲までの差分と、戻り時間との対応関係を蓄積する(S133)。尚、対応関係には、所定の安全係数を乗じて蓄積してもよい。

例えば、図5に示したように、ドライバの上体の取得姿勢が標準姿勢に対して傾いている場合は、標準姿勢までの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。 また、ドライバの肘が伸び切っていれば、標準範囲として設定されている肘を少し曲げた姿勢までの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。 また、ドライバがハンドル3を握っていなければ、ハンドル3を握るまでの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。 また、ドライバが座面の左右何れかに偏って座っていたり、背もたれにもたれかかり過ぎていたりすれば、標準範囲として設定されているドライバの重心の位置までの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。

また、図6に示したように、ドライバの取得視線が標準視線範囲に対して移動して偏っている場合は、標準視線範囲までの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。 さらに、ドライバの瞼の開度や脈拍に基づいて意識レベルが低下している場合は、標準範囲の瞼の開度や脈拍に復帰するまでの戻り時間を計測し、対応関係を蓄積する。

一方、S131の判断において、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが予告されていない場合は(S131:no)、取得した身体情報と標準範囲との差分が所定値以上であるか否かを判断する(S134)。そして、差分が所定値以上である場合は(S134:yes)、警報を出力する(S135)。こうすることで、無意識にドライバの身体情報が標準範囲から逸れていた場合でも、警報を契機として、そのことに気付いたドライバは意識的に車両1の運転に適した状態(すなわち、身体情報の標準範囲)に戻ろうとする。 そこで、取得した身体情報から標準範囲に戻るまでにかかる戻り時間を計測し(S132)、取得した身体情報から標準範囲までの差分と、戻り時間との対応関係を蓄積する(S133)。

これに対して、取得した身体情報と標準範囲との差分が所定値以上ではない場合は(S134:no)、ドライバの身体情報(すなわち、姿勢、視線、意識レベル)が変化していれば、身体情報の変化の速さ(すなわち、単位時間当たりの身体情報の変化量)を対応関係として蓄積する(S136)。 こうして対応関係を蓄積したら、図7の対応関係蓄積処理を終了し、図3のドライバ状態検知処理に復帰する。そして、蓄積した対応関係は、次回以降の復帰時間推定処理(図3のS105)で復帰時間の推定に用いられる(図4のS123)。

ドライバ状態検知処理では、対応関係蓄積処理(S111)から復帰すると、車両1のエンジンが停止した否かを判断する(S112)。車両1のエンジンが停止していない場合は(S112:no)、ドライバが車両1の運転を継続していると判断して、S104の処理に戻り、ドライバの身体情報を新たに取得すると、以降の上述した一連の処理を再び実行する(S104〜S112)。 そして、処理を繰り返すうちに、車両1のエンジンが停止した場合は(S112:yes)、ドライバが車両1の運転を終了したと判断して、図3のドライバ状態検知処理を終了する。

以上に説明したように、本実施例のドライバ状態検知装置100では、車両1を運転中のドライバの身体情報を取得して、その取得した身体情報から標準範囲に戻るまでに要する復帰時間を、蓄積した対応関係に基づいて推定し、復帰時間が所定の許容時間を超えていれば、ドライバが車両1を運転不能な状態と判断するようになっている。このようにドライバの身体情報から推定した復帰時間を用いることにより、所定の許容時間に照らしてドライバが運転不能な状態であるか否かを一律に判断することができるので、判断の基準である許容時間は個別に設定する必要がなく、基準を統一することが可能となる。

また、本実施例のドライバ状態検知装置100では、ドライバの操作に関する身体情報として姿勢を取得することにより、推定する復帰時間に操作能力の低下が反映されるので、操作能力の低下によるドライバの運転不能な状態を検知することができる。 また、ドライバの認知に関する身体情報として視線を取得することにより、推定する復帰時間に認知能力の低下が反映されるので、認知能力の低下によるドライバの運転不能な状態を検知することができる。 さらに、ドライバの判断に関する身体状態として瞼の開度や脈拍に基づく意識レベルを取得することにより、推定する復帰時間に判断能力の低下が反映されるので、判断能力の低下によるドライバの運転不能な状態を検知することができる。 そして、ドライバの身体情報として姿勢、視線、意識レベルの各要素を総合して複合的に復帰時間を推定することにより、様々な状況におけるドライバの運転不能な状態を検知することが可能となる。

また、本実施例のドライバ状態検知装置100では、取得した身体情報が標準範囲から逸れている場合にドライバに対して警報を出力することが可能であり、この警報を契機として、ドライバが身体情報を標準範囲に戻すのにかかる時間を計測し、対応関係を蓄積するようになっている。これにより、蓄積した対応関係に基づいて復帰時間を推定する精度を高めることができる。 また、本実施例のドライバ状態検知装置100では、ドライバの属性毎の平均対応関係を予め記憶しており、車両1を運転中のドライバに対する対応関係の蓄積量が所定量に達していなければ、運転中のドライバの属性に応じた平均対応関係に基づいて復帰時間を推定するようになっている。そのため、ドライバに対する対応関係が十分に蓄積されていない初期の段階でも、ドライバの運転不能な状態を検知することができる。

また、本実施例の車両1は、手動運転モードと自動運転モードとを切り替え可能に構成されており、自動運転モードにおける許容時間を、手動運転モードにおける許容時間よりも長い時間に変更するようになっている。自動運転モード中は、手動運転モード中に比べてドライバがリラックスすることを前提としており、身体情報が標準範囲から逸れる差分が大きくなる傾向にあるため、自動運転モード用の許容時間に変更することにより、自動運転モードにおいてもドライバの運転不能な状態を適切に検知することができる。 また、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが予告されると、ドライバが身体情報を標準範囲に戻すのにかかる時間を計測し、対応関係を蓄積するようになっている。これにより、蓄積した対応関係に基づいて復帰時間を推定する精度を高めることができる。

また、本実施例のドライバ状態検知装置100では、車両1を運転することがある複数のドライバを識別し、ドライバ毎に身体情報の標準範囲を設定すると共に、ドライバ毎に対応関係を蓄積するようになっている。そして、識別した運転中のドライバ用の対応関係に基づいて復帰時間を推定するので、車両1を複数のドライバで共用する場合でも、各ドライバの運転不能な状態を適切に検知することができる。

以上、実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。

例えば、上述した実施例では、手動運転モード中と自動運転モード中とで許容時間を変更するようになっていた。しかし、許容時間の変更は、これに限られず、例えば、車両1の走行速度に応じて許容時間を変更してもよい。すなわち、車両1の走行速度が速いほど、安全を確保する時間的な余裕がなくなることから、許容時間を短くする(すなわち、判断の基準を厳しくする)ことで、ドライバの運転不能な状態を早めに検知するようにしてもよい。

1…車両、 3…ハンドル、 4…シート、 5…ドライバカメラ、 6…ハンドル反力センサ、 7…シート感圧センサ、 8…拍動センサ、 10…スピーカ、 100…ドライバ状態検知装置、 101…身体情報取得部、 102…姿勢取得部、 103…視線取得部、 104…意識レベル取得部、 105…標準設定部、 106…対応関係蓄積部、 107…復帰時間推定部、 108…判断部、 109…警報出力部、 110…平均対応関係記憶部、 111…許容時間変更部、 112…ドライバ識別部、 200…車両制御装置。

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