車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラム

申请号 JP2016051136 申请日 2016-03-15 公开(公告)号 JP2017165201A 公开(公告)日 2017-09-21
申请人 本田技研工業株式会社; 发明人 武田 政宣;
摘要 【課題】安全性をさらに高めることができる車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラムを提供すること。 【解決手段】自車両の周辺を走行する周辺車両を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記周辺車両の将来の複数の時刻における 位置 を推定する推定部と、前記推定部により推定された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する導出部と、前記導出部により導出された前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成する軌道生成部と、を備える車両制御装置。 【選択図】図7
权利要求

自車両の周辺を走行する周辺車両を検出する検出部と、 前記検出部により検出された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定する推定部と、 前記推定部により推定された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する導出部と、 前記導出部により導出された前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成する軌道生成部と、 を備える車両制御装置。前記導出部は、前記制約位置として、自車線において前記自車両の直前を走行する前走車両の将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前走車両後方マージンを設けた自車線前方制約位置と、前記自車線に隣接した隣接車線において前記車線変更ターゲット位置の直前を走行する前方基準車両の将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前方基準車両後方マージンを設けた隣接車線前方制約位置と、前記隣接車線において前記車線変更ターゲット位置の直後を走行する後方基準車両の将来の複数の時刻における位置に対して前方側に後方基準車両前方マージンを設けた隣接車線後方制約位置と、を導出し、 前記軌道生成部は、前記導出部により導出された前記自車線前方制約位置、前記隣接車線前方制約位置、および前記隣接車線後方制約位置に基づいて、前記目標軌道を生成する、 請求項1記載の車両制御装置。前記自車両の状態および前記周辺車両の状態のうち少なくとも一方に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部を更に備え、 前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する、 請求項1または2記載の車両制御装置。前記設定部は、前記自車両の速度、前記周辺車両の速度、および前記自車両と前記周辺車両との相対速度のうち少なくとも1つに基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項3記載の車両制御装置。前記設定部は、車両進行方向における前記自車両と前記周辺車両との間の車間距離を前記相対速度で除算することで得られる衝突余裕時間に基づいて第1マージン量を導出し、前記車両進行方向における前記自車両と前記周辺車両との間の車間距離を前記自車両の速度で除算することで得られる車頭時間に基づいて第2マージン量を導出し、前記第1マージン量および前記第2マージン量のうち少なくとも一方に基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項4記載の車両制御装置。前記設定部は、前記第1マージン量と前記第2マージン量とを比較し、前記第1マージン量と前記第2マージン量とのいずれか大きい方に基づいて、前記マージンの大きさを設定する、 請求項5記載の車両制御装置。前記設定部は、前記第1マージン量と前記第2マージン量との加重和に基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項5記載の車両制御装置。前記設定部は、自車線において前記自車両の直前を走行する前走車両を回避するために必要な前記自車両の車幅方向移動量に基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項3から7のうちいずれか1項記載の車両制御装置。前記設定部は、前記周辺車両の挙動に基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項3から8のうちいずれか1項記載の車両制御装置。前記周辺車両の車格に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部を更に備え、 前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する、 請求項1から9のうちいずれか1項記載の車両制御装置。前記自車両が走行する環境に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部を更に備え、 前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する、 請求項1から10のうちいずれか1項記載の車両制御装置。前記設定部は、自車線における平均車速と、前記自車線に隣接した隣接車線における平均車速との大小関係に基づいて前記マージンの大きさを設定する、 請求項11記載の車両制御装置。車載コンピュータが、 自車両の周辺を走行する周辺車両を検出し、 前記検出された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定し、 前記推定された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出し、 前記導出された前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成する、 車両制御方法。車載コンピュータに、 自車両の周辺を走行する周辺車両を検出させ、 前記検出させた前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定させ、 前記推定させた前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出させ、 前記導出させた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成させる、 車両制御プログラム。

说明书全文

本発明は、車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラムに関する。

従来、車線変更の支援を開始する支援開始部と、自車と他車の相対距離及び相対速度を検出する検出部と、当該相対距離及び相対速度に基づいて自車が車線変更した時の衝突危険度を他車に対して導出する導出部と、相対距離、相対速度及び衝突危険度に基づいて車線変更の可否を判断する第1の判断部と、車線変更できない場合、相対距離及び相対速度に基づいて車線変更する目標スペースを決定する決定部と、目標スペースに車線変更できるスペースがあるか否かを判断する第2の判断部と、スペースがない場合、車線変更待機位置へ向けて目標速度を設定し、スペースがある場合、車線変更可能位置へ向けて目標速度を設定する設定部と、自車の速度が目標速度となるように制御する制御部を備える走行支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。

特開2009−78735号公報

従来の技術によっても、安全な車線変更は実現し得る。ただし、車両の安全性は高いほど望ましい。ここで、車線変更の目標軌道の生成において、車両の安全性をさらに高めることができる場合があった。

本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、安全性をさらに高めることができる車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラムを提供することを目的の一つとする。

請求項1記載の発明は、自車両の周辺を走行する周辺車両を検出する検出部(DT)と、前記検出部により検出された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定する推定部(113)と、前記推定部により推定された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出する導出部(115)と、前記導出部により導出された前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成する軌道生成部(116)と、を備える車両制御装置(100)である。

請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記導出部は、前記制約位置として、自車線において前記自車両の直前を走行する前走車両の将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前走車両後方マージンを設けた自車線前方制約位置と、前記自車線に隣接した隣接車線において前記車線変更ターゲット位置の直前を走行する前方基準車両の将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前方基準車両後方マージンを設けた隣接車線前方制約位置と、前記隣接車線において前記車線変更ターゲット位置の直後を走行する後方基準車両の将来の複数の時刻における位置に対して前方側に後方基準車両前方マージンを設けた隣接車線後方制約位置と、を導出し、前記軌道生成部は、前記導出部により導出された前記自車線前方制約位置、前記隣接車線前方制約位置、および前記隣接車線後方制約位置に基づいて前記目標軌道を生成するものである。

請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記自車両の状態および前記周辺車両の状態のうち少なくとも一方に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部(114)を更に備え、前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出するものである。

請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記設定部は、前記自車両の速度、前記周辺車両の速度、および前記自車両と前記周辺車両との相対速度のうち少なくとも1つに基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記設定部は、車両進行方向における前記自車両と前記周辺車両との間の車間距離を前記相対速度で除算することで得られる衝突余裕時間に基づいて第1マージン量を導出し、前記車両進行方向における前記自車両と前記周辺車両との間の車間距離を前記自車両の速度で除算することで得られる車頭時間に基づいて第2マージン量を導出し、前記第1マージン量および前記第2マージン量のうち少なくとも一方に基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記設定部は、前記第1マージン量と前記第2マージン量とを比較し、前記第1マージン量と前記第2マージン量とのいずれか大きい方に基づいて、前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記設定部は、前記第1マージン量と前記第2マージン量との加重和に基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項8記載の発明は、請求項3から7のうちいずれか1項記載の発明において、前記設定部は、自車線において前記自車両の直前を走行する前走車両を回避するために必要な前記自車両の車幅方向移動量に基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項9記載の発明は、請求項3から8のうちいずれか1項記載の発明において、前記設定部は、前記周辺車両の挙動に基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項10記載の発明は、請求項1から9のうちいずれか1項記載の発明において、前記周辺車両の車格に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部(114)を更に備え、前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出するものである。

請求項11記載の発明は、請求項1から10のうちいずれか1項記載の発明において、前記自車両が走行する環境に基づいて前記マージンの大きさを設定する設定部(114)を更に備え、前記導出部は、前記設定部により設定された大きさの前記マージンを設けることで、前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出するものである。

請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記設定部は、自車線における平均車速と、前記自車線に隣接した隣接車線における平均車速との大小関係に基づいて前記マージンの大きさを設定するものである。

請求項13記載の発明は、車載コンピュータが、自車両の周辺を走行する周辺車両を検出し、前記検出された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定し、前記推定された前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出し、前記導出された前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成する、車両制御方法である。

請求項14記載の発明は、車載コンピュータに、自車両の周辺を走行する周辺車両を検出させ、前記検出させた前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置を推定させ、前記推定させた前記周辺車両の将来の複数の時刻における位置に対して前記自車両の車線変更ターゲット位置に干渉する側にマージンを設けた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置を導出させ、前記導出させた前記自車両の将来の複数の時刻における制約位置に基づいて、車線変更するための目標軌道を生成させる、車両制御プログラムである。

請求項1、13、および14記載の発明によれば、将来の複数の時刻における周辺車両の位置に対してマージンを設けた制約位置に基づいて、車線変更の目標軌道が生成される。このため、将来の複数の時刻においてより余裕を持った目標軌道が生成され、車線変更の安全性をさらに高めることができる。

請求項2記載の発明によれば、自車線における前走車両の後方と、隣接車線における前方基準車両の後方と、隣接車線における後方基準車両の前方とに適切な制約位置が設定される。このため、自車線および隣接車線を走行する種々の周辺車両に対してより余裕を持った目標軌道が生成され、車線変更の安全性をさらに高めることができる。

請求項3から12記載の発明によれば、自車両の状態(速度、加速度等)、周辺車両の状態(速度、加速度、挙動等)、周辺車両の大きさ(車両幅、車格等)、および自車両が走行する環境(レーン種別、道路勾配、カーブの曲率、天候状態、路面状態、視界状態等)のうち少なくとも1つに基づいてマージンの大きさが設定される。これにより、各種の状況に応じてマージンの大きさが柔軟に設定され、より安全な目標軌道が生成される。

第1の実施形態に係る車両制御装置100が搭載された車両(自車両M)の有する構成要素を示す図である。

第1の実施形態に係る車両制御装置100を中心とした自車両Mの機能構成図である。

自車位置認識部104により走行車線に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。

ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。

第1の実施形態に係る車線変更制御部110が軌道生成を行うための処理の流れの一例を示すフローチャートである。

第1の実施形態に係るターゲット位置設定部111がターゲット位置TAを設定する様子を示す図である。

現時刻および将来の複数の時刻における自車両Mと周辺車両mA,mB,mCとの関係の一例を示す図である。

衝突余裕時間TTC、車頭時間THW、および車幅方向移動量と、それら要素に基づいて導出されるマージン量との関係の一例を示す図である。

第1の実施形態に係るマージン量設定部114が前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する流れの一例を示すフローチャートである。

第2の実施形態に係る車両制御装置100が認識する自車両Mの基準点Pを示す平面図である。

第2の実施形態の第1変形例に係る車両制御装置100が認識する自車両Mの基準点P1,P2を示す平面図である。

第2の実施形態の第1変形例に係る現時刻および将来の複数の時刻における自車両Mの基準点P1,P2と周辺車両mA,mB,mCとの関係の一例を示す図である。

第2の実施形態の第2変形例に係る車両制御装置100が認識する自車両Mの基準点P1,P2,P3,P4を示す平面図である。

以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。

<第1の実施形態> [車両構成] 図1は、第1の実施形態に係る車両制御装置100が搭載された車両(以下、自車両Mと称する)が有する構成要素を示す図である。車両制御装置100が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。また、上述した電気自動車は、例えば、二次電池、燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。

図1に示すように、車両には、ファインダ20−1から20−7、レーダ30−1から30−6、およびカメラ40等のセンサと、ナビゲーション装置50と、上述した車両制御装置100とが搭載される。ファインダ20−1から20−7は、例えば、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。例えば、ファインダ20−1は、フロントグリル等に取り付けられ、ファインダ20−2および20−3は、車体の側面やドアミラー、前照灯内部、側方灯付近等に取り付けられる。ファインダ20−4は、トランクリッド等に取り付けられ、ファインダ20−5および20−6は、車体の側面や尾灯内部等に取り付けられる。上述したファインダ20−1から20−6は、例えば、水平方向に関して150度程度の検出範囲を有している。また、ファインダ20−7は、ルーフ等に取り付けられる。ファインダ20−7は、例えば、水平方向に関して360度の検出範囲を有している。

上述したレーダ30−1および30−4は、例えば、奥行き方向の検出範囲が他のレーダよりも広い長距離ミリ波レーダである。また、レーダ30−2、30−3、30−5、30−6は、レーダ30−1および30−4よりも奥行き方向の検出範囲が狭い中距離ミリ波レーダである。以下、ファインダ20−1から20−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ20」と記載し、レーダ30−1から30−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ30」と記載する。レーダ30は、例えば、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体を検出する。

カメラ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ40は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ40は、例えば周期的に繰り返し自車両Mの前方を撮像する。

なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。

図2は、第1の実施形態に係る車両制御装置100を中心とした自車両Mの機能構成図である。自車両Mには、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40の他、通信装置45と、ナビゲーション装置50と、車両センサ60と、操作デバイス70と、操作検出センサ72と、切替スイッチ80と、走行駆動力出力装置90と、ステアリング装置92と、ブレーキ装置94と、車両制御装置100とが搭載される。

通信装置45は、アンテナと、アンテナに電気的に接続された無線回路とを含む。例えば、通信装置45は、通信衛星または道路に設置された通信装置との間で無線通信を行い、天候状態、路面状態、視界状態のような自車両Mが走行する環境に関する情報を取得する。なお、通信装置45の全部または一部は、例えば、ユーザが保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の一機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御装置100との間で無線または有線の通信によって情報の送受信が行われる。

ナビゲーション装置50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報(ナビ地図)、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置50は、GNSS受信機によって自車両Mの位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。ナビゲーション装置50により導出された経路は、経路情報134として記憶部130に格納される。自車両Mの位置は、車両センサ60の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、車両制御装置100が手動運転モードを実行している際に、目的地に至る経路について音声やナビ表示によって案内を行う。なお、自車両Mの位置を特定するための構成は、ナビゲーション装置50とは独立して設けられてもよい。また、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の一機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御装置100との間で無線または有線の通信によって情報の送受信が行われる。

車両センサ60は、自車両Mの速度(車速)を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。

操作デバイス70は、例えば、アクセルペダルやステアリングホイール、ブレーキペダル、シフトレバー等を含む。操作デバイス70には、運転者による操作の有無や量を検出する操作検出センサ72が取り付けられている。操作検出センサ72は、例えば、アクセル開度センサ、ステアリングトルクセンサ、ブレーキセンサ、シフト位置センサ等を含む。操作検出センサ72は、検出結果としてのアクセル開度、ステアリングトルク、ブレーキ踏量、シフト位置等を走行制御部120に出力する。なお、これに代えて、操作検出センサ72の検出結果が、直接的に走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、またはブレーキ装置94に出力されてもよい。

切替スイッチ80は、運転者等によって操作されるスイッチである。切替スイッチ80は、機械式のスイッチであってもよいし、ナビゲーション装置50のタッチパネル式表示装置に設けられるGUI(Graphical User Interface)スイッチであってもよい。切替スイッチ80は、運転者が手動で運転する手動運転モードと、運転者が操作を行わない(或いは手動運転モードに比して操作量が小さい、または操作頻度が低い)状態で走行する自動運転モードとの切替指示を受け付け、走行制御部120による制御モードを自動運転モードまたは手動運転モードのいずれか一方に指定する制御モード指定信号を生成する。

走行駆動力出力装置90は、例えば、エンジンと走行用モータのうち一方または双方を含む。走行駆動力出力装置90がエンジンのみを有する場合、走行駆動力出力装置90は更にエンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)を含む。エンジンECUは、例えば、走行制御部120から入力される情報に従い、スロットル開度やシフト段等を調整することで、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を制御する。走行駆動力出力装置90が走行用モータのみを有する場合、走行駆動力出力装置90は、走行用モータを駆動するモータECUを含む。モータECUは、例えば、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整することで、車両が走行するための走行駆動力を制御する。走行駆動力出力装置90がエンジンと走行用モータの双方を含む場合は、エンジンECUとモータECUの双方が協調して走行駆動力を制御する。

ステアリング装置92は、例えば、ラックアンドピニオン機能等に力を作用させて転輪の向きを変更可能な電動モータ、ステアリング操舵角(または実舵角)を検出する操舵角センサ等を備える。ステアリング装置92は、走行制御部120から入力される情報に従い、電動モータを駆動する。

ブレーキ装置94は、ブレーキペダルになされたブレーキ操作が油圧として伝達されるマスターシリンダー、ブレーキ液を蓄えるリザーバータンク、各車輪に出力される制動力を調節するブレーキアクチュエータ等を備える。ブレーキ装置94は、走行制御部120から入力される情報に従い、所望の大きさのブレーキトルクが各車輪に出力されるように、ブレーキアクチュエータ等を制御する。なお、ブレーキ装置94は、上記説明した油圧により作動する電子制御式ブレーキ装置に限らず、電動アクチュエータにより作動する電子制御式ブレーキ装置であってもよい。

[車両制御装置] 以下、車両制御装置100について説明する。車両制御装置100は、例えば、外界認識部102と、自車位置認識部104と、行動計画生成部106と、車線変更制御部110と、走行制御部120と、制御切替部122と、記憶部130とを備える。外界認識部102、自車位置認識部104、行動計画生成部106、車線変更制御部110、走行制御部120、および制御切替部122のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、記憶部130は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。前記プログラムは、予め記憶部130に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。また、前記プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部130にインストールされてもよい。

外界認識部102は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等の出力に基づいて、周辺車両の状態(位置、速度、加速度、挙動等)および周辺車両の大きさ(車両幅や車格等)を認識する。本実施形態における周辺車両とは、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「挙動」とは、周辺車両が車線変更をしているか否か(あるいはしようとしているか否か)を含んでよい。例えば、外界認識部102は、周辺車両の位置の履歴や、自車線と隣接車線との間の境界に対する周辺車両の位置、または方向指示器の作動状態等に基づいて、周辺車両が車線変更をしているか否か(あるいはしようとしているか否か)を認識する。また、周辺車両の「挙動」とは、周辺車両の走行状態が安定しているか否かを含んでもよい。走行状態が安定しているとは、周辺車両の走行が車幅方向にふらふらしていない、頻繁にブレーキを踏んでいないこと等を意味する。 また、外界認識部102は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等の出力に基づいて、自車線を走行する周辺車両の平均車速、および隣接車線を走行する周辺車両の平均車速を検出してもよい。また、外界認識部102は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。以下、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40と、外界認識部102とを合わせたものを、周辺車両を検出する「検出部DT」と称する。検出部DTは、更に、周辺車両との通信によって周辺車両の状態(位置、速度、加速度、挙動等)および周辺車両の大きさ(車両幅や車格等)を認識してもよい。

また、外界認識部102は、例えば通信装置45を通じて取得する情報に基づいて、自車両Mが走行する環境の状態を認識する。例えば、外界認識部102は、通信装置45を通じて取得する情報に基づき、天候状態(雨やの状態等)、路面状態(路面の濡れや凍結の状態等)、視界状態(霧やスモッグの状態等)等を認識する。なお、外界認識部102は、例えばカメラ40等の出力に基づいて、天候状態、路面状態、視界状態等を認識してもよい。本実施形態の検出部DTは、自車両Mが走行する環境の状態を検出する検出部でもある。通信装置45は、検出部DTの一部を構成する。

自車位置認識部104は、記憶部130に格納された地図情報132と、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報とに基づいて、自車両Mの状態(位置、速度、加速度等)を認識する。例えば、自車位置認識部104は、自車両Mの重心やコーナー等の代表点を自車両Mの位置として認識してもよいし、または自車両Mの輪郭で表現された領域を自車両Mの位置として認識してもよい。また、自車位置認識部104は、上記各種機器の情報に基づいて、自車両Mが走行している車線(自車線)、および、自車線に対する自車両Mの相対位置を認識する。地図情報132は、例えば、ナビゲーション装置50が有するナビ地図よりも高精度な地図情報であり、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。図3は、自車位置認識部104により走行車線に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。自車位置認識部104は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向に走行車線中央CLを連ねた線に対して自車両Mがなす角度θを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部104は、走行車線のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。

例えば、記憶部130に格納された地図情報132(あるいはナビゲーション装置50が有するナビ地図)は、車線のレーン種別(走行車線、追越車線、登板車線等の種別)、道路勾配、およびカーブの曲率等の情報を含んでもよい。自車位置認識部104は、例えば地図情報132(あるいはナビゲーション装置50が有するナビ地図)と、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報とに基づいて、自車両Mが走行する車線のレーン種別、道路勾配、およびカーブの曲率等を認識してもよい。自車位置認識部104は、自車両Mが走行する環境の状態を検出する検出部DTの一部を構成する。

行動計画生成部106は、所定の区間における行動計画を生成する。所定の区間とは、例えば、ナビゲーション装置50により導出された経路のうち、高速道路等の有料道路を通る区間である。なお、これに限らず、行動計画生成部106は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。

行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。イベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに前走車両を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、車線合流ポイントにおいて自車両Mを加減速させ、走行車線を変更させる合流イベント等が含まれる。例えば、有料道路(例えば高速道路等)においてジャンクション(分岐点)が存在する場合、車両制御装置100は、自動運転モードにおいて、自車両Mが目的地の方向に進行するように車線を変更したり、車線を維持したりする必要がある。従って、行動計画生成部106は、地図情報132を参照して経路上にジャンクションが存在していると判明した場合、現在の自車両Mの位置(座標)から当該ジャンクションの位置(座標)までの間に、目的地の方向に進行することができる所望の車線に車線変更するための車線変更イベントを設定する。

図4は、ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。図示するように、行動計画生成部106は、目的地までの経路に従って走行した場合に生じる場面を分類し、個々の場面に即したイベントが実行されるように行動計画を生成する。なお、行動計画生成部106は、自車両Mの状況変化に応じて動的に行動計画を変更してもよい。

[車線変更イベント] 車線変更制御部110は、行動計画生成部106により作成された行動計画に含まれる車線変更イベントが実施される際の制御を行う。図2に示すように、車線変更制御部110は、例えば、ターゲット位置設定部111と、車線変更可否判定部112と、他車位置変化推定部113と、マージン量設定部114と、制約位置導出部115と、軌道生成部116とを備える。なお、車線変更制御部110は、分岐イベントや合流イベントが実施される際に、以下に述べる処理を行ってもよい。

以下、車線変更の軌道生成を行うための処理について、フローチャートを参照しながら説明する。図5は、車線変更の軌道生成を行うための処理の流れの一例を示すフローチャートである。

(ターゲット位置の設定) まず、ターゲット位置設定部111が、車線変更のターゲット位置(車線変更ターゲット位置)を設定する(ステップS200)。例えば、ターゲット位置設定部111は、検出部DTにより検出された周辺車両の位置を参照し、自車線に隣接する隣接車線を走行する周辺車両に対する相対位置として、車線変更のターゲット位置(以下、単にターゲット位置と称する)を設定する。

図6は、ターゲット位置設定部111がターゲット位置TAを設定する様子を示す図である。図中、L1は、自車両Mが走行する自車線であり、L2は、自車線L1に隣接する隣接車線であり、dは、車両進行方向である。以下の説明では、行動計画によって自車線L1の右側に隣接する隣接車線L2に車線変更することが指示されているものとする。また図中、mAは、自車線L1において自車両Mの直前を走行する前走車両であり、mBは、隣接車線L2においてターゲット位置TAの直前を走行する前方基準車両であり、mCは、隣接車線L2においてターゲット位置TAの直後を走行する後方基準車両である。前走車両mA、前方基準車両mB、および後方基準車両mCの各々は、周辺車両の一例である。 例えば、ターゲット位置設定部111は、隣接車線L2を走行し、且つ自車両Mよりも前方を走行する車両(前方基準車両mB)と、隣接車線L2を走行し、且つ自車両Mよりも後方を走行する車両(後方基準車両mC)とを特定し、これら車両の間にターゲット位置TAを設定する。なお上記に代えて、前方基準車両mBは、自車両Mよりも後方を走行する車両でもよい。

(車線変更の可否判断) 次に、車線変更可否判定部112は、例えば、自車両Mを車線変更先の隣接車線L2に射影し、前後に若干の余裕距離を持たせた禁止領域RAを設定する。例えば、禁止領域RAは、車幅方向において隣接車線L2の一端から他端まで延在する領域として設定される。そして、車線変更可否判定部112は、禁止領域RA内に周辺車両の一部が存在するか否かを判定する(ステップS202)。車線変更可否判定部112は、禁止領域RA内に周辺車両の一部が存在する場合(ステップS202:YES)、車線変更の処理を一旦中止する。一方で、禁止領域RA内に周辺車両が存在しない場合(ステップS202:NO)、以下に述べる車線変更の処理が行われる。なお、車線変更可否判定部112は、ステップS202の判定において、更に、自車両Mを車線変更先に射影した仮想的な前端部と前方基準車両mBとの間の衝突余裕時間TTC(B)、並びに自車両Mを車線変更先に射影した仮想的な後端部と後方基準車両mCとの間の衝突余裕時間TTC(C)が共に予め設定される条件を満たすか否かを判定し、衝突余裕時間TTC(B)および衝突余裕時間TTC(C)のうち少なくともいずれか一方が前記条件を満たさない場合は車線変更の処理を一旦中止してもよい。衝突余裕時間TTCについては後述する。

(周辺車両の位置変化の推定) 次に、他車位置変化推定部113が、前走車両mA、前方基準車両mB、および後方基準車両mCの将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置を推定する(ステップS204)。なお以下の説明では、前走車両mA、前方基準車両mB、および後方基準車両mCを纏めて、周辺車両mA,mB,mCと称する場合がある。

周辺車両mA,mB,mCの将来の複数の時刻における位置は、例えば、それら周辺車両mA,mB,mCが現在の速度を保ったまま走行すると仮定した定速度モデル、またはそれら周辺車両mA,mB,mCが現在の加速度を保ったまま走行すると仮定した定加速度モデル、その他、種々のモデルに基づいて推定することができる。また、他車位置変化推定部113は、周辺車両mA,mB,mCの操舵角について考慮してもよいし、操舵角を考慮せず、現在の走行車線を維持したまま走行すると仮定して位置変化を推定してもよい。以下の説明では、周辺車両mA,mB,mCは、現在の速度を保ったまま、走行車線を維持して走行すると仮定して位置変化を推定するものとする。

図7は、車線変更イベントが開始される時刻(以下、現時刻と称する)(t0)および将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における自車両Mと周辺車両mA,mB,mCとの関係の一例を示す図である。図中、縦軸は、現時刻(t0)の自車両Mの位置を基準とした車両進行方向dにおける走行距離xを示し、横軸は、現時刻(t0)からの経過時間tを示している。

ここで、破線eAは、他車位置変化推定部113により推定された前走車両mAの将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置を示す。同様に、破線eBは、他車位置変化推定部113により推定された前方基準車両mBの将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置を示す。破線eCは、他車位置変化推定部113により推定された後方基準車両mCの将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置を示す。なお、図7中では、周辺車両mA,mB,mCの将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置は、破線eA,eB,eCとして模式的に示されるが、実際には破線eA,eB,eC上にある複数の点の集合体である。

(マージンの設定) 本実施形態では、制約位置導出部115が、他車位置変化推定部113により推定された周辺車両mA,mB,mCの将来の複数の時刻における位置に対して、ターゲット位置TAに干渉する側に車間距離の余裕としてのマージンMGを設定する。言い換えると、マージンMGは、上述の破線eA,eB,eCに対して、自車両Mの存在可能領域を狭めるマージンである。そして、制約位置導出部115は、周辺車両mA,mB,mCの将来の複数の時刻における位置に対してマージンMGを設けた領域を、将来の複数の時刻における自車両Mの存在可能領域として導出する。

例えば、マージンMGは、図7に示すように、前走車両mAの後方側に設定される前走車両後方マージンMGA、前方基準車両mBの後方側に設定される前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両mCの前方側に設定される後方基準車両前方マージンMGCを含む。前走車両後方マージンMGAは、自車線L1において、自車両Mと前走車両mAとの間に設定されるマージンである。例えば、前走車両後方マージンMGAは、前走車両mAの後方に自車両Mが最大接近可能な距離分のマージンである。前方基準車両後方マージンMGBは、隣接車線L2において、ターゲット位置TAと前方基準車両mBとの間に設定されるマージンである。例えば、前方基準車両後方マージンMGBは、前方基準車両mBの後方に自車両Mが追従して走行する際に前方基準車両mBと自車両Mとの間で適切な車間距離となるマージンである。後方基準車両前方マージンMGCは、隣接車線L2において、ターゲット位置TAと後方基準車両mCとの間に設定されるマージンである。例えば、後方基準車両前方マージンMGCは、後方基準車両mCの前方に自車両Mが最大接近可能な距離分のマージンである。

(マージン量の設定) マージンMGの設定の流れについてより詳しく述べると、まず、マージン量設定部114が、マージンMGの大きさを設定する(ステップS206)。なお、マージンMGの大きさを設定するステップS206は、ステップS204と略同時に行われてもよく、またはステップS204よりも先に行われてもよい。

マージン量設定部114は、検出部DTにより検出された自車両Mの状況(速度、加速度等)、周辺車両mA,mB,mCの状況(速度、加速度、挙動等)、周辺車両mA,mB,mCの大きさ(車両幅や車格等)、および自車両Mが走行する環境(レーン種別、道路勾配、カーブの曲率、天候状態、路面状態、視界状態等)のうち少なくとも1つに基づいて、マージンMGの大きさを設定する。

ここではまず、前走車両後方マージンMGAの大きさの設定方法を詳しく説明する。 本実施形態のマージン量設定部114は、例えば、自車両Mの速度、前走車両mAの速度、および自車両Mと前走車両mAの相対速度のうち少なくとも1つに基づいて、前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する。例えば、マージン量設定部114は、前走車両mAに対する自車両Mの衝突余裕時間TTC(Time-To Collision)および前走車両mAに対する自車両Mの車頭時間THW(Time-Head Way)のいずれか、またはそれらの組み合わせに基づいて前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する。なお、衝突余裕時間TTCとは、車両進行方向dにおける自車両Mと前走車両mAとの間の車間距離を、自車両Mと前走車両mAとの相対速度で除算することで得られる値である。一方で、車頭時間THWとは、車両進行方向dにおける自車両Mと前走車両mAとの間の車間距離を、自車両Mの速度で除算することで得られる値である。

また、マージン量設定部114は、前走車両mAを回避して車線変更するために必要な自車両Mの車幅方向移動量に基づいて前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する。なお本願で言う、ある要素に基づいてマージンの大きさを設定するとは、その要素のみに基づいてマージンの大きさを設定する場合に限られず、その要素に加えて別の要素にも基づいてマージンの大きさを設定することを意味する。例えば、「車幅方向移動量に基づいて前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する」とは、車幅方向移動量のみに基づいて前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する場合に限られず、車幅方向移動量とその他の要素(例えば衝突余裕時間TTCや車頭時間THW等)を総合的に考慮してマージンMGAの大きさを設定する場合を含む。なおこれは、マージンMGの設定に関わる他の要素についても同様である。

図8は、衝突余裕時間TTC、車頭時間THW、および車幅方向移動量と、それら要素に基づいて導出されるマージン量との関係の一例を示す図である。 図8中の(a)は、衝突余裕時間TTCと、衝突余裕時間TTCに基づいて導出されるマージン量(以下、第1マージン量と称する)との関係の一例を示す。図8中の(a)に示すように、例えば、衝突余裕時間TTCが大きくなると、第1マージン量は小さくてよい。 図8中の(b)は、車頭時間THWと、車頭時間THWに基づいて導出されるマージン量(以下、第2マージン量と称する)との関係の一例を示す。図8中の(b)に示すように、例えば、車頭時間THWが大きくなると、第2マージン量は小さくてよい。 図8中の(c)は、前走車両mAを回避して車線変更するために必要な自車両Mの車幅方向移動量に相当する車幅方向移動残り時間RTW(Remaining Time-moving in Width direction)と、車幅方向移動残り時間RTWに基づいて導出されるマージン量(以下、第3マージン量と称する)との関係の一例を示す。なお、車幅方向移動残り時間RTWは、前走車両mAを回避するために必要な自車両Mの車幅方向移動の残り時間である。例えば、車幅方向移動残り時間RTWは、検出部DTにより検出された前走車両mAの車両幅、車幅方向における前走車両mAと自車両Mとの相対位置、および車幅方向における前走車両mAと自車両Mとの相対速度等に基づいて導出される。図8中の(c)に示すように、例えば、車幅方向移動残り時間RTWがある程度大きい場合、第3マージン量は予め設定される一定の値となる。 なお、第1マージン量、第2マージン量、および第3マージン量は、図8に示す例に限定されず、種々の関数または予め設定されるテーブルに基づいて導出されてもよい。

図9は、前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する流れの一例を示すフローチャートである。図9に示すように、まず、マージン量設定部114は、衝突余裕時間TTCに基づいて、第1マージン量を導出する(ステップS300)。例えば、マージン量設定部114は、図8中の(a)に示すような関数を用いて、第1マージン量を導出する。次に、マージン量設定部114は、車頭時間THWに基づいて、第2マージン量を導出する(ステップS302)。例えば、マージン量設定部114は、図8中の(b)に示すような関数を用いて、第2マージン量を導出する。次に、マージン量設定部114は、車幅方向移動残り時間RTWに基づいて、第3マージン量を導出する(ステップS304)。例えば、マージン量設定部114は、図8中の(c)に示すような関数を用いて、第3マージン量を導出する。なお、ステップS300、ステップS302、およびステップS304は、互いに略同時に行われてもよく、いずれが先に行われてもよい。

ここで、本実施形態のマージン量設定部114は、第1マージン量と第2マージン量とを比較し、第1マージン量と第2マージン量とのいずれか大きい方に基づいて前走車両後方マージンMGAの大きさを設定する。 詳しく述べると、まず、マージン量設定部114は、導出された第1マージン量と第2マージン量とを比較する(ステップS306)。そして、マージン量設定部114は、第1マージン量が第2マージン量よりも大きい場合(ステップS306:YES)、第1マージン量に第3マージン量を加算し、第1マージン量と第3マージン量との合計値を前走車両後方マージンMGAの基本値として設定する(ステップS308)。一方で、マージン量設定部114は、第1マージン量が第2マージン量以下の場合(ステップS306:NO)、第2マージン量に第3マージン量を加算し、第2マージン量と第3マージン量との合計値を前走車両後方マージンMGAの基本値として導出する(ステップS310)。 すなわち、第1マージン量をf(TTC)、第2マージン量をf(THW)、第3マージン量をf(RTW)とすると、前走車両後方マージンMGAの基本値BVは、式(1)のように表される。

さらに、本実施形態のマージン量設定部114は、導出された前走車両後方マージンMGAの基本値を、検出部DTにより検出された周辺車両mA,mB,mCの状況(挙動等)、周辺車両mA,mB,mCの大きさ(車格等)、および自車両Mが走行する環境(レーン種別、道路勾配、カーブの曲率、天候状態、路面状態、視界状態等)のうち少なくとも1つに基づいて補正する(ステップS312)。

例えば、マージン量設定部114は、検出部DTにより検出された前走車両mAの挙動に基づいて、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。例えば、マージン量設定部114は、前走車両mAの走行状態が安定していない場合(車幅方向の移動の頻度が予め設定された閾値よりも多い場合、またはブレーキ動作の頻度(減速の頻度)が予め設定された閾値よりも多い場合等)に、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。

更に、マージン量設定部114は、検出部DTにより検出された前走車両mAの車格が予め設定された所定サイズに比べて大きい場合、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。これにより、車格が大きな前走車両mAに接近し過ぎることにより自車両Mの乗員が圧迫感を感じることを抑制することができる。なお、マージン量設定部114は、例えば記憶部130に格納された自車両Mの車格の情報に基づき、自車両Mの車格が所定サイズに比べて大きい場合、前走車両後方マージンMGAを比較的大きく設定するようにしてもよい。これにより、前走車両mAの乗員が圧迫感を感じることを抑制することができる。

更に、マージン量設定部114は、検出部DTにより検出された自車線L1を走行する車両の平均車速と隣接車線L2を走行する車両の平均車速との大小関係(または検出部DTにより検出された自車線L1および隣接車線L2のレーン種別)に基づいて、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。例えば、マージン量設定部114は、自車線L1を走行する車両の平均車速よりも隣接車線L2を走行する車両の平均車速が大きい場合(または自車線L1が走行車線であり、隣接車線L2が追越車線の場合)に、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。

更に、マージン量設定部114は、検出部DTにより検出された自車両Mが走行する環境(道路勾配、カーブの曲率、天候状況、路面状況、視界状況等)に基づいて、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。 例えば、マージン量設定部114は、道路勾配やカーブの曲率が予め設定された閾値よりも大きい場合、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。また、マージン量設定部114は、自車両Mの制動距離が悪くなる条件が天候状況、路面状況、視界状況等に含まれるか否かを判定する。そして、マージン量設定部114は、自車両Mの制動距離が悪くなる条件が天候状況、路面状況、視界状況等に含まれている場合に、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。例えば、マージン量設定部114は、雨や雪が降っている状況、路面が凍結しているおそれがある状況、または視界が悪い状況では、前走車両後方マージンMGAが大きくなるように、前走車両後方マージンMGAの大きさを変更する。

以上、前走車両後方マージンMGAの大きさの設定方法の一例について説明した。なお、前方基準車両後方マージンMGBおよび後方基準車両前方マージンMGCの設定方法は、前走車両後方マージンMGAの大きさの設定方法と略同じである。例えば、前方基準車両後方マージンMGBおよび後方基準車両前方マージンMGCの設定方法は、前走車両後方マージンMGAの大きさの設定方法に関する上記説明において、「前走車両mA」を「前方基準車両mB」または「後方基準車両mC」、「前走車両後方マージンMGA」を「前方基準車両後方マージンMGB」または「後方基準車両前方マージンMGC」とのように読み替えればよい。なお、前方基準車両後方マージンMGBおよび後方基準車両前方マージンMGCの設定では、ターゲット位置TAに仮想的に配置された自車両Mに基づいて、前方基準車両後方マージンMGBおよび後方基準車両前方マージンMGCが導出される。

(制約位置の導出) 次に、制約位置導出部115が、他車位置変化推定部113により推定された周辺車両mA,mB,mCの現時刻(t0)および将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における位置に対してマージンMGを設けた自車両Mの現時刻(t0)および将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における制約位置を導出する(ステップS208)。 例えば、図7に示すように、制約位置導出部115は、前記制約位置として、自車線前方制約位置と、隣接車線前方制約位置と、隣接車線後方制約位置とを導出する。自車線制約位置は、前走車両mAの現時刻および将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前走車両後方マージンMGAを設けた自車両Mの現時刻および将来の複数の時刻における制約位置であり、図7中に実線rAで表される。言い換えると、実線rAは、破線eAを車線変更ターゲット位置TAに干渉する側にマージンMGAの分だけシフトさせたものである。同様に、隣接車線前方制約位置は、前方基準車両mBの現時刻および将来の複数の時刻における位置に対して後方側に前方基準車両後方マージンMGBを設けた自車両Mの現時刻および将来の複数の時刻における制約位置であり、図7中に実線RBで表される。言い換えると、実線rBは、破線eBを車線変更ターゲット位置TAに干渉する側にマージンMGBの分だけシフトさせたものである。隣接車線後方制約位置は、後方基準車両mCの現時刻および将来の複数の時刻における位置に対して前方側に後方基準車両前方マージンMGCを設けた自車両Mの現時刻および将来の複数の時刻における制約位置であり、図7中に実線RCで表される。言い換えると、実線rCは、破線eCを車線変更ターゲット位置TAに干渉する側にマージンMGCの分だけシフトさせたものである。そして、これら実線rA,rB,rCで囲まれた領域が自車両Mの現時刻および将来の複数の時刻における存在可能領域となる。なお、図7中では、自車線前方制約位置、隣接車線前方制約位置、および隣接車線後方制約位置は、実線rA,rB,rCとして模式的に示されるが、実際には実線rA,rB,rC上にある複数の点の集合体である。

(目標軌道の生成) 次に、軌道生成部116が、制約位置導出部115により導出された自車両Mの現在および将来の複数の時刻における制約位置(自車線前方制約位置、隣接車線前方制約位置、および隣接車線後方制約位置)に基づき、車線変更するための目標軌道を生成する(ステップS210)。言い換えると、軌道生成部116は、前記制約位置(自車線前方制約位置、隣接車線前方制約位置、および隣接車線後方制約位置)によって規定された存在可能領域に進入するための、将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における自車両Mの速度や加速度等を決定する。例えば、軌道生成部116は、自車両Mの現時刻における位置を基準に、現時刻から所定時間Δt経過するごとに、K(1)、K(2)、K(3)、…といった将来の目標位置を自車両Mの目標軌道として生成する。

[走行制御] 走行制御部120は、制御切替部122による制御によって、制御モードを自動運転モードあるいは手動運転モードに設定し、設定した制御モードに従って制御対象を制御する。走行制御部120は、自動運転モード時において、行動計画生成部106によって生成された行動計画情報136を読み込み、読み込んだ行動計画情報136に含まれるイベントに基づいて制御対象を制御する。このイベントが車線変更イベントである場合、走行制御部120は、軌道生成部116により生成された目標軌道に従い、ステアリング装置92における電動モータの制御量(例えば回転数)と、走行駆動力出力装置90におけるECUの制御量(例えばエンジンのスロットル開度やシフト段等)とを決定する。走行制御部120は、イベントごとに決定した制御量を示す情報を、対応する制御対象に出力する。これによって、制御対象の各装置(90、92、94)は、走行制御部120から入力された制御量を示す情報に従って、自装置を制御することができる。また、走行制御部120は、車両センサ60の検出結果に基づいて、決定した制御量を適宜調整する。

また、走行制御部120は、手動運転モード時において、操作検出センサ72により出力される操作検出信号に基づいて制御対象を制御する。例えば、走行制御部120は、操作検出センサ72により出力された操作検出信号を、制御対象の各装置にそのまま出力する。

制御切替部122は、行動計画生成部106によって生成された行動計画情報136に基づいて、走行制御部120による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに、または手動運転モードから自動運転モードに切り換える。また、制御切替部122は、切替スイッチ80から入力される制御モード指定信号に基づいて、走行制御部120による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに、または手動運転モードから自動運転モードに切り換える。すなわち、走行制御部120の制御モードは、運転者等の操作によって走行中や停車中に任意に変更することができる。

また、制御切替部122は、操作検出センサ72から入力される操作検出信号に基づいて、走行制御部120による自車両Mの制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。例えば、制御切替部122は、操作検出信号に含まれる操作量が閾値を超える場合、すなわち、操作デバイス70が閾値を超えた操作量で操作を受けた場合、走行制御部120の制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。例えば、自動運転モードに設定された走行制御部120によって自車両Mが自動走行している場合において、運転者によってステアリングホール、アクセルペダル、またはブレーキペダルが閾値を超える操作量で操作された場合、制御切替部122は、走行制御部120の制御モードを自動運転モードから手動運転モードに切り換える。これによって、車両制御装置100は、人間等の物体が車道に飛び出して来たり、前方車両が急停止したりした際に運転者により咄嗟になされた操作によって、切替スイッチ80の操作を介さずに直ぐさま手動運転モードに切り替えることができる。この結果、車両制御装置100は、運転者による緊急時の操作に対応することができ、走行時の安全性を高めることができる。

以上説明した本実施形態の車両制御装置100によれば、将来の複数の時刻における周辺車両の位置に対してマージンMGを設けた制約位置に基づいて、車線変更の目標軌道が生成される。このため、将来の複数の時刻においてより余裕を持った目標軌道が生成され、車線変更の安全性をさらに高めることができる。

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、自車線L1における前走車両mAの後方と、隣接車線L2における前方基準車両mBの後方と、隣接車線L2における後方基準車両mCの前方とに適切な制約位置が設定される。このため、自車線および隣接車線を走行する種々の周辺車両mA,mB,mCに対してより余裕を持った目標軌道が生成され、車線変更の安全性をさらに高めることができる。

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、自車両Mの状態(速度、加速度等)、周辺車両の状態(速度、加速度、挙動等)、周辺車両の大きさ(車両幅、車格等)、および自車両Mが走行する環境(レーン種別、道路勾配、カーブの曲率、天候状態、路面状態、視界状態等)のうち少なくとも1つに基づいてマージンMGの大きさが設定される。これにより、各種の状況に応じてマージンMGの大きさが柔軟に設定され、より安全な目標軌道が生成される。例えば、周辺車両の挙動が不安定な場合に、より大きなマージンMGを持たせることで安全性をさらに高めることができる。また、周辺車両の車格が大きい場合に、より大きなマージンMGを持たせることで、自車両Mの乗員が感じる圧迫感などを抑制することができる。また、平均車速が自車線L1よりも速い隣接車線L2に車線変更する場合に、より大きなマージンMGを持たせることができる。例えばこの場合、比較的大きな後方基準車両前方マージンMGCが設定されることで、後方基準車両mCの増速等に対する安全性をさらに高めることができる。また、道路勾配やカーブの曲率が比較的大きな場合に、より大きなマージンを持たせることで、安全性をさらに高めることができる。また、制動距離が長くなりやすい天候状態や路面状態、視界状態等の場合に、より大きなマージンを持たせることで、安全性をさらに高めることができる。

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、衝突余裕時間TTCに基づいて第1マージン量が導出され、車頭時間THWに基づいて第2マージン量が導出され、第1マージン量と第2マージン量のうち少なくとも一方に基づいてマージンMGの大きさが設定される。ここで、衝突余裕時間TTCと、車頭時間THWとは互いに概念が異なるため、自車両Mおよび周辺車両の車速や相対速度に応じて、衝突余裕時間TTCに基づいて導出される第1マージン量が、車頭時間THWに基づいて導出される第2マージン量よりも大きくなる場合も想定されれば、逆に第2マージン量が第1マージン量よりも大きくなる場合も想定される。そこで、本実施形態の車両制御装置100は、上記第1マージン量と第2マージン量の両方を導出し、少なくとも第1マージン量と第2マージン量のうちいずれか大きい方をカバーするようにマージンMGの大きさを設定する。これにより、自車両Mおよび周辺車両の種々の状況において、安全性をさらに高めることができる。

なお、マージンMGの大きさの設定方法は、本実施形態の例に限られない。 例えば、マージン量設定部114は、第1マージン量および第2マージン量を導出した後、予め設定された第1係数α1が第1マージン量に乗算された値と、予め設定された第2係数α2が第2マージン量に乗算された値との合計値(すなわち、第1マージン量と第2マージン量との加重和)を、前走車両後方マージンMGAの前記基本値として導出してもよい。 つまり、第1マージン量をf(TTC)、第2マージン量をf(THW)、第3マージン量をf(RTW)とすると、前走車両後方マージンMGAの基本値BVは、式(2)のように導出されてもよい。

このような設定方法によっても、第1マージン量および第2マージン量の両方を適切に考慮したマージンMGの大きさを設定することができる。なお、第1係数α1および第2係数α2は、それぞれ“1”でもよい。

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、自車線L1において自車両Mの直前を走行する前走車両mAを回避するために必要な自車両Mの車幅方向移動量に基づいてマージンMGの大きさが設定される。このため、例えば自車両Mの位置を重心等の1点でモデル化する場合であっても、自車両Mの車幅方向移動量を適切に考慮し、安全性をさらに高めることができる。

<第2の実施形態> 以下、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る車両制御装置100が認識する自車両Mの基準点Pを示す平面図である。第2の実施形態に係る車両制御装置100は、図10に示すように、自車両Mの位置を1つの質点として見做すとともに、ミンコフスキー和の考え方に基づいて導出されるマージン量に基づき、マージンMGの大きさが設定される。以下、係る相違点を中心に説明する。

図10中の(a)は、ミンコフスキー和の基本的な考え方を示す。ミンコフスキー和の基本的な考え方によれば、自車両Mが1つの基準点(質点)Pとして見做されるとともに、その基準点Pを中心とする仮想円ICが配置される。仮想円ICは、自車両Mの外形を囲む大きさに設定される。そして、自車両Mと周辺車両との間の距離が仮想円ICの半径よりも小さくなる場合に、自車両Mと周辺車両とが接触すると判定される。

本実施形態のマージン量設定部114は、仮想円ICの半径に相当する距離に基づいて、前走車両後方マージンMGA、前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両前方マージンMGCの大きさを設定する。例えば、マージン量設定部114は、仮想円ICの半径に相当する距離を、前走車両後方マージンMGA、前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両前方マージンMGCの前記基本値に加えることで、前走車両後方マージンMGA、前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両前方マージンMGCの大きさを設定する。これにより、自車両Mが1つの基準点Pとして取り扱わされる場合でも、精度の高いマージンMGを設定することができる。

次に、第2の実施形態の第1変形例について説明する。 図11は、第2の実施形態の第1変形例に係る車両制御装置100が認識する自車両Mの基準点P1,P2を示す平面図である。

一般的な車両は、車両進行方向dにおける長さが車幅よりも大きな形状を持つ。このため、自車両Mに設定される1つの基準点Pを中心とする仮想円ICでは、車両の外形を精度良く表しているとは言えない場合がある。 そこで、本変形例の車両制御装置100の自車位置認識部104は、図11に示すように、自車両Mの位置を、車両進行方向dに離間して配置された2つの基準点(質点)P1,P2として見做すとともに、それら2つの基準点P1,P2を中心とする2つの仮想円ICを配置する。例えば、基準点P1は、基準点P2に対して、車両進行方向dにおける前方側に位置する。

図12は、現時刻(t0)および将来の複数の時刻(t1,t2,t3,…)における自車両Mの基準点P1,P2と周辺車両mA,mB,mCとの関係の一例を示す図である。図12中の(a)は、2つの基準点P1,P2を別々に示したものであり、現時刻(t0)における基準点P2の位置をゼロ点としている。一方で、図12中の(b)は、2つの基準点P1,P2を仮想的に合成した場合を示す。

図12中の(a)に示すように、本実施形態では、自車線前方制約位置(実線rA)および隣接車線前方制約位置(実線rB)は、自車両Mの基準点P1に対する制約位置として設定される。この場合、前走車両後方マージンMGAおよび前方基準車両後方マージンMGBの大きさは、基準点P1を中心とする仮想円ICの半径に相当する距離に基づいて設定される。一方で、隣接車線後方制約位置(実線rC)は、自車両Mの基準点P2に対する制約位置として設定される。この場合、後方基準車両前方マージンMGCには、基準点P2を中心とする仮想円ICの半径に相当する距離に基づいて設定される。

本変形例のように、2つの基準点P1,P2が設定される場合、基準点が1つの場合に比べて、自車両Mの形状が精度良く認識される。このため、本実施形態の前走車両後方マージンMGA、前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両前方マージンMGCの各々の大きさは、基準点が1つの場合の前走車両後方マージンMGA、前方基準車両後方マージンMGB、および後方基準車両前方マージンMGCの各々の大きさに比べて小さく設定されても、高い安全性を確保することができる。

本変形例における車線変更の目標軌道の生成では、自車両Mの2つの基準点P1,P2の各々について制約位置に対する干渉が計算され、自車両Mの2つの基準点P1,P2の各々が存在可能領域に進入するための目標軌道が生成されてもよい。ただしこの場合、2つの基準点P1,P2の各々に関する計算が必要になるため、軌道生成の計算に関する処理負担が大きくなる場合がある。

そこで本変形例の軌道生成部116は、自車両Mの2つの基準点P1,P2を仮想的に1つに合成したPAを設定し、PAが存在可能領域に進入するための目標軌道を生成する。例えば、軌道生成部116は、図12中の(b)に示すように、基準点P1と基準点P2とが重なるように基準点P1を移動させるとともに、基準点P1と基準点P2との間の距離に相当するマージン量MSを、前走車両後方マージンMGAおよび前方基準車両後方マージンMGBに追加する。これにより、合成後の1つの基準点PAに関する目標軌道を生成することで、適切な車線変更の目標軌道を生成することができる。このため、車線変更の計算に関する処理負担を低減することができる。

なお、自車両Mに設定される基準点は、上記例に限定されない。 例えば、図13は、第2の実施形態の第2変形例として、自車両Mに4つの基準点P1,P2,P3,P4が設定される場合を示す。基準点P1,P2は、基準点P3,P4に対して、車両進行方向dにおける前方側に配置されている。例えば、基準点P1,P2は、車両進行方向dにおいて互いに同じ位置に配置されている。例えば、基準点P3,P4は、車両進行方向dにおいて互いに同じ位置に配置されている。 このような場合でも、マージンMGに適切なマージン量を追加することで、複数の基準点P1,P2,P3,P4を1つの基準点PAに合成して目標軌道を生成することができる。

以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。 例えば、マージンMGの大きさは、衝突余裕時間TTCや車頭時間THWに関わらず、予め設定される一定の固定値でもよく、自車両Mが走行する環境等のみに基づいて導出される値でもよい。

20…ファインダ、30…レーダ、40…カメラ、50…ナビゲーション装置、60…車両センサ、70…操作デバイス、72…操作検出センサ、80…切替スイッチ、90…走行駆動力出力装置、92…ステアリング装置、94…ブレーキ装置、100…車両制御装置、102…外界認識部、104…自車位置認識部、106…行動計画生成部、110…車線変更制御部、111…ターゲット位置設定部、113…他車位置変化推定部、114…マージン量設定部、115…制約位置導出部、116…軌道生成部、120…走行制御部、122…制御切替部、130…記憶部、DT…検出部、M…自車両。

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