車両の電源装置

申请号 JP2014002346 申请日 2014-01-09 公开(公告)号 JP2015133770A 公开(公告)日 2015-07-23
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 鎌谷 英輝; 熊沢 卓; 佐藤 亮次;
摘要 【課題】間欠昇圧制御による電 力 損失低減効果を生かしつつ、燃費の悪化を抑制する。 【解決手段】車両の電源装置は、エンジン100および第1MG110と、バッテリ150と、バッテリ150の電圧を昇圧して車両のインバータ210,220に供給するコンバータ200と、コンバータ200を連続的に作動させる連続昇圧モードと、コンバータ200を間欠的に作動させる間欠昇圧モードとでコンバータ200を制御する制御装置500とを備える。制御装置500は、バッテリ150に出入りする電池電流IBに基づいてバッテリ150のSOCを推定し、SOCの推定値が所定の下限値LLよりも小さくなると、エンジン100および第1MG110によってバッテリ150を強制的に充電する。制御装置500は、SOCの推定値が下限値LLに近づくほど、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を抑制する。 【選択図】図4
权利要求

発電ユニットと、 蓄電装置と、 前記蓄電装置の電圧を昇圧して車両の電気負荷に供給する昇圧コンバータと、 前記昇圧コンバータを連続的に作動させる連続昇圧モードと、前記昇圧コンバータを間欠的に作動させる間欠昇圧モードとで前記昇圧コンバータを制御する制御装置とを備え、 前記制御装置は、前記蓄電装置に出入りする電流に基づいて前記蓄電装置の充電状態を推定し、前記充電状態の推定値が所定の下限値よりも小さくなると、前記発電ユニットによって前記蓄電装置を強制的に充電し、 前記制御装置は、前記推定値が前記下限値に近づくほど、前記間欠昇圧モードでの前記昇圧コンバータの動作を抑制する、車両の電源装置。前記制御装置は、前記推定値が、前記下限値よりも大きい所定のしきい値以下である場合に、前記間欠昇圧モードでの前記昇圧コンバータの前記動作を抑制する、請求項1に記載の車両の電源装置。前記しきい値は、前記間欠昇圧モードでの前記昇圧コンバータの前記動作によって生じ得る前記推定値の誤差の最大値だけ、前記下限値よりも大きく決定される、請求項2に記載の車両の電源装置。前記制御装置は、前記間欠昇圧モードでの前記昇圧コンバータの前記動作を禁止することにより、前記昇圧コンバータの前記動作を抑制する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の電源装置。前記制御装置は、前記間欠昇圧モードでの前記蓄電装置の前記電圧を昇圧する速度を小さくすることにより、前記昇圧コンバータの前記動作を抑制する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の電源装置。前記制御装置は、前記間欠昇圧モードでの前記昇圧コンバータの通過電流を所定値以下に制限することにより、前記昇圧コンバータの前記動作を抑制する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の電源装置。

说明书全文

本発明は、車両の電源装置に関する。

ハイブリッド車両において、バッテリからの低電圧の出電圧を昇圧コンバータによって昇圧し、昇圧された高電圧の電力をモータジェネレータに供給する電源システムが知られている。このような電源システムでは、昇圧コンバータにおける電力損失を低減する技術が提案されている。

たとえば特開2010−11651号公報(特許文献1)に開示されたハイブリッド車両は、第1および第2のバッテリと、第1のバッテリの出力電圧を変換してモータジェネレータに出力する第1の昇圧コンバータと、第2のバッテリの出力電圧を変換してモータジェネレータに出力する第2の昇圧コンバータとを備える。このハイブリッド車両の制御装置は、ハイブリッド走行制御中には、第1の昇圧コンバータを作動させる一方で、第2の昇圧コンバータを停止させる。これにより、第2の昇圧コンバータでの電力損失を抑制して、燃費向上を図ることができる。

特開2010−11651号公報

特開2012−222907号公報

特開2011−15603号公報

ところで、モータジェネレータでの電流消費が少ない場合に、昇圧コンバータの動作と停止を間欠的に行なうことによって、昇圧コンバータのスイッチングによる電力損失を低減する間欠昇圧制御を実行することが考えられる。この制御を行なう場合に、昇圧コンバータを通過する電流やバッテリに出入りする電流(電池電流)も、電流が流れる場合と流れない場合とが高速に切り替わり変動する。

車両制御を行なうECU(Electric Control Unit)の構成によっては、制御に使用する電流のデータを計測する周期が遅いため、電流変化を精度よく観測できない場合が考えられる。

より具体的に説明すると、ECUでは、電池電流を積算することによってバッテリのSOC(State Of Charge)を推定する方法を採用することができる。この推定方法を用いる場合に、間欠昇圧制御時には電池電流の変化を精度よく観測できないため、SOCの推定精度が低下する。SOCの推定精度が低いとSOCの推定値が真値から乖離し得るので、本来は必要ないにも拘らず、バッテリの充電が強制的に行なわれる場合がある。このような場合には、燃費が悪化する可能性がある。

本発明の目的は、間欠昇圧制御による電力損失低減効果を生かしつつ、燃費の悪化を抑制できる車両の電源装置を提供することである。

本発明のある局面に従う車両の電源装置は、発電ユニットと、蓄電装置と、蓄電装置の電圧を昇圧して車両の電気負荷に供給する昇圧コンバータと、昇圧コンバータを連続的に作動させる連続昇圧モードと、昇圧コンバータを間欠的に作動させる間欠昇圧モードとで昇圧コンバータを制御する制御装置とを備える。制御装置は、蓄電装置に出入りする電流に基づいて蓄電装置の充電状態を推定し、前記充電状態の推定値が所定の下限値よりも小さくなると、前記発電ユニットによって前記蓄電装置を強制的に充電する。制御装置は、上記推定値が上記下限値に近づくほど、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作を抑制する。

上記構成によれば、充電状態の推定値が上記下限値に近づくほど間欠昇圧モードでの動作が抑制されるため、充電状態の推定精度が低下した場合であっても、上記推定値が上記下限値よりも低いと制御装置が誤って判断することを防止することができる。そのため、本来は必要のない蓄電装置の充電が強制的に行なわれることを防止することができるので、燃費の悪化を抑制することができる。

好ましくは、制御装置は、上記推定値が、上記下限値よりも大きい所定のしきい値以下である場合に、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作を抑制する。

上記構成によれば、しきい値を設定することにより、上記下限値と上記しきい値との間の範囲では間欠昇圧モードでの動作を抑制することができる。

好ましくは、上記しきい値は、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作によって生じ得る推定値の誤差の最大値だけ、上記下限値よりも大きく決定される。

上記構成によれば、しきい値は、下限値から推定値の誤差の最大値だけ余裕を持って設定されるので、本来は必要のない充電が強制的に行なわれることをより確実に防止することができる。

好ましくは、制御装置は、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作を禁止することにより、昇圧コンバータの動作を抑制する。

上記構成によれば、間欠昇圧モードでの動作が禁止されるため、間欠昇圧モードを抑制する場合と比べて、上記推定値が上記下限値よりも低いと制御装置が誤って判断することを確実に防止することができる。

好ましくは、制御装置は、間欠昇圧モードでの蓄電装置の電圧を昇圧する速度を小さくすることにより、昇圧コンバータの動作を抑制する。

上記構成によれば、蓄電装置の電圧を昇圧する速度を小さくすることにより、電池電流の増加が緩やかになるため、上記昇圧速度が大きい場合と比べて、電池電流が時間的に平均化される。そのため、計測のタイミングによる電池電流の値のばらつきを小さくすることができるので、蓄電装置の充電状態の推定精度を向上させることができる。したがって、本来は必要のない蓄電装置の充電が強制的に行なわれることを防止することができる。また、強制的な充電による昇圧コンバータでの電力損失を低減することができる。

好ましくは、制御装置は、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの通過電流を所定値以下に制限することにより、昇圧コンバータの動作を抑制する。

上記構成によれば、昇圧コンバータの通過電流を制限することにより、電池電流を制限することができる。これにより、電池電流の増加が緩やかになるため、上記昇圧速度が大きい場合と比べて、電池電流が時間的に平均化される。そのため、計測のタイミングによる電池電流の値のばらつきを小さくすることができるので、蓄電装置の充電状態の推定精度を向上させることができる。したがって、本来は必要のない蓄電装置の充電が強制的に行なわれることを防止することができる。

本発明によれば、間欠昇圧制御による電力損失低減効果を生かしつつ、燃費の悪化を抑制することができる。

本発明の実施の形態による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車両の構成例を説明するためのブロック図である。

図1に示したハイブリッド車両の電気システムの構成例を説明する回路図である。

間欠昇圧モードでコンバータ200が制御されている場合の電池電流IBについて説明するための波形図である。

バッテリ150のSOCに応じたコンバータ200の制御を説明するための図である。

コンバータ200による昇圧制御の手順を表わすフローチャートである。

図5のフローチャートのステップST25の詳細を示すフローチャートである。

連続昇圧モードと間欠昇圧モードの動作を説明するための波形図である。

復帰レートに応じた電池電流IBを比較するための図である。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。

[実施の形態1] 図1は、本発明の実施の形態による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車両の構成例を説明するためのブロック図である。

図1を参照して、ハイブリッド車両は、エンジン100と、第1MG(Motor Generator)110と、第2MG120と、動力分割機構130と、減速機140と、バッテリ150と、駆動輪160と、制御装置500とを備える。制御装置500は、PM(Power Management)−ECU(Electronic Control Unit)170と、MG(Motor Generator)−ECU172とを含んで構成される。

ハイブリッド車両は、エンジン100および第2MG120のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。エンジン100、第1MG110および第2MG120は、動力分割機構130を介して連結されている。

動力分割機構130は、代表的には、遊星歯車機構として構成される。動力分割機構130は、外歯歯車のサンギヤ131と、このサンギヤ131と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ132と、サンギヤ131に噛合するとともにリングギヤ132に噛合する複数のピニオンギヤ133と、キャリア134とを含む。キャリア134は、複数のピニオンギヤ133を自転かつ公転自在に保持するように構成される。

動力分割機構130によって、エンジン100が発生する動力は、2経路に分割される。一方は減速機140を介して駆動輪160を駆動する経路である。もう一方は、第1MG110を駆動させて発電する経路である。

第1MG110および第2MG120は、代表的には、永久磁石モータによって構成された、三相交流回転電機である。

第1MG110は、主に「発電機」として動作して、動力分割機構130により分割されたエンジン100からの駆動力により発電することができる。すなわち、エンジン100および第1MG110は、「発電ユニット」に相当する。第1MG110により発電された電力は、車両の走行状態や、バッテリ150のSOC(State Of Charge)の状態に応じて使い分けられる。その後、この電力は、後述するコンバータにより電圧が調整されてバッテリ150に蓄えられる。なお、第1MG110は、エンジン始動時にエンジン100をモータリングする場合等には、トルク制御の結果として電動機として動作することも可能である。

第2MG120は、主に「電動機」として動作して、バッテリ150に蓄えられた電力および第1MG110により発電された電力のうちの少なくともいずれかの電力を使用して駆動される。第2MG120が発生する動力は、駆動軸135へ伝達され、さらに減速機140を介して駆動輪160に伝達される。これにより、第2MG120は、エンジン100をアシストしたり、第2MG120からの駆動力により車両を走行させたりする。

ハイブリッド車両の回生制動時には、減速機140を介して駆動輪160により第2MG120が駆動される。この場合には、第2MG120は発電機として動作する。これにより第2MG120は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして機能する。第2MG120により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。

バッテリ150は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ150の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ150は、第1MG110もしくは第2MG120により発電された電力によって充電することができる。バッテリ150の温度・電圧・電流は、電池センサ152により検出される。電池センサ152は、温度センサ、電圧センサ、電流センサを包括的に標記するものである。

PM−ECU170およびMG−ECU172は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵して構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに従うソフトウェア処理によって、各センサによる検出値に基づく演算処理を実行するように構成される。あるいは、PM−ECU170およびMG−ECU172の少なくとも一部は、専用の電子回路等によるハードウェア処理によって、所定の数値演算処理および/または論理演算処理を実行するように構成されてもよい。

エンジン100は、PM−ECU170からの動作指令値に従って制御される。第1MG110、第2MG120、コンバータ200、インバータ210,220は、MG−ECU172によって制御される。PM−ECU170とMG−ECU172とは双方向に通信可能に接続される。

なお、本実施の形態では、PM−ECU170およびMG−ECU172を別個のECUによって構成するが、両者の機能を包括する単一のECUを設けてもよい。

図2は、図1に示したハイブリッド車両の電気システムの構成例を説明する回路図である。

図2を参照して、ハイブリッド車両の電気システムには、コンバータ200(昇圧コンバータ)と、第1MG110に対応するインバータ210と、第2MG120に対応するインバータ220と、SMR(System Main Relay)230と、コンデンサC1,C2とが設けられる。

コンバータ200は、直列接続された2個の電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)と、各スイッチング素子Q1,Q2に対応して設けられたダイオードD1,D2と、リアクトルLを含む。

スイッチング素子Q1,Q2は、正極線PL2とバッテリ150の負極に接続される接地線GLとの間に直列に接続される。スイッチング素子Q1のコレクタは正極線PL2に接続され、スイッチング素子Q2のエミッタは接地線GLに接続される。ダイオードD1,D2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2に逆並列に接続される。そして、スイッチング素子Q1およびダイオードD1は、コンバータ200の上アームを構成し、スイッチング素子Q2およびダイオードD2は、コンバータ200の下アームを構成する。

電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、電力用バイポーラトランジスタ等を適宜採用することができる。各スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフは、MG−ECU172からのスイッチング制御信号によって制御される。

リアクトルLの一方端は、バッテリ150の正極に接続される正極線PL1に接続され、他方端は、スイッチング素子Q1,Q2の接続ノード、すなわち、スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点に接続される。

コンデンサC2は、正極線PL2と接地線GLとの間に接続される。コンデンサC2は、正極線PL2および接地線GL間の電圧変動の交流成分を平滑化する。コンデンサC1は、正極線PL1と接地線GLとの間に接続される。コンデンサC1は、正極線PL1および接地線GL間の電圧変動の交流成分を平滑化する。

さらに、正極線PL1および接地線GL間には、エアコンディショナ(A/C)240が接続される。また、図示しないが、正極線PL1および接地線GL間には、エアコンディショナ240以外の補機が接続されてもよい。エアコンディショナ240および上記補機に供給される電流を包括的に補機電流Idcと表す。

リアクトルLに流れる電流(以下、リアクトル電流)ILは、電流センサSEILによって検出される。電圧センサ180は、コンバータ200の出力電圧であるコンデンサC2の端子間電圧、すなわち正極線PL2と接地線GLとの間の電圧VH(システム電圧)を検出し、その検出値をMG−ECU172へ出力する。

コンバータ200と、インバータ210およびインバータ220とは、正極線PL2および接地線GLを介して、互いに電気的に接続される。

コンバータ200は、昇圧動作時には、バッテリ150から供給された直流電圧VB(コンデンサC1の両端の電圧)を昇圧し、昇圧されたシステム電圧VHをインバータ210,220へ供給する。より具体的には、MG−ECU172からのスイッチング制御信号に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびQ2のオン期間が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。

コンバータ200は、降圧動作時には、コンデンサC2を介してインバータ210,220から供給されたシステム電圧VHを降圧してバッテリ150を充電する。より具体的には、MG−ECU172からのスイッチング制御信号に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間とが交互に設けられ、降圧比は、上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。

コンバータ200の昇降圧停止時には、スイッチング素子Q1がオン固定に設定され、スイッチング素子Q2がオフ固定に設定される。

インバータ210は、一般的な三相インバータで構成され、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。アーム15〜17は、スイッチング素子Q3〜Q8と、逆並列ダイオードD3〜D8とを含む。

インバータ210は、車両走行時には、車両走行に要求される駆動力(車両駆動トルク、発電トルク等)を発生するために設定される動作指令値(代表的にはトルク指令値)に従って第1MG110が動作するように、第1MG110の各相コイルの電流または電圧を制御する。すなわち、インバータ210は、正極線PL2および第1MG110の間で双方向のDC/AC電力変換を実行する。

インバータ220は、インバータ210と同様に、一般的な三相インバータで構成される。インバータ220は、車両走行時には、車両走行に要求される駆動力(車両駆動トルク、回生制動トルク等)を発生するために設定される動作指令値(代表的にはトルク指令値)に従って第2MG120が動作するように、第2MG120の各相コイルの電流または電圧を制御する。すなわち、インバータ220は、正極線PL2および第2MG120の間で双方向のDC/AC電力変換を実行する。

PM−ECU170は、アクセル開度Accおよびハイブリッド車両の車速Vに基づいて、第1MG110のトルク指令値TR1、および第2MG120のトルク指令値TR2を算出する。

MG−ECU172は、PM−ECU170で算出された第1MG110のトルク指令値TR1、第2MG120のトルク指令値TR2、第1MG110のモータ回転数MRN1,第2MG120のモータ回転数MRN2に基づいて、コンバータ200の出力電圧(システム電圧)VHの最適値(目標値)、すなわち指令電圧VH*を算出する。MG−ECU172は、電圧センサ180によって検出されるコンバータ200の出力電圧VHと、指令電圧VH*とに基づいて、出力電圧VHを指令電圧VH*に制御するためデューティ比を計算し、コンバータ200を制御する。

MG−ECU172は、コンバータ200を連続昇圧モードと、間欠昇圧モードのいずれかに設定して制御する。連続昇圧モードは、コンバータ200が昇圧動作を停止することなく実行するモードである。間欠昇圧モードは、コンバータ200が昇圧動作と、昇圧動作の停止とを間欠的に繰り返すモードである。コンバータ200が昇圧動作を実行するときには、スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフが切り換えられる。コンバータ200が昇圧動作を停止するときには、スイッチング素子Q1がオン固定に設定され、スイッチング素子Q2がオフ固定に設定される。

連続昇圧モードでコンバータ200が昇圧しない場合と、間欠昇圧モードでコンバータ200が昇圧を停止する場合とは、以下の点で相違する。

連続昇圧モードでは、バッテリ150の電圧がコンバータ200を介してインバータ210,220へ供給される。したがって、連続昇圧モードでコンバータ200が昇圧しない場合には、バッテリ150の電圧が昇圧されずにコンバータ200を介して(デューティ比が1で)そのままインバータ210,220へ供給される。

一方、間欠昇圧モードでコンバータ200が昇圧を停止するときには、バッテリ150の電圧はコンバータ200を介してインバータ210,220へ供給されることがない。

制御装置500(具体的にはPM−ECU170)は、電池電流IBの積算によってバッテリ150のSOCを推定する。電流積算によるSOCの推定方法は一般的な方法を採用することができるので、ここでは説明は繰返さない。しかしながら、本実施の形態では、間欠昇圧モードでの制御時には電池電流IBが高速に変動するという特徴を有する。

図3は、間欠昇圧モードでコンバータ200が制御されている場合の電池電流IBについて説明するための波形図である。図3を参照して、間欠昇圧制御を行なうと、電池電流IBが非常に短い周期(たとえば3〜5ms)で変動する。このような電流の変動周期に比べて、電流を計測する周期が十分に小さくないと正確な電流の観測ができない。

しかしながら、電流を計測する周期を小さくしようとすると、高速CPUを使用したり、通信頻度を上げたりしなくてはならず、コスト上昇の要因となる。したがって、本実施の形態において制御装置500には、電池電流IBの変動周期よりも制御周期が大きいCPUが用いられる。一例として、電池電流IBの変動周期が約5msであるのに対し、制御装置500のCPUの制御周期は約8msである。

このように電池電流IBを計測する時間間隔が電池電流IBの変動間隔よりも大きい場合には、正確な電流の観測ができないので、間欠昇圧モードでの制御時には電池電流IBの計測精度が低下する。そのため、SOCの推定精度が低下して、SOCの推定値が真値から乖離する可能性がある。つまり、制御装置500は、間欠昇圧モードでの制御時には相対的に推定精度の低いSOCに基づいて、バッテリ150の充電あるいは放電を行なうようにコンバータ200を制御する。

図4は、バッテリ150のSOCに応じたコンバータ200の制御を説明するための図である。図4を参照して、横軸はバッテリ150のSOCを表し、縦軸はバッテリ150の開放端電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を表す。

バッテリ150のSOCには、上限値ULと下限値LLとが定められている。SOCが上限値ULよりも高い場合には、SOCの上昇に従って、バッテリ150の電圧VBは急激に上昇する。そのため、バッテリ150を保護するために、制御装置500は、SOCが上限値ULよりも高い場合には、バッテリ150から放電するようにコンバータ200を制御する。

一方、SOCが下限値LLよりも低い場合には、SOCの低下に従って、バッテリ150の電圧VBは急激に低下する。そのため、制御装置500は、SOCが下限値LLよりも低い場合には、バッテリ150を充電するようにコンバータ200を制御する。言い換えると、制御装置500は、バッテリ150に出入りする電池電流IBに基づいてバッテリ150のSOCを推定し、SOCの推定値が所定の下限値LLよりも小さくなると、エンジン100および第1MG110によってバッテリ150を強制的に充電する。

以下、SOCが上限値ULよりも高い場合に行なわれる放電を強制放電と称し、SOCが下限値LLよりも低い場合に行なわれる充電を強制充電と称する。

上述のようにSOCの推定値が真値から乖離すると、SOCの真値は上限値ULよりも十分に低いにも拘らず、SOCの推定値が上限値ULよりも高いと制御装置500が誤って判断することが考えられる。この場合には強制放電が行なわれるので、SOCが急激に低下する。その結果、たとえばSOCを表示するインジケータが変化するなどによって、使用者はSOCが不自然に低下したことに違和感を覚える恐れがある。

反対に、SOCの真値は下限値LLよりも十分に高いにも拘らず、SOC推定値が下限値LLよりも低いと制御装置500が誤って判断することも考えられる。この場合には強制充電が行なわれるので、エンジン100が運転される。このエンジン100の運転は誤った判断に基づいて行われるものであるため、燃費が悪化する可能性がある。また、意図しないタイミングでエンジン100の運転が開始されるので、使用者に違和感を与える恐れがある。

そこで、下限値LLと上限値ULとの間にはしきい値K1,K2が定められる。しきい値K1は、下限値LLと中心値Cとの間に定められている。しきい値K2は、中心値Cと上限値ULとの間に定められている(K1

さらに、しきい値K1は、SOCの下限値LLに、間欠昇圧モードでの制御時に想定されるSOCの誤差ΔSOCを加算した値とすることが好ましい。言い換えると、しきい値K1は、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作によって生じ得るSOCの推定値の誤差の最大値(ΔSOC)だけ下限値LLよりも大きく決定される。同じく、しきい値K2は、SOCの上限値ULから誤差ΔSOCを減算した値とすることが好ましい。誤差ΔSOCの決定方法については後に詳細に説明する。

SOCがしきい値K1,K2により定められた範囲内の場合(SOCがしきい値K1以上かつしきい値K2以下の場合)には、間欠昇圧モードによる制御が許可される。一方、SOCが上記範囲外の場合(SOCがしきい値K1未満またはしきい値K2よりも大きい場合)には、間欠昇圧モードによる制御は禁止される。すなわち、連続昇圧モードによる制御が実行される。以下、上記範囲を許可範囲とも称する。

しきい値K1よりも大きく、かつ中心値C以下のSOCの範囲は、下限値LLよりも大きく、かつ、しきい値K1以下の範囲と比べて、常用的に利用される範囲である。そのため、許可範囲を設定することにより、常用的に利用されるSOCの範囲では、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を許可する一方で、あまり利用されないSOCの範囲(下限値LLよりも大きく、かつ、しきい値K1以下の範囲)では、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作が抑制される。すなわち、間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作が抑制されるSOCの範囲を、あまり利用されない範囲に限定することができる。

図5は、コンバータ200による昇圧制御の手順を表わすフローチャートである。図7は、連続昇圧モードと間欠昇圧モードの動作を説明するための波形図である。

なお、図7(a)は、連続昇圧モードと間欠昇圧モードにおけるコンバータ200の出力電圧(システム電圧)VHを表わす図である。図7(b)は、連続昇圧モードと間欠昇圧モードにおけるリアクトル電流ILを表わす図である。リアクトル電流ILは、実際には、コンバータ200のスイッチングによって変動するが、図7(b)では、スイッチングによる変動成分を平滑化したものが示されている。図7(c)は、連続昇圧モードと間欠昇圧モードにおけるスイッチングによる昇圧損失電力量LPを表わす図である。

図2、図4および図5を参照して、ステップST10において、制御装置500は、コンバータ200を連続昇圧モードに設定する。コンバータ200は、昇圧動作を停止することなく昇圧動作を実行する。

その後、ステップST20において、制御装置500は、過去の所定期間のリアクトル電流ILの平均値ILMがしきい値TH1未満になると、処理をステップST25に進ませる。ステップST25では、制御装置500は、間欠昇圧モードを許可するか否かを判断するために、電池条件を確認する。

図6は、図5のフローチャートのステップST25の詳細を示すフローチャートである。図2および図6を参照して、ステップST25の処理が開始されると、ステップST100において、制御装置500は、電池センサ152から電池電流IBを取得し、電池電流IBを積算することによってバッテリ150のSOCの推定値を算出する。そして、制御装置500は、バッテリ150のSOCが許可範囲(図4のしきい値K1,K2の間の範囲)内であるか否かを判断する。

ステップST100において、SOCが許可範囲外の場合には、制御装置500は、ステップST110に処理を進ませて、間欠昇圧モード禁止と判定して、図5のフローチャートのステップST10に処理を戻す。この場合には、コンバータ200は、連続昇圧モードに設定され、動作を行なう。

言い換えると、制御装置500は、SOCの推定値が下限値LLに近づくほど、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を抑制する。本実施の形態において、制御装置500は、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を禁止することにより、コンバータ200の動作を抑制する。

一方、ステップST100において、SOCが許可範囲内の場合には、制御装置500は、ステップST120に処理を進ませて、間欠昇圧モード許可と判定して、図5のフローチャートのステップST30に処理を進ませる。この場合には、コンバータ200は、間欠昇圧モードに設定され、動作を行なう。

ステップST30において、制御装置500は、コンバータ200を間欠昇圧モードに設定する。間欠昇圧モードに設定した場合、制御装置500は、まず、コンバータ200による昇圧動作を停止させる(たとえば、図7の(1)の時点を参照)。なお、間欠昇圧モードに設定後、すぐに昇圧動作を停止しても、所定時間の経過後に昇圧動作を停止してもよい。昇圧許可状態と昇圧禁止状態とを繰返すように動作していれば、間欠昇圧モードに含まれる。

コンバータ200の昇圧動作が停止すると、バッテリ150から電流が出力されないのでリアクトル電流ILが0となり、昇圧損失電力量LPは0となる。コンバータ200の昇圧動作が停止されているときには、コンデンサC2に蓄積された電力で、第1MG110および/または第2MG120が駆動される。コンデンサC2から電荷が放出されることによって、システム電圧VHが減少することになる。

その後、ステップST40において、制御装置500は、システム電圧VHと指令電圧VH*との乖離量|VH*−VH|が限界値ΔVH以上となったときには、処理をステップST50に進ませる。ステップST50において、制御装置500は、コンバータ200による昇圧動作を再開させる(たとえば、図7の(2)の時点を参照)。

コンバータ200の昇圧動作が再開すると、コンデンサC2を充電しながら第1MG110および/または第2MG120を駆動するのに必要な電流(復帰電流)がバッテリ150から供給されるため、リアクトル電流ILが増加し、昇圧損失電力量LPが増加する。

その後、ステップST60において、制御装置500は、システム電圧VHが指令電圧VH*と等しくなると、処理をステップST70に進ませる。ステップST70において、制御装置500は、コンバータ200による昇圧動作を停止させる(たとえば、図7の(3)の時点を参照)。ステップST70の次には、再びステップST40以降の処理が実行される。

一方、ステップST80において、制御装置500は、過去の所定期間のリアクトル電流ILの平均値ILMがしきい値TH2を超えるようになると、ステップST90に処理を進めてコンバータ200を連続昇圧モードに設定する。コンバータ200は、停止することなく昇圧動作を実行する(たとえば、図7の(4)の時点を参照)。図7の(4)の時点では、指令電圧VH*が増加し、リアクトル電流ILが増加していることが示されている。ステップST90が終了すると、図5に示す一連の処理が終了する。

図7(c)では、間欠昇圧モードの1つの昇圧停止期間と後続の昇圧期間を1組としたときに、昇圧損失電力量LPがどれだけ低減したかが示されている。基準損失電力BSよりも上側にある昇圧損失電力量LPを表わす線と基準損失電力BSを表わす線の間の領域の面積P3は、連続昇圧モードで動作するよりも増加した昇圧損失電力量LPの合計を表わす。基準損失電力BSよりも下側にある昇圧損失電力量LPを表わす線と基準損失電力BSを表わす線の間の領域の面積P0は、連続昇圧モードで動作するよりも減少した昇圧損失電力量の合計を表わす。P0からP2(=P3)を減算した値P1が、1組の昇圧停止期間と後続の昇圧期間において、間欠昇圧モードで動作させることによって連続昇圧モードで動作させるよりも低減した昇圧損失電力量の合計である。

図7(c)に示されるように、間欠昇圧モードに設定することによって、昇圧損失電力量を減少させることができる。また、昇圧停止期間が長いほど、損失低減効果が大きくなる。

ここで、ステップST25において、制御装置500は、SOCが許可範囲(図4のしきい値K1,K2の間の範囲)内であるか、あるいは許可範囲外であるかに応じて、間欠昇圧モードに移行するか否かを決定する。以下、許可範囲を定める理由について説明する。

図4に示すように、しきい値K1は、下限値LLよりも誤差ΔSOCだけ大きく定められている。ここで誤差ΔSOCは、間欠昇圧モードにおけるSOCの推定精度の低下に備えて、いわゆるマージンとして設けられているということができる。すなわち、このマージンを設けることにより、SOCの真値が下限値LL以上であるにも拘らず、SOCの推定値が下限値LL未満であると制御装置500が誤って判断する可能性を低くすることができる。その結果、誤った判断に基づいて強制充電が行なわれることを防止することができる。

一方、しきい値K2は、上限値ULよりも誤差ΔSOCだけ小さく定められている。この誤差ΔSOCも同様にマージンとして設けられている。そのため、SOCの真値が上限値UL以下であるにも拘らず、SOCの推定値が上限値ULよりも大きいと制御装置500が誤って判断する可能性を低くすることができる。その結果、誤った判断に基づいて強制放電が行なわれることを防止することができる。

このように、間欠昇圧モードでの制御を許可する範囲を、しきい値K1,K2を用いて限定することによって、たとえ間欠昇圧モードでの制御中にSOCの推定精度が低下した場合であっても、強制充電あるいは強制放電が行なわれる可能性を低くすることができる。したがって、燃費を向上させることができるとともに、使用者に違和感を与えることを防止することができる。

次に、図4に示す誤差ΔSOCの決定方法について説明する。上述のように、誤差ΔSOCは、間欠昇圧モードでの制御時に生じ得るSOCの誤差の最大値とすることが好ましい。つまり、生じ得る誤差の最大値をマージンとして設定することが好ましい。

電池電流IB、リアクトル電流ILおよび補機電流Idcの間には、IB=IL+Idcとの関係が成立する。補機電流Idcは昇圧モードに応じて変化するものではないため、間欠昇圧モードにおける電池電流IB1、および連続昇圧モードにおける電池電流IB2は、それぞれ下記の式(1),(2)のように表される。ただし、IL1は間欠昇圧モードにおけるリアクトル電流であり、IL2は連続昇圧モードにおけるリアクトル電流である。

IB1=IL1+Idc ・・・(1) IB2=IL2+Idc ・・・(2) 図7に示すように、連続昇圧モードにおいてリアクトル電流IL2は一定であるので、リアクトル電流IL2は正確に計測することができる。そのため、連続昇圧モードにおける計測を基準として、間欠昇圧モードにおける電池電流IBの計測では誤差が最大でどれだけ生じ得るかを説明する。

連続昇圧モードを基準とした場合に、間欠昇圧モードでの電池電流IBの増加量ΔIBは下記の式(3)で表される。

ΔIB=IB1−IB2=IL1−IL2 ・・・(3) 間欠昇圧モードにおいて、リアクトル電流IL1は時間的に変化し、リアクトル電流IL2を基準として最大で(IL1max−IL2)だけ増加する(図7参照)。

ΔIB≦IL1max−IL2 ・・・(4) バッテリ150から供給される電荷量(単位:Ah)は、計測された電池電流IB(単位:A)を間欠昇圧モードの期間(単位:h)積算することにより得られる。この電荷量が最大となるのは、電池電流IBを計測するタイミングの各々が、リアクトル電流IL1が最大値IL1maxとなるタイミングと一致していた場合である。したがって、電荷量の最大値は、(IL1max−IL2)×Δtと表される(図7に面積Q0で示す)。ただし、Δtは、間欠昇圧モードにおいて、リアクトル電流ILの平均値ILMがしきい値TH2を超えるまでの期間(図7の(1)の時点と(4)の時点との間の期間)である。

よって、誤差ΔSOCは、下記の式(5)で表すことができる。 ΔSOC=(IL1max−IL2)×Δt/C0 ・・・(5) ただし、C0はバッテリ150の容量C0(単位:Ah)である。つまり、(IL1max−IL2)×Δtを容量C0で徐算することにより、電荷量をSOCに換算している。

以上のように、十分なマージンとなるように誤差ΔSOCを決定することにより、本来はバッテリ150の充放電が不要であるにも拘らず、強制充電あるいは強制放電が実行されることを防止することができる。ただし、誤差ΔSOCの決定方法は、この方法に限定されるものではない。

[実施の形態2] 間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を抑制する方法は、実施の形態1で説明した方法に限定されるものではない。実施の形態2では、電池電流IBの計測精度を向上することによって、間欠昇圧モードでの動作を抑制する。

実施の形態2に係るハイブリッド車両の電気システムの構成は、実施の形態1における電気システムの構成(図1および図2参照)と同等であるため、説明は繰返さない。

再び図2を参照して、実施の形態1で説明したように、間欠昇圧モードにおいて、コンバータ200内のスイッチング素子Q1,Q2は、制御装置500からのスイッチング制御信号に基づいてスイッチング制御される。コンバータ200で単位時間当たりに昇圧される電圧の大きさ、すなわち単位時間当たりのシステム電圧VHの増加量(以下、復帰レート(単位:V/s)とも称する)は、スイッチング素子Q1のオン期間およびスイッチング素子Q2のオン期間の比に応じたものとなる。つまり、制御装置500は、スイッチング制御信号によって復帰レートを調整することができる。

図8は、復帰レートに応じた電池電流IBを比較するための図である。横軸は時間軸である。縦軸は、システム電圧VH、リアクトル電流ILまたは電池電流IBを示す。図8(B)に示す復帰レートRTSは、図8(A)に示す復帰レートRTFよりも小さい。

図8(A)に示すように、復帰レートが大きい場合には、リアクトル電流ILの増加が急峻である。電池電流IBはリアクトル電流ILに補機電流Idc(図8では一定値)を加算したものであるので、復帰レートが大きい場合には、電池電流IBの増加も急峻になる。制御装置500が電池電流IBを計測する周期は電池電流IBの変動周期よりも大きいので、図8(A)では、制御装置500が取得する電池電流IBの値は計測のタイミングによって大きく異なり得る。

これに対し、実施の形態2において制御装置500は、図8(B)に示すように、復帰レートRFSが小さくなるようにコンバータ200を制御する。言い換えると、制御装置500は、バッテリ150の電圧VBを昇圧する速度を小さくする。

これにより、電池電流IBの増加が緩やかになるため、図8(A)と比べて、電池電流IBが時間的に平均化される。その結果として、計測のタイミングによる電池電流IBの値のばらつきを小さくすることができる。したがって、SOCの推定精度を向上させることができる。よって、本来は必要のない強制充電あるいは強制放電が行なわれることを防止することができる。

[実施の形態2の変形例] 実施の形態2の変形例において、制御装置500は、リアクトル電流ILを所定値以下に制限する。言い換えると、制御装置500は、間欠昇圧モードでのコンバータ200の通過電流を所定値以下に制限することにより、コンバータ200の動作を抑制する。

リアクトル電流ILを所定値以下に制限することは、上述の復帰レートの調整と同様に、スイッチング素子Q1のオン期間およびスイッチング素子Q2のオン期間の比をある範囲内に限定することにより実現可能である。

リアクトル電流ILをある所定値以下に制限すると、電池電流IBも別の所定値以下に制限される。これにより、電池電流IBの急峻な増加が抑制される。すなわち、図8(B)の説明と同様に、電池電流IBの増加が緩やかになるため、電池電流IBが時間的に平均化される。したがって、SOCの推定精度を向上させることができる。なお、リアクトル電流ILは「昇圧コンバータの通過電流」に相当する。

以上のように、実施の形態1,2および実施の形態2の変形例では、所定のSOCの範囲外では間欠昇圧モードでの制御を禁止する制御、復帰レートを遅くする制御、リアクトル電流ILを制限する制御についてそれぞれ説明したが、これらの制御を適宜組み合わせることも可能である。なお、これらの制御はいずれも「間欠昇圧モードでの昇圧コンバータの動作を抑制する制御」の実現例に相当する。

最後に、再び図1、図2および図4を参照して、本実施の形態について総括する。車両の電源装置は、エンジン100および第1MG110(発電ユニット)と、バッテリ150と、バッテリ150の電圧を昇圧して車両のインバータ210,220(電気負荷)に供給するコンバータ200と、コンバータ200を連続的に作動させる連続昇圧モードと、コンバータ200を間欠的に作動させる間欠昇圧モードとでコンバータ200を制御する制御装置500とを備える。制御装置500は、バッテリ150に出入りする電池電流IBに基づいてバッテリ150のSOCを推定し、SOCの推定値が所定の下限値LLよりも小さくなると、エンジン100および第1MG110によってバッテリ150を強制的に充電する。制御装置500は、SOCの推定値が下限値LLに近づくほど、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を抑制する。

好ましくは、制御装置500は、上記推定値が、下限値LLよりも大きいしきい値K1以下である場合に、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を抑制する。

好ましくは、しきい値K1は、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作によって生じ得るSOCの推定値の誤差の最大値ΔSOCだけ、下限値LLよりも大きく決定される。

好ましくは、制御装置500は、間欠昇圧モードでのコンバータ200の動作を禁止することにより、コンバータ200の動作を抑制する。

好ましくは、制御装置500は、間欠昇圧モードでのバッテリ150の電圧VBを昇圧する速度を小さくすることにより、コンバータ200の動作を抑制する。

好ましくは、制御装置500は、間欠昇圧モードでのコンバータ200のリアクトル電流ILを所定値以下に制限することにより、コンバータ200の動作を抑制する。

なお、本発明の実施形態では、連続昇圧モードと間欠昇圧モードを設けたが、連続降圧モードと間欠降圧モードを設けることとしてもよい。すなわち、MG−ECU172は、コンバータ200を連続降圧モードと、間欠降圧モードのいずれかに設定する。連続降圧モードは、コンバータ200が降圧動作を停止することなく実行するモードである。間欠降圧モードは、コンバータ200が降圧動作と、降圧動作の停止とを間欠的に繰り返すモードである。コンバータ200が降圧動作を実行するときには、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間とが交互に切り換えられる。コンバータ200が降圧動作を停止するときには、スイッチング素子Q1がオン固定に設定され、スイッチング素子Q2がオフ固定に設定される。

また、本実施の形態ではハイブリッド車両について説明したが、燃料電池車両についても本発明を適用することは可能である。その場合には、燃料電池ユニットが「発電ユニット」に対応する。

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

100 エンジン、110 第1MG、120 第2MG、112,122 中性点、130 動力分割機構、131 サンギヤ、132 リングギヤ、133 ピニオンギヤ、134 キャリア、135 リングギヤ軸(駆動軸)、140 減速機、150 バッテリ、152 電池センサ、160 駆動輪、170 PM−ECU、172 MG−ECU、180 電圧センサ、200 コンバータ、210,220 インバータ、230 SMR、240 エアコンディショナ、500 制御装置、PL1,PL2 正極線、GL 接地線、Q1〜Q8 スイッチング素子、D1〜D8 ダイオード、C1,C2 コンデンサ、L リアクトル。

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