ハイブリッド車両の起動制御装置及び起動制御方法

申请号 JP2015538696 申请日 2013-09-26 公开(公告)号 JP6048585B2 公开(公告)日 2016-12-27
申请人 日産自動車株式会社; 发明人 大内 大輔; 中里 浩一; 折田 崇一; 服部 健二;
摘要
权利要求

エンジンと、このエンジンと駆動輪との間に介装される走行用モータと、この走行用モータへ電を供給する強電バッテリと、上記エンジンと走行用モータとの間に介装され、油圧が供給されたときに締結するクラッチと、上記エンジンのクランクシャフトを回転駆動することによりエンジンを始動するスタータと、を備えるハイブリッド車両の起動制御装置において、 車両温度を検出する車両温度検出部と、 車両起動要求の検出時に、上記走行用モータにより車両を走行可能状態とする第1の車両起動モードと、上記クラッチを締結して上記走行用モータにより上記エンジンを始動して車両を走行可能状態とする第2の車両起動モードと、上記スタータにより上記エンジンを始動した後に上記クラッチを締結して車両を走行可能状態とする第3の車両起動モードと、のうち、少なくとも上記車両温度に基づいていずれかの車両起動モードを選択する車両起動制御部と、を有し、 この車両起動制御部は、上記車両起動要求の検出時であって、かつ、上記車両温度が少なくとも第1温度判定値以下の低温時には、上記第2の車両起動モードを選択し、上記車両温度が上記第1温度判定値よりも小さい値である第2車両温度判定以下の極低温時には、上記第3の車両起動モードを選択し、 更に、上記強電バッテリと上記走行用モータとを結ぶ強電回路に設けられた強電リレーと、 上記強電リレー,上記スタータ及び上記車両起動制御部へ電力を供給する弱電バッテリと、を有し、 上記第3の車両起動モードでは、上記スタータにより上記エンジンを始動した後に、上記強電リレーを接続するハイブリッド車両の起動制御装置。上記スタータ及び上記車両起動制御部へ電力を供給する弱電バッテリと、 上記強電バッテリの出力を検出するバッテリ出力検出部と、を有し、 上記車両起動制御部は、上記強電バッテリの出力が第1出力判定値以下のときには、上記第2の車両起動モードを選択し、上記強電バッテリの出力が上記第1出力判定値よりも小さい値である第2出力判定値以下のときには、上記第3の車両起動モードを選択する、請求項1に記載のハイブリッド車両の起動制御装置。エンジンと、このエンジンと駆動輪との間に介装される走行用モータと、この走行用モータへ電力を供給する強電バッテリと、上記エンジンと走行用モータとの間に介装され、油圧が供給されたときに締結するクラッチと、上記エンジンのクランクシャフトを回転駆動することによりエンジンを始動するスタータと、を備えるハイブリッド車両の起動制御方法において、 車両温度を検出し、 車両起動要求の検出時に、上記走行用モータにより車両を走行可能状態とする第1の車両起動モードと、上記クラッチを締結して上記走行用モータにより上記エンジンを始動して車両を走行可能状態とする第2の車両起動モードと、上記スタータにより上記エンジンを始動した後に上記クラッチを締結して車両を走行可能状態とする第3の車両起動モードと、のうち、少なくとも車両温度に基づいていずれかの車両起動モードを選択し、 この車両起動モードの選択時に、上記車両起動要求の検出時であって、かつ、上記車両温度が少なくとも第1温度判定値以下の低温時には、上記第2の車両起動モードを選択し、上記車両温度が上記第1温度判定値よりも小さい値である第2車両温度判定以下の極低温時には、上記第3の車両起動モードを選択し、 更に、上記強電バッテリと上記走行用モータとを結ぶ強電回路に設けられた強電リレーと、 上記強電リレー,上記スタータ及び上記車両起動制御部へ電力を供給する弱電バッテリと、を有し、 上記第3の車両起動モードでは、上記スタータにより上記エンジンを始動した後に、上記強電リレーを接続するハイブリッド車両の起動制御方法。

说明书全文

本発明は、車両駆動源としてエンジンと走行用モータとを併用するハイブリッド車両の車両起動制御に関する。

車両駆動源にエンジンと走行用モータとを併用するハイブリッド車両として、特許文献1には、エンジンと駆動輪との間に走行用モータを介装するとともに、これらエンジンと走行用モータとの間にクラッチを介装し、かつ、エンジンのクランクシャフトを回転駆動するスタータを設けたハイブリッド車両が開示されている。このようなハイブリッド車両では、エンジンの始動方法として、クラッチを締結して走行用モータによりエンジンを始動する他に、スタータによりエンジンを直接的に始動することができる。従って、例えば走行用モータへ電を供給する強電バッテリの出力が低いときにもスタータによりエンジンを確実に始動することができ、強電バッテリの低容量化・小型化を図ることが可能となる。

特開2005−255158号公報

運転者のイグニッションキーやイグニッションスイッチの操作による車両起動要求の検出時における車両起動パターンとしては、エンジンを始動することなく走行モータにより車両を走行可能状態とする起動パターンを選択することが望ましい。この理由は、エンジンを始動する必要がないために、車両起動要求の検出から車両の起動を完了して車両が走行可能状態となるまでの時間が短いためである。車両の起動が完了して車両が走行可能状態となった後には、運転者によるアクセル操作等に応じてエンジンの始動が行われる。例えば、運転者のアクセル操作による車両要求駆動力の増加に伴ってエンジンを始動し、走行用モータを主たる駆動源とするEVモードからエンジンと走行用モータとを併用するHEVモードへ切り換えられる。

しかしながら、車両温度が低い低温時には、作動油の温度が低く粘性が高いために、エンジンと走行用モータとの間に介装されるクラッチが油圧の供給により締結するノーマルオープン型の油圧クラッチである場合、このクラッチを締結するまでに時間がかかる。このため、低温時に上述した走行用モータにより車両を走行可能状態とする起動パターンを選択している場合、例えば車両起動完了直後に運転者のアクセル操作による要求駆動力の増加に応じてエンジンを始動するような場合に、クラッチを締結して走行用モータによりエンジンを始動するまでに時間がかかり、車両要求駆動力の増加に応じた車両駆動力の増加に応答遅れを生じる。上記走行用モータによるエンジンの始動に代えて、スタータによりエンジンを始動することも考えられるが、この場合、スタータによるエンジンの始動後にやはりクラッチを締結する必要があるために、更に時間がかかる。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明に係るハイブリッド車両は、エンジンと、このエンジンと駆動輪との間に介装される走行用モータと、この走行用モータへ電力を供給する強電バッテリと、上記エンジンと走行用モータとの間に介装され、油圧が供給されたときに締結する、いわゆるノーマルオープン型の油圧式のクラッチと、上記エンジンのクランクシャフトを回転駆動することによりエンジンを始動するスタータと、を備える。

そして、車両起動要求の検出時に、上記走行モータにより車両を走行可能状態とする第1の車両起動モードと、上記クラッチを締結して上記走行用モータにより上記エンジンを始動して車両を走行可能状態とする第2の車両起動モードと、上記スタータにより上記エンジンを始動した後に上記クラッチを締結して車両を走行可能状態とする第3の車両起動モードと、のうち、少なくとも上記車両温度に基づいていずれかの車両起動モードを選択する。

特に、上記車両温度が少なくとも第1温度判定値以下の低温時には、上記第2の車両起動モードを選択する。このように低温時にはクラッチを締結して走行用モータによりエンジンを始動してから車両を走行可能状態とすることによって、車両の起動が完了して走行可能状態となった後に、仮に運転者のアクセル踏込み操作によって車両要求駆動力が急激に増加しても、エンジンと走行用モータとを併用して車両駆動力を速やかに増加させることができ、上述したようなクラッチの締結に伴う車両駆動力の応答遅れを招くことがない。

本発明によれば、車両起動要求が検出されたときに、車両温度に応じて適切に車両起動パターンを選択することにより、車両起動時間の短縮化を図りつつ、特に作動油の粘度が高くなる低温時には第2の車両起動モードを選択して、車両起動完了前に予めクラッチを締結して走行用モータによりエンジンを始動しておくことによって、車両起動完了後のクラッチ締結・エンジン始動に伴う車両駆動力の応答遅れを確実に解消することができる。

本発明の一実施例が適用されるハイブリッド車両のシステム構成を示す構成説明図。

このハイブリッド車両のモード切換の特性を示す特性図。

(A)がこのハイブリッド車両の起動要求の検出時における起動シーケンスを示す説明図、(B)及び(C)が第2HEV起動モードにおける車両起動時のエンジン回転数,モータ回転数及び弱電バッテリの電圧の変化を示す説明図。

上記ハイブリッド車両の起動要求検出時の起動パターンの選択処理の内容を示すフローチャート。

強電バッテリのバッテリ出力の判定に用いられる制御マップの一例を示す特性図。

以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明が適用されるハイブリッド車両の一例としてFF(フロントエンジン/フロントドライブ)型ハイブリッド車両のシステム構成を示す構成説明図である。なお、図中の太い実線は強電回路11、二重線は弱電回路15、細い実線は信号線、破線の矢印線は油圧回路27を示している。

このハイブリッド車両は、車両の駆動源として、エンジン1と走行用モータとしてのモータジェネレータ2と、を併用しているとともに、変速機構としてベルト式無段変速機3を備えている。エンジン1とモータジェネレータ2との間の動力伝達経路には、動力伝達の接続と開放を切り換える第1クラッチ4が介在し、モータジェネレータ2とベルト式無段変速機3との動力伝達経路には、動力伝達の接続と開放を切り換える第2クラッチ(5a,5b)が介在している。

エンジン1は、例えばガソリンエンジンからなり、エンジンコントローラ20からの制御指令に基づいて、始動制御ならびに停止制御が行われるとともに、スロットルバルブの開度が制御され、かつ燃料カット制御等が行われる。

上記エンジン1のクランクシャフト1aとモータジェネレータ2のロータとの間に介装される第1クラッチ4は、選択された走行モードに応じて、エンジン1をモータジェネレータ2に結合し、あるいは、エンジン1をモータジェネレータ2から切り離すものであり、クラッチコントローラ24からの制御指令に基づいて、油圧制御弁(図示省略)を備えたクラッチ油圧制御部29により生成される第1クラッチ油圧によって、締結/解放が制御される。本実施例では、第1クラッチ4は、油圧が供給される油圧供給時に締結し、油圧が供給されない油圧開放時にはダイアフラムスプリングの付勢力により常時開放する、いわゆるノーマルオープン型で油圧式の乾式クラッチである。

モータジェネレータ2は、例えば三相交流の同期型モータジェネレータからなり、強電バッテリ12、インバータ13および強電リレー14を含む強電回路11に接続されている。図1では強電回路11を太い実線で表している。モータジェネレータ2は、モータコントローラ22からの制御指令に基づき、インバータ13を介して強電バッテリ12からの電力供給を受けて正のトルクを出力するモータ動作(いわゆる力行)と、トルクを吸収して発電し、インバータ13を介して強電バッテリ12の充電を行う回生動作と、の双方を行う。

モータジェネレータ2のロータと無段変速機3の入力軸3eとの間に設けられる第2クラッチ(5a,5b)は、エンジン1およびモータジェネレータ2を含む車両駆動源と駆動輪6(前輪)との間での動力の伝達および切り離しを行うものであり、クラッチコントローラ24(あるいは変速機コントローラ21)からの制御指令に基づいて、油圧制御弁(図示省略)を備えたクラッチ油圧制御部29により無段変速機3へ供給される第2クラッチ油圧によって、締結/解放が制御される。特に、第2クラッチ(5a,5b)は、伝達トルク容量の可変制御により、滑りを伴って動力伝達を行うスリップ締結状態とすることが可能であり、トルクコンバータを具備しない構成において、円滑な発進を可能にするとともに、クリープ走行の実現を図っている。

ここで、上記第2クラッチは、実際には単一の摩擦要素ではなく、無段変速機3の入力部に設けられる前後進切換機構5における前進クラッチ5aもしくは後退ブレーキ5bが第2クラッチとして用いられる。無段変速機3への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向とに切り換える前後進切換機構5は、遊星歯車機構と、前進走行時に締結される前進クラッチ5aと、後退走行時に締結される後退ブレーキ5bと、を含んでおり、前進走行時には前進クラッチ5aが第2クラッチとして機能し、後退走行時には後退ブレーキ5bが第2クラッチとして機能する。第2クラッチとなる前進クラッチ5aおよび後退ブレーキ5bの双方が解放された状態では、トルク伝達はなされず、モータジェネレータ2のロータと無段変速機3とが実質的に切り離される。なお、本実施例では、前進クラッチ5aおよび後退ブレーキ5bのいずれも、油圧供給時に締結し、油圧解放時に開放する、いわゆるノーマルオープン型の湿式多板クラッチである。

上記の遊星歯車機構は、サンギア5cとプラネットキャリア5dとリングギア5eとを有するシングルピニオン式のものである。サンギア5cはベルト式無段変速機3の入力軸3eに連結され、プラネットキャリア5dは後退ブレーキ5bを介してクラッチケース5fに連結され、リングギア5eはモータジェネレータ2の出力軸2aに連結されている。

ベルト式無段変速機3は、入力側のプライマリプーリ3aと、出力側のセカンダリプーリ3bと、両者間に巻き掛けられた金属製のベルト3cと、を有し、変速機コントローラ21からの制御指令に基づいて変速機油圧制御部30から供給されるプライマリ油圧とセカンダリ油圧とによって、各プーリ3a,3bのベルト接触半径ひいては変速比が連続的に制御される。この無段変速機3の出力軸3dは、終減速機構6aを介して駆動輪6に接続されている。

上記エンジン1は、始動用のスタータ18を具備している。このスタータ18は、モータジェネレータ2に比較して定格電圧が低い直流モータからなり、DC/DCコンバータ16および弱電バッテリ17を含む弱電回路15に接続されている。スタータ18は、エンジンコントローラ20からの制御指令に基づいて駆動され、スタータ18の出力軸に設けられたピニオンギア18aとエンジン1のクランクシャフト1aに設けられたリングギア1bとの噛み合いを通してクランクシャフト1aを回転駆動することによりクランキングを行う。

このように、走行用モータであるモータジェネレータ2を備えたハイブリッド車両に対してスタータ18を別途設けたので、極低温時や強電バッテリ12の極低出力時のようにモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が不可能もしくは極めて困難な状況であっても、スタータ18によりエンジン1を確実に始動することができる。従って、モータジェネレータ2へ電力を供給する強電バッテリ12の小型化・低容量化を図ることができる。

上記弱電バッテリ17は、強電バッテリ12を含む強電回路11からの電力により、DC/DCコンバータ16を介して充電される。なお、エンジンコントローラ20等を含む車両の制御システム、車両の空調装置、オーディオ装置、照明、及び強電リレー14、等は、弱電回路15による電力供給を受ける。

図1の破線の矢印線で示す油圧回路27には、オイルポンプ28と、クラッチ油圧制御部29と、変速機油圧制御部30と、が設けられている。オイルポンプ28は、チェーン28aを介してモータジェネレータ2の出力軸2aと連結され、この出力軸2aにより回転駆動される機械式のポンプであり、図示せぬオイルパン側から送られてくる作動油を加圧して油圧回路27へ吐出する。なお、図示していないが、この機械式のオイルポンプ28に加えて、サブモータにより駆動される電動式のオイルポンプを併用し、機械式のオイルポンプ28による作動油の吐出量・油圧が不十分であるときに、電動式のオイルポンプを作動させるようにしても良い。

変速機油圧制御部30は、上述したように、変速機コントローラ21からの制御指令に基づいて、ベルト式無段変速機3へ供給されるプライマリ油圧とセカンダリ油圧を制御する。クラッチ油圧制御部29は、上述したように、クラッチコントローラ24からの制御指令に基づいて、第1クラッチ4へ供給される第1クラッチ油圧を制御するとともに、第2クラッチ(5a,5b)へ供給される第2クラッチ油圧を制御する。

上記ハイブリッド車両の制御システムは、上述したエンジンコントローラ20、変速機コントローラ21、モータコントローラ22のほか、クラッチコントローラ24の他、強電バッテリ12の充電状態(SOC)の監視・制御を行うバッテリコントローラ23、及び後述する車両起動制御を含めた車両全体の統合制御を行う統合コントローラ25を備えており、これらの各コントローラ20,21,22,23,24,25は、情報交換が互いに可能なCAN通信線26を介して接続されている。また、車両運転状態を検出するセンサ類として、強電バッテリ12のバッテリ出力である出力電圧を検出するバッテリ電圧センサ31、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ32、運転者により操作されるアクセルペダルのアクセル開度を検出するアクセル開度センサ33、変速機3の出力軸3dの回転数を検出する変速機出力回転数センサ34、モータジェネレータ2の出力軸2aの回転数を検出するモータ回転数センサ35、第2クラッチ出力軸(変速機入力軸3e)の回転数を検出する第2クラッチ出力回転数センサ36等の他、車両温度を検出するセンサ類として、作動油の油温を検出する作動油温センサ37、エンジン温を検出するエンジン水温センサ38、強電バッテリ12の温度を検出するバッテリ温度センサ39、前進クラッチ5aの温度を検出する前進クラッチ温度センサ40、後退ブレーキ5bの温度を検出する後退ブレーキ温度センサ41、インバータ13の温度を検出するインバータ温度検出センサ42、モータジェネレータ2のモータ温度を検出するモータ温度センサ43、等が設けられている。これらセンサの検出信号は、統合コントローラ25等の各コントローラに個々にあるいはCAN通信線26を介して入力されている。

上記のように構成されたハイブリッド車両は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、駆動トルクコントロール発進モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有し、車両の運転状態や運転者のアクセル操作等に応じて最適な走行モードが選択される。

「EVモード」は、第1クラッチ4を解放状態とし、モータジェネレータ2のみを駆動源として走行するモードであり、モータ走行モードと回生走行モードとを有する。この「EVモード」は、運転者による車両要求駆動力が比較的に低いときに選択される。

「HEVモード」は、第1クラッチ4を締結状態とし、エンジン1とモータジェネレータ2とを駆動源として走行するモードであり、モータアシスト走行モード、走行発電モード、エンジン走行モード、を有する。この「HEVモード」は、運転者による要求駆動力が比較的大きいとき、および強電バッテリ12の充電状態(SOC)や車両の運転状態等に基づくシステムからの要求があったときに選択される。

「WSCモード」は、車両発進時等の車速が比較的低い領域で選択されるモードであり、モータジェネレータ2を回転数制御しつつ第2クラッチ5a,5bの伝達トルク容量を可変制御することで、第2クラッチ5a,5bをスリップ締結状態とする。

図2は、車速VSPおよびアクセル開度APOとに基づく上記の「EVモード」、「HEVモード」、「WSCモード」の基本的な切換の特性を示している。図示するように、「HEVモード」から「EVモード」へ移行する「HEV→EV切換線」と、逆に「EVモード」から「HEVモード」へ移行する「EV→HEV切換線」と、は適宜なヒステリシスを有するように設定されている。また、所定の車速VSP1以下の領域では、「WSCモード」となる。

図3(A)は、車両起動時に統合コントローラ25により実行される車両の起動シーケンスを示す説明図である。なお、図3の(B)及び(C)は、後述するスタータ18を用いた第2HEV起動モードM3が選択されたときのエンジン回転数,モータ回転数及び弱電バッテリの出力電圧の変化を運転者によるイグニッションキー(あるいはイグニッションスイッチ)の操作により車両始動要求(IGN ON)を検出すると、先ず、起動判定フェーズP1において、3つの車両起動モードM1〜M3のうち、一つの車両起動モードを選択する。

第1の車両起動モードであるEV起動モードM1は、最も短時間(例えば、3秒以内)に車両の起動を完了して車両走行可能状態(ReadyOn)とすることができる起動モードであり、後述する低温時や強電バッテリ12の低出力時を除き、基本的にはこのEV起動モードM1が選択される。このEV起動モードM1では、後述するスタータ制御フェーズP2を省略して強電接続フェーズP3へ進み、強電リレー14を接続して強電バッテリ12によりモータジェネレータ2を駆動可能な状態とする。続く起動前準備フェーズP4では、モータジェネレータ2を駆動する。このモータジェネレータ2の駆動に伴いオイルポンプ28が駆動されて油圧回路27内の油圧が上昇し、第1クラッチ4(CL1)の締結に必要な油圧が確保されると、車両の起動を完了して、車両走行可能フェーズP5へと進み、EVモードによる車両の走行が可能な走行可能状態となる。

第2の車両起動モードである第1HEV起動モードM2は、作動油の粘性が高くなる低温時や強電バッテリ12の低出力時のように、車両起動完了後にEVモードからHEVモードへ移行する際に第1クラッチ4の締結及びエンジン1の始動に時間がかかることによって車両駆動力の応答遅れが問題となることが想定される場合に選択される起動モードである。この第1HEV起動モードM2では、EV起動モードM1と同様、先ず強電接続フェーズP3において強電リレー14を接続して強電バッテリ12によりモータジェネレータ2を駆動可能な状態とする。続く起動前準備フェーズP4では、モータジェネレータ2を駆動し、このモータジェネレータ2の駆動に伴いオイルポンプ28が駆動されて油圧回路27内の油圧が上昇して、第1クラッチ4の締結に必要な油圧が確保されると、第1クラッチ4を締結して、モータジェネレータ2によりエンジン1のクランクシャフト1aを回転駆動するモータ・クランキングを行い、エンジン1を始動する。エンジン1の始動が完了すると、車両の起動を完了して車両走行可能フェーズP5へ進み、HEVモードによる車両の走行が可能な走行可能状態となる。

第3の車両起動モードである第2HEV起動モードM3は、極低温時や強電バッテリ12の極低出力時のように、モータジェネレータ2によるエンジン1の始動が不可能もしくは極めて困難と想定される状況で選択されるモードである。この第2HEV起動モードM3では、先ずスタータ制御フェーズP2へ進み、スタータ18によりエンジン1のクランクシャフト1aを回転駆動するスタータ・クランキングを行う。そして、このスタータ・クランキングによるエンジン1の始動完了後に、強電接続フェーズP3へ進み、強電リレー14を接続してモータジェネレータ2を駆動可能な状態とする。続く起動前準備フェーズP4では、モータジェネレータ2を駆動し、このモータジェネレータ2の駆動に伴いオイルポンプ28が駆動されて油圧回路27内の油圧が上昇して、第1クラッチ4の締結に必要な油圧が確保されると、第1クラッチ4を締結して、モータジェネレータ2の回転数とエンジン回転数とを同期させる。この第1クラッチ4の締結の際には、トルクショックを生じることのないように、例えばモータジェネレータ2の回転数を制御することで、モータジェネレータ2の回転数とエンジン回転数とを同期させつつ第1クラッチ4を徐々に締結させる。第1クラッチ4の締結が完了すると、車両の起動を完了して車両走行可能フェーズP5へと進み、HEVモードによる車両の走行が可能な走行可能状態となる。

図4は、上記の車両起動フェーズP1における車両起動モードの選択処理の内容を示すフローチャートであり、本ルーチンは、例えば車両起動要求の検出時に統合コントローラ25により実行される。

ステップS11では、車両温度が第2温度判定値以下の極低温状態であるか否かを判定する。第2温度判定値は、それ以上車両温度が低下するとモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が不可能又は極めて困難となる車両温度に相当する例えば−15℃前後の値であり、適合等により予め設定される。車両温度としては、上述した温度センサ37〜43により検出される検出温度が一つ又は複数用いられ、例えばエンジン水温、バッテリ温度、及び作動油温のいずれかが上記の第2温度判定値以下であれば、極低温状態であるとしてステップS11からステップS16へ進み、上記の第2HEV起動モードM3が選択される。

ステップS12では、バッテリ電圧センサ31により検出される強電バッテリ12のバッテリ出力(電圧)が所定の第2出力判定値以下であるかを判定する。第2出力判定値は、それ以上バッテリ出力が低下するとモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が不可能もしくは極めて困難となるバッテリ出力の値に相当する。バッテリ出力が第2出力判定値以下であれば、ステップS12からステップS16へ進み、上記の第2HEV起動モードM3が選択される。

図5は、ステップS12の判定に用いられる制御マップの一例を示している。同図に示すように、車両温度としてのエンジン水温が低くなるほど、モータジェネレータ2によるエンジン1の始動(モータ・クランキング)に必要な強電バッテリ12のバッテリ出力Poutは大きくなるために、第2出力判定値を示す第2出力判定テーブルPt2の値もまた、エンジン水温が低くなるほど低い値となっている。エンジン水温(車両温度)及びバッテリ出力に基づいて図5の制御マップをルックアップし、現在のエンジン水温及びバッテリ出力が第2出力判定テーブルPt2よりも左下のNG領域であれば、バッテリ出力Poutが第2出力判定値以下の極低出力状態であると判定される。

再び図4を参照して、ステップS13では、車両温度が第1温度判定値以下の低温状態であるか否かを判定する。第1温度判定値は、少なくとも上記の第2温度判定値よりも大きな値であり、それ以上車両温度が低下すると作動油の粘性が高くなって第1クラッチ4の締結に要する時間、つまりモータジェネレータ2によるエンジン1の始動(モータ・クランキング)に要する時間が長くなり、EVモードからHEVモードへの切換の際における車両駆動力の応答遅れが問題となる車両温度に相当する例えば0℃付近の値である。車両温度が第1温度判定値以下の低温状態であれば、ステップS13からステップS17へ進み、上記の第1HEV起動モードM2が選択される。

ステップS14では、バッテリ出力が所定の第1出力判定値以下であるかを判定する。第1出力判定値は、少なくとも上記の第2出力判定値よりも大きな値であり、それ以上バッテリ出力が低下するとモータジェネレータ2によるエンジン1の始動時間が長くかかり、EVモードからHEVモードへの切換の際における車両駆動力の応答遅れが問題となるバッテリ出力に相当する。バッテリ出力が第1出力判定値以下の低出力状態であれば、ステップS14からステップS17へ進み、上記の第1HEV起動モードM2が選択される。

図5を参照して、車両温度としてのエンジン水温が低くなるほど、モータジェネレータ2によるエンジン1の始動(モータ・クランキング)にかかる時間が長くなるために、第1出力判定値を示す第1出力判定テーブルPt1の値もまた、エンジン水温が低くなるほど低い値となっている。エンジン水温(車両温度)及びバッテリ出力に基づいて図5の制御マップをルックアップし、現在のエンジン水温及びバッテリ出力が第1出力判定テーブルPt1よりも左下のNG領域であれば、バッテリ出力Poutが第1出力判定値以下の低出力状態であると判定される。

再び図4を参照して、ステップS11〜S14の判定が全て否定されれば、ステップS15へ進み、EV起動モードM1が選択される。つまり、車両温度が少なくとも第1温度判定値(0℃程度)を超える常温の状態で、かつ、強電バッテリ12のバッテリ出力に余裕がある通常の状態では、エンジン1を始動しないEV起動モードM1が選択される。

以上のように本実施例では、車両起動要求の検出時に、車両温度と強電バッテリ12のバッテリ出力とに基づいて、上述した3つの車両起動モードM1〜M3のいずれかを選択するようにしたので、車両温度と強電バッテリ12の出力に応じた形で、確実かつ短時間に車両の起動を行うことができる。

特に、車両温度が第1温度判定値以下の低温時には、第1HEV起動モードM2(第2の車両起動モード)を選択し、モータジェネレータ2によりエンジン1を始動してから車両を走行可能状態としている。この理由は、低温時には、作動油の粘度が高くなって第1クラッチ4の締結に時間がかかり、モータジェネレータ2によるエンジンの始動に時間がかかる。このため、仮に低温時にEV起動モードM1により車両を起動した場合、車両が走行可能状態となった後に運転者によるアクセル操作等に応じてEVモードからHEVモードへ移行する際、第1クラッチ4の締結を伴うエンジン1の始動に時間がかかり、車両駆動力の増加に応答遅れを招くおそれがある。この結果、例えば急激な上り坂での車両発進時に、所期の車両駆動力が速やかに得られず、車両が後退するような印象を与えるおそれがある。

本実施例では、このような低温時には第1HEV起動モードM2を選択し、車両起動完了前に予め第1クラッチ4を締結してモータジェネレータ2によりエンジン1を始動しているために、EV起動モードM1を選択する場合に比して車両の起動に多少時間(5〜6秒程度)はかかるものの、車両走行可能状態となった後に、エンジン始動の遅れに伴う車両駆動力の応答遅れが生じることがなく、車両駆動力の応答性を向上することができる。また、スタータ18によりエンジン1を始動する第2HEV起動モードM3を選択する場合に比して、車両の起動に要する時間を短縮することができる。

また、強電バッテリ12のバッテリ出力が第1出力判定値以下の低出力時に、仮にEV起動モードM1で車両を起動すると、車両起動完了後にEVモードからHEVモードへ移行する際に、強電バッテリ12の出力不足によりモータジェネレータ2によるエンジン1の始動に時間がかかり、上記の低温時の場合と同様、車両駆動力の応答遅れを招くおそれがある。そこで、このような強電バッテリ12の低出力時にも、第1HEV起動モードM2(第2の車両起動モード)を選択し、モータジェネレータ2によりエンジン1を始動してから車両を走行可能状態としている。これによって、車両走行可能状態となった後に、エンジン始動の遅れに伴う車両駆動力の応答遅れが生じることがなく、車両駆動力の応答性を向上することができる。

車両温度が第2温度判定値以下の極低温時には、作動油の粘度が非常に高く、エンジン1の始動前に第1クラッチ4を締結することが不可能もしくは極めて困難となる。そこで本実施例では、このような極低温時には、第2HEV起動モードM3(第3の車両起動モード)を選択し、車両の起動に時間はかかるものの(長い場合、10秒以上)、車両起動完了前にスタータ18によりエンジン1を確実に始動する。

強電バッテリ12のバッテリ出力が第2出力判定値以下の極低出力時にも、強電バッテリ12の出力不足によりモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が不可能もしくは極めて困難であるために、第2HEV起動モードM3(第3の車両起動モード)を選択し、車両起動完了前にスタータ18によりエンジン1を確実に始動する。

第2HEV起動モードM3により車両を起動する場合、図3(C)に示すように、スタータ18によるエンジン1のクランキング時に、弱電バッテリ17の電圧が一時的・瞬間的に大きく低下する。このため、このスタータ18によるクランキング中に、仮に弱電バッテリ17からの電力供給により作動する強電リレー14を接続すると、チャタリングを生じるおそれがある。そこで、このような強電リレー14のチャタリングの発生を回避するために、スタータ18によるエンジン1の始動が完了した後に強電リレー14を接続して、モータジェネレータ2を駆動可能状態としている。

なお、上記実施例では強電バッテリ12のバッテリ出力に基づいて起動判定を行っているが、強電バッテリ12の充電状態(SOC)に基づいて起動判定を行ってもよい。具体的には、強電バッテリ12の充電残量が少なく、モータジェネレータ2によるエンジン1の始動ができない場合には、第2HEV起動モードM3を選択し、スタータ18によりエンジン1を確実に始動するようにしても良い。

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