車両走行制御装置

申请号 JP2016125182 申请日 2016-06-24 公开(公告)号 JP2017226372A 公开(公告)日 2017-12-28
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 大竹 宏忠;
摘要 【課題】 ヘルプネットセンタHNCへの通報を適切なタイミングにて行う。 【解決手段】 運転支援ECU10は、車両の運転者が、車両を運転する能 力 を失っている異常状態にあると最初に判定したとき、運転者の状態を「仮異常」に設定して、車両を減速させる。運転支援ECU10は、車速が設定車速にまで低下しても、運転者の異常状態が継続されている場合に、運転者の状態を「本異常」に変更し、この段階で、ヘルプネットセンタHNCに通報する。 【選択図】 図2
权利要求

車両に適用される車両走行制御装置であって、 前記車両の運転者が前記車両を運転する能を失っている異常状態にあるか否かの判定を継続的に行う異常判定手段と、 前記車両の現在位置を表す位置情報を取得する車両位置取得手段と、 前記運転者が前記異常状態にあると判定された時点である異常判定時点以降において前記車両の車速をゼロにまで低下させることにより前記車両を停止させる走行停止手段と、 救援要請手配を行うヘルプネットセンタに、前記運転者が異常状態にあるとの判定結果に基づいて、前記車両の位置情報を無線通信により送信する通報手段と を備え、 前記通報手段は、 前記運転者が前記異常状態にあるとの判定によって前記車両の減速が開始された後、前記車両が停止する前であって、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している状況において予め設定された通報許可条件が成立する時点まで待って、前記ヘルプネットセンタに前記車両の位置情報を送信するように構成された車両走行制御装置。請求項1に記載の車両走行制御装置において、 前記走行停止手段は、前記異常判定手段によって前記運転者が前記異常状態にあると最初に判定された時点である仮異常判定時から車両の減速を開始させるように構成され、 前記通報許可条件は、前記異常判定手段の前記判定の精度が、前記仮異常判定時の判定の精度よりも高くなった状況において成立する、車両走行制御装置。請求項2に記載の車両走行制御装置において、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記車両の車速が予め設定したゼロより大きな設定車速まで低下したときに成立する、車両走行制御装置。請求項2に記載の車両走行制御装置において、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している時間が設定時間に到達したときに成立する、車両走行制御装置。請求項2に記載の車両走行制御装置において、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記車両の車速が予め設定したゼロより大きな設定車速まで低下しており、かつ、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している継続時間が設定時間に到達しているときに成立し、 前記走行停止手段は、前記仮異常判定時から前記車両の減速を開始させるとともに、前記継続時間が前記設定時間に到達しないうちに前記車両の車速が前記設定車速まで低下した場合には、前記車両の車速を維持させ、前記継続時間が前記設定時間に到達した以後に、前記車両の減速を再開させるように構成された車両走行制御装置。

说明书全文

本発明は、運転者が車両を運転する能を失っている異常状態に陥った場合に、その車両の車速を低下させてその車両を停止させる車両走行制御装置に関する。

従来から、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態(例えば、居眠り運転状態及び心身機能停止状態等)に陥っているか否かを判定し、そのような判定がなされた場合に車両を減速させる装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。なお、以下において、「運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態」を単に「異常状態」とも称呼し、「運転者が異常状態にあるか否かの判定」を、単に「運転者の異常判定」とも称呼する。

特開2009−73462号公報

運転者が異常状態となった場合には、ヘルプネットワークシステムを利用して救急機関への救助要請を行うことができる。ヘルプネットワークシステムにおいては、異常発生現場から救助要請を受け付けるヘルプネットセンタが設けられており、このヘルプネットセンタに通報することにより現地の救急機関への出動要請が行われる。例えば、ヘルプネットセンタは、異常状態となった運転者が乗っている車両の通信装置から送信される車両位置情報を取得し、その車両位置への救急車の出動要請、レスキュー隊の出動要請、および、道路管理会社への停止車両に対する他車両への対応(電光掲示板の表示、走行規制標識の設置等であって、以下、他車両対応と称呼する)の要請など行う。

運転者が異常状態となった場合には、できるだけ早くヘルプネットセンタに通報して、運転者を救助することが望ましい。また、運転者の異常状態が検知されて、車両走行制御装置が車両を減速させる、あるいは、停止させる場合には、できるだけ早く道路管理会社に通報することが望ましい。

しかしながら、従来の装置においては、ヘルプネットセンタへの通報タイミングに関して考慮がなされていない。例えば、運転者の異常状態が推定された段階で直ちに通報するようにした場合には、異常状態の誤推定による誤通報につながりやすく、逆に、車両を停止させた後に通報していては、運転者の救出が遅くなってしまう。

本発明は、上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、ヘルプネットセンタへの通報を適切なタイミングにて行うことができる車両走行制御装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明の車両走行制御装置の特徴は、 車両に適用される車両走行制御装置であって、 前記車両の運転者が前記車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を継続的に行う異常判定手段(10,S13,S22,S34)と、 前記車両の現在位置を表す位置情報を取得する車両位置取得手段(10,100,101)と、 前記運転者が前記異常状態にあると判定された時点である異常判定時点以降において前記車両の車速をゼロにまで低下させることにより前記車両を停止させる走行停止手段(10、30,40,S24,S36)と、 救援要請手配を行うヘルプネットセンタに、前記運転者が異常状態にあるとの判定結果に基づいて、前記車両の位置情報を無線通信により送信する通報手段(10,110,111,S32)と を備え、 前記通報手段は、 前記運転者が前記異常状態にあるとの判定によって前記車両の減速が開始された後、前記車両が停止する前であって、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している状況において予め設定された通報許可条件が成立する時点まで待って(10,S25:Yes,S203:Yes)、前記ヘルプネットセンタに前記車両の位置情報を送信するように構成されたことにある。

本発明においては、異常判定手段が、車両の運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かの判定を継続的に行う。運転者の異常判定は、後述するように、種々の方法により実行することができる。例えば、この異常判定は、運転者が車両を運転するための操作を行わない状態(運転無操作状態)が閾値時間(運転者異常判定閾値時間)以上に渡って継続したか否か、或いは、運転者が確認ボタンの押動操作を促されても当該確認ボタンを押動操作しない状態が閾値時間以上に渡って継続したか否か、等を判定することにより実行され得る。或いは、この異常判定は、特開2013−152700号公報等に開示されている所謂「ドライバモニタ技術」を用いても実行され得る。

車両位置取得手段は、車両の現在位置を表す位置情報を取得する。走行停止手段は、運転者が異常状態にあると判定された時点である異常判定時点以降において車両の車速をゼロにまで低下させることにより車両を停止させる。また、通報手段は、救援要請手配を行うヘルプネットセンタに、運転者が異常状態にあるとの判定結果に基づいて、車両の位置情報を無線通信により送信する。この車両の位置情報をヘルプネットセンタに送信することは、運転者が異常状態である旨をヘルプネットセンタに通報することを意味する。従って、以下、ヘルプネットセンタに車両の位置情報を送信することを通報と称呼する。

これにより、例えば、その車両位置への救急車の出動要請、および、道路管理会社への他車両対応の要請などを早期に行うことができる。

しかし、運転者が異常状態にあると判定された時点で直ちにヘルプネットセンタに通報するようにした場合には、異常状態の誤検出による誤通報につながりやすく、一方で、車両を停止させた後に通報していては、運転者の救出が遅くなってしまう。

そこで、通報手段は、運転者が異常状態にあるとの判定によって車両の減速が開始された後、車両が停止する前であって、運転者が異常状態にあるとの判定が継続している状況において予め設定された通報許可条件が成立する時点まで待って、ヘルプネットセンタに通報する。従って、この通報許可条件が成立するまでの間に、運転者が異常状態にあるとの判定が覆った場合には、ヘルプネットセンタへの通報を行わないようにすることができる。例えば、実際には運転者が異常状態に陥ってはいない状況であれば、運転者に車両の減速に気が付かせてアクセル操作などの反応を誘導することができる。こうした運転者の反応があれば、運転者が異常状態にあるとの判定を取り消すことができる。一方、運転者が異常状態にあるとの判定を取り消す要素が無いまま(例えば、運転者の反応が無いまま)通報許可条件が成立した場合には、車両が停止する前である早いタイミングにてヘルプネットセンタに通報することができる。

この結果、本発明によれば、ヘルプネットセンタへの通報を適切なタイミングにて行うことができる。

本発明の一側面の特徴は、 前記走行停止手段は、前記異常判定手段によって前記運転者が前記異常状態にあると最初に判定された時点である仮異常判定時から車両の前記減速を開始させるように構成され(S17,S24)、 前記通報許可条件は、前記異常判定手段の前記判定の精度が、前記仮異常判定時の判定の精度よりも高くなった状況において成立する(S25:Yes,S27)ことにある。

本発明の一側面によれば、運転者が異常状態にあると最初に判定された時点である仮異常判定時から車両を減速させるため、早いタイミングにて車両の減速を開始することができる。一方、通報許可条件は、異常判定手段の判定の精度が、車両が停止する前であって、仮異常判定時の判定の精度よりも高くなった状況において成立する。従って、ヘルプネットセンタへの通報を適切なタイミングにて行うことができ、ヘルプネットセンタへの誤報を低減することができる。

本発明の一側面の特徴は、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記車両の車速が予め設定したゼロより大きな設定車速(SPD1)まで低下したときに成立する(S25:Yes)ことにある。

本発明の一側面によれば、仮異常判定時から車両の減速が開始され、その後、運転者が異常状態にあるとの判定が継続している状況で車両の車速が予め設定したゼロより大きな設定車速まで低下したときに通報許可条件が成立する。従って、仮異常判定時から、車速が設定車速に低下するまでの期間中に、運転者が異常状態にあるか否かの判定を継続させることができる。このため、通報許可条件が成立する時点においては、異常判定手段の判定の精度が、仮異常判定時の判定の精度よりも高くなった状況になっている。これにより、ヘルプネットセンタへの誤報を低減することができる。

本発明の一側面の特徴は、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している時間が設定時間(t2ref)に到達したときに成立する(S203:Yes)ことにある。

本発明の一側面によれば、仮異常判定時から車両の減速が開始され、その後、運転者が異常状態にあるとの判定が継続している時間が設定時間に到達したときに通報許可条件が成立する。従って、仮異常判定時から、設定時間が経過するまでの期間中に、運転者が異常状態にあるか否かの判定を継続させることができる。このため、通報許可条件が成立するときには、異常判定手段の判定の精度が、仮異常判定時の判定の精度よりも高くなった状況になっている。これにより、ヘルプネットセンタへの誤報を低減することができる。

本発明の一側面の特徴は、 前記通報許可条件は、前記車両の減速が開始された後、前記車両の車速が予め設定したゼロより大きな設定車速まで低下しており、かつ、前記運転者が異常状態にあるとの判定が継続している継続時間が設定時間に到達しているときに成立し(S25:Yes,S203:Yes)、 前記走行停止手段は、前記仮異常判定時から前記車両の減速を開始させる(S24)とともに、前記継続時間が前記設定時間に到達しないうちに前記車両の車速が前記設定車速まで低下した場合には(S203:No)、前記車両の車速を維持させ(S204)、前記継続時間が前記設定時間に到達した以後に(S203:Yes)、前記車両の減速を再開させる(S36)ように構成されたことにある。

本発明の一側面によれば、仮異常判定時から車両の減速が開始される。車両の減速が開始された後、運転者が異常状態にあるとの判定が継続している状況で車速が設定車速まで低下した場合であって、車両の減速が開始された後における運転者が異常状態にあるとの判定が継続している継続時間が設定時間に到達している場合には、通報許可条件が成立する。

一方、車速が設定車速まで低下した場合であっても、上記継続時間が設定時間に到達していない場合には、通報許可条件は成立しない。この場合、走行停止手段が、車両の車速を維持させる。例えば、それまで減速状態にあった車両を、その時点における車速で定速走行させる。これにより、上記継続時間が設定時間に到達するまでの期間において、運転者が異常状態にあるか否かの判定を継続させることができる。つまり、異常判定手段の判定精度を上げることができる。

そして、上記継続時間が設定時間に到達すると、通報許可条件が成立する。また、走行停止手段は、車両の減速を再開させる。これにより、車両を停止させる前に、運転者が異常状態にあるか否かの判定時間を十分に確保することができ、ヘルプネットセンタへの通報を一層適切なタイミングにて行うことができる。

上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。

本発明の実施形態に係る車両走行制御装置の概略構成図である。

ヘルプネットワークシステムの概略構成図である。

正常時ルーチンを表すフローチャートである。

仮異常時ルーチンを表すフローチャートである。

本異常時ルーチンを表すフローチャートである。

仮異常時ルーチンの変形例1を表すフローチャートである。

仮異常時ルーチンの変形例2を表すフローチャートである。

以下、本発明の実施形態に係る車両走行制御装置(運転支援装置)について図面を参照しながら説明する。

本発明の実施形態に係る車両走行制御装置は、図1に示したように、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される場合がある。)に適用され、運転支援ECU10、エンジンECU30、ブレーキECU40、電動パーキングブレーキECU50、ステアリングECU60、メータECU70、警報ECU80、ボディECU90、ナビゲーションECU100、および、外部通信ECU110を備えている。

これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。

運転支援ECU10は、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。なお、各センサは、運転支援ECU10以外のECUに接続されていてもよい。その場合、運転支援ECU10は、センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。

アクセルペダル操作量センサ11は、自車両のアクセルペダル11aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。 ブレーキペダル操作量センサ12は、自車両のブレーキペダル12aの操作量を検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を出力するようになっている。 ストップランプスイッチ13は、ブレーキペダル12aが踏み込まれていないとき(操作されていないとき)にローレベル信号を出力し、ブレーキペダル12aが踏み込まれたとき(操作されているとき)にハイレベル信号を出力するようになっている。

センサ14は、自車両の操舵角を検出し、操舵角θを表す信号を出力するようになっている。 操舵トルクセンサ15は、操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。 車速センサ16は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速SPDを表す信号を出力するようになっている。

レーダセンサ17aは、自車両の前方の道路、及び、その道路に存在する立体物に関する情報を取得するようになっている。立体物は、例えば、歩行者、自転車及び自動車などの移動物、並びに、電柱、樹木及びガードレールなどの固定物を表す。以下、これらの立体物は「物標」と称呼される場合がある。

レーダセンサ17aは、何れも図示しない「レーダ送受信部と信号処理部」とを備えている。 レーダ送受信部は、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を自車両の前方領域を含む自車両の周辺領域に放射し、放射範囲内に存在する物標によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。 信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、検出した各物標に対する、車間距離(縦距離)、相対速度、横距離、及び、相対横速度等を所定時間の経過毎に取得する。

カメラ装置17bは、何れも図示しない「ステレオカメラ及び画像処理部」を備えている。 ステレオカメラは、車両前方の左側領域及び右側領域の風景を撮影して左右一対の画像データを取得する。 画像処理部は、ステレオカメラが撮影した左右一対の画像データに基づいて、物標の有無及び自車両と物標との相対関係などを演算して出力するようになっている。

なお、運転支援ECU10は、レーダセンサ17aによって得られた自車両と物標との相対関係と、カメラ装置17bによって得られた自車両と物標との相対関係と、を合成することにより、自車両と物標との相対関係(物標情報)を決定するようになっている。更に、運転支援ECU10は、カメラ装置17bが撮影した左右一対の画像データ(道路画像データ)に基づいて、道路の左及び右の白線などのレーンマーカー(以下、単に「白線」と称呼する。)を認識し、道路の形状(道路の曲がり方の程度を示す曲率半径)、及び、道路と車両との位置関係等を取得するようになっている。加えて、運転支援ECU10は、カメラ装置17bが撮影した画像データに基いて、路側壁が存在するか否かについての情報も取得できるようになっている。

操作スイッチ18は、運転者により操作されるスイッチである。運転者は、操作スイッチ18を操作することにより、車線維持制御(LKA:レーン・キーピング・アシスト制御)を実行するか否かを選択することができる。更に、運転者は、操作スイッチ18を操作することにより、追従車間距離制御(ACC:アダプティブ・クルーズ・コントロール)を実行するか否かを選択することができる。

ヨーレートセンサ19は、自車両のヨーレートを検出し、実ヨーレートYRaを出力するようになっている。

確認ボタン20は、運転者により操作可能な位置に配設されていて、操作されていない場合にはローレベル信号を出力し、押動操作されるとハイレベル信号を出力するようになっている。

運転支援ECU10は、LKA及びACCを実行できるようになっている。更に、運転支援ECU10は、後述するように、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かを判定するとともに、運転者が異常状態にあると判定した場合に適切な処理を行うための各種制御を行うようになっている。

エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31に接続されている。エンジンアクチュエータ31は内燃機関32の運転状態を変更するためのアクチュエータである。本例において、内燃機関32はガソリン燃料噴射・火花点火式・多気筒エンジンであり、吸入空気量を調整するためのスロットル弁を備えている。エンジンアクチュエータ31は、少なくとも、スロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を駆動することによって、内燃機関32が発生するトルクを変更することができる。内燃機関32が発生するトルクは図示しない変速機を介して図示しない駆動輪に伝達されるようになっている。従って、エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を制御することによって、自車両の駆動力を制御し加速状態(加速度)を変更することができる。

ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41に接続されている。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構42との間の油圧回路に設けられる。摩擦ブレーキ機構42は、車輪に固定されるブレーキディスク42aと、車体に固定されるブレーキキャリパ42bとを備える。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキECU40からの指示に応じてブレーキキャリパ42bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41を制御することによって、自車両の制動力を制御することができる。

電動パーキングブレーキECU(以下、「EPB・ECU」と称呼される場合がある。)50は、パーキングブレーキアクチュエータ(以下、「PKBアクチュエータ」と称呼される場合がある。)51に接続されている。PKBアクチュエータ51は、ブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けるか、ドラムブレーキを備えている場合には車輪とともに回転するドラムにシューを押し付けるためのアクチュエータである。従って、EPB・ECU50は、PKBアクチュエータ51を用いてパーキングブレーキ力を車輪に加え、車両を停止状態に維持することができる。

ステアリングECU60は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置であって、モータドライバ61に接続されている。モータドライバ61は、転舵用モータ62に接続されている。転舵用モータ62は、図示しない車両の「操舵ハンドル、操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。転舵用モータ62は、モータドライバ61から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを加えたり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。

メータECU70は、図示しないデジタル表示式メータに接続されるとともに、ハザードランプ71及びストップランプ72にも接続されている。メータECU70は、運転支援ECU10からの指示に応じて、ハザードランプ71を点滅させることができ、且つ、ストップランプ72を点灯させることができる。

警報ECU80は、ブザー81及び表示器82に接続されている。警報ECU80は、運転支援ECU10からの指示に応じてブザー81を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができ、且つ、表示器82に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたり、警告メッセージを表示したり、運転支援制御の作動状況を表示したりすることができる。

ボディECU90は、ドアロック装置91、および、ホーン92に接続されている。ボディECU90は、運転支援ECU10からの指示に応じて、ドアロック装置91の解除を行うことができる。また、ボディECU90は、運転支援ECU10からの指示に応じて、ホーン92を鳴動させることができる。

ナビゲーションECU100は、自車両の現在位置を検出するためのGPS信号を受信するGPS受信機101、地図情報等を記憶した地図データベース102、及び、ヒューマンマシンインターフェースであるタッチパネル式ディスプレイ103等と接続されている。ナビゲーションECU100は、GPS信号に基づいて現時点の自車両の位置を特定するとともに、自車両の位置及び地図データベース102に記憶されている地図情報等に基づいて各種の演算処理を行い、ディスプレイ103を用いて経路案内を行う。

地図データベース102に記憶されている地図情報には、道路情報が含まれている。道路情報には、その道路の区間毎における道路の形状を示すパラメータ(例えば、道路の曲がり方の程度を示す道路の曲率半径又は曲率)が含まれている。なお、曲率は曲率半径の逆数である。

外部通信ECU110は、無線通信装置111に接続されている。外部通信ECU110および無線通信装置111は、ヘルプネットワークシステムに接続するための無線通信端末である。図2に示すように、ヘルプネットワークシステムHNSは、通信網CNと、通信網に接続されているヘルプネットセンタHNCと、通信網CNに接続されている消防署FS、警察署CS、および、道路管理会社RS(これらを現場処理部門と称呼することもある)と、通信網CNに接続されている無線中継基地局RAと、このシステムのユーザの保有するユーザ通信端末UTとを含んで構成される。このユーザ通信端末UTの1つが、外部通信ECU110(無線通信装置111を含む)に相当する。尚、通信網CNに接続されているヘルプネットセンタHNC、消防署FS、警察署CS、および、道路管理会社RSとは、それらの施設にそれぞれ設けられた通信装置を意味している。

外部通信ECU110は、運転支援ECU10からヘルプネット接続指令を受けると、無線通信装置111を作動させてヘルプネットセンタHNCと通信接続を行う。ヘルプネットセンタHNCは、不特定多数のユーザ通信端末UTと送受信するための通信装置を備えている。本明細書において、「ヘルプネットセンタと通信する」とは、ヘルプネットセンタHNCに設けられている通信装置と通信をすることを意味する。

また、外部通信ECU110には、ヘルプネットセンタHNCのオペレータと通話をするためのマイク、および、スピーカが備わっており、車内からオペレータに現地の情報を知らせることもできるようになっている。更に、外部通信ECU110には、ヘルプネットセンタHNCを呼び出すための呼び出しボタンも備わっている。尚、本実施形態においては、運転者が運転操作を行うことができない異常状態にあるとき、つまり、これらの機能を使ってオペレータと通話を行えない状況における処理について説明する。

外部通信ECU110は、運転支援ECU10からヘルプネット接続指令を受けた場合、GPS受信機21で検出された自車両の現在位置をナビゲーションECU100から取得し、この現在位置を表す車両位置情報と、自車両を特定するID番号(例えば、車両番号)とを含んだ信号(ヘルプ信号と称呼する)をヘルプネットセンタHNCに送信する。後述するように、運転支援ECU10は、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあるか否かについての判定を車両走行中において継続的に行い、運転者が異常状態にあると判定したときに、外部通信ECU110に対してヘルプネット接続指令を送信する。外部通信ECU110は、このヘルプネット接続指令に基づいて、無線通信装置111を使ってヘルプ信号をヘルプネットセンタHNCに送信する。

ヘルプネットセンタHNCは、ヘルプ信号を受信すると、ヘルプ信号を送信した車両の位置を管轄する現場処理部門を検索し、検索された現場処理部門に各種情報を送信する。現場処理部門は、ヘルプネットセンタHNCから送信された各種情報に基づいて、現地に救急車、警察車両等の緊急車両を出動させて、運転者の救出、および、運転者の病院への搬送を行うとともに、他車両対応処置(電光掲示板の表示、走行規制標識の設置など)を行う。

<制御処理の概要> 次に、運転支援ECU10の行う制御処理の概要について説明する。運転支援ECU10は、車両が走行しているときに、「運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態(単に、異常状態と称呼する)」にあるか否かについて繰り返し判定する。運転支援ECU10は、運転者の現時点の状態を、「正常」、「仮異常」、および、「本異常」の3つ段階に分け、各段階に応じた処理を行う。運転支援ECU10は、運転者が異常状態であると最初に判定したときに、運転者の状態を、それまでに設定されていた「正常」から「仮異常」に変更する。

運転支援ECU10は、運転者の状態を「仮異常」に設定した場合、運転者に対して運転操作を促すための警告を行うとともに、車両を強制的に一定の減速度で所定速度まで減速させる。この場合、運転支援ECU10は、車線維持制御(LKA)が実行されていない場合には、車線維持制御を開始することが好ましい。

運転者が警告、あるいは、車両の減速に気が付いて運転操作を再開させた場合、運転支援ECU10は、運転者の運転操作を検出して、運転者の状態を、それまでに設定されていた「仮異常」から「正常」に戻す。この場合、それまでに行われていた運転者への警告、および、自車両の減速が終了される。

一方、運転者が運転操作を行わないまま、自車両の車速が所定速度まで低下した場合には、運転者が異常状態にあるという蓋然性が非常に高い。そこで、運転支援ECU10は、運転者の状態を「本異常」に設定し、ヘルプネットセンタHNCへのヘルプ信号の送信を開始するとともに、一定の減速度による減速によって車両を停止させる。これにより、ヘルプネットセンタHNCへの誤報(運転者が実際には異常状態ではないにも関わらず、ヘルプ信号を送信すること)が抑制され、かつ、ヘルプネットセンタHNCへの通報の遅れが防止される。

こうした車両の走行制御は、追従車間距離制御(ACC)が実行されている状況において、運転者の異常が検出された場合に行われる。追従車間距離制御が実行されている場合には、運転者のアクセルペダル操作無しに車両走行が行われる。そのため、運転者の異常が検出されている場合には、追従車間距離制御に代えて、所定の目標減速度に従って車両を減速させる減速制御が行われる。

ここで、先ず、車線維持制御及び追従車間距離制御から説明する。

<車線維持制御(LKA)> 車線維持制御(以下、LKAと呼ぶ)は、自車両の位置が「その自車両が走行しているレーン(走行車線)」内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構に付与して運転者の操舵操作を支援する制御である。LKA自体は周知である(例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号明細書、等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。

運転支援ECU10は、操作スイッチ18の操作によってLKAが要求されている場合、LKAを実行する。運転支援ECU10は、LKAが要求されている場合に、カメラ装置17bから送信された画像データに基づいて自車両が走行している車線の「左白線LL及び右白線LR」を認識(取得)し、それらの一対の白線の中央位置を目標走行ラインLdとして決定する。更に、運転支援ECU10は、目標走行ラインLdのカーブ半径(曲率半径)Rと、左白線LLと右白線LRとで区画される走行車線における自車両の位置及び向きと、を演算する。

そして、運転支援ECU10は、自車両の前端中央位置と目標走行ラインLdとのあいだの道路幅方向の距離Dc(以下、「センター距離Dc」と称呼する。)と、目標走行ラインLdの方向と自車両の進行方向とのずれ角θy(以下、「ヨー角θy」と称呼する。)と、を演算する。

更に、運転支援ECU10は、センター距離Dcとヨー角θyと道路曲率ν(=1/曲率半径R)とに基づいて、下記の(1)式により、目標ヨーレートYRc*を所定の演算周期にて演算する。(1)式において、K1、K2及びK3は制御ゲインである。目標ヨーレートYRc*は、自車両が目標走行ラインLdに沿って走行できるように設定されるヨーレートである。 YRc*=K1×Dc+K2×θy+K3×ν …(1)

運転支援ECU10は、この目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRaとに基づいて、目標ヨーレートYRc*を得るための目標操舵トルクTr*を所定の演算周期にて演算する。より具体的に述べると、運転支援ECU10は、目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRaとの偏差と目標操舵トルクTr*との関係を規定したルックアップテーブルを予め記憶しており、このテーブルに目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRaとの偏差を適用することにより目標操舵トルクTr*を演算する。そして、運転支援ECU10は、実際の操舵トルクTraが目標操舵トルクTr*に一致するように、ステアリングECU60を用いて転舵用モータ62を制御する。尚、LKAは、あくまでも自車両が目標走行ラインに沿って走行するように運転者のハンドル操作を支援するものであり、運転者の手放し運転が許されるものではない。従って、運転者は、操舵ハンドルを握っていることが要求される。以上が、LKAの概要である。

<追従車間距離制御(ACC)> 追従車間距離制御(以下、ACCと呼ぶ)は、物標情報に基づいて、自車両の直前を走行している先行車と自車両との車間距離を所定の距離に維持しながら、自車両を先行車に追従させる制御である。ACC自体は周知である(例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。

運転支援ECU10は、操作スイッチ18の操作によってACCが要求されている場合、ACCを実行する。

より具体的に述べると、運転支援ECU10は、ACCが要求されている場合、レーダセンサ17aおよびカメラ装置17bにより取得した物標情報に基づいて追従対象車両を選択する。例えば、運転支援ECU10は、検出した物標(n)の横距離Dfy(n)と車間距離Dfx(n)とから特定される物標(n)の相対位置が、車間距離が長くなるほど横距離が短くなるように予め定められた追従対象車両エリア内に存在するか否かを判定する。そして、その物標の相対位置が追従対象車両エリア内に所定時間以上に渡って存在する場合、その物標(n)を追従対象車両として選択する。

更に、運転支援ECU10は、目標加速度Gtgtを下記(2)式及び(3)式の何れかに従って算出する。(2)式及び(3)式において、Vfx(a)は追従対象車両(a)の相対速度であり、k1及びk2は所定の正のゲイン(係数)であり、ΔD1は「追従対象車両(a)の車間距離Dfx(a)から目標車間距離Dtgt」を減じることにより得られる車間偏差(=Dfx(a)−Dtgt)である。なお、目標車間距離Dtgtは、運転者により操作スイッチ18を用いて設定される目標車間時間Ttgtに自車両の車速SPDを乗じることにより算出される(即ち、Dtgt=Ttgt・SPD)。

運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が正又は「0」の場合に下記(2)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。ka1は、加速用の正のゲイン(係数)であり、「1」以下の値に設定されている。 運転支援ECU10は、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が負の場合に下記(3)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。kd1は、減速用のゲイン(係数)であり、本例においては「1」に設定されている。 Gtgt(加速用)=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(2) Gtgt(減速用)=kd1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(3)

なお、追従対象車両エリアに物標が存在しない場合、運転支援ECU10は、自車両の車速SPDが「目標車間時間Ttgtに応じて設定される目標速度」に一致するように、目標速度と車速SPDに基づいて目標加速度Gtgtを決定する。

運転支援ECU10は、自車両の加速度が目標加速度Gtgtに一致するように、エンジンECU30を用いてエンジンアクチュエータ31を制御するとともに、必要に応じてブレーキECU40を用いてブレーキアクチュエータ41を制御する。以上が、ACCの概要である。

<具体的な制御ルーチン> 次に、運転支援ECU10に実施する走行制御処理について説明する。運転支援ECU10は、図3に示す正常時ルーチンと、図4に示す仮異常時ルーチンと、図5に示す本異常時ルーチンとを所定の演算周期にて並行して実施することによって、車両の走行制御を実施すると同時に、ヘルプネットセンタHNCへの通報を制御する。

運転支援ECU10は、運転者の現時点の状態を「正常」、「仮異常」、「本異常」に分けて設定し、その設定された状態を記憶する。運転者の状態を表す情報として、仮異常フラグF1、および、本異常フラグF2が用いられる。仮異常フラグF1は、その値が「1」の場合に、運転者の現時点の状態が「仮異常」であることを表す。本異常フラグF2は、その値が「1」の場合に、運転者の現時点の状態が「本異常」であることを表す。仮異常フラグF1および本異常フラグF2が共に値「0」である場合には、運転者の現時点の状態が「正常」であることを表す。イグニッションキーがオン操作された時点においては、仮異常フラグF1、および、本異常フラグF2は、イニシャライズされ、それぞれ値「0」に設定される(F1=0,F2=0)。

イグニッションスイッチがオン操作されると、図3、図4、図5のルーチンが起動する。この場合、仮異常フラグF1および本異常フラグF2がイニシャライズ(F1=0,F2=0)されているため、実質的には、図3の正常時ルーチンが機能することになる。以下、図3の正常時ルーチンから説明する。尚、図3の正常時ルーチンは、ACCが実行されている場合において作動する。

正常時ルーチンが開始されると、運転支援ECU10は、ステップS11において、仮異常フラグF1および本異常フラグF2が共に「0」であるか否かについて判定する。イグニッションスイッチがオン操作された直後では、仮異常フラグFおよび本異常フラグF2はイニシャライズされているため、「Yes」と判定される。この場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS12に進めて、車速SPDが予め設定された異常判定許可車速SPD0以上であるか否かについて判定する。運転支援ECU10は、車速SPDが異常判定許可車速SPD0に達していない場合には、この正常時ルーチンを一旦終了する。尚、この異常判定許可車速SPD0は、後述する第1車速SPD1よりも高い値に設定されている。

こうした判断処理が繰り返されて、車速SPDが異常判定許可車速SPD0に達していると判定された場合(S12:Yes)、運転支援ECU10は、ステップS13において、運転者が運転操作をしていない状態(運転無操作状態)であるか否かについて判定する。この運転無操作状態とは、運転者によって変化する「アクセルペダル操作量AP、ブレーキペダル操作量BP、操舵トルクTra及びストップランプスイッチ13の信号レベル」の一つ以上の組み合わせからなるパラメータの何れもが変化しない状態である。本実施形態においては、運転支援ECU10は、「アクセルペダル操作量AP、ブレーキペダル操作量BP及び操舵トルクTra」の何れもが変化せず、且つ、操舵トルクTraが「0」のままである状態を運転無操作状態と見做す。

現時点が運転無操作状態でない場合(S13:No)、運転支援ECU10は、ステップS14において、仮異常判定タイマt1の値をゼロクリアして、正常時ルーチンを一旦終了する。この仮異常判定タイマt1は、イグニッションオン操作時に、その値が「0」に設定されている。

こうした処理が繰り返され、運転無操作状態が検出されると、運転支援ECU10は、ステップS15において、仮異常判定タイマt1の値を「1」だけ増加させる。従って、この仮異常判定タイマt1の値は、運転無操作状態が継続している時間を表している。

続いて、運転支援ECU10は、ステップS16において、仮異常判定タイマt1の値が予め設定された仮異常確定時間t1ref以上であるが否かについて判断する。運転無操作状態の継続時間が仮異常確定時間t1ref未満であれば、運転支援ECU10は、正常時ルーチンを一旦終了する。

こうした処理が繰り返され、その途中で、運転者の操作が検出された場合(S13:No)には、ステップS14において、仮異常判定タイマt1の値がゼロクリアされる。

一方、運転者の運転操作が検出されないまま、仮異常判定タイマt1の値が仮異常確定時間t1refに到達すると(S16:Yes)、運転支援ECU10は、その処理をステップS17に進めて、仮異常フラグF1を「1」に設定する。この仮異常フラグF1が「1」に設定されたタイミングが、運転支援ECU10が、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態であると最初に判定した(異常状態であると仮に判定した)タイミングである。仮異常フラグF1が「1」に設定された場合、その後、ステップS11における判定は、「No」となり、実質的には、正常時ルーチン(図3)に代わって、仮異常時ルーチン(図4)が機能することになる。

尚、仮異常フラグF1が「1」に設定されている場合、および、本異常フラグF2が「1」に設定されている場合には、運転支援ECU10は、LKAを自動的に実行するとよい。つまり、操作スイッチ18によってLKAの実行が選択されていない場合であっても、強制的にLKAを実行することが好ましい。これにより、運転者が操舵操作をしていなくても、自車両を目標走行ライン(左右の白線の中央位置)に沿って走行させることができる。また、仮異常フラグF1が「1」に設定されている場合、および、本異常フラグF2が「1」に設定されている場合には、運転支援ECU10は、ACCを中止して、後述するように車両を減速走行させる。

運転支援ECU10は、仮異常時ルーチン(図4)を開始すると、ステップS21において、仮異常フラグF1が「1」であるか否かについて判定する。仮異常フラグF1が「1」に設定された直後においては、「Yes」と判定され、運転支援ECU10は、その処理をステップS22に進める。運転支援ECU10は、ステップS22において、運転者が運転操作をしていない状態(運転無操作状態)であるか否かについて判定する。この判定は、ステップS13の判定処理と同一である。運転無操作状態である場合(S22:Yes)、運転支援ECU10は、その処理をステップS23に進めて、警報ECU80に対して、運転無操作警告指令を出力する。これにより、警報ECU80は、ブザー81から警告音を発生させ、表示器82にてウォーニングランプを点滅させるとともに、「アクセルペダル11a、ブレーキペダル12a及び操舵ハンドルSW」の何れかを操作することを促す警告メッセージを表示する。

続いて、運転支援ECU10は、ステップS24において、自車両を予め設定された一定の第1減速度α1にて減速させる。この場合、運転支援ECU10は、車速センサ16からの信号に基づいて取得される車速SPDの単位時間あたりの変化量から自車両の加速度を求め、その加速度を第1減速度α1と一致させるための指令信号をエンジンECU30及びブレーキECU40に出力する。本実施形態においては、この第1減速度α1は、絶対値が極めて小さい減速度に設定されている。

続いて、運転支援ECU10は、ステップS25において、車速SPDが予め設定された第1車速SPD1以下になったか否かについて判定し、車速SPDが第1車速SPD1よりも高い場合(S25:NO)、仮異常時ルーチンを一旦終了する。第1車速SPD1は、仮異常時における車速下限値であって、ゼロよりも高い値に設定されている。

こうした処理が繰り返され、その途中で運転者の運転操作が検出された場合(S22:NO)、運転支援ECU10は、その処理をステップS26に進めて、仮異常フラグF1を「0」に設定する。つまり、運転支援ECU10は、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態であるとの判定を取り下げ、運転者の状態を「正常」に設定する。この場合、実質的には、仮異常時ルーチン(図4)に代わって、上述した正常時ルーチン(図3)が機能することになる。

上述したような運転者への警告、および、車両の減速によって、運転者は、運転操作を行う(例えば、車両の減速に気が付いてアクセルペダル踏み込み操作を行う)はずであるが、運転操作が検出されない場合には、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にある蓋然性が高い。そこで、運転支援ECU10は、運転者の運転操作が検出されないまま、車速SPDが第1車速SPD1以下となった場合(S25:Yes)には、ステップS27において、仮異常フラグF1に代えて本異常フラグF2を「1」に設定する。つまり、仮異常フラグF1を「0」、本異常フラグF2を「1」に設定する。

従って、ステップS17において、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態であるとの最初の判定(仮の判定)に比べて、運転者の異常状態の判定精度(推定精度)が高くなったタイミング(S25:Yes)にて、本異常フラグF2が「1」に設定される。本異常フラグF2が「1」に設定された場合、その後、ステップS21における判定は、「No」となり、実質的には、仮異常時ルーチン(図4)に代わって、本異常時ルーチン(図5)が機能することになる。

運転支援ECU10は、本異常時ルーチンを開始すると、ステップS31において、本異常フラグF2が「1」であるか否かについて判定する。本異常フラグF2が「1」に設定された直後においては、「Yes」と判定され、運転支援ECU10は、その処理をステップS32に進める。運転支援ECU10は、ステップS32において、外部通信ECU110にヘルプネット接続指令を出力する。これにより、無線通信装置111からヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号が送信される。ヘルプ信号は、運転者が車両を運転する能力を失っている異常状態にあることを表す信号であって、現時点における自車両の位置情報、および、自車両の識別IDを含んでいる。

続いて、運転支援ECU10は、ステップS33において、自車両が停止していないか否かについて、車速SPDに基づいて判定する。この判断が最初に行われたときには、自車両は停止していないため、「Yes」と判定される。この場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS34に進めて、運転者が運転操作をしていない状態(運転無操作状態)であるか否かについて判定する。この判定は、ステップS13(S22)の判定処理と同じであってもよいし、それよりも確実な運転操作の検出を要件としてもよい。運転無操作状態である場合(S34:Yes)、運転支援ECU10は、その処理をステップS35に進めて、運転者への警告を実施する。この処理は、ステップS23の処理と同一でもよいし、警告レベルを一段上げてもよい(例えば、警告音量を増すなど)。

続いて、運転支援ECU10は、ステップS36において、自車両を予め設定された一定の第2減速度α2にて減速させる。本実施形態では、この第2減速度α2は、第1減速度α1よりも絶対値の大きな値に設定されている。続いて、運転支援ECU10は、ステップS37において、メータECU70にストップランプ72の点灯指令およびハザードランプ71の点滅指令を出力する。こうしてストップランプ72が点灯し、ハザードランプ71が点滅することによって、後続車の運転者に対して注意喚起することができる。運転支援ECU10は、ステップS37の処理を実施すると本異常時ルーチンを一旦終了する。

運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返すことにより、ヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号を送信しながら自車両を減速させる。これにより、ヘルプネットセンタHNCは、自車両の位置を管轄する現場処理部門に緊急出動要請を行うことができる。

運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返す最中に、運転者の運転操作が検出された場合(S34:No)、ステップS38において、ヘルプネットセンタHNCにキャンセル信号を送信する。続いて、運転支援ECU10は、ステップS39において、本異常フラグF2を「0」に設定して本異常時ルーチンを一旦終了する。この場合、それまでに行われていた自車両の減速制御、警告、後続車両への注意喚起などの処理が終了され、通常の車両制御(運転者の操作のみに基づく車両制御)に戻される。

尚、ステップS39の処理は、運転者の運転操作が検出された時点ですぐに行わないようにしてもよい。例えば、運転支援ECU10は、減速制御中に運転者の運転操作が検出された場合、アクセルオーバーライドを禁止(アクセルペダル操作に基づく加速要求を無効化)して、そのまま減速制御を継続させ、自車両を停止させた後に、本異常フラグF2を「0」に設定してもよい。

一方、運転者の運転操作が検出されないまま、自車両が停止した場合(S33:NO)、運転支援ECU10は、ステップS40において、電動パーキングブレーキECU50に対して電動パーキングブレーキの作動指令を出力し、メータECU70に対してハザードランプ71の点滅指令を出力し、ボディECU90に対してドアロック装置91のロック解除指令を出力する。これにより、電動パーキングブレーキが作動状態となり、ハザードランプ71の点滅状態が継続され、ドアロック装置91がアンロック状態となる。また、自車両の停止中においては、運転支援ECU10は、アクセルオーバーライドを禁止する。運転支援ECU10は、ステップS40の処理を実施すると、本異常時ルーチンを一旦終了する。

自車両の停止後、本異常フラグF2は、予め決められた所定の異常解除操作によって「0」に戻される。例えば、イグニッションスイッチのオフ操作、あるいは、異常解除用に設けられた操作器等の操作などによって、本異常フラグF2は「0」に戻される。従って、ヘルプネットセンタHNCからの出動要請によって現場に到着した救助隊員が、異常解除操作を行うことによって、車両を通常状態に戻すことができる。このため、異常解除操作が行われるまでの間は、ヘルプ信号の送信、ハザードランプ71の点滅が継続される。

以上説明した本実施形態の車両走行制御装置によれば、運転無操作状態が仮異常確定時間t1ref以上継続した場合(S16:Yes)に、運転者が異常状態に陥っている可能性があるため、運転支援ECU10が、運転者の状態を「仮異常」に設定する(S17)。運転者の状態が「仮異常」に設定された場合、運転者に対する警告が発せられる(S23)とともに、車両の減速が開始される(S24)。車速が第1車速SPD1に到達するまでに運転者が運転を再開しない場合(S25:No)には、運転者が異常状態である蓋然性が高い。

そこで、運転支援ECU10は、車速が第1車速SPD1に到達しても運転者が運転を再開しないことが確認されたときに、運転者の状態を「本異常」に変更し、ヘルプネットセンタHNCへのヘルプ信号の送信を開始する(S32)。また、運転者の状態が「本異常」に設定された場合には、車両を停止させるべく、自車両を減速させる。この減速度は、「仮異常」時における減速度よりも絶対値が大きく設定されている。従って、早く自車両を停止させることができる。

これらの結果、本実施形態の車両走行制御装置によれば、ヘルプネットセンタHNCへの通報を適切なタイミングにて行うことができる。つまり、ヘルプネットセンタHNCへの誤報低減と早期通報とをバランスよく両立させることができる。従って、車両走行制御装置における信頼性を向上させることができるとともに、運転者を早期に救出でき、また、他車両対応を早期に行って、後続車両の自車両への追突のリスクを低減することができる。

<仮異常時ルーチンの変形例1> 次に、仮異常時ルーチンの変形例1について説明する。上述した実施形態における仮異常時ルーチン(図4)は、自車両の減速および運転者への警告を開始した後、車速SPDが第1車速SPD1以下となるまで待って、運転者の状態を「仮異常」から「本異常」に切り替えてヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号を送信する。つまり、運転者の状態が「仮異常」に設定された後、運転無操作状態のまま車速SPDが第1車速SPD1以下になることを、ヘルプネットセンタHNCへの通報許可条件としている。

これに対して、仮異常時ルーチンの変形例1では、運転者の状態が「仮異常」に設定された後、運転無操作状態のまま車速SPDが第1車速SPD1以下にまで低下しており、かつ、「仮異常」の設定から運転無操作状態が所定時間継続していることが、ヘルプネットセンタHNCへの通報許可条件となっている。

図6は、仮異常時ルーチンの変形例1を表す。運転支援ECU10は、実施形態の仮異常時ルーチン(図4)に代えて、変形例1の仮異常時ルーチン(図6)を所定の演算周期で繰り返し実施する。以下、実施形態と同一の処理については、図面に共通のステップ符号を付して簡単な説明に留める。

運転支援ECU10は、変形例1の仮異常時ルーチンを開始すると、仮異常フラグF1が「1」であって、運転無操作状態である場合に、ステップS201において、本異常判定タイマt2の値を「1」だけ増加させる。この本異常判定タイマt2は、イグニッションオン操作時に、その値が「0」に設定されている。

運転支援ECU10は、運転無操作状態である場合には、運転者への警告を実施し(S23)、現時点の自車両の車速SPDが第1車速SPD1よりも高い場合(S25:No)には、自車両を第1減速度α1にて減速させる(S24)。こうした処理が繰り返され、その途中で運転者の運転操作が検出された場合(S22:NO)、運転支援ECU10は、その処理をステップS26に進めて、仮異常フラグF1を「0」に設定し、続く、ステップS202において、本異常判定タイマt2の値をゼロクリアする。従って、この本異常判定タイマt2の値は、仮異常フラグF1が「1」となった後における、運転者無操作状態が継続している時間を表している。

一方、運転者の運転操作が検出されないまま、自車両の車速SPDが第1車速SPD1以下になると、運転支援ECU10は、その処理をステップS203に進めて、本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref以上であるか否かについて判定する。本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref未満である場合(S203:No)、運転支援ECU10は、ステップS204において、自車両の車速を現時点の車速に維持させる。この場合、運転支援ECU10は、車速センサ16からの信号に基づいて取得される現時点の車速SPDで自車両を定速走行させるための指令信号をエンジンECU30及びブレーキECU40に出力する。これにより、自車両の走行状態は、それまでの減速走行から定速走行に切り替わる。尚、定速走行が継続される場合には、運転支援ECU10は、減速走行から定速走行に切り替わったときの車速を記憶し、その車速を維持させるとよい。また、ステップS204の処理は、必ずしも、自車両の車速を現時点の車速に維持させる必要はなく、予め設定した車速(安全な車速)にて定速走行させるようにしてもよい。

運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返し、本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref以上になった場合(S203:Yes)、ステップS27において、仮異常フラグF1に代えて本異常フラグF2を「1」に設定する。

以上説明した変形例1の仮異常時ルーチンによれば、運転無操作状態のまま車速SPDが第1車速SPD1以下にまで低下した場合、「仮異常」の設定から運転無操作状態が所定時間(本異常確定時間t2ref)以上継続していない状況であれば、自車両を減速走行から定速走行に切り替えて、停車させないように待機させる。この定速走行を行わせることによって、運転者が異常状態であるか否かについて判定する時間を確保することができる。従って、運転者の異常状態の判定精度(推定精度)が確実に高くなったタイミング(運転者が異常状態であるという蓋然性が非常に高くなったタイミング)にてヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号を送信することができる。これにより、ヘルプネットセンタHNCへの誤報を抑制することができる。

<仮異常時ルーチンの変形例2> 次に、仮異常時ルーチンの変形例2について説明する。この仮異常時ルーチンの変形例2では、運転者の状態が「仮異常」に設定された後(換言すれば、車両の減速が開始された後)、運転無操作状態が所定時間継続していることが、ヘルプネットセンタHNCへの通報許可条件となっている。

図7は、仮異常時ルーチンの変形例2を表す。運転支援ECU10は、実施形態の仮異常時ルーチン(図4)に代えて、変形例2の仮異常時ルーチン(図7)を所定の演算周期で繰り返し実施する。以下、実施形態あるいは変形例1と同一の処理については、図面に共通のステップ符号を付して簡単な説明に留める。

運転支援ECU10は、変形例2の仮異常時ルーチンを開始すると、仮異常フラグF1が「1」であって、運転無操作状態である場合(S22:Yes)、本異常判定タイマt2の値を「1」だけ増加させ(S201)、運転者への警告を実施するとともに(S23)、自車両を第1減速度α1にて減速させる(S24)。続いて、運転支援ECU10は、ステップS203において、本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref以上であるか否かについて判定する。本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref未満である場合(S203:No)、運転支援ECU10は、仮異常時ルーチンを一旦終了する。

運転支援ECU10は、こうした処理を繰り返し、その途中で、運転者の運転操作が検出された場合には、ステップS26において、仮異常フラグF1を「0」に設定し、続く、ステップS202において、本異常判定タイマt2の値をゼロクリアする。一方、運転者の運転操作が検出されずに、本異常判定タイマt2の値が本異常確定時間t2ref以上になった場合(S203:Yes)には、運転支援ECU10は、ステップS27において、仮異常フラグF1に代えて本異常フラグF2を「1」に設定する。

以上説明した変形例2の仮異常時ルーチンによれば、運転者の状態が「仮異常」に設定された後(換言すれば、車両の減速が開始された後)、運転無操作状態が本異常確定時間t2refだけ継続した場合に、運転者の状態が「本異常」に設定されてヘルプネットセンタHNCへの通報が行われる。これにより、運転者の状態が「仮異常」に設定された後から本異常確定時間t2refが経過するまでの期間中に、運転者が異常状態にあるか否かの判定を継続させることができる。従って、運転者の異常状態の判定精度(推定精度)が確実に高くなったタイミング(運転者が異常状態であるという蓋然性が非常に高くなったタイミング)にてヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号を送信することができる。これにより、ヘルプネットセンタHNCへの誤報を抑制することができる。尚、この場合、本異常確定時間t2refは、異常判定許可車速SPD0と第1減速度α1とに基づいて、車両が停止する前に到達する時間に設定されている。

以上、本実施形態に係る車両走行制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。

例えば、本実施形態においては、運転無操作状態の継続時間に基づいて運転者の異常判定を行っているが、それに代えて、特開2013−152700号公報等に開示されている所謂「ドライバモニタ技術」を利用して、運転者の異常判定を行ってもよい。より具体的に述べると、車室内の部材(例えば、ステアリングホイール及びピラー等)に運転者を撮影するカメラを設け、運転支援ECU10は、カメラの撮影画像を用いて運転者の視線の方向又は顔の向きを監視する。運転支援ECU10は、運転者の視線の方向又は顔の向きが車両の通常の運転中には長時間向くことがない方向に所定時間以上継続して向いている場合、運転者が異常状態であると判定する。

また、確認ボタン20を用いて運転者の異常判定を行っても良い。より具体的に述べると、運転支援ECU10は、第1時間の経過毎に確認ボタン20の操作を表示及び/又は音声によって催促し、確認ボタン20の操作がない状態が第1時間よりも長い第2時間以上に渡って継続したとき、運転者が異常状態であると判定する。

こうした撮影画像あるいは確認ボタン20を用いた異常判定は、「仮異常」の判定(S13)、「本異常」の判定(S22)、および、ヘルプネットセンタHNCに通報後の異常継続判定(S34)に利用することができる。

また、本実施形態においては、ヘルプネットセンタHNCにヘルプ信号が送信された後に運転者の運転操作が検出された場合には、ヘルプネットセンタHNCにキャンセル信号が送信されるが、必ずしも、そのような構成にする必要はなく、キャンセル信号を送信しなくてもよい。

また、本実施形態においては、運転者のアクセルペダル操作無しで車両を走行させる走行支援制御(本実施形態ではACC)が実行されている状況において、運転者の異常判定を行い、運転者の異常が検出された場合に、ACCに代えて車両を減速・停止させる走行制御が行われるが、ACCが実行されていない状況においても、運転者の異常が検出された場合に、上述した各制御ルーチンを実行して、車両を減速・停止させる走行制御を行ってもよい。

10…運転支援ECU、11…アクセルペダル操作量センサ、12…ブレーキペダル操作量センサ、14…操舵角センサ、15…操舵トルクセンサ、16…車速センサ、20…確認ボタン、30…エンジンECU、31…エンジンアクチュエータ、32…内燃機関、40…ブレーキECU、41…ブレーキアクチュエータ、42…摩擦ブレーキ機構、90…確認ボタン、100…ナビゲーションECU、101…GPS受信機、110…外部通信ECU、111…無線通信装置、HNS…ヘルプネットワークシステム、HNC…ヘルプネットセンタ、CN…通信網、FS…消防署、CS…警察署、RS…道路管理会社、RA…無線中継基地局、UT…ユーザ通信端末、SPD0…異常判定許可車速、SPD1…第1車速、t1…仮異常判定タイマ、t1ref…仮異常確定時間、t2…本異常判定タイマ、t2ref…本異常確定時間、α1…第1減速度、α2…第2減速度。

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