【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本発明は,フォークリフト等の産業車両の側部に配設され,フェンダーカバーと一体的に成形された乗降用のステップに関する。 【0002】 【従来技術】フォークリフト等の産業車両は,運転者の運転席への乗降を容易にするために,車体の側部にステップを配設している(図2参照)。 従来のフォークリフトのステップは,前輪のフェンダーの後方に配設されており,上記フェンダー上には,フェンダーカバーが配設されている(図2参照)。 【0003】上記ステップ9は,図6に示すごとく,底板部91と該底板部91の外縁911に立設した側板部92とからなる。 該側板部92は,上記底板部91の外縁911における後方側,及び車体側に立設されている。 上記ステップ9を車体に取付ける際には,図6に示すごとく,フェンダー41に取付けられたフェンダーカバー8の下端部81に上記底板部91の前端部912を合せ,更にフェンダーカバー8の後面82に上記側板部92の前端辺922を合せて固定する。 また,上記フェンダーカバー部8の上方には,図6に示すごとく,ヘッドガードを支承するために上記フェンダー41に立設されたピラー43を,周囲からカバーするピラーサイドカバー5が取付けられている。 【0004】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のステップ9には,以下の問題がある。 即ち,上記ステップ9を車体に取付けた際に,上記底板部91の前端部91 2と上記フェンダーカバー8の下端部81との間,及び上記側板部92の前端辺922との間には継ぎ目99が存在する。 そのため,上記ステップ9に溜まった雨水や塵埃等が,上記継ぎ目99に生じた隙間からステップ9 の下に入り込む。 従って,上記ステップ9の下方には, モーターやコントローラー等の電装品を配置することができず,各部品のレイアウトが制約される。 【0005】また,上記のごとく,上記ステップ9を上記フェンダーカバー8やフェンダー41の形状に合せた形状にする必要があり,デザイン上の制約となる。 また,組付け作業においても,上記ステップ9とフェンダーカバー8との位置を合せる必要があり,作業効率が悪いという問題もある。 【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,ステップの下方に水や塵埃が侵入することがなく,かつ,組付け作業性に優れた,産業車両のフェンダーカバー一体ステップを提供しようとするものである。 【0007】 【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,産業車両のフェンダー上に取付けられるフェンダーカバー部と, 車体の側部に配設される乗降用のステップ部とからなり,上記フェンダーカバー部とステップ部とは一体的に成形されており,かつ,上記ステップ部は,底板部と, 該底板部の外縁に立設した側板部とからなり,上記底板部の外縁は,その前方側,後方側,及び車体側が,上記フェンダーカバー部及び上記側板部により取り囲まれており,上記底板部の外縁は,その側方側のみが解放されていることを特徴とする産業車両のフェンダーカバー一体ステップにある。 【0008】本発明において最も注目すべきことは,上記フェンダーカバー部とステップ部とは一体的に成形されており,かつ,ステップ部における底板部の外縁は, その側方側のみが解放されていることである。 上記側方側とは,上記フェンダーカバー一体ステップを産業車両の車体に取付けた状態において,車体の外側となる側をいう。 即ち,車体の左側に取付けるフェンダーカバー一体ステップにおいては,左側が側方側となる(図1,図4参照)。 【0009】次に,本発明の作用効果につき説明する。 上記フェンダーカバー一体ステップにおいては,フェンダーカバー部とステップ部とが一体的に成形されている。 即ち,上記フェンダーカバー部とステップ部との間には,継ぎ目が存在しない(図1参照)。 そのため,両者の間に隙間が生ずるということはなく,そこから上記ステップ部の下方へ水や塵埃等が侵入するおそれがない。 【0010】また,上記ステップ部の底板部の外縁は, その前方側,後方側,及び車体側が,上記フェンダーカバー部及び上記側板部により取り囲まれており,側方側のみが解放されている(図1参照)。 そのため,上記ステップ部に溜まった水や塵埃等は,側方側から地面に落下する。 即ち,上記水や塵埃等は車体の外側に落下し, 上記ステップ部の下方に侵入しない。 従って,上記ステップ部の下方にモーターやコントローラ等の電装品を配設することができる。 【0011】また,上記フェンダーカバー部とステップ部とが一体的に成形されているため,組付け時において両者を位置合わせする必要がなく,また,組付ける部品点数も少ない。 それ故,上記フェンダーカバー一体ステップは,車体への組付け作業性に優れている。 また,上記フェンダーカバー部とステップ部との境界が特にないため,フェンダーカバー一体ステップの形状を比較的自由にデザインすることも可能となる。 【0012】以上のごとく,本発明によれば,ステップの下方に水や塵埃が侵入することがなく,かつ,組付け作業性に優れた,産業車両のフェンダーカバー一体ステップを提供することができる。 【0013】次に,請求項2に記載の発明のように,上記フェンダーカバー一体ステップは,樹脂一体成形品であることが好ましい。 これにより,所望の形状のフェンダーカバー一体ステップを容易に得ることができる。 また,この場合には,上記フェンダーカバー一体ステップは軽量で柔軟性も有するため,組付け作業性にも優れている。 【0014】次に,請求項3に記載の発明のように,上記フェンダーカバー部は,ヘッドガードを支承するために上記フェンダーに立設されたピラーよりも前方まで, 上記フェンダーに沿って延設されていることが好ましい。 これにより,上記ピラーを伝って流れ落ちてきた雨水等が上記フェンダーとフェンダーカバー一体ステップとの間に入り込んでステップ部の下方に侵入するという不具合を生ずるおそれがない。 【0015】次に,請求項4に記載の発明のように,上記フェンダーカバー部には上記ピラーを挿通するピラー挿通部が設けてあることが好ましい。 これにより,上記フェンダーカバー部を上記ピラーよりも前方まで延設した場合にも,フェンダーカバー一体ステップを容易に組付けることができる。 【0016】次に,請求項5に記載の発明のように,上記フェンダーカバー部の上方には,上記ピラーを周囲からカバーするピラーサイドカバー部が,上記ステップ部及びフェンダーカバー部と一体となって形成されていることが好ましい。 これにより,組付け部品の点数が減るため,組付け作業性が向上する。 また,上記ピラーサイドカバー部と上記フェンダーカバー部との間に継ぎ目がないため,両者の間から水や塵埃等が侵入することがない。 そのため,上記ステップ部の下方への水や塵埃等の侵入を一層確実に防ぐことができる。 【0017】次に,請求項6に記載の発明のように,上記フェンダーカバー部の前端部は,上記フェンダーにおける最も高い位置又はそれよりも前方に位置していることが好ましい。 これにより,上記フェンダーを伝って落下してきた雨水等が,フェンダーとフェンダーカバー部との間に入り込み,ステップ部の下方に侵入するという不具合を生ずるおそれがない。 【0018】次に,請求項7に記載の発明のように,上記フェンダーは,略水平な平面状の平面部と,該平面部の後端から後方に配設されると共に下方へ向って略円弧形状に形成された曲面部とからなり,上記フェンダーカバー部の前端部は,上記平面部上に位置していることが好ましい。 これにより,上記平面部に付着し,上記曲面部を伝って下方へ落下する雨水等が,フェンダーとフェンダーカバー部との間に入り込み,ステップ部の下方に侵入するという不具合を生ずるおそれがない。 【0019】 【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる産業車両のフェンダーカバー一体ステップにつき,図1〜図4を用いて説明する。 本例のフェンダーカバー一体ステップ1は,図2に示すごとく,産業車両としてのフォークリフト4に配設するものである。 即ち,上記フェンダーカバー一体ステップ1は,図1(図4)に示すごとく,フォークリフト4の左側のフェンダー41上に取付けられるフェンダーカバー部2と,車体40の左側の側部に配設される乗降用のステップ部3とからなる。 【0020】上記フェンダーカバー一体ステップ1は, 上記フェンダーカバー部2とステップ部3とが一体的に成形された樹脂一体成形品である。 そして,上記ステップ部3は,底板部31と,該底板部31の外縁311に立設した側板部32とからなる。 上記底板部31の外縁311は,その前方側,後方側,及び車体側が,上記フェンダーカバー部2及び上記側板部32により取り囲まれている。 即ち,上記底板部31の外縁311は,その側方側,即ち車体40の左側のみが解放されている(図1,図4)。 なお,図4に示すごとく,車体40の右側のフェンダー41上には,上記フェンダーカバー部2と左右が略対象の形状のフェンダーカバー12が配設されている。 【0021】図2に示すごとく,上記フォークリフト4 のフェンダー41からは,ヘッドガード42を支承するためのピラー43が立設されている。 上記フェンダーカバー部2は,図3(A),(B)に示すごとく,上記ピラー43よりも前方まで,上記フェンダー41に沿って延設されている。 そして,図3(A)に示すごとく,上記フェンダーカバー部2には上記ピラー43を挿通するピラー挿通部21が設けてある。 【0022】上記フェンダーカバー部2の前端部22 は,上記フェンダー41における最も高い位置よりも前方に位置している。 即ち,図3(B)に一点鎖線で示すごとく上記フェンダー41は,略水平な平面状の平面部411と,その後端412から後方に配設されると共に下方へ向って略円弧形状に形成された曲面部413とからなり,上記前端部22は上記平面部411上に位置している(図3(B))。 【0023】また,上記フェンダーカバー部2の上方には,図1に示すごとく,上記ピラー43を周囲からカバーするピラーサイドカバー5が取付けられている。 該ピラーサイドカバー5は,図1に示すごとく,前部カバー51と後部カバー52とを組み合わせてなる。 【0024】次に,上記フェンダーカバー一体ステップ1をフォークリフト4の車体40に取付ける方法につき説明する。 まず,フェンダーカバー一体ステップ1のフェンダーカバー部2を,上記フォークリフト4のフェンダー41に合せると共に,ピラー挿通穴21に上記ピラー43を挿通させて車体40に載置する。 次いで,ボルト111,112,113,114によって上記フェンダーカバー一体ステップ1を車体40に固定する。 【0025】次いで,車体40に固定したフェンダーカバー一体ステップ1の上方に上記ピラーサイドカバー5 の前部カバー51及び後部カバー52を上記ピラー43 の前後から挟み込む形でセットする。 次いで,上記前部カバー51をボルト511によって上記ピラー43に固定する。 更に,上記後部カバー52を,ボルト521によって,フェンダーカバー一体ステップ1のボルト穴1 15(図3(B))及び車体4に固定する。 【0026】次に,本発明の作用効果につき説明する。 上記フェンダーカバー一体ステップ1においては,フェンダーカバー部2とステップ部3とが一体的に成形されている。 即ち,上記フェンダーカバー部2とステップ部3との間には,継ぎ目(図6の符号99参照)が存在しない(図1)。 そのため,両者の間に隙間が生ずるということはなく,そこからステップ部3の下方へ水や塵埃等が侵入するおそれがない。 【0027】また,上記ステップ部3の底板部31の外縁311は,その前方側,後方側,及び車体側が,上記フェンダーカバー部2及び上記側板部32により取り囲まれており,側方側のみが解放されている(図1)。 そのため,上記ステップ部3に溜まった水や塵埃等は,側方側から地面に落下する。 【0028】即ち,上記水や塵埃等は車体40の外側に落下し,上記ステップ部3の下方に侵入しない。 従って,上記ステップ部3の下方にモーターやコントローラ等の電装品を配設することができる。 【0029】また,上記フェンダーカバー部2とステップ部3とが一体的に成形されているため,組付け時において両者を位置合わせする等の必要がなく,作業性に優れている。 また,上記フェンダーカバー部2とステップ部3との境界が特にないため,フェンダーカバー一体ステップ1の形状を比較的自由にデザインすることも可能となる。 【0030】また,上記フェンダーカバー一体ステップ1は,樹脂一体成形品であるため,所望の形状に容易に成形することができる。 また,これにより,上記フェンダーカバー一体ステップ1は軽量で柔軟性も有するため,組付け作業性にも優れている。 【0031】また,上記フェンダーカバー部2は,上記のごとく,ピラー43よりも前方まで,上記フェンダー41に沿って延設されている。 そのため,上記ピラー4 3を伝って流れ落ちてきた雨水等が上記フェンダー41 とフェンダーカバー一体ステップ1との間に入り込んでステップ部3の下方に侵入するという不具合を生ずるおそれがない。 【0032】また,上記フェンダーカバー部2には上記ピラー挿通部21が設けてある。 そのため,フェンダーカバー一体ステップ1を,上記ピラー43が立設したフェンダー41に沿って,容易に組付けることができる。 【0033】以上のごとく,本例によれば,ステップの下方に水や塵埃が侵入することがなく,かつ,組付け作業性に優れた,フォークリフトのフェンダーカバー一体ステップを得ることができる。 【0034】実施形態例2 本例は,図5に示すごとくフェンダーカバー部2の上方に,ピラー43を周囲からカバーするピラーサイドカバー部15を,上記ステップ部3及びフェンダーカバー部2と一体的に形成したフェンダーカバー一体ステップ1 0の例である。 即ち,本例のフェンダーカバー一体ステップ10は,上記ステップ部3とフェンダーカバー部2 とピラーサイドカバー部15とからなる。 該ピラーサイドカバー部15は,上記ピラー43の前方側に配置される。 上記ピラー43の後方側には,後部カバー52が配置される。 【0035】上記フェンダーカバー一体ステップ10をフォークリフトの車体に取付けるに当っては,フェンダーカバー部2をフェンダー41に合せると共にピラー挿通穴21にピラー43を挿通させて設置する。 そして, 上記フェンダーカバー一体ステップ10を車体に固定する。 次いで,上記ピラー43の後方からピラーサイドカバー部15に後部カバー52を嵌合する。 その他は,実施形態例1と同様である。 【0036】上記フェンダーカバー一体ステップ10を用いることにより,組付け部品の点数が減少する。 即ち,実施形態例1の場合には,フェンダーカバー一体ステップ1と,ピラーサイドカバー5の前部カバー51と後部カバー52を組付ける(図1参照)。 これに対し, 本例の場合には,フェンダーカバー一体ステップ10と後部カバー52を組付けるのみである(図5)。 そのため,組付け作業性が向上する。 また,上記ピラーサイドカバー部15と上記フェンダーカバー部2との間に継ぎ目がないため,両者の間から水や塵埃等が侵入することがない。 そのため,上記ステップ部3の下方への水や塵埃等の侵入を一層確実に防ぐことができる。 その他,実施形態例1と同様の作用効果を有する。 【0037】 【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,ステップの下方に水や塵埃が侵入することがなく,かつ,組付け作業性に優れた,産業車両のフェンダーカバー一体ステップを提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施形態例1における,フェンダーカバー一体ステップの斜視図。 【図2】実施形態例1における,フェンダーカバー一体ステップを取付けたフォークリフトの側面図。 【図3】実施形態例1における,フェンダーカバー一体ステップの(A)上面図,及び(B)側面図。 【図4】実施形態例1における,フェンダーカバー一体ステップのフォークリフトへの取付け位置の説明図。 【図5】実施形態例2における,フェンダーカバー一体ステップの斜視図。 【図6】従来例における,フェンダーカバーとステップの斜視図。 【符号の説明】 1,10. . . フェンダーカバー一体ステップ, 15. . . ピラーサイドカバー部, 2. . . フェンダーカバー部, 21. . . ピラー挿入穴, 22. . . 前端部, 3. . . ステップ部, 31. . . 底板部, 311. . . 外縁, 32. . . 側板部, 4. . . フォークリフト, 40. . . 車体, 41. . . フェンダー, 43. . . ピラー, 5. . . ピラーサイドカバー, |