【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される盗難防止装置用表示システムに係わり、特に、2種類の盗難防止装置に対して表示装置を共通化し得る盗難防止装置用表示システムに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、車両には、車両あるいは車両内の備品の盗難を防止する盗難防止装置が搭載されている。 盗難防止装置は、第三者が車両に侵入したことを検出した場合に、ホーン等の警報の発生や、車両の始動の禁止等を行うことにより、盗難を防止することを目的とするものである。 【0003】かかる盗難防止装置として、例えば、特開平4−197853号に開示される盗難防止装置が知られている。 上記公報に開示される盗難防止装置は、車両のドアがロックされたことを検出すると、待機状態に入ると共に、表示装置の点滅を開始させる。 待機状態においては、キー以外の方法でドアがアンロックされても、 警報が発せられることはない。 これにより、ドアがロックされた後に車両に取り残された乗員が、車両から降りるためにドアを車内からアンロックした場合に、警報が発せられることが防止される。 待機状態は所定時間持続され、この所定時間が経過すると、盗難防止装置は待機状態から警戒状態に移る。 警戒状態においては、何れかのドアがキー以外の手段で開けられたこと、あるいは、 車両の姿勢の変化があったこと等を検出すると、ホーンあるいはランプに駆動信号を付与することにより、警報信号を発生させる。 また、警戒状態において引続き表示装置を点滅させることにより、盗難を試みる者に対して警戒感を与え、盗難を未然に防止する効果を奏している。 上記従来の盗難装置においては、待機状態と警戒状態とで表示装置の点滅周期を変化させることにより、待機状態と警戒状態との区別を行うことが可能とされている。 【0004】ところで、上記従来の盗難防止装置とは別種の車両盗難防止装置として、例えば、正規のキー以外でのエンジンの起動を禁止するイモビライザ装置が知られている。 イモビライザ装置は、キー及び車両にそれぞれキーコード及び登録コードを予め付与し、キーコードと登録コードとが一致した場合のみ、エンジンの起動を許可する。 従って、イモビライザ装置によれば、正規のキーを用いずに車両を始動させることは困難であり、車両の盗難を未然に防止することができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記したイモビライザ装置は、キーがイグニッションシリンダから抜かれると同時に、エンジンの起動を禁止する警戒状態となる。 そして、イモビライザ装置が警戒状態にある場合には、車両の所有者に対して装置が正常に動作していることを知らせると共に、窃盗者に対して警戒を与えるための表示、例えば、表示装置の点滅表示が行われる。 上述の如く、イモビライザ装置は、車両の盗難防止という点で、 上記従来の盗難防止装置と同様の目的を有している。 このため、上記従来の盗難防止装置とイモビライザ装置とが共に搭載された場合、これらの装置が警戒状態にある期間はほぼ一致する。 従って、これら盗難防止装置の動作状態を示す表示を共通化しても差し支えない。 しかしながら、上記従来の盗難防止装置は、イモビライザ装置との共用を考慮したものではないため、イモビライザ装置と共に設けられた場合にも、イモビライザ装置とは別の表示装置を独自に備えなければならない。 このように、上記従来の盗難防止装置は、他の盗難防止装置と共に搭載された場合、同様の表示を行う表示装置を各盗難防止装置について設ける必要があり、部品点数が増大するという問題を有していた。 【0006】本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、複数の盗難防止装置が搭載された場合に、各装置の作動及び動作状態の確認が確実に行えるように表示装置を共通化することにより、部品点数が増大することを防止し得る盗難防止装置用表示システムを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1 に記載する如く、盗難に対する警戒を行わない休止状態と、盗難に対する警戒の開始を待機する待機状態と、盗難に対する警戒を行なう警戒状態とのうち何れか一つの状態をとる第1の盗難防止装置と、盗難に対する警戒を行わない休止状態と、盗難に対する警戒を行う警戒状態とのうち何れか一つの状態をとる第2の盗難防止装置との動作状態を表示する表示装置を備える盗難防止装置用表示システムであって、前記第1の盗難防止装置は、前記待機状態において第1の所定信号を前記表示装置に対して出力すると共に、前記警戒状態において前記表示装置に対する信号の出力を停止し、前記第2の盗難防止装置は、前記警戒状態においてのみ第2の所定信号を前記表示装置に対して出力し、前記表示装置は、前記第1の所定信号が出力されている場合には、前記第1の所定信号に応じた表示を行い、前記第1の所定信号が出力されておらず、かつ、前記第2の所定信号が出力されている場合には、前記第2の信号に応じた表示を行う盗難防止装置用表示システムにより達成される。 【0008】本発明において、第1の盗難防止装置は、 待機状態において表示装置に対して第1の所定信号を出力し、警戒状態において、表示装置に対する信号の出力を停止する。 一方、第2の盗難防止装置は、警戒状態にある場合にのみ表示装置に対して第2の所定信号を出力する。 表示装置は、第1の所定信号が出力されている場合には、第1の所定信号に応じた表示を行い、第1の所定信号が出力されておらず、かつ、前記第2の所定信号が出力されている場合には、前記第2の信号に応じた表示を行う。 これにより、第1の盗難防止装置が待機状態にある場合には、表示装置は第1の所定信号に応じた表示を行い、第1の盗難防止装置が待機状態でなく、かつ、第2の盗難防止装置が警戒状態にある場合には、表示装置は第2の所定信号に応じた表示を行う。 従って、 表示装置の表示により、第1の盗難防止装置が待機状態にある状態、及び、第1の盗難防止装置が待機状態になく、かつ、第1及び第2の盗難防止装置の少なくとも一方が警戒状態にある状態が識別される。 【0009】また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、盗難に対する警戒を行わない休止状態と、盗難に対する警戒の開始を待機する待機状態と、盗難に対する警戒を行なう警戒状態とのうち何れか一つの状態をとる第1の盗難防止装置を含む1つ又は2つの盗難防止装置の動作状態を表示する表示装置を備える盗難防止装置用表示システムであって、盗難に対する警戒を行わない休止状態と、盗難に対する警戒を行う警戒状態とのうち何れか一つの状態をとる第2の盗難防止装置の信号出力の有無を検出する有無判定手段と、前記有無判定手段により前記第2の盗難防止装置の信号出力が無いことが検出された場合には、前記第1の盗難防止装置の状態に基づく表示信号を前記表示装置に対して出力し、前記有無判定手段により前記第2の盗難防止装置の信号出力が有ることが検出された場合には、前記第1の盗難防止装置及び前記第2の盗難防止装置の双方の状態に基づく表示信号を前記表示装置に対して出力する表示選択手段とを更に備える盗難防止装置用表示システムによっても達成される。 【0010】本発明において、有無検出手段により、盗難に対する警戒を行わない休止状態と、盗難に対する警戒を行う警戒状態とのうち何れか一つの状態をとる第2 の盗難防止装置の信号出力の有無が検出される。 第2の盗難防止装置の信号出力が無いことが検出された場合には、表示選択手段は、前記第1の盗難防止装置の状態に基づく表示信号を前記表示装置に対して出力する。 従って、表示装置は、第1の盗難防止装置の状態に応じた点灯状態となる。 一方、第2の盗難防止装置の信号出力が有ることが検出された場合には、出力信号選択手段は、 前記第1の盗難防止装置及び前記第2の盗難防止装置の双方の状態に基づく表示信号を表示装置に対して出力する。 従って、表示装置は、第1の盗難防止装置及び第2 の盗難防止装置の状態に応じた点灯状態となる。 このように、第2の盗難防止装置の信号出力の有無にかかわらず、各盗難防止装置の状態が表示装置に表示される。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例のシステム構成図を示す。 本実施例においては、本発明にかかる盗難防止装置表示システムを、盗難防止装置の一種であるセキュリティ装置、及び、イモビライザ装置に適用した例を示す。 【0012】セキュリティ装置は、車両のドアが正規のキーを用いないで開けられたこと等の異常を検出すると、車両のホーンやランプを駆動することにより、異常を知らせる警報信号を発する装置である。 セキュリテイ装置は、車両の全てのドアがロックされると、所定時間の待機状態を経て、警戒状態に入る。 警戒状態においては、上述の如き異常が検出されると警報信号が発せられる。 待機状態においては、上述の如き異常が検出されても、警報信号は発せられない。 この待機状態は、助手席や後部座席等に乗員が取り残された状態でドアがロックされた場合に、取り残された乗員が車内からドアをアンロックすることにより、警報信号が発せられるのを防止するために設けられている。 【0013】イモビライザ装置は、イグニッションシリンダに挿入されたキーから送信されたコードを受信し、 このコードが予め記憶された登録コードと一致した場合にのみ車両の始動を許可する装置である。 セキュリティ装置及びイモビライザ装置は、それぞれ、図1に示す、 セキュリティ電子制御装置(以下、セキュリティECU と称す)20、及び、イモビライザ電子制御装置(以下、イモビライザECUと称す)22によって制御される。 【0014】セキュリティECU20はCPU24を備えている。 CPU24には、ドアのロック・アンロック状態を検出するキースイッチ、各ドアの開閉状態を検出するカーテシスイッチ、ホーンを駆動するホーン駆動リレー、及び、ヘッドランプを駆動するランプ駆動リレー(いずれも図示せず)が接続されており、キースイッチ及びカーテシスイッチの出力に基づいて、上記各リレーへの駆動信号を制御する。 更に、CPU24の出力端子24aには、駆動トランジスタ26、28及び駆動ダイオード30からなる発光装置駆動回路32が接続されている。 発光装置駆動回路32において、CPU24が出力端子24aにハイ出力を出力すると、出力トランジスタ26及び28がオン状態となり、電圧源34から供給される電圧が駆動ダイオード30を介してセキュリティECU20の表示出力端子36に出力される。 一方、 CPU24が出力端子24aにロー出力を出力した状態では、出力トランジスタ26及び28がオフ状態となり、表示出力端子36に電圧は出力されない。 【0015】セキュリティECU20のCPU24は、 キースイッチの出力に基づいてドアがロックされたことを検出すると、待機状態に入る。 待機状態においては、 CPU24は待機状態を示す待機信号を出力端子24a に出力する。 後述する如く、待機信号は、オン状態が持続される連続信号である。 更に、待機状態に入った後、 所定時間Tが経過すると警戒状態に入ると共に、待機信号の出力を停止する。 警戒状態においては、CPU24 は、キースイッチ及びカーテシスイッチの出力に基づいて何れかのドアがキー以外の方法で開けられたことを検出すると、ホーン駆動リレー及びランプ駆動リレーに対して駆動信号を出力し、警報を発生させる。 【0016】一方、イモビライザECU22はCPU3 8を備えている。 CPU38には、イグニッションシリンダにキーが挿入されているか否かを検出するイグニッションスイッチ、キーから送信されたコードを受信する受信装置、及び、エンジンを制御するエンジン制御装置(何れも図示せず)が接続されている。 CPU38は、 受信装置が出力するコードが予め記憶された所定の登録コードに一致した場合に、エンジン制御装置に対して、 エンジン始動許可信号を出力する。 また、CPU38の出力端子38aには、駆動トランジスタ40、42及び駆動ダイオード44からなる発光装置駆動回路46が接続されている。 発光装置駆動回路46は、発光装置駆動回路32と同様に、CPU38の出力端子38aの出力に応じて出力端子48への電圧の出力のオン・オフを制御する。 【0017】イモビライザ装置は、CPU38が、イグニッションスイッチの出力に基づいてキーがイグニッションシリンダから抜かれたことを検出すると、警戒状態に入る。 イモビライザECU22は、警戒状態では、エンジン制御装置に対してエンジン始動禁止信号を出力すると共に、警戒状態であることを示す警戒信号を出力端子48に出力する。 後述の如く、警戒信号は電圧のオンとオフとが周期的に繰り返されるパルス状の信号である。 【0018】セキュリティECU20及びイモビライザECU22の表示出力端子36及び48は共に発光装置50の入力端子に接続されている。 発光装置50は、例えば発光ダイオード等、所定の電圧が付与されることにより点灯する発光素子である。 【0019】かかる構成によれば、セキュリティECU 20及びイモビライザECU22のうち少なくとも一方が所定の電圧を表示出力端子36または48に出力すると、発光装置50には、この所定の電圧が付与され、発光装置50が点灯することになる。 【0020】なお、上記した構成において、セキュリティECU20及びイモビライザECU22が共に電圧を出力すると、出力端子36及び48のそれぞれには、他方の出力端子の出力する電圧が付与される。 この場合、 セキュリティECU20及びイモビライザECU22 は、それぞれ保護ダイオード30及び44を備えているため、出力端子36及び48に付与された電圧が駆動トランジスタ28及び40に作用することが防止される。 これにより、かかる場合に、表示回路32及び46に損傷が生ずることが防止されている。 【0021】次に、図2を参照して、イモビライザEC U22及びセキュリティECU20がそれぞれ表示出力端子36及び48に出力する表示信号について説明する。 図2は、イモビライザECU22及びセキュリティECU20がそれぞれ表示出力端子36及び48に出力する表示信号、及び、発光装置50の点灯状態のタイムチャートである。 図2において、時刻t1以前は正規のキーがイグニッションシリンダに挿入されている状態であり、イモビライザ装置及びセキュリティ装置は何れも休止状態にある。 時刻t1において、CPU38が、キーがイグニッションシリンダから抜かれたことを検出すると、図2(a)に示す如く、イモビライザECU22 は周期的な点滅信号の出力を開始する。 これにより、図2(c)に示す如く、発光装置50は点滅を開始し、運転者はイモビライザ装置が正常に警戒状態となったことを認知することができる。 以降、再び、正規のキーがイグニッションシリンダに挿入されるまで、イモビライザECU22は点滅信号の出力を続ける。 次に、時刻t2 において、CPU24が、ドアがロックされたことを検出すると、図1(b)に示す如く、セキュリティECU 20は表示出力端子36への出力を連続点灯信号に切り換える。 【0022】上述の如く、発光装置50は、セキュリティECU20、及び、イモビライザECU22の少なくとも一方が表示出力端子36又は48に所定の電圧を出力した場合に点灯する。 従って、イモビライザECU2 2が点滅信号を出力した状態で、上述の如くセキュリティECU20が連続点灯信号を出力すると、発光装置5 0は連続的に点灯した状態となる。 これにより、運転者は、セキュリティ装置が正常に待機状態となったことを認知できると共に、車内に取り残された乗員がいる場合、車内の乗員は、発光装置50が連続的に点灯している限り、車内からドアをアンロックしても警報が発せられない待機状態であることを認知することができる。 【0023】時刻t2から所定時間Tが経過した時刻t 3において、セキュリティ装置は待機状態から警戒状態に遷移する。 この時刻t3では、セキュリティECU2 0が連続点灯信号の出力を停止する一方、イモビライザECU22は時刻t3以降も点滅信号の出力を続ける。 このため、時刻t3以降、発光装置50は再び点滅状態となる。 これにより、セキュリティ装置が待機状態から警戒状態に遷移したことを認知される。 さらに、発光装置50が点滅することで、第三者に対して盗難防止装置が動作中であることを知らせることにより警戒感を与え、盗難を未然に防止するという効果も期待できる。 【0024】上述の如く、本実施例のシステムによれば、イモビライザ装置及びセキュリティ装置の動作状態に応じて、発光装置50が、消灯、連続点灯、及び、点滅の3つの状態を取ることにより、単一の発光装置50 により、2つの盗難防止装置の動作状態を正しく表示することが可能とされている。 【0025】ところで、上記した、イモビライザ装置、 及び、セキュリティ装置はそれぞれ単独に車両に搭載することが可能である。 このため、車両の装備仕様によっては、いずれかの盗難防止装置のみが搭載される場合がある。 本実施例のシステムにおいては、イモビライザ装置のみが搭載され、セキュリティ装置が搭載されていない場合にも、上述の如く、キーがイグニッションシリンダから抜かれた時点で、イモビライザECU22が点滅信号を出力することにより、発光装置50にはイモビライザ装置の動作状態が表示される。 従って、本実施例のシステムによれば、セキュリティ装置の搭載の有無にかかわらず、イモビライザECU22及び発光装置50の構成、及び、イモビライザECU22のCPU38が実行する表示用ルーチンを変更することなく、イモビライザ装置の動作状態を正しく表示することができる。 このように、本実施例のシステムは、盗難防止装置の種々の装備仕様に対応し得る柔軟性を有している。 【0026】なお上記第1実施例においては、セキュリティ装置が請求項1記載の第1の盗難防止装置に、イモビライザ装置が請求項1記載の第2の盗難防止装置に、 発光装置50が請求項1記載の表示装置に。 それぞれ相当している次に、図3に本発明の第2実施例のシステム構成図を示す。 本実施例においても、上記第1実施例と同様に、本発明に係る盗難防止装置表示システムを、セキュリティ装置及びイモビライザ装置に適用した例を示す。 なお、図3において図1と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。 【0027】図3に示す如く、セキュリティECU20 の表示出力端子36とCPU24の入力端子24bとの間には、イモビライザ装置有無判定回路62が接続されている。 イモビライザ装置有無判定回路62はトランジスタ64、ダイオード66、及び抵抗体68から構成されている。 トランジスタ64のコレクタはCPU24の入力端子24b及び電圧源34に接続され、エミッタは接地されている。 抵抗体及びダイオード66は、セキュリティECU20の出力端子36と、トランジスタ64 のベースとの間に直列に接続されている。 ダイオード6 6は、出力端子36からトランジスタ64に向かう方向が順方向となるように設けられている。 なお、本実施例のシステムにおいては、CPU24には、イグニッションシリンダにキーが挿入されているか否かを検出するイグニッションスイッチも接続されている。 【0028】かかる構成によれば、イモビライザECU 22が表示出力端子48に電圧を出力すると、この電圧は、表示出力端子36、抵抗体68、及びダイオード6 6を介してトランジスタ64のベースに付与される。 この状態では、トランジスタ64がオン状態となるため、 CPU24の入力端子24bにはロー入力が入力される。 一方、セキュリティECU20が出力端子36に電圧を出力せず、かつ、イモビライザECU22が出力端子48に電圧を出力した状態では、トランジスタ64のベースに電圧は付与されない。 この状態では、トランジスタ64がオフ状態となるため、CPU24の入力端子24bにはハイ入力が入力される。 本実施例のシステムにおいては、上記第1実施例のシステムと同様に、イモビライザECU22は、キーシリンダからキーが抜かれたことを検出すると、図4(b)に示す如く、点滅信号の出力を開始する。 従って、セキュリティECU20のCPU24は、イグニッションスイッチの出力に基づいてキーがキーシリンダから抜かれたことを検出した後、 入力端子24bの状態を調べることにより、イモビライザ装置が搭載されているか否かを検出することができる。 【0029】ところで、上述の如く、セキュリティEC U20は、イモビライザECU22の出力する表示信号を、イモビライザ装置有無判定回路62を介して、CP U24の入力端子24bに入力することにより、イモビライザ装置が搭載されているか否かの判断を行っている。 この場合、入力端子24bへノイズが混入すると、 イモビライザ装置が搭載されていないにもかかわらず、 搭載されているものと誤認識してしまうことがある。 かかる誤認識を防止するため、CPU24は、入力ピン2 4bへの入力信号に対してローパスフィルタによるフィルタリングを行い、このフィルタリングされた信号に基づいて、イモビライザ装置が搭載されているか否かの判断を行うこととしている。 このため、イモビライザEC U22が表示信号の出力を開始してから、この表示信号をセキュリティECU20が検出するまでに、若干の遅れ時間が生ずる。 また、キーがイグニッションシリンダから抜かれてからイモビライザECU22が表示信号の出力を開始するまでに、CPU38の処理時間に起因して、若干の遅れ時間が生ずる。 このように、上記実施例のシステムにおいては、キーがイグニッションシリンダから抜かれた後、セキュリティECU20がイモビライザ装置の存否を正しく検出できるまでには、若干の遅れ時間が生ずることになる。 【0030】このため、ドアがロックされた後直ちにセキュリティECU20がイモビライザ装置の有無を判断することとすると、運転者がキーを抜いた後、前記した遅れ時間が経過しないうちにドアをロックした場合、前記した時間遅れに起因して、イモビライザ装置が搭載されているにもかかわらず、イモビライザ装置が搭載されていることが正しく検出されないという事態が生ずる。 【0031】かかる不都合を回避するため、上記実施例のシステムにおいては、セキュリティECU20のCP U24は、キーがイグニッションシリンダから抜かれたことを検出した後、所定の待ち時間が経過した時点で、 イモビライザ装置が搭載されているか否かを検出することとしている。 これにより、CPU24がイモビライザ装置の有無を誤って検出することが防止されている。 【0032】セキュリティECU22は、上述の如く検出されたイモビライザ装置の搭載の有無に応じて2種類の表示信号を出力する。 図4は、イモビライザ装置が搭載されている場合に、セキュリティECU20が出力する表示信号のタイムチャートを、イモビライザECU2 2が出力する表示信号、及び、発光装置50の点灯状態のタイムチャートと共に示す。 図4(a)に示す如く、 イモビライザECU22は、時刻t4においてキーがイグニッションシリンダから抜かれたことを検出すると、 表示出力端子48への点滅信号の出力を開始する。 セキュリティECU20は、この点滅信号の最初のパルス波を検出することにより、イモビライザ装置が搭載されていることを検知する。 【0033】時刻t5において、ドアがロックされたことが検出されると、セキュリティECU20は、待機状態を示す連続点灯信号の出力を開始し、時刻t5から所定時間T経過後の時刻t6において、この連続点灯信号の出力を停止する。 上記第1実施例の場合と同様に、イモビライザECU22の表示出力端子48及びセキュリティECU20の表示出力端子36の少なくとも一方に電圧が出力されると、発光装置50が点灯する。 従って、上記第1実施例の場合と同様に、発光装置50は時刻t4において点滅を開始し、時刻t5において連続点灯状態となった後、時刻t6において、再び点滅状態となる。 このように、発光装置50が、セキュリティ装置及びイモビライザ装置の状態に応じて、消灯、点滅、及び連続点滅の3つの状態を取ることで、セキュリティ装置及びイモビライザ装置が搭載されている場合に、これらの装置の動作状態を発光装置50により正しく表示することが可能とされている。 【0034】次に、図5に、イモビライザ装置が搭載されていないことが検出された場合に、セキュリティEC U20が出力する表示信号のタイムチャートを示す。 セキュリティECU20のCPU24は、時刻t7において、イグニッションスイッチの出力に基づいてキーがイグニッションシリンダから抜かれたことを検出した後、 入力端子24bにハイ入力が入力されないことで、イモビライザ装置が搭載されていないことを検出する。 この場合、時刻t8において、ドアがロックされたことが検出されると、セキュリティECU20は待機状態になると共に、連続点灯信号の出力を開始する。 そして、時刻t8から所定の待機時間Tが経過した時刻t9において、発光装置50に対する出力を連続点灯信号から、警戒状態を示す点滅信号に切り換える。 以降、ドアがキーを用いた正常な方法でアンロックされるまで、点滅信号の出力を続ける。 【0035】このように、本実施例のシステムにおいては、イモビライザ装置が搭載されていない場合、セキュリティECU20が図5に示す如き表示信号を出力することにより、発光装置50により、セキュリティ装置の非動作状態、待機状態、及び、警戒状態を表示することが可能とされている。 【0036】なお、イモビライザ装置が搭載されていても、このイモビライザ装置が故障している場合には、イモビライザECU22の信号出力は有無判定回路62によっては検出されない。 このため、かかる場合には、セキュリティECU20は、イモビライザ装置が搭載されていない場合と同様に、図5に示す表示信号を出力する。 即ち、搭載されたイモビライザ装置が故障している場合にも、発光装置50により、セキュリティ装置の非動作状態、待機状態、及び、警戒状態を表示することができる。 【0037】上述の如く、本実施例のシステムにおいては、セキュリティECU20がイモビライザ装置有無判定回路60を備え、CPU24がイモビライザ装置有無判定回路60からの信号に応じて図4(a)に示す表示信号と、図5に示す表示信号との何れかを選択的に出力する表示ルーチンを実行する。 これにより、セキュリティECU20の構成及びECU24が実行する表示ルーチンの内容を変更することなく、イモビライザ装置が搭載されている場合には、セキュリティ装置及びイモビライザ装置の動作状態を、また、イモビライザ装置が搭載されていない場合には、セキュリティ装置の動作状態を、それぞれ発光装置50に適切に表示することが可能とされている。 【0038】また、上記実施例において、セキュリティ装置が搭載されず、イモビライザ装置のみが搭載されている場合には、発光装置50は、イモビライザECU2 2の出力する表示信号に応じて点滅する。 従って、キーが抜かれたことが検出された時点で、イモビライザEC U22が点滅信号の出力を開始することにより、イモビライザ装置の動作状態が発光装置50に正しく表示される。 従って、本実施例のシステムによれば、イモビライザECU22の構成及びCPU38が実行する表示ルーチンの内容を変更することなく、セキュリティ装置が搭載されている場合には、セキュリティ装置及びイモビライザ装置の動作状態を、また、イモビライザ装置のみが搭載されている場合には、イモビライザ装置の動作状態を、それぞれ発光装置50に適切に表示することができる。 【0039】従って、本実施例のシステムによれば、セキュリティ装置及びイモビライザの両方が搭載されている場合、及び、何れか一方が搭載されている場合の何れの場合においても、セキュリティ装置及びイモビライザ装置の各ECUの構成及び各CPUが実行するルーチンの内容を変更することなく、搭載された各盗難防止装置の動作状態を発光装置50に表示することが可能とされている。 このように、本実施例によれば、2種類の盗難防止装置が設けられた場合に発光装置の数が増加するのを防止し得る共に、セキュリティ装置及びイモビライザ装置の任意の装着仕様に対して柔軟に対応し得る盗難防止装置用表示システムが実現されている。 【0040】また、本実施例のシステムによれば、セキュリテイ装置及びイモビライザ装置の双方が搭載されている場合に、何れか一方の装置が故障により表示信号を出力できなくなっても、他方の装置が発光装置50に対して表示信号を付与することができる。 従って、かかる場合にも、何れかの盗難防止装置の警戒動作中には、発光装置50を点滅させることができ、これにより、盗難を企てる者に対する警告効果を維持することができる。 【0041】なお上記第2実施例においては、セキュリティ装置が請求項2記載の第1の盗難防止装置に、イモビライザ装置が請求項2記載の第2の盗難防止装置に、 発光装置50が請求項2記載の表示装置に、イモビライザ装置有無判定回路62が請求項2記載の有無判定手段に、それぞれ相当している。 また、セキュリティECU がイモビライザ装置の有無に応じて図4(a)に示す如き信号と、図5に示す如き信号とを選択的に出力することにより、請求項2記載の表示選択手段が実現されている。 【0042】 【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、第1の盗難防止装置及び第2の盗難防止装置のそれぞれの作動、及び動作状態を、これらの確認が確実に行えるように共通の表示装置で表示することができる。 これにより、第1の盗難防止装置及び第2の盗難防止装置が設けられた場合に、表示装置の数が増加するのを防止することができる。 【0043】また、請求項2記載の発明によれば、第1 の盗難防止装置及び第2の盗難防止装置のそれぞれの作動、及び動作状態を、これらの確認が確実に行えるように共通の表示装置で表示することができ、これにより、 第1の盗難防止装置及び第2の盗難防止装置が設けられた場合に、表示装置の数が増加するのを防止することができる。 更に、第2の盗難防止装置の有無に係わらず、 第1の盗難防止装置の構成を変更することは不要である。 これにより、盗難防止装置の種々の装着仕様に対する第1の盗難防止装置の柔軟性が向上されている。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施例のシステムの構成図である。 【図2】本実施例のシステムにおいて、イモビライザE CU及びセキュリティECUが発光装置に対して出力する信号、及び、発光装置の点灯状態のタイムチャートである。 【図3】本発明の第2実施例のシステムの構成図である。 【図4】本実施例のシステムにおいて、イモビライザ装置が搭載されている場合に、イモビライザECU及びセキュリティECUが発光装置に対して出力する信号、及び、発光装置の点灯状態のタイムチャートである。 【図5】本実施例のシステムにおいて、イモビライザ装置が搭載されていない場合に、セキュリティECUが発光装置に対して出力する信号のタイムチャートである。 【符号の説明】 20 セキュリティECU 22 イモビライザECU 50 発光装置 62 イモビライザ装置有無判定回路 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤塚 隆夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 |