乗員保護装置

申请号 JP2013553326 申请日 2013-01-11 公开(公告)号 JP6097468B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 タカタ株式会社; 发明人 山滝 紀生; 亀好 光; 市田 敦; 樋口 竜也;
摘要
权利要求

1個の巻取装置で巻き取られるシートベルトが、長尺なスライドガイドに挿通され、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグが、前記スライドガイドを包むように折り畳まれていて、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドとともに前記シートベルトに沿ってスライドする乗員保護装置であって、 前記スライドガイドは、前記シートベルトの挿通方向に沿って設けられた低剛性部位と高剛性部位とからなり、 前記低剛性部位は、前記エアバッグの一部に固定された長尺な板状体であって、挿通された前記シートベルトの曲げ変化を妨げないようなものであり、 前記高剛性部位は、前記板状体の一側面に沿って所定間隔をあけて配列形成された前記シートベルトの挿通を案内する門型あるいは筒形状ガイドからなる、 ことを特徴とする乗員保護装置。前記スライドガイドは、前記板状体が前記エアバッグに設けられたテザー表面に接着あるいは縫着により固定された請求項1に記載の乗員保護装置。1個の巻取装置で巻き取られるシートベルトが、長尺なスライドガイドに挿通され、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグが、前記スライドガイドを包むように折り畳まれていて、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドとともに前記シートベルトに沿ってスライドする乗員保護装置であって、 前記スライドガイドは、前記シートベルトの挿通方向に沿って設けられた低剛性部位と高剛性部位とからなり、 前記低剛性部位は、前記エアバッグの一部に固定された長尺な板状体であって、挿通された前記シートベルトの曲げ変化を妨げないような軟質樹脂材料の成形体からなり、 前記高剛性部位は、シートベルトが挿通可能な門型断面をなすように、前記板状体の一側面に沿って一体的に成形された硬質樹脂材料からなる門型の板状体を、前記シートベルトの挿通方向に沿って所定間隔で切欠いて形成された門型形状ガイドからなる、 ことを特徴とする乗員保護装置。1個の巻取装置で巻き取られるシートベルトが、長尺なスライドガイドに挿通され、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグが、前記スライドガイドを包むように折り畳まれていて、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドとともに前記シートベルトに沿ってスライドする乗員保護装置であって、 前記スライドガイドは、前記シートベルトの挿通方向に沿って設けられた、同一樹脂材料を一体的に成形してなる低剛性部位と高剛性部位とを有し、 前記低剛性部位は、前記エアバッグの一部に固定された長尺な板状体であり、 前記高剛性部位は、前記シートベルトの挿通方向に沿って所定間隔をあけて配列形成された前記シートベルトの挿通を案内する門型形状ガイドであり、 前記低剛性部位は、さらに、挿通された前記シートベルトの曲げ変化を妨げないように、前記板状体の前記高剛性部位間にくびれを有する、 ことを特徴とする乗員保護装置。前記くびれは、前記挿通方向に直交する幅方向の両側端に設けられ、幅方向の中央位置に、前記高剛性部位を連結する連結部位が形成された請求項4に記載の乗員保護装置。前記くびれは、前記挿通方向に直交する幅方向の両側端のうちの一端に設けられ、幅方向の他端に、前記高剛性部位を連結する連結部位が形成された請求項4に記載の乗員保護装置。前記スライドガイドは、前記挿通方向に直交する幅方向の両側端に前記くびれを設けることで前記幅方向の中央位置に形成された連結部位で前記高剛性部位が連結された部分と、前記挿通方向に直交する幅方向の両側端のうちの一端にくびれを設けることで、前記幅方向の他端に形成された連結部位で前記高剛性部位が連結された部分とを有する請求項4に記載の乗員保護装置。1個の巻取装置で巻き取られるシートベルトが、長尺なスライドガイドに挿通され、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグが、前記スライドガイドを包むように折り畳まれていて、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドとともに前記シートベルトに沿ってスライドする乗員保護装置であって、 前記スライドガイドは、前記シートベルトの挿通方向に沿って交互に設けられた低剛性部位と高剛性部位とからなり、 前記高剛性部位と前記低剛性部位とは、剛性グレードの異なる同一材料によって、あるいは複数種類の材料を組み合わせて構成された、 ことを特徴とする乗員保護装置。1個の巻取装置で巻き取られるシートベルトが、長尺なスライドガイドに挿通され、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグが、前記スライドガイドを包むように折り畳まれていて、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドとともに前記シートベルトに沿ってスライドする乗員保護装置であって、 前記スライドガイドは、前記シートベルトの挿通方向に沿って交互に設けられた低剛性部位と高剛性部位とからなり、 前記高剛性部位間に配置された板状体の連結部が、連結ピンを介して前記高剛性部位と連結されることで、前記連結部が前記乗員の体形に沿って屈曲する前記低剛性部位として機能する、 ことを特徴とする乗員保護装置。

说明书全文

本発明は乗員保護装置に係り、車両の衝突を検知して胸部から肩部にかけてシートベルト内に折り畳んだエアバッグを膨張させて乗員を有効に拘束できるようにした乗員保護装置に関する。

出願人は、車両衝突時に、シートベルトのショルダーベルトに収納されたエアバッグが胸部から肩上部を中心に膨らみ、前面衝突と側面衝突の2つの事故形態に対して1つの製品で対応できる乗員保護装置(以下、単にエアベルト装置と記す)を開発している(非特許文献1)。

このエアベルト装置は、乗員が装着したショルダーベルトに沿ってエアバッグが略紡錘形状に膨らむことで、前面衝突時には、ベルト内のエアバッグが直接膨らむことで乗員の胸部との接触面積が広がり、胸部にかかる衝撃を分散し緩和する。側面衝突時には、膨張部が乗員の肩上部から側頭部を保持し頭部の側面移動量を制御することで、サイドウィンドウや車内構造物への2次衝突を防止する。

しかし、このエアベルト装置は、シートベルトに固定されているトングを挟んで、ラップベルト側を巻き取るリトラクタと、エアベルトとして内部にエアバッグが収納されたショルダーベルト側を巻き取るリトラクタとを2台装備しているため、装置コストが高く、高級車等に装備することを想定している。

これに対して、1台のリトラクタでエアベルトが内蔵されたショルダーベルトとトングプレートを挟んだラップベルトとを引き出し、巻取りが可能なエアベルト装置の開発も進められている。ところが、1台のリトラクタを利用する場合には、ウェビングをリトラクタから引き出した際に、所定量のラップベルト部分を引き出すとともに、端部にトングプレートとガス供給口とが設けられているトングを有するエアベルト部分(ショルダーベルトの一部)が胸部から肩部にかけての適正位置にくるように、エアベルト部分がウェビングに対してなめらかにスライドできるようにする必要がある。

特許文献1には、エアバッグ本体とウェビングとの間に介在させる扁平な合成樹脂製のチューブを有するシートベルト装置が開示されている。特許文献1には、この扁平なチューブ内に挿通されたウェビングの摺動抵抗を低減するとともに、ウェビングを引き出す際の追従性、柔軟性を確保するために、剛性(チューブ長手方向、幅方向)を色々調整した各種のチューブが開示されている。

特開2009−293355号公報

タカタ株式会社、“自動車用安全システムメーカーのタカタ、エアベルトをグッドデザインエキスポ2011 に出展”、[online]、2011年8月24日、[平成23年12月15日検索]インターネット

ところで、特許文献1に示したシートベルト装置は、上述した各種の扁平なチューブの表面に各種の開口や切欠を配置して、長手方向、幅方向の2方向の剛性を低減することを目的としているため、チューブの幅方向の剛性も小さくなりがちとなる。そのため、乗員がシートベルトを装着するためにエアベルト部分をつかんでリトラクタから引き出す際に、チューブが変形してウェビングが丸まるように、あるいは厚み方向に押されてウェビングを挟み込むようにチューブに接触してシートベルト引き出し時の摺動抵抗が大きくなるという問題がある。また、比較的剛性の高いチューブの側面がエアバッグを介して乗員の胸部等に当たるため、装着時の違和感も生じやすい。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、ウェビングの幅方向および厚さ方向においては、高い剛性を有し、長手方向に関しては低い剛性を有するスライドガイドを設け、それを芯材として所定形状のエアバッグを折り畳み収納するエアベルトとして、ウェビングに対してスムースな相対移動が可能で、また装着時も乗員の胸部に倣ってソフトに接触できる乗員保護装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明は、所定の動作信号を受けて膨張可能なエアバッグがシートベルトのショルダーベルト位置に設けられた、前記シートベルトを1個の巻取装置で巻き取る乗員保護装置であって、前記エアバッグは、前記シートベルトの挿通方向に沿って設けられた、高剛性部位と低剛性部位とで構成されたスライドガイドに沿って折り畳まれ、前記シートベルトの引き出し時に、前記エアバッグが前記スライドガイドを介して前記シートベルトに沿ってスライドすることを特徴とする。

前記スライドガイドは、前記エアバッグに固定された板状体を構成する低剛性部位と前記板状体と一体的に形成された、前記シートベルトを通過させるガイドを構成する高剛性部位とからなるようにすることが好ましい。

前記スライドガイドは、前記エアバッグの長手方向に延在する前記板状体の一側面に沿って所定間隔をあけて配列形成された門型ガイドあるいは筒形状ガイドを有することが好ましい。

前記スライドガイドは、高剛性部位が硬質材料の成形体であり、低剛性部位が軟質樹脂材料の成形体であることが好ましい。

前記スライドガイドの軟質樹脂材料はポリエステルエラストマー樹脂で、硬質材料は、ポリウレタン樹脂であることが好ましい。

前記スライドガイドは、前記板状体が前記エアバッグに設けられたテザー表面に接着あるいは縫着することが好ましい。

前記スライドガイドは、高剛性部位と低剛性部位とを剛性の異なる2種類以上の材料、もしくは剛性グレードの異なる同一材料で製造できることが好ましいが、高剛性部位と低剛性部位とを同一材料として、その剛性の差を部材断面形状で確保することもできる。そのとき、前記高剛性部位を連結する低剛性部位の両側端からくびれが設けられ、幅方向の中央位置に、前記高剛性部位を連結する連結部位を形成することが好ましい。

あるいは前記高剛性部位を連結する低剛性部位の片側の一端からくびれが設けられ、幅方向の他端に、前記高剛性部位を連結する連結部位を形成することが好ましい。

このとき、前記スライドガイドは、前記低剛性部位の両側端からくびれが設けられ、幅方向の中央位置に設けられた連結部位と、低剛性部位の片側の一端からくびれが設けられ、幅方向の他端に設けられた連結部位とを組み合わせて、前記高剛性部位を連結することもできる。

前記スライドガイドは、前記シートベルトを通過させるガイドを構成する高剛性部位と、前記乗員の体形に沿うように前記高剛性部位間を屈曲自在に連結する連結部を構成する低剛性部位とからなるようにすることも好ましい。

本発明によれば、シートベルトの装着時のウェビングの引き出しにおいて、エアベルト部分がショルダーベルトに沿ってスムースにスライドできるので、シートベルト装着時の快適性が十分確保でき、またエアベルト部分も乗員拘束のために適正な位置に装着できるという効果を奏する。

本発明の乗員保護装置が組み込まれる車内装備の一構成例を示した斜視図。

図1に示した乗員保護装置を示した概略構成説明図。

図3(a)は、図2に示した乗員保護装置の内部構成を示した概略説明図。図3(b)〜(d)は、乗員保護装置としてのエアベルトの変形要素を示した概略説明図。

図4(a)、(b)は、乗員保護装置に組み込まれるスライドガイドの一実施例を示した部分拡大図。

図5(a)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図、(b−I)、(b−II)は、断面例を示した断面図。

図6(a)〜(c)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図7(a)、(b)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図8(a)、(b)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図9(a)〜(c)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図10(a)、(b)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図11(a)、(b)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図10,図11に示したスライドガイドによる乗員拘束時のフィット状態を示した説明図。

図13(a)〜(c)は、図10,図11に示したスライドガイドを製作する金型および、その製作工程を示した説明図。

スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図15(a)、(b)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

図16(a)〜(c)は、スライドガイドの他の実施例を示した部分拡大図。

以下、本発明の乗員保護装置の実施するための形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。

図1は、本発明の乗員保護装置10(以下、本発明でもエアベルト装置10と記す。)を乗員シート1に装備した状態を模式的に示した斜視説明図である。同図には、リトラクタ2から引き出されたシートベルト3がトング4で折り返され、その端部がアンカープレート6に定着された状態が示されている。このアンカープレート6は、固定ボルト5を介して図示しない車体の固定部に固定される。なお、以下の説明では「シートベルト」は乗員を拘束したり、その機能を奏する場合や、部位を示す(たとえばショルダーベルト等)の用語として用い、リトラクタに巻き取られ、所定の引き出しで引き出されるシートベルトを構成する織布製の帯体を「ウェビング」と呼ぶ。

図1に示したように、リトラクタ2は、Bピラー(図示せず)あるいはシートバック1B内に収容され、所定位置に固定された状態にある。ウェビングWは、乗員が着座した当初はシート脇で所定の張力を保持して巻き取られた状態にある。ウェビングWはこのトング4の位置を境にショルダーベルト3Sと、ラップベルト3Lに分けられる。このラップベルト3LとなるウェビングWは、使用時以外はリトラクタ2に巻き取られている部分であり、乗員が着座し、図1に示したように、ウェビングWをリトラクタ2から引き出してトング4をバックル9まで引き寄せることで、ラップベルト3Lの部分が確保される。この際、乗員は着座した状態で自分の側方にあるウェビングWを掴んでリトラクタ2から引き出す動作をとる。この位置は、ショルダーベルト3Sのうち、エアバッグ20が折り畳まれ収容されたエアベルト11に相当する。このエアベルト11を掴んだ際に、エアベルト11内を挿通するウェビングWが変形しないようにした点が、本発明の技術的特徴の一つである。その詳細な構成については、図4〜図12を参照して後述する。

図1に開示されたエアベルト装置10の他の構成について補足説明する。シートバック1Bの右肩側上端には、ショルダアンカー7が設置されている。ショルダアンカー7は通常、Bピラー上部あるいはシートバック1B上端に設けられ、このショルダアンカー7でショルダーベルト3Sは方向変換されてリトラクタ2に導かれる。一方、ショルダーベルト3SとなるウェビングWには、図2に抜き出して示したように。エアベルト11(構成は後述する。)が装着されている。本発明のエアベルト11の端部には、図1,図2に示したように、トング4とラップアンカー8とが一体化した形状となっている。合成樹脂製のトング4にはガス供給パイプ4aとトングプレート4bとが設けられている。ガス供給パイプ4aは金属製筒状体で、このガス供給パイプ4aに連通するトング4内のガス供給経路(図示せず)は、図3に示したエアバッグ20のガス導入口20aに気密的に接続されている。

図1には、さらにトング4のガス供給パイプ4aとトングプレート4bとを保持するバックル9が示されている。このバックル9はブラケット9aを介してシート脇の車体の固定部(図示せず)にボルト等の固定部材を介して固定される。バックル9にはトングプレート支持穴9bとガス供給パイプ連結穴9aとが形成されており、トング4の装着時にトングプレート4bとガス供給パイプ4aとは同時にバックル9の各穴に挿入される。さらにガス供給パイプ4aが挿入される連結穴にはバックル9に外付けされたインフレータGのガス噴出口(図示せず)が連通されている。したがって、衝突時等に、このインフレータGへの動作信号が送られると、インフレータG内の点火剤の発火によりインフレータGのガス噴出口からガスが噴出し、ガス供給パイプ4aを介してエアバッグ20(図3)が、乗員の装着しているショルダーベルト3Sに沿って略紡錘形状に膨張し、乗員の胸部から肩上部にかけての範囲を適正に拘束することができる(図1中、膨張形状を仮想線表示)。

ここで、ショルダーベルト3SのウェビングWに摺動可能に装着されたエアベルト11の構成について、図2,図3を参照して説明する。図2は、ショルダーベルト3SのウェビングWに挿通されたエアベルト11を示した外観図である。同図に示したエアベルト11は、内部に位置するウェビングWを芯部材として、図3に示したようにエアバッグ20を三つ折り状に折り畳み、外装カバー21で覆った構成からなる。外装カバー21は布地を筒状に縫製して作られており、作動時は縫糸が切れて膨張したエアバッグが露出する。

外装カバー21の両端の開口部にはポリウレタン樹脂製の開口ガイドリング22が取り付けられている。この開口ガイドリング22は剛性が高いため変形しにくく、扁平な開口形状を保形してウェビングWのスライドを確実に行え、その際の摺動抵抗も低減される。

エアベルト11として機能するエアバッグ20は各種の形状のものが提案されているが、エアバッグ形状の一例の展開状態が図3に示されている。このエアバッグ20は、長手方向に沿って2列のシーム(図示せず)を形成することで3区画に分割されている。この分割された区画は連通部(図示せず)を介してガスが連通される。このエアバッグ20は、ガスが導入され膨張する際に、ほぼ同時に並列した3連の略円筒形状として膨張する。このとき、この並列した3連の円筒が面状に一体的に挙動できるように、エアバッグ20の両面にテザー23が面状に縫い付けられている。このテザー23にはエアバッグ20基布と同一の生地が用いられている。また、図3に示したように、その幅はエアバッグ20を平面的に展開した際の全幅よりわずかに短く設定されている。これにより、膨張時に並列した3連の円筒状のエアバッグ20の両面はテザー23で形状が規制される。この結果、エアバッグ20は扁平な面状膨張体に近い形状の衝撃吸収体として機能する。これにより、エアバッグ20が膨張した状態で3連のエアバッグ20が一体となり、乗員を拘束する効果がより確実になる。なお、幅の短いテザー23に合わせて縫い合わせるために、エアバッグ20は所定幅のタック24を設けて折り畳み、テザー23の幅に合わせている。

またエアベルト11として機能するエアバッグ20は、図3(a)に示したように、エアバッグ20の長手方向の端部近傍に形成された2カ所のスリット25にウェビングWを挿通させることでショルダーベルト3Sの一部にスライド可能に保持される。このとき同図に示したように、ウェビングWは所定の剛性と曲げ柔軟性を有するスライドガイド30内を挿通され、このスライドガイド30を包むように、ウェビングWの両側にあるエアバッグ20を折り畳み、上述したメッシュウェビングと外装カバー21で覆ってエアベルト11(図2)の形状とする。

以下、スライドガイド30の構成について、図3(a)を参照して説明する。さらに、乗員がエアベルト11(図2)を装着する際に、スライドガイド30に生じる変形要素について、簡単に説明する。スライドガイド30の求められる機能としては、まずウェビングWの滑らかな挿通を確保することと、乗員がエアベルト11を装着した際に、乗員の体形にフィットする曲げ柔軟性を有することがある。エアベルトの11の曲げ柔軟性の目安となる変形要素としては、図3(b)〜(d)に示したように、エアベルト11と内部のウェビングWとを含む平面内の曲げ変形(同図(b))、エアベルト11の長手方向軸線回りの捩れ変形(同図(c)、同図では簡易化のため一方向(反時計回り)の捩れを示しているが、時計回りの捩れも同様である。)、同図(b)の平面に対する面外方向曲げ変形(同図(d))がある。エアベルト11を装着する場合、乗員の体形、性差等によって、これらの変形の度合いがそれぞれ変化するが、いずれの場合にも、乗員がエアベルト11を装着した際に、エアベルト11が乗員の肩部から腰部までの範囲において、乗員の体にフィットするように、エアベルト11の剛性、曲げ柔軟性を備えるようにすることが重要である。

以下、実施例として、各種のエアベルトの構成、その変形挙動等について図4〜図16を参照して説明する。スライドガイド30は、原則、ウェビングWを内部に挿通してウェビングWの挿通を確保する空間を形成する高剛性部位としての硬質部位31と、ウェビングWの長手方向に延在し、ウェビングWの長手方向の自由な曲りを保持する低剛性部位としての軟質部位32とから構成されている。

硬質部位31は、本実施例では、図示したように、内のり寸法がウェビングWの幅よりわずかに大きく、長手方向が約1.5cmの扁平な筒状あるいは門型ガイドを構成する。この硬質部位31はウェビングWの幅方向に高い剛性を有し、ウェビングWの長手方向に隣接する各硬質部位31の間隔は1cm以下に設定されている。本実施例では、硬質部位31を構成する樹脂材料としてポリウレタン樹脂が用いられている。この他、適正な材料としては、ポリエステルエラストマー、ポリアミド樹脂、硬質ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、金属板等が使用できる。

軟質部位32は、本実施例では、ウェビングWの幅にほぼ等しい細長い板状体で、図3に示したテザー23の長手方向の範囲に接着あるいは縫い付けにより固定されている。軟質部位32の表面は平滑に仕上げられており、ウェビングWが長手方向に移動する際に、その摺動抵抗は最小限に抑えられている。本実施例では、軟質部位32を構成する樹脂材料としてポリエステルエラストマーが用いられている。この他、適正な材料としては軟質ポリウレタン樹脂、シリコーンエラストマー、ゴム(合成、天然)等が使用できる。このように、高剛性部位としての硬質部位と、低剛性部位としての軟質部位とを剛性の異なる複数種類の材料から構成する以外に、同一材料においてその剛性グレード(規格)の異なる材料を用いたり、その剛性の差を部材断面形状で確保することもできる。以下、図4〜図12において、それぞれの構成例を示す。

(軟質部位と硬質部位との取付け構造) 図4は、あらかじめ硬質部位31としての硬質樹脂材料による門型のガイドパーツ33を成形し、それを所定間隔に金型内のスペーサ(図示せず)で支持させた状態で、軟質樹脂材料によりベース部材としての板状部位36とを一体的に成形して筒状のスライドガイド30を製造した実施例を示している。この成形方法によれば、硬質部位31としてのガイド部35と軟質部位32としての板状部位36とが一体的に構成された軽量なスライドガイド30が少工程で製造できる。図4(b)は、軟質樹脂材料によって板状部位36と門型ガイド35Aとを形成し、その門型ガイド35Aの周囲に硬質樹脂材料を成形した門型の補剛部材を密着させた構造からなる。この構造によれば、軟質樹脂材料による門型ガイド35Aと硬質樹脂材料による補剛部材37とにより硬質部位31が構成されるので、硬質部位31の剛性を十分高めることができる。

図5(a)は、軟質樹脂材料によって板状部位36と同幅の門型ガイド35Bとを形成し、その門型ガイド35Bの内周部に硬質樹脂材料を成形した筒状(I)あるいは門型(II)の補剛部材37を嵌挿させた構造からなる。この構造によれば、軟質樹脂材料による門型ガイドと筒状あるいは門型の硬質樹脂材料による補剛部材37とにより硬質部位31が構成されるので、折り畳んだエアバッグ20が接する外形部分をソフトに仕上げることができ、かつ硬質部位31の剛性も十分高めることができる。同図(b−I),(b−II)は、それぞれの補剛部材37(筒状(I)、門型(II))を嵌挿させた状態を示したガイドの一部縦断面図である。

図6(a),(b)は、軟質樹脂材料によって板状部位36を成形し、その板状部位36全体を覆うように、硬質樹脂材料で門型ガイド35の脚部35aを板状部位36と一体化させて成形した筒状をなす基本形状部材を示している。この基本形状部材のうち、破線で示したように門型をなす硬質部位31Cを所定間隔で切欠いていくことにより、同図(c)に示したような軟質樹脂材料による板状部位36と硬質樹脂材料による門型ガイド35とが一体成形されたスライドガイド30が完成する。この形状は、図4(a)に示したものと同形となる。

図7(a)は、軟質樹脂材料で板状部位36と所定間隔をあけて門型ガイド35を一体成形した実施例であるが、門型ガイド35の内部に線材を曲げ加工した補強鋼材38が埋設されている。この実施例では門型ガイド35自体は軟質樹脂材料による成形部位なので部分的な変形は生じるが、ウェビング(図示せず)が通過する門型ガイド35の形状は、補強鋼材38により保持される。同図(b)は門型ガイド35内の補強鋼材38の配置例を示した部分縦断面図である。

図8(a)は、軟質樹脂材料で成形した板状部位36と、硬質樹脂材料で成形した角筒状のガイド39とに、それぞれ噛み合いが可能な凹所36a、39aを対向面に形成し、板状部位36の所定箇所に角筒状のガイド39を噛み合わせることで、硬質樹脂材料による角筒状のガイド39によって門型ガイド35(たとえば図6(c)参照)を板状部位36と一体的に製作することができる。

図9(a),(b)は、適度な剛性と弾性変形可能な程度の単一の材料を用いて、肉厚の門型ガイド35を成形するとともに、門型ガイド35の間の板状部位36にスリット36bを形成して剛性を低下させて屈曲可能な構造とした実施例を示している。同図(c)は、門型ガイド35間の板状部位36の板厚をさらに薄くした部位36cを設けて板状部材36cでの易屈曲性を利用して柔軟性の確保を図った例である。この実施例では、上述した硬質樹脂材料を使用するか、あるいは硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との中間的な剛性を有する材料を用いることが好ましい。

図10、図11は門型ガイド35と、各門型ガイドを連続させる板状部位36との構成で、板状部位36を低剛性からなる連結部形状とした実施例を示している。門型ガイド35と板状部位36とから構成される点では、図9各図の構成と類似するが、本実施例では、全体材料を硬質樹脂材料で構成させ、板状部位36における門型ガイド35の連結部位の断面形状をきわめて小さくさせた点に特徴がある。すなわち、図10(a)、(b)に示した実施例は、門型ガイド35を連結する板状部位36の形状を図10(b)に示したように、両側側からくびれ36dを設けた略H字形状として、中央部36eのみで門型ガイド35を連結させている(以下、H字連結タイプと呼ぶ。)。このように、隣接した門型ガイド35は、両側にくびれ36dが形成され残った部位である中央部36eのみでつながっているので、図3(b)〜(d)のいずれの変形要素に対しても柔軟な変形性状を示す。図11(a)、(b)に示した実施例は、門型ガイド35を連結する板状部位36の形状を図10(b)に示したように、幅方向の片側からのみくびれ36fを設け、平面視して略U字形状として、幅方向の一端部36gのみで隣接した門型ガイド35を連結させている(以下、U字連結タイプと呼ぶ。)。このように、隣接した門型ガイド35はこのくびれ36fを残した一端部36gのみでつながっているので、図3(b)に示した平面内の曲げ挙動として、くびれ36fが配列された側に曲がりやすくなる傾向にある。また、同図(c)に示した捩れ変形もくびれ36fが形成された側の各門型ガイド35の捩れ量が大きくなる。

ところで、図10、図11各図に示したH字連結タイプ、U字連結タイプからなるスライドガイド30は、連結部の断面形状を小さくしたため、上述した硬質樹脂材料としてのポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルエラストマーによって板状部位36を一体成形しても、上述の各変形要素に対してそれぞれ所望の変位量を確保することができる。そこで、1本のエアベルト11に組み込まれるスライドガイド30において、図10(a)と図11(a)に示した、異なる連結形状箇所を設けることで、スライドガイド全体の曲げ特性を変化させて、エアベルトの装着時のフィット感を調整することが可能になる。

以下、その一例について図12を参照して説明する。図12は、乗員がエアベルト11を装着した状態において、エアベルト11内のスライドガイド30のみを模式的に示した説明図である。このスライドガイド30は、乗員の上腰部付近から前面胸部に接触する。そして、右鎖骨位置付近で急に角度を変えて図示しないスリップアンカーやシートベルト巻取装置の挿通スリット(図示せず)に導かれる。したがって、乗員のエアベルト11の装着感を向上させるために、胸部付近は、面外曲げ変形が優先するように、上述のH字連結タイプのスライドガイド30で構成し、上胸部から肩口にかけてはU字連結タイプのスライドガイド30としてエアベルト11の装着感をより向上させることができる。

また、上述した図10、図11各図に示したエアベルト11は、製造上の利点も有している。すなわち、図13(a)に示したような上下一対の金型40U、40Lを同図(b)に示したようにセットして、金型40U、40L間に形成される空間内に樹脂充填することで成形できる。すなわち、図9各図に示した場合には、ウェビングWを通過させる空間を形成するために中子(スライド型)を要するのに対して、上下一対の金型40U、40Lで図13(c)に示したようなウェビングWを自在に挿通可能なスライドガイド30を成形できるという利点を有する。

図14は門型ガイド35に屈曲断面によるリブ部35cを形成し、このリブ部35cによって断面剛性を高めた実施例を示している。この場合には板状部位36は柔軟性を有し、この板状部位36に対してリブ部35cを有する門型ガイド35が相対的に高い剛性と変形抵抗性を確保することが好ましい。

図15(a)は硬質部位からなる門型ガイド35と、隣り合う門型ガイド35間を連結する連結部位としての軟質材からなる板状部位36との間にピン等によるジョイント部Jを設け、このジョイント部J位置での屈曲動作により板状部位36を相対変位させて、スライドガイド30全体を乗員の体形に沿わせて柔軟に屈曲することができる(図15(b))。この場合、板状部位36およびジョイント部Jとでスライドガイド30としての柔軟な動きを果たすので、門型ガイド35と板状部位36には、上述した硬質樹脂材料と軟質樹脂材料との中間的な剛性を有する単一材料を用いることもできる。なお、連結部位としての板状部位36の剛性を十分低くする(柔軟にする)ことで、乗員がシートベルトを装着した際に、スライドガイド30全体が乗員の体形にフィットするように変形できれば、高剛性部位間にジョイント部Jを設けなくても、この連結部を低剛性部位として機能させることができる。

図16(a)は、具体的なスライドガイド30の成形手法を模式的に説明した説明図である。同図(a)、(b)に示したように、硬質樹脂材料からなる、所定間隔をあけて長手方向に連続した門型ガイド35と、軟質樹脂材料からなる板状部位36とを折り曲げ弱部36eを介して、開いた状態で一体成形されているし折り曲げ弱部36eで構成する。そして同図(c)に示したように、折り曲げ弱部で門型ガイド35を板状部位36に重ねるように折り曲げて、連続した門型ガイド35の端部に形成された係止部35dと板状部位36の一辺に形成された係止部36dとを連結することにより、所定の門型ガイド35を有するスライドガイド30を組み立てることができる。図示しないが、係止部に代えて、ピン状体を開口に貫通させてその先端を溶融定着させたり、グロメット構造で連結する構成としてもよい。

なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。

本出願は、2012年1月11日に出願された日本国特許出願2012−2881号に基づくものであり、その明細書、特許請求の範囲、図面および要約書を含むものである。上記日本国特許出願における開示は、その全体が本明細書中に参照として含まれる。

1 乗員シート 2 リトラクタ 3 シートベルト 3S ショルダーベルト 3L ラップベルト 4 トング 9 バックル 10 乗員保護装置(エアベルト装置) 11 エアベルト 20 エアバッグ 23 テザー 30 スライドガイド 31 硬質部位 32 軟質部位 35 ガイド(門型ガイド) 36 板状部位 36d,36f くびれ 37 補剛部材 38 補強部材

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