【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、2個の継手フォークとこの両者を結合する1個の継手十字部とから成る少なくとも1個のカルダン継手と、一方の継手フォークに接続される筒状のプロペラシャフト端部とを備えており、前記プロペラシャフト端部が、前記一方の継手フォークに結合されておりかつ所定の支持力を超えたとき、該継手フォークがプロペラシャフトの内方部に向けて移動可能にする手段に結合されている形式の自動車の後軸駆動用のプロペラシャフトに関する。 【0002】 【従来の技術】適宜箇所にてその領域が区分されたプロペラシャフトにおいて、同期回転継手がシャフトの両部分の結合のために使用されることは公知である(まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許第422420 1.0号明細書)。 この特許明細書においては、衝突時に、プロペラシャフトの折れ曲がりを阻止するための提案がなされている。 また、同期回転継手の欠点は、高いコストと比較的大きな重量である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、両方の部分がカルダン継手を介して互いに結合されている区分されたプロペラシャフトにおいて、衝突時にプロペラシャフトが乗客室内に侵入することを阻止するために、 該プロペラシャフトの両部分の折れ曲がりを確実に排除することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するために講じた本発明の手段は、前記移動可能にする手段が、前記プロペラシャフト端部において、軸線方向に沿って打ち抜かれたU字形部分と、継手十字部を収容するために前記継手フォークに形成された2つの突出部とから構成され、前記U字形部分が、継手フォークおよびその突出部を共に外側から取り囲んでおり、前記継手フォークが、前記U字形部分を該継手フォークおよび該突出部の外形に沿って変形させることにより、該U字形部分に結合されていることを特徴とする自動車のプロペラシャフトを提供することである。 【0005】 【作用】本発明によれば、衝突時、または前方の車に押し込まれる衝突時に、継手十字部を有する両方の継手フォークから成るカルダン継手全体がプロペラシャフトの管内に押し込まれる。 また、この場合、カルダン継手の曲げ可能性が排除され、所定のエネルギー量が消滅される。 【0006】カルダン継手全体が、折れ曲がりに関するその運動自由性を阻止されるので、区分されたプロペラシャフトの折れ曲がりは確実に排除される。 また、プロペラシャフトとカルダン継手との、もしくは所属の継手フォークとの結合個所の構成に基づいて所定のエネルギー量を消滅することができる。 【0007】本発明に係わるプロペラシャフトの1つの実施の形態によると、前記継手フォークと前記プロペラシャフト端部とを結合のために、少なくとも1個の剪断ピンが補助的に用いられている。 このことから、剪断ピンに適する剪断強さによって、プロペラシャフトの管内の継手フォークの解離力を具体的な値で前もって設定することができる。 【0008】また、本発明に係わるプロペラシャフトのもう1つの実施の形態によると、前記継手フォークが、 その突出部と共に前記U字形部分によって取り囲まれている表面が、半径方向断面で見て円によって境界付けられている。 このことで、継手フォークは力によってシャフト管内に押し込まれ、かつこれによって比較的大きなエネルギー量を消滅させることができる。 【0009】さらに、別の実施の形態によると、前記継手フォークに接続される領域に存在する前記プロペラシャフト端部の内径が、該継手フォークの表面を突出部と共に境界付けている前記円よりも大きい寸法である。 このことから、消滅されるエネルギーは、継手フォークの押し込み中には、U字形部分で発生するエネルギー量に制限されている。 このような構成は、例えば自動車が衝突の際、衝撃カーブに相応して変化するために、若干の使用例にとって有利である。 【0010】 【実施例】以下に本発明を図示の実施例を用いて詳しく説明する。 図1は、2つのプロペラシャフト端部1を結合するための本発明による継手構成のためのカルダン継手12の横断面を示す。 一方の円筒状のプロペラシャフト端部1が、継手に向かう側の端部に軸線に沿ってU字形に打ち抜き成形されたU字形部分2を備えている。 【0011】図1に示すように、継手フォーク7はプロペラシャフト端部1において、軸方向に沿った突出部1 0を備えており、この部分の表面は、少なくとも半径方向で外側に位置するU字形部分によって部分的に取り囲まれる(図1及び図2)。 【0012】図2に矢印によって示したように、半径方向内方へ向けた力がU字形部分2に作用することは明らかである。 【0013】図3に示された、2つのプロペラシャフト端部1を結合するための継手においては、配設された該シャフト部分1の内径が、継手フォーク7に配置された突出部10の円周内径より小さく設定されている。 このような構成によって、横転に起因する衝突時に継手フォーク7の突出部10が、その相応するシャフト部分1内に押し込まれることが制限されるが、この場合、規定のエネルギー量を摩擦によって消滅させることができる。 【0014】図3に示された構成では、U字形部分2 が、その互いに平行に軸方向に延びる2つの先端部において、各々の先端部の互いに平行な両側においてそれぞれ内側に向けて互いに平行に折り曲げられた2枚の鍔出し部4を備えており、同時に継手フォーク7を半径方向内側に把持した状態が示されている。 このような構成によって、U字形部分2と継手フォーク7との高いトルク伝達性が得られる。 【0015】図4は、図3の構成の縦断面を示している。 【0016】図5は、プロペラシャフト端部1のU字形部分2を付加的に2つの剪断ピン6によって結合した構成を示しており、これらの剪断ピンは、U字形部分2にも、継手フォーク7の突出部10にも貫通係合している。 これによって、剪断ピンの剪断応力に相応する衝突力がもたらされた場合、継手フォーク7とU字形部分2 との結合部は解離しかつ継手フォーク7をシャフト部分1内に押し込む状態が生じる。 【0017】図6に示された構成においては、剪断ピン6の付加的な予定破断個所11が継手フォーク7の突出部10の後端部分に備えられている。 【0018】図7には、両方のプロペラシャフト端部の、従来技術によるカルダン継手として構成された結合部が示されており、この結合部においては、プロペラシャフト端部1が継手フォーク7と溶接によって結合されている。 第2の継手フォーク9が、中央支承部を形成している継手十字部3を介して相手側の第2のシャフト部分1と結合されている。 このような一般的に用いられる解決策においては、正面衝突時にプロペラシャフトがカルダン継手の部分で折り曲げ或いは切断され、かつ例えば乗客室内に侵入するという大きな危険がある。 【0019】 【発明の効果】本発明による構成の利点は、自動車の正面衝突時、または追突時に、継手十字部を有する両方の継手フォークから成るカルダン継手全体が押し曲げられる事無くプロペラシャフトの管内に押し込まれ、所定のエネルギー量が消滅されるので、自動車の客室内に侵入して、そこで乗客を傷つけるという危険は回避される。 その上、衝撃時に発生する予見可能なカルダン軸の規定された振る舞いが、車両全体の消極的ではあるが、安全性を提供する。 【図面の簡単な説明】 【図1】プロペラシャフトのU字形部分における横断面図である。 【図2】嵌め込まれた継手フォークを有するU字形部分の縦断面図である。 【図3】U字形部分の円周に比して小さい内径のプロペラシャフト管を有しているプロペラシャフトを示す横断面図である。 【図4】図3の構成の縦断面図である。 【図5】2つの剪断ピンを介して継手フォークと結合されているプロペラシャフトの平面図である。 【図6】図5のプロペラシャフトの縦断面図である。 【図7】従来技術による、プロペラシャフトの継手部分を示す縦断面図である。 【符号の説明】 1 プロペラシャフト端部 2 U字形部分 3 継手十字部 4 鍔出し部 5 フォーク孔 6 剪断ピン 7 一方の継手フォーク 8 溶接結合部 9 他方の継手フォーク 10 突出部 11 予定破断個所 12 カルダン継手 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−139926(JP,U) 実公 平5−8335(JP,Y2) |