ケーブル盗難防止方法、ケーブルの盗難防止構造およびトラフ線路

申请号 JP2015157176 申请日 2015-08-07 公开(公告)号 JP5855309B1 公开(公告)日 2016-02-09
申请人 古河電気工業株式会社; トロセレン ゲーエムベーハー; Trocellen GmbH; 发明人 和田 直人; 小澤 聡; 三浦 洋輔; 萩原 卓三; ファウスト ロタ;
摘要 【課題】ケーブルの盗難が困難であるケーブル盗難防止方法、ケーブルの盗難防止構造及びトラフ線路を提供する。 【解決手段】トラフ本体3には、ケーブル11が配設される。また、トラフ蓋5とケーブル11との間には、ケーブル押圧部材である弾性部材7が設けられる。弾性部材7の一方の端面(上面)は、トラフ蓋5の裏面と 接触 する。また、弾性部材7の他方の端面(下面)は、ケーブル11の上面に接触する。ここで、弾性部材7は、トラフ蓋5の裏面から押圧される。この結果、弾性部材7は、弾性変形を伴い、ケーブル11を押圧する。弾性部材7によってケーブル11を押圧することで、弾性部材7がケーブル11を一方から引き抜こうとした際の抵抗となり、ケーブル11への引張 力 に対抗することができる。弾性部材には樹脂発泡体を用い、トラフ蓋の固定や押圧力の調整を容易に行う。 【選択図】図1
权利要求

トラフ本体の内部に配設されたケーブルと、前記トラフ本体の上部を塞ぐトラフ蓋との間に、弾性部材を配置し、前記トラフ蓋の裏面と前記弾性部材とを接触させ、さらに前記トラフ蓋の裏面で前記弾性部材を押圧することで、前記弾性部材で前記ケーブルを押圧することを特徴とするケーブル盗難防止方法。前記弾性部材は、樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1記載のケーブル盗難防止方法。前記樹脂発泡体は2つの端面を有し、前記樹脂発泡体の一方の端面を前記トラフ蓋の裏面と接触させ、前記樹脂発泡体の他方の端面で前記ケーブルを押圧することを特徴とする請求項2に記載のケーブル盗難防止方法。前記トラフ蓋の裏面には、複数の補強リブが形成され、 前記樹脂発泡体を、前記トラフ蓋の裏面の前記補強リブ同士の間に挿入して固定して押圧するか、あるいは前記樹脂発泡体を前記補強リブの先端に接触させて前記樹脂発泡体を押圧することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記補強リブは、前記トラフ蓋の長手方向に平行な補強リブ及び/または前記トラフ蓋の幅方向に平行な補強リブであることを特徴とする請求項4記載のケーブル盗難防止方法。前記樹脂発泡体は、略直方体であり、前記弾性部材の互いに直交する3辺の長さが互いに異なることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記トラフ本体の内部には、前記ケーブルが複数本配置され、複数の前記ケーブルを結束部材で結束することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記樹脂発泡体は、複数層の樹脂発泡体からなる積層構造体であることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記積層構造体は、硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項8記載のケーブル盗難防止方法。前記積層構造体は、前記軟質樹脂発泡体を、前記硬質樹脂発泡体の表層に積層したもので、前記軟質樹脂発泡体を前記ケーブルと接触させ、前記硬質樹脂発泡体を前記トラフ蓋側と接触させることを特徴とする請求項9記載のケーブル盗難防止方法。前記積層構造体は、接着剤又は粘着剤で各層が接合されることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記樹脂発泡体は、25%圧縮変形時の弾性反発が15kPa以上50kPa以下であることを特徴とする請求項2から請求項11のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記弾性部材は、前記トラフ蓋に接着されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。前記弾性部材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、PVC樹脂、EVA樹脂、EPDMゴム、二トリロゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムのいずれかの樹脂発泡体またはゴム発泡体からなることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。トラフ蓋固定部材を用いて、前記トラフ本体に前記トラフ蓋を固定し、前記トラフ蓋固定部材で、前記トラフ蓋を押圧することで、前記弾性部材を前記ケーブルに押圧することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載のケーブル盗難防止方法。トラフ本体と、 前記トラフ本体の上部を塞ぎ、前記トラフ本体に固定されるトラフ蓋と、 前記トラフ本体の内部に配設されるケーブルと、 前記ケーブルを押圧するケーブル押圧部材と、 前記ケーブル押圧部材に押圧力を付与する押圧力付与部材と、 を具備し、 前記ケーブルと前記トラフ蓋との間に、前記ケーブル押圧部材が配置され、前記ケーブル押圧部材は、前記トラフ蓋の裏面と前記ケーブルとに接触する弾性部材であり、前記押圧力付与部材によって、前記トラフ蓋が押圧されることで、前記トラフ蓋を介して、前記ケーブル押圧部材が前記ケーブルへ押圧されることを特徴とするケーブルの盗難防止構造。前記押圧力付与部材は、前記トラフ本体に前記トラフ蓋を固定するトラフ蓋固定部材であり、 前記トラフ蓋固定部材は、固定ボルト、固定バックル、または固定バンドであることを特徴とする請求項16記載のケーブルの盗難防止構造。請求項16または請求項17記載のケーブルの盗難防止構造が、 複数の前記トラフ本体および前記トラフ蓋が連結されたトラフ線路において、複数個所に設けられることを特徴とするトラフ線路。

说明书全文

本発明は、トラフの内部に収容されるケーブルの盗難防止方法、ケーブルの盗難防止構造およびトラフ線路に関する。

従来、線路や道路脇に、例えば樹脂製のトラフが敷設され、内部に各種のケーブルが収納される。このようなトラフには、通常、蓋が固定され、内部への異物の侵入や、ケーブル等へのいたずらなどが防止される。このような、蓋は、固定バンドなどによって固定される(例えば特許文献1)。

また、トラフ本体に固定金具を取付けて、ボルトなどで、トラフ蓋をトラフに強固に固定する固定構造が提案されている。例えば、固定金具をトラフの両側方に取り付け、トラフ蓋を閉じた状態で、トラフ蓋の上方からボルトを挿通し、ボルトを固定部材のナット部へ固定することによりトラフ蓋がトラフに固定される固定構造がある(特許文献2)。

特開平10−164723号公報

国際公開公報WO2011/104863号

一方、近年、トラフ内のケーブルの盗難が問題視されている。ケーブルの盗難方法としては、例えば、トラフ敷設方向に対して所定の間隔をあけて2か所のトラフ蓋のそれぞれ何枚かを外し、それぞれの部位でケーブルを切断した後、ケーブルを一方から引っ張り出す。このようにして、トラフ内からケーブルを抜き取って持ち去るものである。

このため、前述した特許文献1、2においても、特殊な工具がないとトラフ蓋の固定が外れないような固定具を用いて、トラフ蓋を開けることを困難にするような対応が提案されている。しかし、前述した様に、ケーブルを盗難する際には、抜き取るケーブルの長さの全長にわたってトラフ蓋を開ける必要はない。したがって、蓋の固定方法を多少工夫しても、一部のトラフ蓋のみを外せばよいため、ケーブルの盗難防止方法としては十分ではなかった。

本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ケーブルの盗難が困難であるケーブル盗難防止方法、ケーブルの盗難防止構造およびトラフ線路を提供することを目的とする。

前述した目的を達するために第1の発明は、トラフ本体の内部に配設されたケーブルと、前記トラフ本体の上部を塞ぐトラフ蓋との間に、弾性部材を配置し、前記トラフ蓋の裏面と前記弾性部材とを接触させ、さらに前記トラフ蓋の裏面で前記弾性部材を押圧することで、前記弾性部材で前記ケーブルを押圧することを特徴とするケーブル盗難防止方法である。

前記弾性部材として、樹脂シート、ゴム部材(ゴムシート、ブロック形状を有するゴム)や樹脂発泡体などを用いることができるが、弾性部材は、コストや作業性、押圧の調整などの観点で、樹脂発泡体であることが望ましい。

前記樹脂発泡体は2つの端面を有し、前記樹脂発泡体の一方の端面を前記トラフ蓋の裏面と接触させ、前記樹脂発泡体の他方の端面で前記ケーブルを押圧することが望ましい。

前記トラフ蓋の裏面には、複数の補強リブが形成され、前記樹脂発泡体を、前記トラフ蓋の裏面の前記補強リブ同士の間に挿入して固定して押圧するか、あるいは前記樹脂発泡体を前記補強リブの先端に接触させて前記樹脂発泡体を押圧してもよい。

前記補強リブは、前記トラフ蓋の長手方向に平行な補強リブ及び/または前記トラフ蓋の幅方向に平行な補強リブであってもよい。前記のように補強リブで弾性部材を押圧する場合には、少なくとも平行な補強リブ及び前記トラフ蓋の幅方向に平行な補強リブの両者で押圧することもできる。

前記樹脂発泡体は、略直方体であり、前記弾性部材の互いに直交する3辺の長さが互いに異なるようにしてもよい。このように3辺の長さが異なる直方体の弾性部材を用いれば、トラフ内に配置したケーブルとトラフ蓋裏面や補強リブの先端との距離に応じて、弾性部材のいずれの辺を、押圧力を及ぼす方向に配置するかを選定することができる。

前記トラフ本体の内部には、前記ケーブルが複数本配置され、複数の前記ケーブルを結束部材で結束してもよい。このようにケーブルを結束することで、最上層に存在するケーブルか最も大きなケーブルを押圧することで、トラフ内に配置したケーブル全てをトラフ内に固定することができる。

前記樹脂発泡体は、複数層の樹脂発泡体からなる積層構造体であってもよい。このように、積層構造体を複数の弾性体からなる積層構造体とすることで、トラフ内に配置する弾性体の積層枚数を変えることが可能となり、前記押圧部材の高さ調整が容易となる。

前記積層構造体は、硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体の少なくともいずれかを含むように構成しても良い。たとえば、硬質樹脂発泡体のみを組み合わせて構成しても良いし、あるいは軟質樹脂発泡体同士を組み合わせても良いし、あるいは硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体とを組み合わせたものでも良い。また、使用する硬質樹脂発泡体同士、あるいは使用する軟質樹脂発泡体同士強度を変えることもできる。

前記積層構造体は、前記軟質樹脂発泡体を、硬質樹脂発泡体の表層に積層したもので、前記軟質樹脂発泡体を前記ケーブルと接触させ、前記硬質樹脂発泡体を前記トラフ蓋側と接触させてもよい。

前記積層構造体は、接着剤又は粘着剤で各層が接合されてもよい。積層構造体に使用する樹脂発泡体には、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エマルジョン型接着剤などを使用する樹脂材料に応じて用いることができる。あるいはホットメルト型接着剤を用いることができる。また、ゴム系樹脂発泡体には、ゴム系の溶剤型接着剤やエマルジョン型接着剤などを用いることができる。おこで、積層構造体の接着剤には、積層した各層が剥離可能なように接着できる接着剤を用いることができる。

前記樹脂発泡体は、25%圧縮変形時の弾性反発力が15〜50kPaであることが望ましい。本発明における25%圧縮変形時の樹脂発泡体の弾性反発力とは、樹脂発泡体を25%圧縮変形させる時の圧縮応力と大きさが同じで力の向きが逆であるがほぼ同義に用いることができる。本発明においては、樹脂発泡体を25%変形させる時の必要な圧縮応力を問題にしているのではなく、樹脂発泡体がケーブルに及ぼす弾性反発力と樹脂発泡体のケーブルとの接触面積の変化を問題とするため、以下基本的には、25%圧縮変形時の弾性反発力という表現を中心に用いる。

前記弾性部材は、前記トラフ蓋に接着されてもよい。このようにすることで、弾性部材をトラフ蓋に固定して、トラフ内のケーブルに引抜力が付与されたとき弾性部材をずれにくくすることができる。

前記弾性部材は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、PVC樹脂、EVA樹脂、EPDMゴム、二トリロゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムのいずれかの樹脂発泡体またはゴム発泡体からなってもよい。なお、汎用樹脂であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂発泡体を用いることが望ましい。

トラフ蓋固定部材を用いて、前記トラフ本体に前記トラフ蓋を固定し、前記トラフ蓋固定部材で、前記トラフ蓋を押圧することで、前記弾性部材を前記ケーブルに押圧してもよい。

第1の発明によれば、弾性部材でケーブルを押圧しているため、ケーブルと弾性部材との接触によって、ケーブルの引き抜き抵抗を大きくすることができる。この結果、トラフ内部からケーブルを一方向に引っ張り出すことが困難となる。このため、ケーブルが盗難されることを抑制することができる。

また、弾性部材が樹脂発泡体であれば、軽量であり、施工がし易い。また、トラフ蓋を閉める適度な変形力の範囲とすることができるので、比較的大きな変形量を得ることができるため、弾性部材とケーブルとの十分な接触面積を確保することができる。

また、弾性部材として樹脂発泡体の上下面をトラフ蓋の裏面とケーブルとに接触させて、トラフ蓋で樹脂発泡体を押圧することで、確実にケーブルを上方から押さえつけることができる。

また、トラフ蓋の裏面の補強リブ同士の間に弾性部材として樹脂発泡体を挿入して固定することで、補強リブが、トラフ蓋の補強と、樹脂発泡体の固定との両方の機能を奏する。また、補強リブを利用することで、トラフ蓋への弾性部材として樹脂発泡体の固定が容易である。

特に、補強リブが、トラフ蓋の長手方向に平行な補強リブ及び/またはトラフ蓋の幅方向に平行な補強リブからなることで、略矩形断面形状の弾性部材である樹脂発泡体を、補強リブ間に容易に固定することができる。また、樹脂発泡体の大きさやトラフ蓋のリブの配置によっては、補強リブの先端部を前記樹脂発泡体の表面に接触させて、補強リブの先端部で樹脂発泡体を押圧することができる。

ここで、弾性部材を補強リブ間に樹脂発泡体を挿入固定して樹脂発泡体を押圧する場合と、補強リブの先端部を前記樹脂発泡体の表面に接触させて、補強リブの先端部で樹脂発泡体を押圧する場合とでは、押圧力の均一性を考慮すると、樹脂発泡体を補強リブ間に樹脂発泡体を挿入固定して樹脂発泡体を押圧することが望ましい。

また、弾性部材としての樹脂発泡体が略直方体であり、弾性部材の互いに直交する3辺の長さが互いに異なれば、弾性部材の固定方向を変えることで、トラフ蓋の裏面からの弾性部材の突出量を容易に変更することができる。このため、トラフ本体内部のケーブルの敷設量が異なる場合や、複数のトラフのサイズに対して、同一の樹脂発泡体を利用することができる。

また、トラフ本体の内部に複数本のケーブルが配置される場合において、複数のケーブルを結束部材で結束することで、ケーブル同士のずれなどを防止することができる。このため、ケーブル同士の位置ずれによって、弾性部材としての樹脂発泡体からケーブルへの押圧力を維持することができなくなることを防止することができる。また、弾性部材と接触しないケーブルや、弾性部材からの押圧力が弱いケーブルが、容易に引き抜かれることを防止することができる。このように、複数のケーブルを結束部材で結束することで、全てのケーブルを同時に引き抜かなければならないため、弾性部材がケーブルに及ぼす押圧力の他、全てのケーブルの自重も重畳した引き抜き力が必要となり、ケーブルを容易に引き抜くことができない。

また、弾性部材としての樹脂発泡体は、複数層の樹脂発泡体からなる積層構造体としてもよい。例えば、積層構造体が、硬質樹脂発泡体のみを積層させてもよい。この場合には、積層数を変えることで、弾性部材の厚みを容易に変更することができる。

また、積層構造体が、硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体とを含むようにすることで、ケーブルを押圧するのに適した押圧力となるように、樹脂発泡体の厚さや層数を調整することが可能である。例えば、より変形量の大きな軟質樹脂発泡体をケーブルと接触させることで、樹脂発泡体とケーブルとの接触面積を増やし、ケーブル全体を押圧することができる。また、トラフ蓋の裏面と硬質樹脂発泡体と接触させることで、トラフ蓋からの押圧力をより確実にケーブルへ伝達することができる。

また、積層構造体のそれぞれの層が接着剤又は粘着剤で接合されれば、トラフ内のケーブルの収容量やトラフサイズに応じて、積層構造体の厚みを現場で容易に調整することもできる。

また、弾性部材がトラフ蓋に接着されることで、より確実にトラフ蓋に弾性部材を固定することができる。

また、弾性部材は、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、PVC(Polyvinyl Chloride)樹脂、EVA(Ethylene−Vinyl Acetate)樹脂、EPDM(Ethylene-propylene diene methylene linkage)ゴム、二トリロゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムのいずれかの樹脂発泡体からなれば、ケーブルを押圧するのに好適である。

また、トラフ本体へのトラフ蓋の固定に、トラフ蓋固定部材を用いる場合において、トラフ蓋固定部材でトラフ蓋を押圧することで、より確実に弾性部材をケーブルに押圧することができる。

第2の発明は、トラフ本体と、前記トラフ本体の上部を塞ぎ、前記トラフ本体に固定されるトラフ蓋と、前記トラフ本体の内部に配設されるケーブルと、前記ケーブルを押圧するケーブル押圧部材と、前記ケーブル押圧部材に押圧力を付与する押圧力付与部材と、を具備し、前記ケーブルと前記トラフ蓋との間に、前記ケーブル押圧部材が配置され、前記ケーブル押圧部材は、前記トラフ蓋の裏面と前記ケーブルとに接触する弾性部材であり、前記押圧力付与部材によって、前記トラフ蓋が押圧されることで、前記トラフ蓋を介して、前記ケーブル押圧部材が前記ケーブルへ押圧されることを特徴とするケーブルの盗難防止構造である。

前記押圧力付与部材は、前記トラフ本体に前記トラフ蓋を固定するトラフ蓋固定部材であり、前記トラフ蓋固定部材は、固定ボルト、固定バックル、または固定バンドであってもよい。

第3の発明は、第2の発明にかかるケーブルの盗難防止構造が、複数の前記トラフ本体および前記トラフ蓋が連結されたトラフ線路において、複数個所に設けられることを特徴とするトラフ線路である。このようなケーブルの盗難防止構造は、ケーブル所定長さ当たり、引き抜き力の設計に合わせて配置個所の数を決定することができる。

第2、第3の発明によれば、ケーブルを抜き取ることが困難なケーブルの盗難防止構造およびトラフ線路を得ることができる。

本発明によれば、ケーブルの盗難が困難であるケーブル盗難防止方法、ケーブルの盗難防止構造およびトラフ線路を提供することができる。

ケーブル盗難防止構造1を示す分解斜視図。

ケーブル盗難防止構造1を示す組立斜視図。

ケーブル盗難防止構造1の断面図。

(a)はトラフ蓋固定部材9aを示す斜視図、(b)はケーブル盗難防止構造1dの断面図。

ケーブル盗難防止構造1eの断面図。

(a)、(b)は、結束部材12を用いない場合のケーブル盗難防止構造1の断面図。

結束部材12を用いたケーブル盗難防止構造1の断面図。

弾性部材7を示す斜視図。

トラフ蓋5の裏面図。

トラフ蓋5の他の態様の裏面図。

トラフ蓋5の他の態様の裏面図。

トラフ線路30を示す図。

(a)は弾性部材7aを示す図、(b)は弾性部材7aの一部の弾性体25を剥離した状態を示す図。

(a)、(b)は、ケーブル盗難防止構造1bの断面図。

弾性部材7bを示す図。

ケーブル盗難防止構造1cの断面図。

ケーブル盗難防止構造の試験方法を示す斜視図。

図17のJ−J線断面図。

トラフ線路30を示す図。

(第1の実施の形態) 以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明にかかるケーブル盗難防止構造1を示す分解斜視図であり、図2はケーブル盗難防止構造1を示す組立斜視図である。

ケーブルトラフは、主に、トラフ本体3とトラフ蓋5からなる。トラフ本体3およびトラフ蓋5は、例えば樹脂製であり、プレス成型や射出成型によって成型される。トラフ本体3とトラフ蓋5は、例えば、1m程度の長さである。

トラフ本体3の長手方向の両端には、それぞれ嵌合部13a、13bが設けられる。嵌合部13aは、トラフ本体3の内面側に凹溝を有し、嵌合部13bは、トラフ本体3の外面側に、凹溝に対応した突起を有する。このため、一のトラフ本体3の嵌合部13aと、隣り合う他のトラフ本体3の嵌合部13bとを互いに嵌合させることで、トラフ本体3同士を連結することができる。

トラフ蓋5は、トラフ本体3の上部を塞ぐものである。トラフ蓋5は、トラフ本体3にトラフ蓋固定部材9によって固定される。トラフ蓋固定部材9は、金属製の固定バンドである。トラフ蓋固定部材9は、板状の金属板を屈曲して形成され、天板部の両端部が天板部に対して略垂直に曲げられて一対の脚状部が形成される。すなわち、トラフ蓋固定部材9は概ね逆U字状となる。

それぞれの脚状部の先端は折曲げられて係止部21となる。トラフ本体3の外側面には、固定部15が形成される。トラフ蓋5をトラフ本体3上に配置した状態で、トラフ蓋固定部材9をトラフ蓋5の上方から取り付け、係止部21をトラフ本体3の固定部15に引っかけることで、トラフ蓋5がトラフ本体3に固定される。

トラフ本体3の内部には、ケーブル11が配設される。例えば、複数のケーブル11(図では、3本の例を示す)がトラフ本体3に収容される。また、トラフ蓋5とケーブル11との間には、ケーブル押圧部材である弾性部材7が設けられる。

図3は、ケーブル盗難防止構造1の長手方向に垂直な断面図である。弾性部材7は、2つの対向する端面を有し、一方の端面(上面)は、トラフ蓋5の裏面と接触する。また、弾性部材7の他方の端面(下面)は、ケーブル11の上面に接触する。ここで、弾性部材7は、トラフ蓋5の裏面から押圧される(図中矢印A)。この結果、弾性部材7は、弾性変形を伴い、ケーブル11を押圧する(図中矢印B)。すなわち、弾性変形前の弾性部材7の厚みは、トラフ蓋5の裏面とケーブル11の上端との間隔よりも厚い。

なお、前述した様に、トラフ蓋5は、トラフ蓋固定部材9によって、トラフ本体3に固定される。したがって、トラフ蓋固定部材9でトラフ蓋5を押圧することで、弾性部材7の反発力によって、トラフ蓋5がトラフ本体3から浮き上がることがない。また、トラフ蓋固定部材9によって、トラフ蓋5を介して弾性部材7をケーブル11に確実に押圧することができる。すなわち、トラフ蓋固定部材9は、弾性部材7に押圧力を付与する押圧力付与部材として機能する。

このように、弾性部材7によってケーブル11を押圧することで、ケーブル11を一方から引き抜こうとした際、弾性部材7の押圧力により生じる摩擦力が抵抗となり、ケーブル11への引張力に対抗することができる。したがって、ケーブル11が引き抜かれることを防止することができる。

なお、トラフ蓋5には孔17および溝19が設けられ(図1、図2参照)、これらを用いてトラフ蓋5を固定することもできる。溝19は、トラフ蓋5の上面において、両側部近傍に一対設けられる。溝19は、トラフ蓋5を閉じた状態で、トラフ本体3の固定部15に対応した部位に設けられる。

図4(a)は、トラフ蓋固定部材9aを示す図である。トラフ蓋固定部材9aは、把持部材27およびバックル29から構成される。すなわち、トラフ蓋固定部材9aは、固定バックルである。把持部材27は、上下に把持部が略平行に形成され、上下の把持部で、固定部15を挟み込むことが可能である。把持部材27の上側の把持部には孔または切欠き(図は切欠きの例を示す)が設けられる。

図4(b)に示すケーブル盗難防止構造1dのように、把持部材27は、上下の把持部で、固定部15を挟み込むように固定される。この状態で、バックル29を、把持部材27に対してトラフ蓋5の上方に回転させると、バックル29は、トラフ蓋5の上面の溝19に嵌りこむ。したがって、トラフ蓋5をトラフ本体3に固定することができる。

このように、トラフ蓋固定部材9aを用いても、トラフ蓋5をトラフ本体3に固定することができる。したがって、トラフ蓋固定部材9aによって、トラフ蓋5がトラフ本体3から浮きあがることを防止することができる。この結果、トラフ蓋5を弾性部材7に押し付けることができ、弾性部材7によってケーブル11を押圧することができる。

同様に、トラフ蓋5のトラフ本体3への固定に、孔17(図1、図2)を用いることもできる。図5は、トラフ蓋固定部材9bを用いた、ケーブル盗難防止構造1eを示す図である。孔17は、トラフ本体3の固定部15に対応した部位に設けられる貫通孔である。トラフ蓋固定部材9bは、固定ボルトである。

トラフ本体3の固定部15には、両側方から把持部材27aが取り付けられる。把持部材27aは、把持部材27と同様に、上下に把持部が略平行に形成され、上下の把持部で、固定部15を挟み込むように固定される。把持部材27aの上側の把持部には孔または切欠きが設けられる。

把持部材27aの下側の把持部には、ナット部が設けられる。ナット部は、例えば袋ナットである。把持部材27aを固定部15に取り付けると、トラフ蓋5の孔17と、把持部材27aの孔または切欠き部と、ナット部とが、互いに対応する部位に位置する。すなわち、トラフ蓋固定部材9bを孔17に挿通すると、トラフ蓋固定部材9bは、孔または切欠きを介してナット部と螺合可能である。

このように、孔17の上方から、トラフ蓋固定部材9bを挿通することで、トラフ蓋5をトラフ本体3に固定することができる。したがって、トラフ蓋固定部材9bによって、トラフ蓋5がトラフ本体3から浮きあがることを防止することができる。この結果、トラフ蓋5を弾性部材7に押し付けることができ、弾性部材7によってケーブル11を押圧することができる。なお、孔17は、ざぐり穴であり、トラフ蓋固定部材9bの頭部がトラフ蓋5の上面には突出しない。

以上のように、トラフ蓋5をトラフ本体3に対して固定することができれば、弾性部材7に押圧力を付与する押圧力付与部材として機能させることができる。なお、以下の説明では、トラフ蓋固定部材9を用いる例について説明する。

ここで、図3〜図5に示す例では、同じ径のケーブル11が1段で併設される例を示した。このように、トラフ本体3内に、複数のケーブル11が1段で配置されている場合には、ケーブル11相互の位置(弾性部材7とケーブル11との距離)が変わりにくい。したがって、トラフ本体3の内部において、弾性部材7は、全てのケーブル11と接触して押圧することができる。

一方、図6(a)に示すように、ケーブル11が複数段に配置され、下段のケーブル11が、トラフ本体3の幅方向に余裕がある場合がある。この場合、トラフ蓋5を閉じて、弾性部材7によって上段のケーブル11を押圧すると、図6(b)に示すように、ケーブル11が移動する恐れがある(図中矢印C)。

このように、異なるサイズのケーブル11が敷設される場合や、ケーブル11が積層されて配設される場合には、トラフ本体3内に配置された一部のケーブル11が動くことにより、ケーブル11と弾性部材7の距離が変動する場合がある。

この場合には、弾性部材7とケーブル11の接触状態が維持できす、両者が離間して押圧力を及ぼすことができなくなるか、あるいは両者が接触状態をたもつことができたとしても、両者間に働く押圧力が低下することになる。この結果、弾性部材7と接触しないケーブル11や、弾性部材7からの押圧力が弱いケーブル11が、容易に引き抜かれるおそれがある。

これに対し、本発明では、図7に示すように、複数のケーブル11が結束部材12(図中点線)で結束されることが望ましい。このようにすることで、一部のケーブル11が、他のケーブル11に対して相互に動くことを抑制することができる。このため、弾性部材7によって安定してケーブル11を押圧することができる。このように、異種サイズの複数のケーブルを結束部材で固定する場合、小径のケーブルには、弾性部材7の押圧力を及ぼすことができないが、このような場合であっても、小径のケーブルが結束部材で一体化していることから、小径のケーブルのみを引き抜くことができない。

このように、複数のケーブル11が結束部材で結束されているので、ケーブル11を盗もうとする場合には、弾性部材7による押圧力に加えて結束部材12で結束された全てのケーブル11を同時に引き抜くだけの引張り力が必要となり、ケーブル11を盗むことが困難になる。このように、ケーブル11が、容易に引き抜かれることを防止することができる。

なお、トラフ本体3の内部のケーブル11の本数や大きさは、敷設区間や現場により異なる。そのため、必要とする弾性部材7の厚さは、敷設区間や現場に応じて調整する必要がある。すなわち、ケーブル11を適切に押圧力で押圧するためには、ケーブル11のサイズや本数に応じて、適切なサイズの弾性部材7を適用することが望ましい。すなわち、トラフ蓋5からケーブル11の上面までの距離に応じて、弾性部材7のサイズを変えることが望ましい。

本実施形態の弾性部材7は、図8に示すように、略直方体である。また、互いに直交する3辺の長さ(図中E、F、G)が互いに異なる。したがって、同一の弾性部材7であっても、その向きを変えて用いることで、トラフ蓋5の裏面からの突出長さを変えることができる。このため、ケーブル11のサイズや本数に応じて、弾性部材7の向きを変えて配置することで、同一の弾性部材7を用いても、適切な押圧力を確保することができる。

なお、弾性部材7としては、弾性変形可能な部材であればよいが、樹脂材料であることが望ましく、例えば、ゴムや樹脂(ゴム)発泡体が適用可能である。樹脂発泡体としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、PVC(Polyvinyl Chloride)樹脂、EVA(Ethylene−Vinyl Acetate)樹脂、EPDM(Ethylene−propylene diene methylene linkage)ゴム、二トリロゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムのいずれかの樹脂発泡体またはゴム発泡体あるいはこれらの混合体であることが望ましい。

このように、弾性部材7が、樹脂発泡体であれば、軽量であり、十分な弾性変形量を確保することができる。このため、弾性部材7とケーブル11の表面との接触面積を確保することができる。

本発明においては、25%圧縮変形時の弾性反発力が30kPa以上の樹脂発泡体を硬質樹脂発泡体、25%圧縮変形時の弾性反発力が30kPa未満の樹脂発泡体を軟質樹脂発泡体と定義する。なお、弾性部材7は、弾性反発力が15kPから50kPaの範囲の硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体が使用できる。具体的には、15kPa以上30kPa未満の軟質樹脂発泡体、30kPa以上50kPa以下の硬質樹脂発泡体が使用できる。この理由は、弾性反発力が50kPaを超えると、トラフ蓋5を閉めることが困難になると同時に発泡倍率の低下などにより、材料コストが高くなるためである。

これに対して、弾性反発力が15kPa未満では、十分な反発力を得ることが困難となり、ケーブル引き抜き時に抵抗力が不足するためである。25%圧縮時の樹脂発泡体の弾性反発力が15kPaから50kPaであれば、ケーブルに押圧力を付与し易く、ケーブル引き抜きに対する十分な抵抗力が得られるとともに、トラフ蓋が閉め易い。また、この時材料コストも著しく高まることがない。軟質樹脂発泡体、硬質樹脂発泡体の両者を含めた望ましい範囲は、20kPa〜45kPaである。

ここで、たとえば、弾性部材7がポリエチレン樹脂であれば、架橋ポリエチレン樹脂発泡体または非架橋ポリエチレン樹脂発泡体を使用することができるが、硬質樹脂発泡体としては、架橋樹脂発泡体を用いることが望ましい。また、ポリウレタン樹脂は、硬質ポリウレタン樹脂発泡体と軟質ウレタン樹脂発泡体があるが、押圧力を付与するためには、硬質ポリウレタン樹脂発泡体を用いることが望ましい。

以上の他、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、EVA樹脂、PVC樹脂などは、架橋樹脂を用いる方が望ましい。その理由は、架橋することで、圧縮変形時の弾性回復力や靭性が大きくなるからである。また、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂であれば、難燃組成の硬質樹脂発泡体を得ることができる。

次に、弾性部材7の固定方法について説明する。図9に示すように、弾性部材7は、トラフ蓋5の裏面に固定される。ここで、トラフ蓋5の裏面には、補強リブ23a、23bが形成される。補強リブ23aは、トラフ蓋5の長手方向に略平行な向きに形成される。また、補強リブ23bは、トラフ蓋5の幅方向に略平行な向きに形成される。すなわち、補強リブ23a、23bは互いに直交する。

弾性部材7は、例えば、補強リブ23a同士または補強リブ23b同士の間の略矩形の空間内に挿入されて固定される。このようにすることで、弾性部材7を容易にトラフ蓋5の裏面に固定することができる。例えば、弾性部材7の1辺の長さが、補強リブ23a同士の間隔または補強リブ23b同士の間隔よりもわずかに大きければ、弾性部材7を補強リブ23a、23b同士の間に挿入するだけで、弾性部材7がトラフ蓋5から脱落することがない。

特に、トラフ蓋5の長手方向に対して直交する方向の補強リブ23b同士の間に弾性部材7を挿入することで、弾性部材7がトラフ蓋5の長手方向にずれることを抑制することができる。このため、ケーブル11が引き抜かれる際に、弾性部材7がケーブル11とともに、トラフ蓋5の長手方向にずれてしまうことが抑制される。

また、弾性部材7を、補強リブ23a同士または補強リブ23b同士の間の空間内に挿入することで、トラフ蓋5の裏面に弾性部材7を密着させることができる。このため、トラフ蓋5をトラフ本体3へ固定し、トラフ蓋5によって弾性部材7を押圧する際に、弾性部材7に均等に圧縮力を付与することができる。

なお、弾性部材7は、トラフ蓋5の裏面に接着剤で接着してもよい。このようにすることで、より確実に弾性部材7とトラフ蓋5の裏面に固定し、トラフ蓋5に対して、弾性部材7がずれることを防止することができる。この場合には、弾性部材7は、必ずしも補強リブ23a、23b同士の間に挿入されなくてもよい。

また、図10に示すように、補強リブ23a同士の間に、補強リブ23aに平行な補強リブ23cが形成される場合がある。すなわち、補強リブ23a、23bで囲まれる空間が、補強リブ23cによって分割される場合がある。このような場合には、弾性部材7を補強リブ23b、23cの先端部に接触するように配置してもよい。

また、補強リブ23a、23b、23cで囲まれる空間内に収まるサイズの弾性部材7を用い、これらを、補強リブ23a、23b、23cで囲まれた空間内に挿入して固定してもよい。

また、図11に示すように、ハニカム状の補強リブ23dが形成される場合がある。このような場合には、弾性部材7を補強リブ23dの先端部に接触するように配置してもよい。または、補強リブ23dの形状に合わせた形状の弾性部材7を用い、補強リブ23dで囲まれた空間に弾性部材7を挿入して固定してもよい。

次に、ケーブル盗難防止構造1を用いた、トラフ線路について説明する。図12は、トラフ線路30を示す図である。トラフ線路30は、複数のトラフ本体3およびトラフ蓋5が長手方向に連結されて形成され、さらに、トラフ本体3内にケーブル11が敷設される。

トラフ線路30には、所定の間隔で、ケーブル盗難防止構造1が設けられる。すなわち、トラフ線路30の所定の間隔で、トラフ蓋5とケーブル11との間に、弾性部材7が配置され、ケーブル11が弾性部材7によって押圧される。なお、ケーブル盗難防止構造1は、全てのトラフ本体3に設けられてもよく、複数本のトラフ本体3毎に設けられてもよい。また、一つのトラフ本体3の複数個所に弾性部材7を固定してもよい。

以上説明したように、第1の実施の形態によれば、弾性部材7によって、ケーブル11が押圧されているため、ケーブル11の引き抜き抵抗を大きくすることができる。この結果、ケーブル11の盗難を抑制することができる。

また、弾性部材7として樹脂発泡体を用いることで、軽量であり、取扱い性が優れる。また、樹脂発泡体は弾性変形量が大きいため、弾性部材7をケーブル11に押圧した際に、ケーブル11の外形に応じて弾性部材7を容易に変形させることができる。このため、弾性部材7をケーブル11の表面に密着させることができる。

また、弾性部材7の互いに直交する3辺が、異なる長さであれが、同一の弾性部材7を用いても、複数のケーブル11の収容態様に対応することができる。すなわち、弾性部材7を設置する方向を変えることで、ケーブル11に対する押圧量を変更することができる。

また、複数のケーブル11を結束部材12で結束することで、ケーブル11同士の位置ずれを抑制することができる。この結果、弾性部材7による安定した押圧力を確保することができる。また、結束部材12によって、ケーブル11の引き抜き抵抗を高めることができる。

また、弾性部材7を補強リブの間に挿入して固定することで、弾性部材7の固定が容易であるとともに、弾性部材7をトラフ蓋5の裏面に密着させることができる。このため、弾性部材7に対して、均一な押圧力を付与することができる。

また、トラフ蓋5の長手方向に平行ではない、補強リブ23b、23dの間に弾性部材7を配置することで、弾性部材7がトラフ蓋5の長手方向にずれることを抑制することができる。また、この効果は、弾性部材7をトラフ蓋5の裏面に接着しても同様の効果を得ることができる。

(第2の実施の形態) 次に、第2の実施の形態について説明する。図13(a)は、弾性部材7aを示す図である。なお、以下の実施の形態において、第1の実施形態と同一の機能を奏する構成については、図1から図12と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

弾性部材7aは、弾性部材7とほぼ同様の構成であるが、複数の弾性体25(樹脂発泡体)の積層構造体である点で異なる。なお、弾性体25の積層数は図示した例には限られず、2層または4層以上であってもよい。また、各層の厚みは全て同じであってもよく、厚みを変えてもよい。

前述した様に、弾性部材7aは、硬質樹脂発泡体で構成されることが望ましい。この場合、それぞれの弾性体25は、硬質樹脂発泡体である。弾性部材7aに硬質樹脂発泡体を用いれば、トラフ蓋5から押圧された際に、十分な弾性反発力を発生させることができ、強固にケーブル11を押圧することができる。

弾性体25同士は、接着剤または粘着剤(両面テープを含む)で接合される。ここで、弾性体25が中実のバルクの材料の場合には、表面をペーパで研磨するなどして粗面化することが望ましい。弾性体25が樹脂発泡体の場合には、表面層に凹凸が存在するので、表面を研磨する必要はないが、接着前に表面を清浄な状態することが望ましい。

また、弾性体25が樹脂の場合には、使用する接着剤としては、一般には適用範囲が広いエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤などが使用されることが多いが、これらの反応型接着剤を使用する場合には、表面を清浄にする必要がある。

また、オレフィン系樹脂のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの接着性の悪い樹脂の場合にはゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤を用いることができる。また、接着性の悪い樹脂に対しては、ポリオレフィンと近似骨格の高分子に一部極性基を導入してポリエチレンと極性材料の双方に親和性を持たせたホットメルトタイプの接着剤を用いることもできる。また、市販のポリオレフィン用の難接着樹脂用接着剤を用いることもできる。

PVC樹脂の接着には、ゴム系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤やシアノアクリレート系接着剤を用いることができる。また、EVA樹脂の接着には、EVA系エマルジョン型接着剤を用いることができる。また、ポリスチレンの接着にもスチレン系ホットメルトエラストマーを用いることができるが、表面の粗面化処理を行うことが望ましい。

また、弾性体25が熱硬化性のウレタン樹脂である場合は、溶剤型のゴム系接着剤やエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤を用いることができる。また、EPDMゴム、二トリロゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム等のゴム系の弾性体25の接着には、同種の材料系の溶剤型やエマルジョン型の接着剤を用いることができ、また、合成ゴム系溶剤型接着剤や合成ゴム系エマルジョン接着剤を用いることもできる。

以上の他、例えば、粘着性を有する両面テープなどで接着することも可能である。粘着テープの粘着剤としては、アクリル系や合成ゴム系の粘着剤を用いることができる。アクリル系の粘着剤には、無溶剤型、溶剤型、エマルジョン型などの種々のタイプがあるが、製品コストの点ではエマルジョン型が安いので、エマルジョン型を用いても良い。

ここで、アクリル系粘着剤には、アクリル系の主モノマーの他に、凝集力や粘着力の付与のため、他のコモノマーや他の官能基含有モノマーを混合することもできる。また、凝集力付与のため、イソシアーネート基等を加えることもできる。上記の他、弾性体25がポリオレフィン系樹脂の場合において、分子量が数百〜数千までの無定形オリゴマーの場合には、ベースポリマーに上記モノマー等を数%から20%の範囲で添加することにより、流動性や接着性向上に寄与することができる。

また、熱可塑エラストマーをベースポリマーとした粘接着剤としては、ホットメルトタイプがある。ホットメルトタイプ粘接着剤のエラストマーとしては、スチレン系熱可塑エラストマーの他、EVA系ホットメルト、エチレン・プロピレン系共重合体やエチレン・アクリル酸共重合体等を使用したポリオレフィン系ホットメルト接着剤などが使用できる。また、アクリル系熱可塑エラストマーやポリウレタン系熱可塑エラストマーを用いることも可能である。

弾性部材7aは、積層数を現場で変更することができるため、ケーブル等の敷設状況に応じて、現場で弾性体25同士を積層させて接着することで、弾性部材7aの厚みを容易に調整することができる。

なお、弾性部材7aは、図13(b)に示すように、弾性体25同士の接合界面の少なくともいずれか1つ以上の層を剥離可能とすることもできる(図中矢印H)。このように、積層構造体が積層界面で剥離可能であれば、弾性部材7aの高さ調整に有利である。

図14(a)は、ケーブル11が1段配置された(すなわち、ケーブル11群の全高が低い場合の)ケーブル盗難防止構造1bの例である。前述した様に、ケーブル11群の全高が低い場合には、弾性部材7aの厚みを厚くする必要がある。この場合には、弾性体25をそのまま使用する。このようにすることで、弾性部材7aをケーブル11に確実に押圧することができる。

これに対し、図14(b)は、ケーブル11が複数段配置された(すなわち、ケーブル11群の全高が高い場合の)ケーブル盗難防止構造1bの例である。このように、ケーブル11群の全高が高い場合には、弾性部材7aの厚みを薄くする必要がある。弾性部材7aの厚みが厚いと、弾性部材7aの圧縮率を高める必要があり、トラフ蓋5を閉じるのが困難となるためである。

しかし、弾性体25が3層である弾性部材7aを準備した際に、一度接合した弾性体25同士が剥離できないと、弾性体25が2層の弾性部材7aを再度作成する必要が生じる。この場合にも、弾性体25同士が剥離可能であれば、弾性体25を1層(または複数層)剥離して使用することができる。このようにすることで、ケーブル11群の高さによらず、弾性部材7aをケーブル11に確実に押圧することができるとともに、トラフ蓋5を容易に閉じるができる。

ここで、弾性部材7aを剥離可能な構造とするためには、弾性体25同士を粘着性の両面テープで接合することが望ましい。また、たとえば、厚さ5mmの弾性体25を4枚積層して、厚さ20mmの弾性部材7aとした場合には、4枚目の弾性体25を剥離することで、厚さ15mmの弾性部材7aとして使用することができる。また、さらに、厚さ2.5mmの硬質発泡樹脂シート(弾性体25)や厚さ1.0mmの硬質発泡樹脂シート(弾性体25)を1枚または2枚組み合わせて張り付けることで、弾性部材7aの厚さを、たとえば16mや17.5mm、18.5mmのシート厚さに調整するができる。

また、弾性体25を剥離せずに、さらに硬質発泡樹脂シート(弾性体25)を張り付けることで、厚さ21mmや22.5mm、23.5mmなどの厚さの弾性部材7aを得ることができる。このように、弾性部材7aの圧縮量の微調整を行うことで、弾性部材7aがケーブル11へ及ぼす押圧力を細かく調整することが可能になる。

第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、弾性部材7aが弾性体25の積層構造体であるため、弾性部材7aの厚さを、状況に応じて任意に変更することができる。

(第3の実施の形態) 次に、第3の実施の形態について説明する。図15は、弾性部材7bを示す図である。弾性部材7bは、弾性部材7aとほぼ同様の構成であるが、弾性体(硬質樹脂発泡体)25a、弾性体(硬質樹脂発泡体)25b、弾性体(軟質樹脂発泡体)25cが積層される点で異なる。

弾性体(硬質樹脂発泡体)25a、弾性体(硬質樹脂発泡体)25b、弾性体(軟質樹脂発泡体)25cは、互いに硬度(弾性反発力)が異なる。例えば、弾性体(硬質樹脂発泡体)25aは、硬質樹脂発泡体である。また、弾性体(軟質樹脂発泡体)25cは、例えば軟質樹脂発泡体である。また、弾性体(硬質樹脂発泡体)25bは、弾性体(硬質樹脂発泡体)25aと弾性体(軟質樹脂発泡体)25cの間の硬度(弾性反発力)を具備する樹脂発泡体(例えば硬質樹脂発泡体)である。なお、弾性部材7bの積層数は、図示した例には限られず、少なくとも、1層の硬質樹脂発泡体と1層の軟質樹脂発泡体からなればよい。すなわち、硬質樹脂発泡体のいずれか一方の表層に軟質樹脂発泡体が積層されればよい。

前記のように、硬質樹脂発泡体としては、25%圧縮時の弾性反発力として、30kPa以上50kPa以下のものを用いることができ、軟質樹脂発泡体として、25%圧縮時の弾性反発力として、15kPa以上30kPa未満のものを用いることができる。また、硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体をそれぞれ別々に使用する場合の両者の弾性反発力の適用強度範囲を合わせて考えると、15〜50kPaの範囲が適用できるので、硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体を積層した積層体の弾性反発力は、15〜50kPaの範囲に入ることは言うまでもない。具体的説明は省くが、上記のように弾性反発力が異なる樹脂発泡体を組み合わせて積層して用いることにより、たとえば、上記範囲に含まれる所定の弾性反発力を有する硬質樹脂発泡体と軟質樹脂発泡体を適宜選択して、弾性反発力が20kPa以上45kPa以下のより好ましい範囲に調整することが可能となる。

図16は、ケーブル盗難防止構造1cを示す図である。弾性部材7bは、弾性体(硬質樹脂発泡体)25aがトラフ蓋5と接触し、弾性体(軟質樹脂発泡体)25cがケーブル11と接触する。すなわち、弾性反発力が相対的に大きな硬質樹脂発泡体をトラフ蓋5と接触させ、弾性反発力が相対的に小さな軟質樹脂発泡体をケーブル11と接触させる。

前述した様に、ケーブル11に対する押圧力の観点では、弾性部材全体を硬質樹脂発泡体で形成することが望ましい。しかし、ケーブル盗難防止構造1cに示すように、ケーブル11との接触面に弾性反発力の小さい軟質樹脂発泡体を使用することで、硬質樹脂発泡体のみで構成した場合よりも、弾性部材7bとケーブル11との接触面積を容易に増加させることができる。したがって、ケーブル11の受圧面を増加させることができ、受圧面全体の応力を増加させることができる。

また、受圧面の面積の増加により、ケーブル11を盗もうとして、ケーブル11を引っ張った時にかかる、弾性部材7bとケーブル11との摩擦力を増加させることができる。ここで、弾性反発力の小さい軟質樹脂発泡体の積層厚さは、押圧力の低下を最小限とするため、最小限の厚さにとどめ、必要以上に厚くしないようにすることが望ましい。

また、トラフ蓋5の裏面と弾性体(硬質樹脂発泡体)25aと接触させることで、トラフ蓋5からの押圧力を、より確実にケーブル11へ伝達することができる。

なお、弾性部材7bにおいても、弾性部材7aと同様に、各層を剥離または追加することが可能である。このように、弾性反発力の異なる弾性体(硬質樹脂発泡体)25a、弾性体(硬質樹脂発泡体)25b、弾性体(軟質樹脂発泡体)25cを組み合わせることで、同一積層高さの場合であっても、異なる弾性反発力を得ることができる。

第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、弾性反発力の小さい軟質樹脂発泡体を、硬質発泡樹脂の表面に積層することで、弾性部材7bとケーブル11との接触面積を増加させることができる。また、例えば外径が異なる複数種類のケーブル11が並列に配置されている場合にも、ケーブル11に軟質樹脂発泡体を押圧することで、複数のケーブル11の全体に押圧力を及ぼすことが可能となる。

本発明においては、弾性部材として、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のいずれの実施形態においても、樹脂発泡体を用いることが望ましい。弾性部材として樹脂シートやゴム部材を用いるのではなく、樹脂発泡体を用いれば、トラフ蓋で樹脂発泡体を押圧して、トラフ蓋を固定する時に、トラフ蓋の固定が容易で、押圧力の調整がしやすい。

本発明のケーブル盗難防止方法について評価した。図17は、評価方法を示す斜視図であり、図18は、図17のJ−J線断面図である。

まず、幅200mmのトラフ本体3およびトラフ蓋5を長さ200mmに切断した。トラフ本体3の内部には、長さ300mmに切断したケーブル11(製品UP9030−HS:外径 31.3Φ×単重1.5kg/m)を、図示したように、合計14本(3段)配置した。トラフ蓋5とケーブル11との間には、弾性部材7を配置した。なお、ケーブル11同士の結束は行わなかった。

なお、試験には、樹脂発泡体の密度(発泡倍率)と発泡構造を変化させることで、樹脂発泡体の弾性反発力を調整した後述する、実施例1(硬質樹脂発泡体)、実施例2(硬質樹脂発泡体)、実施例3(軟質樹脂発泡体)、比較例1(軟質樹脂発泡体)の各種樹脂発泡体を用いた。なお、比較例1の軟質樹脂発泡体が密度が50kg/m3と高いにも関わらず25%圧縮変形時の弾性反発力が10kPaと著しく低いのは、他材料が独立気泡構造と連続気泡構造が混在している気泡構造を有し、独立気泡構造の存在割合が多いほど高い弾性反発力が得られるのに対して、比較例1の軟質樹脂発泡体が連続気泡構造からなる樹脂発泡体であるからである。

(実施例1) 弾性部材7として、25%圧縮時の弾性反発力が45kPaで密度が40kg/m3の架橋硬質ポリエチレン発泡体を用いた。ケーブル11上に弾性部材7を配置してトラフ蓋5を閉めることにより、弾性部材7を15%圧縮(厚さ80mmに圧縮)させて、ケーブル11を押圧した。なお、トラフ蓋5は、図示を省略したトラフ蓋固定部材で固定した。この状態で、上段中央のケーブル11(図18のK)を引き抜く場合の引き抜き力を、荷重測定装置31によって求めた。

(実施例2) 弾性部材7として、25%圧縮時の弾性反発力が35kPaで密度が30kg/m3の架橋硬質ポリエチレン発泡体を用いた。ケーブル11上に弾性部材7を配置してトラフ蓋5を閉めることにより、弾性部材7を15%圧縮(厚さ80mmに圧縮)させて、ケーブル11を押圧した。なお、トラフ蓋5は、図示を省略したトラフ蓋固定部材で固定した。この状態で、上段中央のケーブル11(図18のK)を引き抜く場合の引き抜き力を、荷重測定装置31によって求めた。

(実施例3) 弾性部材7として、25%圧縮時の弾性反発力が20kPaで密度が22.5kg/m3の架橋軟質ポリエチレン系樹脂発泡体を用いた。ケーブル11上に弾性部材7を配置してトラフ蓋5を閉めることにより、弾性部材7を15%圧縮(厚さ80mmに圧縮)させて、ケーブル11を押圧した。なお、トラフ蓋5は、図示を省略したトラフ蓋固定部材で固定した。この状態で、上段中央のケーブル11(図18のK)を引き抜く場合の引き抜き力を、荷重測定装置31によって求めた。

(比較例1) 弾性部材7として、25%圧縮時の弾性反発力が10kPaの特にやわらかい軟質樹脂発泡体で密度が50kg/m3の架橋軟質ポリエチレン発泡体を用いた。ケーブル11上に弾性部材7を配置してトラフ蓋5を閉めることにより、弾性部材7を15%圧縮(厚さ80mmに圧縮)させて、ケーブル11を押圧した。なお、トラフ蓋5は、図示を省略したトラフ蓋固定部材で固定した。この状態で、上段中央のケーブル11(図18のK)を引き抜く場合の引き抜き力を、荷重測定装置31によって求めた。

(比較例2) 弾性部材7を用いずに、上段中央のケーブル11(図18のK)を引き抜く場合の引き抜き力を、荷重測定装置31によって求めた。それぞれの結果を表1に示す。

結果より、弾性部材7を用いない比較例2では、引抜き力は、0.5kgであった。一方、25%圧縮時の弾性反発力が45kPaと大きい弾性部材7を用いた実施例1の硬質樹脂発泡体では、引き抜き力が6.0kgと、比較例2の12倍となり、次いで弾性反発力が35kPaの実施例2では、引き抜き力が5.0kgと比較例2の10倍となり、ケーブル11の引き抜き力を大幅に増加させることができた。また、実施例3の25%圧縮時の弾性反発力20kPaの弾性部材を用いても、引き抜き力は、約4.6kgを示し、引き抜き力の大幅な低下は認められなかった。

これに対し、25%圧縮時の弾性反発力が10kPaと著しく低い樹脂発泡体である比較例1では、引き抜き力は1.8kgと低く、弾性部材7の使用による引き抜き力の向上効果が不十分であった。この理由は、比較例1の材料が連続気泡からなる樹脂発泡体であるためと考えられる。

次に、本ケーブル盗難防止構造1をトラフ線路30に用いた場合の引き抜き力について検討する。図19は、トラフ線路(全長L)に対して、所定のピッチ(図中M)でケーブル盗難防止構造1(弾性部材7)を配置した状態を示す。

例えば、全長L=50m、弾性部材ピッチM=4mとし、実施例1で用いた弾性部材7を適用した場合のケーブルの引き抜き力を試算する。まず、弾性部材7を除く、ケーブル自体の摩擦等による引き抜き力は、表1から、0.5kg/0.3m=約1.67kg/mであるため、50m×1.67kg/m=83.5kgとなる。

表1より、実施例1で用いた弾性部材7を適用した場合のケーブルの引き抜き力を試算する。表1より、弾性部材7によって増加した引き抜き力は、6.0kg−0.5kg=5.5kgである。弾性部材7を4mピッチで配置すると、50m中に12カ所配置される。したがって、弾性部材7による引き抜き力は、5.5kg×12カ所=66kgとなる。したがって、合計の引き抜き力は、149.5kgとなり、引き抜き力を、弾性部材7を用いない場合と比較して約80%増加させることができた。

また、実施例2で用いた弾性部材7によって増加した引き抜き力は、5.0kg−0.5kg=4.5kgである。弾性部材7を4mピッチで配置すると、50m中に12カ所配置される。したがって、弾性部材7による引き抜き力は、4.5kg×12カ所=54kgとなる。したがって、合計の引き抜き力は、137.5kgとなり、引き抜き力を、弾性部材7を用いない場合と比較して約65%増加させることができた。

同様に、実施例3で用いた弾性部材7によって増加した引き抜き力は、4.6kg−0.5kg=4.1kgである。弾性部材7を4mピッチで配置すると、50m中に12カ所配置される。したがって、弾性部材7による引き抜き力は、4.1kg×12カ所=49.2kgとなる。したがって、合計の引き抜き力は、132.7kgとなり、引き抜き力を、弾性部材7を用いない場合と比較して約59%増加させることができた。ここで、実施例3の軟質樹脂発泡体を用いた場合でも、引き抜き力が著しく低下しなかったのは、ケーブルと樹脂の接触面積の増加による。

これに対して、比較例1で用いた弾性部材7によって増加した引き抜き力は、1.8kg−0.5kg=1.3kgである。弾性部材7を4mピッチで配置すると、50m中に12カ所配置される。したがって、弾性部材7による引き抜き力は、1.3kg×12カ所=15.6kgとなる。したがって、合計の引き抜き力は、99.1kgとなり、引き抜き力を、弾性部材7を用いない場合と比較して約19%しか増加させることができなかった。ここで、弾性部材として比較例1の材料を用いた場合は、弾性反発力の低下を樹脂発泡体押圧時にケーブルと樹脂発泡体の接触面積の増加により補うことができなかったため、引き抜き時の摩擦抵抗が低下したためと考えられる。

なお、ここで、さらに引き抜き力を増加させるためには、弾性部材の弾性反発力または圧縮量を増加させるか、弾性部材7の設置ピッチを小さくし、トラフ線路30における弾性部材7の配置箇所を増やせばよい。また、一カ所当たりのケーブル盗難防止構造において、より長い弾性部材7を用いてもよい。また、ケーブル11同士を結束しても、ケーブル同士の摩擦力を増加させることができる可能性がある。

以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

1、1b、1c、1d、1e………ケーブル盗難防止構造 3………トラフ本体 5………トラフ蓋 7、7a、7b………弾性部材 9、9a、9b………トラフ蓋固定部材 11………ケーブル 12………結束部材 13a、13b………嵌合部 15………固定部 17………孔 19………溝 21………係止部 23a、23b、23c、23d………補強リブ 25………弾性体 25a、25b………弾性体(硬質樹脂発泡体) 25c………弾性体(軟質樹脂発泡体) 27、27a………把持部材 29………バックル 30………トラフ線路 31………荷重測定装置

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