Flat spot of suppression methods and apparatus of the tire

申请号 JP2012505429 申请日 2010-03-19 公开(公告)号 JP5459390B2 公开(公告)日 2014-04-02
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 政 五十嵐; 育生 久代;
摘要
权利要求
  • 車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制するための方法であって、前記車両が駐停車された際に前記車両のタイヤが当接する面上に前記タイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を配置する過程と、前記車両のタイヤが前記突起状部材の上に位置するよう前記車両を停止させる過程とを含み、前記車両の停止中に前記突起状部材が前記トレッドの一部を押圧することにより前記タイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与し前記ベルトの内側のカーカスコードを前記タイヤの左右方向へ引っ張る張力を発生する方法。
  • 請求項1の方法であって、前記突起状部材を前記タイヤの回転方向について前記タイヤの接地面よりも長く延在させる方法。
  • 請求項1の方法であって、前記突起状部材として、高さが1mm以上の突起状部材が用いられる方法。
  • 請求項1の方法であって、前記突起状部材として、前記タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有する突起状部材が用いられる方法。
  • 請求項1の方法であって、複数台の車両が縦列駐車される駐車スペースに於いて、前記駐車スペースの縦列駐車される前記複数台の車両のタイヤが位置し得る線状領域に沿って前記突起状部材を延在する方法。
  • 車両が駐停車された際に該車両のタイヤの接地面に配置される前記タイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を含む装置であって、前記突起状部材が前記タイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与し前記ベルトの内側のカーカスコードを前記タイヤの左右方向へ引っ張る張力を発生することにより車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制する装置。
  • 請求項6の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤの回転方向について前記タイヤの接地面よりも長い部材である装置。
  • 請求項6の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤの接地面からの高さが1mm以上の部材である装置。
  • 請求項6の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有する部材である装置。
  • 車両の駐車用装置であって、車両が駐停車された際に前記車両のタイヤが当接する面上に配置された前記タイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を含み、前記車両の停止中に前記突起状部材が前記タイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与し前記ベルトの内側に位置するカーカスコードを前記タイヤの左右方向へ引っ張る張力を発生する装置。
  • 請求項10の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤの回転方向について前記タイヤの接地面よりも長い部材である装置。
  • 請求項10の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤの接地面からの高さが1mm以上の部材である装置。
  • 請求項10の装置であって、前記突起状部材が前記タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有する部材である装置。
  • 請求項10の装置であって、複数台の車両が縦列駐車される駐車スペースを有し、前記突起状部材が前記駐車スペースの縦列駐車される前記複数台の車両のタイヤが位置し得る線状領域に沿って延在している装置。
  • 说明书全文

    本発明は、自動車等の車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制するための方法及び装置に係る。

    高速走行や夏場などの気温が高い環境下での走行によってタイヤの温度が比較的高く上昇した状態で車両を停車させた場合、或いは、車両を長期間に亘って駐車した場合に、タイヤのカーカスコードがタイヤの接地面に於いて路面の平坦な形状に対応して平坦に歪んだ状態となる「フラットスポット」が形成されることが知られている。 かかるフラットスポットは、車両の発進後暫くの間に亘って維持され、その間、タイヤの半径がフラットスポットの部分で変動することになるので、タイヤが回転してフラットスポットが路面に接触する度に車両に振動が発生し、乗り心地が悪化することとなる(車両の走行中、タイヤが徐々に暖められ、温度が上昇するとともに、カーカスコードの歪みが消え、フラットスポットは消滅する。)。

    そこで、従来の技術に於いて、上記の如きフラットスポットの形成を抑制するための種々の対策が提案されている。 例えば、特許文献1に於いては、車両の停止時にタイヤの空気圧を上昇して、カーカスコードに車両の走行時よりも高い張を与えることで、接地面に於けるカーカスコードの撓みを低減してフラットスポットの形成の防止を図る装置が提案されている。 また、特許文献2に於いては、車両の停止時に車輪の下に弾性を有する断熱材から形成された駐車パッドを配置することが提案されている。 かかる駐車パッドは、その上にタイヤが配置される際に、タイヤの円弧形状を保持できるように(車重によって)弾性変形し、これにより、タイヤの接地面が平坦状に変形することが阻止される。 更に、特許文献3は、車両の停止時に車輪の下に配置される駐車パッドであって、タイヤに接触するその上面がタイヤの前後方向に沿って正弦波状の波状面に形成され、タイヤを湾曲した谷状部分に配置することにより、特許文献2と同様に、タイヤの接地面が平坦状に変形せずに円弧形状に保持されるタイヤを支持する駐車パッドを提案している。 更にまた、特許文献4は、フラットスポットが形成されにくいカーカスコードの材質を開示している。

    日本国特開2008−006853号

    米国特許第6344266号明細書

    米国特許第6520344号明細書

    日本国特開2004−001628号

    上記の如きフラットスポットの形成の原因は、一般には、車両の走行中のタイヤの発熱によって暖められ且つ車両の停止後に平坦面(路面又は支持面)上でその面に沿って変形したカーカスコードが冷却されることによって、タイヤの接地面内に於いて、平坦面に沿う方向のカーカスコードの平坦状変形又は歪みが保持されるためであると言われている。 かかるフラットスポット形成のメカニズムに関し、本発明の発明者が検討したところによれば、フラットスポットに繋がるカーカスコードの変形は、タイヤ接地面内のカーカスコードの圧縮による撓みに起因することが明らかになった。 より具体的には、まず、車両の走行又は路面の加熱によってカーカスコードの温度がガラス転移温度に達することによりカーカスコードが軟化した状態でタイヤの回転が停止すると、タイヤの接地面内に於いて、カーカスコードがタイヤの左右両側から車両の荷重に起因する圧縮力を受けて撓みが生じる。 しかる後、かかる圧縮による撓みが生じたまま、カーカスコードの温度がガラス転移温度を下回ると、カーカスコードが硬化して圧縮による撓みがそのまま保持され、その圧縮による撓みが保持された部位がフラットスポットとなる。 実際、「発明の実施形態」の欄に記載されている如く、本発明の発明者による実験によれば、ガラス転移温度を超えて軟化したカーカスコードが冷却されて硬化する際に、タイヤ接地面に於いてタイヤのベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向に該ベルトに曲げモーメントを与えて、タイヤ接地面に於けるカーカスコードを伸長する方向に張力を生成し、そこに於ける圧縮による撓みの形成を抑制すると、それだけで、フラットスポット、即ち、タイヤの平坦状の変形の程度が大幅に低減されることが明らかになった。 かかる知見は、タイヤのフラットスポットの抑制に有利に用いることができるであろう。

    かくして、本発明の主な目的は、自動車等の車両のタイヤの静止時に、タイヤ接地面に於いてタイヤのベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向に該ベルトに曲げモーメントを与えてタイヤ接地面内のカーカスコードの圧縮による撓みの形成を抑制することにより、タイヤのフラットスポットの形成の抑制又はフラットスポットの程度の低減を図る方法及び/又は装置を提供することである。

    また、本発明のもう一つの目的は、上記の如き方法及び/又は装置であって、できるだけ簡単な構成にて、タイヤ接地面内のカーカスコードの圧縮による撓みを抑制する曲げモーメントがベルトに与えられるようにする方法及び/又は装置を提供することである。

    下記に説明される本発明の方法及び装置に於いては、端的に述べれば、上記に触れた知見に基づいて、フラットスポットの形成の抑制又はフラットスポットの程度の低減を図るべく、タイヤ接地面にタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を配置し、これにより、タイヤのベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向に作用する曲げモーメントをベルトに発生させ、フラットスポットの原因となるタイヤ接地面内のカーカスコードの圧縮による撓みの形成の抑制又は低減が為される。

    具体的には、本発明によれば、一つの態様として、車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制するための方法であって、車両が駐停車された際に車両のタイヤが当接する面上にタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を配置する過程と、車両のタイヤが前記突起状部材の上に位置するよう車両を停止させる過程とを含み、車両の停止中に突起状部材がタイヤのトレッドを押圧することによりタイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与する方法が提供される。 かかる方法によれば、車両が駐停車される際にタイヤがタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材に乗り上げることにより、ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントが発生される。 かかる曲げモーメントがベルトに作用すると、ベルトの内側に位置するカーカスコードにそれがタイヤの左右方向に伸長する方向に張力が発生してタイヤの左右から鉛直下向きに作用する車両の荷重に起因する圧縮力の作用を低減することとなり、かくして、カーカスコードの圧縮による撓みが抑制又は低減され、これにより、フラットスポットの形成の抑制又はその程度の低減の効果が得られることとなる。

    上記の本発明の構成に於いて、タイヤ接地面に配置される突起状部材の形状は、ベルトに上記の如き曲げモーメントを付与するものであれば、任意の形状であってよい。 例えば、上記の曲げモーメントがタイヤ接地面の全域に亘って発生されるようにするために、突起状部材をタイヤの回転方向に沿ってタイヤの接地面よりも長く延在させられてよい。 また、一般的な乗用車のタイヤに於いては、トレッドに種々のパターンの溝が形成されているところ、タイヤが突起状部材に乗り上げたときに、該部材が溝に嵌り込んでしまうと、有意な曲げモーメントを発生できなくなる。 そこで、突起状部材は、タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有していることが好ましい。 他方、突起状部材のタイヤの左右方向についての幅がタイヤのトレッドの幅と略同等かそれ以上である場合には、ベルトをタイヤの左右方向に湾曲する方向の曲げモーメントが発生されないこととなるので、突起状部材の幅が、タイヤのトレッドの幅よりも狭いことが重要となる。 なお、タイヤの左右方向に沿った突起状部材の断面の形状は、任意の形状であってよいところ、実験によれば、接地面からの高さが1mm以上のとき、有意なフラットスポットの低減効果があることが見出された。 また、タイヤと路面又は支持面との間に配置される突起状部材のタイヤの横方向の位置は、必ずしも、タイヤの中心線上でなくても、有意なフラットスポット形成の抑制の効果が得られることが実験的に明らかになった。 即ち、本発明の方法に於いて、車両の停止の際にタイヤの中心を路面又は支持面に配置された突起状部材に厳密に一致させる必要はないので、本発明の方法は、車両の運転者にとって車両の停止時の横方向の位置の調整は容易となる点で有利である。

    実施の形態に於いて、本発明の方法は、任意の駐車場又はその他の駐車スペースに於いて適用されてよい。 特に、モータープールや車両運搬用のトラックの荷台、船倉内などの複数台の車両を縦列にて駐車する駐車スペースに於いては、駐車スペースの縦列駐車される複数台の車両のタイヤが位置し得る線状領域に沿って前記の突起状部材を延在するようになっていてよい。

    また、上記の本発明の方法は、任意の駐車用装置、例えば、立体駐車場等で使用される機械式駐車装置(車両を載置する装置)に於いて適用されてよい。 従って、本発明のもう一つの態様によれば、車両の駐車用装置であって、車両が駐停車された際に車両のタイヤが当接する面上に配置されたタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を含み、車両の停止中に前記の突起状部材がタイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与する装置が提供される。 かかる装置に於いて、上記の本発明の方法の場合と同様に、突起状部材は、タイヤの回転方向に沿ってタイヤの接地面よりも長い部材、タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有する部材又はタイヤの接地面からの高さが1mm以上の部材であってよい。 また、駐車用装置が複数台の車両が縦列駐車される駐車スペースを有している場合には、突起状部材は、駐車スペースの縦列駐車される複数台の車両のタイヤが位置し得る線状領域に沿って延在するようになっていてよい。

    更に、本発明の原理は、駐車場又はその他の駐車スペースに於いて路面に配置される装置として実現されてよい。 かくして、更にもう一つの態様として、本発明によれば、車両が駐停車された際に該車両のタイヤの接地面に配置されるタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を含む装置であって、前記の突起状部材がタイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与することにより車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制する装置が提供される。 この場合も、突起状部材は、タイヤの回転方向に沿ってタイヤの接地面よりも長い部材、タイヤのトレッドの溝幅よりも広い幅を有する部材又はタイヤの接地面からの高さが1mm以上の部材であってよい。 かかる装置は、実施形態の欄にて説明される如く、駐車場に於ける車止めに付随して用いられてよい。

    「背景技術」の欄に於いて述べた如き従来の技術に於いては、主として、車両の駐車時のタイヤの接地面に於いて円弧形状を維持することにより、フラットスポットの形成の抑制が図られていた。 これに対し、本発明に於いては、車両の駐停車時にタイヤの接地面に於けるベルトに対して該ベルトの両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントを付与してベルトの内側のカーカスコードの圧縮による撓みを低減又は抑制するという新規な原理によってフラットスポットの形成の抑制が達成される。 特に、本発明の原理によれば、タイヤ接地面に於いて突起状部材を配置することによって、フラットスポットの形成の抑制が達成されるので、方法に於ける過程や装置の構成は、従前の方法又は装置に比して簡便である点で有利である。 例えば、本発明によれば、特許文献1に記載されている如き、車両の停車時にタイヤの空気圧を上昇するシステムなどの複雑な構成は必要ない。 また、実施形態の欄に於いて理解される如く、本発明に於ける突起状部材は、タイヤの前後方向については、タイヤの接地面を超えて延在するようになっていてよいので、本発明に於いては、特許文献2、3の如く、車両の駐車時に、タイヤの前後方向の位置が確実に駐車パッド上に一致するようタイヤを停止させなければならないといったタイヤの前後方向の位置に関する制約がなく、使用者は、従来の技術に比して、より簡単に車両の停止操作が実行できることとなる。 更に、本発明の原理に於いて準備される突起状部材は、例えば、鉄製の棒材又は綱などの部材であってよいので、本発明は、比較的廉価に達成可能である点でも有利である。

    本発明のその他の目的及び利点は、以下に於いて、部分的に明らかになり、指摘される。

    図1(A)、(C)は、停車中の車両のタイヤの模式的な側面図であり、図1(B)、(D)は、タイヤの、その前後方向から見た断面図である。 (A)、(B)は、タイヤ接触面上に突起状部材を配置していない場合を示し、(C)、(D)は、本発明の教示に従って、タイヤ接地面上に突起状部材を配置した場合を示している。 図1(E)は、タイヤ接地面上に突起状部材を配置した場合のタイヤのベルトとカーカスコードに作用する力及びモーメントを説明する図である。

    図2は、タイヤの接触面に種々の条件にて突起状部材を配置した場合に形成されるフラットスポットの程度を検査するためのタイヤの回転振動実験の結果を示している。 (A)は、突起状部材のタイヤ接触面からの高さについて、(B)は、突起状部材の横方向位置について、(C)は、突起状部材の向きについて、それぞれ、条件を変更した場合の結果を表している。 各グラフに於いて、横軸の時間は、フラットスポット形成後にタイヤの回転を開始した時点からの経過時間である。

    図3(A)は、車両の車止めに本発明を適用した場合の模式図である。 図3(B)は、駐車場又はその他の駐車スペースに本発明を適用した場合の模式図である。 図3(C)は、駐車装置の車両の架台に本発明を適用した場合の模式図(正面図)である。 図3(D)は、モータープール、トラックの荷台又は船倉等に於ける縦列に駐車された車両に本発明を適用した場合の模式図(平面図)である。

    10…車両12…タイヤ14…タイヤ接地面20…ゴム層22…カーカスコード24…ビード26…タイヤトレッド28…タイヤトレッドの溝30…ベルト40…車止め44…区画線50…駐車装置の車載用架台Pr…突起状部材R…路面又は車両の支持面

    以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。 図中、同一の符号は、同一の部位を示す。

    本発明の原理
    まず、図1(A)、(B)を参照して、自動車等の車両10が停車している状態に於いて、路面(又は支持面)Rと接触するタイヤ12の面又は接地面14では、タイヤのトレッド部26を挟んで面Rからの圧力(図示せず)とタイヤの内圧(図示せず)とが釣り合っているので、タイヤの接地面14は、図1(A)に示されている如く、路面の平坦形状に沿って略平坦状に変形することとなる。 その場合のタイヤの内部についてみると、図1(B)に例示されている如く、タイヤ12のゴム層20に覆われたカーカスコード22は、車両の荷重に起因してタイヤの左右両側から下向きの力fcを受け、その結果、ベルト30の内側の図中αにて示された領域は、圧縮力を受けることとなる。 この点に関し、車両が高速走行した後或いは夏場などの気温の高い環境下を走行した後には、タイヤの温度がカーカスコード22のガラス転移温度を超えていることがあり、その場合には、カーカスコード22は軟化し、変形し易い状態となっているので、ベルト30の内側のカーカスコード(領域α)に於ける上記の圧縮力により面Rに沿った方向の圧縮による歪み或いは撓みの程度が大きくなると考えられる。 しかる後、タイヤが冷却され、カーカスコード22の温度が、そのガラス転移温度を下回ると、カーカスコード22は、圧縮による歪み或いは撓みの程度が大きい状態のまま、硬化することとなり、かかるカーカスコードが硬化された際に残留する歪み又は撓みがフラットスポットとなると考えられる。

    そこで、本発明に於いては、車両の駐停車時に、上記のベルト30の内側のカーカスコード22の圧縮による撓み又は歪みの形成を抑制し、これにより、フラットスポットの形成の抑制又はその程度の低減が図られる。 具体的には、図1(C)及び図1(D)に模式的に示されている如く、タイヤの接地面14に於いて、タイヤトレッド26及びベルト30を下方から押圧して、ベルト30の左右がタイヤの半径方向外方に向かう方向の曲げモーメントMb、換言すると、タイヤの回転方向に略沿ってベルト30の中央を内向きに曲げるモーメントを、ベルト30に対して付与する突起状部材Prが配置される。 かかる突起状部材Prにてベルト30を下方から押圧した場合(Fp)、ベルト30は、比較的剛性が高いので屈曲変形することはなく、図2(E)に模式的に描かれているように、下方の突起状部材による押圧力Fpとタイヤ内圧Ptとの作用によって緩やかに内向きに湾曲することとなる。 そうすると、僅かな曲げに対応して、ベルト30の半径方向内側面が伸長し、これに伴って、ベルトの内側に貼られたカーカスコード22をタイヤの左右方向に引っ張る張力fexが発生することとなる。 張力fexは、圧縮力fcを少なくとも部分的に、好ましくは、完全に相殺することとなり、これにより、フラットスポットの原因となるカーカスコード22の圧縮による撓み又は圧縮方向の歪みが除去又は低減され、フラットスポットの形成が抑制されることとなる。

    本発明の原理の確認実験
    上記の本発明の原理、即ち、ベルト30の左右がタイヤの半径方向外方に向かう方向にベルト30に対して曲げモーメントを付与する突起状部材をタイヤ接地面に配置することにより、フラットスポットの形成の抑制又は程度の低減が達成されることを確認するために、実験的にタイヤにフラットスポットを形成させる際に種々の突起状部材をタイヤ接地面に配置して、フラットスポットの形成の程度の変化について検証した。

    実験は、次の通りに行った。
    (1)先ず、実際の車両が高速走行した場合に相当する状態にてタイヤを回転させた。 このタイヤの回転により、カーカスコードの温度はそのガラス転移温度を超えて上昇し、カーカスコードは軟化する。 なお、上記の条件に於いて、カーカスコードの温度がガラス転移温度を超えることは、熱電対を用いてタイヤの温度を計測することにより確認した。
    (2)上記の処理の後、回転を止めて、タイヤと平坦な支持面との間(タイヤ接地面)に種々の条件にて突起状部材を配置し、通常であれば(突起状部材がなければ)フラットスポットが形成する状態にてタイヤを静置した(フラットスポット形成処理)。 この間に、カーカスコードの温度はそのガラス転移温度未満に冷却され、カーカスコードは硬化する。 上記の条件に於いて、カーカスコードの温度がガラス転移温度を下回ることは、熱電対を用いてタイヤの温度を計測することにより確認した。
    (3)しかる後、実際の車両の通常走行に相当する状態にてタイヤを回転し、その際のタイヤの回転軸に作用する力の振幅の時間変化ΔRFVを計測した。 ここで、ΔRFVは、上記の処理(1)及び(2)によるフラットスポット形成処理後のタイヤの回転軸に作用する力の振幅からフラットスポット形成処理前のタイヤの回転軸に作用する力の振幅を差し引いた値である。 このΔRFVは、形成されたフラットスポットの程度を表す指標値であり、この値が大きいほど、タイヤの回転軸に作用する力の変動が激しく、即ち、より大きなフラットスポットが形成されていることとなる。

    図2は、種々の条件の突起状部材を用いて上記の手順により計測されたΔRFVの結果を表している。 なお、以下の実験例に於いては、「245/70R17」にて表記されるタイヤを用い、処理(2)のタイヤの静置時に使用した突起状部材として、20mm幅を有し、タイヤ接地面を超えて延在する長さの鋼鉄製棒材が用いられた。 部材の幅を20mmとした理由は、部材がタイヤのトレッド溝に嵌り込んでしまうことを回避するためである。

    まず、図2(A)に於いては、突起状部材を用いずにフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値(図中、白丸)と、高さ1mmの突起状部材をタイヤ接地面にタイヤの回転方向の略中央線上に沿って延在させてフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値(図中、白四)と、高さ10mmの突起状部材をタイヤ接地面にタイヤの回転方向の略中央線上に沿って延在させてフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値(図中、白三角)との時間変化(縦軸は、突起状部材を用いずにフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値の初期値(ΔRFVo)で規格化された値を示している。)がそれぞれ示されている。 同図から理解される如く、いずれの場合も、ΔRFV値は、タイヤの回転開始後から時間の経過と伴に漸減するところ、タイヤ接地面に突起状部材を配置した場合のΔRFV値は、高さが1mmである場合も10mmである場合も、タイヤ接地面に突起状部材を配置しなかった場合のΔRFV値に比して、回転の開始直後から大幅に低減された。 かかる結果により、高さが1mm以上の突起状部材を用いることにより、フラットスポットの形成を大幅に抑制できることが確認された。

    次いで、図2(B)は、フラットスポット形成処理の際に高さ10mmの突起状部材の配置する位置をタイヤの回転方向に対して垂直方向(タイヤの横方向)にずらした場合についてのΔRFV値を示している(縦軸は、突起状部材を用いずにフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値の初期値(ΔRFVo)で規格化された値を示している。)。 同図から理解される如く、タイヤ幅が245mmであるタイヤに於いて、突起状部材の位置を中心から32mmずらした場合(図中、白三角)も、突起状部材の位置を中心から64mmずらした場合(図中、白四角)も、ΔRFV値は、突起状部材をタイヤの略中心位置に配置した場合(図中、×印)に比して、有意な差は見られず、フラットスポットの形成を大幅に抑制できることが確認された。 この結果は、タイヤ接地面に於ける突起状部材の位置を厳密にタイヤの中心線上に一致させなくても、突起状部材を用いない場合に比して、有意なフラットスポットの形成の抑制が達成できることを示唆している。

    更に、図2(C)は、突起状部材(高さ5mm)を、その向きがタイヤの回転方向に対して垂直となるようにタイヤ接地面に配置した状態(図中右下の「横方向」にて示された状態)で、上記と同様のフラットスポット形成処理を実行した場合のΔRFV値(図中、×印)と、同様の突起状部材をタイヤの回転方向に沿ってタイヤ接地面に配置した状態(図中右下の「前後方向」にて示された状態)で、上記と同様のフラットスポット形成処理を実行した場合のΔRFV値(図中、白三角印)との時間変化を示している(縦軸は、突起状部材を用いずにフラットスポット形成処理を行った場合のΔRFV値の初期値(ΔRFVo)で規格化された値を示している。)。 その場合、図から容易に理解される如く、突起状部材をタイヤの回転方向に対して垂直な方向に配置した場合のΔRFV値は、突起状部材を用いずにフラットスポット形成処理を実行した場合と略同等であり、フラットスポットの形成の抑制が達成されなかった。 突起状部材が、タイヤの回転方向に対して垂直に、即ち、タイヤの左右方向に沿ってタイヤを横切って延在する場合、上記に説明されている如きベルトの左右がタイヤの半径方向外方に向かう方向にベルトを湾曲する曲げモーメントは発生されず、従って、軟化したカーカスコードをタイヤの左右方向に伸長する方向の張力も生成されないと考えられる。 かくして、図2(C)に示された結果は、ベルトに対してベルトの左右がタイヤの半径方向外方に向かう方向に曲げモーメントを付与し、カーカスコードの圧縮による撓みの形成を抑えることにより、フラットスポットの形成の抑制が為されることを示唆している。

    以上の結果より、本発明の原理に従って、タイヤの接地面にタイヤのトレッドの幅よりも狭い突起状部材を配置して、ベルトの左右がタイヤの半径方向外方に向かう方向に曲げモーメントを発生させることにより、有意にフラットスポットの形成の抑制が可能となることが確認された。

    本発明の実施形態の構成
    上記の本発明の原理を利用した本発明によるフラットスポットの形成の抑制方法は、任意の形態にて実現されてよい。 例えば、本発明の方法の一つの形態は、駐車場又はその他の駐車スペースに於いて、車両のタイヤが停止されるべき位置に、図3(A)に例示されている如き車止め40に突起状部材Prを付属した構成を形成又は配置することにより達成されてよい。 (突起状部材Prを付属した車止め40は、車両のタイヤのフラットスポットの形成を抑制する装置の一つの例である。)。 突起状部材Prの寸法については、上記の実験結果を参照して、例えば、平方向の幅は、タイヤのトレッド溝に嵌入されない大きさ(20mm程度)、高さは、1mm以上(好適には、5mm〜10mm)、長さは、タイヤの接地面のタイヤの回転方向の長さを超える長さ(例えば、100mm以上)であってよい。 なお、突起状部材Prの延在方向は、ベルトに上記に説明された曲げモーモーメントが付与される限りに於いて、必ずしも、タイヤの回転方向の中心線上でなくてもよいことは理解されるべきである。 また、突起状部材Prの上限については、制限はないところ、停止中の車両の安定性を考慮すると、タイヤの接地面の両端が浮き上がらない程度の高さであることが好ましいであろう。 突起状部材Prの材質は、タイヤが突起状部材Pr上に載った際に、有意な曲げモーモーメントの付与ができる程度の剛性を有する任意の材質であってよく、任意の金属又は鉄、硬質プラスチック、石、セメント、綱、ロープ等であってよい。 更に、図3(A)の装置は、必ずしも、路面又は駐車用スペースに固定されていなくてもよく、使用者により任意に場所が移動できるようになっていてよい。 図3(A)のように車止めが構成されている場合には、車両の駐停車の際、運転者は、車止め40に基づいて、例えば、タイヤが車止め40に接触したことをもって、車両を停止すると、タイヤの下にタイヤの回転方向に概ね沿って突起状部材Prが位置することとなり、これにより、車両の再発進の際にタイヤのフラットスポットが抑制されるか又はその程度が低減されることとなる。

    また、本発明の別の形態として、図3(B)に模式的に描かれている如く、駐車場又はその他の駐車スペースに於いて車両のタイヤが停止され得る線状又は帯状領域に突起状部材Prが配置又は形成されてよい。 この場合、突起状部材Prは、任意の金属製又は鉄製、硬質プラスチック製、石製又はセメント製の棒材、又は、綱若しくはロープの如き、任意の細長い部材であってよい。 突起状部材Prの断面の寸法については、図3(A)の場合と同様に、水平方向の幅は、タイヤのトレッド溝に嵌入されない大きさ(20mm程度)、高さは、1mm以上(好適には、5mm〜10mm)であってよい。 また、突起状部材Prを配置する際、突起状部材Prは、厳密に直線状に延在するようになっている必要はなく、タイヤがその上に載置された際に、ベルトに対して上記の有意な曲げモーモーメントの付与ができる範囲で、多少、湾曲又は屈曲された部位が存在していても、本発明の作用効果が達成されるので、そのような場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。 かかる構成によれば、車両の駐停車の際、運転者は、駐車スペースの区画線44等を視認しながら一対の区画線44の間に車両の位置決めをして停止することにより、タイヤの下方に突起状部材Prが配置されることとなる。 また、突起状部材Prが、車両が収められるべき区画線44の間の領域内の略全長に亘って延在しているときには、運転者は、車両の前後方向の停止位置を厳密に調節しなくても、タイヤの下に突起状部材Prが配置されるので、フラットスポット形成の抑制効果を享受することができる。

    更に、本発明の別の形態として、図3(C)に模式的に描かれている如く、本発明による突起状部材Prは、立体駐車場等で使用される駐車用装置又は車両運搬用トラックの荷台に積載される駐車用装置の架台50に於いて、車両が積載される際に、タイヤ12が位置する部位に設けられるようになっていてもよい。 かかる構成に於いて、図示していないが、図3(A)の如き突起状部材Prが付属した車止め40が架台50上に配置又は形成されるようにしてもよい。 突起状部材Prは、取り外し可能であってよく、また、タイヤの接地面となる部位のみに設けられていてもよく、その場合、車両の車軸間距離に応じて、突起状部材Prの位置が適宜変更可能であってよい。 或いは、架台の長手方向全域に亘って延在するよう突起状部材Prが設けられてもよい。 突起状部材Prの断面の寸法については、図3(A)の場合と同様に、水平方向の幅は、タイヤのトレッド溝に嵌入されない大きさ(20mm程度)、高さは、1mm以上(好適には、5mm〜10mm)であってよい。

    また、更に別の態様として、図3(D)の如く、大型の駐車場、モータープール、車両運搬用のトラックの架台、車両運搬用の船倉等に於いて、複数台の車両を縦列駐車する場合に、本発明が適用されてもよい。 その場合、連続した突起状部材Prが、縦列駐車される複数台の車両のタイヤが配置され得る車両のトレッド幅Trの間隔を有する一対の線状又は帯状領域のそれぞれに沿って配置又は形成される。 突起状部材Prは、例えば、タイヤのトレッド溝に嵌入されない大きさ(20mm程度)の水平方向の幅と、1mm以上(好適には、5mm〜10mm)の高さを有する線状構造を駐車スペース上に形成するか、かかる寸法の棒材又はロープを配置することにより構成されてよい。 かかる構成に於いて、車両の運転者又は輸送者は、車両の両輪のタイヤがそれぞれ突起状部材Prの上から大きく外れずにその上に載置されるように、複数台の車両を縦列に駐車することとなる。 この場合、図3(B)の場合と同様に、突起状部材Prは、タイヤが配置され得る線状又は帯状領域の全域に亘って延在しているので、縦列に駐車される車両の前後方向の位置を厳密に調整することなく、本発明によるフラットスポット軽減の効果が得られることとなる。 また、図3(B)の場合と同様に、突起状部材Prは、厳密に直線状に延在するようになっている必要はなく、タイヤがその上に載置された際に、ベルトに対して上記の有意な曲げモーモーメントの付与ができる範囲で、多少、湾曲又は屈曲された部位が存在していても、本発明の作用効果が達成されるので、そのような場合も本発明の範囲に属することは理解されるべきである。

    以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。

    例えば、本発明の方法又は装置の具体的な形態及び突起状部材の形状は、本発明の概念の範囲内に於いて、種々変更されてよく、そのような場合も本発明の範囲に属する。 重要なことは、タイヤの接地面に於いて、突起状部材を配置することによって、タイヤのベルトの中央領域が内向きに湾曲する、即ち、ベルトの左右の両側がタイヤの半径方向外方に向かう方向に、ベルトに曲げモーメントを生成し、これにより、ベルトの内側のカーカスコードの圧縮による撓み又は歪みをできるだけ解消するということである。

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