空気入りタイヤ

申请号 JP2013096835 申请日 2013-05-02 公开(公告)号 JP2014218104A 公开(公告)日 2014-11-20
申请人 住友ゴム工業株式会社; Sumitomo Rubber Ind Ltd; 发明人 IMAKITA TAKASHI;
摘要 【課題】直進時及び旋回時の走行性能に優れ、耐久性にも優れたタイヤの提供。【解決手段】本発明に係るタイヤ2は、その外面がトレッド面26をなすトレッド4と、このトレッド4よりも半径方向内側に 位置 するバンド22とを備えている。このバンド22は、このタイヤ2が車両に装着されたとき車両の外側方向に位置する第一領域Aと、このとき車両の内側方向に位置する第二領域Bとを備えている。第一領域Aは螺旋状に巻かれた第一コードを含んでいる。第二領域Bは螺旋状に巻かれた第二コードを含んでいる。第一コードのモジュラスは、第二コードのモジュラスより大きい。好ましくは、第一コードは、アラミド繊維又はアラミド繊維とナイロン繊維とを混成したハイブリッド繊維からなり、第二コードは、ナイロン繊維からなる。【選択図】図1
权利要求
  • その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドよりも半径方向内側に位置するバンドとを備えており、
    上記バンドが、このタイヤが車両に装着されたとき車両の外側方向に位置する第一領域と、このとき車両の内側方向に位置する第二領域とを備えており、
    上記第一領域が螺旋状に巻かれた第一コードを含んでおり、
    上記第二領域が螺旋状に巻かれた第二コードを含んでおり、
    上記第一コードのモジュラスが、上記第二コードのモジュラスより大きい空気入りタイヤ。
  • 上記第一コードが、アラミド繊維又はアラミド繊維とナイロン繊維とを混成したハイブリッド繊維からなり、上記第二コードがナイロン繊維からなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  • タイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記バンドの表面に沿って計測した上記第一領域の幅BaWAの、上記バンドの表面に沿って計測した上記バンドの上記車両の外側方向の端から上記車両の内側方向の端までの幅BWに対する比(BaWA/BW)が0.5以上0.8以下であり、上記バンドの表面に沿って計測した上記第二領域の幅BaWBの、上記幅BWに対する比(BaWB/BW)が0.2以上0.5以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  • それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、これらのサイドウォールのうち、上記車両の外側方向に位置するサイドウォールから半径方向略内向きに延びる第一ビードと、上記車両の内側方向に位置するサイドウォールから半径方向略内向きに延びる第二ビードと、上記バンド及び上記サイドウォールの内側に沿って上記第一ビートと上記第二ビートとの間に架け渡されたカーカスと、上記バンドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えており、
    上記第一ビードが、第一コアとこの第一コアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスとを備えており、
    上記第二ビードが、第二コアとこの第二コアから半径方向外向きに延びる第二エイペックスとを備えており、
    上記第一エイペックスの半径方向外側端が、上記ベルトと半径方向において重なっておらず、
    上記第二エイペックスの半径方向外側端が、上記ベルトと半径方向において重なっている請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  • タイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記第二エイペックスと上記ベルトとの重なり部分の長さが、10mm以上20mm以下である請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  • 上記第二エイペックスの半径方向内側端における軸方向の厚みが、4.0mm以上8.5mm以下である請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
  • 上記ベルトの上記車両の内側方向の端において、ベルトの表面から引いた法線に沿って計測される上記第二エイペックスの厚みが、0.5mm以上2.0mm以下である請求項4から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  • 说明书全文

    本発明は、空気入りタイヤに関する。

    高速走行用のタイヤでは、通常ベルトを補強するために、その半径方向外側にバンドを備えている。 このバンドは、略周方向に螺旋状に巻かれたコードを有している。 このコードによりベルトが拘束されるので、ベルトのせり上がり(リフティング)が抑制される。 バンドは、タイヤの耐久性の向上に寄与する。 また、バンドは、タイヤの剛性に寄与する。

    バンドのコードの材料としては、ナイロン繊維に代表される低モジュラスの有機繊維及びアラミド繊維に代表される高モジュラスの有機繊維が例示される。 バンドが、高いモジュラスを持つ有機繊維からなるコードを有する場合、このタイヤの剛性は大きくなる。 このタイヤは、強い横が加えられる旋回時にも充分な剛性を有する。 このタイヤは旋回時の操縦安定性に優れる。 しかし、この高い剛性は、車両の直進時のタイヤの接地面積を小さくする。 これは、直線走行でのグリップ力の低下の原因となる。

    バンドが、低いモジュラスを持つ有機繊維からなるコードを有する場合、このタイヤの剛性は小さくなる。 このタイヤは、直線走行時に充分な接地面積を有する。 しかし、このタイヤは、大きな横力が加えられる旋回時における剛性が不十分である。 このタイヤは、旋回時における操縦安定性に劣る。

    特開2007−50726号公報に開示されたタイヤでは、車両の走行性能の改善のために、バンドは剛性が異なる2種類のコードを有している。 このタイヤのバンドでは、ショルダー部には、センター部より高い剛性の繊維からなるコードを使用している。 旋回時に主に接地するショルダー部において、バンドのコードが高い剛性を有することにより、旋回時における高い操縦安定性を実現している。

    特開2007−50726号公報

    車両は、旋回を容易にするために、多くの場合ネガティブキャンバーを採用している。 特に高速走行をすることが想定される車両ではこの傾向が強い。 ネガティブキャンバーを採用した車両では、直進時には左右のタイヤともに、そのトレッド面のうち、タイヤが車両に装着されたときの車両の内側方向(本明細書では、この内側方向は、「装着方向内側」と称される。これに対して、車両の外側方向は、「装着方向外側」と称される)の部分が接地する。 このため、このトレッド面の装着方向内側部分は、走行中に頻繁に変形を繰り返す。 バンドが高いモジュラスのコードを含んでいる場合、この変形に起因して、バンドの装着方向内側の端部でバンドの損傷が発生し易くなる。 特開2007−50726号公報のタイヤでは、バンドのショルダー部は高いモジュラスのコードを使用しているため、装着方向内側にておいてバンドの損傷が発生しうる。 このタイヤは、ネガティブキャンバーの車両に使用された場合、耐久性に劣る。

    ネガティブキャンバーを採用した車両では、上述の通り、直進時には左右のタイヤともに、そのトレッド面のうち、装着方向内側部分が接地している。 このため、トレッド面が接地する面積は小さい。 ショルダー部に高いモジュラスのコードを使用した特開2007−50726号公報のタイヤでは、直進時の接地面積がさらに小さくなる。 これは、直進走行時のグリップの低下を招来する。 このタイヤは、ネガティブキャンバーの車両に使用された場合、直進走行でのグリップ力に劣る。

    本発明の目的は、直進時及び旋回時の走行性能に優れ、耐久性にも優れたタイヤの提供にある。

    本発明に係るタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドよりも半径方向内側に位置するバンドとを備えている。 このバンドは、このタイヤが車両に装着されたとき車両の外側方向に位置する第一領域と、このとき車両の内側方向に位置する第二領域とを備えている。 上記第一領域は螺旋状に巻かれた第一コードを含んでいる。 上記第二領域は螺旋状に巻かれた第二コードを含んでいる。 上記第一コードのモジュラスは、上記第二コードのモジュラスより大きい。

    好ましくは、上記第一コードは、アラミド繊維又はアラミド繊維とナイロン繊維とを混成したハイブリッド繊維からなり、上記第二コードは、ナイロン繊維からなる。

    好ましくは、タイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記バンドの表面に沿って計測した上記第一領域の幅BaWAの、上記バンドの表面に沿って計測した上記バンドの上記車両の外側方向の端から上記車両の内側方向の端までの幅BWに対する比(BaWA/BW)は0.5以上0.8以下であり、上記バンドの表面に沿って計測した上記第二領域の幅BaWBの、上記幅BWに対する比(BaWB/BW)は0.2以上0.5以下である。

    好ましくは、本発明に係るタイヤは、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、これらのサイドウォールのうち、上記車両の外側方向に位置するサイドウォールから半径方向略内向きに延びる第一ビードと、上記車両の内側方向に位置するサイドウォールから半径方向略内向きに延びる第二ビードと、上記バンド及び上記サイドウォールの内側に沿って上記第一ビートと上記第二ビートとの間に架け渡されたカーカスと、上記バンドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えている。 この第一ビードは、第一コアとこの第一コアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスとを備えている。 この第二ビードは、第二コアとこの第二コアから半径方向外向きに延びる第二エイペックスとを備えている。 第一エイペックスの半径方向外側端は、上記ベルトと半径方向において重なっておらず、上記第二エイペックスの半径方向外側端は、上記ベルトと半径方向において重なっている。

    好ましくは、タイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記第二エイペックスと上記ベルトとの重なり部分の長さは、10mm以上20mm以下である。

    好ましくは、上記第二エイペックスの半径方向内側端における軸方向の厚みは、4.0mm以上8.5mm以下である。

    好ましくは、上記ベルトの上記車両の内側方向の端において、ベルトの表面から引いた法線に沿って計測される上記第二エイペックスの厚みは、0.5mm以上2.0mm以下である。

    本発明に係るタイヤでは、バンドはその装着方向内側に、第二コードが巻かれた第二領域を有する。 この第二コードのモジュラスは小さい。 このため、このタイヤの装着方向内側部は剛性が低い。 このタイヤがネガティブキャンバーを採用した車両に装着され、車両が直進走行したとき、タイヤのトレッド面の装着方向内側部が接地する。 このため、直進走行時には、トレッド面の装着方向内側部が頻繁に変形を繰り返す。 第二コードのモジュラスは低いため、この変形によるバンドの損傷の発生は抑えられる。 このタイヤは耐久性に優れる。 また、タイヤの装着方向内側部は剛性が低いため、このタイヤは直進走行時に充分な接地面積を有する。 このタイヤの直進走行時のグリップ力は強い。

    本発明に係るタイヤでは、バンドはその装着方向外側に、第一コードが巻かれた第一領域を有する。 この第一コードのモジュラスは大きい。 このため、このタイヤの装着方向外側部は剛性が高い。 このタイヤが装着された車両が旋回走行したとき、外輪ではトレッド面の装着方向外側部が接地し、内輪ではトレッド面の装着方向内側部が接地する。 旋回時には、タイヤに大きな荷重が加えられる。 この荷重のほとんどは、外輪に負担されている。 タイヤの装着方向外側部は剛性が高いため、この大きな荷重に対しても、このタイヤは充分な剛性を有する。 内輪にかかる荷重は小さいため、タイヤの装着方向内側部の剛性が低くても、この部分は旋回時の剛性感をほとんど損なわない。 このタイヤは、旋回走行時の剛性感に優れる。 このタイヤは、旋回時の操縦安定性に優れる。

    図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部が示された断面図である。

    図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。

    図3は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。

    以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。

    図1には、空気入りタイヤ2が示されている。 図2及び図3は、タイヤ2の一部が示された拡大断面図である。 これらの図において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。 また、左方向が装着方向外側であり、右方向が装着方向内側である。 図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。

    このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、第一ビード8、第二ビード10、カーカス12、フィラー14、ベルト16、インナーライナー18、チェーファー20、バンド22及びエッジバンド24を備えている。 このタイヤ2は、チューブレスタイプである。

    トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。 トレッド4は、路面と接地するトレッド面26を形成する。 図示されていないが、トレッド面26には、溝が刻まれている。 この溝により、トレッドパターンが形成されている。 なお、このトレッド4に溝が刻まれなくてもよい。 トレッド4は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。

    一対のサイドウォール6は、それぞれトレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。 このサイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。 このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。 このサイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。

    第一ビード8は、一対のサイドウォール6のうち、装着方向外側に位置するサイドウォール6から半径方向略内向きに延びている。 第一ビード8は、第一コア32と、この第一コア32から半径方向外向きに延びる第一エイペックス34とを備えている。 第一コア32は、タイヤ2の周方向に沿ってリング状を呈している。 第一コア32は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。 ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。 第一エイペックス34は半径方向外向きに先細りである。 第一エイペックス34は高硬度な架橋ゴムからなる。

    第二ビード10は、一対のサイドウォール6のうち、装着方向内側に位置するサイドウォール6から半径方向略内向きに延びている。 第二ビード10は、第二コア36と、この第二コア36から半径方向外向きに延びる第二エイペックス38とを備えている。 第二コア36は、タイヤ2の周方向に沿ってリング状を呈している。 第二コア36は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。 ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。 第二エイペックス38は半径方向外向きに先細りである。 第一エイペックス34は高硬度な架橋ゴムからなる。

    カーカス12は、第一プライ12a及び第二プライ12bからなる。 第一プライ12a及び第二プライ12bは、第一ビード8と第二ビード10との間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。 第一プライ12aは、コアの周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。 この折り返しにより、第一プライ12aには、主部40と折り返し部42とが形成されている。 第二プライ12bは、コアの周りにて、軸方向外側から内側に向かって折り返されている。 この折り返しにより、第二プライ12bには、主部44と折り返し部46とが形成されている。 第一プライ12aの折り返し部42は、軸方向において、第二プライ12bの主部44よりも内側に位置している。 第二プライ12bの折り返し部46は、軸方向において、第一プライ12aの主部40よりも内側に位置している。 第一プライ12aの折り返し部42の端48は、半径方向において、第二プライ12bの折り返し部46の端50よりも外側に位置している。

    それぞれのカーカスプライは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。 それぞれのコードが赤道面に対してなす度の絶対値は、60°から90°である。 換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。 コードは、有機繊維からなる。 好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。 カーカス12が、1枚のプライから形成されてもよい。

    一対のフィラー14は、カーカス12と積層されている。 これらのうちの一方のフィラー14は、第一ビード8の近くに位置している。 このフィラー14は、第一プライ12aの内側において、第一ビード8のコアの周りで折り返されている。 このフィラー14は、第一ビード8の剛性に寄与しうる。 このフィラー14は、第一ビード8の倒れを抑えうる。 もう一方のフィラー14は、第二ビード10の近くに位置している。 このフィラー14は、第一プライ12aの内側において、第二ビード10のコアの周りで折り返されている。 このフィラー14は、第二ビード10の剛性に寄与しうる。 このフィラー14は、第二ビード10の倒れを抑えうる。

    ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。 ベルト16は、カーカス12と積層されている。 ベルト16は、カーカス12を補強する。 ベルト16は、内側層16a及び外側層16bからなる。 図2及び3から明らかなように、軸方向において、内側層16aの幅は外側層16bの幅よりも若干大きい。 図示されていないが、内側層16a及び外側層16bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。 各コードは、赤道面に対して傾斜している。 傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。 内側層16aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層16bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。 コードの好ましい材質は、スチールである。 コードに、有機繊維が用いられてもよい。 ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。

    インナーライナー18は、カーカス12の内側に位置している。 インナーライナー18は、カーカス12の内面に接合されている。 インナーライナー18は、架橋ゴムからなる。 インナーライナー18には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。 インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。 インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。

    一対のチェーファー20は、それぞれ第一ビード8及び第二ビード10の近傍に位置している。 タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー20がリムと当接する。 この当接により、ビードの近傍が保護される。

    バンド22は、トレッド4の半径方向内側に位置している。 バンド22は、ベルト16の半径方向外側に位置している。 軸方向において、バンド22の幅はベルト16の内側層16aの幅とほぼ同じである。 バンド22は、装着方向外側に位置する第一領域及び装着方向内側に位置する第二領域を備えている。 図1において、符号Aは第一領域を表し、符号Bは第二領域を表している。

    図示されていないが、このバンド22の第一領域Aは、第一コードとトッピングゴムとからなる。 第一コードは、螺旋状に巻かれている。 このバンド22の第一領域Aは、いわゆるジョイントレス構造を有する。 第一コードは、実質的に周方向に延びている。 周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。 この第一コードとしては、その材質がスチールであるスチールコード及び有機繊維からなる有機繊維コードが例示される。 この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。 コードの材質が、これらの繊維を混成したハイブリッド繊維でもよい。 また、周方向と垂直な断面において、第一領域Aにおける第一コードの密度は、45エンズ/5cm以上70エンズ/5cm以下とされている

    図示されていないが、このバンド22の第二領域Bは、第二コードとトッピングゴムとからなる。 第二コードは、螺旋状に巻かれている。 このバンド22の第二領域Bは、いわゆるジョイントレス構造を有する。 第二コードは、実質的に周方向に延びている。 周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。 この第二コードとしては、その材質がスチールであるスチールコード及び有機繊維からなる有機繊維コードが例示される。 この有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。 コードの材質が、これらの繊維を混成したハイブリッド繊維でもよい。 また、周方向と垂直な断面において、第一領域Bにおける第二コードの密度は、35エンズ/5cm以上60エンズ/5cm以下とされている。

    このタイヤ2では、第一コードのモジュラスが、第二コードのモジュラスより大きくされている。 換言すれば、第一コード及び第二コードの材質及び繊度は、第一コードのモジュラスが、第二コードのモジュラスより大きくなるように選択される。 従ってこのタイヤ2では、装着方向外側部分の剛性が装着方向内側部分の剛性よりも高くなっている。

    図2には、タイヤ2の装着方向内側付近が示されている。 第二エイペックス38は、第二コア36から半径方向外側に伸びている。 図に示されるとおり、第二エイペックス38の半径方向外側端52は、半径方向において、ベルト16と重なっている。 図において、仮想直線NL2は、ベルト16の内側層16aの装着方向内側端54において、内側層16aの表面から引いた法線である。 図において、両矢印OLは、第二エイペックス38とベルト16との重なり部分の長さを表わす。 より詳細には、長さOLは、周方向に垂直な断面において、直線NL2と第二エイペックス38との交点と、第二エイペックス38の半径方向外側端52との間の、第二エイペックス38の表面に沿って計測した長さである。

    図3には、タイヤ2の装着方向外側付近が示されている。 第一エイペックス34は、第一コア32から半径方向外側に伸びている。 図に示されるとおり、第一エイペックス34の半径方向外側端56は、半径方向において、ベルト16と重なっていない。 図において、仮想直線NL1は、ベルト16の内側層16aの装着方向外側端62において、内側層16aの表面から引いた法線である。 図において、両矢印SPは、第一エイペックス34とベルト16との間の長さを表わす。 より詳細には、長さSPは、周方向に垂直な断面において、直線NL1とカーカス12との交点と、第一エイペックス34の半径方向外側端56との間の、カーカス12の表面に沿って計測した長さである。

    以下、本発明による作用効果が説明される。

    車両は、旋回を容易にするために、多くの場合ネガティブキャンバーを採用している。 ネガティブキャンバーを採用した車両では、直進時には左右のタイヤ2ともに、そのトレッド面26のうち、装着方向内側が接地する。 このため、直進走行時には、トレッド面26の装着方向内側部が頻繁に変形を繰り返す。 これは、バンド22が半径方向内側端60付近で損傷を起こす原因となりうる。 本発明に係るタイヤ2では、バンド22はその装着方向内側に、第二コードが巻かれた第二領域Bを有する。 この第二コードのモジュラスは小さい。 第二コードのモジュラスは小さいため、この変形によるバンド22の損傷の発生は抑えられる。 このタイヤ2は、優れた耐久性能を有する。

    ネガティブキャンバーを採用した車両では、上述の通り、直進時には左右のタイヤ2ともに、そのトレッド面26のうち、装着方向内側部分が接地している。 このため、トレッド面26が接地する面積は小さい。 これは、直進走行時のグリップ力低下の原因となりうる。 本タイヤ2では、第二コードのモジュラスは小さいため、このタイヤ2の装着方向内側部は剛性が低い。 このため、このタイヤ2は直進走行時に充分な接地面積を有する。 このタイヤ2の直進走行時のグリップ力は強い。

    車両は、旋回走行したとき、外輪ではトレッド面26の装着方向外側部が接地し、内輪ではトレッド面26の装着方向内側部が接地する。 旋回時には、タイヤ2に大きな荷重が加えられる。 この荷重のほとんどは外輪に負担されるため、旋回時には、外輪の装着方向外側に、荷重が集中して加えられる。 これは、旋回時における操縦安定性を損ねる要因となりうる。 本発明に係るタイヤ2では、バンド22はその装着方向外側に、第一コードが巻かれた第一領域Aを有する。 この第一コードのモジュラスは大きい。 このため、このタイヤ2の装着方向外側部は剛性が高い。 この大きな荷重に対しても、このタイヤ2は充分な剛性を有する。 一方、旋回時には、内輪の装着方向内側に加わる荷重は小さい。 このタイヤ2では、タイヤ2の装着方向内側部の剛性は低い。 しかし、この部分にかかる荷重が小さいため、旋回時の剛性感が損なわれることはほとんどない。 このタイヤ2は、旋回走行時の剛性感に優れる。 このタイヤ2は、旋回時の操縦安定性に優れる。

    タイヤ2の高い耐久性及び直進時の高いグリップ力と、旋回時の高い剛性感とを両立させるとの観点から、温度20℃における、第一コードの2.5%モジュラスMAの第二コードの2.5%モジュラスMBに対する比(MA/MB)は、4.0以上17.0以下が好ましい。

    第一コードの材料は、アラミド繊維とナイロン繊維とを混合したハイブリッド繊維が好ましく、第二コードの材料は、ナイロン繊維が好ましい。 第一コードの材料がこのハイブリッド繊維であり、第二コードの材料がナイロン繊維であるタイヤ2では、高い耐久性及び直進時の高いグリップ力と、旋回時の高い剛性感とが両立しうる。 この観点から、第一コードの材料はアラミド繊維でもよい。

    このタイヤでは、第一領域Aにおける第一コードの密度は、タイヤ装着方向外側の剛性に影響する。 旋回時の高い剛性感とグリップ力を両立させるとの観点から、周方向と垂直な断面において、第一コードの密度は45エンズ/5cm以上70エンズ/5cm以下が好ましい。

    このタイヤでは、第二領域Bにおける第二コードの密度は、タイヤ装着方向内側の剛性に影響する。 直進時の高いグリップ力と操縦安定性を両立させるとの観点から、周方向と垂直な断面において、第二コードの密度は35エンズ/5cm以上60エンズ/5cm以下が好ましい。

    図1において、両矢印BWは、タイヤ2の周方向に対して垂直な断面において、バンド22の表面に沿って計測したバンド22の装着方向外側端58から装着方向内側端60までの幅を表す。 両矢印BaWAは、この断面において、バンド22の表面に沿って計測した第一領域Aの幅を表す。 幅BaWAの幅BWに対する比(BaWA/BW)は、0.5以上が望ましい。 この比が0.5以上のタイヤ2は、旋回時に充分な剛性を有する。 この観点からこの比は0.6以上がより好ましい。 比(BaWA/BW)は、0.8以下が好ましい。 この比が0.8以下のタイヤ2は、高い耐久性と直進時の高いグリップ力を有する。 この観点からこの比は0.7以下がより好ましい。

    図1において、両矢印BaWBは、タイヤ2の周方向に対して垂直な断面において、バンド22の表面に沿って計測した第二領域Bの幅を表す。 幅BaWBの幅BWに対する比(BaWB/BW)は、0.2以上が望ましい。 この比が0.2以上のタイヤ2は、高い耐久性と直進時の高いグリップ力を有する。 この観点からこの比は0.3以上がより好ましい。 比(BaWB/BW)は、0.5以下が望ましい。 この比が0.5以下のタイヤ2は、旋回時に充分な剛性を有する。 この観点からこの比は0.4以下がより好ましい。

    前述のとおり、ネガティブキャンバーを採用した車両では、直進時には左右のタイヤ2ともに、そのトレッド面26のうち、装着方向内側部分が接地している。 このとき、装着方向内側のサイドウォール6は、そのトレッド面26に近い部分は装着方向内側に変形し、中央部分は装着方向外側に変形することを繰り返す。 この変形が大きくなると、操縦安定性の低下の原因となりうる。 図2に示されるとおり、本タイヤ2では、第二エイペックス38が、半径方向においてベルト16と重なるまで、半径方向上方に延びている。 第二エイペックス38は高硬度な架橋ゴムからなる。 この第二エイペックス38は、サイドウォール6の変形を抑制する。 この第二エイペックス38は、直進走行時の剛性感の向上に寄与する。 この第二エイペックス38を備えたタイヤ2は、直進時の操縦安定性に優れる。

    第二エイペックス38とベルト16との重なり部分の長さOLは、10mm以上が好ましい。 長さOLが10mm以上の第二エイペックス38を備えるタイヤ2では、直進時のサイドウォール6の変形を効果的に抑えうる。 このタイヤ2は直進時の剛性感に優れる。 長さOLは、20mm以下が好ましい。 長さOLが20mm以下の第二エイペックス38を備えるタイヤ2では、直進時に充分な接地面積を有する。 このタイヤ2は、直進時のグリップ力に優れる。

    図1において、両矢印T1は、第二エイペックス38の半径方向内側端64における軸方向の厚みを表す。 厚みT1は、4.0mm以上が好ましい。 厚みT1が4.0mm以上のタイヤ2は、サイドウォール6の中央部分の変形を効果的に抑えうる。 このタイヤ2は直進時の剛性感に優れる。 厚みT1は、8.5mm以下が好ましい。 厚みT1が8.5mm以下のタイヤ2では、第二エイペックス38によるタイヤ質量への影響が抑えうる。

    図2において、両矢印T2は、法線NLに沿って計測される第二エイペックス38の厚みを表す。 厚みT2は、0.5mm以上が好ましい。 厚みT2が0.5mm以上のタイヤ2は、サイドウォール6のトレッド端付近での変形を効果的に抑えうる。 このタイヤ2は直進時の剛性感に優れる。 厚みT2は、2.0mm以下が好ましい。 厚みT2が2.0mm以下のタイヤ2は、直進時に充分な接地面積を有する。 このタイヤ2は、直進時のグリップ力に優れる。

    前述したとおり、車両は、旋回走行したとき、外輪ではトレッド面26の装着方向外側部に荷重が集中して加えられる。 このとき、装着方向外側のサイドウォール6の剛性が強すぎると、かえってタイヤ2のグリップ力が低下することが起こりうる。 本タイヤ2では、図3に示されるとおり、高硬度な架橋ゴムからなる第一エイペックス34は、半径方向においてベルト16とは重なっていない。 第一エイペックス34とベルト16の装着方向外側端62との間には、間隔が設けられている。 本タイヤ2では、サイドウォール6の剛性が強すぎることによる、グリップ力の低下が抑えうる。 本タイヤ2は、旋回時に充分なグリップ力を有する。

    第一エイペックス34とベルト16との間隔の長さSPは、20mm以上が好ましい。 長さSPが20mm以上の第一エイペックス34を備えるタイヤ2では、旋回時のグリップ力に優れる。 長さSPは、60mm以下が好ましい。 長さSPが60mm以下の第一エイペックス34を備えるタイヤ2では、旋回時に充分な剛性感を有する。 このタイヤ2は、旋回時の操縦安定性に優れる。

    以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。

    [実施例1]
    図1に示された構成を備えた実施例1のタイヤを得た。 タイヤのサイズは、315/30R18とされた。 表1にこのタイヤの諸元が示されている。 第一コードの材料は、繊度1670dtex/2のアラミド繊維と、繊度940dtex/2のナイロン繊維とを混成したハイブリッド繊維とされた。 第二コードの材料はナイロン繊維とされた。 この第二コードの繊度は、1400dtex/2である。 このとき、温度20℃における、第一コードと第二コードとの2.5%モジュラスの比(MA/MB)は、9.0である。 第一コードの密度は、50エンズ/5cmとされ、第二コードの密度は、49エンズ/5cmとされた。 比(BaWA/BW)は、0.65とされた。 比(BaWB/BW)は、0.35とされた。 表において、「A1重なり」は、これが正の値であるとき、第一エイペックスとベルトとの重なり部分の長を表す。 「A1重なり」が負の値であるとき、その絶対値が第一エイペックスとベルトとの間隔の長さSPを示す。 「A2重なり」は、同様に第二エイペックスとベルトの重なり部分の長さ又は間隔の長さを示す。 実施例1のタイヤでは、第一エイペックスとベルトとの間隔は50mmとされ、第二エイペックスとベルトとの重なりは15mmとされた。 厚みT1は6.5mmとされ、厚みT2は1.0mmとされた。

    [比較例1]
    コードの材料をナイロン繊維のみとし、A2重なりを−50mmとした他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。

    [比較例2]
    コードの材料をアラミドのみとし、A2重なりを−50mmとした他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。

    [実施例2−5]
    第二コードのモジュラスを変更し、比(MA/MB)を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−5のタイヤを得た。

    [実施例6−11]
    比(BaWA/BW)及び比(BaWB/BW)を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−11のタイヤを得た。

    [実施例12−16]
    A2重なりを下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例12−16のタイヤを得た。

    [実施例17−18]
    A1重なりを下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例17−18のタイヤを得た。

    [実施例19−22]
    厚みT1を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例19−22のタイヤを得た。

    [実施例23−26]
    厚みT2を下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例23−26のタイヤを得た。

    [剛性感及びグリップ力]
    試作タイヤを排気量が3600ccであるリア駆動の自動車の後輪に装着し、その内圧が200kPaとなるように空気を充填した。 前輪には、市販のタイヤ(サイズ:245/40R18)を装着し、その内圧が200kPaなるように空気を充填した。 この自動車は、ネガティブキャンバー(キャンバー角CA=2.5°)に設定されている。 この自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて、ドライバーによる官能評価を行った。 評価項目は、剛性感及びグリップ力である。 この結果が、比較例1の結果を100とした指数として下記表1から表5に示されている。 値が大きいほど好ましい。

    [耐久性]
    タイヤを12Jのリムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。 このタイヤをネガティブキャンバー角(キャンバー角CA=3.0°)を有したドラム式走行試験機に装着し、5.88kNの縦荷重をタイヤに負荷した。 このタイヤを250km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。 タイヤのバンドに損傷が生ずるまでの走行距離を測定した。 この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から5に示されている。 数値が大きいほど好ましい。

    表1及び2に示されるとおり、本発明に係るバンドは、剛性感及びグリップ力に優れ、かつ高い耐久性を有したタイヤの実現に効果を発揮している。 また、表3−5に本発明に係るビードと組み合わせることにより、さらにタイヤの剛性感及びグリップ力が向上されている。 この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。

    本発明に係るタイヤは、ネガティブキャンバー種々の車両に装着されうる。

    2・・・タイヤ 4・・・トレッド 6・・・サイドウォール 8・・・第一ビード 10・・・第二ビード 12・・・カーカス 12a・・・第一プライ 12b・・・第二プライ 14・・・フィラー 16・・・ベルト 16a・・・内側層 16b・・・外側層 18・・・インナーライナー 20・・・チェーファー 22・・・バンド 24・・・エッジバンド 26・・・トレッド面 32・・・第一コア 34・・・第一エイペックス 36・・・第二コア 38・・・第二エイペックス 40、44・・・主部 42、46・・・折り返し部 52、56、58、62・・・外側端 54、60・・・内側端

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