【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はタイヤ空気圧低下警報装置に関する。 さらに詳しくは、規定の正常値に合わせておいたタイヤの空気圧が自然に低下し、危険値に達している可能性があることを運転中のドライバーに警告するタイヤ空気圧低下警報装置に関する。 【0002】 【従来の技術】空気入りのタイヤの空気圧は、一般に、 パンクやバルブ損傷などの突発的な要因により低下することがある。 しかし、空気圧の低下は突発的な要因以外にもインナーライナーからの空気漏れなど、自然的な要因によっても起こるものであり、気が付かないうちに危険な値にまで低下していることがある。 このような状態で走行を続けているとタイヤの変形が大きくなって発熱し、最悪のばあい、バーストして大事故になりかねない。 そのため、従来よりタイヤ空気圧異常を警告する装置が数多く提案されている。 【0003】たとえば、特開平4−271907号公報ではタイヤの回転数の相対的な差から内圧低下を検出する方法が開示されており、実開昭54−115958号公報ではタイヤの空気圧を直接検出する方法が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平4−271907号公報に開示されているような、タイヤの回転数の相対的な差から内圧低下を検出する方法では、すべてのタイヤの空気圧が同様に低下しているばあいには検出が不可能であるという問題がある。 【0005】実際、自然低下により空気圧が危険値に達するばあい、図2に示されるように、4輪ともほぼ一様な勾配で空気圧が低下するので、前述の方法では検出することができない。 【0006】表1は自然的な要因によるタイヤの空気圧低下の程度を示すものであり、放置日数と空気圧(kg f/cm 2 )との関係を示している。 【0007】 【表1】 【0008】この表1をグラフにしたものが図2である。 図2に示されるように空気入りタイヤは放置しておくだけで6カ月間で0.5気圧以上自然に内圧が低下することが予想される。 そのため、パンクなどをしなくても4輪とも同様に空気圧が危険値まで低下してしまう可能性が充分にある。 このようなときに、タイヤの回転数の相対的な差から内圧低下を検出する方法では異常が検出できない。 【0009】また、実開昭54−115958号公報に開示されるタイヤの空気圧を直接検出する方法では、タイヤの本数分のセンサーが必要となりコストがかかるうえ、タイヤという転動体に接続するためのスリップリングなどを介在させなければならないため、測定値の信頼性にかけるという問題がある。 【0010】本発明は前記のような従来の問題を解決するためになされたもので、タイヤ空気圧の自然低下の可能性を警告することができる安価なタイヤ空気圧低下警報装置を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明のタイヤ空気圧低下警報装置は、空気入りタイヤを装着した車輌に設けられるものであって、予め想定された、タイヤの空気圧を規定の正常値に合わせてから、当該内圧が自然に低下して危険値に達しうる時間を測定するためのタイマーと、 該タイマーに連結され前記時間経過後に警報を発するよう構成される警報部と、前記タイマーを0時にリセットするリセットスイッチとを備えてなることを特徴としている。 【0012】そして、前記タイマーに、バックアップ電池および充電回路が連結されており、バッテリーバックアップにより電源が切れること無く時間を測定しうるよう構成されてなることが好ましく、前記タイマーが測定する時間を6カ月とすることが好ましい。 【0013】 【作用】本発明のタイヤ空気圧低下警報装置では、タイヤの空気圧を規定の正常値に合わせてから、当該内圧が自然に低下して危険値に達しうる時間を、予め想定しておき、タイマーでその時間を測定して警報部によってドライバーに知らせる。 リセットスイッチは、前記タイマーを0時にリセットする。 【0014】前記タイマーに、バックアップ電池および充電回路が連結されているばあいには、バッテリーバックアップにより電源が切れること無いため、エンジンがかかっていなくても継続的に時間を測定することができる。 【0015】図3に示されるように、一般的な規定内圧である2.0気圧近辺の1.9気圧は、通常6カ月程度で1.4気圧へ下がるため、前記タイマーが測定する時間を6カ月とすると、この減圧に伴うコーナリング性能の減少による、コーナリング中のスリップの危険性をドライバーに知らしめることができる。 【0016】 【実施例】次に本発明のタイヤ空気圧低下警報装置を図1に基づいて説明する。 本発明のタイヤ空気圧低下警報装置は、タイマー1、警報部2、リセットスイッチ3、 バックアップ電池4、および充電回路5から構成される。 【0017】タイマー1は、発振器と複数のカウンタI Cを組み合わせた低消費電力のデジタル回路などを用いることができ、表1および図2に基づいて想定される、 タイヤの空気圧が、規定の正常値から自然に低下し、危険値に達しうる時間を測定するものである。 この時間は6か月とすることが好ましい。 一般的にタイヤは6カ月間で0.5気圧以上の空気圧が自然に低下することが予想されるので、適正空気圧が2.00気圧のタイヤで0.5気圧だけ空気圧が低下すると内圧は1.5気圧となり、タイヤの側壁が弾性疲労を起こして破損しやすくなるなどの問題を生じてくる。 そこで、ドライバーに適切な処置を促す必要が生じてくる。 なお、この6か月という期間は好ましい期間の例示であって、本発明の装置はかかる期間の経過により警報を発するものに限定されるものではない。 【0018】警報部2は前述の注意をドライバーに喚起するためのものであり、タイマー1に連結されており、 タイマー1が6カ月を測定するとスイッチが入り警報を発する。 警報としては、ブザー音、電子音、または音声など聴覚に訴えるもの以外に、ワーニングランプ、マルチディスプレイなどの視覚に訴えるものなどを用いることができる。 マルチディスプレイとは、ワーニングランプのようなON/OFFによる1つの情報のみを表示するものではなく、多数の情報を文字や絵などを用いて1 ケ所に表示することのできるディスプレイのことをいう。 【0019】リセットスイッチ3はタイマー1をリセットするためのものであり、タイヤを交換したり空気を補給して内圧を正常値に調整したすぐあとに、タイマー1 を0時にリセットする。 【0020】警報部2およびリセットスイッチ3は、自動車の運転席前方などに設けられる表示部6内に配設されることが好ましく、前述の調整を終了したのちにドライバーは表示部6に設けられたリセットスイッチ3を操作する。 【0021】次に前述のように構成されたタイヤ空気圧低下警報装置の機能を説明する。 まず全輪のタイヤ空気圧は規定の正常な内圧に調整される。 そののち、リセットスイッチ3が押されるとタイマー1がリセットされ、 このときを0時としてタイマー1は時間をカウントする。 表1および図2より、空気圧を調整してから6カ月経過するとタイヤの内圧が危険値に達することが予想され、予めタイマー1は6カ月を測定するように設定されている。 そして、6カ月経過すると警報部2は警報を発する。 【0022】ただし、イグニッションOFFのときやバッテリー接続OFFのときにもタイマー1はクリアされずにカウントし続ける必要があるのでタイマー1に常時電源を与えておく必要がある。 そのために前記バックアップ電池4と、この電池の充電回路5を装備する必要がある。 そして、警報部2はタイマー1からの警報命令に従い、イグニッションON時に警報を発する。 【0023】 【発明の効果】本発明のタイヤ空気圧低下警報装置は、 放置していくと必然的に生じるタイヤ空気圧の自然低下を警告することができるとともに、非常に低コストである。 【図面の簡単な説明】 【図1】空気圧の自然低下の程度を示す図である。 【図2】本発明のタイヤ空気圧低下警報装置の回路図である。 【図3】速度とフロント横加速度の関係を空気圧の違いによって示した図である。 【符号の説明】 1 タイマー 2 警報部 3 リセットスイッチ 4 バックアップ電池 5 充電回路 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成7年9月22日 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】図1 【補正方法】変更 【補正内容】 【図1】本発明のタイヤ空気圧低下警報装置の回路図である。 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】図2 【補正方法】変更 【補正内容】 【図2】空気圧の自然低下の程度を示す図である。 【手続補正3】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図2 【補正方法】変更 【補正内容】 【図2】 |