空気入りタイヤおよびその製造方法

申请号 JP2013196852 申请日 2013-09-24 公开(公告)号 JP2015063170A 公开(公告)日 2015-04-09
申请人 横浜ゴム株式会社; 发明人 丹野 篤; 坂本 隼人;
摘要 【課題】空気入りタイヤの内面に物体を取り付けるための機械的留め具部材を設けた空気入りタイヤにおいて、その機械的留め具材を非常に高い接合強度でタイヤ内周面に接合させた空気入りタイヤと該空気入りタイヤの製造方法を提供すること。 【解決手段】タイヤ内面に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定されている機械的留め具部材を有し、該機械的留め具部材の固定強度が0.1〜100(N/mm 2 )である空気入りタイヤであり、また、加硫成形される前のグリーンタイヤの内面に、タイヤ内腔側に突出させて前記機械的留め具部材を配置し、該機械的留め具部材の突出部分の突出先端部付近と、該機械的留め具部材の周辺のグリーンタイヤ内表面との間に形成される空間に、該空間を埋めるカラー部材を装填して加硫成形工程に供し、しかる後、カラーを除去する空気入りタイヤの製造方法。 【選択図】図1
权利要求

タイヤ内面に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定されている機械的留め具部材を有し、該機械的留め具部材の固定強度が0.1〜100(N/mm2)であることを特徴とする空気入りタイヤ。前記機械的留め具部材は、その底部がタイヤ内面中に埋設されていて、タイヤ内表面からの突出高さが3mm以上、かつ最大部直径が8mm以上のものであることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。前記機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成していることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。前記機械的留め具部材が2つ以上の構成部品からなり、該2つ以上の構成部品がタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材を挟んで相互に固定されて該機械的留め具部材をなし、該機械的留め具部材は加硫接着によりタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。前記機械的留め具部材が2つ以上の構成部品からなり、該2つ以上の構成部品がタイヤに固定されたタイヤ補強材を挟んで相互に固定されて該機械的留め具部材をなし、かつ、該機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成しており、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、該凹みの全部が前記タイヤ補強材の外縁線の内側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。請求項1〜請求項5のいずれかに記載の空気入りタイヤの前記機械的留め具部材の周囲に、該機械的留め具部材の突出先端部と、該機械的留め具部材の周辺のタイヤ内表面との間に形成される空間に着脱自在なカラー部材が装填されてなることを特徴とする空気入りタイヤ。前記カラー部材は、前記空気入りタイヤの加硫成形工程前に装填され、そのカラー部材が装填された状態で前記空気入りタイヤが加硫成形されてなるものであることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。前記カラー部材は、前記空気入りタイヤの加硫成形工程前に、別のカラー部材が前記空間に装填されその状態で前記空気入りタイヤの加硫成形がされて後、該別のカラー部材を除去し、該別のカラー部材が除去されてできた空間に対し再装填されたカラー部材であることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。タイヤ内面にある前記一方の機械的留め具に係合するもう一方の機械的留め具を有する物体を、それら2つの留め具を係合させることによりタイヤ内面に固定してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。前記機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成しており、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、前記物体の外縁線が、全ての位置において前記凹みの外縁線の内側に位置していることを特徴とする請求項9に記載の空気入りタイヤ。前記もう一方の留め具を有する物体が、(a)センサーを含む電子回路、(b)バランスウェイト、(c)ランフラット中子、(d)脱酸素剤、乾燥剤および/または紫外線検知発色剤を塗布または搭載した物体、(e)吸音材のいずれか一つかまたはそれらの複数を組合せた物体であることを特徴とする請求項9または10に記載の空気入りタイヤ。タイヤ外径が0.8m以上の建設車両用であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。タイヤ内面に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定された機械的留め具部材を有する空気入りタイヤを製造する方法であって、加硫成形される前のグリーンタイヤの内面に、タイヤ内腔側に突出させて前記機械的留め具部材を配置し、該機械的留め具部材の突出部分の突出先端部付近と、該機械的留め具部材の周辺のグリーンタイヤ内表面との間に形成される空間に、該空間を埋めるカラー部材を装填して加硫成形工程に供し、該加硫成形後から該空気入りタイヤの使用開始前までの間で該カラー部材を除去することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。

说明书全文

本発明は、空気入りタイヤとその製造方法に関する。

更に詳しくは、空気入りタイヤの内面に物体を取り付けるための機械的留め具部材を設けた空気入りタイヤにおいて、特に、その機械的留め具材を、非常に高い接合強度でタイヤ内周面に接合させた空気入りタイヤと該空気入りタイヤの製造方法に関する。

近年、空気入りタイヤの内周面などに、さまざまな機能を有する物体を配設することが種々検討されてきている。

たとえば、生タイヤのインナーライナー等に、フック・アンド・ループ留め具あるいはフック・アンド・フック留め具等の、所謂、面ファスナーを用いてタイヤタグ(高周波識別タグ)あるいはチップ等を取付けるという取付け方法が提案されている(特許文献1)。

また、タイヤ内表面のトレッド部に対応する領域に面ファスナーを加硫接着し、そのタイヤ内表面に該面ファスナーを介して吸音材を取付けたという空気入りタイヤが提案されている(特許文献2)。

これら特許文献1、同2に提案されている面ファスナーは、取付け時において比較的強い係合を実現し、また、取付け作業の際にも多少の位置的なズレなどを問題にせず面状での係合を実現できる点で好ましいものであった。

しかし、面ファスナーの場合、空気入りタイヤの内周面が湾曲した環状の曲面であること等により、面ファスナーの個々の係合素子の係合状態が理想的なものとならずに、端部や中央部などでその一部が浮いてしまい、得られる係合力の大きさにばらつき(該タイヤ内での位置的なばらつき、タイヤ間でのばらつき)を生じることがあり、期待どおりの係合力が得られないことがあった。また、比較的、温度が高めの状況のもとで高速での転動による変形と圧縮が長時間繰り返されることにより、部分的な物理的劣化の発生とそれが進行していくことによる面ファスナー全体の係合力の経時的な劣化・低下が生じて、所望おりの係合力を長期間にわたって維持することが難しい場合があった。

さらに、面ファスナーは、取付けにあたり、多少の位置的なズレなどを問題にせず面状での係合を実現できる点で好ましいとも言えるが、一方で、取り付けられる機能性物体が測定機器の場合などでは取り付け位置はより正確で精度が良いことが要請され、その点では面ファスナーで取り付けることに向かない機能性物体もあった。

一方、本発明者らは、先に、得られる係合力が大きくかつその大きさにばらつき(タイヤ内での位置的なばらつき、タイヤ間でのばらつき)が生じることがほとんどなく、さらに比較的高温下かつ高速でのタイヤ転動に伴う変形と圧縮が長時間繰り返される過酷な使用条件によっても、その係合力に経時的な劣化や低下が生ずることが少なく、長期にわたって所望の係合力を維持できる空気入りタイヤとして、いわゆるホックあるいはスナップと呼ばれる機械的留め具をタイヤ内面に接合して、該機械的留め具を介して所望する機能を有する各種の物体を取り付けることを提案した(特許文献3、同4、同5など)。

具体的には、代表的には特許文献3の特許請求の範囲に記載されるように、タイヤ内面に、ホックあるいはスナップなどの2つに分離できる一対の機械的留め具のうちの一方の留め具を有する空気入りタイヤを提案したものであり(特許文献3の特許請求の範囲(請求項1))、更に具体的には、該一方の留め具が、少なくとも2つの構成部品からなるものであり、それら2つの構成部品がタイヤ部材またはタイヤ補強材を挟んで固定されて該一方の留め具を構成している空気入りタイヤを提案したものである(特許文献3の特許請求の範囲(請求項2))。

特表2005−517581号公報

特開2006−44503号公報

特開2012−25318号公報

特開2012−25319号公報

特開2012−240465号公報

特許文献3〜同5に記載されたホックあるいはスナップと呼ばれる機械的留め具をタイヤ内面に接合して所望する物体を取り付ける方式によれば、機械的留め具を介してタイヤ内面に物体を係合させて取付けることができ、一般に、得られる係合力が大きく、かつその係合力の大きさにばらつき(該タイヤ内での位置的なばらつき、タイヤ間でのばらつき)が生じることがなく、さらに、所定の位置に精度良く取り付けることができ、かつ長時間繰り返される過酷な使用条件によってその係合力に経時的な劣化や低下が生ずることがほとんど少なく、長期にわたり所望の係合力を維持できるという優れた空気入りタイヤが実現された。

特に、タイヤ内面に取り付けられる一方の機械的留め具が、少なくとも2つの部品からなるものであり、それら2つの部品がタイヤ部材またはタイヤ補強材を挟んで固定されて該一方の留め具を構成しているものを用いれば、その固定がさらに強固であり耐久性も良く、さらに優れたものであった。

しかし、該方式によるものでも、取り付けられる物体が大きい物体である場合には該機械的留め具を、ある程度タイヤ内面から突出した状態を呈して取り付ける必要があり、かつ、それが重量の大きい物体の場合には、タイヤ内面と該機械的留め具の間の接合力が十分とは言えない場合があった。

特に、比較的大きなサイズで重い特定の機能性物体を取り付ける場合には、タイヤ内面、中でも曲率を有する内周面に取り付ける場合には、該物体と内周面が互いに干渉しないようにとのことから、機械的留め具の突出高さを高くすることが要請され、また、一つの(一対の)機械的留め具で留めなければならない場合も多く、加わる力を分散することができず、より大きなタイヤ内面への固定強度を実現することが望まれるものであった。すなわち、タイヤ成形後に機械的留め具を増設することはほとんどできないのであり、また、本来、一つの留め具で留めるからこそ、各種の機能性物体の取り付けに対応できるのであって、複数の留め具で留めようとするのであれば、取り付けられる各種の機能性物体の側にも対応した数と位置で、「対」の機械的留め具が設けられている必要があり、汎用性が劣り好ましくない。

ちなみに、特許文献3に記載の機械的留め具では、タイヤ内表面から最も突出している部分の高さが0mm〜3mmであることが好ましいとされ(特許文献3の段落0029)、それよりも高い突出高さを呈している留め具は推奨されていない。

これは、突出高さが大きな機械的留め具は、取り付けられる各種機能性物体の寸法や重量などに関わらず、それ自体の接合強度、耐久性でも不十分な場合が発生してくるからと考えられるものであった。特に、本発明者らの知見によれば、突出高さが大きな機械的留め具部材を設けようとする場合、ブラダーの作用・機能をその機械的留め具部材の周辺でうまく発揮されないことが要因であると考えられた。

具体的には、突出高さが高いと、以下に記載の2つの要因が生じてくると考えられた。 (イ)加硫中に加硫ブラダーにかかる内圧はタイヤに伝達されるが、突出高さが高いと、留め具と加硫ブラダーに隙間が生じ(図3の空間X)、その部分はタイヤに圧力が十分にかからず、ゴムの加硫が不十分となり、その結果、留め具がタイヤ内に埋没する部分のゴムまたはゴム引き補強剤の強度が低下し、留め具の耐久性が低下する。 (ロ)タイヤの加硫開始時に加硫ブラダーがタイヤ内で展開(膨張)するが、その際にブラダー表面とタイヤ表面が面内方向に相対移動し擦れるため、突出高さが高いと、留め具が特定の方向に横力を受け、傾いて固定されてしまう。その結果、留め具の耐久性が低下する。 特に、突出高さが大きくなる、大きい物体の取り付けを想定した場合、これら2点のことが解決すべき課題である。

本発明の目的は、上述したような点に鑑み、空気入りタイヤの内面に物体を取り付けるための機械的留め具部材を設けた空気入りタイヤにおいて、その機械的留め具材を非常に高い接合強度でタイヤ内周面に接合させた空気入りタイヤと該空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。

上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、下記(1)の構成を有する。 (1)タイヤ内面に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定されている機械的留め具部材を有し、該機械的留め具部材の固定強度が0.1〜100(N/mm2)であることを特徴とする空気入りタイヤ。

また、かかる本発明の空気入りタイヤにおいて、以下の(2)〜(11)のいずれかの構成を有することが好ましい。 (2)前記機械的留め具部材は、その底部がタイヤ内面中に埋設されていて、タイヤ内表面からの突出高さが3mm以上、かつ最大部直径が8mm以上のものであることを特徴とする上記(1)記載の空気入りタイヤ。 (3)前記機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成していることを特徴とする上記(1)または(2)記載の空気入りタイヤ。 (4)前記機械的留め具部材が2つ以上の構成部品からなり、該2つ以上の構成部品がタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材を挟んで相互に固定されて該機械的留め具部材をなし、該機械的留め具部材は加硫接着によりタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材に固定されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。 (5)前記機械的留め具部材が2つ以上の構成部品からなり、該2つ以上の構成部品がタイヤに固定されたタイヤ補強材を挟んで相互に固定されて該機械的留め具部材をなし、かつ、該機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成しており、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、該凹みの全部が前記タイヤ補強材の外縁線の内側に位置していることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。

(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の空気入りタイヤの前記機械的留め具部材の周囲に、該機械的留め具部材の突出先端部と、該機械的留め具部材の周辺のタイヤ内表面との間に形成される空間に着脱自在なカラー部材が装填されてなることを特徴とする空気入りタイヤ。 (7)前記カラー部材は、前記空気入りタイヤの加硫成形工程前に装填され、そのカラー部材が装填された状態で前記空気入りタイヤが加硫成形されてなるものであることを特徴とする上記(6)に記載の空気入りタイヤ。 (8)前記カラー部材は、前記空気入りタイヤの加硫成形工程前に、別のカラー部材が前記空間に装填されその状態で前記空気入りタイヤの加硫成形がされて後、該別のカラー部材を除去し、該別のカラー部材が除去されてできた空間に対し再装填されたカラー部材であることを特徴とする上記(6)に記載の空気入りタイヤ。

(9)タイヤ内面にある前記一方の機械的留め具に係合するもう一方の機械的留め具を有する物体を、それら2つの留め具を係合させることによりタイヤ内面に固定してなることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。 (10)前記機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面が凹みを形成しており、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、前記物体の外縁線が、全ての位置において前記凹みの外縁線の内側に位置していることを特徴とする上記(9)に記載の空気入りタイヤ。 (11)前記もう一方の留め具を有する物体が、(a)センサーを含む電子回路、(b)バランスウェイト、(c)ランフラット中子、(d)脱酸素剤、乾燥剤および/または紫外線検知発色剤を塗布または搭載した物体、(e)吸音材のいずれか一つかまたはそれらの複数を組合せた物体であることを特徴とする上記(9)または(10)に記載の空気入りタイヤ。 (12)タイヤ外径が0.8m以上の建設車両用であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。

上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤの製造方法は、下記(13)の構成を有するものである。 (13)タイヤ内面に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定された機械的留め具部材を有する空気入りタイヤを製造する方法であって、加硫成形される前のグリーンタイヤの内面に、タイヤ内腔側に突出させて前記機械的留め具部材を配置し、該機械的留め具部材の突出部分の突出先端部付近と、該機械的留め具部材の周辺のグリーンタイヤ内表面との間に形成される空間に、該空間を埋めるカラー部材を装填して加硫成形工程に供し、該加硫成形後から該空気入りタイヤの使用開始前までの間で該カラー部材を除去することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。

請求項1にかかる本発明によれば、空気入りタイヤの内面に物体を取り付けるための機械的留め具部材を設けた空気入りタイヤにおいて、特に、その機械的留め具材を非常に高い接合強度でタイヤ内周面に接合させ得た空気入りタイヤが提供され、そのことにより該取り付けた物体が落下するなどのことが少なく、該物体が有する機能を安定して長期間にわたり発揮させることができる。

請求項2にかかる本発明によれば、留め具部材の突出高さが高めのものであるにも関わらず、上述した請求項1にかかる本発明により得られる本発明の効果を、より明確なものとして発揮できるより優れた本発明の空気入りタイヤを実現することができる。 請求項3にかかる本発明によれば、比較的大きな寸法のものでもタイヤ内面に取り付けることができるので、請求項1にかかる本発明の効果を、より高く実際に享受できる本発明の空気入りタイヤを実現することができる。 請求項4にかかる本発明によれば、請求項1にかかる本発明の効果をさらにより高く発揮できる本発明の空気入りタイヤを実現することができる。 請求項5にかかる本発明によれば、請求項1にかかる本発明の効果をさらにより高く発揮できる本発明の空気入りタイヤを実現することができる。

また、請求項6〜8のいずれかにかかる本発明によれば、請求項1にかかる本発明の効果を有するとともに、着脱可能なカラーにより突出した機械的留め具が物理的に保護されるので、該タイヤ保管中の損傷、破損などが防止され、また、該空気入りタイヤの加硫成形工程に供される以前に該カラーが装填されている場合には、該カラーの存在によりブラダーの圧力と温度を機械的留め具の装着根本周辺付近に効果的に作用させることができるので、該装着根本付近での加硫成形をより効果的に行うことができ、その点でも、機械的留め具の高い固定強度を得ることができる(請求項7、同8)。請求項8にかかる本発明によれば、上述した効果の他に、タイヤの加硫成形後、機械的留め具の物理的保護に着目した、より好適な素材からなるカラー部材に交換して再装填することにより、該タイヤ保管中の損傷、破損等をより効果的に防止されている本発明の空気入りタイヤを実現することができる。

請求項9にかかる本発明によれば、タイヤ内面に、所望の物体を大きな固定強度と優れたその耐久性を実現して所定位置に取付けた空気入りタイヤが提供されるものであり、さらに、請求項10にかかる本発明によれば、その効果を所望の物体の寸法の大小に関わらず得ることができる。特にタイヤ内面に取り付けたい所望の機能を有する物体の重量や容積がある程度大きな場合には、その効果が顕著である。 請求項11にかかる本発明によれば、所望する機能を有する各種の物体を、タイヤ内面に大きな固定強度と優れたその耐久性を実現して、所定位置に取付けた空気入りタイヤを実現することができる。 請求項12にかかる本発明によれば、所望する機能を有する各種の物体を、タイヤ内面の所定位置に着脱自在に大きな固定強度と優れたその耐久性を実現して取付けた建設車両用空気入りタイヤを実現することができ、特に、建設車両用空気入りタイヤは、該タイヤ自体の寸法や重量も大きく車両も重量が大きいため、タイヤ内腔での空気圧等を常にモニタリング測定することが重要であり、本発明の効果を十分に得ることができるものである。

請求項13にかかる本発明によれば、その内面に物体を取り付けるための機械的留め具部材を設けた空気入りタイヤを、特にその機械的留め具材を非常に高い接合強度でタイヤ内周面に接合させた空気入りタイヤの製造方法が提供され、そのことにより該取り付けた物体が落下するなどのことが少なく、該物体が有する機能を安定して長期間にわたり発揮させることができる優れた空気入りタイヤを製造する方法が提供される。

本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示した一部断面斜視図である。

本発明の空気入りタイヤを製造する方法の一例を説明するモデル図であり、タイヤの加硫成形時に、タイヤ内面に固定せんとする機械的留め具部材の周囲において、該機械的留め具部材の突出先端部と、該機械的留め具部材の周辺のタイヤ内表面との間に形成される空間にカラー部材を充填させた状態でブラダーを使用して加硫成形している状態を示した断面図である。

図2に示した本発明の空気入りタイヤを製造する方法の一例と対比するため示したものであり、従来の機械的留め具部材を有した空気入りタイヤの製造方法における該機械的留め具部材の周辺の状態をブラダーとの関係で示した断面図である。

(a)、(b)は、本発明の空気入りタイヤに使用される2つに分離できる機械的留め具のうちの一方の留め具の代表的な形状を説明するためのものであり、さらに、それが2つの部品から構成されていることを説明する外観斜視モデル図である。

本発明の空気入りタイヤの一実施形態を説明するものであり、タイヤ内面に設けられた機械的留め具部材周辺を示した要部拡大図である。

(a)、(b)は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態を説明するための要部拡大図であり、それぞれ、図4(a)、(b)のそれぞれで示した2つの構成部品をタイヤ部材またはタイヤ補強材を挟んで固定して一方の留め具部材を構成する状態を説明する要部拡大図である。

本発明の空気入りタイヤの一実施形態を説明するものであり、タイヤ内面に設けられた機械的留め具部材周辺を示した要部拡大図である。

(a)〜(d)は、いずれも本発明の空気入りタイヤを製造する方法に使用することができるカラー部材の各種態様例を示した縦断面図を示しているものである。

(a)、(b)は、いずれも本発明の空気入りタイヤを製造する方法に使用することができるカラー部材の各種態様例を示したものであり、(a)、(b)のそれぞれにおいて、図面上、上方に平面図を示し、下方に縦断面図を示している。

(a)、(b)は、いずれも本発明の空気入りタイヤの一実施形態を説明するものであり、タイヤ内面に設けられた機械的留め具部材周辺を示した要部拡大側面図であり、特に該周辺に凹み部を形成させる態様を説明したものである。

カラー部材の好ましい形状について、モデル的に説明した断面図である。

(a)、(b)は、いずれも本発明で採用する機械的留め具部材の固定強度の測定方法を説明する斜視図である。

(a)、(b)は、いずれも本発明で採用する機械的留め具部材の固定強度の測定方法を説明する概略図であり、機械的留め具に引張試験用軸状治具を係合させる方法を示したものである。

本発明で採用する機械的留め具部材の固定強度の測定方法を説明する概略図であり、機械的留め具に係合される引張試験用軸状治具の構造例をモデル的に示したものである。

実施例で採用した機械的留め具部材の固定位置をモデル的に示したものであり、タイヤ子午線方向断面概略図である。

以下、更に詳しく本発明の空気入りタイヤとその製造方法について、説明する。

図1に示したように、本発明の空気入りタイヤ1は、タイヤ内面2に、2つの部材に分離できる機械的留め具のうちの一方の部材であってかつタイヤ内腔側に突出して固定されている機械的留め具部材3を有し、該機械的留め具部材3の固定強度が0.1〜100(N/mm2)であることを特徴とする。図1において、4はトレッド部、5はサイドウォール部、6はビード部である。

本発明において、機械的留め具とは、2つの留め具部材に分離することができ、かつそれらを再度、物理的に係合させることができ、この係合と分離を繰返して自在に行える一対の留め具部材で構成されるものをいい、前述した特許文献3〜同5で記載しているものと基本的に同様なものである。

その代表的なものとして、ホックあるいはスナップと呼ばれる機械的留め具があり、衣料業界等で一般に、より具体的には、スナップボタン、リングスナップ、リングホック、アメリカンスナップ、アメリカンホック、アイレットホック、バネホックおよびジャンパーホックと呼ばれるもの等を総称し、係合箇所の面積が全面積で無限である所謂「面ファスナー」とは相違して、係合箇所が小面積(例えば、好ましくは1〜115mm2 程度など。さらに好ましくは、4〜90mm2 程度)の、いわば点状の留め具をいう。すなわち、例えば、1〜115mm2 程度等の小面積での係合であっても、機械的な雌雄構造等によって強い係合がなされるものをいい、それ自体は公知の構造のものであってよい。その材料は、金属を使用できる他、合成樹脂、硬質のゴムなどを使用して形成することができる。 このような機械的留め具を使用することの利点は、従来技術の説明で述べたことと基本的に同じである。

本発明において、機械的留め具部材3の取付け位置は、図1に示したようなタイヤ内面でのタイヤ赤道付近などのほか、特に限定されるものではない。トレッド部4では、タイヤ回転による遠心力を強く受けることになるので、また、タイヤ転動に伴うタイヤ内面の形状変化を繰り返し受けることになるので、そうした影響の少ないビード部6付近あるいはサイドウォール部5付近のタイヤ内面に設けることでもよい。機械的留め具部材3の固定強度が0.1〜100(N/mm2)であれば、本発明者らの知見によれば、ほぼ大半のタイヤ内腔内に取り付けたい物体の取り付け固定に十分に対応できる。0.1未満では、重量の大きい物体を取り付けるのに対応できず、100を超える固定強度のものを実現しようとすれば、固定部分のタイヤ構造のみ部分的に剛性を高くする場合には、タイヤの周方向の剛性が不均一になるためユニフォーミティが悪化するか、又はタイヤ全周にわたり剛性を高くする場合には、製造コストが不必要に上昇するため好ましくない。上述した本発明の効果を、より確実に得る上で、好ましい固定強度の範囲は0.2〜50(N/mm2)である。

本発明の空気入りタイヤの最大の特徴である、上述した機械的留め具部材3の固定強度として0.1〜100(N/mm2)であるものを得るためには、特に限定されるものではないが、また、詳細は後述するが、該空気入りタイヤの加硫成形を特別に構成した手法で行うことにより実現できる。以下に、その概略を説明する。

すなわち、機械的留め具部材3をグリーンタイヤの状態で設けておき、ブラダーにより空気入りタイヤを加硫成形する際に、従来の手法どおりに行うだけでは高い固定強度のものが得られないのは、該機械的留め具部材3の突出している部分の存在によりブラダーの作用(圧力、温度)がうまく及ばない部分(機械的留め具部材3の根本部周辺の部分)が生じ、その付近での加硫接合が十分にうまくなされないためと考えられるものである。その現象を図3で説明すると、機械的留め具部材3の根本周辺付近Yで、ブラダー8の作用を及びにくくする空間部分Xが生じ、その付近のタイヤ内面では加硫成形がうまくなされないことが高い固定強度が得られない要因と考えられ、特に、該機械的留め具部材3の突出している高さHが大きい場合には、そうした現象が顕著になると考えられる。また、当該箇所でブラダーが損傷してしまうこともあり得て、その点でも加硫成形に支障を来すことがある。

それに対して、本発明者らは、上述した空間X部分に、図2に示したようにカラー(collar)部材10を装填して加硫成形を行うことにより、機械的留め具部材3の根本周辺付近にもブラダーの圧力と熱を十分に伝えることができ、高い固定強度を呈した機械的留め具部材3の形成を実現できることを見いだしたのである。図2、図3で、7はタイヤ構造部材またはタイヤ補強材、8はブラダー、9はインナーライナー、10はカラー部材である。カラー部材10については、詳細は後述するが、ブラダーからの圧力と熱を加硫成形されるグリーンタイヤに十分に伝達できる材料で形成されていることが重要である。

本発明の効果は、機械的留め具部材3はその底部がタイヤ内面中に埋設されていて、タイヤ内表面からのその突出高さHが3mm以上、かつ最大部直径Dが8mm以上のものであれば、特に顕著なものとなる。突出高さHが3mm以上である場合に、カラー部材を使用する効果が顕著に発揮されるからであり、また、最大部直径Dが8mm未満であると、突出高さが高いことに起因して安定さを欠くことになり、その点で高い固定強度を得られ難くする方向であるので好ましくない。

本発明において、機械的留め具部材3は、図4〜図6にその代表的な形態例を示したように、2つ以上の構成部品3a、3bからなるものであることが好ましい。そして、該2つ以上の構成部品3a、3bがタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材7を挟んで相互に固定されて該機械的留め具部材3をなし、該機械的留め具部材3が、加硫接着によりタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材7に固定されていることが好ましい。構成部品3a、3bどうしの機械的な結合力がタイヤ部材またはタイヤに固定されたタイヤ補強材7への固定力の増大をもたらすからである。これら2つの構成部品3a、3bは一体的に固定されて、一対の機械的留め具部材3のうちの一方の留め具部材3を形成し、図5に示したように、タイヤ内面2上には主に部材3aが露出している。

ここで、タイヤ部材7とは、ゴム、樹脂などからなるタイヤの構成部材をいい、具体的にはインナーライナー、カーカスなどが該当する。あるいはまた、タイヤ内面に、留め具の両部材3aもしくは3bに挟まれて存在することを専用の目的にして使用されたゴム層、ゴム引き補強繊維層あるいは樹脂層、さらにそれらの複数を積層した補強用の層を、補強部材7として付加して設けてもよく、そうした構成にすると、一般にタイヤ内の空気遮断性能が向上し好ましい。

本発明において、機械的留め具部材3の周囲では、図7に示したようにタイヤ内面2は凹み部11を形成していることが好ましい。図7で12は該凹み部の外縁線を示している。この凹み部11の形成は、図10(a)に示したように、カラー部材10を使用して、当該箇所に周囲よりも高圧力を加えることにより行うことができる。凹み部の形成は、タイヤ内表面が曲率を有しているため、取付け物体が平面状の底面を有する物である場合には、該面どうしが干渉することがあり、これを避けるため機械的留め具部材3の周囲で凹み部11を形成することが有効なものである。凹みの程度は、図10(b)に示した凹み深さGで0.2mm以上3mm以下が好ましく、干渉を防止するためなので、曲率のない平坦な平面状を呈して凹んでいることが好ましい。

該凹み部分11は、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、該凹み部分11の全部がタイヤ補強材7(図6)の外縁線の内側に位置していることが高い固定強度を維持する上で好ましい。

本発明の空気入りタイヤの加硫成形工程で使用された上述したカラー部材は、加硫成形が完了した後は、該タイヤから除去されるものである。すなわち、タイヤの使用時には該タイヤの構成一部材にはならない。ただし、機械的留め具部材の突出先端部と、該機械的留め具部材の周辺のタイヤ内表面との間に形成される空間に、該機械的留め具部材の突出先端部や機械的留め具部材の全体を物理的に保護するために、着脱自在なカラー部材が装填されて該タイヤの流通・保管に供されてもよい。

その場合、該流通・保管時のカラー部材は、空気入りタイヤの加硫成形工程で使用されたままのものであってもよく、あるいは、特に流通・保管時の保護用途に最適である別のカラー部材であってもよい。

本発明の空気入りタイヤにおいて、好ましくは、タイヤ内面にある一方の機械的留め具部材3に係合するもう一方の機械的留め具部材を有する特定の機能を有する物体を、それら2つの留め具部材を係合させることによりタイヤ内面に固定してなるものであることが高機能の空気入りタイヤを実現する上で好ましい。

該物体は、その所望の特性に対応して決定されればよく、特に限定されるものではないが、例えば、(a)センサーを含む電子回路、(b)バランスウェイト、(c)ランフラット中子、(d)脱酸素剤、乾燥剤および/または紫外線検知発色剤を塗布または搭載した物体、(e)吸音材のいずれか一つかまたはそれらの複数を組合せた物体である場合などが好ましいものである。

該物体との関係では、前述した前記機械的留め具部材の周囲のタイヤ内表面の凹みは、タイヤ内面をその鉛直方向から平面視した場合に、該物体の外縁線が、全ての位置において該凹みの外縁線12(図10(b))の内側に位置していることが好ましい。取り付けた物体が留め具部材を中心にして回転運動をしたとしても、タイヤ内表面と干渉することを防止するためである。ここで言う該物体の外縁線とは、該物体が台座、ケース、筐体等に格納して取り付けられる場合には、その最も外側の縁線をいう。該物体の最も外側の縁線と凹みの外縁線との距離で、最短でも2mm以上はあることが好ましい。

本発明の空気入りタイヤは、タイヤ外径が0.8m以上の建設車両用であることが実際的であり好ましい。タイヤ内腔内の空気圧などをモニタリングチェックするために空気圧測定計を装着することが多いにも関わらず、それに用いられるホイールは空気圧測定計を取り付け難い形状を有しているためである。

本発明の空気入りタイヤを製造する方法は、前述したとおり、機械的留め具部材をセットして加硫成形をするに当たり、カラー部材を用いて行うことである。

具体的には、加硫成形される前のグリーンタイヤの内面に、タイヤ内腔側に突出させて機械的留め具部材3を配置し、該機械的留め具部材3の突出部分の突出先端部付近と、該機械的留め具部材の周辺のグリーンタイヤ内表面との間に形成される空間に、該空間を埋めるカラー部材10を装填して加硫成形工程に供し、さらに、該加硫成形後から該空気入りタイヤの使用開始前までの間で該カラー部材10を除去することを特徴とするものである。その各種態様のカラー部材10を装填した状態のモデル図を、図8(a)〜(d)に示した。図8(a)は、タイヤ構造部材またはタイヤ補強材7の上に機械的留め具部材3を置いてカラー部材を配した態様である。図8(b)は、タイヤ構造部材またはタイヤ補強材7を挟んで2部品からなる機械的留め具部材3を形成しインナーライナー9とも加硫接合させた態様、図8(c)は、図8(b)に示した態様で機械的留め具部材3の頂点部をカラー部材10で覆っている態様、図8(d)は、タイヤ内面側の機械的留め具部材3に係合するもう一方の機械的留め具部材13をカラー部材10と一体化させて使用している態様を示している。(c)と(d)のものは、機械的留め具部材3の係合凹部に異物が混入しないなどの利点がある。

カラー部材10は、機械的留め具部材3を中心(頂点)にしてなだらかな裾野を描くような低い円錐形であることが好ましい。図8(a)に示したカラー部材10の傾斜度θは3〜20度程度が好ましいが、特に限定はされない。なお、カラー部材10の傾斜角度θとは、図11に示したように先端部の形状処理を含まず、ある程度中心側に入った位置で求められる角度である。カラー部材10の材質は、ブラダーの圧力をタイヤ側に伝達する上で、金属製のもの、合成樹脂製のもの、または離型紙を積層して形成されたもの等が好ましい。除去の容易さなどの取り扱い性の点などから、本発明者らの知見によれば、フッ素樹脂(例えば「テフロン」(登録商標))製のものが好ましい。また、ブラダーの熱をタイヤ側に伝達する上で、熱伝導率は0.1〜300W/mKであることが好ましい。

機械的留め具部材3は、図2や図10に示されているように、その根本部がタイヤ内面に埋没されている形態のものが好ましい。加硫接合による固定強度をより大きくできるからであり、耐久性も格段と良くなるからである。機械的留め具部材3のタイヤ内表面からの突出高さHは、前述したように、3mm以上15mm以下が好ましく、かつ最大部直径Dは8mm以上のものが、本発明の効果を顕著に得ることができるので好ましい。

図9(a)、(b)は、いずれも本発明の空気入りタイヤを製造する方法に使用することができるカラー部材10の各種態様例を平面図も示して説明するものであり、(a)、(b)のそれぞれにおいて、図面上、上方に平面図、下方に縦断面図を示している。平面視で、(a)は円形状のカラー部材であり、(b)は四角部に丸みをつけた四角形状のカラー部材を示している。この他にも、正多角形状のものなどを使用することができる。

以下、実施例に基づいて、本発明の空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法について、説明する。

なお、本発明において、機械的留め具部材の固定強度は、以下に記載の測定方法によるものである。 (a)機械的留め具部材の固定強度の測定法 機械的留め具部材3を設置したグリーンタイヤを加硫し、本発明にかかるタイヤを製造した後、機械的留め具部材3の周辺でタイヤを切り出して試験サンプルSとする(図12(a))。試験サンプルの機械的留め具部材3に一対の穴14(図13(a))を開け、該一対の穴14に棒状の貫通冶具15を通し、該貫通治具15を介して、引張試験用軸状治具16を試験サンプルに取り付ける(図13(b))。引張試験用軸状治具16は、図14にモデル図を示した構造のものであり、円筒状の端部近くに一対の穴14を有している。 機械的留め具部材3を引張試験用軸状治具16を介して引き抜くに際しては、図12(b)に示したように、機械的留め具部材3の周囲のタイヤ内面2に固定板17を設置し、該固定板17に対して垂直方向に機械的留め具部材3を引き抜く際の破断力を求める。引き抜き速度は500±50mm/分で行う。

なお、固定板17には、機械的留め具3の突出部の径dの1.30〜1.35倍の径DEの穴をあけたものを使用する。上記した機械的留め具部材3を引き抜くに際して、固定板17は上昇しないようにしっかりと固定をする。その上で、引張試験用軸状治具16を上に引張り、機械的留め具3がタイヤ構造から外れた時点での引張力を破断力とする。 求められた該破断力の値は、機械的留め具部材3(3aまたは3b)の最大断面積で除した値(N/mm2 )として単位断面積当たりの値とし、3つの試験サンプルで同じ試験を行い、その平均値を固定強度(N/mm2 )とする。 なお、上記の測定方法は、測定法の具体的な一例と言うべきものであり、上述した通りの引張試験法をベースにした方法であれば、機械的留め具の形状如何等によってより適切と考えられるやり方に多少の変更をしてもよい。

実施例1−3、比較例1−2 機械的留め具部材として、図8aまたは図8bに示した形態のものを用いて、図15にモデル図を示した建設車両用の空気入りタイヤのトレッド部内周面の赤道部に1個の機械的留め具部材3を該タイヤの加硫成形工程で加硫接着させて設けた。 実施例1〜3のものは、いずれも図9(a)に示した態様のカラー(フッ素樹脂(「テフロン」(登録商標))製)を用いて行った。比較例1−2のものは、いずれもカラーを使用せずに、その他は実施例と同様に該タイヤの加硫成形工程で加硫接着させて設けた。 各試験タイヤにおける機械的留め具のタイヤ内表面からの突出高さH(mm)、最大部直径D(mm)は、表1に示したとおりである。

得られた各試験タイヤにおいて、機械的留め具部材の固定強度の測定を行った結果を表1に示した。

本発明者らの知見によれば、固定強度は、0.1N/mm2以上であればほぼ大半のタイヤ内腔内に取り付けたい物体の取り付け固定に十分に対応でき、さらに、0.2N/mm2以上であればほぼほとんどのタイヤ内腔内に取り付けたい物体の取り付け固定に十分に対応できるものである。 表1に示した結果からもわかるように、本発明に係る空気入りタイヤは、そうした固定強度を有する優れたものである。

1:空気入りタイヤ 2:タイヤ内面 3:機械的留め具部材 3a:機械的留め具部材の構成部品 3b:機械的留め具部材の構成部品 4:トレッド部 5:サイドウォール部 6:ビード部 7:タイヤ構造部材又はタイヤ補強材 8:ブラダー 9:インナーライナー 10:カラー部材 11:凹み部 12:凹み部の外縁線 13:タイヤ内面側の機械的留め具部材に係合するもう一方の機械的留め具部材 14:穴 15:棒状の貫通冶具 16:引張試験用軸状治具 17:固定板 D:機械的留め具部材の最大直径 G:凹み深さ S:試験サンプル X:ブラダーの作用を及びにくくする空間部分 Y:機械的留め具部材の根本周辺付近 θ:カラー部材の円錐状の傾斜角

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