自走式車両用球状タイヤ

申请号 JP2017032292 申请日 2017-02-23 公开(公告)号 JP2017165399A 公开(公告)日 2017-09-21
申请人 ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー; 发明人 セバスティアン ウィリ フォンテヌ; アルマン ルネ ガブリエル ルコント; フレデリク ニョ; クロード エルネ フェリス ボワ;
摘要 【課題】地表またはその他の表面を進行しながら車両を支持するためのアセンブリを提供する。 【解決手段】道路表面を走行し、前記道路表面および車両に対して回転する少なくとも2つの球状タイヤであって、乾燥時に第1の剛性を有し湿潤時に第2の剛性を有する材料を含む外側トレッド層を有し、前記第1の剛性が前記第2の剛性を超える、少なくとも2つの球状タイヤと;駆動システムのどの部分も前記タイヤまたは前記道路表面に物理的に 接触 しないように、駆動システム自体に対する前記タイヤの回転を磁気的に駆動させる駆動システムとを含む、車両用支持アセンブリ。 【選択図】図1
权利要求

道路表面を走行し、前記道路表面および車両に対して回転する少なくとも2つの球状タイヤであって、乾燥時に第1の剛性を有し湿潤時に第2の剛性を有する材料を含む外側トレッド層を有し、前記第1の剛性が前記第2の剛性を超える、少なくとも2つの球状タイヤと; 駆動システムのどの部分も前記タイヤまたは前記道路表面に物理的に接触しないように、駆動システム自体に対する前記タイヤの回転を磁気的に駆動させる駆動システムと を特徴とする、車両用支持アセンブリ。前記駆動システムが、前記車両を、前記タイヤから第1の所定の距離に、磁気的に浮上させることを特徴とする、請求項1に記載の支持アセンブリ。前記駆動システムが、それ自体を、前記タイヤの内面から第2の所定の距離に、磁気的に浮上させることを特徴とする、請求項2に記載の支持アセンブリ。前記タイヤが、外部環境から完全に隔離された内部空間を有する閉じた球体であることを特徴とする、請求項3に記載の支持アセンブリ。前記駆動システムが、第1の磁気的に受動的な部品と、第2の磁気的に能動的な部品とを含むことを特徴とする、請求項4に記載の支持アセンブリ。前記第1の部品が定磁場のみ発生させることを特徴とする、請求項5に記載の支持アセンブリ。前記第2の部品が定磁場と変動磁場とを発生させることを特徴とする、請求項6に記載の支持アセンブリ。前記駆動システムが、前記駆動システムに対して実質的に一定の向きに前記車両を維持することを特徴とする、請求項7に記載の支持アセンブリ。前記タイヤが複数の層を含むことを特徴とする、請求項8に記載の支持アセンブリ。前記複数の層の1つが、前記車両によって決定される荷重の一部を機械的に支持することを特徴とする、請求項9に記載の支持アセンブリ。前記複数の層の1つが、前記タイヤと前記道路表面との間にトラクションを発生させるためのトレッドを含むことを特徴とする、請求項10に記載の支持アセンブリ。前記複数の層の1つが、前記道路表面上を走行する前記タイヤによって引き起こされた振動を弱めるためのエラストマー層を含むことを特徴とする、請求項11に記載の支持アセンブリ。道路表面を走行し、前記道路表面および車両に対して回転する少なくとも1つの球状タイヤであって、溶液重合スチレンブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム、天然ポリイソプレンゴム、合成ポリイソプレンゴム、およびポリブタジエンからなる群から選択された、ジエン系エラストマーを有するポリマー主鎖と、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、およびポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)からなる群から選択されたポリマーを含む、前記主鎖に結合されたポリマー側鎖とを有する材料を含む、外側トレッド層を有するタイヤを特徴とする、車両用支持アセンブリ。

说明书全文

発明の分野 本発明は、輸送に関し、より詳細には、地表またはその他の表面を進行し(traversing)ながら車両を支持するためのアセンブリに関する。

本発明の背景 従来のデバイスは、球状ハウジングと、球状ハウジングの内面に係合する1つまたは複数の車輪に連結された1つまたは複数のモータを含む内部駆動システム(internal drive system)とを含む場合がある。バネおよび接触端(contact end)を含む付勢機構(biasing mechanism)が内部駆動システムに連結されていてもよく、その結果、車輪と接触端との間に正反対(diametrically opposing)のが得られて、モータ(motors)への動力(power)を球状ハウジングの内面に伝達することが可能になり、自走式デバイス(self-propelled device)を接触面に沿って転がすようにする。自走式デバイスは、その質量中心の移動と、モータから独立した動力と、内面に抗する付勢機構の力との組合せに基づいて、回転してもよい。磁気連結(magnetic coupling)構成要素(component)が付勢機構と共に含まれていてもよい。磁気連結構成要素は、外部デバイスおよび/または付属品(external devices and/or accessories)と磁気的に相互作用するために球状ハウジングを通して磁場が得られるように、鉄系金属(ferrous metal)または永久磁石、例えばネオジム磁石を含んでいてもよい。

発明の概要 本発明による車両用支持アセンブリ(support assembly for a vehicle)は、道路表面を走行し、道路表面および車両に対して回転する少なくとも2つの球状タイヤと、駆動システムのどの部分もタイヤまたは道路表面に物理的に接触しないように、駆動システム自体に対するタイヤの回転を磁気的に駆動させる、駆動システムとを含む。タイヤはそれぞれ、乾燥時に第1の剛性(stiffness)を有し湿潤(wet)時に第2の剛性を有し第1の剛性は第2の剛性を超える材料を含む、外側トレッド層(outer tread layer)を有する。

アセンブリの別の態様によれば、駆動システムは、車両を、タイヤから第1の所定の(predetermined)距離に磁気的に浮上させる(levitate)。

アセンブリのさらに別の態様によれば、駆動システムは、それ自体を、タイヤの内面から第2の所定の距離に磁気的に浮上させる。

アセンブリのなお別の態様によれば、タイヤは、外部環境から完全に隔離された内部空間を有する閉じた球体(closed sphere)である。

アセンブリのさらに別の態様によれば、駆動システムは、第1の磁気的に受動的な部品(first magnetically passive part)と、第2の磁気的に能動的な部品(second magnetically active part)とを含む。

アセンブリのなお別の態様によれば、第1の部品は定磁場のみ発生させる。

アセンブリのさらに別の態様によれば、第2の部品は定磁場と変動磁場(variable magnetic field)とを発生させる。

アセンブリのなお別の態様によれば、駆動システムは、駆動システムに対して実質的に一定の向きに車両を維持する。

アセンブリのさらに別の態様によれば、タイヤは複数の層を含む。

アセンブリのなお別の態様によれば、複数の層の1つは、車両によって決定される荷重の一部を機械的に支持する。

アセンブリのさらに別の態様によれば、複数の層の1つは、タイヤと道路表面との間にトラクション(traction)を発生させるためのトレッドを含む。

アセンブリのなお別の態様によれば、複数の層の1つは、道路表面上を走行するタイヤによって引き起こされた振動を弱めるための、エラストマー層を含む。

本発明による車両用の別の支持アセンブリは、道路表面を走行し、道路表面および車両に対して回転する少なくとも1つの球状タイヤを含む。そのタイヤは、溶液重合スチレンブタジエンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム、天然ポリイソプレンゴム、合成ポリイソプレンゴム、およびポリブタジエンからなる群から選択された、ジエン系エラストマー(diene based elastomer)を有するポリマー主鎖と、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、およびポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)からなる群から選択されたポリマーを含む、主鎖に結合されたポリマー側鎖とを有する材料を含む、外側トレッド層を有する。

図面の簡単な説明 本明細書の開示は、添付図面の図に、限定としてではなく例として記載され、それらの図において、同様の符号は同様の要素を指す。

図1は、本発明によるアセンブリを概略的に示す。

図2は、自走式デバイスの動作を制御する従来のシステムを示す、例示的なブロック図である。

図3は、制御器の制御下にある従来の自走式デバイスの概略図である。

図4は、従来の自走式デバイスの例を概略的に示す。

図5は、従来の自走式デバイスの別の例を示す。

図6は、コンピュータシステムと、図4および5の自走式デバイスとに関する例示的なブロック図である。

図7は、トリチオカーボネートRAFT連鎖移動剤、トリチオカーボネート末端基を持つPNIPAM、およびチオール基を持つPNIPAMの、UV−VISスペクトルを示す。

図8は、CTA末端基を持ついくつかのPNIPAMポリマーに関する、温度に対する濁度(turbidity)の透過率測定(transmission measurement)を示す。

図9は、スチレン−ブタジエンエラストマー、およびPNIPAMで官能化されたスチレン−ブタジエンエラストマーの、

1H−NMRスペクトルを示す。

図10は、スチレン−ブタジエンエラストマー、および3種のPNIPAM官能化スチレン−ブタジエンエラストマーのGPC曲線を示す。

図11は、PNIPAM官能化スチレン−ブタジエンエラストマーのPNIPAM含量の関数としての、接触を示す。

図12は、PNIPAM官能化スチレン−ブタジエンエラストマーに関する、LCSTの上および下での接触角の、相対的な差を示す。

図13は、スチレン−ブタジエンエラストマーに関する、温度の関数としてのレオロジー特性を示す。

図14は、6パーセントのPNIPAMを含む、スチレン−ブタジエンおよびPNIPAMのグラフトコポリマーに関する、温度の関数としてのレオロジー特性を示す。

図15は、4パーセントのPNIPAMを含む、スチレン−ブタジエンおよびPNIPAMのグラフトコポリマーに関する、温度の関数としてのレオロジー特性を示す。

本発明の例の詳細な説明 参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,266号、米国特許第9,090,214号、および米国特許第9,211,920号に記載されているような、例示的な従来のデバイスは、球状ハウジングと、球状ハウジングの内面に係合する(engaged)1つまたは複数の車輪に連結された(coupled)1つまたは複数のモータを含む内部駆動システムとを含んでいる場合がある。バネおよび接触端を含む付勢機構は、車輪と接触端との間に正反対の力が得られるように内部駆動システムに連結されて、モータへの動力を球状ハウジングの内面に伝達させることにより自走式デバイスを接触面に沿って転がすようにしてもよい。自走式デバイスは、その質量中心の移動、モータから独立した動力、および内面に抗する付勢機構の力の組合せに基づいて、回転してもよい。磁気連結構成要素は付勢機構と共に含まれていてもよい。磁気連結構成要素は、外部デバイスおよび/または付属品と磁気的に相互作用するため球状ハウジングを通して磁場が得られるように、鉄系金属または永久磁石、例えばネオジム磁石を含んでいてもよい。

デバイス用の例示的な外部付属品は、付勢機構の磁気連結構成要素(例えば、接触端)に磁気的に連結する磁気連結構成要素を含んでいてもよい。したがって、自走式デバイスの球状ハウジングを転がすとき、外部付属品は、球状ハウジングを通した磁気相互作用を介して付勢機構の接触端に安定に連結されたままにすることができる。

自走式デバイス、外部付属品、これらのいずれかまたは両方は、磁気的相互作用を引き起こす磁場が生じるように、磁石(例えば、ネオジム磁石)を含んでいてもよい。そのような相互作用には磁気的引力を伴い、外部付属品と球状ハウジングの外面との間に接触が生じる。そのような例では、摩擦は、球状ハウジングの外面および/または外部付属品の接触面を、実質的に摩擦のない材料でコーティングすることによって低減させてもよい。さらに、または代わりに、磁気的相互作用には、外部付属品と球状ハウジングとの間に安定な磁気的浮上をもたらす安定機構(例えば、1つまたは複数のさらなる磁石)を含んだ反発力を伴ってもよい。

本明細書で使用される「実質的に(substantially)」は、自走式デバイスが動作制御下にある間の付勢機構の角回転の文脈では、0°から90°未満の間を意味する。したがって、付勢機構(またはバネ構成要素)と自走式デバイスがその上を転がる外部表面(external surface)との間の、「実質的に」安定な、「実質的に」一定の角度、または「実質的な」直交(perpendicularity)は、自走式デバイスが非加速状態にある間は、その面に対して90°未満であり、典型的には45°未満であることを意味する。本明細書でさらに使用される、球状ハウジングの外面(outer surface)と外部付属デバイスの接触面との間の摩擦の文脈における「実質的に」は、2つの典型的な平滑面(例えば、研磨された金属または木質の表面)の間の標準より低い摩擦の関係(a below normal frictional relation)を意味する。したがって「実質的に」摩擦がない材料は、低減された摩擦を目的に設計されまたは製造された材料を意味する。

本明細書に記載される1つまたは複数の従来の例は、コンピュータデバイスによって行われる方法、技法および動作を、プログラムで行うことができ、またはコンピュータで実施される方法として行うことができる。本明細書で使用される「プログラムで」はコードまたはコンピュータで実行可能な命令の使用によることを意味する。これらの命令は、コンピュータデバイスの1つまたは複数のメモリ資源(resources)に記憶されてもよい。プログラムで行われるステップは、自動であってもそうでなくてもよい。

本明細書に記載される1つまたは複数の従来の例は、システムのプログラマチック(programmatic)モジュールまたは構成要素を使用して実施されてもよい。プログラマチックモジュールまたは構成要素は、1つまたは複数の規定されたタスクまたはファンクションを行うことが可能な、プログラム、サブルーチン、プログラムの一部、ソフトウェアコンポーネント、および/またはハードウェアコンポーネントを含んでいてもよい。本明細書で使用される、モジュールまたは構成要素は、その他のモジュールまたは構成要素から独立してハードウェアコンポーネントに存在していてもよい。あるいは、モジュールまたは構成要素は、その他のモジュール、プログラム、および/または機械の共用要素またはプロセスであってもよい。

本明細書に記載されるいくつかの例は、一般に、処理(processing)およびメモリ資源を含むコンピュータデバイスの使用を必要としてもよい。例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の例は、その全体または部分が、デジタルカメラ、デジタルカムコーダ、デスクトップコンピュータ、携帯電話/スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、プリンタ、デジタルピクチャフレーム、および/またはタブレットデバイスなどのコンピュータデバイスで実施されてもよい。メモリ、処理およびネットワーク資源は全て、本明細書に記載される任意の例の確立、使用、および/または遂行(performance)(任意の方法の遂行と、および/または任意のシステムの実施を含めて)に関連して使用されてよい。

さらに、本明細書に記載される1つまたは複数の例は、1つまたは複数のプロセッサ(processor)によって実行可能な命令の使用を通して実施されてもよい。これらの命令は、コンピュータ可読性媒体(computer-readable medium)上で実施されてもよい。以下の図に示されるまたは記載される機械は、例を実施するための命令をそこで実施および/または実行してもよい処理資源およびコンピュータ可読性媒体の例を提供する。特に、例により示される数多くの機械は、プロセッサと、データおよび命令を保持するための様々な形態のメモリとを含んでいてもよい。コンピュータ可読性媒体の例は、パーソナルコンピュータまたはサーバのハードドライブなどの、永久メモリ記憶装置を含んでいてもよい。コンピュータ記憶媒体のその他の例は、CDまたはDVDユニットなどの可搬性記憶装置、フラッシュメモリ(スマートフォン、多機能デバイス、および/またはタブレットに搭載されるようなもの)、および磁気記憶装置を含んでいてもよい。コンピュータ、端末、ネットワーク使用可能なデバイス(例えば、携帯電話などのモバイルデバイス)は全て、プロセッサ、メモリ、および/またはコンピュータ可読性媒体上に記憶された命令を利用してもよい。さらに例は、コンピュータプログラム、またはそのようなプログラムを保持することが可能な非一時的コンピュータ使用可能キャリア媒体(non-transitory computer usable carrier medium)の形態で実施されてもよい。

次に図2を参照すると、例示的な自走式デバイス100の概略図が示されている。自走式デバイス100は、ユーザによって操作されるコンピュータデバイスなど、別のデバイスの制御下で移動してもよい。自走式デバイス100は、下記の1つまたは複数を可能にする資源で構成されてもよい: デバイスが移動を開始した後の、初期基準座標系(reference frame)に対する向きおよび/もしくは位置の自己認識(self-awareness)の維持;様々な制御入力(different control inputs)に対するプログラム特異的応答の多様な範囲が可能になるように、プログラムで入力されたプロセス制御(process control input programmatically);自走式デバイス上のプログラミング論理(programming logic)と通信可能な(communicative)ソフトウェアもしくはプログラミング論理を使用して、別のデバイスでその移動の制御を可能にすること;ならびに/または制御装置によって、ソフトウェアで解釈可能な(software interpretable)その移動および状態に関して出力応答(output response)を発生させること。

自走式デバイス100は、いくつかの相互接続されたサブシステムおよびモジュールを含んでいてもよい。プロセッサ114は、プログラムメモリ104からのプログラム命令を実行してもよい。プログラムメモリ104に記憶された命令は、例えば特徴を付加し、欠陥を訂正し、かつ/またはデバイス挙動を改変するために変更されてもよい。プログラムメモリ104は、リンクされた制御装置(linked controller device)上のソフトウェアと通信可能かさもなくば当該ソフトウェアで操作可能なプログラミング命令を、記憶してもよい。プロセッサ114は、自走式デバイス100が、リンクされた制御器(controller)からの制御入力を解釈するかさもなくば当該制御入力に応答する手法を変えるために、種々の組のプログラミング命令を実行してもよい。

無線通信ポート110は、コミュニケーショントランスデューサ102と併せて、プロセッサ114とその他の外部デバイスとの間でデータを交換してもよい。データ交換は、例えば、通信、制御、論理命令(logical instructions)、状態情報(state information)、および/またはプログラムメモリ104のアップデートをもたらしてもよい。プロセッサ114は、無線通信ポート110を介して、リンクされた制御器に通信する、状態および/または位置情報に対応した出力を発生させてもよい。自走式デバイス100の移動性は、有線接続を制限する可能性がある。したがって「接続」という用語は、自走式デバイス100への物理的接続なしで行われた無線リンクなどの、論理接続(logical connection)を意味すると理解されるだろう。

無線通信ポート110は、通信プロトコルを実装(implement)してもよく、トランスデューサ102は、無線信号を送信し受信するのに適切なアンテナであってもよい。その他の無線通信媒体およびプロトコルを、代替の実施において使用してもよい。センサ112は、周囲環境および条件(surrounding environment and condition)に関する情報をプロセッサ114に送信してもよい。センサ112は、3軸ジャイロスコープ、3軸加速度計、および/または3軸磁力計を含めた慣性測定デバイスを含んでいてもよい。センサ112は、デバイス100が移動を開始した後に、プロセッサ114が、初期基準座標系に対するデバイスの向きおよび/または位置の認識を維持できるように、入力を提供してもよい。またセンサ112は、光、温度、湿度の検出、および/または化学濃度もしくは放射能の測定のための、機器を含んでいてもよい。

状態/変数メモリ(state/variable memory)106は、例えば位置、向き、回転速度、および/または各軸に対する変位(translation)も含め、システムの現在の状態に関する情報を記憶してもよい。状態/変数メモリ106は、例えばデバイスが使用されるときの(例えば、デバイスのスイッチがオンになったとき)、デバイス100の初期基準座標系に対応した情報、ならびにデバイスがいったん使用中になった後の位置および向きの情報を、記憶してもよい。したがってデバイス100は、デバイスがいったん移動した後のデバイスの位置および向きの情報を維持するために、状態/変数メモリ106の情報を利用してもよい。

クロック108は、変化の間隔および速度を測定するための時間基準(time−base)を実現することによって、プロセッサ114にタイミング情報を提供してもよい。クロック108は、曜日、日付、年、時間、および/またはアラーム機能を提供してもよい。クロック108は、自走式デバイス100でアラームを鳴らしまたは事前設定された時間に警報を出すことができる。

拡張ポート120で、付属品またはデバイスを付加するための接続を行ってもよい。拡張ポート120は、将来の拡張のために、およびオプションまたは機能強化を付加する柔軟性のために、設けられてもよい。例えば拡張ポート120は、周辺機器、センサ、処理ハードウェア、記憶装置、ディスプレイ、またはアクチュエータを、基本の自走式デバイス100に付加するのに使用されてもよい。

変形例において、拡張ポート120は、アナログまたはデジタル信号を使用して、適切に構成された構成要素と通信することが可能なインターフェースを提供してもよい。したがって拡張ポート120は、標準のまたは周知の電気インターフェースおよびプロトコルを提供してもよい。さらに、拡張ポート120は、光学インターフェースを実装してもよい。拡張ポート120に適切な、例示的なインターフェースは、ユニバーサルシリアルバス(USB)、集積回路間バス(I2C)、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、および/またはイーサネットを含んでもよい。

ディスプレイ118は、外側(outside)デバイスまたはユーザに情報を提示するために、含まれてもよい。ディスプレイ118は、様々な形態で情報を提示してもよい。変形例において、ディスプレイ118は、光の色およびパターン、音、振動、音楽、および/または感覚刺激の組合せを生成してもよい。ディスプレイ118は、デバイス100の物理的移動からの情報を通信するのに、アクチュエータ126と併せて動作してもよい。例えばデバイス100は、「イエス」または「ノー」を通信するため、ヒトの頭部を真似るように、即ち、頷きかつ/または首を振るように、作製されてもよい。

変形例において、ディスプレイ118は、可視または不可視のいずれかの範囲の光のエミッタ(emitter)であってもよい。赤外線または紫外線の範囲の不可視の光は、例えば、人の感覚では不可視であるが特殊な検出器で利用可能な情報を送るのに役立てることができる。いくつかの例において、ディスプレイ118は、様々な光の周波数を放出し、かつそれらの相対強度が可変であり、放出された光がブレンドされて混色を形成するように配置構成された、発光ダイオード(LED)のアレイを含んでいてもよい。

ディスプレイ118は、それぞれが人に見える原色を放出するいくつかのLEDを含む、LEDアレイを含んでいてもよい。プロセッサ114は、広範な色が生成されるように、LEDのそれぞれの相対強度を変えてもよい。光の原色は、数種の色を様々な量でブレンドすることによって目に見える色の全範囲が生成されるようになるものである。例えば赤/緑/青、赤/緑/青/白、および赤/緑/青/琥珀を含めた、原色の多くの組が公知である。例えば赤、緑、および青のLEDは一緒になって、ディスプレイ118を含む、3色の利用可能な原色デバイスの、使用可能な組を規定することができる。その他の例では、原色の他の組と白色LEDとを使用してもよい。ディスプレイ118は、位置合わせのためにデバイス100上の基準点を示すのに使用されるLEDを、さらに含んでいてもよい。

動力電池124(power cell)は、デバイス100の電子部品および電気機械部品を動作させるためのエネルギーを貯蔵してもよい。動力電池124は、再充電可能なバッテリであってもよい。さらに、誘導充電(inductive charge)ポート128で、配線による電気接続なしで、動力電池124の再充電を可能にしてもよい。変形例において、誘導充電ポート128は、磁気エネルギーを受け取り、そのエネルギーを電気エネルギーに変換して、動力電池124を再充電してもよい。充電ポート128は、外部充電デバイスと共に無線通信インターフェースを提供してもよい。

ディープスリープセンサ122は、自走式デバイス100を、電子デバイスのほとんどがバッテリ電力を使用しない非常に低い電力すなわち「ディープスリープ」モードに置くために、含めてもよい。このセンサは、長期保存または運送に役立てることができる。変形例において、ディープスリープセンサ122は、配線接続なしでデバイス100のハウジングを通して感知するような、非接触式であってもよい。ディープスリープセンサ122は、外部磁石がデバイス100の所定の場所に付着されてディープスリープモードを発動できるように取り付けられた、ホール効果センサであってもよい。

駆動アクチュエータ126は、様々な用途のために電気エネルギーを機械エネルギーに変換するのに含めてもよい。駆動アクチュエータ126の主要な用途は、自走式デバイス100を推進させ操(steer)することであってもよい。移動および操舵アクチュエータは、駆動システムまたはトラクションシステムと呼ぶこともある。駆動システムは、プロセッサ114の制御下で、デバイス100を回転および並進により移動させてもよい。駆動アクチュエータ126の例には、車輪、モータ、ソレノイド、プロペラ、外輪、および/または振り子が含まれるが、これらに限定するものではない。駆動アクチュエータ126は、それぞれ減速歯車システムを通して独立変速モータに接続された車軸に取り付けられた、2つの平行な車輪を含んでいてもよい。したがって2つの駆動モータの速度は、プロセッサ114によって制御されてもよい。

駆動アクチュエータ126は、自走式デバイス100の単なる回転および並進に加え、様々な移動を生成してもよい。したがっていくつかの変形例では、駆動アクチュエータ126は、人の身振りの模倣、例えば頷き、首の横振り(shaking)、身震い、スピン(spinning)、および/または指で弾く動作(flipping)も含め、通信できるまたは感情に訴える動きをデバイス100が実行できるようにしてもよい。いくつかの変形例では、プロセッサ114は、ディスプレイ118と駆動アクチュエータ126を協働(coordinate)させてもよい。例えばプロセッサ114は、信号を駆動アクチュエータ126およびディスプレイ118に提供して、デバイス100をスピンさせまたは振動させ、同時に着色光のパターンを出してもよい。したがってデバイス100は、動きと同調した光および/または音のパターンを出してもよい。

他の変形例では、自走式デバイス100を、その他のネットワーク接続デバイス用の制御器として使用してもよい。デバイス100は、センサおよび無線通信能を含んでいてもよく、したがってその他のデバイス用の制御器の役割を果たすことができる。例えば自走式デバイス100は、手で持ってもよく、身振り、移動、回転、組合せ入力(combination inputs)などを感知するのに使用されてもよい。

図3は、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータデバイスなどの制御装置208の制御下にある自走式デバイス214の、例示的な従来の概略図である。より詳細には、自走式デバイス214は、プログラミング論理および/または制御装置208から引き起こすことができる制御によって、その動きが制御されてもよい。自走式デバイス214は、ユーザ202が操作することのできるコンピュータデバイス208の制御下で移動してもよい。コンピュータデバイス208は、標準のまたは所有権を主張できる(proprietary)無線通信プロトコルを使用して、自走式デバイス214に制御データ204を無線で通信してもよい。変形例において、自走式デバイス214は、その移動のパラメータ(例えば、速度、方向など)が制御されるようにセンサおよび内部プログラミング論理を利用して、少なくとも部分的に自己制御されてもよい。さらになお、自走式デバイス214は、コンピュータデバイス208で内容(content)を発生させまたは変更する目的で、デバイスの位置および/または移動のパラメータに関するデータを通信してもよい。自走式デバイス214は、その移動および/または内部プログラミング論理を介して、コンピュータデバイス208の態様(aspects)を制御してもよい。自走式デバイス214は、デバイスがコンピュータデバイス208によって制御され、デバイスが別のデバイス(例えば、別の自走式デバイスまたはコンピュータデバイス208)用の制御器であり、かつ/またはデバイスが部分的にもしくは完全に自己自律的であるような操作を含めた、多数の(multiple)操作モードを有していてもよい。

自走式デバイス214およびコンピュータデバイス208は、コンピュータプラットフォームを共用していてもよく、このプラットフォームでは、ユーザ202がコンピュータデバイス208を操作し、かつ単純な方向入力、コマンド入力、ジェスチャ入力、モーション(motion)および/またはその他の感覚(sensory)入力、音声入力、またはこれらの組合せを含めた多種類の入力を発生させることができるようにするために、また自走式デバイス214が、コマンドまたはコマンドの組としてコンピュータデバイス208から受信した入力を解読することができるようにするために、かつ/または自走式デバイス214が、コンピュータデバイス208に状態(例えば、制御器−ユーザ間インターフェースに対応する内容などの表示状態)を生み出すための、デバイスの位置、移動、および/または状態に関するデータを通信することができるようにするために、プログラミング論理が共用されている。自走式デバイス214は、デバイスを使用するための追加のプログラミング論理および/または命令を容易にする、プログラマチック(programmatic)インターフェースを含んでいてもよい。コンピュータデバイス208は、自走式デバイス214上のプログラミング論理と通信可能なプログラミングを実行してもよい。

いくつかの例によれば、自走式デバイス214は、モーションまたは方向性移動を引き起こすアクチュエータまたは駆動機構を含む。自走式デバイス214は、制御されたデバイス、ロボット、ロボットデバイス、遠隔装置(remote device)、自律デバイス、および遠隔制御された装置を含めたいくつかの関連ある用語および文言によって言及されて(referred to)もよい。自走式デバイス214は、様々な媒体中で移動し制御されるように構成されてもよい。例えば、自走式デバイス214は、平らな表面、砂状の表面、および/または岩状の表面などの媒体を通って移動してもよい。

図4に示されるように、自走式デバイス214は、転がることができ、かつ/またはスピンなどのその他の動きを行うことができる、球状物体に対応していてもよい。自走式デバイス214は、デバイスの球状ハウジングを通した磁気連結を介して自走式デバイス214に磁気的に連結された、外部付属品216を含んでいてもよい。自走式デバイス214は、飛行機、ヘリコプタ、ホバークラフト、および/または気球などの、無線制御航空機に対応していてもよい。デバイス214は、ボートまたは潜艦などの無線制御船舶に対応していてもよい。例えばデバイス214がロボットであるような、数多くのその他の変形例を実施してもよい。

自走式デバイス214は、エンベロープ(envelope)内のアクチュエータの動作によって方向性移動(directional movement)が可能な、実質的にその形状が球状である封止された中空エンベロープを含んでいてもよい。自走式デバイス214は、ネットワーク通信リンク(communication links)210、212を使用して、コンピュータデバイス208と通信してもよい。一方のリンク210は、データをコンピュータデバイス208から自走式デバイス214に伝達してもよい。他方のリンク212は、データを自走式デバイス214からコンピュータデバイス208に伝達してもよい。リンク210、212は、個別の一方向リンク(複数)、または両方向に通信する単一の二方向通信リンクであってもよい。リンク210、212は、そのタイプ、帯域、および/または能力が同一でなくともよい。例えば、コンピュータデバイス208から自走式デバイス214へのリンク210は、リンク212に比べ、より高い通信速度および帯域が可能であってもよい。いくつかの状況では、リンク210または212の、1つだけを確立してもよい。したがって通信は一方向であってもよい。

コンピュータデバイス208は、少なくとも、プロセッサと、自走式デバイス214に対する少なくとも一方向通信を確立するのに適切な通信能とを含む、任意のデバイスに対応していてもよい。そのようなデバイスの例には、モバイル型コンピュータデバイス(例えば、スマートフォンなどの多機能メッセージ/音声通信デバイス)、タブレット型コンピュータ、可搬性通信デバイス、および/またはパーソナルコンピュータが含まれてよいが、これらに限定するものではない。

ユーザ202は、自走式デバイス214を制御するために、かつ/またはコンピュータデバイス208で自走式デバイス214からのフィードバックもしくは相互対話(interaction)を受信するために、コンピュータデバイス208を介して自走式デバイス214と相互に対話してもよい。したがってユーザ202は、コンピュータデバイス208の様々な機構を通して入力204を指定してもよい。そのような入力の例には、テキスト入力、音声コマンド、感知表面またはスクリーンへのタッチ、物理的操作、身振り、タップ、振動、およびこれらの組合せが含まれうる。

ユーザ202は、フィードバック206を受信するために、コンピュータデバイス208と相互に対話してもよい。フィードバック206は、ユーザ入力に応答してコンピュータデバイス208により発生させてもよい。フィードバック206は、例えば自走式デバイスの位置または状態に関する、自走式デバイス214からコンピュータデバイス208に通信されたデータに基づいたものであってもよい。フィードバック206の例には、テキスト表示、グラフィック表示、音、音楽、階調パターン、光の色または強度の変調、ハプティックな(haptic)、振動による、および/または触知の(tactile)刺激を含めてもよい。フィードバック206は、コンピュータデバイス208に発生させた入力と組み合わせてもよい。それによってコンピュータデバイス208は、自走式デバイス214から通信された位置または状態の情報を反映するように改変された内容を出力してもよい。

したがってコンピュータデバイス208および/または自走式デバイス214は、ユーザ入力204およびフィードバック206が、感知、思考、認知、運動、および/またはその他の能力が限定されている可能性のあるユーザ202のユーザビリティ(usability)およびアクセシビリティ(accessibility)を最大限にするように構成されてもよい。このようにすることで、ハンディキャップを持つまたは特殊なニーズを持つユーザ202がシステム200を操作することが可能になる。

図4は、別の従来の例である自走式デバイス300を、概略的に示す。自走式デバイス300は、成人の手で容易に握り、持ち上げ、かつ/または運ぶことが可能になるサイズおよび重量のものであってもよい。自走式デバイス300は、デバイスが転がることによって移動するときに外部表面と接触する外面を持つ球状ハウジング302を含んでいてもよい。球状ハウジング302は、内面304と、この球状ハウジングの内面によって囲まれた(enclosed)いくつかの機械および電子構成部品とを含む。

球状ハウジング302は、無線通信に使用される信号を伝導するが、湿分および汚れは通さない材料から構成されてもよい。球状ハウジング302はさらに、耐久性、可洗性、および/または耐破砕性を有してもよい。球状ハウジング302は、光を透過させるような構造とされ、光を拡散するようにテクスチャが付けられていてもよい。球状ハウジング302は、封止されたポリカーボネートプラスチックであってもよい。球状ハウジング302は、関連付けられた取着機構(associated attachment mechanism)を備えた2つの半球シェルを含んでいてもよく、したがってこの球状ハウジングは、開放されて内部の電子および機械構成部品に触れることができるようになされている。

いくつかの電子および機械構成部品が、処理、無線通信、推進、および/またはその他の機能のために球状ハウジング302内に位置していてもよい(まとめて、「内部機構」と呼ぶ。)。構成要素の中で、その例には、デバイス300をそれ自体推進可能にする駆動システム301が含まれうる。駆動システム301は、処理資源およびその他の制御機構に連結されてもよい。キャリア314は、駆動システム301の構成要素に関する取着点および支持体として働く。駆動システム301の構成要素は、球状ハウジング302に、強固に取着されていなくてもよい。代わりに駆動システム301は、球状ハウジング302の内面304に摩擦接触している1対のローラ318、320を含んでいてもよい。

キャリア314は、エネルギー貯蔵構成部品316に機械的および/または電気的に接触していてもよい。エネルギー貯蔵構成部品316は、デバイス300およびそれに関連付けられた電子構成部品に動力を送るための、エネルギーのリザーバを提供してもよい。エネルギー貯蔵構成部品316は、誘導充電ポート326を通して補充されてもよい。エネルギー貯蔵構成部品316は、再充電可能なバッテリであってもよい。そのようなバッテリは、リチウム−ポリマーセルを含んでいてもよい。その他の適切な再充電可能なバッテリの化学的性質/メカニズムを使用してもよい。キャリア314は、電子アセンブリ、センサアレイ、アンテナおよびコネクタ用のプリント回路基板を含めた内部構成要素のほとんどに関して取付け場所を提供してもよく、それと共に、内部構成要素用の機械的取着点を提供してもよい。

駆動システム301は、モータ322、324、および車輪318、320を含んでいてもよい。モータ322、324は、それぞれ関連付けられたシャフト、車軸、および歯車駆動装置(図示せず。)を通して、それぞれ車輪318、320に接続されていてもよい。車輪318、320の外周は、本質的に2点で、内面304に機械的に接触していてもよい。これらの点は、球状ハウジング302、またはボールの、駆動機構を提供してもよく、車輪318、320と内面304との間の摩擦を増大させ、かつ滑りを低減させる材料でコーティングされていてもよい。例えば車輪318、320は、シリコーンゴムタイヤを含んでいてもよい。

付勢機構315は、車輪318、320を内面304に能動的に押しつけ(actively force)てもよい。バネ312およびバネ端部310は、付勢機構315を含んでいてもよい。より詳細には、バネ312およびバネ端部310は、車輪318、320とは正反対の点で、内面304に接触するように位置していてもよい。バネ312およびバネ端部310は、特に内部機構が底部で車輪と共に位置決めされていない状況、および駆動輪318、320が滑らないように重力が適切な力を与えない状況で、車輪318、320の滑りを低減させる追加の接触力(additional contact force)を提供してもよい。バネ312は、車輪318、320およびバネ端部310を内面304に対して押しつける力を与えてもよい。

バネ端部310は、内面304との、ほぼ摩擦のない(near-frictionless)接触をもたらしてもよい。バネ端部310は、内面304との間の全ての接触点で低摩擦接触領域を反映させる(mirror a low-friction contact region)ように構成された、丸みの付いた表面であってもよい。丸みの付いた表面は、バネ端部310が内面304に沿って移動する接触点で摩擦をさらに低減させる、1つまたは複数のベアリングを含んでいてもよい。バネ312およびバネ端部310は、感度の高い磁気センサとの干渉を回避するために、非磁性材料で作製されてもよい。しかし、バネ端部310は、外部付属デバイス330に磁気的に連結するための1つまたは複数の磁気構成要素を含んでいてもよい。

バネ312は、車輪318、320およびバネ端部310が球状ハウジング302の内面304に常に係合し得るようなバネ定数を有していてもよい。したがってモータ322、324からの動力の大部分が、内部構成要素(例えば、付勢機構315および内部駆動システム301)を傾斜させたり(slant)ピッチさせたり(pitch)するのではなく、球状ハウジング302を回転させるために直接伝達されることができる。このように、自走式デバイス300の運動は、少なくとも部分的に、内部構成要素(したがって、デバイスの質量中心)をピッチさせることによって引き起こされてもよいが、運動は、球状ハウジング302の内面304に対する車輪318、320の作用力(active force)(付勢機構315を介して)と、モータ322、324から車輪318、320への電力の直接的な伝達とによって、直接引き起こすこともできる。付勢機構315のピッチは、実質的に低減されてもよく、実質的に一定のままであってもよい(例えば、自走式デバイス300が移動する外部表面に対して、実質的に直交する。)。付勢機構315のピッチは、激しい加速または減速の期間中に増大してもよい(例えば、45°を超えて)。さらに、通常の動作条件下で、付勢機構315のピッチは安定なままであってもよく、または微妙に変化してもよい(例えば、10°から15°以内)。

バネ端部310は、磁石に引き付けられる磁性金属で形成されてもよい。そのような金属は、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ネオジム、サマリウム、および/またはこれらの金属をある割合で含有するその他の金属合金を含んでいてもよい。あるいはバネ端部310は、球状ハウジング302の内面304に接触している実質的に摩擦のない接触部分と、内面304に接触しておりまたは接触していない磁気的に相互作用する部分であって、上記金属または金属合金を含むものを含んでいてもよい。実質的に摩擦のない接触部分は、熱可塑性または熱硬化性ポリマーなどの有機ポリマーを含んでいてもよい。

あるいは、バネ端部310は、研磨された(polished)ネオジム永久磁石などの磁石であってもよい。バネ端部310は、外部付属デバイス330と磁気的に連結されるよう、球状ハウジング302の外面を越えて拡がる磁場を生成してもよい。また、バネ端部310は、実質的に摩擦のない接触部分を含んでいてもよく、かつその中に含まれる磁石を有していてもよい。

自走式デバイス300の磁気構成要素は、バネ312もしくはキャリア314、または付勢機構315もしくはキャリアに連結された追加の(additional)構成要素など、任意の内部構成要素に含まれていてもよい。外部付属デバイス330は、付勢機構315(例えば、バネ端部310)に磁気的に連結される磁気構成要素332を含んでいてもよい。磁気構成要素332は、ネオジム磁石などの永久磁石を含んでいてもよい。磁気構成要素332は、バネ端部310に磁気的に連結されていてもよい。したがって磁気構成要素332によって生成された磁場は、球状ハウジング302を通して拡がって、バネ端部310と磁気接触したままであってもよい。外部付属デバイス330の磁気構成要素332は、バネ端部310を含む磁石に引き付けられる磁性金属を含んでいてもよい。

バネ端部310および磁気構成要素の1つまたは複数は、任意の数の電磁石および/または永久磁石を含んでいてもよい。そのような磁石は、自走式デバイス300の運動に際して追加の磁気安定性(added magnetic stability)が得られるように、形状が不規則であってもよい。外部付属デバイス330の磁気構成要素332は、バネ端部310上の単一または多数の相応の形をした磁石と連結するための、1つまたは複数の従属(tributary)ストリップを含む、単一の磁気ストリップまたは多数の磁気ストリップであってもよい。追加の安定性が得られるように、多数の磁石が、外部付属デバイス330およびバネ端部310じゅうに(through)散らばっていてもよい。

バネ端部310および外部付属デバイス330は、自走式デバイス300が移動するときに、安定な磁気的反発状態にあってもよい。磁気構成要素332またはバネ端部310のいずれかは、それらの間を球状ハウジング302が滑る間に、バネ端部310に対して、反発する磁力の動的不安定性を実質的になくしかつ外部付属デバイス330を安定して磁気浮上可能にするために、超伝導材料をさらに含んでいてもよい。反磁性材料は、安定な磁気浮上のために、自走式デバイス300、バネ端部310、および/または外部付属デバイス330の1つまたは複数に含まれていてもよい。このように、ガイドレールまたは磁気トラック(magnetic track)を使用することなく、自走式デバイス300は、外部付属デバイス330が自走式デバイスの垂直軸に沿って実質的に定位置にある状態で、任意の方向に巧く動作(maneuver)することができる。

外部付属デバイス330は、任意の形状の形をとってもよく、任意の適切な材料を含んでいてもよい。外部付属デバイス330の接触面334、または球状ハウジング302の外面に最も近い表面(磁気相互作用中)は、球状ハウジング304の外面に対応してもよい。自走式デバイス300の球状ハウジング302と、外部付属デバイス330、即ち接触面334とは共に、実質的に等しい曲率半径を有していてもよい。この半径は、10cmから30cm程度であってもよい。しかし半径は、1メートルから人員輸送車両のサイズまででもよく、それを超えてもよい。したがって磁気的な連結または相互作用は、外部付属デバイス330(これは、動作を実行し(perform actions)、ペイロード(payload)を運搬し、新規なデザインを含み、文字または図形を表示することができてもよい)と連結するように、自走式デバイス300内に配置された強力な電磁石を使用して実現されてもよい。

外部付属デバイス330の接触面334は、合成化合物または適切なポリマーなどの実質的に摩擦のない材料で、形成されまたはコーティングされていてもよい。その他の適切な化合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、超撥水面(ultra-repellant surface)、ならびに/または液体含浸面および材料、例えば滑りやすい液体注入済み多孔質面(SLIPS:slippery liquid infused porous surface)などを含んでいてもよい。実質的に摩擦のない表面またはコーティングのその他の例は、金属合金とセラミック化合物とを組み合わせることによって生成され得る「セラミック合金」または「サーメット」を含んでもよい。ホウ素、アルミニウム、およびマグネシウムを含む金属/セラミック合金(AlMgB14)は、二ホウ化チタン(TiB2)のサーメット化合物と組み合わされて、外部付属デバイス330の接触面334にほぼ摩擦のないコーティングを提供してもよい。

球状ハウジング302の外面は、外部付属デバイス330の接触面334に関して論じられた上記実質的に摩擦のないコーティングまたは化合物のいずれをも含むことができる。実質的に摩擦のないコーティングまたは化合物の任意の組合せを、球状ハウジング302の外面および外部付属デバイス330の接触面334に組み込んでもよい。

球状ハウジング302は、例えばゴム化合物(rubber compound)、またはシリコーンなどのその他の適切な合成化合物を使用して、増大した(added)摩擦をもたらすのをより促す(conductive to)内面304を含むように、形成されてもよい。球状ハウジング302は、上記にて論じたような、コーティングまたは化合物を使用したほぼ摩擦のない性質を有する外面を含んでいてもよい。

自走式デバイス300が移動するとき、外部付属デバイス330は、自走式デバイス300の頂部の実質的に一定の位置で、バネ端部310に磁気的に連結されたままであってもよい。したがって、自走式デバイス300が巧く動作している間、付勢機構315は、運動面に対する変化しうる傾斜(tilt)角を有してもよく、その傾斜角は、いくらか最小に抑えられたままであるが(remains somewhat minimal)、ほとんどの場合、比較的極端な加速または減速の期間中を除き、典型的には45°を超えない。しかし、自走式デバイス300が連続的に安定して巧く動作している最中に、付勢機構315の傾斜はゼロに近くなるかもしれず、または10°以内になるかもしれない。巧く動作している最中に、方位角(azimuth)は、モータ322、344から車輪318、320に伝達された独立した動力に応じて、任意の角度で変化してもよい。

図5は、自走式球状デバイス400の運動を引き起こすための、例示的な従来の技法を示す。自走式デバイス400は、センサプラットフォーム(sensor platform)404、回転中心402、および質量中心406を有していてもよく、平面412に接触していてもよい。デバイス400用の駆動機構は、デバイス400の球状ハウジングの内面に接触している2つの独立して制御される車輪式アクチュエータ408を、含んでいてもよい。

一定速度で連続運動を実現するために、回転中心402に対する質量中心406の変位を、車輪式アクチュエータ408の動作によって維持してもよい。回転中心402に対する質量中心406の変位は、測定するのが難しくなる可能性がある。したがって、一定速度を維持するための、閉ループ制御器用のフィードバックを得ることが難しくなる可能性がある。しかし変位は、センサプラットフォーム404と平面412との間の傾斜角410に比例しうる。傾斜角410は、様々なセンサ入力から感知されまたは推定されうる。したがってデバイス400用の速度制御器は、車輪式アクチュエータ408に関する速度を調節しかつ一定速度を平面412上で維持するのに、傾斜角410を使用するために実装されてもよい。速度制御器は、所望の速度が生成されるように所望の角度410を決定してもよく、所望の角度の設定点は、駆動機構を調節する閉ループ制御器への入力であってもよい。この速度制御技法は、適宜の感知された角度および角速度のフィードバックを用いて、球状デバイス400の転向および回転(turns and rotations)を制御するように拡張されてもよい。

図6は、上記の例を実施することができるコンピュータシステムを概略的に示す。図2のシステム100に関して論じられた1つまたは複数の構成要素は、図6のシステム500によって機能させることができる。システム100は、多数のコンピュータシステムの組合せを使用して実施されてもよい。コンピュータシステム500は、処理資源510、主メモリ520、読出し専用メモリ(ROM)530、記憶装置540、および通信インターフェース550を含んでいてもよい。コンピュータシステム500は、少なくとも1つのプロセッサ510と、プロセッサ510によって実行されるべき命令522を含む、ランダムアクセスメモリ(RAM)やその他の動的記憶装置などの、主メモリ520を含んでいてもよい。主メモリ520は、プロセッサ510によって実行される命令の実行中に、一時的な変数またはその他の中間情報を記憶していてもよい。コンピュータシステム500は、プロセッサ510に関する静的な情報および命令を記憶するために、読出し専用メモリ(ROM)530やその他の静的記憶装置を含んでいてもよい。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置540は、情報および命令を記憶してもよい。例えば記憶装置540は、自走式デバイス100、200、300、400を巧く動作させるための論理を引き出す(trigger)コンピュータ可読性媒体に対応していてもよい。

通信インターフェース550は、コンピュータシステム500で、確立されたネットワークリンク552(無線および/または有線)を介して制御装置580と通信できるようにしてもよい。ネットワークリンク552を使用して、コンピュータシステム500は、自走式デバイス100、200、300、400を巧く動作させるためのコマンド命令を受信してもよい。

コンピュータシステム500は、本明細書に記載される技法を実施してもよい。それらの技法は、主メモリ520に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ510に応答して、コンピュータシステム500によって行われてもよい。そのような命令は、記憶装置540などの別の機械可読性媒体(machine-readable medium)から、主メモリ520に読み取られてもよい。主メモリ520に含有される命令の実行により、プロセッサ510で、本明細書に記載されるプロセスステップを行わせることができる。配線論理回路(hard-wired circuitry)は、本明細書に記載される例を実施するソフトウェア命令の代わりに、またはその命令と組み合わせて、使用されてもよい。このように、記載される例は、ハードウェア回路およびソフトウェアの特定の組合せに限定されない。

この概念の球状形状は、自律的なまたは任意の車両の移動方法を変える(transform)ことができる。球状の形状は、自律的なおよび任意の移動性(mobility)の要求を満たす快適さ、安全性、操縦性に、有益に寄与しうる。この多方向性タイヤは、全方向に移動して、乗客の安全性および快適さに寄与すると共に、任意の空間的制約に対処しうる。能動的な滑り防止技術(active anti-sliding technology)によって、タイヤは、ブラックアイスまたは突然の障害などの潜在的な危険からの滑りを低減させるために、必要に応じて動くことが可能になる。

球状形状は、乗客の快適さに対処するために、滑らかな乗り心地を提供することができる。球状形状は、車がその駆動方向を変化させずに障害物を追い越す(overtake)のを助けるために、流れるような横移動(fluid, lateral movement)をもたらしてもよい。さらに、360度の転向が球状形状では可能であるので、球状タイヤを取り付けた車を駐車スポットに寄せる場合に少しの空間しか必要としないことから、予測される駐車場の窮屈さを克服することができる。公共の駐車領域が将来同じ役割を果たすと仮定すると、これは公共の駐車領域の全体サイズを増大させることなくその容量を著しく増大させることができる。

本発明による球状タイヤ/駆動装置は、車両の荷重を担うのに、磁気浮上を利用してもよい。そのような球状タイヤは、磁気浮上列車と同様に、磁場によって車両から懸架されていてもよく、その結果、ユーザに快適さの増大と騒音の低減をもたらす。そのような装置によれば、球状タイヤの本体および/または車両の本体への、可動部品の総体的な一体化(total integration)が可能になる(例えば、環境に曝される可動部品または臨界面(critical surface)はない。)。さらに、再充電システムは、磁気誘導を通して、全体を外部環境から切り離すことができる。

この装置により、製造および組立てが単純化されるであろうし、それと共に、リム、ステアリングシステム、車軸、ショックアブソーバ、バネなどのいくつかの構成要素をすっかりなくせるかもしれず、したがって、重量およびコストが低減される。磁気浮上および制御は、車両と道路との間の直接的な接触を全てなくすことができ、それによって振動、騒音、および直接接触によるその他の望ましくない作用が緩和される。

球状タイヤは、従来のタイヤトレッドの機能を模倣しても模倣していなくてもよい、いくつかの球状トレッド層を有していてもよい。球状トレッドの内部の構造は、車両の荷重を受けるのに十分強力であるがトレッドを変形させて道路との適切な接地面を生じさせるのに十分柔軟な、肥大する(auxetic)または通常のフォーム(foam)材料であってもよい。

磁性材料層および/または反磁性層は、タイヤと車両との間で浮上および制御をもたらすために、球状トレッド構造の内部に位置してもよい。車両が休止し使用されていないときに車両/タイヤがエネルギーを消費しないように、車両は、球状タイヤから繰り返し浮上(alternate levitation)させてもよく、または永続的に浮上させてもよい。反磁性材料は、それ自体が有効な磁場にもたらされた場合にのみ、磁場を発生させてもよい。

磁場に関するエネルギーの一部または全ては、球状タイヤ内のバッテリまたは車両内のバッテリから来るものであってもよい。球状タイヤ内のバッテリは、車両内のバッテリからの誘導転送(inductive transfer)によって、充電および再充電されてもよい。

球状タイヤ内の電気モータは、上述の場合と同様に、タイヤおよび車両の移動性をもたらすことができる。あるいは、磁気パルスがタイヤおよび車両を動かして(emote)もよい。球状タイヤの荷重を支える(load bearing)部分は、グラフェン層または炭素繊維の層で構築されていてもよい。

図1に示されるように、本発明による車両901に関する支持アセンブリ1000は、少なくとも2つの球状タイヤ1010、車両901が道路表面に沿って輸送され得るようにタイヤ1010を動かす駆動システム1100を含んでいてもよい。車両901は、車、ゴルフカート、オートバイ、軍用輸送機(military transport)などであってもよい。駆動システム1100は、車両901を、タイヤ1010から第1の所定の距離に磁気的に浮上させ、駆動システム1100を、道路表面に対して一定方向に磁気的に維持する。駆動システム1100の第1の部分1110は、部分1110の全体が各タイヤ1010の内部空間1025内に入っている(enclosed)ように、それ自体をタイヤ1010の内面1020から第2の所定の距離に磁気的に浮上させてもよい。駆動システム1100の別の部分1120は、車両901を、タイヤ1010から第1の所定の距離に磁気的に浮上させてもよい。駆動システム1100のいずれかの部分1110または1120は、磁場の変動に応答する、磁気的に受動的な構成要素であってもよい。駆動システム1100の、対応するその他の部分1120または1110は、磁場に変動を発生させる磁気的に能動的な構成要素であってもよい。いずれかの構成要素1110、1120は、それ自体が定磁場を発生させてもよい。

球状タイヤ1010は、いくつかの球状層1030を含んでいてもよい。層1030のいくつかは、トレッド、ベルト、オーバーレイ、カーカスなどの従来の空気タイヤの層と同様に機能してもよい。前記層1035の少なくとも1つは、タイヤ1010のそれぞれが、車両901、駆動システム1100、および道路表面に対してタイヤの球状中心1011を中心として制御可能に回転できるよう、磁場の変動に応答できる材料を含んでいてもよい。

タイヤの設計をさらに改善するための進行中の試みでは、タイヤ性能、転がり抵抗(または燃費)、およびトレッド摩耗の間で葛藤(tension)がある。典型的には、消費者向けタイヤで使用するために、トレッド化合物(tread compound)は、これら3つの性能を最適化するように設計される。しかし燃費を改善しようとする試みは、性能および/またはトレッド摩耗にしばしば妥協をもたらす。より高い性能のタイヤの場合、より良い性能の実現は、トレッド摩耗および/または燃費の妥協と共にしばしば行われる。したがって、他の2つをほとんどまたは全く損なうことなく、性能、燃費、および/またはトレッド摩耗を改善することができる、図1の球状トレッド層1030のようなエラストマー性トレッド化合物を開発することが望まれる。

様々な極性非プロトン性ポリマーの水溶液は、下限臨界共溶温度(LCST:lower critical solution temperature)を示す。これらの溶液がLCSTよりも高く加熱されるとき、水分子との水素結合に比べて分子内水素結合が好ましい。これはポリマーコイルを潰し、溶液からポリマーを沈殿させる。この相転移は、温度が再びLCSTよりも低下したときにポリマーが再溶解するように、可逆的である。LCSTポリマーの例は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)である。このポリマーの水溶液は、約33℃でLCST転移を示す。

LCSTポリマーとエラストマーとの組合せは、エラストマーが水に曝される様々な用途で、エラストマー性能のより良好な制御の可能性をもたらす。LCSTポリマーとエラストマーとの単純な混合は、LCSTポリマーとエラストマーとの間の共有結合の欠如に起因して、マクロ相分離を経験することになる化合物をもたらす。そのようなマクロ相分離は、トレッド化合物の性質に有害な影響をもたらし得る。

球状トレッド層1030は、以下のものを含むゴム組成物を含んでいてもよい:少なくとも1つの共役ジエンモノマー、および任意選択で少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを含む、モノマーに由来する(derived from)、ポリマー主鎖を含むコポリマーと;下限臨界共溶温度(LCST)を示すことが可能なポリマーを含む、主鎖に結合されたポリマー側鎖と;任意選択で、少なくとも1種の追加のジエン系エラストマーと;カーボンブラックおよびシリカからなる群から選択された充填材。

ゴム組成物は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび任意選択で少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを含むモノマーに由来するポリマー主鎖と;下限臨界共溶温度(LCST)を示すことが可能なポリマーを含む、主鎖に結合されたポリマー側鎖とを含むコポリマーを含んでいてもよい。

一例では、コポリマーは、式I:

の構造を有していてもよく、 式中、Xは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび任意選択で少なくとも1つのビニル芳香族モノマーを含むモノマーに由来するポリマーであり;Zは、下限臨界共溶温度(LCST)を示すことが可能なポリマーであり;Yは、XおよびZの両方に結合された2価の基であり;nは、Xに結合された−[−Y−Z]基の数である。

一例では、ポリマーXは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、ジエン系エラストマーである。本明細書で使用される「オレフィン不飽和を含有するゴムまたはエラストマー」または「ジエン系エラストマー」という文言は、同義であり、天然ゴムとその様々な未加工および再生(reclaim)形態ならびに様々な合成ゴムの両方を含むことを意図する。本発明の記載において、「ゴム」および「エラストマー」という用語は、別に定めない限り、互換的に使用され得る。「ゴム組成物」、「配合ゴム(compounded rubber)」、および「ゴム化合物(rubber compound)」という用語は、様々な成分および材料とブレンドされまたは混合されているゴムを指すのに互換的に使用され、そのような用語は、ゴム混合またはゴム配合の技術分野の当業者に周知である。代表的な合成ゴムは、ブタジエンならびにその同族体および誘導体、例えばメチルブタジエン(即ち、イソプレン)、ジメチルブタジエン、およびペンタジエン、の単独重合生成物、ならびにブタジエンまたはその同族体もしくは誘導体とその他の不飽和モノマーとから形成されたようなコポリマーである。後者の中には、アセチレン類、例えばビニルアセチレン;オレフィン、例えば、イソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する。)、メタクリル酸、および、ブタジエンと重合してSBRを形成するスチレン、ならびにビニルエステルならびに様々な不飽和アルデヒド、ケトンおよびエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトンおよびビニルエチルエーテルがある。合成ゴムの具体的な例には、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(cis−1,4−ポリブタジエンを含む。)、ポリイソプレン(cis−1,4−ポリイソプレンを含む。)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴムまたはブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3−ブタジエンまたはイソプレンと、スチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレートなどのモノマーとのコポリマー、ならびにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーが含まれる。使用され得るゴムの追加の例には、アルコキシ−シリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR、およびSIBR)、ケイ素結合およびスズ結合星状分枝(star-branched)ポリマーが含まれる。好ましいゴムまたはエラストマーは、ポリイソプレン(天然または合成)、ポリブタジエン、およびSBRである。

別の例では、約20から約28パーセントの結合スチレンの、比較的従来通りのスチレン含量を有する、乳化重合に由来するスチレン/ブタジエン(E−SBR)を使用してもよく、いくつかの適用例では、中程度から比較的高い結合スチレン含量を有するE−SBR、即ち約30から約45パーセントの結合スチレン含量を有するE−SBRである。

乳化重合により調製されたE−SBRとは、スチレンおよび1,3−ブタジエンが水性エマルジョンとして共重合されたことを意味する。結合スチレン含量は様々にすることができ、例えば約5から約50パーセントにすることができる。一態様では、E−SBRは、例えばターポリマー中の結合アクリロニトリルが約2から約30重量パーセントの量で、E−SBARとしてターポリマーゴムを形成するためのアクリロニトリルを含有していてもよい。

コポリマー中に約2から約40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含有する、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムも、本発明で使用されるジエン系ゴムとして考えることができる。溶液重合で調製されたSBR(S−SBR)は、約5から約50、好ましくは約9から約36パーセントの範囲の結合スチレン含量を有していてもよい。S−SBRは、例えば、有機炭化水素溶媒の存在下での有機リチウム触媒化によって、都合良く調製することができる。

別の例では、cis−1,4−ポリブタジエンゴム(BR)を使用してもよい。そのようなBRは、例えば、1,3−ブタジエンの有機溶液重合によって調製されてもよい。BRは、例えば、少なくとも90パーセントのcis−1,4−含量を有することによって、都合良く特徴付けられてもよい。本明細書で使用される「phr」という用語は、「ゴムまたはエラストマー100重量部当たりのそれぞれの材料の重量部」を指す。

一例において、下限臨界共溶温度(LCST)を有するポリマーZは、LCST挙動を有することが知られている様々な第2のモノマーのホモポリマーおよびコポリマーを含んでいてもよく、このポリマーには:アクリルアミドおよび置換アクリルアミド、メタクリルアミドおよび置換メタクリルアミド、アクリル酸および置換アクリル酸、メタクリル酸および置換メタクリル酸、ビニルアルキルエーテルおよび置換ビニルアルキルエーテル、ビニルカプロラクタムおよび置換ビニルカプロラクタムと、LCST挙動を備えるポリマーをもたらすことが知られているその他のモノマー、例えばオリゴ(エチレングリコール)メタクリレートおよび2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、および同様のモノマーのポリマーが含まれるが、これらに限定するものではない。

「下限臨界共溶温度(LCST)を示すことが可能」とは、水の存在下で、ポリマーZが水と会合して(associate)水膨潤性ポリマー相を形成することを意味し、この水膨潤性ポリマー相は、LCSTよりも低い温度からLCSTよりも高い温度に加熱されたときにLCST転移を示すことになる。したがってポリマーZは、ポリマーZがグラフトコポリマーの側鎖として存在するときに、LCSTを示すことが可能である。

一例では、ポリマーZは式II:

の第2のモノマーのポリマーであり、 式中、R1およびR2は独立して、水素、C2〜C6直鎖状アルキル、C2〜C6分枝状アルキル、およびC3〜C6シクロアルキルからなる群から選択され、但しR1およびR2の少なくとも1つが水素ではないことを前提とする。

一例では、Zは式(III)

であってもよく、 式中、R1およびR2は独立して、水素、C2〜C6直鎖状アルキル、C2〜C6分枝状アルキル、およびC3〜C6シクロアルキルからなる群から選択され、但しR1およびR2の少なくとも1つが水素ではないことを前提とし、mは、炭化水素鎖の重合度である。

一例では、ポリマーZが、N置換アクリルアミド誘導体のポリマーである。

一例では、ポリマーZが、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、またはN,N−ジエチルアクリルアミドのポリマーである。

一例では、下限臨界共溶温度を示すことが可能なポリマーZは、約500から約20000g/gmolの範囲に及ぶ重量平均分子量を有する。

一例では、ポリマーZは、下限臨界共溶温度を示すことが可能であり、約0℃から約100℃に及ぶ範囲の、下限臨界共溶温度を有していてもよい。

一例では、コポリマーは、約1から約20重量パーセントのZを含む。Yは、XおよびZの両方に結合された2価の基であってもよい。一例では、Yは硫黄または酸素である。一例では、Yは硫黄である。

一般に、Yは、ポリマーXの炭素−炭素二重結合と反応することが可能なポリマーZの末端官能基として生ずる。したがってコポリマー中に存在するとき、YはXをZに結合する。一例では、末端官能基はチオール基である。そのような末端官能基は、重合中、例えば当技術分野で公知の適切な連鎖移動剤または停止剤の使用を通して、ポリマーZに組み込まれてもよい。Xに結合され得る−[−Y−Z]基の数nは、所与のコポリマー分子中で約2から約30の範囲に及ぶ。

コポリマーは、様々な方法によって生成されてもよい。一例では、コポリマーは、エラストマー主鎖およびLCSTポリマー側鎖でグラフトコポリマーが生成されるように、LCSTポリマーZの側鎖でポリマーXを官能化することによって生成されてもよい。様々なエラストマーを官能化するための都合の良い方法は、チオール−エン反応であり、その反応の間に、エラストマー中に存在しているアルケン部分がチオールとの反応によってチオエーテルに変換される。この反応は、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、およびポリイソプレンゴム中に存在するときのビニル基により進行し得る。エラストマーの官能化を可能にするために、LCSTポリマーはチオール末端基を特徴としてもよい。これらは、求核剤とのチオカルボニルチオ末端基の反応によって導入することができる。チオカルボニルチオ末端基を示すポリマーは、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT:reversible addition-fragmentation chain transfer)重合によって生成することができる。1つの反応スキームは、LCSTポリマーとしてのPNIPAMの使用について説明しているが、本発明は上記に限定するものではなく、なぜならば、例えばRAFT重合によって生成することができる、反応性末端基を持つ任意のLCSTポリマーを、エラストマーの官能化に使用することができるからである。

グラフトコポリマーを生成する方法の第1のステップは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む第1のポリマーを得る工程であり得る。その方法の第2のステップは、第2のポリマーを得る工程であり得る。第2のポリマーは、下限臨界共溶温度(LCST)を示してもよく、第1のポリマーの炭素−炭素二重結合と反応することが可能な末端官能基を含んでいてもよい。一例では、第2のポリマーは、チオカルボニルチオRAFT連鎖移動剤の存在下で第2のポリマーを重合して、末端チオカルボニルチオ基を含むポリマーを形成し;末端チオカルボニルチオ基をチオール基に切断して、末端チオール基を含む第2のポリマーを形成することによって得られる。

一例では、第2のポリマーの末端官能基は、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)のメカニズムを通して、重合中に第2のポリマーに組み込まれる。RAFT重合メカニズムのさらなる詳細は、Moadら、Aust. J. Chem. 2005、58、379〜410を参照することによって見出すことができる。フリーラジカル重合性モノマーのRAFT重合は、式(IV):

(式中、R3は、重合を再度開始することができるフリーラジカル脱離基(free radical leaving group)であり、Qは、ラジカル付加および開裂の速度に影響を及ぼす官能基である。)のチオカルボニルチオRAFT連鎖移動剤の存在下で実現されてもよい。適切なチオカルボニルチオRAFT連鎖移動剤には、ジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート、およびキサンテートが含まれる。一実施形態では、チオカルボニルチオ連鎖移動剤は、トリチオカーボネートである。一実施形態では、チオカルボニルチオ連鎖移動剤は、S−1−ドデシル−S−(αα’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネートおよび4−シアノ−4−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−4−メチル酪酸からなる群から選択される。

適切なチオカルボニルチオ連鎖移動剤の存在下でのRAFT重合により、連鎖停止ポリマーは、式(V):

(式中、Pnは、LCSTを示すポリマー鎖を表す。) を有する。

次いで式Vの連鎖停止ポリマーを、適切な求核剤と反応させてC−S結合を切断することにより、式(VI):

の末端チオール基を有する式(VI)の第2のポリマーを得てもよい。

一例では、式Vの連鎖停止ポリマーをアミノリシス(aminolysis)によって処理することにより、式VIのチオール末端ポリマーが得られる。

前記方法の第3のステップは、第2のポリマーを第1のポリマーと反応させてグラフトコポリマーを形成する工程であって、このグラフトコポリマーは、第1のポリマーに由来する主鎖と、第2のポリマーに由来する側鎖とを含む工程であってよい。第2のポリマーの、第1のポリマーとの反応中、第2のポリマーは、第2のポリマーの末端官能基と第1のポリマーの不飽和炭素−炭素結合との反応を通して、第1のポリマーと結合されてもよい。一例では、チオール末端化された第2のポリマーを、チオール−エン反応を介して、フリーラジカル開始剤の存在下で第1のポリマーと反応させてもよく、例えば、Macromolecules 2008、41、9946〜9947を参照されたい。一例では、フリーラジカル開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(azobisisobutyonitrile)からなる群から選択される。

ゴム組成物は、下限臨界共溶温度(LCST)を有するポリマーを含むコポリマーに加え、オレフィン不飽和を含有する1種または複数のゴムまたはエラストマーを任意選択で含んでいてもよい。「オレフィン不飽和を含有するゴムまたはエラストマー」または「ジエン系エラストマー」という文言は、天然ゴムと、その様々な未加工および再生形態ならびに様々な合成ゴムの両方を含むことを意図する。本発明の記載において、「ゴム」および「エラストマー」という用語は、他に指示しない限り、互換的に使用され得る。「ゴム組成物」、「配合ゴム」、および「ゴム化合物」という用語は、様々な成分および材料とブレンドされまたは混合されているゴムを指すのに互換的に使用され、そのような用語は、ゴム混合またはゴム配合の技術分野の当業者に周知である。代表的な合成ポリマーは、ブタジエンならびにその同族体および誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン、およびペンタジエンの単独重合生成物であり、ならびにブタジエンまたはその同族体もしくは誘導体とその他の不飽和モノマーとから形成されたようなコポリマーである。後者の中には、アセチレン類、例えばビニルアセチレン;オレフィン、例えばイソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する。)、メタクリル酸、およびブタジエンと重合してSBRを形成するスチレン、ならびにビニルエステル、ならびに様々な不飽和アルデヒド、ケトンおよびエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトンおよびビニルエチルエーテルがある。合成ゴムの具体的な例には、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(cis−1,4−ポリブタジエンを含む。)、ポリイソプレン(cis−1,4−ポリイソプレンを含む。)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴムまたはブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3−ブタジエンまたはイソプレンと、スチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレートなどのモノマーとのコポリマー、ならびにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーが含まれる。使用され得るゴムの追加の例には、アルコキシ−シリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR、およびSIBR)、ケイ素結合およびスズ結合星状分枝ポリマーが含まれる。好ましいゴムまたはエラストマーは、ポリイソプレン(天然または合成)、ポリブタジエン、およびSBRである。

少なくとも1種の追加のゴムは、ジエン系ゴムの少なくとも2種のものであってもよい。例えば、2種以上のゴムの組合せは、cis−1,4−ポリイソプレンゴム(天然または合成であるが、天然が好ましい。)、3,4−ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化および溶液重合に由来するスチレン/ブタジエンゴム、cis−1,4−ポリブタジエンゴム、および乳化重合から調製されたブタジエン/アクリロニトリルコポリマーであってもよい。

一例では、結合スチレンが約20から約28パーセントである比較的従来通りのスチレン含量を有する乳化重合に由来するスチレン/ブタジエン(E−SBR)が、使用される可能性があり、いくつかの適用例では、E−SBRは、中程度から比較的高い結合スチレン含量を有する、即ち約30から約45パーセントの結合スチレン含量を有する。

乳化重合により調製されたE−SBRとは、スチレンおよび1,3−ブタジエンが水性エマルジョンとして共重合されたことを意味する。そのようなものは、そのような技術分野の当業者に周知である。結合スチレン含量は様々にすることができ、例えば約5から約50パーセントにすることができる。一態様では、E−SBRは、例えばターポリマー中の結合アクリロニトリルが約2から約30重量パーセントの量で、E−SBRとしてターポリマーゴムを形成するためのアクリロニトリルを含有していてもよい。

コポリマー中に約2から約40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含有する、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムも、本発明で使用されるジエン系ゴムとして考えることができる。溶液重合で調製されたSBR(S−SBR)は、約5から約50、好ましくは約9から約36パーセントの範囲の結合スチレン含量を有していてもよい。S−SBRは、例えば、有機炭化水素溶媒の存在下での有機リチウム触媒化によって、調製することができる。一例では、cis−1,4−ポリブタジエンゴム(BR)を使用してもよい。そのようなBRは、例えば、1,3−ブタジエンの有機溶液重合によって調製することができる。BRは、例えば、少なくとも90パーセントのcis−1,4−含量を有することによって、特徴付けられてもよい。本明細書で使用され、従来通りの慣例による「phr」という用語は、「ゴムまたはエラストマー100重量部当たりのそれぞれの材料の重量部」を指す。

ゴム組成物は、最大70phrの加工油(processing oil)を含んでいてもよい。加工油は、エラストマーを増量する(extend)のに典型的に使用されるエキステンダー油として、ゴム組成物中に含めてもよい。加工油は、ゴム配合中に直接、油を添加することによって、ゴム組成物中に含まれていてもよい。使用される加工油は、エラストマー中に存在するエキステンダー油と、配合中に添加される加工油との両方を含んでいてもよい。適切な加工油には、芳香族、パラフィン系、ナフテン系、植物油、および低PCA油、例えばMES、TDAE、SRAE、および重(heavy)ナフテン油を含めた、当技術分野で知られた様々な油が含まれる。適切な低PCA油には、IP346法によって決定されるように、多環式芳香族含量が3重量パーセント未満であるものが含まれる。IP346法に関する手順は、Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related ProductsおよびBritish Standard 2000 Parts、2003、62版、the Institute of Petroleum刊行、英国に見出すことができる。

ゴム組成物は、約10から約150phrのシリカを含んでいてもよい。別の例では、20から80phrのシリカを使用してもよい。熱分解性のおよび沈殿したケイ質顔料(シリカ)を含めたケイ質顔料を、ゴム組成物中に使用してもよい。一例では、沈殿シリカが使用される。用いられるケイ質顔料は、例えばケイ酸ナトリウムなど、可溶性シリケートの酸性化によって得られるような、沈殿シリカであってもよい。

そのようなシリカは、例えば、窒素ガスを使用して測定されるBET表面積を有することによって特徴付けられてもよい。一実施形態では、BET表面積は、グラム当たり約40から約600平方メートルの範囲にあってもよい。別の例では、BET表面積は、グラム当たり約80から約300平方メートルの範囲にあってもよい。表面積を測定するBET法は、the Journal of the American Chemical Society、60巻、304頁(1930)に記載されている。シリカは、約100から約400、あるいは約150から約300の範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによって特徴付けられてもよい。シリカは、電子顕微鏡により決定したときに、例えば0.01から0.05ミクロンの範囲の平均極限粒度(ultimate particle size)を有していてもよいが、シリカ粒子はそのサイズがさらに小さくてもよく、またはおそらくはより大きくてもよい。本明細書で単なる例として限定することなく、210、243などで指定されるHi−Silという商標でPPG Industriesから市販されているシリカ;例えばZ1165MPおよびZ165GRで指定される、Rhodiaから入手可能なシリカと、例えばVN2およびVN3などで指定される、Degussa AGから入手可能なシリカなどの、様々な市販のシリカを使用してもよい。

カーボンブラックは、10から150phrの範囲に及ぶ量で、充填材として使用されてもよい。別の例では、20から80phrのカーボンブラックを使用してもよい。そのようなカーボンブラックの代表的な例には、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990、およびN991が含まれる。これらのカーボンブラックは、9から145g/kgに及ぶヨウ素吸収と、34から150cm3/100gに及ぶDBP数とを有する。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE:ultra high molecular weight polyethylene)、架橋粒状ポリマーゲル、および可塑化デンプン複合充填材(plasticized starch composite filler)などの粒状充填材を含むがこれらに限定されないその他の充填材が、ゴム組成物中に使用されてもよい。その他の充填材を、1から30phrの範囲の量で使用してもよい。

一例では、ゴム組成物は、硫黄含有有機ケイ素化合物を含有していてもよい。適切な硫黄含有有機ケイ素化合物の例は、式(VII):

のものであり、 式中、Zは、

からなる群から選択され、 但しR4は、1から4個の炭素原子のアルキル基、シクロヘキシル、またはフェニルであり;R5は、1から8個の炭素原子のアルコキシ、または5から8個の炭素原子のシクロアルコキシであり;Alkは、1から18個の炭素原子の2価の炭化水素であり、nは、2から8の整数である。

一例では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリメトキシまたはトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一例では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドおよび/または3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。したがって、式VIIに関し、Zは

であってもよく、式中、R5は、2から4個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子のアルコキシであり;alkは、2から4個の炭素原子、あるいは3個の炭素原子の2価の炭化水素であり;nは、2から5の整数、あるいは2または4である。

一例では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、Momentive Performance MaterialsからNXT(商標)として市販されている3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン CH3(CH2)6C(=O)−S−CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3を含む。別の例では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、Si−363である。ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用されるその他の添加剤のレベルに応じて様々であってもよい。概して、当該化合物の量は、0.5から20phrの範囲にあってよい。一例では、その量は、1から10phrの範囲にある。

ゴム組成物は、様々な硫黄加硫構成ゴム(sulfur-vulcanizable constituent rubbers)と、様々な一般に使用される添加剤材料、例えば硫黄供与体、硬化助剤、例えば活性剤および遅延剤など、加工添加剤(processing additive)、例えば油、粘着付与樹脂を含めた樹脂、および可塑剤、充填材、顔料、脂肪酸酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤およびオゾン亀裂防止剤、およびペプタイザー(peptizing agent)などとの混合など、ゴム配合の技術分野で一般に知られた方法によって配合され得ることが、当業者に容易に理解される。当業者に公知のように、硫黄加硫可能なおよび硫黄加硫化された材料(ゴム)の意図される使用に応じて、上述の添加剤は選択されかつ従来の量で一般に使用される。硫黄供与体の代表的な例には、元素硫黄(遊離硫黄)、二硫化アミン、ポリマーポリスルフィド、および硫黄オレフィン付加物(sulfur olefin adducts)が含まれる。一実施形態では、硫黄加硫剤が元素硫黄である。硫黄加硫剤は、0.5から8phrの範囲の量で、あるいは1.5から6phrの範囲で使用されてもよい。使用される場合の粘着付与樹脂の典型的な量は、約0.5から約10phr、通常は約1から約5phrである。加工助剤(processing aids)の典型的な量は、約1から約50phrである。抗酸化剤の典型的な量は、約1から約5phrである。代表的な抗酸化剤は、例えば、ジフェニル−p−フェニレンジアミンなど、例えばThe Vanderbilt Rubber Handbook (1978)、344から346頁までに開示されたものであってもよい。オゾン亀裂防止剤の典型的な量は、約1から5phrである。ステアリン酸を含むことができる脂肪酸の典型的な量は、使用される場合、約0.5から約3phrである。酸化亜鉛の典型的な量は、約2から約5phrである。ワックスの典型的な量は、約1から約5phrである。しばしば微結晶質ワックスが使用される。ペプタイザーの典型的な量は、約0.1から約1phrである。典型的なペプタイザーは、例えば、ペンタクロロチオフェノールおよびジベンズアミドジフェニルジスルフィドであってもよい。

促進剤(accelerator)は、加硫化に必要とされる時間および/または温度を制御するのに、および加硫化物の性質を改善するのに使用される。一例では、単一促進剤系が使用されてもよく、即ち1次促進剤である。(1種または複数の)1次促進剤は、約0.5から約4、あるいは約0.8から約1.5phrの範囲の総量で使用されてもよい。別の例では、1次および2次促進剤の組合せを使用してもよく、この2次促進剤は、加硫化物の性質を活性化し改善するために、約0.05から約3phrなどのより少ない量で使用される。これらの促進剤の組合せは、最終的な性質に相乗効果をもたらすことが予測でき、いずれかの促進剤を単独で使用することにより生成されたものよりもいくらか良好である。さらに、通常の加工温度による影響を受けずに通常の加硫化温度で満足のいく硬化をもたらす、遅延性促進剤(delayed action accelerators)を使用してもよい。加硫遅延剤を使用してもよい。適切なタイプの促進剤は、アミン、二硫化物、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート、およびキサンテートであってもよい。一例では、1次促進剤がスルフェンアミドである。第2の促進剤が使用される場合、2次促進剤は、グアニジン、ジチオカルバメート、またはチウラム化合物であってもよい。

ゴム成分は、少なくとも2段階で、即ち少なくとも1つの非生成(non-productive)段階の後に生成混合(productive mix)段階を行うことによって混合されてもよい。硫黄加硫化剤を含めた最終硬化剤は、「生成」混合段階と呼んでもよい最終段階で混合されてもよく、この段階において、混合は、先行する(1つまたは複数の)非生成混合段階の(1つまたは複数の)混合温度よりも低い温度、もしくは極限温度(ultimate temperature)、で典型的に行われる。「非生成」および「生成」混合段階という用語は、ゴム混合の技術分野の当業者に周知である。ゴム組成物は、熱機械的(thermomechanical)混合ステップに供されてもよい。熱機械的混合ステップは、一般に、140℃から190℃の間のゴム温度を生成するために適切な期間にわたる、混合機または押出し機内での機械的仕事(mechanical working)を含む。熱機械的加工の適切な持続時間は、動作条件と、構成要素の体積および性質の関数として、様々に変化する。例えば、熱機械的加工は1から20分であってもよい。

ゴム組成物は、図1の球状トレッド層1030など、のタイヤの様々なゴム構成要素に組み込まれていてもよい。例えばゴム構成要素は、トレッド(トレッドキャップおよびトレッドベースを含む。)、サイドウォール、エイペックス、チェーファ、サイドウォールインサート、ワイヤコート、またはインナーライナであってもよい。

球状タイヤの加硫化は、約100℃から200℃の範囲の従来の温度で実施されてもよい。一例では、加硫化は、約110℃から180℃の範囲の温度で実行される。プレスまたは金型での加熱、過熱水蒸気または高温空気による加熱など、通常の加硫化プロセスのいずれかを使用してもよい。

本発明による球状トレッド層1030は、自然を模造または生物模倣してもよい(imitate, or bio-mimic, nature)。例えばトレッド層1030は、脳サンゴのパターンを模倣してもよい。トレッド層1030の溝底部(groove bottom)は、上述のような材料を含んでいてもよい。材料は、海綿と同様に反応してもよく、乾燥時には堅く、湿潤時にはより柔らかくなって、適度な駆動性能およびハイドロプレーニング抵抗を実現する。そのようなテクスチャは、道路上の水を吸収し、遠心力を通してタイヤの接地面から水を排出することにより、ハイドロプレーニングのリスクを低減させ得る。このように、乾燥時には、溝底部の材料は、乾燥性能およびハンドリングを改善するためにトレッドを堅くし得る。湿潤時、溝底部の材料は柔らかくなって、事実上、より深い溝とより良好な湿潤トラクションをもたらし得る。

以下に、LCSTポリマーに係る例について記載する。

例1. 本例では、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、又はPNIPAMの製造を示す。

RAFT重合を用いてPNIPAMを製造した。この目的のために、次の連鎖移動剤(CTA)を用意した:4−シアノ−4−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−4−メチル酪酸(CDSMB)。

RAFT反応スキームは次の通りである。

・連鎖移動剤(CDSMB)の合成 4−シアノ−4−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−4−メチル酪酸は二段階で合成した。第一段階は文献手順を使用して製造した[W.G.Weber,J.B.McLeary,R.D.Sanderson,Tetrahedron Lett.2006,47,4771.]。

段階1:ビス−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド 収率:72% 1H−NMR(CDCl3/300MHz):δ[ppm]:0.86(t,6H);1.11−1.43(m,36H);1.65(q,4H);2.66(t,4H)。

段階2:4−シアノ−4−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−4−メチル酪酸 10gのビス−(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドと7.7gの4,4’−アゾビス(4−シアノ)ペンタン酸を60mlの蒸留したてのジオキサン中に溶解した。混合物をアルゴン流下で1時間脱ガスし、アルゴン雰囲気下で21時間、80℃に加熱した。溶媒を蒸発させ、得られた暗橙色油をヘキサンから2回再結晶させた。 収率:52% 1H−NMR(CDCl3/300MHz):δ[ppm]:0.87(t,3H);1.12−1.45(m,18H);1.68(q,2H);1.87(s,3H);2.30−2.63(m,2H),2.68(t,2H);3.32(t,2H)。

・PNIPAM−CTAの合成 すべてのNIPAM−ポリマーとも、N−イソプロピルアクリルアミド、CTA、AIBN及び溶媒として乾燥ジオキサンを含むシュレンク管内で製造した。全成分の正確な量は表1から得ることができる。3回の凍結脱気(freeze−pump thaw)サイクル後、混合物を80℃に予熱された油浴中に20時間置いた。混合物をヘキサン(貧溶媒)/THF(良溶媒)中で3回沈殿させ、真空下で乾燥させた。表2にはさらに、使用されたNIPAM(N−イソプロピルアクリルアミド)モノマー、CTA(DMP又はCDSMB)、AIBN及びジオキサンの量も示されている。収率は使用されたモノマーの量を基準にしている。分子量は、GPCにより、DMF中、PMMAを較正として用いて測定した。

トリチオカーボネート末端基の開裂はアミノリシスによって実施した。アミノリシスは、PNIPAM−CTA、トリブチルホスフィン及びアミンのTHF中混合物を室温で数時間撹拌することによって実施した。チオール基への変換を2種類のアミン、すなわちエタノールアミン及びヘキシルアミンを用いて試験した。

UV可視分光法による反応速度測定により、1時間後に反応の完了が確認された。スペクトルは、アミンをポリマーの溶液に添加後15分ごとに測定された。

トリチオカーボネート基の開裂は、UV可視分光法により、310nm(C=S)に吸収バンドがないことからどちらのアミンでも確認された。更なる試験では開裂用としてヘキシルアミンを選んだ。反応後ポリマーの沈殿に使用されるヘキサンにそれが良く溶解するからである。図7に、純CTA(1)、トリチオカーボネート末端基(2)及びSH末端基(3)を有するPNIPAMのスペクトルを比較する。トリチオカーボネート基の吸収バンドの減少及び喪失が示されている。

CTA末端基を有するRAFT合成PNIPAMのLCSTを、UV可視分光法を用い、632nmにおける水中ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)の温度依存性濁度の測定によって決定した。溶液は5mg/mlの濃度を有していた。LCSTは、透過率50%の時の温度と定義された。知られているように、LCSTは、ポリマーの末端基及び分子量に依存する。非常に短いポリマーは、LCSTに対する疎水性末端基の影響のために低いLCSTを有する。LCSTに対する疎水性基の影響は長いポリマー鎖では減退する。これは、表2のポリマーの一部に見ることができる。図8に示されているように、比較的低い分子量を有するサンプルPNI1(1)は20.6℃のLCSTを示しているが、これは約31℃で検出された、より高分子量のサンプルPNI6(3)、PNI10(4)、及びPNI4(5)のLCSTより約11℃低い。

例2. 本例では、PNIPAMによるスチレン−ブタジエンゴムの官能化を示す。 ・官能化ゴムエラストマーの合成 官能化エラストマーを下記の一般的手順を用いて製造した。SBR、AIBN及び例1からのチオール官能化PNIPAMの乾燥THF中溶液をアルゴン雰囲気下室温で2時間脱ガスした。各反応のための遊離体(educt)の正確な量を表3に示す。次に反応混合物を70℃に予熱された油浴中に少なくとも20時間置いた。反応生成物中に遊離チオールがないことを確実にするために、生成物をTHFに対して3日間透析した。透析後、溶媒を蒸発させ、生成物を真空下で乾燥させた。三つの官能化エラストマーの元素分析結果を、得られた官能化SBR中のPNIPAMの計算重量パーセントと共に表4に示す。

SBR(1)及び官能化ゴム(2)の1H−NMRスペクトルを図9に示す。図9に示されているように、典型的なエラストマーシグナルが観察できるが、PNIPAMのイソプロピル基のCH基のピークも3.97ppmに観察できる。ここでも4.95ppmにおけるビニルシグナルの減少が観察でき、官能化の成功が示されている。GPC測定は、図10に示されているように、全サンプルとも架橋があったとしてもほとんどないことを示していた。図10は、SBR(1)及び三つの官能化エラストマーSBR2(2)、SBR5(3)及びSBR6(4)の例示的GPC曲線を示す。図10の約16〜17mlの溶出体積における肩の存在によって示されているように、SBR6は反応中に全く架橋を示さず、SBR2はごくわずかな架橋を示し、SBR5は多少の架橋を示している。三つのサンプルはすべて可溶性であり、大して架橋していないことを示していた。

例3. 本例では、PNIPAM官能化がスチレン−ブタジエンゴムの濡れ性に及ぼす影響を示す。官能化SBRの濡れ性は、官能化ポリマーで被覆されたガラスプレート上の水滴の接触角を測定することによって決定された。

接触角は手順に従って測定された。官能化SBRサンプルをTHF中に溶解し、スライドガラス上にスピンコーティングした。真空下で乾燥後、スライドをニードル下に置き、水滴をニードルから被覆ガラス上にパージ(purge)した。接触角は、液滴とガラス表面間の内角の測定によって決定した。接触角は、一連の官能化SBRのそれぞれについて、22℃及び45℃の二つの温度で測定した。これらの温度は、PNIPAMの32℃というLCSTの十分下及び上であるとして選ばれた。使用されたサンプルは、SBR3、SBR4、SBR5及びSBR2に対応していた。

図11に、二つの温度22℃(1)及び45℃(2)のそれぞれにおける測定接触角をPNIPAM含有量の関数として示す。図11に示されているように、LCSTより低い22℃で測定されたサンプルの接触角は、ポリマー中のPNIPAMの量が増加するに従って接触角の著しい減少を示しており、官能化ポリマーはLCSTより下では比較的親水性になることを示している。それに比べ、LCSTより高い45℃で測定されたサンプルの接触角は比較的一定で、官能化ポリマーはLCSTより上では比較的疎水性であることを示している。LCSTより上及び下の接触角の相対差を図12に示すが、官能化SBRのPNIPAM含有量の増大に伴って親水性挙動の強い増大が示されている。

例4. 本例では、PNIPAM官能化SBRの流動学的性質を示す。

グラフト化PNIPAM側鎖がSBRの機械的挙動に及ぼす影響を調べるために、平行板レオメーター(8mmプレート)及び加熱速度5℃/分を用いて流動学的測定を実施した。図13に、未改質SBRの典型的な流動学的挙動を示す。約70℃より高い温度でG’(1)及びG”(2)は低下し、タンデルタ(tan delta)(3)は増加している。そのような挙動は高温での未改質ポリマーの流動を示している。図14及び15に、6重量パーセントのPNIPAM(図14)及び4重量パーセントのPNIPAM(図15)を有するポリマーのPNIPAMグラフト化SBRの流動学的挙動を示す。図14及び15に示されているように、PNIPAM側鎖をSBRにグラフトすると、G’(1)、G”(2)及びタンデルタ(3)で、高温(約70℃より上)でのゴム性平坦(rubbery plateau)の安定化がもたらされる。何らかの理論に束縛されるつもりはないが、これは、SBRマトリックスからのPNIPAM側鎖のミクロ相分離のためであろうと考えられる。高TgのPNIPAM相は物理的架橋として作用でき、これが高温でのSBRの流動を防止している。図14及び15をさらに参照すると、6重量パーセント及び4重量パーセントのPNIPAMでそれぞれ官能化されたSBRを比較すると、高温(約70℃より上)での温度に伴うタンデルタの増大は、PNIPAM含有量が高い場合に低いことが分かる。ここでも何らかの理論に束縛されるつもりはないが、この挙動は、PNIPAM含有量が増大した場合の、SBRのより効率的な物理的架橋のためとみられる。

例5. 図11〜15に示された挙動から、LCST挙動を示すコポリマーを使用することによって、タイヤ性能、転がり抵抗(燃費の指標)及びトレッド摩耗の間で通常なされる妥協は、コンパウンドの様々な指標を切り離すことにより回避できることが示唆される。

LCST挙動を示すコポリマーを含むトレッドコンパウンドは、タイヤに下記のことを示すことが期待できる。該コポリマーを含むトレッドを使用すると、コポリマーのLCSTより低い温度で湿潤表面と接触するタイヤトレッドは、そのコポリマーを含んでいない以外は同一のタイヤと比較して、増強されたウェットグリップを示すことが期待できる。しかしながら、摩耗及び転がり抵抗は重度に損なわれない。何らかの理論に束縛されるつもりはないが、増強されたウェットグリップは、コポリマーのLCST側鎖に対する水の効果によるトレッド表面の軟化のためと考えられる。この軟化は可逆的であり、従ってトレッドは乾燥条件下では硬化するので、トレッド摩耗は損なわれないはずである。トレッド摩耗は、トレッド表面におけるコポリマーのLCST相間の転移とほぼ無関係だからである。硬化は、LCST側鎖の沈殿のほか、例4で検討した補強効果のためである。さらに、コポリマーのLCST側鎖による軟化効果は、トレッドコンパウンドの本体(バルク)内に拡大することのない表面現象のようなので、トレッドの転がり抵抗は、トレッド表面におけるコポリマーのLCST相間転移と無関係であると考えられる。

本明細書に記載される例は、その他の概念、考えまたはシステムとは独立して、本明細書に記載される個々の要素および概念にまで拡張することが考えられ、また、例えば本出願のいずれかの箇所に言及される要素の組合せを含むことも考えられる。例は、添付図面を参照しながら本明細書に詳細に説明されるが、本開示は、それらの厳密な例に限定されないことが理解される。したがって、多くの改変および変形が、当業者に明らかになろう。

したがって本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されるものとする。さらに、個々にまたは例の一部として記載される特定の特徴は、その他の特徴および例が当該特定の特徴について述べていない場合であっても、その他の個々に記載される特徴またはその他の例の一部と組み合わせてもよいと考えられる。このように、記載される組合せが存在しないことは、そのような組合せに対する権利を除外するものではない。

ある例についてこれまで説明してきたが、記載された例は単なる例であることが理解されよう。したがって本開示は、記載された例に基づいて限定されるべきではない。むしろ本開示の範囲は、上記説明および添付図面に照らして読むときに以下の特許請求の範囲に照らしてのみ限定されるべきである。

901 車両 1000 支持アセンブリ 1010 タイヤ 1011 球状中心 1020 タイヤ内面 1030 球状層 1100 駆動システム 1110 第1の部分 1120 第2の部分 1025 内部空間 102 トランスデューサ 200 システム 202 ユーザ 204 制御データ 206 フィードバック 208 制御装置 210、212 ネットワーク通信リンク 214 自走式デバイス 216 外部付属品 300 自走式デバイス 301 駆動システム 302 球状ハウジング 304 内面 310 バネ端部 312 バネ 314 キャリア 315 付勢機構 316 エネルギー貯蔵構成部品 318、320 車輪 322、324 モータ 326 誘導充電ポート 330 外部付属デバイス 332 磁気構成要素 334 接触面 400 自走式デバイス 402 回転中心 404 センサプラットフォーム 406 質量中心 408 車輪式アクチュエータ 410 傾斜角 412 平面 500 コンピュータシステム

QQ群二维码
意见反馈