粘着剤組成物、およびそれを硬化してなる粘着剤、並びに粘着シート

申请号 JP2015527735 申请日 2015-05-27 公开(公告)号 JPWO2015182656A1 公开(公告)日 2017-05-25
申请人 日本合成化学工業株式会社; 发明人 雄太 川添; 雄太 川添; 浩史 堀家; 浩史 堀家;
摘要 貼り合せ時に充分な粘着 力 を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時での粘着力上昇抑制に効果を有し、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用として有用な粘着剤を提供する。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分を重合して得られるアクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、および1分子中に2個以上の 水 酸基を含有するアミン系化合物(C)を含有する粘着剤組成物。
权利要求
  • (メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分を重合して得られるアクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、および1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物(C)を含有してなることを特徴とする粘着剤組成物。
  • 重合成分全体に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  • 重合成分が、水酸基含有モノマーを含まないことを特徴とする請求項1又は2記載の粘着剤組成物。
  • 1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物(C)が、炭素数10以上のアルキル基を有するN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の粘着剤組成物。
  • イソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基含有量と、1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物(C)中の水酸基含有量とのモル比率(NCO/OH)が、NCO/OH=1〜100であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の粘着剤組成物。
  • ホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の粘着剤組成物。
  • 請求項1〜6のいずれか記載の粘着剤組成物を硬化してなることを特徴とする粘着剤。
  • 請求項7記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有することを特徴とする粘着シート。
  • 说明书全文

    本発明は、アクリル系の粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シートに関し、更に詳しくは、自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用として有用な粘着剤組成物、それを用いてなる粘着剤、粘着シートに関するものである。

    従来からアルミホイール等の自動車ホイールは、自動車の輸送段階において、例えば船舶による輸送の場合、船内の湿度の変化などにより、外部から自動車ホイールの内側にが浸入し、これによりホイールの内面側のディスクブレーキに錆が発生する等の問題が生じており、この錆の発生を防止するため、ホイール表面に保護フィルムが貼り付けられている。

    自動車ホイールに用いられる保護フィルムは、自動車の納車時まで貼付された状態を維持する必要があり、納車後、保護フィルムを剥離する際には、容易に剥離することができ、剥離した際に、ホイール表面に糊残りが発生しないこと等が要求されている。

    このような自動車ホイール用保護フィルムに用いる粘着剤として、例えば特許文献1には、少なくとも(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含有する粘着剤組成物からなり、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とし、他の重合成分として、少なくともヒドロキシル基含有モノマーを構成成分とし、前記架橋剤を前記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜6重量部含有する粘着剤組成物が開示されており、また、特許文献2には、少なくとも、架橋性官能基を有する単量体由来の繰り返し単位と(メタ)アクリル酸の炭素数1〜14のアルキルエステル由来の繰り返し単位とを有する(メタ)アクリル系重合体、架橋剤、及び紫外線吸収剤を含有す るアクリル系粘着剤が開示されている。

    日本国特開2010−253889号公報

    国際公開第2013/147101号パンフレット

    しかしながら、上記特許文献1および2に開示の粘着剤は、主としてイソシアネート系架橋剤とアクリル系樹脂中のヒドロキシル基またはアミド基との反応により形成される架橋構造を有する粘着剤であり、かかる粘着剤を高温下または高温高湿下でかかる粘着剤を使用した際には、凝集や粘着力が貼り合せ時と比較して上昇しやすいという問題点があった。

    そこで、本発明ではこのような背景下において、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時での粘着力上昇が抑制できる粘着剤であり、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用の粘着剤として有用な粘着剤を提供することを目的とするものである。

    しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂とイソシアネート系架橋剤を含有する粘着剤組成物から得られる粘着剤において、更に1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物を配合することによって、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制効果に優れる粘着剤となり、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用の粘着剤として有用な粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成した。

    即ち、本発明の要旨は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分を重合して得られるアクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、および1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物(C)を含有してなることを特徴とする粘着剤組成物に関するものである。

    また、本発明では、前記粘着剤組成物が硬化されてなる粘着剤、およびそれを用いてなる粘着シートも提供するものである。

    本発明の粘着剤組成物は、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制効果に優れる粘着剤組成物であり、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用の粘着剤として有用な粘着剤組成物である。
    更に詳しくは、上記粘着剤を使用した保護フィルムとした際に、耐侯性に優れ、長期間保管されるような場合であってもホイール表面に傷が付くことや、汚れが付着することを防止でき、更に、ホイールの内面側のディスクブレーキに錆が発生することを防止することができる。 また、ホイールに貼り付けてから長期間保管した後であっても、容易に剥離することができ、剥離の際には、糊残りの発生を防止できるものである。

    以下、本発明について詳細に説明する。
    なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。 また、アクリル系樹脂とは少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。

    本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分を重合して得られるアクリル系樹脂(A)(以下、「アクリル系樹脂(A)」と記載することがある。)、イソシアネート系架橋剤(B)、および1分子中に2個以上の水酸基を含有するアミン系化合物(C)(以下、「アミン系化合物(C)」と記載することがある。)を必須の構成成分として含有してなるものである。

    本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分を重合して得られるものであり、好ましくは更に官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を重合成分として含有するものであり、更には必要に応じて、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を重合成分として含んでもよいものである。

    上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)としては、アルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、特に好ましくは3〜12、更に好ましくは4〜10である。 アルキルの炭素数が少なすぎると被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力や冬場など低温雰囲気下での粘着力が不十分となり好ましくない。 なお、かかる炭素数の上限は特に制限されないが、あまりにも多すぎると粘着剤の凝集力が低下して使用後に剥離する際の糊残り防止が低下する傾向がある。

    かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の具体例としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)メタクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ� ��アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、2−ドデシル−ヘキサデカニル(メタ)アクリレート、2−テトラデシル−オクタデカニル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
    これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
    これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが好ましく、汎用性が高い点で、特に好ましくはブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。

    上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量は、重合成分全体に対して、20重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは75〜99重量%、殊に好ましくは90〜98重量%である。
    上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量が少なすぎると被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力や冬場など低温雰囲気下での粘着力が低下する傾向がある。

    本発明で用いる官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点でカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。
    また、水酸基含有モノマーは、一般的に架橋剤との反応性が非常に高く、含有量のわずかな違いが架橋後の粘着剤の物性に大きく影響してしまい、品質管理が困難であるという点から、重合成分として水酸基含有モノマーを含まないことが好ましい。

    カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。 中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。

    水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ� ��ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。

    アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。

    アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。

    イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。

    グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
    これら官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。

    上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)の含有量は、重合成分全体に対して、0.01〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、殊に好ましくは2〜5重量%である。
    上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)の含有量が少なすぎると粘着剤の集力が低下して使用後に剥離する際の糊残り防止性が低下する傾向があり、多すぎると粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下したりする傾向がある。

    本発明においては、重合成分として、必要に応じて更に、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を含有してもよい。
    かかるエチレン性不飽和モノマー(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香環含有モノマー� �シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アク� �レート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、(メタ)アクリロイルモルホリン等を用いることができる。 これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。 これらの中でも、酢酸ビニルを用いることが凝集力が向上する点で好ましい。

    また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能性モノマー等を併用することもできる。

    上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)の含有量は、重合成分全体に対して、好ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0〜25重量%であり、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)が多すぎると所望の粘着特性が得られにくい傾向がある。

    本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、上記重合成分を所定の割合で配合し、重合することにより製造することができる。 上記重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法により行なうことができる。
    例えば、有機溶媒中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を含有する重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合する。 これら重合方法のうち、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、更に好ましくは溶液ラジカル重合ある。

    上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。
    これらの有機溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、更に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。

    また、かかる溶液ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。 これらの溶剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。

    上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、10万〜500万が好ましく、特に好ましくは30万〜250万、更に好ましくは50万〜150万である。
    かかる重量平均分子量が小さすぎると粘着剤の凝集力が低下して使用後に剥離する際の糊残り防止性が低下する傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると粘着力が低下しやすく、また粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下したりする等、製造が困難となる傾向がある。

    上記アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2〜20であることが好ましく、特に好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜10である。
    かかる分散度が高すぎると低分子量成分が増え剥離性が低下する傾向があり、低すぎると粘着力が低下しやすく、また製造が困難となる傾向がある。

    尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10 、分離範囲:100〜2×10 、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。 また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。

    上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−90〜10℃であることが好ましく、特に好ましくは−80〜−10℃、更に好ましくは−70〜−20℃である。
    かかるガラス転移温度が高すぎると粘着力が低下しやすくなり、低すぎるとアクリル系樹脂が硬くなりすぎて剥離性が低下する傾向がある。

    なお、上記ガラス転移温度は、以下のFoxの式より算出されるものである。
    1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・・・・Wk/Tgk
    但し、Tgは共重合体のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,・・・・・・・・T
    gkは各単量体成分の単独共重合体のTgであり、w1,w2,・・・・・・・・・・w
    kは各単量体成分のモル分率を表し、w1+w2+・・・・・・・・・wk=1である。

    かくして本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。

    本発明で用いられるイソシアネート系架橋剤(B)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体� ��を用いればよい。 これらのイソシアネート系架橋剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。

    これらの中でも、架橋速度(養生期間)やポットライフ(寿命)などの安定性の面でトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダクト体が好ましい。

    上記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜5重量部、更に好ましくは0.5〜3重量部である。 架橋剤が少なすぎると、凝集力が低下し、充分な耐久性が得られない傾向がみられ、多すぎると柔軟性、および粘着力が低下し剥離が起こりやすくなる傾向がみられる。

    本発明で用いられるアミン系化合物(C)は、粘着剤組成物の架橋(硬化)反応を促進する目的で用いられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンステアリルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミン;N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、アデカクオドロール(旭電化工業(株))等のN,N,N´,N´−テトラキス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミン;スーパーベッカミンJ−820−60(大日本インキ化学工業)等のN,N,N´,N´,N´´,N´´−ヘキサキス(アルキル)メチロールメラミン;等が挙げられる。

    上記N,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミンのアルキル基の炭素数としては、10以上であることが好ましく、特に好ましくは14以上、更に好ましくは16以上である。 通常アルキル基の炭素数の上限は30、好ましくは20である。 アルキル基の炭素数が小さすぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がある。

    アミン系化合物(C)の含有する水酸基数は2個以上であることが必要であり、好ましくは2〜6個、特に好ましくは2〜4個である。
    かかる水酸基数が少なすぎると架橋(硬化)が充分に促進されず高温下または高温高湿下での粘着力上昇を十分に抑制できない傾向があり、多すぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がある。

    これらの中でも、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミンが好ましく、架橋促進性能と経時変化(分解等)に対する安定性、ハンドリングの点で、特に好ましくはポリオキシエチレンステアリルアミンである。

    また、アミン系化合物(C)としては、下記一般式(1)で示される化合物であることも好ましい。

    [R、R'は水素原子またはアルキル基である。
    R1は水素、アルキル基、アシル基、フェニル基、オキシアルキレン基である。 m、n、k、lは0以上の整数(ただし、mとnは同時に0にはならない、かつkとlも同時に0にはならない)である。 ]

    上記、一般式(1)中のR、R'は、水素原子またはアルキル基である。 かかるアルキル基の炭素数としては、通常、炭素数1〜10であり、好ましくは炭素数1〜6のものが用いられる。

    上記一般式(1)中のR1は、水素原子、アルキル基、アシル基、フェニル基、またはオキシアルキレン基である。 これらの中でもアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは炭素数10以上のアルキル基、更に好ましくは炭素数12以上のアルキル基である。

    上記一般式(1)中のm、n、k、lは0以上の整数、好ましくは0〜2の整数(ただし、mとnは同時に0にはならない、かつkとlも同時に0にはならない)である。 mとkは同じ値であることが好ましく、nとlも同じ値であることが好ましい。

    上記アミン系化合物(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5重量部、更に好ましくは0.05〜0.2重量部である。 アミン系化合物が少なすぎると架橋(硬化)が充分に促進されず高温下または高温高湿下での粘着力上昇を十分に抑制できない傾向がみられ、多すぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がみられる。

    また、イソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基含有量と、アミン系化合物(C)中の水酸基含有量とのモル比率(NCO/OH)が、NCO/OH=1〜100であることが架橋促進性能と粘着力の点で好ましく、特に好ましくはNCO/OH=3〜75、更に好ましくはNCO/OH=5〜25である。
    かかるNCO/OHの値が大きすぎると架橋(硬化)が充分に促進されず高温下または高温高湿下での粘着力上昇を十分に抑制できない傾向があり、小さすぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がある。

    かくして、本発明のアクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)、アミン系化合物(C)を含有する粘着剤組成物が得られる。

    本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(B)による架橋(硬化)をアミン系化合物(C)により促進することで、粘着剤となるものである。

    本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、帯電防止剤、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の各種添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。 また、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。 これら添加量は所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。

    本発明の粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤のゲル分率は、50〜90%であることが好ましく、特に好ましくは55〜85%、更に好ましくは60〜80%である。 かかるゲル分率が低すぎると架橋(硬化)が充分に促進されず高温下または高温高湿下での粘着力上昇を十分に抑制できない傾向があり、高すぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がある。

    なお、粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、アクリル系樹脂の分子量を調整すること、架橋剤の種類と量を調整すること、組成物中の水酸基の組成比を調整すること等により達成される。 また、かかる架橋剤と官能基量との割合は、それぞれの相互作用によりゲル分率が変化するので、それぞれバランスをとることが必要になる。

    上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。 すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。 ただし、基材の重量は差し引いておく。

    つぎに、上記の本発明の粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成することにより粘着シートを作製することができる。 すなわち、上記粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。

    まず、所定の厚みとなるように支持基材の片面もしくは両面に上記粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥することにより粘着剤層を形成する。 ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に剥離シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。 また、得られた粘着シートには、必要に応じて、エージング処理を行なった後、使用時には、上記剥離シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。 このようにして、支持基材の片面もしくは両面に粘着剤層が形成され、さらにこの粘着剤層面に必要に応じて剥離シートが設けられた粘着シートが得られる。

    上記支持基材としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタ� ��リル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等から選択される単層体または複層体があげられる。 かかる支持基材の厚みとしては、通常10〜120μmであり、好ましくは20〜80μmである。

    さらに、上記剥離シートとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
    また、剥離シートに上記粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層に剥離シートを貼り合わせることにより、基材レスで粘着シートを作製することもできる。

    上記粘着剤組成物の塗工に際しては、この粘着剤組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは20〜50重量%、特に好ましく30〜40重量%である。 また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。 これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好適に用いられる。

    また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法があげられる。

    そして、上記加熱乾燥条件としては、粘着剤組成物を乾燥させることが可能であればよく、例えば、50〜150℃、好ましくは60〜130℃で、1〜10分間程度、好ましくは1.5〜5分間程度の条件があげられる。

    上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は、通常室温(25℃±5℃)〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。

    さらに、得られる粘着シートにおける粘着剤層の厚みは、通常5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜75μm、特に好ましくは15〜50μmである。 この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると乾燥が困難となり、残溶媒の影響により被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力が不安定となる、かつ粘着力が経時で変化しやすくなる傾向がある。

    このようにして得られる粘着シートの厚みは、用途に応じ適宜設定されるが、例えば、30〜300μmの範囲に設定することが好ましい。

    本発明における粘着シートの利用に際し、被着体の種類として、例えば、各種金属面を有する物品;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリ� ��タクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、シートまたは板があげられる。

    上記金属面を有する物品としては、金属面を有しており、この金属面に、直接、上記粘着シートが、少なくとも部分的にまたは全面的に貼り合わされる。 このような金属面を有する物品において、上記粘着シートが貼り合わされる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。 このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、上記粘着シートを直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面等であってもよい。 なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。

    上記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また各種材料により形成された基材(または構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。 上記金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。

    上記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(または構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。 このような金属層において、金属薄膜層の厚みとしては、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。 なお、金属薄膜層の厚みの上限としては、一般的に薄膜層とみなされる厚みであれば特に制限されない。

    上記金属面を形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、鉄、チタン、白金、ニッケル等の金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金等)、銅合金〔例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金等〕、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金等)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金等)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料等があげられる。 これら金属材料は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。

    なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料〔例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物等)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等)等の金属系化合物〕であってもよく、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)、CTO(酸化カドミウムスズ)等が挙げられる。

    これらの中でも、価格や軽量性の点でアルミニウム、アルミニウム合金であることが好ましい。 そのため、とりわけ、自動車のタイヤのアルミホイールの保護用フィルムとして特に好適である。

    かくして得られる、本発明の粘着剤並びに粘着シートは、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制に効果を有するため、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤として有用である。

    また、本発明の粘着剤組成物は、とりわけ有機溶剤含有タイプの粘着剤組成物として使用し、架橋剤存在下、熱により硬化させて粘着剤とすることで、低程度〜中程度の粘着力(約3N/25mm以上)を示し、中〜長期間(数ヶ月〜数年間)にわたり被着体と貼り合せることができる粘着剤として好適に用いられる。

    以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。 なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。

    まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂を調製した。 なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
    また、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。

    [製造例1]
    <アクリル系樹脂(A−1)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル38部とアセトン15部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル85部で希釈し、アクリル系樹脂(A−1)溶液(重量平均分子量76万;分散度4.7;ガラス転移温度−65℃;固形分40%;粘度3,000mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例2]
    <アクリル系樹脂(A−2)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル50.5部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)71.3部、ブチルアクリレート(BA)23.8部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル87.5部で希釈し、アクリル系樹脂(A−2)溶液(重量平均分子量78万;分散度5.6;ガラス転移温度−62℃;固形分42%;粘度3,000mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例3]<アクリル系樹脂(A−3)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル58部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)23.8部、ブチルアクリレート(BA)71.3部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル80部で希釈し、アクリル系樹脂(A−3)溶液(重量平均分子量91万;分散度5.6;ガラス転移温度−55℃;固形分41%;粘度15,500mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例4]
    <アクリル系樹脂(A−4)の調整>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル30.9部とアセトン12.2部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)97部、アクリル酸(AAc)3部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.018部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル95部で希釈し、アクリル系樹脂(A−4)溶液(重量平均分子量83万;分散度5.0;ガラス転移温度−67℃;固形分38%;粘度3,300mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例5]
    <アクリル系樹脂(A−5)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル19部、アセトン31部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になってから1時間重合させた後、AIBN0.027部、酢酸エチル60部を溶解させた重合触媒液を1時間にわたって滴下した。 滴下が終了してから更に1時間重合させた後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(MEHQ)0.006部を溶解させた酢酸エチル76部で希釈し、アクリル系樹脂(A−5)溶液(重量平均分子量125万;分散度5.6;ガラス転移温度−65℃;固形分31%;粘度4,100mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例6]
    <アクリル系樹脂(A−6)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル19部、アセトン31部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.014部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になってから1時間重合させた後、AIBN0.014部、酢酸エチル30部を溶解させた重合触媒液を1時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了15分後に、酢酸エチル30部を1時間にわたって滴下した。 滴下が終了してから更に30分間重合させた後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(MEHQ)0.006部を溶解させた酢酸エチル76部で希釈し、アクリル系樹脂(A−6)溶液(重量平均分子量143万;分散度5.4;ガラス転移温度−65℃;固形分32%;粘度8,100mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例7]
    <アクリル系樹脂(A−7)の調製>
    ガラス容器内に、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル25部、重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)1部を仕込み、十分に攪拌後、ガラス容器を日光の当たる場所に静置した。 3時間重合させた後、イルガキュア651 1部、酢酸エチル25部を溶解させた重合触媒液をガラス容器に追加し、十分に攪拌後、更に2時間反応させてから酢酸エチル100部で希釈し、アクリル系樹脂(A−7)溶液(重量平均分子量82万;分散度8.5;ガラス転移温度−65℃;固形分40%;粘度9,900mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例8]
    <アクリル系樹脂(A−8)の調製>
    ガラス容器内に、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル38部、アセトン15部、重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)1部を仕込み、十分に攪拌後、ガラス容器を日光の当たる場所に静置した。 3時間重合させた後、イルガキュア651 1部、酢酸エチル97部を溶解させた重合触媒液をガラス容器に追加し、十分に攪拌後、更に2時間反応させ、アクリル系樹脂(A−8)溶液(重量平均分子量73万;分散度6.7;ガラス転移温度−65℃;固形分41%;粘度4,600mPa・s(25℃))を得た。
    [製造例9]
    <アクリル系樹脂(A−9)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、ブチルアクリレート(BA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル9部、アセトン38部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になってから30分間重合させた後、AIBN0.013部、酢酸エチル33部を溶解させた重合触媒液を1時間にわたって滴下した。 更に、滴下終了15分後に、酢酸エチル30部を1時間にわたって滴下した。 滴下が終了してから15分後に、酢酸エチル262部、アセトン7部を混合溶解させ、混合物を追加し、更に30分間重合させた後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(MEHQ)0.006部を溶解させた酢酸エチル2部で希釈し、アクリル系樹脂(A−9)溶液(重量平均分子量223万;分散度4.5;ガラス転移温度−51℃;固形分16%;粘度8,000mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例10]
    <アクリル系樹脂(A−10)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、ブチルアクリレート(BA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル48部、アセトン42部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になってから5分間重合させた後、AIBN0.027部、酢酸エチル60部を溶解させた重合触媒液を2時間にわたって滴下した。 滴下が終了してから更に1時間重合させた後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(MEHQ)0.006部を溶解させた酢酸エチル17部で希釈し、アクリル系樹脂(A−10)溶液(重量平均分子量144万;分散度4.1;ガラス転移温度−51℃;固形分29%;粘度17,600mPa・s(25℃))を得た。

    [製造例11]
    <アクリル系樹脂(A−11)の調製>
    温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、ブチルアクリレート(BA)95部、アクリル酸(AAc)5部、酢酸エチル71部、アセトン19部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になってから5分間重合させた後、AIBN0.027部、酢酸エチル60部を溶解させた重合触媒液を2時間にわたって滴下した。 滴下が終了してから更に1時間重合させた後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン(MEHQ)0.006部を溶解させた酢酸エチル17部で希釈し、アクリル系樹脂(A−11)溶液(重量平均分子量103万;分散度4.4;ガラス転移温度−51℃;固形分33%;粘度15,700mPa・s(25℃))を得た。

    ・イソシアネート系架橋剤(B)として以下のものを用意した。
    (B−1):トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(日本ポリウレタン工業社製;商品名「コロネートL−55E」)

    ・アミン系化合物(C)として以下のものを用意した。
    (C−1):ポリオキシエチレンステアリルアミン(花王(株)社製;商品名「アミート302」)

    〔実施例1〕
    上記製造例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)溶液の固形分100部あたり、イソシアネート系架橋剤(B−1)1.5部、およびアミン系化合物(C−1)0.125部を加え、この溶液が35重量%になるよう酢酸エチルで希釈し、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌を行い、さらにローリングミキサーで30分以上攪拌し、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例2〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例2で調製したアクリル系樹脂(A−2)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例3〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例3で調製したアクリル系樹脂(A−3)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例4〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例4で調製したアクリル系樹脂(A−4)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例5〕
    実施例1において、イソシアネート系架橋剤(B−1)の配合量を3部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例6〕
    実施例1において、アミン系化合物(C−1)の配合量を0.09部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例7〕
    実施例4において、アミン系化合物(C−1)の配合量を0.09部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例8〕
    実施例4において、アミン系化合物(C−1)の配合量を0.16部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例9〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例5で調製したアクリル系樹脂(A−5)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例10〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例6で調製したアクリル系樹脂(A−6)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例11〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例7で調製したアクリル系樹脂(A−7)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例12〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例8で調製したアクリル系樹脂(A−8)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例13〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例9で調製したアクリル系樹脂(A−9)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例14〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例10で調製したアクリル系樹脂(A−10)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔実施例15〕
    実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて上記製造例11で調製したアクリル系樹脂(A−11)溶液を用いた以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔比較例1〕
    実施例1において、アミン系化合物(C−1)を配合しなかった以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    〔比較例2〕
    実施例4において、アミン系化合物(C−1)を配合しなかった以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。

    実施例1〜15、比較例1および2で得られた粘着剤組成物を用いて粘着シートを作成し、粘着力、ゲル分率を測定、評価した。

    <粘着シートの作製>
    上記実施例1〜15、比較例1および2で得られた粘着剤組成物を低密度ポリエチレンフィルム(LDPE、タマポリ(株)社製;商品名「V−1(LDPE60、膜厚60μm)」)のコロナ処理面にアプリケーターを用いて塗工し、80℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmの粘着剤層が形成された粘着シート(粘着剤層付きポリエチレンフィルム)を得た。

    [粘着力測定用試験片の作製]
    <SUS−BA板試験片の作製>
    まず上記粘着シートを40℃で3日間エージングした後、幅25mm、長さ150mmにカットした。 次に幅25mm、長さ180mmにカットした離型シートの非離型面をカットした上記粘着シートの粘着剤層に3cm程度重なるように貼り付け、重なり面をホッチキスで固定した。
    次いで酢酸エチルを使用して表面を洗浄化したSUS−BA板(鏡面仕上げステンレス鋼板;厚さ0.5mm;サイズ:幅70mm、長さ150mm)に離形シートを貼り付けた上記粘着シートをJIS Z 0237に準じた手動ローラで2往復して圧着することで、SUS−BA板試験片を作製した。

    <アルミニウム板試験片の作製>
    まず上記粘着シートを40℃で3日間エージングした後、幅25mm、長さ150mmにカットした。 次に幅25mm、長さ180mmにカットした離型シートの非離型面をカットした上記粘着シートの粘着剤層に3cm程度重なるように貼り付け、重なり面をホッチキスで固定した。
    次いで酢酸エチルを使用して表面を洗浄化したアルミニウム板(A−1050P;厚さ1mm;サイズ:幅70mm、長さ150mm)に離形シートを貼り付けた上記粘着シートをJIS Z 0237に準じた手動ローラで2往復して圧着することで、アルミニウム板試験片を作製した。

    <常態粘着力>
    上記SUS−BA板試験片およびアルミニウム板試験片を23±2℃×50±5%RHに調整した恒温恒湿機内に20分間放置したものを、引張試験機(オートグラフ、島津製作所社製AG−IS)を用い、引張速度0.3m/min. 、剥離度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
    (評価基準)
    ○…アルミニウム板試験片の常態粘着力が5N以上7N未満△…アルミニウム板試験片の常態粘着力が5N未満×…アルミニウム板試験片の常態粘着力が7N以上

    <経時粘着力(耐熱性試験)>
    80±2℃に調整した熱風循環乾燥機内に7日間(168時間)放置したアルミニウム板試験片を、引張試験機(オートグラフ、島津製作所社製AG−IS)を用い、引張速度、0.3m/min. 剥離角度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
    更に、測定された粘着力の常態粘着力(アルミニウム板試験片)に対する変化率(%)を経時粘着力変化率とした。
    また、試験片の糊残りの有無を目視にて、確認した。 評価基準は下記の通りである。
    (評価基準)
    ○…変化率が120%未満、かつ糊残り無し△…変化率が120%以上180%未満、かつ糊残り無し×…変化率が180%以上、または糊残り有り

    <経時粘着力(耐候性試験)>
    ブラックパネル温度23〜58℃、槽内温度40±5℃、湿度10〜100RH(降雨あり)に調整したサンシャイン・ウェザー・メータ内に60時間放置したアルミニウム板試験片を引張速度0.3m/min. 、剥離角度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
    更に、測定された粘着力の常態粘着力(アルミニウム板試験片)に対する変化率(%)を経時粘着力変化率とした。
    また、試験片の糊残りの有無を目視にて、確認した。 評価基準は下記の通りである。
    (評価基準)
    ○…変化率が120%未満、かつ糊残り無し△…変化率が120%以上180%未満、かつ糊残り無し×…変化率が180%以上、または糊残り有り

    <ゲル分率>
    上記粘着シートを幅50mm、長さ50mmにカットし、メッシュ数200inchのSUSシート(平均線径約0.05mm、平均目開き0.077mm)に貼り付けて包んだ後、その際の重量を測定し、前記重量を浸漬前重量(C)とした。 なお、前記浸漬前重量は、粘着シート(粘着剤層と低密度ポリエチレンフィルム)と、SUSシートとの総重量である。
    また、使用するSUSシートの重量も測定しておき、前記重量を包袋重量(B)とした。 次に、前記粘着シートをSUSシートに貼り付けて包んだもの(サンプル)を、酢酸エチルで満たした容器(容量70mL程度以上)に完全浸漬させ、23±2℃×50±5%RHに調整した恒温恒湿機内に2日間静置した。 その後、容器からサンプルを取り出し、80℃で5時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、サンプル重量を測定し、該重量を浸漬後重量(A)とした。 さらに、乾燥後のサンプルから前記粘着シートを剥し、粘着シートから粘着剤層を(酢酸エチル等を用いて)除去した後の低密度ポリエチレンフィルムの重量を測定し、該重量を基材重量(D)とした。 そして、下記式からゲル分率を算出した。
    ゲル分率(重量%)=(A−B−D)/(C−B−D)×100
    (式中、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量であり、Dは基材重量である。)
    なお、ゲル分率は、50〜90%あることが好ましく保護フィルムをホイールから剥離した場合であっても、良好な剥離作業性を実現することができる。

    上記評価結果より、アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)にアミン系化合物(C)を配合した粘着剤組成物を用いた実施例1〜15は、経時粘着力(耐熱性試験、耐候性試験)の変化率が180%未満であり、かつ耐熱性試験後、耐候性試験後に糊残りが無く、更にいずれもゲル分率は50%以上であり、良好な粘着剤であった。

    一方、アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)にアミン系化合物(C)を配合しなかった粘着剤組成物を用いた比較例1、および2は、いずれも耐熱性試験後、耐候性試験後に糊残りが見られた。 更に、比較例2の経時粘着力(耐熱性試験)、経時粘着力(耐候性試験)の変化率は180%以上となった。 比較例1および2のいずれもゲル分率は30%未満であり、耐熱性試験、耐候性試験により架橋反応が進行し粘着力が大きく上昇してしまうといった不都合が考えられる。

    これらの結果より、アクリル系樹脂(A)、イソシアネート系架橋剤(B)にアミン系化合物(C)を配合することで粘着剤組成物の架橋が促進され、経時粘着力の変化率を減少させるとともに、糊残りの発生を抑制できることがわかる。

    本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
    なお、本願は、2014年5月29日付で出願された日本国特許出願(2014−110761)に基づいており、その全体が引用により援用される。 また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。

    本発明の粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤は、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性耐候性に優れ、経時での粘着力上昇抑制に効果を有するものであり、そのため、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤として有用である。

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