自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルム

申请号 JP2008508706 申请日 2007-03-28 公开(公告)号 JPWO2007114450A1 公开(公告)日 2009-08-20
申请人 リンテック株式会社; 发明人 淳 手綱; 淳 手綱; 敦裕 田中; 敦裕 田中;
摘要 本発明は、自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを、引張弾性率が30〜200MPaであり、降伏強度が5N/15mm以下であり、かつ降伏伸度が7.0%以下である表面基材フィルムと、その表面基材フィルムの裏面に設けられた粘着剤層からなるものを提供する。この粘着フィルムは、追従性に優れ三次元に複雑化された形状のホイール表面やスポークが細くされているホイール表面にも容易に貼付・接着することができ、自動車のホイールに貼付した際に剥がれ難く、かつ自動車ブレーキディスクへの錆の防止性に優れるものである。
权利要求
  • 引張弾性率が30〜200MPaであり、降伏強度が5N/15mm以下であり、かつ降伏伸度が7.0%以下である表面基材フィルムと、その表面基材フィルムの裏面に設けられた粘着剤層からなることを特徴とする自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルム。
  • 粘着剤層の粘着力が、1〜10N/25mmである請求項1に記載の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルム。
  • 说明书全文

    本発明は、自動車のホイールの表面に貼着するための自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムに関する。

    自動車のブレーキディスクは、ホイールの内部に配置されるようになっているが、ブレーキディスクの熱を放出するために設けられたホイールの開口部から雨が浸入することによって、酸化され、錆の付着が発生する。 ディスクブレーキの錆は、自動車が頻繁に運転されている場合は、錆がブレーキパッドによって剥ぎ取られてしまうので問題にならないが、エンドユーザーに引き渡す前の搬送や保管中においてディスクブレーキに錆が発生することは信頼性の低下につながる。 よって、少なくとも自動車メーカー工場からエンドユーザーの手に渡るまでの間、ブレーキディスクの錆を防ぐ必要がある。
    従来、自動車のブレーキディスクの錆防止には、パルプモールドと呼ばれるパルプ成型品をブレーキディスクに直接嵌め込む方法が採られていた。 しかし、パルプ成型品は、素材特性から耐水性や耐熱耐火性が乏しく、脱着の煩雑さ、コスト高などのために、最近は粘着フィルムをホイールに貼付する方法が提案されている(特開平7−309510号公報参照)。 このような粘着フィルムは、アンチラスト粘着フィルムと言われ、貼付、剥離工程が簡便であること、ホイールの外傷防止も可能となるという利点があり、ホイールの表面に貼付されている。
    近年、ホイールの形状は、放熱効率の向上、意匠性の追及などにより、従来のディッシュタイプ(皿形状)に対してスポークタイプ(支柱状)が主流になり、ホイールの開口面積が増大している。
    さらに、最近の自動車設計は、ブレーキディスクの冷却のために、走行中に前方から受ける風を車体下からブレーキディスクに当て、ホイール方向に巻き込むように流す空設計がなされている。 このため、ホイール外側に貼付されているアンチラスト粘着フィルムは、内側から風圧を受け、キャリアカーでの自動車搬送中や、完成車の走行テスト中に剥がれることがある。
    これを解決するために、アンチラスト粘着フィルムの粘着力を向上させるという考え方もあるが、製品の使用用途上、貼付したフィルムは必ず剥離させる必要があるため、単純に粘着力を向上させただけでは、再剥離性が劣り、製品として成立し難い。
    さらに、上記問題を解決するために、アンチラスト粘着フィルムに切り込みを入れ、ホイールの内側の圧力をホイールの外側に逃がすようにした保護フィルムが提案されている(特開2005−155758号公報参照)。 しかしながら、この提案は、切り込みから雨水や汚染物質が浸入するため、ブレーキディスクへの悪影響を完全に絶つことはできない。

    本発明は、上記課題を解決し、自動車のホイールに貼付した際に剥がれ難く、ブレーキディスクの錆を防ぐことができ、また、取外す際には剥れ残りのないように剥すことができる自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを提供することを目的とする。
    本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、引張弾性率が30〜200MPaであり、降伏強度が5N/15mm以下であり、かつ降伏伸度が7.0%以下である表面基材フィルムと、その表面基材フィルムの裏面に設けられた粘着剤層からなることを特徴とする自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを用いることにより、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
    すなわち、本発明は、引張弾性率が30〜200MPaであり、降伏強度が5N/15mm以下であり、かつ降伏伸度が7.0%以下である表面基材フィルムと、その表面基材フィルムの裏面に設けられた粘着剤層からなることを特徴とする自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを提供するものである。
    また、本発明は、上記自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムにおいて、粘着剤層の粘着力が、1〜10N/25mmである自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを提供するものである。

    第1図は、スポークタイプのホイールの平面図である。
    第2図は、第1図のスポークタイプのホイールの表面に自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを圧着して貼付したときの第1図の平面図における矢印Aの方向で切断したときの展開断面図である。
    第3図は、第2図のスポークタイプのホイールの表面に圧着して貼付された自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムをスポークの側面に沿って圧着し、貼付したときの展開断面図である。
    図において、1はスポーク、2はスポークの側面、3は開口部、4は自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを示す。
    発明を実施するための好ましい態様 本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムの表面基材フィルムは、引張弾性率が30〜200MPaであり、好ましくは30〜170MPaであり、より好ましくは35〜150MPaであり、特に好ましくは40〜130MPaである。 引張弾性率が上記範囲よりも小さいと、貼付する際にフィルムに皺が入り易くなり、上記範囲よりも大きいと、ホイールの斜面への追従性に劣る。
    また、表面基材フィルムは、降伏強度が5N/15mm以下であり、好ましくは4.5N/15mm以下であり、より好ましくは0.5〜4.5N/15mmであり、特に好ましくは1〜4N/15mmである。 降伏強度が上記範囲よりも大きいと、ホイールに貼付した後、ホイールの斜面から剥れ易い。
    また、表面基材フィルムは、降伏伸度が7.0%以下であり、2.0〜7.0%であることが好ましく、3.0〜6.5%であることが特に好ましい。 降伏伸度が7.0%よりも大きいと、表面基材フィルムが収縮するためホイールの斜面から剥がれ易い。
    自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムの表面基材フィルムは、上記の引張弾性率、降伏強度及び降伏伸度を有していれば、種々の材質にすることができるが、好適な材質としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、エチレンを主成分とし、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等の炭素数6〜16、好ましくは6〜12のオレフィン、好ましくはα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体樹脂が好適に挙げられる。 オレフィンは2種、3種又は4種以上の組合せであってもよい。 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.910〜0.940g/cm が好ましく、0.916〜0.936g/cm がより好ましく、0.920〜0.932g/cm が特に好ましい。
    上記の引張弾性率、降伏強度及び降伏伸度を有する表面基材フィルムは、例えば、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を2層以上積層し、それぞれの層の厚みを制御することにより得ることができる。 積層する層の数は、2層以上であれば、特に制限ないが、製造効率の観点からは、2〜5層が好ましく、2〜3層がより好ましく、2層が特に好ましい。 各層の厚みの制御は、積層された表面基材フィルムが上記の引張弾性率、降伏強度及び降伏伸度を有するように適宜行えばよく、具体的には隣接する層の厚みの比を、例えば99:1〜1:99の範囲で適宜選定すればよく、好ましい範囲は19:1〜1:19であり、より好ましい範囲は9:1〜1:9であり、特に好ましい範囲は4:1〜1:4である。
    密度が高い直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層の厚さが小さくなるほど、引張弾性率と降伏強度が小さくなり、降伏伸度は大きくなる。 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、エチレンと共重合するオレフィンの種類により制御され、炭素数の大きいオレフィンほど密度が高くなる。
    積層する各層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度の差は、0.0005g/cm 以上が好ましく、0.001g/cm 以上がより好ましく、0.0015g/cm 以上が特に好ましい。 積層する各層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度の差の上限は、特に制限ないが、0.03g/cm 以下が好ましく、0.02g/cm 以下がより好ましく、0.012g/cm 以下が特に好ましい。
    表面基材フィルムの成形方法としては、公知の方法が適用できるが、例えば、Tダイ法あるいはインフレーション法などにより溶融温度180〜250℃で押出した後、冷却ロールや空冷などにより冷却して巻き取る方法等が挙げられる。
    樹脂を積層する方法としては、例えば、フィードブロック法やマルチマニホールドダイ法などによる共押出し法、加熱や接着剤などによるラミネート法等が挙げられる。
    延伸方法としては、種々の延伸方法が適用できるが、例えば、周速の異なるロール群による縦方向1軸延伸方法、テンターオーブンによる横方向1軸延伸方法、これらの組合せによる2軸延伸方法、インフレーションのチューブラー延伸方法等が挙げられる。
    延伸後は、アニーリング処理してもよい。
    自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムの表面基材フィルムの厚みは、特に制限ないが、通常20〜200μmの範囲が好ましく、30〜100μmの範囲が特に好ましい。
    自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムの表面基材フィルムには、280〜380nmの波長領域の分光透過率が0〜20%となるように、表面基材フィルムに紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。 紫外線吸収剤の含有割合としては、表面基材フィルム100質量部中に0.01〜20質量部含有させることが好ましい。 紫外線吸収剤を含有させることにより、耐候性を向上させると共に、屋外に長期間曝される場合にも、被着体への糊残りなく自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムを剥離することができる。
    紫外線吸収剤の具体例としては、ハイドロキノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
    これら紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
    また、紫外線吸収剤と共に、光安定剤、酸化防止剤などの耐候助剤を含有させることができる。
    本発明においては、表面基材フィルムの裏面には、粘着剤層が設けられている。 粘着剤層に使用される粘着剤は、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。 合成ゴム系粘着剤の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
    アクリル樹脂系粘着剤の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;及び必要に応じて、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの共重合性単� ��体の2種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。
    ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどが挙げられる。 シリコーン樹脂系粘着剤の具体例としては、ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。 これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
    これらの粘着剤のうち、アクリル樹脂系粘着剤が好ましい。 特に、アクリル系共重合体を、ポリイソシアナート化合物で架橋させて得られるアクリル樹脂系粘着剤が好ましい。
    ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。 ポリイソシアナート化合物の架橋量を調整することで、種々のホイールに対し必要な粘着物性を発現させることができる。 ポリイソシアナート化合物の使用量は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。 ポリイソシアナート化合物は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
    上記粘着剤層には、自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムの280〜380nmの波長領域の分光透過率が0〜20%となるように、粘着剤層に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。 紫外線吸収剤の含有割合としては、粘着剤層の樹脂分に対して0.01〜20質量%が好ましい。 紫外線吸収剤の具体例としては、前出のものが挙げられる。
    また、上記粘着剤層には、必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、填料、染料又は顔料などの着色剤などを配合することができる。 粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。 軟化剤としては、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤などが挙げられる。 填料としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
    粘着剤層の厚みは、特に制限ないが、通常1〜300μmであればよく、好ましくは5〜150μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。
    粘着剤層は、表面基材フィルムの片面に直接塗布、形成してもよく、また、剥離シートの剥離剤層面に粘着剤を塗布、形成した後、表面基材フィルムと貼り合わせてもよい。 粘着剤層の形成方法としては、特に制限なく種々の方法を用いることができ、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーターなどが挙げられる。
    粘着剤層の粘着力は、1〜10N/25mmが好ましく、2〜8N/25mmがより好ましく、2.5〜6N/25mmが特に好ましい。
    粘着剤層の表面は、剥離シートで覆うことが好ましい。 また、剥離シートを使用しないで、表面基材フィルムの表面に剥離剤を塗布するなどにより剥離性を付与し、粘着シートをロール巻きにして保存してもよい。 このようにして、粘着剤層の表面を保護することができる。
    剥離シートとしては、いずれのものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレートなどの各種樹脂よりなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。
    この場合、剥離剤の代表例としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が挙げられる。
    剥離シートの厚みは、特に制限されず、適宜選定すればよい。
    本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムは、追従性を有するので、三次元に複雑化された形状のホイール、例えば平均斜度30〜80度、特に平均斜度40〜80度の急斜面を有する形状のホイールにも、また、スポークが細くされているホイール表面の形状にも、容易に貼付、接着することができる。

    次に、本発明を実施例により具体的に説明する。 ただし、本発明は、これらの例によって、何ら限定されるものではない。
    (実施例1)
    表面基材フィルムの製造 エチレンと1−ヘキセンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.924g/cm )と、エチレンと1−オクテンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.926g/cm )を2層Tダイにて共押出し製膜して、厚みが50μm(前者層と後者層の厚み:20μm/30μm)、引張弾性率が120MPa、かつ、降伏強度が3.2N/15mm、降伏伸度が4.0%の積層フィルムを作成した。
    粘着剤の製造 温度計、撹拌機、還流冷却菅、窒素ガス導入菅を備えた反応装置に、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル54質量部、アクリル酸エチル27質量部、酢酸ビニル17質量部、アクリル酸2質量部、及び酢酸エチル100質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルの開始剤の存在下共重合させて、重量平均分子量80万のアクリル樹脂系粘着剤を得た。
    自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルム(以下、粘着フィルムということがある。)の製造 上記の表面基材フィルムのエチレンと1−ヘキセンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層の表面に、上記のアクリル樹脂系粘着剤の樹脂成分100質量部に対してトリレンジイソシアナート架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、商品名「コロネートL」)を5.0質量部、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(CYTEC INDUSTRIES社製、商品名「サイアソーブUV−24」)を4.0質量部添加した混合物を、ナイフコーターで乾燥後の塗布量が25μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、その後上質紙からなる基材の片面に剥離剤としてシリコーン樹脂を塗布して剥離剤層を形成して得られた剥 離シート(リンテック(株)製、商品名「KGM−11S白」)の剥離剤層と前記粘着剤層とをラミネーターを用いて貼り合わせ、粘着フィルムを作成した。
    (実施例2)
    エチレンと1−ヘキセンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.924g/cm )と、エチレンと1−オクテンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.926g/cm )を2層Tダイにて共押出し製膜して、厚みが50μm(前者層と後者層の厚み:25μm/25μm)、引張弾性率が80MPa、かつ、降伏強度が3.0N/15mm、降伏伸度が5.6%の積層フィルムを表面基材フィルムとして用いた以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを作成した。
    (実施例3)
    エチレンと1−ヘキセンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.924g/cm )と、エチレンと1−オクテンを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度が0.926g/cm )を2層Tダイにて共押出し製膜して、厚みが50μm(前者層と後者層の厚み:30μm/20μm)、引張弾性率が50MPa、かつ、降伏強度が2.6N/15mm、降伏伸度が6.4%の積層フィルムを表面基材フィルムとして用いた以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを作成した。
    (比較例1)
    表面基材フィルムの製造 密度が0.928g/cm である低密度ポリエチレン樹脂70質量部に、密度が0.954g/cm である高密度ポリエチレン樹脂30質量部を混合したものを原料として、インフレーションフィルム成型機を用い、厚み50μm、引張弾性率210MPa、かつ降伏強度9.0N/15mm、降伏伸度が7.5%のポリエチレン樹脂フィルムを作成した。 このポリエチレン樹脂フィルムを表面基材フィルムとして使用した以外は、実施例1と同様にして、粘着フィルムを作成した。
    (比較例2)
    表面基材フィルムの製造 密度が0.928g/cm である低密度ポリエチレン樹脂55質量部に、密度が0.954g/cm である高密度ポリエチレン樹脂45質量部を混合したものを原料として、インフレーションフィルム成型機を用い、厚み50μm、引張弾性率380MPa、かつ降伏強度11.0N/15mm、降伏伸度が4.2%のポリエチレン樹脂フィルムを作成した。 このポリエチレン樹脂フィルムを表面基材フィルムとして使用した以外は、実施例1と同様にして、粘着フィルムを作成した。
    粘着フィルムの物性の測定
    実施例及び比較例で得られた表面基材フィルム及び粘着フィルムについて、下記に示した引張弾性率の測定、降伏強度の測定、降伏伸度の測定、粘着力の測定、追従性試験、走行試験を行った。 その結果を表1に示した。
    (1)引張弾性率の測定 上記の実施例及び比較例で得られた表面基材フィルムから得られる試験片を用いて、JIS K7127に従って引張弾性率を測定した。
    (2)降伏強度の測定 上記の実施例及び比較例で得られた表面基材フィルムから得られる試験片を用いて、JIS K7127に従って降伏強度を測定した。
    (3)降伏伸度の測定 上記の実施例及び比較例で得られた表面基材フィルムから得られる試験片を用いて、JIS K7127に従って降伏伸度を測定した。
    (4)粘着力の測定 上記の実施例及び比較例で得られた粘着フィルムについて、23℃、50%RH環境下で、JIS Z0237に準拠し、被着体はアルミニウム板にアクリルメラミン系塗料を塗装したものを使用して、粘着力を測定した。
    (5)追従性試験 上記の実施例及び比較例で得られた粘着フィルムをスポークタイプのホイール(第1図)の表面に貼付し、追従性を評価した。
    (i)スポークの側面の度:ホイールの表面に対して45度(ii)貼付方法:直径18インチの円形の粘着フィルムをホイールの表面にのせ、スポーク1の表面に圧着して貼付する(第2図)。 さらに、開口部3を覆う部分の粘着フィルムを延ばしながら、スポークの側面2に沿って約2cm圧着し、貼付する(第3図)。
    (iii)評価方法:
    (a)貼付時の追従性 ○:スポークの側面に沿って追従する。
    ×:スポークの側面に沿って追従しない。
    (b)24時間後の追従性 ○:スポークの側面に沿って追従している。
    ×:スポークの側面から剥れている。
    (6)走行試験 時速80kmで10分間走行したときの剥れを下記の基準で評価した。
    ○:剥れがない。
    ×:剥れがある。

    実施例1、2、3は、引張弾性率が小さいため、粘着フィルムをホイールの表面に貼付する際に、開口部の粘着フィルムを伸ばしてスポークの側面に追従させることができた。 さらに、降伏強度及び降伏伸度が小さいため、降伏伸度を超えて粘着フィルムを伸ばすことができた。


    従って、開口部の粘着フィルムは塑性変形状態にあり、収縮することがないため、24時間後において、粘着フィルムがスポーク側面から剥がれず、追従していた。


    走行試験において、ホイール内側からの風圧によって粘着フィルムが剥がれることはなかった。


    比較例1は、降伏強度及び降伏伸度が大きいため、降伏伸度を超えて伸ばすことができなかった。 したがって、開口部の粘着フィルムは弾性変形状態にあるため、フィルムが収縮することで次第にスポークの側面から剥された。 粘着フィルムは、スポークの表面に部分的に接着しているだけであり、走行試験において粘着フィルムが剥がれた。


    比較例2は、引張弾性率が大きいため、粘着フィルムを十分に伸ばすことができず、スポークの側面に追従させることができなかった。


    従って、粘着フィルムは、スポークの表面に部分的に接着しているだけであり、走行試験において粘着フィルムが剥がれた。


    本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムは、種々のホイールの表面に貼付することができ、特にホイール表面の形状が三次元に複雑化されたり、また、スポークが細くされているホイールの表面に貼付することができる。


    本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムは、ホイールに貼付した場合、剥がれ難く、自動車のブレーキディスクへの錆の防止性に優れている。 特に、本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムは、優れた追従性を有するので、三次元に複雑化された形状、例えば平均斜度30〜80度、特に平均斜度40〜80度の急斜面を有する形状にも、また、スポークが細くされているホイール表面の形状にも、容易に貼付、接着することができる。 そのため、接着面積が大きくなり、ホイールから剥がれ難い。 また、本発明の自動車ブレーキディスク用アンチラスト粘着フィルムは、追従性に優れ、破れ難いので、空気抜けのためのスリットを設ける必要がない。

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