【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用ホイールおよび該ホイールの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車用ホイールは、一般に、鋼の2部品すなわちディスクおよびリムで形成されており、これらのディスクおよびリムは、異形部材のプレス加工すなわち成形により作られ、次に溶接により組み立てられる。 鋼の使用は、重量ホイールの製造において非常に優れた機械的および熱的性能を得ることを可能にする。 今日、エネルギの節約に重点が置かれており、自動車製造業者の1つの重要な関心事は、ホイールのような自動車部品の重量を減少させて、ガソリン消費量を低減させかつ車両の操縦性を向上させることである。 1つの解決法は、軽合金ホイールを作ることである。 しかしながら、 軽合金ホイールのコストは、鋼ホイールのコストの3〜 5倍である。 他の解決法はプラスチックの使用である。 この解決法は重量を大幅に低減できるが、ホイールに充分な機械的特性が得られず、更に、ブレーキディスクにより伝達される熱エネルギの除去に関する問題が生じる。 【0003】このため、抵抗特性および熱伝導特性の両方を保証する金属ディスクと、重量の低減を可能にするプラスチックリムとを有する、いわゆる「ハイブリッド」ホイールと呼ばれているような他の解決法が開発されている。 かくして、国際特許出願(WO 93/01946)には、本質的に金属ディスクおよびプラスチックリム(これらのディスクおよびリムは別々に製造され、ねじにより組み立てられる)からなるホイールが記載されている。 しかしながら、ねじによる組立ては、高い工業化コストを招き、かつディスクとリムとの間に優れた同心性を得るには極めて高い精度を要する。 また、ホイールの或る箇所にねじ支持要素が存在すると、破断の危険性のある脆化領域が形成される。 最後に、プラスチック材料のねじ止めは、ねじ止め領域に材料の流れ(従って形成される初期クランピングに経年変化、このため、信頼性のないジョイントディスク連結部)を生じさせる。 また、この連結部は、タイヤの膨張圧力の作用および走行中に作用する外力(external constraints) により大きな応力を受ける。 【0004】日本国特許出願(JP-A-03193501)には、軽合金の金属ディスクと、該ディスクと接触する軽合金の第1内側部分および該第1部分に接合されたプラスチックの第2外側部分からなるリムとで形成されたハイブリッドホイールの別の実施の形態が開示されている。 この構造は金属ディスクおよびリムの第1金属部分を有する。 この第1部分には、モールディングまたは鍛造により、次に機械的方法で仕上げることにより、周方向の溝および孔(これらの溝および孔は、協働して、リムの第1部分の周囲に突出部を形成する)が形成される。 最後に、リムの第1部分の上に、リムの第2プラスチック部分をモールディングし、第2プラスチック部分が第1部分の外面の端部上に載置されかつ前記突出部を覆うようにする。 かくして、リムの2部分間の連結(該連結は、 第1部分上への第2部分の載置によりなされている) は、覆われた突出部の存在により得られる回転一体性により強化される。 【0005】このホイールは、リムの内側部分を付加するため、複雑な構造を有する。 軽合金からなるこの付加内側部分の存在は、一方では、使用される高価な軽合金の量に対するコストの敏感性により、他方では、ホイールの多くの製造工程を要しかつ製造時間を増長させることにより、ホイールの製造コストを増大させる。 また、 ホイールの2つの部分間に得られる載置構造は、緊密固定能力(tightness)に欠ける連結ゾーンを形成する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リムとディスクとの間の優れた取付け構造を有するハイブリッドホイールを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、プラスチック材料で形成されたリムと金属ディスクとからなり、リムおよびディスクが組付け縁部を介して組み立てられるホイールの特徴は、組付け縁部がディスクの外周自由端により形成されている点、および、組付け縁部の両面がリムにより覆われるようにして該縁部がリム内にインサートされている点にある。 実際に、このようにしてディスクの外周自由端を覆うことにより、中間部品を設ける必要なくして、ディスクとリムとの簡単で信頼性のある連結部を確保できる。 かくして、リム2はディスクの組付け縁部を包囲(hooping)し、従って、ディスクおよびリムの連結部の非常に優れた緊密固定能力および回転一体性が確保される。 【0008】組付け縁部には、その外周部に均一に分布された組付け強化孔が設けられており、該孔内には、リムとディスクとのロッキング連結部として機能するリムの材料が導入される。 このような構成により、リムを形成する材料がディスクを貫通するため、リムとディスクとの連結部が改善される。 本発明によれば、リムとディスクとの優れた同心性を有するホイールが得られる。 また、本発明は、金属ディスクを製造する工程と、ディスクの外周自由端を金型内に位置決めする工程と、ディスクの外周自由端の両面をリムが覆うように前記外周自由端上にリムをモールディングする工程とからなるハイブリッドホイールの製造方法に関する。 【0009】同時に、このような製造方法は、容易かつ低コストで工業化できる点でも優れている。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の他の特徴および長所は、 添付図面を参照して以下に述べる本発明のホイールの実施の形態の説明から明らかになるであろう。 図1に示すように、ホイール1は、複合材料からなるリム2および金属ディスク3を有し、これらのリム2およびディスク3は互いに組み立てられる。 ディスク3の中央部には、 ホイール1をハブ(図示せず)に固定するための孔4 と、前記ハブに対してホイール1を心出しするための開口5とが設けられている。 また、ディスク3は、該ディスク3の外周自由端6により形成された、リム2に組み付けるための組付け縁部を有する。 組付け縁部6の周囲には、均一に分布する組付け強化孔7が穿けられている。 【0011】中空円筒状のリム2の外周端には、タイヤ(図示せず)のビードを保持するためのフランジ8、9 が設けられている。 また、リム2は、一方のビードを受け入れるための慣用的な態様のシート11を有し、該シート11は、フランジ9と、前記ビードを所定位置に保持するためのボス10(該ボスは、英語で「ハンプ」と呼ばれている)との間に配置されている。 リム2は更に、環状リムセクション12によりシート11に連結されたウエル(凹部)13を有している。 セクション12 は、それぞれ、シート11およびウエル13に連続する2つの端部121、123を有し、端部121はハンプ10を形成する。 図2に示すように、リム2は、組付け縁部6がセクション12内にインサートされかつセクション12の母線に対してほぼ平行な方向に延びるように、組付け縁部6上にモールディングされる。 ディスク3は、セクション12とウエル13の壁との結合ゾーンの近くのセクション12の半径方向内方の壁123から出ている。 セクション12に弱い箇所が創出されないようにするため、組付け縁部6は、セクション12の全長に亘って、該セクション12の内部へと半径方向に延びている。 【0012】かくして、リム2は組付け縁部6の両面を覆い、このため、リム2による組付け縁部6の包囲を行なうことができ、従って、この連結部の非常に優れた緊密固定能力およびリム2とディスク3との非常に優れた回転一体性の両方が保証される。 かくして、組付け縁部6の補強孔7はリム2を構成する複合材料により充填され、従ってリム2とディスク3との間にロック連結部1 6を形成する。 これらのロック連結部16の存在は、組付け縁部6の周囲にリム2をモールディングすることに加え、ロック連結部16を形成するための組付け縁部6 を貫通するモールディング材料の流れを形成することにより、リム2とディスク3との間の連結を強化しかつ改善することができる。 【0013】また、組付け縁部6は、リム2のセクション12の表面122と同様に、取り付けられるホイールに対してディスク3の外方に向かって(すなわち、ビード保持フランジ9に向かう方向に)湾曲している。 この湾曲構造は、走行時にホイール1に軸方向に作用する外力をホイール上で良好に分散させることを可能にする。 このような力の分散が得られることは特に重要である。 なぜならば、現在では、ブレーキディスク用に確保される空間のため、リム2の厚さが制限されるからである。 リム2の全周に亘ってリム2とディスク3との連結部が形成されているため、リム2の全体に亘って重量をほぼ均一に分散させることができる。 この連結ゾーンを拡大するため、セクション12の端部123は、セクション12の曲率に従ってリム2の内側を向いて延びる突出部15を有する。 また、組付け縁部6は、この突出部15 の曲率に沿って突出部15内にインサートされている。 【0014】また、特にセクション12に作用するタイヤの膨張圧力による変形は、リム2が複合材料で作られている場合の方が、金属で作られている場合よりも大きい。 ウエル13とフランジ8との間の部分の沈下が大きくなり過ぎないようにするには、フランジ8に大きな剛性をもたせる必要がある。 フランジ9とセクション12 との間のリムの長さが短いために度合いは小さいけれども、これと同じ現象がフランジ9のレベルにも存在する。 それにも係わらず、フランジ8、9の剛性が大き過ぎると、リム2上のタイヤの膨張圧力により形成される力の付与時に、ホイール1の中央に向かうリム2の中央部の沈下に対応するリム2の変形を引き起こす危険が伴なう。 これはいずれにせよ好ましくない。 【0015】従って、充分に剛性のあるタイヤ支持体であるリム2を作るため、フランジ8、9はU形の軸方向断面を有している。 この特別な形状は、フランジのレベルでの質量(従って剛性)を増大させるけれども、フランジの或る可撓性を維持することができる。 従って、タイヤの膨張圧力の効果によりリム2に引き起こされる変形は極く僅かであり、リム2の輪郭は保有される。 かくして、ホイール1は、脆性の大きな領域を呈することなく、必要な機械的特性および熱的特性を有する。 このホイールには、リム2とディスク3との間に堅固で信頼性のある連結部が形成される。 以下の記載において、異なる図面に共通の部品は同じ参照番号で示されている。 【0016】図3には、ホイール1の他の実施の形態が示されている。 この変更形態は、リム2内での組付け縁部6に位置決めの点で前の実施の形態とは異なっている。 組付け縁部6は、シート11の半径方向内方の壁1 12を通ってシート11内にインサートされ、かつ前記シート11とセクション12との結合ゾーンの位置に配置される端部62を有している。 また、シート11は、 リム2の内側を向いた突出部15′を支持しており、突出部15′内に組付け縁部6が延びている。 ディスク3 はリム2から、前記突出部15′の自由端151′を通ってリム2から延びている。 この場合、組付け縁部6 は、ディスク3の内側すなわちフランジ8の方向に湾曲している。 図1および図2に示す実施の形態と比較したこの湾曲方向の変更は、リム2の中央部の剛性に関して或る平衡を回復させる必要性により説明される。 【0017】この変更形態は、前述の信頼性の基準に従って、種々の幾何学的条件に従ってホイールを製造することを可能にする。 本発明によるホイールの製造方法を以下に簡単に説明する。 本発明のホイールの製造方法の第1工程は、金属ディスク3を製造することである。 ディスク3の製造は、スタンピングまたは他の既知の技術により慣用的に行なわれる。 ディスク3は、鋼、アルミニウム、マグネシウムまたはアルミニウムとマグネシウムとの合金等の金属で形成できる。 ディスク3の厚さ並びに材料の他の特性は、ホイールが装着される車両の特徴的機能に従って選択される。 このようにして得られたディスク3は、次に、該ディスクの組付け縁部6を包囲する金型(モールド)内に置かれ、オーバーモールディングされるディスク3の部分とディスク3の残部との間の緊密固定性を確保する。 【0018】第3工程では、複合材料が金型内に射出される。 この射出は、リム2の材料を均一分散させるため、数箇所で行なうのが好ましい。 複合材料は、ディスク3の組付け縁部6の孔7を含むリム2の全体に亘って拡散する。 例えば、長繊維含浸樹脂または短繊維含浸熱可塑性樹脂等の種々の複合材料が適している。 しかしながら、繊維含浸されているか否かに係わらず、熱可塑性材料が特に適している。 なぜならば、オーバーモールディング作業に要するサイクルタイムが、熱硬化性材料の場合に比べ非常に短いからである。 このリムの製造には多くの熱可塑性材料を使用でき、例えばガラス繊維強化ポリアミド6.6で製造できる。 【0019】 【発明の効果】この安価な製造方法は、非常に短いサイクルタイムでホイールを製造することを可能にし、従って、これは工業的見地から非常に重要である。 また、本発明の方法は、同じ寸法のリムについて、ディスクの設計を変更(しかしながら、組付け縁部については同じ幾何学的形状を維持)することにより、達成される多種類の組合せのホイールの製造を可能にする。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のホイールの軸方向断面図である。 【図2】図1の円Aで囲む部分の拡大図である。 【図3】図1のホイールの変更した実施の形態による円Aで囲む部分の拡大図である。 【符号の説明】 1 ホイール 2 リム 3 ディスク 6 組付け縁部 7 組付け強化孔 12 リムセクション 15 突出部 フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29L 30:00 (72)発明者 ジャン ミッシェル タトロー パロ フランス 63000 クレルモン フェラン リュー ヴィクトール バスク 25 (72)発明者 アラン ヴァクセレール フランス 63540 ロマーニャ アンパッ ス ド アマンディエール 2 |