車輪リムをコーティングする方法、並びに得られる防汚性及び耐ブレーキダスト性のコーティング

申请号 JP2017565162 申请日 2016-06-01 公开(公告)号 JP2018524162A 公开(公告)日 2018-08-30
申请人 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング; BASF Coatings GmbH; 发明人 マテュー,マライケ; ファイグル,アンドレアス; グレネヴォルト,マティユス; レルブシュ,マルレン; シュタイナー,ハンス−ペーター; シュテュッベ ヴィルフリート;
摘要 本発明は、金属表面、より詳細には車輪リムに防汚性コーティングを生成する方法であって、 i)少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)と、 j)平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の式(I) −X−Si−R 3 s G 3−s (I) (式中、 G=同一であるか又は異なる加 水 分解性基であり、 X=有機ラジカルであり、 R 3 =アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 s=0〜2である) の加水分解性シラン基を有する少なくとも1種の成分(B)と、 k)シラン基の架橋のための少なくとも1種のリン及び窒素含有触媒(D)と、 l)ヒドロキシル基とイソシアナート基との反応のための少なくとも1種の触媒(Z)と を含むコーティング材料組成物(K)が任意にプレコートされた金属表面に塗布され、 触媒(Z)がの群亜鉛及びビスマスのカルボン酸塩、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素キレート化合物、無機スズ含有触媒、及びこれらの混合物から選択されることを含む、方法に関する。本発明は、本方法によって得ることができるコーティング、及びそれを使用する方法を更に提供する。
权利要求

金属表面にコーティングを生成する方法であって、 e)少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)と、 f)平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の式(I) −X−Si−R3sG3−s (I) (式中、 G=同一であるか又は異なる加分解性基であり、 X=有機ラジカルであり、 R3=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 s=0〜2である) の加水分解性シラン基を有する少なくとも1種の成分(B)と、 g)シラン基の架橋のための少なくとも1種のリン及び窒素含有触媒(D)と、 h)前記ヒドロキシル基と前記イソシアナート基との反応のための少なくとも1種の触媒(Z) を含むコーティング材料組成物(K)が前記表面の少なくとも一部に塗布され、前記方法が、 i.前記コーティング材料組成物(K)を車輪リムに塗布することと、 ii.前記触媒(Z)が亜鉛及びビスマスのカルボン酸塩、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素のキレート化合物、無機スズ含有触媒、及びこれらの混合物の群から選択されることと を含む、方法。金属製表面に防汚性コーティングを生成する方法であって、 a)少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)と、 b)平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の式(I) −X−Si−R3sG3−s (I) (式中、 G=同一であるか又は異なる加水分解性基であり、 X=有機ラジカルであり、 R3=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 s=0〜2である) の加水分解性シラン基を有する少なくとも1種の成分(B)と、 c)シラン基の架橋のための少なくとも1種のリン及び窒素含有触媒(D)と を含むコーティング材料組成物(K)が任意にプレコートされた金属表面に塗布され、 前記コーティング材料組成物(K)が、 d)前記ヒドロキシル基と前記イソシアナート基の反応のための、亜鉛及びビスマスのカルボン酸塩、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素のキレート化合物、無機スズ含有触媒、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の触媒(Z)を更に含む、方法。車両、又は車両部品、より特定すると自動車部品にコーティングを生成するために使用される、請求項2に記載の方法。前記金属表面又は車輪リムが、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、若しくはこれらの金属の合金、又はスチールからなり、好ましくはアルミニウム又はスチールからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、 e)前記触媒(D)とは異なり、無機酸及び/若しくは有機酸、並びに/又は無機酸の部分エステル及び/若しくは有機酸の部分エステルの群から選択される少なくとも1種の反応促進剤(R) を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)の成分(B)が、平均で少なくとも1個の式(II) −NR−(X−SiR”x(OR’)3−x) (II) の加水分解性シラン基、及び/又は 少なくとも1個の式(III) −N(X−SiR”x(OR’)3−x)n(X’−SiR”y(OR’)3−y)m (III) (式中、 R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 R’= 水素、アルキル、又はシクロアルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、好ましくはR’=エチル及び/又はメチルであり、 X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分岐アルキレン又はシクロアルキレンラジカルであって、好ましくはX、X’=1〜4個の炭素原子を有するアルキレンラジカルであり、 R”=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、好ましくはR”=アルキルラジカル、より特定すると1〜6個のC原子を有するアルキルラジカルであり、 n=0〜2、m=0〜2、m+n=2、及びx、y=0〜2である) の加水分解性シラン基を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。成分(B)中に元々存在する前記イソシアナート基の10〜90mol%、好ましくは15〜70mol%、より好ましくは20〜65mol%が、反応を受けて式(II)及び/又は(III)のシラン基を形成している、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。成分(B)中に元々存在する前記イソシアナート基の5〜55mol%、好ましくは9〜50mol%、より好ましくは15と50mol%の間、非常に好ましくは20〜45mol%が、反応を受けて式(III)のシラン基を形成している、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、 リン及び窒素含有触媒(D)としての、任意に置換されているリン酸モノエステルのアミン付加物、及び/若しくは任意に置換されているリン酸ジエステルのアミン付加物、 並びに/又は 触媒(Z)としての、分岐C3〜C24脂肪酸のBi(III)塩、 並びに/又は 促進剤(R)としての、リン含有酸及び/若しくはその部分エステル を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、促進剤(R)としての、任意に置換されている非環式リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている環状リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている非環式リン酸ジエステル及び/又は任意に置換されている環状リン酸ジエステルを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、いずれの場合も前記コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、 前記触媒(D)を0.1〜15.0wt%の割合で、 前記触媒(Z)を0.005〜1.0wt%の割合で、 前記促進剤(R)を0〜10.0wt%の割合で 含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、いずれの場合も前記コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0.05〜6.0wt%の立体障害アミンをベースとする少なくとも1種の光安定剤(LS1)と、0.5〜15.0wt%のUV吸収剤をベースとする少なくとも1種の光安定剤(LS2)との混合物を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。前記コーティング材料組成物(K)が、ポリヒドロキシル基含有成分(A)として、OH価が60〜300mgKOH/g、好ましくは70〜250mgKOH/gであり、及び/又はいずれの場合もDSC測定により測定された、ガラス転移温度が−60℃〜<+10℃、好ましくは−30℃〜<0℃である少なくとも1種のポリメタクリラート樹脂及び/又は1種のポリアクリラート樹脂を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。任意に前処理、任意にプライマー、有色のベースコート組成物、若しくは腐食防止コーティング組成物を施して前記コーティング材料組成物(K)を前記金属表面に塗布し、次いで、前記有色のベースコート組成物若しくは前記腐食防止コーティング組成物を前記コーティング材料組成物(K)と共に20〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度で硬化させる、又は前記コーティング材料組成物(K)を前記任意に前処理された金属表面に直接塗布し、20〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度で硬化させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって生成可能なコーティング。請求項15に記載のコーティングをトップコートとして含む、多層コーティング。基材の耐ブレーキダスト性を向上させるための、請求項15に記載のコーティングを使用する方法。

说明书全文

本発明は、金属表面をコーティングする方法であって、表面の少なくとも一部に、少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)と、平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の加分解性シラン基を有する少なくとも1種の成分(B)と、シラン基の架橋のための少なくとも1種のリン及び窒素含有触媒(D)とを含むコーティング材料組成物(K)が塗布される、方法に関する。

本発明は更に、コーティング材料組成物(K)を使用して金属製表面に防汚性及び/又は耐ブレーキダスト性のコーティングを生成する方法、及び得られる防汚性及び耐ブレーキダスト性のコーティングを提供する。

アルミニウム製リムは、スチール製リムと比較して実質的に軽く、燃料の節約を可能とすることから、自動車製造におけるアルミニウム製リムの使用が益々増加している。しかし、アルミニウム製リムは、車両に高付加価値及び洗練された外見を与えることから、特に視覚的な理由で使用されている。

しかし、アルミニウム製リムの大きな欠点は、耐食性が不十分であること、汚れやすいこと、及び、殊にスチールの表面に比べて光沢のあるアルミニウムの表面では擦傷が遙かに目立つために、耐擦傷性が低いことである。したがって、アルミニウム製リムは通例、前処理、プライマー、ベースコート、及びクリアコートからなるコーティングが施される。しかし、こうしたコーティング系にもかかわらず、アルミニウム製リムは、例えば、冬期の凍結防止塩の使用や、特にブレーキダストが原因で、不十分な耐食性を示す。ブレーキダストは、第一に高温でリムに衝突し、第二に、リム形状にもよるが、特に、洗浄が難しく洗車時に十分に洗浄されないことから大部分がリム上に留まるためである。手作業での洗浄も、多くの場合非常に複雑な形状のために困難である。加えて、ブレーキダストの組成及びブレーキダストがリム表面に衝突する過酷な条件はいずれも、ブレーキダストが多くの場合、水、石鹸、及び脂溶性物質などの通常の洗浄用製品に対して耐性があるため、洗浄を一層困難にする。最後に、汚れたリムは、例えば日光が当たる場所に車両があれば、UVにも曝される。結果として、時間の経過と共に、ブレーキダストはコーティングを浸食する。

同様に益々広まっているのが、いわゆる磨いた、又は輝く機械加工を施したアルミニウム製リムであり、その表面は、何より人の眼には見えないことを意図した1層又は複数層の薄いクリアコートが施されただけの純粋なアルミニウムの高級に見える光沢面からなっている。ここで、薄いクリアコートのみによる傷つきやすい表面の保護は、一層深刻な問題を引き起こす。

したがって、こうした問題をできるだけ排除することを目的として、車輪リムをコーティングするための様々なコーティング材料組成物が、殊に超疎水性コーティングを基礎として開発されているが、これまでのところ満足のいくような結果を得られていない。

したがって、例えば、EP−B−1727871は、第一に耐擦傷性ペルヒドロポリシラザンベースコートを任意に含み、少なくとも1種のペルヒドロポリシラザンと、光触媒性二酸化チタンとを含むコーティングを発明に必須の上側保護層として更に含む、車輪リム用自己洗浄コーティングを記載する。

DE19939199A1は、必須構成成分として微粉化した導電性粒子状固体、好ましくは三酸化アンチモンをドープした二酸化スズの被膜を有する硫酸バリウム粒子を含む車輪リム用のコーティング材料を記載する。

その意図は、コーティングフィルムの制電帯電を防止することである。その理由は、そうした帯電の結果として、制動時に発生するブレーキライニングの摩耗粒子がコーティングフィルムに引き寄せられて付着し、制動時のコーティングフィルムの加熱の結果、そうしたフィルムに焼き付けられるからである。

DE102009008868A1は、ゾルゲルネットワークをベースとするいわゆるタッチ保護コーティングを記載し、コーティングは、自動車のトリム部品のコーティングに使用されるが、リムへの使用にも適すると記されている。

更に、米国特許第4,911,954A号は、第一に、透明なナノ粒子と、硬化した状態で20℃での破断点伸びが少なくとも30%であって、ガラス転移温度が−25℃〜+60℃と低い樹脂をベースとする第一のコーティング組成物を塗布し、次いでこのコーティングに、硬化した状態でガラス転移温度が+60℃〜+130℃であって、20℃での破断点伸びが3%〜30%である第二のコーティング組成物を塗布する、アルミニウム製リムをコーティングする方法を開示する。

米国出願第2012/0302693A号は、フッ素含有グラフトコポリマーに基づき、同様に自動車産業の分野で使用可能な自己洗浄コーティングを記載する。

WO05/014742は、シランとフッ素含有シランとの縮合生成物をベースとするカチオン硬化性コーティング材料を塗布することにより得られ、建築物及び自動車のコーティング、医療分野におけるコーティングなど、非常に異なる多数の用途に使用可能な液体をはじくコーティングを記載する。

米国特許第7,455,912B号は、シラノール基を含有するポリマー、より詳細には、シラノール基を含有するポリアクリラートをベースとする水性コーティング材料を塗布することによって得られる自己洗浄コーティングを記載する。これらのコーティング材料は、例えば自動車のリムのコーティングに使用される。

更に、EP−B−2340286は、車輪リムをコーティングするためのコーティング材料組成物を開示し、前記コーティングは、第一の成分として、ジイソシアナートと、アミノシラン及びポリジメチルシロキサンジオール又はポリエチレングリコールとのイソシアナート基非含有反応生成物を含み、更に、第二の成分としてシランの縮合生成物を含む。

全ての公知の系の欠点は、コーティングの耐久性が欠けていることである。更に、改善が必要なのが、コーティングの黄変であり、これは露出後の洗浄にかかる膨大な手間である。

車輪リム、殊に合金製の車輪リムをコーティングする別の方法は、例えばDE10242555A1に記載されているように、第一に、凹凸を埋める湿式プライマーコーティング材料を塗布し、PVD(PVD=Plasma Vapor Deposition、プラズマ蒸着)プロセスによりこのプライマーを電気めっき可能層でコーティングし、最後に電気めっき可能層をクロムメッキするものである。

更には、WO08/74491、WO08/74490、WO08/74489、及びWO09/077181は、ポリヒドロキシル基含有成分(A)に加えて、イソシアナート基とシラン基とを含有する少なくとも1種の成分(B)を含み、公知のイソシアナートをベースとする、好ましくはジイソシアナート、より特定するとヘキサメチレンジイソシアナートのビウレット二量体及びイソシアヌラート三量体をベースとするコーティング材料を開示する。これらのコーティング材料組成物は、従来のポリウレタンコーティング材料に対して、良好な耐候性と併せて大幅に改善された耐擦傷性という利点を有する。これらのコーティング材料は、自動車の表面仕上げの分野において使用されるが、車輪リムのコーティングについては記載されていない。しかし、本文脈において望まれるのは、クリアコート表面の耐ブレーキダスト性の向上である。

更に、EP−B−2445948は、良好なストーンチップ保護特性と併せて高耐擦傷性を有するコーティングとなるもので、ガラス転移温度が10℃未満のヒドロキシル基含有ポリ(メタ)アクリラート(A)に加えて、シラン化ポリイソシアナート(B)を更に含むコーティング材料を開示する。コーティング材料は、殊に、自動車のOEM仕上げ及び自動車の再塗装の分野において使用されるが、車輪リムのコーティングについては記載されていない。ここでも、クリアコート表面の耐ブレーキダスト性の向上が望まれる。

最後に、出願番号がEP14151310.1の未公開欧州特許出願は、金属化された表面と、その上に配置され、最外コートを生成するために使用される二成分ポリウレタンコーティング材料組成物が、加水分解性シラン基を有する1種又は複数の構成成分を含む透明コーティングを有する基材を開示する。触媒として、これらのコーティング材料組成物は、追加のアミン触媒と任意に組み合わせたリン酸のアミンブロック化部分エステルを含む。金属化は、好ましくはPVD又はCVDプロセスによって達成される。これらの基材は、例えば、機械部品及び機械付属品、殊にトリムストリップなどの自動車外装の分野の自動車部品及び自動車付属品、並びに、特に灯火類及びヘッドランプのミラー及び反射器の製造にも使用することができる。しかし、ここでも、車輪リムのコーティングについては記載されていない。

EP−B−1727871

DE19939199A1

DE102009008868A1

米国特許第4,911,954A号

米国出願第2012/0302693A号

WO05/014742

米国特許第7,455,912B号

EP−B−2340286

DE10242555A1

WO08/74491

WO08/74490

WO08/74489

WO09/077181

EP−B−2445948

未公開欧州特許出願EP14151310.1

したがって、本発明により対処する課題は、先行技術における上記の欠点及び不都合を解消することであった。したがって、目的は、耐ブレーキダスト性が大幅に改善された被覆表面をもたらす、金属表面をコーティングする方法を提供することである。したがって、結果として得られるコーティングは、自動車の制動過程時の汚れ状態をシミュレーションする実験室試験において、耐性の向上を示さなければならない。この実験室試験においては、ブレーキダスト組成物を予熱し、高温金属試験用パネルに適用する。次いで、汚れたパネルを200時間の加速耐候試験に付してから規定の方法で洗浄し、損傷シナリオについて評価する。許容できない損傷がコーティング表面に生じるまで、この試験を複数回繰り返す。達成したサイクル数が大きいほど、耐ブレーキダスト性が良好である。

加えて、結果として得られる被覆金属表面は、できる限り防汚性で、洗浄が容易であると共に、高光沢、良好な耐擦傷性及び表面硬度を呈することが意図されている。更には、コーティングされた表面は、自動車の表面仕上げの分野において、特に、車輪リムのコーティングの分野において通例要求される、コーティング材料の熱硬化後の高い色堅牢性などの要件を満たさなければならない。

最後に、本方法において使用されるコーティング材料組成物は、容易に製造でき、非常に良好な再現性を有するものであって、コーティング材料の塗布時に何ら環境問題を引き起こさないものでなければならない。

したがって、発見されたのは、金属表面にコーティングを生成する方法であって、 a)少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)と、 b)平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の式(I) −X−Si−R3sG3−s (I) (式中、 G=同一であるか又は異なる加水分解性基であり、 X=有機ラジカルであり、 R3=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 s=0〜2である) の加水分解性シラン基を有する少なくとも1種の成分(B)と、 c)シラン基の架橋のための少なくとも1種のリン及び窒素含有触媒(D)と、 d)ヒドロキシル基とイソシアナート基との反応のための少なくとも1種の触媒(Z)と を含むコーティング材料組成物(K)が表面の少なくとも一部に塗布され、前記方法が、コーティング材料組成物(K)を車輪リムに塗布することと、触媒(Z)が亜鉛及びビスマスのカルボン酸塩、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素のキレート化合物、無機スズ含有触媒、及びこれらの混合物の群から選択されることとを含む、方法である。

本発明は、コーティング材料組成物(K)を使用して金属製表面上に防汚性コーティングを生成する方法、本方法により得ることができるコーティング、及びそれを使用する方法を更に提供する。好適な実施形態は、以下に続く明細書及び従属請求項より明らかとなる。

自動車の制動過程時の汚れ状態を再現する上記の実験室試験において、本発明の方法を用いて生成されるコーティングが耐性の向上を示すのは、驚くべきことであり、予測できないことであった。

加えて、結果として得られるコーティングされた金属表面は、防汚性で、洗浄が容易であり、高光沢、良好な耐擦傷性及び表面硬度が際立つものである。更には、コーティングされた表面は、自動車の表面仕上げの分野において、特に、車輪リムのコーティングの分野において通例要求される、コーティング材料の熱硬化後の高い色堅牢性などの要件などを満たす。

最後に、本方法において使用されるコーティング材料組成物は、容易に製造でき、非常に良好な再現性を有するものであって、コーティング材料の塗布時に何ら環境問題を引き起こさないものである。

本発明において採用されるコーティング材料 本発明の目的のため、別段の指示がない限り、いずれの場合も不揮発性画分(NVF、固形分)を判定するために一定の条件を選択した。

コーティング材料個々の成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)の不揮発性画分を判定するため、1gの量のそれぞれの成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)のサンプルそれぞれを固形蓋に塗布し、130℃で1時間加熱し、次いで、室温まで冷却して再度計量する(ISO3251に準拠)。次いで、130℃での乾燥後のそれぞれのサンプルの残渣の質量を乾燥前のそれぞれのサンプルの質量で除した比に100を乗じて相当する成分のwt%での結合剤含有量を得た。不揮発性画分は、例えば、本発明のコーティング組成物中に存在する対応するポリマー溶液又は樹脂について判定し、それにより、2種以上の構成成分の混合物又はコーティング組成物全体におけるそれぞれの構成成分の質量分率を調節し判定できるようにした。市販の成分の場合は、別段の指示がない限り、その成分の結合剤含有量は、表示された固形分と同じであるとみなしても十分な精度が得られる。

コーティング材料組成物の結合剤含有量は、いずれの場合も、架橋前のコーティング材料組成物の成分(A)+(B)+(C)+(E)の総結合剤含有量である。これは、成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)の結合剤画分と、いずれの場合もコーティング材料組成物100質量部に使用されたそれぞれの成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)の量から、当業者には公知の方法で計算される。したがって、コーティング材料組成物の質量部での結合剤含有量は、いずれの場合もコーティング材料組成物100質量部に使用されたそれぞれの成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)の量にいずれの場合もそれぞれの成分(A)又は(B)又は(C)又は(E)のwt%での結合剤含有量を乗じた積を、いずれの場合も100で除した値の合計に等しい。

本発明の目的のため、ヒドロキシル価又はOH価は、対象の構成成分1グラムをアセチル化する際に結合する酢酸のモル量に相当する水酸化カリウムのミリグラム単位の量を示す。本発明の目的のため、別段の指示がない限り、ヒドロキシル価は、DIN53240−2:2007−11(ヒドロキシル価の判定−第2部:触媒による方法)に準拠し、滴定によって実験的に判定される。

本発明の目的のため、酸価は、それぞれの構成成分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム単位の量を示す。本発明の目的のため、特に明記しない限り、酸価は、DIN EN ISO2114:2006−11に準拠し、滴定によって実験的に判定される。

本発明の目的のため、質量平均(Mw)分子量及び数平均(Mn)分子量が、高圧液体クロマトグラフィーポンプ及び屈折率検出器を使用して、35℃でのゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される。使用される溶離剤は、0.1vol%の酢酸を含有するテトラヒドロフランであり、溶出速度は1ml/分であった。較正は、ポリスチレン標準を使用して実施する。

本発明の目的のため、ガラス転移温度Tgが、DIN51005「熱分析(TA)−条件」及びDIN EN ISO11357−2「熱分析−示差走査熱量測定(DSC)」に基づき実験的に判定される。これは、10mgのサンプルをサンプルボートに量り入れ、それをDSC装置に導入することを伴う。装置を開始温度まで冷却し、その後、50ml/分の不活性ガスフラッシング(N2)下、加熱速度10K/分で1回目と2回目の測定を実施する。測定と測定の間には、再度開始温度に冷却する。測定は通例、予想されるガラス転移温度より約50℃低い温度からガラス転移温度より約50℃高い温度の範囲で行われる。本発明の目的のために記録されたガラス転移温度は、DIN EN ISO11357−2、10.1.2節に準拠した、2回目の測定過程において比熱容量の変化の半分(0.5デルタcp)に達した温度である。この温度は、DSC図(温度に対する熱の流れのプロット)から判定され、ガラス転移前後の外挿基準線間の中間線と測定プロットとの交点の温度である。

防汚性コーティング(多くの場合、「洗浄しやすい」とも言われる)は、本発明及び文献の目的のためには、表面に、落書き、産業に起因するほこり、交通に起因する汚れ、及び自然の堆積物などの汚れ、ほこり、及び不純物がほとんど又は全く付着せず、したがって洗浄しやすいコーティングを意味するものと理解される。

ポリヒドロキシル基含有成分(A) ポリヒドロキシル基含有成分(A)として、分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基を有し且つオリゴマー及び/又はポリマーである、当業者に公知の全ての化合物を使用することが可能である。成分(A)として、異なるオリゴマー及び/又はポリマーのポリオールの混合物を使用することも可能である。

好適なオリゴマーポリオール及び/又はポリマーのポリオール(A)は、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定で、数平均分子量Mn≧300g/mol、好ましくはMn=400〜30000g/mol、より好ましくはMn=500〜15000g/molであり、質量平均分子量Mw>500g/mol、好ましくは800と100000g/molの間、より特定すると900と50000g/molの間である。

成分(A)として好適なのは、ポリエステルポリオール、ポリアクリラートポリオール及び/又はポリメタクリラートポリオール並びにそれらのコポリマー(以下ポリアクリラートポリオールと称する);並びにポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、並びにこれらのポリオールの混合物である。

ポリオール(A)は、好ましくはOH価が30〜400mgKOH/g、より特定すると70と250mgKOH/gの間である。ポリ(メタ)アクリラートコポリマーの場合、OH価は、使用したOH官能性モノマーに基づいて計算により十分な精度で判定することもできる。

ポリオール(A)は、好ましくは酸価が0と30mgKOH/gの間である。

上記のDSC測定により測定されるポリオールのガラス転移温度は、好ましくは−150と100℃の間、より好ましくは−40℃と60℃の間である。

ポリウレタンポリオールは、好ましくはオリゴマーポリオール、より特定するとポリエステルポリオールプレポリマーと、適切なジ又はポリイソシアナートとの反応によって製造され、例えばEP−A−1273640に記載されている。特に使用されるのは、ポリエステルポリオールと脂肪族及び/又は脂環式ジ及び/又はポリイソシアナートとの反応生成物である。

本発明に従い好ましく使用されるポリウレタンポリオールは、いずれの場合もポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定で、数平均分子量Mn≧300g/mol、好ましくはMn=700〜2000g/mol、より好ましくはMn=700〜1300g/molであり、更に、好ましくは質量平均分子量Mw>500g/mol、好ましくは1500と3000g/molの間、より特定すると1500と2700g/molの間である。

適切なポリシロキサンポリオールは、例えば、WO−A−01/09260に記載されており、そこに列挙されているポリシロキサンポリオールは、好ましくは更なるポリオール、殊に、比較的ガラス転移温度が高いものと組み合わせて採用することができる。

特に好ましく使用されるポリヒドロキシル基含有成分(A)は、ポリエステルポリオール、ポリアクリラートポリオール、ポリメタクリラートポリオール、ポリウレタンポリオール、又はこれらの混合物であり、非常に好ましくは、ポリ(メタ)アクリラートポリオールの混合物である。

本発明に従い好ましく使用されるポリエステルポリオール(A)は、いずれの場合もポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定で、数平均分子量Mn≧300g/mol、好ましくはMn=400〜10000g/mol、より好ましくはMn=500〜5000g/molであり、更に、好ましくは質量平均分子量Mw>500g/mol、より好ましくは800と50000g/molの間、より特定すると900と10000g/molの間である。

本発明に従い好ましく使用されるポリエステルポリオール(A)は、好ましくはOH価が30〜400mgKOH/g、より特定すると100と250mgKOH/gの間である。

本発明に従い好ましく使用されるポリエステルポリオール(A)は、好ましくは酸価が0と30mgKOH/gの間である。

適切なポリエステルポリオールも、例えば、EP−A−0994117及びEP−A−1273640に記載されている。

本発明に従い好ましく使用されるポリ(メタ)アクリラートポリオール(A)は一般にコポリマーであって、いずれの場合もポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定で、好ましくは数平均分子量Mn≧300g/mol、好ましくはMn=500〜15000g/mol、より好ましくはMn=900〜10000g/molであり、更に、好ましくは質量平均分子量Mwが500と20000g/molの間、より特定すると1000と15000g/molの間である。

ポリ(メタ)アクリラートポリオール(A)は、好ましくはOH価が60〜300mgKOH/g、より特定すると70と250mgKOH/gの間であり、更に、酸価が0と30mgKOH/gの間である。

ヒドロキシル価(OH価)及び酸価は、上記に記載したように判定される(DIN53240−2及びDIN EN ISO2114:2006−11)。

本発明に従い好ましく使用されるポリ(メタ)アクリラートポリオール(A)に適するモノマー単位は、例えば、WO2014/016019の10〜11ページ、及びWO2014/016026の11〜12ページにおいて確認される。

特に本発明に従い使用されるのは、ガラス転移温度が−100と30℃未満、好ましくは10℃未満の間、より特定すると−60℃と+5℃の間、より好ましくは−30℃と0℃未満の間(上記のDSC測定を使用して測定)である1種又は複数種のポリ(メタ)アクリラートポリオール(A1)を成分(A)として含むコーティング材料組成物(K)である。加えて、コーティング材料組成物(K)は、1種又は複数種の異なるポリ(メタ)アクリラートポリオール(A2)、好ましくはガラス転移温度が10〜70℃(上記のDSC測定による測定)のポリ(メタ)アクリラートポリオール(A2)を更に含んでもよい。

ガラス転移温度は、最初に当業者が以下のフォックスの式(III) n=x 1/Tg=ΣWn/Tgn (III) n=1 (式中、 Tg=ポリアクリラート又はポリメタクリラートのガラス転移温度、x=共重合した異なるモノマーの数、Wn=n番目のモノマーの質量分率、Tgn=n番目のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度である) を活用して理論的に推定することもできるが、次いで、上記のように実験的に判定すべきである。

成分(A)は、好ましくは、 (a)10〜80wt%、好ましくは20〜50wt%のアクリル酸のヒドロキシル含有エステル又はそれらのモノマーの混合物、 (b)0〜30wt%、好ましくは0〜15wt%のメタクリル酸の非(a)ヒドロキシル含有エステル又はそのようなモノマーの混合物、 (c)5〜90wt%、好ましくは20〜70wt%のアルコール残基中に少なくとも4個の炭素原子を有する(メタ)アクリル酸の非(a)及び非(b)脂肪族若しくは脂環式エステル又はそのようなモノマーの混合物、 (d)0〜5wt%、好ましくは0.5〜3.5wt%のエチレン系不飽和カルボン酸又はエチレン系不飽和カルボン酸の混合物、 (e)0〜50wt%、好ましくは0〜20wt%のビニル芳香族化合物又はそのようなモノマーの混合物、並びに (f)0〜50wt%、好ましくは0〜35wt%の(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)以外のエチレン系不飽和モノマー又はそのようなモノマーの混合物であって、 質量分率の合計が常に100wt%である成分(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)を、 任意にこれらとは異なる1種又は複数種の(メタ)アクリラートコポリマーと共に共重合することにより得ることができる少なくとも1種の(メタ)アクリラートコポリマーを含む。

成分(B) 本発明のコーティング材料は、平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の加水分解性シラン基を有する成分(B)を含む。本発明のコーティング材料は、好ましくは平均で少なくとも1個の遊離イソシアナート基を有する成分(B)を含む。しかし、成分(B)のイソシアナート基は、ブロック化された形態でも使用することができる。これは、好ましくは本発明のコーティング材料が、一成分系として使用される場合である。ブロック化には、原理上は、ポリイソシアナートのブロック化に使用可能であって、非ブロック化温度が十分に低い任意のブロック化剤を使用することができる。そのようなブロック化剤は、当業者には周知である。例えば、イソシアナート基は、置換ピラゾールを使用して、より特定すると、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチピラゾール(dimethypyrazole)、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾールなどのアルキル置換ピラゾールを使用してブロック化してもよい。

本発明に従い好ましく使用される成分(B)の親構造として機能するジ及び/又はポリイソシアナートは、好ましくは従来の置換又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式及び/又は複素環式ポリイソシアナートであり、より好ましくは脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアナートである。更に好適なのは、二量化、三量化、ビウレット形成、ウレトジオン形成、アロファナート形成及び/又はイソシアヌラート形成によってこの種の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアナートから生じるポリイソシアナート親構造である。

本発明に従い好ましく使用される成分(B)の親構造として機能するジ及び/又はポリイソシアナートは、例えばWO2014/016019の12〜13ページ、及びWO2014/016026の13〜14ページに記載されている。

本発明に従い好ましく使用される成分(B)の親構造として特に好ましく機能するジ及び/又はポリイソシアナートは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、及び4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアナート、又はこれらのイソシアナートの混合物、及び/又は二量化、三量化、ビウレット形成、ウレトジオン形成、アロファナート形成及び/又はイソシアヌラート形成によりこのようなイソシアナートから生じる1種又は複数種のポリイソシアナート親構造である。より特定すると、ポリイソシアナート親構造は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートイソシアヌラート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートウレトジオン、イソホロンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートイソシアヌラート、又はこれらのポリイソシアナートの2種以上の混合物であり、より好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートイソシアヌラートである。

本発明の更なる実施形態において、ポリイソシアナートは、ポリオールと前述のポリイソシアナートの化学量論的過剰量との反応によって得られるウレタン構造単位を有するポリイソシアナートプレポリマーである。この種のポリイソシアナートプレポリマーは、例えばUS−A−4,598,131に記載されている。

本発明では、成分(B)が、平均で少なくとも1個の遊離又はブロック化イソシアナート基を有し、加えて、平均で少なくとも1個の式(I) −X−Si−R”sG3−s (I) (式中、 G=同一であるか又は異なる加水分解性基であり、 X=有機ラジカル、より特定すると1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分岐アルキレン又はシクロアルキレンラジカル、非常に好ましくはX=1〜4個の炭素原子を有するアルキレンラジカルであり、 R”=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、好ましくはR”=アルキルラジカル、より特定すると1〜6個のC原子を有するアルキルラジカルであり、 s=0〜2、好ましくは0〜1、より好ましくはs=0である) のシラン基を有することが必須である。

これらのシランラジカルの構造も同様に、反応性に影響を及ぼし、したがって、コーティングの硬化時のまさしく実質的な反応にも影響を及ぼす。シランの適合性及び反応性に関しては、3個の加水分解性基を有する、即ち、s=0であるシランが好ましく使用される。

加水分解性基Gは、ハロゲン、より特定すると塩素及び臭素の群から、アルコキシ基の群から、アルキルカルボニル基の群から、及びアシルオキシ基の群から選択されてもよい。特に好適なのは、アルコキシ基(OR’)である。

好ましくは、構造単位(I)は、好ましくは脂肪族ポリイソシアナート、及び/又は三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成及び/又はアロファナート形成によって脂肪族ポリイソシアナートから生じるポリイソシアナートと、少なくとも1種のアミノ官能性シラン(Ia) H−NRw−(X−Si−R”sG3−s)2−w (Ia) (式中、X、R”、G、及びsは、式(I)に関して示した定義を有し、R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、w=0又は1である) との反応によって導入される。

適切な例としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、商標名Geniosil(登録商標)GF93でWacker Chemieから市販)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、商標名Geniosil(登録商標)GF96でWacker Chemieから市販)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、商標名Geniosil(登録商標)GF9及びGeniosil(登録商標)GF91でWacker Chemieから市販)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(例えば、商標名Geniosil(登録商標)GF95でWacker Chemieから市販)などの第一級アミノシラン、又はN−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンなどの第二級N−アルキルアミノシラン、又はビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミンなどのビスアルコキシシリルアミンが挙げられる。

成分(B)は、好ましくは平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、加えて、平均で少なくとも1個の式(II) −NR−(X−SiR”x(OR’)3−x) (II)、 の構造単位(II)、及び/又は 少なくとも1個の式(III) −N(X−SiR”x(OR’)3−x)n(X’−SiR”y(OR’)3−y)m (III) の構造単位(III) (式中、 R=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、 R’=水素、アルキル、又はシクロアルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、好ましくはR’=エチル及び/又はメチルであり、 X、X’=1〜20個の炭素原子を有する直鎖及び/又は分岐アルキレン又はシクロアルキレンラジカルであって、好ましくはX、X’=1〜4個の炭素原子を有するアルキレンラジカルであり、 R”=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであって、炭素鎖が非隣接酸素、硫黄、又はNRa基(式中、Ra=アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキル)によって中断されていることが可能であり、好ましくはR”=アルキルラジカル、より特定すると1〜6個のC原子を有するアルキルラジカルであり、 n=0〜2、m=0〜2、m+n=2、及びx、y=0〜2である) を有する。

より好ましくは、成分(B)は、平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、更に平均で少なくとも1個の式(II)の構造単位(II)と平均で少なくとも1個の式(III)の構造単位(III)を有する。

それぞれの好適なアルコキシラジカル(OR’)は、同種であっても異なっていてもよい。しかし、ラジカルの構造にとって重要なのは、それらが加水分解性シラン基の反応性にどの程度影響を与えるかである。好ましくは、R’はアルキルラジカルであり、より特定すると、1〜6個のC原子を有する。特に好適なラジカルR’は、シラン基の反応性を高めるもの、即ち、良好な脱離基を表すものである。したがって、メトキシラジカルはエトキシラジカルよりも好適であり、エトキシラジカルはプロポキシラジカルよりも好適である。したがって、特に好ましくは、R’=エチル及び/又はメチル、より特定するとメチルである。

有機官能性シランの反応性は、更に、改質すべき構成成分との反応に役立つシラン官能基と有機官能基との間のスペーサX、X’の長さによっても大きく影響され得る。この一例は、Wackerから入手可能であり、Si原子と官能基との間に「ガンマ」シランの場合に存在するプロピレン基ではなくメチレン基が存在する「アルファ」シランである。

成分(B)は一般に、異なる化合物の混合物からなり、平均で少なくとも1個の式(I)の構造単位(I)のみを有し、好ましくは平均で少なくとも1個の式(II)の構造単位(II)と、少なくとも1個の式(III)の構造単位(III)と、平均で少なくとも1個、好ましくは2個以上のイソシアナート基を有する。したがって、特に、成分(B)は、 2個以上のイソシアナート基を有し、構造単位(I)、(II)及び(III)を含有しない少なくとも1種の化合物(B1)と、 1.少なくとも1個のイソシアナート基と少なくとも1個の構造単位(II)とを有する少なくとも1種の化合物(B2)と、任意に採用される、少なくとも1個のイソシアナート基と少なくとも1個の構造単位(III)を有する少なくとも1種の化合物(B3) 及び/又は 2.少なくとも1個の構造単位(II)と少なくとも1個の構造単位(III)を有し、イソシアナート基を有さない少なくとも1種の化合物(B4) 及び/又は 3.少なくとも1個のイソシアナート基と少なくとも1個の構造単位(II)と少なくとも1個の構造単位(III)を有する少なくとも1種の化合物(B5) 及び/又は 4.少なくとも1個の構造単位(II)を有し、イソシアナート基を有さない少なくとも1種の化合物(B6)と、任意に採用される、少なくとも1個の構造単位(III)を有し、イソシアナート基を有さない少なくとも1種の化合物(B7) との混合物からなる。

本発明に従い好ましく使用される、構造単位(II)及び/又は(III)で官能化された成分(B)は、特に、好ましくは脂肪族ポリイソシアナート、及び/又は三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成及び/又はアロファナート形成によって脂肪族ポリイソシアナートから生じるポリイソシアナートと、少なくとも1種の式(IIa) H−NR−(X−SiR”x(OR’)3−x) (IIa) の化合物 及び/又は少なくとも1種の式(IIIa) HN(X−SiR”x(OR’)3−x)n(X’−SiR”y(OR’)3−y)m (IIIa) の化合物との反応によって得られ、置換基は、上記の定義を有する。

この文脈において、成分(B)の製造のために、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量を少なくとも1種の化合物(IIa)と少なくとも1種の化合物(IIIa)との混合物と直接反応させることが可能である。更には、成分(B)を製造するために、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量をまず少なくとも1種の化合物(IIa)又は(IIIa)と反応させ、その後少なくとも1種の化合物(IIIa)又は(IIa)と反応させることも可能である。

更には、成分(B)の製造のため、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の一部のみをまず少なくとも1種の化合物(IIa)と少なくとも1種の化合物(IIIa)との混合物と反応させ、続いて成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の残部を添加することが可能である。

最後に、成分(B)の製造のため、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の一部のみをまず少なくとも1種の化合物(IIa)と独立して反応させ、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の別の一部を少なくとも1種の化合物(IIIa)と独立して反応させ、続いて成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の残部を任意に添加することが可能である。ここで、当然ながら、記載した反応の考え得るハイブリッド形態は全て、成分(B)の製造に使用可能である。

しかし、好ましくは、成分(B)は、代替的に、成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量を少なくとも1種の化合物(IIa)と少なくとも1種の化合物(IIIa)との混合物と反応させること、 又は 成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の一部を、化合物(IIa)及び(IIIa)で完全にシラン化され、したがって、イソシアナート基を含まない成分と混合すること、 及び/又は 成分(B)の製造に使用されるジ及び/又はポリイソシアナートの総量の一部を、化合物(IIa)で完全にシラン化され、したがって、イソシアナート基を含まない成分と、化合物(IIIa)で完全にシラン化され、したがって、イソシアナート基を含まない成分と混合すること、によって製造される。

本発明に従い特に好ましく使用される、構造単位(II)及び/又は(III)で官能化された成分(B)は、特に好ましくは、脂肪族ポリイソシアナート、及び/又は三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成及び/又はアロファナート形成によって脂肪族ポリイソシアナートから得られるポリイソシアナートと、少なくとも1種の式(IIa)の化合物及び少なくとも1種の式(IIIa)化合物との反応によって得られる。置換基は、上記の定義を有する。

本発明の好適な化合物(IIIa)は、ビス(2−エチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミン、ビス(4−ブチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(2−エチルトリエトキシシリル)−アミン、ビス(3−プロピルトリエトキシシリル)アミン、及び/又はビス(4−ブチルトリエトキシシリル)アミンである。殊に好適なのは、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミンである。この種のアミノシランは、例えば商標名DYNASYLAN(登録商標)でEvonikから、又は商標名Silquest(登録商標)でOSIから市販されている。

本発明の好適な化合物(IIa)は、好ましくは2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシ−シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリ−エトキシシランなどのアミノアルキル−トリアルコキシシランである。特に好適な化合物(Ia)は、N−(2−(トリメトキシシリル)エチル)アルキル−アミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、N−(4−(トリメトキシシリル)ブチル)アルキルアミン、N−(2−(トリエトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、及び/又はN−(4−(トリエトキシシリル)ブチル)アルキルアミンである。殊に好適なのは、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチル−アミンである。この種のアミノシランは、例えば商標名DYNASYLAN(登録商標)でEvonikから、又は商標名Silquest(登録商標)でOSIから市販されている。

成分(B)において、元々存在するイソシアナート基の好ましくは10と90mol%の間、より特定すると15と70mol%の間、好ましくは20と65mol%の間、より好ましくは25と60mol%の間が、反応を受けて構造単位(II)及び/又は(III)を形成し、好ましくは構造単位(II)及び(III)を形成している。

成分(B)において、好ましくは、ビスシラン構造単位(III)の総量は、いずれの場合も構造単位(III)+(II)全体に対して6と100mol%の間、好ましくは13と98mol%の間、より好ましくは23と95mol%の間、非常に好ましくは30と90mol%の間であり、モノシラン構造単位(II)の総量は、いずれの場合も構造単位(II)+(III)全体に対して94と0mol%の間、好ましくは87と2mol%の間、より好ましくは77と5mol%の間、より好ましくは70と10mol%の間である。

成分(B)において、元々存在するイソシアナート基のより好ましくは5と55mol%の間、好ましくは9と50mol%の間、より好ましくは15と50mol%の間、非常に好ましくは20と45mol%の間が、反応を受けて式(III)のビスシラン構造単位を形成している。

ヒドロキシル基含有成分(C) ポリヒドロキシル基含有成分(A)に加えて、本発明のコーティング材料組成物は、成分(A)とは異なる1種又は複数種の単量体のヒドロキシル基含有成分(C)を任意に含んでもよい。これらの成分(C)は、好ましくは、いずれの場合もコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して0〜10wt%、より好ましくは0〜5wt%の割合を占める。

低分子量ポリオールが、ヒドロキシル基含有成分(C)として使用される。使用される低分子量ポリオールは、例えば、好ましくはエチレングリコール、ジ及びトリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び1,2−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール、並びに好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、及びジペンタエリトリトールなどのポリオールである。この種の低分子量ポリオール(C)は、ポリオール成分(A)に好ましくは少量で混合される。

触媒(D) 本発明では、リン及び窒素含有触媒が触媒(D)として使用されることが必須である。2種以上の異なる触媒(D)の混合物も、ここでは使用し得る。

適切なリン及び窒素含有触媒(D)の例は、任意に置換されているホスホン酸ジエステル及び任意に置換されているジホスホン酸ジエステルのアミン付加物であり、好ましくは、任意に置換されている非環式ホスホン酸ジエステル、又は任意に置換されている環状ホスホン酸ジエステル、任意に置換されている非環式二リン酸ジエステル、及び任意に置換されている環状ジホスホン酸ジエステルのアミン付加物からなる群から選択される。これらの種類の触媒は、例えばドイツ特許出願第102005045228A号に記載されている。

しかし、特に使用されるのは、任意に置換されているリン酸モノエステルのアミン付加物、及び/又は任意に置換されているリン酸ジエステルのアミン付加物であり、好ましくは、非環式リン酸モノエステル及びジエステル、並びに環状リン酸モノエステル及びジエステルのアミン付加物からなる群から選択される。

触媒(D)としての使用に殊に好適なのは、アミンブロック化リン酸エチルヘキシル及びアミンブロック化リン酸フェニルであり、非常に好ましくは、アミンブロック化リン酸ビス(2−エチルヘキシル)である。

リン酸エステルをブロック化するのに用いられるアミンの例は、特に、第三級アミンであり、例えばジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの二環式アミン、及び/又は例えばジメチルドデシルアミン、又はトリエチルアミンなどのトリアルキルアミンである。特に好ましくは、140℃の硬化条件下で触媒の高活性を確実にし、及び/又はコーティングフィルムからの硬化中に遊離したアミンの容易な除去を確実にする第三級アミンを使用してリン酸エステルがブロック化される。二環式アミン、殊にジアザビシクロオクタン(DABCO)、及び/又はトリエチルアミンが、リン酸エステルをブロック化するために殊に90℃以下の低い硬化温度で非常に好ましく使用される。

ある種のアミンブロック化リン酸触媒も、市販されている(例えば、King IndustriesのNacure製品)。特に適切な触媒として、例えば、King IndustriesからのNacure4167の名称で知られているリン酸のアミンブロック化部分エステルをベースとする触媒が挙げられる。

触媒(D)、又は2種以上の触媒(D)の混合物が使用される場合には複数の触媒(D)は、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、好ましくは0.1〜15wt%の量で、より好ましくは0.5〜10.0wt%の量で、非常に好ましくは0.75〜8.0wt%の量で使用される。触媒側の活性の低下は、対応して採用される量を増やすことにより部分的に補償され得る。

触媒(Z) 本発明では、コーティング材料組成物(K)が、ヒドロキシル基とイソシアナート基との反応のための、促進剤(R)及び触媒(D)とは異なる更に少なくとも1種の触媒(Z)を追加で含むことが必須である。

触媒(Z)は、亜鉛のカルボン酸塩及びビスマスのカルボン酸塩、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素のキレート化合物、無機スズ含有触媒、並びにこれらの混合物の群からも選択される。

アルミニウム、ジルコニウム、チタン及び/又はホウ素のキレート化合物をベースとする触媒(Z)は公知であり、例えばWO06/042585の10ページ4〜21行目に記載されている。キレート配位子を形成する化合物は、金属原子又は金属イオンに配位結合することができる少なくとも2個の官能基を有する有機化合物である。これらの官能基は通常、電子供与体であり、電子受容体としての金属原子又は金属イオンに電子を放出する。原理的に適切なのは、コーティング材料組成物の架橋を完全に防止するだけでなく、それに有害な影響を及ぼさないならば、記載されたタイプの有機化合物全てである。触媒として使用し得るのは、例えば、米国特許第4,772,672A号、第8列1行目〜第9列49行目に記載のアルミニウムキレート及びジルコニウムキレート錯体である。例えば、アルミニウムエチルアセトアセタート及び/又はジルコニウムエチルアセトアセタートなどのアルミニウム及び/又はジルコニウム及び/又はチタンのキレート化合物が好ましい。

亜鉛及びビスマスのカルボン酸塩をベースとする触媒(Z)も同様に公知である。特に触媒(Z)として使用されるのは、含まれるカルボキシラートラジカルが、アルキルラジカル中に1〜24個のC原子を有する脂肪族の直鎖及び/又は分岐状の任意に置換されているモノカルボン酸、及び/又はアリールラジカル中に6〜12個のC原子を有する芳香族の任意に置換されているモノカルボン酸のカルボキシラートラジカルの群から選択される、亜鉛(II)ビスカルボキシラート及びビスマス(III)トリスカルボキシラートである。カルボキシラートラジカルは、使用されるコーティング成分における結果として得られる触媒の溶解度の大部分を決定する。適切な触媒(Z)としては、酢酸及びギ酸のZn(II)及びBi(III)塩が挙げられる。

触媒(Z)として特に好ましく使用されるのは、分岐脂肪酸のZn(II)及びBi(III)塩であり、殊に分岐脂肪酸のBi(III)塩である。Zn(II)及びBi(III)塩の分岐脂肪酸は、より特定すると、C3〜C24脂肪酸、好ましくはC4〜C20脂肪酸、より好ましくはC6〜C16脂肪酸から選択され、非常に好ましくは、オクタン酸の群、殊に2−エチルヘキサン酸、及びデカン酸の群、殊にネオデカン酸から選択される。ここでの分岐脂肪酸のZn(II)及びBi(III)塩は、多核錯体の形態で存在してもよい。触媒(Z)としての使用に殊に好適なのは、C3〜C24脂肪酸のBi(III)塩である。

ある種の分岐脂肪酸のZn(II)及びBi(III)塩も、市販されている(例えば、Lanxess Corp.のBorchi(登録商標)製品、及びKing IndustriesのK−Kat(登録商標)製品)。特に適切な触媒(Z)として、例えば、Coscat(登録商標)83という名称でC.H.Erbsloeh GmbH&Co.KGが販売するトリスネオデカン酸ビスマスをベースとする触媒;Borchi(登録商標)Kat24という名称でLanxess Corp.が販売するビスマスのカルボン酸塩をベースとする触媒;K−Kat(登録商標)348という名称でKing Industriesが販売するビスマスのカルボン酸塩をベースとする触媒;及びK−Kat(登録商標)XC−8203という名称でKing Industriesが販売する同じくビスマスのカルボン酸塩をベースとする触媒を挙げることができる。

無機スズ含有触媒を触媒(Z)として使用することもできる。無機スズ含有触媒は、公知のように、中心のスズ原子が金属−炭素配位結合を持たず、炭素は代わりにヘテロ原子を介してスズに結合している。無機スズ含有触媒(Z)として特に好適なのは、酸素原子及び/又は窒素原子及び/又は硫黄原子を介して、より特定すると酸素原子を介して排他的に結合したアルキルラジカル及び/又はシクロアルキルラジカル及び/又はアリールラジカル及び/又はアラルアルキルラジカルを有する環状スズ(IV)化合物である。無機スズ含有触媒は、例えばジブチルスズジラウラートなどの有機スズ化合物よりも実質的に毒性が低いという利点を有する。

適切な無機スズ含有触媒の例は、EP−B2493948の2ページ42行目〜10ページ14行目に記載されている、環状構造を有する熱潜在性無機スズ含有触媒である。同じく適切なのは、WO2014/048854の2ページ16行目〜9ページ15行目、及び15ページの表1に記載されているスズ含有触媒、及びWO2014/048879の4ページ1行目〜10ページ35行目、及び16ページの表1に記載されているスズ含有触媒である。

触媒(Z)、又は2種以上の触媒(Z)の混合物が使用される場合には複数の触媒(Z)は、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、好ましくは0.005〜1.0wt%の割合で、より好ましくは0.02〜0.75wt%の割合で、非常に好ましくは0.05〜0.5wt%の割合で使用される。ここでの触媒側の活性の低下は、対応して採用される量を増やすことにより部分的に補償することができる。

促進剤(R) 殊に本発明で採用されるコーティング材料組成物が90℃までの比較的低温で硬化される場合、コーティング材料組成物が少なくとも1種の促進剤(R)を含むと有利である。使用される促進剤(R)は、触媒(D)及び触媒(Z)とは異なるもので、成分(B)のイソシアナート基と、成分(A)と任意に採用される(C)のヒドロキシル基との反応を促進する、及び/又はアルコキシシラン基の反応を促進する任意の成分であってもよい。

促進剤(R)として殊に適切なのは、無機酸及び/若しくは有機酸、並びに/又は無機酸の部分エステル及び/若しくは有機酸の部分エステルである。使用される酸は、特に、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸などのスルホン酸、安息香酸、tert−ブチル安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、サリチル酸及び/又はアセチルサリチル酸などの単量体芳香族カルボン酸であり、例えば、殊に、安息香酸、アルキルホスホン酸、ジアルキルホスフィン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、リン酸、リン酸の部分エステルなどである。

促進剤(R)としての使用に好適なのは、例えば、アルキルホスホン酸、ジアルキルホスフィン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、ホスフィン酸、任意に置換されている非環式リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている環状リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている非環式リン酸ジエステル及び/又は任意に置換されている非環式リン酸ジエステルなどのリン含有酸及び/又はリン含有酸の部分エステルである。

使用に特に好適なのは、任意に置換されている非環式リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている環状リン酸モノエステル及び/又は任意に置換されている非環式リン酸ジエステル及び/又は任意に置換されている非環式リン酸ジエステルであり、殊に、非環式リン酸ジエステル及び環状リン酸ジエステルである。ここでは、より特定すると、一般式(V) R10−O \ P(O)OH (V); / R11−O (式中、ラジカルR10及びR11は、 − 置換されている及び非置換の1〜20個、好ましくは2〜16個、より特定すると2〜10個の炭素原子を有するアルキル、3〜20個、好ましくは3〜16個、より特定すると3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、及び5〜20個、好ましくは6〜14個、より特定すると6〜10個の炭素原子を有するアリール、 − その中に存在するアルキル、シクロアルキル、及びアリール基がそれぞれ上記の数の炭素原子を含有する、置換されている及び非置換のアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリールシクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール、及びシクロアルキルアリールアルキル、 − 酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子、より特定すると酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも1個、より特定すると1個のヘテロ原子を含む前述の種類の置換されている及び非置換のラジカル、 からなる群から選択され、 加えて、ラジカルR10又はR11の一方は、水素であってもよい) のリン酸の部分エステル(R)が使用される。

殊に使用に好適なのは、ラジカルR10及びR11が、置換されている及び非置換の1〜20個、好ましくは2〜16個、より特定すると2〜10個の炭素原子を有するアルキル、3〜20個、好ましくは3〜16個、より特定すると3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、及び5〜20個、好ましくは6〜14個、より特定すると6〜10個の炭素原子を有するアリールからなる群から選択される、一般式(V)のリン酸の部分エステル(R)であり、殊に、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)及び/又はリン酸ビスフェニルである。

促進剤(R)、又は2種以上の促進剤(R)の混合物が使用される場合には複数の促進剤(R)は、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0〜10.0wt%の割合で、好ましくは0.05〜10.0wt%の割合で、より好ましくは0.1〜5.0wt%の割合で、非常に好ましくは0.5〜2.5wt%の割合で使用される。

触媒(D)、触媒(Z)、及び促進剤(R)は、本発明のコーティング材料組成物において、より詳細には、いずれの場合もコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して触媒(D)+触媒(Z)+促進剤(R)の総量が0.2と21wt%の間、好ましくは0.6と11wt%の間、より好ましくは1.0と8.1wt%の間となる量で使用される。

殊に、好適なコーティング材料組成物は、 i.リン及び窒素含有触媒(D)が、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジメチルドデシルアミン、及び/又はトリエチルアミンの非環式リン酸モノエステル、環状リン酸モノエステル、非環式リン酸ジエステル及び/又は環状リン酸ジエステル付加物の群から選択され、 ii.触媒(Z)が、分岐C3〜C24脂肪酸のBi(III)塩の群から選択され、 iii.反応促進剤(R)が、非環式リン酸ジエステル及び環状リン酸ジエステルの群から選択される コーティング材料組成物である。

光安定剤(LS) 耐ブレーキダスト性の向上には、コーティング材料組成物が少なくとも1種の光安定剤(LS)を含んでいると有利である。ここでは、コーティング材料組成物に通例使用される光安定剤は全て適切である。より好ましくは、コーティング材料組成物は、例えばトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン、オキソアニリド(oxoanilide)などの、立体障害アミン(HALS)をベースとする、及び/又はUV吸収剤をベースとする少なくとも1種の光安定剤を含む。より特定すると、光安定剤(LS)として使用されるのは、立体障害アミン(LS1)をベースとする少なくとも1種の光安定剤と、UV吸収剤をベースとする少なくとも1種の光安定剤(LS2)の混合物である。

光安定剤(LS)は、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、好ましくは0.55〜15.1wt%の量で、より好ましくは1.1〜11.0wt%の量で使用される。コーティング材料組成物は、より好ましくは、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0.05〜6.0wt%、より好ましくは0.2〜3.0wt%の立体障害アミンをベースとする光安定剤(LS1)と、0.5〜15.0wt%、より好ましくは0.9〜8.0wt%のUV吸収剤をベースとする光安定剤(LS2)との混合物を含む。

コーティング材料組成物の成分(A)、(B)、任意に採用される(C)、(D)、(Z)、任意に採用される(R)、及び更なる成分の組み合わせ 本発明による特に好適な2成分(2K)コーティング材料組成物の場合には、ポリヒドロキシル基含有成分(A)と以下に記載する更なる成分を含むフィルム形成成分と、成分(B)を含み、以下に記載する更なる成分を任意に含む更なるフィルム形成成分とが、従来の方法で混合され、この混合はコーティング材料が塗布される直前に行われる。ここでは一般に、成分(A)を含むフィルム形成成分が触媒(D)と触媒(Z)を含み、任意に促進剤(R)と溶媒の一部とを含む。

ポリヒドロキシル基含有成分(A)は、適切な溶媒中に存在してもよい。適切な溶媒は、ポリヒドロキシル基含有成分の十分な溶解を可能にする溶媒である。

本発明によると、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、10.0〜70.0wt%、好ましくは20.0〜50.0wt%の少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)、より特定すると少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリアクリラート(A)及び/又は少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリメタクリラート(A)を含むコーティング材料組成物を使用することが好ましい。

本発明によると、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、90.0〜30.0wt%、好ましくは80.0〜50.0wt%の、平均で少なくとも1個のイソシアナート基を有し、平均で少なくとも1個の加水分解性シラン基を有する成分(B)を含有するコーティング材料組成物を使用することが好ましい。

コーティング材料組成物は、好ましくは、いずれの場合もコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0〜20wt%、より好ましくは0〜10wt%、非常に好ましくは1〜5wt%の割合で、成分(C)を含む。

成分(A)、任意に採用される成分(C)、及び成分(B)の質量分率は、好ましくは、成分(B)のイソシアナート基に対するポリヒドロキシル基含有成分(A)+任意に採用される成分(C)のヒドロキシル基のモル当量比が、1:0.5と1:1.5の間、好ましくは1:0.8と1:1.2の間、より好ましくは1:0.9と1:1.1の間となるように選択される。

ポリヒドロキシル基含有成分(A)、成分(C)、及び/又はイソシアナート成分(B)は、適切な溶媒中に存在してもよい。本発明のコーティング材料にとって適切な溶媒(L)は、殊に、コーティング材料中で成分(A)、(B)、及び任意に採用される成分(C)に対して化学的に不活性であり、コーティング材料の硬化中に(A)、任意に採用される成分(C)、及び(B)と反応しない溶媒である。ここでは特に、非プロトン性溶媒を挙げることができる。そのような溶媒の例は、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ、Solvesso100又はHydrosol(登録商標)(ARAL)などの脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルアミルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、又はエトキシプロピオン酸エチルなどのエステル、エーテル、又は前述の溶媒の混合物である。非プロトン性溶媒又は溶媒混合物は、好ましくは溶媒を基準として含水率が1wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下である。

溶媒又は複数の溶媒は、好ましくは本発明のコーティング材料組成物において、コーティング材料組成物の結合剤含有量が少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも60wt%となる量で使用される。ここで留意すべきは、一般的に言って、固形分が多くなるほどコーティング材料組成物の粘度が上昇し、コーティング材料組成物の平滑性が悪くなり、そのため硬化したコーティングが持つ視覚的印象が悪くなるということである。

成分(A)、(B)、及び任意に採用される(C)の他に、好ましくは、ポリ(メタ)アクリラート(A)のヒドロキシル基及び/又は成分(B)の遊離イソシアナート基及び/又は成分(B)のアルコキシシリル基と反応してネットワークノードを形成することができる更なる結合剤(E)を使用してもよい。

成分(E)として、例えばアミノ樹脂及び/又はエポキシ樹脂を使用することができる。考えられるのは、通常公知のアミノ樹脂であり、そのメチロール基及び/又はメトキシメチル基の一部が、カルバメート基又はアロファナート基によって脱官能化されていてもよい。この種の架橋剤は、米国特許明細書4710542A号及びEP−B−0245700、並びにB.Singh及び共同研究者によるAdvanced Organic Coatings Science and Technology Series、1991年、第13巻、193〜207ページに記載の論文「Carbamylmethylated Melamines, Novel Crosslinkers for the Coatings Industry」に記載されている。

一般に、このような成分(E)は、いずれの場合も、本発明のコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、40wt%まで、好ましくは30wt%まで、より好ましくは25wt%まで、非常に好ましくは0〜15wt%の割合で使用される。

本発明のコーティング材料組成物は、好ましくは成分(A)、(B)、(D)、(Z)、任意に採用される成分(R)、任意に採用される成分(C)、及び任意に採用される成分(E)とは異なる少なくとも1種の通常公知のコーティング添加剤(F)を、いずれの場合もコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して有効量で、即ち、好ましくは15.0wt%まで、より好ましくは0〜5.0wt%までの量で更に含む。

適切なコーティング添加剤(F)の例は、以下の通りである。 − ラジカル捕捉剤; − 滑り添加剤; − 重合防止剤; − 消泡剤; − 成分(A)及び(C)以外の反応性希釈剤、より特定すると、例えばIncozol又はアスパラギン酸エステルなどの、他の構成成分及び/又は水との反応でのみ反応性になる反応性希釈剤; − 成分(A)及び(C)以外の湿潤剤、例えばシロキサン、フッ素含有化合物、カルボン酸モノエステル、リン酸エステル、ポリアクリル酸、及びそのコポリマー、又はポリウレタン; − 接着促進剤; − レベリング剤; − 例えば通例の親水性及び/又は疎水性ヒュームドシリカをベースとするレオロジー助剤、例えば様々なAerosil(登録商標)製品、又は通例の尿素ベースのレオロジー助剤; − フィルム形成助剤、例えばセルロース誘導体; − フィラー、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化ジルコニウムをベースとするナノ粒子;更なる詳細については、Roempp Lexikon「Lacke und Druckfarben」Georg Thieme Verlag、Stuttgart、1998年、250〜252ページ参照; − 難燃剤。

特に好ましくは、本発明で採用するコーティング材料は、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、添加剤として、1wt%未満、より特定すると0.2wt%未満、非常に好ましくは0.05wt%未満の疎水化剤を含み、特に非常に好ましくは、疎水化剤、より特定するとシランベースの疎水化剤を全く含まない。こうした疎水化剤は、公知のように、結果として得られるコーティングの表面エネルギーを著しく低下させる、即ち、結果として得られる硬化したコーティングの水との接触を著しく増加させる添加剤である。

特に好適なコーティング材料組成物は、 コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、20.0〜50.0wt%の少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリアクリラート(A)及び/又は少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリメタクリラート(A)及び/又は少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリエステルポリオール(A)及び/又は1種のポリヒドロキシル基含有ポリウレタン(A)と、 コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、80.0〜50.0wt%の少なくとも1種の成分(B)と、 コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0〜5wt%のヒドロキシル基含有成分(C)と、 コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0〜15wt%までの少なくとも1種のアミノ樹脂(E)と、 本発明のコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0.75〜8.0wt%の架橋のための少なくとも1種の触媒(D)と、 本発明のコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0.05〜0.5wt%の架橋のための少なくとも1種の触媒(Z)と、 本発明のコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0.5〜2.5wt%の少なくとも1種の促進剤(R)と、 本発明のコーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、1.1〜11.0wt%の少なくとも1種の光安定剤(L)と、 コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、0〜5.0wt%の少なくとも1種の通常公知のコーティング添加剤(F)と を含む組成物である。

より詳細には、本発明で採用されるコーティング材料は、透明なコーティング材料であり、好ましくはクリアコート材料である。したがって、本発明で採用されるコーティング材料は、顔料を含有しない、又は有機透明染料又は透明顔料のみを含む。

本発明の更なる実施形態において、本発明で採用されるコーティング材料組成物は、更なる顔料及び/又はフィラーを更に含み、有色のトップコート及び/又は有色のアンダーコート、又はプライマーサーフェーサー、より特定すると有色のトップコートの生成に役立つものであってもよい。これらの目的のために採用される顔料及び/又はフィラーは、当業者に公知である。顔料は通例、いずれの場合も、コーティング材料組成物の結合剤含有量に対して、顔料対結合剤の比が0.05:1と1.5:1の間となるような量で使用される

本発明に従い好ましく使用される透明なコーティング材料は、有色のベースコート材料に塗布してもよい。透水性ベースコート材料だけでなく、有機溶媒をベースとするベースコート材料も使用することができる。適切なベースコート材料は、例えば、EP−A−0692007及びこの文献の第3列、50行目以降に挙げられた文献に記載されている。好ましくは、塗布されたベースコート材料をまず乾燥させる。これは、蒸発段階において有機溶媒及び/又は水の少なくとも一部をベースコートフィルムから除去することを意味する。乾燥は、好ましくは、室温〜80℃の温度で行う。乾燥後に、透明なコーティング材料組成物を塗布する。続いて、二層塗料系を20〜200℃の温度で1分〜10時間まで焼成するが、好ましくは、より低温、即ち20と90℃の間と、それに応じた20分〜60分というより長い硬化時間を採用する。

特に、コーティング材料組成物は、任意の種類の車輪リム、より特定するとスチール製リム及びアルミニウム製リム、非常に好ましくはアルミニウム製リムのコーティングに使用される。

コーティング材料組成物は、防汚性で洗浄が容易な硬化コーティングであって、同時に高光沢、良好な耐擦傷性、色堅牢性、及び耐候安定性を特徴とするコーティングをもたらすことから、コーティング材料は、金属製表面に防汚性コーティングを生成するための方法において更に使用される。金属表面は、好ましくはアルミニウム、銅、ニッケル、クロム、若しくはこれらの金属の合金、又はスチールからなり、より特定すると、アルミニウム及びスチールからなる。

本発明の方法によりコーティングされた金属表面は、例えば、透明手段(殊に、動車、例えば自転車、二輪車、バス、トラック、又は自動車)のボディー、又はその部品、小型の工業用部品、コイル、容器、及び包装材;白物家電;電気及び機械部品;並びに日用品の製造に適している。より詳細には、本発明の方法によりコーティングされた金属表面が採用されるのは、殊に、トップクラスの自動車のボディー用の自動車OEM仕上げという技術的及び審美的に特に要求される水準が高い分野であり、例えばトラックなどの商用車両、例えばクレーン車両、ホイールローダー及びコンクリートミキサーなどのチェーン駆動式建設車両、バス、鉄道車両、船舶、航空機、並びにトラクタ及びコンバイン収穫機などの農業用設備、更にはそれらの部品の表面仕上げ、更には、ライン上でのOEM仕上げの修復だけでなく、例えば擦傷、ストーンチップ損傷などの局所的欠陥の修復や、車両の価値を高めるための対応する修理工場及び自動車塗装工場での完全な再塗装も包含する自動車の再塗装のための表面仕上げである。

本発明で採用されるコーティング材料組成物の塗布は、例えば噴霧、ナイフコーティング、拡散、注入、浸漬、含浸、トリックリング、又はローリングなどの任意通常の塗布技法によってなされてもよい。そのような塗布については、塗布ユニット又は設備が移動してコーティングされる基材自体は動かなくてもよい。或いは、塗布ユニットを基材に対して静止させながら又は適切に移動させながら、コーティングされる基材、より特定するとコイルを移動させてもよい。好ましくは、例えば、圧縮空気噴霧、無気噴霧、高速回転、静電噴霧塗布(ESTA)などの噴霧塗布技法を、単独で、又は例えば高温空気噴霧などの高温噴霧塗布と併用して採用する。

塗布したコーティング材料の硬化は、ある一定の静置時間後に行ってもよい。静置時間は、例えば、コーティングフィルムの平滑化及び脱ガス、又は揮発性構成成分、例えば溶媒の蒸発に役立つ。例えば、過早架橋など、コーティングフィルムに何らかの損傷又は変化を伴わない限り、高温の適用及び/又は雰囲気湿度の低下によって、静置時間を補助及び/又は短縮してもよい。コーティング材料の熱硬化は、その方法に関して特別なことはなく、むしろ、通常公知の方法、例えば、強制エアーオーブンでの加熱、又はIRランプの照射によって行われる。この熱硬化は、段階的に行ってもよい。別の好適な硬化方法は、近赤外(NIR)照射による硬化である。

熱硬化は、有利には、20〜200℃、好ましくは、20〜90℃で、1分〜10時間、好ましくは、20分〜60分間行われる。低温で、より長い硬化時間を採用してもよい。車輪リムの表面仕上げの場合、ここでは比較的低温、好ましくは20と100℃の間、より好ましくは20と90℃の間を採用することが通例である。

耐ブレーキダスト性を判定するための方法及び装置 中央ヨーロッパにおいて発生する摩耗の平均に相当するブレーキダストとして、以下の混合物を利用する。 鉄粉末 42.8g 炭素 11.2g 酸化Fe(II) 5.9g 酸化Fe(III) 5.9g 酸化Fe(II/III) 5.9g 酸化Cu(II) 14.2g 酸化Zn(II) 3.6g 使用した材料の純度は95%より高く、模擬ブレーキダストをLABINCO BV Rolling Benchミキサー(2ロール、100ワット、230ボルト、50/60Hz)で混合する。

不活性担体ガス(窒素)を使用し、オーブンに保管して所望の温度(350℃)としたブレーキダストを、試験用コーティング材料でコーティングし120℃に加熱したサンプルパネルに塗装ガン(Wagner粉末塗装ガン、ノズルの取り付けはせず)で、塗布する(塗布時間は概ね5秒)。塗布速度及び時間は、Wagnerが提供するガンに付属の制御ユニットを使用してモニターする。ガンは固定状態に取り付けられ、サンプルパネルと共に換気ユニットに据え付けた。オーブンに保管したブレーキダストは、固体床に向けられた担体ガスの流れにより旋回流動化させた。

汚れを付けた後、金属試験パネルを加速UVA耐候試験チャンバに導入し、200時間露出させる。これは、堆積したブレーキダストを落とすことなく実施する。それは、この方法によってのみ、雰囲気湿度及び照射に関連した加熱塗装の効果をシミュレーションすることが可能なためである。耐候試験は、ASTMG154−06、DIN EN ISO4892−1、DIN EN ISO4892−3によるUVA−340試験に従って実施する。

最終工程において、耐候試験を実施したサンプルパネルを流水下で洗浄し、糸くずの出ない布を使用して拭き取る。

汚れ付け、耐候試験、及び洗浄の組み合わせを、所望の露出(及びそれに関連した所望の損傷パターン)が得られるまで繰り返し行う。最大露出を判定するため、標準物を十分な数のサイクルにおいて処理し、所望の汚れパターンを再現する。次いで、それを達成するために必要なサイクル数を新しいコーティング系の最低要件と定義する。

金属試験パネルは、視覚的に評価する。コーティング材料表面に痕跡/変化が認められない場合、サンプルは可に分類され、評定1が与えられる。少数の痕跡が認められる場合は、評定2が与えられる。サンプル表面にブレーキダスト含有物による著しい痕跡が認められた場合、評定3が与えられ、不可とみなされる。

ポリアクリラートポリオール(A1)の製造 加熱ジャケット、温度計、撹拌器、及び頂部に取り付けた凝縮器を備えた5lのJuvo反応容器に、828.24gの芳香族溶媒(Solventnaphtha(登録商標))を充填した。不活性ガス雰囲気下(200cm3/分の窒素)で撹拌しながら、溶媒を156℃に加熱した。定量ポンプを使用して、46.26gのジ−tert−ブチルペルオキシドと88.26gのSolventnaphtha(登録商標)との混合物を4.50時間かけて均一に滴加した。添加開始0.25時間後に、定量ポンプを使用して、246.18gのスチレン、605.94gのn−ブチルアクリラート、265.11gのn−ブチルメタクリラート、378.69gの4−ヒドロキシブチルアクリラート、378.69gのヒドロキシエチルアクリラート、及び18.90gのアクリル酸を4時間かけて均一な速度で添加した。添加終了後、温度を更に1.5時間維持し、次いで、生成物を80℃に冷却した。続いて、ポリマー溶液を、143.73gのSolventnaphtha(登録商標)で希釈した。結果として得られた樹脂は、酸価(DIN EN ISO2114:2006−11による)が10.3mgKOH/g、OH価(DIN53240−2による)が175mgKOH/g、DIN EN ISO11357−2に従い上記のDSC測定により測定したガラス転移温度が−26℃、固形分(60分、130℃)が65%+/−1、DIN ISO2884−1の試験プロトコル(Solventnaphtha(登録商標)中60%)による粘度が1153mPa・sであった。

ポリアクリラートポリオール(A2)の製造 加熱ジャケット、温度計、撹拌器、及び頂部に取り付けた凝縮器を備えた5lのJuvo反応容器に、500.22gの酢酸ペンチルを充填した。不活性ガス雰囲気下(200cm3/分の窒素)で撹拌しながら、過圧下(最大3.5bar)で溶媒を140℃に加熱した。定量ポンプを使用して、224.64gのtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアートと156.00gのSolventnaphtha(登録商標)の混合物を4.75時間かけて均一に滴加した。添加開始0.25時間後に、定量ポンプを使用して、791.46gのヒドロキシプロピルメタクリラート、4.14gのアクリル酸、399.87gのエチルヘキシルメタクリラート、190.53gのエチルヘキシルアクリラート、及び330.36gのシクロヘキシルメタクリラートを4時間かけて均一な速度で添加した。添加終了後、温度を更に1.0時間維持し、次いで、生成物を110℃に冷却した。続いて、ポリマー溶液を、160.20gのSolventnaphtha(登録商標)と242.58gの酢酸ペンチルの混合物で希釈した。結果として得られた樹脂は、酸価(DIN EN ISO2114:2006−11による)が6.3mgKOH/g、OH価(DIN 53240−2による)が180mgKOH/g、DIN EN ISO11357−2に従い上記のDSC測定により測定したガラス転移温度が34℃、固形分(60分、130℃)が60%+/−1、DIN ISO2884−1の試験プロトコルによる粘度が860mPa・sであった。

ポリアクリラートポリオール(A3)の製造 加熱ジャケット、温度計、撹拌器、及び頂部に取り付けた凝縮器を備えた5lのJuvo反応容器に、828.87gのSolventnaphtha(登録商標)を充填した。不活性ガス雰囲気下(200cm3/分の窒素)で撹拌しながら、溶媒を140℃に加熱した。定量ポンプを使用して、154.83gのtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアートと54.99gのSolventnaphtha(登録商標)の混合物を4.75時間かけて均一に滴加した。添加開始0.25時間後に、定量ポンプを使用して、309.93gのスチレン、15.39gのアクリル酸、232.38gのn−ブチルメタクリラート、309.93gのヒドロキシプロピルメタクリラート、278.85gのヒドロキシエチルメタクリリラート、及び402.87gのシクロヘキシルメタクリラートを4時間かけて均一な速度で添加した。添加終了後、温度を更に1.0時間維持し、次いで、生成物を120℃に冷却した。続いて、ポリマー溶液を236.04gのSolventnaphtha(登録商標)と175.92gの酢酸ブチルの混合物で希釈した。結果として得られた樹脂は、酸価(DIN EN ISO2114:2006−11による)が9.4mgKOH/g、OH価(DIN 53240−2による)が156mgKOH/g、DIN EN ISO11357−2に従い上記のDSC測定により測定したガラス転移温度が67℃、固形分(60分、130℃、キシレン中66%)が55%+/−1、DIN ISO2884−1の試験プロトコルによる粘度が1130mPa・sであった。

本発明の実施例B1〜B11及び比較例V1〜V2で使用した硬化剤溶液の製造 撹拌マグネット、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた250mlの三つ口フラスコに、ヘキサメチル1,6−ジイソシアナート(SC100%)をベースとする三量化イソシアヌラート[Desmodur(登録商標)N3600、Bayer、Leverkusen]、酢酸ブチル、及びオルトギ酸トリエチルの混合物を充填する。窒素ブランケット下、滴下漏斗を使用してビス[3−トリメトキシシリルプロピル]アミン(Dynasylan(登録商標)1124、EVONIK、Rheinfelden)とN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ブチルアミン(Dynasylan(登録商標)1189、EVONIK、Rheinfelden)の混合物をゆっくりと滴加する。反応は発熱反応である。添加速度は、内部温度が最大60℃を超えないように選択される。続いて、更に酢酸ブチルを滴下漏斗を介して添加する。イソシアナート含有量の滴定(DIN EN ISO11909による)が一定の値になるまで、60℃を4時間維持する。使用する合成成分の量、及び硬化剤の特性を表1に記載する。

表1の凡例: Desmodur(登録商標)N3600=市販のヘキサメチル1,6-ジイソシアナートをベースとする三量化イソシアヌラート、FC100%、Bayer、Leverkusen Desmodur(登録商標)N3300=市販のヘキサメチル1,6-ジイソシアナートをベースとする三量化イソシアヌラート、FC100%、Bayer、Leverkusen

本発明の実施例1〜11のコーティング材料、及び比較例V1〜V2のコーティング材料の調合、並びに実施例1〜11及び比較例V1〜V2の対応するコーティング 本発明の実施例のベースワニス(S1)〜(S11)及び比較例のベースワニス(VS1)〜(VS2)を生成するため、表2に示す構成成分を記載した順序で(上から順に)適切な容器に量り取り、入念に撹拌する。

本発明の実施例のコーティング材料(K1)〜(K11)及び比較例のコーティング材料(VK1)〜(VK2)を生成するため、表2に示したベースワニスと硬化剤溶液の量を記載した順序で(上から順に)適切な容器に量り取り、その順序で入念に撹拌する。

表2の凡例: 1) King Industriesが市販する、アミンブロック化ビス(2-エチルヘキシル)ホスファートをベースとする触媒 2) King Industriesが市販する、ビスマスをベースとする触媒 3) Lanxessが市販する、ビス(2-エチルヘキシル)ホスファート 4) BASF SEが市販する、UV吸収剤をベースとする光安定剤 5) BASF SEが市販する、HALSをベースとする光安定剤 6) ポリエーテル改質ポリジメチルシロキサンをベースとする市販の表面活性剤 7) メチルアルキルポリシロキサンをベースとする市販のレベリング剤

実施例1〜11及び比較例V1〜V2のコーティングの生成 ボンデパネルを連続して市販のelectrocoat(BASF Coatings GmbHのCathoGuard(登録商標)500、フィルム厚20μm)でコーティングし、いずれの場合も175℃で15分間焼成した。その後、いずれの場合も市販の白色水性ベースコート材料(BASF Coatings GmbHのColorBrite(登録商標))でコーティングし、周囲温度で15分間フラッシングした。続いて、重力供給カップタイプガンを使用して実施例B1〜B10及び比較例V1〜V2のコーティング材料を塗布し、ベースコートと共に90℃で45分間焼成した。クリアコートのフィルム厚は30〜35μm、ベースコートのフィルム厚は約15μmである。

圧力鋳造合金AC42100から製造され、Gardobond(登録商標)R2601で前処理し、更に、エポキシ/ポリエステル粉末コーティングと、粉末コーティングの上に塗布した従来の一成分ハイソリッドベースコート材料でコーティングした市販のアルミニウムパネルを、実施例11のコーティング材料でコーティングし、90℃で45分間焼成した。クリアコートのフィルム厚は、30〜35μmである。

結果として得られたコーティングの表面の耐擦傷性を、生成1週間後にCrockmeter試験(EN ISO105−X12に従い、9μm研磨紙(3M281QwetordryTMproductionTM)を使用して10回の往復摩擦で9Nの加力を施した後に、20°での残存光沢を市販の光沢測定装置を使用して判定)を用いて判定した。加えて、擦傷処理後にパネルを60℃で60分間(リフロー条件)保存した後、耐擦傷性を、再度判定した。この判定は、前述のCrockmeter試験によって行った。結果を表3及び4に示す。

更に、DIN EN ISO14577−4DEに従い、ユニバーサル硬度(微小進入硬度)を判定した。加えて、遊離フィルムに対するDMTA測定を使用して、コーティング材料組成物(K)の硬化したコーティングのネットワーク密度及びガラス転移温度を判定した。結果を同じく表3及び4に示す。

本発明のコーティングは、防汚性表面、特に向上した耐ブレーキダスト性が注目に値する。ここでのコーティングの耐ブレーキダスト性は、上記の方法によって判定されるものである。これらの試験結果も表3及び4に示す。

試験結果の考察 表3及び4の本発明の実施例1〜11と比較例V1のコーティングを比較するとわかることであるが、触媒としてはビスマスのカルボン酸塩をベースとする触媒(Z)のみと、酸ベースの反応促進剤(R)とを含み、リン及び窒素含有触媒(D)を含まないシラン化イソシアナートをベースとするコーティング材料は、耐ブレーキダスト性試験の1回目の試行で痕跡のある表面(評定2)となり、更なる試行では、ブレーキダスト含有物による著しい痕跡のある表面となる。したがって、リフロー後は結果として得られるコーティングが良好な耐擦傷性を示すという事実にもかかわらず、これらの表面は、評定3、即ち不可という評価を受けた。

表3及び4の本発明の実施例1〜11と比較例V2のコーティングを比較するとわかることであるが、触媒としてはリン及び窒素含有触媒(D)のみと、酸ベースの反応促進剤(R)とを含み、ビスマスカルボン酸塩を基礎とする触媒(Z)を含有しないシラン化イソシアナートを基礎とするコーティング材料は、耐ブレーキダスト性試験の1回目の試行で痕跡のある表面(評定2)となる一方で、本発明の実施例1〜11のみは、大幅に改善された耐ブレーキダスト性を示し、そのため、1回目の試行後には、コーティング材料表面に確認できる痕跡又は変化は見られない。したがって、これら本発明の実施例1〜11のみが、1回目の試行後に可となる。

更には、本発明の実施例7は、反応促進剤(R)を添加しない場合でも、良好な耐ブレーキダスト性を有するコーティングが得られる(1回目及び2回目のサイクルでは評定1であり、3回目及び4回目のサイクルでも評定2に過ぎない)ことを示している。

更には、表3及び4の本発明の実施例1〜3と本発明の実施例4〜11のコーティングを比較するとわかることであるが、成分(B)中に元々存在し式(III)のビスシラン基を与える反応を受けるイソシアナート基の割合が増えると、コーティングの耐ブレーキダスト性が大幅に改善される。具体的には、本発明の実施例1〜3では、元々存在するイソシアナート基のそれぞれ9%及び18mol%しかビスシラン基(III)を形成する反応を受けていない一方で、本発明の実施例4〜11では、元々存在するイソシアナート基の27と54mol%の間がビスシラン基(III)を形成する反応を受けている。したがって、耐ブレーキダスト性試験の3回目のサイクルから出発すると、実施例B1〜B3のコーティングはもはや十分ではなく(評定3)、その一方で、本発明の実施例4〜11は全て、3回目の試験サイクルで少なくとも2、又はそれより良い評定を受けている。しかし、好ましくは、反応してビスシラン構造(III)を与える元々のイソシアナート基の割合は、高すぎてはならない。例えば、本発明の実施例6の54mol%のように、割合が非常に高い場合、本発明の実施例6に示すように、表面はより脆弱となり、そのため、亀裂が入るからである。

表3の本発明の実施例1と実施例2、実施例3と実施例4、及び実施例5と実施例6のコーティングを比較するとわかることであるが、所与の結合剤の場合で、モノシラン/ビスシラン構造単位の比が同じ場合は、いずれの場合もシラン化度の上昇に伴い、固体コーティングのネットワーク密度及びガラス転移温度が上昇する。表3における本発明の実施例3と実施例4、及び実施例5と実施例6のコーティングの比較からわかるように、これは、耐ブレーキダスト性の向上(いずれの場合も3回目の試験サイクルでわずかに向上している)にも繋がる。

更に、表3の本発明の実施例1と実施例3及び実施例5のコーティングの比較、並びに実施例2と実施例4及び実施例6のコーティングの比較比からわかることであるが、所与の結合剤の場合で、シラン化度が同じ場合は、ビスシラン構造単位(III)を形成する反応を受けるイソシアナート基の割合の増加に伴い、固体コーティングのネットワーク密度及びガラス転移温度が上昇する。表3における本発明の実施例3と実施例5、並びに実施例2と実施例4及び実施例6のコーティングの比較からわかるように、これは、耐ブレーキダスト性の向上にも繋がる。

更なる調査からわかったことであるが、耐ブレーキダスト性コーティングを生成する従来のアプローチ、即ち、市販のシランベースの疎水化剤をコーティング材料に添加することによってコーティングの表面を疎水化するアプローチでは、記載した試験において耐ブレーキダスト性の所望の向上を得られない。

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