新規乳酸菌を用いた発酵乳の製造方法

申请号 JP2008557983 申请日 2007-11-01 公开(公告)号 JPWO2008099543A1 公开(公告)日 2010-05-27
申请人 森永乳業株式会社; 发明人 金忠 清水; 金忠 清水; 一裕 宮地; 一裕 宮地; 康一 小川; 康一 小川; 慶明 木曽; 慶明 木曽; 貴子 石田; 貴子 石田;
摘要 本発明は、乳酸菌として、ビフィドバクテリウム属菌と下記の菌学的性質:(1)10%還元 脱脂 粉乳培地で25〜37℃の 温度 範囲で16時間培養した場合に、培地が 凝固 する発酵性;(2)該培地でビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に、該ビフィズス菌数を5×108CFU/g以上とするビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性;及び(3)該培地でビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に急冷して10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とするビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性、を有するラクトコッカス属菌を用いて発酵させることを特徴とする、発酵乳の製造方法、及び、該製造方法により製造された発酵乳、に関する。
权利要求
  • 乳酸菌として、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌と、ラクトコッカス(Lactococcus)属菌を用いて発酵させることを含む、発酵乳の製造方法であって、該ラクトコッカス属菌が、
    (1)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25〜37℃の温度範囲で16時間培養した場合に、培地が凝固する発酵性;
    (2)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)と混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性;及び (3)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性、
    の菌学的性質を有する、発酵乳の製造方法。
  • 前記ラクトコッカス属菌が、キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しない、請求項1記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記ラクトコッカス属菌が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)である、請求項1又は2記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記ラクトコッカス属菌の菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852(FERM BP−10742)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857(FERM BP−10757)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC859(FERM BP−10744)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865(FERM BP−10745)、及び、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866(FERM BP−10746)からなる群より選ばれる1以上である、請求項1〜3のいずれか記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記ビフィドバクテリウム属菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である、請求項1〜4のいずれか記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787である、請求項5記載の発酵乳の製造方法。
  • 前記乳酸菌として、更に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、及び、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)を用いる、請求項1〜6のいずれか記載の発酵乳の製造方法。
  • 請求項1〜7のいずれか記載の発酵乳の製造方法により製造された発酵乳。
  • 说明书全文

    本発明は、ラクトコッカス(Lactococcus)に属する新規乳酸菌を用いた発酵乳の製造方法、及び、該製造方法により製造された発酵乳に関する。
    本願は、2007年2月13日に出願された特願2007−032646号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。

    ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌(以下、「ビフィズス菌」という)は、ヒトの腸管内で形成される腸内菌叢の優勢菌種の一つである。 ビフィズス菌は、腸内細菌のバランスを回復する整腸作用や、免疫増強作用、発ガン抑制作用等を有することが知られている。 このため、近年、生活者の健康志向の高まりと共に、ビフィズス菌発酵乳等の、生きているビフィズス菌を含む食品への需要が高まっている。

    ビフィズス菌は、乳性培地における増殖性が悪い。 このため、発酵乳中に一定量の、例えば1×10 CFU/mLのビフィズス菌を含有させるために、通常、様々な生育促進物質を添加することが行われている。 しかし、該生育促進物質は一般的に高価であり、かつ、風味が損なわれるおそれもある。 また、ビフィズス菌は、酸性条件下での保存が難しく、死滅し易い。 このため、発酵乳製品等が流通する過程で、発酵乳製品中の生きているビフィズス菌量は加速度的に減少してしまう。
    そこで、ビフィズス菌の生育性や保存生残性を改善することにより、生きているビフィズス菌を多く含有する発酵乳を製造し得るばかりではなく、生きているビフィズス菌が、製造直後と同様に、消費者が摂食する時点においても豊富に含有されている発酵乳を製造し得ることが期待できる。

    ビフィズス菌以外の乳酸菌と混合発酵をさせることにより、該生育促進物質等を添加することなく、ビフィズス菌の生育性や保存生残性を改善する種々の方法が開示されている。 発酵乳製造におけるビフィズス菌の生育性を改善させる方法については、例えば、(1)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)およびビフィズス菌を含有することを特徴とするヨーグルト及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。

    その他、発酵乳のビフィズス菌の保存生残性を改善させる方法については、例えば、(2)乳を主成分とする培地で、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、並びにダイアセチル及びアセトインを生成しないラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスを混合培養することを特徴とするビフィズス菌発酵乳の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。

    特許第3364491号公報

    特許第3068484号公報

    しかしながら、上記(1)の方法では、ビフィズス菌の生育が促進され、発酵時間を短縮することができるものの、特許文献1には、ビフィズス菌の保存生残性については一切記載がない。 一方、上記(2)の方法では、特定のビフィズス菌と特定の乳酸菌とからなる混合菌を用いることにより、増殖促進効果と生残性改善効果の両方が認められるものの、ビフィドバクテリウム・ブレーベ以外のビフィズス菌、例えば食品に汎用されているビフィドバクテリウム・ロンガムについては、一切記載がない。

    本発明は、ビフィズス菌の生育性や保存生残性を改善させ得る乳酸菌を用いた発酵乳の製造方法、及び、該製造方法により製造された発酵乳を提供することを目的とする。

    本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地における発酵性に優れた乳酸菌の菌株について、ビフィドバクテリウム・ロンガムとの混合培養による発酵試験を行い、pHが4.4〜4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性や、発酵終了後に急冷して10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性を有する乳酸菌を見出した。 そして、該乳酸菌を用いることにより、ビフィズス菌を大量に含有し、かつ保存生残性にも優れた発酵乳が得られることを見出し、本発明を完成させた。

    すなわち、本発明は、乳酸菌として、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌と、下記の菌学的性質を有するラクトコッカス(Lactococcus)属菌を用いて発酵させることを特徴とする、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    (1)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25〜37℃の温度範囲で16時間培養した場合に、培地が凝固する発酵性、(2)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 CFU/g以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性、及び(3)10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とする、ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性。
    また、本発明は、前記ラクトコッカス属菌が、キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しないことを特徴とする、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記ラクトコッカス属菌が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)である、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記ラクトコッカス属菌の菌株が、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852(FERM BP−10742)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857(FERM BP−10757)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC859(FERM BP−10744)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865(FERM BP−10745)、及び、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866(FERM BP−10746)からなる群より選ばれる1以上である、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記ビフィドバクテリウム属菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌株が、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787である、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記乳酸菌として、更に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、及び、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)を用いることを特徴とする、発酵乳の製造方法を提供するものである。
    また、本発明は、前記いずれか記載の発酵乳の製造方法により製造された発酵乳を提供するものである。

    本発明の発酵乳の製造方法により、従来に無くビフィズス菌、特にビフィドバクテリウム・ロンガムを多く含有する発酵乳を、効率よく製造することができる。 また、本発明の発酵乳は、生きているビフィズス菌、特にビフィドバクテリウム・ロンガムの含有量が、流通過程においても充分に維持されるため、より整腸効果が高く、健康管理上も有用である。

    本発明は、ビフィズス菌と、上記(1)、(2)、及び(3)の特性を有するラクトコッカス属菌を用いて発酵させることを特徴とする、発酵乳の製造方法である。 特にビフィドバクテリウム・ロンガムを用いて発酵させる発酵乳の製造に適している。

    本発明で用いられるビフィドバクテリウム・ロンガムとしては、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株等がある。 ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株は、乳性培地での発酵性、流通過程での耐酸性、及び胃酸耐性に優れているため、特に好ましい。 ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号 305−8566))に平成13年10月31日に受託されている。

    本発明で用いられるラクトコッカス属菌は、上記(1)、(2)、及び(3)の特性を有するものである。
    (1)は、発酵性に関するものである。 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25〜37℃の温度範囲で16時間培養した時に、培地を凝固させることができるほど増殖が早く、強い発酵性を有する乳酸菌であれば、発酵乳製造時に、ビフィズス菌、特に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育性等をより効果的に改善することができる。 ここで、「培地が凝固する」とは、酸発酵により、培地のpHが乳蛋白質の等電点を下まわり、乳蛋白質が凝集し、培地が凝固することを意味する。 また、「10%(W/W)還元脱脂粉乳培地」は、還元脱脂粉乳(例えば、森永乳業社製)を10質量%濃度でに溶解して調製することができる。

    通常、ラクトコッカス属菌に適した発酵温度範囲は、20〜30℃であるが、本発明で用いられるラクトコッカス属菌は、25〜37℃の温度範囲で強い発酵性を有する菌である。 すなわち、本発明で用いられるラクトコッカス属菌は、ビフィズス菌、特に、ビフィドバクテリウム・ロンガムに適した発酵温度範囲(30〜40℃)において、充分な発酵性を有する菌である。

    (2)は、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生育促進性に関するものである。 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地等の乳性培地は、pHが4.6付近になると、通常、含有されるカゼイン等が沈殿し、培地全体が凝固し、風味、食感及び外観が優れたものになる。 このため、発酵乳製品を製造する場合には、一般に、pHが4.6付近に達した時に、急冷等をすることにより発酵を停止する。 したがって、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 CFU/g以上という高濃度にすることができるような生育促進性を有する乳酸菌であれば、発酵乳製造時に、発酵乳中のビフィズス菌、特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム含有量をより効果的に改善することができる。

    (3)は、ビフィドバクテリウム・ロンガムの保存生残性促進性に関するものである。 発酵乳製品の品質保持期限は、一般に、10℃以下の保存条件で2週間程度である。 したがって、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、pHが4.4〜4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とすることができるような保存生残性促進性を有する乳酸菌であれば、品質保持期限終了間際においても充分量のビフィズス菌、特に、ビフィドバクテリウム・ロンガムを含有し得る発酵乳を製造することができる。

    本発明で用いられるラクトコッカス属菌は、例えば以下の方法により得ることができる。 まず、各種の試料から菌株を分離し、この中から10%(W/W)還元脱脂粉乳培地での発酵性が優れたもの、すなわち、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地で、25〜37℃の温度範囲で16時間培養した時に、培地を凝固させることができる発酵性を有するものを選択する。 次いで、選択された菌とビフィドバクテリウム・ロンガムとの混合培養試験を行い、上記(2)および(3)で規定されるビフィズス菌の生育促進性及び保存生残性促進性を有する菌株を選択することにより得ることができる。 更に、キシロース資化性を有さず、かつ、ダイアセチル及びアセトインを生成しない菌株を選択することが好ましい。

    以下、さらに詳細に説明する。
    1. 菌株の取得 本発明者らは、前記の性質を有する菌株を自然界から取得すべく、日本国内の自然界から採集したサンプルを嫌気性希釈液(1980年叢文社発行、光岡知足著「腸内菌の世界」322ページ。以下、参考文献1と記載する。)で希釈し、Briggs liver broth(前記参考文献1、319ページ)の平板に塗布し、30℃で嫌気培養した。 そして得られたコロニーの中で連鎖球菌の形態を示し、かつ塗布標本の顕微鏡観察によりグラム陽性である菌を釣菌した。 該釣菌した菌を、BL寒天培地平板に画線塗布し、前記と同様の方法で嫌気培養を反復し、純粋単離された菌株を得た。 これらの菌株を下記の方法を用いて、まず、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地中での発酵試験を行い、上記(1)で規定される発酵性を有する菌株を20株得た。 続いて、ビフィドバクテリウム・ロンガムとの混合培養試験を行い、pHが4.4〜4.6に達した時に、ビフィドバクテリウム・ロンガムの菌数を5×10 CFU/g以上とすることのできる生育促進性と、pHが4.4〜4.6に達した時に急冷して、10℃で2週間保持した場合の、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生残率を30%以上とすることのできる保存生残性促進性を有する菌株を5株取得した。 該5菌株はそれぞれ、MCC852、MCC857、MCC859、MCC865、MCC866と名付けられた。

    2. 菌学的性質 前記5菌株の菌学的性質を、以下に示す。 なお、菌学的性質を測定するための試験は、バージェイズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology、Peter HA Sneath編、第2巻、Williams and Wilkins Company、1986年)にほぼ従って行った。

    (I)菌形(BL寒天培地平板で30℃、72時間嫌気培養した時の光学顕微鏡観察時)
    大きさ:直径1〜2μm
    形 状:連鎖球菌(II)グラム染色性:陽性(III)リトマスミルク:凝固(IV)芽胞形成:陰性(V)グルコースからのガス生成:なし(VI)運動性:なし(VII)カタラーゼ活性:陰性(VIII)アルギニンデカルボキシラーゼ試験:陽性(IX)クエン酸からのガス産生:陰性(X)温度感受性(60℃30分間及び65℃30分間):何れも感受性(XI)グルコースの分解産物:L−乳酸

    上記(I)〜(XI)に示す菌学的性質は、前記5菌株全てに共通しており、かつ、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインであるATCC19435とも共通していた。 (XII)生育温度、(XIII)食塩耐性、(XIV)pH耐性、(XV)メチレンブルー耐性、(XVI)アルギニンからのアンモニアの産生、及び(XVII)糖の発酵性については、各々、表1に示す性質を示した。 なお、糖の発酵性は、光岡の糖発酵性用培地(1974年、光岡知足著「乳酸菌の細菌学」、臨床検査18、1163〜1172ページ)を用いて、28種類の糖について試験を行った。

    以上の結果から、前記5菌株は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス菌種の菌学的性質を、共通して有していることが明らかである。 すなわち、前記5菌株は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス菌種であることが確認された。 一方、上記(XII)〜(XVII)に示す菌学的性質から、前記5菌株は、特に、キシロース資化性を有さない点で、タイプストレインとは異なることが明らかである。

    そこで、出願人は、前記5菌株を、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号 305−8566))に新規菌株として寄託した。 受託番号は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852株がFERM BP−10742、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株がFERM BP−10757、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC859株がFERM BP−10744、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865株がFERM BP−10745、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866株がFERM BP−10746である。 なお、寄託日は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、859、865、及び866株が平成18年12月1日であり、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株が平成19年1月10日である。

    3.10%(W/W)還元脱脂粉乳培地での発酵性試験 10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を95℃で30分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、各菌株のスターターを3%(V/V)接種し、25、30、及び37℃の各温度で16時間培養した。 得られた培養液を急冷し、凝固状況、pH、及び含有される乳酸菌数を測定した。 乳酸菌数の測定は、市販されているBCP加プレートカウント寒天培地(栄研機材社製)平板で行なった。 測定結果を表2に示す。
    なお、対照株として、特許文献2に記載のラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株を用いた。

    ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866のそれぞれの菌株、すなわち、本発明で用いられるラクトコッカス属菌を用いた場合には、何れの温度条件においても、pHが4.4〜4.6まで低下して培地が凝固した。 また、含有される乳酸菌数も1×10 CFU/g前後であり、非常に増殖・発酵性の良いことが分かった。
    一方、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株を用いた場合には、何れの温度条件においても、pHが5.5以上であり、培地は凝固しなかった。 また、本発明のラクトコッカス属菌と比較して、特に30℃以上において、乳酸菌数が顕著に少なかった。

    4. ビフィドバクテリウム・ロンガムとの混合培養試験(1)ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株との混合培養試験 対照株として、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株を用いた。
    まず、後記実施例1に記載の方法で、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866の5菌株のそれぞれのカルチャー、及び、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャーを調製した。
    また、0.2%(W/W)酵母エキス(Difco社製)入り10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株のカルチャーを30mL接種し、30℃で16時間培養して、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株のカルチャーを調製した。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のように調製したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスの各菌株のカルチャー1%(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャー1%(V/V)を接種し、37℃で16時間培養して発酵乳を得た。 該発酵乳を急冷し、pH及び含有されるビフィズス菌数を測定した。 さらに、10℃で2週間保存し、保存後1週間及び2週間におけるビフィズス菌数を測定した。 ビフィズス菌数の測定は、TOSプロピオン酸寒天培地(ヤクルト薬品工業社製)平板で行なった。 測定結果を表3に示す。

    ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866の5菌株をそれぞれ用いた発酵乳は、発酵後pHがおよそ4.5であり、ビフィズス菌数が5×10 CFU/g以上に達した。 また、該発酵乳を10℃で2週間保存した場合のビフィズス菌生残率は、何れも80%以上であった。
    一方、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスのタイプストレインATCC19435株を用いた発酵乳は、発酵が進まず、発酵後pHが5.0以上であり、10℃での保存試験が不可能であった。 また、発酵終了直後のビフィズス菌数もおよそ1×10 CFU/gであり、本発明のラクトコッカス属菌と比較して、顕著に少なかった。

    すなわち、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、及び866の5菌株は、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスの公知の他の菌株よりも、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株に対する生育促進性及び保存生残性促進性が優れていることが明らかである。
    また、特許文献2に記載のダイアセチル及びアセトインを生成しないラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスと、ビフィドバクテリウム・ロンガムとを、混合培養した場合には、ビフィドバクテリウム・ブレーベを用いた場合と異なり、特許文献2に記載されているような、ビフィズス菌の増殖促進効果と生残性改善効果の何れの効果も得ることができないことも明らかである。

    (2)ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株との混合培養試験 本発明に用いられるラクトコッカス属菌の、ビフィドバクテリウム・ロンガムに対する生育促進性及び保存生残性促進性を、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株とビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株を用いて確認した。
    まず、後記実施例1に記載の方法で、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー、及び、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャーを調製した。
    また、後記実施例2に記載の方法で、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)の混合カルチャーを調製した。
    さらに、0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂粉乳培地を90℃で30分間殺菌し、該脱脂粉乳培地に対し、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のスターターを10%(V/V)接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養して、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャーを調製した。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のように調製したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー1%(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャー1%(V/V)若しくはビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャー1%(V/V)と、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャー0.01%(V/V)を接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養して発酵乳を得た。 該発酵乳を急冷し、含有されるビフィズス菌数を測定した。 さらに、10℃で2週間保存し、保存後1週間及び2週間におけるビフィズス菌数を測定した。
    一方、対照として、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のように調製したビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャー1.5%(V/V)若しくはビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャー1.5%(V/V)と、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャー0.4%(V/V)を接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養して得た発酵乳のビフィズス菌数を同様に測定した。 測定結果を表4に示す。

    ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株と、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株の両株とも、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株と混合培養することにより、発酵乳中のビフィズス菌数は顕著に増大した。 また、10℃で2週間保存後のビフィズス菌生残率も、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株で71%、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株で31%と、何れも30%以上であった。
    これに対し、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株と混合培養しなかった場合には、10℃で2週間保存後のビフィズス菌生残率は、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株で20%であり、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株では生きているビフィズス菌は検出されなかった。
    なお、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株に代えて、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、859、865、又は866株をそれぞれ用いた場合にも同様の結果が得られた。

    すなわち、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866のそれぞれの菌株は、保存生残性に優れたビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株以外のビフィドバクテリウム・ロンガムに対しても、優れた生育促進性及び保存生残性促進性を有することが明らかである。

    5. 特許文献1記載のラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスとラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスの混合物との比較試験 まず、上記4(2)記載の方法で、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャー、及び、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャーを調製した。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のように調製したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー1%(V/V)と、ビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャー1%(V/V)と、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャー0.01%(V/V)を接種し、37℃でpHが4.6になるまで培養して発酵乳を得た。 該発酵乳を急冷し、含有されるビフィズス菌数を測定した。
    一方、対照として、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地を90℃で10分間殺菌し、該還元脱脂粉乳培地に対し、上記のように調製したビフィドバクテリウム・ロンガム タイプストレインATCC15707株のカルチャー1%(V/V)と、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスとラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスの混合物「EZAL MA14」(Rhodia社製)2%(V/V)を接種し、38℃でpHが4.6になるまで培養して得た発酵乳のビフィズス菌数を同様に測定した。 なお、「EZAL MA14」は、特許文献1に記載の「EZAL MR014」(Rhodia社製)に相当する混合物である。

    ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株を用いた発酵乳では、ビフィズス菌数は5.5×10 CFU/gであった。 これに対し、「EZAL MA14」を用いた発酵乳を10 倍に希釈した希釈溶液からは、ビフィズス菌が全く検出されず、該発酵乳に含有されるビフィズス菌数は1×10 CFU/g以下であることが判明した。

    すなわち、特許文献1記載のラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスとラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリスを、ビフィドバクテリウム・ロンガムとを、混合培養した場合には、特許文献1に記載されているような、ビフィズス菌の生育促進及び発酵時間の短縮という効果を得ることができないことが明らかとなった。

    以上のように、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC852、857、859、865、866の5菌株、すなわち、本願発明に用いられるラクトコッカス属菌は、ビフィズス菌に適した発酵温度範囲における乳性培地で、強い発酵性を示し、さらに、ビフィドバクテリウム・ロンガムと混合培養した場合に、ビフィズス菌の生育及び保存生残に対し、優れた促進効果を示すことから、ラクトコッカス属の公知の菌株にみられなかった性質を持っていることは明らかである。 また、本願発明に用いられるラクトコッカス属菌は、ダイアセチル及びアセトインを生成しないため、風味の良い発酵物を製造し得ることも期待できる。

    本発明において、ビフィズス菌とラクトコッカス属菌の前培養に用いられる培地は、通常用いられる培地であれば、特に限定されるものではないが、乳性培地であることが好ましい。 取り扱いが簡便であるため、還元脱脂粉乳培地が特に好ましい。 該還元脱脂粉乳培地の濃度は、3%(W/W)以上が好ましく、8%(W/W)以上が特に好ましい。 その他、前培養に用いられる培地には、酵母エキス等の生育促進物質や、L−システイン等の還元剤等を添加することができる。 特にビフィズス菌は乳性培地での増殖性が低いため、生育促進物質を添加した培地を用いることが好ましい。 例えば、0.1〜1%(W/W)の酵母エキスを含有した培地を用いることができる。 また、前培養に用いられる培地は、殺菌処理をしたものを用いる。 該殺菌処理は、通常用いられる方法で行うことができ、例えば、80〜122℃で5〜40分間、好ましくは85〜95℃で5〜35分間の加熱処理により行うことができる。

    本発明において、ビフィズス菌とラクトコッカス属菌を用いた発酵に用いられる発酵用ベースは、発酵乳の製造に通常用いられるベースであれば、特に限定されるものではない。 該ベースは、例えば、乳、脱脂乳、生クリーム、バター、全粉乳、脱脂粉乳等に、必要に応じて蔗糖等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツジュース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着色料、安定剤、還元剤等を配合し、常法に従って殺菌、均質化、冷却等することにより調製することができる。

    ビフィズス菌とラクトコッカス属菌のスターターの発酵用ベースへの接種比率は、特に限定されるものではないが、100:1〜1:10が好ましく、10:1〜1:1が特に好ましい。 また、発酵用ベースへ添加する量も、特に限定されるものではないが、ビフィズス菌とラクトコッカス属菌を合わせた添加量が、発酵用ベースに対して0.01〜10(V/V)%が好ましく、0.1〜5(V/V)%が特に好ましい。

    本発明に用いる乳酸菌には、ラクトコッカス属菌のビフィズス菌に対する生育促進効果及び保存生残性促進効果を阻害しない範囲において、ビフィズス菌とラクトコッカス属菌の他に、他の乳酸菌を含有してもよい。 該他の乳酸菌は、通常発酵乳の製造に用いられるものであれば、特に限定されないが、ストレプトコッカス・サーモフィルスとラクトバチルス・ブルガリクスが好ましい。 ビフィズス菌とラクトコッカス属菌を合わせた摂取量と、その他の乳酸菌を合わせた摂取量の、スターターとしての発酵用ベースへの接種比率は、ラクトコッカス属菌のビフィズス菌に対する効果を阻害しない限り、特に限定されるものではないが、1000:1〜10:1が好ましい。

    本発明の発酵乳の製造方法における、混合培養の温度は、30℃〜40℃が好ましく、36℃〜38℃が特に好ましい。 ビフィズス菌と本発明に用いるラクトコッカス属菌の両方が充分に生育可能な温度範囲であるためである。 また、培養時間は、製造する発酵乳の種類によって適宜決定されるが、5〜18時間が好ましい。

    培養後得られた発酵乳は、そのまま食品としてもよく、例えば、均質化して液状に加工してもよい。 その他、例えば、果汁、果実等を適宜添加してもよい。 また、容器への充填等は、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法で行うことができる。

    次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳(森永乳業社製)を水に溶解して得た10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のシードカルチャーを30mL接種し、25℃16時間培養した。 一方、0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のシードカルチャーを100mL接種し、37℃6時間培養した。
    これとは別に、脱脂粉乳、全粉乳、ペクチン、及び蔗糖からなる原料を混合溶解して得られた、乳脂肪0.5%(W/W)、無脂乳固形分8.0%(W/W)、蔗糖5.0%(W/W)、ペクチン0.2%(W/W)からなるベース50Lを、90℃で10分間殺菌し,40℃に冷却した。 該殺菌したベースに、前記の通り前培養を行ったラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC857株のカルチャー50mLとビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787のカルチャー株500mLを接種し、37℃16時間培養して発酵乳を得た。 該発酵乳を直ちに攪拌冷却し、冷却発酵乳を15MPaの圧で均質化し、200mL容のガラス容器に充填し、密封し、ドリンクヨーグルトを得た。 得られたドリンクヨーグルトは乳酸酸度0.68%、pH4.64、粘度75mPa・sであり、7.0×10 CFU/gのビフィズス菌を含有していた。 この該ドリンクヨーグルトを10℃で21日間保存した時のビフィズス菌数は5.2×10 CFU/gであり、生残率は74%であった。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866株のシードカルチャーを30mL接種し、25℃16時間培養した。 一方、0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のシードカルチャーを100mL接種し、37℃6時間培養した。 また、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1500mLを90℃で30分間殺菌し、ストレプトコッカス・サーモフィルス(ハンゼン社製)とラクトバチルス・ブルガリクス(ハンゼン社製)の混合カルチャー50mLを接種し、37℃5時間培養した。
    これとは別に、乳脂肪3.0%(W/W)、無脂乳固形分9.0%(W/W)からなる生乳50Lを70℃に加温し、15MPaの圧力で均質化した後、90℃で10分間殺菌し,40℃に冷却した。 該殺菌したベースに、前記の通り前培養を行ったラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC866株のカルチャー500mL、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャー500mL、及びストレプトコッカス・サーモフィルスとラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャー5mLを接種し、500mL容の樹脂容器に充填し、密封し、37℃7時間培養した後、直ちに冷却した。 得られた発酵乳は乳酸酸度0.72%、pH4.55であり、5.8×10 CFU/gのビフィズス菌を含有していた。 この該発酵乳を10℃で21日間保存した時のビフィズス菌数は3.6×10 CFU/gであり、生残率は62%であった。

    10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865株のシードカルチャーを30mL接種し、25℃16時間培養した。 一方、0.2%(W/W)酵母エキス入り11%(W/W)脱脂粉乳培地1000mLを90℃で30分間殺菌し、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のシードカルチャーを100mL接種し、37℃6時間培養した。 また、10%(W/W)還元脱脂粉乳培地1500mLを90℃で30分間殺菌し、ストレプトコッカス・サーモフィルス(ハンゼン社製)とラクトバチルス・ブルガリクス(ハンゼン社製)の混合カルチャー50mLを接種し、42℃5時間培養した。
    これとは別に、乳脂肪3.4%(W/W)、無脂乳固形分12.2%(W/W)からなる生乳500Lを70℃に加温し、15MPaの圧力で均質化した後、90℃で10分間殺菌し,40℃に冷却した。 該殺菌したベースに、前記の通り前培養を行ったラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチスMCC865株のカルチャー5L、ビフィドバクテリウム・ロンガムFERM BP−7787株のカルチャー5L、及びストレプトコッカス・サーモフィルスとラクトバチルス・ブルガリクスの混合カルチャー50mLを接種し、37℃7.5時間培養した後、直ちに冷却した。 得られた発酵乳をさらに攪拌によりカードを破砕し、破砕発酵乳と、常法により調製したブルーベリープレザーブを、7:3の割合で混合し、攪拌して均一にした後、120mL容の酸素バリア性紙容器に充填した。 得られたブルーベリー果肉入り発酵乳は乳酸酸度0.80%、pH4.45であり、5.5×10 CFU/gのビフィズス菌を含有していた。 この該ブルーベリー果肉入り発酵乳を10℃で21日間保存した時のビフィズス菌数は3.9×10 CFU/gであり、生残率は71%であった。

    本発明の製造方法により、消費期限終了直前であっても、生きているビフィズス菌を従来に無く多く含有する発酵乳を製造することができるため、発酵乳等の製造分野で利用が可能である。

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