乳酸菌(LAB)とバチルスの両方を播種した発酵乳

申请号 JP2018500306 申请日 2016-06-30 公开(公告)号 JP2018518982A 公开(公告)日 2018-07-19
申请人 セーホーエル.ハンセン アクティーゼルスカブ; 发明人 カーリン ベェアア; メデ ディーネス カントー; トマス ヤンセン; パトリク デークス;
摘要 乳酸菌(LAB)及びバチルス細菌の両方を乳に播種して発酵させる工程を含む、乳酸発酵乳製品を製造する方法。 【選択図】なし
权利要求

乳酸菌発酵乳製品を製造する方法であって、以下の工程: (a)22℃〜45℃の温度での適切な条件下、104〜1012cfu/mlの乳酸菌(LAB)、及び104〜1012cfu/mlのバチルス(Bacillus)細菌を乳に播種して、当該乳のpHが所望の3.5〜5.5に達するまで発酵させる工程、ここで当該乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始される; を含み、前記工程(a)におけるバチルス細菌が、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である、方法。前記工程(a)における発酵乳が、請求項1に記載の条件と比較してバチルス細菌を乳に播種しない点のみが異なる条件下で行われた比較方法におけるよりも早くpH=4.5に達する、請求項1に記載の方法。前記工程(a)において播種されるバチルス細菌が、バチルス・プミルス又はバチルス・スブチリスからなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。前記工程(a)において播種される乳酸菌が、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、及びラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)において播種される乳酸菌が、S.サーモフィルス(S. thermophilus)である、請求項4に記載の方法。前記工程(a)において播種されるバチルス細菌が、バチルス・プミルス又はバチルス・スブチリスからなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である、請求項5に記載の方法。前記工程(a)において、106〜1010cfu/mlの乳酸菌(LAB)及び105〜109cfu/mlのバチルス細菌が播種される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)の適切な条件が、以下: (i)温度36〜38℃;及び (ii)発酵時間2〜100時間; を含み、前記工程(a)の所望のpHが4.4〜4.6である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)における乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5分前から5分後の間に開始される。請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)における乳酸菌及びバチルス細菌が、20分未満の時間内に、好ましくは5分未満の時間内に乳に播種される。請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)における発酵乳が、請求項1に記載の条件と比較してバチルス細菌を乳に播種しない点のみが異なる条件下で行われた比較方法におけるよりも1時間早くpH=4.5に達する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。前記工程(a)における乳が乳である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。前記乳酸菌で発酵した乳製品が:ケフィア、ヨーグルト、チーズ、サワークリーム、クレームフレーシュ、クミス(Kumis)、培養バターミルク(Cultured buttermilk)及びアシドフィルスミルク(Acidophilus milk)、からなる群から選択される1つ以上の発酵乳製品である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。乳酸発酵乳製品を製造するための組成物であって、1つ以上の乳酸菌と、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌とを含有するスターター培養物を含む、組成物。乳酸菌発酵乳製品を製造するためのバチルス細菌の使用であって、22℃〜45℃の温度での適切な条件下、104〜1012cfu/mlの乳酸菌(LAB)、及び104〜1012cfu/mlのバチルス(Bacillus)細菌を乳に播種して、当該乳のpHが所望の3.5〜5.5に達するまで発酵させ、当該乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始され;そして 前記バチルス細菌が、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である、使用。

说明书全文

本発明は、乳酸菌(LAB)とバチルスの両方を播種して乳を発酵させる工程を含む、乳酸発酵乳製品を製造する方法に関する。

乳酸菌(LAB)は、ヨーグルトやチーズ等の様々な発酵乳製品の製造のため、乳業において集中的に使用されている。Generally Recognized As Safe(GRAS)ステータスを達成している。

Generally Recognized As Safe(GRAS)は、その化合物又は物質の食品への添加が安全であると専門家によって認められたことを示すAmerican Food and Drug Administration(FDA)の表示である。

乳酸菌は、グラム陽性、微好気性又は嫌気性細菌であり、糖類を発酵して、優勢に生産される酸として乳酸、酢酸及びプロピオン酸を含む酸を生成する。産業上最も有用な乳酸菌はラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、及びラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストク種(Leuconostoc spp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus spp.)、及びエンテロコッカス種(Enterococcus spp.)を含む「ラクトバチラレス」目、並びにブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)及びプロピオニバクテリウム(Propionibacterium spp.)を含む「アクチノマイケタレス」目に見られる。

バチルス細菌は、乳酸菌とは見做されない。

従来技術は、例えばUS2009/0011081A1(下記参照)等において、ヨーグルト等の発酵乳製品を製造するためのそのようなバチルス細菌の(即ちラクトバチルスやラクトコッカス等のLABスターター培養物を添加しない)使用を記載している。

US2009/0011081A1は、バチルス・スブチリスvar.ナット(natto)株の、ヨーグルト製造の為の使用を記載している。B.スブチリスvar.ナット株は、ヒト病原体と見做されず、GRASに分類されている。B.スブチリスvar.ナット株は、幾つかの望ましくない他の細菌(例えば望ましくない大腸菌)の増殖を抑制でき、血栓症治療能を有すると考えられている衛生的化合物ナットウキナーゼを生成し得るため、B.スブチリスvar.ナット株によって製造されたヨーグルトは、心臓血管疾患を防ぐ能力を有する可能性がある。US5077063は、発酵乳製品を製造するためのバチルス・スブチリス株の使用を記載する。この文献は、バチルス細菌株によって生産された抗細菌物質が、棚寿命が長く、活性な治療的及び予防的特性を有する、製品の調製を保証することを記載している。

要するに、従来技術は、バチルス細菌の好ましい抗細菌的及び治療的特性に基づく、バチルス細菌の使用を記載している。

CN103300147Aは、2段階の方法を用いて発酵乳を製造する方法を記載している。第1の工程において、乳は、バチルス・スブチリスによって発酵され、バチルスが生産したプロテアーゼによって、スキムミルク中のタンパク質が、アミノ酸又はポリペプチドに分解される。第2の工程において、このバチルス発酵乳に乳酸菌(ラクトバチルス・プランタルム)が添加され、乳酸菌発酵(即ちpHの低下−酸性化)が実行される。要約において、この2段階の手順が、ラクトバチルス・プランタルムの増殖において優位をもたらすと言及されている。第1の工程において、乳は、バチルス・スブチリスを用いて48時間発酵される(例えば[0018]を参照、そしてその後(工程2)、ラクトバチルス・プランタルムが添加された)。

Rossland et al.の文献(Influence of controlled lactic fermentation on growth and sporulation of Bacillus cereus in milk. International journal of food microbiology, 103(1), pp. 69−77 (2005))は、ラクトコッカス又はラクトバチルスがバチルス・セレウスの増殖及び胞子形成を阻害する能力が検証されている。B.セレウスは、望ましくない病原体と見做され、様々な種類の食品に混入し、当然GRASステータスを有しない。解析を行うため、乳に少量の(102 Colony Forming Units (cfu)/ml)B.セレウス及びラクトバチルス又はラクトコッカス株を播種し、共培養/発酵した。B.セレウスを少量しか播種しないのは、ラクトコッカス又はラクトバチルスがバチルス・セレウスの増殖及び胞子形成を阻害する能力を検証するものであり、市販される発酵乳製品(ヨーグルト又はチーズ等)の製造に関するものではない、この文献の目的に適っている。当業者は、病原性のバチルス・セレウスを、ヨーグルト等を製造するために乳に播種しようとは考えない。

CN103190478Aは、レバンを含有するヨーグルトを製造する方法を開示し、以下の工程:1)レバンスクラーゼを生産する細菌株を培養して、当該株が放出したレバンスクラーゼ酵素を含有する発酵ブロスを取得する工程、2)工程1)で取得した発酵ブロスを遠心分地して上清と細菌細胞とを分離する工程、3)硫酸アンモニウムを上清に添加して酵素タンパク質を沈殿させ、遠心分離してタンパク質沈殿物を取得し、そしてそのタンパク質沈殿物を精製して純粋なレバンスクラーゼを取得する工程、及び4)生乳にスクロースと純粋なレバンスクラーゼを添加し、乳酸菌を播種し、この混合物を発酵して、レバンを含有するヨーグルトを製造する工程、を含む。レバンスクラーゼを生産する細菌株は、例えば、バチルス・リケニフォルミスATCC14580及びバチルス・スブチリスATCC6051であり得る。乳酸菌は、ラクトバチルス・ブルガリクスCICC6046及びストレプトコッカス・サーモフィルスCICC6038又はそれらの混合物であり得る。

KR20090039941Aは、乳酸菌とバチルスの混合物を用いてルブス・コレアヌスMig及びクロレラの混合物を用いて機能性発酵材料を製造する方法を開示する。

US−A−3 674 508は、実施例において、S.サーモフィルス及びB.ステレオサーモフィルスの組み合わせを使用してチーズ香を有する産物を得る、チーズ香を有する発酵乳産物を製造する方法を開示している。

本発明により解決すべき課題は、乳酸菌発酵乳製品(例えばヨーグルト等の乳性食品)を製造する方法であって、乳酸発酵がより迅速に所望のより低いpH(例えばpH4.5付近)に達する方法を提供することである。

バチルス細菌が一般に低いpHで最適に増殖しないことは、本分野で公知である。従って、CN103300147Aの従来技術の2段階の方法(上記で論じた)は、LABスターター培養物を添加する第2段階の前48時間に渡りバチルスだけで発酵させる第1の工程が、バチルスが乳の中性付近のpH=6で好適に動作する十分な時間を確保するのであるから、当業者によって一見して好ましいものと見なされ得る。

本発明者らは、そのような従来技術に関連する2段階の方法を試験した。

本明細書の実施例1に見られるように、試験された従来技術の2段階の方法は、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)では適切に動作しなかった。

プレインキュベーション後バチルス・プミルスで24時間発酵を行い(即ち従来技術の2段階の方法の第1段階)、続いてS.サーモフィルスで発酵する(即ち従来技術の2段階の方法の第2段階)と、発酵乳が2つの相に分離し(図1の上の画像)、望ましくない黄色を有していた(図1の下の画像)。そのような相分離や黄色は、バチルスのプレインキュベーションを用いる概念(即ち従来技術の2段階の方法)の適用の間に顕著な問題をもたらし得る。

更に本明細書の実施例1で論じているように(図2も参照)、従来技術の2段階の方法において、S.サーモフィルス単独の場合と比較して、酸性化活性の改善は無かった。

本明細書の実施例2は、バチルス・スブチリスにおいても従来技術の2段階の方法が適切に動作しなかったので、実施例1におけるバチルス・プミルスと同様に、バチルス・スブチリスも本質的に同様であることが実証された。

本明細書中で論じるように、発明者らは、異なる1段階の発酵方法を試験した(即ちバチルス及び乳酸菌の両方による1段階の乳酸発酵工程)。

従来技術の2段階の方法と反対に、本発明の1段階の発酵方法(例えばバチルス及び乳酸菌の両方による1段階の乳酸発酵工程)は真に良好に動作し、即ち酸性化活性の顕著な改善が見られた(本明細書の多くの実施例を参照)。

更に、そして本明細書の実施例で論じるように、本発明の1段階の発酵方法は、商業的に重要な発酵乳製品をもたらす(例えば望ましくない相分離や黄色を呈さない、実施例6参照)。

下記表は、本明細書中の実施例において本発明の1段階の発酵方法で好ましく動作することが示された様々なバチルス及び乳酸菌を示し、即ちこれらの乳酸発酵は、所望の低いpH(例えばpH4.5付近)に迅速に到達した。

従って、本発明の1段階の発酵方法は、異なる属の異なる3つのLAB及び多くの異なるバチルスにおいて動作することが示されている。

理論に拘束されず、従って、それがいわゆるクラス効果である筈が無い、即ち本発明が実質的に全ての本願に関連するバチルス細胞及びLAB細胞の組み合わせにおいて動作する筈が無い、と考える顕著な技術的根拠が無い。

更に、本願の実施例6等に示されるように、所望の特定のLAB(例えばストレプトコッカス)において、適切な良好に動作するバチルス株を特定するための小スケール(例えば1ml乳)スクリーニングアッセイを設定することは、比較的容易である。

従って、本発明の第一の側面は、乳酸菌発酵乳製品を製造する方法に関し、当該方法は、以下の工程: (a)22℃〜45℃の温度での適切な条件下、104〜1012cfu/mlの乳酸菌(LAB)、及び104〜1012cfu/mlのバチルス(Bacillus)細菌を乳に播種して、当該乳のpHが所望の3.5〜5.5に達するまで発酵させる工程、ここで当該乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始される; を含み、前記工程(a)におけるバチルス細菌は、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である。

上に列挙した全てのバチルス細菌種は健康であり、そのため病原性ではない。

上記のように、バチルス・セレウスは病原性と考えられているため、そのような病原性バチルスの使用は、食料/飼料製品を製造する本発明においてそのような商業的関心の対象とならない。

例えば、食品及び飼料に意図的に添加されるQPS生物剤のリストの維持に関するEuropean Union (EU) European Food Safety Authority (EFSA) Panel on Biological Hazards (BIOHAZ) Scientific Opinionには(2013年改訂)、本発明の第一の側面で列挙したバチルス細菌種に関し、「毒性活性無し」と記載している。

また、このEFSA2013のレポートは、バチルス・セレウスに関し「病原性の証拠が増えている」と言及している。

更に、EFSA2013のレポートの引用文献は「EFSA Journal 2013;11(11):3449 [108 pp.]. doi:10.2903/j.efsa.2013.3449」であり、本願の出願時点で「http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/3449.pdf」のリンクからダウンロード可能である。

例えば本明細書の実施例7に論じるように、記載されたような第一の側面の方法は、本明細書中で記載する第一の側面の方法の工程(a)において、104cfu/ml付近(好ましくは105cfu/ml付近)を下回るバチルス細菌を用いることにより、商業的に許容されるレベルで動作しないと考えられる。

上記のように、Rossland et al. (2005)の文献において、少量(102cfu/ml)のB.セレウスが乳に播種され、これはこの文献の目的に沿い、それは、ラクトバチルス又はラクトコッカスがバチルス・セレウスの増殖を阻害する能力の調査に関し、商業に関連する発酵乳製品(ヨーグルト又はチーズ)の製造に関するものではない。

従って、本明細書中の実施例で試験された非病原性バチルス細菌は、Rossland et al. (2005)の文献中で開示されたような少量(102cfu/ml)のバチルス細菌の使用により適切に動作しなかった。

上記のように、第一の側面の工程(a)は、LAB及びバチルス細菌の両方の存在下で1段階同時発酵を有することである。

LAB及びバチルス細菌が時間的に同じ点で乳に播種された場合これが得られることは明らかである。

しかしながら、当業者が理解するように、この文脈で、LABとバチルス細菌は、関連する短い時間範囲の中の異なる点で乳に播種されてもよい。この事実は、第一の側面の工程(a)における「当該乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始される」という記載に反映されている。

当業者にとって、「乳のLAB発酵の開始」を決定することは容易であり(例えば乳中の乳酸量の増大を測定し、及び/又はpHの酸性化を測定することにより)、故に勿論、当業者にとって、上記時間間隔の範囲の規定を満たすために乳のバチルス細菌発酵を開始する時間における適切な点を同定することも容易である(例えばバチルス細菌を播種する時間の点を適切に選択することにより)。

工程(a)に関連して、現在の文脈において、「バチルス細菌発酵の開始」及び「乳のLAB発酵の開始」は、乳が細菌発酵のための適切な温度を有する前であることは出来ないことが理解され、また、実際、ほとんど全ての商業関連の細菌株は、22℃未満及び45℃超の温度で顕著な発酵を有しないことが理解される。

従って、例えばバチルス細菌が1日目に乳に播種され5℃で24時間保存された場合、この5℃での保存期間の間、工程(a)に関して「バチルス細菌発酵の開始」は未だなされておらず、これは、5℃ではバチルス細胞が本質的に不活性でありそのように乳を発酵しないからである。

従って、もし前記バチルスを含有し5℃に保存した乳に2日目に乳酸菌を播種してその後温度を適切な温度(例えば37℃)に上げるとすると、この例における「バチルス細菌発酵の開始」と「乳のLAB発酵の開始」は同時(即ち乳が細菌に適した温度に達しバチルス/LABの顕著な発酵が実際に始まった時)にされたことになる。

実施例で論じるように、バチルス細胞(単独)による発酵はpHを顕著に低下させなかった。

従って、理論に拘束されず、本明細書中で開示する実験結果は、本明細書中に記載される第一の側面の1段階の発酵方法に従い共培養された場合、何らかの方法によるバチルス又はそれ以外が、LABのpH低下能力を増大/増幅することを示す。

本明細書中の実施例1に示すように、本願1段階の方法に関連して、本発明の第一の側面の発酵工程(a)における試験されたバチルス・プミルス株の顕著な増殖は無かったようである。実際に、それらは発酵プロセスの過程で殆ど死んでいた(おそらくpHの低下による)。これは、最終的な乳酸菌発酵乳製品中にバチルス細胞がほとんど又は全く存在しないことになるため、有利であり得る。

本願実施例5に論じるように、発明者らは、バチルス株のタンパク質分解系がLABの増殖促進効果に寄与することに関する従来技術の理論(例えば上記CN103300147A)をチェックする実験を行った。

プロテイナーゼ陰性ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)を通常のラクトコッカス・ラクティス株と比較し、バチルス株のタンパク質分解系が主要な要因であったら、プロテイナーゼ陰性LABにおけるpH低下効果が正常なLABと比較して相対的により高いことが予想される。

しかしながら、実施例5の実験において、プロテイナーゼ陰性ラクトコッカス・ラクティス株の増殖は、他の試験されたラクトコッカス・ラクティス株と比較してそれほど促進しなかった。

従って、理論に拘束されず、バチルス細胞のタンパク質分解系は、LABの増殖を改善/増幅する本願で議論する正の相乗効果に関与する唯一の重要な要素ではないようである。

要するに、本願実験結果に基づき、バチルス細胞は、同時の共培養の過程で、LAB細胞に何らかの正の影響をもたらすようである。

更に、バチルス細胞の正の影響は、乳のLAB乳酸発酵の特に開始時に高い重要性を有すると考えられる。

例えば実施例9に論じるように、適切に選択されたバチルス細胞を使用して、例えばテクスチャー特性の改善及び/又はビタミンK含量の増大等の商業関連の更なる特性を有する発酵乳製品を作製し得る。

更に、本発明は、乳酸発酵乳製品を製造するための組成物であって、1つ以上の乳酸菌と、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌とを含有するスターター培養物を含有する、組成物に関する。

更に、本発明は、乳酸菌発酵乳製品を製造するためのバチルス細菌の使用であって、22℃〜45℃の温度での適切な条件下、104〜1012cfu/mlの乳酸菌(LAB)、及び104〜1012cfu/mlのバチルス(Bacillus)細菌を乳に播種して、当該乳のpHが所望の3.5〜5.5に達するまで発酵させ、当該乳のバチルス細菌発酵が、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始され;そして 前記バチルス細菌が、以下: バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis) からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である、使用に関する。

定義 本文中の用語の全ての定義は、関連する技術的文脈との関係で当業者によって理解され得るものに従っている。

「細菌」は、本文中、複数形である。例えば本願乳酸菌発酵乳製品が1個の細菌しか含まないことを議論するのは不合理だからである。

「発酵」は、微生物の活動によって有機物からエネルギーを放出することを含む生化学的反応を意味する。

「発酵乳製品(fermented milk product)」は、動物、より具体的にはヒトの消費を対象とした製品を指し、そして乳基質の乳酸菌による酸性化乳酸発酵(acidifying lactic fermentation)から得られる。そのような製品には、例えば果実、野菜、糖、香味料の第二の成分が含まれていてもよい。

「乳酸菌(lactic acid bacterium)」とは、グラム陽性、微好気性又は嫌気性細菌を指し、それは、主に産生される酸として乳酸、酢酸、プロピオン酸を含む酸の産生と共に糖を発酵させる。工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストック種(Leuconostoc spp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus spp.)、及びエンテロコッカス種(Enterococcus spp.)を含めた「ラクトバチルス(Lactobacillales)」目内、並びにブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)及びプロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)を含めた「アクチノマイセス(Actinomycetales)」目内に見られる。加えて、偏性嫌気性細菌、ビフィズス菌、すなわちビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)の群に属する、乳酸を産生する細菌は、一般的に乳酸菌の群に含まれる。これらは、単独で、又は他の乳酸菌と組み合わせて、しばしば食品培養物として用いられる。

「乳酸発酵」は、発酵物中の細菌による特にラクトースの消費の嫌気又は微小好気プロセスを意味し、乳酸、及び潜在的に酢酸の形成を引き起こし、pHを低下する。

「乳酸菌発酵乳製品」は、動物、より具体的にはヒトの消費を対象とした製品を指し、そして乳基質の乳酸菌による酸性化乳酸発酵(acidifying lactic fermentation)から得られる。そのような製品には、例えば果実、野菜、糖、香味料の第二の成分が含まれていてもよい。

「乳(milk)」は、哺乳類又は植物の乳を含む。乳の例として、乳の乳(牛乳(bovine milk))、ラクダ乳、牛の乳、山羊乳、羊乳及び豆乳が挙げられる。随意に乳を、例えば酸(クエン酸、酢酸又は乳酸)を添加することにより酸性化し、又は例えば水と混合する。乳は生のまま、又は例えば濾過、滅菌、低温殺菌、均質化することにより加工してもよく、あるいは再構成された粉乳であってもよい。本発明による「牛乳(bovine milk)」の重要な例は、低温殺菌された乳牛の乳である。乳は、細菌を植え付ける前、最中及び/又は後で酸性化、混合又は加工されてもよいことが理解される。

発酵乳「スターター培養物(starter culture)」は、乳酸菌のうちの少なくとも1株、例えば、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、又はストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を含む細菌培養物である。本明細書によると、発酵乳製品は、乳を植え付け、菌株が加えられている状態で乳を発酵させることによって得られる。典型的には、ヨーグルト用のスターター培養物は、ストレプトコッカス・サーモフィルス及びラクトバチルス・ブルガリクスを含有し、ほとんどの国において、ヨーグルトは、これらの2つの株を含有するスターター培養物を使用して生産された発酵乳製品として規定される。

本発明の態様は、例示のみを目的として下記に記載される。

予めインキュベーションしたバチルス・プミルス株CHCC5042を用いて得た乳を2つの相に分けた(図1の上の画像)。予めインキュベーションしたバチルス・プミルス株CHCC16735を用いた乳はまだ黄色であった(図1下の画像)。より詳細には、本願実施例1を参照されたい。

B.プミルス及びS.サーモフィルスを用いた酸性化実験の結果を示す。より詳細には本願実施例1を参照されたい。

B.スブチリス、B.プミルス及びS.サーモフィルスを用いた酸性化実験の結果を示す。より詳細には本願実施例3を参照されたい。

異なる濃度のバチルス・プミルス株CHCC16735によるS.サーモフィルスCHCC4460の増殖刺激に関する実験の結果を示す。より詳細には本願実施例7を参照されたい。

ST及びバチルスの予共培養に関する実験の結果を示す。より詳細には本願実施例8を参照されたい。

当業者により理解されるように、本願に関連する好ましい態様の組み合わせは、尚もより好ましいものと理解され得、例えば、好ましい乳酸菌(LAB)を好ましいバチルス細菌と一緒に使用することは、尚もよりこのましいものと理解される。

LABとバチルス細菌の両方による乳の発酵‐第一の側面の工程(a) 上記で論じたように、第一の側面の工程(a)は、22℃〜45℃の温度での適切な条件下、104〜1012cfu/mlの乳酸菌(LAB)、及び104〜1012cfu/mlのバチルス(Bacillus)細菌を乳に播種して、当該乳のpHが所望の3.5〜5.5に達するまで発酵させる工程であり、ここで当該乳のバチルス細菌発酵は、当該乳のLAB発酵の開始の5時間前から4時間後の間に開始される。

当業者に理解されるように、本文中、工程(a)における「播種」は、乳酸菌及びバチルス細菌が活性を持って乳に添加されることを意味する。

工程(a)において、異なる種類のバチルス細菌の混合物が添加され得るが、その異なる種類は、第一の側面又はその好ましい態様のリストの中の種類であるべきである。

例えば、工程(a)において、105cfu/mlのバチルス・プミルス及び105cfu/mlのバチルス・スブチリスが添加され、それらは工程(a)における添加/播種において、合わせて2x105cfu/mlのバチルス細菌を与える。

好ましい態様において、工程(a)において播種されるバチルス細菌は、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis)からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である。

好ましくは、工程(a)において播種されるバチルス細菌は、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である。

好ましくは、工程(a)において播種されるバチルス細菌は、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である。

好ましいバチルス・スブチリスは、B.スブチリスvar.nattoであり得る。

好ましくは、工程(a)において播種される乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、及びラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストク種(Leuconostoc spp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus spp.)、及びエンテロコッカス種(Enterococcus spp.)、ブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)及びプロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)からなる群から選択される1つ以上の乳酸菌である。

バチルス細菌と同様、工程(a)において、例えばストレプトコッカス種とラクトバチルス種の混合物等、異なる種類の乳酸菌の混合物が添加され得る。

より好ましくは、工程(a)において播種される乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、及びラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)からなる群から選択される1つ以上の乳酸菌である。

尚もより好ましくは、乳酸菌はラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、及びラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)からなる群から選択され、バチルス細菌は、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からなる群から選択される。

尚もより好ましくは、工程(a)において播種される乳酸菌は、S.サーモフィルス(S. thermophilus)、ラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii ssp. Bulgaricus)及びラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からなる群から選択される1つ以上の乳酸菌である。

実施例において、特に良好な効果がS.サーモフィルスにおいて同定された。

従って、工程(a)で播種される乳酸菌はS.サーモフィルスが好ましくともよい。

特に好ましくは、工程(a)において播種される乳酸菌は、S.サーモフィルス(S. thermophilus)であり、第一の側面の工程(a)において播種されるバチルス細菌は、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からなる群から選択される1つ以上のバチルス細菌である。

好ましくは、工程(a)において、105〜1011cfu/mlの播種された乳酸菌(LAB)が使用され、より好ましくは、106〜1010cfu/mlの播種された乳酸菌(LAB)が使用される。

好ましくは、工程(a)において、2x104〜1010cfu/mlの播種されたバチルス細菌が使用され、より好ましくは、105〜109cfu/mlの播種されたバチルス細菌が使用され、特に好ましくは、106〜108cfu/mlの播種されたバチルス細菌が使用される。

当業者にとって、所望のpH値とするために適切な発酵条件を同定することは容易であり、それは、一般に、具体的に使用されるLAB及びバチルス細菌に依存し得る。

適切な条件は: (i)温度22℃〜45℃(好ましくは32℃〜42℃、例えば36℃〜38℃); (ii)発酵時間2〜100時間、例えば3〜48時間、又は例えば10〜30時間; を含み得る。

一般に、また当業者に知られているように、好ましい/最適な発酵温度は、使用されるLABに依存し得る。例えば、幾つかのLABは25℃で最適に増殖し、他のLABは37℃付近で最適に増殖する。

所望の発酵乳製品に依存して、所望のpHは4〜5、例えば4.4〜4.6となり得る。

好ましくは、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳のLAB発酵の開始の3時間前から2時間後の時間範囲内である。例えば、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳のLAB発酵の開始の2時間前から1時間後の時間範囲内である。

より好ましくは、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳のLAB発酵の開始の1時間前から30分後の時間範囲内である。

尚もより好ましくは、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳のLAB発酵の開始の30分前から15分後の時間範囲内である。

最も好ましくは、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳のLAB発酵の開始の5分前から5分後の時間範囲内である。

本文中で当業者により理解されるように、工程(a)においてバチルス細菌が乳を発酵するのに適した条件(例えば温度37℃)下で乳に播種された場合、乳のバチルス細菌発酵の開始は、乳への播種と同時となる。

乳酸菌も同様であり、即ち工程(a)においてLABが乳を発酵するのに適した条件(例えば温度37℃)下で乳に播種された場合、乳のLAB発酵の開始は、乳への播種と同時となる。

上記のように、第一の側面の工程(a)の主な目的は、LAB及びバチルス細菌の両方の存在下で1段階同時発酵を行うことである。

LABとバチルス細菌が乳に概ね同時に播種された場合にこれが起こることは明らかである。

従って、本発明の第一の側面の方法の好ましい態様は、工程(a)において、バチルス細菌とLABが、5時間未満(好ましくは2時間未満、より好ましくは1時間未満、尚もより好ましくは20分未満、最も好ましくは5分未満)の時間範囲内で乳に播種される。

上記に関して当業者により理解されるように、例えばバチルス細菌が最初に乳に播種され、然る後に乳酸菌が所望の好ましい時間間隔(例えば5分後)以内に当該乳に播種され得る。

同様に、乳酸菌が最初に乳に播種され、然る後にバチルス細菌が所望の好ましい時間間隔以内に当該乳に播種され得る。

第一の側面の方法の好ましい態様及び本文中に記載のその態様は、工程(a)における発酵乳が、工程(a)において乳にバチルス細菌を播種しない以外第一の側面の方法と同一の条件で行われた比較方法よりも早くpH=4.5に達する。

そのような真の比較解析を実施することは当業者にとって容易であり、例えば、実施例1において簡単に行われている。本発明の好ましい態様において、当該比較方法は、以下のように行われる。

バチルス株をMRSブロスに播種し、37℃で一昼夜インキュベーションした。当該培養物を遠心分離し、ペレットを1Vol.のB−ミルク(99℃で30分間煮沸した9.5%スキムミルク)で再懸濁した。A.サーモフィルス株を2%ラクトースを加えたM17中37℃で前増殖し、遠心分離し、そして1Vol.のB−ミルクで再懸濁した。

酸性化実験のため、前記再懸濁したバチルス及びS.サーモフィルス株を200mlのB−ミルク中にそれぞれ1%播種した。酸性化は、ウォーターバス中37℃でPCロガーを用いてpHを測定することにより一昼夜追跡された。

当業者によって理解されるように、比較方法は、(バチルス細菌を乳に播種しないことを除き)同一である、即ち、他の全て(例えば工程(a)において発酵される乳の量(例えば200ml又は100L);温度等)は、第一の側面の方法と同一であり得る(即ち工程(a)におけるLABの播種)。

好ましい態様において、工程(a)において発酵される乳は、工程(a)において乳にバチルス細菌を播種しない以外第一の側面の方法と同一の条件で行われた比較方法よりも30分(好ましくは1時間及び尚もより好ましくは2時間)早くpH=4.5に達する。

本発明の特定の態様において、工程(a)において得られる発酵乳は、工程(a)において乳にバチルス細菌を播種しない以外同一の条件で行われたテクスチャー比較方法によって測定した場合と比較して、テクスチャーが増大している。当該テクスチャー比較方法は、下記のようにして実施されたせん断応力を測定する方法であり得る。

インキュベーションの翌日、発酵乳を13℃に調整し、試料が均一になるまで、穴の空いた円盤を取り付けた棒によってゆっくり撹拌した。試料の流動学的特性は、レオメーター(Anton Paar Physica Rheometer with ASC, Automatic Sample Changer, Anton Paar(登録商標) GmbH, Austria)を用いて評価された。設定を以下に示す。

待機時間(ある程度当初の構造まで再建するため) 振動又は旋回無しで5分間 振動(G*の計算のためG’及びG’’を測定するため) y =0.3%、振動数(f)=[0.5…8] Hz 60sに渡り6つの測定ポイント(10秒に1回) 旋回(300 1/sでのせん断応力を測定するため) y=[0.3−300]1/s及びy=[275−0.3]1/s 300 1/sまで上げて210sに渡り21個の測定ポイント(10秒に1回)。 及び 0.3 1/sまで下げて210sに渡り21個の測定ポイント(10秒に1回) 更なる解析において、300 1/sでのせん断応力が選択された。

好ましくは、第一の側面の工程(a)における乳は、牛乳、ラクダ乳、バッファロー乳、ヤギ乳又は羊乳であり、よりこのm細工は、第一の側面の工程(a)における乳は牛乳である。

本発明の第一の側面の方法は、商業関連の相対的に大スケールの製造方法であるのが好ましい。

従って、第一の側面の工程(a)における乳の量は、少なくとも100L、好ましくは少なくとも1000L、尚もより好ましくは少なくとも10000Lである。

所望の量の乳酸菌(LAB)及びバチルス細菌の両方を含有する組成物を含有するスターター培養物を作ること、そしてこのスターター培養物を第一の側面の工程(a)において乳に播種するために使用することが好ましい場合もある。

従って、好ましい態様において、第一の側面の工程(a)における乳への播種は、乳酸菌(LAB)及びバチルス細菌の両方を所望の量で含有する単一のスターター培養組成物を用いて行われる。

当該単一のスターター培養組成物は、LAB及びバチルス細菌を予め共培養して取得されたものであることが好ましい。

発酵乳製品を製造する方法の更なる工程 当業者は、乳酸菌発酵乳製品(例えばヨーグルト又はチーズ製品)を製造する手段を承知している。従って、工程(a)の後の更なる工程、即ち発酵工程を、本文中で詳細に説明する必要は無い。

更なる工程は、適切な容器中に発酵乳製品を単純に包装する工程を含み得る。適切な容器は、例えばボトル、カートン又はそれらに類似するものであり、適切な量は、例えば10〜5000mL又は50〜1000mLであり得る。

発酵乳がチーズである場合、更なる工程は、凝塊をチーズカード粒子に切り分けてチーズカードから乳清を分離する工程を含み得る。

所望の発酵乳製品の種類に依存して、更なる工程は、他の関連する細菌の添加、例えばキモシンやペプシン等の関連する乳凝固酵素の使用等を含み得る。

好ましくは、乳酸菌発酵乳製品は、乳性食品製品である。

好ましくは、乳酸菌発酵乳製品は、ケフィア、ヨーグルト、チーズ、サワークリーム、クレームフレーシュ、クミス(Kumis)、培養バターミルク(Cultured buttermilk)及びアシドフィルスミルク(Acidophilus milk)、からなる群から選択される1つ以上の発酵乳製品である。

好ましくは、乳酸菌発酵乳製品は、ヨーグルト及びチーズからなる群から選択される。特定の態様において、乳酸菌発酵乳製品は、ヨーグルトである。特定の態様において、乳酸菌発酵乳製品は、チーズである。

他に言及の無い限り、下記実施例で用いる乳は、いわゆるB−ミルク(99℃で30分間熱処理した9.5%再構築スキムミルク)である。B−ミルクは牛乳である。

実施例1:比較実験‐本発明の1段階発酵方法と比較される従来技術の2段階方法‐B.プミルス及びS.サーモフィルス 上記で論じたように、従来技術、例えばCN103300147Aは、2段階方法を用いて発酵乳を製造する方法を記載している。第一の工程において、乳はバチルス・スブチリスで発酵され(CN103300147Aにおいて48時間)、そして第二の工程において、このバチルス発酵乳に乳酸菌が添加されて、乳酸菌発酵(即ちpHの低下‐酸性化)が実施される。

この実施例1で論じるように、発明者らは、従来技術の2段階の方法と、本発明の1段階の同時方法とを比較した。

バチルス・プミルス単独: バチルス・プミルスCHCC5042 and CHCC16735を、凍結アンプルから3x5ml BHIブロスにそれぞれ播種し、37℃150rpmで一昼夜インキュベーションした。

4本の撹拌容器に200mLのB−ミルクを入れ、前記B.プミルス株5042及び16735を、それぞれ容器2本ずつに(BHI培地で一昼夜培養したもの)1%播種した。それらを37℃150rpmで24時間インキュベーションした。

5042及び16735は、凍結アンプルから5ml BHIブロスに播種され、同様にインキュベーションされもした。

16735を播種した容器は、24時間で黄色を呈した。両方の容器(即ち5042及び16735の両方)において、若干の発泡が認められた。

B.プミルス及びS.サーモフィルスを用いた酸性化実験 このB.プミルス24時間培養物を撹拌容器から滅菌200ml容器に移した。

BHI中のB.プミルス一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットを5ml B−ミルクに懸濁した。

S.サーモフィルス(ST)CHCC4895及びCHCC4460は、M17+2%ラクトース中に播種され、37℃で一昼夜インキュベーションされた。

これらの一昼夜ST培養物を遠心分離し、それぞれ11mL B−ミルク中に再懸濁した。

1. 撹拌容器中で24時間培養した5042をB−ミルク中に1%播種 2. 撹拌容器からの24時間5042培養物+1%4895 3. 撹拌容器からの24時間5042培養物+1%4460 4. 撹拌容器中で24時間培養した16735をB−ミルク中に1%播種 5. 撹拌容器からの24時間16735培養物+1%4895 6. 撹拌容器からの24時間16735培養物+1%4460 7. 1%4895 8. 1%4895+1%5042(BHI中で一昼夜) 9. 1%4895+1%16735(BHI中で一昼夜) 10. 1%4460 11. 1%4460+1%5042(BHI中で一昼夜) 12. 1%4460+1%16735(BHI中で一昼夜) 13. B−ミルク

酸性化は、37℃のウォーターバス中で行われた。pHは、PCロガーで一昼夜測定された。

B.プミルス及びS.サーモフィルスを用いた酸性化実験の結果: 予めインキュベーションしたバチルス・プミルス株CHCC5042の培養物は、2つの相に分かれた(図1参照‐上の画像、実験#2に関連する(上記参照))。

予めインキュベーションしたバチルス・プミルス株CHCC5042の培養物は、まだ黄色であった(図1参照‐下の画像、実験#5に関連する(上記参照))。

相分離や発色は、バチルスプレインキュベーションの概念の適用の過程で顕著な問題をもたらし得る。

図2に見られるように、予めインキュベーションしたバチルス・プミルス株CHCC5042の容器は、より高いpHで出発した。ST株単独と比較して酸性化活性の改善は無かった。最後のpHも、ST単独に関しては顕著に高かった。

下記表は、幾つかの時点での図2のpH値+pH=5に達したときの時間の幾つかを示す(図2から直接読み取った概数)。

上記で論じたように: 実験番号7はST4895単独(即ち対照); 実験番号8はST4895+バチルス1%5042 実験番号9はST4895+バチルス1%16735

これらの実験8及び9は、本発明の1段階共培養発酵方法に従って実施され、その結果は、乳酸発酵が所望のpHレベルまで顕著により急速に達したことである。例えばpH=5及びpH=4.5は、顕著により急速に達した。

類似の肯定的な結果が、ST4460株(#11及び#12と対照#10とを比較)において得られた。

バチルス細胞によるそのような(単独での)発酵は、顕著にpHを低下しなかった(#1及び#4参照)。

発酵過程でのB.プミルスの増殖解析: 培養物8及び9のBHI上へのプレーティング: ここで、バチルスとSTを共培養する効果がバチルスの乳中での増殖によるかそれ以外によるかを解析した。従って、培養物8及び9は、播種後、10−1〜10−4にBHI寒天上でインキュベーションする前にプレーティングされ、それらの増殖が見られた場合その翌日に再びプレーティングした。

ST4895を、プレート上で増殖が見られた場合それと同時にBHI寒天上に擦り付けた。プレートは好気的に37℃でインキュベーションされた。

発酵後、培養物8及び9は10倍に希釈され、10−3〜10−6に希釈されてBHI寒天上に再びプレーティングされた。プレートは好気的に37℃で一昼夜インキュベーションされた。

BHI上でのCHCC4895のプレーティングの結果:この株はプレート上では増殖しない。

BHI寒天上での培養物8及び9のプレーティングの結果:

CHCC4895はカウントされなかった‐それはプレート上では非常に弱くしか増殖しなかった。

ほとんどのバチルス細胞は、恐らく低いpHのため、STによる酸性化の過程で死滅したようである。

要するに、バチルス・プミルス株の顕著な増殖は無かった。実際に、それらは、発酵プロセスの過程で基本的に死滅している(おそらくpHの低下により)。

最終的な乳酸菌発酵乳製品に殆どバチルス細胞が存在しないため、これは有利となり得る。

結論: この実施例1の結果は、バチルス・プミルスにとって、従来技術の2段階の方法は適切に動作しないことを実証した。

24時間のバチルス・プミルスによるプレインキュベーション及び発酵(即ち2段階の方法における第一段階)と、それに続くS.サーモフィルスによる発酵(即ち2段階の方法における第二段階)は、2つの相に分離した(図1上の画像)及び好ましくない黄色を呈した(図1下の画像)発酵乳をもたらした。

そのような相分離や発色は、バチルスプレインキュベーション(即ち従来技術の2段階の方法)の概念の適用の過程で顕著な問題をもたらし得る。

図2に見られるように、従来技術の2段階の方法に関連して: プレインキュベーションしたバチルス・プミルス株を入れた容器は、より高いpHで開始した。 ST株単独の場合と比較して酸性化活性の改善は無かった。 最終pHも、ST単独に関しては顕著により高かった。

対照的に、本発明の1段階の方法(即ちバチルス・プミルスとS.サーモフィルスの両方による1つの発酵工程のみ)は、非常に良好に動作した。

図2に見られるように、本発明の1段階の方法が使用された場合、乳酸発酵により所望のpHレベルに顕著により迅速に到達する、という、1つの肯定的な結果が得られた。

更に、発酵乳(第一の側面の方法における工程(a))は、工程(a)において乳にバチルス細菌を播種しない(第一の側面の方法における工程(a))以外第一の側面の方法と同一の条件で行われた比較方法よりも顕著に早く所望のpHに達した。

図2において、これは、例えばST株4460単独の酸性化と比較することによって見られ、ST4460+バチルス5042及びST4460+バチルス16735における1段階同時酸性化よりも顕著に遅い。類似の好ましい結果がST株4895において得られ、バチルスと共に同時1段階発酵を行った場合、顕著により早く所望の低いpHレベルに達した。

更に、実施例1の結果は、ST株と共に同時発酵する間バチルス・プミルス株の顕著な増殖が無かったことを実証した。実際に、発酵プロセスの過程で、(おそらくpHの低下により)バチルス細胞は殆ど死滅する。

最終的な乳酸菌発酵乳製品に殆どバチルス細胞が存在しないため、これは有利となり得る。

実施例2:比較実験−従来技術の2段階方法−B.スブチリス及びS.サーモフィルス この実施例は、上記実施例1と同様である。この実施例において、バチルス・スブチリス株CHCC15877及びCHCC16871を用いて同様の実験が行われた(実施例1ではバチルス・プミルスを用いた)。

バチルス・スブチリス株CHCC15877及びCHCC16871を凍結アンプルからBHI寒天上に擦り付け、37℃で一昼夜好気下でインキュベーションした。

CHCC15877及びCHCC16871から単一コロニーを取って6ml BHIに播種し、37℃150rpmでインキュベーションした。

4本の撹拌容器に200mlのB−ミルクを写し、B.スブチリス株15877sc及び16687scをそれぞれ2本ずつに1%(BHI中で一昼夜培養したものから)播種した。それらを37℃150rpmで24時間インキュベーションした。

M17+2%ラクトース中にS.サーモフィルスCHCC4895及びCHCC4460を播種し、37℃で一昼夜インキュベーションした。

酸性化実験: 前記24時間B.スブチリス培養物を撹拌容器から滅菌200ml容器に移した。これらの株は、今回も乳を黄色に変色させた(即ち実施例1のバチルス・プミルスと同様)。

7mlのSt一昼夜培養物を遠心分離し、それぞれ7mlのB−ミルクに再懸濁した。

1. 撹拌容器中で24時間培養した15877をB−ミルク中に1%播種 2. 撹拌容器からの24時間15877培養物+1%4895 3. 撹拌容器からの24時間15877培養物+1%4460 4. 撹拌容器中で24時間培養した16687をB−ミルク中に1%播種 5. 撹拌容器からの24時間16687培養物+1%4895 6. 撹拌容器からの24時間16687培養物+1%4460 7. 1%4895 8. 1%4460 9. B−ミルク

結果: バチルス・スブチリスでプレインキュベーションした4本の容器の全ては、実施例1における実験の容器5と同様であった(薄く黄色の培養物)。

プレインキュベーションしたバチルス・スブチリス株を入れた容器は、より高いpHで開始した。

ST株単独と比較して、酸性化活性の改善は無かった。最終pHも、ST単独に関しては顕著により高かった。

結論: 実施例2の結果は、バチルス・スブチリスを用いた場合であっても、実施例1におけるバチルス・プミルスと本質的に同様であることを実証し、バチルス・スブチリスにおいても、従来技術の2段階方法は良好に動作しなかった。

実施例3:バチルス・スブチリス及びB.プミルスとの共発酵によるS.サーモフィルスの増殖刺激−本発明の1段階方法 バチルス・スブチリス由来の株の添加によるS.サーモフィルスのCHCC4895の増殖刺激 下記バチルス・スブチリス株をMRSブロス中に播種し、37℃で一昼夜インキュベーションした。 CHCC3810 CHCC15877 CHCC16282 CHCC19200

上記一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットをそれぞれ1Vol.のB−ミルク中に再懸濁した。

S.サーモフィルスCHCC4895は、2%ラクトースを添加したM17中37℃で前培養し、遠心分離し、そして1Vol.のB−ミルク中に再懸濁した。

酸性化実験のため、再懸濁した株をそれぞれ200mlのB−ミルク中に1%播種した。酸性化は、37℃のウォーターバス中で行われた。pHは、PCロガーで一昼夜測定された。

1. 1%CHCC4895 2. 1%CHCC4895+1%CHCC15877 3. 1%CHCC4895+1%CHCC16282 4. 1%CHCC4895+1%CHCC19200 5. 1%CHCC4895+1%CHCC3810 6. 1%CHCC15877 7. 1%CHCC16282 8. 1%CHCC19200 9. 1%CHCC3810 10. B−ミルク

結果: B.スブチリス株CHCC3810、CHCC15877、CHCC16282、及びCHCC19200は、ST CHCC4895の酸性化活性を促進した。

バチルス・プミルス及びバチルス・スブチリス由来の株の添加によるS.サーモフィルスCHCC4895の増殖刺激 バチルス・プミルス及びバチルス・スブチリス由来の以下の株をBHIブロスに播種し、37℃の撹拌インキュベーター中150rpmで一昼夜インキュベーションした。

これらの株は、従来の株として撹拌せずにMRS中で最初に播種されたが、僅かな増殖しか示さなかった。

B. プミルスCHCC5042 B. プミルスCHCC15512 B. プミルスCHCC15544 B. プミルスCHCC16735 B. プミルスCHCC16873 B. プミルスCHCC17513 B.スブチリスCHCC16871

CHCC4895を、2%ラクトースを添加したM17中に播種し、37℃で一昼夜インキュベーションした。

上記一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットをそれぞれ1Vol.のB−ミルク中に再懸濁した。

酸性化実験のため、再懸濁した株をそれぞれ200mlのB−ミルク中に1%播種した。酸性化は、37℃のウォーターバス中で行われた。pHは、PCロガーで一昼夜測定された。

1. 1%CHCC4895 2. 1%CHCC4895+1%CHCC5042(プミルス) 3. 1%CHCC4895+1%CHCC15512(プミルス) 4. 1%CHCC4895+1%CHCC15544(プミルス) 5. 1%CHCC4895+1%CHCC16735(プミルス) 6. 1%CHCC4895+1%CHCC16871(スブチリス) 7. 1%CHCC4895+1%CHCC17513(プミルス) 8. 1%CHCC4895+1%CHCC16873(プミルス) 9. 1%CHCC5042 10. 1%CHCC15512 11. 1%CHCC15544 12. 1%CHCC16735 13. 1%CHCC16871 14. 1%CHCC17513 15. 1%CHCC16873 16. B−ミルク

結果: 結果を図3に示す。全てのバチルス株は、CHCC4895の酸性化活性を顕著に促進した。CHCC4895単独のインキュベーションと比較して、2時間早くpH5.0に達した。同時にそれらは乳を全く酸性化せず、これは、共発酵におけるpHの低下がB.スブチリスによる酸の生産によるものではなく、増殖刺激効果によることを意味する。

バチルス・プミルス及びバチルス・スブチリス由来の株の添加によるS.サーモフィルスの5つの株の増殖刺激 この実験において、5つの追加のS.サーモフィルス株の酸性化活性が、B.スブチリスの2つの株及びB.プミルスの2つの株の存在下で試験された。5つのS.サーモフィルス株は、乳中で異なる酸性化活性を有することにより特徴づけられる。 S.サーモフィルス株: CHCC3175 CHCC4460 CHCC5389 CHCC6592 CHCC9204 バチルス種株: CHCC15877 (スブチリス) CHCC16871 (スブチリス) CHCC5042 (プミルス) CHCC16735 (プミルス)

バチルス種株は、BHIブロス中37℃150rpm撹拌で一昼夜インキュベーションされた。

S.サーモフィルス株は、2%ラクトース添加M17中37℃で一昼夜インキュベーションされた。

これら一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットを1Vol.のB−ミルク中に再懸濁した。

酸性化実験のため、再懸濁した株をそれぞれ200mlのB−ミルク中に1%播種した。酸性化は、37℃のウォーターバス中で行われた。pHは、PCロガーで一昼夜測定された。

結果: 結果は、全てのバチルス株は、5つのS.サーモフィルス株CHCC3175、CHCC4460、CHCC5389、CHCC6592、及びCHCC9204の酸性化活性を顕著に促進した。

結論: 実施例の結果は、バチルス・スブチリス及びバチルス・プミルス由来の株の添加が、様々なS.サーモフィルス株の酸性化を刺激することを示す。試験された全てのS.サーモフィルス株は、バチルス・スブチリス及びB.プミルスの個別の様々な株と共発酵されたとき、一定の効果を示した。

実施例4:B.プミルスの株との共発酵によるラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクスの増殖刺激−本発明の1段階発酵方法 バチルス・プミルスの株の添加によるラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクスの5つの株の増殖刺激 B.プミルス5042sc及び16735sc(シングルコロニー単離、上記参照;ON培養物から)を、3x5mlのBHIブロスに播種し、150rpm37℃でインキュベーションした。

ラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクスCHCC3984を9ml MRSに播種した。

バチルス・プミルスの一昼夜培養物をプールし、12mlを遠心分離し、ペレットを12mlのB−ミルクに再懸濁した。

ラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクスの株を遠心分離し、9mlのB−ミルク中に再懸濁した。

酸性化実験: 200mlのB−ミルク中に1%播種した。37℃ウォーターバス中で酸性化した。pHは、PCロガーで一昼夜測定した。 1. 3984 2. 3984+5042 3. 3984+16735 4. B−ミルク

結果: 試験されたバチルス・プミルス株はいずれもラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクスのCHCC3984に対し顕著な増殖促進効果を有していた。バチルス細胞がラクトバチルス・デルブルエッキイ種ブルガリクス株と共培養されたとき、対照実験(即ちCHCC3984のみ)と比較して、顕著に早くpH=5に達した。

実施例5:B.プミルス株との共発酵によるラクトコッカス・ラクティスの増殖刺激−本発明の1段階発酵方法 バチルス・プミルス及びB.スブチリスの株の添加によるラクトコッカス・ラクティスの5つの株の増殖刺激 B.プミルス5042及び16735(凍結アンプルから)を、3x5mlのBHIブロスに播種し、150rpm37℃でインキュベーションした。

ラクトコッカス・ラクティス株CHCC2281、CHCC4427、CHCC9867、CHCC3949及びCHCC3950をM17に播種した。ラクトース陰性の3949及び3950にはグルコースを添加した。30℃で一昼夜インキュベーションした。

B.プミルス一昼夜培養物をプールし、11mlを遠心分離し、ペレットを11mlのB−ミルクに再懸濁した。

ラクトコッカス・ラクティス株を遠心分離し、1体積のB−ミルク中に再懸濁した。

酸性化実験: 200mlのB−ミルク中に1%播種した。30℃ウォーターバス中で酸性化した。pHは、PCロガーで一昼夜測定した。 1. 2281 2. 2281+5042 3. 2281+16735 4. 4427 5. 4427+5042 6. 4427+16735 7. 9867 8. 9867+5042 9. 9867+16735 10. 3949+1%グルコース 11. 3949+5042+1%グルコース 12. 3949+16735+1%グルコース 13. 3950+1%グルコース 14. 3950+5042+1%グルコース 15. 3950+16735+1%グルコース 16. B−ミルク

結果: 結果は、バチルス・プミルス株と一緒に培養した場合、ラクトコッカス・ラクティスは、僅かに早く酸性化することを示した。しかしながら、この影響は、S.サーモフィルス株の幾つかにおいて示されたもの程大きくはなかった(上記実施例参照)。

この実験においてラクトコッカス・ラクティスCHCC3949及びCHCC3950を選択した理由の一つは、B.プミルス株のタンパク質分解系が、増殖促進効果に寄与するという理論である。プロテイナーゼ陰性であるCHCC3949及びCHCC3950は、理論的には、他の試験されたラクトコッカス・ラクティス株(即ちCHCC2281、CHCC4427、CHCC9867)よりも、B.プミルスとの共培養から相対的に多くの利益を受ける筈である。

しかしながら、この実験において、CHCC3949及びCHCC3950の増殖は、他の試験されたラクトコッカス・ラクティス株と比較してそれほど促進されなかった。

実施例6:適切なバチルス株のスクリーニング−本発明の1段階発酵方法

この実施例において、LAB株単独の使用と比較して酸性化活性の改善が得られるバチルス細胞がスクリーニングされた。

1ml乳を入れた96ウェルプレート中でのスクリーニング S.サーモフィルス(ST)株CHCC12339(エキソ多糖類(EPS)生産株)が、スクリーニングのために選択された。

スクリーニングは、1mlの乳を入れた96ウェルプレート中で行われ、以下のバチルス種:バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アリアブハッタイ(Bacillus aryabhattai)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、バチルス・フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチロトロフィクス(Bacillus methylotrophicus)、バチルス・モヤウェンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サフェンシス(Bacillus safensis)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)、バチルス・シムプレクス(Bacillus simplex)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・テクイレンシス(Bacillus tequilensis)、及びバチルス・ヴァリスモルティス(Bacillus vallismortis)から選択される156種類の異なるバチルス株が試験された。

酸性化時間及びテクスチャーが測定された。テクスチャーは、TADM技術を用いて測定された。その結果は、大半のバチルス細胞が動作した、即ちそれらがLAB株単独の使用と比較して酸性化活性(速度)及びテクスチャーの改善をもたらしたことを実証した。特に、試験されたバチルス株の135個の株は、ST株単独と比較してより高い酸性化速度をもたらし、60個の株は、ST株単独と比較して改善されたテクスチャーを有した。ST自体による酸性化は緩慢で、pH6がpH4.5になるのに14時間掛かる。バチルスの添加は、最速の株でこの時間を2〜4時間に顕著に短縮した。

200ml容器の結果 評価された候補(96ウェルプレートスクリーニングから)を、乳を入れた200ml容器中で試験した。酸性化時間及テクスチャーを測定した。糖消費、低分子酸(small acid)及び揮発性物質の生産のために、試料を採取した。200ml容器は冷蔵庫中で4週間保存され;シネレシス、匂い及び揮発性物質が再び解析された。乳中のバチルスの増殖も追跡された。

せん断応力測定は、バチルス株CHCC15176が乳に添加された場合、Lb株単独の場合と比較して、Lb株CHCC12945のテクスチャーは75%高くなることを示した。大豆製品の納豆から単離したバチルス株は、Lb株単独と比較して、Lb株と組み合わせて40%高いテクスチャーを与えた。しかしながら、3つのST株は、ST株単独を乳に添加した場合と比較して、バチルスと共に添加した場合、テクスチャーはそれほど向上しなかった。CH−1及びSweetyの2つの異なるスターター培養物は、バチルスが乳に添加された場合、テクスチャーが23%増大することを示した。

LAB株及びバチルスによる乳中の酸性化は、LAB株単独よりも短時間で酸性化した。1mlスケールで、最良の組み合わせ(Lb CHCC12945とバチルス)において、pHが6から4.5になるのに6時間を要した。また、酸性化の早いST株CHCC15915は、バチルスと組み合わせて、酸性化時間が4.35時間から3時間に短縮した。200ml容器において、最良の組み合わせ(Lb CHCC12945及び納豆から単離されたバチルスCHCC18102)における酸性化時間の短縮は4時間であった。

乳中のバチルスの増殖が調査された。この計画で試験されたバチルス株は、LAB添加又は無添加の乳中で増殖しなかった。バチルスは増殖に酸素を要する。酸性化の標準的手順は、200ml容器中の200ml乳に細菌を播種することである。そして、その容器をウォーターバス中又はインキュベーター中に撹拌せず静置する。LAB株が存在する場合、バチルス栄養細胞がより早く減少する傾向が有った。乳中のバチルス株の大半は芽胞を生産したが、LABの存在によって芽胞形成も阻害された。

バチルスは、Lb CHCC12945及びCHCC12561の両方の増殖及び酸性化を、LAB株単独の場合と比較して増強した。LABの最終CFU/mlは、乳中のLAB株を単独で播種した場合と比較して倍増した。

上記結果を個別のLAB株についてまとめる。

Lb;CHCC12945 酸性化は、Lb発酵に添加された幾つかのバチルスよりも早かった。pHが6から4.5になる時間は、Lb単独において8時間であったのが最速の組み合わせにおいて2時間超にまで減少した。

ST2;CHCC12561(遅い) 酸性化;酸性化は、ST2自体において6時間であったのが、バチルスとST2の最良の組み合わせにおいて4時間に短縮された。

ST3;CHCC15915(早い) このST3による酸性化は、良好かつ滑らかな酸性化曲線を与えた。バチルスとの幾つかの組み合わせは、ST3単独と比較してpH6から4.5の酸性化がより早いようであった。

乳中のLAB株にバチルスを添加する効果を評価するため、試料中の糖、揮発成分及び低分子酸を測定した。バチルスを添加した場合としなかった場合との間で顕著な差はみられなかった。

発酵乳を保存容器中に入れて4週間冷蔵庫で保存した影響を評価するため、試料中の揮発成分を測定した。発酵乳の匂いは良好で、揮発成分プロフィールは保存1日後と比較して殆ど同じであった。要するに、バチルスを含有する発酵乳の保存の過程で、LABのみを添加した発酵乳と比較して異なる変化は無かった。

結論: この実施例の結果は、バチルスを含有する発酵乳の保存の過程で、LABのみを添加した発酵乳と比較して異なる変化は無いことを実証した。

従って、本発明の1段階発酵方法は、商業関連発酵乳製品をもたらす。上記のように、従来技術の2段階方法は、良好に動作しなかった。

全ての試験されたLAB株(1つのラクトバチルス(La)及び3つの異なるS.サーモフィルス(ST)株)において、少なくとも以下の異なるバチルス種:B.スブチリス、B.リケニフォルミス、B.プミルス、B.アミリオリケファシエンス、B.メガテリウム及びその他、から、適切に動作する候補が有った。

実施例7:異なる濃度のバチルス・プミルスCHCC16735を用いたS.サーモフィルスCHCC4460の増殖刺激−本発明の1段階発酵方法 S.サーモフィルスCHCC4460を2%ラクトースを添加した15mlのM17に播種し、37℃で一昼夜(ON)インキュベーションした。

バチルス・プミルスCHCC5042をBHIブロスに播種して、一昼夜37℃200rpmでインキュベーションした。

酸性化実験のため、15mlのCHC4460一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットを15mlのB−ミルク中に再懸濁した。

6mlのCHCC16735一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットを6mlのB−ミルク中に再懸濁した。

CHCC4460をB−ミルク中に単独で1%播種し、下記のスキームに従い異なる濃度のCHCC16735と共培養した。

CHCC16735の1%播種は、乳発酵の開始時にca. 6x106cfu/mlの濃度をもたらす。 1. 1%CHCC4460 2. 1%CHCC4460+1%CHCC16735 3. 1%CHCC4460+0.1%CHCC16735 4. 1%CHCC4460+0.01%CHCC16735 5. 1%CHCC4460+0.001%CHCC16735 6. 1%CHCC4460+0.0001%CHCC16735 7. B−ミルク対照

酸性化は、ウォーターバス中37℃でPCロガーを用いてpHを測定することにより一昼夜追跡された。

結果: 結果は図4に示す。1%及び0.1%の播種に対応するバチルス・スブチリスCHCC16735は、CHCC4460の酸性化活性の増大をもたらした。CHCC16735の播種パーセンテージが低い場合も、CHCC4460の増殖刺激をもたらさなかった。

結論: この実施例の結果は、本発明の方法の工程(a)の約6x105cfu/mlのバチルス細菌の乳への播種が適切に動作することを実証した。

約6x106cfu/mlのバチルス細菌を用いてより良好に動作した。

これらの結果に基づき、本発明の第一の側面の方法は、工程(a)においてバチルス細菌の播種量が約104cfu/ml未満であると、商業的に許容されるレベルで動作し得ないことが考えられる。

実際に、本発明の第一の側面の工程(a)において、105cfu/ml以上のバチルス細菌を使用するのがより好ましいようである。

実施例8:ST及びバチルスの前共培養 この実験において、上記実施例1と同様、同じバチルス・プミルスCHCC5042、CHCC16735及びS.サーモフィルスCHCC4460が使用された。

実施例1で論じたように、この実施例において、BHI中の一昼夜培養物を遠心分離し、ペレットを乳中に再懸濁した。

下記に論じるように、この実施例において、S.サーモフィルス株はB.プミルス株とプレインキュベーションされ、その後一昼夜培養物を乳に播種するための第二の工程に用いた。この一昼夜培養物はそのまま(遠心分離せず)用いられた。改善されたより急速なpHの低下がみられた。

S.サーモフィルス株CHCC4460を2%ラクトースを添加した15mlのM17に播種し、37℃で一昼夜(ON)インキュベーションした。

バチルス・プミルスCHCC5042及びCHCC16735をBHIブロスに播種して、一昼夜37℃200rpmでインキュベーションした。

M17+2%ラクトースに、CHCC4460の一昼夜培養物を0.5%、及びCHCC5042又はCHCC16735の一昼夜培養物を0.5%播種した。

共培養のインキュベーションは撹拌せず37℃一昼夜で行われた。

CHCC4460は、M17+2%ラクトース15ml中に凍結ストックから再び播種され、37℃で一昼夜インキュベーションされた。CHCC5042及びCHCC16735は、凍結ストックから10mlのBHIに再び播種され、37℃200rpm一昼夜でインキュベーションされた。

酸性化実験: 15mlのCHCC4460一昼夜培養物を遠心分離して、ペレットを15mLのB−ミルク中に再懸濁した。

6mlのCHCC5042及び6mlのCHCC16735の一昼夜培養物を遠心分離して、ペレットをそれぞれ6mLのB−ミルク中に再懸濁した。

2つの共培養物は遠心分離しなかった。それらはプレインキュベーションした共培養物から200mlのB−ミルク中に直接1%で播種された。

対照として、一昼夜培養物から200mlのB−ミルク中に直接1%播種された。

1. 一昼夜培養物から1%CHCC4460 2. 前共培養物から1%CHCC4460/CHCC5042 3. 前共培養物から1%CHCC4460/CHCC16735 4. 1%CHCC4460、遠心及び再懸濁 5. 1%CHCC4460+1%CHCC5042、いずれも遠心及び再懸濁 6. 1%CHCC4460+1%CHCC16735、いずれも遠心及び再懸濁 7. B−ミルク対照

結果: CHCC4460とCHCC5042/CHCC16735とのプレインキュベーションは、一昼夜培養物からCHCC4460を単独で播種した場合と比較して、酸性化活性が改善している。

遠心分離及びB−ミルクに再懸濁され、B−ミルク中に1%播種されたプレインキュベーションされた共培養物において、単一株の培養物として遠心分離及び乳中に再懸濁されたCHCC4460と比較して、酸性化活性も増大した。

一昼夜培養後のプレインキュベーション培養物CHC4460+CHCC16735において、9x104のバチルス細胞のタイターが測定された。この前培養の播種及び乳中への播種(発酵2日目)後、1x103のバチルス細胞のタイターが測定された。

結論: この実施例の結果は、更に、バチルスとLAB細胞の共培養の好ましい効果を実証した。培養前にバチルス細胞をS.サーモフィルスとプレインキュベーションしたものを乳への播種に用いる場合、播種のために共培養物を直接用いるか、又は共培養物を遠心分離し乳中に再懸濁したものを播種する(1日目の増殖培地からのキャリーオーバーを排除し得る)かに拘らず、酸性化活性の強力な増大が見られる。

実施例9:様々なバチルス株とS.サーモフィルスとの共発酵−本発明の1段階発酵方法 テクスチャーの相乗作用 日本の食品の納豆に由来するバチルス株を単離し、CHCC18102及びCHCC18103として寄託した。プレート上ではCHCC18102とCHCC18103は類似しており、グルタミン酸のポリマーであるγ−PGAの生産を誘導する。前記発想は、バチルス株が乳のテクスチャーに貢献し得るというものである。2つのバチルス株を、ST株(CHCC16404、緩慢に酸性化しグルコースを生産する)と共に乳中に播種した。両株を1%播種し、一昼夜培養した。24時間1mlのB−ミルク中で酸性化した後、Hamilton robotでのTADM技術を用いてテクスチャーを測定した。結果は、乳中のSTに2つのバチルス株が添加された場合テクスチャーが異なることを明確に示した。これは、これらの2つのバチルス株と共に乳を共酸性化することで、テクスチャーが明確に増大することを示す。

少量の培地中での増殖実験において、CHCC18102及びCHCC18103は、ラクトース又はグルコース上で増殖しなかった。これら2つの株をSweety STと共に乳中に添加したとき、排出されたグルコースは2つのバチルス株によって使用されなかった。バチルス株は増殖を示さなかったため、解析データ(低分子酸、揮発成分、糖)は、発酵乳中で生じた全ての化学成分及び代謝物に対して顕著な形で貢献しなかったことを示した。CHCC18102は、CHCC18103よりも大きくテクスチャーに貢献した。バチルス株がどうやって発酵乳のテクスチャーに貢献するかの疑問は残る。

我々は、テクスチャーの増大は、γ−PGA、バイオフィルムを生産する、又はSTの酸性化及び増殖を増強する、バチルスの能力によるものと予想している。

乳における酸性化の相乗作用 乳における酸性化は、より早い酸性化が発酵乳生産の生産者にとって時間の節約となり、又は同じ活性を有するより少ない細菌を販売できるため、重要な要素である。0.024%スターター培養物(CHCC16404、ST−16731、ST−15757及びLBAbu16159を含有する)と一緒に乳中に異なるバチルス株を添加(OD0.02)したところ、4つの株における酸性化において、有益な効果が見られた。酸性化は低温で開始され、これは長い酸性化時間を説明する。

重要な時点は「pH4.55に達する時間」である。CHCC18102及びCHCC18103のいずれのバチルス株も、スターター培養物単独よりも早くpH4.55に達した。最も早いCHCC18102を用いた培養は、純粋なスターター培養の45分前にpH4.55に達した。CHCC18103及びCHCC15146を用いた培養は、純粋なスターター培養の25分前にpH4.55に達した。CHCC15396を用いた培養は、純粋なスターター培養の15分前にpH4.55に達した。これは、様々なバチルス株が、酸性化に関してスターター培養物に有益であり得ることを示した。

他の実験において、生乳から単離したバチルス株B.プミルスA650−3は、異なるST生産株の酸性化活性を刺激できた。ST株及びB.プミルス株は、一昼夜培養物から1%播種された。

ビタミンK バチルス・スブチリス「ナット」はビタミンKを生産し、日本の大豆食品の納豆を発酵させるものとして知られている。この実験において、200mlの乳にST株(CHCC16404、テクスチャー実験と同一)の存在下又は非存在下、納豆から単離したバチルス株を播種し、24時間37℃でインキュベーションした。その結果、両バチルス株は、ST株の存非に拘らずビタミンKを生産し得ることを示した。そのレベルは、CHCC18102において6−7μg/100ml発酵乳、CHCC18103において〜9 μg/100ml発酵乳であった。表5を参照されたい。バチルス株は主にMK−4及びMK−7を生産したが、少量のK1も生産した(MK−4、MK−7及びK1はビタミンKの異なる種類である)。ST株は、ビタミンKレベルに貢献しなかった。

結論: 2つの納豆バチルス株とS.サーモフィルス(ST)の共インキュベーションから興味深い結果が得られた: −6−9μg/100ml発酵乳のビタミンK生産 −発酵乳中のテクスチャー性能の増大(TADM値−5500Pa対−12000Pa) −酸性化速度(pH4.55に達する時間)の増大

B.プミルス株が、単独では乳を酸性化しないが、ST CHCC4895の増殖を顕著に促進することが示された。

参考文献 1. US2009/0011081A1. 2. US5077063. 3. CN103300147A. 4. ROSSLAND, E., LANGSRUD, T. and SORHAUG, T., 2005. Influence of controlled lactic fermentation on growth and sporulation of Bacillus cereus in milk. International journal of food microbiology, 103(1), pp. 69−77. 5. The European Union (EU) European Food Safety Authority (EFSA) Panel on Biological Hazards (BIOHAZ) Scientific Opinion on the maintenance of the list of QPS biological agents intentionally added to food and feed (2013 update). The citation reference is “EFSA Journal 2013;11(11):3449 [108 pp.]. doi:10.2903/j.efsa.2013.3449” and at the filing date of the present application it could be downloaded via following link: http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/3449.pdf

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