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TSLP又はIL−25を産生するラクトコッカス・ラクティス、並びにプロバイオティクス及び治療薬としてのそれらの使用

申请号 JP2017553957 申请日 2016-04-12 公开(公告)号 JP2018512159A 公开(公告)日 2018-05-17
申请人 アレス トレーディング ソシエテ アノニム; 发明人 フィリップ ランジェラ; ジャン−マルク シャトル; ルイス ベルムデス−フマラン; カミーユ オブリー; ローランス ゴファン; ジモーネ ファブレ−ツィンメルリ; ヨランド フバフコ;
摘要 本発明は、TSLP若しくはIL−25又はその組み合わせを発現及び分泌する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌、並びに、特に 炎症 性疾患及び障害の処置に使用するための、プロバイオティクス又は治療薬としてのそれらの使用に関する。
权利要求

胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)及びインターロイキン−25(IL−25)から成る群から選択されるサイトカインをコードする異種ヌクレオチド配列を含む発現カセットを含む、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。前記サイトカインをコードする異種ヌクレオチド配列が、ラクトコッカス・ラクティスのGroESLオペロンのプロモーターの制御下にある、請求項1に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。前記発現カセットが、細胞外アドレッシングペプチド、特にラクトコッカス・ラクティスのExp4タンパク質のペプチドシグナル、をコードするヌクレオチド配列を更に含む、請求項1又は2に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。前記TSLPがヒトのものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。前記IL−25がヒトのものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。プロバイオティクスとして又は抗炎症剤として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌を含む医薬組成物又はプロバイオティクス組成物。前記組成物が、TLSPを分泌することができる遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌、及び/又はIL−25を分泌することができる遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌を含む、請求項7に記載の医薬組成物又はプロバイオティクス組成物。前記組成物が、追加の有効成分、例えば抗炎症剤又は免疫調節性薬剤などの薬剤、を更に含む、請求項7又は8に記載の医薬組成物又はプロバイオティクス組成物。請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌、又はその組み合わせ、好ましくは乳製品、を含む食品組成物。炎症状態の予防又は処置に使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌又はその組み合わせ。前記炎症状態が、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性大腸炎、空置性大腸炎、回腸嚢炎、壊死性腸炎、及び過敏性腸管症候群から成る群から選択されるものなどの腸の炎症状態である、請求項11に記載の使用のための遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。経口投与を意図した、請求項11又は12に記載の使用のための遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。炎症の早期に投与することを意図した、請求項11〜13のいずれか1項に記載の使用のための遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。1週間未満の期間中、1日に1回又は2回投与されることを意図した、請求項11〜14のいずれか1項に記載の使用のための遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌。

说明书全文

本願は、生物学及び医療分野に関連する。より具体的には、治療薬として、特に抗炎症剤として使用するためのサイトカインを産生する遺伝子組み換え細菌に関する。

クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)を含めた炎症性腸疾患(IBD)は、140万人のアメリカ人を襲い、世界的には、有病率は100000人に396人である。発生率と有病率は、それほど影響を受けなかった人を含めて、世界の様々な地域で増大している。 その症状(下痢症状、腹痛、体重減少)のため、IBDは、身体機能を奪う疾患であるとみなされる。患者は、乾癬、癌又は関節炎のような他の炎症性又は非炎症性疾患を発症するより高いリスク因子を有する。今までのところ、その疾患に対する治療的処置は存在しない。

最も効果的な処置は、TNF−αを標的とした組み換え抗体(インフリキシマブ)の注射であるが、60%が早期応答者(primary responders)であっても、これが、1年間の処置後に寛解状態になるのが25〜40%まで低下する。IBDの最後の解決策は、腸の炎症を起こしている部分を取り除く外科手術である。しかし、外科手術は、短腸症候群として重症合併症に至る可能性があり、再発も頻繁に起こる。まとめると、これがIBDを先進国の重大な健常問題の1つにしているので、革新的な治療薬又は治癒ストラテジーの開発は重要である。

疾患の症状を緩和するのに役立つものを探索する方法の1つは、遺伝子組み換え乳酸菌(LAB)による抗炎症性分子の送達である。最近、プロテアーゼ・インヒビターElafinを発現しているLABを摂取させたマウスが、腸の炎症に対して保護されたことが示された。LABは、食料保存のために数千年間にわたり使用され、活性分子を送達する有望なビヒクルであると考えられる。それらは、世界保健機構によって安全であると認識され、いくつかの株は抗炎症特性を有する可能性がある。

ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)は、発酵乳製品の製造において最も幅広く使用されており、乳酸菌(LAB)であり、更に、多くの遺伝的手段が開発され、且つ、その完全ゲノムが完全に配列決定されたので、モデルLABとみなされている(Bolotin, Wincker et al. 2001, Genome Res, 11, 731-753)。よって、この食品グレードのグラム陽性菌は、粘膜免疫系に対する治療用タンパク質を産生し、そして、送達するための優れた候補の典型である。ここ10年間で、斯かるタンパク質を粘膜免疫系に送達する生きた遺伝子組み換えラクトコッカスの可能性が、幅広く調査されてきた(Steidler, Robinson et al. 1998, Infect Immun, 66, 3183-3189; Bermudez-Humaran, Cortes-Perez et al. 2004, J Med Microbiol, 53, 427-433; Hanniffy, Wiedermann et al. 2004, Adv Appl Microbiol, 56, 1-64; Wells and Mercenier 2008, Nat Rev Microbiol, 6, 349-362; Bermudez-Humaran, Kharrat et al. 2011, Microb Cell Fact, 10 suppl 1, S4)。このアプローチは、簡単な投与や、全身及び粘膜免疫応答の両方を誘発する能など、従来の全身投与を越えるいくつかの利点を提供する(Mielcarek, Alonso et al. 2001, Adv Drug Deliv Rev, 51, 55-69; Eriksson and Holmgren 2002, Curr Opin Immunol, 14, 666-672)。

生物学的活性分子を分泌するL.ラクティスの使用の早期研究は、マウスインターロイキン−2(IL−2、炎症誘発性サイトカイン)(Steidler, Robinson et al. 1998、前掲)を用いて実施された。この先駆的な仕事で得られた有望なデータは、粘膜及び全身性反応が、モデル抗原Tetanus Toxin Fragment C(TTFC)を伴ったmuIL−2又はmuIL−6(別の炎症誘発性サイトカイン)のいずれかの同時発現(及び分泌)によって促進され得るか否か、更に調査するように研究者を刺激した(Steidler, Robinson et al. 1998、前掲)。L.ラクティスのTTFC発現菌株を用いて免疫されたマウスと比較して、抗TTFC血清反応ピークは、TTFCを発現するL.ラクティス菌株及びmuIL−2又はmuIL−6のいずれかを発現するL.ラクティスを用いて同時免疫したマウスにおいて10〜15倍高かった。これは、LABを使用して生物学的活性サイトカインを粘液に送達できる最初の実例になった。よって、研究室では、L.ラクティス菌株が粘膜表面(例えば、気道又は消化粘液)にてその場で生物学的活性muIL−12(LL−muIL12)を送達できることを報告した。IL−12は、Tヘルパー1(TH1)細胞及びインターフェロン−γ(IFN−γ)産生を引き起こし、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の成熟を進め、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を促進して、そして、接種抗原と共に同時送達されるとアジュバント特性を備える強力な多機能サイトカインである。特に、我々は、LL−muIL−12が首尾よく使用された3種類のモデル:(1)アジュバントとして、ヒトパピローマウイルス16型(HPV−16)に対する粘膜ワクチン接種に関連したアジュバントとして(Bermudez-Humaran, Langella et al. 2003, Infect Immun, 71, 1887-1896; Bermudez-Humaran, Cortes-Perez et al. 2004、前掲; Adel-Patient, Ah-Leung et al. 2005, Cin Exp Allergy, 35, 539-546)、(2)オボアルブミン(OVA)誘発喘息モデルにおいてTH1/TH2バランスを調節するために(Wu, Yang et al. 2006, Int Immunopharmacol 6, 610-615)、及び(3)乳アレルゲンβ−ラクトグロブリン(BLG)に対するアレルギー反応を予防するために(Adel-Patient, Ah-Leung et al. 2005、前掲; Cortes-Perez, Ah-Leung et al. 2007, Clin Vaccine Immunol 14, 226-233)、を使用した。

しかしながら、依然として、抗炎症剤として使用できる新しいLABが大いに必要とされている。

本発明は、例えばストレス誘導制御型システム(SICE)発現系を使用してインターロイキン25(IL−25)又は胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)のいずれかを発現する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌に関する。本明細書中に開示する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、生物学的活性型で両方のサイトカインを効率的に発現及び分泌できる。本発明者らは、IL−25(LL−IL−25)又はTSLP(LL−TSLP)のいずれかを発現する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌が炎症を軽減するできることを示した。そのため、本発明は、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌に関し、ここで、該細菌は、胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)及びインターロイキン−25(IL−25)から成る群から選択されるサイトカインをコードする異種ヌクレオチド配列を含む発現カセットを備えている。その異種ヌクレオチド配列は、ラクトコッカス・ラクティスのGroESLオペロンのプロモーターの制御下で発現され得る。好ましくは、その発現カセットは、細胞外アドレッシングペプチドをコードするヌクレオチド配列、特にラクトコッカス・ラクティスのExp4タンパク質のペプチドシグナルを更に含む。TSLP又はIL−25がヒトのものであることがより好ましい。

本発明は更に、プロバイオティクスとして又は抗炎症剤として使用するために本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌に関する。 加えて、本発明は、本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌を含む医薬、動物用、又はプロバイオティクス組成物に関する。ある実施形態において、組成物は、TLSPを分泌できる遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌、及び/又はIL−25を分泌できる遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌を含む。任意選択で、組成物は更に、追加の有効成分、例えば抗炎症剤又は免疫調節性薬剤などの薬剤を含んでもよい。 本発明は、本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌又はそれらの組み合わせを含む食品組成物、好ましくは乳製品に関する。

最後に、本発明は、炎症状態の予防又は処置に使用するための本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌又はそれらの組み合わせに関する。炎症状態の治療薬の製造に使用するための本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌又はそれらの組み合わせにも関する。それは、それを必要としている対象の炎症状態を処置するために方法であって、本明細書中に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌又はそれらの組み合わせの治療上有効な量を投与することを含む方法に関する。好ましくは、その炎症状態は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性大腸炎、空置性大腸炎、回腸嚢炎、壊死性腸炎、及び過敏性腸管症候群から成る群から選択される炎症状態などの腸炎症状態である。好ましくは、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、経口投与が意図される。好ましい実施形態において、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、炎症の早期において投与されることが意図される。好ましくは、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、1週間未満の期間中、1日に一度又は二度投与されることが意図される。

プラスミドを含有する菌株のために0.5%のグルコース及び10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地におけるL.ラクティス野性型(NZ9000)、L.ラクティスpNis−IL−25、L.ラクティスpNis−IL25−His、L.ラクティスpNis−TSLP、及びL.ラクティスpNis−TSLP−Hisの細菌増殖曲線。

10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したMRS培地におけるL.カゼイpNis−空(empty)、L.カゼイpNis−IL−25、及びL.カゼイpNis−TSLPの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、0.1、1、5又は10ng/mLのナイシンを補充したM17培地におけるL.ラクティスpNis−空の細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、0.1、1、5又は10ng/mLのナイシンを補充したM17培地におけるL.ラクティスpNis−IL−25の細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、0.1、1、5又は10ng/mLのナイシンを補充したM17培地におけるL.ラクティスpNis−IL−25−Hisの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、0.1、1、5又は10ng/mLのナイシンを補充したM17培地におけるL.ラクティスpNis−TSLPの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、0.1、1、5又は10ng/mLのナイシンを補充したM17培地におけるL.ラクティスpNis−TSLP−Hisの細菌増殖曲線。

10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、1、10、15、20又は25ng/mLのナイシンを補充したMRS培地におけるL.カゼイpNis−空の細菌増殖曲線。

10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、1、10、15、20又は25ng/mLのナイシンを補充したMRS培地におけるL.カゼイpNis−IL−25の細菌増殖曲線。

10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、1、10、15、20又は25ng/mLのナイシンを補充したMRS培地におけるL.カゼイpNis−IL−25の細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース及び10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地におけるL.ラクティス野性型(MG1363)、L.ラクティスpGroEL−IL−25、pGroEL−IL25−His、pGroEL−TSLP、及びpGroEL−TSLP−Hisの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコールを補充し、及び2.5%のNaClを補充した又は補充していないM17培地におけるL.ラクティスpGroEL−Nuc及びL.ラクティスpGroEL−IL−25の細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、1、1.5、2、2.5、3又は3.5%のNaClを補充したM17培地におけるL.ラクティスpGroEL−IL−25の細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコールを補充し、及び2,5%NaClを補充した又は補充していないM17培地におけるL.ラクティスpGroEL−Nuc及びL.ラクティスpGroEL−TSLPの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコール及び0、1、1.5、2、2.5、3又は3.5%のNaClを補充したM17培地におけるL.ラクティスpGroEL−TSLPの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地における、30℃、37℃又は40℃でのL.ラクティスpGroEL−Nuc、L.ラクティスpGroEL−IL−25、及びL.ラクティスのpGroEL−IL−25−Hisの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地における、30℃、37℃、40℃又は43℃でのL.ラクティスpGroEL−Nuc及びL.ラクティスpGroEL−TSLPの細菌増殖曲線。

0.5%のグルコース、10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地における、pH7又はpH5.2でのL.ラクティスpGroEL−Nuc及びL.ラクティスpGroEL−TSLPの細菌増殖曲線。

L.ラクティスpNis−IL−25及びL.ラクティスpNis−Nuc菌株のナイシン誘導(0、1又は10ng/mL)培養物からの上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

L.ラクティスpNis−IL−25−His及びL.ラクティスpNis−Nuc菌株のナイシン誘導(0、1又は10ng/mL)培養物からの細菌細胞溶解物(C)又は上清画分(S)サンプル中のIL−25−Hisのウエスタンブロットによる検出。

L.ラクティスpNis−TSLP及びL.ラクティスpNis−Nuc菌株のナイシン誘導(0、1又は10ng/mL)培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

L.カゼイpNis−IL−25及びL.カゼイpNis−Nuc菌株のナイシン誘導(0、1又は10ng/mL)培養物からの上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

L.カゼイpNis−TSLP及びL.カゼイpNis−Nuc菌株のナイシン誘導(0、1又は10ng/mL)培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

L.ラクティスpNis−IL−25及びL.ラクティスpNis−Nuc培養物からの上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

L.ラクティスpNis−TSLP及びL.ラクティスpNis−Nuc培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

L.ラクティスpNis−IL−25のNaClストレス(2.5%)誘導培養物からの上清画分中のIL−25のELISA(eBioscience)による検出。

L.ラクティスpGroEL−IL−25菌株のNaCl誘導(0、1、1.5、2、2.5、3又は3.5%)培養物からの上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

L.ラクティスpGroEL−IL−25及びNaCl誘導(0、1、1.5、2、2.5、3又は3.5%)後の上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

L.ラクティスpGroEL−TSLP菌株のNaCl誘導(0、1、1.5、2、2.5、3又は3.5%)培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

ヒートショック誘導(30℃、37℃、40℃又は43℃)L.ラクティスpGroEL−IL−25及びL.ラクティスpGroEL−IL−25−His培養物からの上清画分中のIL−25のELISAによる検出。

ヒートショック(30℃、37℃又は40℃)L.ラクティスpGroEL−TSLP培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

L.カゼイpDnaK−IL−25及びL.カゼイpDnaK−Nuc培養物からの上清画分中のTSLPのELISAによる検出。

市販のIL−25(0、1、2.5、5、10又は20ng/mL)、L.ラクティスpGroEL−IL−25(10ng/mL)の濃縮上清からのIL−25又はL.ラクティスpGroEL−Nuc(陰性対照)の濃縮上清からの等量のタンパク質で刺激した脾細胞上清中のIL−5のELISAによる検出。

市販のIL−25(0、1、2.5、5、10又は20ng/mL)、L.ラクティスpGroEL−IL−25(10ng/mL)の濃縮上清からのIL−25又はL.ラクティスpGroEL−Nuc(陰性対照)の濃縮上清からの等量のタンパク質で刺激した脾細胞上清中のIL−13のELISAによる検出。

市販のTSLP(0、5、10、50又は100ng/mL)、L.ラクティスpGroEL−IL−25(5又は10ng/mL)の濃縮上清からのIL−25又はL.ラクティスpGroEL−Nuc(陰性対照)の濃縮上清からの等量のタンパク質で刺激した、LPS刺激BMDCs上清中のIL−12のELISAによる検出。

LL−TSLP誘導TGF−β分泌物の経口投与。マウスに、5日間連続してLL−TSLP又はLL−wtを経口的に投与し、その後、屠殺した。TGF−β(A)、IL−25(B)、IFN−γ(C)、及びIL−17(D)の濃度は、MLNからの抗CD3及び抗CD−28活性化細胞の上清中で計測された。

マウスの急性DSS誘導炎症に対するLL−TSLPの経口投与の効果。マウスに、DSS処置の5日前に試験終了まで、LL−WT又はLL−TSLPを経口的に投与した。体重変化(A)及び疾患活動性指数(B)は、全DSS処置期間の間、観察された。(C)結腸部分の組織学的スコア、(E)結腸洗浄液中のIFN−γ及び(F)MLNからの活性化細胞の上清中のTGF−β濃度。

マウスのDSS回復大腸炎モデルに対するLL−TSLPの経口投与の効果。マウスに、DSS処置の5日前に試験終了までLL−WT又はLL−TSLPを経口的に投与した。DSS処置後に、マウスを5日間、回復させた。体重変化(A)及びDAI(B)が、DSS誘導大腸炎相、並びに続く5日間の回復中に観察された。

短期、且つ、早期LL−TSLP投与が、DSS誘導大腸炎中の炎症を軽減した。(A)細菌投与プロトコールの略図。(B)体重変化。(C)LL−WT、LL−TSLP又はLL TSLPフェーズ1で処置されたマウスのDAI。(D)組織学的スコア。MLNからの抗CD3及び抗CD−28活性化細胞の上清中の(E)TGF−β及び(F)IL−17の濃度。

4日間の大腸炎後のLL−TSLPの作用。(A)大腸炎プロトコールの略図。LLWT又はLL TSLPを給餌したマウスの(B)MLNのCD4+集団中のCD25+FoxP3+のパーセンテージ、(C)体重変化及び(D)DAI。

発明の詳細な説明 第一の目的において、本発明は、胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)及びインターロイキン−25(IL−25)から成る群から選択されるサイトカインをコードする異種ヌクレオチド配列を含む遺伝子組み換え又は遺伝子操作されたラクトコッカス・ラクティス細菌に関する。

ラクトコッカス・ラクティス細菌は優れたグレードの細菌であり、その結果、USA及び欧州共同体において、それぞれGRAS(Generally Recognized As Safe)及びQPS(Qualified Presumption of Safety)の立場によって承認された完全な安全プロファイルを有する。斯かる細菌は、良好な健常状態及び満足すべき生活状態、又は疾患の予防に関わる主張を有する機能性食品又は食品添加物の状態で安全に存在し得る。

好ましくは、ラクトコッカス・ラクティス細菌は、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(ctemoris)(A76、GE214、HP、IBB477、KW2、MG1363、HB60、HB61、HB63、NBRC100676、NZ9000、SK11、TIFN1、TIFN3、TIFN5、TIFN6、TIFN7、DSM14797、CNCM I−2807、DN030066(CNCM I−1631)、DN030087(CNCM I−2807)、CNCM I−1631、NCC2287(CNCM I−4157)又はUC509.9を含む)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス(1AA59、A12、CNCM I−1631、CV56、Delphy1、Il1403、IO−1、DPC3901、LD61、TIFN2、TIFN4、NBRC100933とも呼ばれるJCM5805、JCM7638、K214、KF147、KLDS4.0325、NCDO2118又はYF11を含む)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ホルドニアエ(hordniae)(NBRC100931などの)又はラクトコッカス・ラクティス亜種トゥクテ(tructae)の中で選択される細菌から調製される。好ましくは、ラクトコッカス・ラクティス細菌は、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス及びラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス、特にラクトコッカス亜種ラクティスbvジアセチラクティスから選択される。

特定の実施形態において、ラクトコッカス・ラクティス細菌は、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス、好ましくはMG1363(GenBank NC_009004)から調製される。

本発明の遺伝子組み換え又は遺伝子操作されたラクトコッカス・ラクティス細菌は、TSLP及びIL−25から成る群で選択されるサイトカインを発現及び分泌することができる。そのため、その細菌は、サイトカインをコードするヌクレオチド配列を含む発現カセットを備えている。そのサイトカインを発現するヌクレオチド配列は、ラクトコッカス・ラクティスのGroESLオペロンのプロモーター制御下にあり得る。斯かる発現系は、WO2013/175358に詳細に開示され、そして、その開示を参照によって本明細書中に援用する。特に、プロモーター配列は、配列番号1〜4のうちのいずれか1つ、好ましくは配列番号1、又はこれらの配列の1つと少なくとも90%、95%、又は99%の同一性を有する配列の中から選択され得る。

「サイトカインをコードする異種ヌクレオチド配列」とは、ラクトコッカス・ラクティスで天然に生じる配列でないヌクレオチド配列、及び/又はラクトコッカス・ラクティスのGroESLオペロンのプロモーターに機能を果たすように連結された天然で見られない配列を意味する。第一の態様において、サイトカインはTSLP(Homologene: 81957)である。好ましくは、サイトカインは、参照データベース:HGNC:30743;Entrez Gene:85480;UniProtKB:Q969D9;NP_149024;NM_033035で開示されたヒトTSLPである。ヒトTSLPのアミノ酸配列は、配列番号5に示されている。任意選択で、コードされているTSLPは、そのシグナルペプチドを欠くTSLPである。例えば、ヒトTSLPでは、シグナルペプチドは、配列番号5の1〜29位に位置している。そのため、コードされているTSLPは、配列番号5の30位で始まり末端に至るまでのアミノ酸配列であり得る。細菌での発現のため、シグナルペプチドは、メチオニンによって置換されてもよい。或いは、動物向けの使用が企図される場合、処置されるべき動物のTSLP配列が使用される。任意選択で、TSLPは、1〜10個のアミノ酸の置換、欠失又は付加など又は切断などのいくつかの修飾を有するTSLP変異型を含んでもよい。変異型の例は、WO2002/00724で開示されている。

第二の態様において、サイトカインはIL−25(Homologene:15429)である。好ましくは、サイトカインは、参照データベース:HGNC:13765;Entrez Gene:64806;UniProtKB:Q9H293;NP_073626;NM_022789で開示されたヒトIL−25である。ヒトTSLPのアミノ酸配列は、配列番号6に示されている。任意選択で、コードされているIL−25は、そのシグナルペプチドを欠くIL−25であり得る。例えば、ヒトIL−25では、シグナルペプチドは、1〜32位に位置している。そのため、コードされているIL−25は、配列番号6の33位で始まり末端に至るまでのアミノ酸配列であり得る。加えて、コードされているIL−25は、1〜18残基がMYによって置換された(配列番号7に示された)アイソフォーム2であってもよい。細菌での発現のため、シグナルペプチドがメチオニンによって置換されてもよい。或いは、動物向けの使用が企図される場合、処置されるべき動物のIL−25配列が使用される。任意選択で、IL−25は、1〜10個のアミノ酸の置換、欠失又は付加など又は切断などのいくつかの修飾を有するIL−25変異型を含んでもよい。

サイトカインをコードするヌクレオチド配列は、任意の好適な遺伝コードも使用してもよく、天然に存在するコード配列であってもよい。或いは、コード配列は、ラクトコッカス・ラクティス細菌向けに最適化されてもよい。 加えて、発現カセットは、好ましくは、細胞外アドレッシングペプチドをコードするヌクレオチド配列を更に含む。例えば、細胞外アドレッシングペプチドは、特に配列番号8で開示した、ラクトコッカス・ラクティスのExp4タンパク質のシグナルペプチドである。細胞外アドレッシングペプチドをコードするヌクレオチド配列は、細胞外アドレッシングペプチド及びサイトカインを含むタンパク質融合体の産生を引き起こすようにサイトカインをコードする配列に機能を果たすように連結される。任意選択で、細胞外アドレッシングペプチドは、サイトカインのシグナルペプチドを置換しても、又はサイトカインにただ付加されてもよい。

サイトカインをコードする発現カセットは、ラクトコッカス・ラクティス染色体内に組み込まれても、又は(すなわち、プラスミドの)エピソーム形態で維持されてもよい。 任意選択で、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、一方がTSLP及びもう片方がIL−25の、2個の発現カセットを備えていても、又は両方のサイトカインを発現する発現カセットを備えていてもよい。 遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、ラクトコッカス・ラクティス細菌、特に先に開示したもの、に先に開示した発現カセットを導入することによって得られる。

特定の実施形態において、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、寄託番号CNCM I−4971(IL−25用)及びI−4972(TSLP用)で、2015年4月14日に25 rue du Docteur Roux, 75724 Paris, Cedex 15, FranceのCNCM(Collection Nationale de Culture de Miroorganismes)に寄託された2種類の菌株のうちの1つである。加えて、遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、そのサイトカインのヒト配列で、これらの菌株の1つマウス配列を置換することによって調製されてもよい。

本発明はまた、プロバイオティクスとして、先に開示した遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティスを使用することにも関する。従って、それは、健常対照の炎症、特に腸炎症を要望するのに使用され得る。本発明は、TSLPを産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、IL−25を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、TSLP及びIL−25の両方を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、又はTSLPを産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス及びIL−25を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティスの組み合わせを含む食品組成物に関する。 或いは、本発明の遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌は、薬剤として、特に抗炎症剤として、使用するためのものであり得る。

本発明は、医薬組成物又は動物用組成物に関する。本発明による組成物は、TSLPを産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、IL−25を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、TSLP及びIL−25の両方を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス、又はTSLPを産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス及びIL−25を産生する遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティスの組み合わせを含み得る。好ましくは、その組成物は、効果的な量の細菌、特に治療上有効な量の細菌を含む。特に、治療上有効な量は、炎症性の状況が予防されるか又は回復する、炎症の進行が遅くなるか又は遮断される、及び炎症症状が緩和されるような量である。例えば、その組成物は、少なくとも1×106コロニー形成単位(CFU)、好ましくは少なくとも1×107CFU、より好ましくは少なくとも1×108CFU、例えば1×107CFU〜1×1011CFUの細菌を含んでいる。

任意選択で、その組成物は、追加の有効成分を更に含んでもよい。その追加の有効成分は、別の細菌であり得る。その追加の有効成分はまた、抗炎症剤、免疫調節性薬剤などの薬剤であり得る。より詳細に、且つ、包括的ではなく、その追加の薬剤は、コルチコステロイド、スルファサラジン、スルファサラジンの誘導体、免疫抑制剤、シクロスポリンA、メルカプトプリン、アザチオプリン、抗生物質、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬、例えば腫瘍壊死因子−α拮抗薬、IL−10、IL−27、又はIL−35などの中から選択され得る。

本発明は、本発明による遺伝子組み換えラクトコッカス・ラクティス細菌、又は炎症状態の予防又は処置に使用するための、先に開示した医薬組成物に関する。その炎症性疾患は、敗血症などの急性炎症;熱傷;及び慢性炎から成る群から選択され得る。その炎症性疾患は、腸(例えば、小児脂肪便症、憩室炎、及び盲腸を含む)、胃、肝臓、膵臓若しくは腹膜、又は胃腸管若しくは消化器系の他の組織の炎症状態に関する可能性もある。斯かる他の状態は、口腔、食道、膵臓、膵管、肝臓、胆嚢、十二指腸、胆管、小腸(回腸)、大腸(結腸)、盲腸、虫垂、又は直腸の炎症状態を含み得る。本発明の方法、組成物、及びキットによって処置可能であり得る胃腸系を冒す具体的状態は、例えば憩室炎(憩室症から進行した、特に大腸に見られる一般的な消化器系の疾患であり、結腸の外側に炎症を起こした袋(憩室)の形成を伴う)、小児脂肪便症(グルテンタンパク質に対して発症する自己免疫反応によって引き起こされる幼年中期から全年齢の遺伝的に発症しやすい人々に起こる小腸の自己免疫疾患)、盲腸(虫垂炎を特徴とする状態)、胃腸炎(胃腸管の炎症であって、胃と小腸の両方に関係し、且つ、急性下痢症を生じ、そしてそれが、多くの場合、特定のウイルスの感染によって引き起こされ、頻度は低いが、細菌、それらの毒素、寄生生物、又は食事若しくは薬物療法の何かに対する有害反応によって引き起こされる)、膵炎(様々な原因による慢性又は急性膵臓炎)、又は消化性潰瘍疾患を含み得る。

好ましい実施形態において、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性大腸炎、空置性大腸炎、回腸嚢炎;壊死性腸炎;過敏性腸管症候群;UV又は化学誘導皮膚炎症などの皮膚炎、湿疹、皮膚過敏症;眼の炎症;アレルギー、喘息;肥満に関連した炎症;加齢性軽度炎症、及びその組み合わせの中から選択される炎症性疾患である。その炎症性疾患はまた、炎症性呼吸器系疾患、炎症性関節病、及び炎症性泌尿生殖器疾患に関する炎症状態でもあり得る。炎症性呼吸器系疾患としては、嚢胞性繊維症、喘息、及びCOPD(慢性閉塞性疾患)が挙げられる。

本明細書中に使用される場合、「処置」又は「処置すること」という用語は、任意のプロセス、動作、適用、治療法、又は同様のものを含み、ここで、ヒトを含めた対象(又は患者)に、直接的又は間接的に対象の状態を改善するか、或いは対象の状態又は疾患の進行を遅くするか、或いは処置下の疾患又は障害の少なくとも1つの症状を改善する目的で作用物質又は組成物(又は本発明の作用物質を発現する遺伝子組み換え生物体)を提供するか又は投与する。 本発明の組成物は、任意の種類の組成物であってもよい。その組成物は、例えば、経口的、腸内、腟内、直腸内、局所又は眼に投与されてもよい。例えば、それは、医薬組成物、栄養補給食品、食品添加物、化粧用組成物、ペットフード、食品、又は飲料であってもよい。

本発明による組成物は、経口投与が意図されるのが好ましい。例えば、組成物は、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル剤又は散剤の形態で存在し得る。任意選択で、それは、飲料、例えば、乳飲料又は非乳飲料、の形態で存在し得る。或いは、本発明による組成物は、直腸投与が意図される。直腸投与は、坐剤、浣腸剤又はフォームの形態でおこなわれ得る。 処置されるべき対象は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。それは、幼児、小児、成人又は高齢者であり得る。

本発明の組成物は、1日に1回、2回、3回又は4回投与され得る。好ましくは、それは、1日1回又は2回、より好ましくは1回投与される。加えて、それは、毎日、2日毎、3日毎、1週間に1回又は2回投与され得る。処置の期間は、短いことも又は長いこともあり得る。短期間では、1週間未満、例えば、3、4、5又は6日間が意図される。長期間では、1週間超の期間、例えば、2、3又は4週間が意図される。好ましい実施形態において、組成物は、1週間未満の期間、1日に1回又は2回投与される。組成物は、複数の期間、好ましくは、2つの処置期間の間に休息期間をおいて、投与され得る。

組成物は、予防的治療として、すなわち、炎症性事象の出現前に、投与され得る。或いは、それは、炎症の早期、例えば、(単数若しくは複数の)最初の症状が現れてすぐに、投与され得る。加えて、それはまた、炎症の急性期中にも投与され得る。最後に、それは、炎症後に回復期中に投与され得る。それはまた、それらの相の組み合わせ中にも投与され得る。好ましい実施形態において、それは、炎症の早期に、1週間未満の期間中に1日に1回又は2回投与され得る。

上記の開示は、本発明を大まかに説明する。例示だけを目的として提供されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない以下の具体例の参照によって、より完全な理解を得ることができる。

概要 IL−25及びTSLPは、Tヘルパー2型(Th2)応答にかかわる、上皮細胞によって主に分泌される2種類のサイトカインである。化学的に誘導したマウス大腸炎モデルにおいてこれらの2種類のサイトカインの影響を試験するために、数種類の遺伝子組み換え乳酸菌(LAB)を構築した。 発明者らは、2つの異なった発現系:ナイシン誘導性制御系(NICE)及びストレス誘導性制御系(SICE)を使用して、インターロイキン25(IL−25)及び胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)サイトカインのいずれかを発現するラクトコッカス・ラクティス及びラクトバチルス・カゼイ(周知の2種類のLAB菌株)の様々な組み換え菌株を構築した。加えて、彼らはまた、これらの2種類のサイトカインのHis−タグ付与形態を発現する遺伝子組み換えLAB菌株を構築した。

遺伝子組み換えLABの正常な成長を一旦確認すると、発明者らは、それらの対応するストレスを用いて、2つの異なった発現系を使用して、ウエスタンブロット及びELISAによって、IL−25及びTSLPの産生及び分泌を試験した。それらの結果は、遺伝子組み換えLABが2種類の発現系(すなわち、NICE及びSICE)を使用して両方のサイトカインを発現するが、試験した条件では、NICE系で分泌が観察されなかったことを示した。SICE系に関して、良好な分泌は、遺伝子組み換えL.ラクティス菌株で観察されただけであった。更に、彼らは、生理的食塩又はヒートショックストレスのいずれかの後にこれらの菌株でサイトカイン分泌が増強されることを実証した。そのうえ、彼らは、遺伝子組み換えL.ラクティスによって分泌されたこれらのサイトカインの生物学的活性を示した。

次に、発明者らは、インビボにおいて、IL−25及び/又はTSLPを発現する遺伝子組み換えLABの免疫調節性及び予防効果を評価した。彼らは、より高いサイトカイン分泌を示したSICE発現系下でIL−25又はTSLPのいずれかを発現する2種類の遺伝子組み換えL.ラクティスを選んだ。その菌株の予防及び免疫調節性効果を判定するために、様々な化学的に誘導したマウス大腸炎モデルを、発明者らの研究室で試験した。まず、彼らは、LL−TSLPが腸の炎症を軽減することができ、よって、DSS誘導急性大腸炎からマウスを保護することを示した。毎日のLL−TSLP強制食餌は、大腸炎の始まりに臨床徴候(糞便の軟化及び出血)を遅らせた。より重要なことには、LL−TSLPは、組織学的スコアの減少による化学的処置によって引き起こされた損傷から腸管上皮を保護する。更に、遺伝子組み換えL.ラクティスによって分泌されたTSLPは、炎症誘導性サイトカイン(IFN−γ)産生を低減し、且つ、炎症誘導性Th17応答を軽減することができ、分泌したTSLPが炎症を調節することを示した。

発明者らはまた、5日間の回復後に、DSS誘導大腸炎を起こした。このモデルで、彼らは、LL−TSLP処置後にいくつかの炎症マーカー、例えば(より少ない顆粒球の動員を反映する)MPO活性の下降、結腸壁のよりわずかな肥大、及び結腸組織における炎症誘導性サイトカインIL−12の下降などを観察した。そのうえ、彼らは、LL−TSLPが、DSSによって誘導された炎症誘導性Th17応答を減少でき、且つ、炎症の重要な調整経路:Treg応答、を高めることができることを示した。これらの結果は、LL−TSLPの抗炎症性の役割を説明していると考えられる。

その一方、発明者らは、IL−25を分泌するL.ラクティスが、DSS誘導急性大腸炎において、Th2反応を駆動できたことを実証したが、この応答は、炎症からマウスを保護するのは十分でなかった。同時に、彼らは、Th1炎症を駆動することが知られているDNBS誘導急性大腸炎を使用した。彼らは、腸炎症の軽減におけるIL−25分泌L.ラクティスの重要な役割を示唆する、マウスの死亡率の低下、少ない体重減少及び結腸組織のよりわずかな肥大によってIL−25の保護的役割について観察した。

実施例1 muIL−25及びmuTSLPを発現する遺伝子組み換えLABの構築 胸腺間質リンパ球新生因子(TSLP)及びIL−25は、上皮細胞によって産生される2種類のサイトカインである。両方のサイトカインは、 好塩基球及びTH2細胞によるIL−4及びIL−13(2つの抗炎症性サイトカイン)の分泌を含めた、TH2タイプの免疫応答を開始させる。

抗炎症性IL−4及びIL−13サイトカインの産生を活性化し、且つ、炎症誘導性IL−12の産生を阻害することによって、発明者らは、遺伝子組み換えLABによる粘膜レベルのTSLP及び/又はIL−25の送達が、抗炎症性免疫プロファイルに向かって免疫応答を調節するであろうと予想した。IL−25又はTSLPを発現する遺伝子組み換えLABの構築及び特徴づけ後に、この仮説が正当であると確認した。

発明者らは、IL−25又はTSLPサイトカインのいずれかを発現する16この遺伝子組み換えL.ラクティス及びL.カゼイ菌株を首尾よく構築した。2種類の誘導性発現系、ナイシン誘導性制御系:NICE及びストレス誘導性制御系:SICE(Benbouziane, Ribelles et al. J Biotechnol, 168, 120-129)を使用して、IL−25及びTSLP発現、及びそれぞれのタンパク質の2つの異なった形態:天然形態及びHis−タグ付与形態の産生、を達成した。遺伝子組み換えLAB(すなわち、L.ラクティス及びL.カゼイBL23)の正常な成長を一旦確認し、発明者らは、それらの対応する誘導原、NICE系のナイシン及びSICE系のストレス、を用いて、2種類の異なった発現系を使用した、IL−25及びTSLPの産生及び分泌を、ウエスタンブロット及びELISAの両方で試験した。それらの結果は、遺伝子組み換えLABが2種類の発現系を使用して両方のサイトカインを発現することができることを示したが、NICE系では、試験した条件において、サイトカイン分泌が観察されなかった。SICE系に関して、良好な分泌は、遺伝子組み換えL.ラクティス菌株で観察しただけであった。

材料と方法 菌株と培養条件 当該作業で使用した菌株及びプラスミドを、表1で列挙した。L.ラクティス菌株を、撹拌せずに、30℃にて1%のグルコースを補充したM17培地(Difco)中で培養した。L.カゼイ菌株を、撹拌せずに、37℃にてMRS培地(Difco)中で培養した。大腸菌株を、37℃及び180rpmにてルリア−ベルターニ(Difco)中で培養した。プラスミドを、次の抗生物質(1mlあたりのミリグラム単位の濃度):L.ラクティスにはクロラムフェニコール(10);E.コリにはアンピシリン(100)及びクロラムフェニコール(10)、の添加によって選別した。

2つの異なった細菌増殖曲線を実現した。 ・サイトカインを分泌するLAB菌株の一晩の培養物を、600nm(OD600nm)=0.1の光学濃度で希釈した。次に、ストレスを誘導し、そして、100μLのそれぞれの細菌培養物を、無菌の96ウェルプレートに播種した。これらのプレートを、マイクロプレートフォトスペクトロメーター(TECAN)内、30℃(L.ラクティス)又は37℃(L.カゼイ)にて20時間インキュベートした。15秒間の軌道振盪後に、OD600nmを15分毎に計測した。 ・ストレス誘導分泌アッセイ中、様々な細菌株のOD600nmを、様々な時点で計測した(材料と方法、LABによるストレス誘導サイトカイン分泌を参照)。

遺伝子組み換えLAB菌株の構築 プラスミドDNA分離及びDNA操作のための一般手法は、使用したキット(Qiagen、Promega)の市販のプロトコールに従う。 NICE系 ・L.ラクティスpNis−サイトカイン マウスIL−25、His−タグ付与マウスIL−25(C−末端に6つのHis残基)、マウスTSLP又はHis−タグ付与マウスTSLP(C−末端に6つのHis残基)を含むプラスミドを、Geneart(Invitrogen)によって合成した。これらのプラスミドは、アンピシリン耐性遺伝子を有している。SpeI及びNsiIによる消化後に、着目の遺伝子(マウスIL−25、IL−25−His、TSLP又はTSLP−His)を含む断片を、SpeI/NsiIによって消化したpNisプラスミド内に統合した。構築物を、2、4KV、200□、25μFにてL.ラクティスNZ9000菌株内にエレクトロポレーションによって定着させた。次に、形質転換体を、1%のグルコース及びクロラムフェニコール(10μg/mL)を含むM17寒天培地上で30℃にて選別した。プラスミドを、遺伝子組み換え形質転換体から抽出し、消化及び配列決定によって確認し、そして、pNis−IL−25、pNis−IL−25−His、pNis−TSLP、及びpNis−TSLP−Hisと命名した。

・L.カゼイpNis−サイトカイン pNis−IL−25、pNis−IL−25−His、pNis−TSLP、及びpNis−TSLP−Hisプラスミドを、L.ラクティスから抽出し、そして、1.5KV、400□、25μFにてL.カゼイnisRK内にエレクトポレーション処置した。形質転換体を、クロラムフェニコール(10μg/mL)含有MRS寒天培地上で37℃にて選別した。プラスミドを、遺伝子組み換え形質転換体から抽出し、消化及び配列決定によって確認した。

SICE系 ・L.ラクティスpGroEL−サイトカイン pNis−IL−25、pNis−IL−25−His、pNis−TSLP、及びpNis−TSLP−Hisを、BamHI及びSpeIによって消化した。消化後に、着目の遺伝子(マウスIL−25、IL−25−His、TSLP又はTSLP−His)を含む断片を、BamHI/SpeIで消化したpGroELプラスミド内に組み込んだ。構築物を、1.5KV、400□、25μFにてエレクトロポレーションによってL.カゼイBL23内に定着させた。形質転換体を、クロラムフェニコール(10μg/mL)含有MRS寒天培地上で37℃にて選択した。プラスミドを、形質転換体から抽出し、消化及び配列決定によって確認し、そして、pGroEL−IL−25、pGroEL−IL−25−His、pGroEL−TSLP、及びpGroEL−TSLP−Hisと命名した。

・L.カゼイpDnaK−サイトカイン (Geneart(Invitrogen)によって合成した)pMA−pdnaK−SPp40プラスミドを、BglII及びNsiIによって消化した。消化後に、dnaK遺伝子からのプロモーター及びP40タンパク質(L.カゼイBL23でよく分泌されるタンパク質)のペプチドシグナルを含む断片を、BglII/NsiIで消化したpNis−IL−25、pNis−IL−25−His、pNis−TSLP、pNis−TSLP−His又はpNis−Nucプラスミド内に組み込んだ。構築物を、L.ラクティスMG1363内に、2,400V、200□、25μFでのエレクトロポレーションによって定着させた。形質転換体を、1%のグルコース及びクロラムフェニコール(10μg/mL)を含むM17寒天培地上で30℃にて選別した。プラスミドを、形質転換体から抽出し、消化及び配列決定によって確認し、そして、pDnaK−IL−25、pDnaK−IL−25−His、pDnaK−TSLP、pDnaK−TSLP−His、及びpDnaK−Nucと命名した。

LABによるナイシン誘導サイトカイン分泌 ・L.ラクティスpNis−サイトカイン サイトカインを分泌するL.ラクティス菌株の一晩培養物を、1%のグルコース及び10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地で、0.1のOD600nmに希釈し、そして、0.4〜0.6のOD600nmまで撹拌せずに30℃にてインキュベートした。次に、ナイシン(Sigma)を、様々な濃度:0、1及び10ng/mL、まで加え、そして、撹拌せずに30℃にてインキュベートした。様々な時間(T30分、T5時間、及びT24時間)にて、1mLの細菌培養物を回収し、そして、10分間、4℃及び10000rpmにて遠心分離した。ELISAによるサイトカインの定量化のために、2μm濾過した上清を−20℃にて保存した。

・L.カゼイpNis−サイトカイン 使用したプロトコールは、L.ラクティスに使用したものと同一であったが、L.カゼイの特定の増殖条件を用いた。

LABによるストレス誘導サイトカイン分泌 サイトカインを分泌するL.ラクティス菌株の一晩培養物を、1%のグルコース及び10μg/mLのクロラムフェニコールを補充したM17培地で、0.1のOD600nmに希釈し、そして、0.4〜0.6のOD600nmまで撹拌せずに30℃にてインキュベートする。次に、様々なストレスを、次のように加えた。

・塩ストレス 様々な体積のNaClの5M溶液を培養物に加えて、0、1、1.5、2、2.5、3、及び3.5%のNaCl終濃度(T0に対応)を得、そして、撹拌せずに30℃にてインキュベートした。様々な時間(T30分、T4時間、T5時間、又はT24時間)にて、1mLの細菌培養物を回収し、そして、10分間、4℃及び10000rpmにて遠心分離した。ELISAによるサイトカインの定量化のために、2μm濾過した上清を−20℃にて保存した。

・ヒートショック 細菌培養物を、15分間、室温及び4700rpmにて遠心分離した。ペレットを、30℃、37℃、40℃又は43℃(T0に対応)にて予熱した培地で再懸濁し、そして、撹拌せずに様々な温度にてインキュベートした。様々な時間(T30分、T4時間、及びT24時間)にて、1mLの細菌培養物を回収し、そして、4℃及び10000rpmにて10分間、遠心分離した。ELISAによるサイトカインの定量化のために、2μm濾過した上清を−20℃にて保存した。

・酸性pHストレス 細菌培養を、15分間、室温及び4700rpmにて遠心分離した。ペレットを、様々なpH、pH7又はpH5、4(T0に対応)の培地で再懸濁し、そして、撹拌せずに30℃にてインキュベートした。様々な時間(T30分、T4時間、及びT24時間)にて、1mLの細菌培養物を回収し、そして、4℃及び10000rpmにて10分間、遠心分離した。ELISAによるサイトカインの定量化のために、2μm濾過した上清を−20℃にて保存した。

ウエスタンブロット分析 IL−25−Hisを定量化するために、タンパク質サンプルを、2mLの誘導又は非誘導培養物から調製した。遠心分離(10分、10000rpm及び4℃)の後に、細胞ペレットと上清を別々に処理した。上清を、4℃にて2時間、200μLの100%トリクロロ酢酸(sigma)で処理して、タンパク質を沈殿させた。これらのものを、4℃及び13000rpmにて20分間の遠心分離後にペレットから回収した。5サイクルの10秒の超音波処置による細胞破壊によって、細胞分画を得た。ウエスタンブロット法を、同数の細菌に相当するサンプル、陽性対照としてのHis−タグ付与タンパク質を用い、そして、ウサギ抗Hisタグ(Sigma)及びヤギ抗ウサギ(P.A.R.I.S.Anticorps)を使用して実施した。

サイトカインの濃縮 サイトカインの濃縮を、共に2.5%のNaClを用いて誘導した、88mLのL.ラクティスpGroEL−TSLPの一晩培養物及び80mLのL.ラクティスpGroEL−IL−25の一晩培養物から、そして、centricon Plus−70遠心分離フィルタユニット(10、000NMWL)を使用して実施した。濃縮溶液を、ELISAによって定量化した:IL−25に関して1.58μg/mL(KIT eBiosciences)又は22μg/mL(KIT R&D systems)、及びTSLPに関して0.485μg/mL。各濃度に関して、細菌培養培地の陰性対照を、プラスミドが非関連タンパク質、ヌクレアーゼNucをコードするプラスミドを有するL.ラクティス菌株(L.ラクティスpGroEL−Nuc)を使用して調製した。

骨髄由来の樹状細胞の分離と培養 BALB/cマウスからの骨髄細胞を、無菌的に摘出し、10%の脱補体処理したFBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、β−メルカプトエタノール5mM、及び20ng/mLのGM−CSF(peprotech)を補充したRPMI1640(Life Technologies)中、ペトリディッシュ内で平板培養した。15mLの培地を、3日目に加え、そして、5日目に完全に交換し、細胞を7日目に採取した。次に、骨髄樹状細胞(BMDCs)を、5×105細胞/ウェル(96穴/プレート)にて平板培養し、そして、10% CO2の加湿インキュベータ内で、10%の脱補体処理したウシ胎仔血清(FBS)及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI1640中、37℃にて培養した。

TSLP活性試験:LPS刺激BMDCアッセイ BMDCsを、様々な濃度のLPS(非刺激又は5ng/mL)及び濃縮rTSLPで刺激した。市販のTSLPを0、5、10、50、及び100ng/mL(Biolegend)にて加え、そして、濃縮rTSLPを5及び10ng/mLにて加えた。培地の陰性対照(L.ラクティスpGroEL−Nucの濾過上清)を使用し、そして、濃縮rTSLPと共に使用した濃縮物に相当する同等なタンパク質量を加えた。刺激の24時間後、ELISAによるIL−12の定量化のために、細胞上清を採取した。

脾細胞の分離と培養 脾臓を、BALB/cマウスから無菌的に取り出し、そして、RPMI1640(Life Technologies)中ですりつぶし、そして、単独細胞懸濁液を製造した。赤血球を、Red Cell Lysis Buffer(Sigma)を用いて溶解した。脾細胞を、5×106細胞/ウェル(24穴/プレート)にて10% CO2の加湿インキュベータ内で脱補体処理したFBS10%及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI1640中、37℃にて培養した。

IL−25活性試験:脾細胞アッセイ 脾細胞を、市販のIL−25(非刺激、1、2.5、5、10、及び20ng/mL)及び10ng/mLの濃縮rIL−25で刺激した。陰性対照の培地(L.ラクティスpGroEL−Nucの濾過上清)を使用し、そして、濃縮rIL−25と共に使用した濃度に相当する同等なタンパク質量を加えた。刺激の72時間後に、ELISAによるIL−5又はIL−13の定量化のために、細胞上清を採取した。

サイトカイン(IL−25、TSLP、IL−5、IL−13、及びIL−12)の検出 様々なELISAキットを使用して、サイトカイン:IL−12(mabTech)、IL−13(eBioscience)、IL−5(mabTech)、TSLP(eBioscience)、及びIL−25(eBioscience及びR&D systems)、を定量化した。

統計解析 結果を、3〜6個のサンプルの平均+/−SDとして表した。スチューデントt検定を実施して、着目の条件と、図に示した条件a、b又はcとの間の統計的有意性を判定した(***、及び***は、それぞれP<0.05、P<0.01、及びP<0.001を示す)。

結果 増殖曲線 1)NICE系−通常条件 L.ラクティスpNis−サイトカイン プラスミドpNis、別名pSEC(Bermudez-Humaran et. al. 2003 FEMS Microbiol, 224, 307-3013)は、ナイシン誘導プロモータ及び主要なL.ラクティス分泌タンパク質であるUsp45タンパク質のシグナルペプチド(de Ruyter, Kuipers et al. 1996, Appl Environ Microbiol, 62, 3662-3667)を含む広範な宿主範囲を有するプラスミドpWV01(Kok, van der Vossen et al. 1984, Appl Environ Microbiol, 48, 726-731)の誘導体である。このプラスミドは、グラム+又はグラム−のいずれにおいても複製を可能にするRep A及びRep C複製開始点を含む。

pNis−サイトカインプラスミドを構築し、L.ラクティスにおいて形質転換した。配列決定による検証後、菌株の特徴づけの第1ステップは、古典的な研究室の富栄養培地:M17における細菌増殖を測定することであった。 細菌増殖曲線を、1%のグルコース及びプラスミド含有菌株のための10ng/mLのクロラムフェニコールを補充したM17中、96穴プレート内で実施した(図1)。プラスミドを含んでいない野生型L.ラクティスNZ9000菌株を、陰性対照として使用した。組み換え株の細菌増殖のわずかな遅延は、培地中のクロラムフェニコール抗生物質の存在に起因する可能性があった。IL−25、IL−25−His、TSLP又はTSLP−HisをコードするpNisプラスミドを有するL.ラクティス菌株の増殖における障害は、全く観察されなかった。

L.カゼイpNis−サイトカイン pNis−サイトカインプラスミドを構築し、L.カゼイにおいて形質転換した。これらの菌株の細菌増殖を、96穴プレートを使用して、10ng/mLのクロラムフェニコールを補充したMRS中で測定した(図2)。pNisプラスミドの存在により、L.カゼイpNis−空を基準菌株となるように選択し、クロラムフェニコールを補充した複合培地中で、他の菌株のように増殖した。IL−25又はTSLPをコードするpNisプラスミドを有するL.カゼイの細菌増殖における障害は、全く観察されなかった。

2)NICE系−ストレス条件 L.ラクティスpNis−サイトカイン pNisプラスミドにおける遺伝子発現は、誘導因子としてナイシンによって制御されるので、次に、発明者らは、このバクテリオシンの存在下での細菌増殖を分析した。pNis−空菌株の細菌増殖における障害は、ナイシンの存在下において(少なくとも試験した濃度において)全く観察されなかった(図3)。そのため、彼らは、我々の組み換え株にとってナイシンが毒性でないとの結論に至った。しかしながら、L.ラクティスpNis−IL25及びpNis−IL25−His菌株の細菌増殖におけるわずかな遅延を、1ng/mL又はより高濃度のナイシンのいずれかで観察した(図4及び図5)。これらの増殖障害は、ナイシンをL.ラクティスpNis−TSLP及びpNis−TSLP−Hisの培養物に追加したとき、非常に高かった(図6及び図7)。観察したように、0.1ng/mLのナイシンの存在は、細菌増殖に影響がなく、ナイシンなしの細菌増殖を反映していた。より大きな増殖遅滞は、5ng/mLのナイシンで観察された。10ng/mLの存在下における細菌増殖プロファイルは、5ng/mLを用いて観察されたものと非常に類似していた。1ng/mLのナイシンの添加は、中程度の増殖表現型を可能にする。培地中へのナイシンの添加は、細菌増殖を減速させた。この現象は他の組み換え株において頻繁に報告されたので、この減少は、産生された組み換えサイトカインの毒性による可能性がある。

L.カゼイpNis−サイトカイン 発明者らは、ナイシンの存在下でL.カゼイpNis−サイトカイン菌株を用いて同じ実験をおこなった。試験した濃度におけるナイシンの存在下でのそれらの細菌増殖の欠陥が、pNis−空菌株において観察され(図8)、そして、ナイシンがL.カゼイの増殖にとって有害性であることが示唆された。更に、L.ラクティスpNis−IL25及びL.ラクティスpNis−TSLP菌株の遅延は、1ng/mLのナイシンから劇的に増大した(図9及び図10)。

3)SICE系−通常条件 pGroELプラスミド(WO2013/175358)は、GroELタンパク質からのプロモーター、酸性pH、高熱、及び胆汁酸塩のようなストレス条件で、そして、最も重要なことには、マウスの胃腸管内で誘導されるL.ラクティスMG1363タンパク質を含む広範な宿主範囲を有するプラスミドpWV01(Kok, van der Vossen et al. 1984、前掲)の誘導体である(Kilstrup, Jacobsen et al. 1997, Appl Environ Microbiol, 63, 1826-1837; Roy, Meyrand et al. 2008, Proteomics 8, 1661-1676)。それはまた、L.ラクティスで良好に分泌されるタンパク質であるExp4タンパク質のペプチドシグナル(Poquet, Ehrlich et al. 1998, J Bacteriol, 180, 1904-1912)、並びにグラム+又はグラム−のいずれにおいても複製を可能にするRep A及びRep C複製開始点も含む。このプラスミドは、GroELプロモーターの特異性のため、L.ラクティスだけで機能的である。

pGroEL−サイトカインプラスミドを構築し、L.ラクティスに定着させた。配列決定によるバリデーション後に、発明者らは、pNis−サイトカインプラスミドに関するように進めて、細菌増殖を測定した。細菌増殖曲線を、1%のグルコース及びプラスミド含有菌株のための10ng/mLのクロラムフェニコールを補充したM17中、96穴プレート内で実施した(図1)。プラスミドを含んでいない野生型L.ラクティスMG1363菌株を、対照として使用した。組み換え株の細菌増殖のわずかな遅延は、培地中のクロラムフェニコール抗生物質の存在に起因する可能性があった。IL−25、IL−25−His、TSLP又はTSLP−HisをコードするpGroELプラスミドを有するL.ラクティス菌株の増殖における障害は、全く観察されなかった。

4)SICE系−ストレス条件 pGroEL−サイトカインプラスミドにおける遺伝子発現はストレス条件によって制御されるので、発明者らは、次に、ストレス存在下での細菌増殖を分析した。これらのストレスアッセイを実施して、サイトカイン産生及び分泌、並びに細菌増殖の両方を分析する。

塩ストレス L.ラクティスpGroEL−Nuc、L.ラクティスpGroEL−IL−25、及びL.ラクティスpGroEL−TSLPは、2.5%のNaClの存在下で類似した増殖曲線を有するので、それらの細菌増殖における同一の障害を示す(図12及び図14)。この増殖遅滞は、1%のNaClから観察され、塩化ナトリウム濃度が高いほど増強され、更に高いと細菌増殖が損なわれた(図13及び図15)。

ヒートショック L.ラクティスpGroEL−IL−25、L.ラクティスpGroEL−IL−25−His、L.ラクティスpGroEL−TSLP、及びL.ラクティスpGroEL−Nuc菌株は、様々な温度条件に関して類似の増殖曲線を有する(図16及び図17)。30℃、37℃及び40℃にて、これらの菌株の対数期は同一であるが、37℃にて、菌株は、定常期に関してより高いOD600nm値に達する。43℃にて、L.ラクティスpGroEL−IL−25、L.ラクティスpGroEL−IL−25−His及びL.ラクティスpGroEL−Nucは、同じ増殖障害を示す(図16)。

酸性pHストレス L.ラクティスpGroEL−Nuc及びL.ラクティスpGroEL−TSLPは、酸性pHにおいて類似の増殖曲線を有し、そして、それらの細菌増殖に同一の障害を示す(図18)。

NICE系を使用したサイトカイン分泌 発明者らは、様々なナイシン濃度を使用していくつかの試験を実施して、遺伝子組み換えLABによるサイトカインの産生及び分泌を測定する。サンプル(上清画分:S、及び細菌細胞溶解物:C)を、ナイシン誘導前30分、5時間及び24時間に採集し、そして、サイトカイン濃度を、S及びCサンプルにおいてELISAによって計測した。

IL−25又はTSLPのいずれかの有意なサイトカイン産生は、Cサンプルにおいて検出されなかった。ELISAによる検出におけるこの失敗は、細菌細胞(すなわち、Cのサンプル)内の非分泌タンパク質形態でのシグナルペプチドの存在によって引き起こされる異なる立体構造のサイトカイン形態に起因する可能性がある。よって、発明者らは、Sサンプルにおけるそれらの実験に焦点を合わせる。しかしながら、また、いくつかのウエスタンブロット実験を、遺伝子組み換えL.ラクティスによるIL−25−His産生に関して実施した。

・L.ラクティスによるIL−25の分泌:図19に示すように、IL−25のレベルは、試験した様々な時点、及び様々なナイシン濃度を用いたL.ラクティスpNis−IL−25及びL.ラクティスpNis−Nuc菌株の誘導培養物からのSサンプルにおいて、有意な違いがなかった。よって、発明者らは、L.ラクティスpNis−IL−25がこれらの条件下でIL−25を分泌しないとの結論に至った。

・L.ラクティスによるIL−25−Hisの産生:次に、発明者らは、ウエスタンブロットによって、L.ラクティスpNis−IL−25−HisによるIL−25−Hisの産生及び分泌を分析した。図20に示すように、IL−25−Hisは、L.ラクティスpNis−IL−25−His菌株の誘導培養物からのCサンプル中で検出されたが、S画分中では検出されなかった。同様の量のIL−25−Hisが、3種類の異なった用量のナイシン(すなわち、1、5、及び10ng/mL)を用いた誘導後にC画分中に検出された。ナイシンの不存在下、IL−25−Hisシグナルは検出されず、この系が厳密に調整されていることが確認された。要するに、ELISA及びウエスタンブロット実験は、遺伝子組み換えL.ラクティスによってIL−25の分泌がないことを確認する。この現象は、L.ラクティスで産生された他の異種タンパク質に関して以前に観察されていたので、IL−25−His組み換えサイトカインの前駆体形態の弱いプロセッシング及び分泌に起因する可能性があった。

・L.ラクティスによるTSLPの分泌:観察されたシグナルが、我々の陰性対照菌株:L.ラクティスpNis−Nucの非誘導又はナイシン誘導(10ng/mL)のいずれからのSサンプルにおいても同じレベルだったので、L.ラクティスpNis−TSLP培養物からのSサンプル中、ナイシン不存在下で、有意なTSLP産生は検出されなかった(図21)。際立ったことに、誘導L.ラクティスpNis−TSLP培養物からのSサンプルは、TSLPの明らかな産生及び分泌を示す(図21)。ナイシンを伴った1時間のインキュベーションは、試験した2種類の用量(1及び10ng/mL)のナイシン間にTSLP分泌の有意差が全くないことを示す。しかしながら、タイムコース実験は、1ng/mlのナイシン濃度にて、TSLPが約5時間、培地中に蓄積し、そして、約1000pg/mlの最大濃度に達することを示した。

・L.カゼイによるサイトカインの分泌:検出されたIL−25(図22)又はTSLP(図23)のレベルは、試験した様々な時点及び様々なナイシン濃度の存在下にて、ナイシン誘導L.カゼイpNis−IL−25、L.カゼイpNis−TSLP、及びL.ラクティスpNis−Nuc培養物からのSサンプルにおいて有意に異なっていなかった。遺伝子組み換えL.カゼイは、これらの条件下でIL−25及びTSLPサイトカインを分泌しない。

SICE系を使用したサイトカイン分泌 発明者らは、様々なストレス(例えば、塩ストレス、ヒートショック、及び酸性pH)を使用していくつかの試験を実施して、SICE系を使用した遺伝子組み換えLABによるサイトカインの産生及び分泌を測定する。S及びCサンプルを、ストレス誘導前30分、4時間、5時間及び24時間に採取し、そして、サイトカイン濃度を、S及びCサンプルにおいてELISAによって計測した。 NICE系のように、IL−25又はTSLPのいずれかの有意なサイトカイン産生は、Cサンプルにおいて検出されなかったので、発明者らは、ELISAによって分析したSサンプルにおいて実施した実験だけを提示した。

・陰性対照:L.ラクティスpGroEL−Nuc:L.ラクティスpNis−IL−25(図24)又はL.ラクティスpNis−TSLP(図24)菌株のいずれかからのSサンプルと比較したとき、L.ラクティスpNis−Nuc菌株のS画分で弱いシグナルを観察し、ラクトコッカスタンパク質によるバックグラウンドが存在しないことを実証する。

・塩ストレス−L.ラクティスによるIL−25の分泌:L.ラクティスpGroEL−IL−25はサイトカインを分泌し、プロモーターが機能的であることを示した(図26)。更に、検出されたIL−25のレベルは、2.5%のNaClの存在下、30分にて3倍、4時間にて7倍p24時間にて12倍に有意に高められた。このストレスは、L.ラクティスpGroEL−IL−25によるIL−25の強い増大につながった。しかしながら、発明者らは、eBioscience製のこれに関するいくつかの問題の後に、R&D Systems製の別のELISAキットを試験した。彼らは、R&D System製又はeBioscience製のELISAによって同じサンプルにおいて計測した濃度で20倍(以上)の違いを得た。彼らは、以降の結果にR&D System Kitを使用した。検出されたIL−25のレベルは、先の結果と同じプロファイル:経時的な分泌/細菌の減少、しかし、20〜30倍高い濃度値、を有する(図27及び図26)。30分にて、発明者らは、2.5%を除くNaClの存在下で、IL−25分泌の有意な強化を観察した。4時間、24時間、及び3%の30分にて、サンプル希釈は十分でなかった。得られた値は、標準を超えていたので、過小評価した。しかしながら、そして論理的に、これらの値はグラフに示したより高く、塩ストレス後のL.ラクティスpGroEL−IL−25によるIL−25分泌の増大を実証している。もう1回、発明者らは、サンプルを十分希釈しなかった(図28)。しかしながら、塩ストレスは、L.ラクティスpGroEL−IL−25−HisによるIL−25−His分泌の強い増大(2/4倍)をもたらした。

・塩ストレス−L.ラクティスによるTSLPの分泌:L.ラクティスpGroEL−TSLPはTSLPを分泌でき、そのプロモーターの開始を実証した(図29)。ELISAによって検出されたTSLPのレベルは、非刺激L.ラクティスpGroEL−TSLPによる分泌と比較して、NaClの存在下でわずかに増大した(1.5倍)。

・ヒートショック−L.ラクティスによるIL−25及びIL−25−Hisの分泌:次に、発明者らはヒートショックによる分泌誘導を試験した。まず、彼らは、30℃、並びに30分及び4時間にて等量のIL−25及びIL−25−Hisを検出し、L.ラクティスによるIL−25とIL−25−Hisとの間の類似した分泌を示した(図30)。彼らはまた、ヒートショックの30分後に、37℃及び43℃にて分泌の増大について観察した。しかしながら、この増大は、ヒートショックの4時間後には観察されなかった。

・ヒートショック−L.ラクティスによるTSLPの分泌:よって、発明者らは、ヒートショック後のTSLP分泌を試験した。彼らは、L.ラクティスによる、ヒートショックの30分及び4時間後の、37℃及び40℃でのこの分泌のわずかに増大を示した(図31)。

・ヒートショック−L.カゼイによるIL−25の分泌:プラスミドpDnaKは、DnaKからのプロモーター、酸性pH及び胆汁酸塩のようなストレス条件で誘導されるL.カゼイBL23タンパク質を含む広範な宿主範囲を有するプラスミドpWV01(Kok, van der Vossen et al. 1984、前掲)の誘導体である。それはまた、L.カゼイの分泌タンパク質であるP40タンパク質のペプチドシグナル、並びにグラム+又はグラム−のいずれにおいても複製を可能にするRep A及びRep C複製開始点も含む。このプラスミドは、DnaKプロモーターの特異性により、L.カゼイでのみ機能的である。発明者らは、陰性対照であるL.カゼイpDnak−Nucの上清においてIL−25の強い検出を観察した。それらは、実験の高いバックグラウンドのためIL−25分泌を示さず、L.カゼイのSICE系におけるこのサイトカインの産生又は分泌の問題を示唆した。次に、発明者らは、そのサイトカイン産生及び分泌が、これらの菌株において、塩(1%のNaCl)又はヒートショック(37及び42℃)ストレスのいずれかの後に増大することを実証した。際立ったことに、それらは、遺伝子組み換えL.ラクティスによって産生及び分泌されたサイトカインの生物学的活性を示した。

サイトカイン活性試験 次の、そして、最も重要なステップは、L.ラクティスによって分泌されたサイトカインの生物学的活性の検証によって組み換え菌株を正当であると確認することであった。

・IL−25活性試験:Rickelらは、脾細胞による、これらの細胞がIL−25によって刺激されたときの、IL−5及びIL−13分泌を示した(Rickel, Siegel et al. 2008, J Immunol, 181, 4299-4310)。この文献に基づいて、発明者らは、脾細胞を市販のIL−25又は遺伝子組み換え、且つ、濃縮したIL−25で刺激した。刺激の72時間後に、彼らは細胞上清を回収し、そして、彼らは、これらのサンプル中のIL−5及びIL−13濃度を計測した。図33及び34に示したように、且つ、予想したように、非刺激条件と比較して、L.ラクティスpGroEL−Nuc(陰性対照)の濃縮上清を用いた刺激細胞において、IL−5及びIL−13の両方の任意の有意な分泌は、観察されなかった。しかしながら、発明者らは、市販のIL−25を用いた刺激後に、IL−5及びIL−13分泌の増大を検出し、そして、この増大は、用量依存的であった(図33及び34)。彼らはまた、現行の遺伝子組み換えIL−25を用いた刺激後にIL−5及びIL−13分泌の増大を実証し、遺伝子組み換えL.ラクティスによって産生されたIL−25の生物学的活性を実証した。

・TSLP活性試験:Taylorらは、TSLP刺激後のLPS刺激BMDCsによるIL−12分泌の減少を示した(Taylor, Zaph et al. 2009, J Exp Med, 206, 655-667)。これらの結果に基づいて、発明者らは、市販のTSLP、及び現行の遺伝子組み換え体、並びにL.ラクティスによって産生された濃縮TSLPを用いて、LPS刺激BMDCsアッセイを実施した。刺激の24時間後に、彼らは細胞上清を回収し、そして、我々は、サンプル中のIL−12濃度を計測した。発明者らは、彼らがL.ラクティスpGroEL−Nuc(陰性対照)の濃縮上清で細胞を刺激したとき、非刺激条件と比較して、IL−12の有意な分泌を観察した(図35)。彼らは、市販のTSLPを用いた刺激後にIL−12分泌の減少を検出し、この減少は、用量依存的であった。彼らは、我々の遺伝子組み換えTSLPを用いたIL−12分泌の有意な減少を示し、TSLPの生物学的活性を実証した。よって、彼らは、L.ラクティスpGroEL−TSLP菌株を正当であると確認した。

L.ラクティスによって分泌されたこれらのサイトカインは、生物学的に活性である。L.ラクティスによって分泌されたIL−25は、脾細胞を刺激できる。確かに、これらの細胞は、我々の遺伝子組み換えIL−25又は「市販」のIL−25のいずれかによる刺激の72時間後に、IL−5及びIL−13を分泌する。そのうえ、L.ラクティスによって分泌されたTSLPは、LPS刺激BMDCsによるIL−12分泌の減少を誘導し、我々の遺伝子組み換えTSLPは、それがBMDCsと相互作用し得る場合に、生物学的に活性であることを示した。これらの実験は、発明者らがこれらの遺伝子組み換え菌株が正当であると確認することを可能にした。 これらの有望な結果は、インビボにおいてIL−25及びTSLPを発現する遺伝子組み換えL.ラクティスの免疫調節性及び予防効果の評価に向かうステップを示す。

2種類の化学的に誘導した大腸炎のマウスモデルにおける、muIL−25及びmuTSLPを発現する遺伝子組み換えL.ラクティス菌株の免疫調節性及び予防特性の評価 候補細菌又は分子のいずれかの有益効果を判定するために、大腸炎の様々な化学的誘導マウスモデル(例えば、TNBS、DNBS、DSS、IL−10KOなど)が、発明者らの研究室で現在使用される。彼らは、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)又はジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)によって化学的に誘導された大腸炎の2種類のマウスモデルを使用すると決めた。

実際には、DSSは、出血性下痢、潰瘍形成、及び顆粒球浸潤を特徴とする大腸炎を誘導する。この分子は、消化管上皮細胞の基底腺窩に直接影響し、そのため粘膜関門の健全性に影響することが知られている。DSS大腸炎モデルは、大腸炎の生得の免疫機構の貢献を試験及び特徴づけするのに特に有用である。対照的に、DNBS誘導大腸炎モデルは、Tヘルパー細胞依存性粘膜免疫応答を把握するために使用される。DNBSは(粘膜関門を混乱させる)エタノール中で調製される一方で、DNBSは結腸の自己又は複合微生物系タンパク質をハプテン化し、宿主免疫系に対してそれらを免疫原にし、炎症をもたらす。 両方のモデルは、異なる経路によって駆動されるので、よって、我々の組み換え株の作用機構を我々が把握する手助けとなる。

実施例2:インビボにおいてTSLPを発現する遺伝子組み換えL.ラクティス菌株の免疫調節性及び予防効果の評価 概要 炎症プロセスにおけるTSLPの役割を理解するために、発明者らは、TSLPを産生するラクトコッカス・ラクティス菌株(LL−TSLP)を構築し、マウスの大腸炎モデルに対するその投与の効果を調査した。LL−TSLPを用いた処置は、健常なマウスにおいてT細胞によって分泌されるTGF−βの量を増大した。急性大腸炎では、LL−TSLPは、疾患活動性指数を遅らせ、且つ、組織学的スコア及びINF−γ産生を低下させた。DSS回復モデルでは、LL−TSLPは、菌株を大腸炎開始時に投与した場合にだけ、防御効果を引き起こした。大腸炎4日目では、我々は、LL−TSLPによるTregの誘導を観察した。TSLPは、大腸炎における抗炎症性の保護的役割を示した。発明者らは、短期及び早期のLL−TSLP投与が持続的な処置より効果的であることを実証した。そのため、LL−TSLPの経口の投与は、IBDの症状を緩和する有望なストラテジーになり得る。

材料と方法 マウス実験 少なくとも7日間の順化後に、6週齢のC57BL/6マウスに、実験の全期間を通じて、PBS又は109〜5×109コロニー形成単位のLL−WT若しくは又はLL−TSLPを毎日給餌した。D0では、4日間(DSS短期)又は7日間(DSS急性及びDSS回復)、36,000〜50,000(MPBio)の分子量で2.5%(w/v)のデキストラン硫酸ナトリウム塩(DSS)を飲料水に加えることによって、大腸炎を誘導した。マウスを、DSS誘導後、D4(DSS短期)、D7(DSS急性)又はD12(DSS回復)のいずれかにて屠殺した。DSS回復に関して、DSS大腸炎誘導には、通常の飲料水を用いた5日間の回復が続いた。対照DSSとして、マウスに12日間、DSS誘導を含まない給餌をした。マウスを、体重減少、大便の硬さ、及び便潜血について毎日観察した(Hemoccult, Beckman Coulter)。疾患活動性指数(DAI)を、1993年にクーパーらによって公開されたプロトコール(Lab Investig, 69, 238-249)に従って計算した。マウスを、頸椎脱臼によって屠殺し、そして、腸間膜リンパ節(MLN)並びに結腸を摘出した。

誘導リンパ球のインターロイキン産生 マウスから単離したMLNを潰し、そして、濾過した(70μm、BD biosciences)。濾液中のリンパ球を、フローサイトメトリー(Accuri C6)によってカウントし、25×106細胞/mLにて、100単位のストレプトマイシン・ペニシリン、PAA Laboratories、及び10%のウシ胎仔血清(FCS)(Lonza)を伴った培地(RPMI、Lonza)中に再懸濁した。細胞溶液を、0.5%のFCSを含むPBS中、抗CD3及び抗CD28抗体、4μg/mLのそれぞれの抗体(eBioscience)と共に4時間プレインキュベートした24穴プレート(Costar)に加えた。そのプレートを、37℃、5%のCO2にて48時間インキュベートし、そして、サイトカインレベルをELISA(Mabtech)によって評価した。

組織学的評価 組織学的評価に関して、最も炎症が起きていた領域に位置する結腸サンプルを、4%のパラホルムアルデヒド酸(sigma)中で固定し、パラフィン内に包埋した。4マイクロメートルの切片を、ヘマトキシリン/エオシン染色し、Ameho基準に従ってブラインド試験した。

制御性T細胞(Treg)の計数 潰したMLN濾液から106個の細胞を取り出した。Treg細胞を、マウス制御性T細胞染色キット1(eBioscience)を使用してCD4、CD32、及びFoxP3について染色した。細胞サンプルは、フローサイトメトリー(BD Accuri)を通して流し、CD4陽性細胞の中でCD32及びFoxP3に関して二重陽性細胞をカウントした。

統計値 すべての統計値及びグラフを、Prism−GraphPad(登録商標)で実施した。結果は平均±s.e.m.を表す。統計的有意性は、チャートに関してMann−Withney検定によって、及び曲線に関してはBonferroni事後検定を伴った二元配置分散分析によって測定した*P<0.05、**P<0.01、**P<0.001。

結果 LL−TSLPの経口投与は、健常なマウスの腸間膜リンパ節からの活性化細胞によるTGF−β分泌を誘導した マウスに対するTSLPの腸粘膜投与の基本効果を評価するために、2群(n=8)の健常な動物に、経口経路によってLL−WT又はLL−TSLPを与えた。体重及びDAIを毎日観察し、そして、スコア化した。発明者らは、これらのスコアの違いを目にすることはなく、マウスの生理学変化は示さなかった(データ未掲載)。14日間の処置後に、腸間膜リンパ節(MLN)を摘出し、抗CD3及び抗CD−28抗体を用いて細胞を活性化した。発明者らは、LL−WT(図36−A)を経口的に投与したマウスと比較して、マウスがLL−TSLPを与えられたとき、有意に(P<0.05)高いTGF−βの分泌を検出した。彼らは、細胞上清中のIL−5、IFN−γ又はIL−17濃度において少しも有意な変化は観察されなかった(図36−B、C、及びD)。IL−10に違いは見られなかった(データ未掲載)。腸管腔内の遺伝子組み換えL.ラクティスによるTSLP送達は、TGF−β分泌を引き起こすことができる。

LL−TSLPは急性炎症を低減する 腸炎症に対する局所的投与の影響を判定するために、発明者らは、最初に、我々が大腸炎誘導前7日間及び誘導中にLL−TSLP又はLL−WTを経口的に投与した、マウスの急性DSS誘導大腸炎モデルを完成させた。彼らは、2群のマウスに関して体重減少の違いは観察されなかった(図37−A)。LL−TSLPの経口投与は、D4にてDAIを有意に減少させ、TSLP分泌L.ラクティスが大腸炎の臨床徴候、特に糞便の軟化及び出血、を遅らせたことを示した(図37−B)。7日間の炎症後に、結腸組織を取り除いて、いくつかの炎症マーカーを分析した。組織学的スコアは、TSLPの存在下で低下し(図37−C及びD)、LL−TSLPの経口投与による腸上皮の保護を実証した。結腸洗浄液中の炎症誘導性サイトカインIFN−γの濃度もまた、LL−TSLPを用いた経口処置後に減少した(図37−E)。発明者らが、これらの結腸洗浄液中で、炎症誘導性IL−12及び抗炎症性IL−10の濃度において少しも違いが検出されなかった(データ未掲載)、彼らはまた、MLNsからの活性化細胞の上清中の有意ではないが(p=0.053)、TGF−βの増大を観察した。2つの条件間で、MLNsからの活性化細胞の上清中のIFN−γ、IL−5、IL−17又はIL−22濃度における違いは検出されなかった(データ未掲載)。

TSLPは、炎症の開始においてDAIを減少させたが、回復期には減少させなかった 治癒プロセスにおけるTSLPの関与を試験するために、発明者らは、急性炎症実験に続いて、5日間の水から成る回復期を実施した。2群のマウスを、炎症並びに回復期間に並行して、大腸炎の7日前に、LL−WT又はLL−TSLPで処置した。経口TSLP投与は、体重減少を軽減することなく、そしてそれは、2群のマウス間で約20%であったが(図38−A)、先に見たように、LL−TSLPは、炎症の早期(D4)にDAIを有意に(P<0.01)減少させ(図38−B)、TSLPが後期炎症及び回復期に効果がないことを示唆する。

炎症早期におけるTSLP送達は、体重減少及びDAIを減少させた 早期の大腸炎に対するTSLPの効果を正当であると確認するために、発明者らは、LL−WT、LL−TSLPで処置したマウス群、並びにD−7からD4までのLL−TSLP経口投与とそれに続く、D5からD12までのLL−WTの経口投与に相当する、LL−TSLPフェーズ1と呼ばれる第三の群に対して、急性炎症とそれに続く回復期を実施した(図39−A)。先に示したように、LL−TSLP条件とLL−WT条件との間の体重減少の違いは有意でなかった。彼らは、マウスに早期TSLP送達を与えたときに体重減少の低下を観察し、そしてそれは、LL−WT条件と比較して、D11及びD12にて有意に(それぞれP<0.01及びP<0.001)異なっていた(図39−B)。更に、発明者らは、LL−WT DAIと比較して、D5及びD7にて有意な(P<0.05)違いがある、LL−TSLPフェーズ1群におけるDAIの増大の低下を観察した(39図−C)。組織学的スコアは、LL−WT群と比較し、LL−TSLPフェーズ1群において有意に低下したが、LL−TSLP群ではそうではなかった(図39−D)。D12では、MLNからの細胞は活性化したが、我々には、3種類の細菌処置の間でこれらの細胞上清中のTGF−β分泌の少しの違いも検出されなかった(図39−E)。しかしながら、発明者らは、LL−WT又はLL−TSLPフェーズ1と比較して、LL−TSLP投与を用いた、IL−17分泌の有意な(P<0.01)減少に気付いた(図39−F)。これらの結果は、TSLPを炎症の早期で送達したときの、一部の大腸炎症状の減少/改善を実証する。

TSLPは、大腸炎の早期におけるTreg増殖を誘導する 大腸炎の早期に対するTSLPの効果を理解するために、発明者らは、大腸炎の4日目及び12日目にMLNのTreg割合を分析した。4日目において、対照LL−WTと比較して、マウスにLL−TSLPを給餌したとき、CD4+集団中のCD25+FoxP3 Tregのパーセンテージは有意に高かった(図40−A)。この違いは、D4にLL−TSLP処置マウスとLL−WTとの間で観察されたDAIスコアの違いと合致した(データ未掲載)。CD4+集団中のCD25+FoxP3 Tregのパーセンテージにおける違いは、12日目に3つの群の間で観察されなかった(図40−B)。

考察 この試験では、大腸炎の処置におけるTSLPの腸粘膜投与の効果を、遺伝子組み換えL.ラクティス菌株LL−TSLPを使用して調査した。炎症に対するTSLPの潜在的保護効果を更に理解するために、発明者らは、可溶性の機能的なTSLPを産生する乳酸菌(LAB)の経口投与による腸粘膜レベルへのTSLP送達のためのストラテジーを開発した。彼らは、TSLPを産生するラクトコッカス・ラクティス菌株、LL−TSLPを構築し、そして、特徴づけした。健常なマウスにおける2週間のLL−TSLP経口投与後に、彼らは、腸間膜リンパ節からの抗CD3/抗CD28刺激細胞におけるTGF−β産生の増大を観察した。急性DSS誘導炎症モデルにおいて、彼らは、7日間のDSSの後、LL−TSLPで処置したマウスのDAIが、体重減少の変化がないもかかわらず、7日間の炎症中に低くなる傾向があることを示した。彼らは、D4にてこのスコアの有意な低下を観察し、大腸炎開始時の臨床徴候、特に糞便の軟化及び出血、を遅らせるLL−TSLPの能力を実証した。更に、彼らは、組織学的スコアによって計測される結腸組織健全性が、TSLP処置マウス内では障害されにくいことを示した。LL−TSLPの経口投与は、炎症誘導性サイトカイン、IFN−γの分泌を低減し、LABによって分泌されるTSLPが化学的処置によって誘導された損傷から腸管上皮を保護し、そして、炎症を調節することを示した。

回復期中のLL−TSLPの効果を評価するために、発明者らは、急性大腸炎モデルに続いて、5日間の寛解を実施した。すべて実験(炎症+回復期)に並行して、TSLPをLL−TSLPによって送達した。それらは、5日間の水の後に、体重減少及び組織学的スコアに少しの違いも示さなかったが、我々は、炎症のD4において早期のDAIの減少を確認した。回復期は複雑なプロセスであるため、TSLPの添加は、炎症マーカーの減少又は腸管上皮修復を加速するのに十分でないように思える。

次に、発明者らは、LL−TSLPを用いた早期処置が炎症マーカーを低減するのに十分であり得ると仮定した。A群のマウスに、大腸炎の誘導前の7日間及び誘導後の4日間、LL−TSLPを与え、続いて、実験終了までLL−WTを与えた。D4までの、早期の管腔におけるTSLP送達は、LL−WTと比較して、体重減少を低減させ、及びD11及びD12において体重増加を有意に増強した。そのうえ、それは、DAIを遅らせ、且つ、減少させ(D5及びD7にて有意)、及び組織学的スコアを低減した。そのため、発明者らは、疾患の遅延、並びに低い重症度によって実証されたとおり、短期、且つ、早期のTSLP処置が、より長期の処置に比べて、大腸炎に対する優れた保護を可能にしたと結論づけた。

TSLPの添加が炎症の早期において結腸保護につながる機構を把握するために、発明者らは、D4においてマウスを屠殺した。このとき、彼らは、LL−TSLPで処置したマウスにおけるCD4+CD25+Foxp3+細胞のより高い割合を観察し、疾患発生の遅延におけるTreg細胞の役割を示唆した。ヒトでは、TSLPで成熟させたDCは、CD4+CD25+Foxp3+細胞の増殖及び分化を誘導することができる。

発明者らは、管腔へのTSLPの添加が、疾患の遅延につながるTreg細胞の数の上昇によって腸の恒常性の促進を可能にすると仮定した。TSLPの放出は、Treg分化に対して直接的又は間接的に作用する可能性がある。確かに、TSLPは、数種類のクローディン及びオクルジンを増強することによって肺上皮細胞のタイトジャンクションを補強できる。このように、TSLPは、腸上皮の健全性を保護し、且つ、上皮細胞によるレチノイン酸及びTGF−βの放出、並びにTreg増殖を増強し得る。

最後に、TSLP発現は、クローン病患者の結腸組織において低減し、そして、これらの患者が胃腸内の寛容原性DCsを促進しないことに関連し得る。小腸上皮細胞によるTSLP分泌は、共生細菌及びプロバイオティクス細菌に依存し、且つ、それらによって調整される。クローン病に対する新規処置法は、糞便の移植である。将来、腸の恒常性及びより長い寛解期間を促進するために上皮細胞によるTSLP分泌を増強できる、プロバイオティクスを用いてTSLP発現を回復するか又は実際の処置を完成させる糞便の移植を標的とすることは、非常に興味深いことであり得る。

実施例3:インビボにおける、IL−25を発現する遺伝子組み換えL.ラクティス菌株の免疫調節性及び予防効果の評価 並行して、発明者らは、LL−TSLP菌株及び別のもの:DNBSモデル、を用いて樹立した様々なマウス大腸炎モデルにおける、LL−IL−25菌株の効果を試験するために、同一の実験(実施例2の材料と方法を参照)を実施した。急性DSS誘導大腸炎中、LL−IL−25はまた、大腸炎の開始時に処置された炎症を起こしているマウスにおいて臨床徴候を遅らせることもできた。発明者らは、LL−IL−25がTh2反応を強力に誘導することを観察した。このプロジェクト開始時に、彼らは、Th2反応を誘導することが、マウスにおけるTh1又はTh17誘導大腸炎を軽減し得ると仮定した。しかしながら、彼らは、Th2誘導因子サイトカイン(IL−25)を分泌するL.ラクティス菌株は、この応答を駆動できるが、炎症からマウスを保護するには十分でないことを観察した。

DSSモデルは、先天性免疫応答を特徴づけるために頻繁に使用される。この理由で、発明者らは、別の炎症モデル:Th1炎症を駆動することが知られているDNBS誘導大腸炎、を試験することを決めた。彼らは、マウスにおける直腸内DNBS注射によって炎症を誘導した。またしても、炎症が重症過ぎたので、数匹のマウスが死滅した。彼らには、IL−25分泌菌株を給餌した群の死滅は観察されず、LL−WTを給餌した群と比較してLLIL−25の保護的役割を示唆している。そのうえ、LL−IL−25の強制給餌は、D1におけるより少ない体重減少を可能にし、さらに、結腸組織のよりわずかな肥大も観察され、炎症の軽減におけるLL−IL−25の重要な役割を示唆している。結論として、これらの最初の予備的な結果は、非常に有望である。

表1:この試験に使用した菌株及びプラスミド

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