Beneficial strains in the biological-derived Lactobacillus salivarius and it from the resulting antimicrobial agent

申请号 JP53406598 申请日 1998-02-11 公开(公告)号 JP4743925B2 公开(公告)日 2011-08-10
申请人 エンタープライズ アイルランド トレーディング アズ バイオリサーチ アイルランド; ユニヴァーシティ カレッジ コーク‐ナショナル ユニヴァーシティ オブ アイルランド コーク; 发明人 ジェラルド クリストファー オサリヴァン; マリアン メアリー ジェラルダン オサリヴァン; ジョン ケヴィン コリンズ; ジェラルダン メアリー ソーントン;
摘要 A strain of Lactobacillus salivarius isolated from resected and washed human gastrointestinal tract inhibits a broad range of Gram positive and Gram negative microorganisms and secretes a product having antimicrobial activity into a cell-free supernatant. The activity is produced only by growing cells and is destroyed by proteinase K and pronase E, the inhibitory properties of the strain and its secretory products being maintained in the presence of physiological concentrations of human bile and human gastric juice. The strain exhibits a broad-spectrum of activity against bacteria including Listeria, Staphylococcus, including methocillin resistant St. aureus (MRSA), and Bacillus, but does not inhibit many closely related lactobacilli. An antimicrobial agent is obtained from the strain which has bacteriocin-like properties.
权利要求
  • 菌株の生物学的に純粋な培養物であって、切除し、および洗浄したヒト消化管より分離され、およびそれに対し付着性である 菌株UCC1(NCIMB40830)およびUCC118(NCIMB40829)から選ばれるラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)の菌株のものであり、広範囲のグラム陽性およびグラム陰性の微生物を抑制し、および無細胞上清に抗菌活性を持つ産物を分泌し、前記活性は、細胞の増殖によるだけで生産され、そしてプロテイナーゼKおよびプロナーゼEにより破壊され、前記菌株およびその分泌産物の抑制特性は生理的濃度のヒト胆汁およびヒト胃液の存在下で維持され、菌株は、リステリア(Listeria)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)およびバシラス(Bacillus)を含む細菌に対する活性の広域スペクトルを見せるが、多くの近縁関係にある乳酸菌類は抑制されない、培養物。
  • 請求項1に記載のラクトバシラス・サリバリウスの菌株をプロバイオティクスとして含む、健康 食品
  • 請求項1に記載のラクトバシラス・サリバリウスの菌株UCC118より 得られる 、下記の特性、すなわち(i)5.0−5.3kDaの分子量、
    (ii)45%より多くの疎水性アミノ酸、19−21%のグリシン、13−14%のアラニンおよび11−12%のロイシンを持ち、トリプトファンまたはチロシンはなく、1つのメチオニンおよび4つのプロリンの残基を持つ相対アミノ酸組成、
    (iii)アミノ末端、またはアミノ末端近傍での配列番号1のアミノ酸配列、および(iv)配列番号2のアミノ酸配列の具備を持つ、 抗菌活性を有するバクテリオシンABP118
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明の分野
    本発明は、食物材料の中又は薬剤の中において、種々の使用方法がある抗生物質を産生可能な、生体に有益な(probiotic)細菌株に関する。 より特異的には、本発明は、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)由来の生体に有益な(probiotic)菌株、及び当該菌株より得られ、バクテリオシン様の性質を有する、ペプチド抗菌剤に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    背景技術
    この10年間において、ヒトの生体に有益な物質の分野において、多くの研究がなされてきた(Huis in't Veld et al.(1994)Tibtech 12,6-8の総説参照)。 この研究は、健康と福祉に対して公衆の関心が向けられた事により、推進されてきた。 多くの生体に有益な産物が、市場において現在入手可能であり、それらの生産物より得られる有効な効果のいくつかは、乳糖非耐性の緩和(Gilliland,SE(1990)FEMS Microbiol.Rev.87,175-188)から、下痢の防止(Marteau,P.et al.(1993)FEMS Microbiol.Rev.12,207-220)、また発癌の防止の可能性にまで及ぶ(Adachi,S.(1992)「健康と病気における乳酸菌」(Wood,Ed.),233-262,E lsevier,Barking)。 標準的な方法がない為に、これらの有用な結果の多くには違いがあり、「生体に有益」な細菌を含む培養生産物の、有用であるかもしれない効果に関して、矛盾した結果が発表されている。
    【0003】
    菌株の選択の幅があまりない事が、結果の不一致とバラツキに関与している因子の一つである、と言われており(Marteau,P.et al.(1993)pupra)(Kim,HS(1988)Cult.Dairy Prod.J.23,6-9)、またFuller,R.(Fuller,R.(1989)J.Appl.Bact.66,365-378)は、生体に有益な菌株の単離を成功させる事に関する基準の概略を述べた。 その菌株は、意図する宿主種が元来有している物でなければならず、また、(i)その宿主中において生存し、かつ生育し;(ii)標的部位において、有益な効果を示し;(iii)産物の製造及び貯蔵を通じて、担体の食物またはシステムの中に保存する事が可能である、という能も有する必要がある。
    【0004】
    生体に有益な物質を含む健康増進製品の市場は早急に拡大している。 その様な製品が数多く、現在入手可能である(Jong,SCand Birmingham,JJ,(1993)ATCC Quart.Newslett.13(1),1-11)。 それらの製品のうち、最も重要な部分の一つは、微生物を用いたものである。 最も頻繁に用いられている種には、ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium sp.)、ラクトバシラス種(Lactobacillus sp.)及びプロピオニバクテリウム種(Propionibacterium sp.)が含まれる(O'Sullivan,MG,et al.(1992)Trends in Food Sci and Tech.3(12)309-314)。 その様な製品において現在用いられている生物は、消化管菌相に対して有益な効果を有する生物である、という事について、制御された試験による実質的な証拠が欠けている(Tannock,GW(1983)In Human Intestinal Microflora in Health and Disease 517-539 DJHentges(ed.),New York,Academic Press)。 微生物の起源は、その微生物の生存において重要であり、それゆえにヒト消化管におけるその微生物の機能においても重要である。 Lee,YK及びSalminen,S.は(Lee,YK及びSalminen,S.(1995)Trends Food Sci.Technol.6,241-245)、一般的な要件として、生体に有益な菌株はヒト由来でなければならないと述べており、それは、いくつかの健康増進効果は種依存的である可能性があるからである。 常在微生物叢は、異種の侵入細菌の感染よりヒトを守る、主要な防御機構の一つであり(Tancrede,C.(1992)Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.11(11),1012-1015)、免疫システムを支持している時にはヒトの最高の同盟者でもある事が、良く知られている。 異なったレベルの消化管における細菌の集団により、宿主の生理及び細菌間の相互作用に依存した、複雑な生態系が構成されている。
    【0005】
    Brinkら(Brink et al.(1994)Journal of Applied Bacteriology 77 140-148)は、多数(〜1000)のラクトバチラス菌株を単離して、抗微生物活性の作成についてスクリーニングした。 種々の発酵した食物及び飼料(ザワークラフト、チーズ、ソーセージ及びサイレージ)、ヒトの歯垢及び異なった実験動物(ラット、マウス、モルモット及びウズラ)及びヒトのボランティアより得た糞より、ラクトバチルスを単離した。 陽性菌株が8つだけ見つかり、その内2つ、即ちラクトバシラス・サリバリウスM7(Lactobacillus salivarius M7)及びラクトバシラス・アシドフィラスM46(Lactobacjllus acidophilus M46)について研究した。 前者の菌株は、広いスペクトルのバクテリオシンであるサリバリシンB(salivaricin B)を産生し、サリバリシンBはリステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)、ブロコリックス・テルモスファクタ(Brochothrix thermosphacta)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)および多くのラクトバシラスの生育を阻害する。 L. アシドフィラスM46(L.acidophilus M46)は、バクテリオシンであるアシドシンB(acidocin B)を生成し、アシドシンBは、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)の阻害と結びついているが、ラクトバシラス属における活性スペクトルは非常に狭い。 しかしながら、これらの菌株は、感染した宿主種が元来有しているものではなく、宿主が元来有している事は、ヒトに用いる生体に有益な菌株として成功するための基準の一つである。
    【0006】
    Arihara,K.ら(Arihara,K.et al.(1996)Letters in Applied Microbiology 22,420-424)は、ラクトバシラス・サリバリウス亜種サリチニウスT140(Lactobacillus salivarius subsp.salicinius T140)由来のバクテリオシンである、サリバシン140(Salivacin 140)を単離した。 T140菌株は、動物の放牧場近くで生育した、日本の草原の牧草の葉の表面より単離され、そのため、その菌株は動物の糞に由来しているように思われる。
    【0007】
    前述した基準に合う、生体に有益な菌株が必要とされている。 ラクトバシラスによるバクテリオシンの生産は、病原体およびヒトの腸管における他の望ましくない微生物の競合的な排除に重要な役割を果たしていると思われる。 バクテリオシンは、広範囲の微生物に対して殺菌効果を示す蛋白質様の化合物として、広く定義されている。
    【0008】
    ラクトバシラスの種と棲息地は多様であるため、乳酸菌の中において、ラクトバシラスのバクテリオシン産生性は最も高い。 ラクトバシラスにより産生された、40ものバクテリオシンが、現在単離されている(Klaenhammer,TR(1993)FEMS Microbiol.Rev.12,39-86)。
    【0009】
    バクテリオシンは、ヒトの幼児の糞より単離されてきた。 しかしながら、バクテリオシンの宿主の範囲は狭く、他のラクトバシラス種に対してのみ活性を有している事が判った(Toba,T.et al.(1991)Lett.Appl.Microbiol.12,228-231)。
    【0010】
    広いスペクトルの活性を有するバクテリオシンが求められている。
    【0011】
    発明の開示
    本発明は、切除され、洗浄されたヒトの消化管より単離された、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)の菌株を提供する。 当該菌株は、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性の微生物を抑制し、また無細胞上清に抗菌活性を有する生成物を分泌し、前記活性は生育している細胞によってのみ産生され、またプロテイナーゼK及びプロナーゼEにより破壊される。 前記菌株の阻害活性及びその分泌産物は、生理的濃度のヒト胆汁及び胃液の存在下で維持される。
    【0012】
    好ましくは、本発明のラクトバシラス株は、リステリア、スタフィロコッカス及びバシラスを含む細菌に対して、広いスペクトルの活性を示すが、多くの密接に関連したラクトバシラスについては抑制しない。
    【0013】
    二種の、特に好ましい菌株は、ラクトバシラス・サリバリウス株UCC1(1996年11月27日にナショナルコレクション オブ インダストリアル アンド マリン バクテリア リミテッド(NCIMB)に寄託され、アクセッションナンバーNCIMB40830を与えられた)、及びラクトバシラス・サリバリウスUCC118株(1996年11月27日にNCIMBに寄託され、アクセッションナンバーNCIMB40829を与えられた)、及び同様の性質を有するそれらの突然変異体又は変異株である。
    【0014】
    本発明のラクトバシラス・サリバリウス株より分泌される抗菌産物は、前記菌株と関連したプラスミド又は他の染色体外存在物の発現産物であるかもしれない。
    【0015】
    本発明はまた、先に生体に有益な物であるとして規定した、ラクトバシラス・サリバリウス株を含む健康増進製品を提供する。
    【0016】
    本発明のラクトバシラス・サリバリウス株は、ヒトの消化管(G.I.T)の虫垂及び大腸、小腸部位より、再生手術の間に単離したものである。
    【0017】
    本発明の菌株を単離するのに好適な部位は、小腸である。 培養の維持が困難であることが判った細菌は、すべて廃棄した。 それらの細菌は、処理又は製造の条件下で働くのに適さないであろうと思われるからである。
    【0018】
    このようにして、ラクトバシラス・サリバリウスの特定の菌株が同定され、その菌株は、現在使用されている生体に有益な菌株の多くと比較した場合、ヒトG. I. Tにおいて生存する可能性が高いであろうと思われる。
    【0019】
    本発明の菌株は、接着アッセイを行った時に、Caco−2及びHT−29細胞系の両者に対して高い接着性を有する事が見出された。
    【0020】
    本発明のラクトバシラス菌株は、2.0という低いpHで生存する事が可能である。 生体に有益な菌株が消化管にコロニーを形成して生育する前に、胃の厳しい酸性条件の中を通過しなければならない。 胃を通過して腸に達する間に細菌が生存するかを決定するのに、4つの主要な因子があり、すなわち、胃液のpH、食物の緩衝能、胃が空白になる速度、細菌それ自身の量および生理的な状態である。
    【0021】
    胃酸は、宿主の重要な防御機構に関係しており、小腸上部において細菌の数を少なく保つ事に関与し、病原微生物による感染に対する抵抗性を助けている(殺菌活性)。 胃液において、細菌の生存に影響する鍵となる因子は、pHである。
    【0022】
    生体に有益な菌株が低いpHに耐性を有する機構は、胃を通過する間に生存する能力のために重要である。 低いpH値で試す前に、本発明のラクトバシラス菌株の細胞を、緩衝培地中でインキュベーションする時間を延長すると、その菌株はpH2.0で感受性を有する事が見られた。 この観察は、後に例示するように、耐性を獲得するために、これらの菌株は誘導可能な酸耐性機構を有している事を示している。
    【0023】
    本発明のラクトバシラス菌株はまた、高い胆汁耐性を有する。 胆汁酸に対する耐性は、G. I. Tの厳しい環境中において生存するのに必要とされる、重要な生物学的菌株の特徴である、とみなされている。 ヒトの腸の中において、微生物が健康増進能を有するためには、それらの菌株は存在している胆汁酸の、潜在的な致死的効果に抵抗できなければならないだけでなく、デオキシコール酸(DCA)及びリトコール酸(LCA)のような毒性化合物を生産することにより宿主の健康を侵してはならない。 デオキシコール酸(DCA)及びリトコール酸(LCA)は、多くの細胞障害現象に関与している。
    【0024】
    本発明はまた、本発明のラクトバシラス・サリバリウスの菌株より得られた抗菌因子を提供し、その物質は先にバクテリオシン様の性質を有すると規定した。
    【0025】
    好ましくは、本発明の抗菌物質は、下記の性質:
    (i)30から100kDaの間の見かけの分子量;
    (ii)熱安定性;
    (iii)広い範囲のpHへの耐性;
    (vi)界面活性剤処理に対する耐性;
    (v)有機溶剤に対する耐性;
    (vi)プロテイナーゼK、プロナーゼE、トリプシン、α−キモトリプシン、フィチン及びパパインを含む蛋白分解酵素に対する感受性;及び(vii)リパーゼ、カタラーゼ、アルカリホスファターゼ、フォスフォリパーゼC及びリポプロテインリパーゼに対する耐性を有する。
    【0026】
    本発明によるラクトバシラス・サリバリウスの菌株の2種類、すなわちL. サリバリウス株UCC1、及びL. サリバリウスUCC118株につき、4種の指標となる菌株に対する生物活性をスクリーニングした。 それら指標となる菌株は、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonoas fluorescens)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバシラス・フェルメンタムKLD(Lactobacillus fermentum KLD)である。 これらの菌株を緩衝培地において試験すると、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)及びラクトバシラス・フェルメンタムKLD(Lactobacillus fermentum KLD)の指標菌株に対して阻害的である事が見出された。 阻害実験により、それら2種の菌株は、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性微生物を阻害する事が示された。 両者の菌株は、無細胞上清中に抗菌活性を分泌し、この活性はプロテイナーゼK及びプロナーゼEにより破壊された。 そこで、これらの化合物は、バクテリオシンであるとみなされた。
    【0027】
    L. サリバリウス株UCC1、及びL. サリバリウスUCC118株は、分泌性蛋白質様化合物を生産し、それらの物質は、それぞれABP1及びABP118という暗号名を与えられた。
    【0028】
    ABP1及びABP118は、リステリア、スタフィロコッカス、及びバシラスを含む細菌に対して、非常に広範囲の活性を示すが、密接に関連したラクトバシラスは阻害しないが、L. フェルメンタムKLD(Lactobacillus fermentum KLD)、又はリュウーコノストック(Leuconostoc)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)のような他のLABは,その例外である。 これはバクテリオシンが普通に有する特徴ではなく(Klaenhammer,TR(1993)supra)、これらの菌株を生体に有益な物質として使用するにあたっての利点であるように思われる。 なぜなら、それらの菌株は望ましくない微生物と競合するであろうが、近接した菌株とは競合しないからである。 それらの菌株の他の珍しい特徴は、シュードモナス種に対するそれらの拮抗的活性である。 これは、グラム陽性細菌にとって、珍しい特徴である。
    【0029】
    UCC株1及び118は、それぞれの蛋白質様化合物である、ABP1及びABP118よりもずっと広い活性スペクトルを有している。 これは、生きている細胞が、ABP1/ABP118を増強するか又は相乗的に作用して、標的細胞を抑制する産物を生産している事を示しているのかもしれない。
    【0030】
    ABP1及びABP118は、同一のバクテリオシンではないが(それらは異なった阻害スペクトルを有する)、非常に似ている。 なぜなら、それらは両者ともLABに対して活性を有さず、それぞれの生産者は、他者のバクテリオシンの活性に対して免疫となる。 交差免疫性は、これらのバクテリオシンが、同じ様に作用している事を示しているかもしれない。 ABP118は、いくつかのメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(S.aureus:MRSA)、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)及びシードモナス・フルオレッセンス(P.fluorescens)菌株に対して活性である。 バクテリオシンによるMRSAの阻害の報告は、今日まで文献中に存在しない。
    【0031】
    本発明は、抗菌物質の精製画分もまた提供する。 その抗菌物質は、先にABP118であると同定されたものであり、下記の性質を有する:
    (i)5.0−5.3kDaの分子量であり、;
    (ii)45%以上の疎性アミノ酸を含有し、19−21%のグリシン、13−14%のアラニン及び11−12%のロイシンを含有し、トリプトファン又はチロシンを含有せず、一つのメチオニン残基及び4つのプロリン残基を含有する、相対アミノ酸組成であり、;
    (iii)アミノ末端、又はアミノ末端近傍における-Lys-Arg-Gly-Pro-Asn-C(配列番号1)のアミノ酸配列;及び(iv)アミノ酸配列Asn Met Lys Arg Gly Pro Asn Cys Val Gly Asn Phe Leu Gly Gly Leu Phe Ala Gly Ala Ala Ala Gly Val Pro Gln Gly Pro Cys(配列番号2)を含む。
    【0032】
    抗菌物質ABP118は、後に述べて例示する、非常に広いスペクトルの活性を有する。
    【0033】
    本発明は、抗菌物質の精製画分もまた、提供し、その物質は先にABP1と同定され、下記の性質を有する:
    (i)5.3−6.1kDaの分子量;及び(ii)28−30%以上の疎水性アミノ酸を含有し、17%のグリシン及び12−13%のアラニンを含有し、トリプトファンは含有せず、2つのプロリン残基を含有する相対アミノ酸組成である。
    【0034】
    上記に示した様に、ラクトバシラス・サリバリウス株UCC118は、ヒト腸より単離され、抗菌蛋白質ABP118を生産し、ABP118はグラム陽性細菌及びいくつかのグラム陰性細菌に対して広範囲の阻害を示す。 ABP118は熱安定性であり、広範囲のpHにおいて耐性であり、多くの界面活性剤及び有機溶剤処理に対して抵抗性である。 ABP118は蛋白分解酵素に対して感受性であり、リパーゼ活性に対して感受性を有さない。 限外濾過により、ABP118の粗抽出物について、見かけの分子量が30−100kDaであると示唆される。 生育研究により、MRS培養液pH5.5において、ABP118は最大に生産される、と示される。 この培地よりツイーン80(商品名)又はペプトンのいずれかを除去することにより、ABP118の生産は50%低下する。 L. サリバリウスUCC118は、生理的濃度(0.3%(v/v))のヒト胆汁が存在している乳基礎培地において、ABP118を生産する。 共培養実験により、L. サリバリウスUCC118が、培養培地中でサルモネラの生育を阻害する能力を有する事が示される。 これは、ABP118を含む抗菌化合物の生産による、と見られている。
    【0035】
    バクテリオシンABP118は、牛乳蛋白質の存在下において、活性かつ入手可能な形で検出される。 そこで、本発明に基づいて、バクテリオシン生産の為の扶養培地として、牛乳を使用する事が可能である。 更に、本発明のラクトバシラス・サリバリウスの菌株は、乳製品の発酵ために使用する事ができる。
    【0036】
    上述したABP118の性質、すなわちpH、温度及び貯蔵安定性は、このバクテリオシンは食品産業及び薬品産業において価値がありそうだ、という事を示している。
    【0037】
    そこで、本発明の抗菌物質は、食品材料として使用可能である。 それは、薬剤としてもまた使用可能である。
    【0038】
    本発明の抗菌物質は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して特に有効である。
    【0039】
    後に実施例7及び8において示される様に、上記のアミノ酸配列(配列番号2)は部分ペプチドであり、そのアミノ酸配列はバクテリオシンの精製画分より決定された。 この部分ペプチドはプローブを設計するために用いられ、そのプローブにより内部遺伝子配列が同定され、そしてこの配列より80塩基対の断片が単離され、配列が決定された。 このDNA配列は推定アミノ酸配列を与え、その推定アミノ酸配列は配列番号2の同一性を支持するものである。 そこで、本発明はバクテリオシンABP118をコードするDNA配列を与え、即ち、その塩基配列は5'ATGAAACGCG GACCCAACTG TGTAGGTAAC TTCTTAGGTG GTCTATTTGC TGGAGCAGCT GCAGGTGTCC CCCAGGGCCC(配列番号6)である。
    【0040】
    【発明の実施の形態】
    本発明は、下記の実施例により、更に明らかにされるであろう。
    発明を実施するための態様
    実施例1
    生体に有益な細菌の単離
    虫垂及びヒトG. I. Tの大腸及び小腸部分を、再構成手術の間に採取し、表1に示す生体に有益な細菌株についてスクリーニングを行った。
    【0041】
    【表1】

    【0042】


    すべてのサンプルは、手術後すぐに、滅菌容器中に−80℃で貯蔵した。


    【0043】


    凍結組織を解凍し、秤量し、システインを加えた(0.05%)1/4強度のリンゲル液中に置いた。 それぞれのサンプルを穏やかに震盪し、緩く付着している微小器官を除去した(洗浄'W'と名付ける)。 続いて2番目の量のリンゲル液に移し、そのサンプルを7分間ボルテックスして、強固に付着した細菌を除去した(サンプル'S'と名付ける)。 組織に入り込んだ細菌を単離する為に、サンプルA、B及びCを、ブラウンブレンダー中でまたホモゲナイズした(ホモゲネート'H'と名付ける)。 その溶液を系列的に希釈し(洗浄したサンプル由来の10

    -1希釈物をW1とラベルし、10

    -2希釈物をW2とラベルし、同様のラベリングシステムを、'S'及び'H'サンプルに用いた)、下記の寒天培地に広げて平板培養した(100μl)。 それらの培地は、RCM(reinforced clostridial media:強化クロストリジアル培地)そしてRCMは酢酸を用いてpH5.5に調製した;TRY(トリプティカーゼ、ペプトン及び酵母抽出物)(Chevalier,P,et al.(1990)J.Appl.Bacteirol 68,619-624);MRS(デマン、ロゴサ及びシャーペ(deMann,Rogosa and Sharpe));ROG(ロゴサ(Rogosa)の酢酸培地(SL));LLA(ラピエレ(Lapiere)の肝臓−乳糖寒天);BHI(脳心臓抽出寒天);LBS(ラクトバシラス選択的寒天)及びTSAYE(0.6%の酵母抽出物を添加した、トリプトンソーヤ寒天)である。 すべての寒天培地は、TPY寒天を除き、オクソイド・ケミカルズより提供された。 プレートを、炭酸ガス発生キット(Anaerocult A,Mreck)を用いて、嫌気的な容器中(BBL,Oxford)で、37℃で2−5日間インキュベートした。


    【0044】


    グラム陽性であり、カタラーゼ陰性の桿菌の形状又は二股/多型の細菌単離物を、純度検定のために、複合的で非選択的な培地(MRS又はTRY)の上に、すじ状にのせた。 単離物をMHS又はTRY培地中で、さもなければ一定の培地中で、嫌気性条件下において37℃で規定どうりに培養した。 ラクトバシラス種であろうと推定される物を、40%グリセロール中でストックし、−20℃及び−80℃で貯蔵した。


    【0045】


    発酵最終産物の解析


    炭水化物であるグルコースの代謝、及び引き続いての有機酸最終産物を、LKB Bromma、アミネックスHPX−87H高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを用いて試験した。 そのカラムを、流速0.6ml/min(一定流圧)で60℃に維持した。 使用したHPLCバッファーは、0.01Nの硫酸であった。 解析に先立ち、10mMクエン酸、10mMグルコース、20mM乳酸及び10mM酢酸を標準として、カラムを校正した。 培養液を、改変MRS培地中で1−2日間、37℃で嫌気的に増殖させた。 引き続いて14000gで10分間遠心し、その上清をHPLCバッファーで1:5に希釈し、200μlをHPLCで解析した。 すべての上清を、2点(duplicate)で解析した。


    【0046】


    生化学的及び生理学的特性解析


    同定の助けとするために、細菌単離物の生化学的及び生理学的特徴を決定した。 硝酸還元能、インドール生成能及びβ−ガラクトシダーゼ活性をアッセイした。 15℃及び45℃の両者における生育、塩化ナトリウムの濃度を5.0%まで増加させた中での生育、ゼラチン上でのプロテアーゼ活性を決定した。 リトマスミルクの中における生育特性もまた、評価した。


    【0047】


    種の同定


    菌株の炭水化物発酵のプロファイルによりラクトバシラス種を同定するために、API50CHL(バイオメリエウックスSA、フランス)システムを用いた。 MRSを一晩培養したものを遠心分離で回収し、キットと共に供給された懸濁培地中に再懸濁した。 製造元の取り扱い説明書に従い、APIストリップを植えつけて、解析した(24又は48時間後)。 ラクトバシラス種の同定は、全細胞蛋白質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)解析により確認した。


    【0048】


    酵素活性のプロファイル


    ラクトバシラス単離物により生産される構成的酵素の半定量測定に、API ZYM(バイオメリエウックスSA、フランス)システムを用いた。 対数増殖後期にある細菌細胞を、14000gで10分間遠心分離して回収した。 沈殿した細胞を、50mMリン酸バッファー、pH6.8で洗浄し、その中に再懸濁し、同じ光学強度とした。 ストリップを製造元の取り扱い説明書に従って植えつけて、37℃で4時間インキュベートし、発色を記録した。


    【0049】


    抗生物質感受性プロファイル


    単離物の抗生物質感受性プロファイルは、「ディスク感受性」アッセイを用いて決定した。 培養液を、適切な培養培地中において生育させ、寒天培地上に広げて平板培養し(100μl)、既知の濃度の抗生物質を含むディスクを寒天上に置いた。 嫌気的条件下において1−2日インキュベートした後、菌株の抗生物質感受性を試験した。 1mm又はそれ以上の阻害の範囲が見られたら、菌株が感受性であると見做した。


    【0050】


    プラスミドプロファイル解析


    10種のラクトバシラス種のプラスミドプロファイルの解析を、以下の改変をした可溶化方法(Anderson,DLand McKay LL,(1983)Appl.Env.Microbiol.46.549-552)を用いて行った。 細菌細胞を、4mMのDL−スレオニンを添加した100mlのMRS培地中に稙え込んで(4%)、4−5時間インキュベートした(対数期中期)。 遠心により回収した細胞を、プラスミドDNAの調製に、すぐに使用した。 可溶化段階の前に、リゾチーム(10mg/ml)及びムタノリシン(10μg/ml)を細胞懸濁液中に添加し、37℃で1時間、続いて4℃で30分間インキュベートした。 5Mの塩化ナトリウムを添加した後、ライゼートを氷上に30分間置いた。 DNAを、0.7%の垂直アガロースゲル上、トリス酢酸緩衝液中で、100Vで4−5時間電気泳動を行った。


    【0051】


    ラクトバシラス種の単離


    ヒトG. I. Tより採取した7つの組織部位につき、ラクトバシラス属に属する菌株が存在しているか、スクリーニングを行った。 下記のように、組織サンプルの間で、いくらかの差異があった。 サンプルA(回腸)及びE(虫垂)における数は最も少なく、1グラムの組織につきおよそ10

    2の細胞が単離された。 それと比較して、他のサンプルから、1gの組織より10

    3 cfu以上が回収された。 似た様な数の細菌が、'洗浄'及び'サンプル'段階の間に単離され、F(回腸)及びG(回腸−盲腸)の'サンプル'溶液において、やや高い数となった。 強固に接着した細菌(ホモゲナイズされた)をスクリーニングした中では、C(回腸−盲腸)のみが有意な数を与える組織部位であった。


    【0052】


    いくつかの組織部位、例えばC及びB)のスクリーニングを行う間において、希釈系列の中で、得られた計測数の間に直接的な相関関係が存在しなかった。 これは、血液又は組織のいずれかに由来するいくつかの成長因子が、最初の懸濁液中の増殖が難しい細菌を生育させるために、与えられているであろう事を示しており、その懸濁液は続いて希釈される。


    【0053】


    菌株の選択及び特性解析


    異なったサンプルに由来する、およそ1500のカタラーゼ陰性の細菌単離物を選択し、それらのグラム反応、細胞の大きさ及び形態、15℃と45℃における生育、及びグルコース由来の発酵最終産物の点につき、特性解析を行った。 試験した単離物の60%以上はグラム陽性であり、発酵の性質が同一の球菌であり、その四連球菌、鎖、又は房のいずれかが改変されたものであった。 単離物の18パーセントはグラム陰性桿菌及び発酵の性質が異なる球菌細菌であった。 残った単離物(22パーセント)は、非常に発酵の性質が似ている球菌細菌であった。 38パーセントの菌株につき、より詳細に特性解析した。 13の単離物はG由来であり、4つはF由来、8つはD由来、9つはC由来、3つはB由来、1つはE由来である。 38の単離物はすべて、硝酸還元能及びトリプトファンからのインドール生産能の両方につき陰性であった。


    【0054】


    種の同定


    API 50CHLにより、ラクトバシラス単離物の迅速な同定が可能であった。


    【0055】


    7つの単離物は、その炭水化物発酵のプロファイルにつき、サリバリウス(salivarius)種の非常に典型的なものであった。 7つすべてがフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース及びラフィノースを、効率的に発酵した。 どれもアミグダリンを発酵しなかった。 いくつかの差異はあった:4つの菌株はリボースを発酵し、2つはラクトースの利用につき陰性であり、3つの単離物はラムノースを部分的に発酵した。 それらは、しかしながら、サリバリウス種では一般的な特徴ではない(ベルゲイのマニュアル)。 3つの単離物は、ラクトバシラス・カセイ亜種カセイ(Lactobacjllus casei subsp.casei)と類似した発酵プロファイルを有していた。 それらはリボース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、アルブチン、セロビオース、ラクトース、サッカロース、タガロース及びグルコネートを発酵した。 しかしながら、どれもゲンチビオース又はツラノースを発酵せず、一つの菌株はソルビトール及びアミグダリン上での生育につき陰性であった。 3つの単離物はグリセロールを発酵し、それはカセイ亜種カセイ菌株の20パーセントに共通する特徴である。 5つの単離物を、プランタラム(plantarum)/ペントサス(pentosus)グループに、仮に分類した。 それらはリボース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、ラクトース、セリビオース及びエスキュリンの発酵について陽性であった。 全てではないが、2つはメレジトースを発酵し、4つはトレハロースにつき陽性であり、2つはタガロースにつき、1つはグルコネートにつき陽性であった。 全ての菌株はL−アラビノースを発酵したが、D−アラビノースを発酵したのは一つだけであった。


    【0056】


    ラフィノース上で生育できるものは無かった。 ラクトバシラス種の全細胞蛋白質を、SDS−PAGEで解析したところ、2つの主要な種であるサリバリウス(salivarius)及びパラカセイ(paracasei)である事が明らかとなった。


    【0057】


    表2には、菌株同定の概略が含まれている。 表2の中、及び続きの表3−6、及びそれと関連した記述の中において、ラクトバシラス菌株について、接頭語であるUCCは除いてある。


    【0058】


    【表2】


    【0059】


    酵素活性プロファイル


    試験した17のラクトバシラス種の酵素活性プロファイルを実行し、その結果は下記の様である。


    【0060】


    どの菌株も、リパーゼ、トリプシン、α−キモトリプシン、β−グルクロニダーゼ、α−マンノシダーゼ又はα−フコシダーゼ活性を示さず、弱いβ−グルコシザーゼ、N−アセチル−β−グルコサミナーゼ活性が3つの菌株により観察された(43332、43338、43364)。 試験したすべての菌株は、強い酸フォスファターゼ活性(平均5.0)を有し、フォスフォヒドロラーゼ及びアルカリフォスファターゼ活性はそれより弱く菌株により差異が大きい、という特徴を有していた。 顕著なβ−ガラクトシダーゼ活性が、17の菌株のうち9つに発現したが、α−ガラクトシダーゼ活性が殆どない事は明らかであった。 中程度から高度のロイシン、バリン及びシスチンアリルアミダーゼ活性が観察された。


    【0061】


    抗生物質感受性プロファイル


    ヒトの臨床において重要な抗生物質を使用して、選択したラクトバシラスの感受性プロファイルを確認した。 試験したラクトバシラスは、アンピシリン(ampicillin)、アモキシシリン(amoxycillin)、セフタキシム(ceftaxime)、セフトリアキソン(ceftriaxone)、シプロフロキサチン(ciprofloxacin)、セフラジン(cephradine)、リファンピシン(rifampicin)及びクロラムフェニコール(chloramphenicol)に対して感受性であった。 それらはまた、ネチルミシン(netilmicin)、トリメトプリム(trimethoprim)、ナリディクス酸(nalidixic acid)、アミカシン(amikacin)、バンコマイシン(vancomycin)及びゲンタマイシン(gentamicin)に対して耐性であった。 ラクトバシラスは、テイコプラニン(teicoplanin)及びセフティゾキシム(ceftizoxime)に対する感受性に差がある事もまた、観察された。


    【0062】


    実施例2


    菌株の由来及び維持


    使用したラクトバシラス菌株は、実施例1において述べた様に単離した。


    【0063】


    ヒト胃液


    ヒト胃液は、胃ゾンデチューブ(メルシー病院、コーク、アイルランド)を通じて吸引する事により、健康被験者より得た。 それをすぐに、13000gで30分遠心し、すべての固体微粒子を除き、0.45μm及び0.2μmのフィルターを通じて滅菌し、40mlに等分して分割し、分割したものを4℃及び−20℃で貯蔵した。


    【0064】


    実験に用いる前に、サンプルのpH及びペプシン活性を測定した。 ペプシン活性は、定量的ヘモグロビンアッセイ(Gautam,S.and de LaMotte,RS,(1989)「蛋白質分解酵素、実用的アプローチ」Proteolytic enzymes,a practical approach.Chapter 3.RJBeynon and JSBond(eds.),IRL Press,Oxford University Press;(Dawson,RM(1969)「生化学的研究のためのデータ」In Data for Biochemical Research 138.RMDawson,DCElliot and KMJones(eds.),Clarendon Press,Oxford)を用いて測定した。簡単には、等量の胃液(1ml)を5mlの基質(0.7M尿素、0.4%(w/v)ウシヘモグセビン(シグマ ケミカルCo.)、0.25M KCl−HClバッファー、pH2.0)に添加し、25℃でインキュベートした。サンプルを0、2、4、6、8、10、20及び30分の間隔で採取した。5%のトリクロル酢酸(TCA)を添加して反応を停止し、攪拌せずに30分間置いた。アッセイ混合液をその後濾過し(ワットマン、No.113)、14000gで15分間遠心し、280nmにおける吸光度を測定した。ペプシン酵素活性の1ユニットは、pH2.0で、1分間あたりA

    280 nmを、0.001ユニット増加させるのに必要な酵素量として規定し、当該酵素活性はヘモグロビンを基質として用いて、TCA可溶性生成物として測定した。


    【0065】


    低いpHにおけるラクトバシラスの生育


    ラクトバシラス菌株の生育が、胃で起こるのと同等の低いpH値で起こるかどうか測定する為に、1N塩酸を用いて、pH4.0、3.0、2.0及び1.0に調整した新鮮なMRS培地中に、一晩培養した培養液を植えつけた。 一定の間隔で同量(1.5ml)を採取し、600nmにおける光学強度(OD

    600 )を測定し、プレート計測法を用いて計算した、mlあたりのコロニー形成ユニット(cfu/ml)を測定した。 生育を、24−48時間間隔で観察した。


    【0066】


    低いpH環境中における、菌株の生存


    低いpHにおける菌株の生存を、インビトロにおいて、2つのアッセイを用いて検討した。


    (a)細胞を、一晩培養したばかりの培養液より回収し、リン酸バッファー(pH6.5)中で2回洗浄し、MHS培地中に再懸濁し、ラクトバシラスの最終濃度をおよそ10

    8 cfu/mlとした。 MRS培地は、pH3.5、3.0、2.5及び2.0に調整した(1N HClにより)。 細胞を37℃でインキュベートし、プレート計測法を用いて、5、30、60及び120分の間隔で、生存を測定した。


    (b)ラクトバシラス菌株を、緩衝したMRS培地中(pH6.0)で、毎日、5日間増殖した。 細胞を回収し、洗浄してpHを調整したMRS培地中に再懸濁し、プレート計測法を用いて、2時間以上の生存を測定した。


    【0067】


    ヒト胃液中における、微生物の生存


    ラクトバシラスが胃を通過する中で生存する能力を測定するために、ヒト胃液を用いて、イクス−ビボの研究を行った。 一晩培養したばかりの培養液から細胞を回収し、バッファー(pH6.5)中で2回洗浄し、ヒト胃液中に再懸濁し、菌株により、10

    6から10

    8 cfu/mlの最終濃度とした。 37℃で30−60分間以上インキュベーションして、生存を観察した。 その実験は、pH1.2以下(調整していない)及びpH2.0及びpH2.5(1N水酸化ナトリウムを用いて調整した)の胃液を用いて行った。


    【0068】


    低pHにおける、ラクトバシラス種の生育


    ラクトバシラス菌株(ヒト由来)は、pH6.8とpH4.5において正常に生育し、8時間後に静止期に達し、ダブリングタイムは80−100分であった。 pH3.5では、生育は制限され、ダブリングタイムは6−8時間に増加した。 pH2.5又はそれ以下では生育は観察されなかった。 そこで、低いpHにおける菌株の生存を試験した。


    【0069】


    低いpHにおける、ラクトバシラス種の生存


    塩酸−調整培地:ラクトバシラス菌株は、3.5、3.0及び2.5のpH値に対して、通常は耐性である。 pH2.0において、菌株による差異が明らかとなった(図1参照)。 ヒト由来のラクトバシラス菌株は、1時間の間、ほとんど対数で減少せずに生存したが、しかしながら、ラクトバシラス118は、2時間インキュベートの後に、対数で2−4減少した(図2参照)。


    【0070】


    ヒト胃液:


    ラクトバシラス菌株が、ヒトの胃において遭遇する条件で生存する能力を測定するために、種々の菌株を、pH1.2及びpH2.5のヒト胃液の中で試験した。 pH2.5に調整した胃液を用いて、胃液によるこれら菌株の抑制において、pH以外の因子が重要であるのか、測定した。 本発明の菌株を、pH1.2の胃液中で30分間インキュベーションした後に回収したが、その程度は低下していた。 pH2.5の胃液中では、多くの場合において生存率はほとんど100%であり、pHが胃液の主たる抑制因子である事が示された。


    【0071】


    ラクトバシラス種における、誘導可能な酸耐性


    緩衝されたキャリア培地中において生育した後に、低いpHにおいて菌株が生存するか測定するために、その菌株をpH7.0において1週間の間連続して生育し、そして1N塩酸を用いてpH2.0−3.5に調整したMRS中において試してみた。 ラクトバシラス菌株は、3.5及び3.0の値のpHに対して、耐性であった。 より低いpHにおいて、明らかな細胞生存率の低下が観察された。


    【0072】


    pH2.0において、急速な細胞数の低下が記録され、例えば1時間インキュベーションした後に、ラクトバシラス種118及び他の8つの菌株は回収されない、という結果となった(図3参照)。 更に1時間インキュベートを行った後、5つの菌株が回収され、その程度はおよそ10

    5 cfu/mlであった。


    【0073】


    本研究において、ラクトバシラス菌株を緩衝培地中で前もって生育させると、当該菌株はインビトロにおいて、低pHに対して、ずっと感受性が増加する事が観察された。 pH2.0で30から60分間インキュベーションすると、生きた細胞は回収されなかった。 緩衝していない培地中で生育した細胞の生存と比較すると、これらの菌株をpHが4.0−4.5の環境中において、前もって生育させると、低いpH環境に対して適応する能力を持っている事は明らかである。


    【0074】


    実施例3


    使用したラクトバシラス菌株は、実施例1において述べた様にして単離した。


    【0075】


    ウシ及びブタ胆汁の存在下における、培養物の生育


    新鮮な培養液を、MRS/TPY寒天プレート上に筋状にのせた。 MHS/TRY寒天プレートには、0.3、1.0、1.5、5.0及び7.5%(w/v)の濃度のウシ胆汁(B−8381、シグマケミカル社、ポーオレ)、及び0.3、0.5、1.0、1.5、5.0及び7.5%(w/v)の濃度のブタ胆汁(B−8631、シグマケミカル社、ポーオレ)を添加した。 プレートを、嫌気的条件下において37℃でインキュベートし、24−48時間後の生育を記録した。


    【0076】


    ヒト胆汁存在下における培養物の生育


    いくつかのヒト胆嚢より単離した胆汁サンプルを、使用前に−80℃で貯蔵した。 実験作業の前に、胆汁サンプルを解凍し、プールし、80℃で10分間滅菌した。 ヒト胆汁の胆汁酸組成を、パルス化した電流測定検出器を備えた逆相HPLCを用いて、Dekker,RRらの方法(Dekker,RRet al.,(1991)Chromatographia 31(11/12)255-256)に従って測定した。 ヒト胆汁を、0.3%(v/v)の濃度で、MRS/TPY寒天培地に添加した。 新たに筋状にのせた培養液の、24時間と48時間後の生育を調べた。


    【0077】


    個々の抱合型、及び脱抱合型胆汁酸の存在下における生育


    ヒト胆嚢の胆汁は、50−100mMの濃度の胆汁酸を有しており、小腸で希釈されてこの濃度は5−10mMに低下する(Hofmann,AF,et al.,(1983)J,Clin.Invest.71,1003-1022)。 更に、生理的状態においては、胆汁酸はナトリウム塩として見出される。 そこで、下記のそれぞれの胆汁酸のナトリウム塩を含む、MRS/TPY寒天プレート上における培養液の生育をスクリーニングした。 それらの胆汁酸(シグマケミカル社、ポーオレ)は:(a)抱合型:タウロコール酸(TCA);グリココール酸(GCA);タウロデオキシコール酸(TDCA);グリコデオキシコール酸(GDCA);タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)及びグリコケノデオキシコール酸(GCDCA);(b)脱抱合型:リトコール酸(LCA);ケノデオキシコール酸(CDCA);デオキシコール酸(DCA)及びコール酸(CA)である。 それぞれの胆汁酸につき、1、3及び5mMの濃度を用いた。 24及び48時間、嫌気的にインキュベーションをした後の、生育を記録した。


    【0078】


    胆汁酸脱抱合活性の検出


    定性的アッセイ(寒天プレート)、及び定量的アッセイ(HPLC)の両者を、脱抱合活性の測定に用いた。


    プレートアッセイ:全ての培養液を、MRS/TPY寒天プレート上に、筋上にのせ、MRS/TPY寒天プレートに(a)0.3%(w/v)ブタ胆汁、(b)3mM TDCA又は(c)3mM GDCAを添加した。 脱抱合は、コロニーを取り巻く、ぼんやりとした沈殿物として観察された(Dashkevicz,MP,et al.(1989))Appl.Env.Microbiol.55(1),11−16)。


    高速液体クロマトグラフィー:ヒト胆汁の脱抱合のインビトロの解析は、HPLCを用いて行った(Dekker,RRet al.,(1991)supra)。 簡単には、一晩培養した培養液を、0.3%(v/v)ヒト胆汁を添加したMRS/TPY培地中に植え込み(5%)、37℃で嫌気的にインキュベートした。 24時間以上の種々の時間間隔で、サンプル(1ml)を採取し、14000rpmで10分間遠心分離した。 希釈しない無細胞上清(30μl)を、その後HPLCで解析した。


    【0079】


    胆汁酸耐性が増加した、ラクトバシラス変異体の単離


    ラクトバシラスのコロニーの一つを、0.3%ブタ胆汁を含むMRS培地中に植え込み、一晩インキュベートした。 培養液を14000rpmで7分間遠心分離し、洗浄して4分の1強度のリンゲル液中に再懸濁した。 100マイクロリットルの10

    -3希釈液を、0.3から0.5%のブタ胆汁濃度勾配から成る、MRS寒天プレート上に広げてのせた。 それらのプレートを、37℃で2日間インキュベートした。 単離したコロニーを、0.5%のブタ胆汁を含んでいる寒天の部位より取り出して、0.5%のブタ胆汁を添加したMRS上に、再び筋状にのせた。 多くのコロニーを、その後4分の1強度のリンゲル液中に再懸濁し、10

    -3に希釈し、ブタ胆汁の濃度を増加させた濃度勾配プレート上に置いた(0.5/1.0%、1.0/1.5%、1.5/2.0%、2.0/2.5%及び2.5/3.0%)。 耐性を高めたコロニーにつき、コロニーの形態、グラム染色、湿重量及びカタラーゼ試験を行った。


    【0080】


    胆汁に対する耐性(ウシ、ブタ及びヒト)


    試験した17種のラクトバシラス菌株は全て、使用した3種に由来する胆汁酸の上で、生育する事が可能であった(胆汁酸耐性)。 ウシ胆汁に対する耐性は、ブタ胆汁に対する耐性より、ずっと高い事が観察された。 ラクトバシラス菌株は、ウシ胆汁濃度が5.0%に至るまで、及び5.0%の濃度のウシ胆汁に対して耐性であり、17種の菌株の中で14種は7.5%で生育した。


    【0081】


    ブタ胆汁は、表3で見られる様に、全ての菌株に対して阻害性が強かった。


    【0082】


    【表3】


    【0083】


    0.5%及びそれ以上の濃度では、17種のラクトバシラス菌株のうち、10種は抑制されたが、一方、ラクトバシラス種42319、42354及び42361は、7.5%でコンフルエントまで生育した。


    【0084】


    ウシ胆汁及びブタ胆汁の両方が存在している時の、それらの胆汁耐性プロファイルに関わらず、ラクトバシラス菌株は、ヒト胆汁の生理的濃度である0.3%(v/v)において、コンフルエントになるまで生育した。


    【0085】


    個々の抱合型、及び脱抱合型胆汁酸に対する耐性


    ラクトバシラス菌株は、個々の胆汁酸に対する耐性を特異的に解析した時、タウリンと抱合した胆汁酸の存在下では良く生育したが、グリシン抱合した胆汁酸の存在下における生育には差異があった。 ラクトバシラス単離物は、TCA、TDCA及びTCDCAのタウリン抱合体の濃度が5mMに至るまで、及び5mMの濃度のタウリン抱合体に対して耐性である。 試験したグリシン抱合体の中で、GCDCAは阻害性が最も強く、4つのラクトバシラス種のみが、3mM及び5mMの濃度において生育可能であった。 表4に示す様に、3つのグリシン抱合体の中で、GDCAの阻害性はより弱く、GCAの阻害性は最も弱かった。


    【0086】


    【表4】


    【0087】


    全菌株は、5mMのGCAを添加した寒天培地上で生育したが、GDCA上における生育には差異があった。


    【0088】


    脱抱合した胆汁酸の存在下における生育もまた、試験した。 すべての菌株は5mMの濃度のLCAに対して耐性であった。 試験した17種のラクトバシラス菌株中、15種はDCAの濃度が5mMに至るまで、及び5mMの濃度のDCAにおいて生育した。 2つの菌株である、ラクトバシラス種1及び43348は、低濃度のDCA(1mM)に対して感受性であった。 CAの存在下における生育には、表5で見られる様に、差異があった。


    【0089】


    【表5】


    【0090】


    8種のラクトバシラス菌株のみが、3mMのCAの存在下で生育可能であった。 1mMのCDCAの存在下において、17種の菌株の生育は見られなかった。


    【0091】


    ラクトバシラス種の脱抱合活性


    生育研究より、いくつかの菌株は胆汁塩の脱抱合活性を有している事が観察され、更なる検討により、17種の内3種のラクトバシラス菌株(43361、42319及び42361)が同定され、それらは胆汁酸を脱抱合する事が可能であった。 これは、0.3%のブタ胆汁、TDCA(3mM)及びGDCA(3mM)を添加した寒天培地上で示された。 すべての場合において、脱抱合は、活性コロニーを取り巻いている、沈殿した脱抱合した胆汁それ自身のぼんやりとした領域として、検出された(Dashkevics,MPand Feighner,SD,(1989)Appl.Env Microbiol.55(1),ll-16)。


    【0092】


    寒天プレート上で観察される、胆汁酸脱抱合活性は、ヒト胆汁及び分解産物のHPLC解析を用いて確認された。 胆汁サンプル中に、抱合した胆汁酸のみが検出された。


    【0093】


    胆汁酸耐性の誘導


    胆汁酸耐性が増加したラクトバシラス菌株を単離する方法を、考え出した。 2種のラクトバシラス菌株(4333及び43310)を選択し、それらは最初は0.5%のブタ胆汁の存在下で生育する事ができなかったが、0.3%の濃度では生育する事ができた(表3の上参照)。 ブタ胆汁の濃度を増加させた(0.3から3.0%)中で、引き続いて連続的に継代培養すると、4333及び43310菌株の耐性は増加した。 MRS寒天上で規則的に継代培養した菌株の、誘導された胆汁耐性は、3.0%のブタ胆汁を含むMRS寒天上に再び筋上にのせた時に維持された。 更に、胆汁耐性が誘導された菌株は、その後ブタ胆汁を脱抱合する事が可能であった。


    【0094】


    試験した両菌株で、ブタ胆汁の濃度増加と共に、コロニー形態の変化が観察された。 胆汁の存在下で、コロニーは変則的であり、平坦部分も突起部分もあり、灰色の、ぼんやりとしたプラークとして見えた。 しかしながら、MRS寒天上に再び筋上にのせた時には、そのコロニーは、元来の、平滑で、クリーム色で、凸上の、輝く外観を取り戻した(顕微鏡下で観察したところ、両者のコロニー変異体は、単一又は一組となっている、短い桿菌として見えた)。 胆汁の非存在下で、延長して継代培養をした後には、両者の菌株はまだ脱接合しており、高レベルのブタ胆汁に対して耐性を維持した。


    【0095】


    実施例4


    培養液の生育及び維持


    抗菌物質生成のスクリーニングをした微生物は、表3に挙げた17種の菌株であり、それらは実施例1の中で述べられた様に、ヒト腸管より単離された。 全ての菌株は、UCC培養コレクションに属していた。


    【0096】


    培養液は、適切な生育培地及び40%のグリセロールの中で、−20℃で凍結ストックとして保存した。 ラクトバシラスは、デマン・ロゴサ・シャーペ(deMann Rogosa Sharpe:MRS)培地中で、厳密な嫌気性条件下において、37℃で日常的に培養した(メルク アナエロカルトAガスパックシステムを用いたBBLガスジャー)。


    【0097】


    本実施例の中で用いた指標微生物は、その多くはメルシー病院(コーク、アイルランド)において単離された野生型菌株であり、下記の培地中で、下記の生育条件下で培養した。 :スタフィロコッカス(37℃、好気的)、バシラス(37℃、好気的)、シュードモナス(30℃、好気的)、大腸菌(37℃、嫌気的)、サルモネラ(37℃、嫌気的)及びリステリア(30℃、好気的)は0.6%酵母抽出物(TSAYE、オキソイド)を添加したトリプトン・ソーヤ培地/寒天中で、バクテロイド(37℃、嫌気的)、ヘリコバクター(37℃、嫌気的)、プロテウス(37℃、嫌気的)、ヘモフィルス(37℃、嫌気的)及び炎連鎖球菌(37℃、嫌気的)は血液寒天倍上で、カンジダ(37℃、好気的)はYPD培地(酵母(1%)、ペプトン(2%)及びデキストロース(2%))中で、クロストリジウムは強化クロストリジウム培地(RCM、オキソイド)中で、ラクトコッカス(30℃、好気的)はM17培地中(オキソイド)で、ストレプトコッカス(37℃、嫌気的)はトッド・ヒューイット培地(オキソイド)中で、そしてエンテロコッカス種(37℃、嫌気的)はブルインハートインフュージョン培地(BHI)で培養した。 全ての菌株を、新鮮な生育培地中に植え込んで、実験に用いる前に一晩生育させた。 寒天スロッピー(重層物)及びプレートは、それぞれ0.7%(w/v)及び1.5%(w/v)の寒天を、培養培地中に添加する事により調整した。


    【0098】


    抗菌活性の検出


    上記菌株の抗菌活性は、次に述べる方法を用いて検出した(Tagg JR,et al(1976)Bactriol.Rev 40,722-756)。 最初のスクリーニングで用いた指標は、L. イノキュア(L.innocua)、L. フェルメンタムKLD(L.fermentum KLD)、P. フルオレッセンス(P.flourescens)及び大腸菌V517である。 簡単には、ラクトバシラス(MRS)を12−16時間インキュベートした。 10倍系列希釈液を、MRS寒天培地上に広げて平板培養した(100μl)。 一晩インキュベートした後、明確なコロニーを有するプレートの上に、指標細菌を加えた重層物をのせた。 指標ローンは、溶かした重層物に、2%(v/v)の指標細菌を一晩培養した培養液を植え込む事により調製し、指標ローンを植えつけたMRSプレートの表面に注いだ。 そのプレートを、指標細菌の生育に適した条件下で、一晩再インキュベートした。 半径で1mm以上の阻害領域を有する指標培養液は、試験細菌に対して感受性であるとみなした。


    【0099】


    全ての寒天培地に、2%のβ−グリセロフォスフェイトバッファー及びカタラーゼ(100ユニット/ml;シグマケミカル、ポーオレ)を添加して、本方法を繰り返した。 β−グリセロフォスフェイトバッファー及びカタラーゼは、それぞれ、酸及び過酸化水素の生成による拮抗的活性を除外するために添加した。 バクテリオファージ活性による阻害は、植え込んだMRS寒天プレートの上下をひっくり返して、指標細菌を重層する事により除外した。 バクテリオファージは、寒天を通じて拡散する事はできない。


    【0100】


    無細胞系上清中の抗菌活性の検出


    抗菌活性は自然に分泌されているのか測定するために、ラクトバシラス(MRS)を、培地中で12−16時間生育し、同量の培養液(500μl)を濾過滅菌し(0.45μm)、無細胞上清の、4種の同じ指標菌株に対する抗菌活性をアッセイした。 無細胞上清の活性は、バクテリオシンのアッセイに通常用いられている限界希釈法を改変して測定した(Mayr-Harting,A.,et al.,(1972)Methods in Microbiology Vol.7A,315-422)。 2倍希釈系列を、新たに植菌した、L. イノキュア(L.innocua)及びL. フェルメンタムKLD(L.fermentum KLD)のローン上にスポットし(5μl)、プレートを適切にインキュベートした。 タイターは、指標ローンを完全に阻害する阻害剤の、最高希釈の逆数として規定され、タイターはミリリットル(ml)あたりの活性ユニット(AU)として表現した。


    【0101】


    抗菌活性の硫酸アンモニウム沈殿


    抗菌物質を生成する菌株、L. サリバリウス1及び118を、MRS培地中(800ml)で、嫌気的な条件下37℃でインキュベートし、抗菌活性が最高となる時に細胞を回収した(3%の植菌で通常6−8時間)。 上清を、4℃で1時間、常に攪拌しながら、40%硫酸アンモニウムで処理し、4℃で一晩で置き、その後13000gで30分間遠心分離した。 ペレット及び薄膜(上清の最上層)を混合して、20mlのリン酸バッファー、pH6.5に溶解した。 その溶液を5Lのリン酸バッファー、pH6.5に対して、4℃で24時間、バッファーを2−3回交換しながら透析した。 溶液をその後濾過滅菌し、微菌活性についてアッセイし、4℃で貯蔵した。 比活性を増加させるために、70%及び100%における無細胞系上清の硫酸アンモニウム沈殿もまた、実施した。


    【0102】


    抑制的宿主のスペクトル


    ラクトバシラスの抑制スペクトルを、Tagg,JRらの方法(1976)を用いて、上述した方法で測定した。 無細胞上清(CSF)及び硫酸アンモニウムで沈殿した溶液(APS)の、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性微生物に対する阻害活性もまた、アッセイした。 それぞれの指標菌の重層物を、寒天プレート上に調製し、乾燥した。 CSF及びAPSのスポット(5μl)を、稙菌したプレート上に置き、乾燥させて、一晩インキュベートした。 ヘリコバクター(Helicobacter)、プロテウス(Proteus)、バクテロイド(Bacteroid)及びキャンピロバクター(Campylobacter)種の阻害について、寒天ウェル拡散法もまた用いた。 寒天プレートに、指標生物を重層するか、又は塗りつけるかして、乾燥した。 寒天プレート内にウェル(4mm)を作成し、CSF(30−40μl)をウェル中に置き、24−48時間インキュベートする前に、室温で20−40分間寒天中を拡散し、インキュベートした後に阻害区域を測定した。


    【0103】


    蛋白質分解酵素に対する、抗菌物質の感受性


    個々の産生菌株に由来する、抗菌活性を有する一定量のCSFにつき、蛋白質分解酵素に対する感受性をアッセイした。 プロティナーゼK(50mg/ml、50mM KH

    2 PO

    4 、pH7.5)及びプロナーゼE(50mg/ml、50mM KH

    2 PO

    4 、pH7.5)を、37℃で1時間、3:1の比で個別にCSPとインキュベートした。 酵素処理した、及び酵素処理していないCSFの両者を、新たに植菌した指標重層寒天上にスポットし(5μl)、適切なインキュベーションを行った。


    【0104】


    ヒト胆汁中における抗菌活性の生成


    1及び118の培養液を、0.3%のヒト胆汁を含有する、緩衝MRS寒天プレート上にスポットし、37℃で一晩嫌気的にインキュベートした。 それらの上に指標菌株を重層し、更に12−18時間インキュベートした。 1mm以上の範囲の阻害は、陽性であるとみなした。


    【0105】


    抗菌活性の検出


    17種のラクトバシラス菌株の阻害活性を、L. イノキュア(L.innocua)、L. フェルメンタムKLD(L.fermentum KLD)、P. フルオレッセンス(P.fluorescens)及び大腸菌を指標微生物として用いて、スクリーニングした。 試験菌株を非緩衝MHS上に植え込んだ時、4つの指標菌株の抑制が見られた。 大きさの範囲が1mmから5mmの領域が、測定された。 ラクトバシラスにより、L. イノキュアの最大の阻害範囲が作成された。


    【0106】


    抑制は、過酸化水素によるものではない。 なぜならば、スクリーニング中にMRSプレートへカタラーゼを混入しても、抗菌活性には影響しなかった。 同じく、バクテリオファージ活性も、上述した様に排除された。 ラクトバシラスを緩衝したMRSに植え込んだところ、指標菌株に対する阻害は殆ど観察されなかった。 2つの例外があり、それらはL. サリバリウス1及び118であり、非緩衝MRS中において指標菌株に対して作成する阻害領域と比べて、それらの菌株が作成する抑制領域は、わずかに小さいのみであった。


    【0107】


    抗菌活性の特性解析


    ラクトバシラス種1及び118の抗菌活性は、MRS培地中で8時間生育した後に、無細胞系上清中に分泌され、それは、L. イノキュア(L.innocua)及びB. コアギャランス1761(B.coagulans 1761)に対してアッセイした時に示された。 118のCSFは、P. フルオレッセンス(P.fluorescens)に対する阻害もまた示したが、この指標の感度は、前者の2つより劣っている。 ABPI又はABP118のいずれによっても大腸菌の抑制は、観察されなかった。 2000AU/ml及び1000AU/ml(それぞれ、L.イノキュア及びL.フェルメンタムKLDを使用した)までのタイターについて、測定した。 L. サリバリウス1及び118、ABP1及びABP118はそれぞれ、蛋白質様物質である事が見出された。 なぜなら、蛋白質分解酵素で処理したCSFについて、高感度の指標の抑制が見られなかったからである。 これは、両菌株がバクテリオシンを生成する事を示している。


    【0108】


    抑制的宿主のスペクトル


    ラクトバシラスが、緩衝及び非緩衝培地の両者の中において、広範囲のグラム陽性及びグラム陰性の指標微生物の両方を阻害する事が、見られた。 ストレプトコッカス(Streptococcus)及び他のラクトバシラスの様な乳酸菌に対しては、阻害活性はほとんど観察されなかった。 L. サリバリウス1及び118の阻害スペクトルは、非常に広範囲であった。 乳酸菌の阻害はほとんど観察されなかったが、しかしながら、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、バシラス(Bacillus)、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)及びリステリア(Literia)種の阻害は、はっきりと目に見えるものであった。 この阻害は、生理的濃度のヒト胆汁の存在下においても作成された。 CSFとAPSの1と118、ABP1とABP118のそれぞれについて、広範囲の微生物の阻害活性を試験し、それらの多くはグラム陽性細菌に対して活性が非常に強く、ABP118はグラム陰性微生物シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)に対してもまた、活性であった。 CSFは、他の関連した乳酸菌に対してもまた、非常に高い阻害活性を示した。 それらの菌株にはラクトバシラス又はリューコノストック(Leuconostoc)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)又はペディココッカス(Pedicococcus)種の様なものがある。 エンテロコッカス種に対しても、活性が見られた。 最も顕著な事は、ABP118及びABP1による、表6に示される、ヘリコバクターピロリ及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の菌株に対する抑制である。


    【0109】


    【表6−1】


    【表6−2】


    【表6−3】


    【0110】


    実施例5


    培養の生育と保存管理


    実施例1に述べたように人の腸内部位からラクトバシラス・サリバリウス118を単離し、同定し、培養した。


    【0111】


    この実施例で使用した標識微生物は、次の生育条件下で、0.6%イーストエキス(TSAYE、Oxoid)を補ったTryptone Soya肉汁中で増殖させた。 バチルス(37℃、好気性)、大腸菌(37℃、嫌気性)、サルモネラ(37℃、嫌気性)及びリステリア(30℃、好気性)。 実験に使用する前に、全菌株を新鮮な生育培地に接種し、一晩中生育した。 肉汁培地へそれぞれ0.7%(w/v)及び1.5%(w/v)寒天を加えることにより寒天スロッピー(オーバレイ)及びプレートを調製した。


    【0112】


    抗菌薬活性の検出


    ラクトバシラス・サリバリウス118をMRS肉汁中で12〜16時間の間生育し、培養液を10分間14000gで遠心分離した。 リステリア・イノキュア及びバシラス・コアギュランス1761を接種した新鮮な培地上に無細胞系の上清液(CFS)を点着した(5-10μl)。 抑制領域を測定した。


    【0113】


    バクテリオシンの測定に一般的に使用する臨界的な希釈方法(Mayr-Harting等(1972)に変更を加えてCFSの活性を測定した。新たなリステリア・イノキュア及びバチルスコアグラン1761を接種した培地中に連続的な希釈液を点着し(5μl)、プレートを適切にインキュベーションした。タイターは、これは、抑制剤の最も高い希釈度の逆数として定義し、指示薬培地の完全な抑制を立証するものであり、かつ、ミリリッター当たりの活性単位として表現した。


    【0114】


    ABP 118を含む無細胞系の上清液の硫酸アンモニウム沈殿物


    37℃嫌気性条件下でラクトバシラス・サリバリウス118を肉汁中(800ml)で生育し、6〜8時間インキュベーション後に細胞を収集した。 上清液を一定攪拌下1時間4℃で40%硫酸アンモニウムを用いて濃縮し、4℃で一晩中放置し、その後30分間、13000gで遠心分離した。 ペレットと菌膜(上清液の最上面)を収集し、pH6.5の少量のリン酸緩衝液で溶解した。 溶液を緩衝液を2-3取り換えて4℃で24時間、pH6.5リン酸緩衝液の5リットルで透析した。 その後、溶液をろ過殺菌し、抗菌薬活性を測定し、4℃で貯蔵した。 他に述べなければ、この方法を以下の実験にも使用した。


    【0115】


    ラクトバシラス・サリバリウス118の生育及びABP118の生産に影響する因子 pH:


    ラクトバシラス・サリバリウス118を37℃でMRS肉汁(50ml)の中に一晩中生育し、それから、37℃で、穏やかにかき混ぜ(200ppm)自動pH制御装置に連結した発酵容器(Model502D;LHFermentation,Stoke Poges,Bucks.)においてMRS肉汁(1.5リットル)の中へ接種(2%)した。 容器には、5%CO2を連続的に流した。 次のpH条件を4つの異なる実験に設定した。 すなわち、(1)pH5.5;(2)pH5.0;(3)pH4.5及び(4)pH4.0で、実験中に8%水酸化アンモニウム水溶液を用いてpHを維持した。 規則的な間隔で、pH、OD600、細菌数(cfu/ml)及び抗菌薬活性(AU/ml)を24時間に渡って記録した。


    【0116】


    生育培地


    様々な実験培地についてラクトバシラス・サリバリウス118の生育及びABP118の生産の両方を支援するそれらの能力に対して試験した。 これらは、MRS、ブルインハートインフュージョン(BHI)、GM17及び0.6%イーストエキス(TSBYE)で補ったトリプトンソーヤ肉汁を含んでいた。 生育及び抗微生物生産の際にMRS肉汁からの培地成分を除去した場合の効果も評価した。 除去した成分には、a)Tween 80、b)ペプトン、c)イーストエキスd)ビーフエキスe)Tween 80及びビーフエキス及びf)Tween 80、ビーフエキス及びペプトンが含まれていた。


    【0117】


    生育と抗微生物生産は、13.5%脱脂乳、0.6%イーストエキスで補った13.5%脱脂乳、2%グルコースで補った13.5%脱脂乳及び2%グルコース及び0.6%イーストエキスで補った脱脂乳及び、0.3%ヒト胆汁を補ったMRS肉汁(ヒト胆のうから抽出し、10分間80℃で殺菌した)においてモニターした。 一定の間隔で、pH、OD600、細菌数及び抗微生物活性を記録した。 すべての生育曲線を嫌気性条件下で、37℃で行った。


    【0118】


    ABP118のpH及び温度安定性


    ABP118についてアルカリ性及び酸性条件下の両方でその安定性を試験した。 活性CFSのpHを、1NNaOH及びHClを用いて1〜10に調整した。 溶液をろ過、殺菌し、室温で1時間インキュベーションした後、指示薬としてリステリア・イノキュアを用いて調整する前と後とで活性を計算した。 それからpHを調整した溶液を1NNaOH及びHClを用いてpH7に再調整し、再び室温で1時間インキュベーションし、AU/mlを測定した。 使用したコントロールは同じpH値に調整したMRS肉汁であった。


    【0119】


    ABP118の温度安定性を決定するために、複数の分画(10ml)を様々な温度で異なった時間インキュベーションし、指示薬リステリア・イノキュアを使用してインキュベーションの前後で活性を計算した。


    【0120】


    酵素、洗浄剤及び有機溶媒の作用に対するABP118の感受性


    抗菌活性の性質と安定性を決定するために、ABP118を次の酵素を用いて30〜60分間インキュベーションし、抗菌活性を測定した。 プロテイナーゼK(50mg/ml、50mM KH2PO4、pH7.5);プロナーゼE(50mg/ml、50mM KH2PO4、pH7.5);トリプシン(50mg/ml、67mM Na2PO4、pH7.6);α-キモトリプシン(50mg/ml、80mMトリス、pH7.8);α-アミラーゼ(50mg/ml、20mM Na2PO4、pH6.9);無プロテアーゼリパーゼ(50mg/ml);フィチン(10mM KH2PO4、pH7.0);カタラーゼ(50,000U/ml dH2O);リゾチーム(10mg/ml、25mMトリスHCl、pH8.0);アルカリ性フォスファターゼ(80mMトリス-HCl、pH8.0);ペプシン(10mM HCl);フォスフォリパーゼC(10mM KH2PO4、pH7.0)及びパパイン(10mM KH2PO4、pH7.0)。 これら溶液の各部分標本(5μl)をリステリア・イノキュラ及びバシラス・コアギュランス1761で予め接種したプレート上に滴らした。 コントロールは、緩衝液と酵素、及びABP118を含んでいた。


    【0121】


    ABP118も37℃で1-2時間多数の溶媒と洗浄剤で処理した。 使用した溶媒は、5%β−メルカプトエタノール;10%クロロホルム;10%アセトン;10%イソプロパノール;25%エタノール;50%アセトニトリル;10%ブタノール及び50%ジクロロメタンであった。 使用した洗浄剤は、Tween 80(1%)、Tween 20(1%)、トリトンX-100(1%)、N-ラウリルサルコシン(1%)及びSDS(0.1%及び1%)とした。 インキュベーション後、溶液を透析し、真空乾燥あるいは凍結乾燥を行い、活性を測定した。


    【0122】


    ABP118の酵素活性


    ABP118を構造的な酵素活性を測定するために使用されるZYMキット(BioMerieux、France)へ適用した(上述の実施例1を参照)。 溶血活性及びタンパク質分解活性を測定するために、ABP118を血液寒天上及び脱脂乳寒天プレート上にそれぞれ点着(10μl)した。 37℃で24時間及び48時間インキュベーションした後、反応を記録した。


    【0123】


    限外濾過によるABP118の分子の大きさの決定


    ABP118の大きさをラクトバシラス・サリバリウス118培養物の硫酸アンモニウム沈殿溶液(APS;上述の実施例4参照)と無細胞系の上清液(CFS)から評価した。 複数の分画を100-、30-、10-及び3kDa分子排除サイズを含む様々な膜(アミコンInc.、MA.、USA)を通じて限外濾過した。 バクテリオシン活性を保持された分画及び通流した分画中て決定した。


    【0124】


    ABP118生産物における変種の不完全物の単離


    ラクトバシラス・サリバリウス118を接種(2%)したMRS肉汁(100ml)を最適生育を可能とする温度より高い温度(40℃、42℃及び45℃)でインキュベーションした。 36〜48時間生育後、肉汁を連続的に希釈し、MRS寒天上に広げて被覆した(100μl)。 それから、コロニーをMRS寒天及び2%β-グリセロリン酸緩衝液を補ったMRS寒天上でレプリカ法に従い移した。 感受性標識(B.coagulans1761)で被覆物を覆い、非抑制コロニーを純度を保持するためすじをつけ、−20℃で40%グリセロール中に貯蔵する。 菌株の生育速度及び炭水化物発酵プロフィール(API 50CHL)を記録し、野生型ラクトバシラス・サリバリウス118のそれと比較した。


    【0125】


    共培養研究


    ラクトバシラス・サリバリウス118及びサルモネラ(S・トリフィムリウム及びS・エンテリジチス)の共同生育を(酢酸ナトリウムなしに)変更MRS培地において研究した。 指示薬及び生産菌は、1:1の割合で接種した。 コントロールとして、同じ培地において菌株を単独で生育した。 接種した培地を、37℃で嫌気的にインキュベーションした。 サンプルを規則的間隔で採取し、細胞生育(cfu/ml)を決定した。 サルモネラ-シゲラ(Oxoid)及びMRS(Oxoid)培地をサルモネラ及びラクトバシルスをそれぞれ選別するために使用した。 0.6%イーストエキス(TSAYE)で補ったトリプトンソーヤ寒天を使用し、全プレート数値を得た。 サルモネラも野生型ラクトバシラス・サリバリウス118の非ABP118生産変種を用いて1:1で共同培養した。


    【0126】


    抗微生物化合物ABP118の性質


    例えば、表7及び8に示されるように、ABP118は、抑制剤、プロナーゼE、トリプシン及びペプシン等のタンパク質分解酵素によって失活されるので、性質上タンパク質であり、また、上清液において活発に分泌される。


    【0127】


    【表7】


    【0128】


    【表8】


    【0129】


    プロテアーゼは、抗微生物活性を消滅させ、該活性は、プロテアーゼの不活性化後にも、回復できなかった。 ABP118は、リパーゼが活性において影響を与えない(表7参照)という事実に基づき脂質の成分を有していないように考えられる。 この化合物は、pH範囲1〜10において活性があり、(リステリア・イノキュアに対する)活性の減少は、観察されなかった。 同化合物は、100℃で少なくとも1時間は100%の活性を維持する熱安定性タンパク質であり、表9に示したようにオートクレーブによって過酷な熱処理の後、50%だけ活性が消失した。


    【0130】


    【表9】


    【0131】


    抑制剤ABP118は、4℃で4か月貯蔵したとき、活性の消失がなく非常に安定であった。 多数の有機溶媒及び洗浄剤を用いて化合物を処理したが、表10に示すように活性の減少はなかった。


    【0132】


    【表10】


    【0133】


    ABP118を脱脂乳寒天上に点着させた時、37℃又は室温で24時間に渡ってインキュベーションしたがタンパク質の分解は観察されなかった。 血液寒天(ウサギ及び馬)上での反応は、決定的なものではなかった。 小さい領域の溶解が記録されたけれども、濃縮したMRS肉汁を血液寒天プレート上に点着したとき、小さい領域での溶解も観察された。 エステラーゼ及びリパーゼ活性を含む広い範囲の酵素活性を測定するZYMキットは、ABP118に対する明白な酵素活性を示さなかった。


    【0134】


    培養上清液と一部精製したABP118を限外濾過した場合、大部分の活性が、100kDaカットオフ膜の保持液中に存在し、また、すべての活性が30kDaカットオフ膜において保持されることが示された。


    【0135】


    ABP118生産の反応速度論


    ABP118の生産は、生育の時期に依存していた。 ラクトバシラス・サリバリウス118による生育と抗微生物生産の反応速度論を図4に示した。 ABP118の生産は、静止期にABP118濃度の減少を伴って対数増殖期で最大であった。 pHをpH5.5に制御したとき、ABP118活性が最大濃度を見出され、バイオマスがかなり高い場合3、4時間後に4000AU/mlまで生産された。 。 pH4で培養の生育が減少し、ABP118は、検出されなかった。 これら研究は、ABP118が生育細胞によってのみ生産され、非生育細胞によっては生産されないことを示した。


    【0136】


    試験した4つの研究培地のうち、MRS及びBHIは、高濃度のABP118の生産を支援するために最も適切な2つの培地であった。 複雑さの少ない培地でもABP118の生産を支援するかどうかを決定するために、Tween 80、イーストエキス及びペプトン源の影響を測定した。 結果は、これらのうちのいずれか一つが欠けている場合、ABP118の濃度が、MRS肉汁において生産された濃度の50%だけにしかならないことを示した。 しかしながら、試験したどんな他の培地よりもイーストエキスを欠く培地においてABP118活性は、さらに安定性を維持した。


    【0137】


    ラクトバシラス・サリバリウス118の生育及びABP118の生産を支援するために適当なキャリアーとして作用する脱脂乳ベースの培地の能力を調査した。 脱脂乳、脱脂乳+イーストエキス及び脱脂乳+グルコースにおける生育は、非常に悪かった。 12時間インキュベーション後に、pHが5.7より低くなく、ABP118活性が検出されたにしてもごくわずかであった。 しかしながら、ラクトバシラス・サリバリウス118を脱脂乳+イーストエキス+グルコースにおいて生育したとき、12時間及び24時間インキュベーション後のpHはそれぞれ、4.4、及び3.87の値に達した。 ABP118活性が2時間後低レベルで検出され、ABP118の大部分(バチルスコアグラン1761に対して10,000AU/ml)は生育の静止期初期に対数増殖期後から生産した。 10時間インキュベーション後に乳液が固まり始めるのも観察された。


    【0138】


    0.3%ヒト胆汁におけるラクトバシラス・サリバリウス118の生育速度はMRS肉汁における生育速度に相当した。 しかしながら、ABP118の濃度の3分の1だけ生産されるに過ぎなかった。


    【0139】


    実施例6


    抗微生物活性の検出


    点着測定:


    ラクトバシラス・サリバリウス118をMRS肉汁において生育し、培養液を10分間14,000gで遠心分離した。 無細胞系の上清液(CFS)を新たに接種した指示薬の培地の上に点着し(5-10μl)、インキュベーションし、抑制の領域を記録した。 バクテリオシン(上記Mayr-Harting等(1972))の測定のために一般的に使用される臨界希釈法の変更方法によって、無細胞系の上清液の活性を測定した。 一連の希釈液をリステリアイノキュラ、バチルスコアグラン1761及びラクトバシルスファーメンタムKLDの新たに接種した培地上に点着し、プレートを適切にインキュベーションした。 タイターを指示薬培地を完全に抑制することを証明する抑制剤の最大希釈度の逆数として定義し、ミリリットル(ml)当たりの活性単位(AU)として示した。


    【0140】


    ミクロタイタープレート測定法:


    Holo,.H.、等(1991)J.Bacteriol.173,3879-3887によって記載されているようにミクロタイタープレート測定法による精製過程の間に、バクテリオシン活性を測定した。 TSAYE肉汁におけるバクテリオシンエキス(50μl)の2倍連続希釈液をミクロタイタープレート(Greiner GmbH、Frickenhausen)において調製した。 タイター115μlの新たな指示薬培地(A600〜0.1)の及び50μlのTSAYEを加え、プレートを37℃でインキュベーションした。 指示薬菌株の生育を600nmで分光測光法で測定した。 1バクテリオシン単位をこの測定において50%の生育抑制(バクテリオシンを含まないコントロール培地の濁度の50%)を引き起こすバクテリオシンの量として定義した。


    【0141】


    バクテリオシン精製


    硫酸アンモニウム沈降 ラクトバシラス・サリバリウス118を2リットルのMRS肉汁(Oxoid)において対数増殖後期まで生育し、20分間12000rpmで遠心分離した。 硫酸アンモニウム(300g/l)を無細胞系の上清液に加え、4℃で1時間攪拌し、30分間8000rpmで遠心分離した。 ペレットと菌膜(浮遊している固体物質)を一緒にし、100mlH2Oで溶解した(分画I)。


    【0142】


    疎水性相互作用クロマトグラフィー分画Iを10gのアンバーライトXAD-16(Supelco)で30-45分間混合し、カラムに適用し、H2O(100ml)で一度洗浄し、さらに40%エタノール(100ml)で2回洗浄した。 バクテリオシンを、100ml(10×10ml)の70%イソプロパノール10mMHClを用いてカラムから溶出した(分画II)。


    【0143】


    陽イオン交換クロマトグラフィー:


    分画IIをH2O+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)でpH2-3に調整し、前もって5mMリン酸緩衝液、pH5.4(緩衝液A)で平衡化した2ml S-セファロース高速流陽イオン交換カラムに直ちに適用した。 次いで40mlの緩衝液Aで洗浄後、バクテリオシンを緩衝液A中で20mlの1MNaCl(分画III)で溶出した。


    【0144】


    C2/C8逆相FPLC:


    分画IIIを0.1%TFA溶液Aを含むイソプロパノールを用いて平衡化したC2/C8逆相FPLCカラム(Pep RPC)へ適用した。 バクテリオシンを、40分間30%-37%の直線勾配濃度の溶液Aで、次いでさらに5分間、勾配37-100%の溶液Aで溶出した。 流速0.5ml/minで、1ml分画を収集した。 ミクロタイタープレート測定法を用いて、それぞれの分画の活性を測定した。 高いバクテリオシン活性を有する複数の分画を混合し、逆相カラム上で再度クロマトグラフィーを行った。


    【0145】


    アミノ酸の組成及び配列の分析


    精製したバクテリオシンを前に述べたようにアミノ酸分析器(Fykse,EM,等(1988)Biochem J.256,973-980)上で加水分解し、分析した。 オンライン120Aフェニルチオヒダントインアミノ酸分析器を備えたアプライド・バイオシステム・モテル477A自動配列決定器(Cornwell,GG,等(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.154,648-653)を用いてエドマン分解により、アミノ酸配列決定を行う。 ブロモシアン(CnBr)(Sletten,K.,等(1974)Eue.J.Biochem 41,117-125)を用いてバクテリオシンを切断後、配列のC末端部分を得た。


    【0146】


    ABP118の活性の方法


    吸着測定法:


    感受性及び抵抗性菌株の細胞壁へ吸着するABP118の能力を調べた。 簡単に述べると、リステリア・イノキュア、ラクトバシラス・サリバリウスUCC118、ラクトバシルスファーメンタムKLD、大腸菌1266及びバチルスコアグラン1761を新鮮な肉汁(20ml)においてそれぞれ継代培養し、対数増殖中期まで生育した。 遠心分離によって細胞を収集し、pH6.5、50mMリン酸ナトリウム緩衝液で2回洗浄し、そして、2000AU/mlのABP118を含むpH4.0、6.0及び8.0緩衝液に再懸濁した。 混合物を37℃で2時間インキュベーションした。 それから、細胞を遠心分離によって取り除き、上清液の抗微生物タイターを決定した。 コントロールとしては、細胞のないABP118の2000AU/mlのインキュベーションしたもの及び、ABP118のない細胞をインキュベーションしたものとした。


    【0147】


    ABP118の静菌性活性に対する殺菌活性


    2組のリステリア・イノキュア、ラクトバシルスファーメンタムKLD及びバチルスコアグラン1761を、対数増殖期(OD600、0.2-0.5)まで生育した。 5000AU/mlのABP118を1組目の細胞へ加えた。 第2組目の細胞を2回洗浄し、5000AU/mlのABP118を付加する前にpH6.5リン酸緩衝液に再懸濁した。 さらに7-8時間適当な状況下で生育(cfu/ml)を行い、モニターした。 静止期細胞を使用してこの実験を繰り返した。


    【0148】


    感受性細胞のDNA、RNA及びタンパク質合成におけるABP118の効果


    感受性指示薬バチルスコアグラン1761をTSAYE生育培地に接種(3%(v/v))し、37℃で対数増殖初期まで(3-4時間)生育した。 培養物を2つに分割した。 一方の半分の培地に対して5000AU/mlの抗菌化合物を加え、一方、等量の生育培地を他の半分に加えた。 それから、それぞれの半分の培地を、放射性標識した物質を用いて補った。 以下の物質(New England Nuclear Corps.)を使用した。 すなわち、5μCi/mlの[5,6-3H]ウリジン(39.6Ci/ml);5μCi/mlのメチル[3H]チミジン(6.7Ci/mmol)及び5μCi/mlのL−[35S]メチオニン(1175Ci/mmol)。 一定間隔で、サンプルを培養物から取り出し、生育培地を加えた(pH5.8)。 それから、各サンプルを15%トリクロロ酢酸(TCA)で補充し、十分に混合し、そして18時間、氷上でインキュベーションした。 それから、複数のサンプルをガラス繊維フィルターを通して濾過し、5%TCAで洗浄し、乾燥した。 ベックマンエコーライト(Beckman Ecolite)シンチレーション装置を有するシンチレーション容器上にフィルターを置き、ベックマン(Beckman)液体シンチレーション計数器においてカウントした。


    【0149】


    ABP118の精製


    対数増殖期(実施例5参照)において生産されたABP118を、硫酸アンモニウムで沈降させ培養培地から20倍濃縮することにより(分画I)、表11及び12に示したように250%の回収で特異的な活性が292倍増加した。


    【0150】


    【表11】


    【0151】


    【表12】


    【0152】


    疎水性XAD-16カラムを通過した後、収率が3.75%で特異的活性が劇的に失なわれた(表12、分画II)。 純粋なABP118を生じる最終的な精製段階は、逆相クロマトグラフィーであった。 1つの分画として収集された、活性ピークは、100%イソプロパノールの濃度で溶出した。 このピークを再びカラムにかけたとき、純粋な活性ピークは、31.5%イソプロパノールで溶出した。 純粋なABP118の特異的な活性は培養上清液より135倍大きく、最終的な回収率は0.047%であった(表12、分画IV)。 FPLCより前に陽イオン交換カラムを通すことによって、特異的な活性が減少したが、より良い精製結果を生じた。 最終タンパク質濃度は、130μg/mlであると推定された。


    【0153】


    アミノ酸組成と配列の分析 純粋なABP118のアミノ酸組成を表13に示すように決定した。


    【0154】


    【表13】


    【0155】


    異常なアミノ酸は、検出されなかった。 高い割合でグリシン、アラニン及びロイシンが検出された。 トリプトファン又はチロシン残基は存在しなかった。 エドマン分解のおいて、N-末端はブロックされた。 一つのメチオニン残基が存在していたので、ブロモシアン切断を行い、N末端あるいはその近接の5アミノ酸残基-Lys-Arg-Gly-Pro-Asn-C(SEQ ID NO:1)を決定した。 43-47アミノ酸のなかで21個のものは疎水性であった。 ブロモシアン切断を行う能力は、N末端のリジン残基の上流のメチオニン残基が存在するかどうかを示す。


    ABP118の活性の方法ABP118は感受性細胞へ吸着する。


    【0156】


    ABP118の吸着をpH4.0〜8.0の範囲に渡って試験した。 ABP118はテストした感受性細胞へ結合した(表14参照)が、抵抗性生産菌株、ラクトバシラス・サリバリウスUCC118へは結合しなかったことが観察された。


    【0157】


    【表14】


    【0158】


    大腸菌1266に結合したABP118がpH8.0で観察されたが、テストしたより低いpH値では観察されなかった。 37℃で2時間のインキュベーション後、感受性細胞へのABP118の40%の吸着が測定された。 100%の全吸着量は、一度も観察されなかった。 実験を4℃で繰り返したとき、検出された吸着はより少なかった。 細胞をオートクレーブにかけたとき、感受性細胞及び抵抗性細胞の両方について、40%の吸着量を記録した。 プロテアーゼで細胞を処理したとき、感受性細胞又は抵抗性細胞のいずれに対する吸着量もほとんど増加しなかった。


    【0159】


    ABP118は殺菌性及び静菌性活性の両方を所有する。 :抑制剤ABP118は、性質上殺菌性である。 これの最も印象的な例は、生育の対数増殖期及び静止期の両方の間でのバチルスコアグラン1761の生育に対してABP118が持つ影響である(洗浄した細胞及び洗浄していない細胞の両方に対して、図5A−5D参照)。 ABP118の添加後、最初の2,3時間の間、肉汁が清浄化したが、これは、ABP118の細胞溶解活性を証明するものである。 リステリア・イノキュア及びラクトバシルスファーメンタムKLDに対する殺菌性活性は、静止期におけるより生育の対数増殖期において更に明白であった。 ABP118の添加し、4時間静止期細胞をインキュベーション後、KLD菌株細胞の生存能が急速に減少することが分かった。 グラム陰性P・フルオレッセンス菌株及びメチシリン抵抗性S・アウレウス菌株にするABP118(5000AU/ml)の活性も試験した。 60〜90分インキュベーション後、両方の菌株の生育に対する静菌性効果が顕著に明白であった(図6及び7)。 30/37℃で1時間インキュベーションしたのち、細胞を2つに分割し、ABP118を一方の分に加え(矢印)、生育を更に8-9時間モニターした。 ◆−◆線はABP118の静菌性効果を説明する。


    【0160】


    ABP118はDNA及びRNA合成を抑制する:対数増殖期細胞へ5000AU/mlのABP118を添加しても、チミジン又はウリジンのいずれにも取り込みを生じなかった。 これは、それぞれ高分子DNA、RNAの合成の抑制することを示す。 バクテリオシンを加えないとき、細胞は、活発にチミジン及びウリジンと結合する。 タンパク質合成の抑制は、試験物とコントロールとの両方における放射性標識したアミノ酸の取り込み率が低いために証明されなかった(おそらくTSAYE培地に通常存在するアミノ酸の濃度が高い結果として)。


    結果を図8A及び8Bに示した。


    実施例7


    ABP 1のアミノ酸組成及び配列分析


    ABP118のアミノ酸組成を得る際に実施例6に従う手順を、純粋なABPIのアミノ酸組成を決定するために繰り返した。 アミノ酸組成を表15に示す。


    【0161】


    【表15】


    【0162】


    ABP118に関して異常なアミノ酸は検出されなかった。 グリシン及びアラニンは高い割合で検出され、ロイシンの割合が比較的高かった。 トリプトファンは検出されなかったが、チロシン及びバリンは検出された。 46-52アミノ酸のうち13-16個のアミノ酸は、疎水性であった。


    【0163】


    実施例8


    ABPの配列順序


    全ゲノムDNAを、Leenhouts等1991(J.Bacteriol.173:4794-4798)の方法によって40mM DL−スレオニンで補ったMRSで生育したUCC118から単離し、以下の変更を加えたCsClエチジウムブロミド浮遊密度勾配遠心分離法によって精製した。 STE緩衝液中、pH8.0(6.7%サッカロース、50mMトリス塩酸ImM EDTA)で細胞をペレット化し、洗浄した後、再ペレット化した細胞を−20℃近傍で貯蔵した。 1時間アイス上で8mg/mlのリゾチーム及び50U/mlのミュータノリシンを用いて細胞を溶解し、それから45分間37℃でインキュベーションした。 SDS溶液を加える前に、2mg/mlのプロテアーゼKを加え、1時間55℃でインキュベーションした。


    【0164】


    UCC118に対する全ゲノムDNAを、製造者の指示(Boehringer Mannheim)に従って、BamHI制限エンドヌクレアーゼで消化した。 オリゴヌクレオチドプライマーをBeckma Oligo 1000MDNA合成器で合成した。 ABPの推定構造遺伝子を含む断片を、BIOTAQTMポリメラーゼ(Bioline)を使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅し、次いでQiaexIIゲル摘出キット(Quagen)を用いてアガロースゲルから精製した。 大腸菌JM109コンピタント細胞の中に形質転換を行ったpGEM-Tベクター系(Promega)においてクローニングを行い、次にイソプロピル-β-D-チオガラクトサイド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトサイド(X-ゲル)を用いて、ブルーホワイトスクリーニングによって可能性のあるpGEM-T組換え体を同定した。 挿入物が存在するかどうかを、T7及びSP6プロモータの既知の配列に設計したpGEMT配列プライマーを使用して、PCRによって確認した。 これらPCR増幅断片を、Ampli Taq DNAポリメラーゼ、FS(Applied Biosystems)を有する染色ターミネーターサイクル配列迅速反応キットを使用して自動DNA配列決定機373ストレッチXL(PE Applied Biosysystems)によって順序つけた。


    【0165】


    ブロモシアンの切断後、次いで配列決定し、以下に示すように同定できない1つのアミノ酸を含む、ABP118のC-末端領域からの30アミノ酸配列を得た。


    【0166】


    *は、位置8、11,13,19,20,21及び25での1以上のアミノ酸種の可能性を示す。


    ? は、同定できないアミノ酸配列。


    ( )は、間違った配列の可能性を示す。


    【0167】


    この配列は、変性プライマーを用いてBamHI制限された全DNAとのPCRによって確認し、先のプライマー(5'ATGAAACGNGGNCCNAAC3')(配列番号4)を最初の6つの既知のN末端アミノ酸に設計し、一方逆プライマー(5'GGGCCTRNGGNACNCC3')(配列番号5)をアミノ酸21から26へ設計した。 Rは、プリンであった。 80bp断片を単離し、ついで次のように順序つけた。


    【0168】


    このDNA配列を控除し、オリジナル配列における位置7,8,11,13,19,20,21及び25でアミノ酸の同定を確実にし次のタンパク質配列を与えた。


    DNA配列はデータバンクにおいて既知の配列に相同性がないことを示した。


    【0169】


    【図面の簡単な説明】


    【図1】

    pH2.0のMRS培地中において、洗浄したラクトバシラス菌株(cfu/ml)の細胞の生存を、時間(分)に対して示したグラフである。


    【図2】

    pH2.0のMHS培地中において、洗浄したラクトバシラス菌株(cfu/ml)の細胞の生存を、時間(分)に対して示したグラフである。


    【図3】

    緩衝していない培地 、及び緩衝した培地中で、ラクトバシラス菌株UCC118(cfu/ml)の生存を、時間(分)に対して示したグラフである。


    【図4】

    L.

    サリバリウス UCC118(対数OD600)の生育及びABP118(AU/ml)の生産を、時間(時間)に対して示したグラフである。


    【図5】

    AからDは 、洗浄した(そして緩衝液中に再懸濁した)又は洗浄していない、バシラス・コアギュランス1761(Bacillus coagulans 1761)の対数期及び静止期の細胞に対する、ABP118(5000AU/ml)の殺菌効果を示した図である。


    【図6】

    ABP118 (5000AU/ml)を添加した(◆)、及び添加していない(□)TSAYE培地中で、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescence)の生育を示すグラフである。


    【図7】

    ABP118 (5000AU/ml)を添加した(◆)、及び添加していない(□)TSAYE培地中で、メシチリン耐性黄色ブトウ球菌148(Staphylococcus aureus 148)(MRSA)の生育を示すグラフである。


    【図8】

    Aは 、バシラスコアギュランス1761(Bacillus coagulans 1761)によるDNA合成に対する、ABP118の阻害効果を示す図である。


    【図8】

    Bは 、バシラスコアギュランス1761(Bacillus coagulans 1761)によるRNA合成に対する、ABP118の阻害効果を示す図である。


    【配列表】


    配列表(1)一般情報:


    (i)出願人:


    (A)名前: フォーバイルト(トレーディング アズ バイオケミカル アイルランド)


    (B)ストリート: グラスニヴィン(C)市: ダブリン9


    (E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(G)電話: +353-1-8370177


    (H)テレファックス: +353-1-8370176


    (A)名前: ユニヴァゥシティ カレッジ コーク(B)ストリート: カレッジ ロード(C)市: コーク(E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(A)名前: コリンズ ジョン ケヴィン(B)ストリート: スパー ヒル(C)市: ドークロイニ,カウンティ コーク(E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(A)名前: オサリヴァン ジェラルド クリストファー(B)ストリート: ボーリンヴェルティック カラヒーン ロード,ビショップスタウン(C)市: コーク(E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(A)名前: ソーントン ジェラルダン メアリー(B)ストリート: ボーリマー(C)市: ウォターフォール,カウンティ コーク(E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(A)名前: オサリヴァン,マリアン メアリー ジェラルダン(B)ストリート: キャスル ファーム 126


    (C)市: シャンキル,カウンティ ダブリン(E)国: アイルランド(F)郵便番号: なし(ii)発明の題: ラクトバシラス サリバリウス由来の生体に有益な菌株及びそれより得られた抗菌剤(iii)配列の数: 6


    (iv)コンピュータ解読形式:


    (A)メディア形式: フロッピーディスク(B)コンピュータ: IBM PC コンパティブル(C)作動システム: PC-DOS/MS-DOS


    (D)ソフトウェア: パテントイン リリース#1.0,バージョン#1.30(EPO)


    (2)配列番号1の情報: 1:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 5アミノ酸(B)配列の型: アミノ酸(C)鎖の数:


    (D)トボロジー: 不明(xi)配列:配列番号: 1:


    (2)配列番号2の情報:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 29アミノ酸(B)配列の型: アミノ酸(C)鎖の数:


    (D)トボロジー: 不明(xi)配列:配列番号:2:


    (2)配列番号3の情報:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 32アミノ酸(B)配列の型: アミノ酸(C)鎖の数:


    (D)トボロジー: 不明(xi)配列:配列番号:3


    (2)配列番号4の情報:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 18塩基対(B)配列の型: 核酸(C)鎖の数: 1本鎖(D)トボロジー: 直鎖状(xi)配列:配列番号:4:


    (2)配列番号5の情報:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 16塩基対(B)配列の型: 核酸(C)鎖の数: 1本鎖(D)トボロジー: 直鎖状(xi)配列:配列番号:5:


    (2)配列番号6の情報:


    (i)配列の特徴:


    (A)配列の長さ: 80塩基対(B)配列の型: 核酸(C)鎖の数: 2本鎖(D)トボロジー: 直鎖状(xi)配列:配列番号:6:


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