Viable formulations and lactic acid bacteria-containing foods as an active ingredient a lactic acid bacteria

申请号 JP2003579579 申请日 2002-03-29 公开(公告)号 JP4203855B2 公开(公告)日 2009-01-07
申请人 株式会社フレンテ・インターナショナル; 发明人 泰裕 古賀;
摘要 Disclosed is a live bacterium preparation or food containing a lactic acid bacterium comprising a lactic acid bacterium, Lactobacillus salivarius, as an active ingredient. There is provided a live bacterium preparation and food containing a lactic acid bacterium that can prevent onset, recurrence and exacerbation of periodontal disease and/or dental caries caused by periodontopathic bacteria and cariogenic bacteria and can prevent generation of halitosis and maintain pH of saliva at a physiologically normal level by normalizing intraoral microflora.
权利要求
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)を有効成分とする口腔内フローラを正常化するために用いる生菌製剤または乳酸菌含有食品。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)を有効成分とする歯肉炎、歯周炎および歯周病の発生防止又は治療用の生菌製剤または乳酸菌含有食品。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)を有効成分とする齲蝕の発生予防又は治療用の生菌製剤又は乳酸菌含有食品。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)を有効成分とする口臭の発生予防および口臭の除去用の生菌製剤又は乳酸菌含有食品。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)を純粋培養して得られる菌体。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)の菌体を乾燥して得られる乾燥菌体。
  • 生菌製剤又は乳酸菌含有食品の製造における乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)の使用。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)及び該菌株とは作用機序の異なる活性成分を含む組成物。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)と、糖アルコール及びオリゴ糖から選択される物質とを含む請求項 に記載の組成物。
  • 乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスTI 2711株(FERM BP-7974)と、エリスリトールとを含む請求項 10に記載の組成物。
  • 说明书全文

    技術分野本発明は、乳酸菌を有効成分とする、歯肉炎、歯周炎、歯周病、齲蝕および口臭の防止又は治療を目的とするトータルオーラルケア用医薬品(生菌製剤)又は乳酸菌含有食品及びその使用に関する。
    背景技術日本国厚生省の調査によると、歯周病に罹患している患者数は、1975年の調査では国民の18.2%であったものが、1993年には68.1%、1999年には72.9%に上昇し、その後も増加の一途を辿っており、推定患者数は9,000万人にも及ぶということが報告され、医療経済学的にも歯科領域に多くの支出負担を強いられているのが現状である。
    そのため、当局はすでに1988年に国をあげて歯周病予防に取り組む事を決定し、いわゆる「8020運動」の発展と推進に当たってきた。
    しかしながら、現在、なお患者数の減少はみられず、画期的予防法及び治療法の開発が望まれるところである。
    近年、歯周病は、単なる歯肉組織の慢性感染症という疾患に留まらず、循環器系の疾患である心筋梗塞、動脈瘤による血管の破壊などの原因となる危険性が指摘されており、さらには糖尿病、早産誘発の危険因子として注目を浴びている。 歯周病の治療には、今なおもって適確な治療法はなく、歯科技術による処置、すなわち患部への殺菌剤の投与、外科的手術、経口投与による抗生物質の使用などが行われている。 しかしながら、治療のための殺菌剤や抗生物質の長期連続投与は、それらの使用による新たな耐性菌を生み出すと共に、薬剤による副作用の発現など多くの難問を抱えており、必ずしも満足のいく治療方法は確立されていないのが現状である。
    そこで、歯周病や齲蝕の予防や治療を目的に、殺菌剤や抗生物質の投与に代わる方法として、乳酸菌を用いて上述の疾患の予防あるいは治療の可能性が検討されている。
    乳酸菌を用いた歯周病や齲蝕の予防および治療法としては、Enterococcus faecium、Streptococcus equinus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus salivariusの菌体および/又は抽出物を有効成分とする方法が特開昭61−91126号及び特公平4−52249号に開示されており、さらにWO99/07826においては、Lactobacillus spp. V20及びStreptococcus oralisが発現あるいは産生するグルコース転位酵素(glucosyl transferase)阻害活性や齲蝕の増殖を抑制する因子、及び過酸化水素産生を阻害する上記乳酸菌が検討されている。
    一方、ヒトの口腔内には400種類以上の細菌が生息しており、その菌数は100億個にも達している。 ちなみに唾液については10 〜10 CFU/mlレベルの菌数が検出される。 したがって、ヒト口腔内には複雑なフローラ(口腔細菌叢)が形成されており、歯周病や齲蝕などの予防および治療について単純なin vitroの系で得た成績でもってヒトへの有効性を外挿して論じることは非常に問題がある。 またヒトへの投与を前提としてその有効性を論じるためには、生菌製剤や乳酸菌含有食品としての生菌の生残性、さらには香味、物性についても考慮する必要がある。 しかしながら、上記の歯周病や齲蝕の予防および治療への乳酸菌の利用に関する文献においては、ヒトおよびモデル動物を用いたin vivo系における歯周病・齲蝕の原因菌の除菌又は抑制に関するデータ、あるいは生菌製剤や乳酸菌含有食品としての生菌の生残性、香味、物性に関するデータは一切開示されていない。
    ヒトへの投与を前提とした歯周病・齲蝕の予防・治療手段となる生菌製剤あるいは乳酸菌含有食品に使用される菌株としては、ヒトおよびモデル動物を用いた試験において、口腔内病原菌である歯周病・齲蝕の原因菌を明らかに除菌又は抑制できる乳酸菌株が選定されるべきであり、また生菌製剤又は乳酸菌含有食品として使用した際には、該乳酸菌株の生残性が高いことが必須条件であり、香味、物性にも優れていることが好ましい。
    発明の開示上記のような歯周病や齲蝕の予防および治療への乳酸菌の利用に関する従来の技術に鑑み、本発明の目的は、歯周病菌、齲蝕菌を原因菌とする歯周病および/又は齲蝕の発症又は再発・再燃を防止することができる乳酸菌株を提供することである。 本発明の別の目的は上記のような乳酸菌株を含む生菌製剤および乳酸菌含有食品を提供することである。
    上記のような菌株としては、ヒトおよびモデル動物を用いた試験において、口腔内病原菌である歯周病・齲蝕の原因菌を除菌又は抑制でき、さらには口腔内フローラを正常化することにより、口臭の発生を防止し、唾液のpHを生理的に正常に保つなどの性質が臨床的に有効性が実証された菌株を選定することが最も重要である。
    本発明者は、上記のような観点からラクトバチルス属に属する各種乳酸菌を探索し、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)が上記の特性を有していることを見出し、本発明を完成した。
    したがって本発明は、乳酸菌ラクトバチルス・サリバリウスを有効成分として含む生菌製剤または乳酸菌含有食品を提供する。 本発明の生菌製剤または乳酸菌含有食品は、口腔内フローラの正常化、歯肉炎、歯周炎および歯周病の発生防止又は治療、齲蝕の発生予防又は治療、口臭の発生予防および口臭の除去などに用いることができる。
    さらに本発明は、ラクトバチルス・サリバリウスの特に好ましい菌株としてラクトバチルス・サリバリウス TI 2711株(FERM BP−7974)、並びにそれらの菌体および乾燥菌体を提供する。 上記の本発明の生菌製剤および乳酸菌含有食品は、特に好ましくは、ラクトバチルス・サリバリウスとしてラクトバチルス・サリバリウス TI 2711株(FERM BP−7974)を含む。
    また本発明は、ラクトバチルス・サリバリウス TI 2711株(FERM BP−7974)の生菌製剤又は乳酸菌含有食品の製造における乳酸菌ラクトバチルスサリバリウス TI 2711株(FERM BP−7974)の使用、及び乳酸菌ラクトバチルス サリバリウス TI 2711(FERM BP−7974)株及び該菌株とは作用機序の異なる活性成分を含む組成物を提供する。
    発明を実施するための最良の形態本発明者は、上記本発明の目的に合致する乳酸菌株を選定するため、以下のような手順に従い、健常人の口腔内より分離された多数のLactobacillus属の保存菌株(30菌株)を試験し、最適な菌株を選定した。
    1. 通常の乳酸桿菌と比べ最も短時間に増殖する菌株を選定した(試験例1の▲1▼項参照)。
    2. Lactobacillus属の保存菌株(30株)のそれぞれと、主要な歯周病原因菌の臨床分離株であるPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia 、Prevotella nigrescensのそれぞれとの混合培養を行い、歯周病菌の生育を強に阻止できる菌株を選定した(その一例としてPorphyromonas gingivalisを使用した試験例1の▲2▼項参照)。
    3. 次に、上記1のLactobacillus属の保存菌株(30株)のそれぞれと、齲蝕の主要な原因菌の臨床分離株Streptococcus mutans及びStreptococcus sobrinusのそれぞれとの混合培養を行い、齲蝕菌の生育を有意に阻止できる菌株を選定した(その一例としてStreptococcus mutansを使用した試験例1の▲3▼項参照)。
    4. さらに、齲蝕に対する有効性を立証するために、混合培養中における不溶性グルカン(齲蝕の主な原因物質)を定量し、不溶性グルカンの産生を有意に阻害する菌株を選定した(試験例1の▲3▼項参照)。
    5. 次に上記1〜4のin vitro試験によって選定されたLactobacillus salivarius TI 2711株の有効性を実証するために、さらに無菌マウスによる感染モデル試験を行った(試験例2参照)。 その概要は以下の通りである。
    1)歯周病菌のPorphyromonas gingivalisを無菌マウスの口腔内に接種し、定着させた後に、Lactobacillus salivarius TI 2711株を経口投与し、Porphyromonas gingivalisの菌数を測定して、生育が有意に阻止されたことを実証した(実験1参照)。
    2)齲蝕菌のStreptococcus mutansを無菌マウスに接種し、定着させた後にLactobacillus salivarius TI 2711株を経口投与し、Streptococcus mutansの菌数を測定して、生育が有意に阻止されたことを実証した(実験2参照)。
    6. 臨床試験として、本人の同意を得た健常人ボランティア(n=57)を募り、口腔内の唾液を採集し、総菌数、歯周病菌(BPAR=黒色色素を呈するグラム陰性、嫌気性桿菌のコロニー)及び齲蝕菌であるStreptococcus mutans及び有用菌である乳酸桿菌を分別して菌数を測定し、さらに唾液のpHおよび唾液中の不溶性グルカンの量を測定し、さらにハリメーターを用いて口腔内の口臭測定を行った。
    その後、Lactobacillus salivarius TI 2711の錠剤(錠菓)を、服用期間を8週間として上記ボランティアに服用させ、服用後4週目及び最終の8週目に上記項目すべてを測定すると共に、問診による服用後の有効性又は副作用などの調査を行った。 すべての項目について統計学的処理(Wilcoxon法)を行った結果、いずれの項目についても服用前後について客観的に有意差が得られ、さらに問診の結果と合わせて総合評価を行ったところ、その有効性を臨床学的にも明確に証明することができた(試験例3参照)。
    上記本発明の目的に合致した菌株として上記1〜4で選定したLactobacillus salivarius TI 2711株の細菌学的性状は以下の通りである。
    A:形態学的性状細胞形態:桿菌細胞の大きさ:0.6〜0.9×1.7〜5.2μm
    運動性:なし胞子の有無:なしグラム染色性:陽性B:生理学的性状(陽性:+、 陰性:−)
    ガス産生:−
    カタラーゼ:−
    ゼラチン液化能:−
    酸素に対する挙動:通性嫌気性インドールの生成:−
    硝酸塩還元能:−
    硫化水素の生成:−
    生成した乳酸の光学活性体:L体C:糖の資化性(資化性陽性:+、 資化性陰性:−)
    アラビノース:−
    アミグダリン:−
    セロビオース:−
    エスクリン:−
    ガラクトース:+
    グルコース:+
    フラクトース:+
    グルコン酸:−
    ラクトース:+
    マルトース:+
    マンニトール:+
    マンノース:+
    メリビオース:+
    ラフィノース:+
    メレチトース:−
    ラムノース:+
    リボース:−
    ソルビトール:+
    スクロース:+
    キシロース:−
    サリシン:−
    トレハロース:+
    以上の細菌学的性質に基づき、バージーズ・マニュアル・オブ・システマティックス・バクテリオロジー、2巻、(1986)および腸内菌の世界、光岡知足、叢分社、(1980)の分類規準に従い、上記1〜4で選定した本発明の菌株をLactobacillus salivariusと同定したものであり、該菌株をLactobacillus salivarius TI 2711株と命名した。 本菌株は平成14年3月26日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託され、受託番号FERM BP−7974を付与されている。
    本発明の乳酸菌株Lactobacillus salivarius TI 2711株は、ヒトなどの宿主に経口摂取させることにより、歯周病菌や齲蝕菌の歯肉組織および歯周ポケット、歯部への付着および増殖を抑制あるいは阻止し、口腔内に存在する病原菌を抑制あるいは排除することができる。 これにより、国民病ともうべき、歯周病や齲蝕の予防あるいは治療に極めて有効な手段を提供するものである。 このような宿主と口腔内微生物間の相互作用は広く自然界において観察されており、宿主と微生物との係わりの中で共生、寄生あるいは拮抗現象として理解されている。
    次に本発明の乳酸菌株(Lactobacillus salivarius TI 2711株)の用途について述べる。
    本発明の乳酸菌株(Lactobacillus salivarius TI 2711株)を有効成分としてそのままあるいは適当な添加剤とともに単剤として投与することも可能であり、また他の活性成分、例えば該菌株とは作用機序の異なる他のオーラルケア医薬品などと同時に投与あるいは合剤として投与してもよい。 その投与形態としては、例えば散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤などの形態が好ましく、経口的に安全に投与することができる。 本発明の乳酸菌株をこれらの投与形態に使用する場合は、本発明の乳酸菌株の乾燥菌体(生菌)を使用して製剤にすることが好ましい。 本発明の乳酸菌株の乾燥菌体(生菌)は常法により得ることができ、例えば、本発明の乳酸菌株を純粋培養し、遠心分離などの方法により集菌後、適切な安定剤を加えて凍結乾燥することにより得られる。
    また上記の各種製剤は常法に従って製造することができ、主薬である本発明の乳酸菌株とともに、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、潤滑剤、安定剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、滑沢剤、懸濁剤、希釈剤などの医薬品の製剤技術分野において通常使用される既知の医薬品添加物を用いて製造することができる。
    上記各種製剤の投与量は、対象疾患の種類、程度などによっても異なるが、例えば本発明の乳酸菌株の乾燥菌体として1日1mg〜2,000mg程度を症状に応じて1日1回又は数回に分けて投与することができる。
    また、本発明の乳酸菌株は錠菓、ガム、飴類などの菓子類、キムチなどのつけもの類をはじめ広く一般の食品に添加して使用することもでき、乳酸菌含有食品を提供することができる。 本発明の乳酸菌株を食品に使用する場合においても、本発明の乳酸菌株の乾燥菌体(生菌)を使用することが好ましく、それを任意に食品として許容される添加物とともに広く一般の食品に添加することができる。
    さらに本発明の乳酸菌株は、ヨーグルトなどの醗酵食品の形態で摂取させることも可能である。 このような発酵食品は、例えば、乳や羊乳などの醗酵原料に、ヨーグルト製造上のスターター菌であるLactobacillus bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Streptococcus thermophilus、Streptococcus lactisなどの酪農乳酸菌とともに本発明の乳酸菌株を接種し、混合培養するか、あるいは各々を醗酵原料中で単独培養後に混合することによって製造することができる。
    本発明者は、本発明の乳酸菌株の効果をさらに高めるために、本発明の乳酸菌株とともに相加又は相乗効果を示す物質を見出すため、齲蝕を指標として本発明の乳酸菌株とともにオリゴ糖および糖アルコール類を含む組成物の効果を調べた。 その結果、糖アルコールのエリスリトールを本発明の乳酸菌株とともに使用した場合、不溶性グルカンの産生の抑制においてそれぞれ単独の抗齲蝕効果に対して相乗的な効果を示すことが見出された(試験例4参照)。
    糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトースなど)およびオリゴ糖(フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ケストース、ラフィノースなど)は齲蝕に対し有効であることは一般に知られているが、これらの糖アルコールおよびオリゴ糖と乳酸菌株との相乗効果または相加効果については、乳酸菌株の選定によって大きく異なるところである。
    これらの有用な糖アルコール及びオリゴ糖は単独又は混合して本発明の生菌製剤または乳酸菌含有食品に使用することができる。 これらの糖アルコール及びオリゴ糖は賦形剤又は甘味剤としての機能を果たすこともできる。 これらの糖アルコール及びオリゴ糖の種類、配合割合などは特に制限されず、任意の糖アルコールまたはオリゴ糖を任意の比率で使用することができる。 例えば錠菓の場合、常用される打錠技術を用いて、錠剤組成、打錠圧などの条件、錠菓の硬度などを適当に選択することにより、任意の糖アルコールまたはオリゴ糖を任意の比率で含む製品を容易に製造することができる。
    以下に、実施例および試験例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらにより本発明が限定されるものではない。
    試験例1:口腔内病原細菌の抑制に適する乳酸桿菌の菌株(Lactobacillus属)の選択▲1▼増殖性に関する試験MRS broth(Difico)培地に、表1に示したLactobacillus属に属する乳酸菌30株をそれぞれ1×10 CFU/ml接種し、37℃で6時間、好気条件下に培養後、寒天平板法にて生菌数を測定した。
    すなわち、各菌株の上記培養6時間目の培養液1mlを嫌気性希釈液(KH PO 4.5g/l、Na HPO 6.0g/l、システイン塩酸塩0.5g/l、寒天0.5g/l、Tween80 0.5g/l)にて段階希釈を行い、希釈液の0.1mlをMRS寒天培地(MRS brothに寒天1.5%を添加した寒天平板)にまき広げ、37℃で48時間、嫌気条件下に培養した後、コロニー数を計測し、希釈倍数を乗じて生菌数を求めた。 結果を表1に示す。
    ▲2▼歯周病原因菌の主要病原菌であるPorphyromonas gingivalis JCM 8525株に対する抑制作用の試験GAMブイヨン(日水)に0.7%のグルコースを添加した液体培地10mlにPorphyromonas gingivalis JCM 8525株(菌数:1×10 CFU/ml)を単独(コントロール)あるいは表1に示した30株の乳酸桿菌のそれぞれ(菌数:1×10 CFU/ml)とともに混合接種した。 嫌気培養条件下にて37℃で12時間培養後、培養液中のPorphyromonas gingivalisの生菌数を寒天平板法により測定し、Porphyromonas gingivalis単独で培養した場合のPorphyromonas gingivalisの生菌数(コントロール、100%)に対するLactobacillus属菌との混合培養時のPorphyromonas gingivalisの生菌数の割合を求めた。
    寒天平板法によるPorphyromonas gingivalisの菌数測定にはEG寒天培地(日水)にゲンタマイシン10μg/mlを添加したEG−GM培地を選択培地として用いてPorphyromonas gingivalisのみを生育させ、菌数を測定した。 すなわち、Porphyromonas gingivalis単独あるいは、各乳酸桿菌株(30株)のそれぞれとの混合培養を行った上記の培養液を、各々1mlを採取し前記嫌気性希釈液にて段階希釈し、その0.1mlを上記EG−GM寒天平板にコンラージ棒にてまき広げ、37℃で48〜72時間嫌気培養し、得られたコロニー数を計測後、希釈倍数を乗じて生菌数を求めた。
    Porphyromonas gingivalis単独で培養した場合のPorphyromonas gingivalisの生菌数(コントロール、100%)に対するLactobacillus属菌との混合培養時のPorphyromonas gingivalisの生菌数の割合をPorphyromonas gingivalisの生存率とし、下記式に従って計算した。 結果をP. gingivalisの生存率(%)として表1に示す。 したがって、Lactobacillus属菌のP. gingivalisに対する阻害率(%)は、Control(100%)からP. gingivalisの生存率(%)を減じて得られる値(%)により表わされることになる。

    ▲3▼齲蝕の主要な病原菌Streptococcus mutans MT 8148株に対する抑制および不溶性グルカンの産生抑制の試験GAMブイヨン(日水)にグルコース0.7%、スクロース3%を添加した液体培地5mlを遠心スピッツ管に入れ、さらにStreptococcus mutans MT 8148株(菌数1×10

    CFU/ml)を単独(コントロール)あるいは表1に示した30株の乳酸桿菌(菌数:1×10

    CFU/ml)のそれぞれとともに混合接種した。 好気的条件下にて37℃で24時間培養後、培養液中のStreptococcus mutansの生菌数を寒天平板法により測定し、Streptococcus mutans単独で培養した場合のStreptococcus mutansの生菌数(コントロール、100%)に対するLactobacillus属菌との混合培養時のStreptococcus mutansの生菌数の割合を求めた。


    寒天平板法によるStreptococcus mutansの菌数測定には、TCYSB寒天培地(トリプチケースソイアガー(BBL)40g/l、シスチン0.3g/l、酵母エキス5g/l、スクロース200g/l、寒天5g/l、バシトラシン10U/ml)を選択培地として用いることによりStreptococcus mutansのみを生育させ、菌数を測定した。 すなわち上記各培養液から1mlを採取して上記嫌気性希釈液にて段階希釈し、その0.1mlを上記選択培地プレートに広げ、37℃で72時間培養した。 プレート上に生じたコロニーを計測し希釈倍率を乗じて生菌数を求めた。


    Streptococcus mutans単独で培養した場合のStreptococcus mutansの生菌数(コントロール、100%)に対するLactobacillus属菌との混合培養時のStreptococcus mutansの生菌数の割合をStreptococcus mutansの生存率(%)とし、上記▲2▼と同様に計算した。 結果をStreptococcus mutansの生存率(%)として表1に示す。 したがって、Lactobacillus属菌のS. mutansに対する阻害率(%)はControl(100%)からS. mutansの生存率(%)を減じて得られる値(%)により表わされることになる。


    一方、不溶性グルカンの測定については、上記培養液を入れた各スピッツ管に付着した不溶性グルカンをスパテルで良くそぎ落し、3,000rpmで15分間遠心分離して沈殿を集め、PBS(Phosphate Buffer Solution)で2回洗浄後、5mlのPBSを加えて測定検体とした。 なお、不溶性グルカンはフェノール硫酸法により定量した(糖、蛋白質、糖鎖研究法 追補版高橋禮子著 生化学実験法23)。 結果をStreptococcus mutansを単独で培養した場合に測定された不溶性グルカンの量に対する各Lactobacillus属菌と混合培養した場合に測定された不溶性グルカンの量の比(不溶性グルカンの生成率、%)として表1に示す。 したがって、Lactobacillus属菌のS. mutansに対する不溶性グルカン産生の阻害率(%)はControl(100%)からS. mutansにより産生された不溶性グルカンの生成率(%)を減じて得られる値(%)により表わされることになる。


    表1に示した結果より、Lactobacillus属30株のうち、最も増殖性が良く、歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisおよび齲蝕菌のStreptococcus mutansの増殖を最も強く抑制し、かつ不溶性グルカンの産生量が少ない非常にすぐれた菌株は(26)番のLactobacillus salivarius TI 2711株であることが明らかとなった。


    試験例2:In vivoにおけるLactobacillus salivarius TI 2711株の無菌マウス口腔内のPorphyromonas gingivalis(歯周病原因菌)及びStreptococcus mutans(齲蝕原因菌)に対する有効性▲1▼試験方法実験1


    BALB/C 4週令の無菌マウスを用い、Control群(感染後非投与群、n=10)、及び歯周病原因菌感染後投与群(n=10)に分けた。 感染後投与群及びControl群にそれぞれ歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalis JCM8525の1×10

    CFU/0.5mlを連続3日間、合計3回口腔内に接種し、さらに感染成立後1週間目に、感染後投与群に本発明の乳酸菌株であるLactobacillus salivarius TI 2711株(菌数1×10

    CFU/0.5ml)を連続3日間、合計3回投与した。


    その後、感染マウスの口腔内を嫌気希釈液を充分染み込ませた無菌綿棒でよくふきとることにより、口腔内の全唾液を1週目、2週目および4週目にそれぞれサンプリングし、唾液中に含まれるPorphyromonas gingivalisの菌数を測定した。 Porphyromonas gingivalisの菌数測定は試験例1の▲2▼項と同様に行った。


    実験2


    BALB/C 4週令の無菌マウスを用い、Control群(感染後非投与群、n=10)、及び齲蝕原因菌感染後投与群(n=10)に分けた。 感染後投与群及びControl群にそれぞれ齲蝕原因菌であるStreptococcus mutans MT8148の1×10

    CFU/0.5mlを連続3日間、合計3回口腔内に接種し、さらに感染成立後1週間目に、感染後投与群に本発明の乳酸菌株であるLactobacillus salivarius TI 2711株(菌数1×10

    CFU/0.5ml)を連続3日間、合計3回投与した。


    その後、感染マウスの口腔内を嫌気希釈液を充分染み込ませた無菌綿棒でよくふきとることにより、口腔内の全唾液を1週目、2週目および4週目にそれぞれサンプリングし、唾液中に含まれるStreptococcus mutansの菌数を測定した。 Streptococcus mutansの菌数測定は試験例1の▲3▼項と同様に行った。


    以上のin vivoにおける実験1及び実験2のプロトコールの概要を図10に示す。 また実験1及び実験2の結果を図1及び図2に示す。


    (試験結果)


    図1に示す実験1の結果から明らかなように、無菌マウス(BALB/c)に本発明の乳酸菌株Lactobacillus salivarius TI 2711株を投与した前後で歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalisの菌数を比較すると、Porphyromonas gingivalisの菌数は、Wilcoxon法に基づく有意差検定における有意差P<0.001をもって、投与後明らかに減少した。


    図2に示す実験2の結果から明らかなように、無菌マウス(BALB/c)に本発明の乳酸菌株Lactobacillus salivarius TI 2711株を4週間にわたって投与し、齲蝕の原因菌であるStreptococcus mutans MT 8148株の菌数の変動を調べたところ、投与後との菌数は、すでに第1週目にしてP<0.01で菌数が投与前と比較して有意に減少し、第4週に至っても統計学的に有意に減少し続けたことが示された(P<0.01)。


    試験例3


    臨床試験のプロトコール書面による同意を得た健常人ボランティア57名について、下記のプロトコールに従って臨床試験を実施した。


    本発明の乳酸菌株Lactobacillus salivarius TI 2711株の凍結乾燥菌末を1錠当り140mg(菌数1×10

    CFU/g)含む錠菓を調製し、1回5錠、1日5回、合計25錠を食間に各ボランティアに服用させた。 2ヶ月の服用期間にわたって連日服用させ、唾液採集、口臭測定及び医師による問診を行った。


    第1回検査として服用前に、唾液の採集、口臭測定(ハリメーターC21、インタースキャン社製、米国)及び問診を行い、同様に第2回の検査を服用後4週目に実施し、第3回の最終検査を服用後8週目に実施した。


    図11に本試験例の臨床試験のプロトコールの概要を示す。


    採集した健常人ボランティア(n=57)の唾液100μlを滅菌嫌気性希釈液(試験例1の▲1▼項参照)900μlに加えたものを原液(×1倍液)とし、さらに段階希釈をして×3、×5、×6倍の希釈液を調製して0.1mlを計り、あらかじめ準備した下記に示す選択培地の寒天平板培地に塗布後コンラージ棒でまき広げた。 その後、37℃で、72時間嫌気培養を行い、出現したコロニー数を計測して総菌数、Lactobacilli菌数、歯周病菌菌数及び齲蝕菌群菌数を求めた。 その後、コロニーを1白金採取してグラム染色を行い、顕微鏡下で確認した。


    選択培地・総菌数:BL寒天培地及びEG寒天培地を使用・Lactobacilli:変法LBS寒天培地・歯周病菌(BPAR=嫌気性グラム陰性黒色桿菌):EG−GM寒天培地、BL寒天培地・齲蝕菌群(Streptococcus mutans、S.sobrinus):TCYSB寒天培地


    (試験結果)


    ▲1▼口腔内の総菌数について得られた総菌数の結果を図3に示す。 図3に示した通り、錠菓服用前及び4週間服用後におけるヒト口腔内の総菌数には全く有意差が認められなかった。


    ▲2▼口腔内歯周病菌(BPAR=黒色色素を産生するグラム陰性、嫌気性桿菌)の変動について得られた口腔内歯周病菌菌数の結果を図4に示す。 図4に示す通り、服用前には検出限界以下の菌数を有するものが8名存在し、その平均値は10

    6.6±1.3 CFU/唾液総量であったものが、服用後4週間には、検出限界以下の菌数を有するものが30名に大幅に増加し、その平均値は10

    5.3±1.6 CFU/唾液総量(P<0.0001)であった。 したがってLactobacillus salivarius TI 2711株の服用により、病原菌である歯周病菌が除菌及び抑制されたことが示された。


    ▲3▼口腔内齲蝕菌(グラム陽性のミュータンス連鎖球菌)の変動について得られた齲蝕菌群菌数の結果を図5に示す。 図5に示すように、服用前後でミュータンス連鎖球菌の唾液中の菌数には有意差は認められなかった。


    ▲4▼口腔内乳酸菌の変動について得られた口腔内乳酸菌菌数の結果を図6に示す。 図6に示すように、口腔内の乳酸桿菌の菌数についても、服用前後で有意差は認められなかった。


    ▲5▼唾液pHの変動について唾液pHの変動の測定の結果を図7に示す。 服用前の57名についてはpHのバラツキ(pHの変動幅)も大きく、その平均値はpH7.0±0.7を示したが、服用4週間後には、pHのバラツキが小さくなり、平均値はpH7.3±0.2を示し、血液のpHとほぼ同じ値を示した。 すなわち、唾液のpHが正常に保持されていることを示している。 この現象は8週間後にも見られ、pHが正常に維持されており、かつバラツキも非常に少ない。 これらの結果は、ヒトに乳酸菌を投与すると乳酸の産生が促進され、齲蝕を助長するのではないかという疑問を根底から覆すデータであり、その臨床的意義は極めて重要な結果である。


    ▲6▼唾液中の不溶性グルカンの産生量の変動について唾液中の不溶性グルカンの産生量の測定の結果を図8に示す。 図8に示すように、服用前における唾液中の不溶性グルカンの量は、平均値9.9±6.0mg/唾液総量であったものが、服用後4週目には、平均値7.6±5.8mg/唾液総量(P<0.05)となり、統計学的に有意差が認められた。 さらに8週目においては、平均値4.2±2.2mg/唾液総量(P<0.001)となり、Lactobacillus salivarius TI 2711株服用についてDose Response Correlationが認められた。 これは本臨床試験により示される本発明乳酸菌株の有効性の科学的根拠を構成する証拠の一部である。 すなわち、本発明の乳酸菌株は、歯垢(Dental plaque)の主要原因物質である不溶性グルカンの産生を食い止め、嫌気性の歯周病菌や齲蝕菌の生息場所を元から断つことができ、齲蝕や歯周病などの慢性感染症の進展・再発・再燃を抑え込む手段となり得ることが判明した。 さらに、Lactobacillus salivarius TI 2711株を長期に服用すれば、前述のように唾液のpHが正常になり、かつ歯垢が形成されにくいため、口腔内細菌による歯垢内部での酸の産生が抑制され、齲蝕や歯周病の予防と軽度の症例の治療に役立つことが強く示唆された。


    ▲7▼ハリメータによる口臭測定の結果について口臭測定として、健常人ボランティアの呼気中の揮発性硫化化合物量をハリメータを使用して測定した。 口臭発生の主要な原因の1つとして、歯周病菌による蛋白質の分解が挙げられる。 すなわち、歯周病菌は蛋白質分解酵素(protease)の活性が著しく高いので、本菌の栄養源の1つである口腔内の食べカスなどの蛋白質を容易に分解し、H

    SやCH

    SHその他のThiol類、Sulfide類などの揮発性硫化化合物(VSC=Volatile Sulfurated Compound)である口臭原因物質を発生させるものである。


    本発明の乳酸菌株を含む錠菓服用前の健常人ボランティア57名の呼気中の揮発性硫化化合物量をハリメータを使用して室温(20℃)で測定し、RU(Response Unit、ppb=parts per billion)値が65ppb以上のボランティア20名を対象として服用後の追跡測定を行った。 その結果を図9に示す。


    図9に示すように、この20名の口臭のRU値は服用前に164±96ppb(平均±標準誤差)であったものが服用後4週目には94±21ppbに低下し、統計学的にも極めて有意な差(P<0.005)が認められた。


    さらに、8週間目の測定においては、RU値は90±21ppbに低下し、65ppb以下の口臭を全く感じない正常者が13名存在した。 (P<0.001)。


    すなわち、服用前の口臭のあるボランティアの数を100%としたとき、その数は4週目では52%に減少し、さらに8週目では38%に減少した。


    これらの結果は、ほぼDose Response Correlationを示しており、本発明の乳酸菌株の長期服用により口臭除去が可能であることを示している。


    また、本発明の乳酸菌株であるLactobacillus salivarius TI 2711株による歯周病菌の抑制事実と口臭発生を抑える事実はよく相関していた。


    なお、医師による57名の問診の結果、全例において腹部症状の発生は認められなかった。


    試験例4


    各種オリゴ糖、糖アルコール類の添加およびLactobacillus salivarius TI 2711株接種によるStreptococcus mutansの不溶性グルカン産生に対する抑制効果(in vitro)


    試験方法基礎培地としてGAMブイヨン(日水)にグルコース0.7%、スクロース3%を含む液体培地に糖アルコールとしてキシリトール、エリスリトール、ソルビトールおよびオリゴ糖としてフラクトオリゴ糖、ケトースのそれぞれを5%加え、Streptococcus mutans MT 8148株を1×10

    CFU/mlそれぞれの培地に接種し、37℃で24時間好気培養を行った。


    一方、上述の糖アルコール類及びオリゴ糖の5%添加培地にStreptococcus mutans MT 8148株を1×10

    CFU/mlをそれぞれ接種後、さらにLactobacillus salivarius TI 2711株を1×10

    CFU/ml接種して同様に37℃で24時間好気培養を行った。 培養終了後、両者のStreptococcus mutans MT 8148株の菌数測定及び不溶性グルカンの定量(試験例1に記載の方法)を行った。 結果を表2に示す。


    試験結果表2に示した通り、糖アルコール及びオリゴ糖の中で最も不溶性グルカンの産生を阻害した物質はエリスリトールであり、エリスルトール単独では約60%阻害されたが、さらにLactobacillus salivarius TI 2711株を接種し混合培養した結果、それらの相加又は相乗効果が認められ、Lactobacillus salivarius非接種の不溶性グルカンの量を100%としたときに約90%の阻害率を示し、良好な結果を得た。


    実施例1:Lactobacillus salivarius TI 2711株の乾燥菌体の調製Lactobacillus salivarius TI 2711株を0.3%炭酸カルシウムを含むブリックス・リバー液体培地に接種後、37℃で18時間静置培養を行った。 培養終了後、7,000rpm、15分間遠心分離を行い培養液の1/100量の濃縮菌体を得た。


    次いで、その濃縮菌体にグルタミン酸ソーダ5%(重量)、可溶性デンプン5%(重量)、蔗糖5%(重量)を含む分散媒と同量混合し、pH7.0%に修正後、−40℃以下で凍結してから凍結乾燥を行った。 得られた凍結乾燥菌末を60メッシュの篩上で粉末化して本発明の乳酸菌末を調製した。 なお、本菌の保存安定性について、乳酸菌末を室温24℃、10ヶ月、密封条件下(アルミラミネート袋)に保管しても菌数の低下は認められなかった。


    実施例2:医薬品生菌製剤(錠剤)の製造第12改正日本薬局方解説書製剤総則「錠剤」の規定に準拠し、実施例1で調製したLactobacillus salivarius TI 2711株乾燥菌末2g(菌数、5×10

    CFU/g相当)と乳糖(日局)161g、澱粉(日局)116g、結合剤ポリビニールピロリドンK25(日局)20g、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(日局)0.8gを加えて均一に混合し、打錠機で圧縮成型して、1錠当り300mgの素錠を290g製造した。


    実施例3:乳酸菌含有食品(錠菓)の製造第12改正日本薬局方解説書製剤総則「錠剤」の項を参考に、Lactobacillus salivarius TI 2711株乾燥菌末0.7g(菌数、5×10

    CFU/g相当)、エリスリトール47g、ソルビトール47g、1−メントール2.5g、フレーバー(ライム)1.5g及び滑沢剤として日本国の食品添加物として指定されているショ糖脂肪酸エステル1.3gを加えて均一に混合し、打錠機で圧縮成型し、1錠当り300mgの素錠を95g製造した。


    実施例4:乳酸菌含有食品(ガム)の製造Lactobacillus salivarius TI 2711株乾燥菌末10g(菌数、5×10

    CFU/g相当)エリスリトール160g、ソルビトール160g、香料としてペパーミントオイル20g及びガムベース(食品添加物)150gをあらかじめ秤量しておき、ガム製造用のニーダーを用いてガムベースをよく練混後、あらかじめ甘味剤であるエリスリトール及びソルビトールさらにLactobacillus salivarius TI 2711株乾燥菌末を均一に混合したものを、ガムベース練混時に少量づつ加え均一に練混し、最後にペパーミントオイルを加えて賦香して均一に練混した。 練混終了後、ニーダーよりガムの塊を取り出し、圧延ローラーにかけて厚さ3mmの板ガムを作製し、2日間、恒温室にて熟成後、市販の板ガムの大きさに裁断してガムを製造した。


    実施例5:乳酸菌含有食品(醗酵乳)の製造スターター菌Lactobacillus acidophilusとLactobacillus salivarius TI 2711株の混合培養による製造醗酵乳のスターター菌であるLactobacillus acidophilusを脱脂粉乳23g、酵母エキス1.0g、アスコルビン酸0.06gを含む還元脱脂培地に接種し、37℃で16時間静置培養したものをバルクスターターとした。


    一方、生乳および脱脂粉乳からなる原料混合物に実施例1で調製したLactobacillus salivarius TI 2711株の培養液と先に調製しておいたバルクスターター培養液をそれぞれ5%接種し、37℃で16時間培養を行い、醗酵乳を得た。 本発明の菌株を用いて製造した醗酵乳は風味共に美味であり嗜好性の高い製品であった。


    産業上の利用可能性本発明のLactobacillus salivarius TI 2711株について、in vitro試験、無菌マウスを用いたin vivoの試験、さらには長期にわたった臨床試験(n=57)を行った結果、いずれの試験においても口腔内フローラの正常化、歯周病菌や齲蝕菌の抑制、口臭発生防止などについて有効性が立証された。


    すなわち、本発明の菌株を服用又は摂取することにより口腔内フローラを正常化し、その結果として歯周病菌や齲蝕菌を抑制し、ひいては口臭発生を抑えることができ、本発明の菌株は、唾液のpHを生理的に正常に保つこと、歯肉炎、歯周炎および歯周病の発生防止又は治療、齲蝕の発生予防又は治療、口臭の発生予防および口臭の除去などに用いることができる生菌製剤または乳酸菌含有食品の成分として有用である。


    【図面の簡単な説明】


    図1は、L. salivarius TI 2711株のマウス口腔内P. gingivalis JCM 8525株に対する抑制効果(in vivo)を示すグラフである。


    図2は、L. salivarius TI 2711株のマウス口腔内S. mutans MT 8148株に対する抑制効果(in vivo)を示すグラフである。


    図3は、ヒト口腔内総菌数の変化を示すグラフである。


    図4は、ヒト口腔内歯周病菌(BPAR)菌数の変化を示すグラフである。


    図5は、ヒト口腔内ミュータンス連鎖球菌菌数の変化を示すグラフである。


    図6は、ヒト口腔内乳酸菌菌数の変化を示すグラフである。


    図7は、ヒト唾液のpHの変化を示すグラフである。


    図8は、ヒト唾液中の不溶性グルカンの量の変化を示すグラフである。


    図9は、ハリメーターによるヒト口臭測定の結果を示すグラフである。


    図10は、試験例2における実験1および実験2のプロトコールの概要を示す図である。


    図11は、試験例3における臨床試験のプロトコールの概要を示す図である。

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