Probiotic strain, the selection method, its composition, and its use

申请号 JP2004516689 申请日 2003-06-26 公开(公告)号 JP2005536197A 公开(公告)日 2005-12-02
申请人 プレバ、バイオテック、ソシエダッド、アノニマPuleva Biotech, S.A.; 发明人 フアン、ミゲル、ロドリゲス、ゴメス; フリオ、ボサ、プエルタ; ヘスス、ヒメネス、ロペス; ホルディ、サウス、ペイ; ロシオ、マルティン、ヒメネス;
摘要 本発明は、以下の工程:
a. 母乳 および/または 羊 水 中で生存できる非病原性菌株の選択、およびb. 健常人が経口摂取した後に、粘膜を除く他の内臓に定着することなく母乳および/または羊水中に移行され得る非病原性菌株の選択からなる、新規プロバイオティクス菌株を選択するための新規方法に関する。 本発明はまた、新規ラクトバチルス菌株:CECT5711(ラクトバチルス・コリニフォルミス)、CECT5713(ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス)、CECT5714:(ラクトバチルス・ガセリ、以前はL.アシドフィラス)、CETC5715:(ラクトバチルス・ガセリ)、およびCECT5716:(ラクトバチルス・ファーメンタム)を提供し、また消化器疾患、感染症、神経変性疾患、およびアレルギーなどの免疫関連疾患または 炎症 性疾患の予防または処置のためのそれらの使用にも関する。
权利要求
  • a. 母乳および/または羊水中で生存できる非病原性菌株の選択、および b. 健常人が経口摂取した後に、粘膜を除く他の内臓に定着することなく母乳および/または羊水中に移行され得る非病原性菌株の選択の工程を含む、プロバイオティクス微生物菌株を選択するための方法。
  • 母乳および羊水がヒト由来のものである、請求項1に記載の方法。
  • 該プロバイオティクス試験菌株がラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、およびビフィドバクテリウム属から選択される任意の乳酸菌である、請求項2に記載の方法。
  • 試験されたプロバイオティクス菌株が、母乳、母乳育ちの乳幼児の糞便または羊水からあらかじめ得られたものである、請求項3に記載の方法。
  • 試験された菌株がヒトのサンプルから得られたものである、請求項4に記載の方法。
  • 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により選択された細菌株。
  • CECTに受託番号5711で受託された細菌株(ラクトバチルス・コリニフォルミス)またはその変異株。
  • CECTに受託番号5713で受託された細菌株(ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス)またはその変異株。
  • CECTに受託番号5714で受託された細菌株(ラクトバチルス・ガセリ、以前はL.アシドフィラス)またはその変異株。
  • CECTに受託番号5715で受託された細菌株(ラクトバチルス・ガセリ)またはその変異株。
  • CECTに受託番号5716で受託された細菌株(ラクトバチルス・ファーメンタム)またはその変異株。
  • 請求項6〜11のいずれか一項に記載の、菌株の生物学的に純粋な培養物。
  • 非病原性プロバイオティクス細菌、特にラクトバチルス属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、およびビフィドバクテリウム属から選択されるプロバイオティクス細菌を得るための供給源としての、哺乳類の母乳および哺乳類の羊水の使用。
  • 哺乳類の母乳および哺乳類の羊水がヒトに由来するものである、請求項13に記載の哺乳類の母乳および哺乳類の羊水の使用。
  • 請求項6〜11のいずれか一項に定義された微生物菌株を得るための供給源としての、請求項14に記載の哺乳類の母乳および哺乳類の羊水の使用。
  • 請求項6〜11で定義された少なくとも1種の細菌株を含んでなる組成物であって、該組成物が好ましくは2〜6菌株、より好ましくは2〜4菌株、最も好ましくは2〜3菌株を含んでなり、かつ各々の菌株が該組成物中に0.1%〜99.9%、好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜90%の割合で存在する、組成物。
  • 請求項6〜11で定義された少なくとも1種の細菌株ともう1種の菌株または菌株の混合物を含んでなる組成物であって、該混合物が好ましくは2〜6菌株、より好ましくは2〜4菌株、最も好ましくは2〜3菌株を含んでなり、かつ各々の菌株が該組成物中に0.1%〜99.9%、好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜90%の割合で存在する、組成物。
  • 請求項6〜11のいずれか一項で請求された菌株、または請求項16〜17のいずれか一項で定義された組成物を、凍結乾燥された形態で含んでなる組成物。
  • 請求項6〜11のいずれか一項で請求された菌株、または請求項16〜17のいずれか一項で定義された組成物を、凍結された形態で含んでなる組成物。
  • 請求項6〜11のいずれか一項で請求された菌株、または請求項16〜17のいずれか一項で定義された組成物を、不活性化型または死菌の形態で含んでなる組成物。
  • 請求項6〜11のいずれか一項に記載の細菌株の培養物上清から得られる組成物、または請求項16〜17のいずれか一項に記載の組成物から得られる組成物。
  • 請求項6〜11に記載の任意の細菌株の培養物の抽出により得られる組成物、または請求項16〜17に記載の組成物の抽出により得られる組成物。
  • 請求項6〜11で指定された任意の菌株の代謝活動により得られる生成物、請求項12に記載の培養物から得られる生成物、または請求項16〜17に記載の組成物から得られる生成物であって、好ましくはそれが酵素である、生成物。
  • 支持材および請求項6〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種の菌株、請求項12および16〜24に記載の培養物、組成物または生成物を含んでなる食品。
  • 該支持材がミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、発酵乳製品、発酵肉製品、発酵穀物製品、粉乳、穀粉、乳児用調乳、臨床用栄養処方、アイスクリーム、ジュース、小麦粉、パン、ケーキ、砂糖、キャンディまたはチューインガムから選択される食品組成物である、請求項24に記載の製品。
  • 請求項6〜11に記載の微生物菌株が支持材中に約10 〜約10 12 cfu/g支持材、好ましくは約10 〜約10 11 cfu/g支持材、より好ましくは約10 〜約10 10 cfu/g支持材の量で含有される、請求項24に記載の製品。
  • 請求項6〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種の菌株、請求項12および16〜26に記載の培養物、組成物または製品、ならびに医薬上許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物。
  • 該微生物菌株が支持材中に10 〜10 14 cfu/g支持材、好ましくは10 〜約10 13 cfu/g支持材、より好ましくは10 7 〜10 12 cfu/g支持材の量で含有される、請求項27に記載の医薬組成物。
  • 治療または予防的処置のための、請求項6〜11のいずれか一項で請求された細菌株、請求項12および16〜26に記載の培養物、組成物または製品。
  • 局所、経口、眼球内、鼻腔内、経腸、泌尿生殖器内、膣内または直腸内投与のための、請求項29に記載の組成物。
  • 胎児の治療または予防的処置のために妊娠女性に投与する目的で設計された、請求項29に記載の組成物。
  • 母乳で育つ乳幼児の治療または予防的処置のために授乳中の女性に投与する目的で設計された、請求項29に記載の組成物。
  • ヒトおよび動物の疾患の治療または予防的処置のための製品の製造における、請求項6〜11のいずれか一項に記載の菌株、請求項12および16〜27に記載の培養物、組成物もしくは製品の使用。
  • 慢性もしくは急性感染症、または望ましくない微生物の定着の処置および/または予防のための使用であって、その感染症または定着が寄生虫、細菌、酵母、真菌またはウイルスによって、それらを必要とする被検体または動物の粘膜表面で引き起こされ、該粘膜表面が、限定されるものではないが、経口、鼻咽頭、呼吸器、胃、小腸、泌尿生殖器および腺からなる群から選択される、請求項33に記載の使用。
  • 生理的ストレスに曝された個人の、一時的に低下した免疫レベルの処置および/または予防のための、請求項33に記載の使用。
  • 消化管免疫バリアの改善が必要な被検体または動物のための;食物に対するダウンレギュレート性の過敏感反応および乳糖不耐症のような代謝性不耐症;便秘および他の消化器疾患;IBD、潰瘍性大腸炎、関節炎、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、乾癬またはサルコイドーシスなどの炎症性または自己免疫疾患;ならびに腫瘍増殖、転移および癌の処置および/または予防を必要とする被検体または動物のための、請求項33に記載の使用。
  • アレルギー性疾患および喘息の処置および/または予防を必要とする被検体または動物のための、請求項33に記載の使用。
  • 限定されるものではないが、パーキンソン病、卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病および痴呆からなる群より選択される、神経変性疾患の処置および/または予防を必要とする被検体または動物のための、請求項33に記載の方法。
  • 说明书全文

    発明の詳細な説明

    本発明は、新規プロバイオティクス菌株の選択のための新規方法、本発明の方法に従って選択されたラクトバチルス属の新規プロバイオティクス生物、およびこれらの微生物を含んでなる組成物;消化器疾患、感染症、神経変性疾患、およびアレルギーなどの免疫関連疾患または炎症性疾患の予防または処置のためのそれらの使用;ならびに前記微生物を得るための新規供給源に関する。

    発明の背景

    長年にわたり乳酸菌は、低いpHとその発酵活動時に生成される発酵生成物の作用が腐敗細菌の成長を阻害するという利点を生かし、食品保存のための発酵材料として用いられてきた。 この目的のために、特性が明らかでない乳酸菌または「ファーメンタム」が、乾燥発酵肉製品、チーズ、および他の発酵乳製品などの種々の異なる食品を作製するのに使用されてきた。

    最近、ある種の菌株をヒトおよび動物が摂取すると有用であることが見出されたために、乳酸菌が高い関心を集めている。 特に、ラクトバチルス属またはビフィドバクテリウム属の特定の菌株は、小腸粘膜に定着してヒトおよび動物の健康の維持を補助することが見出され、プロバイオティクスと命名されている。

    プロバイオティクスとは、腸内菌叢をより健康に保つことにより個人の健康を増進する、生きている微生物製剤と考えられる。 微生物製剤は一般に、その有効性および作用機序が既知の場合、プロバイオティクスとして認められうる。 プロバイオティクスは、小腸粘膜に付着し、腸管に定着してさらに有害微生物の腸管への付着を防いでいると考えられている。 それらが作用するための重要な必須条件は、消化管上部で、特に一般に胃内の低いpHの影響により破壊されることなく、それらが正常かつ生きたまま腸内粘膜に届くことである。

    新規のプロバイオティクス菌株をもたらす広範囲にわたる研究において、従前の特許出願は、乳幼児の糞便からの種々の異なる細菌株の単離を記載している(JP04320642、JP05227946)。 さらに、これまでに得られたプロバイオティクス菌株は、通常、in vitro試験によって主としてそれらが小腸粘膜に付着する能に関して選択されていた。 それに続く選択は常に行われるわけではなく、もし行われたとしても、それは主として菌株の個々の特性に基づくものであった。 最終的に、またしばしばそのような菌株が商品化された後に、選択された菌株の有益な作用がin vivoで証明されることがある。

    この点に関して、いくつかの特許出願、例えばEP0768375、WO97/00078、EP0577903およびWO00/53200では、ビフィドバクテリウムおよびラクトバチルスの特定の菌株、および病原性微生物による下痢、免疫調節、過敏感反応または感染症に対するそれらの有益な効果が開示されている。

    さらに、調乳を与えられた乳児と比較して、ヒト母乳の乳児の健康に対する有益な効果はまた、広範囲にわたり報告されている。 この点に関して、感染症、アレルギー、喘息および関連疾患のリスク減少、ならびに小腸の成熟および腸機能の促進が記載されている。 また、母乳を与えた乳児と調乳を与えた乳児では腸内菌叢の組成が異なることが報告されている。 ヒト母乳の有益な効果および腸内菌叢の調節は、乳児調乳と比べてその特徴的な組成によりもたらされると報告されている。 このように、ラクトフェリンなどの母乳タンパク質または先天性免疫、およびオリゴ糖に富む組成物が、菌叢および腸機能の制御においてプレバイオティック(前生物的)化合物として働き得ることが報告されている。

    しかし、本発明者らの知るところによれば、正常なヒト母乳における微生物菌株の存在を記載した文献または研究はない。 また、かかる微生物菌株が母乳で育つ乳幼児に有益であり、また、母乳で育てている乳児の腸内菌叢を調節するプロバイオティクスとして働くという報告はなされていない。 本発明者らの研究は、母乳で育てることの健康に対する効果は、そこに存在する微生物菌株により媒介され得ることを示唆している。

    いくつかの研究において、新生児の初期定着は、分娩時の膣内細菌による二次汚染であることが示唆されている。 しかし、類似の新生児の初期の微生物定着は分娩経路とは関係ないことを示す研究もある(帝王切開と自然分娩)。 さらに、コンベンショナル妊娠マウスが帝王切開により得られたものであるにもかかわらず、それから無菌動物を得ることは不可能であるという事実、およびこれらの動物はまた、無菌レシピエントマウスへの胚送達により得ることができるという事実(Okamoto, M. and Matsumoto, T. 1999. Exp.Anim. 48:59-62)は、膣内汚染とは別の、新生児の初期定着にも影響を及ぼすメカニズムが存在するはずであり、このメカニズムが分娩以前に始まるはずであることも示唆する。

    この点に関して、本発明者らの知るところでは、正常なヒト中の乳酸菌株の存在を記載した文献または研究は存在しない。 また、かかる非病原性の微生物菌株が妊娠中の胎児に有益であり、従って妊娠期間中に胎児の腸に定着できる初期微生物集団を調整しているという報告もない。

    乳酸菌の特定の菌株がもたらし得る有益な特性を理解すれば、当技術分野においてヒトおよび/または動物の健康に有益なさらなる乳酸菌の菌株が望まれる。 このため、先行技術の問題は、さらなる新規細菌株の合理的な選択方法、およびそれらを選択するための、それぞれがヒトおよび/または動物にとって有益な特性を多く持つ細菌株を獲得できる新規供給源を提供することであった。 前記の問題は、新規微生物、すなわちラクトバチルス属の乳酸菌を提供することにより解決できた。 これらの新規菌株は、糞便とは別の、ヤギのチーズおよびヒトの母乳、羊水といった種々の供給源から得られ、また母乳および/または羊水中で生存できる能力、ならびに経口摂取後に母乳および/または羊水中に移行され得る能力を利用する方法により選択された。

    この選択方法は、得られた細菌株がプロバイオティクス菌株の大部分の特徴を絶対的に有している、すなわち消化プロセスに対し優れた抵抗性があり、腸に定着する能力を有するが、またより自然なヒト由来のものであり、安全で、ヒトの腸以外のいくつかの適所に定着し、調整できることを保証する。 最終的には、選択された菌株はまた、付着能力のみならず、非常に有益な特性を有しているかどうかについても試験される。

    発明の概要

    従って本発明は、a. 母乳および/または羊水中で生存できる非病原性菌株の選択、およびb. 健常人が経口摂取した後に、粘膜を除く他の内臓に定着することなく母乳および/または羊水中に移行され得る非病原性菌株の選択の工程を含む、プロバイオティクス微生物菌株を選択するための方法を提供する。

    さらなる態様において本発明は、新規ラクトバチルス菌株:
    ・CECT5711:(ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis))、
    ・CECT5713:(ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス(Lactobacillus salivarius subsp.salivarius))、
    ・CECT5714:(ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、以前はL.アシドフィラス(L. acidophilus))、
    ・CE CT 5715:(ラクトバチルス・ガセリ)、および・CECT5716:(ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum))
    を提供する。

    本発明のさらなる態様は、非病原性プロバイオティクス細菌を得るための供給源としての、哺乳類の母乳および哺乳類の羊水の使用に関する。

    本発明のもう1つの態様は、少なくとも1種の前記の菌株を含む組成物および製品に関する。

    最後に、本発明の最後の態様は、前記の菌株またはそれらを含む任意の培養物、組成物もしくは製品の、ヒトおよび動物の疾患の治療または予防的処置のための製品の製造における使用に関する。

    発明の具体的説明

    前記のように、本発明は母乳および/または羊水中で生存できる新規細菌株の選択方法を提供するものであり、また経口摂取後に母乳および/または羊水へ移行され得る能力により、その方法を用いて得られる、選択された菌株の特別な特性が確証付けられる。 従って、本発明の主たる態様は、以下の工程からなるプロバイオティクス微生物菌株の選択方法として定義される:
    a. 母乳および/または羊水中で生存できる非病原性菌株の選択、およびb. 健常人が経口摂取した後に、粘膜を除く他の内臓に定着することなく母乳および/または羊水中に移行され得る非病原性菌株の選択。

    本発明の好ましい実施形態によれば、母乳および羊水は両方ともヒト由来のものである。 本発明の方法のプロバイオティクス試験菌株は、限定されるものではないが、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、エンテロコッカス属、ストレプトコッカス属、およびビフィドバクテリウム属から選択される任意のプロバイオティクス細菌であり得る。 これらのプロバイオティクス菌株は、好ましくは母乳、母乳育ちの乳幼児の糞便または羊水から得られたもの、最も好ましくはヒトのサンプルである。 本発明のさらなる詳細は、以下の「方法および実施例」に記載する。

    さらなる態様において本発明は、本発明の方法によって選択された任意の細菌株を提供する。 これらの新規細菌株のうちのいくつかは、ヒトの健康、特に消化器疾患、感染症、神経変性疾患、およびアレルギーなどの免疫関連疾患または炎症性疾患の予防または処置に有益な多くの特性を示し、ブダペスト条約に従ってCECT−Coleccion Espanola de Cultivos Tipo-、 Valencia(Spain)に、2002年6月11日に寄託されている。 これらの細菌株およびその特性は:
    ・CECT5711:(ラクトバチルス・コリニフォルミス)前記の細菌はヤギのチーズから得られ、提案された方法により選択され、図3のRAPDプロフィールにより特徴付けられ、その特性は表I、IIおよびVIIIに記載されている。
    ・CECT5713:(ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス)前記の細菌は母乳育ちのヒトの乳幼児の糞便から得られ、提案された方法により選択され、図3のRAPDプロフィールにより特徴付けられ、その特性は表I、IIおよびVIIIに記載されている。
    ・CECT5714:(ラクトバチルス・ガセリ、以前はL.アシドフィラス)前記の細菌はヒト母乳から得られ、またヒト羊水からも検出され、提案された方法により選択され、図3のRAPDプロフィールにより特徴付けられ、その特性は表I、IIおよびVIIIに記載されている。
    ・CECT5715:(ラクトバチルス・ガセリ)前記の細菌はヒト母乳から得られ、またヒト羊水からも検出され、提案された方法により選択され、図3のRAPDプロフィールにより特徴付けられ、その特性は表I、IIおよびVIIIに記載されている。
    ・CECT5716:(ラクトバチルス・ファーメンタム)前記の細菌はヒト母乳から得られ、提案された方法により選択され、図3のRAPDプロフィールにより特徴付けられ、その特性は表I、IIおよびVIIIに記載されている。

    さらに本発明者らはまた、本発明の方法を適用することにより、前記の新規なる特別な菌株を選択できることを確認した。 この意味合いで、本発明者らは選択された菌株の遺伝学的な特徴(RAPプロフィール)、および発酵能力(APIプロフィール)、酵素学的な素質(APIZYMプロフィール)などの生化学的特徴、ならびに抗生物質耐性を、いくつかの培養物の集合体中に沈殿した同じ種の他の菌株(すなわちCECT、ATCC、LMG、NCFB等)と比較した。 その結果、本発明者らはこれらの新規菌株がこれまでに報告されたものとは異なることを確証付けた。

    本発明者らの知る限りでは、正常な哺乳類の母乳または羊水中に存在する非病原性細菌微生物を得ることが可能であり、経口摂取された後に非病原性細菌株は母乳および羊水へ移行すること、またこれらの微生物は病原性菌株ではなく、プロバイオティクス細菌株として働くことが可能で、このためそれらを摂取した被検体のみならず、胎児または母乳を与えられる乳児にも有益な影響を及ぼすことを実験室で観測したのは初めてである。 この理由から、本発明のさらなる態様は、プロバイオティクス菌株として使用し得る細菌微生物の新規供給源としての哺乳類の母乳および羊水の使用、それらから得られた菌株、ならびにそれらの使用に言及する。 この母乳および羊水は、好ましくはヒト由来のものである。

    本発明の態様はまた、任意の本発明の細菌株と少なくとももう1種の菌株を共に含む。 この点に関して、本発明は各々の菌株の生物学的に純粋な培養物、またはそれらのうちの混合物もしくは他の菌株との混合物に言及する。 従って、前記の本発明の態様は、少なくとも1種の菌株または本発明の菌株の混合物を含む、種々の組成物の製造である。 この態様によれば、本発明は少なくとも1種の本発明の細菌株を含む組成物、すなわち前記の菌株のうちの1種または本発明の方法により選択された任意の細菌株であって、その組成物が好ましくは2〜6菌株、より好ましくは2〜4菌株、最も好ましくは2〜3菌株を含み、また各々の菌株は組成物中に0.1%〜99.9%、好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜90%の割合で存在する組成物を提供する。 好ましい実施形態においては、該組成物は少なくとも1種の本発明の細菌株ともう1種の菌株または菌株混合物を共に含み、その混合物は好ましくは2〜6菌株、より好ましくは2〜4菌株、最も好ましくは2〜3菌株を含み、また各々の菌株は組成物中に0.1%〜99.9%、好ましくは1%〜99%、より好ましくは10%〜90%の割合で存在する。

    本発明の組成物は、好ましくは凍結乾燥形態、凍結形態または死菌の状態ですらある。
    さらなる態様において本発明は、本発明の細菌株培養物の上清から得られる組成物、または本発明の任意の組成物から得られる組成物を提供する。 好ましい実施形態においては、この組成物は本発明の任意の細菌株の培養物の抽出、または本発明の組成物から得られる。

    本発明のラクトバチルス菌株培養物の上清は、投与可能な担体を調製するために用いてよい。 この上清は、それ自体を使用してもよく、また例えば凍結乾燥などのように、微生物により液体培地中へ分泌または生成された代謝化合物を破壊しない条件下でよく乾燥させてもよい。 本発明はまた、これらのプロバイオティクス菌株から得られた酵素の使用、タンパク質加水分解物または代謝産物の産生におけるそれらの使用にも言及する。 本発明はまた、通常の方法による凍結乾燥形態(lyophilized form)、凍結乾燥(freeze dried)または不活性化(死菌)型の本発明の菌株の組成物にも言及する。 従って、さらにもう1つの態様において、本発明は任意の本発明の菌株の代謝活動から得られる生成物、本発明の任意の菌株の培養物、または本発明の組成物から得られる製品を提供し、この製品は好ましくは酵素である。

    本発明のさらなる態様は、支持材および少なくとも1種の本発明の菌株、本発明の培養物、組成物または製品を含んでなる食品からなる。 好ましくは、この支持材はミルク、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、発酵乳製品、発酵肉製品、発酵穀物製品、粉乳、穀粉、乳児用調乳、臨床用栄養処方、アイスクリーム、ジュース、小麦粉、パン、ケーキ、砂糖、キャンディまたはチューインガムから選択される食品組成物である。 ある好ましい実施形態において、本発明の微生物菌株は支持材中に10 〜10 12 cfu/g支持材、好ましくは10 〜約10 11 cfu/g支持材、より好ましくは10 〜10 10 cfu/g支持材の量で含有される。

    本発明において、略語「cfu」は「コロニー形成単位」を表し、寒天プレート上で微生物学的計数により示された細菌細胞数と定義されるものとする。

    本発明のもう1つの態様において本発明は、少なくとも1種の本発明の菌株、本発明の培養物、組成物または製品、および医薬上許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。 前記の食品または医薬組成物において要求される用量は、疾患の特性または組成物の提案された使用、予防的または治療に用いられるかどうか、そして含まれる微生物のタイプにより異なる。 本発明の食品組成物を調製するために、少なくとも1種の本発明のラクトバチルス菌株は、好適な担体中に約10 〜10 14 cfu/g支持材、好ましくは約10 〜約10 13 cfu/g支持材、より好ましくは10 〜約10 12 cfu/g支持材の量で含有される。

    医薬品は、錠剤、カプセル剤、細菌懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿潤経口サプリメント、乾燥経管栄養剤または湿潤経管栄養剤の形態で調製することができる。

    それにもかかわらず、個々人における新規微生物の活性は、本来用量依存的である。 すなわち、前記の食品材料または医薬組成物の摂取または投与により取り込まれた新規微生物数が多いほど、微生物の保護作用および/または治療活性が高くなる。 本発明の微生物は、ヒトおよび動物に対して有害なものではなく、最終的には乳幼児の糞便、食品またはヒト母乳もしくは羊水から単離されており、それらの大部分は本質的に大部分の個人の粘膜に新規微生物が定着できるように取り込まれるであろう。

    好ましくは、処置を必要とする被検体は、疾患を患っているか、選択された疾患、すなわち感染症、アレルギー、炎症等の疾患を患うリスクのある患者からなる群から選択される。 しかし、本発明の治療は、任意の被検体におけるそれらの疾患の予防に適切に用いられることが理解されよう。

    さらに、選択された菌株が母乳および/または羊水中に移行されて生存できるために、治療を必要とする被検体は、選択された菌株を直接摂取する人ばかりではなく、その胎児または母乳を与えられる乳児もまたその被検体となり得る。

    好ましくは、プロバイオティクスまたはプロバイオティクス含有組成物は、 経口、胃または小腸粘膜表面に向けられる;しかし、それはまた、鼻咽頭、呼吸器、泌尿器または腺粘膜に向けることができ、ヒトおよび動物に経口、直腸内、局所、尿道または膣内経路を介して投与できる。

    さらに、本発明のプロバイオティクスは、その効果を増強または補助するために、他の処置と併せて使用してもよい。

    多くの人々は、小腸の腸内細菌が乱れている。 すなわち、有用な小腸細菌と有害な小腸細菌とのバランスが乱れている。 多数の因子、とりわけストレス、胆汁塩の存在、および特にダイエットが腸内細菌叢に影響する。 これらの状態において、発酵プロセスが乱され、また有用な細菌数が減少した結果、結腸粘膜が死滅し、機能が停止しすると同時に、悪性の細菌数が急速に増加する。 この理由から、本発明の1つの態様は、慢性もしくは急性感染症、または粘膜表面への望ましくない微生物の定着に対する予防または治療処置としてのプロバイオティクスの使用であり、それは有効量のプロバイオティクス、またはプロバイオティクス含有組成物を、それを必要とする被検体に投与することを含む。

    本発明の組成物はまた、急性および慢性ウイルス感染症の処置で効果的に使用できる。 特に、個体群中に遍在する慢性エプスタイン-バーウイルス、サイトメガロウイルス、および他のヘルペス型ウイルスの感染症は、免疫監視の低下と関連する。

    本発明のもう1つの実施形態は、下痢の原因が寄生虫の侵入および/または細菌もしくはウイルス感染症、抗生物質処置または化学療法(quimio-therapy)もしくは放射線療法、または食餌療法もしくは生理的緊張感によるものであるかどうかとは無関係な、下痢の予防または治療処置のための本発明のプロバイオティクス細菌の使用である。

    本発明はまた、一時的に低下した免疫活性レベルの阻止および処置、ならびに加齢によるもの、または極度の骨折りもしくは一般に極度の生理的緊張感にさらされ、正常と考えられるレベルと比較して低下している免疫活性レベルの正常化のための、前記のプロバイオティクスの使用に関する。

    さらに、免疫応答ならびにTh1およびTh2サイトカインのバランスの調節を通して、本発明のプロバイオティクスはまた、アレルギーおよび摂取されたタンパク質に対する耐性の形成に関連する疾患の予防または治療処置にも用いられる。

    本発明のもう1つの実施形態は、いくつかのプロバイオティクス菌株は、活性化されたマクロファージによる炎症促進サイトカイン産生を減少させることができるため、限定されるものではないが、乾癬、サルコイドーシス、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患の予防または治療処置のための本発明のプロバイオティクスの使用である。

    本発明はまた、ある種の癌の予防または治療処置のための本発明に記載の菌株の使用に関する。 この菌株の使用は、小腸内のニトロソアミンのような発癌性毒素の阻害効果ばかりでなく、このプロバイオティクスの天然の免疫防御の調節効果により、いくつかの乳酸菌が癌を防ぐという記載された効果に基づくものである。

    最後に、本発明はまた、低コレステロール血症に起因する神経変性疾患の予防または治療処置、およびいくつかのプロバイオティクス菌株の酸化的ストレス効果の調節のための、これらのプロバイオティクス菌株の使用に言及する。 どちらの状況も、パーキンソン病またはアルツハイマー病などの神経変性疾患の進行のリスクファクターとして関連付けられてきた。 さらにまた、共生細菌はL−トリプトファンからアミノ酸を取り去り、強力な神経保護薬であるインドール−3−プロピオン酸を生成することができると記載されている。

    本発明者らはまた、従来の基準を用いて、選択された菌株のプロバイオティクス特性を分析しながら、本発明の選択方法により選択された菌株の潜在能力を試験した。 この意味合いにおいて、本発明者らは以下に示す態様を試験した:a)酸および胆汁安定性。 細菌は主として経口摂取され、胃ならびに胆汁を含有する小腸といった酸性の環境を通過しなくてはならず、またこれらの条件下で生存できなくてはならないからである;b)小腸粘膜への付着。 この特性により消化管において細菌がコロニー形成し、定着できるからである;c)発酵および高い増殖能力。 粘膜における定着を促進するために;d)抗生物質に対する耐性。 いくつかの適応のために必要であり得る;e)本発明の菌株によるpHの低下(乳酸産生)および抗菌代謝産物の産生。 消化管中の病原菌に対する保護層の形成を助けることができるため;f)免疫調節能力。

    以下の方法および実施例は、本発明を説明するものである。

    方法および実施例

    実施例1:プロバイオティクス菌株の新規選択方法
    本発明者らは、母乳および/または羊水中で生存する能力を持つ新規細菌株であって、その能力により経口摂取後に母乳および/または羊水へ移行され得るこれらの菌株の新規選択方法を開発した。 本発明に記載のこの新規方法の原理は、その方法により得られた選択された菌株の特別な特性を保証する。 なぜなら、得られた細菌株がプロバイオティクス菌株に起因する大部分の特徴、すなわち消化プロセスに対する優れた抵抗性、腸に定着する能力のみならず、またより自然なヒト由来のものであり、安全で、ヒトの腸以外のいくつかの適所に定着し、調整できる能力という特徴を絶対的に有しているからである。 さらに、これらの新規菌株はヤギのチーズ、ヒト母乳や羊水のような糞便以外の様々な供給源から得られる。

    実施例11a:ヒトの体液に対する抵抗性
    種々の供給源から単離したコロニーの、ヒト母乳およびヒト羊水中で生存する能力を試験した。 本発明のプロバイオティクス菌株の生存率を分析するために、10 cfuの各々の細菌を、1mlのヒト母乳またはヒト羊水中で、37℃、嫌気性条件下で60分間培養した。 生存率はMRS寒天プレートで連続希釈培養して計算し、対照条件で得られたコロニー数と比較した(MRSブロスpH6.2)。 プレートは37℃、嫌気性条件下で16〜18時間培養した。 この実験は3回繰り返した。 ヒト体液のうちの少なくとも1種において、対照条件と比較して75%より高い生存率である場合に、その菌株は抵抗性であるとみなした(図 1)。

    実施例1b:ヒト体液への移行
    本発明に記載の選択プロセスの第二の基準は、細菌が経口摂取後に母乳および/または羊水へと移行できなければならないことである。 この能力を試験するために、以下に記載するように推定される菌株を遺伝学的に標識し、動物モデルとしての妊娠マウスに経口投与した。 細菌の移行は、羊水と、母乳を与えられたマウスの腸から得られたコロニーをPCRスクリーニングして分析した。

    細菌の標識
    3つの異なるPCR断片(それぞれF159:159bp、F189:189pb、およびF228:228bp)を得るために3種のプライマーの組を用いた。 この3つの断片は、カリフラワーモザイクウイルス(Cauliflower Mosaic Virus:CaMV)の35SrRNAプロモーター、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来の5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)遺伝子の間の接合部に含めた。 プライマーは、Roundup Ready soya(EMBL受託番号:AX033493)中に存在する人工配列から設計した。 PCR断片のクローニングを容易にするために、BamHI部位を総てのプライマーの5'末に加えた。 得られたPCR産物は、QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製し、BamHIで消化し、クロラムフェニコール(Cm)耐性を付与したプラスミドであるpTG262に連結した。 続いてこれらのプラスミドを個々に、通常のプロトコールに従って、エレクトロポレーションにより、選択された菌株中へ導入した。 形質転換株の同定はPCRにより確認した(図2A)。

    細菌の移行
    4匹の妊娠Balb/cマウスに、200μlのミルク中の10 cfuの遺伝学的に標識した菌株を、分娩2週間前から2日毎に経口接種した。 分娩直前に、2匹のマウスから羊水を無菌的に採取し、MRS寒天プレート上で培養した。 その他の2匹の妊娠マウスは妊娠期間を終了させた。 遺伝学的に標識した細菌の母乳への移行は、初回授乳の直前および直後の新生児の腸から単離した細菌を比較することにより分析した。 総てのプレートを、37℃、嫌気性条件下で24時間インキュベートした。 得られた各々のサンプルについて、MRSプレート上で増殖し、かつCm−MRSプレート上で二次培養された中から、52個のコロニーを無作為に選択した。 最後に、Cm−耐性コロニーから遺伝学的に標識したコロニーを検出するために、Cm−耐性コロニーのDNAをテンプレートとして用いてPCR分析を行った(図2B)。 少なくとも1つのサンプルにおいて、少なくとも2つのPCR−陽性コロニーが検出できた場合に移行が起こったものとした。

    本発明に記載の方法により選択された細菌株は、さらにそれらの単一性およびプロバイオティクス特性を保証するために実施例3および4に記載のように試験した。

    実施例1c:乳酸菌の単離
    本発明に記載の選択方法によって得られた細菌株は、ヤギのチーズならびにヒト母乳および羊水などの、糞便以外の種々の供給源から得られた。 この単離プロセスは前記のように行う:

    ヒト母乳からの単離
    2mlのヒト母乳サンプルを、35才の女性から無菌的に採取した(出産後15日)。 このサンプルから細菌株を単離するために、ペプトン水中の連続希釈液0.1mlをMRS(pH6.2)、MRS(pH5.5)、APT、RCM、LM17、GM17およびElliker寒天プレート上で、37℃、好気性および嫌気性条件下で24〜48時間培養した。 合計約740個のコロニーから、評価された異なる形態の少なくとも2個のコロニーを含む74個のコロニー(10%)を選択し、さらにMRS寒天中で、37℃、嫌気性条件下で培養し、提案された方法に従って試験した。 このサンプルから得られたコロニーのうちの2個が定義された基準を満たした。

    選択された母乳由来のラクトバチルス・ガセリCECT5714およびラクトバチルス・ファーメンタムCECT5716は、好気性条件下で培養されたMRS寒天プレート(pH6.2)から最初に単離され、一方、ラクトバチルス・ガセリCECT5715は嫌気性条件下で培養されたAPT寒天プレートから単離された。

    ヒト羊水からの単離
    ヒト羊水からの細菌株の単離は、2人のボランティアの分娩時に臨床スタッフにより無菌的に採取された2mlのヒト羊水を希釈することにより行った。 ペプトン水中の連続希釈液0.1mlをMRS(pH6.2)、MRS(pH5.5)、APT、RCM、LM17、GM17およびElliker寒天プレート上で、37℃、好気性および嫌気性条件下で24〜48時間培養した。 合計400個のコロニーから、評価された異なる形態の少なくとも2個のコロニーを含む40個のコロニー(10%)を選択し、さらにMRS寒天中で、37℃、嫌気性条件下で培養し、提案された方法に従って試験した。

    この供給源から選択された2つの菌株は、従前にヒト母乳から選択されたものと同一のもの、すなわちラクトバチルス・ガセリCECT5714およびCECT5715であった。

    食品(ヤギチーズ)からの単離
    食品からの細菌株の単離は、20gの食品の中心部を無菌的に採取し、ペプトン水中でホモジナイズすることにより行った。 0.1mlの連続希釈液をMRS寒天(Oxoid)プレートおよびRCM寒天(Oxoid)プレート中に播種し、32℃、好気性および嫌気性条件下で48時間培養した。 合計500個を超えるコロニーから、各条件の5個のコロニーを選択し、さらにMRS寒天中で、37℃、嫌気性条件下で培養した。 これらのコロニーは、提案された方法に従って試験した。 コロニーのうち1つだけが定義された基準を満たした。 この選択されたチーズ由来のコロニー、ラクトバチルス・コリニフォルミスCECT5711は、本来は好気性条件下で培養されたMRS寒天プレートから単離されたものであった。

    ヒトの母乳育ちの乳幼児の糞便からの単離
    ヒト糞便からの細菌株の単離は、3人の無関係な乳幼児(15〜45日齢)から2gの糞便を無菌的に採取し、ペプトン水中でホモジナイズすることにより行った。 連続希釈液0.1mlをMRS(pH6.2)、MRS(pH5.5)、APT、RCM、LM17、GM17およびElliker寒天プレート上で、37℃、好気性および嫌気性条件下で24〜48時間培養した。 合計約670個のコロニーから、評価された異なる形態の少なくとも2個のコロニーを含む67個のコロニー(10%)を選択し、さらにMRS寒天中で、37℃、嫌気性条件下で培養し、提案された方法に従って試験した。 コロニーのうち1つだけが定義された基準を満たした。

    この選択された乳幼児糞便由来のラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウスCECT5713は、本来は好気性条件下で培養されたMRS(pH6.2)寒天プレートから単離されたものであった。

    実施例2:生理学的および遺伝学的特徴づけ
    MRS培地上で(寒天またはブロス)37℃、嫌気性条件下で増殖した各々の選択された細菌株の表現型を表Iに記載した:

    表I:本発明の種々のプロバイオティクス菌株の表現型の特徴
    本発明の種々のプロバイオティクス菌株の表現型の特徴を、既知の市販されているプロバイオティクス菌株(Valio社のラクトバチルス・ラムノサスLGG(Lactobacillus rhamnosus LGG)、Nestle社のラクトバチルス・ジョンソニLa1(Lactobacillus johnsonii La1)およびDanone社のラクトバチルスカゼイ・イミュニタス(Lactobacilluscasei immunitas))と比較した。

    選択されたプロバイオティクス菌株を同定するために、製造業者により指示された特定の取扱説明書に従って、発酵API50CH(BioMerieux)分析を37℃、嫌気性条件下で24および48時間で行った。 24時間培養後の結果を表IIに要約した。 陽性の発酵性基質は、3より高い値である。

    表II:本発明の種々のプロバイオティクス菌株の発酵パターン
    本発明の種々のプロバイオティクス菌株の発酵能力を、API 50CH法(BioMerieux)を用いて、いくつかの市販のプロバイオティクス菌株(Valio社のラクトバチルス・ラムノサスLGG、Nestle社のラクトバチルス・ジョンソニLa1およびDanone社のラクトバチルスカゼイ・イミュニタス)で観察されるものと比較した。 陽性の発酵性基質は、灰色で示してある。

    (試験、グリセロール、エリトリトール、D−アラビノース、L−アラビノース、リボース、D−キシロース 、L−キシロース、アドニトール、βメチル−キシロシド、ガラクトース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、L−ソルボース、ラムノース、ズルシトール、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、αメチル−D−マンノシド、αメチル−D−グルコシド、Nアセチルグルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、サッカロース、トレハロース、イヌリン、メレジトース、D−ラフィノース、アミドン、グリコーゲン、キシリトール、βゲンチオビオース、D−ツラノース、D−リキソース、D−タガトース、D−フコース、L−フコース、D−アラビトール、L−アラビトール、グルコネート、2セト−グルコネート、5セト−グルコネート)

    この選択された細菌株を、それらのSDS−PAGE 1Dタンパク質プロファイリング、およびBCCM/LMG(Belgium)および/またはNIZO Food Research(The Netherlands)による16SrDNA配列決定に従ってそれぞれ系統的に分類した。 これらの試験で得られた結果から、前記のような細菌株の系統的分類がもたらされた。 この本発明の細菌株の分類は、ブダペスト条約に従ってCECT−Coleccion Espanola de Cultivos Tipo-、 Valencia(Spain)に、2002年6月11日に寄託されており、以下は受託番号である:
    ・ラクトバチルス・コリニフォルミス:CECT5711
    ・ラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウス:CECT5713
    ・ラクトバチルス アシドフィラス:CECT5714
    ・ラクトバチルス・ガセリ:CECT5715
    ・ラクトバチルス・ファーメンタム:CECT5716

    実施例3:選択された菌株の単一性
    実施例2で行われたSDS−PAGE1Dタンパク質プロファイリング、および16SrDNA配列決定といった分析法は、細菌種を明確にするために好適な方法であるが、同じ細菌種の異なる菌株間を区別するほど特異的ではない。 このため、2つの異なる乳酸菌特異的プライマー(ArgDeiおよびOPL5)を用いて菌株のRAPD-PCR分析を行った。 無作為増幅多型性DNA(RAPD)−PCR分析に関しては、DNeasy組織キット(Qiagen)を用いて、また、供給業者により推奨されたグラム陽性細菌からのゲノムDNA単離のためのプロトコールに従って、10mlのMRS一晩培養物からゲノムDNAを単離した。 次いで総てのDNAを、Techne DNA ThermalCycler中で行うPCR増幅に用いた。 PCR増幅は、プライマーOPL5(5'−ACGCAGGCAC−3')、またはArgDei(5'−ACCYTRGAAGGYGGYGATGTB−3')のいずれかを用いて行った。 5lのPCR混合物を、1.2%(wt/vol)アガロース(Sigma)ゲル上で、エチジウムブロマイド染色により分析した。 100−bp ladder(Invitrogen)を、分子量基準として用いた。 ゲルに100Vで約1時間通電し、DNAは、Diversity データベースソフトウエアパッケージ(Bio-Rad)を用いて、ゲル記録システム(Gel Doc 2000, Bio-Rad)で可視化および分析を行った。 その結果を図3に示す。

    さらに、この新規方法で選択された細菌株の単一性を試験し、それらを、他の選択基準により得られ、従前に同じ種に割り当てられた菌株と比較した。 これらのプロバイオティクス菌株は、CECT、ATCC、LMGまたはDSMなどのいくつかの培養物の集まりから得られ、表IIIに記載されている。

    表III:本発明に含められたプロバイオティクスの単一性を試験するために使用されたプロバイオティクス菌株ラクトバチルス・コリニフォルミス・DSM20005:ラクトバチルス・コリニフォルミス亜種トルケンス(torquens)
    ・DSM20007:ラクトバチルス・コリニフォルミス亜種コリニフォルミス・CECT982:ラクトバチルス・コリニフォルミス亜種コリニフォルミス・CECT 4129:ラクトバチルス・コリニフォルミス亜種トルケンスラクトバチルス・ファーメンタム・LMG8900:ラクトバチルス・ファーメンタム=ATCC11976
    ・LMG17551:ラクトバチルス・ファーメンタム=ATCC23271
    ・CECT285:ラクトバチルス・ファーメンタム=ATCC9338
    ・CECT4007:ラクトバチルス・ファーメンタム=ATCC14931
    ラクトバチルス・ガセリ・LMG11413:ラクトバチルス・ガセリ・LMG13047:ラクトバチルス・ガセリ=ATCC19992
    ・LMG13134:ラクトバチルス・ガセリ=ATCC9857
    ・LMG18176:ラクトバチルス・ガセリ・LMG18194:ラクトバチルス・ガセリ・CECT4479:ラクトバチルス・ガセリラクトバチルス・サリバリウス・DSM20492:ラクトバチルス・サリバリウス・CECT4062:ラクトバチルス・サリバリウス・CECT4063:ラクトバチルス・サリバリウス

    本発明に含められている選択された菌株は総て、2つの異なるプライマーを用いるRAPD-PCRプロフィールに関して表IIIに記載の菌株と比較した。 この分析結果(図4)は、本発明に含められている選択された菌株は、従前に記載されたものとは異なることを示した。 さらに、本発明者らは結果を拡張し、また表IIIに記載の菌株と選択された菌株の遺伝学的特性のみならず生化学的特徴も比較した。 この意味合いで、本発明者らはAPI分析(BioMerieux)(表IV)、APIZYM分析(BioMerieux)(表V)、および実施例5gに記載の抗生物質に対する耐性(表VI)を検討した。 本発明の菌株で観察される活性と異なるものは、灰色で示した。

    表IV:本発明に記載の方法で選択された細菌と、同じ種の他の細菌とのAPI プロフィールの比較

    (試験、グリセロール、エリトリトール、D−アラビノース、L−アラビノース、リボース、D−キシロース 、L−キシロース、アドニトール、βメチル−キシロシド、ガラクトース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、L−ソルボース、ラムノース、ズルシトール、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、αメチル−D−マンノシド、αメチル−D−グルコシド、Nアセチルグルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、サッカロース、トレハロース、イヌリン、メレジトース、D−ラフィノース、アミドン、グリコーゲン、キシリトール、βゲンチオビオース、D−ツラノース、D−リキソース、D−タガトース、D−フコース、L−フコース、D−アラビトール、L−アラビトール、グルコネート、2セト−グルコネート、5セト−グルコネート)

    使用したプロバイオティクス菌株を表IIIに示した。 本発明の菌株で観察される活性と異なるものは、灰色で示した。

    表V:本発明に記載の方法で選択された細菌と、同じ種の他の細菌とのAPIZYMプロフィールの比較

    (酵素、対照、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ(C4)、エステラーゼリパーゼ(C8)、リパーゼ(C14)、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α−キモトリプシン、酸性ホスファターゼ、ナフトール−AS−BI−ホスホヒドロラーゼ、、α−ガラクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−マンノシダ−ゼ、α−フコシダーゼ )

    (酵素、対照、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ(C4)、エステラーゼリパーゼ(C8)、リパーゼ(C14)、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α−キモトリプシン、酸性ホスファターゼ、ナフトール−AS−BI−ホスホヒドロラーゼ、、α−ガラクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−マンノシダ−ゼ、α−フコシダーゼ )


    (酵素、対照、アルカリホスファターゼ、エステラーゼ(C4)、エステラーゼリパーゼ(C8)、リパーゼ(C14)、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α−キモトリプシン、酸性ホスファターゼ、ナフトール−AS−BI−ホスホヒドロラーゼ、、α−ガラクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ、α−マンノシダ−ゼ、α−フコシダーゼ )

    使用したプロバイオティクス菌株を表IIIに示した。 本発明の菌株で観察される活性と異なるものは、灰色で示した。

    表VI:本発明に記載の方法で選択された細菌と、同じ種の他の細菌との抗生物質に対する耐性の比較

    使用したプロバイオティクス菌株を表IIIに記載した。 使用した抗生物質および方法は、実施例4eに記載されている。 R=耐性、I=中間、S=感受性。 本発明の菌株で観察される活性と異なるものは、灰色で示した。

    実施例4:菌株のプロバイオティクス特性
    本発明者らはまた、本発明に含められるプロバイオティクス選択プロセスの適切性を、所望のプロバイオティクス特性を有する細菌株を選択する能力に関して分析した。 これを評価するために、プロバイオティクス菌株として働くそれらの能力を高め得る多くの異なる特性に関して、選択された菌株を分析した。 さらに、本発明者らは本発明に含められるプロバイオティクス菌株と、他の選択基準によって得られた各々の試験の結果に(示されたように)任意に数値を割り当てた。 得られた結果は、本実施例末の表VIIIに要約し、以下の下位の実施例に記載し、いくつかの市販の菌株と比較した。

    実施例4a:Caco−2およびHT−29への付着分析
    Caco−2および HT−29細胞の培養
    付着および阻害アッセイのために、細胞系Caco−2(ATCCHTB−37)およびHT−29(ATCCHTB−38)を、小腸細胞モデルとして用いた。 双方の細胞系は、分極、小腸酵素の発現、および特定の構造ポリペプチドとムチンの産生などの、小腸細胞に特徴的な特性を示した。

    この細胞を、プラスチック製フラスコ(75cm 、Nunc)中で、10%の不活性化FCS(ウシ胎仔血清、PAA Laboratories)、非必須アミノ酸類、100U/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、1pg/mlのアムホテリンを添加したDMEM(PAA Laboratories)培養液中で増殖させた。 細胞培養は、37℃、95%の空気および5%のCO からなる大気中で行った。 培地は2日毎に交換し、細胞は毎週分離した。

    付着アッセイのために、細胞を35mmのプラスチック製ディッシュ(Nunc)に分離し、集密後に抗生物質を添加せずに同条件で培養した。 付着アッセイは集密後10〜14日目に行った。

    細菌の培養
    ・プロバイオティクス菌株:
    本発明のプロバイオティクス菌株は、MRSブロス(pH6.2)中にグリセロールストックから0.1%(v/v)を播種した後に、37℃、嫌気性条件下で16〜18時間培養した。 この条件下では、MRS寒天上の培養で観察された培養物の濃度は1〜2×10 cfu/mlであった。

    ・グラム陰性菌株:
    大腸菌(Escherichia coli)0157:H7(非病原性)(CECT4972)、大腸菌0157:H7(腸内−病原性)(CECT4783)、大腸菌0157:H7(腸内−病原性)(CECT4782)、サルモネラ・コレラスイス・チフィ(Salmonella cholerasuis typhi)(CECT409)およびサルモネラ・コレラスイス・チフィムリウム(S. cholerasuis typhimurium)(CECT443)は、総てCECT−Coleccin Espanola de Cultivos Tipo−から入手した。 総てのグラム陰性菌株は、TSBブロス(AES Laboratoire)中にグリセロールストックから0.1%(v/v)を播種した後に、37℃、嫌気性条件下で16〜18時間培養した。 この条件下では、TSA寒天(AES Laboratoire)上の培養で観察された培養物の濃度は1〜2×10 cfu/mlであった。

    付着分析
    小腸細胞系Caco−2およびHT−29を、抗生物質を含まない2mlの培養液を入れた35mmのプラスチック製ディッシュ中で、集密まで培養した。 集密後10〜14日目に1mlの培養液を1mlのDMEM中10 個の細菌懸濁液と交換した。 この培養物を37℃で1時間インキュベートした。 その後、細胞をPBSを用いて2回洗浄し、氷冷した70%メタノールで30分間固定した。 プレートを風乾し、グラム染色した。 付着した細菌は、光学顕微鏡Axiovert200(Zeiss)を用いて、1000倍、油浸で可視化した。 20の無作為化領域を計数し、その結果は細胞付着細菌数の平均/領域±標準偏差として表した。 プロバイオティクス菌株の能力は、付着した細菌数が250を超える場合は高く、100〜250の間では中間、100より少ない場合はわずかであるとした(図5)。

    実施例4b:酸および胆汁塩に対する抵抗性
    本発明のプロバイオティクス菌株の、これらの細菌が消化過程で遭遇することになる酸性および高胆汁塩含量に対する抵抗性を分析するために、細菌をpH3.0のMRSブロス培養液中で、または0.15%胆汁塩(Sigma)を添加したMRSブロス(pH6.2)中で90分間培養した。 生存率は連続希釈液のMRS寒天培養により計算し、また対照条件下(MRSブロスpH6.2)で得られたコロニー数と比較した。 プレートは、37℃、嫌気性条件下で16〜18時間培養した。 この実験を3回繰り返した。 対照条件と比較して生存率が80%を超える場合は抵抗性が高く、80〜60%では中間、60%より小さい場合は低いとした(図6)。

    実施例4c:世代時間
    世代時間とは、細菌培養物の細菌濃度が2倍になるのに要する時間を意味し、プロバイオティクス細菌の重要な特性である。 これは、産業的観点(同じ時間でより多量のバイオマスの産生)、およびプロバイオティクスの観点(腸での高い定着率)から重要である。 両方の面を考慮に入れるために、本発明者らは富栄養培地(産業的観点)、および貧栄養培地(プロバイオティクスの観点)中での、本発明のプロバイオティクス菌株の世代時間を分析した。

    本発明のプロバイオティクス菌株を、2%(富栄養培地)または0.2%(貧栄養培地)グルコースを添加したMRSブロス(pH6.2)中で、37℃、嫌気性条件下、0、1、2、4および6時間増殖させた。 細菌濃度は、連続希釈液をMRS寒天プレートに、そのプレートを37℃、嫌気性条件下で16〜18時間インキュベートすることにより決定した(図7)。 世代時間は、コロニー数が最初の2倍になるのに要する時間(分)として計算した。

    実施例4d:発酵能力
    複合糖質(可溶性および不溶性繊維)を代謝するための細菌株の能力は、これらのプロバイオティクス菌株が結腸中で炭素源としてそれらを使用でき、従って定着効率を高めることを保証する。 この理由のために、本発明者らはいくつかの消化できない繊維を唯一の糖質源として使用する、本発明のプロバイオティクス菌株の能力を試験した。

    本発明者らが培養したプロバイオティクス細菌株の繊維を代謝する能力をアッセイするために、96ウェルの平底プラスチック製ディッシュ(Nunc)を用いて、グルコースを含まず、各々の繊維を2%添加したMRSブロス培地中で、37℃、嫌気性条件下で24および48時間液体培養した。 この発酵プロセスは培地中のpHの低下によりコントロールし、0.3%フェノールレッドを指示薬として用い、540nmにおける吸光度を測定する比色分析法により決定した。

    使用した繊維は:セルロース(未加工セルロース、Campi Y Jove)、アクチライト(Actilight)(フルクトオリゴ糖、Beghin−Meiji)、フィカオ(Ficao)(ココアファイバー、Natra)、フルクタフィット(Fructafit)(イヌリン、Sensus)、ラクトース(Bordulo)、ペクチン(YM100、Genu)、ラフチリン(Raftiline)(イヌリンオリゴフルクトース、Orafti)、ラフチロース(Raftilose)(イヌリンオリゴフルクトース、Orafti)、およびビタセル(Vitacel)(精製セルロース、Campi Y Jove)であった。

    発酵能力(繊維なしの対照と比較したpH低下の誘導倍率として定義される)を計算した。 図8に示した結果は、各々の繊維に対する個々の値(パネルA)および各々の選択された菌株に対する総てのこれらの個々の値の合計(パネルB)を表す。 発酵能力は個々の値の合計が30を超える場合は高く、30〜25ならば中間、25より小さい場合はわずかであるとした。

    実施例4e:抗生物質に対する耐性
    抗生物質の使用は、共生腸内細菌の減少をもたらし、しばしば下痢および他の腸疾患に関連する。 さらに、この腸細菌数の減少は日和見性病原性細菌およびウイルスによる宿主感染を引き起こすという結果となり得る。 感染症を阻止するための抗生物質の使用は、この疾患を治さないばかりか悪化させる。 小腸の炎症のようなその他の場合においてはプロバイオティクスが有益な役割を発揮し得るが、この可能性のある効果はしばしば抗生物質による同時治療により制限される。 これらの理由から、一般的な抗生物質に対して耐性を有する可能性のあるプロバイオティクス菌株の選択は、当技術分野の向上につながるであろう。

    本発明のプロバイオティクス菌株の耐性を分析するために、寒天拡散法を用いた。 10 cfu/mlの各々のプロバイオティクス菌株を含むMueller-Hinton寒天プレートを調製した。 次いで、示された濃度に相当する市販の抗生物質ディスクをウェルに加え、室温で10分間のプレインキュベーション時間中に寒天中へ拡散させた後、プレートを37℃、嫌気性条件下で16〜18時間インキュベートした。 阻止円の直径を測定し、細菌の各々の抗生物質に対する耐性は、この抗生物質に対する乳酸菌の感受性に従ってR(耐性)、I(中間)またはS(感受性)とした(表VIl)。 その後、各々の条件に対し数値を割り当てた:R=3、I=2、S=1。10種類の異なる抗生物質について試験を行い、その数値を加算して総合値を得た。 プロバイオティクス菌株の耐性能力は、総合値が17を超える場合は高く、15〜17の間は中間、15より小さい場合はわずかであるとした。

    使用した抗生物質と濃度は:エリスロマイシン15mg(E15)、ペニシリン10μg(P10)、シプロフロキサシン5μg(CiP5)、クロラムフェニコール30μg(C30)、ナリジクス酸30μg(Na30)、アモキシリン10μg(AM10)、テトラサイクリン30μg(Te10)、バンコマイシン 30μg(Va30)、セフォキシチン30μg(Fox30)、および セファロチン30μg(CF30)(図9)であった。

    表VII:選択された菌株の抗生物質に対する耐性

    実施例4f:代謝性酸の産生
    プロバイオティクス細菌による代謝性酸、すなわち乳酸、酢酸、プロピオン酸 、および酪酸の産生、ならびにその結果としての糞便中のpHの低下は、日和見病原性微生物の増殖および感染能力の低下によるこれらの細菌の有益な効果と広範囲にわたり関連している。 さらに、これらの酸のうちのいくつか、特に酪酸は、素早く吸収され、小腸細胞にエネルギー源として利用される。 この意味合いで、母乳育ちの乳児の糞便中のpHが低いことは、調乳育ちの乳幼児と比べて腸疾患のリスクが低下していることと関連があるとされてきた。

    本発明のプロバイオティクス菌株の酸産生能力は、ミルクが発酵する間のpH低下を測定することにより観察した。 5mlのスキムミルクに10 cfuの各々の菌株を播種し37℃、嫌気性条件下で、24時間(灰色のバー)および48時間(黒色のバー)発酵させ、CyberScan510pHメーター(VWR)を用いてpHを測定した。 プロバイオティクス菌株による酸の産生は、48時間後のミルクのpH値が4.5より小さい場合は高く、4.5〜5.5の間ならば中間、5.5を超える場合はわずかであるとした(図10)。

    実施例4g:抗菌代謝産物の産生
    プロバイオティクスの主たる有益な効果は、腸における有用および有害腸内細菌のバランスのコントロールであることが示唆されてきた。 有用細菌数が減少すれば、日和見性細菌が過剰増殖し、宿主の健康を害し、感染症をも引き起こし得る。 大部分の細菌微生物は、共に生息している他の微生物の増殖能力を低下させる獲得特性またはメカニズムを有し、このために、それらの選択的増殖が可能となる。 実施例4fで述べたように、乳酸菌による酸の産生を介するpHの低下は、かかるメカニズムの1つである。 さらに、いくつかの乳酸菌もまた、他の細菌、酵母または真菌の増殖を選択的に阻害する生物活性ペプチド成分および他の代謝産物を産生する。 これは、ペディオシン(pediocin)のような、バクテリオシンの場合である。

    本発明のプロバイオティクス菌株の抗菌代謝産物を産生する能力に関して、寒天拡散法を用いて評価した。 10 cfu/mlの異なる病原性細菌株(サルモネラ・チフィムリウム(Sarmonella thiphimurium)および大腸菌(Escherichia coli))を含むMRS寒天プレートを調製した。 滅菌コルクボーダーを用いて寒天に直径5mmのウェルを作製する。 次いで50μlの、各々のプロバイオティクス菌株培養物上清の2倍濃縮物をウェルに加え、4℃、2時間のプレインキュベーション時間の間に寒天中へ拡散させ、次いで37℃、好気性条件下で16〜18時間インキュベーションした。 各々の上清の抗菌活性は、両方の病原性細菌株に対する阻止円の直径が12を超える場合は高く、8〜12の間なら中間、および8よりも小さい場合はわずかであるとした(図11)。

    さらに、上清の抗菌活性が抗菌物質によるものか、または代謝性酸の産生によるものかも試験した。 この意味合いで、各々の代謝性酸(酢酸、乳酸、プロピオン酸および酪酸)希釈液のpH4.5における阻害効果をアッセイした。 これらの場合のいずれもが、これらの条件下でのサルモネラまたは大腸菌の増殖を阻害しなかった(データは示さず)。 また、細菌培養物から得た上清の抗菌能力を、グルコースまたはラクトースを糖質源として用いて試験した。 これらの状況下では、ラクトースを発酵しない細菌株は(L.ラムノサスGGおよびL.アシドフィラスCECT5714)、ラクトース含有培養物中で抗菌活性を示さなかったが、グルコース培養物中では抗菌活性を示した(データは示さず)。

    実施例4h:Caco−2への病原菌の付着の阻害
    小腸細胞系Caco−2を、抗生物質を含まない2mlの完全培地を入れた35mmのプラスチック製ディッシュ中で、集密まで培養した。 集密後10〜14日目に1mlの培地を1mlのDMEM中10 個のプロバイオティクス細菌懸濁液と置換した。 この培養物を、37℃で1時間インキュベートした。 その後、DMEM中10 個の病原性細菌(大腸菌またはサルモネラ・チフィムリウム)懸濁液1mlを培養物に加え、37℃で1時間以上インキュベートした。 その後、PBSを用いて細胞を2回洗浄し、氷冷した70%メタノールで30分間固定した。 プレートを風乾し、グラム染色した。 付着した細菌は、光学顕微鏡Axiovert200(Zeiss)を用いて、1000倍、油浸で可視化した。 10の無作為化領域の、グラム陰性細菌数を計数し、その結果はプロバイオティクス菌株なしの対照培養物と比較して細胞に付着した病原性細菌の割合の平均として表した。 病原性細菌の小腸細胞への付着を阻害するプロバイオティクス菌株の能力は、対照と比較して、両方の菌株のグラム陰性付着細菌の割合が25%より低い場合は高く、25%〜75%の間では中間、75%を超える場合はわずかであるとした(図12)。

    実施例4で得られた総ての結果を表VIIIに要約した。 各々の試験は、相当する下位実施例に示し、本明細書に記載されたように行った。 各々の試験におけるカテゴリーは、以下に示すように定めた。 a)実施例4a;付着細菌数/領域;高い>250、中間:100〜250、わずか<100。 b)実施例4b;対照条件と比較した生存率(%);高い>80%、中間:80%〜60%、わずか<60%。 c)実施例4c;最初の菌数が倍増するのに必要な時間(分);短い<60、中間:60〜120、長い>120。 d)実施例2;発酵性基質の数;高い>18、中間12〜18、わずか<12。 e)実施例4d;対照と比較した、発酵性基質の誘導倍率の合計;高い>30、中間:25〜30、わずか<25。 f)実施例4e;各々の抗生物質に対する耐性の合計(耐性=3、中間=2、感受性=1);高い>17、中間:15〜17、わずか<15。 g)実施例4f;48時間培養後のミルクのpH値;高い<4、中間:4〜4.5、わずか>4.5。 h)実施例4g;阻止円の大きさ(mm);高い>12、中間:12〜8、わずか<8、(*)ラクトースではなく、グルコースのみ存在下。 i)実施例4h;付着の割合(%);高い<25、中間:25〜75、わずか<75。 全体的なプロバイオティクス能力は、総ての試験の合計により計算した(高い=3、中間=2、わずか=1)。

    表VII:本発明の種々の菌株のプロバイオティクスとして作用する効力
    本発明の種々の菌株のプロバイオティクスとして作用する種々の効力を、いくつかの市販のプロバイオティクス菌株(Valio社のラクトバチルス・ラムノサスLGG、Nestle社のラクトバチルス・ジョンソニLa1およびDanone社のラクトバチルスカゼイ・イミュニタス)と比較し、任意に数量化した。

    実施例5:マウス腸でのプロバイオティクスの定着
    定義によれば、プロバイオティクスは宿主の腸粘膜に定着しなければならない。 さらに、プロバイオティクスにより有益な作用が及ぼされるには、定着することが要求されると記載されてきた。 小腸細胞系への付着能力、または消化条件に対する抵抗性のようなin vitro研究は、プロバイオティクス菌株を選択するための優れたアプローチであるが、これらの試験はin vivoで選択された菌株が腸粘膜に定着する効果を保証するものではない。 この理由から、本発明者らは本発明のプロバイオティクス菌株の定着能力のin vivo分析を、マウスを実験動物モデルとして用いて行った。

    6匹のオスBalb/cマウス(6〜8週齢)に、10 cfuのL. サリバリウスCECT5713を含む0.2mlのスキムミルクを、14日間毎日与えた。 この期間が終了した後、プロバイオティクスの投与は止めたが、動物の観察はさらに14日間継続した。 糞便サンプルは実験開始から0、7、14、21および28日目に採取した。 約200mgの糞便を各々のマウスから独立して採取し、ペプトン水中50mg/mlでホモジナイズした。 集めた上清の連続希釈液を調製し、0.1mlを選択寒天プレート(乳酸菌用にはMRS、ビフィドバクテリウム用にはEugon寒天+トマトジュース、および大腸菌群用にはMcConkey寒天)上に播種した。 プレートは、37℃、嫌気性条件下で24時間インキュベートした。 cfuは、選択培地プレート上を計数して測定し、その平均を計算した。

    図13は、L. サリバリウスCECT5713投与が、糞便中の総乳酸菌数の統計学的に有意な増加をもたらし、これは、この菌株が消化管を生きたまま通過し、結腸に到達できることを示す。 さらに、経口投与終了後1週間目においても乳酸菌数の増加が観察された事実は、このプロバイオティクス菌株が腸粘膜に一時的に定着できることを示す。

    乳酸菌の増加と同時に、糞便中の大腸菌群数の減少もまた観察され、プロバイオティクス処置終了後2週間後においてもなお、統計学的に有意であった。 これらの所見は、CECT5713細胞を食餌に添加して与えると、有用菌叢を刺激するのみならず、有害細菌を阻害することを示す。

    実施例6:不活性化サルモネラワクチンで免疫後のマウスにおける、サルモネラチフィムリウムの移行に及ぼすラクトバチルス・ファーメンタムCECT5716の効果
    グラム陰性細菌の腸上皮を横断する移行は、特に胃腸の感染症、疾患または外科手術後の被検体で起こり得る。 処置せずに放置すれば、内毒素血症を引き起こし得る。 本実施例において、L. ファーメンタムCECT5716投与の、腸病原菌であるサルモネラ・チフィムリウムの移行に及ぼす効果を検討した。

    オスBalb/cマウス(6〜8週齢)に、毎日、0.2mlのミルク中1×10 cfuまたはミルクのみを2週間にわたり投与した。 その後、不活性化サルモネラワクチンを用いて経口免疫するか(0.2mlのミルク中パラホルムアルデヒドで不活性化した10 cfu)、または免疫を行わなかった。 免疫後、マウスにさらに2週間、L. ファーメンタムCECT5716調製物を隔日で2週間を超えて経口投与した。 経口免疫後2週間目に、総てのマウスに生存サルモネラ・チフィムリウム(0.2 mlのミルク中10 10 cfu)を経口投与し、反応を惹起した。 次いで、24〜48時間後に脾臓におけるサルモネラ・チフィムリウムの定着を、SS寒天(Oxoid)中のコロニーを計数することにより測定した。 また、サルモネラ抗原に特異的なIgAの糞便中濃度は、ELISA法(Biosource)により測定した。

    得られた結果は、図15に示したように、L. ファーメンタムCECT5716が不活性化サルモネラワクチンを用いるマウスのワクチン接種の有益な効果を増強することを示す。 不活性化ワクチンにより誘導され、L. ファーメンタムCECT5716により増強されたサルモネラ・チフィムリウムの移行の阻害は、特異的IgA分泌の増加によるものであり、さらにまた、実施例4hに記載した、サルモネラの粘膜付着を阻害するプロバイオティクス菌株の効果によるものでもあった。

    実施例7:炎症性サイトカインに対するプロバイオティクス細菌の効果
    感染症リスクの低下に加えて、プロバイオティクス処置に関連する多くの臨床学的効果は、選択されたプロバイオティクス菌株の免疫調節能力によるものである。 通常、免疫応答の制御はTNF−αなどの炎症促進サイトカイン(Th1)と、IL-4または IL-13などの液性サイトカイン(Th2)、ならびにIL-10およびTGF−βなどの調節性サイトカイン(Th3)の間のバランスの変化により媒介されている。 この理由から、本発明のいくつかのプロバイオティクス菌株の、いくつかのこれらの重要なサイトカイン発現の調節における効果もまた試験した。

    骨髄由来マクロファージを100ng/mlのLPS(Sigma)で刺激して、細胞モデルとした。 10 個のマクロファージ/ウェルを、1mlのDMEMを入れた24ウェルのプラスチック製プレート(Nunc)中で培養した。 いったん付着したマクロファージを100ng/mlのLPSおよび10 cfu/mlの示されたプロバイオティクス菌株を用いて刺激するか、または刺激せず、37℃、5%CO 雰囲気下で12時間培養した。 上清を回収してサイトカインの産生を、マウスTNF−αまたはマウスIL-10ELISA(Biosource)を用いて分析した。 得られた結果(図15)は、本発明のプロバイオティクス菌株の消費は、分泌されたTNF−αレベルを増加させることなく、IL−10発現の増加を誘発するというように、マクロファージなどの免疫細胞に対して全体的な抗炎症効果を誘発することから、これらは炎症状態において有益な効果をもたらし得ることを示す。

    実施例8:Ig産生に対するプロバイオティクス菌株の効果
    本発明のプロバイオティクス菌株の免疫グロブリン産生に対する効果を、オスBalb/cマウス(6〜8週齢)の脾臓から得られたリンパ球培養物を用いて分析した。 2×10 個のリンパ球を1mlDMEMを入れた24ウェルのプラスチック製プレート中で培養し、25μg/mlのLPS存在下または不在下で、不活性化プロバイオティクス培養物(10 cfu/ml)で6日間にわたって刺激した。 リンパ球によるIgGの産生を、BethylのマウスIgGELISAを用いて評価した。

    得られた結果(図16)は、リンパ球ににおいて誘発されたIgG 産生に対する本発明のプロバイオティクス菌株の効果が、使用選択菌株によって極めて変わりやすいことを示す。 この点については、ある菌株(CECT5711およびCECT5714)はIgGの発現を誘導するため免疫刺激活性を有し、一方、その他のものは(CECT5713およびCECT5715)免疫抑制効果を有する。

    実施例9:発酵液乳処方の調製
    プロバイオティクスを用いる標準的な発酵液乳組成物は、以下に示す処方により調製した:
    ミルク1.5%脂肪;3.2%タンパク質 997g/kg
    スキムミルク粉末 3g/kg
    プロバイオティクス菌株(10 12 cfu/g) 0.1g/kg

    ミルクの脂肪および乾燥固形物は、前記の処方に従って標準化した。 その後、このミルクを20〜25Mpaおよび65〜70℃でホモジナイズし、製品の物理的特性を最適なものとした。 この調製物を90〜95℃、保持時間約5分間で加熱した。 この保持時間は、約70〜80%の乳清タンパク質を変性させる。 冷却したミルク(40〜45℃)に、いずれの開始培養物も加えずにプロバイオティクス菌株を接種し、インキュベーションタンク中で40〜45℃で10時間、最終pH(pH4.5〜5)に達するまでかき混ぜずに発酵させた。 凝固塊形成後、この混合物を機械的方法によりホモジナイズした。 ホモジナイゼーションを行った後すぐに、この調製物の温度を10℃より低くして60分間冷却した。 その後、この組成物を包装した。 最終的な冷却は、通常は5℃まで下げるが、製品のもろさが保持される、涼しい場所で行う。

    実施例10:固形ヨーグルトの調製
    プロバイオティクスを含むヨーグルト製品を、以下に示す処方により調製した:
    ミルク3.1%脂肪;3.2%タンパク質 987g/kg
    スキムミルク粉末 13g/kg
    開始物質 0.1g/kg
    プロバイオティクス菌株(10 12 cfu/g) 0.1g/kg

    ミルクの脂肪および乾燥固形物含有物は、前記の処方に従って標準化した。 このミルクを20〜25Mpaおよび65〜70℃でホモジナイズし、製品の物理的特性を最適なものとし、またこの調製物を90〜95℃、保持時間約5分間で加熱した。 この保持時間は、約70〜80%の乳清タンパク質を変性させる。 低温殺菌の後、ミルクを40〜45℃にまで冷却し、ミルクの流れが中間貯蔵タンクから充填機械に送られる間に、開始物質およびプロバイオティクス培養物を定量注入した。 充填機械中で包装した後、このパッケージを木箱に詰め、パレットに載せてトラックでインキュベーションおよび冷却システムへ運ぶ。 その後、充填されたパレットをインキュベーションルームで40〜45℃で5〜6時間、pHが4.5に達するまで発酵させた。 小包の冷却は迅速に12〜15℃で55〜70分間行った。 最終冷却として冷蔵貯蔵所で5℃まで温度を下げた。

    実施例11:乳児用調乳粉末の調製
    プロバイオティクスを用いる乳児用調乳を、以下に示す処方で調製した:
    脱塩乳清 512g/kg
    パームオレイン 135g/kg
    ラクトース 92g/kg
    スキムミルク 95g/kg
    菜種油 52g/kg
    ココナツ油 49g/kg
    ヒマワリ油 28g/kg
    水 31g/kg
    予混ビタミン 2g/kg
    予混ミネラル 4g/kg
    プロバイオティクス菌株(10 12 cfu/g) 0.1g/kg

    適当なサイズのブレンドタンク中で、ビタミンを除く総ての固体成分と液体ミルクと水をかき混ぜ、加熱して混合させた。 次いで、植物油を混合した。 次にこの混合物を60〜70℃で加熱して、酸素不在下、一段階ホモジナイザーを6〜7MPaで用いて乳化させた。 乳化の後、この混合物にビタミンを加えて標準化し、pHを約6.7〜7.2の範囲に調整した。 次いでこの混合物を約65℃および70℃の間の温度になるまで再加熱した。 この製品を最終的に噴霧乾燥器で乾燥させ、最終乾燥粉末製品を得た。 最後に、プロバイオティクス菌株(10 12 cfu/g)(0.1g/kg)を最終乾燥粉末と乾燥混合させて、封入した。

    スクリーニング方法:細菌の母乳および羊水中での生存 この図は、選択された本発明のプロバイオティクス菌株の母乳および羊水中での生存率を示すものである。 選択方法に従って、可能性のあるプロバイオティクス菌株の生存をヒト母乳(灰色のバー)および 羊水(黒色のバー)を用いて測定した。 10

    cfuの任意の候補細菌株を、1mlのMRSまたは母乳または羊水中に再懸濁させ、37℃、嫌気性条件下で1時間インキュベートした。 培養後の生存は、MRS寒天プレートで連続希釈培養して評価した。 その結果を、3つの独立した実験の平均値±標準偏差として示す。 少なくとも1つのヒト体液中で75%を超えて生存した候補細菌を、最初に選択した。

    スクリーニング方法:細菌の母乳への移行 この図は、選択された細菌の経口摂取後の母乳への移行を示すものである。 A)菌株のラベリング。 母乳および/または羊水中で生存した菌株を、PCRで検出可能な構築物を用いて遺伝学的に標識した。 種々の菌株を種々のサイズのDNA断片を用いて標識する(159bp:F159;189bp:F189;および228bp:F228)。 PCRシグナルは遺伝学的に標識された菌株でのみ検出される。 図は、例として細菌株CECT5711、CECT5713、およびCECT5714の標識を示している。 B)選択された細菌の母乳への移行。 標識された菌株が母乳および/または羊水中に移行される能力を、妊娠マウスをモデル動物として用いて評価した。 妊娠マウスに、分娩前2週間にわたり2日毎に10

    cfu/マウス(この図ではL.サリバリウスCECT5713の結果を示す)を接種した。 ミルク中の細菌の存在は、初回授乳前および後の新生児の腸中のPCRで検出可能な細菌の数を比較して間接的に検出した。 各々のパネルのレーン1は、分子量マーカーに相当する。

    選択された細菌のRAPDプロフィール この図は、5種の本発明の選択されたプロバイオティクス菌株の、2つの異なるプライマー(ArgdeiおよびOPL5)を用いるRAPDプロフィールを示すものである。 レーン1、8、15は分子量マーカーであり、レーン7、14は陰性対照を示す。

    選択された細菌と、同じ種の他の細菌とのRAPDプロフィールの比較 この図は、選択された本発明のプロバイオティクス菌株と、同じ種の他の細菌株で認められたRAPDプロフィールの間の違いを示すものである。 各々の種はパネルのうちの1つに示されている。 :L. コリニフォルミス(A)、L. サリバリウス (B)、L. ガセリ(C)、およびL. ファーメンタム(D)。 使用した菌株を表IIIに示す。

    プロバイオティクス菌株の小腸細胞への付着 この図は、プロバイオティクス菌株の小腸細胞への付着を示すものである。 この本発明のプロバイオティクス菌株は、Caco−2(灰色のバー)またはHT−29(黒色のバー)小腸細胞系を用いて評価し、また市販のプロバイオティクス菌株と比較した。 無作為に選んだ20の領域を計数し、その結果を、細胞に付着した平均細菌数/領域±標準偏差として示す。 プロバイオティクス菌株の各々の小腸細胞系への付着能力は、付着細菌数が250を超える場合に高く、100〜250の間ならば中間、100より小さければわずかであるとした。

    プロバイオティクス菌株の消化条件下での生存 この図は、プロバイオティクス菌株の消化条件下での生存を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株の酸性(灰色のバー)および胆汁塩高含量(黒色のバー)下での抵抗性をin vitroで、pH3.0のMRS中または0.15%胆汁塩中の細菌培養物を用いて90分間で評価した。 その結果を、3つの独立した実験の平均値±標準偏差として示す。 プロバイオティクス菌株の抵抗性は、生存率が80%を超える場合に高く、60%〜80%の間ならば中間、60%より小さければわずかであるとした。

    プロバイオティクス菌株の世代時間 この図は、プロバイオティクス菌株の世代時間を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株の世代時間は、in vitroで細菌を0.2%グルコースを含むMRS中で120分間培養して評価した。 その結果を、3つの独立した実験の平均世代時間(分)±標準偏差として示す。 プロバイオティクス菌株の世代時間は、時間が60分より短い場合は短く、60〜120分の場合は中間、120分を超える場合は長いとした。

    プロバイオティクス菌株の発酵能力 この図は、プロバイオティクス菌株の複合糖質を発酵させる能力を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株が、複合糖質を唯一の糖質として用いて発酵する能力を、in vitroで、グルコースを含まず2%の複合糖質を添加したMRS中で細菌を24および48時間培養することにより評価した。 pHの低下は、ブロモクレソール・パープルを用いて評価した。 その結果を、24時間後の誘導倍率を吸光度で示し、糖質源なしの対照培養物と比較し(A)、また総ての独立した誘導倍率値を(B)に示す。 プロバイオティクス菌株の発酵能力は、総合値が30を超える場合は高く、25〜30の間では中間、25より小さい場合はわずかであるとした。

    プロバイオティクス菌株の抗生物質に対する耐性 この図は、プロバイオティクス菌株の抗生物質に対する耐性を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株の構成物質処理に対する耐性を、in vitroで、寒天拡散法によりMueller−Hintonプレート中で24〜48時間評価した。 阻止円の直径(mm)が抗生物質の効果を決定する。 その結果は、阻止円の直径が12mmより小さい場合はR(耐性)、12〜15mmの場合はI(中間)、15mmを超える場合はS(感受性)とする。 その後、各々の条件に対し数値を割り当てた:R=3、I=2、S=1。 プロバイオティクス菌株の耐性能力は、総合値が17を超える場合は高く、15〜17の間は中間、15より小さい場合はわずかであるとした。

    プロバイオティクス菌株による酸産生 この図は、プロバイオティクス菌株による酸産生を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株による酸産生(乳酸、プロピオン酸、酢酸および酪酸)を、in vitroで、ミルク培養物のpHを24時間(灰色のバー)および48時間(黒色のバー)測定することにより評価した。 プロバイオティクス菌株による酸産生は、48時間後のミルクのpH値が4より小さい場合は高く、4〜4.5の間では中間、および4.5を超える場合はわずかであるとした。

    プロバイオティクス菌株による殺菌代謝産物の産生 この図は、プロバイオティクス菌株による殺菌代謝産物の産生を示すものである。 本発明のプロバイオティクス菌株による殺菌代謝産物の産生は、in vitroで、TSAプレート中でサルモネラ・チフィムリウム(黒色のバー)または大腸菌(灰色のバー)を培養する寒天拡散法により評価した。 細菌の上清により誘導される阻止円の直径(mm)が殺菌効果を決定する。 プロバイオティクス菌株の抗菌能力は、両方の病原性菌株に対して阻止円の直径が12mmを超える場合は高く、8〜12mmの場合は中間、8mmより小さい場合はわずかであるとする。

    病原性細菌の付着の阻害 この図は、病原性細菌の付着の阻害を示すものである。 病原性菌株である大腸菌(灰色のバー)およびサルモネラ・チフィムリウム(黒色のバー)のCaco−2細胞への付着を、本発明のプロバイオティクス菌株存在下で評価し、市販のプロバイオティクス菌株と比較した。 無作為に選んだ10の領域を計数し、その結果を、プロバイオティクス不在下で付着した病原性細菌数と比較して、細胞に付着したグラム陰性細菌数の平均%として示す。 プロバイオティクス菌株の病原性細菌の付着阻害能力は、付着した病原性細菌の割合が25%より小さい場合に高く、25〜75%の間ならば中間、75%を超える場合はわずかであるとした。

    L. サリバリウスCECT5713の腸への定着 この図は、L. サリバリウスCECT5713の腸への定着を示すものである。 14日間、毎日10

    cfuのL. サリバリウスCECT5713を与えられたマウスの糞便中のラクトバチルス、ビフィドバクテリアおよび大腸菌群細菌数を、細菌の平板培養により分析した。 糞便サンプル(約200mg)をプロバイオティクス添加0、7および14日目、および添加終了後1および2週間目(21および28日目)に採取した(

    p<0.05;

    ** p<0.01)。

    L. ファーメンタムCECT5716の、サルモネラ感染症に対する効果 この図は、L. ファーメンタムCECT5716の、サルモネラ感染症に対する効果を示すものである。 A)L. ファーメンタムCECT5716は、サルモネラ菌の脾臓への移行を阻害する。 10

    cfuの不活性化サルモネラ菌を接種した、または接種しないマウスをL. ファーメンタムCECT5716で処理し、10

    10 cfuのサルモネラ菌を経口投与した後24時間に、その脾臓のサルモネラ菌のコロニー数を測定した。 B)同じマウスを用いて、糞便中のIgA含量を測定した。

    プロバイオティクス菌株のサイトカイン発現に対する効果 この図は、プロバイオティクス菌株のサイトカイン発現に対する効果を示すものである。 TNF−α(A)またはIL−10(B)サイトカイン産生を、LPSと示されたプロバイオティクス菌株で12時間にわたって刺激した骨髄由来のマクロファージを用いて分析した。 サイトカイン産生はELISA法により検出した。

    プロバイオティクス菌株のIgG発現に対する効果 この図は、プロバイオティクス菌株のIgG発現に対する効果を示すものである。 IgG 産生は、LPSと示されたプロバイオティクス菌株とで6日間にわたり刺激したBalb/cマウス(6〜8週齢)の脾臓から得られたリンパ球を用いて分析した。 免疫グロブリン産生は、BethylのELISA法により検出した。

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