Infant supply milk containing the probiotic microorganism

申请号 JP2012510265 申请日 2010-05-11 公开(公告)号 JP2012526529A 公开(公告)日 2012-11-01
申请人 ネステク ソシエテ アノニム; 发明人 ソフィー ニュートン,; グエノリー プライオールト,; アニック メルセネール,;
摘要 本発明は、幼児栄養の分野に関する。 特に、本発明は、プロバイオティクス 微 生物 を含む幼児用補給調製乳に関する。 これらのプロバイオティクス微生物は、例えば、生物活性のある加熱処理されたプロバイオティクス微生物などの非複製性プロバイオティクス微生物でもよい。
【選択図】なし
权利要求
  • 完全な栄養を乳幼児に供給し、プロバイオティクス微生物を含む、母乳栄養以外の唯一の栄養源又は唯一の補完的栄養源としての、乳幼児に投与される乳幼児用補給調製乳。
  • 62〜68kcal/100mlの範囲のカロリー密度を有し、1.5〜2.8g/100kcalの量のタンパク質源、10〜12g/100kcalの量の炭水化物源、及び5〜5.5g/100kcalの量の脂質源を含む、請求項1に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 0.2〜0.3gのLC−PUFA/100g脂肪酸を含み、LC−PUFAが、ARAとDHAの組合せである、請求項1又は2に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 調製乳100mL当たり1.5〜2.5mgのヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • プロバイオティクス微生物が、非複製性プロバイオティクス微生物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 約10 〜10 12 cfuに相当する量のプロバイオティクス微生物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 非複製性プロバイオティクス微生物が、加熱処理によって、好ましくは少なくとも1秒間の少なくとも71.5℃の高温処理によって非複製性にされた、請求項5又は6に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 加熱処理が、約1〜120秒間の約71.5〜150℃の高温処理であり、好ましくは高温/短時間(HTST)処理又は超高温(UHT)処理である、請求項7に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 炎症性障害の予防又は治療において使用するための、請求項8に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 加熱処理が、約3分〜2時間、約70〜150℃の温度範囲で、好ましくは5分〜40分間、80〜140℃の範囲で行われる、請求項7に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 欠陥のある免疫防御と関連する障害の予防又は治療において使用するための、請求項10に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非複製性である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • プロバイオティクス微生物が、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、プロピオニバクテリウム属、又はこれらの組合せ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・ジアセチラクティス、ラクトコッカス・クレモリス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・デルブレッキー、エシェリキア・コリ、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • プロバイオティクス微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・ジョンソニーLa1、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・ロイテリDSM17983、ラクトバチルス・ロイテリATCC55730、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、エシェリキア・コリNissle、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15、ラクトコッカス・ラクティスNCC2287、又はこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 1日用量当たり約0.005mg〜1000mgの非複製性微生物を含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の乳幼児用補給調製乳。
  • 说明书全文

    発明の詳細な説明

    本発明は、乳幼児栄養の分野に関する。 特に、本発明は、プロバイオティクス生物を含む乳幼児用補給調製乳に関する。 これらのプロバイオティクス微生物は、例えば、生物活性のある熱処理されたプロバイオティクス微生物などの非複製性プロバイオティクス微生物でもよい。

    母乳は、乳児の健やかな成長及び発達のために理想的な食物である。 2001年に、世界保健機構(WHO)は完全母乳栄養の推奨期間を4〜6カ月から6カ月に変更した。 したがって、母乳栄養はそれに応じて奨励及び促進されるべきである。

    しかし、全ての母親が母乳のみで乳児を6カ月間養えるとは限らず、又は様々な理由によって、母親達はそうしない選択をする。

    UNICEFによると、完全母乳栄養の世界における割合は、1999年に46%であった。 しかし、この状況は、国によって劇的に異なる。 例えば、リベリアでの報告された完全母乳栄養率は73%であり、一方ケニアでは5%のみである。

    多くの要因が完全母乳栄養のパターンに影響を与えた可能性があり、それらの要因は、経済的、社会的及び文化的状況と通常関連する。

    また、全ての母親のかなりの部分は十分な量の乳を自分の乳児に与えることができず、それゆえ補完的栄養が必要とされる。

    乳幼児用調製乳は、母乳で育てられていない、又は十分に母乳で育てられていない乳児のための最良の栄養的代替物である。 米連邦食品医薬品化粧品法(FFDCA)は、乳幼児用調製乳を「人乳を模倣するものであること、又は人乳の完全若しくは部分的代用として好適であることを理由として、乳幼児向けの食物として単独で特別な食事に使用されることを示すと称される、又は示す食物」と定義している(FFDCA201(z))。

    乳幼児の早期栄養の1つの重要な機能は、健康な腸管内菌叢を生じさせ、強な免疫系を発達させることである。

    健康な腸管内菌叢は機能的消化管に貢献し、これは新生児において摂取食物を適切に消化するのを助け、胃痛を減少させる。

    したがって、乳幼児用調製乳の免疫ブースト作用をさらに改善し、乳幼児用調製乳の抗炎症作用をさらに改善し、消化を容易にすることが望ましいであろう。

    したがって、母親の乳にできるだけ近い栄養を乳幼児に与えることを可能にする乳幼児用補給調製乳についての必要性が当技術分野で存在する。 このような乳幼児用補給調製乳は、改善された免疫ブースト作用、抗炎症作用を有するべきであり、及び/又は消化を容易にするべきである。 副作用を伴わずに投与が安全で、現況技術の工業技術を使用して乳幼児用補給調製乳に組み込むことが容易な天然成分を使用することによって、これを達成することが望ましいであろう。

    本発明者らは、この必要性に取り組んだ。 したがって、現況技術を改善し、上記で表した必要性を満足させる乳幼児用補給調製乳を提供することは、本発明の目的であった。

    本発明者らは独立請求項の主題によって本発明の目的を達成できたことを驚いたことに見出した。 従属請求項は、本発明のアイデアをさらに発展させる。

    したがって、本発明者らは、乳幼児に投与される、プロバイオティクスを含む乳幼児用補給調製乳を提供することを提案する。

    FDA規則は、乳幼児を12カ月齢以下の人と定義する(連邦規制基準21条、21CFR105.3(e))。

    プロバイオティクスは、乳幼児用補給調製乳の枠組みにおいてそれらの健康上の利益を実現できることが見出された。 さらに、例えば、ビフィドバクテリウム属菌は、母乳中に存在し、母乳にその天然の保護特性を与えるものの一部である。

    したがって、プロバイオティクス微生物を乳幼児用補給調製乳に加えることによって、乳幼児用補給調製乳を母乳によりよく似たものにすることが可能となる。

    しかし、特に、と共に再構成される粉末乳幼児用補給調製乳は通常、例えば、プロバイオティクスを含むヨーグルト飲料の保存寿命を超える保存寿命を有するため、プロバイオティクスは通常、このような乳幼児用補給調製乳に加えられない。 これは、プロバイオティクスの生存能が長期間の保存寿命の間に確保できるかについて不確実であるためである。

    非複製性プロバイオティクスでさえ、プロバイオティクスの健康上の利益をもたらすことができ、改善された利益さえも有し得ることを、本発明者らは今や示すことができた。

    したがって、本発明の一実施形態は、完全な栄養を乳幼児に供給し、プロバイオティクス微生物を含む、母乳栄養以外の唯一の栄養源として、又は唯一の補完的栄養源として乳幼児に投与される乳幼児用補給調製乳である。

    乳幼児が全ての必要な栄養素を組成物から得る場合、このような組成物は完全な栄養を提供し、さらなる食料源は必要ない。

    乳幼児用補給調製乳は、直ぐに投与される液体組成物、又は使用前に水と再構成させる乾燥組成物として提供し得る。

    乾燥組成物として提供される場合、組成物が0.2未満、好ましくは0.15未満の水分活量を有し、保存安定性をさらに増加させることが好ましい。 例えば、大部分の細菌は0.91未満の水分活量で増殖せず、大部分のカビは0.80未満の水分活量で増殖が止まる。

    水分活量(a )は、系における水のエネルギー状態の測定値である。 水の蒸気圧を純水の蒸気圧で割ったものと定義される。 結果的に、蒸留水は1の水圧を有する。

    本発明による乳幼児用補給調製乳は、62〜68kcal/100mlの範囲のカロリー密度を有し得る。

    典型的には、乳幼児用補給調製乳は、1.5〜2.8g/100kcalの量のタンパク質源、10〜12g/100kcalの量の炭水化物源、及び5〜5.5g/100kcalの量の脂質源を含み得る。

    タンパク質源は、ホエイタンパク質及びカゼインからなってもよい。 例えば、約70:30の範囲のホエイとカゼインの比を使用し得る。 しかし、タンパク質の必要性の増加のために、ホエイ及びカゼインを20:80〜50:50の範囲の比で使用し得る。

    炭水化物源は、本質的にラクトースからなってもよい。 しかし、例えば、3:1〜1:1の範囲のラクトース及びマルトデキストリンの比もまた使用し得る。

    本発明の乳幼児用補給調製乳は、0.2〜0.3gのLC−PUFA/100g脂肪酸を含み得る。 LC−PUFAは、例えば、ARAとDHAの組合せを含み得る。 DHA及びARAを含有する調製乳は、母乳で育てられる乳幼児のそれと同様の外観上及び精神発達を実現することが示されてきた。

    本発明の乳幼児用補給調製乳はまた、調製乳100mL当たり1.5〜2.5mgのヌクレオチドを含有し得る。 ヌクレオチド及びこれらの塩基は、単純な化合物から乳幼児の体が合成することができるために、「必須」であると考えられない。 しかし、特定の時期に、例えば、正常な発育又は消化管疾患におけるような急速な細胞代謝回転の期間の間、合成の過程は、要求を満たすことができないことがある。 これらの時間において、体はヌクレオチドの食物源により強く依存する。

    乳幼児用補給調製乳は、部分的に又は単独で非複製性プロバイオティクス微生物を含み得る。

    例えば、免疫ブースト作用に関して、及び/又は抗炎症作用に関して、非複製性プロバイオティクス微生物は、複製性プロバイオティクス微生物より有効でさえあり得ることを、本発明者らは驚いたことに見出した。

    プロバイオティクスは「適当量で投与されたときに健康上の利益を宿主に与える生きた微生物」(FAO/WHOガイドライン)として定義されることが多いため、これは驚くべきことである。 既刊文献の大部分は、生きたプロバイオティクスについて論じている。 さらに、いくつかの研究は非複製性細菌によって実現される健康上の利益を調査したが、例えば加熱処理によるプロバイオティクスの不活性化は、これらの健康上の利益と称されるものの損失をもたらすことをこれらの研究の大部分は示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology126:520〜528;Castagliuoloら、2005、FEMS Immunol.Med.Microbiol.43:197〜204;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001,Br.J.Nutr.86:285〜289;Kaila,M.ら、1995、Arch.Dis.Child 72:51〜53)。 いくつかの研究は、死んだプロバイオティクスがいくらかの健康への影響を保持し得ることを示した(Rachmilewitz,D.ら、2004、Gastroenterology 126:520〜528;Gill,H.S.及びK.J.Rutherfurd、2001,Br.J.Nutr.86:285〜289)が、明らかに生きているプロバイオティクスが今までのところ当技術分野でより能力があると見なされてきた。

    本発明による乳幼児用補給調製乳は、任意の有効量で、例えば、約10 〜10 12 cfu/g乾重量に相当する量で、プロバイオティクス微生物を含み得る。

    プロバイオティクス微生物は、非複製性プロバイオティクス微生物でもよい。

    「非複製性」プロバイオティクス微生物には、加熱処理されたプロバイオティクス細菌が含まれる。 これには、不活性化された、死んだ、生存していない、並びに/又はフラグメント(DNA、代謝物、細胞質化合物、及び/若しくは細胞壁材料など)として存在する微生物が含まれる。

    「非複製性」とは、古典的なプレーティング法によって生存細胞及び/又はコロニー形成単位を検出することができないことを意味する。 このような古典的なプレーティング法は、微生物学の書籍:James Monroe Jay、Martin J. Loessner、David A. Golden. 2005、Modern food microbiology、第7版、Springer Science、New York、N. Y. 790頁に要約されている。 典型的には、生存細胞が存在しないことは、下記のように示すことができる。 異なる濃度の細菌調製物(「非複製性」試料)の播種、並びに適切な条件(少なくとも24時間の好気性及び/又は嫌気性雰囲気)下でのインキュベーション後に、寒天プレート上で目に見えるコロニーがない、又は液体増殖培地の混濁度の増加がない。

    プロバイオティクスは、本発明の目的のために、「宿主の健康又は満足な状態に対して有益な作用を有する微生物細胞調製物又は微生物細胞の成分」と定義される(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら、「Probiotics:how should they be defined」 Trends Food Sci.Technol.1999:10 107〜10)。

    非複製性プロバイオティクス微生物を使用する可能性は、いくつかの利点を提供する。 重度の免疫不全の乳幼児において、生きたプロバイオティクスの使用は、菌血症が発生する潜在的な危険性によって例外的な場合において限定されることがある。 非複製性プロバイオティクスは、何の問題もなしに使用し得る。

    さらに、非複製性プロバイオティクス微生物を提供することは、健康上の利益を保持する一方で高温の再構成を可能にする。

    本発明の乳幼児用補給調製乳は、健康上の利益を少なくとも部分的に生じさせるのに十分な量の、プロバイオティクス微生物及び/又は非複製性プロバイオティクス微生物を含む。 これを達成するのに適当な量は、「治療有効用量」と定義される。 この目的のために有効な量は、乳幼児の体重及び身体全体の健康状態などの当業者には公知のいくつかの要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。

    予防的用途において、本発明による乳幼児用補給調製乳を、障害の影響を受けやすい又はそうでなければ障害の危険性がある消費者に、その障害が発生する危険性を少なくとも部分的に減少させるのに十分な量で投与する。 このような量は、「予防有効用量」であると定義される。 ここでまた、正確な量は、乳幼児の健康状態及び体重などのいくつかの要因、並びに食品マトリックスの作用によって決まる。

    当業者であれば、治療有効用量及び/又は予防有効用量を適切に調節することができる。

    一般に、本発明の乳幼児用補給調製乳は、プロバイオティクス微生物及び/又は非複製性プロバイオティクス微生物を治療有効用量及び/又は予防有効用量で含有する。

    典型的には、治療有効用量及び/又は予防有効用量は、1日用量当たり約0.005mg〜1000mgの範囲のプロバイオティクス微生物及び/又は非複製性プロバイオティクス微生物である。

    数値量に関して、「短時間高温」処理された非複製性微生物は、乳幼児用補給調製乳中に10 〜10 12当量cfu/g乾燥組成物に相当する量で存在し得る。 明らかに、非複製性微生物は、コロニーを形成しない。 結果的に、治療有効用量及び/又は予防有効用量という用語は、10 〜10 12 cfu/gの複製性細菌から得られる非複製性微生物の量と理解される。 これには、不活性化された、生存していない、又は死んだ、又はフラグメント(DNA若しくは細胞壁若しくは細胞質化合物など)として存在する微生物が含まれる。 すなわち、乳幼児用補給調製乳が含有する微生物の量は、全ての微生物が、実際は不活性化された、又は死んだ、断片化された、又はこれらの状態の任意若しくは全ての混合物などの非複製性であろうとなかろうとに関わりなく、生きているかのように、微生物の量のコロニー形成能(cfu)に関して表される。

    好ましくは、非複製性微生物は、10 〜10 cfu/g乾燥乳幼児用補給調製乳に相当する量で、よりさらに好ましくは10 〜10 cfu/g乾燥乳幼児用補給調製乳に相当する量で存在する。

    プロバイオティクスは、当技術分野において公知の任意の方法によって非複製性にし得る。

    プロバイオティクス菌株を非複製性にするのに今日利用可能な技術は通常、加熱処理、γ−照射、紫外線、又は化学試剤(ホルマリン、パラホルムアルデヒド)の使用である。

    食品産業の工業的状況において比較的容易に適用される、プロバイオティクスを非複製性にする技術を使用することが好ましいであろう。

    プロバイオティクスを含有する今日市場にある大部分の製品は、それらの生産の間に加熱処理される。 したがって、プロバイオティクスがそれらの有益な特性を保持若しくは改善し、又は消費者のために新規で有益な特性を得る一方で、生産される製品と一緒に又は少なくとも同様の方法で、プロバイオティクスを加熱処理できることは好都合であろう。

    しかし文献においては、加熱処理によるプロバイオティクス微生物の不活性化は、プロバイオティクス活性の少なくとも部分的な損失に一般に関連している。

    プロバイオティクス微生物を例えば、加熱処理によって非複製性にすることは、プロバイオティクスの健康上の利益の損失をもたらさず、それとは反対に、既にある健康上の利益を増強させ、健康上の新たな利益さえ生じさせ得ることを、本発明者らは驚いたことに今や見出した。

    したがって、本発明の一実施形態は、非複製性プロバイオティクス微生物が加熱処理によって非複製性とされた乳幼児用補給調製乳である。

    このような加熱処理は、少なくとも71.5℃で少なくとも1秒間行い得る。

    長時間加熱処理又は短期間加熱処理を行い得る。

    今日の工業規模において、通常、UHT様加熱処理などの短期間加熱処理が好ましい。 この種の加熱処理は細菌負荷を減少させ、処理時間を短縮し、それによって栄養素が損なわれることを減少させる。

    高温で短時間加熱処理されたプロバイオティクス微生物が、それらの当初の特性に関わらず抗炎症性免疫プロファイルを示すことを本発明者らは初めて示す。 特に、この加熱処理によって、新規な抗炎症性プロファイルが発生し、又は既にある抗炎症性プロファイルが増強される。

    したがって、たとえ生きた対応物が抗炎症性菌株でなくても、典型的な産業上利用可能な加熱処理に相当する特定の加熱処理パラメーターを使用することによって、抗炎症性免疫プロファイルを有する非複製性プロバイオティクス微生物を生じさせることは今や可能である。

    したがって、例えば、加熱処理は、約1〜120秒間の約71.5〜150℃の高温処理でもよい。 高温処理は、高温/短時間(HTST)処理又は超高温(UHT)処理でもよい。

    プロバイオティクス微生物は、約1〜120秒の短期間、約71.5〜150℃の高温処理に曝し得る。

    より好ましくは、微生物は、約1〜30秒の短期間、約90〜140℃、例えば90°〜120℃の高温処理に曝し得る。

    この高温処理によって、微生物は少なくとも部分的に非複製性となる。

    高温処理は通常の大気圧で行い得るが、また高圧下で行い得る。 典型的な圧力範囲は、1〜50バール、好ましくは1〜10バール、さらにより好ましくは2〜5バールである。 明らかに、熱が加えられるとき、プロバイオティクスは、液体又は固体である培地中で加熱処理されることが好ましい。 したがって、加えられる理想的な圧力は、微生物がそれ中に供給される組成物の性質及び使用される温度によって決まる。

    高温処理は、約71.5〜150℃、好ましくは約90〜120℃、さらにより好ましくは約120〜140℃の温度範囲で行い得る。

    高温処理は、約1〜120秒、好ましくは、約1〜30秒、さらにより好ましくは約5〜15秒の短期間で行い得る。

    この所与の時間枠は、プロバイオティクス微生物が所与の温度に曝される時間を意味する。 微生物がそれ中に供給される組成物の性質及び量によって、及び使用する加熱装置の構造によって、熱を加える時間は変化し得ることに留意されたい。

    しかし典型的には、本発明の乳幼児用補給調製乳及び/又は微生物を、高温短時間(HTST)処理、瞬間殺菌又は超高温(UHT)処理によって処理する。

    UHT処理は、組成物を短時間、概ね1〜10秒間、乳中の細菌胞子を殺すのに必要とされる温度である135℃(275°F)を超える温度で加熱することによる組成物の少なくとも部分殺菌を伴う、超高温加工又は超加熱処理(両方とも、UHTと省略)である。 例えば、135℃を超える温度を使用してこのように乳を加工することは、必要な保持時間(2〜5秒まで)で細菌負荷の減少を可能にし、それによって連続流れ操作が可能となる。

    2つの主要なタイプのUHTシステム(直接及び間接システム)がある。 直接システムにおいて、製品を蒸気噴射又は蒸気注入によって処理し、一方では間接システムにおいて、製品を、プレート熱交換器、チューブ式熱交換器又はかき取り式熱交換器を使用して加熱処理する。 UHTシステムの組合せは、製品調製の工程において、任意のステップで又は複数のステップで適用し得る。

    HTST処理は、下記のように定義される(高温/短時間):乳中の生存している微生物の数の99.9999%を殺す、5対数の減少を達成するように設計される低温殺菌法。 これはほぼ全ての酵母、カビ及び一般の腐敗細菌を破壊するのに適当であると考えられ、一般の耐熱性の病原生物の適当な破壊をまた確実なものとする。 HTST工程において、乳を71.7℃(161°F)に15〜20秒間加熱する。

    瞬間殺菌は、果汁及び野菜汁、ビール及び乳製品などの腐敗しやすい飲料の低温殺菌の方法である。 腐敗微生物を殺し、製品をより安全なものとし、それらの保存寿命を延ばすために、瞬間殺菌は容器への充填の前に行う。 液体は、71.5℃(160°F)〜74℃(165°F)の温度に約15〜30秒間曝される間、制御された連続流れに流入する。

    本発明の目的のために、「短時間高温処理」という用語には、例えば、高温短時間(HTST)処理、UHT処理、及び瞬間殺菌が含まれる。

    このような加熱処理は改善された抗炎症性プロファイルを有する非複製性プロバイオティクスを実現するため、本発明の乳幼児用補給調製乳は、炎症性障害の予防又は治療において用い得る。

    本発明の乳幼児用補給調製乳によって治療又は予防することができる炎症性障害は、特に限定されない。 例えば、これらは、急性炎症(敗血症など);火傷;及び慢性炎症(炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、嚢炎など);壊死性腸炎;皮膚炎(UV又は化学物質が誘発する皮膚炎、湿疹、反応性皮膚など);過敏性腸症候群;眼炎;アレルギー、喘息;並びにこれらの組合せからなる群から選択し得る。

    長時間加熱処理が使用されてプロバイオティクス微生物を非複製性とする場合、このような加熱処理は、約70〜150℃の温度範囲で約3分〜2時間、好ましくは80〜140℃の範囲で5分〜40分行い得る。

    長時間加熱処理によって非複製性とされた細菌が通常、それらのプロバイオティクス特性の発揮に関して生細胞より効率的でないことを従来技術は一般に教示する一方で、加熱処理されたプロバイオティクスが、生きた対応物と比較して免疫系を刺激することにおいて優れていることを本発明者らは示すことができた。

    本発明はまた、少なくとも約70℃での少なくとも約3分間の加熱処理によって非複製性とされたプロバイオティクス微生物を含む乳幼児用補給調製乳に関する。

    非複製性プロバイオティクスの免疫ブースト作用は、インビトロの免疫プロファイリングによって確認された。 使用されたインビトロモデルは、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)からのサイトカインのプロファイリングを使用し、当技術分野で免疫調節性化合物の試験のための標準モデルとしてよく受け入れられている(Schultzら、2003、Journal of Dairy Research 70、165〜173;Taylorら、2006、Clinical and Experimental Allergy、36、1227〜1235;Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203)。

    インビトロのPBMCアッセイは、幾人かの著者/研究チームによって使用され、例えば、プロバイオティクスの免疫プロファイル、すなわち、プロバイオティクスの抗炎症性又は炎症誘発性の特徴によってプロバイオティクスが分類されてきた(Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203)。 例えば、このアッセイによって、大腸炎のマウスモデルにおけるプロバイオティクス候補の抗炎症作用の予測を可能にすることが示されてきた(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。 さらに、このアッセイは、臨床試験における読み出し情報として定期的に使用され、臨床成績と首尾一貫する結果をもたらすことが示された(Schultzら、2003、Journal of Dairy Research 70、165〜173;Taylorら、2006、Clinical and Experimental Allergy、36、1227〜1235)。

    アレルギー性疾患は過去数十年に亘り着実に増加してきており、WHOは、アレルギー性疾患を流行病と現在考えている。 一般的に、アレルギーは、免疫系のTh1及びTh2応答の間のアンバランスに起因し、Th2メディエーターの産生への強力な偏りをもたらすと考えられている。 したがって、免疫系のTh1及びTh2アームの間の適切なバランスを回復することによって、アレルギーを軽減、ダウンレギュレート又は予防することができる。 これは、Th2応答を減少させ、又は少なくとも一時的に、Th1応答を増強する必要性を意味する。 後者は、例えばより高いレベルのIFNγ、TNF−α及びIL−12を伴うことが多い免疫ブースト反応の特徴であろう。 (Kekkonenら、2008、World Journal of Gastroenterology、14、1192〜1203;Viljanen M.ら、2005、Allergy、60、494〜500)

    したがって、本発明の乳幼児用補給調製乳は、欠陥のある免疫防御と関連する障害を治療又は予防することを可能とする。

    結果的に、本発明の乳幼児用補給調製乳によって治療又は予防することができる欠陥のある免疫防御に関連する障害は、特に限定されない。

    例えば、これらの障害は、感染症、特に、細菌、ウイルス、真菌及び/又は寄生虫の感染症;食細胞欠損;ストレス又は免疫抑制薬、化学療法又は放射線療法によって誘発されるものなどの低いレベルから重症レベルまでの免疫抑制;新生児の免疫系などのより免疫適格性ではない免疫系の自然状態;アレルギー;並びにこれらの組合せからなる群から選択し得る。

    本発明に記載する乳幼児用補給調製乳はまた、ワクチン、特に経口ワクチンへの乳幼児の反応の増強を可能とする。

    任意の量の非複製性微生物が有効である。 しかし、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全てが非複製性である場合が一般に好ましい。

    本発明の一実施形態において、全ての微生物は、非複製性である。

    結果的に、本発明の乳幼児用補給調製乳において、プロバイオティクスの少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、理想的には少なくとも99.9%、最も理想的には全ては、非複製性でもよい。

    全てのプロバイオティクス微生物を、本発明の目的のために使用し得る。

    例えば、プロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、プロピオニバクテリウム属、又はこれらの組合せ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lactobacillus delbrueckii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)及び/又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。

    本発明による乳幼児用補給調製乳は、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・ジョンソニーLa1、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・ロイテリDSM17983、ラクトバチルス・ロイテリATCC55730、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、エシェリキア・コリNissle、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15、ラクトコッカス・ラクティスNCC2287、又はこれらの組合せからなる群から選択されるプロバイオティクス微生物を含み得る。

    全てのこれらの菌株は、ブダペスト条約により寄託されていたか、及び/又は市販である。

    菌株を、ブダペスト条約の元で下記のように寄託した。
    ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001:ATCC BAA−999
    ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705:CNCM I−2618
    ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950 CNCM I−3865
    ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818:CNCM I−3446
    ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461:CNCM I−2116
    ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007:CGMCC1.3724
    ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019:CNCM I−1422
    ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059:CNCM I−4153
    ラクトコッカス・ラクティスNCC2287:CNCM I−4154
    ラクトバチルス・カゼイNCC4006:CNCM I−1518
    ラクトバチルス・カゼイNCC1825:ACA−DC6002
    ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009:ATCC700396
    ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15:CNCM I−1198
    ラクトバチルス・ジョンソニーLa1 CNCM I−1225
    ラクトバチルス・ロイテリDSM17983 DSM17983
    ラクトバチルス・ロイテリATCC55730 ATCC55730
    エシェリキア・コリNissle1917:DSM6601

    本明細書に記載されている本発明の全ての特徴を、開示されているような本発明の範囲から逸脱することなく自由に合わせることができることを、当業者であれば理解するであろう。

    本発明のさらなる利点及び特徴は、下記の実施例及び図から明らかである。

    「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。

    「短時間高温」で処理されたプロバイオティクスの抗炎症性免疫プロファイルの増強を示す。

    「短時間高温」で処理された後、抗炎症性となった、すなわちインビトロで明白な抗炎症性免疫プロファイルを示す非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。

    「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。

    「短時間高温」で処理された後、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、市販の製品中で使用されているプロバイオティクス菌株を示す。

    高温での加熱処理によって、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。

    高温での加熱処理によって、インビトロで増強した又は新規な抗炎症性免疫プロファイルを示す、乳製品スターター菌株(すなわち、Lc1スターター菌株)を示す。

    HTST処理で処理された後に、インビトロで抗炎症性免疫プロファイルを示す、非抗炎症性プロバイオティクス菌株を示す。

    生菌及び加熱処理された(140℃、15秒間)形態の、プロバイオティクス及び乳製品スターター菌株によって生じた、PBMCデータ上の主成分分析(IL−12p40、IFN−γ、TNF−α、IL−10)。 各点は、そのNCC番号又は名称によって同定される、生菌又は加熱処理された1つの菌株を表す。

    生菌株及び加熱処理された(85℃、20分)菌株のIL−12p40/IL−10比を示す。 全体的に、85℃での20分間の加熱処理は、本発明の「短時間高温」処理とは対照的に、IL−12p40/IL−10比の増加をもたらす(図1、2、3、4及び5)。

    加熱処理された細菌で刺激されたヒトPBMCからの、インビトロのサイトカイン分泌の増強を示す。

    食塩水に曝露したOVA感作マウス(陰性対照)、OVAに曝露したOVA感作マウス(陽性対照)、及びOVAに曝露し、加熱処理された又は生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950で処理したOVA感作マウスにおいて観察した下痢の激しさの割合を示す。 結果を、下痢の激しさ(4つの独立の実験から計算した平均±標準誤差)の割合として示し、100%の下痢の激しさは、陽性対照(アレルゲンに感作及び曝露された)群において発生した症状に相当する。

    実施例1
    方法細菌調製物:
    生きたプロバイオティクスによってもたらされる宿主の免疫系に対する健康上の利益は一般に、菌株特異的であると考えられる。 高レベルのIL−10及び/又は低レベルの炎症促進性サイトカインをインビトロで誘発するプロバイオティクス(PBMCアッセイ)は、インビボで強力な抗炎症性菌株であることが示されてきた(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。

    いくつかのプロバイオティクス菌株を使用して、加熱処理されたプロバイオティクスの抗炎症性特性を調査した。 これらは、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・カゼイNCC4006、ラクトバチルス・アシドフィルスNCC3009、ラクトバチルス・カゼイACA−DC6002(NCC1825)、及びエシェリキア・コリNissleであった。 Nestle Lc1発酵製品を生産するために商業的に使用されるいくつかの菌株を含めたいくつかのスターター培養菌株(ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019、ストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2059、ラクトバチルス・ブルガリカスNCC15及びラクトコッカス・ラクティスNCC2287)もまた試験した。

    細菌細胞は、5〜15Lのバイオリアクター中で各菌株について最適化した条件で培養した。 全ての典型的な細菌増殖培地が使用可能である。 このような培地は、当業者には公知である。 pHを5.5に調節したとき、30%塩基溶液(NaOH又はCa(OH) )を連続的に加えた。 適当であるとき、ヘッドスペースをCO でガス処理することによって嫌気性条件を維持した。 エシェリキア・コリを、標準的な好気条件下で培養した。

    細菌細胞を、遠心分離(5,000×g、4℃)によって集め、概ね10 〜10 10 cfu/mlの最終濃度に達するように、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に適当な容量で再懸濁させた。 調製物の一部を、−80℃で15%グリセロールと共に冷凍した。 別の部分の細胞を、以下によって加熱処理した。
    超高温:140℃、15秒間;間接蒸気噴射による。
    高温短時間(HTST):74℃、90℃及び120℃、15秒間、間接蒸気噴射による。
    水浴中で長時間低温(85℃、20分)。

    加熱処理した上で、試料を使用するまで−80℃で冷凍して保持した。

    細菌調製物のインビトロ免疫プロファイリング:
    生細菌調製物及び加熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロでヒト血液細胞からの特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。 ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。 細胞密度勾配による分離の後、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。 次いで、細胞を、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、france)、1%L−グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)で補充したIscove改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁させた。 次いで、PBMC(7×10 細胞/ウェル)を、生細菌及び加熱処理された細菌(7×10 当量cfu/ウェル)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。 生細菌及び加熱処理された細菌の作用を、2つの別々の実験に分割した8人の個々のドナーからのPBMC上で試験した。 36時間のインキュベーション後、培養プレートを冷凍し、サイトカイン測定まで−20℃で保持した。 サイトカインプロファイリングは、生細菌及びそれらの加熱処理された対応物について並行(すなわち、PBMCの同じバッチ上の同じ実験で)で行った。

    36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN−γ、IL−12p40、TNF−α及びIL−10)のレベルは、製造者の指示に従ってELISAによって決定した(R&D DuoSet Human IL−10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNFα、BD OptEIA Human IFN−γ)。 IFN−γ、IL−12p40及びTNF−αは、炎症促進性サイトカインであり、一方では、IL−10は、強力な抗炎症メディエーターである。 結果は、4人の個々のドナーの平均(pg/ml)+/−標準誤差として表すが、各々4人のドナーで行う2つの個々の実験の代表である。 IL−12p40/IL−10比は、各菌株についてインビボの抗炎症作用の予測値として計算する(Foligne,B.ら、2007、World J.Gastroenterol.13:236〜243)。

    各菌株についてのELISA(上記を参照されたい)によって決定したサイトカインの数値(pg/ml)を、BioNumerics v5.10ソフトウェア(Applied Maths、Sint−Martens−Latem、Belgium)に移した。 主成分分析(PCA、ディメンショニング技術)を、このセットのデータで行った。 文字についての平均の引き算、及び文字についての分散値による割り算を、主成分分析に含めた。

    結果超高温(UHT)/高温短時間(HTST)様処理によって生じた抗炎症性プロファイル 調査中のプロバイオティクス菌株を、一連の加熱処理(超高温(UHT)、高温短時間(HTST)及び85℃、20分間)に曝し、それらの免疫プロファイルを、インビトロでの生細胞の免疫プロファイルと比較した。 生きた微生物(プロバイオティクス及び/又は乳製品スターター培養物)は、ヒトPBMCと共にインキュベートしたとき、異なるレベルのサイトカイン産生を誘発した(図1、2、3、4及び5)。 これらの微生物の加熱処理は、温度依存的態様でPBMCによって産生されたサイトカインのレベルを変更させた。 「短時間高温」処理(120℃又は140℃、15秒間)は、抗炎症性免疫プロファイルを有する非複製性細菌を生じさせた(図1、2、3及び4)。 実際に、UHT様処理した菌株(140℃、15秒)は、さらなるIL−10産生を維持又は誘発する一方で、より少ない炎症促進性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)を誘発した(生きた対応物と比較して)。 このように得られたIL−12p40/IL−10比は、生細胞と比較して、任意のUHT様処理した菌株についてより低かった(図1、2、3及び4)。 この観察はまた、HTST様処理によって処理された、すなわち120℃に15秒間(図1、2、3及び4)、又は74℃及び90℃に15秒間(図5)曝露された細菌について有効であった。 加熱処理(UHT様又はHTST様処理)は、プロバイオティクス菌株(図1、2、3及び5)及び乳製品スターター培養物(図4)のインビトロの免疫プロファイルに対して同様の作用を有した。 生きたプロバイオティクス及び加熱処理された(140℃、15秒)プロバイオティクス並びに乳製品スターター菌株によって産生されたPBMCデータ上の主成分分析によって、生菌株はx軸に沿って至る所に分布することが明らかになったが、これは菌株が非常に異なる免疫プロファイルをインビトロで示すことを例示する(低(左側)から高(右側)までの炎症促進性サイトカインの誘発物質)。 加熱処理された菌株はグラフの左側上に集まり、炎症促進性サイトカインは加熱処理された菌株によってより少なく誘発されることが示される(図6)。 対照的に、20分間85℃で加熱処理された細菌は、生細胞よりもより多く炎症促進性サイトカインを、及びより少なくIL−10を誘発し、より高いIL−12p40/IL−10比がもたらされた(図7)。

    抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様処理によって増強又は生じる。

    UHT及びHTST処理された菌株は、それらの各々の当初の免疫プロファイルに関わらず(生細胞)、抗炎症性プロファイルを示す。 インビボで抗炎症性であることが公知であり、インビトロで抗炎症性プロファイルを示すプロバイオティクス菌株(ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818)は、「短時間高温」処理後に、増強された抗炎症性プロファイルをインビトロで示すことが示された。 図1に示すように、UHT様処理されたビフィドバクテリウム属菌株のIL−12p40/IL−10比は、生きた対応物のIL−12p40/IL−10比より低く、したがって、UHT様処理された試料の改善された抗炎症性プロファイルが示された。 より顕著には、UHT様及びHTST様処理によって抗炎症性プロファイルが生じたことは、非抗炎症性の生菌株についてまた確認された。 生菌のラクトバチルス・ラムノサスNCC4007及びラクトバチルス・パラカゼイNCC2461の両方は、高いIL−12p40/IL−10比をインビトロで示す(図2及び5)。 2つの生菌株は、マウスにおいてTNBSが誘発する大腸炎に対して保護性でないことが示された。 ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007及びラクトバチルス・パラカゼイNCC2461によって誘発されたIL−12p40/IL−10比は、「短時間高温」処理(UHT又はHTST)後に劇的に減少し、ビフィドバクテリウム属菌株で得られたIL−12p40/IL−10比と同じぐらい低いレベルに達した。 これらの低いIL−12p40/IL−10比は、IL−10分泌についての変化なし(ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007)又は劇的な誘発(ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461)と合わせて、低レベルのIL−12p40産生によるものである(図2)。

    結果として、
    生きた微生物の抗炎症性プロファイルは、UHT様及びHTST様加熱処理によって増強させることができ(例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC2705、ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818)、
    抗炎症性プロファイルは、非抗炎症性の生きた微生物(例えば、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、乳製品スターターであるストレプトコッカス・サーモフィルスNCC2019)からUHT様及びHTST様加熱処理によって生じさせることができ、
    抗炎症性プロファイルはまた、プロバイオティクスのエシェリキア・コリ菌株を含めた市販の製品から単離した菌株について示された(図3A及びB)。

    UHT/HTST様処理の影響は、全ての試験したプロバイオティクス及び乳製品スターター、例えば、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属について同様であった。

    UHT/HTST様処理を、異なるインビトロの免疫プロファイルを示すいくつかのラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属及びストレプトコッカス属に適用した。 全ての菌株は、UHT/HTST様処理後に、生きた対応物より低い炎症促進性サイトカインを誘発した(図1、2、3、4、5及び6)が、これはこのように得られた非複製性細菌の免疫特性に対するUHT/HTST様処理の作用が、全てのプロバイオティクス、特にラクトバチルス属及びビフィドバクテリウム属及び特定のエシェリキア・コリ菌株、及び全ての乳製品スターター培養物、特にストレプトコッカス属、ラクトコッカス属及びラクトバチルス属に一般化することができることを示す。

    実施例2
    方法細菌調製物:
    5種のプロバイオティクス菌株を使用して、非複製性プロバイオティクスの免疫ブースト特性を調査した。 3種のビフィドバクテリウム属(ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950)及び2種のラクトバチルス属(ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007)。

    バッチ発酵において細菌細胞を、pH対照なしで、MRS上で37℃にて16〜18時間増殖させた。 細菌細胞を遠心分離(5,000×g、4℃)し、リン酸緩衝生理食塩水に再懸濁させ、その後概ね10E10cfu/mlの最終濃度に達するように食塩水に希釈した。 ビフィドバクテリウム・ロンガムNCC3001、ビフィドバクテリウム・ラクティスNCC2818、ラクトバチルス・パラカゼイNCC2461、ラクトバチルス・ラムノサスNCC4007を、水浴中にて85℃で20分間加熱処理した。 ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、水浴中にて90℃で30分間加熱処理した。 加熱処理された細菌の懸濁液を分取し、使用するまで−80℃で冷凍保存した。 生細菌は、使用するまで−80℃でPBS−グリセロール15%中に保存した。

    細菌調製物のインビトロの免疫プロファイリング 生細菌調製物及び加熱処理された細菌調製物の免疫プロファイル(すなわち、インビトロで、ヒト血液細胞から特定のサイトカインの分泌を誘発する能力)を評価した。 ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を、血液フィルターから単離した。 細胞密度勾配による分離後に、単核細胞を集め、ハンクス平衡塩類溶液で2度洗浄した。 次いで、細胞を、10%ウシ胎仔血清(Bioconcept、Paris、france)、1%L−グルタミン(Sigma)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)及び0.1%ゲンタマイシン(Sigma)を補充したIscove改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma)に再懸濁させた。 次いで、PBMC(7×10 の細胞/ウェル)を、生細菌及び加熱処理された細菌(7×10 当量cfu/ウェル)と共に48ウェルプレート中で36時間インキュベートした。 生細菌及び加熱処理された細菌の作用を、2つの別々の実験に分割した、8人の個々のドナーからのPBMC上で試験した。 36時間のインキュベーション後、培養プレートを冷凍し、サイトカイン測定まで−20℃で保持した。 サイトカインプロファイリングを、生細菌及びそれらの加熱処理された対応物について並行で行った(すなわち、PBMCの同じバッチでの同じ実験において)。

    36時間のインキュベーション後の細胞培養上清中のサイトカイン(IFN−γ、IL−12p40、TNF−α及びIL−10)のレベルを、製造者の指示に従ってELISA(R&D DuoSet Human IL−10、BD OptEIA Human IL12p40、BD OptEIA Human TNF、BD OptEIA Human IFN−γ)によって決定した。 IFN−γ、IL−12p40及びTNF−αは、炎症促進性サイトカインであり、一方IL−10は、強力な抗炎症メディエーターである。 結果を、4人の個々のドナーの平均(pg/ml)+/−標準誤差として表すが、各々4人のドナーで行う2つの個々の実験の代表である。

    アレルギー性下痢症の予防における、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950及び加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のインビボ作用 アレルギー性下痢症のマウスモデルを使用して、ビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950のTh1促進作用を試験した(Brandt E.Bら、JCI2003;112(11):1666〜1667)。 感作(14日の間隔で、オボアルブミン(OVA)及び硫酸アルミニウムカリウムの2回の腹腔内注射;0日目及び14日目)後に、雄性Balb/cマウスを、6回(27日目、29日目、32日目、34日目、36日目、39日目)OVAに経口的に曝露し、一過的臨床症状(下痢症)及び免疫パラメーターの変化(総IgE、OVA特異的IgE、マウス肥満細胞プロテアーゼ1、すなわち、MMCP−1の血漿濃度)がもたらされた。 生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950又は90℃で30分間加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950を、OVA感作の4日前に(−3日目、−2日目、−1日目、0日目及び11日目、12日目、13日目及び14日目)、並びに曝露期間の間に(23〜39日目)、胃管栄養法によって投与した。 概ね10 コロニー形成単位(cfu)又は当量cfu/マウスの1日当たり細菌量を使用した。

    結果加熱処理後の「炎症誘発性」サイトカインの分泌の誘発 加熱処理された菌種がヒト末梢血単核球細胞(PBMC)によるサイトカイン分泌を刺激する能力をインビトロで評価した。 加熱処理された細菌によるPBMCの刺激による4つのサイトカインに基づいた免疫プロファイルを、同じインビトロアッセイにおいて生細菌細胞によって誘発される免疫プロファイルと比較した。

    加熱処理された調製物をプレーティングし、生菌数が存在しないことについて評価した。 加熱処理された細菌調製物は、プレーティング後にコロニーを産生しなかった。

    生きたプロバイオティクスは、ヒトPBMCと共にインキュベートされるときに、異なるレベル及び菌株依存レベルのサイトカイン産生を誘発した(図8)。 プロバイオティクスの加熱処理は、生きた対応物と比較すると、PBMCによって産生されるサイトカインのレベルを変更した。 加熱処理された細菌は、生きた対応物よりも炎症促進性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−12p40)をより誘発した。 対照的に、加熱処理された細菌は、生細胞と比較して同様又はより低い量のIL−10を誘発した(図8)。 加熱処理された細菌が生きた対応物よりも免疫系をより刺激することができ、したがって弱体化した免疫防御をよりブーストできることをこれらのデータは示す。 すなわち、インビトロデータは、加熱処理後の菌種の増強された免疫ブースト作用を例示する。

    (生細胞と比較した)加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950の、免疫系に対する増強された作用を例示するために、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)及び加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950(菌株A)の両方を、アレルギー性下痢症の動物モデルにおいて試験した。

    陽性対照群と比較して、下痢の激しさは、加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処理後に有意に及び一貫して減少(41.1%±4.8)し、一方では下痢の激しさは、生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950による処理後に20±28.3%のみ低下した。 加熱処理されたビフィドバクテリウム・ブレーベNCC2950が、その生きた対応物よりアレルギー性下痢に対して増強された保護作用を示すことをこれらの結果は示す(図9)。

    結果として、プロバイオティクスが免疫防御を増強する能力は、加熱処理の後に改善することが示された。

    実施例3〜6
    下記の乳幼児用補給調製乳を調製し得る。

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