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サワードウへのグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団及びそのサワードウの製造方法

申请号 JP2015540221 申请日 2012-11-06 公开(公告)号 JP6312688B2 公开(公告)日 2018-04-18
申请人 ハビエル ゴンザレス−デ ラ トーレ; 发明人 ルース ペドロサ−イスラス;
摘要
权利要求

グルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団であって、 a)ラクトバチルスプランタルムATCC8014、ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652、及びラクトバチルスブレビスATCC14869と、b)カプセル化剤と、c)プレバイオティクスと、d)トレハロースとを含み、 細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせられることを特徴とするグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団。前記カプセル化剤が、タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質、デキストロース当量が10のマルトデキストリン、アラビアゴム、メスキートゴム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、大豆から分離したタンパク質、カゼイン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル化細菌集団。前記カプセル化剤が、タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質、デキストロース当量が10のマルトデキストリン、アラビアゴム、及びこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項2に記載のマイクロカプセル化細菌集団。前記プレバイオティクスが、ポリデキストロース、イヌリン、アガベシロップからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル化細菌集団。前記プレバイオティクスが、アガベシロップであることを特徴とする、請求項4に記載のマイクロカプセル化細菌集団。前記細菌由来のタンパク質分解酵素及び前記真菌由来のタンパク質分解酵素が、通常パン焼きに使われる酵素より選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル化細菌集団。a)ラクトバチルスプランタルムATCC8014と、b)ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652と、c)ラクトバチルスブレビスATCC14869と、d)タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質と、e)デキストロース当量が10のマルトデキストリンと、f)アラビアゴムと、g)アガベシロップと、h)トレハロースとを含み、 細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせられることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル化細菌集団。a)ラクトバチルスプランタルムATCC8014と、b)ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652と、c)ラクトバチルスブレビスATCC14869と、d)タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質を40〜60%と、e)デキストロース当量が10のマルトデキストリンを10〜20%と、f)アラビアゴムを20〜80%と、g)アガベシロップを1〜10%と、h)トレハロースとを含み、 細菌由来のタンパク質分解酵素0.005〜0.03%及び真菌由来のタンパク質分解酵素0.001〜0.02%と組み合わせられることを特徴とする、請求項7に記載のマイクロカプセル化細菌集団。請求項1に記載のグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団を得る方法であって、 a)各乳酸菌株を別々に再活性化するステップと、 b)活性化された各菌株を、各菌株が所望の濃度となるまで別々に液体培地で培養するステップと、 c)各菌株に対して、余分の培地を除去し、生物を集めて、ペレットを得るステップと、 d)各菌株に対して得られたペレットを別々に再懸濁させて生食懸濁液とし、所要の体積に調整するステップと、 e)所要量の各菌株を混合し、最終体積に仕上げるステップと、 f)カプセル化剤を適切な割合でに溶かして、溶解固形物を20〜30%とするステップと、 g)プレバイオティクスとトレハロースを添加するステップと、 h)前記3つの乳酸菌株の混合物を接種して、前記3つの乳酸菌株の混合物を1グラムの粉末のマイクロカプセル当り1010CFU程度とするステップと、 i)入口温度が110〜160℃、出口温度が60〜80℃、送り速度が20〜50mL/minで、噴霧乾燥するステップとを含むことを特徴とする、方法。前記噴霧乾燥が、入口温度が150℃、出口温度が80℃、送り速度が22mL/minで、噴霧乾燥器で行われることを特徴とする、請求項9に記載のマイクロカプセル化細菌集団を得る方法。グルテン濃度が20ppm未満であるサワードウを得るための、請求項1に記載のマイクロカプセル化細菌集団と、細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素との組み合わせの使用。前記サワードウのグルテン濃度が10ppm未満であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。20ppm未満の前記グルテン濃度が、少なくとも3時間の発酵後に得られることを特徴とする、請求項11に記載の使用。請求項1に記載のグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団と、細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素との組み合わせからサワードウを製造する方法であって、 i)30〜60%の粉に40〜80%の水を混合し、パン生地の収量が150〜475のパン生地を得るステップと、 ii)事前に混練水に溶かした、細菌由来のタンパク質分解酵素0.005〜0.03%及び真菌由来のタンパク質分解酵素0.001〜0.02%を添加するステップと、 iii)該マイクロカプセル化細菌集団を1グラムの粉当り1010CFU程度となるように添加するステップと、 iv)混合するステップと、 v)30〜37℃の温度と70〜92%の相対湿度で、3〜48時間発酵させるステップとを含むことを特徴とする、方法。ステップi)で使用される前記粉が、小麦粉、ライ麦粉、及びオーツ麦粉から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のサワードウの製造方法。前記粉が、小麦粉であることを特徴とする、請求項15に記載のサワードウの製造方法。ステップi)において、前記得られたパン生地が、150〜160のパン生地の収量(DY)を有することを特徴とする、請求項14に記載のサワードウの製造方法。前記発酵が、28〜35時間行われることを特徴とする、請求項14に記載のサワードウの製造方法。前記発酵が、75〜80%の相対湿度で行われることを特徴とする、請求項14に記載のサワードウの製造方法。前記発酵が、35℃の温度及び76%の相対湿度で31時間行われることを特徴とする、請求項14に記載のサワードウの製造方法。

说明书全文

本発明はパン及びパン派生食料品の食品産業に関する。特に、サワードウへのグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団とその製造方法、及びグルテンが入っていないサワードウを用いたパン製品の製造に関する。

セリアック病は免疫系の遺伝的な障害であって、小麦やライ麦、大麦に含まれるタンパク質の一種であるグルテンの摂取によって引き起こされる。人間の上部消化管では、グルテンの消化が悪い。グルテンはグリアジンとグルテニンとの二つの成分からなる。グリアジンはアルコール可溶性であり、セリアック病患者にとって有毒成分を一番多く含んでいる(非特許文献1)。

グルテンを含む食べ物を食べると、セリアック病患者の免疫システムが腸絨毛を損傷又は破壊するように反応し、食品中の栄養素が吸収されないため、栄養状態が悪化する。セリアック病の病状が患者の年齢によって異なるが、子供は下痢、腹部膨満、嘔吐と体重減少、大人は鉄欠乏性貧血、疲労、骨痛、関節炎、骨粗しょう症などが最も一般的な病状である(非特許文献2)。

近年まではセリアック病がまれだと思われていたが、今は世界で新生児150人に1人が患うという最も一般的な過敏症の一つになっている。また、診断されたのは全患者の9%でしかないと推測されている。メキシコのサルバドル・スビラン国立医科学栄養研究所(Instituto Nacional de Ciencias Medicas y Nutricion)の統計によると、セリアック病患者の潜在患者数は約260万人に上る(非特許文献3)。

現在、セリアック病の唯一の認められている治療法は、一生グルテンフリーの食事制限である。国際食品規格によると、食品のグルテン濃度が20ppm以下だとグルテンフリーとされる。しかし多糖類の摂取減によるエネルギー摂取量の減少や健康に有益な腸内細菌叢の低減、日和見病原体(opportunistic pathogens)の増加といった栄養面でのマイナス要素につながる。また、グルテンフリーの食事制限による有益な細菌叢の低減が免疫刺激活性に悪影響を及ぼし、抗炎症性化合物の生成量を低下させる。

従って、セリアック病患者が摂取できる食品であって、手近な食品の種類を増やすことで食生活を改善できるグルテンフリーの食品が必要である。

主に小麦粉から作られるパンは、人間の食生活に欠かせない食品の一つでる。

小麦粉生地の特徴は、主にグルテン蛋白に依存する。最近、この蛋白の品質を高めるため、あるいはガス貯留処理を改善してより通気したパンを製造するために、様々な処理がなされている(非特許文献4)。その処理の一つは、サワードウ使用のパン製造である。

この処理の主な役割は、生地を発酵させることでガス含有量を高め、パンくずがより柔らかいふわふわしたパンを得ることである。

サワードウは、(小麦やオーツ麦、米などの)粉と酵母菌、そして通常ラクトバチルス属に属する乳酸菌の混合物を発酵したものによって得られる(非特許文献5)。パン焼き技術において、サワードウの使用は発酵におけるpH低下、より良いガス貯留、グルテン網のより高い抵抗、小麦粉アミラーゼの抑制、水のグルテンとでんぷん粒との結合、ペントースの膨張、フィチン酸塩錯体の可溶化、発酵不良の防止などの優れた効果をあげる(非特許文献6)。パン作りにおいて、これらのサワードウは新しい生地と混合される。

また、サワードウの発酵に使用される乳酸菌は、パン作りにおけるグルテン改良を可能にするため、セリアック病患者に有毒なタンパク質成分を除去できる。ただし、すべての乳酸菌がグルテン残留濃度をグルテン過敏症の人(セリアック病患者)が耐えられる量に減らすことができないので、グルテンの加水分解に貢献するプロテアーゼを利用して乳酸菌の種類を選択し、適切な組み合わせを見つけなければならない。

発酵の際、乳酸菌のタンパク質分解系(proteolytic system)が生物の代謝活動を促す低分子量ペプチドとアミノ酸を放出することで、味を良くしアレルギー性ペプチドの量を減らすことに貢献する(非特許文献7)。従って、グリアジン成分に過敏なためにグルテンを少量でも含む食品を消費できなかったセリアック病患者に大きな希望をもたらしている(非特許文献8、非特許文献6)。サワードウで作られたパンについての調査では、特定の処理条件下(長時間の発酵と半液体)、乳酸菌が小麦グリアジン成分を加水分解する能力を持つ(非特許文献9、非特許文献7)。

非特許文献10では(事前にグリアジンを加水分解する能力に基づいて選択された)市販されていない乳酸桿菌株の混合物と真菌由来のプロテアーゼの様々な組み合わせをサワードウに用いて、比較的長い発酵において小麦粉の毒性を除去した。乳酸桿菌による加水分解速度が非常に効率的だったのに加え、サワードウから抽出されたタンパク質がインターフェロンγの活性化を誘導したと認められた。また、アルブミンとグロブリン、グリアジンが完全に加水分解されたのに対し、サワードウにおいてのグルテン残量が20%だった。

同じように、特許文献1に少なくとも6つの市販の乳酸菌種及び/又はビフィズス菌種の混合物が示されている。この混合物はサワードウの製造に利用できる。同様に、これらの配合物に、パン焼きに普段使用される微生物のプロテアーゼを適量に加えると、発酵したサワードウは200ppm未満のグルテン濃度となり、セリアック病患者の消費に相応しくない虞がある。また、乳酸菌種が多いほど、グリアジンの分解が進むため、多くの種を使用する必要がある。よって、この分解を実現するための混合物が複雑になる。

一方、特許文献2に2種の乳酸菌と、1以上の真菌由来のプロテアーゼを含む混合物が示されている。12時間の発酵後、グリアジンとグルテニンの残量が認められなかった。更に、グルテンの残量濃度が20ppm未満となった。

このように、従来技術によるグルテン分解用の細菌培養物にいくつかのデメリットがある。例えば、市販の菌株の場合、(少なくとも6種の)乳酸菌の複雑な混合物が使用される一方、特別に選択された菌株の場合、培養物を活性化し、増殖と洗浄してから浮遊状態で培養物(接種源)を生地に添加しなければならない。よって、培養物を毎日用意する必要があり、また感染を防ぐための特殊管理において同じ成長段階で活発に保ち、それぞれの乳酸菌を適切な割合と量に保たなければならないが、感染の潜在的なリスクも生じる。

そのつど接種源を生産することの難しさを緩和するための代案として、十分な量を生産するようにマイクロカプセル化することが知られている。これによって培養物の処理を減らして、乳酸の培養物の感染や生存能力に関するリスクを低くし小麦粉生地分解の効率化を図ることができる。

乳酸菌の生存能力と活性は培養物の増殖率、乳酸と酢酸の生産能力、全固形分、培養温度と時間、接種源の使用量、及び抗生物質や殺菌剤あるいは洗浄剤の残留物などの要素で決まる(非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20)。

不利な条件へのプレバイオティクス菌の抵抗力を高めるために色々な方法が知られている。例えば、プレバイオティクス機能を持つ微量栄養素をマイクロカプセル化し組み入れる方法がある(非特許文献11、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献20)。

高酸素濃度や製造、保管、冷凍、胃腸管を通る時の酸やアルカリ性条件に敏感なプレバイオティクスを守ることができるので、プレバイオティクスの生存能力を高めるためにマイクロカプセル化が提案されてる(非特許文献14、非特許文献11、非特許文献21、非特許文献18、非特許文献23、非特許文献20)。

乳酸菌のマイクロカプセル化が従来技術だとしても、サワードウの発酵の際にグルテンを分解するのに利用される材料をマイクロカプセル化することでよく保護するために、乾燥条件やカプセル化の媒体を精選しなければならないことが従来技術では明記されていない。なぜなら、マイクロカプセル壁の設計が、保護する材料の特定のタイプやマイクロカプセルが使用される環境、それに保護される活物質の解放機構によって決まる重要点だからである。

米国出願第2008/0131556号

国際公開第2010//073283号

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従来技術の問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、乳酸菌株のマイクロカプセル化微生物集団を提供することである。このマイクロカプセル化微生物集団は、細菌由来のタンパク質分解酵素と真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせることにより、サワードウの製造に適切で、セリアック病患者に有毒な成分を含むグルテンを分解するために小麦粉生地に直接添加され、安定した、活性化が速く扱いやすいものである。

本発明の別の目的は、簡単で工業規模でも使用可能な方法で上記のマイクロカプセル化微生物集団を用いてグルテンが分解されたサワードウを得ることである。

更に本発明の別の目的は、サワードウから、グルテンフリーでセリアック病患者の消費に適切な、パン製品を得ることである。

そこで、a)3つの異なる市販の乳酸菌株と、b)カプセル化剤と、c)プレバイオティクスと、d)トレハロースを含み、細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせられる、グルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団が開発された。

本発明の他の側面によれば、グルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団の製造方法;その細菌集団と、細菌由来のプロテアーゼと真菌由来のプロテアーゼとの組み合わせから製造されたサワードウであって、グルテン濃度が20ppm未満のサワードウ;及びそのサワードウの製造方法とそのサワードウから得たグルテンフリーのパン製品が提供される。

本発明の開発において、3つの異なる市販の乳酸菌株と、細菌集団を高水準で保護し、活動を速やかに開始できるように小麦粉生地への早い溶解を促すカプセル化剤と、細菌集団の生存率を高めるためのプレバイオティクスと、含まれる細菌の特定栄養成分としてのトレハロースとを含むマイクロカプセル化細菌集団が、市販の細菌由来のタンパク質分解酵素及び市販の真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせて使用されると、サワードウの発酵過程においてのグルテン分解に役立つことを予期せず発見した。

乳酸菌株は、好ましくはラクトバチルスプランタルムATCC8014、ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652、及びラクトバチルスブレビスATCC14869である。

カプセル化剤は、タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質、デキストロース当量が10のマルトデキストリン、アラビアゴム、メスキートゴム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、大豆から分離したタンパク質、カゼイン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択され、好ましくはタンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質、デキストロース当量が10のマルトデキストリン、アラビアゴム、及びこれらの組み合わせである。

一方、プレバイオティクスは、ポリデキストロース、イヌリン、アガベシロップからなる群より選択され、好ましくはアガベシロップである。

細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素は、通常パン焼きに使われる酵素より選択される。

本発明の一実施形態によれば、マイクロカプセル化細菌集団は、a)ラクトバチルスプランタルムATCC8014と、b)ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652と、c)ラクトバチルスブレビスATCC14869と、d)タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質と、e)デキストロース当量が10のマルトデキストリンと、f)アラビアゴムと、g)アガベシロップと、h)トレハロースとを含み、細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素と組み合わせられる。

より好ましくは、このマイクロカプセル化細菌集団は、a)ラクトバチルスプランタルムATCC8014と、b)ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652と、c)ラクトバチルスブレビスATCC14869と、d)タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質を40〜60%と、e)デキストロース当量が10のマルトデキストリンを10〜20%と、f)アラビアゴムを20〜80%と、g)アガベシロップを1〜10%と、h)トレハロースとを含み、細菌由来のタンパク質分解酵素0.005〜0.03%及び真菌由来のタンパク質分解酵素0.001〜0.02%と組み合わせられる。

マイクロカプセル化は噴霧乾燥等の公知の方法で行われる。例えば、マイクロカプセル化細菌集団を得る方法は、 a)各乳酸菌株を別々に再活性化するステップと、 b)活性化された各菌株を、各菌株が所望の濃度となるまで別々に液体培地で培養するステップと、 c)各菌株に対して、微生物を集めるために余分の培地を好ましくは遠心分離で除去し、ペレットを得るステップと、 d)各菌株に対して得られたペレットを別々に再懸濁させて、生食懸濁液とし、所要の体積に調整するステップと、 e)所要量の各菌株を混合し、最終体積に仕上げるステップと、 f)20〜30%の溶解固形物となるようにカプセル化剤を適切な割合で水に溶かすステップと、 g)プレバイオティクスとトレハロースを添加するステップと、 h)3つの乳酸菌株の混合物が1グラムの粉末のマイクロカプセル当り1010CFU程度となるよう、3つの乳酸菌株の混合物を接種するステップと、 i)入口温度が110〜160℃、出口温度が60〜80℃、送り速度が20〜50mL/minで、好ましくは噴霧乾燥器で乾燥するステップとを含む。

好ましくは、ステップe)では、ラクトバチルスプランタルムATCC8014を10〜50%の比率、ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC27652を40%の比率、ラクトバチルスブレビスATCC14869を10〜50%の比率で混合する。

好ましくは、乾燥は噴霧乾燥器を用いて、入口温度が150℃、出口温度が80℃、送り速度が22mL/minで行われる。

本発明の他の側面によれば、本発明のマイクロカプセル化細菌集団と、細菌由来のタンパク質分解酵素及び真菌由来のタンパク質分解酵素との組み合わせから製造されたサワードウであって、グルテン濃度が20ppm未満、好ましくは10ppm未満で、グルテンフリーのパン製品の製造に相応しいサワードウが提供される。

好ましくは、このサワードウのグルテン濃度は少なくとも3時間の発酵、好ましくは31時間の発酵後に得られる。

本発明のサワードウを製造する方法は、 i)30〜60%の粉に40〜80%の水を混合し、パン生地の収量が150〜475、好ましくは150〜160のパン生地を得るステップと、 ii)混練水に事前に溶かした、細菌由来のタンパク質分解酵素0.005〜0.03%及び真菌由来のタンパク質分解酵素0.001〜0.02%を添加するステップと、 iii)3つの乳酸菌株の混合物が1グラムの粉当り1010CFU程度となるよう、マイクロカプセル化細菌集団を添加するステップと、 iv)混合するステップと、 v)30〜37℃の温度と70〜92%、好ましくは75〜80%の相対湿度で、3〜48時間、好ましくは28〜35時間発酵させるステップとを含む。

ステップi)で使用される粉は、小麦粉、ライ麦粉、及びオーツ麦粉から選択され、好ましく小麦粉である。

発酵は好ましくは35℃の温度及び76%の相対湿度で31時間行われる。

上述のように、上記の方法で得られる本発明のサワードウはグルテン濃度が20ppm未満であって、好ましくは10ppm未満である。好ましくは、このサワードウのグルテン濃度は3時間の発酵後に得られる。

これらのサワードウから、グルテンフリーでセリアック病患者の消費に適切なパン製品、好ましくは菓子パンを得ることができる。

以下の実施例によって本発明はより明確になるが、以下の実施例は本発明の好ましい実施形態を正しく理解するために例示されるのであって、上記の詳細な説明に基づいて実施できる、例示されていない実施形態の存在を否定するものではない。

(実施例1) 接種源の生産 ラクトバチルスプランタルムATCC8014、ラクトバチルスサンフランシセンシスATCC14869、及びラクトバチルスブレビスATCC27652の菌株をATCCから業者を通して入手した。ラクトバチルスプランタルムATCC8014とラクトバチルスサンフランシセンシスATCC14869は固体培地にて保存され、ラクトバチルスブレビスATCC27652は凍結乾燥された。

菌株を再活性化するために、ネジキャップの試験管において液体のMRS(Man Rogosa Sharpe)培地(米国のDifcoTM)に播種し、24〜48時間、又は濁度の増加によって成長が見られるまで、35〜37℃にて培養した。

培養物がこの特徴を備えたら、MRSの固体培地が入ったシャーレーに移し、また24〜48時間、同じ温度で培養した。

成長した微生物を、50mLのMRS培地が添加された125mLの三フラスコに別々に移動され、8〜12時間、37℃にて50〜100rpmで撹乱しながら培養し、接種源の前駆体(pre-inoculum)が得られた。

前記培養時間の経過後、培養物を500〜1000mLのMRS培地が添加された2800mLのフェルンバッハフラスコに、無菌状況下で再度移動させ、10〜16時間、37℃にて50〜150rpmで撹乱しながら培養した。培地の吸光度(濁度)を測るため、各フラスコからサンプルを採取した。

残った培地を除去し、微生物を集めるために、培養物を、エタノールで消毒された250mLの遠心分離管に入れて、20分間、2000〜5000rpmで遠心分離した。

得られたペレットを無菌食塩水(9g/Lの塩化ナトリウム)に再懸濁させた。微生物を再懸濁させて、所要の体積に調整してから、同様に無菌状態で所要量の各菌株を混合し、最終体積に仕上げることでマイクロカプセル化しようとする接種源を用意した。

(実施例2) 細菌集団のマイクロカプセル化 酸素に対する遮断性のために、タンパク質を90%含む乳清から分離したタンパク質と、デキストロース当量が10のマルトデキストリンと、アラビアゴムとを、それぞれの割合でカプセル化剤として選択した。

細菌集団の中での細菌の再活性化を図るため、ポリデキストロース、イヌリン、及びアガベシロップの三種類のプレバイオティクスの添加を分析した。また、トレハロースを、細菌集団を構成する細菌の特定栄養成分として使用した。

20〜30%の溶解固形物となるように、カプセル化剤を適切な割合で水に溶かした。プレバイオティクスとトレハロースを添加し、この分散物に、1グラムの粉末マイクロカプセル当り1010CFUとなるよう細菌集団を接種した。

この混合物は入口温度が150℃、出口温度が80℃、送り速度が22mL/minで、噴霧乾燥器で乾燥させた。

それにより、粉末のマイクロカプセル化微生物集団が得られた。

(実施例3) 乳酸菌の発達に好ましいプレバイオティクス比率の決定 上述のように、マイクロカプセル化集団へのポリデキストロース(P)、イヌリン(I)、及びアガベシロップ(M)の添加を評価した。そこで、表1で示すように、本実験ではシンプレックス・セントロイド混合計画法を用いた。

表1 評価された、微生物集団のマイクロカプセル化用のプレバイオティクス配合

対応する乳酸菌の分散物と壁材料に各混合物を加え、上述の通り噴霧乾燥させた。

マイクロカプセル化されたら、粉末を1g取り出し、攪乱しながら30℃の滅菌水で再水和した。1mLのアリコートを取り出し、段階希釈し、プレートに播種することで一番可能性の高い番号を判別した。細菌の生存率についての結果が表2に示される。

表2 プレバイオティクスの組み合わせ別の乳酸菌の生存率

この結果によって、アガベシロップをプレバイオティクスとして用いた場合、生存率が一番高く(98%)なったことが分かる。

(実施例4) サワードウの試作 手作りのパン焼きに適した、市販の白い小麦粉と、1010CFU/gの濃度で実施例2によって得られたマイクロカプセル化細菌集団のほかに、カプセル化剤と、トレハロースと、プレバイオティクスとしてのアガベシロップとを用いた。

タンパク質分解酵素として、細菌由来のもの(商品名HT proteolitic 200、Enmex S.A. de C.V.、メキシコ)と、真菌由来のもの(商品名Harizyme G、Enmex S.A. de C.V.、メキシコ)とを使用した。

サワードウを試作するために、パン生地の収量が150〜160となるよう、小麦粉400gと水150mLを混合し生地を用意した。細菌由来のタンパク質分解酵素を0.08g(商品名HT proteolitic 200、Enmex S.A. de C.V.、メキシコ)と真菌由来のタンパク質分解酵素を0.12g(商品名Harizyme G、Enmex S.A. de C.V.、メキシコ)を添加した。両方の酵素を混練水に事前に溶かしておいた。続いて、水に懸濁させた本発明のマイクロカプセル化微生物集団を1010CFU/gとなるように添加した。

通常のミキサーで8分間混ぜた上、35℃の温度と76%の相対湿度で、31時間発酵させた。電気泳動分析(ウエスタンブロット法)で、発酵中のpH及び発酵が終わった際のグルテン分解の度合いを観測した。結果が表3に示される。

表3 マイクロカプセル化細菌集団で摂取されたサワードウの分解速度

表のデータによると、本発明のマイクロカプセル化細菌集団とタンパク質分解酵素の組み合わせの影響として、発酵の最初の3時間以内にグルテンのグリアジン成分の強い分解率が確認された。

(実施例5) アストルガのカップケーキ型の菓子パンをサワードウから乳酸発酵によって製造 実施例4によって得られたサワードウを使用して、カップケーキ型のグルテンフリーの菓子パンを製造した。バターと、マーガリンと、飴ガラス(sugar glass)とを、ミキサーのパレットを使って混ぜた。まず、混ぜ合わさるまで低速で混ぜ、その後速度を上げ、混合物に空気をなるべく多く含めるように更に20分混ぜた。

3つの卵黄を少しずつ加えて完全に混ぜ合わさってから、乳と、調味料(オレンジ、ライム、チョコレート)と、ソルビン酸カリウムを添加した。

実施例4の発酵したサワードウと、トウモロコシでんぷんと、ニシュタマリゼーション(石灰水処理)された粉末と、ベーキングソーダと、ベーキングパウダーとを事前にビニール袋で混合し、上述の混合物に組み入れた。水を添加し、高速で8分間混ぜた。

別々に、卵白を硬くなるまで混ぜてから、泡を壊さないように中速で生地に混ぜ合わせた。

液体状の生地をオーブン用のトレーに載せたカップケーキの紙コップに注いで、200℃で10分間焼いた。

(実施例6) 消費者によるアストルガのカップケーキの評価 従来の生地で作られた、いわゆる無添加のカップケーキに対して、実施例5(本発明のマイクロカプセル化微生物集団とタンパク質分解酵素の組み合わせによって得られたサワードウを使用)によって調理したオレンジと、ライムと、チョコレート味のカップケーキの認容性を調査するため、消費者による評価を行った。

そのために、イベロアメリカナ大学のメキシコシティーキャンパスで、アストルガのカップケーキの消費者70人を対象に調査が行われた。参加者は50%が男性、50%が女性、年齢が15〜45歳で、市販の菓子パンを少なくとも15日ごとに食べていた。この調査の有意水準と信頼水準はそれぞれ0.05%と95%であった。結果が表4に示される。

表4 マイクロカプセル化細菌集団とプロテアーゼとの組み合わせを含んだ、発酵されたサワードウから作られたカップケーキの消費者についての調査結果

表4の結果によって、95%(0.05)の水準で、評価を行った特徴(外見、触感、味)のすべてについて無添加のカップケーキに有意差はなく、またオレンジ味とチョコレート味のファインの総合評価に有意差はなかったことが分かる。

一方、ライムカップケーキは95%の水準で、評価を行った特徴のすべてについて自然なカップケーキに対して有意差は認められ、無添加カップケーキの方が高く評価された。

上述のようにセリアック病患者が摂取できるグルテンフリーの食品を目的として、サワードウにおいてのグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団及びそれの製造方法を考案した。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で詳細について種々変更可能であるので、上記実施例は、サワードウにおいてのグルテン分解用のマイクロカプセル化細菌集団及びそれの製造方法の例にすぎず、本発明を限定するものではないことが当業者に明白であることに注意されたい。

従って、本発明は、先行技術と特許請求の範囲にしか制限されないと解すべきである。

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