産業用遠隔操作ロボットシステム

申请号 JP2016002576 申请日 2016-05-27 公开(公告)号 JPWO2017033352A1 公开(公告)日 2018-06-14
申请人 川崎重工業株式会社; 发明人 橋本 康彦; 掃部 雅幸;
摘要 遠隔操作ロボットシステムは、マスタ装置と、自動モードと手動モードとを含む複数の制御モードを有するスレーブアームと、スレーブアームを動作させる制御装置と、スレーブアームの動作領域への侵入者を検出する侵入者検出装置と、侵入者がマスタ装置を携帯したオペレータであるか否かを識別する侵入者識別情報を取得する侵入者識別情報取得装置と、侵入者検出装置及び侵入者識別情報取得装置から取得した情報に基づいて、スレーブアームの動作を抑制する動作抑制装置とを備える。動作抑制装置は、自動モードのときに侵入者が検出されるとスレーブアームの動作を抑制し、手動モードのときに侵入者が検出されると侵入者がオペレータであればスレーブアームの動作を継続させ、それ以外ではスレーブアームの動作を抑制する。
权利要求

オペレータの操作を受け付けるマスタ装置と、 予め記憶されたタスクプログラムに基づいて動作する自動モードと前記マスタ装置が受け付けたオペレータの操作に基づいて動作する手動モードとを含む複数の制御モードを有するスレーブアームと、 前記複数の制御モードのなかから選択された一つで前記スレーブアームを動作させる制御装置と、 前記スレーブアームの動作領域への侵入者を検出する侵入者検出装置と、 前記侵入者が前記マスタ装置を携帯した前記オペレータであるか否かを識別する侵入者識別情報を取得する侵入者識別情報取得装置と、 前記侵入者検出装置及び前記侵入者識別情報取得装置から取得した情報に基づいて、前記スレーブアームの動作を抑制する動作抑制装置とを備え、 前記動作抑制装置は、前記スレーブアームが前記自動モードのときに侵入者が検出されると前記スレーブアームの動作を抑制し、前記スレーブアームが前記手動モードのときに侵入者が検出されると前記侵入者が前記オペレータであれば前記スレーブアームの動作を継続させ、前記侵入者が前記オペレータ以外であれば前記スレーブアームの動作を抑制する、 遠隔操作ロボットシステム。前記複数の制御モードは、前記マスタ装置が受け付けたオペレータの操作によって逐次修正されながら前記タスクプログラムに基づいて動作する修正自動モードを更に含み、 前記動作抑制装置は、前記スレーブアームが前記修正自動モードのときに侵入者が検出されると前記侵入者が前記オペレータであれば前記スレーブアームの動作を継続させ、前記侵入者が前記オペレータ以外であれば前記スレーブアームの動作を抑制する、 請求項1に記載の遠隔操作ロボットシステム。前記侵入者識別情報取得装置は、前記マスタ装置に設けられたRFタグと、前記RFタグの情報を読み出して前記動作抑制装置へ出するリーダとを含む、 請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作ロボットシステム。前記侵入者識別情報取得装置は、前記マスタ装置に設けられた識別ボタンと、前記識別ボタンが操作されたときに前記マスタ装置の識別情報を前記動作抑制装置へ出力する識別情報出力装置とを含む、 請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作ロボットシステム。

说明书全文

本発明は、マスタ装置及びスレーブアームを備えた産業用遠隔操作ロボットシステムに関する。

従来、マスタ装置と、マスタ装置の操作に応じて動作するスレーブアームとを備えた遠隔操作ロボットシステムが知られている。マスタ装置としては、マニピュレータ、操作レバー、操作ボタンなどが利用されることがある。このような遠隔操作ロボットシステムにおいて、マスタ装置としてのマニピュレータの姿勢にスレーブアームの姿勢を従わせるように構成されたものがある。特許文献1では、この種の技術が開示されている。

特許文献1には、医療用マスタースレーブ式マニュピュレータであって、マスタ装置として携帯型アーム操作部を備えたものが示されている。この携帯型アーム操作部は、オペレータが肩に掛けるベルトが付帯した操作テーブルと、操作テーブルに設けられたディスプレイと、操作テーブルに設けられた複数の小型のマスタアームとを備えている。これらのマスタ操作アームの先端部には、当該マスタアームによって操作される処置具の先端部に設けられた把持鉗子と対応した把持鉗子が装備されている。

特開平7−194609号公報

上記特許文献1に記載の医療用マニピュレータは、マニピュレータ及びその手先部に装着された鉗子が動作するものであり、産業用ロボットと比較して動作速度は低く且つ動作範囲も狭い。従って、医療用マニピュレータでは、仮にマスタ装置を操作するオペレータとマニピュレータとが近接していても、オペレータの安全性は損なわれない。しかし、産業用ロボットでは、ロボットの動作領域に人間が不用意に侵入すると人間とロボットとが衝突するおそれがある。そこで、産業用ロボットの運転中に人間が当該ロボットの動作領域(例えば、安全柵内)に侵入すれば、ロボットが非常停止するようになっている。

とはいえ、産業用遠隔操作ロボットシステムにおいても、オペレータが、スレーブアームに近づいて当該スレーブアームの動作を確認しながらマスタ装置を操作することが好適な状況が発生し得る。そこで、本発明では、産業用遠隔操作ロボットシステムにおいて、オペレータがスレーブアームの動作領域内でマスタ装置を操作することを可能とする技術を提案する。

本発明の一態様に係る遠隔操作ロボットシステムは、 オペレータの操作を受け付けるマスタ装置と、 予め記憶されたタスクプログラムに基づいて動作する自動モードと前記マスタ装置が受け付けたオペレータの操作に基づいて動作する手動モードとを含む複数の制御モードを有するスレーブアームと、 前記複数の制御モードのなかから選択された一つで前記スレーブアームを動作させる制御装置と、 前記スレーブアームの動作領域への侵入者を検出する侵入者検出装置と、 前記侵入者が前記マスタ装置を携帯した前記オペレータであるか否かを識別する侵入者識別情報を取得する侵入者識別情報取得装置と、 前記侵入者検出装置及び前記侵入者識別情報取得装置から取得した情報に基づいて、前記スレーブアームの動作を抑制する動作抑制装置とを備え、 前記動作抑制装置は、前記スレーブアームが前記自動モードのときに侵入者が検出されると前記スレーブアームの動作を抑制し、前記スレーブアームが前記手動モードのときに侵入者が検出されると前記侵入者が前記オペレータであれば前記スレーブアームの動作を継続させ、前記侵入者が前記オペレータ以外であれば前記スレーブアームの動作を抑制することを特徴としている。

上記遠隔操作ロボットシステムによれば、マスタ装置を携帯したオペレータがスレーブアームの動作領域に侵入しても、スレーブアームは動作を継続する。よって、オペレータはスレーブアームの動作領域内でマスタ装置を操作することができる。通常、マスタ装置を携帯したオペレータは、スレーブアームの動きを監視しながらマスタ装置を操作しているので、スレーブアームの動きを予測することができ、また、マスタ装置を操作してスレーブアームと自身との衝突を回避することが可能である。

また、上記遠隔操作ロボットシステムでは、スレーブアームが自動モードで動作しているときは、スレーブアームの動作領域への侵入者が誰であっても、スレーブアームの動作が抑制される。従って、スレーブアームとその動作領域への侵入者との衝突を防止することができる。

本発明の産業用遠隔操作ロボットシステムによれば、オペレータがスレーブアームの動作領域内でマスタ装置を操作することが可能となる。

本発明の一実施形態に係る遠隔操作ロボットシステムの概略構成を示す平面図である。

遠隔操作ロボットシステムの制御系統の構成を示すブロック図である。

スレーブアームの制御系統の構成を示すブロック図である。

変形例に係る侵入者識別情報取得装置を備えた遠隔操作ロボットシステムの制御系統の構成を示すブロック図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

〔遠隔操作ロボットシステム100〕 図1は本発明の一実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100の概略構成を示す平面図、図2は遠隔操作ロボットシステム100の制御系統の構成を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、遠隔操作ロボットシステム100は、マスタースレーブ方式のロボットシステムであって、スレーブアーム1と、マスタ装置20と、入装置7と、出力装置4と、状況取得装置5と、侵入者検出装置93と、侵入者識別情報取得装置94と、動作抑制装置95と、システム100を包括的に制御する制御ユニット6とを備えている。

本実施形態に係るスレーブアーム1は、自動モード、手動モード、及び、修正自動モードの3つの制御モードを有する。これら複数の制御モードのうち選択された一つで動作が制御されるように、スレーブアーム1の制御モードを切り替えることができる。

本明細書では、スレーブアーム1が、予め設定されたタスクプログラムに従って動作する制御モードを「自動モード」と称する。自動モードでは、従来のティーチングプレイバックロボットと同様に、オペレータによるマスタ装置20の操作なしに、スレーブアーム1が所定の作業を自動的に行う。

また、本明細書では、スレーブアーム1が、マスタ装置20が受け付けたオペレータの操作に基づいて動作する制御モードを「手動モード」と称する。マスタ装置20は、オペレータがマスタ装置20を直接的に動かすことによって入力した操作を受け付けることができる。なお、手動モードでは、マスタ装置20が受け付けたオペレータの操作や、この操作に基づいて動作しているスレーブアーム1の動きが、自動的に修正されてもよい。

また、本明細書では、スレーブアーム1が、マスタ装置20が受け付けたオペレータの操作によって逐次修正されながら予め設定されたタスクプログラムに従って動作する制御モードを「修正自動モード」と称する。修正自動モードでは、予め設定されたタスクプログラムに従って動作しているスレーブアーム1の動きが、マスタ装置20が受け付けたオペレータの操作に基づいて修正される。

以下、遠隔操作ロボットシステム100の各構成要素について詳細に説明する。

〔スレーブアーム1〕 図2に示すように、スレーブアーム1は、複数のリンク11a〜11fの連接体と、これを支持する基台15とから構成された、複数の関節JT1〜JT6を有する多関節ロボットアームである。より詳しくは、第1関節JT1では、基台15と、第1リンク11aの基端部とが、鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第2関節JT2では、第1リンク11aの先端部と、第2リンク11bの基端部とが、平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第3関節JT3では、第2リンク11bの先端部と、第3リンク11cの基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第4関節JT4では、第3リンク11cの先端部と、第4リンク11dの基端部とが、第4リンク11dの長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第5関節JT5では、第4リンク11dの先端部と、第5リンク11eの基端部とが、第4リンク11dの長手方向と直交する軸回りに回転可能に連結されている。第6関節JT6では、第5リンク11eの先端部と第6リンク11fの基端部とが、捻れ回転可能に連結されている。そして、第6リンク11fの先端部にはメカニカルインターフェースが設けられている。このメカニカルインターフェースには、作業内容に対応したエンドエフェクタ12(図1、参照)が着脱可能に装着される。

図3はスレーブアーム1の制御系統の構成を示すブロック図である。この図では、モータ制御部16を中心とした具体的な電気的構成が示されている。図3に示すように、スレーブアーム1の各関節JT1〜JT6には、それが連結する2つの部材を相対的に回転させるアクチュエータの一例としての駆動モータM1〜M6が設けられている。駆動モータM1〜M6は、例えば、モータ制御部16によってサーボ制御されるサーボモータである。また、各駆動モータM1〜M6には、その回転位置を検出するための位置センサE1〜E6と、その回転を制御する電流を検出するための電流センサC1〜C6とが設けられている。位置センサE1〜E6は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、パルスジェネレータなどの回転位置を検出できるものであればよい。なお、上記の駆動モータM1〜M6、位置センサE1〜E6、及び電流センサC1〜C6の記載では、各関節JT1〜JT6に対応してアルファベットに添え字の1〜6が付されている。以下では、関節JT1〜JT6のうち任意の関節を示す場合には添え字を省いて「JT」と称し、駆動モータM、位置センサE、及び電流センサCについても同様とする。

駆動モータM、位置センサE、及び電流センサCは、モータ制御部16と電気的に接続されている。本実施形態に係るモータ制御部16は、1台で複数の駆動モータMをサーボ制御できるものであるが、各駆動モータMに対応するモータ制御部16が設けられていてもよい。

モータ制御部16には、電源32から電力供給路34を介して電力が供給される。電力供給路34には、電源32からモータ制御部16への電力の供給と供給遮断とを切り替える接続器33が設けられている。接続器33は、制御ユニット6からの非常停止信号を受けて開状態となり、電源32からモータ制御部16への電力供給が遮断される。

モータ制御部16では、後述する制御ユニット6(より詳細には、スレーブ制御部61)より取得した位置指令値やサーボゲイン等に基づいて駆動指令値(電流指令値)を生成し、駆動指令値に対応した駆動電流を駆動モータMへ供給する。駆動モータMの出力回転は位置センサEによって検出され、モータ制御部16へフィードバックされる。なお、モータ制御部16とスレーブ制御部61との機能が、単一の回路又は単一の演算装置によって実現されていてもよい。

制御ユニット6(より詳細には、スレーブ制御部61)からモータ制御部16へ位置指令値が入力されると、入力された位置指令値は減算器31bのプラス側の入力に与えられる。この減算器31bのマイナス側の入力には、位置センサEで検出された回転角を表す信号(位置現在値)が与えられる。減算器31bでは、位置指令値から回転角が減算される。減算器31bの出力は係数器31cに与えられ、ここで位置ゲインKpで増幅されてから、減算器31eの+入力に与えられる。この減算器31eの−入力には、位置センサEからの回転角が微分器31dで微分されたものが与えられる。減算器31eの出力は係数器31fに与えられ、ここで速度ゲインKvで増幅されてから、減算器31gの+入力に与えられる。この減算器31gの−入力には、電流センサCからの電流値が与えられる。減算器31gの減算出力が駆動指令値として増幅回路31hへ入力され、増幅された駆動指令値と対応する駆動電流が駆動モータMへ供給される。

〔マスタ装置20〕 マスタ装置20は、オペレータの操作を受け付ける手段である。本実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100では、マスタ装置20として可搬性の操作盤2が用いられている。操作盤2には、スレーブアーム1の位置や姿勢に係る操作を受け付けるジョイスティック27が設けられている。本実施形態では、スレーブアーム1の位置や姿勢に係る操作を受け付ける操作具としてジョイスティック27を採用しているが、ジョイスティック27に代えて又は加えて、例えば、マニピュレータ、タッチパネル、キー、レバー、ボタン、スイッチ、ダイヤルなどの既知の操作具が用いられてよい。

上記の操作盤2には、入力装置7の一部として、スレーブアーム1を強制的に非常停止させる指令を受け付ける非常停止ボタン28と、スレーブアーム1の制御モードの切り替え操作を受け付ける制御モード切替スイッチ29とが設けられている。操作盤2には、上記以外の入力装置7が設けられていてもよい。

また、操作盤2には、出力装置4の一部として、ディスプレイ装置41及びスピーカ(図示略)が搭載されている。

マスタ装置20は、制御ユニット6と無線で通信可能に接続されている。マスタ装置20は、オペレータによる各種操作具の操作を受け付け、受け付けた操作を制御ユニット6へ入力する。

〔入力装置7〕 入力装置7は、マスタ装置20と共に作業空間外に設置され、操作者からの操作指示を受け付け、受け付けた操作指示を制御ユニット6に入力する入力手段である。入力装置7では、スレーブアーム1の位置や姿勢に係る操作以外の操作が入力される。入力装置7には、制御モード切替スイッチ29や、非常停止ボタン28など、スレーブアーム1の位置や姿勢を除く操作指令を入力する1以上の操作入力具が含まれる。1以上の操作入力具には、例えば、タッチパネル、キー、レバー、ボタン、スイッチ、ダイヤルなどの既知の操作入力具が含まれていてよい。また、入力装置7として、ペンダントやタブレットなどの携帯端末が用いられてもよい。

〔状況取得装置5〕 状況取得装置5は、スレーブアーム1の作業空間内における状況を示す状況情報を取得する手段である。状況情報は、作業空間内におけるスレーブアーム1の位置及び姿勢等、或いはスレーブアーム1を取り巻く周囲の状況を認識するために利用する情報を含む。より具体的には、状況情報は、例えば、作業空間内におけるスレーブアーム1の位置及び姿勢、スレーブアーム1とワークとの位置関係、又はスレーブアーム1と組付部品を組付ける被組付部品との位置関係等、作業空間内においてスレーブアーム1の状況及びスレーブアーム1の周囲の状況を認識可能とするために必要な情報が含まれる。

状況取得装置5は、例えば、センサ、カメラ装置51(図1、参照)、通信器、エンコーダ等によって実現できる。センサとしては、例えば、ワーク(組付部品)又は被組付部品までの距離又は位置を計測するためのレーザーセンサ、又はレーダーセンサなどが例示できる。更には、複数の撮像装置から得られた画像データを用いてスレーブアーム1からその周囲の物体までの距離を計測するセンサであるステレオカメラなども例示できる。通信器としては、例えば、組付部品又は被組付部品、或いは作業空間内の所定位置に設置されたセンサ及び撮像装置からの情報を取得する通信器等が挙げられる。エンコーダとしては、例えば、スレーブアーム1の移動量又は位置を検知できるエンコーダが例示できる。

状況取得装置5は状況情報を逐次取得しており、取得された状況情報は、後述する制御ユニット6に入力され、制御ユニット6においてスレーブアーム1の動作制御に利用される。更には、制御ユニット6は、状況情報を出力装置4において出力させるように制御する構成としてもよい。状況取得装置5は、スレーブアーム1に取り付けられていてもよいし、作業空間内の適切な位置に取り付けられていてもよい。また、取り付けられる状況取得装置5の数は1つであってもよいし複数であってもよい。適切に状況情報を取得できる位置に適切な個数の状況取得装置5が取り付けられていればよく、取り付け位置及び取り付け個数は任意である。

〔出力装置4〕 出力装置4は、制御ユニット6から送信された情報を出力するものである。出力装置4は、マスタ装置20を操作しているオペレータから視認しやすい位置に設置される。出力装置4には、少なくともディスプレイ装置41が含まれており、更に、プリンタやスピーカや警報灯などが含まれていてもよい。ディスプレイ装置41では、制御ユニット6から送信された情報が表示出力される。例えば、スピーカでは、制御ユニット6から送信された情報が音として出力される。また、例えば、プリンタでは、制御ユニット6から送信された情報が紙などの記録媒体に印字出力される。

〔記憶装置8〕 記憶装置8には、スレーブアーム1の制御に用いられる各種タスクプログラムが記憶されている。タスクプログラムは、作業ごとの動作フローとして作成されていてよい。タスクプログラムは、例えば、ティーチングにより作成され、スレーブアーム1の識別情報とタスクとに対応付けられて記憶装置8に格納される。なお、記憶装置8は制御ユニット6から独立して記載されているが、制御ユニット6が備える記憶装置が記憶装置8としての機能を担ってもよい。

また、記憶装置8には、予め作成された動作シーケンス情報が記憶されている。動作シーケンス情報とは、作業空間内でスレーブアーム1によって実施される一連の作業工程を規定した動作シーケンスに関する情報である。この動作シーケンス情報では、作業工程の動作順と、スレーブアーム1の制御モードとが対応付けられている。また、この動作シーケンス情報では、各作業工程に対しスレーブアーム1にその作業を自動的に実行させるためのタスクプログラムが対応づけられている。但し、動作シーケンス情報が、各作業工程に対しスレーブアーム1にその作業を自動的に作業を実行させるためのプログラムを含んでいてもよい。

〔制御ユニット6〕 図2に示すように、制御ユニット6には、スレーブアーム1と、マスタ装置20と、出力装置4と、状況取得装置5と、入力装置7と、記憶装置8と、動作抑制装置95とが有線又は無線で通信可能に接続されている。

制御ユニット6は、いわゆるコンピュータであって、CPU等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部を有している(いずれも図示せず)。記憶部には、制御ユニット6が実行する制御プログラムや、各種固定データ等が記憶されている。演算処理部は、例えば、入力装置7、出力装置4、記憶装置8などの外部装置とデータの送受信を行う。また、演算処理部は、各種センサからの検出信号の入力や各制御対象への制御信号の出力を行う。制御ユニット6では、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを演算処理部が読み出して実行することにより、システム100の各種動作を制御するための処理が行われる。なお、制御ユニット6は単一のコンピュータによる集中制御により各処理を実行してもよいし、複数のコンピュータの協働による分散制御により各処理を実行してもよい。また、制御ユニット6は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等から構成されていてもよい。

制御ユニット6は、機能ブロックとして、ホスト制御部60と、スレーブ制御部61と、受信部63と、出力制御部64と、修正部65とを備えている。図2では、これらの機能ブロックが1つの制御ユニット6にまとめて示されているが、各機能ブロック又は複数の機能ブロックの組み合わせが独立した1以上のコンピュータによって実現されていてもよい。この場合、これらの機能ブロックのうち一部が作業空間に配置され、残部が作業外空間に配置されていてもよい。

スレーブ制御部61は、スレーブアーム1の動作を制御する。スレーブ制御部61は、自動モードのときは、記憶装置8に記憶されたタスクプログラムを読み出してこのタスクプログラムに従って位置指令値を生成し、位置指令値やサーボゲイン等をスレーブアーム1のモータ制御部16へ与える。また、スレーブ制御部61は、手動モードのときは、マスタ装置20が受け付け、受信部63で受信した操作情報に基づいて位置指令値を生成し、位置指令値やサーボゲイン等をスレーブアーム1のモータ制御部16へ与える。また、スレーブ制御部61は、修正自動モードのときは、記憶装置8に記憶されたタスクプログラムを読み出してこのタスクプログラムと修正部65から取得した修正指令値とに基づいて位置指令値(又は修正された位置指令値)を生成し、位置指令値やサーボゲイン等をモータ制御部16へ与える(図3、参照)。なお、修正自動モードのときに、修正部65から修正指令値が与えられなければ、修正指令値はゼロとして演算される。

受信部63は、制御ユニット6の外部から送信された入力信号を受信する。受信部63によって受信する入力信号として、例えば、マスタ装置20である操作盤2から送信された信号、入力装置7から送信された信号、状況取得装置5から送信された状況情報等が挙げられる。

出力制御部64は、出力装置4を制御し、オペレータに通知される情報を出力装置4へ出力する。例えば、出力装置4は、動作シーケンスのうち選択部分を開始するときに、対象となるスレーブアーム1を識別する情報と、スレーブアーム1の制御モードの選択の入力を促す情報とをディスプレイ装置41に出力する。また、例えば、出力装置4は、スレーブアーム1の制御モードが手動モード及び修正自動モードのときに、マスタ装置20に操作されるスレーブアーム1の状況情報や動作状況をディスプレイ装置41に出力する。また、例えば、出力装置4は、システム100に不具合が発生したときにスピーカやディスプレイ装置41に警報を出力する。

修正部65は、スレーブアーム1の制御モードが修正自動モードであるときに、マスタ装置20が受け付けた操作に基づいて、スレーブアーム1の動きを修正する。例えば、オペレータがジョイスティック27を動かすことによりジョイスティック27の位置及び姿勢が変化すると、マスタ装置20はこの位置及び姿勢の変位を修正指示として受け付け、制御ユニット6へ入力する。スレーブアーム1の制御モードが修正自動モードであるときに、受信部63が修正指示信号を受信すると、修正部65が修正指示信号に基づいて修正指令値を生成する。修正指示信号から修正指令値を求める演算式又はマップは予め記憶されている。このような修正指令値は、例えば、ジョイスティック27の位置及び姿勢の変化量に比例した値であってよい。生成された修正指令値はスレーブ制御部61へ伝達され、スレーブ制御部61から修正された位置指令値がモータ制御部16へ出力される(図3、参照)。

ホスト制御部60は、記憶装置8に記憶された動作シーケンス情報を読み出し、この動作シーケンス情報に沿ってスレーブアーム1、マスタ装置20、出力装置4、及び状況取得装置5が動作するように、スレーブ制御部61、マスタ制御部62、出力制御部64、修正部65に指令を出力する。

〔遠隔操作ロボットシステム100の動作〕 続いて、上記構成の遠隔操作ロボットシステム100の動作の一例を説明する。ここでは、遠隔操作ロボットシステム100を自動車組立ラインに構築し、スレーブアーム1に自動車のボディにシートを取り付ける作業を行わせる事例に当てはめて、システム100の動作の流れを説明する。但し、本発明に係る遠隔操作ロボットシステム100は、このような自動車組立ラインに限定されず、各種製造設備において広く適用させることができる。

記憶装置8に記憶された自動車のボディへのシート取付作業の動作シーケンス情報は、コンテナからシートを取り出す部品取出タスクT1、シートをボディの取付位置近傍まで搬送する部品搬送タスクT2、及び、取付位置近傍にあるシートを取付位置へ取り付ける部品取付タスクT3からなり、これらのタスクT1〜T3をこの順に繰り返し実行する。この動作シーケンスのうち、部品取出タスクT1及び部品搬送タスクT2は、スレーブアーム1が自動モードで動作する「自動部分」である。動作シーケンスのうち自動部分には、制御モードとして自動モードが対応付けられている。また、動作シーケンスのうち、部品取付タスクT3は、スレーブアーム1が自動モード、手動モード、及び、修正自動モードから選択された制御モードで動作する「選択部分」である。動作シーケンスのうち選択部分には特定の制御モードは対応付けられておらず、制御モードが選択可能となっている。

初めに、制御ユニット6は、記憶装置8に記憶された所定の動作シーケンス情報を読み出し、この動作シーケンス情報に沿ってシステム100の制御を開始する。

先ず、制御ユニット6は、記憶装置8から部品取出タスクT1のタスクプログラムを読み出して実行する。次いで、制御ユニット6は、部品搬送タスクT2のタスクプログラムを読み出して実行する。部品取出タスクT1及び部品搬送タスクT2では、制御ユニット6は自動モードでスレーブアーム1の動作を制御する。

部品搬送タスクT2が終了すると、制御ユニット6は、次の部品取付タスクT3の制御モードの選択をオペレータに促すための選択画面をディスプレイ装置41に表示させる。併せて、制御ユニット6は、制御モードが選択されようとしているスレーブアーム1の状況情報をディスプレイ装置41に出力させる。ここで、ディスプレイ装置41に表示出力される状況情報に、映されているスレーブアーム1の識別情報や、次に行うプロセスの内容などが含まれていてもよい。

オペレータは、ディスプレイ装置41に表示されたスレーブアーム1の状況情報を視認して、3つの制御モードのうち1つを選択する。オペレータによる制御モードの選択は、マスタ装置20又は入力装置7によって受け付けられ、制御ユニット6へ入力される。

上記において、自動モードが選択されると、制御ユニット6は、記憶装置8から部品取付タスクT3のタスクプログラムを読み出して、自動モードでスレーブアーム1の動作を制御する。また、手動モードが選択されると、制御ユニット6は手動モードでスレーブアーム1の動作を制御する。或いは、修正自動モードが選択されると、制御ユニット6は修正自動モードでスレーブアーム1の動作を制御する。

また、上記において、手動モード及び修正自動モードのうちいずれかが選択されると、制御ユニット6は、そのプロセスに亘ってスレーブアーム1の状況情報をディスプレイ装置41に表示出力させる。以上説明したように、制御ユニット6は動作シーケンスに沿って作業工程を順次進行させる。

〔侵入者検出装置93〕 侵入者検出装置93は、スレーブアーム1の動作領域に侵入した、オペレータを含む侵入者を検出する装置である。本実施形態において、侵入者検出装置93は、ライトカーテン93Aにより構成されている。但し、侵入者検出装置93は、ライトカーテン93Aに限定されず、例えば、スレーブアーム1の動作領域を撮像する複数のカメラ装置51と、カメラ装置51で撮像された画像を解析して侵入者を検出する画像解析装置(図示略)とから構成されていてもよい。

図1に示すように、スレーブアーム1の動作領域は安全柵90によって囲まれている。安全柵90は、スレーブアーム1の動作領域の周囲四方のうち三方を囲むフェンス91と、スレーブアーム1の動作領域の周囲四方のうち残りの一方を囲むライトカーテン93Aとから成る。但し、安全柵90は、スレーブアーム1の動作領域の周囲四方がライトカーテンによって形成されたものであってもよい。侵入者は、ライトカーテン93Aを横切ってスレーブアーム1の動作領域へ侵入することができる。

ライトカーテン93Aは、発光部931と、受光部932とを含む。発光部931から発された光は受光部932で受光される。受光部932は、光を受光しないこと、即ち、光がライトカーテン93Aを通過する物体によって遮られたことによって、物体の通過を検出する。ライトカーテン93Aは、動作抑制装置95と通信可能に有線又は無線で接続されている。ライトカーテン93Aは、物体の通過が検出されると、侵入者検出信号を動作抑制装置95へ出力する。

なお、本実施形態においては、安全柵90によって囲まれた範囲をスレーブアーム1の動作領域と規定しているが、スレーブアーム1の動作領域はそれよりも小さい領域であってもよい。例えば、スレーブアーム1の可動領域又は作業領域にエンドエフェクタ12及びワークが到達できる領域を加えた領域が、スレーブアーム1の動作領域として規定されてもよい。又は、スレーブアーム1の制限領域或いは運転領域が、スレーブアーム1の動作領域として規定されてもよい。上記のように、スレーブアーム1の動作領域が安全柵90で囲まれた範囲よりも小さく規定される場合には、侵入者検出装置93として、動作領域の周囲を囲むライトカーテンや、動作領域を監視するカメラや、動作領域に敷き詰められた圧電センサなどが利用されてもよい。

〔侵入者識別情報取得装置94〕 侵入者識別情報取得装置94は、スレーブアーム1の動作領域への侵入者がマスタ装置20を携帯したオペレータであるか否かを識別する侵入者識別情報を取得するものである。本実施形態に係る侵入者識別情報取得装置94は、RFIDを利用している。RFIDは、RFタグ941と、RFタグ941が保持する情報を読み出すリーダ942とから構成されている。

RFタグ941は、マスタ装置20(操作盤2)に設けられている。RFタグ941には、固有のID情報が記憶されている。なお、RFタグ941に代えて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きすることのできる他の情報媒体が用いられてもよい。

リーダ92は、ライトカーテン93Aの近傍に設けられている。このリーダ942は、電波(電磁波)を用いて、ライトカーテン93Aを横切るマスタ装置20に設けられたRFタグ941が保持するデータを非接触で読み出すことができる。リーダ942は、動作抑制装置95と通信可能に有線又は無線で接続されている。リーダ942は、RFタグ941から読み出したID情報(侵入者識別情報)を動作抑制装置95へ出力する。

〔動作抑制装置95〕 動作抑制装置95は、侵入者検出装置93及び侵入者識別情報取得装置94から取得した情報に基づいて、条件に応じてスレーブアーム1の動作を抑制するものである動作抑制装置95は、いわゆるコンピュータであって、CPU等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部を有している(いずれも図示せず)。或いは、動作抑制装置95は、CPU等の演算処理部と、非常停止回路とから構成されている。動作抑制装置95は、制御ユニット6、接続器33、侵入者検出装置93、及び侵入者識別情報取得装置94と、有線又は無線で通信可能に接続されている。

動作抑制装置95は、侵入者検出装置93からの侵入者検出信号を受けて、スレーブアーム1の動作領域(本実施形態では、安全柵90内)に侵入者があったことを検知する。動作抑制装置95は、侵入者があったことを検知すると、侵入者識別情報取得装置94を動作させ、侵入者識別情報取得装置94から侵入者識別情報を取得する。動作抑制装置95は、取得した侵入者識別情報に基づいて、侵入者がオペレータであるか否かを判断する。

ここで、動作抑制装置95は、リーダ942がRFタグ941からID情報(侵入者識別情報)の読み出しに成功し、そのID情報が予め記憶されたスレーブアーム1(又は、スレーブアーム1を操作可能なマスタ装置20)のID情報と一致する場合、侵入者がマスタ装置20を携帯したオペレータであると判断する。また、動作抑制装置95は、リーダ942がRFタグ941からID情報の読み出しに成功し、ID情報が予め記憶されたスレーブアーム1(又は、スレーブアーム1を操作可能なマスタ装置20)のID情報と一致しない場合、侵入者がオペレータ以外であると判断する。また、動作抑制装置95は、リーダ942が所定時間にわたりID情報の読み出しに成功しない場合、侵入者がオペレータ以外であると判断する。

続いて、動作抑制装置95は、条件に応じて次の処理を行う。次表1には、動作抑制装置95の採る次の処理が、条件ごとに示されている。表1では、列のヘッダはスレーブアーム1の動作領域への侵入者(オペレータ、オペレータ以外)を、行のヘッダはスレーブアーム1の制御モード(自動モード、手動モード、修正自動モード)をそれぞれ表している。

表1に示すように、スレーブアーム1が自動モードのときは、侵入者がオペレータであってもオペレータ以外であっても、スレーブアーム1の動作を抑制する。ここで、動作抑制装置95は、接続器33に非常停止信号を出力し、接続器33を供給遮断状態とさせる。その結果、電源32からモータ制御部16への電力供給が停止し、スレーブアーム1を非常停止させることができる。なお、上述の通り、本実施形態に係る動作抑制装置95では、スレーブアーム1の動作抑制を非常停止で実現しているが、動作抑制の態様はこれに限定されない。スレーブアーム1の動作抑制は、動作の減速、動作の停止(つまり、動作の速度がゼロ)、及び、非常停止のうち予め動作抑制装置95に設定されたいずれかで実現されてよい。或いは、動作抑制装置95が、スレーブアーム1の制御モードや状況取得装置5から取得した状況情報などの複数の情報に基づいて、動作抑制の態様を上記複数の態様の中から自動的に選択するようにしてもよい。スレーブアーム1の動作を減速させたり、動作を停止させたりする場合には、動作抑制装置95は制御ユニット6へスレーブアーム1の動作を停止又は減速させるように指令を出力する。

また、スレーブアーム1が手動モード又は修正自動モードのときは、侵入者がオペレータであればスレーブアーム1の動作を継続させ、侵入者がオペレータ以外であればスレーブアーム1の動作を抑制する。ここで、動作抑制装置95は、スレーブアーム1の動作を抑制するときは、上記と同様に、スレーブアーム1を非常停止させる処理を行う。また、動作抑制装置95は、スレーブアーム1の動作を継続させる際には、処理を行わず、スレーブアーム1の動作領域への侵入者の監視を継続する。なお、動作抑制装置95は、スレーブアーム1の動作を継続させる際に、スレーブアーム1の手先部の最大移動速度が安全速度以下(例えば、250mm/s以下)に制限させるように指令を制御ユニット6へ与えてもよい。

以上説明した通り、本実施形態に係る産業用遠隔操作ロボットシステム100は、オペレータの操作を受け付けるマスタ装置20と、予め記憶されたタスクプログラムに基づいて動作する自動モードとマスタ装置20が受け付けたオペレータの操作に基づいて動作する手動モードとを含む複数の制御モードを有するスレーブアーム1と、複数の制御モードのなかから選択された一つでスレーブアーム1を動作させる制御ユニット6(制御装置)と、スレーブアーム1の動作領域への侵入者を検出する侵入者検出装置93と、侵入者がマスタ装置20を携帯したオペレータであるか否かを識別する侵入者識別情報を取得する侵入者識別情報取得装置94と、侵入者検出装置93及び侵入者識別情報取得装置94から取得した情報に基づいて、スレーブアーム1の動作を抑制する動作抑制装置95とを備えている。

そして、動作抑制装置95は、スレーブアーム1が自動モードのときに侵入者が検出されるとスレーブアーム1の動作を抑制し、スレーブアーム1が手動モードのときに侵入者が検出されると侵入者がオペレータであればスレーブアーム1の動作を継続させ、侵入者がオペレータ以外であればスレーブアーム1の動作を抑制する。

更に、上記のシステム100では、複数の制御モードが、マスタ装置20が受け付けたオペレータの操作によって逐次修正されながらタスクプログラムに基づいて動作する修正自動モードを更に含んでいる。そして、動作抑制装置95は、スレーブアーム1が修正自動モードのときに侵入者が検出されると侵入者がオペレータであればスレーブアーム1の動作を継続させ、侵入者がオペレータ以外であればスレーブアーム1の動作を抑制する。

上記遠隔操作ロボットシステム100によれば、マスタ装置20を携帯したオペレータがスレーブアーム1の動作領域に侵入しても、スレーブアーム1は動作を継続する。よって、オペレータはスレーブアーム1の動作領域内でマスタ装置20を操作することができる。通常、マスタ装置20を携帯したオペレータは、スレーブアーム1の動きを監視しながらマスタ装置20を操作しているので、スレーブアーム1の動きを予測することができ、また、マスタ装置20を操作してスレーブアーム1と自身との衝突を回避することが可能である。よって、マスタ装置20を携帯したオペレータの安全性は確保される。

更に、上記遠隔操作ロボットシステム100では、スレーブアーム1が自動モードで動作しているときは、スレーブアーム1の動作領域への侵入者が誰であっても、スレーブアーム1は動作を抑制する。従って、スレーブアーム1とその動作領域への侵入者との衝突を防止することができる。

加えて、上記遠隔操作ロボットシステム100では、オペレータは、作業内容やスレーブアーム1の状況に応じて自動モードと手動モードと修正自動モードとから、スレーブアーム1の制御モードを選択することができる。制御モードの選択はオペレータの判断で行うことが可能である。例えば、脆弱な部品を把持、精密な嵌め合い、正確な位置決めや軸合わせなどの作業は、スレーブアーム1の動きにオペレータの操作を反映させることのできる手動モード又は修正自動モードで行われることが好適である。このような作業において、例えば、スレーブアーム1を完全に自動で動作させると不具合の発生が予想されるような場合には、修正自動モードが選択されるとよい。修正自動モードでは、スレーブアーム1の自動的な動作を基調としつつ、オペレータの操作でその動作を修正することができるので、手動モードと比較してオペレータの負荷は小さく、且つ、作業効率の低下を抑えることができる。このように、本システム100によれば、オペレータが作業ごとに複数の制御モードのなかから状況に応じた適切な制御モードを選択することによって、止まらないロボットシステムを実現することができる。

また、上記の産業用遠隔操作ロボットシステム100では、侵入者識別情報取得装置94は、マスタ装置20に設けられたRFタグ941と、RFタグ941の情報を読み出して動作抑制装置95へ出力するリーダ942とを含んでいる。

これにより、マスタ装置20を携帯したオペレータが何ら特別な操作をすることなく、動作抑制装置95へ侵入者識別情報が送られ、動作抑制装置95では自動的に侵入者を識別する処理が行われる。

以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。

例えば、上記実施形態において、侵入者識別情報取得装置94としてRFIDを利用しているが、侵入者識別情報取得装置94はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、侵入者識別情報取得装置94は、マスタ装置20である操作盤2に設けられた識別ボタン97と、この識別ボタンが押されると操作盤2から動作抑制装置95へマスタ装置20のID情報(侵入者識別情報)を送信出力する識別情報出力装置98とから構成されていてもよい。ここで、動作抑制装置95は、識別情報出力装置98から侵入者識別情報を受信して、予め記憶されたスレーブアーム1(又は、スレーブアーム1を操作可能なマスタ装置20)のID情報と比較し、侵入者がオペレータかオペレータ以外かを判断する。

上記変形例では、侵入者識別情報取得装置94は、マスタ装置20に設けられた識別ボタン97と、識別ボタン97が操作されたときにマスタ装置20の識別情報を動作抑制装置95へ出力する識別情報出力装置98とを含んでいる。

このように侵入者識別情報取得装置94を単純な構成とすることができ、また、オペレータが意識的に侵入者識別情報を動作抑制装置95へ与えることができる。

以上の説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。

1 :スレーブアーム 2 :操作盤 4 :出力装置 5 :状況取得装置 6 :制御ユニット 7 :入力装置 8 :記憶装置 11a〜11f :リンク 15 :基台 16 :モータ制御部 20 :マスタ装置 27 :ジョイスティック 28 :非常停止ボタン 29 :制御モード切替スイッチ 41 :ディスプレイ装置 60 :ホスト制御部 61 :スレーブ制御部 63 :受信部 64 :出力制御部 65 :修正部 90 :安全柵 93 :侵入者検出装置 93A :ライトカーテン 94 :侵入者識別情報取得装置 941 :RFタグ 942 :リーダ 95 :動作抑制装置 97 :識別ボタン 98 :識別情報出力装置 100 :遠隔操作ロボットシステム

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