遠隔操作ロボットシステム

申请号 JP2017100374 申请日 2017-05-19 公开(公告)号 JP2018192596A 公开(公告)日 2018-12-06
申请人 川崎重工業株式会社; 发明人 下村 信恭; 掃部 雅幸; 藤森 潤; 木下 博貴; 志鷹 拓哉; ▲高▼橋 大樹;
摘要 【課題】マスタアームを介して受けるオペレータの操作感を改善した遠隔操作ロボットシステムを提供する。 【解決手段】遠隔操作ロボットシステムは、所定の作業を行うスレーブアームと、関節を駆動するモータを有し、スレーブアームを動作させるための操作をオペレータから受け付けるマスタアームと、マスタアームに、スレーブアームが外部から受けた 力 とは独立した仮想の外力を所定方向に加える指令を生成する指令生成部と、指令生成部から送られた指令に対応した駆動電流をモータに与えるモータ制御部と、を備える。 【選択図】図2
权利要求

所定の作業を行うスレーブアームと、 関節を駆動するモータを有し、前記スレーブアームを動作させるための操作をオペレータから受け付けるマスタアームと、 前記マスタアームに、前記スレーブアームが外部から受けたとは独立した仮想の外力を所定方向に加える指令を生成する指令生成部と、 前記指令生成部から送られた指令に対応した駆動電流を前記モータに与えるモータ制御部と、を備える、遠隔操作ロボットシステム。前記仮想の外力の大きさ及び方向を規定するための設定値の入力を受け付ける設定値入力部と、 前記設定値入力部から入力された前記設定値を記憶する設定値記憶部と、を更に備え、 前記指令生成部は、前記設定値記憶部に記憶された前記設定値に基づき前記指令を生成する、請求項1に記載の遠隔操作ロボットシステム。前記スレーブアームの先端に設けられた、ワークを保持する保持ハンドと、 前記保持ハンドに保持されたワークの重力を補償する重力補償部と、を更に備え、 前記指令生成部は、前記保持ハンドにワークが保持されている場合に、前記マスタアームに、前記保持ハンドに保持されたワークの重力とは独立した仮想の外力を重力方向に加える指令を生成する、請求項1又は2に記載の遠隔操作ロボットシステム。前記マスタアームの先端に設けられた、前記オペレータが把持可能な把持部と、 前記把持部が把持されているか否かを検知する把持センサと、を更に備え、 前記指令生成部は、 前記把持センサが把持されていると検知した場合、前記仮想の外力を前記マスタアームに加える指令を生成し、 前記把持センサが把持されていないと検知した場合、前記仮想の外力を前記マスタアームに加えない指令を生成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔操作ロボットシステム。

说明书全文

本発明は、マスタアーム及びスレーブアームを備えた遠隔操作ロボットシステムに関する。

従来、オペレータにより操作されるマスタアームと、マスタアームに対する操作に応じて動作するスレーブアームとを備えた遠隔操作ロボットシステムが知られている。オペレータは、マスタアームを操作することにより、スレーブアームに機器の組立やメンテナンスなどの作業を行わせる。このような遠隔操作ロボットシステムには、例えばスレーブアームが保持した物体の重や、スレーブアーム又はそれが保持した物体が他の物体に接触することにより受ける反力(接触力)などを、マスタアームを介してオペレータに感知させるものがある。特許文献1には、この種の技術が開示されている。

この種の遠隔操作ロボットシステムでは、例えばスレーブアームが保持した物体の重量が大きい場合、オペレータはその重量を感知しながらマスタアームを操作することになるため、オペレータに負担となり得る。特許文献1に開示されたシステムでは、マスタアームを操作するオペレータにスレーブアームに作用する反力のみ感知させるか、反力と物体の重力とを合わせて感知させるかをスイッチで切り替えることができるように構成されている。具体的には、特許文献1に開示されたシステムでは、設定時点でスレーブアームが保持した物体の重量を演算する。そして、スレーブアームに作用する反力のみオペレータに感知させる場合には、設定時点以外の期間において、スレーブアームが受ける力から物体の重力に対応する力を減算して得られる駆動信号に基づき、マスタアームを駆動している。

特公平8−29508号公報

しかし、特許文献1に開示されたシステムのように、スレーブアームが保持した物体の重力等の所定の外力を完全にキャンセルしてしまうと、オペレータが想定した感覚と、マスタアームを介して受ける感覚との間にずれが生じ得る。このような操作感覚のずれは、作業性に悪影響を与える可能性がある。

そこで、本発明は、マスタアームを介して受けるオペレータの操作感を改善した遠隔操作ロボットシステムを提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明に係る遠隔操作ロボットシステムは、所定の作業を行うスレーブアームと、関節を駆動するモータを有し、前記スレーブアームを動作させるための操作をオペレータから受け付けるマスタアームと、前記マスタアームに、前記スレーブアームが外部から受けた力とは独立した仮想の外力を所定方向に加える指令を生成する指令生成部と、前記指令生成部から送られた指令に対応した駆動電流を前記モータに与えるモータ制御部と、を備える。

上記の構成によれば、マスタアームを介してオペレータには、スレーブアームが外部から受けた力とは独立した、所定方向に作用する仮想の外力が提示される。このため、例えばマスタアームに、オペレータが力を受けると想定した方向に、負担にならない程度の外力を作用させれば、オペレータが想定した感覚と、マスタアームを介して受ける感覚との間のずれを低減することができる。これにより、マスタアームを介して受けるオペレータの操作感を改善することができる。

上記の遠隔操作ロボットシステムは、前記仮想の外力の大きさ及び方向を規定するための設定値の入力を受け付ける設定値入力部と、前記設定値入力部から入力された前記設定値を記憶する設定値記憶部と、を更に備え、前記指令生成部は、前記設定値記憶部に記憶された前記設定値に基づき前記指令を生成してもよい。この構成によれば、設定値入力部から仮想の外力の大きさや方向を設定することができるため、マスタアームに加えられる仮想の外力をオペレータにとって操作しやすい大きさ及び方向に適宜調整することができる。

例えば、上記の遠隔操作ロボットシステムは、前記スレーブアームの先端に設けられた、ワークを保持する保持ハンドと、前記保持ハンドに保持されたワークの重力を補償する重力補償部と、を更に備え、前記指令生成部は、前記保持ハンドにワークが保持されている場合に、前記マスタアームに、前記保持ハンドに保持されたワークの重力とは独立した仮想の外力を重力方向に加える指令を生成してもよい。この構成によれば、重力補償部により、スレーブアームが保持ハンドにより保持した物体の重力はマスタアームには反映させず、マスタアームに、重力方向に作用する負担にならない程度の仮想の外力を作用させることができる。これにより、マスタアームの操作負担を軽減でき、且つ、オペレータに物体を保持した感覚を提示できる。

上記の遠隔操作ロボットシステムは、前記マスタアームの先端に設けられた、前記オペレータが把持可能な把持部と、前記把持部が把持されているか否かを検知する把持センサと、を更に備え、前記指令生成部は、前記把持センサが把持されていると検知した場合、前記仮想の外力を前記マスタアームに加える指令を生成し、前記把持センサが把持されていないと検知した場合、前記仮想の外力を前記マスタアームに加えない指令を生成してもよい。この構成によれば、オペレータが把持部を把持している間だけ、前記マスタアームの先端に所定方向に仮想の外力が作用し、オペレータが把持部を離した場合には、仮想の外力は作用しなくなる。このため、オペレータが把持部を離したときに、仮想の外力によりマスタアームが動作することが防がれる。

本発明の遠隔操作ロボットシステムによれば、マスタアームを介して受けるオペレータの操作感を改善することができる。

本発明の一実施形態に係る遠隔操作ロボットシステムの概略構成図である。

図1に示す指令生成部による指令生成の概要を示す制御ブロック図である。

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

〔遠隔操作ロボットシステム100〕 図1は遠隔操作ロボットシステム100の概略構成図である。図1に示すように、遠隔操作ロボットシステム100は、マスタ・スレーブ方式のロボットシステムであって、スレーブアーム1と、マスタアーム2とを備えている。また、遠隔操作ロボットシステム100は、入力装置4と、出力装置5と、状況取得装置6と、記憶装置7と、システム100を包括的に制御する制御ユニット8とを備えている。

遠隔操作ロボットシステム100では、オペレータがマスタアーム2を操作することにより、マスタアーム2から離れた場所にあるスレーブアーム1がマスタアーム2の動きに追従し所定の作業を行う。本実施形態では、遠隔操作ロボットシステム100として、自動車組立ラインに構築され、自動車のボディにシートを取り付ける作業を行うシステムが例示される。

具体的には、図1に示すように、シート(以下、組付物)W1は、スレーブアーム1により保持され動かされる対象(ワーク)であり、組付物W1の底部に、穴hが設けられている。また、図1にその一部が示される自動車のボディ(以下、被組付物)W2は、支持台(図示略)に支持されており、被組付物W2の所定の箇所には上方に突き出たピンpが設けられている。オペレータは、マスタアーム2を操作することにより、スレーブアーム1を動作させ、破線で示すように、組付物W1の穴hに被組付物W2のピンpが挿通するように組付物W1を下方に移動させ、被組付物W2の上に組み付ける。

また、本実施形態の遠隔操作ロボットシステム100は、オペレータがマスタアーム2を介してスレーブアーム1を動作させる制御モード(以下、手動モード)と、予め設定されたタスクプログラムに従ってスレーブアーム1を動作させる制御モード(以下、自動モード)とが切り替えられるように構成されている。

以下、遠隔操作ロボットシステム100の各構成要素について詳細に説明する。

〔スレーブアーム1〕 スレーブアーム1は、複数のリンク11a〜11fの連接体と、これを支持する基台15とから構成された、複数の関節JT1〜JT6を有する多関節ロボットアームである。より詳しくは、第1関節JT1では、基台15と、第1リンク11aの基端部とが、鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第2関節JT2では、第1リンク11aの先端部と、第2リンク11bの基端部とが、平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第3関節JT3では、第2リンク11bの先端部と、第3リンク11cの基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第4関節JT4では、第3リンク11cの先端部と、第4リンク11dの基端部とが、第4リンク11dの長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第5関節JT5では、第4リンク11dの先端部と、第5リンク11eの基端部とが、第4リンク11dの長手方向と直交する軸回りに回転可能に連結されている。第6関節JT6では、第5リンク11eの先端部と第6リンク11fの基端部とが、捻れ回転可能に連結されている。

そして、第6リンク11fの先端部には、作業内容に対応したエンドエフェクタが着脱可能に装着される。本実施形態では、エンドエフェクタは、組付物W1を保持する保持ハンド12である。

スレーブアーム1の各関節JT1〜JT6には、それが連結する2つの部材を相対的に回転させるアクチュエータの一例としての駆動モータ(図示略)が設けられている。これら駆動モータは、例えば、モータ制御部16によってサーボ制御されるサーボモータである。本実施形態に係るモータ制御部16は、1台で複数の駆動モータをサーボ制御できるものであるが、各駆動モータに対応するモータ制御部が設けられていてもよい。また、各駆動モータには、その回転位置を検出するための位置センサ(図示略)と、その回転を制御する電流を検出するための電流センサ(図示略)とが設けられている。位置センサは、例えば、エンコーダである。駆動モータ、位置センサ、及び電流センサは、モータ制御部16と電気的に接続されている。

モータ制御部16は、制御ユニット8(より詳細には、後述する指令生成部83)より取得した指令値に基づいてトルク指令値(電流指令値)を生成し、トルク指令値に対応した駆動電流を、各関節JT1〜JT6の駆動モータへ供給する。駆動モータの出力回転は位置センサによって検出され、モータ制御部16へフィードバックされる。但し、モータ制御部16と制御ユニット8の機能が、単一の回路または単一の演算装置として実現されてもよい。

また、スレーブアーム1は、外部から受ける力を検出する力センサ17を有する。本実施形態において、力センサ17は、スレーブアーム1が他の物体(例えば被組付物W2)に接触することによってスレーブアーム1に加えられる力(以下、「接触力」と称する。)fsの大きさ及び方向を取得するためのものである。本実施形態では、接触力fsは、保持ハンド12又はそれに保持された組付物W1が被組付物W2に接触する場合にスレーブアーム1に加えられる反力である。力センサ17は、互いに直交する3つの軸方向に作用する分力の検出が可能な3軸力覚センサで構成される。

本実施形態では、力センサ17は、第6リンク11fの先端部と保持ハンド12とを接続するように設けられている。このため、力センサ17により検出された力情報には、保持ハンド12の重力やそれに保持された組付物W1の重力も含まれる。力センサ17により検出された力情報は、制御ユニット8に送られる。制御ユニット8では、後述する重力補償部82によって、力センサ17が検出した外力から上述した重力分が除かれて接触力fsが取得される。即ち、本実施形態では、力センサ17と後述の重力補償部82とにより、接触力fsを取得する接触力取得部18(図2参照)が構成される。

但し、接触力取得部18は、力センサ17と重力補償部82とにより取得するものに限定されず、例えばスレーブアーム1の駆動モータの駆動電流を利用して接触力fsを取得してもよい。

〔マスタアーム2〕 マスタアーム2は、オペレータの操作を受け付ける手段である。本実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100では、スレーブアーム1の手先部がマスタアーム2の手先部の動きに追従して動くように、スレーブアーム1が動作する。つまり、マスタアーム2は、スレーブアーム1の位置や姿勢を直感的に操作できるように構成されている。また、本実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100では、マスタアーム2の手先部をスレーブアーム1の手先部に追従させるとともに、スレーブアーム1が外部から受けた力をマスタアーム2を介してオペレータに提示するバイラテラル制御が採用されている。

本実施形態では、マスタアーム2は、スレーブアーム1と同じ数の複数の関節JTm1〜JTm6を有する多関節ロボットアームであって、基台25及び複数のリンク21a〜21fが順次連結されて構成されている。マスタアーム2のリンク21a〜21fの連接構成は、スレーブアーム1のリンク11a〜11fと実質的に同一であり、詳細な説明は省略する。

なお、本実施形態では、マスタアーム2は、スレーブアーム1と相似構造をしているが、マスタアーム2は、スレーブアーム1と非相似構造をしていてもよい。例えば、オペレータがマスタアーム2を介してスレーブアーム1に行わせる動作が上下方向への移動のみである場合、マスタアーム2はスレーブアーム1より少ない数(例えばJTm2,JTm3,JTm5のみ)の関節を有する多関節ロボットアームであってもよい。

マスタアーム2の各関節JTm1〜JTm6には、それが連結する2つの部材を相対的に回転させるアクチュエータの一例としての駆動モータ(図示略)が設けられている。これら駆動モータは、例えば、モータ制御部26によってサーボ制御されるサーボモータである。本実施形態に係るモータ制御部26は、1台で複数の駆動モータをサーボ制御できるものであるが、各駆動モータに対応するモータ制御部が設けられていてもよい。また、各駆動モータには、その回転位置を検出するための位置センサ(図示略)と、その回転を制御する電流を検出するための電流センサ(図示略)とが設けられている。位置センサは、例えば、エンコーダである。駆動モータ、位置センサ、及び電流センサは、モータ制御部26と電気的に接続されている。

モータ制御部26は、制御ユニット8(より詳細には、後述する指令生成部83)より取得した指令値に基づいてトルク指令値(電流指令値)を生成し、トルク指令値に対応した駆動電流を、各関節JTm1〜JTm6の駆動モータへ供給する。駆動モータの出力回転角は位置センサによって検出され、モータ制御部26へフィードバックされる。但し、モータ制御部26と制御ユニット8の機能が、単一の回路または単一の演算装置として実現されてもよい。

マスタアーム2の第6リンク21fの先端部には、力センサ28を介して、オペレータが把持可能なグリッパ(本発明の「把持部」)29が設けられている。本実施形態では、グリッパ29を把持したオペレータの操作によってマスタアーム2に加えられる力(以下、「操作力」と称する。)fmの大きさ及び方向が、力センサ28により検出される。即ち、本実施形態では、力センサ17が、操作力fmを取得する操作力取得部として機能する。力センサ28は、互いに直交する3つの軸方向に作用する分力の検出が可能な3軸力覚センサで構成される。力センサ28により検出された操作力fmは、制御ユニット8に送られる。

また、グリッパ29には、当該グリッパ29が把持されているか否かを検知する把持センサ30が設けられている。把持センサ30により生成された検知信号は、制御ユニット8に送られる。

〔入力装置4〕 入力装置4は、マスタアーム2と共に作業空間外に設置され、オペレータから受け付けた指示を制御ユニット8に入力する入力手段である。入力装置4では、スレーブアーム1の位置や姿勢に係る操作以外の操作が入力される。入力装置4には、スレーブアーム1の制御モードを選択するための操作入力具や、非常停止スイッチなど、スレーブアーム1の位置や姿勢を除く操作指令を入力する1以上の操作入力具が設けられている。1以上の操作入力具には、例えば、タッチパネル、キー、レバー、ボタン、スイッチ、ダイヤルなどの既知の操作入力具が含まれていてよい。また、入力装置4として、ペンダントやタブレットなどの携帯端末が用いられてもよい。

本実施形態において、入力装置4には、後述する仮想の外力の大きさ及び方向を規定するための設定値の入力を受け付ける設定値入力部41が含まれる。設定値入力部41は、例えば数値を入力可能なタッチパネル、キーなどである。設定値入力部41から入力される設定値について、詳細は後述する。

〔出力装置5〕 出力装置5は、制御ユニット8から送信された情報を出力するものである。出力装置5は、マスタアーム2を操作しているオペレータから視認しやすい位置に設置される。出力装置5には、少なくともディスプレイ装置が含まれており、更に、プリンタやスピーカや警報灯などが含まれていてもよい。ディスプレイ装置では、制御ユニット8から送信された情報が表示出力される。例えば、スピーカでは、制御ユニット8から送信された情報が音として出力される。また、例えば、プリンタでは、制御ユニット8から送信された情報が紙などの記録媒体に印字出力される。

〔状況取得装置6〕 状況取得装置6は、スレーブアーム1の作業空間内における状況を示す状況情報を取得する手段である。状況情報は、作業空間内におけるスレーブアーム1の位置及び姿勢等、或いはスレーブアーム1を取り巻く周囲の状況を認識するために利用する情報を含む。より具体的には、状況情報は、例えば、作業空間内におけるスレーブアーム1の位置及び姿勢、スレーブアーム1に保持された組付物W1と被組付物W2との位置関係等、作業空間内においてスレーブアーム1の状況及びスレーブアーム1の周囲の状況を認識可能とするために必要な情報を含む。状況取得装置6は、例えば、スレーブアーム1の作業状況を撮影する1つ以上のカメラ装置や、組付物W1の位置、被組付物W2の位置、組付物W1と被組付物W2の間の距離などを計測するセンサである。

〔記憶装置7〕 記憶装置7には、スレーブアーム1の制御に用いられる各種タスクプログラムが記憶されている。タスクプログラムは、作業ごとの動作フローとして作成されていてよい。タスクプログラムは、例えば、ティーチングにより作成され、スレーブアーム1の識別情報とタスクとに対応付けられて記憶装置7に格納される。なお、記憶装置7は制御ユニット8から独立して記載されているが、制御ユニット8が備える記憶装置が記憶装置7としての機能を担ってもよい。

また、記憶装置7には、予め作成された動作シーケンス情報が記憶されている。動作シーケンス情報とは、作業空間内でスレーブアーム1によって実施される一連の作業工程を規定した動作シーケンスに関する情報である。この動作シーケンス情報では、作業工程の動作順と、スレーブアーム1の制御モードとが対応付けられている。また、この動作シーケンス情報では、各作業工程に対しスレーブアーム1にその作業を自動的に実行させるためのタスクプログラムが対応づけられている。但し、動作シーケンス情報が、各作業工程に対しスレーブアーム1にその作業を自動的に実行させるためのプログラムを含んでいてもよい。

〔制御ユニット8〕 図1に示すように、制御ユニット8には、スレーブアーム1、マスタアーム2、入力装置4、出力装置5、状況取得装置6、及び記憶装置7が有線又は無線で通信可能に接続されている。

制御ユニット8は、いわゆるコンピュータであって、CPU等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部を有している(いずれも図示せず)。記憶部には、制御ユニット8が実行する制御プログラムや、各種固定データ等が記憶されている。演算処理部は、例えば、入力装置4、出力装置5、状況取得装置6及び記憶装置7などの外部装置とデータの送受信を行う。また、演算処理部は、各種センサからの検出信号の入力や各制御対象への制御信号の出力を行う。制御ユニット8では、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを演算処理部が読み出して実行することにより、システム100の各種動作を制御するための処理が行われる。なお、制御ユニット8は単一のコンピュータによる集中制御により各処理を実行してもよいし、複数のコンピュータの協働による分散制御により各処理を実行してもよい。また、制御ユニット8は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等から構成されていてもよい。

制御ユニット8は、機能ブロックとして、モード切替部81と、重力補償部82と、指令生成部83と、設定値記憶部84と、外力付与切替部85とを備えている。図1では、これらの機能ブロックが1つの制御ユニット8にまとめて示されているが、各機能ブロック又は複数の機能ブロックの組み合わせが独立した1以上のコンピュータによって実現されていてもよい。この場合、これらの機能ブロックのうち一部が作業空間に配置され、残部が作業外空間に配置されていてもよい。

モード切替部81は、スレーブアーム1を動作させる制御モードを、上述した手動モードと自動モードとの間で切り替える。モード切替部81によるスレーブアーム1の制御モードの切替は、記憶装置7に記憶された上述の動作シーケンス情報に基づき行われる。本実施形態では、重力補償部82による重力補償及び指令生成部83による指令の生成は、スレーブアーム1を動作させる制御モードが手動モードの場合に実行される。

重力補償部82は、スレーブアーム1が保持した組付物W1の重力がマスタアーム2を介してオペレータに提示されないように、組付物W1の重力を補償する。具体的には、力センサ17が検出した力には、例えばスレーブアーム1が保持した組付物W1の重力などが含まれる。バイラテラル制御では、スレーブアームが受ける外力がマスタアームを介してオペレータに提示されるため、例えばスレーブアームが保持した物体の重量が大きい場合、オペレータはその重量を感知しながらマスタアームを操作することになり、オペレータに負担となり得る。このため、本実施形態では、重力補償部82が、保持ハンド12に組付物W1が保持されている場合に、スレーブアーム1の力センサ17により検出した値から、保持ハンド12の重力分と当該保持ハンド12に保持された組付物W1の重力分を除く補正を行っている。このように補正されることで、接触力fsが取得され、後述の指令生成部83に送られる。

指令生成部83は、モータ制御部16,26に送る指令値を生成する。本実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100では、並列型バイラテラル制御が採用されている。即ち、本実施形態における指令生成部83は、接触力fsに関する情報と操作力fmに関する情報から、スレーブアーム1側のモータ制御部16に送る位置指令値Xd,sと、マスタアーム2側のモータ制御部26に送る位置指令値Xd,mを生成する位置指令生成部である。スレーブアーム1のスレーブ座標系とマスタアーム2のマスタ座標系とは対応づけられている。

図2は、指令生成部83による指令生成の概要を示す制御ブロック図である。本実施形態では、指令生成部83は、力速度換算部86、並びに速度位置換算部87a,87bの各機能部を有している。

力速度換算部86は、接触力fsと操作力fmに基づく力指令値から、スレーブアーム1の手先部の移動方向及び移動速度を規定する速度指令値vdを算出する。速度指令値vdは、速度ベクトルであって、所定の水平方向に延びるx軸方向の速度指令値vdx、x軸に直交し且つ水平方向に延びるy軸方向の速度指令値vdy、及び、重力方向に延びるz軸方向の速度指令値vdzとして算出される。

本実施形態では、力速度換算部86は、マスタアーム2に、重力方向(z方向)に仮想の外力、即ち仮想重力を加える速度指令値vdを生成する。ここで、「仮想の外力」とは、実際にスレーブアーム1に作用した外力、即ち力センサ28により検知した外力とは独立したものであることを意味する。

具体的には、力速度換算部86は、マスタアーム2に仮想の重力を加えるよう、操作力fm及び接触力fsに基づく力指令値から、以下の換算式(1)により速度指令値vdを算出する。

ここで、上記の式(1)の左辺において、「m×g」の項が、マスタアーム2の手先部に上述した仮想重力を加えるための項であり、「m」は予め設定した仮想質量である。

上記換算式(1)における「m×g」の項の意義について説明する。上述したように重力補償部82により保持ハンド12により保持した物体の重力が補償されるため、従来の並列型バイラテラル制御に従って接触力fsと操作力fmのみにより指令値を生成すると、オペレータには物体を保持した感覚は提示されない。そこで、本実施形態における力速度換算部86では、重力方向に負担にならない程度の力がマスタアーム2に作用するように、上記の換算式(1)のように「m×g」の項を追加して速度指令値vdを生成する。

力速度換算部86で得られた速度指令値vdは、スレーブアーム1側の速度位置換算部87aとマスタアーム2側の速度位置換算部87bに送られる。速度位置換算部87a,87bは、それぞれ、速度指令値vdを用いて、リアルタイムに随時、スレーブアーム1の位置指令値Xd,sとマスタアーム2の位置指令値Xd,mを生成する。速度位置換算部87aで生成された位置指令値Xd,sは、スレーブアーム1側のモータ制御部16に送られ、モータ制御部16は、位置指令値Xd,sに基づきスレーブアーム1の動作を制御する。速度位置換算部87bで生成された位置指令値Xd,mは、マスタアーム2側のモータ制御部26に送られ、モータ制御部26は、位置指令値Xd,mに基づきマスタアーム2の動作を制御する。こうして、仮想の重力をマスタアーム2に作用させる位置指令値Xd,mに基づき、マスタアーム2の動作が制御されるため、オペレータにはマスタアーム2を介して物体を保持した感覚が提示される。

設定値記憶部84は、設定値入力部41から入力された設定値を記憶する。設定値記憶部84に記憶された設定値は、指令生成部83における指令値の生成に用いられる。設定値記憶部84に記憶される設定値には、上記の式(1)の「m」の値(仮想質量m)が含まれる。設定値記憶部84に記憶された仮想質量mに応じて、マスタアーム2に作用する重力方向の力の大きさが変更される。例えば、仮想質量mは、マスタアーム2を操作するオペレータに負担にならない程度(例えば1.5kg)に設定値入力部41から設定される。また、設定値記憶部84に記憶される設定値には、上記の式(1)の「M」や「Cv」の値が含まれてもよい。

外力付与切替部85は、指令生成部83での指令値の生成方法を、オペレータがグリッパ29を把持している場合にのみ上述のマスタアーム2に仮想の外力を加える指令が生成されるように切り替える。具体的には、外力付与切替部85は、把持センサ30から制御ユニット8に送られる検知信号に応じて、力速度換算部86における操作力fm及び接触力fsに基づく力指令値を速度指令値vdに換算する換算式を切り替える。

即ち、グリッパ29が把持されていると把持センサ30が検知した場合、外力付与切替部85は、力速度換算部86で用いる換算式を、上記換算式(1)に設定する。このため、指令生成部83は、マスタアーム2の先端に仮想の重力を加える指令を生成する。

グリッパ29が把持されていないと把持センサ30が検知した場合、マスタアーム2に仮想の重力を加えないよう、外力付与切替部85は、力速度換算部86で用いる換算式を、以下の換算式(2)に設定する。

上記の換算式(2)は、上記の換算式(1)の左辺から、マスタアーム2に作用させる仮想重力の項「m×g」を除いたものである。こうして、接触力fs及び操作力fmに基づき、速度指令値vdが得られ、速度位置換算部87a,87bで位置指令値Xd,s,Xd,mが生成される。その結果、オペレータがグリッパ29を把持している間だけ、マスタアーム2の先端に仮想の重力が作用し、オペレータがグリッパ29を離した場合には、仮想の重力は作用しなくなる。このため、オペレータがグリッパ29を離したときに、設定値入力部41にて予め設定した仮想の重力によりスレーブアーム1及びマスタアーム2が動作することが防がれる。

また、グリッパ29が把持されていないと把持センサ30が検知した場合、外力付与切替部85は、上記換算式(2)の代わりに、以下の式(3)及び(4)に切り替えてもよい。

上記の式(3)は、上記の換算式(1)の右辺に、スレーブアーム1の手先部を所定の位置に移動させるための仮想外力fvを追加したものである。上記の式(4)の右辺において、「Xv」は、予め設定したスレーブアーム1の手先部の目標位置であり、「Xd,s」は、スレーブアーム1の手先部の現在位置である。オペレータがグリッパ29を離すことにより、上記の式(3)及び(4)に切り替えられた場合、予め設定したスレーブアーム1の手先部は、目標位置Xvに向かって移動する。その後、スレーブアーム1が外部から外力を受けない限り(fs=0)、スレーブアーム1の手先部は目標位置Xvで停止する。ここで、目標位置Xvは、スレーブアーム1の手先部がその位置に移動しても他の物体と接触しない安全な位置に設定される。このように、オペレータがグリッパ29を離した後にスレーブアーム1の手先部が所定の位置に移動するため、仮想重力によって保持ハンド12が保持した組付物W1が下方へと移動して床等に衝突することが防がれる。

上記の式(4)の「k」の値や「Xv」(即ち、スレーブ座標系における位置座標)の値は、設定値記憶部84に記憶される設定値に含まれてもよい。

〔遠隔操作ロボットシステム100の動作〕 続いて、上記構成の遠隔操作ロボットシステム100の動作の一例を説明する。

記憶装置7に記憶された被組付物(自動車のボディ)W2への組付物(シート)W1の取付作業の動作シーケンス情報は、コンテナから組付物W1を取り出す取出タスクT1、組付物W1を被組付物W2の取付位置近傍まで搬送する搬送タスクT2、及び、取付位置近傍にある組付物W1を取付位置へ取り付ける取付タスクT3からなり、これらのタスクT1〜T3をこの順に繰り返し実行する。

初めに、制御ユニット8は、記憶装置7に記憶された所定の動作シーケンス情報を読み出し、この動作シーケンス情報に沿ってシステム100の制御を開始する。先ず、制御ユニット8は、記憶装置7から取出タスクT1のタスクプログラムを読み出して実行する。次いで、制御ユニット8は、搬送タスクT2のタスクプログラムを読み出して実行する。取出タスクT1及び搬送タスクT2では、制御ユニット8は自動モードでスレーブアーム1の動作を制御する。

搬送タスクT2が終了すると、制御ユニット8は、次の取付タスクT3の制御モードの選択をオペレータに促すための選択画面をディスプレイ装置に表示させる。併せて、制御ユニット8は、制御モードが選択されようとしているスレーブアーム1の状況情報をディスプレイ装置に出力させる。ここで、ディスプレイ装置に表示出力される状況情報に、映されているスレーブアーム1の識別情報や、次に行うプロセスの内容などが含まれていてもよい。

オペレータは、ディスプレイ装置に表示されたスレーブアーム1の状況情報を視認して、例えばマスタアーム2又は入力装置4によって、手動モードか自動モードかを選択する。ここで、手動モードが選択されると、制御ユニット8は、モード切替部81によりスレーブアーム1の制御モードを自動モードから手動モードに切り替える。

手動モードに切り替えられた時点において、スレーブアーム1の保持ハンド12には組付物W1が保持されているが、重力補償部82により力センサ28が検出した力の重力分が除かれるため、マスタアーム2に組付物W1の重力は作用していない。また、オペレータがグリッパ29を把持していない場合、マスタアーム2には仮想の重力も作用していない。即ち、上記の換算式(2)に基づき、指令生成部83により位置指令値が生成される。

オペレータが、グリッパ29を把持すると、外力付与切替部85により、換算式(2)から、マスタアーム2に仮想重力を作用させるための換算式(1)に切り替わる。このため、オペレータは、マスタアーム2を介して重力方向に力を受けながら、マスタアーム2を操作してスレーブアーム1を動作させる。こうして、オペレータはマスタアーム2を操作して、組付物W1の穴hに被組付物W2のピンpを挿通させるために、組付物W1を被組付物W2に近づける。

組付物W1を被組付物W2に近づける際、穴hとピンpの位置がずれており、組付物W1の底部(即ち、穴hの周りの面)にピンpが接触すると、鉛直上向きの接触力fsが大きくなり、マスタアーム2を介してオペレータに提示される重力方向(鉛直下向き)の力は軽減される。例えば、接触力fsと仮想の重力m×gが釣り合うと、マスタアーム2を介してオペレータに提示される重力方向の力はゼロになる。このため、オペレータは、組付物W1の底部が被組付物W2のピンpに乗ったことを、マスタアーム2を介して認識することができる。

その後、組付物W1を横にずらして穴hの位置をピンpの位置に一致させた場合、鉛直上向きの接触力fsはゼロになり、オペレータには、再度、マスタアーム2を介して仮想の重力が提示される。このため、オペレータは、被組付物W2のピンpが組付物W1の穴hに入ったことを、マスタアーム2を介して認識することができる。

こうして被組付物W2に対する組付物W1の組付けが完了すると、取出タスクT1に戻る。以上説明したように、制御ユニット8は動作シーケンスに沿って作業工程を順次進行させる。

本実施形態に係る遠隔操作ロボットシステム100では、マスタアーム2を介してオペレータには、スレーブアーム1が外部から受けた力とは独立した、重力方向に負担にならない程度に作用する仮想の重力が提示される。即ち、重力補償部82により、スレーブアーム1が保持ハンド12により保持した組付物W1の重力等はマスタアーム2には反映させず、設定値入力部41から設定した仮想の重力をマスタアーム2に作用させる。このため、オペレータが想定した感覚(物体を保持した感覚)と、マスタアーム2を介して実際に受ける感覚との間のずれを低減することができる。これにより、マスタアーム2を介して受けるオペレータの操作感を改善することができる。

また、本実施形態では、設定値入力部41から仮想の外力の大きさや方向を設定することができるため、マスタアーム2に加えられる仮想の外力をオペレータにとって操作しやすい大きさ及び方向に適宜調整することができる。このため、マスタアーム2の操作負担を軽減でき、且つ、オペレータに物体を保持した感覚を提示できる。更に、マスタアーム2に加えられる仮想の外力は、設定値入力部41から予め設定されたものであり、力センサ17から検出した力とは独立している。このため、保持ハンド12に保持された物体の重量に関係なく、マスタアーム2に加える仮想の重力を一定にすることができる。

本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。

例えば、上記実施形態では、並列型バイラテラル制御によりマスタアーム2及びスレーブアーム1が制御されたが、本発明に適用されるバイラテラル制御は、並列型に限定されない。例えば、対称型、力逆送型及び力帰還型のいずれのバイラテラル制御も本発明に適用可能である。また、本発明に適用される制御方式は、バイラテラル制御方式でなくてもよい。即ち、スレーブアーム1が外部から受けた力をマスタアーム2に作用させなくてもよく、仮想の重力のみを作用させてもよい。

また、上記実施形態では、指令生成部83が、マスタアーム2に重力方向に仮想の外力を加える指令値を生成したが、この仮想の外力の大きさや方向は、スレーブアーム1が行う作業に応じて適宜変更可能である。例えば、スレーブアーム1が保持した棒状体などで粘性のある液体をかき混ぜる作業を行う場合、指令生成部83は、液体から受ける粘性抵抗をマスタアーム2に作用させる指令を生成してもよい。この場合、仮想の外力はマスタアーム2を操作する方向(棒状体の移動方向)とは反対方向に作用させてもよい。

また、上記実施形態では、設定値入力部41から仮想の外力の大きさや方向を適宜設定することができたが、本発明に係る遠隔操作ロボットシステムは、オペレータによって仮想の外力の大きさ及び方向が予め設定されたものから変更されないように、設定値入力部41を備えていなくてもよい。

100 :遠隔操作ロボットシステム 1 :スレーブアーム 2 :マスタアーム 12 :保持ハンド 16 :モータ制御部 26 :モータ制御部 29 :グリッパ 30 :把持センサ 41 :設定値入力部 82 :重力補償部 83 :指令生成部 84 :設定値記憶部 W1 :組付物 W2 :被組付物 fm :操作力 fs :接触力

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